WO2022181214A1

WO2022181214A1 - リクライニング装置およびシート

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Publication number: WO2022181214A1
Application number: PCT/JP2022/003499
Authority: WO
Inventors: 光宏山下; 拓人嶋▲崎▼
Original assignee: デルタ工業株式会社
Priority date: 2021-02-25
Filing date: 2022-01-31
Publication date: 2022-09-01
Also published as: EP4154767A1; CN115443085A; EP4154767A4; US20230264610A1; JPWO2022181214A1

Abstract

カムとコネクトロッドの隙間を許容しながら効果的な異音防止を達成するリクライニング装置を提供する。リクライニング装置（５）は、インターナルギア（３０）およびカム（５０）をそれぞれ有する一対のリクライニング機構（６）と、それぞれのカム（５０）に同軸結合されて、当該カム（５０）とともに回転するコネクトロッド（７）と、コネクトロッド（７）の端部（７ｂ）の近傍の嵌合部分（７ｃ）に嵌合可能な嵌合孔（８ｅ）を有する樹脂ブッシュ（８）とを備える。樹脂ブッシュ（８）は、カム（５０）のロッド挿入孔（５２ａ）の内周面（５２ａ１）とコネクトロッド（７）の外周面（７ｆ）との間に隙間（９）が形成された状態でコネクトロッド（７）をカム（５０）に対して位置決めするように、インターナルギア（３０）のブッシュ挿入孔（３５）の内周面に当接した状態で当該ブッシュ挿入孔（３５）に挿入されている。

Description

リクライニング装置およびシート

　本発明は、リクライニング装置、および当該リクライニング装置を備えたシートに関する。

　従来の車両等のシートには、シートバック（背もたれ）がシートクッション（座部）に対して前後方向に傾動可能な構造において、当該シートバックを任意の傾斜角度で固定するリクライニング装置を備えたシートがある。

　リクライニング装置は、シートにおける幅方向両側の位置に配置された一対のリクライニング機構（リクライナー）と、シートの幅方向に延びるように配置され、当該一対のリクライニング機構を連結するコネクトロッドとを備える。

　一対のリクライニング機構のそれぞれは、コネクトロッドの両側端部にそれぞれ同軸結合されてコネクトロッドとともに回転することが可能なカムを備える。コネクトロッドがシート外部からの回転操作力を受けたときに、カムは、コネクトロッドとともに所定方向に回転し、当該カムの周囲に配置されたロックプレートをインターナルギアから引き離してロック解除を行うことが可能である。

　上記のようなコネクトロッドの端部がカムに同軸結合された構造では、以下の構造上の理由により、カムの貫通孔の内周面とコネクトロッドの外周面との間に隙間を設ける必要がある。すなわち、フレームアセンブリ（すなわち、シートバックやシートクッションのフレーム等および当該フレームに組付けられるリクライニング機構の集合体）の寸法上のバラつきやこじれ（すなわちフレームアセンブリ組立時のずれやゆがみ等）によって、リクライニング機構の操作性およびロック荷重への好ましくない影響が生じるおそれがある。このような影響を吸収できるようにするため、上記の隙間を設ける必要がある。

　上記のようなカムとコネクトロッドの隙間を設ける必要があるために、従来のリクライニング装置では、車体の揺れや外部からの衝撃によってカムとコネクトロッドが干渉しあい、異音（打音）が発生する問題がある。

　そこで、カムとコネクトロッドの隙間を許容しながら異音発生を防止するために、特許文献１記載のリクライニング装置では、カムとコネクトロッドとの間に細い弾性リングを介在させることにより、異音の抑制を図っている。

　しかし、特許文献１記載のように、カムとコネクトロッドとの間に細い弾性リングを介在させる構造では、カムとコネクトロッドの相対的な位置決めを細い弾性リングによって行うので、カムとコネクトロッドの隙間を許容しながら効果的な異音防止を達成することが難しい。その理由は以下のとおりである。

　まず、弾性リングの寸法は、カムとコネクトロッドの隙間の幅によって制限されるので、弾性リングを太くして剛性を上げることが構造上困難である。このような弾性リングの寸法上の制約の中、上記の異音防止のために弾性リングの剛性を上げると、弾性リングをカムとコネクトロッドの隙間に挿入することが困難になりリクライニング装置の組立に影響が出る。一方、弾性リングの剛性を下げると、コネクトロッドの保持力が低下して、コネクトロッドがわずかに移動しただけでカムに接触して異音が発生するので、上記の隙間を許容しながら効果的な異音防止を達成することが困難になる。

特許第３９７２６４８号公報

　本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、カムとコネクトロッドの隙間を許容しながら効果的な異音防止を達成することが可能なリクライニング装置を提供することを目的とする。

　本発明のリクライニング装置は、シートの幅方向両側の位置にそれぞれ配置され、シートクッションまたはシートバックのうちの一方のフレームに固定されたインターナルギアと、当該インターナルギアに対してその厚さ方向に並んで配置されたカムをそれぞれ有する一対のリクライニング機構と、前記シートの幅方向に沿って延び、前記一対のリクライニング機構のそれぞれの前記カムに同軸結合されて、当該カムとともに回転するコネクトロッドとを備え、前記シートバックを前記シートクッションに対して傾動可能に保持し、任意の傾斜角度で固定するリクライニング装置であって、嵌合孔を有する筒状体であり、前記コネクトロッドの端部近傍に形成された嵌合部分に嵌合された樹脂ブッシュを備え、前記カムは、前記コネクトロッドの端部が挿入可能なロッド挿入孔を有し、前記インターナルギアは、当該インターナルギアの中心位置において、前記樹脂ブッシュが挿入可能なブッシュ挿入孔を有し、前記コネクトロッドの端部近傍の前記嵌合部分が、前記樹脂ブッシュの嵌合孔に嵌合し、前記コネクトロッドの端部が前記樹脂ブッシュの外側に突出し、前記樹脂ブッシュは、前記カムの前記ロッド挿入孔の内周面と前記コネクトロッドの外周面との間に隙間が形成された状態で前記コネクトロッドを前記カムに対して位置決めするように、前記インターナルギアの前記ブッシュ挿入孔の内周面に当接した状態で当該ブッシュ挿入孔に挿入されていることを特徴とする。なお、上記のブッシュ挿入孔の内周面には、当該ブッシュ挿入孔の縁部も含まれる。

本発明の実施形態に係るリクライニング装置を備えたシートの全体構成を示す斜視図である。図１のコネクトロッド端部近傍の樹脂ブッシュおよびリクライニング機構の配置を示す拡大斜視図である。図２のコネクトロッド、樹脂ブッシュ、およびリクライニング機構を分離した状態の斜視図である。図３の樹脂ブッシュの斜視図である。図３のコネクトロッドを示す図であって、（ａ）はコネクトロッドの端部周辺の構造を示す拡大斜視図であり、（ｂ）は（ａ）の端部を先端側から見た図であり、（ｃ）は（ａ）の端部周辺の構造を外周側から見た図である。図１のリクライニング装置の主要部の構造として、図２のコネクトロッド、樹脂ブッシュ、およびリクライニング機構が結合した構造の断面説明図である。図６の樹脂ブッシュおよびその周辺部を示す拡大断面図である。図６のコネクトロッドおよびその周辺部の線断面図であって、（ａ）はＡ－Ａ線断面図、（ｂ）はＢ－Ｂ線断面図、（ｃ）はＣ－Ｃ線断面図、（ｄ）はＤ－Ｄ線断面図、（Ｅ）はＥ－Ｅ線断面図である。図３のリクライニング機構の分解斜視図である。本発明の変形例に係る本体部を改良した樹脂ブッシュの斜視図である。図１０の樹脂ブッシュを示す図であって、（ａ）は爪部の先端側から見た側面図、（ｂ）は正面図、（ｃ）は本体部の先端側から見た側面図、（ｄ）は（ｃ）のＦ－Ｆ線断面図、（ｅ）は平面図である。図１０の樹脂ブッシュと図６のコネクトロッドおよびリクライニング機構とが結合した構造の断面説明図である。本発明の他の変形例に係るフレームに係合する係合部を備えた小型の樹脂ブッシュの斜視図である。図１３の樹脂ブッシュを示す図であって、（ａ）は爪部の先端側から見た側面図、（ｂ）は正面図、（ｃ）はフランジ部の平面に対向する側から見た側面図、（ｄ）は（ｃ）のＧ－Ｇ線断面図、（ｅ）は平面図である。図１３の樹脂ブッシュと図６のコネクトロッドおよびリクライニング機構とが結合した構造の断面説明図である。

　以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施の一形態について詳述する。

　図１に示されるように、本実施形態のシート１は、車両等のシートであって、着座者の臀部を支持するシートクッション２と、着座者の背中を支持するためにシートクッション２の後部に配置され、シートクッション２に対してシート１の前後方向Ｘに傾動可能なシートバック３と、シートクッション２の下部に取り付けられたスライド装置４と、リクライニング装置５とを備えている。

　スライド装置４は、シートクッション２をシート１の前後方向Ｘにスライド可能に案内するとともに当該シートクッション２を任意の位置で固定可能な構成を有している。なお、本発明のシートではスライド装置４は必須ではなく無くてもよい。

　リクライニング装置５は、シートバック３を任意の傾斜角度で固定することが可能な構成を有する。

　具体的には、図２～３に示されるように、本実施形態のリクライニング装置５は、一対のリクライニング機構６と、一対のリクライニング機構６に連結されるコネクトロッド７と、コネクトロッド７の両側の端部７ｂの近傍の嵌合部分７ｃに嵌合される一対の樹脂ブッシュ８とを備えている。

　一対のリクライニング機構６は、シート１の幅方向Ｙの両側の位置に配置されている。各リクライニング機構６は、シートバック３を任意の傾斜角度で固定するためのクラッチの役目をする機構であり、詳細な構成については後段で別途説明する。

　本実施形態のリクライニング機構６は、図３、図６、および図９に示されるように、シートクッション２またはシートバック３のうちの一方のフレーム、本実施形態ではシートバック３のフレーム３ａ（具体的には、シートバック３の側部を構成するサイドフレーム）に嵌合または溶接などによって固定されたインターナルギア３０と、当該インターナルギア３０に対してその厚さ方向（すなわち図３のコネクトロッド７の軸方向Ｓ）に並んで配置されたカム５０とをそれぞれ備える。

　すなわち、本発明のリクライニング装置では、リクライニング機構６が少なくともインターナルギア３０およびカム５０を備えていればよく、他の構成要素については適宜変更してもよい。

　カム５０は、図６～７、図８（ａ）、および図９に示されるように、コネクトロッド７の端部７ｂが挿入可能なロッド挿入孔５２ａを有する。ロッド挿入孔５２ａは、略楕円形（具体的には、両側から内方にひしゃげた円形）の断面形状をしている（特に、図８（ａ）および図９参照）。

　インターナルギア３０は、図６～７および図９に示されるように、当該インターナルギア３０の中心位置において、樹脂ブッシュ８がフレーム３ａに形成された貫通孔３ｂ（図３、図６～７参照）を通して挿入可能なブッシュ挿入孔３５を有する。ブッシュ挿入孔３５は、円形断面を有する。

　コネクトロッド７は、図１～３に示されるように、シート１の幅方向Ｙに沿って延びるように配置された棒状の部材であり、鋼などの硬質の材料によって製造される。

　コネクトロッド７は、具体的には、図５（ａ）～（ｃ）に示されるように、円形断面の中央部７ａと、当該中央部７ａの両側に配置された一対の端部７ｂおよび一対の嵌合部分７ｃとを有する。

　端部７ｂは、カム５０の略楕円形のロッド挿入孔５２ａ（図８ａおよび図９参照）に対応する略楕円形に近い形状を有している。具体的には、端部７ｂは、対向する半径方向両側の位置において半径方向内側に凹む一対の凹部７ｅを有している。

　コネクトロッド７の端部７ｂがカム５０の略楕円形のロッド挿入孔５２ａに挿入されることにより、コネクトロッド７は、一対のリクライニング機構６のそれぞれのカム５０に同軸結合されて、当該カム５０とともに回転することが可能である（図６参照）。

　図６～７、図８（ａ）に示されるように、コネクトロッド７の端部７ｂとカム５０のロッド挿入孔５２ａの挿入された状態では、カム５０のロッド挿入孔５２ａの内周面５２ａ１とコネクトロッド７の端部７ｂの外周面７ｆとの間には、従来技術と同様に隙間９が設けられている。これにより、フレームアセンブリの寸法上のバラつきやこじれによって生じるリクライニング機構６の操作性およびロック荷重への好ましくない影響を吸収することが可能である。

　図５（ａ）、（ｃ）に示されるように、コネクトロッド７の嵌合部分７ｃは、中央部７ａの両側において端部７ｂの近傍（すなわち、端部７ｂの中央部７ａ側に隣接した位置、または中央部７ａと端部７ｂの間の位置）に配置された樹脂ブッシュ８と嵌合する部分である。嵌合部分７ｃは、当該コネクトロッド７の端部７ｂに向かうにつれて細くなるテーパ形状のテーパ部７ｄを有する。

　具体的には、嵌合部分７ｃは、中央部７ａに連続する円形断面部７ｈ（図７および図８（ｅ）参照）と、端部７ｂに連続する略楕円形断面部７ｇ（図７および図８（ｃ）参照）と、円形断面部７ｈと略楕円形断面部７ｇとの間を連続的につなぐテーパ部７ｄ（図７および図８（ｄ）参照）とを有する。略楕円形断面部７ｇにおいても、端部７ｂから連続する凹部７ｅが形成されている（図５（ａ）、図８（ａ）～（ｂ）参照）。

　テーパ部７ｄは、円形断面部７ｈに近い部分では円形断面を有するが、端部７ｂに向かうにつれて端部７ｂと同様の略楕円形断面に移行する断面形状を有する。

　樹脂ブッシュ８は、樹脂材料で形成され、嵌合孔８ｅを有する筒状体であり、具体的には、図４に示されるように、筒状の本体部８ａと、フランジ部８ｂと、一対の爪部８ｄとを備える。本体部８ａ、フランジ部８ｂ、および一対の爪部８ｄは、コネクトロッド７の軸方向Ｓ（図３参照）に沿うように直線的に並んだ状態で一体形成されている。

　樹脂ブッシュ８は、コネクトロッド７とカム５０との間における異音発生を防止するために、主にプラスチックなどの樹脂材料で形成される。樹脂ブッシュ８の材料としては、ゴム（例えば合成ゴム）、エラストマーなどの弾性を有する材料であれば代用可能である。樹脂ブッシュ８の材料は、インターナルギア３０やフレーム３ａとの間における接触抵抗が低く、摩耗しにくいなどの特性を有する材料が好ましい。

　樹脂ブッシュ８は、コネクトロッド７の端部７ｂ近傍の嵌合部分７ｃに嵌合可能な嵌合孔８ｅを有する。嵌合孔８ｅは、本体部８ａおよびフランジ部８ｂを軸方向に貫通するように形成されている。

　したがって、図６～７および図８（ｃ）～（ｅ）に示されるように、樹脂ブッシュ８の嵌合孔８ｅにコネクトロッド７の嵌合部分７ｃが嵌合した状態では、筒状の本体部８ａは、コネクトロッド７の軸方向Ｓに延びてコネクトロッド７を全周にわたって当接した状態で支持することが可能である。

　樹脂ブッシュ８の嵌合孔８ｅは、コネクトロッド７の嵌合部分７ｃの外径に対応した形状を有している。具体的には、嵌合孔８ｅは、嵌合部分７ｃの円形断面部７ｈに対応する円形断面孔部８ｅ１（図７および図８（ｅ）参照）と、テーパ部７ｄに対応するテーパ孔部８ｅ２（図７および図８（ｄ）参照）と、略楕円形断面部７ｇに対応する略楕円形断面孔部８ｅ３（図７および図８（ｃ）参照）とを有する。

　テーパ孔部８ｅ２は、コネクトロッド７におけるテーパ形状のテーパ部７ｄに嵌合可能なテーパ形状を有する。なお、図７および図８（ｄ）では、テーパ部７ｄとテーパ孔部８ｅ２の内周面との間に小さい隙間があるが、この隙間は無くてもよい。

　樹脂ブッシュ８のフランジ部８ｂは、本体部８ａの端部周縁（具体的には、図３の軸方向Ｓの外側の端部周縁）から半径方向外側に張り出した円板状の部分である。樹脂ブッシュ８がコネクトロッド７の嵌合部分７ｃに嵌合した状態では、フランジ部８ｂは、インターナルギア３０が固定されたシートバック３のフレーム３ａに（具体的には、フレーム３ａにおけるインターナルギア３０と反対側の面に）コネクトロッド７の軸方向Ｓから当接することが可能である（図３、図６～７参照）。

　一対の爪部８ｄは、図４、図６～７、および図８（ｂ）に示されるように、フランジ部８ｂにおける本体部８ａの反対側の面から突出し、コネクトロッド７の軸方向Ｓに延びてコネクトロッド７を両側から支持する。

　図８（ｂ）に示されるように、一対の爪部８ｄにおける互いに対向する対向部分８ｄ１は、コネクトロッド７の嵌合部分７ｃの略楕円形断面部７ｇに嵌合可能な形状（例えば、凹凸形状）を有する。具体的には、対向部分８ｄ１は、嵌合部分７ｃの略楕円形断面部７ｇに形成された一対の凹部７ｅに嵌合可能な凸形状を有する。

　さらに、一対の爪部８ｄにおけるコネクトロッド７とは反対側の面である外周面８ｄ２は、図６～７に示されるように、インターナルギア３０のブッシュ挿入孔３５に嵌合可能な形状を有する。具体的には、図８（ｂ）に示されるように、一対の爪部８ｄの外周面８ｄ２は、円弧状に湾曲しており、当該一対の爪部８ｄが円形断面のブッシュ挿入孔３５（図９参照）に嵌合可能な形状をしている。すなわち、一対の爪部８ｄがブッシュ挿入孔３５に嵌合した状態では、円弧状の外周面８ｄ２は円形断面のブッシュ挿入孔３５の内周面に面接触するので、安定した嵌合状態が得られる。

　上記のように構成されたリクライニング装置５では、図２～３、図６～７に示されるように、コネクトロッド７の端部７ｂをリクライニング機構６に同軸結合する場合には、まず、コネクトロッド７の端部７ｂ近傍の嵌合部分７ｃに樹脂ブッシュ８を嵌合する。このとき、コネクトロッド７の端部７ｂは、樹脂ブッシュ８の外側に突出した状態になる。

　ついで、コネクトロッド７の端部７ｂおよび樹脂ブッシュ８の一対の爪部８ｄを、シートバック３のフレーム３ａの貫通孔３ｂを通して、インターナルギア３０のブッシュ挿入孔３５に挿入する。具体的には、一対の爪部８ｄをブッシュ挿入孔３５に嵌合させ、当該一対の爪部８ｄの外周面８ｄ２をブッシュ挿入孔３５の内周面および縁に当接させる。このとき、樹脂ブッシュ８は、カム５０のロッド挿入孔５２ａの内周面５２ａ１とコネクトロッド７の端部７ｂの外周面７ｆとの間に隙間９が形成されるように、インターナルギア３０のブッシュ挿入孔３５に挿入（具体的には、嵌合）された状態でコネクトロッド７をカム５０に対して位置決めする。これにより、コネクトロッド７の端部７ｂは、インターナルギア３０のブッシュ挿入孔３５に隙間９を有しながら嵌合することが可能である。なお、樹脂ブッシュ８がブッシュ挿入孔３５に挿入（嵌合）された状態では、当該一対の爪部８ｄの外周面８ｄ２がブッシュ挿入孔３５の内周面の少なくとも一部に当接していればよく、ブッシュ挿入孔３５の内周面の縁に必ずしも当接させる必要はない。

　上記の構成では、樹脂ブッシュ８は、一対の爪部８ｄがインターナルギア３０のブッシュ挿入孔３５に挿入された状態で、コネクトロッド７およびカム５０とともに回転することが可能である。

　（リクライニング機構６の詳細な構成）
　以下、本実施形態のリクライニング機構６の詳細な構成について説明する。なお、上述したように、本発明では、リクライニング機構６は、少なくともインターナルギア３０およびカム５０を備えていればよく、他の構成要素については適宜変更してもよい。

　リクライニング機構６は、上記のシートクッション２のフレーム２ａとシートバック３のフレーム３ａとの間（図２～３参照）に取り付けられる。

　図９に示されるように、リクライニング機構６は、ガイドブラケット２０と、インターナルギア３０と、渦巻きばね４０と、カム５０と、４個のロックプレート６０Ａ～６０Ｄと、取付リング７０とを備えている。

　図３および図６に示されるように、ガイドブラケット２０は、シートクッション２のフレーム２ａ（具体的にはサイドフレーム）の後部付近に固定されている。インターナルギア３０は、シートバック３のフレーム３ａ（具体的にはサイドフレーム）の下部付近に固定されている。

　なお、図３に示されるシートクッション２のフレーム２ａがシートバック３のフレーム３ａの内側に配置されている場合には、インターナルギア３０をシートクッション２のフレーム２ａに固定し、ガイドブラケット２０をシートバック３のフレーム３ａに固定すればよい。

　図９に示されるように、ガイドブラケット２０は、円盤状に形成され、中心には、渦巻きばね４０を配置するための配置孔２２が貫通形成されている。配置孔２２の内周面に設けられた係合溝２２ａには、渦巻きばね４０の外端部４１が係合される。

　インターナルギア３０は、平面視で円形に形成されると共に断面略凹状に形成され、凹状部３１の内周面に内歯３２が形成され、凹状部３１をガイドブラケット２０の内面２０ａ（図６参照）に対向させて配置される。インターナルギア３０は、例えば、図９の紙面右奥側に突出する連結突起３４を介してシートバック３のフレーム３ａに連結される。

　ガイドブラケット２０およびインターナルギア３０は、ガイドブラケット２０とインターナルギア３０の凹状部３１とを対向させ、凹状部３１の周壁３１ａの端面３１ａ１をガイドブラケット２０の面に突き合わせ、取付リング７０によって位置決めされる。

　取付リング７０は、略円形の所定幅の環状に形成された環状底板部７１と、環状底板部７１の外周縁側から略直交する方向に、すなわちインターナルギア３０の周壁３１ａの外周面３１ａ２に沿って延びる環状側板部７２とを有している。いいかえれば、取付リング７０は、環状底板部７１と環状側板部７２とを合わせた径方向に沿った断面形状が略Ｌ字状をなす形状で形成されている。

　取付リング７０は、ガイドブラケット２０とインターナルギア３０の凹状部３１を対向させ、その内部空間に渦巻きばね４０、カム５０およびロックプレート６０Ａ～６０Ｄを含むロック機構を収容した状態で、本実施形態では、環状側板部７２を、その端縁７２ａがインターナルギア３０の周壁３１ａの外周面３１ａ２を越え、当該外周面３１ａ２を越えた側（図９の紙面左手前側）に位置するガイドブラケット２０の外周面２１ｂに至るように被される。このように組付けると、インターナルギア３０の中央突出部が環状底板部７１の内周円より外方（図９の紙面右奥方向）に露出する。取付リング７０は、このようにして装着された後、その環状側板部７２のうち、ガイドブラケット２０の外周面２１ｂに対向している部位を、該外周面２１ｂに溶接固定される。従って、ガイドブラケット２０を例えばシートクッション２のフレーム２ａに固定し、インターナルギア３０の連結突起３４を例えばシートバック３のフレーム３ａに固定した状態で、シートバック３がシートクッション２に対して相対的に回転すると、ガイドブラケット２０およびインターナルギア３０が相対的に回転する。取付リング７０は、ガイドブラケット２０と共にインターナルギア３０に対して相対回転し、インターナルギア３０の半径方向の動きは取付リング７０の環状側板部７２によって規制され、インターナルギア３０の軸方向の動きは環状底板部７１によって規制される。

　カム５０は、ロックプレート６０Ａ～６０Ｄを当該カム５０の半径方向に往復移動させるための部材である。このカム５０は、４枚配設されるロックプレート６０Ａ～６０Ｄに対応して、円周方向に等間隔に、略円弧状で角状に延びる係合突起５１、５１が４つ設けられている。また、係合突起５１、５１を除いたカム５０の本体部５２には、各係合突起５１、５１の基部から所定角度隔てた位置に外径が大きくなるように膨出する段差部５２ｂ、５２ｂが４箇所に形成されている。カム５０は、スペーサー板５５の一面に一体に固定され、当該カム５０の中心に、コネクトロッド７の端部７ｂが挿通されるロッド挿入孔５２ａが貫通形成されている。コネクトロッド７の端部７ｂに取り付けられた操作部材（図示せず）などを用いてコネクトロッド７を正逆いずれかに回転操作すると、カム５０はこれに追従して同方向に回転する。

　カム５０は、ガイドブラケット２０に対向する面においてロッド挿入孔５２ａの周囲からガイドブラケット２０側に突出する第１軸部５３が設けられている。第１軸部５３は、渦巻きばね４０の内径よりも小さな外径で形成されていると共に、第１軸部５３には、外周面から中心方向に向かって係合溝５３ａが切り欠き形成されている。渦巻きばね４０は、第１軸部５３の外周に配置され、その内端部４２が第１軸部５３の係合溝５３ａに係合され（図８（ａ）参照）、第１軸部５３と共にガイドブラケット２０の配置孔２２内に配置される。渦巻きばね４０は、外端部４１がガイドブラケット２０の配置孔２２の内周面に形成された係合溝２２ａに係合されるため、カム５０を一方の回転方向に付勢する。

　インターナルギア３０の中心には、カム５０側に突出する第２軸部３６が設けられており、この第２軸部３６がカム５０に形成された軸受け孔（図示せず）に挿入され、該カム５０を回転可能に支持する。

　ロックプレート６０Ａ～６０Ｄは、本実施形態では４枚用いられる。４枚のロックプレート６０Ａ～６０Ｄは、カム５０に形成した角状の４つの係合突起５１、５１に対応する位置に配置される。ロックプレート６０Ａ～６０Ｄは、ガイドブラケット２０に形成された半径方向に延びるガイド溝部（図示せず）に沿って当該ガイドブラケット２０の半径方向に摺動することが可能である。

　ロックプレート６０Ａ～６０Ｄおよびカム５０は、渦巻きばね４０の弾性によるカム５０の一方向への回転によって、ロックプレート６０Ａ～６０Ｄが半径方向外方に付勢され、コネクトロッド７によるカム５０の逆方向への回転によってロックプレート６０Ａ～６０Ｄを中心方向に変位する。各ロックプレート６０Ａ～６０Ｄは、平面視で略長方形の形状を有する。また、各ロックプレート６０Ａ～６０Ｄには、内周面から略円弧状に切り欠かれた被係合溝６１、６１が設けられている。カム５０が時計回りに回転すると、各係合突起５１、５１が各被係合溝６１、６１に係合して、ロックプレート６０Ａ～６０Ｄをカム５０の中心方向に引き寄せる。カム５０が渦巻きばね４０に付勢されて反時計回りに回転すると、各係合突起５１、５１および段差部５２ｂ、５２ｂが、ロックプレート６０Ａ～６０Ｄをカム５０の半径方向外方に押圧する。ロックプレート６０Ａ～６０Ｄの外周面には外歯６３、６３が形成されており、半径方向外方に押圧されるとインターナルギア３０の内歯３２に係合し、ガイドブラケット２０とインターナルギア３０とが相互回転不能にロックされる。これにより、シートバック３を任意の傾斜角度で固定することが可能になる。

　（本実施形態の特徴）
　（１）本実施形態のリクライニング装置５は、図１に示されるシートバック３をシートクッション２に対して傾動可能に保持し、任意の傾斜角度で固定する。

　図１～６に示されるように、リクライニング装置５は、シート１の幅方向Ｙの両側の位置にそれぞれ配置され、シートクッション２またはシートバック３のうちの一方のフレーム（本実施形態では、シートバック３のフレーム３ａ）に固定されたインターナルギア３０と、当該インターナルギア３０に対してその厚さ方向（すなわち上記の幅方向Ｙ）に並んで配置されたカム５０をそれぞれ有する一対のリクライニング機構６と、シート１の幅方向Ｙに沿って延び、一対のリクライニング機構６のそれぞれのカム５０に同軸結合されて、当該カム５０とともに回転するコネクトロッド７とを備える。

　本実施形態のリクライニング装置５は、嵌合孔８ｅを有する筒状体であり、コネクトロッド７の端部７ｂ近傍の嵌合部分７ｃに嵌合された樹脂ブッシュ８をさらに備える。

　図６～７に示されるように、カム５０は、コネクトロッド７の端部７ｂが挿入可能なロッド挿入孔５２ａを有する。インターナルギア３０は、当該インターナルギア３０の中心位置において、樹脂ブッシュ８が挿入可能なブッシュ挿入孔３５を有する。

　図６～７および図８（ａ）に示されるように、コネクトロッド７の端部７ｂ近傍の嵌合部分７ｃが、樹脂ブッシュ８の嵌合孔８ｅに嵌合し、コネクトロッド７の端部７ｂが樹脂ブッシュ８の外側に突出している。樹脂ブッシュ８は、カム５０のロッド挿入孔５２ａの内周面５２ａ１とコネクトロッド７の外周面７ｆとの間に隙間９が形成された状態でコネクトロッド７をカム５０に対して位置決めするように、インターナルギア３０のブッシュ挿入孔３５の内周面に当接した状態で当該ブッシュ挿入孔３５に挿入されている。

　かかる構成によれば、樹脂ブッシュ８は、カム５０のロッド挿入孔５２ａの内周面５２ａ１とコネクトロッド７の外周面７ｆとの間に隙間９が形成された状態でコネクトロッド７をカム５０に対して位置決めするようにインターナルギア３０のブッシュ挿入孔３５の内周面に当接した状態で当該ブッシュ挿入孔３５に挿入されている。これにより、樹脂ブッシュ８がコネクトロッド７のカム５０に対するカム５０の半径方向への相対的な移動を規制し、カム５０とコネクトロッド７間の干渉音の発生を防止することが可能である。その結果、カム５０のロッド挿入孔５２ａの内周面５２ａ１とコネクトロッド７の外周面７ｆとの隙間９を許容しながら効果的に異音防止することが可能である。

　また、樹脂ブッシュ８は、カム５０とコネクトロッド７の間に配置して、両者の相対的な位置決めを行うものではなく、インターナルギア３０のブッシュ挿入孔３５に挿入された状態でコネクトロッド７を位置決めするので、カム５０とコネクトロッド７との隙間９による寸法上の制約ならびにそれによる剛性の制約を受けない。そのため、樹脂ブッシュ８は、従来技術（上記の特許文献１記載の構造）のような弾性リングと比べて摩耗しにくい寸法および剛性に設定することが可能である。

　（２）本実施形態のリクライニング装置５では、樹脂ブッシュ８の嵌合孔８ｅは、コネクトロッド７の嵌合部分７ｃの外径に対応した形状を有している。すなわち、嵌合孔８ｅは、図７および図８（ｃ）～（ｅ）に示されるように、円形断面孔部８ｅ１、テーパ孔部８ｅ２、および略楕円形断面孔部８ｅ３を有する。

　かかる構成によれば、コネクトロッド７の端部７ｂ近傍の嵌合部分７ｃを樹脂ブッシュ８の嵌合孔８ｅに嵌め込むだけで樹脂ブッシュ８のコネクトロッド７の端部７ｂ近傍の嵌合部分７ｃへの取付作業が完了するので作業効率が良い。しかも、コネクトロッド７および樹脂ブッシュ８の組合せによる簡単な構成によって、樹脂ブッシュ８がインターナルギア３０から軸方向に抜けるのを防止でき、さらに樹脂ブッシュ８のコネクトロッド７からの脱落も防止することが可能である。

　（３）本実施形態のリクライニング装置５では、図３～４、図６～７に示されるように、樹脂ブッシュ８は、インターナルギア３０が固定されたシートバック３のフレーム３ａにコネクトロッド７の軸方向Ｓから当接するフランジ部８ｂを有する。

　かかる構成によれば、樹脂ブッシュ８のフランジ部８ｂがシートバック３のフレーム３ａにコネクトロッド７の軸方向Ｓから当接することにより、樹脂ブッシュ８の軸方向Ｓへの移動を規制することが可能である。

　また、フランジ部８ｂが樹脂ブッシュ８とフレーム３ａの貫通孔３ｂの内周面との隙間を塞ぐことにより、異物が当該貫通孔３ｂを通してリクライニング機構６へ侵入することを防止することが可能である。

　（４）本実施形態のリクライニング装置５では、樹脂ブッシュ８は、コネクトロッド７の軸方向Ｓに延びてコネクトロッド７を全周にわたって当接した状態で支持する筒状の本体部８ａを有する。

　かかる構成によれば、樹脂ブッシュ８の筒状の本体部８ａがコネクトロッド７を全周にわたって当接した状態で支持するので、コネクトロッド７のカム５０に対する半径方向への相対的な移動をさらに規制することが可能であり、異音発生防止効果が向上する。

　（５）本実施形態のリクライニング装置５では、図５～７に示されるように、コネクトロッド７の嵌合部分７ｃは、当該コネクトロッド７の端部７ｂに向かうにつれて細くなるテーパ形状のテーパ部７ｄを有する。図７および図８（ｄ）に示されるように、樹脂ブッシュ８の嵌合孔８ｅは、コネクトロッド７におけるテーパ形状のテーパ部７ｄに嵌合可能なテーパ形状のテーパ孔部８ｅ２を有する。

　かかる構成によれば、コネクトロッド７の端部７ｂ近傍の嵌合部分７ｃに形成されたテーパ形状のテーパ部７ｄが樹脂ブッシュ８の嵌合孔８ｅのテーパ状のテーパ孔部８ｅ２に嵌合し、樹脂ブッシュ８の軸方向への移動を規制する。これにより、部品点数を増やすことなく、コネクトロッド７および樹脂ブッシュ８の組合せによる簡単な構成によって、樹脂ブッシュ８がインターナルギア３０から軸方向に抜けるのを防止でき、さらに樹脂ブッシュ８のコネクトロッド７からの脱落も防止することが可能である。

　（６）本実施形態のリクライニング装置５では、図４、図６～７および図８（ｂ）に示されるように、樹脂ブッシュ８は、コネクトロッド７の軸方向Ｓに延びてコネクトロッド７を両側から支持する一対の爪部８ｄを有する。

　かかる構成によれば、樹脂ブッシュ８の一対の爪部８ｄがコネクトロッド７を両側から支持するので、コネクトロッド７におけるカム５０に対する半径方向への相対的な移動をさらに規制することが可能であり、異音発生防止効果が向上する。

　（７）本実施形態のリクライニング装置５では、図８（ｂ）に示されるように、一対の爪部８ｄにおける互いに対向する対向部分８ｄ１は、コネクトロッド７の嵌合部分７ｃに嵌合可能な形状を有する。すなわち、対向部分８ｄ１は、嵌合部分７ｃの略楕円形断面部７ｇの凹部７ｅに嵌合可能な凸形状を有する。

　かかる構成によれば、樹脂ブッシュ８の一対の爪部８ｄにおける互いに対向する対向部分８ｄ１がコネクトロッド７の端部７ｂ近傍の嵌合部分７ｃに嵌合することにより、コネクトロッド７におけるカム５０に対する半径方向への相対的な移動をさらに規制することが可能であり、異音発生防止効果が向上する。

　（８）本実施形態のリクライニング装置５では、図６～７および図８（ｂ）に示されるように、一対の爪部８ｄは、コネクトロッド７に対して反対側の面である外周面８ｄ２をそれぞれ有する。一対の爪部８ｄのそれぞれの外周面８ｄ２は、インターナルギア３０のブッシュ挿入孔３５に嵌合可能な形状を有する。すなわち、一対の爪部８ｄのそれぞれの外周面８ｄ２は、円形断面のブッシュ挿入孔３５に嵌合可能な円弧状を有する。

　かかる構成によれば、樹脂ブッシュ８の一対の爪部８ｄがインターナルギア３０のブッシュ挿入孔３５に嵌合することにより、一対の爪部８ｄがコネクトロッド７を両側から支持する効果が向上し、コネクトロッド７におけるカム５０に対する半径方向への相対的な移動をより一層規制することが可能である。また、一対の爪部８ｄをブッシュ挿入孔３５に嵌合するだけで樹脂ブッシュ８およびコネクトロッド７の位置決めを容易に行うことができ、リクライニング装置５の組立ての作業性が向上する。

　（９）本実施形態のシート１は、図１～７に示されるように、シートクッション２と、シートクッション２の後部に配置されてシート１の前後方向Ｘに傾動可能なシートバック３と、シートバック３を任意の傾斜角度で固定する上記構成を有するリクライニング装置５とを備えている。

　上記のシート１は、樹脂ブッシュ８が、カム５０のロッド挿入孔５２ａの内周面５２ａ１とコネクトロッド７の外周面７ｆとの間に隙間９が形成された状態でコネクトロッド７を位置決めするように、インターナルギア３０のブッシュ挿入孔３５の内周面に当接した状態で当該ブッシュ挿入孔３５に挿入される構成を有するリクライニング装置５を備えている。これにより、樹脂ブッシュ８がコネクトロッド７におけるカム５０に対するカム５０の半径方向への相対的な移動を規制する。その結果、カム５０のロッド挿入孔５２ａの内周面５２ａ１とコネクトロッド７の外周面７ｆとの隙間９を許容しながら効果的に異音防止することが可能である。

　（変形例）
　上記実施形態の樹脂ブッシュ８の本体部８ａは、図４および図７に示されるように、コネクトロッド７の嵌合部分７ｃの全体に嵌合可能な長さ、すなわち、略楕円形断面部７ｇだけでなく円形断面部７ｈおよびテーパ部７ｄにも嵌合可能な長さを有している。しかし、本発明では、樹脂ブッシュ８の本体部８ａの長さについてとくに限定するものではない。

　したがって、本発明の変形例として、図１０～１２に示されるように、樹脂ブッシュ８の本体部８ａの長さを略楕円形断面部７ｇのみに嵌合可能な長さに変更してもよい。

　図１０～１２の変形例では、本体部８ａを短くすることにより、樹脂ブッシュ８の小型化を達成することが可能である。

　この図１０～１２の変形例の場合においても、コネクトロッド７の略楕円形断面部７ｇ（すなわち、図８（ｂ）～（ｃ）の凹部７ｅを有する部分）は、樹脂ブッシュ８の本体部８ａの嵌合孔８ｅ（具体的には、図８（ｃ）のような略楕円形断面孔部８ｅ３）および一対の爪部８ｄの凸形状の対向部分８ｄ１に嵌合することにより、コネクトロッド７におけるカム５０に対する半径方向への相対的な移動を規制することが可能であり、異音発生防止効果が向上する。

　また、この変形例では、図１２に示されるように、樹脂ブッシュ８は、コネクトロッド７のテーパ部７ｄとは嵌合していないが、テーパ部７ｄが樹脂ブッシュ８の取付位置の近傍に配置されていることにより、樹脂ブッシュ８の軸方向へのずれ防止および抜止め（具体的には、フレーム３ａの貫通孔３ｂおよびインターナルギア３０のブッシュ挿入孔３５からの抜け止め）を達成することが可能である。

　この変形例の樹脂ブッシュ８は、図１０および図１１（ｃ）、（ｅ）に示されるように、本体部８ａの外周面において対向する一対の平面を有している。そのため、工具を用いて樹脂ブッシュ８およびコネクトロッド７の回転角を容易に調整することが可能である。

　また、本発明の他の変形例として、図１３～１５に示されるように、樹脂ブッシュ８は、上記の本体部８ａを無くすとともに、フレーム３ａに係合可能な係合部８ｆを有する構成であってもよい。

　係合部８ｆは、インターナルギア３０が固定されたシートバック３のフレーム３ａに係合可能な構成を有し、例えば、フレーム３ａの貫通孔３ｂの縁に係合可能な爪によって構成される。係合部８ｆは、一対の爪部８ｄの外周面８ｄ２のそれぞれから樹脂ブッシュ８の半径方向外側に突出している。

　この図１３～１５の変形例では、樹脂ブッシュ８の係合部８ｆは、インターナルギア３０が固定されたシートバック３のフレーム３ａ（具体的には、貫通孔３ｂの縁）に係合する。これにより、樹脂ブッシュ８がフレーム３ａから脱落することを防止する。さらに、樹脂ブッシュ８がフレーム３ａおよびインターナルギア３０の両方によって確実に固定されるので、樹脂ブッシュ８は、コネクトロッド７におけるカム５０に対するカム５０の半径方向への相対的な移動を確実に規制することが可能になり、異音発生防止効果が向上する。

　なお、インターナルギア３０がシートクッション２のフレーム２ａに固定されている場合には、係合部８ｆは、シートクッション２のフレーム２ａに係合するようにすればよい。

　また、図１３～１５に示される変形例では、樹脂ブッシュ８の一対の爪部８ｄは、コネクトロッド７に対して反対側の面である外周面８ｄ２をそれぞれ有する。外周面８ｄ２は、当該爪部８ｄの先端へ向かうにつれてブッシュ挿入孔３５の中心へ近づく方向へ傾斜するテーパ形状を有し、インターナルギア３０のブッシュ挿入孔３５の縁に当接する。なお、縁は、ブッシュ挿入孔３５の内周面に含まれる。この構成では、樹脂ブッシュ８の一対の爪部８ｄがブッシュ挿入孔３５の縁に当接した状態で当該ブッシュ挿入孔３５に挿入されることにより、カム５０のロッド挿入孔５２ａの内周面５２ａ１とコネクトロッド７の外周面７ｆとの間に隙間９が形成された状態でコネクトロッド７をカム５０に対して位置決めすることが可能である。

　かかる構成によれば、樹脂ブッシュ８の一対の爪部８ｄにおけるテーパ形状の外周面８ｄ２がインターナルギア３０のブッシュ挿入孔３５の縁に当接することにより、樹脂ブッシュ８とインターナルギア３０との当接状態を確実に維持することが可能である。また、上記の構成によって、ブッシュ挿入孔３５または爪部８ｄのいずれか、または両方における寸法上のばらつきを吸収することが可能である。

　上記の図１３～１５に示される変形例においても、本体部８ａを無くすことにより、樹脂ブッシュ８の小型化を達成することが可能である。

　さらに、図１５に示されるように、樹脂ブッシュ８は、コネクトロッド７のテーパ部７ｄとは嵌合していないが、テーパ部７ｄが樹脂ブッシュ８の取付位置の近傍に配置されていることにより、樹脂ブッシュ８の軸方向へのずれ防止および抜止め（具体的には、フレーム３ａの貫通孔３ｂおよびインターナルギア３０のブッシュ挿入孔３５からの抜け止め）を達成することが可能である。

　＜実施形態のまとめ＞
　前記実施形態をまとめると以下のとおりである。

　本実施形態のリクライニング装置は、シートの幅方向両側の位置にそれぞれ配置され、シートクッションまたはシートバックのうちの一方のフレームに固定されたインターナルギアと、当該インターナルギアに対してその厚さ方向に並んで配置されたカムをそれぞれ有する一対のリクライニング機構と、前記シートの幅方向に沿って延び、前記一対のリクライニング機構のそれぞれの前記カムに同軸結合されて、当該カムとともに回転するコネクトロッドとを備え、前記シートバックを前記シートクッションに対して傾動可能に保持し、任意の傾斜角度で固定するリクライニング装置であって、嵌合孔を有する筒状体であり、前記コネクトロッドの端部近傍に形成された嵌合部分に嵌合された樹脂ブッシュを備え、前記カムは、前記コネクトロッドの端部が挿入可能なロッド挿入孔を有し、前記インターナルギアは、当該インターナルギアの中心位置において、前記樹脂ブッシュが挿入可能なブッシュ挿入孔を有し、前記コネクトロッドの端部近傍の前記嵌合部分が、前記樹脂ブッシュの嵌合孔に嵌合し、前記コネクトロッドの端部が前記樹脂ブッシュの外側に突出し、前記樹脂ブッシュは、前記カムの前記ロッド挿入孔の内周面と前記コネクトロッドの外周面との間に隙間が形成された状態で前記コネクトロッドを前記カムに対して位置決めするように、前記インターナルギアの前記ブッシュ挿入孔の内周面に当接した状態で当該ブッシュ挿入孔に挿入されていることを特徴とする。なお、上記のブッシュ挿入孔の内周面には、当該ブッシュ挿入孔の縁部も含まれる。

　かかる構成によれば、樹脂ブッシュは、カムのロッド挿入孔の内周面とコネクトロッドの外周面との間に隙間が形成された状態でコネクトロッドをカムに対して位置決めするように、インターナルギアのブッシュ挿入孔の内周面に当接した状態で当該ブッシュ挿入孔に挿入される。これにより、樹脂ブッシュがコネクトロッドにおけるカムに対するカムの半径方向への相対的な移動を規制し、カムとコネクトロッド間の干渉音の発生を防止することが可能である。その結果、カムのロッド挿入孔の内周面とコネクトロッドの外周面との隙間を許容しながら効果的に異音防止することが可能である。

　上記のリクライニング装置において、前記樹脂ブッシュの前記嵌合孔は、前記コネクトロッドの前記嵌合部分の外径に対応した形状を有しているのが好ましい。

　かかる構成によれば、コネクトロッドの端部近傍の嵌合部分を樹脂ブッシュの嵌合孔に嵌め込むだけで樹脂ブッシュのコネクトロッドへの取付作業が完了するので作業効率が良い。しかも、コネクトロッドおよび樹脂ブッシュの組合せによる簡単な構成によって、樹脂ブッシュがインターナルギアから軸方向に抜けるのを防止でき、さらに樹脂ブッシュのコネクトロッドからの脱落も防止することが可能である。

　上記のリクライニング装置において、前記樹脂ブッシュは、前記シートクッションまたは前記シートバックの前記フレームのうちの前記インターナルギアが固定されたフレームに前記コネクトロッドの軸方向から当接するフランジ部を有するのが好ましい。

　かかる構成によれば、樹脂ブッシュのフランジ部がシートクッションまたはシートバックのフレームにコネクトロッドの軸方向から当接することにより、樹脂ブッシュの前記軸方向への移動を規制することが可能である。

　上記のリクライニング装置において、前記樹脂ブッシュは、前記コネクトロッドの軸方向に延びて前記コネクトロッドを全周にわたって当接した状態で支持する筒状の本体部を有するのが好ましい。

　かかる構成によれば、樹脂ブッシュの筒状の本体部がコネクトロッドを全周にわたって当接した状態で支持するので、コネクトロッドにおけるカムに対する半径方向への相対的な移動をさらに規制することが可能であり、異音発生防止効果が向上する。

　上記のリクライニング装置において、前記コネクトロッドの前記嵌合部分は、当該コネクトロッドの前記端部に向かうにつれて細くなるテーパ形状の部分を有し、前記樹脂ブッシュの前記嵌合孔は、前記コネクトロッドにおける前記テーパ形状の部分に嵌合可能なテーパ形状の孔部分を有するのが好ましい。

　かかる構成によれば、前記コネクトロッドの端部近傍の嵌合部分に形成されたテーパ形状の部分が樹脂ブッシュの嵌合孔のテーパ状の孔部分に嵌合し、樹脂ブッシュの軸方向への移動を規制する。これにより、部品点数を増やすことなく、コネクトロッドおよび樹脂ブッシュの組合せによる簡単な構成によって、樹脂ブッシュがインターナルギアから軸方向に抜けるのを防止でき、さらに樹脂ブッシュのコネクトロッドからの脱落も防止することが可能である。

　上記のリクライニング装置において、前記樹脂ブッシュは、前記コネクトロッドの軸方向に延びて前記コネクトロッドを両側から支持する一対の爪部を有するのが好ましい。

　かかる構成によれば、樹脂ブッシュの一対の爪部がコネクトロッドを両側から支持するので、コネクトロッドにおけるカムに対する半径方向への相対的な移動をさらに規制することが可能であり、異音発生防止効果が向上する。

　上記のリクライニング装置において、前記一対の爪部における互いに対向する部分は、前記コネクトロッドの前記嵌合部分に嵌合可能な形状を有するのが好ましい。

　かかる構成によれば、樹脂ブッシュの一対の爪部における互いに対向する部分がコネクトロッドの端部近傍の嵌合部分に嵌合することにより、コネクトロッドにおけるカムに対する半径方向への相対的な移動をさらに規制することが可能であり、異音発生防止効果が向上する。

　上記のリクライニング装置において、前記一対の爪部は、前記コネクトロッドに対して反対側の面である外周面をそれぞれ有し、前記外周面は、前記インターナルギアの前記ブッシュ挿入孔に嵌合可能な形状を有するのが好ましい。

　かかる構成によれば、樹脂ブッシュの一対の爪部がインターナルギアのブッシュ挿入孔に嵌合することにより、一対の爪部がコネクトロッドを両側から支持する効果が向上し、コネクトロッドのカムに対する半径方向への相対的な移動をより一層規制することが可能である。また、一対の爪部をブッシュ挿入孔に嵌合するだけで樹脂ブッシュおよびコネクトロッドの位置決めを容易に行うことができ、リクライニング装置の組立ての作業性が向上する。

　上記のリクライニング装置において、前記一対の爪部は、前記コネクトロッドに対して反対側の面である外周面をそれぞれ有し、前記外周面は、当該爪部の先端へ向かうにつれて前記ブッシュ挿入孔の中心へ近づく方向へ傾斜するテーパ形状を有し、前記インターナルギアの前記ブッシュ挿入孔の縁に当接するのが好ましい。

　かかる構成によれば、樹脂ブッシュの一対の爪部におけるテーパ形状の外周面がインターナルギアのブッシュ挿入孔の縁に当接することにより、樹脂ブッシュとインターナルギアとの当接状態を確実に維持することが可能である。また、上記の構成によって、ブッシュ挿入孔または爪部のいずれか、または両方における寸法上のばらつきを吸収することが可能である。

　上記のリクライニング装置において、前記樹脂ブッシュは、前記シートクッションまたは前記シートバックの前記フレームのうちの前記インターナルギアが固定されたフレームに係合可能な係合部をさらに有するのが好ましい。

　かかる構成によれば、樹脂ブッシュの係合部がシートクッションまたはシートバックのフレームのうちのインターナルギアが固定されたフレームに係合することにより、樹脂ブッシュがフレームから脱落することを防止する。さらに、樹脂ブッシュがフレームおよびインターナルギアの両方によって確実に固定されるので、樹脂ブッシュは、コネクトロッドにおけるカムに対するカムの半径方向への相対的な移動を確実に規制することが可能になり、異音発生防止効果が向上する。

　本実施形態のシートは、シートクッションと、前記シートクッションの後部に配置されてシート前後方向に傾動可能なシートバックと、前記シートバックを任意の傾斜角度で固定する上記のリクライニング装置とを備えていることを特徴とする。

　上記のシートは、樹脂ブッシュが、カムのロッド挿入孔の内周面とコネクトロッドの外周面との間に隙間が形成された状態でコネクトロッドを位置決めするように、インターナルギアのブッシュ挿入孔の内周面に当接した状態で当該ブッシュ挿入孔に挿入される構成を有するリクライニング装置を備えている。これにより、樹脂ブッシュがコネクトロッドにおけるカムに対するカムの半径方向への相対的な移動を規制する。その結果、カムのロッド挿入孔の内周面とコネクトロッドの外周面との隙間を許容しながら効果的に異音防止することが可能である。

　本実施形態のリクライニング装置およびシートによれば、カムとコネクトロッドの隙間を許容しながら効果的な異音防止を達成することができる。

Claims

　シートの幅方向両側の位置にそれぞれ配置され、シートクッションまたはシートバックのうちの一方のフレームに固定されたインターナルギアと、当該インターナルギアに対してその厚さ方向に並んで配置されたカムをそれぞれ有する一対のリクライニング機構と、
　前記シートの幅方向に沿って延び、前記一対のリクライニング機構のそれぞれの前記カムに同軸結合されて、当該カムとともに回転するコネクトロッドとを備え、
　前記シートバックを前記シートクッションに対して傾動可能に保持し、任意の傾斜角度で固定するリクライニング装置であって、
　嵌合孔を有する筒状体であり、前記コネクトロッドの端部近傍に形成された嵌合部分に嵌合された樹脂ブッシュを備え、
　前記カムは、前記コネクトロッドの端部が挿入可能なロッド挿入孔を有し、
　前記インターナルギアは、当該インターナルギアの中心位置において、前記樹脂ブッシュが挿入可能なブッシュ挿入孔を有し、
　前記コネクトロッドの端部近傍の前記嵌合部分が、前記樹脂ブッシュの嵌合孔に嵌合し、前記コネクトロッドの端部が前記樹脂ブッシュの外側に突出し、
前記樹脂ブッシュは、前記カムの前記ロッド挿入孔の内周面と前記コネクトロッドの外周面との間に隙間が形成された状態で前記コネクトロッドを前記カムに対して位置決めするように、前記インターナルギアの前記ブッシュ挿入孔の内周面に当接した状態で当該ブッシュ挿入孔に挿入されている、
ことを特徴とするリクライニング装置。
　請求項１に記載のリクライニング装置において、前記樹脂ブッシュの前記嵌合孔は、前記コネクトロッドの前記嵌合部分の外径に対応した形状を有している、
ことを特徴とするリクライニング装置。
　請求項１または２に記載のリクライニング装置において、
　前記樹脂ブッシュは、前記シートクッションまたは前記シートバックの前記フレームのうちの前記インターナルギアが固定されたフレームに前記コネクトロッドの軸方向から当接するフランジ部を有する、
ことを特徴とするリクライニング装置。
　請求項１～３のいずれか１項に記載のリクライニング装置において、
　前記樹脂ブッシュは、前記コネクトロッドの軸方向に延びて前記コネクトロッドを全周にわたって当接した状態で支持する筒状の本体部を有する、
ことを特徴とするリクライニング装置。
　請求項１～４のいずれか１項に記載のリクライニング装置において、
　前記コネクトロッドの前記嵌合部分は、当該コネクトロッドの前記端部に向かうにつれて細くなるテーパ形状の部分を有し、
　前記樹脂ブッシュの前記嵌合孔は、前記コネクトロッドにおける前記テーパ形状の部分に嵌合可能なテーパ形状の孔部分を有する、
ことを特徴とするリクライニング装置。
　請求項１～５のいずれか１項に記載のリクライニング装置において、
　前記樹脂ブッシュは、前記コネクトロッドの軸方向に延びて前記コネクトロッドを両側から支持する一対の爪部を有する、
ことを特徴とするリクライニング装置。
　請求項６に記載のリクライニング装置において、
　前記一対の爪部における互いに対向する部分は、前記コネクトロッドの前記嵌合部分に
嵌合可能な形状を有する、
ことを特徴とするリクライニング装置。
　請求項６または７に記載のリクライニング装置において、
　前記一対の爪部は、前記コネクトロッドに対して反対側の面である外周面をそれぞれ有し、
　前記外周面は、前記インターナルギアの前記ブッシュ挿入孔に嵌合可能な形状を有する、
ことを特徴とするリクライニング装置。
　請求項６または７に記載のリクライニング装置において、
　前記一対の爪部は、前記コネクトロッドに対して反対側の面である外周面をそれぞれ有し、
　前記外周面は、当該爪部の先端へ向かうにつれて前記ブッシュ挿入孔の中心へ近づく方向へ傾斜するテーパ形状を有し、前記インターナルギアの前記ブッシュ挿入孔の縁に当接する、
ことを特徴とするリクライニング装置。
　請求項１～９のいずれか１項に記載のリクライニング装置において、
　前記樹脂ブッシュは、前記シートクッションまたは前記シートバックの前記フレームのうちの前記インターナルギアが固定されたフレームに係合可能な係合部をさらに有する、ことを特徴とするリクライニング装置。
　シートクッションと、
　前記シートクッションの後部に配置されてシート前後方向に傾動可能なシートバックと、
　前記シートバックを任意の傾斜角度で固定する請求項１に記載のリクライニング装置とを備えている、
ことを特徴とするシート。