WO2023067945A1 - 旋回式クランプ装置 - Google Patents

Abstract

耐久性が高くてコンパクトな旋回式クランプ装置を提供する。　ハウジング本体２内に大径孔６と中径孔７とが、軸方向の下側から順に連続して形成される。前記大径孔６に保密状に挿入される筒状の前記突出部材３が、前記ハウジング本体２に螺合される。前記中径孔７内に挿入される筒状のリテーナ１５と当該中径孔７との間にキー部材２２が挿入される。そのキー部材２２によって前記リテーナ１５が前記ハウジング本体２に対して周方向に位置決めされる。

Description

旋回式クランプ装置

　この発明は、クランプアームを回転および下降させることにより、そのクランプアームによって固定対象物のワークや金型やツール等をテーブルやロボットアーム等に固定する旋回式クランプ装置に関する。

　この種の旋回式クランプ装置には、従来では、特許文献１(日本国・実開平５－５２３０４号公報)に記載されたものがある。その従来技術は、次のように構成されている。
　特許文献１の図５に示す旋回式クランプ装置では、シリンダチューブの筒孔内にピストンが挿入される。そのシリンダチューブの筒孔先端部に筒状のロッドカバーが挿入されて当該シリンダチューブから上方に突設される。そのロッドカバーの筒孔に、ピストンから先端側に突設されるピストンロッドが挿入され、そのピストンロッドがシリンダカバーの外側に突出している。そのロッドカバーは、シリンダチューブの筒孔の内周壁に形成される段差部に下方から受け止められ、止め輪によってシリンダチューブの筒孔から抜け止めされている。また、シリンダチューブの筒壁にネジ孔が径方向に貫通され、そのネジ孔にネジが螺合される。そのネジの先端部が、ロッドカバーの外周壁に形成される凹部に挿入されている。これにより、シリンダチューブに対してロッドカバーが回り止めされる。
　また、特許文献１の図１の旋回式クランプ装置では、上記の止め輪に代えて、リングナットによってロッドカバーがシリンダチューブに固定されている。

実開平５－５２３０４号公報

　上記の従来技術は次の問題がある。
　上記シリンダチューブとロッドカバーとの間であってシリンダチューブの内周壁に装着される止め輪によってロッドカバーが当該シリンダチューブから抜け止めされる。その止め輪をシリンダチューブとロッドカバーとの間に装着するには、シリンダチューブとロッドカバーとの間に止め輪を挿入する空間と、挿入作業のための空間と、取り付け工具を挿入するための空間などを設ける必要がある。このため、シリンダチューブの径方向の寸法が大きくなる。また、ピストンが先端限界位置に移動したときに、ピストンがロッドカバーに衝突したことによる衝撃をネジや止め輪が受け止めることになる。その衝撃に耐える構造とするために、例えば、ネジの径寸法を極力大きくしたり、ネジ溝の巻き数を増やしたりするなどの緩みを防止する構造が必要となるほか、止め輪の厚みや幅寸法を大きくして耐久性を高くする必要がある。このため、シリンダチューブの筒壁が十分な肉厚となるように設定される必要がある。従って、旋回式クランプ装置の径方向の寸法は大きくなる。
　また、特許文献１の図１に示す旋回式クランプ装置では、ロッドカバーの外周面とシリンダチューブの内周面との間にリングナットが上方から装着される。このため、そのリングナットをシリンダチューブとロッドカバーとの間に挿入するための空間と工具を挿入するための空間などを設ける必要がある。従って、旋回式クランプ装置の径方向の寸法が大きくなる。
　本発明の目的は、耐久性が高くてコンパクトな旋回式クランプ装置を提供することにある。

　上記の目的を達成するため、本発明は、例えば、図１および図２に示すように、旋回式クランプ装置を次のように構成した。
　ハウジング本体２内に大径孔６と中径孔７と小径孔８が軸方向の先端側から基端側に順に形成される。前記大径孔６に筒状の突出部材３が保密状に挿入される。前記突出部材３の外周壁に形成される雄ネジ部１１が、前記中径孔７の内周壁に形成される雌ネジ部１０に螺合される。前記中径孔７内に筒状のリテーナ１５が挿入される。前記中径孔７の内周壁に第１キー溝２０が前記軸方向に形成される。前記第１キー溝２０に対面する第２キー溝２１が前記リテーナ１５の外周壁に前記軸方向に形成される。前記第１キー溝２０と前記第２キー溝２１との間にキー部材２２が装着される。前記小径孔８にピストン２５が保密状で前記軸方向に移動可能に挿入される。前記ピストン２５から前記軸方向の先端側に突設されるピストンロッド３０が、前記リテーナ１５の筒孔３１及び前記突出部材３の筒孔１９を通って当該突出部材３から外方に突出する。前記リテーナ１５の内周面から係合部材３８が径方向の内方にむけて突設される。前記ピストンロッド３０の外周壁に前記軸方向の基端側から順に連続するように形成される螺旋溝３９と直線溝４０には、前記係合部材３８が挿入される。前記第１キー溝２０の周壁の一部は前記大径孔６の内周面よりも径方向の外方となるように形成されている。

　本発明は次の作用効果を奏する。
　上記の突出部材がハウジング本体に雄ネジ部と雌ネジ部とによって直接かつ強固に螺合されるので突出部材とハウジング本体との係合部分の耐久性を高くすることができる。また、突出部材とハウジング本体との間に連結させるための別途部材を備える必要がないので旋回式クランプ装置を小さく作ることができる。

図１は、本発明の一実施形態を示し、旋回式クランプ装置の断面視の模式図である。 図２は、上記旋回式クランプ装置のクランプ状態を示す図である。 図３は、ハウジング、突出部材、リテーナ、キー部材の分解状態を示す図である。

　以下、本発明の実施形態を図１、図２および図３によって説明する。
　上記の旋回式クランプ装置のハウジング１は、ハウジング本体２と突出部材３と蓋部材４とを有し、ハウジング本体２がアルミニウム製の引き抜き材によって構成されている。そのハウジング本体２内にシリンダ孔５が形成される。そのシリンダ孔５は上側（軸方向の先端側）から順に形成される大径孔６，中径孔７，小径孔８を有する。

　上記の大径孔６に突出部材３の下部が挿入される。上記の中径孔７の上半部分に雌ネジ部１０が形成され、その雌ネジ部１０に、突出部材３に形成される雄ネジ部１１が螺合される。このため、突出部材３がハウジング本体２から上方に突出した状態で当該ハウジング本体２に固定される。その突出部材３の雄ネジ部１１の上側に収容溝１２が周方向に形成され、その収容溝１２にＯリングなどの封止部材１３が装着される。その突出部材３がハウジング本体２に螺合された状態で、大径孔６の内周面によって構成される被封止面に封止部材１３が密着されることにより、大径孔６の内周面と突出部材３の外周面との間が封止される。

　上記の中径孔７の下半部分には筒状のリテーナ１５が挿入され（図３Ａ、Ｂ参照）、そのリテーナ１５が、小径孔８と中径孔７との間に形成される段差部１６に下方から受け止められている。そのリテーナ１５は、下側から順に形成される大径部１７と小径部１８とを有している。その小径部１８が突出部材３の筒孔１９に挿入されている。また、中径孔７の内周壁に第１キー溝２０が上下方向に形成されると共に、リテーナ１５の大径部１７の外周壁上であって第１キー溝２０に対面する位置に第２キー溝２１が形成される。その第１キー溝２０の底面であって最も深い部分が、大径孔６の内周面よりも径方向の外方となるように設定されている。また、その第１キー溝２０と第２キー溝２１との間にキー部材２２としての平行ピンが摺動隙間をあけて装着される（図３Ｂ参照）。リテーナ１５には、小径部１８側に第２キー溝２１に連続する通り溝２３が設けられており、キー部材２２の進入を容易にしている。これにより、ハウジング本体２に対してリテーナ１５が周方向に位置決めされると共に回り止めされる。

　上記の小径孔８には、ピストン２５が保密状で上下方向（シリンダ孔５の軸方向）に移動可能に挿入される。そのピストン２５の上側にクランプ室２６が形成されると共に、ピストン２５の下側にアンクランプ室２７が形成される。また、圧縮空気源からの圧縮空気を給排するクランプ用給排ポート２８がハウジング本体２の胴部に形成され、そのクランプ用給排ポート２８がクランプ室２６に連通される。そのクランプ用給排ポート２８の下側であってハウジング本体２の胴部にアンクランプ用給排ポート２９が形成され、そのアンクランプ用給排ポート２９がアンクランプ室２７に連通される。

　上記のピストン２５からピストンロッド３０が上方に突設され、そのピストンロッド３０がリテーナ１５の筒孔３１に挿入されると共に、突出部材３の筒孔１９に保密状で上下方向に移動可能に挿入される。そのピストンロッド３０が突出部材３から外方に突出している。そのピストンロッド３０の先端部にクランプアーム３３の一端部３３ａがネジ固定されている。そのクランプアーム３３の他端部３３ｂの裏面に押圧部３４が形成され、その押圧部３４がワーク（固定対象物）３５に当接可能となっている。

　上記リテーナ１５の内周壁に形成された凹部３７に、球状の係合ボール（係合部材）３８が装着されている。その係合ボール３８がリテーナ１５の内周面から径方向の内方に突設される。その係合ボール３８が、ピストンロッド３０の外周壁に下側から順に連続して形成される螺旋溝３９と直線溝４０とに挿入されている。

　上記ピストンロッド３０の外周壁上であって螺旋溝３９よりも上側に段差部４１が周方向に形成される。また、突出部材３の筒孔１９の内周面から径方向の内方に突起部４２が突設される。その筒孔１９の内周壁上であって突起部４２の下側に収容溝４３が周方向に形成される。その収容溝４３にゴムや樹脂や金属製のバネ材などの衝撃吸収部材４４が装着される。上記のピストンロッド３０が上限位置に移動されたときに、当該ピストンロッド３０の段差部４１が衝撃吸収部材４４を介して突出部材３の突起部４２に受け止められる。

　上記の旋回式クランプ装置は、図１および図２に示すように、次のように作動する。
　図１の初期状態（アンクランプ状態）では、クランプ室２６から圧縮空気（圧力流体）が排出されると共に、アンクランプ室２７に圧縮空気（圧力流体）が供給されている。そのアンクランプ室２７の圧縮空気によってピストン２５およびピストンロッド３０が上限位置に移動され、ピストンロッド３０の段差部４１に形成される係合部が衝撃吸収部材４４に上方から受け止められている。

　図１のアンクランプ状態から図２のクランプ状態に切り換えられるときには、まず、アンクランプ室２７の圧縮空気がアンクランプ用給排ポート２９を通って外部に排出されると共に、圧縮空気源からの圧縮空気がクランプ用給排ポート２８を通ってクランプ室２６に供給される。そのクランプ室２６の圧縮空気によってピストン２５が下方に移動され、そのピストン２５が螺旋溝３９と係合ボール３８によって平面視で時計回りの方向に旋回されながら下方へ移動される。次いで、ピストン２５が直線溝４０と係合ボール３８によって真っすぐ下方に移動される。クランプアーム３３が、テーブルＴに載置されるワーク３５を上方から押圧してピストン２５の下降が停止される。これにより、旋回式クランプ装置は、図１のアンクランプ状態から図２のクランプ状態に切り換えられる。

　図２のクランプ状態から図１のアンクランプ状態に切り換えられるときには、クランプ室２６の圧縮空気が排出されると共に、アンクランプ室２７に圧縮空気が供給される。すると、アンクランプ室２７の圧縮空気がピストン２５とピストンロッド３０とを真っすぐ上方に移動させていく。次いで、クランプアーム３３が平面視で反時計回りの方向に旋回されながら上方に移動されていく。ピストンロッド３０の係合部が突出部材３の衝撃吸収部材４４に上方から受け止められてピストンロッド３０の上昇が停止される。これにより、旋回式クランプ装置は、図２のクランプ状態から図１のアンクランプ状態に切り換えられる。

　上記の実施形態は次の長所を奏する。
　上記の突出部材３が、その雌ネジ部１０とハウジング本体２の雄ネジ部１１とによって当該ハウジング本体２に直接かつ強固に螺合されるので、突出部材３とハウジング本体２との間に連結させるための部材を別途備える必要がない。これにより、ハウジング本体２および突出部材３の径方向の寸法を小さくできる。その結果、旋回式クランプ装置を小さく作ることができる。

　図１及び図２に示すように、旋回式クランプ装置を断面視したときに、第１キー溝２０の底面がハウジング本体２の大径孔６の内周面よりも径方向の外方となるように形成されている。このため、ハウジング本体２と突出部材３とが当接される大径孔６の内周面を挟んでキー部材２２が前記径方向の外方と内方とに跨った位置にバランスよく配置されることになる。これにより、ハウジング本体２の筒壁の厚みおよびリテーナ１５筒壁の厚みを小さく作ることができるので、ハウジング本体２およびリテーナ１５の径方向の寸法を小さく作ることができる。その結果、旋回式クランプ装置の全体寸法を小さく作ることができる。

　上記ピストン２５およびピストンロッド３０が上下方向に移動することにより、ピストンロッド３０の螺旋溝３９の周壁が係合ボール３８を介してリテーナ１５を周方向に押圧する。そのリテーナ１５は、キー部材２２を介してハウジング本体２に確実に受け止められて回り止めされる。このため、リテーナ１５とは別の部材である突出部材３にはその周方向へ押圧力が伝達されにくくなっている。従って、ハウジング本体２と突出部材３との螺合部分に周方向への押圧力が作用することによる当該螺合部分の緩みが防止される。よって、緩みによって生じる螺合部分やその周辺部材の摩耗や破損を防止できて、旋回式クランプ装置の耐久性を高くすることができる。

　上記の雌ネジ部１０のネジ溝は、ハウジング本体２の中径孔７に複数巻き形成される。前述した従来の旋回式クランプ装置におけるシリンダチューブ壁に形成されるネジ穴のネジ溝に比べて、本発明の雌ネジ部１０のネジ溝は長く形成される。このため、その雌ネジ部１０が突出部材３の雄ネジ部１１に広い面積の係合部分で螺合されることにより、その係合部分における大きな摩擦力が作用可能になる。よって、ピストンロッド３０が突出部材３に衝突したときの衝撃が係合部分に作用しても、その係合部分が緩むのを防止できる。従って、緩みによる係合部分やその周辺部材の摩耗や破損を防止できるので、旋回式クランプ装置の耐久性を向上することができる。

　上記の各実施形態は次のように変更可能である。
　圧力流体は、例示した圧縮空気に代えて、他の気体または圧油や水等の液体であってもよい。
　上記ハウジング本体２はアルミニウムに代えて、他の金属、例えば鉄、または他の素材で形成してもよい。そのハウジング本体２は、引き抜き材に限られず、機械加工によって形成される部材であってもよい。
　上記の突出部材３をハウジング本体２に螺合することにより、突出部材３がリテーナ１５を介してハウジング本体２の段差部１６に受け止められることに代えて、突出部材３がキー部材２２介してハウジング本体２（第１キー溝２０の下端壁）に、または、直接ハウジング本体２に受け止められるようにしてもよい。この場合、突出部材３とリテーナ１５との間に隙間が形成されることになる。これにより、ピストン２５等の上下方向への移動によって、螺旋溝３９の周壁が係合ボール３８を介してリテーナ１５を軸心回りの方向に作用させる押圧力が突出部材３に伝達されにくくなる。その結果、ハウジング本体２と突出部材３との螺合部分に周方向への押圧力が作用することによる当該螺合部分の緩みが防止される。従って、緩みによって生じる摩耗や破損を防止して旋回式クランプ装置の耐久性を高くすることができる。
　上記係合部材は、球状の係合ボール３８に代えて、略円柱状や矩形など他の形状の部材であってもよい。
　上記の係合部材がリテーナ１５に設けられることに代えて、ピストンロッド３０の外周壁から突設されるようにしてもよい。この場合、リテーナ１５の周壁に直線溝と螺旋溝が下側から順に連続するように（周壁を貫通するように）設けられる。
　上記キー部材２２は、円柱状の平行ピンによって構成されることに限られず、多角柱状のピンであってもよく、また、球状の部材であってもよい。また、キー部材２２を１つだけ備えることに限られず、リテーナの周壁に所定の間隔をあけて複数個設けられるようにしてもよい。
　上記衝撃吸収部材４４は突出部材３の突起部４２に装着されることに代えて、ハウジング本体２の大径孔６の内周壁、リテーナ１５の下端部、ピストン２５の上部、ピストンロッド３０の段差部４１に装着されるようにしてもよい。
　その他に、当業者が想定できる範囲で種々の変更を行えることは勿論である。

２     ハウジング本体
３     突出部材
６     大径孔
７     中径孔
８     小径孔
１０   雌ネジ部
１１   雄ネジ部
１５   リテーナ
２０   第１キー溝
２１   第２キー溝
２２   キー部材
２５   ピストン
３０   ピストンロッド
３１   筒孔
１９   筒孔
３８   係合ボール
３９   螺旋溝
４０   直線溝

 

Claims (1)

1. 　ハウジング本体（２）と、
   　前記ハウジング本体（２）内に軸方向の先端側から基端側に順に形成される大径孔（６）と中径孔（７）と小径孔（８）と、
   　前記大径孔（６）に保密状に挿入されると共に、前記ハウジング本体（２）から前記軸方向の先端側に突設される筒状の突出部材（３）と、
   　前記突出部材（３）の外周壁に形成されると共に、前記中径孔（７）の内周壁に形成される雌ネジ部（１０）に螺合される雄ネジ部（１１）と、
   　前記中径孔（７）内に挿入される筒状のリテーナ（１５）と、
   　前記中径孔（７）の内周壁に前記軸方向に形成される第１キー溝（２０）と、
   　前記第１キー溝（２０）に対面するように前記リテーナ（１５）の外周壁に前記軸方向に形成される第２キー溝（２１）と、
   　前記第１キー溝（２０）と前記第２キー溝（２１）との間に装着されるキー部材（２２）と、
   　前記小径孔（８）に保密状で前記軸方向に移動可能に挿入されるピストン（２５）と、
   　前記ピストン（２５）から前記軸方向の先端側に突設されると共に、前記リテーナ（１５）の筒孔（３１）及び前記突出部材（３）の筒孔（１９）を通って当該突出部材（３）から外方に突出するピストンロッド（３０）と、
   　前記リテーナ（１５）の内周面から径方向の内方にむけて突設される係合部材（３８）と、
   　前記ピストンロッド（３０）の外周壁に前記軸方向の基端側から順に形成される螺旋溝（３９）と直線溝（４０）であって、前記係合部材（３８）が挿入される螺旋溝（３９）と直線溝（４０）と、を備え、
   　前記第１キー溝（２０）の周壁の一部が前記大径孔（６）の内周面よりも径方向の外方となるように形成される、ことを特徴とする旋回式クランプ装置。
   
    

Images