WO2023053415A1

WO2023053415A1 - パワーユニット

Info

Publication number: WO2023053415A1
Application number: PCT/JP2021/036315
Authority: WO
Inventors: 亮介天谷; 耕一朗松下; 尚也石松
Original assignee: 本田技研工業株式会社
Priority date: 2021-09-30
Filing date: 2021-09-30
Publication date: 2023-04-06

Abstract

パワーユニットにおいて、簡単な構造で潤滑油を早期に温められるようにする。　パワーユニットは、戻し通路（４５）と、ガイド壁（５０）とを備え、オイルパン（４０）においてガイド壁（５０）の下方に吸入口（４１）が設けられ、吸入口（４１）に吸い込まれた潤滑油はパワーユニット（１２）内の潤滑箇所に流され、ガイド壁（５０）は、戻し通路（４５）側に位置する上流側ガイド壁（５１）と、上流側ガイド壁（５１）の下流に設けられる下流側ガイド壁（５２）とを備え、潤滑油は、上流側ガイド壁（５１）及び下流側ガイド壁（５２）に沿って流れてオイルパン（４０）に戻り、下流側ガイド壁（５２）の上流側端部（５２ａ）が上流側ガイド壁（５１）の下流側端部（５１ｂ）に対し下方に離間して開口部（５５）が形成されている。

Description

パワーユニット

　本発明は、パワーユニットに関する。

　従来、パワーユニット内を循環する潤滑油の経路を潤滑油の温度に応じて切り替えることで、潤滑油を早期に温めるようにしたパワーユニットが知られている（例えば、特許文献１参照）。特許文献１では、潤滑油は、パワーユニット内に設けられるガイド壁によって案内されて下方に流れ、オイルパンに戻る。

特開２０１８－６６２９４号公報

　しかしながら、上記従来のパワーユニットでは、潤滑油の経路を切り替える弁等のアクチュエーターが必要であるため、構造が複雑になる。
　本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、パワーユニットにおいて、簡単な構造で潤滑油を早期に温められるようにすることを目的とする。

　パワーユニットは、潤滑油を貯留するオイルパンと、前記オイルパンに向けて潤滑油を流す戻し通路と、前記戻し通路の下方に位置し、前記戻し通路から流れる潤滑油を前記オイルパンに導くガイド壁とを備え、前記オイルパンに貯留された潤滑油がパワーユニット内を循環して前記オイルパンに戻るパワーユニットにおいて、前記オイルパンにおいて前記ガイド壁の下方に吸入口が設けられ、前記吸入口に吸い込まれた潤滑油は前記パワーユニット内の潤滑箇所に流され、前記ガイド壁は、前記戻し通路側に位置する上流側ガイド壁と、前記オイルパンに戻る前記潤滑油の流れにおいて前記上流側ガイド壁の下流に設けられる下流側ガイド壁とを備え、潤滑油は、前記上流側ガイド壁及び前記下流側ガイド壁に沿って流れて前記オイルパンに戻り、前記下流側ガイド壁の上流側端部が前記上流側ガイド壁の下流側端部に対し下方に離間して開口部が形成されていることを特徴とする。

　パワーユニットにおいて、簡単な構造で潤滑油を早期に温めることができる。

図１は、本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両の側面図である。図２は、クランクケースの内部構造を示す右側面図である。図３は、図２におけるクランクケースの下部を拡大した側面図である。図４は、クランクケースの下部の斜視図である。図５は、クランクケースの下部を拡大した側面図である。

　以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、説明中、前後左右および上下といった方向の記載は、特に記載がなければ車体に対する方向と同一とする。また、各図に示す符号ＦＲは車体前方を示し、符号ＵＰは車体上方を示し、符号ＬＨは車体左方を示す。

［実施の形態］
　図１は、本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両１０の側面図である。
　鞍乗り型車両１０は、車体フレーム１１と、車体フレーム１１に支持されるパワーユニット１２と、前輪１３を操舵自在に支持するフロントフォーク１４と、後輪１５を支持するスイングアーム１６と、乗員用のシート１７とを備える車両である。
　鞍乗り型車両１０は、乗員がシート１７に跨るようにして着座する車両である。シート１７は、車体フレーム１１の後部の上方に設けられる。

　車体フレーム１１は、車体フレーム１１の前端部に設けられるヘッドパイプ１８と、ヘッドパイプ１８の後方に位置するフロントフレーム１９と、フロントフレーム１９の後方に位置するリアフレーム２０とを備える。フロントフレーム１９の前端部は、ヘッドパイプ１８に接続される。
　シート１７は、リアフレーム２０に支持される。

　フロントフォーク１４は、ヘッドパイプ１８によって左右に操舵自在に支持される。前輪１３は、フロントフォーク１４の下端部に設けられる車軸１３ａに支持される。乗員が把持する操舵用のハンドル２１は、フロントフォーク１４の上端部に取り付けられる。

　スイングアーム１６は、車体フレーム１１に支持されるピボット軸２２に支持される。ピボット軸２２は、車幅方向に水平に延びる軸である。スイングアーム１６の前端部には、ピボット軸２２が挿通される。スイングアーム１６は、ピボット軸２２を中心に上下に揺動する。
　後輪１５は、スイングアーム１６の後端部に設けられる車軸１５ａに支持される。

　パワーユニット１２は、前輪１３と後輪１５との間に配置され、車体フレーム１１に支持される。
　パワーユニット１２は、内燃機関である。パワーユニット１２は、クランクケース２３と、往復運動するピストンを収容するシリンダー部２４とを備える。シリンダー部２４の排気ポートには、排気装置２５が接続される。
　パワーユニット１２の出力は、パワーユニット１２と後輪１５とを接続する駆動力伝達部材によって後輪１５に伝達される。

　また、鞍乗り型車両１０は、前輪１３を上方から覆うフロントフェンダー２６と、後輪１５を上方から覆うリアフェンダー２７と、乗員が足を載せるステップ２８と、パワーユニット１２が使用する燃料を蓄える燃料タンク２９とを備える。
　フロントフェンダー２６は、フロントフォーク１４に取り付けられる。リアフェンダー２７及びステップ２８は、シート１７よりも下方に設けられる。燃料タンク２９は、車体フレーム１１に支持される。

　鞍乗り型車両１０は、シート１７の前下方に床状のステップ２８を備えるスクーター型の自動二輪車である。パワーユニット１２は、上記内燃機関とスイングアーム１６とが一体に形成されたユニットスイングエンジンである。パワーユニット１２は、シート１７及びリアフレーム２０の真下に配置される。
　鞍乗り型車両１０は、車体フレーム１１及びパワーユニット１２等の車体を覆う車体カバー３０を備える。

　シリンダー部２４は、クランクケース２３の前面から前方に延びるシリンダーブロック２４ａと、シリンダーブロック２４ａの前面に結合されるシリンダーヘッド２４ｂとを備える。
　上記内燃機関は、シリンダーブロック２４ａのシリンダー軸線２４ｃが略水平に延びる水平エンジンである。上記ピストンは、シリンダー軸線２４ｃの軸方向に往復運動する。シリンダー軸線２４ｃは、車両側面視でやや前上がりである。

　シリンダー部２４に吸気を供給する吸気装置は、吸気を取り込んで浄化するエアクリーナーボックス３１と、シリンダー部２４に供給する吸気量を調節するスロットルボディ（不図示）とを備える。上記スロットルボディは、シリンダーヘッド２４ｂの上面の吸気ポートに接続される。

　図２は、クランクケース２３の内部構造を示す右側面図である。
　図１及び図２を参照し、パワーユニット１２は、車幅方向（左右方向）に分割された第１ケース部材３５及び第２ケース部材（不図示）を備える。
　第１ケース部材３５は、クランクケース２３の一部を構成するクランクケース部３５ａと、クランクケース部３５ａから後方に延出する変速機ケース部３５ｂとを一体に備える。

　変速機ケース部３５ｂの後端部には、車軸１５ａを回転自在に支持する車軸支持孔部３５ｃが設けられる。第１ケース部材３５の車幅方向外側の側面（左側面）には、ケースカバー３７（図１）が取り付けられる。ケースカバー３７は、クランクケース部３５ａ及び変速機ケース部３５ｂを車幅方向外側から覆う。
　スイングアーム１６は、第１ケース部材３５及びケースカバー３７とを備えて構成される。
　ケースカバー３７の内側には、上記内燃機関の回転を変速して後輪１５に伝達する無段変速機（不図示）が収納される。

　クランクケース２３は、第１ケース部材３５のクランクケース部３５ａの車幅方向内側の側面（右側面）に上記第２ケース部材が結合されることでケース状に形成される。図２では、上記第２ケース部材が取り外されて、クランクケース２３の内部構造が見えている。
　シリンダーブロック２４ａは、クランクケース２３の前面を構成するクランクケース前壁部２３ａに結合される。
　パワーユニット１２が鞍乗り型車両１０に搭載された状態では、パワーユニット１２は、図１及び図２に示されるように、スイングアーム１６が全体的に後下がりに傾斜した姿勢となる。

　クランクケース２３の上端部には、連結部２３ｂが設けられる。パワーユニット１２は、連結部２３ｂに連結されるリンク部材（不図示）を介してピボット軸２２（図１）に接続される。上記リンク部材はスイングアーム１６の一部である。

　クランクケース２３の上部には、クランク軸３８を収納するクランク室３９が設けられる。クランクケース２３の下部には、パワーユニット１２の潤滑油を貯留するオイルパン部４０（オイルパン）が設けられる。
　クランク軸３８は、車幅方向に延びる回転軸である。クランク軸３８の一端部は、クランクケース２３の側壁部２３ｃに設けられた支持孔部３５ｄに、ベアリングを介して支持される。側壁部２３ｃは、クランクケース部３５ａに設けられる。側壁部２３ｃは、クランクケース２３の左右の一方側（左側）の側壁部であり、クランク室３９及びオイルパン部４０の側壁を構成する。
　クランク軸３８の他端部は、クランクケース２３の左右の他方側（右側）の側壁部（不図示）に設けられる支持孔部（不図示）に、ベアリングを介して支持される。この他方側の側壁部は、上記第２ケース部材に設けられる。

　図３は、図２におけるクランクケース２３の下部を拡大した側面図である。ここで、図２及び図３では、図１のように鞍乗り型車両１０を直立姿勢で駐車した状態におけるクランクケース２３が示されている。図４は、クランクケース２３の下部の斜視図である。
　オイルパン部４０は、クランク軸３８及びシリンダー部２４に対し下方に配置される。
　クランク軸３８及びシリンダー部２４等を潤滑した潤滑油は、重力によって移動してオイルパン部４０に戻る。

　オイルパン部４０の底壁部４０ａには、オイルパン部４０に貯留される潤滑油を吸い込む吸入口４１が設けられる。底壁部４０ａは、クランクケース２３の底壁である。底壁部４０ａは、クランク軸３８の軸方向に見た場合、後下がりに傾斜している。
　吸入口４１に吸い込まれた潤滑油は、パワーユニット１２に内蔵されたオイルポンプ（不図示）によって圧送され、クランク軸３８及びシリンダー部２４等の潤滑箇所に供給され、その後、オイルパン部４０に戻る。このようにして、潤滑油はパワーユニット１２内を循環する。上記オイルポンプは、クランク軸３８の回転によって駆動される。

　クランク軸３８の下方には、クランク室３９とオイルパン部４０とを仕切る壁部４２が設けられる。壁部４２は、クランク室３９とオイルパン部４０との間の一部を仕切るだけであり、クランク室３９は、オイルパン部４０内に連通している。

　クランクケース前壁部２３ａには、オイルパン部４０に向けて潤滑油を流す戻し通路４５が設けられる。戻し通路４５は、オイルパン部４０に向けてクランクケース２３内に開口する。戻し通路４５は、後下方に向けて開口している。
　シリンダー部２４内を潤滑した潤滑油は、戻し通路４５からクランクケース２３内に流れる。

　オイルパン部４０は、戻し通路４５から下方に流れる潤滑油をオイルパン部４０に導くガイド壁５０を備える。ガイド壁５０は、戻し通路４５の後下方に位置する。ガイド壁５０は、壁部４２の下方、且つ、オイルパン部４０の底壁部４０ａの上方に位置する。
　ガイド壁５０は、クランクケース２３の側壁部２３ｃから車幅方向内側に延びる板状部である。
　ガイド壁５０は、車幅方向において戻し通路４５に重複して配置されており、戻し通路４５から落ちる潤滑油は、ガイド壁５０によって受けられる。

　ガイド壁５０は、図２及び図３のようにクランク軸３８の軸方向に見た場合、底壁部４０ａに沿うように後下がりに傾斜している。ガイド壁５０は、戻し通路４５側から後方に向かうに従って下方に位置するように傾斜している。このため、ガイド壁５０にガイドされる潤滑油は、ガイド壁５０の後下がりの傾斜に沿って後方に向けて流れ、オイルパン部４０に戻る。
　すなわち、オイルパン部４０に戻る潤滑油の流れにおいて、ガイド壁５０の前端部側は上流であり、ガイド壁５０の後端部側は下流である。

　ガイド壁５０は、戻し通路４５側に位置する上流側ガイド壁５１と、上流側ガイド壁５１に対し下流に設けられる下流側ガイド壁５２とを備える。下流側ガイド壁５２は、上流側ガイド壁５１に対し後方且つ下方に配置される。
　上流側ガイド壁５１は、クランク軸３８の軸方向に見た場合、後下がりに傾斜している。
　上流側ガイド壁５１の上流側の端部５１ａは、戻し通路４５の開口の真下に位置し、前後方向において戻し通路４５に重複している。
　上流側ガイド壁５１を流れる潤滑油の流れにおける上流側ガイド壁５１の下流側端部５１ｂは、上流側ガイド壁５１の後端部であり、上流側の端部５１ａに対し後下方に位置する。

　上流側ガイド壁５１は、下流側端部５１ｂから下流側ガイド壁５２に対し反対側且つ下方に向けて延出する折り返し部５１ｃを備える。すなわち、折り返し部５１ｃは、下流側端部５１ｂから前方且つ下方に斜めに延出する。

　下流側ガイド壁５２は、上流側ガイド壁５１の下流側端部５１ｂの後下方に配置される。下流側ガイド壁５２は、クランク軸３８の軸方向に見た場合、後下がりに傾斜している。
　下流側ガイド壁５２は、底壁部４０ａに沿うように前後に延びる壁本体部５３と、壁本体部５３の前端部から上方に延出するリブ部５４とを一体に備える。
　壁本体部５３は、後下がりに傾斜している。

　リブ部５４の上端部は、下流側ガイド壁５２を流れる潤滑油の流れにおける下流側ガイド壁５２の上流側端部５２ａである。上流側端部５２ａは、下流側ガイド壁５２の前端部である。
　下流側ガイド壁５２の上流側端部５２ａは、上流側ガイド壁５１の下流側端部５１ｂに対し後方且つ下方に離間している。このため、上方から見た場合には、上流側端部５２ａは下流側端部５１ｂに対し後方に位置し、下流側端部５１ｂに重なっていない。

　下流側端部５１ｂと上流側端部５２ａとの間の前後方向の隙間は、潤滑油をオイルパン部４０に落とす開口部５５である。下流側端部５１ｂは上流側端部５２ａに対し下方に離間しているため、開口部５５は上下方向にも延びる。
　折り返し部５１ｃの下端５１ｄは、上流側端部５２ａの上端に対し前方且つ下方に位置する。

　下流側ガイド壁５２の下流側の端部５２ｂは、下流側ガイド壁５２の後端部である。下流側の端部５２ｂは、壁本体部５３の後端部である。
　下流側の端部５２ｂは、クランクケース２３の後面を構成するクランクケース後壁部２３ｄに対し前方に離間している。下流側の端部５２ｂとクランクケース後壁部２３ｄとの間の前後方向の隙間は、潤滑油をオイルパン部４０に落とす第２開口部５６である。
　開口部５５は、ガイド壁５０に沿って流れる潤滑油の流れにおいて、第２開口部５６の上流に位置する。開口部５５は、第２開口部５６に対し、前方且つ上方に位置する。
　下流側ガイド壁５２は、その全体が、上流側ガイド壁５１の下流側端部５１ｂに対し下方に位置する。

　底壁部４０ａの吸入口４１は、下流側ガイド壁５２の真下に位置する。吸入口４１は、前後方向において、開口部５５と第２開口部５６との間の位置に配置される。すなわち、吸入口４１は、底壁部４０ａ上において、上流側端部５２ａと下流側の端部５２ｂとの間に位置する。
　底壁部４０ａにおいて、吸入口４１に対し第２開口部５６側の位置には、上方に突出する貯留壁４０ｂが設けられる。貯留壁４０ｂは、吸入口４１の後方に配置される。貯留壁４０ｂは、吸入口４１の下端よりも上方に突出する。

　ここで、戻し通路４５から吸入口４１に向かう潤滑油Ｌの流れを説明する。
　図３には、潤滑油Ｌの温度が低い場合の潤滑油Ｌの流れが矢印で示される。潤滑油Ｌの温度が低い場合は、例えば、パワーユニット１２の内燃機関が始動直後である場合である。
　図３において、戻し通路４５から下方に流れる潤滑油Ｌは、上流側ガイド壁５１によって受けられ、上流側ガイド壁５１の上面に沿って下流側端部５１ｂに向けて流れる。
　潤滑油Ｌの温度が低い場合、潤滑油Ｌの粘度が高いため、下流側端部５１ｂから上流側端部５２ａに向けて流れる潤滑油Ｌの大部分は、上流側端部５２ａを越えることができず、開口部５５に落ちる。上流側端部５２ａを越えた少量の潤滑油Ｌは、下流側ガイド壁５２上を第２開口部５６に向けて流れる。

　開口部５５に落ちる潤滑油Ｌの一部は、折り返し部５１ｃを伝って前下方に流れ、折り返し部５１ｃの下端５１ｄからオイルパン部４０の底壁部４０ａに向けて落下する。
　また、開口部５５に落ちる潤滑油Ｌの一部は、リブ部５４の前面を伝うようにして下方に流れ、底壁部４０ａに向けて落下する。
　開口部５５から底壁部４０ａに落下した潤滑油Ｌは、底壁部４０ａを下って後方に流れて吸入口４１に吸い込まれ、上記オイルポンプによってパワーユニット１２内を循環させられる。
　このように、潤滑油Ｌの温度が低い場合には、潤滑油Ｌは、ガイド壁５０の途中に設けられた開口部５５に落ちて、速やかに吸入口４１に流れる。このため、潤滑油Ｌを短い経路でパワーユニット１２内に循環させることができ、潤滑油Ｌを早期に温めることができる。

　図５は、クランクケース２３の下部を拡大した側面図である。図５には、潤滑油Ｌの温度が高い場合の潤滑油Ｌの流れが矢印で示される。潤滑油Ｌの温度が高い場合は、例えば、パワーユニット１２の内燃機関が始動から一定時間運転した場合である。
　図５において、戻し通路４５から下方に流れる潤滑油Ｌは、上流側ガイド壁５１によって受けられ、上流側ガイド壁５１の上面に沿って下流側端部５１ｂに向けて流れる。
　潤滑油Ｌの温度が高い場合、潤滑油Ｌの粘度が低いため、下流側端部５１ｂから上流側端部５２ａに向けて流れる潤滑油Ｌは、上流側端部５２ａを越えて下流側ガイド壁５２に達する。図５の状態では、上流側端部５２ａを越えて下流側ガイド壁５２に達する潤滑油Ｌの量は、図３の状態よりも多い。
　図５においても、下流側端部５１ｂから上流側端部５２ａに向けて流れる潤滑油Ｌの一部は、開口部５５に落ち、底壁部４０ａを流れて吸入口４１に吸い込まれる。

　図５において、下流側ガイド壁５２に達した潤滑油Ｌは、壁本体部５３の上面に沿って後方に流れ、下流側ガイド壁５２の下流側の端部５２ｂから第２開口部５６に落ちる。
　第２開口部５６に落ちた潤滑油Ｌは底壁部４０ａによって受けられ、貯留壁４０ｂの後方においてオイルパン部４０の後部で滞留する。
　パワーユニット１２の運転中には、潤滑油Ｌはオイルパン部４０の後部で滞留してから貯留壁４０ｂを越えて吸入口４１に流れ、吸入口４１に吸い込まれ、上記オイルポンプによってパワーユニット１２内を循環させられる。
　このように、潤滑油Ｌの温度が高い場合には、潤滑油Ｌは、開口部５５に加えて第２開口部５６からもオイルパン部４０に向けて落ちる、このため、オイルパン部４０内における潤滑油Ｌの経路が長くなり、潤滑油Ｌを効率良く冷却できる。

　以上説明したように、本発明を適用した実施の形態によれば、パワーユニット１２は、潤滑油Ｌを貯留するオイルパン部４０と、オイルパン部４０に向けて潤滑油Ｌを流す戻し通路４５と、戻し通路４５の下方に位置し、戻し通路から流れる潤滑油Ｌをオイルパン部４０に導くガイド壁５０とを備え、オイルパン部４０に貯留された潤滑油Ｌがパワーユニット１２内を循環してオイルパン部４０に戻り、オイルパン部４０においてガイド壁５０の下方に吸入口４１が設けられ、吸入口４１に吸い込まれた潤滑油Ｌはパワーユニット１２内の潤滑箇所に流される。ガイド壁５０は、戻し通路４５側に位置する上流側ガイド壁５１と、オイルパン部４０に戻る潤滑油Ｌの流れにおいて上流側ガイド壁５１の下流に設けられる下流側ガイド壁５２とを備え、潤滑油Ｌは、上流側ガイド壁５１及び下流側ガイド壁５２に沿って流れてオイルパン部４０に戻り、下流側ガイド壁５２の上流側端部５２ａが上流側ガイド壁５１の下流側端部５１ｂに対し下方に離間して開口部５５が形成されている。
　この構成によれば、戻し通路４５からガイド壁５０に流れる潤滑油Ｌの少なくとも一部は、下流側ガイド壁５２の上流側端部５２ａと上流側ガイド壁５１の下流側端部５１ｂとの間の開口部５５からオイルパン部４０に落ち、吸入口４１に吸い込まれる。ガイド壁５０に沿って流れる潤滑油Ｌは、潤滑油Ｌの温度が低いほど粘性が高く、開口部５５からオイルパン部４０に落ち易い。このため、潤滑油Ｌの温度が低い場合に、潤滑油Ｌの潤滑経路を短縮することで優先的にオイルパン部４０の吸入口４１に流してパワーユニット１２内に効率良く循環させることができ、簡単な構造で潤滑油Ｌを早期に温めることができる。

　また、上流側端部５２ａは、下流側端部５１ｂに対し下流側に離間している。
　この構成によれば、開口部５５が潤滑油Ｌの流れ方向に開くため、潤滑油Ｌを開口部５５からオイルパン部４０に効率良く落とすことができる。

　また、潤滑油Ｌの流れ方向において、上流側端部５２ａは、下流側端部５１ｂに重なっていない。潤滑油Ｌの流れ方向は車両前後方向である。
　この構成によれば、潤滑油Ｌが開口部５５に落ち易くなるため、簡単な構造で潤滑油Ｌを早期に温めることができる。

　また、上流側ガイド壁５１は、下流側端部５１ｂから下方に向けて延出する折り返し部５１ｃを備える。
　この構成によれば、潤滑油Ｌは、折り返し部５１ｃに沿って下方に向けて流れ、オイルパン部４０に落ちる。このため、オイルパン部４０の吸入口４１に潤滑油Ｌを効率良く流しつつ、潤滑油が下流側に流れ落ちることを抑制できる。

　また、折り返し部５１ｃは、下流側端部５１ｂから下流側ガイド壁５２に対し反対側に向けて延出する。
　この構成によれば、潤滑油Ｌは、折り返し部５１ｃに沿って下流側端部５１ｂから下流側ガイド壁５２に対し反対側且つ下方に向けて流れ、オイルパン部４０に落ちる。このため、オイルパン部４０の吸入口４１に潤滑油Ｌを効率良く流しつつ、潤滑油Ｌが下流側に流れ落ちることを抑制できる。

　さらに、下流側ガイド壁５２は、オイルパン部４０の底壁部４０ａに沿うように延びる壁本体部５３と、壁本体部５３の端部である前端部から上方に延出するリブ部５４とを備え、上流側端部５２ａは、リブ部５４によって形成される。
　この構成によれば、上流側端部５２ａが上方に延出するリブ部５４であるため、潤滑油Ｌの温度が低く粘度が高い場合に、潤滑油Ｌがリブ部５４を乗り越え難くなる上、例えば車両の急制動時に下流側ガイド壁５２上にある潤滑油Ｌが開口部５５に逆流することを抑制できる。これにより、潤滑油Ｌを開口部５５から効率良くオイルパン部４０に落とすことができる。

　また、下流側ガイド壁５２は、全体が上流側ガイド壁５１の下流側端部５１ｂに対し下方に位置する。
　この構成によれば、潤滑油Ｌの温度が高く粘度が低くなった状態において、下流側端部５１ｂから、下方の下流側ガイド壁５２に潤滑油Ｌを効率良く流すことができる。

　さらに、下流側ガイド壁５２に導かれた潤滑油Ｌをオイルパン部４０に落とす第２開口部５６が、開口部５５に対し下流側に設けられ、吸入口４１は、開口部５５と第２開口部５６との間の位置に配置される。
　この構成によれば、潤滑油Ｌの温度が低く粘度が高い場合には、潤滑油Ｌを開口部５５からオイルパン部４０に落として効率良く吸入口４１に流し、潤滑油Ｌを早期に温めることができる。潤滑油Ｌの温度が高く粘度が低い場合には、潤滑油Ｌを開口部５５及び第２開口部５６からオイルパンに落として潤滑油Ｌの経路を長くでき、潤滑油Ｌを効率良く冷却できる。

　また、ガイド壁５０は、下流側に向かうに従って下方に位置するように傾斜している。
　この構成によれば、潤滑油Ｌをガイド壁５０に沿うようにガイドしてオイルパン部４０に導くことができる。

　なお、上記実施の形態は本発明を適用した一態様を示すものであって、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
　上記実施の形態では、下流側端部５１ｂから前方且つ下方に向けて折り返し部５１ｃが延出するが、これに替えて、下流側端部５１ｂから略鉛直に下方に延出する突出部が設けられても良い。
　また、上記実施の形態では、パワーユニット１２として水平エンジンを例に挙げて説明したが、これに限らず、本発明は、縦置きエンジンや多気筒エンジン等の他の形式のパワーユニットにも適用可能である。
　また、上記実施の形態では、パワーユニット１２が車両としての鞍乗り型車両に搭載される構成を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、パワーユニットは、作業機や発電機に搭載される汎用のエンジンであっても良い。

［上記実施の形態によりサポートされる構成］
　上記実施の形態は、以下の構成をサポートする。

　（構成１）潤滑油を貯留するオイルパンと、前記オイルパンに向けて潤滑油を流す戻し通路と、前記戻し通路の下方に位置し、前記戻し通路から流れる潤滑油を前記オイルパンに導くガイド壁とを備え、前記オイルパンに貯留された潤滑油がパワーユニット内を循環して前記オイルパンに戻るパワーユニットにおいて、前記オイルパンにおいて前記ガイド壁の下方に吸入口が設けられ、前記吸入口に吸い込まれた潤滑油は前記パワーユニット内の潤滑箇所に流され、前記ガイド壁は、前記戻し通路側に位置する上流側ガイド壁と、前記オイルパンに戻る前記潤滑油の流れにおいて前記上流側ガイド壁の下流に設けられる下流側ガイド壁とを備え、潤滑油は、前記上流側ガイド壁及び前記下流側ガイド壁に沿って流れて前記オイルパンに戻り、前記下流側ガイド壁の上流側端部が前記上流側ガイド壁の下流側端部に対し下方に離間して開口部が形成されていることを特徴とするパワーユニット。
　この構成によれば、戻し通路からガイド壁に流れる潤滑油の少なくとも一部は、下流側ガイド壁の上流側端部と上流側ガイド壁の下流側端部との間の開口部からオイルパンに落ち、吸入口に吸い込まれる。ガイド壁に沿って流れる潤滑油は、潤滑油の温度が低いほど粘性が高く、開口部からオイルパンに落ち易い。このため、潤滑油の温度が低い場合に、潤滑油の潤滑経路を短縮することで優先的にオイルパンの吸入口に流してパワーユニット内に効率良く循環させることができ、簡単な構造で潤滑油を早期に温めることができる。

　（構成２）前記上流側端部は、前記下流側端部に対し下流側に離間していることを特徴とする構成１記載のパワーユニット。
　この構成によれば、開口部が潤滑油の流れ方向に開くため、潤滑油を開口部からオイルパンに効率良く落とすことができる。

　（構成３）前記潤滑油の流れ方向において、前記上流側端部は、前記下流側端部に重なっていないことを特徴とする構成１または２記載のパワーユニット。
　この構成によれば、潤滑油が開口部に落ち易くなるため、簡単な構造で潤滑油を早期に温めることができる。

　（構成４）前記上流側ガイド壁は、前記下流側端部から下方に向けて延出する折り返し部を備えることを特徴とする構成１から３のいずれかに記載のパワーユニット。
　この構成によれば、潤滑油は、折り返し部に沿って下流側端部から下方に向けて流れ、オイルパンに落ちる。このため、オイルパンの吸入口に潤滑油を効率良く流しつつ、潤滑油が下流側に流れ落ちることを抑制できる。

　（構成５）前記折り返し部（５１ｃ）は、前記下流側端部（５１ｂ）から前記下流側ガイド壁（５２）に対し反対側に向けて延出することを特徴とする構成４記載のパワーユニット。
　この構成によれば、潤滑油は、折り返し部に沿って下流側端部から下流側ガイド壁に対し反対側且つ下方に向けて流れ、オイルパンに落ちる。このため、オイルパンの吸入口に潤滑油を効率良く流しつつ、潤滑油が下流側に流れ落ちることを抑制できる。

　（構成６）前記下流側ガイド壁は、前記オイルパンの底面に沿うように延びる壁本体部と、前記壁本体部の端部から上方に延出するリブ部とを備え、前記上流側端部は、前記リブ部によって形成されることを特徴とする構成１から５のいずれかに記載のパワーユニット。
　この構成によれば、上流側端部が上方に延出するリブ部であるため、潤滑油の温度が低く粘度が高い場合に、潤滑油がリブ部を乗り越え難くなる上、例えば車両の急制動時に下流側ガイド壁上にある潤滑油が開口部に逆流することを抑制できる。これにより、潤滑油を開口部から効率良くオイルパンに落とすことができる。

　（構成７）前記下流側ガイド壁は、全体が前記上流側ガイド壁の前記下流側端部に対し下方に位置することを特徴とする構成１から６のいずれかに記載のパワーユニット。
　この構成によれば、潤滑油の温度が高く粘度が低くなった状態において、下流側端部から、下方の下流側ガイド壁に潤滑油を効率良く流すことができる。

　（構成８）前記下流側ガイド壁に導かれた潤滑油を前記オイルパンに落とす第２開口部が、前記開口部に対し下流側に設けられ、前記吸入口は、前記開口部と前記第２開口部との間の位置に配置されることを特徴とする構成１から７のいずれかに記載のパワーユニット。
　この構成によれば、潤滑油の温度が低く粘度が高い場合には、潤滑油を開口部からオイルパンに落として効率良く吸入口に流し、潤滑油を早期に温めることができる。潤滑油の温度が高く粘度が低い場合には、潤滑油を開口部及び第２開口部からオイルパンに落として効率良く吸入口に流すことができる。

　（構成９）前記ガイド壁は、水平であるか、または、下流側に向かうに従って下方に位置するように傾斜していることを特徴とする構成１から８のいずれかに記載のパワーユニット。
　この構成によれば、潤滑油をガイド壁に沿うようにガイドしてオイルパンに導くことができる。

　１２　パワーユニット
　４０　オイルパン部（オイルパン）
　４０ａ　底壁部（底面）
　４１　吸入口
　４５　戻し通路
　５０　ガイド壁
　５１　上流側ガイド壁
　５１ｂ　下流側端部
　５１ｃ　折り返し部
　５２　下流側ガイド壁
　５２ａ　上流側端部
　５３　壁本体部
　５４　リブ部
　５５　開口部
　５６　第２開口部

Claims

　潤滑油を貯留するオイルパン（４０）と、前記オイルパン（４０）に向けて潤滑油を流す戻し通路（４５）と、前記戻し通路（４５）の下方に位置し、前記戻し通路（４５）から流れる潤滑油を前記オイルパン（４０）に導くガイド壁（５０）とを備え、前記オイルパン（４０）に貯留された潤滑油がパワーユニット（１２）内を循環して前記オイルパン（４０）に戻るパワーユニットにおいて、
　前記オイルパン（４０）において前記ガイド壁（５０）の下方に吸入口（４１）が設けられ、前記吸入口（４１）に吸い込まれた潤滑油は前記パワーユニット（１２）内の潤滑箇所に流され、
　前記ガイド壁（５０）は、前記戻し通路（４５）側に位置する上流側ガイド壁（５１）と、前記オイルパン（４０）に戻る前記潤滑油の流れにおいて前記上流側ガイド壁（５１）の下流に設けられる下流側ガイド壁（５２）とを備え、潤滑油は、前記上流側ガイド壁（５１）及び前記下流側ガイド壁（５２）に沿って流れて前記オイルパン（４０）に戻り、
　前記下流側ガイド壁（５２）の上流側端部（５２ａ）が前記上流側ガイド壁（５１）の下流側端部（５１ｂ）に対し下方に離間して開口部（５５）が形成されていることを特徴とするパワーユニット。
　前記上流側端部（５２ａ）は、前記下流側端部（５１ｂ）に対し下流側に離間していることを特徴とする請求項１記載のパワーユニット。
　前記潤滑油の流れ方向において、前記上流側端部（５２ａ）は、前記下流側端部（５１ｂ）に重なっていないことを特徴とする請求項１または２記載のパワーユニット。
　前記上流側ガイド壁（５１）は、前記下流側端部（５１ｂ）から下方に向けて延出する折り返し部（５１ｃ）を備えることを特徴とする請求項１から３のいずれかに記載のパワーユニット。
　前記折り返し部（５１ｃ）は、前記下流側端部（５１ｂ）から前記下流側ガイド壁（５２）に対し反対側に向けて延出することを特徴とする請求項４記載のパワーユニット。
　前記下流側ガイド壁（５２）は、前記オイルパン（４０）の底面（４０ａ）に沿うように延びる壁本体部（５３）と、前記壁本体部（５３）の端部から上方に延出するリブ部（５４）とを備え、
　前記上流側端部（５２ａ）は、前記リブ部（５４）によって形成されることを特徴とする請求項１から５のいずれかに記載のパワーユニット。
　前記下流側ガイド壁（５２）は、全体が前記上流側ガイド壁（５１）の前記下流側端部（５１ｂ）に対し下方に位置することを特徴とする請求項１から６のいずれかに記載のパワーユニット。
　前記下流側ガイド壁（５２）に導かれた潤滑油を前記オイルパン（４０）に落とす第２開口部（５６）が、前記開口部（５５）に対し下流側に設けられ、
　前記吸入口（４１）は、前記開口部（５５）と前記第２開口部（５６）との間の位置に配置されることを特徴とする請求項１から７のいずれかに記載のパワーユニット。
　前記ガイド壁（５０）は、水平であるか、または、下流側に向かうに従って下方に位置するように傾斜していることを特徴とする請求項１から８のいずれかに記載のパワーユニット。