WO2023120163A1 - ブラシ成形体および歯ブラシ - Google Patents
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Abstract
本発明は、撓む方向の自由度を向上させて当たり心地の良さと歯垢除去力の両立、および曲がりクセの付きにくさを実現できるブラシ成形体を提供することを目的とする。軟質樹脂で形成されたヘッド基台部と、ヘッド基台部の厚さ方向の正面側に位置する支持面から長軸方向に延びる複数のフィラメントと、を有する。フィラメントは、長軸方向と直交する断面が扁平形状の第1領域と、長軸方向と直交する断面が扁平形状であり、長軸方向の位置が第1領域とは異なる第2領域と、を有する。第1領域における扁平形状の長辺が延びる第1長辺方向は、第1領域において一定であり、第2領域における扁平形状の長辺が延びる第2長辺方向は、第2領域において一定である。第1長辺方向と第2長辺方向とは、長軸方向に見たときに交差する。
Description
本発明は、ブラシ成形体および歯ブラシに関する。
本願は、2021年12月22日に、日本に出願された特願2021-208244号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
本願は、2021年12月22日に、日本に出願された特願2021-208244号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
射出成形機のみで歯ブラシを製造する一体成形歯ブラシが提案されている(例えば、特許文献1)。一体成形歯ブラシは、フィラメントとヘッド基台部(あるいはヘッド部)を一体的に成形するため、フィラメントの材料調達および植毛機が不要であり、植毛歯ブラシよりも安価に製造できる利点を有している。
一体成形歯ブラシの製造に用いられる金型構造の特性上、フィラメントは成形性を確保するために、歯ブラシの短軸方向に平行な平面を有することが多い。その結果、フィラメントの断面形状は、扁平形状にされることが多くある。
一体成形歯ブラシは射出成形によりフィラメントを作製するため、通常の剛性用毛歯ブラシと比較して1本が太く、且つフィラメント同士が離れているため、1本のフィラメントの中で当たり心地及び清掃性等のポテンシャルを向上させることが求められる。フィラメントの材質は、比較的に柔らかいゴム様の質感に制限されるため、清掃性を向上させるためには剛直性を高める必要がある一方で、硬くなりすぎると当たり心地を不足させてしまう。
特許文献2には、フィラメントのうち基端側領域の断面形状を「三角形と台形を組み合わせることでエッジを緩和させた形状」とし、毛先側領域の断面形状を「円形状」に設計し、適度な毛の撓みによる清掃性の向上を実現させた構成が開示されている。特許文献2には、1本のフィラメントが異なる断面形状を有していて、且つ基端から毛先まで漸次的に細くなる形状が開示されている。
特許文献3には、当たり心地の低下や歯垢の磨き残しを防ぐために、1種類のフィラメントの向きを変えて配置することで、撓む方向の自由度を向上させる方法が開示されている。
特許文献2の技術では、1本のフィラメントに異方性を持たせることで剛直性を確保しているが、毛先側領域と基端側領域の両方が異方性に応じた同じ方向に撓みが連動・限定されており、結果として当たり心地及び歯垢の磨き残し(清掃力)が生じやすい。つまり、剛直性を向上させる方法として、異方性は有効であるが、特定の一方向に限定しない方法が必要となってくる。また、一体成形歯ブラシは、毛先までの樹脂流動性を確保するために、剛性用毛歯ブラシと比較してフィラメント先端の太さと根本の太さの差が大きくなる傾向にある。これにより、毛先にブラッシング圧が集中しやすくなるため、毛先にクセがつきやすい。クセをつきにくくする方法として、根本を細くする方法では成形性を大幅に下げることになるため、1本のフィラメントの中でブラッシング圧を多方向に分散する方法が必要となってくる。
特許文献3の技術では、局所的に撓みにくい箇所が発生することで、フィラメント全体での撓みやすさのバランスが悪くなるため、結果として当たり心地の低下や歯垢の磨き残しを解決できていない。
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、撓む方向の自由度を向上させて当たり心地の良さと歯垢除去力の両立、および曲がりクセの付きにくさを実現できるブラシ成形体および歯ブラシを提供することを目的とする。
本発明は以下の態様を有する。
[1]
軟質樹脂で形成されたヘッド基台部と、
前記ヘッド基台部の厚さ方向の正面側に位置する支持面から長軸方向に延びる複数のフィラメントと、
を有し、
前記フィラメントは、
前記長軸方向と直交する断面が扁平形状の第1領域と、
前記長軸方向と直交する断面が扁平形状であり、前記長軸方向の位置が前記第1領域とは異なる第2領域と、
を有し、
前記第1領域における前記扁平形状の長辺が延びる第1長辺方向は、前記第1領域において一定であり、
前記第2領域における前記扁平形状の長辺が延びる第2長辺方向は、前記第2領域において一定であり、
前記第1長辺方向と前記第2長辺方向とは、前記長軸方向に見たときに交差することを特徴とするブラシ成形体。
[2]
前記第1長辺方向と前記第2長辺方向とが交差する角度のうち、小さい方の角度は60°以上である、
前記[1]に記載のブラシ成形体。
[3]
前記第1領域は、前記第2領域よりも前記長軸方向の先端側に位置し、
前記第1領域における前記長辺は、前記厚さ方向と直交する前記ヘッド基台部の長さ方向に沿って形成された線分である、
前記[1]または[2]に記載のブラシ成形体。
[4]
前記第1領域および前記第2領域における断面形状は、それぞれ相似形で変化または一定であり、
前記第1領域および前記第2領域の前記長軸方向の長さは、それぞれ1.5mm以上である、
前記[1]から[3]のいずれか一項に記載のブラシ成形体。
[5]
前記第2領域における前記長辺の最大長さをW(B)とし、
前記第2領域における前記長辺が前記最大長さとなる前記長軸方向の位置における短辺の長さをD(B)とし、
前記第2領域における前記断面において、前記第2長辺方向の撓み係数をDW3(B)とし、
前記第2領域における前記断面において、前記第2長辺方向と直交する第2短辺方向の撓み係数をWD3(B)とすると、
DW3(B)/WD3(B)で表される値は、1.4以上、4.0以下であり、
前記第1領域における前記長辺の最大長さをW(A)とし、
前記第1領域における前記長辺が前記最大長さとなる前記長軸方向の位置における短辺の長さをD(A)とし、
前記第1領域における前記断面において、前記第1長辺方向の撓み係数をDW3(A)とし、
前記第1領域における前記断面において、前記第1長辺方向と直交する第1短辺方向の撓み係数をWD3(A)とすると、
DW3(A)/WD3(A)で表される値は、1.4以上、9.0以下である、
前記[1]から[4]のいずれか一項に記載のブラシ成形体。
[6]
WD3(B)/WD3(A)で表される値は、4.0以上、80.0以下である、
前記[5]に記載のブラシ成形体。
[7]
前記第2領域における前記断面において、アスペクト比が最も大きい前記長軸方向の位置は、前記支持面から前記フィラメントの長軸方向の長さの75%となる位置と前記支持面との範囲内にあり、
前記第1領域における前記断面において、アスペクト比が最も大きい前記長軸方向の位置は、前記支持面から前記フィラメントの前記長軸方向の長さの50%となる位置と前記フィラメントの先端との範囲内にある、
前記[1]から[6]のいずれか一項に記載のブラシ成形体。
[8]
前記フィラメントは、前記第1領域と前記第2領域との間における前記断面において、アスペクト比が1:1である領域を含む、
前記[1]から[7]のいずれか一項に記載のブラシ成形体。
[9]
前記フィラメントは、前記第1領域における前記第2領域側の第1境界から、前記第2領域における前記第1領域側の第2境界に亘る範囲に第3領域を有し、
前記第3領域は、前記長軸方向と直交する断面が扁平形状であり、
前記第3領域における前記扁平形状の長辺が延びる第3長辺方向は、前記第1境界の位置における前記第1長辺方向と同一の方向から、前記第2境界の位置における前記第2長辺方向と同一の方向まで、前記長軸方向に延びる中心線を中心とする周方向に漸次変化する、
前記[1]から[7]のいずれか一項に記載のブラシ成形体。
[10]
前記[1]から[9]のいずれか一項に記載のブラシ成形体を有し、
前記ヘッド基台部は、前記厚さ方向と直交する長さ方向に延び当該長さ方向の一方側に開口する嵌合孔を有し、
硬質樹脂で形成され、前記嵌合孔に嵌合する嵌合突部を有するハンドル体を備えることを特徴とする歯ブラシ。
[11]
記[1]から[9]のいずれか一項に記載のブラシ成形体と、
硬質樹脂で形成され、前記ブラシ成形体を支持するハンドル体とを備え、
前記ブラシ成形体と前記ハンドル体とは、一体的に成形された成形体であることを特徴とする歯ブラシ。
[1]
軟質樹脂で形成されたヘッド基台部と、
前記ヘッド基台部の厚さ方向の正面側に位置する支持面から長軸方向に延びる複数のフィラメントと、
を有し、
前記フィラメントは、
前記長軸方向と直交する断面が扁平形状の第1領域と、
前記長軸方向と直交する断面が扁平形状であり、前記長軸方向の位置が前記第1領域とは異なる第2領域と、
を有し、
前記第1領域における前記扁平形状の長辺が延びる第1長辺方向は、前記第1領域において一定であり、
前記第2領域における前記扁平形状の長辺が延びる第2長辺方向は、前記第2領域において一定であり、
前記第1長辺方向と前記第2長辺方向とは、前記長軸方向に見たときに交差することを特徴とするブラシ成形体。
[2]
前記第1長辺方向と前記第2長辺方向とが交差する角度のうち、小さい方の角度は60°以上である、
前記[1]に記載のブラシ成形体。
[3]
前記第1領域は、前記第2領域よりも前記長軸方向の先端側に位置し、
前記第1領域における前記長辺は、前記厚さ方向と直交する前記ヘッド基台部の長さ方向に沿って形成された線分である、
前記[1]または[2]に記載のブラシ成形体。
[4]
前記第1領域および前記第2領域における断面形状は、それぞれ相似形で変化または一定であり、
前記第1領域および前記第2領域の前記長軸方向の長さは、それぞれ1.5mm以上である、
前記[1]から[3]のいずれか一項に記載のブラシ成形体。
[5]
前記第2領域における前記長辺の最大長さをW(B)とし、
前記第2領域における前記長辺が前記最大長さとなる前記長軸方向の位置における短辺の長さをD(B)とし、
前記第2領域における前記断面において、前記第2長辺方向の撓み係数をDW3(B)とし、
前記第2領域における前記断面において、前記第2長辺方向と直交する第2短辺方向の撓み係数をWD3(B)とすると、
DW3(B)/WD3(B)で表される値は、1.4以上、4.0以下であり、
前記第1領域における前記長辺の最大長さをW(A)とし、
前記第1領域における前記長辺が前記最大長さとなる前記長軸方向の位置における短辺の長さをD(A)とし、
前記第1領域における前記断面において、前記第1長辺方向の撓み係数をDW3(A)とし、
前記第1領域における前記断面において、前記第1長辺方向と直交する第1短辺方向の撓み係数をWD3(A)とすると、
DW3(A)/WD3(A)で表される値は、1.4以上、9.0以下である、
前記[1]から[4]のいずれか一項に記載のブラシ成形体。
[6]
WD3(B)/WD3(A)で表される値は、4.0以上、80.0以下である、
前記[5]に記載のブラシ成形体。
[7]
前記第2領域における前記断面において、アスペクト比が最も大きい前記長軸方向の位置は、前記支持面から前記フィラメントの長軸方向の長さの75%となる位置と前記支持面との範囲内にあり、
前記第1領域における前記断面において、アスペクト比が最も大きい前記長軸方向の位置は、前記支持面から前記フィラメントの前記長軸方向の長さの50%となる位置と前記フィラメントの先端との範囲内にある、
前記[1]から[6]のいずれか一項に記載のブラシ成形体。
[8]
前記フィラメントは、前記第1領域と前記第2領域との間における前記断面において、アスペクト比が1:1である領域を含む、
前記[1]から[7]のいずれか一項に記載のブラシ成形体。
[9]
前記フィラメントは、前記第1領域における前記第2領域側の第1境界から、前記第2領域における前記第1領域側の第2境界に亘る範囲に第3領域を有し、
前記第3領域は、前記長軸方向と直交する断面が扁平形状であり、
前記第3領域における前記扁平形状の長辺が延びる第3長辺方向は、前記第1境界の位置における前記第1長辺方向と同一の方向から、前記第2境界の位置における前記第2長辺方向と同一の方向まで、前記長軸方向に延びる中心線を中心とする周方向に漸次変化する、
前記[1]から[7]のいずれか一項に記載のブラシ成形体。
[10]
前記[1]から[9]のいずれか一項に記載のブラシ成形体を有し、
前記ヘッド基台部は、前記厚さ方向と直交する長さ方向に延び当該長さ方向の一方側に開口する嵌合孔を有し、
硬質樹脂で形成され、前記嵌合孔に嵌合する嵌合突部を有するハンドル体を備えることを特徴とする歯ブラシ。
[11]
記[1]から[9]のいずれか一項に記載のブラシ成形体と、
硬質樹脂で形成され、前記ブラシ成形体を支持するハンドル体とを備え、
前記ブラシ成形体と前記ハンドル体とは、一体的に成形された成形体であることを特徴とする歯ブラシ。
本発明では、ブラシ成形体および歯ブラシにおいて、撓む方向の自由度を向上させて当たり心地の良さと歯垢除去力の両立、および曲がりクセの付きにくさを実現できる。
以下、本発明のブラシ成形体および歯ブラシの実施の形態を、図1ないし図14を参照して説明する。本実施形態では、ブラシ成形体がハンドル体に着脱自在に設けられる歯ブラシの例を用いて説明する。
なお、以下の実施形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせている。
図1は、本実施形態に係るブラシ成形体20および歯ブラシ1の正面図である。図2は、ブラシ成形体20および歯ブラシ1の側面図である。歯ブラシ1は、棒状のハンドル体10と、ブラシ成形体20とを備えている。ハンドル体10とブラシ成形体20とは別々の部材である。ブラシ成形体20は、ハンドル体10に着脱自在に装着(差し込み)可能である。ハンドル体10に装着されたブラシ成形体20は、ハンドル体10に支持される。ブラシ成形体20は、軟質樹脂で形成されている。ハンドル体10は、硬質樹脂で形成されている。
なお、ハンドル体10に着脱自在に装着(差し込み)可能なブラシ成形体とは、キャップ式が一例として挙げられるが、これに限らない。
なお、ハンドル体10に着脱自在に装着(差し込み)可能なブラシ成形体とは、キャップ式が一例として挙げられるが、これに限らない。
なお、本実施形態における正面とは、ブラシ成形体20の支持面21a(詳細は後述)の法線方向である厚さ方向(以下では、単に厚さ方向と称する)のうち後述するフィラメント23が突出する側(図2における上側)である。ブラシ成形体20の厚さ方向において、正面側と逆側を適宜背面側と称する。また、ハンドル体10の長さ方向であり、ブラシ成形体20に対してハンドル体10が差し込まれる方向(以下、単に差し込み方向と称する)は、上記法線方向と直交する。長さ方向において、ブラシ成形体20に対してハンドル体10が装着される側を後端側とし、後端側と逆側を適宜先端側と称する。また、上記法線方向と差し込み方向と直交する方向は、ブラシ成形体20の幅方向(以下、単に幅方向と称する)である。本実施形態における長軸方向とは、フィラメント23が延びる方向であり、上記法線方向と平行な方向である。
図3は、ハンドル体10の正面図である。
ハンドル体10は、図3に示すように、棒状のハンドル部11と、ハンドル部11の先端に設けられた、ハンドル部11の長さ方向先端側に突出する嵌合突部12とを備えている。歯ブラシ1では、ハンドル体10の嵌合突部12を後述のブラシ成形体20内に差し込むことで、嵌合突部12にブラシ成形体20を被せて取り付けるようになっている。
ハンドル体10は、図3に示すように、棒状のハンドル部11と、ハンドル部11の先端に設けられた、ハンドル部11の長さ方向先端側に突出する嵌合突部12とを備えている。歯ブラシ1では、ハンドル体10の嵌合突部12を後述のブラシ成形体20内に差し込むことで、嵌合突部12にブラシ成形体20を被せて取り付けるようになっている。
ハンドル体10は、硬質樹脂で形成されている。硬質樹脂としては、一例として、曲げ弾性率(JIS K7171)が1500MPa以上、3000MPa以下である樹脂を例示できる。具体的には、例えば、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリアセタール樹脂(POM)、ポリエステル樹脂(PCTA)、ポリエチレンテレフタレート共重合体(PETG)、高密度ポリエチレン(HDPE)を例示できる。これらの中でも、コスト面を考慮すると汎用樹脂であるPPが好ましい。
本実施形態のハンドル部11の正面視形状は、先端側から後端側に向かって徐々に幅が狭くなった後に一定の幅で延び、その後に徐々に幅が広くなった後に狭くなるように曲線的に変化する。ハンドル部11の正面視形状は、後端部が略半円形状になっている。
ハンドル部11の側面視形状は、図2に示すように、先端側から後端側に向かって一定の幅で延びた後に、指当て部となる最大厚さまで徐々に幅が広くなる。ハンドル部11の側面視形状は、最大厚さの指当て部から後端側に向かって徐々に幅が狭くなるように曲線的に変化する。ハンドル部11の側面視形状は、後端部が略半円形状になっている。
なお、本発明において、ハンドル部11の形状は、この例の形状には限定されず、強度、操作性、意匠性等を考慮して適宜設定できる。
ハンドル部11の寸法は、特に限定されず、適宜設定できる。例えば、ハンドル部11の長さは、100~200mmとすることができる。
ハンドル部11の寸法は、特に限定されず、適宜設定できる。例えば、ハンドル部11の長さは、100~200mmとすることができる。
嵌合突部12は、ハンドル体10にブラシ成形体20を取り付けた状態においてブラシ成形体20で被覆される部分である。嵌合突部12の後端は、ハンドル体10にブラシ成形体20が取り付けられた状態における、ブラシ成形体20の後端位置である。
図4は、嵌合突部12を拡大した正面図である。図4に示すように、嵌合突部12は、ハンドル部11の先端側に設けられた基部13と、基部13の先端に設けられた先端部14とを有している。図示は省略するが、基部13と先端部14とは、正面側および背面側の両側でハンドル部11に対して段差を有しハンドル部11よりも薄い同一厚さで形成されている。
図5は、ブラシ成形体20の正面図である。図6は、ブラシ成形体20の側面図である。図5および図6に示すように、ブラシ成形体20は、正面視形状が略矩形状のヘッド基台部21と、ヘッド基台部21の正面に設けられた複数のフィラメント23とを備えている。
ブラシ成形体20を構成する軟質樹脂としては、各種エラストマーを用いることができるが、ポリウレタンであることが好ましい。
ポリウレタンは、スチレン系やポリステル系などの他のエラストマーに比べて、引張強度が高い傾向にあるため、軟質樹脂にポリウレタンを用いることで、薄肉にしても機械的な強度が確保でき、ハンドル体10と嵌合孔22との嵌合時および歯ブラシ1の使用時の破損を抑制することができる。
ポリウレタンは、スチレン系やポリステル系などの他のエラストマーに比べて、引張強度が高い傾向にあるため、軟質樹脂にポリウレタンを用いることで、薄肉にしても機械的な強度が確保でき、ハンドル体10と嵌合孔22との嵌合時および歯ブラシ1の使用時の破損を抑制することができる。
ポリウレタン中には、0.01~1.0wt%(質量%)のC10以上の飽和/不飽和炭化水素、高級アルコール、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、低分子量ポリエチレン、ポリエチレングリコール(PEG)、脂肪酸金属塩、長鎖脂肪酸、脂肪酸グリセリン、流動パラフィン、シリコーンのいずれか、あるいは複合して配合され、滑剤、離型剤として機能する。
また、ポリウレタンは上記の他のエラストマーに比べて選択できる硬度が幅広く、ブラシ成形体20の厚さに応じて、その使用性(例えば、ブラシ成形体先端の屈曲)を考慮した樹脂硬度の選択が可能である。ポリウレタンの硬度としては、ショア90A以上、70D以下であることが好ましい。
ポリウレタンの硬度がショア90Aよりも軟らかい場合、薄肉で形成されたときに変形しやすくなることから、嵌合が弱くなって歯ブラシ1の使用時にブラシ成形体20が脱落しやすくなってしまう。ポリウレタンの硬度がショア70Dよりも硬い場合、ヘッド基台部21の背面が傾斜した場合に先端が口腔組織に当たった時に痛みが生じる可能性がある。ポリウレタンの硬度をショア90A以上、70D以下とすることにより、歯ブラシ1の使用時にブラシ成形体20が脱落したり、ヘッド基台部21の先端が当たった時に痛みが生じることを抑制できる。
ポリウレタンの硬度がショア90Aよりも軟らかい場合、薄肉で形成されたときに変形しやすくなることから、嵌合が弱くなって歯ブラシ1の使用時にブラシ成形体20が脱落しやすくなってしまう。ポリウレタンの硬度がショア70Dよりも硬い場合、ヘッド基台部21の背面が傾斜した場合に先端が口腔組織に当たった時に痛みが生じる可能性がある。ポリウレタンの硬度をショア90A以上、70D以下とすることにより、歯ブラシ1の使用時にブラシ成形体20が脱落したり、ヘッド基台部21の先端が当たった時に痛みが生じることを抑制できる。
また、ポリウレタンとしては、耐水性と抗菌性とを確保する観点から、エーテル系ポリウレタンを用いることが好ましい。
ヘッド基台部21は、嵌合孔22を有している。嵌合孔22は、差し込み方向に延びて後端側(一方側)の端面21bに開口する。図7は、嵌合孔22を含む支持面21aと平行な面における断面図である。図7に示すように、嵌合孔22は、端面21bに開口する第1部分33と、第1部分33よりも奥側に位置する第2部分34とを有している。図6に示すように、第1部分33と第2部分34とは、ヘッド基台部21の支持面21aおよび背面21cとそれぞれ離間して配置されている。
ヘッド基台部21は、嵌合孔22における差し込み方向の略中央であって、第1部分33と第2部分34との間に位置する突起35を有している。突起35は、嵌合孔22の幅方向の両側に設けられている。突起35は、嵌合孔22にハンドル体10の嵌合突部12が差し込まれたときに、窪み15と嵌合する位置にそれぞれ設けられている。突起35は、幅方向で外側に円弧中心を有し内側に凸となる円弧形状である。
ハンドル体10における嵌合突部12をヘッド基台部21における嵌合孔22に挿入した際に、基部13が第1部分33に嵌合し、先端部14が第2部分34に嵌合し、突起35が窪み15と嵌合する。これにより、ハンドル体10とヘッド基台部21とは、一体化される。
[フィラメント23の第1実施形態]
フィラメント23は、ヘッド基台部21の厚さ方向の正面側に位置する支持面21aから正面側に突出し長軸方向に延びる略柱状である。ヘッド基台部21の支持面21aは、幅方向および差し込み方向と平行な平面である。支持面21aは、厚さ方向におけるフィラメント23の基端位置に配置されている。
フィラメント23は、ヘッド基台部21の厚さ方向の正面側に位置する支持面21aから正面側に突出し長軸方向に延びる略柱状である。ヘッド基台部21の支持面21aは、幅方向および差し込み方向と平行な平面である。支持面21aは、厚さ方向におけるフィラメント23の基端位置に配置されている。
図8は、フィラメント23を正面側から見た図である。図9は、フィラメント23をハンドル体10の長さ方向に見た図である。以下では、フィラメント23の長軸方向(ブラシ成形体20の厚さ方向)をZ方向とし、ハンドル体10の長さ方向をY方向とし、Z方向とY方向とに直交するブラシ成形体20の幅方向をX方向として適宜説明する。
1本のフィラメント23は、第1領域F1と第2領域F2と第3領域F3とを有する。図8に示すように、第1領域F1におけるフィラメント23は、Z方向と直交する断面(以下、単に「断面」と呼ぶ)がY方向を長径としX方向を短径とする扁平形状である。すなわち、第1領域F1の断面形状は異方性を有する。第2領域F2におけるフィラメント23は、Z方向と直交する断面がX方向を長径としY方向を短径とする扁平形状である。すなわち、第2領域F2の断面形状は異方性を有する。図9に示すように、第1領域F1は、フィラメント23におけるZ方向の先端側に位置する。第2領域F2は、Z方向の位置が第1領域F1とは異なる。第2領域F2は、フィラメント23におけるZ方向の基端側に位置する。フィラメント23において、Z方向の先端位置を位置Z0とし、基端位置を位置Z11としたときに、第1領域F1はフィラメント23の先端側である位置Z0から位置Z4に位置し、第2領域F2はフィラメント23の基端側である位置Z6から位置Z11に位置する。図8には、位置Z0から位置Z11までの各位置における断面の外形輪郭がそれぞれ示されている。
図10は、第1領域F1におけるフィラメント23の断面図である。第1領域F1におけるフィラメント23の断面形状は、図10に示すように、長辺L1がY方向と平行である第1長辺方向LD1に延び、短辺S1がX方向と平行である楕円状である。第1領域F1におけるフィラメント23の長辺L1は、Y方向に沿って形成された線分である。第1領域F1において第1長辺方向LD1は、位置Z0から位置Z4に亘って一定である。第1領域F1において第1長辺方向LD1は、Y方向と平行であり、位置Z0から位置Z4に亘って一定であることで、第1領域F1におけるフィラメント23は、X方向に撓みやすくなる。
[表1]には、位置Z0から位置Z4の各位置における長辺L1の長さと、短辺S1の長さと、L1/S1で表されるアスペクト比とが示されている。[表1]に示されるように、第1領域F1におけるフィラメント23は、位置Z0から位置Z4に向かうにつれて長辺L1の長さと短辺S1の長さとが漸次大きくなるとともに、アスペクト比も大きくなっている。
図11は、第2領域F2におけるフィラメント23の断面図である。第2領域F2におけるフィラメント23の断面形状は、図11に示すように、第2領域F2において長辺L2がX方向と平行である第2長辺方向LD2に延び、短辺S2がY方向と平行である楕円状である。第2領域F2において第2長辺方向LD2は、位置Z6から位置Z11に亘って一定である。第2領域F2において第2長辺方向LD2は、X方向と平行であり、位置Z6から位置Z11に亘って一定であることで、第2領域F2におけるフィラメント23は、Y方向に撓みやすくなる。
[表2]には、位置Z6から位置Z11の各位置における長辺L2の長さと、短辺S2の長さと、L2/S2で表されるアスペクト比とが示されている。[表2]に示されるように、第2領域F2におけるフィラメント23は、位置Z6から位置Z11に向かうにつれて長辺L2の長さと短辺S2の長さとが漸次大きくなるとともに、アスペクト比も大きくなっている。
フィラメント23の先端側に位置する第1領域F1と基端側に位置する第2領域F2とが、異なる異方性を有しながら互いに連動することで、フィラメント23は、フィラメント23に対するブラッシング荷重の加わり方およびブラッシング方向に応じて種々の方向に撓むことができる。特に歯ブラシ1は、ハンドル体10の長さ方向であるY方向にストロークすることが多いため、フィラメント23の毛先に位置する第1領域F1が歯ブラシ1の幅方向に撓みやすいことは、清掃性・当たり心地の更なる向上に寄与する。
すなわち、第1領域F1が幅方向に撓みやすい場合、毛先と歯や歯ぐきとの接触面積を増やすことができて、歯垢の磨き残しを防ぐために、清掃性の向上に寄与する。また、第1領域F1が幅方向に撓みやすい場合、基端側の長さ方向への剛直性を幅方向に分散することができ、その結果、清掃性を確保しながら、当り心地の向上に寄与する。
すなわち、第1領域F1が幅方向に撓みやすい場合、毛先と歯や歯ぐきとの接触面積を増やすことができて、歯垢の磨き残しを防ぐために、清掃性の向上に寄与する。また、第1領域F1が幅方向に撓みやすい場合、基端側の長さ方向への剛直性を幅方向に分散することができ、その結果、清掃性を確保しながら、当り心地の向上に寄与する。
Z方向に見たときに、第1長辺方向LD1と第2長辺方向LD2とは交差する。第1長辺方向LD1と第2長辺方向LD2とが交差するとは、Z方向に見たときに、第1長辺方向LD1と第2長辺方向LD2の交差角度が少なくとも10°以上であることを示す。より詳細には、Z方向に見たときに、第1長辺方向LD1と第2長辺方向LD2とが交差する角度のうち、小さい方の角度は60°以上であることが好ましく、75°以上であることがより好ましく、85°以上であることがさらに好ましい。第1長辺方向LD1と第2長辺方向LD2とが交差する角度のうち、小さい方の角度が60°未満の場合、第1領域F1の異方性と第2領域F2の異方性の差が不十分であり撓み方向の自由度が低くなりかねない。好ましくは、Z方向に見たときに、第1長辺方向LD1と第2長辺方向LD2とは交差角度90°で直交する。そのため、1本のフィラメント23は、第1領域F1においてX方向に撓みやすくなり、第2領域F2においてY方向に撓みやすくなり、撓む方向の自由度が向上する。
第1領域F1において第1長辺方向LD1が一定であるとは、第1領域F1において第1長辺方向LD1が、図9に示すように、Z方向に延びるフィラメント23の中心線Jを中心とする周方向(以下、単に周方向と呼ぶ)に15°以内であると定義する。同様に、第2領域F2において第2長辺方向LD2が一定であるとは、第2領域F2において第2長辺方向LD2が、中心線Jを中心とする周方向に15°以内であると定義する。第1領域F1における第1長辺方向LD1と第2領域F2における第2長辺方向LD2の少なくとも一方が、周方向に15°以内で変位する場合、周方向で最も近接する角度関係で第1長辺方向LD1と第2長辺方向LD2の交差角度が少なくとも10°以上であればよい。
第1長辺方向LD1および第2長辺方向LD2がそれぞれ周方向に15°を超えた範囲にある場合、断面が扁平形状で異方性を有することで得られるメリハリが小さくなるが、周方向に15°以内の範囲に収まれば、断面が扁平形状で異方性を有することで得られるメリハリが発現する。
第1領域F1および第2領域F2のフィラメント23の断面における扁平形状としては、上記楕円形状の他に、長円形状や四角形、三角形などの多角形であってもよい。
第1領域F1の断面におけるアスペクト比としては、1.2(6.0:5.0)以上であることが好ましく、1.4(7.0:5.0)以上であることがより好ましい。第1領域F1の断面におけるアスペクト比としては、3.0(3.0:1.0)以下であることが好ましく、2.5以下であることがより好ましい。
また、第1領域F1の断面におけるアスペクト比としては、1.2(6.0:5.0)以上、3.0(3.0:1.0)以下であることが好ましく、1.4(7.0:5.0)以上、2.5以下であることがより好ましい。
第2領域F2の断面におけるアスペクト比としては、1.1(11.0:10.0)以上であることが好ましく、1.2(7.0:5.0)以上であることがより好ましい。
第2領域F2の断面におけるアスペクト比としては、3.0(3.0:1.0)以下であることが好ましく、2.5以下であることがより好ましい。
また、第2領域F2の断面におけるアスペクト比としては、1.1(11.0:10.0)以上、3.0(3.0:1.0)以下であることが好ましく、1.2(7.0:5.0)以上、2.5以下であることがより好ましい。
第1領域F1の断面におけるアスペクト比が1.2未満、第2領域F2の断面におけるアスペクト比が1.1未満の場合、異方性が不十分であり撓み方向の自由度が低くなる可能性がある。
アスペクト比が3.0を超えた場合には、異方性が大きくなりすぎて第1領域F1における撓みと第2領域F2における撓みの連動性が不足する可能性がある。
第1領域F1の断面におけるアスペクト比としては、1.2(6.0:5.0)以上であることが好ましく、1.4(7.0:5.0)以上であることがより好ましい。第1領域F1の断面におけるアスペクト比としては、3.0(3.0:1.0)以下であることが好ましく、2.5以下であることがより好ましい。
また、第1領域F1の断面におけるアスペクト比としては、1.2(6.0:5.0)以上、3.0(3.0:1.0)以下であることが好ましく、1.4(7.0:5.0)以上、2.5以下であることがより好ましい。
第2領域F2の断面におけるアスペクト比としては、1.1(11.0:10.0)以上であることが好ましく、1.2(7.0:5.0)以上であることがより好ましい。
第2領域F2の断面におけるアスペクト比としては、3.0(3.0:1.0)以下であることが好ましく、2.5以下であることがより好ましい。
また、第2領域F2の断面におけるアスペクト比としては、1.1(11.0:10.0)以上、3.0(3.0:1.0)以下であることが好ましく、1.2(7.0:5.0)以上、2.5以下であることがより好ましい。
第1領域F1の断面におけるアスペクト比が1.2未満、第2領域F2の断面におけるアスペクト比が1.1未満の場合、異方性が不十分であり撓み方向の自由度が低くなる可能性がある。
アスペクト比が3.0を超えた場合には、異方性が大きくなりすぎて第1領域F1における撓みと第2領域F2における撓みの連動性が不足する可能性がある。
第2領域F2のフィラメント23における断面の長辺L2の最大長さをW(B)とし、長辺L2が最大の長さW(B)となるZ方向の位置における短辺S2の長さをD(B)とし、第2領域F2のフィラメント23における断面において、第2長辺方向LD2の撓み係数をDW3(B)とし、第2長辺方向LD2と直交する第2短辺方向SD2の撓み係数をWD3(B)とする。なお、撓み係数DW3(B)および撓み係数WD3(B)の単位は、mm4であるが、以下では単位を省略して説明する場合がある。
長さW(B)としては、0.30mm以上であることが好ましく、0.40mm以上であることがより好ましい。長さW(B)としては、1.0mm以下であること好ましい。
また、長さW(B)としては、0.30mm以上、1.0mm以下であることが好ましく、0.40mm以上、1.0mm以下であることがより好ましい。
長さD(B)としては、0.25mm以上であることが好ましく、0.35mm以上であることがより好ましい。長さD(B)としては、0.85mm以下であることが好ましい。
また、長さD(B)としては、0.25mm以上、0.85mm以下であることが好ましく、0.35mm以上、0.85mm以下であることがより好ましい。
長さD(B)が0.85mmを超えた場合、Y方向およびX方向のいずれの方向にも撓みにくくなり異方性が不十分となる。
また、長さW(B)としては、0.30mm以上、1.0mm以下であることが好ましく、0.40mm以上、1.0mm以下であることがより好ましい。
長さD(B)としては、0.25mm以上であることが好ましく、0.35mm以上であることがより好ましい。長さD(B)としては、0.85mm以下であることが好ましい。
また、長さD(B)としては、0.25mm以上、0.85mm以下であることが好ましく、0.35mm以上、0.85mm以下であることがより好ましい。
長さD(B)が0.85mmを超えた場合、Y方向およびX方向のいずれの方向にも撓みにくくなり異方性が不十分となる。
DW3(B)/WD3(B)で表される第2領域F2における異方性の程度を示す値は、1.4以上であり、また、4.0以下であることが好ましい。DW3(B)/WD3(B)で表される値が1.4未満の場合、異方性が不十分で撓む方向の自由度が低下する。DW3(B)/WD3(B)で表される値が4.0を超えた場合、第2領域F2の異方性が大きくなりすぎて第1領域F1における撓みと第2領域F2における撓みの連動性が不足する可能性がある。DW3(B)/WD3(B)で表される値を1.4以上、4.0以下とすることで、撓む方向の自由度を向上させつつ、第1領域F1における撓みと第2領域F2における撓みの連動性を確保できる。
DW3(B)/WD3(B)で表される値が1.4以上であり、また、4.0以下であることを考慮すると、長さW(B)、長さD(B)、撓み係数WD3(B)および撓み係数DW3(B)は、以下の範囲を例示できる。長さW(B)=0.30mm以上であり、また、1.0mm以下。長さD(B)=0.25mm以上であり、また、0.85mm以下。撓み係数WD3(B)=0.0047以上であり、好ましくは、0.014以上。撓み係数WD3(B)=0.58以下。また、撓み係数WD3(B)=0.0047以上、0.58以下であり、好ましくは、0.014以上、0.58以下。
撓み係数DW3(B)=0.0068以上であり、好ましくは、0.021以上。撓み係数DW3(B)=0.85以下。また、撓み係数DW3(B)=0.0068以上、0.85以下であり、好ましくは、0.021以上、0.85以下。
撓み係数DW3(B)=0.0068以上であり、好ましくは、0.021以上。撓み係数DW3(B)=0.85以下。また、撓み係数DW3(B)=0.0068以上、0.85以下であり、好ましくは、0.021以上、0.85以下。
第1領域F1のフィラメント23における断面の長辺L1の最大長さをW(A)とし、長辺L1が最大の長さW(A)となるZ方向の位置における短辺S1の長さをD(A)とし、第1領域F1のフィラメント23における断面において、第1長辺方向LD1の撓み係数をDW3(A)とし、第1長辺方向LD1と直交する第1短辺方向SD1の撓み係数をWD3(A)とする。なお、撓み係数DW3(A)および撓み係数WD3(A)の単位は、mm4であるが、以下では単位を省略して説明する場合がある。
長さW(A)としては、0.01mm以上であることが好ましく、0.12mm以上であることがより好ましい。長さW(A)としては、0.50mm以下であることが好ましく、0.40mm以下であることがより好ましい。
また、長さW(A)としては、0.01mm以上、0.50mm以下であることが好ましく、0.12mm以上、0.40mm以下であることがより好ましい。
長さD(A)としては、0.01mm以上であることが好ましく、0.10mm以上であることがより好ましい。長さD(A)としては、0.50mm以下であることが好ましく、0.33mm以下であることがより好ましい。
また、長さD(A)としては、0.01mm以上、0.50mm以下であることが好ましく、0.10mm以上、0.33mm以下であることがより好ましい。
長さW(A)が0.01mm未満の場合、Y方向およびX方向のいずれの方向にも撓みやすくなり異方性が不明瞭となる。
また、長さW(A)としては、0.01mm以上、0.50mm以下であることが好ましく、0.12mm以上、0.40mm以下であることがより好ましい。
長さD(A)としては、0.01mm以上であることが好ましく、0.10mm以上であることがより好ましい。長さD(A)としては、0.50mm以下であることが好ましく、0.33mm以下であることがより好ましい。
また、長さD(A)としては、0.01mm以上、0.50mm以下であることが好ましく、0.10mm以上、0.33mm以下であることがより好ましい。
長さW(A)が0.01mm未満の場合、Y方向およびX方向のいずれの方向にも撓みやすくなり異方性が不明瞭となる。
DW3(A)/WD3(A)で表される第1領域F1における異方性の程度を示す値は、1.4以上であり、また、9.0以下であることが好ましい。DW3(A)/WD3(A)で表される値が1.4未満の場合、異方性が不十分で撓む方向の自由度が低下する。DW3(A)/WD3(A)で表される値が9.0を超えた場合、第1領域F1の異方性が大きくなりすぎて第1領域F1における撓みと第2領域F2における撓みの連動性が不足する可能性がある。DW3(A)/WD3(A)で表される値を1.4以上であり、また、9.0以下とすることで、撓む方向の自由度を向上させつつ、第1領域F1における撓みと第2領域F2における撓みの連動性を確保できる。
DW3(A)/WD3(A)で表される値が1.4以上であり、また、9.0以下であることを考慮すると、長さW(A)、長さD(A)、撓み係数WD3(A)および撓み係数DW3(A)は、以下の範囲を例示できる。
長さW(A)=0.12mm以上であり、また、0.40mm以下。
長さD(A)=0.10mm以上であり、また、0.33mm以下。
撓み係数WD3(A)=0.00012以上。
撓み係数WD3(A)=0.037以下であり、好ましくは0.014以下。
また、撓み係数WD3(A)=0.00012以上、0.037以下であり、好ましくは0.00012以上、0.014以下。
撓み係数DW3(A)=0.00017以上。
撓み係数DW3(A)=0.053以下であり、好ましくは、0.021以下。
また、撓み係数DW3(A)=0.00017以上、0.053以下であり、好ましくは、0.00017以上、0.021以下。
長さW(A)=0.12mm以上であり、また、0.40mm以下。
長さD(A)=0.10mm以上であり、また、0.33mm以下。
撓み係数WD3(A)=0.00012以上。
撓み係数WD3(A)=0.037以下であり、好ましくは0.014以下。
また、撓み係数WD3(A)=0.00012以上、0.037以下であり、好ましくは0.00012以上、0.014以下。
撓み係数DW3(A)=0.00017以上。
撓み係数DW3(A)=0.053以下であり、好ましくは、0.021以下。
また、撓み係数DW3(A)=0.00017以上、0.053以下であり、好ましくは、0.00017以上、0.021以下。
また、WD3(B)/WD3(A)で表される値は、4.0以上であり、また、80.0以下である。WD3(B)/WD3(A)で表される値は、第1領域F1における異方性と第2領域F2における異方性の発現しやすさを示す。WD3(B)/WD3(A)で表される値が4.0未満の場合には、第1領域F1における撓みやすい方向と、第2領域F2における撓みやすい方向とが不明瞭となり、撓みやすい方向が異なっていても断面が扁平形状で異方性を有することで得られるメリハリが小さくなる。WD3(B)/WD3(A)で表される値が80.0を超えた場合には、第1領域F1が極端に撓みやすくなり、第1領域F1における撓みと第2領域F2における撓みの連動性が不足する可能性がある。そのため、1.5≦長さD(B)/長さD(A)≦3.0を満たすことが好ましい。
例えば、第2領域F2の寸法が最も小さい場合、長辺L1の長さW(B)=0.30mm、短辺S2の長さD(B)=0.25mmとすると、WD3(B)=0.0047となる。このとき、第1領域F1において取り得る最小の長辺L1の長さW(A)=0.12mm、短辺S1の長さD(A)=0.10mmとすると、WD3(A)=0.00012となる。この場合は、WD3(B)/WD3(A)で表される値は、39.2となる。一方、このとき、第1領域F1において取り得る最大の長辺L1の長さW(A)=0.20mm、短辺S1の長さD(A)=0.17mmとなり、WD3(A)=0.00098となる。この場合は、WD3(B)/WD3(A)で表される値は、4.8となる。従って、第2領域F2の寸法が最も小さい場合でも、WD3(B)/WD3(A)で表される値は、4.0以上であり、また、80.0以下を満足する。
例えば、第2領域F2の寸法が最も大きい場合、長辺L1の長さW(B)=1.0mm、短辺S2の長さD(B)=0.85mmとすると、WD3(B)=0.60となる。このとき、第1領域F1において取り得る最小の長辺L1の長さW(A)=0.34mm、短辺S1の長さD(A)=0.28mmとすると、WD3(A)=0.0075となる。この場合は、WD3(B)/WD3(A)で表される値は、80.0となる。一方、このとき、第1領域F1において取り得る最大の長辺L1の長さW(A)=0.68mm、短辺S1の長さD(A)=0.57mmとなり、WD3(A)=0.13となる。この場合は、WD3(B)/WD3(A)で表される値は、4.6となる。従って、第2領域F2の寸法が最も大きい場合でも、WD3(B)/WD3(A)で表される値は、4.0以上であり、また、80.0以下を満足する。
WD3(B)/WD3(A)で表される値が4.0以上であり、また、80.0以下であることを考慮すると、撓み係数WD3(B)は、0.0047以上であり、また、0.60以下が好ましく、撓み係数WD3(A)は、1.5≦長さD(B)/長さD(A)≦3.0を満たす場合に0.00012以上であり、また、0.13以下が好ましい。
第2領域F2における断面において、アスペクト比が最も大きいZ方向の位置は、支持面21aからフィラメント23のZ方向の長さの75%、好ましくは50%となる位置と支持面21aとの範囲内にあることが好ましい。第2領域F2における断面において、アスペクト比が最も大きいZ方向の位置が、フィラメント23のZ方向の長さの75%となる位置よりも先端側にある場合、第1領域F1の範囲が短くなり、フィラメント23における先端側の異方性が不十分となる。
第1領域F1における断面において、アスペクト比が最も大きいZ方向の位置は、支持面21aからフィラメント23のZ方向の長さの50%となる位置とフィラメント23の先端との間にあることが好ましい。第1領域F1における断面において、アスペクト比が最も大きいZ方向の位置がフィラメント23のZ方向の長さの50%となる位置よりも基端側にある場合、第2領域F2の範囲が短くなり、フィラメント23における基端側の異方性が不十分となる。
第1領域F1における断面において、アスペクト比が最も大きいZ方向の位置と、第2領域F2における断面において、アスペクト比が最も大きいZ方向の位置とは、少なくとも1.5mm離れていることが好ましい。
第1領域F1のZ方向の長さとしては、1.5mm以上であることが好ましく、2.0mm以上であることがより好ましい。第1領域F1のZ方向の長さとしては、5.5mm以下であることが好ましく、4.0mm以下であることがより好ましい。
また、第1領域F1のZ方向の長さとしては、1.5mm以上、5.5mm以下であることが好ましく、2.0mm以上、4.0mm以下であることがより好ましい。
第1領域F1のZ方向の位置としては、支持面21aからフィラメント23のZ方向の長さの50%以上の範囲内にあることが好ましく、60%以上の範囲内にあることがより好ましい。第1領域F1のZ方向の位置としては、支持面21aからフィラメント23のZ方向の長さの100%以内の範囲内にあることが好ましく、80%以内となる範囲内にあることがより好ましい。
また、第1領域F1のZ方向の位置としては、支持面21aからフィラメント23のZ方向の長さの50%となる位置から100%となる位置の範囲内にあることが好ましく、60%となる位置から80%となる位置の範囲内にあることがより好ましい。
また、第1領域F1のZ方向の長さとしては、1.5mm以上、5.5mm以下であることが好ましく、2.0mm以上、4.0mm以下であることがより好ましい。
第1領域F1のZ方向の位置としては、支持面21aからフィラメント23のZ方向の長さの50%以上の範囲内にあることが好ましく、60%以上の範囲内にあることがより好ましい。第1領域F1のZ方向の位置としては、支持面21aからフィラメント23のZ方向の長さの100%以内の範囲内にあることが好ましく、80%以内となる範囲内にあることがより好ましい。
また、第1領域F1のZ方向の位置としては、支持面21aからフィラメント23のZ方向の長さの50%となる位置から100%となる位置の範囲内にあることが好ましく、60%となる位置から80%となる位置の範囲内にあることがより好ましい。
第2領域F2のZ方向の長さとしては、1.5mm以上であることが好ましく、2.0mm以上であることがより好ましい。第2領域F2のZ方向の長さとしては、9.5mm以下であることが好ましく、8.0mm以下であることがより好ましい。
また、第2領域F2のZ方向の長さとしては、1.5mm以上、9.5mm以下であることが好ましく、2.0mm以上、8.0mm以下であることがより好ましい。第2領域F2のZ方向の位置としては、支持面21aからフィラメント23のZ方向の長さの75%となる位置までの範囲内にあることが好ましく、支持面21aからフィラメント23のZ方向の長さの70%となる位置までの範囲内にあることがより好ましく、支持面21aからフィラメント23のZ方向の長さの65%となる位置までの範囲内にあることがさらに好ましい。
また、第2領域F2のZ方向の長さとしては、1.5mm以上、9.5mm以下であることが好ましく、2.0mm以上、8.0mm以下であることがより好ましい。第2領域F2のZ方向の位置としては、支持面21aからフィラメント23のZ方向の長さの75%となる位置までの範囲内にあることが好ましく、支持面21aからフィラメント23のZ方向の長さの70%となる位置までの範囲内にあることがより好ましく、支持面21aからフィラメント23のZ方向の長さの65%となる位置までの範囲内にあることがさらに好ましい。
なお、第1領域F1の先端側に、例えば1.0mm以下の長さで第1領域F1に含まれないテーパー領域が設けられる構成であってもよい。また、第2領域F2の基端側に、例えば8.0mm以下の長さで第2領域F2に含まれない領域があってもよい。
フィラメント23の毛先形状としては、分岐していても良い。分岐領域の各分岐毛が異方性を有していてもよい。分岐領域の各分岐毛が異方性を有する場合、分岐した数のうち50%以上が上記の異方性を有することで、異方性に応じて短辺方向に撓みやすくなり、撓む方向の自由度が向上するという十分な効果を発揮できる。また、分岐領域には異方性がなく、分岐領域より基端側で互いに異なる異方性を有する第1領域F1および第2領域F2があってもよい。
第3領域F3は、フィラメント23における位置Z4から位置Z6に位置する。第3領域は、第1領域F1と第2領域F2との外形を連続的につなぐ。第3領域F3の位置Z5におけるフィラメント23の断面形状は、円形である。すなわち、フィラメント23は、第1領域F1と第2領域F2との間における断面において、アスペクト比が1:1である第3領域F3を含む。第3領域F3のフィラメント23は、位置Z4において長辺L1がY方向と平行である第1長辺方向LD1に延びる楕円状の断面から、位置Z5において円形状の断面まで外形が連続的に変化する。第3領域F3のフィラメント23は、位置Z5において円形状の断面から、位置Z6において長辺L2がX方向と平行である第2長辺方向LD2に延びる楕円状の断面まで外形が連続的に変化する。
第1領域F1と第2領域F2との間に、撓み方向に異方性を有さない中立的な第3領域F3を有することで、第1領域F1と第2領域F2とが有する異なる方向への異方性をより明確にできる。第3領域F3のZ方向の長さとしては、例えば、0.10mm以上であり、また、1.0mm以下である。
第1領域F1、第2領域F2および第3領域F3以外のフィラメント23において、断面形状が第1領域F1、第2領域F2および第3領域F3と異なる領域を設けることも可能である。
以上、説明したように、本実施形態のブラシ成形体20および歯ブラシ1では、断面が扁平形状の第1領域F1と第2領域F2とを有し、第1領域F1における第1長辺方向LD1と第2領域F2における第2長辺方向LD2とがZ方向に見たときに交差するため、撓む方向の自由度を向上させることができる。そのため、本実施形態のブラシ成形体20および歯ブラシ1では、当たり心地の良さと歯垢除去力の両立を実現できるとともに、毛先へのブラッシング圧の集中を抑制でき曲がりクセの付きにくさを実現できる。
[フィラメント23の第2実施形態]
次に、フィラメント23の第2実施形態について、図12を参照して説明する。
図12は、第2実施形態のフィラメント23を正面側から見た図である。
この図において、図1から図11に示す第1実施形態の構成要素と同一の要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
次に、フィラメント23の第2実施形態について、図12を参照して説明する。
図12は、第2実施形態のフィラメント23を正面側から見た図である。
この図において、図1から図11に示す第1実施形態の構成要素と同一の要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
図12に示すように、第1領域F1は、フィラメント23の先端側である位置Z0から位置Z4に位置し、第2領域F2はフィラメント23の基端側である位置Z6から位置Z11に位置する。図12には、位置Z0から位置Z11までの各位置における断面の外形輪郭がそれぞれ示されている。
第1領域F1におけるフィラメント23の断面形状は、図10に示したように、長辺L1がY方向と平行である第1長辺方向LD1に延び、短辺S1がX方向と平行である楕円状である。第1領域F1において第1長辺方向LD1は、位置Z0から位置Z4に亘って一定である。第1領域F1において第1長辺方向LD1は、Y方向と平行であり、位置Z0から位置Z4に亘って一定であることで、第1領域F1におけるフィラメント23は、X方向に撓みやすくなる。
[表3]には、位置Z0から位置Z4の各位置における長辺L1の長さと、短辺S1の長さと、L1/S1で表されるアスペクト比とが示されている。[表3]に示されるように、第1領域F1におけるフィラメント23は、一定のアスペクト比(1.40)で位置Z0から位置Z4に向かうにつれて長辺L1の長さと短辺S1の長さとが漸次大きくなっている。すなわち、第1領域F1におけるフィラメント23の断面形状は、相似形である。
第2領域F2におけるフィラメント23の断面形状は、図11に示したように、第2領域F2において長辺L2がX方向と平行である第2長辺方向LD2に延び、短辺S2がY方向と平行である楕円状である。第2領域F2において第2長辺方向LD2は、位置Z6から位置Z11に亘って一定である。第2領域F2において第2長辺方向LD2は、X方向と平行であり、位置Z6から位置Z11に亘って一定であることで、第2領域F2におけるフィラメント23は、Y方向に撓みやすくなる。
[表4]には、位置Z6から位置Z11の各位置における長辺L2の長さと、短辺S2の長さと、L2/S2で表されるアスペクト比とが示されている。[表4]に示されるように、第2領域F2におけるフィラメント23は、一定のアスペクト比(1.2)で位置Z6から位置Z11に向かうにつれて長辺L2の長さと短辺S2の長さとが漸次大きくなっている。すなわち、第2領域F2におけるフィラメント23の断面形状は、相似形である。
第1領域F1および第2領域F2のZ方向の長さは、1.5mm以上であることが好ましい。第1領域F1および第2領域F2におけるフィラメント23の断面形状が相似形であり、Z方向の長さが、1.5mm以上であることで、第1領域F1および第2領域F2のそれぞれの撓みやすい方向に対して、十分な異方性を有し、適度にしなやかに撓むことができる。一方、第1領域F1および第2領域F2のZ方向の長さが、1.5mm未満の場合には、第1領域F1および第2領域F2がそれぞれ点状に存在するような状態になるため、それぞれの撓みやすい方向に対する十分な異方性としなやかな撓みを実現できない可能性がある。
第1領域F1のZ方向の長さは、1.5mm以上であることが好ましく、2.0mm以上であることがより好ましい。第1領域F1のZ方向の長さは、5.5mm以下であることが好ましく、4.0mm以下であることがより好ましい。
また、第1領域F1のZ方向の長さは、1.5mm以上、5.5mm以下であることが好ましく、2.0mm以上、4.0mm以下であることがより好ましい。
第2領域F2のZ方向の長さは、1.5mm以上であることが好ましく、2.0mm以上であることがより好ましい。第2領域F2のZ方向の長さは、9.5mm以下であることが好ましく、8.0mm以下であることがより好ましい。
また、第2領域F2のZ方向の長さは、1.5mm以上、9.5mm以下であることが好ましく、2.0mm以上、8.0mm以下であることがより好ましい。
また、第1領域F1のZ方向の長さは、1.5mm以上、5.5mm以下であることが好ましく、2.0mm以上、4.0mm以下であることがより好ましい。
第2領域F2のZ方向の長さは、1.5mm以上であることが好ましく、2.0mm以上であることがより好ましい。第2領域F2のZ方向の長さは、9.5mm以下であることが好ましく、8.0mm以下であることがより好ましい。
また、第2領域F2のZ方向の長さは、1.5mm以上、9.5mm以下であることが好ましく、2.0mm以上、8.0mm以下であることがより好ましい。
なお、本実施形態では、第1領域F1および第2領域F2のアスペクト比が一定であり、フィラメント23の断面形状が相似形である構成を例示したが、フィラメント23の断面形状が同一形状の構成であってもよい。第1領域F1における断面において、アスペクト比が最も大きいZ方向の位置と、第2領域F2における断面において、アスペクト比が最も大きいZ方向の位置とは、少なくとも1.5mm以上離れていることが好ましいが、第1領域F1および第2領域F2の断面形状が同一形状の場合には、第1領域F1における断面において、アスペクト比が最も大きいZ方向の位置と、第2領域F2における断面において、アスペクト比が最も大きいZ方向の位置との間で最も長い距離が1.5mm以上であればよい。
本実施形態では、上記第1実施形態と同様の作用・効果が得られることに加えて、第1領域F1および第2領域F2のそれぞれの撓みやすい方向に対して、十分な異方性を有し、適度にしなやかに撓むことができる。
[フィラメント23の第3実施形態]
次に、フィラメント23の第3実施形態について、図13および図14を参照して説明する。図13は、第3実施形態のフィラメント23を正面側から見た図である。図14は、フィラメント23をハンドル体10の長さ方向に見た図である。
これらの図において、図1から図11に示す第1実施形態の構成要素と同一の要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
次に、フィラメント23の第3実施形態について、図13および図14を参照して説明する。図13は、第3実施形態のフィラメント23を正面側から見た図である。図14は、フィラメント23をハンドル体10の長さ方向に見た図である。
これらの図において、図1から図11に示す第1実施形態の構成要素と同一の要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
図13および図14に示すように、本実施形態のフィラメント23は、第1領域F1と第2領域F2と第3領域F3と第4領域F4を有している。フィラメント23は、Z方向の先端位置を位置Z0とし、基端位置(支持面21a)を位置Z4としたときに、第1領域F1はフィラメント23の先端側である位置Z0から位置Z1に位置し、第2領域F2はフィラメント23の基端側である位置Z2から位置Z3に位置する。第3領域F3は、位置Z1から位置Z2に位置する。第4領域F4は、位置Z3から位置Z4に位置する。
[表5]には、位置Z0-Z1から位置Z4の各位置における長辺の長さと、短辺の長さと、(長辺の長さ)/(短辺の長さ)で表されるアスペクト比とが示されている。[表5]に示されるように、第1領域F1は、位置Z0-Z1の範囲に亘って、長辺の長さ、短辺の長さ、アスペクト比および断面形状が同一である。第1領域F1のZ方向の長さは、一例として2mmである。
第2領域F2は、同一のアスペクト比で位置Z2から位置Z3まで、図11に示したように、長辺L2の長さと短辺S2の長さとが漸次大きくなる。第4領域F4は、位置Z4において断面が円形(アスペクト比1:1)である。第4領域F4は、位置Z3における断面がアスペクト比3:2の扁平形状から、位置Z4における断面が円形まで、断面の外形輪郭が漸次大きくなる。
第3領域F3は、第1領域F1における第2領域F2側の第1境界である位置Z1から、第2領域F2における第1領域F1側の第2境界である位置Z2に亘る範囲に位置する。第3領域F3は、断面が扁平形状である。図13に示すように、第3領域F3における扁平形状の長辺L3が延びる第3長辺方向LD3は、位置Z1においてY方向と平行な第1長辺方向LD1と同一の方向から、位置Z2においてX方向と平行な第2長辺方向LD2と同一の方向まで、周方向に漸次変化する。
すなわち、第3領域F3におけるフィラメント23は、断面の第3長辺方向LD3が第1領域F1における第1長辺方向LD1と同一である位置Z1から、第2領域F2における第2長辺方向LD2と同一である位置Z2まで、中心線Jを中心として捻れた状態となる。位置Z1において第3領域F3の長辺L3の長さと第1領域F1における長辺L1の長さは同一であり、第3領域F3の短辺S3の長さと第1領域F1における短辺S1の長さは同一である。位置Z2において第3領域F3の長辺L3の長さと第2領域F2における長辺L2の長さは同一であり、第3領域F3の短辺S3の長さと第2領域F2における短辺S2の長さは同一である。従って、第3領域F3におけるフィラメント23は、位置Z1から位置Z2まで、第3長辺方向LD3、長辺L3の長さおよび短辺S3の長さが周方向に漸次変化する。
本実施形態では、上記第1実施形態と同様の作用・効果が得られることに加えて、第3領域F3におけるフィラメント23の第3長辺方向LD3が周方向に連続的に変化することで、ブラッシング荷重のかかり方、ブラシの動かし方によって、フィラメント23の全体がそれぞれ種々の方向に撓むことが可能になる。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、上記実施形態では、第1領域F1と第2領域F2の間に中立領域となる第3領域F3が設けられる構成を例示したが、この構成に限定されない。第1領域F1と第2領域F2の間に中立領域となる第3領域F3が設けられず、第1領域F1と第2領域F2とがZ方向に隣り合う構成であってもよい。この構成を採る場合には、第1領域F1と第2領域F2の外形が連続的に繋がる構成であってもよいし、第1領域F1と第2領域F2の接続部に段差が形成される構成であってもよい。
また、フィラメント23の先端側が2本以上に分岐した態様であってもよい。
分岐したフィラメントの場合、各領域が同じ態様であってもよく、異なる態様であってもよい。また、分岐部の長軸方向の長さに差があってもよい。
また、フィラメント23の先端側が2本以上に分岐した態様であってもよい。
分岐したフィラメントの場合、各領域が同じ態様であってもよく、異なる態様であってもよい。また、分岐部の長軸方向の長さに差があってもよい。
また、上記実施形態では、歯ブラシ1が別々に成形されたブラシ成形体20とハンドル体10とにより構成され、ハンドル体10の嵌合突部12をブラシ成形体20の嵌合孔22に嵌合させることにより、ブラシ成形体20をハンドル体10に装着する構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、第1金型を用いた一次成形によりハンドル体10を成形した後に、ハンドル体10の嵌合突部12が内部に設置された第2金型を用いた二次成形によりブラシ成形体20をインサート成形する構成としてもよい。このインサート成形により、嵌合孔22に嵌合突部12が嵌合しブラシ成形体20と当該ブラシ成形体20を支持するハンドル体10とが一体的に成形された成形体としての歯ブラシ1を得ることができる。
ブラシ成形体20と当該ブラシ成形体20を支持するハンドル体10とが一体的に成形された成形体としては、ハンドル体10の嵌合突部12とブラシ成形体20の嵌合孔22とが嵌合する構成に限定されない。例えば、厚さ方向に貫通孔が形成されたヘッド部を有し硬質樹脂で形成されたハンドル体に対して、背面側から貫通孔を介して軟質樹脂を充填してヘッド基台部およびフィラメントが一体的に成形された成形体であってもよい。
ブラシ成形体20と当該ブラシ成形体20を支持するハンドル体10とが一体的に成形された成形体としては、ハンドル体10の嵌合突部12とブラシ成形体20の嵌合孔22とが嵌合する構成に限定されない。例えば、厚さ方向に貫通孔が形成されたヘッド部を有し硬質樹脂で形成されたハンドル体に対して、背面側から貫通孔を介して軟質樹脂を充填してヘッド基台部およびフィラメントが一体的に成形された成形体であってもよい。
また、上記実施形態では、ハンドル体10が硬質樹脂で形成された構成を例示したが、この構成に限定されず、例えば、ハンドル体10の一部(ハンドル部11等)が軟質樹脂で被覆された構成であってもよい。この構成を採った場合、装飾性およびグリップ性を向上させることができる。
本発明は、ブラシ成形体および歯ブラシに適用できる。
1…歯ブラシ、 10…ハンドル体、 12…嵌合突部、 20…ブラシ成形体、 21…ヘッド基台部、 21a…支持面、 22…嵌合孔、 23…フィラメント、 F1…第1領域、 F2…第2領域、 F3…第3領域、 J…中心線、 L1、L2、L3…長辺、 LD1…第1長辺方向、 LD2…第2長辺方向、 LD3…第3長辺方向、 S1、S2…短辺、 Z1…位置(第1境界)、 Z2…位置(第2境界)
Claims (11)
- 軟質樹脂で形成されたヘッド基台部と、
前記ヘッド基台部の厚さ方向の正面側に位置する支持面から長軸方向に延びる複数のフィラメントと、
を有し、
前記フィラメントは、
前記長軸方向と直交する断面が扁平形状の第1領域と、
前記長軸方向と直交する断面が扁平形状であり、前記長軸方向の位置が前記第1領域とは異なる第2領域と、
を有し、
前記第1領域における前記扁平形状の長辺が延びる第1長辺方向は、前記第1領域において一定であり、
前記第2領域における前記扁平形状の長辺が延びる第2長辺方向は、前記第2領域において一定であり、
前記第1長辺方向と前記第2長辺方向とは、前記長軸方向に見たときに交差することを特徴とするブラシ成形体。 - 前記第1長辺方向と前記第2長辺方向とが交差する角度のうち、小さい方の角度は60°以上である、
請求項1に記載のブラシ成形体。 - 前記第1領域は、前記第2領域よりも前記長軸方向の先端側に位置し、
前記第1領域における前記長辺は、前記厚さ方向と直交する前記ヘッド基台部の長さ方向に沿って形成された線分である、
請求項1または2に記載のブラシ成形体。 - 前記第1領域および前記第2領域における断面形状は、それぞれ相似形で変化または一定であり、
前記第1領域および前記第2領域の前記長軸方向の長さは、それぞれ1.5mm以上である、
請求項1または2に記載のブラシ成形体。 - 前記第2領域における前記長辺の最大長さをW(B)とし、
前記第2領域における前記長辺が前記最大長さとなる前記長軸方向の位置における短辺の長さをD(B)とし、
前記第2領域における前記断面において、前記第2長辺方向の撓み係数をDW3(B)とし、
前記第2領域における前記断面において、前記第2長辺方向と直交する第2短辺方向の撓み係数をWD3(B)とすると、
DW3(B)/WD3(B)で表される値は、1.4以上、4.0以下であり、
前記第1領域における前記長辺の最大長さをW(A)とし、
前記第1領域における前記長辺が前記最大長さとなる前記長軸方向の位置における短辺の長さをD(A)とし、
前記第1領域における前記断面において、前記第1長辺方向の撓み係数をDW3(A)とし、
前記第1領域における前記断面において、前記第1長辺方向と直交する第1短辺方向の撓み係数をWD3(A)とすると、
DW3(A)/WD3(A)で表される値は、1.4以上、9.0以下である、
請求項1または2に記載のブラシ成形体。 - WD3(B)/WD3(A)で表される値は、4.0以上、80.0以下である、
請求項5に記載のブラシ成形体。 - 前記第2領域における前記断面において、アスペクト比が最も大きい前記長軸方向の位置は、前記支持面から前記フィラメントの前記長軸方向の長さの75%となる位置と前記支持面との範囲内にあり、
前記第1領域における前記断面において、アスペクト比が最も大きい前記長軸方向の位置は、前記支持面から前記フィラメントの前記長軸方向の長さの50%となる位置と前記フィラメントの先端との範囲内にある、
請求項1または2に記載のブラシ成形体。 - 前記フィラメントは、前記第1領域と前記第2領域との間における前記断面において、アスペクト比が1:1である領域を含む、
請求項1または2に記載のブラシ成形体。 - 前記フィラメントは、前記第1領域における前記第2領域側の第1境界から、前記第2領域における前記第1領域側の第2境界に亘る範囲に第3領域を有し、
前記第3領域は、前記長軸方向と直交する断面が扁平形状であり、
前記第3領域における前記扁平形状の長辺が延びる第3長辺方向は、前記第1境界の位置における前記第1長辺方向と同一の方向から、前記第2境界の位置における前記第2長辺方向と同一の方向まで、前記長軸方向に延びる中心線を中心とする周方向に漸次変化する、
請求項1または2に記載のブラシ成形体。 - 請求項1または2に記載のブラシ成形体を有し、
前記ヘッド基台部は、前記厚さ方向と直交する長さ方向に延び当該長さ方向の一方側に開口する嵌合孔を有し、
硬質樹脂で形成され、前記嵌合孔に嵌合する嵌合突部を有するハンドル体を備えることを特徴とする歯ブラシ。 - 請求項1または2に記載のブラシ成形体と、
硬質樹脂で形成され、前記ブラシ成形体を支持するハンドル体とを備え、
前記ブラシ成形体と前記ハンドル体とは、一体的に成形された成形体であることを特徴とする歯ブラシ。
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