WO2022138810A1 - 車両用センターピラー部材とその製造法 - Google Patents
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Abstract
Description
図1は、一つの実施形態としての、乗用自動車の車体の側部に配設されるセンターピラーの斜視図を示す。詳細には、センターピラーは、通常、外側部材と内側部材とから閉断面構造部材として構成されるが、図1はセンターピラー外側部材10のみを示している。センターピラー外側部材10は、長手方向を車両の車高方向(図1で見て上下方向)に向けて配設されており、上下端の取付部12、14と、中間の梁部16とからなっている。上端の取付部12はルーフ18に接合され、下端の取付部14はサイドシル20に接合されている。なお、通常、上下端の取付部12、14は、ルーフ18やサイドシル20との結合面積を広くとるためにT字状に形成され、絞り加工などにより複雑な形状となっている。中間の梁部16は比較的単純な形状となっている。
図2は図1のセンターピラー外側部材10のII-II線断面の基本形状を模式的に示している。センターピラー外側部材10は断面がハット型形状に形成されている。ハット型断面は、概して、中央の天板部22と、天板部22の両側に位置する縦壁部24と、縦壁部24の更に両側に位置するフランジ部26とにより形成されている。なお、縦壁部24は車両前方側(図2で見て左側)の縦壁部24Lと後方側(右側)の縦壁部24Rとからなっており、フランジ部26も左側のフランジ部26Lと右側のフランジ部26Rとからなっている。図1に示すように、天板部22と縦壁部24との境界は稜線27が形成され、左右の稜線27L、27R間の幅は長手方向で幅が変化している。例えば、梁部16は上方から下方に向けて幅が広がっている。
図1に示すように、中間の梁部16における天板部22には、センターピラー外側部材10の後方側(図2で見て右側)に配設される後部ドアのヒンジ(不図示)を取付けるためのドアヒンジ取付部28U、28Dが上下二箇所に設定されている。なお、図1に示されるセンターピラー外側部材10は、長手方向に複数の部材が接合されて形成されるテーラードブランク材TBからプレス成形により形成されるが、図1ではテーラードブランク材TBを形成する接合ラインは省略されている。
図3~図5はセンターピラー外側部材10のプレス成形工程を示す。図3は上死点から上刃30が下降してブランクホルダ34と上刃30でテーラードブランク材TBに接触した時点を示す。図4は成形途中の状態を示す。図5は成形後(下死点)の状態を示す。具体的にはこのプレス成形工程は絞り加工を行うものであり、可動型である上刃30を下方のポンチ32に向かって移動させることによりテーラードブランク材TBを絞り成形して、図1に示すハット型断面のセンターピラー外側部材10に成形する。なお、可動配置される上刃30を移動させる方向が、プレス成形時におけるプレス方向である。
次に、センターピラー外側部材10の詳細な構成を、図6及び図7に基づいて説明する。図6は車両の側面方向から見た側面図を示し、図7は図6のVII矢視図を示す。なお、図6及び図7において、実線はプレス成形後のセンターピラー外側部材10を示し、二点鎖線はプレス成形前のテーラードブランク材TBの状態を示している。したがって、二点鎖線で示すテーラードブランク材TBの状態が、プレス成形により実線で示すセンターピラー外側部材10となる。
テーラードブランク材TBの接合ライン36、38の形状は、成形後の縦壁部24L、24Rを通る部分L1、L2、R1、R2が図7に示すように成形時のプレス方向Yと同じ方向になるように形成する。図7には、第1接合ライン36のうち車両前方側(図6で見て左側)の縦壁部24Lに形成される部分が符号L1、車両後方側(右側)の縦壁部24Rに形成される部分が符号R1で示されている。同様に、第2接合ライン38のうち車両前方側(図6で見て左側)の縦壁部24Lに形成される部分が符号L2、車両後方側(右側)の縦壁部24Rに形成される部分が符号R2で示されている。なお、図7においては、理解の便宜上、第2接合ライン38のうち図7の視線方向(図6の矢印VII)からは見えないはずの右側部分R2も実線で示した。また、図7にはプレス方向が矢印Yで示されている。したがって、このプレス方向Yと、接合ライン36、38のうち前述した左側の縦壁部24Lに形成される部分L1、L2とが同じ方向となる。同様に、このプレス方向Yと、接合ライン36、38のうち前述した右側の縦壁部24Rに形成される部分R1、R2も同じ方向となる。
次に、上記実施形態における、センターピラー外側部材10を形成するテーラードブランク材TBの下部に設定される第2接合ライン38の位置や形状について説明する。図6に示すように、接合ライン36、38はテーラードブランク材TBを構成する複数の板部材TB1、TB2、TB3を接合する接合ラインであり、そのうちの第2接合ライン38は梁部16と下端の取付部14とを接合するラインである。第2接合ライン38は、後部ドアの下側のヒンジを取り付けるためのドアヒンジ取付部28Dと車体のサイドシル20(図1参照)への接合部との間の拡幅領域に形成される。
第2接合ライン38は、テーラードブランク材TBの状態において、センターピラー外側部材10における両側の縦壁部24L、24Rに形成される部分L2、R2が天板部22まで延長されて、天板部22において互いに接続される。天板部22では梁部16の下縁が凸、下端の取付部14の上縁が凹となっており、長手方向に凹凸嵌合52される。
図8に示すように、一つの実施形態として、テーラードブランク材TBの状態において、第2接合ライン38は、縦壁部24L、24Rに形成された部分L2、R2からそのまま直線状に天板部22まで延び、天板部22において弧状40に接続された形態とすることができる。このように第2接合ライン38の凹凸嵌合52の形態を弧状40とすると、センターピラー外側部材10のプレス成形時、又は車両が側面衝突を受けた時に天板部22の第2接合ライン38に応力集中が生じるのを避けることができる。
図9に示すように、別の実施形態として、テーラードブランク材TBの状態において、第2接合ライン38は、縦壁部24L、24Rに形成された部分L2、R2から直線状に天板部22まで延びた延長部分50、51を有し、天板部22においてその延長部分50、51同士が他の直線部分42を介して接続することができる。これにより、この直線部分42と前述の延長部分50、51との交点(直線部分42の両端)に角44、46が形成される。この形態によれば、センターピラー外側部材10を形成するために組み合わせるテーラードブランク材TBの1個の部材の長手方向の長さを、上述した第1の形成例及び後述する第3の形成例の場合に比べ短くすることができる。これにより、歩留まりを良くすることができる。
図10に示すように、さらに別の実施形態として、テーラードブランク材TBの状態において、第2接合ライン38は、縦壁部24L、24Rに形成された部分L2、R2からそのまま直線状に天板部22まで延びており、1点で角48が形成された形態とすることができる。なお、図6に二点鎖線で描かれた第2接合ライン38は、この図10のテーラードブランク材TBの第2接合ライン38を仮想的に示したものである。第2接合ライン38をこのような単純な形状とすれば、第2接合ライン38が形成し易い。
図11及び図12は従来のセンターピラー外側部材110を示す。図11は先に説明した実施形態の図6に対応し、図12は図7に対応する。従来の一般的な接合ライン138は、図11から分かるように、テーラードブランク材TBの状態において直線状に形成されている。このため、プレス成形時には、接合ライン138の縦壁部24L、24Rに位置する部分L3、R3の方向は、図12に示すように、成形時のプレス方向Yとは異なった方向となっている。このように接合ライン138の縦壁部24L、24Rに位置する部分L3、R3がプレス方向Yと異なった方向であると、本明細書の冒頭でも説明したように、その部分L3、R3の両側の強度差に起因して、接合ライン138に沿って割れが生じる恐れがある。
上記実施形態ではテーラードブランク材TBを構成する部材が3部材であり、その接合ラインが2本であったが、これに限らない。
最後に上記実施形態の利点を付記しておく。
Claims (7)
- 長手方向に複数の部材が少なくとも一つの接合ラインに沿って接合されて形成されたテーラードブランク材がプレス成形によりハット型断面となるように形成されてなる車両用センターピラー部材であって、
天板部と、両側の縦壁部とを有し、
前記縦壁部における前記テーラードブランク材の前記少なくとも一つの接合ラインがプレス成形時におけるプレス方向と同一方向となっている、車両用センターピラー部材。 - 請求項1に記載の車両用センターピラー部材であって、
前記少なくとも一つの接合ラインは、前記テーラードブランク材の状態において、前記天板部において前記テーラードブランク材を成す両側の部材が凹凸嵌合されるような形状に曲がっている、車両用センターピラー部材。 - 請求項2に記載の車両用センターピラー部材であって、
前記少なくとも一つの接合ラインは、前記テーラードブランク材の状態において、前記両側の縦壁部に形成された接合ラインから前記天板部まで直線状に延びており、前記天板部において1つの角を成して接続されている、車両用センターピラー部材。 - 請求項2に記載の車両用センターピラー部材であって、
前記少なくとも一つの接合ラインは、前記テーラードブランク材の状態において、前記両側の縦壁部から前記天板部まで直線状に延びており、前記天板部において弧状部分を介して接続されている、車両用センターピラー部材。 - 請求項2に記載の車両用センターピラー部材であって、
前記少なくとも一つの接合ラインは、前記テーラードブランク材の状態において、前記両側の縦壁部から前記天板部まで直線状に延び、前記天板部において他の直線部分を介して接続されて、この直線部分の両端に2つの角を形成している、車両用センターピラー部材。 - 請求項1~5の何れかに記載の車両用センターピラー部材であって、
下側ドアヒンジ取付部と、車体のサイドシルへの接合部と、これらの間の拡幅領域とを有しており、
前記少なくとも一つの接合ラインのうちの一つが前記拡幅領域に位置する、車両用センターピラー部材。 - 請求項1~6の何れかに記載の車両用センターピラー部材を製造する方法であって、
前記縦壁部における前記少なくとも一つの接合ラインがプレス方向と同一方向となるように前記テーラードブランク材を形成し、前記テーラードブランク材を前記プレス方向にプレスすることにより前記車両用センターピラー部材を成形する、方法。
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