WO2021261598A1 - 薬剤誘発性徐脈および徐脈性不整脈治療薬 - Google Patents
薬剤誘発性徐脈および徐脈性不整脈治療薬 Download PDFInfo
- Publication number
- WO2021261598A1 WO2021261598A1 PCT/JP2021/024254 JP2021024254W WO2021261598A1 WO 2021261598 A1 WO2021261598 A1 WO 2021261598A1 JP 2021024254 W JP2021024254 W JP 2021024254W WO 2021261598 A1 WO2021261598 A1 WO 2021261598A1
- Authority
- WO
- WIPO (PCT)
- Prior art keywords
- bradycardia
- induced
- drug
- therapeutic agent
- arrhythmia
- Prior art date
Links
- ZZUSANGEAUESFL-XZOQPEGZSA-N CC(C)([C@@H]([C@H](c1c2)NCCc3ccccc3)O)Oc1cc1c2nc(CO)cc1C Chemical compound CC(C)([C@@H]([C@H](c1c2)NCCc3ccccc3)O)Oc1cc1c2nc(CO)cc1C ZZUSANGEAUESFL-XZOQPEGZSA-N 0.000 description 1
Images
Classifications
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K31/00—Medicinal preparations containing organic active ingredients
- A61K31/33—Heterocyclic compounds
- A61K31/395—Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins
- A61K31/435—Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins having six-membered rings with one nitrogen as the only ring hetero atom
- A61K31/47—Quinolines; Isoquinolines
- A61K31/4738—Quinolines; Isoquinolines ortho- or peri-condensed with heterocyclic ring systems
- A61K31/4741—Quinolines; Isoquinolines ortho- or peri-condensed with heterocyclic ring systems condensed with ring systems having oxygen as a ring hetero atom, e.g. tubocuraran derivatives, noscapine, bicuculline
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P9/00—Drugs for disorders of the cardiovascular system
- A61P9/06—Antiarrhythmics
Abstract
【課題】薬剤誘発性徐脈および徐脈性不整脈治療薬を提供する。 【解決手段】下記の化合物(I)又はそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分として含む薬剤誘発性徐脈および徐脈性不整脈の治療剤。 (式中、Phはフェニル基を表す。)
Description
本発明は、薬剤誘発性徐脈および徐脈性不整脈治療薬に関する。
不整脈とは、心拍数や心臓の拍動リズムが不規則になった状態をいい、様々な心電図の異常を呈する。心拍数の異常による不整脈は、頻脈性不整脈及び徐脈性不整脈に分類することができる。ヒトの安静時の心拍数は、通常50拍~100拍/分程度であるが、これを下回っている場合を徐脈、多い場合を頻脈という。徐脈性不整脈では、洞不全症候群(SSS:Sick sinus syndrome)、房室ブロック(A-V block)、房室解離(A-V dissociation)、接合部性調律(Junctional rhythm)などが挙げられる。
洞不全症候群とは、主に洞結節の機能が低下することによって脈が遅くなり、そのために脳、心臓、腎臓等の機能不全が認められる疾患である。心電図的には、1)洞性徐脈(心拍数50拍/分以下)、2)洞停止又は洞房ブロック、3)徐脈頻脈症候群の3種に分類される。臨床的には、Adams-Stokes(アダムス・ストークス)発作、心不全、易疲労性などの症状が慢性的に出現する。治療方法としては、洞結節の自発的興奮回数を増強させるために、抗コリン薬(硫酸アトロピン)、β刺激剤などの経口薬や静脈注射剤を用いることがあり、これらの投与によっても徐脈が改善しない場合や、薬剤投与を中止すると症状が悪化する場合は、ペースメーカーを用いる場合がある。
心臓における電気刺激の始まりである洞結節は、心筋の一部が特殊化して自動能を獲得した組織であり、特異的なタンパクが発現している。そのなかでも、洞結節の機能にもっとも重要なのがチャネルとよばれる細胞膜タンパク群である。チャネルは細胞膜を介して、イオンを透過させることにより細胞内外における電位勾配の形成に寄与し、洞結節のみならず、すべての心筋細胞の電気信号の伝播と、それに続いておこる心臓の収縮・弛緩という最も重要な心臓としての機能に関与する。
また、薬剤誘発性徐脈性不整脈とは、何らかの疾患治療を目的として投与された薬剤により前記の徐脈性不整脈が誘発された状態を指す。
薬剤誘発性徐脈性不整脈に関し、ある種の医薬品が不整脈を引き起こすことは古くから知られていた。さらに近年、多発性硬化症などの治療薬として用いられるフィンゴリモドやシポニモドといったスフィンゴシン-1-リン酸(S1P)受容体モジュレーターにより徐脈性不整脈が誘発されることが報告された(例えば、非特許文献1、2)。
これらの薬剤誘発性徐脈性不整脈の発生機序は、いまだ十分に解明されていない。S1P受容体モジュレーターによる徐脈性不整脈の発生機序についても同様である。例えば、S1P受容体モジュレーターの一つであるフィンゴリモドが誘発する徐脈性不整脈の発生機序については、S1P受容体サブタイプの1つであるS1P1またはS1P3が関与する心臓アセチルコリン活性化カリウムチャネル(KAChチャネル)の活性化(例えば、非特許文献3)や、フィンゴリモドによる直接的なチャネル阻害作用(例えば、非特許文献4、5)の可能性が報告されている。しかし、前記の可能性も含めて発生機序は十分解明されておらず、またこのような薬剤誘発性徐脈性不整脈に対する治療に有効な薬剤も知られていない。
また、β遮断薬、カルシウム拮抗薬またはジギタリス製剤なども徐脈を誘発することが知られており、治療上の問題となることがある。例えば、心不全などの治療に用いられるβ遮断薬については、少量より開始し、心拍数をはじめとした薬剤忍容性をみながら段階的に増量していくことが望ましい。β遮断薬の効果には用量反応性があるとされ、日本人の軽度~中等度の慢性心不全患者におけるβ遮断薬カルベジロールの至適用量を検討するため,2用量[5mg/日および20mg/日(分2)]の有効性および安全性が比較検討されたMUCHA試験では、左室駆出率の改善は用量依存性に増大がみられたため、高用量まで増量するのが望ましいと考えられる。β遮断薬の開始および増量中に、徐脈に伴う脳虚血症状を有する場合や,徐脈が関連する心不全症状を有する場合には,まず薬剤の減量または中止を考慮しなければならない。しかし、β遮断薬などの薬剤が心不全治療に有効であり,継続や増量が必要不可欠であると判断される場合には,ペースメーカーの植込みを考慮することもある(例えば、非特許文献6、7)。
実際に、心不全に対するペースメーカー療法である心臓再同期療法(CRT)において、CRT植込み後は、β遮断薬の高用量の長期内服維持が可能であり、生存期間の延長と関連していたとの報告がある(例えば、非特許文献8)。ここで、薬剤により徐脈が解消できればなお望ましい。
実際に、心不全に対するペースメーカー療法である心臓再同期療法(CRT)において、CRT植込み後は、β遮断薬の高用量の長期内服維持が可能であり、生存期間の延長と関連していたとの報告がある(例えば、非特許文献8)。ここで、薬剤により徐脈が解消できればなお望ましい。
したがって、薬剤誘発性徐脈および徐脈性不整脈の新たな治療剤や予防剤の開発が求められている。
Journal of the American Society of Nephrology、2002;13:1073-1083.
British Journal of Clinical Pharmacology、2013;75:831-841.
American Journal of Transplantation、2005;5:529-36.
Toxicology and Applied Pharmacology、2014;15:281:39-47.
Fundamental & Clinical Pharmacology、2017;31:392-402.
日本循環器学会/日本心不全学会合同ガイドライン 急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)、58-59.
Am Heart J,2004;147:324-330.
Optimization of Heart Failure Medication After Cardiac Resynchronization Therapy and the Impact on Long-Term Survival, Eur Heart J Cardiovasc Pharmacother. 2015;1(3):182-188.
本発明は、新規な薬剤誘発性徐脈および徐脈性不整脈治療薬を提供することを課題とする。
前述のKAChチャネルとは、心臓アセチルコリン活性化カリウムチャネルである。迷走神経終端よりアセチルコリンが放出されるとムスカリン作動性アセチルコリン受容体であるM2受容体の活性化を介してKAChチャネルが開口し、カリウムイオンが細胞外へ流出することにより心拍数が一定になるように制御しており、特に、副交感神経の活性化時には心拍数を減少させる生理作用を担っている。
(3R,4S)-7-ヒドロキシメチル-2,2,9-トリメチル-4-(フェネチルアミノ)-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[2,3-g]キノリン-3-オール(以下、化合物(I)または本発明化合物とも記載する)は、心房選択的な不応期延長作用を有し、心房細動などの不整脈への有効性が報告されている化合物である(国際公開第2005/090357号など参照)。本発明者らは、化合物(I)がKAChチャネルの阻害作用を有することを見出している。
上記のとおり、本発明化合物は、KAChチャネルの阻害作用による抗心房細動作用が知られている。しかし、交感神経活性化時に高頻脈になることが多い心房細動と、薬剤誘発性徐脈性不整脈とはおよそ正反対の病態ともいえる。
しかし、本発明者らが鋭意検討したところ、おどろくべきことに、本発明化合物が高い薬剤誘発性徐脈性不整脈の予防効果および停止効果を有することが明らかとなった。
したがって、本発明は、以下のとおりである。
(3R,4S)-7-ヒドロキシメチル-2,2,9-トリメチル-4-(フェネチルアミノ)-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[2,3-g]キノリン-3-オール(以下、化合物(I)または本発明化合物とも記載する)は、心房選択的な不応期延長作用を有し、心房細動などの不整脈への有効性が報告されている化合物である(国際公開第2005/090357号など参照)。本発明者らは、化合物(I)がKAChチャネルの阻害作用を有することを見出している。
上記のとおり、本発明化合物は、KAChチャネルの阻害作用による抗心房細動作用が知られている。しかし、交感神経活性化時に高頻脈になることが多い心房細動と、薬剤誘発性徐脈性不整脈とはおよそ正反対の病態ともいえる。
しかし、本発明者らが鋭意検討したところ、おどろくべきことに、本発明化合物が高い薬剤誘発性徐脈性不整脈の予防効果および停止効果を有することが明らかとなった。
したがって、本発明は、以下のとおりである。
(1)
下記の化合物(I)又はそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分として含む薬剤誘発性徐脈および徐脈性不整脈の治療剤。
(式中、Phはフェニル基を表す。)
(2)
前記薬剤誘発性徐脈性不整脈が、S1P受容体モジュレーター誘発性徐脈性不整脈である、(1)に記載の治療剤。
(3)
前記薬剤誘発性徐脈性不整脈が、S1P1モジュレーター誘発性徐脈性不整脈である、(1)に記載の治療剤。
(4)
前記薬剤誘発性徐脈性不整脈が、フィンゴリモドにより誘発される徐脈性不整脈である、(1)に記載の治療剤。
(5)
前記薬剤誘発性徐脈性不整脈が、シポニモドにより誘発される徐脈性不整脈である、(1)に記載の治療剤。
(6)
前記薬剤誘発性徐脈性不整脈が、β遮断薬誘発性徐脈性不整脈である、(1)に記載の治療剤。
(7)
前記薬剤誘発性徐脈性不整脈が、プロプラノロールにより誘発される徐脈性不整脈である、(1)に記載の治療剤。
(8)
前記薬剤誘発性徐脈性不整脈が、以下の徐脈のいずれかである、(1)に記載の治療剤。
((a)洞性徐脈、(b)洞停止、(c)洞房ブロック、(d)房室ブロック、(e)洞機能不全、(f)徐脈性心不全、(g)徐脈性心房細動。)
(9)
前記薬剤誘発性徐脈性不整脈が、洞性徐脈又は房室ブロックのいずれかである、(1)に記載の治療剤。
(10)
前記薬剤誘発性徐脈性不整脈が、洞性徐脈である、(1)に記載の治療剤。
(11)
前記薬剤誘発性徐脈性不整脈が、房室ブロックである、(1)に記載の治療剤。
(12)
前記治療剤が予防を目的とした治療剤である、(1)に記載の治療剤。
(13)
前記治療剤が停止を目的とした治療剤である、(1)に記載の治療剤。
(14)
KAChチャネルの阻害作用を有する化合物又はそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分として含む薬剤誘発性徐脈および徐脈性不整脈の治療剤。
(15)
前記、薬剤誘発性徐脈および徐脈性不整脈の治療剤が、薬剤誘発性徐脈性不整脈治療剤である(1)~(14)のいずれか1つに記載の治療剤。
(16)
前記、薬剤誘発性徐脈および徐脈性不整脈の治療剤が、徐脈性不整脈治療剤である(1)~(14)のいずれか1つに記載の治療剤。
下記の化合物(I)又はそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分として含む薬剤誘発性徐脈および徐脈性不整脈の治療剤。
(2)
前記薬剤誘発性徐脈性不整脈が、S1P受容体モジュレーター誘発性徐脈性不整脈である、(1)に記載の治療剤。
(3)
前記薬剤誘発性徐脈性不整脈が、S1P1モジュレーター誘発性徐脈性不整脈である、(1)に記載の治療剤。
(4)
前記薬剤誘発性徐脈性不整脈が、フィンゴリモドにより誘発される徐脈性不整脈である、(1)に記載の治療剤。
(5)
前記薬剤誘発性徐脈性不整脈が、シポニモドにより誘発される徐脈性不整脈である、(1)に記載の治療剤。
(6)
前記薬剤誘発性徐脈性不整脈が、β遮断薬誘発性徐脈性不整脈である、(1)に記載の治療剤。
(7)
前記薬剤誘発性徐脈性不整脈が、プロプラノロールにより誘発される徐脈性不整脈である、(1)に記載の治療剤。
(8)
前記薬剤誘発性徐脈性不整脈が、以下の徐脈のいずれかである、(1)に記載の治療剤。
((a)洞性徐脈、(b)洞停止、(c)洞房ブロック、(d)房室ブロック、(e)洞機能不全、(f)徐脈性心不全、(g)徐脈性心房細動。)
(9)
前記薬剤誘発性徐脈性不整脈が、洞性徐脈又は房室ブロックのいずれかである、(1)に記載の治療剤。
(10)
前記薬剤誘発性徐脈性不整脈が、洞性徐脈である、(1)に記載の治療剤。
(11)
前記薬剤誘発性徐脈性不整脈が、房室ブロックである、(1)に記載の治療剤。
(12)
前記治療剤が予防を目的とした治療剤である、(1)に記載の治療剤。
(13)
前記治療剤が停止を目的とした治療剤である、(1)に記載の治療剤。
(14)
KAChチャネルの阻害作用を有する化合物又はそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分として含む薬剤誘発性徐脈および徐脈性不整脈の治療剤。
(15)
前記、薬剤誘発性徐脈および徐脈性不整脈の治療剤が、薬剤誘発性徐脈性不整脈治療剤である(1)~(14)のいずれか1つに記載の治療剤。
(16)
前記、薬剤誘発性徐脈および徐脈性不整脈の治療剤が、徐脈性不整脈治療剤である(1)~(14)のいずれか1つに記載の治療剤。
本発明は、薬剤誘発性徐脈および徐脈性不整脈の治療剤を提供する。
前述のとおり、ヒトの安静時の心拍数は、通常50拍~100拍/分程度であるが、これを下回っている場合を徐脈と呼ぶ。本発明における徐脈性不整脈は、当業者に周知の概念であり、特に限定されないが、一つの態様として、臨床の場で徐脈と判断される疾患である。より具体的には、本発明化合物の治療対象となる徐脈とは本発明化合物により心拍数を増加させ心拍出量を増加させることにより心不全症状が改善する病態である。
また、前述のとおり、薬剤誘発性徐脈性不整脈とは、何らかの疾患治療を目的として投与された薬剤により前記の徐脈性不整脈が誘発された状態を指す。
徐脈を誘発する薬剤としては、β遮断薬、非ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬、ジキタリス製剤、およびS1P受容体モジュレーターなどが知られている。
また、前述のとおり、薬剤誘発性徐脈性不整脈とは、何らかの疾患治療を目的として投与された薬剤により前記の徐脈性不整脈が誘発された状態を指す。
徐脈を誘発する薬剤としては、β遮断薬、非ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬、ジキタリス製剤、およびS1P受容体モジュレーターなどが知られている。
S1P受容体モジュレーターとは、スフィンゴシン-1-リン酸(S1P)受容体のモジュレーターを意味する。S1P受容体モジュレーターは、典型的にはS1P受容体のアンタゴニストである。また、S1P受容体モジュレーターは、典型的にはS1P受容体の機能的アンタゴニストである。本発明におけるS1P受容体モジュレーターは、S1P受容体に影響を与える薬剤であれば、特に限定されない。最も典型的な態様として、本発明におけるS1P受容体モジュレーターは、S1P受容体に影響を与え、かつ徐脈を誘発する薬剤である。一つの態様として、本発明におけるS1P受容体モジュレーターは、フィンゴリモド、シポニモド、セネリモド、ポネシモドまたはオザニモドである。
β遮断薬とは、交感神経のアドレナリン受容体のうち、β受容体のみに遮断作用を示す薬剤である。β遮断薬は、ベータ(beta)ブロッカーとも呼ばれる。本発明におけるβ遮断薬は、交感神経のβアドレナリン受容体の遮断作用を有する薬剤であれば、特に限定されない。最も典型的な態様として、本発明におけるβ遮断薬は、β遮断作用を有し、かつ徐脈を誘発する薬剤である。一つの態様として、本発明におけるβ遮断薬は、カルベジロール、ビソプロロール、メトプロロール、アテノロール、プロプラノロール、ランジオロール、アロチノロール、ピンドロール、ラベタロール、アルプレノロール、ナドロール、アセプトロール、カルテオロールまたはベバントロールである。本発明におけるβ遮断薬は、より好ましくは、カルベジロール、ビソプロロール、メトプロロール、アテノロール、プロプラノロールまたはアロチノロールである。
カルシウム拮抗薬とは、膜電位依存性CaチャネルのひとつであるL型Caチャネルに働き、Caイオンの細胞内流入を抑制する薬剤である。化学構造式の違いからジヒドロピリジン系(ニフェジピン、ニカルジピン、アムロジピン、フェロジピン、ニトレンジピン、ニルバジピン、マニジピン、バルニジピン、シルニジピン、ベニジピン、アビルニジピン、アラニジピンおよびエホニジピン)、ベンゾチアゼピン系(ジルチアゼム)またはフェニルアルキルアミン系(ベラパミル)に分類される。ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬は主に血管平滑筋にCaイオンが入るのを妨げ、血管を拡張させることによって降圧効果をもたらすため、高血圧に対して適用される。ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬が主に末消血管の拡張により血圧を下げるのに対し、非ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬は主に冠動脈の拡張や心筋に対して作用する。非ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬は、主に冠動脈のCaチャネルにおけるCaイオンの流入を拮抗的に阻害することで、冠動脈を拡張させ狭心症の改善作用を示す。また心臓の拍動はCaイオンの流入が関与しており、非ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬は心筋細胞内へのCaイオンの流入を阻害し、頻脈性不整脈を改善する作用を示す。本発明におけるカルシウム拮抗薬は、血管や心筋細胞の電位依存性Caチャネルに働き、Caイオンの細胞内流入を抑制する薬剤であれば、特に限定されない。最も典型的な態様として、本発明におけるカルシウム拮抗薬は、血管拡張作用を有し、かつ心収縮力および洞房結節・房室結節の興奮伝導を抑制するために抗頻脈作用を示し心拍数を減少させる薬剤である。一つの態様として、本発明におけるカルシウム拮抗薬は、ニフェジピン、ニカルジピン、アムロジピン、フェロジピン、ニトレンジピン、ニルバジピン、マニジピン、バルニジピン、シルニジピン、ベニジピン、アビルニジピン、アラニジピン、エホニジピン、ジルチアゼムおよびベラパミルである。
例えば、S1P受容体モジュレーターに関し、フィンゴリモドでは、その添付文書において、「本剤の投与開始後、数日間にわたり心拍数の低下作用がみられる」こと、および「特に投与初期は大きく心拍数が低下することがあるので、循環器を専門とする医師と連携するなど、適切な処置が行える管理下で投与を開始すること」が求められている。
S1P受容体モジュレーターの中でも、フィンゴリモド、シポニモド、セネリモド、ポネシモドおよびオザニモドについては、それぞれ心拍数への影響が報告されている。これらの薬剤は、いずれもS1P1に作用することが知られている。
したがって、本発明における薬剤誘発性徐脈性不整脈とは、以下に記載の疾患と理解される。
(1)薬剤誘発性徐脈性不整脈
(2)S1P受容体モジュレーター誘発性徐脈性不整脈
(3)S1P1モジュレーター誘発性徐脈性不整脈
S1P受容体モジュレーターの中でも、フィンゴリモド、シポニモド、セネリモド、ポネシモドおよびオザニモドについては、それぞれ心拍数への影響が報告されている。これらの薬剤は、いずれもS1P1に作用することが知られている。
したがって、本発明における薬剤誘発性徐脈性不整脈とは、以下に記載の疾患と理解される。
(1)薬剤誘発性徐脈性不整脈
(2)S1P受容体モジュレーター誘発性徐脈性不整脈
(3)S1P1モジュレーター誘発性徐脈性不整脈
また、本発明者らは、後述のとおり、本発明化合物がフィンゴリモドまたはシポニモドにより誘発される徐脈性不整脈に対し有効であることを見出した。
したがって、本発明における薬剤誘発性徐脈性不整脈とは、以下に記載の疾患と理解される。
(4)フィンゴリモドにより誘発される徐脈性不整脈
(5)シポニモドにより誘発される徐脈性不整脈
したがって、本発明における薬剤誘発性徐脈性不整脈とは、以下に記載の疾患と理解される。
(4)フィンゴリモドにより誘発される徐脈性不整脈
(5)シポニモドにより誘発される徐脈性不整脈
β遮断薬に関し、カルベジロールでは、その添付文書において「重大な副作用」として、「高度な徐脈」および「完全房室ブロック」が記載されている。
同様に、ビソプロロールでは、その添付文書において「重大な副作用」として、「高度徐脈」、「完全房室ブロック」および「洞不全症候群」が記載されている。
さらに、その他のβ遮断薬の添付文書における不整脈の副作用として、メトプロロールの添付文書には、房室ブロック、徐脈、洞機能不全が記載され、アテノロールの添付文書には、徐脈、房室ブロック、洞房ブロックが記載され、プロプラノロールの添付文書には、徐脈と房室ブロックが記載され、ランジオロールの添付文書には、完全房室ブロック、洞停止、高度徐脈が記載されている。
また、本発明者らは、後述のとおり、本発明化合物がプロプラノロールにより誘発される徐脈性不整脈に対し有効であることを見出した。β遮断薬は、交感神経のアドレナリン受容体のうちβ受容体の遮断作用を示す薬剤であり、徐脈作用も同じくβ遮断作用に基づくものである。したがって本発明化合物は、全てのβ遮断薬による徐脈に対し同様に有効である。
同様に、ビソプロロールでは、その添付文書において「重大な副作用」として、「高度徐脈」、「完全房室ブロック」および「洞不全症候群」が記載されている。
さらに、その他のβ遮断薬の添付文書における不整脈の副作用として、メトプロロールの添付文書には、房室ブロック、徐脈、洞機能不全が記載され、アテノロールの添付文書には、徐脈、房室ブロック、洞房ブロックが記載され、プロプラノロールの添付文書には、徐脈と房室ブロックが記載され、ランジオロールの添付文書には、完全房室ブロック、洞停止、高度徐脈が記載されている。
また、本発明者らは、後述のとおり、本発明化合物がプロプラノロールにより誘発される徐脈性不整脈に対し有効であることを見出した。β遮断薬は、交感神経のアドレナリン受容体のうちβ受容体の遮断作用を示す薬剤であり、徐脈作用も同じくβ遮断作用に基づくものである。したがって本発明化合物は、全てのβ遮断薬による徐脈に対し同様に有効である。
β遮断薬は、高血圧、心不全、狭心症および心房細動の心拍数コントロールなど、幅広い適用をもつ薬剤である。
これまで、β遮断薬による徐脈を、他の薬剤により解消するという治療は確立されていない。
一方、前述のとおり、β遮断薬による薬剤誘発性徐脈性不整脈を有する心不全に対して、心臓再同期療法などにより徐脈を改善しつつβ遮断薬を投与継続することで、生存期間の延長が期待できることが報告されている。
そこで、本発明者らは、β遮断薬の心拍抑制作用以外の作用(例えば心収縮抑制作用など)に影響を及ぼさずに徐脈を改善できる薬剤、すなわち「薬剤誘発性徐脈性不整脈治療薬」を見出すことができれば、徐脈誘発薬剤(β遮断薬など)と併用内服する、または薬剤誘発性徐脈性不整脈治療薬と徐脈誘発薬剤(β遮断薬など)との合剤を内服することで、慢性心不全の治療薬に成り得ると考えた。
また、狭心症についても、β遮断薬の投与目的は、収縮抑制による心筋酸素消費の減少であり、心拍数の減少は主目的ではない。したがって、狭心症についても、収縮力および血圧を下げ、しかし心拍数だけは保たせる、そういう使途は十分可能性があり、合目的と考えられる。
さらに、β遮断薬を心房細動の心拍数コントロールに用いた場合に誘発される徐脈の改善についても、本発明は、特に夜間の副交感神経優位の際の徐脈を改善することが期待され、心房細動の治療に関し、やはり合目的である。
したがって、心不全、高血圧、狭心症および心房細動の心拍数コントロール、いずれに対するβ遮断の使用により誘発された徐脈であっても、本発明化合物による徐脈治療(補正)は合目的と考えられる。
したがって、一つの態様として、本発明における薬剤誘発性徐脈性不整脈とは、以下に記載の疾患と理解される。
(6)β遮断薬誘発性徐脈性不整脈
(7)プロプラノロールにより誘発される徐脈性不整脈
これまで、β遮断薬による徐脈を、他の薬剤により解消するという治療は確立されていない。
一方、前述のとおり、β遮断薬による薬剤誘発性徐脈性不整脈を有する心不全に対して、心臓再同期療法などにより徐脈を改善しつつβ遮断薬を投与継続することで、生存期間の延長が期待できることが報告されている。
そこで、本発明者らは、β遮断薬の心拍抑制作用以外の作用(例えば心収縮抑制作用など)に影響を及ぼさずに徐脈を改善できる薬剤、すなわち「薬剤誘発性徐脈性不整脈治療薬」を見出すことができれば、徐脈誘発薬剤(β遮断薬など)と併用内服する、または薬剤誘発性徐脈性不整脈治療薬と徐脈誘発薬剤(β遮断薬など)との合剤を内服することで、慢性心不全の治療薬に成り得ると考えた。
また、狭心症についても、β遮断薬の投与目的は、収縮抑制による心筋酸素消費の減少であり、心拍数の減少は主目的ではない。したがって、狭心症についても、収縮力および血圧を下げ、しかし心拍数だけは保たせる、そういう使途は十分可能性があり、合目的と考えられる。
さらに、β遮断薬を心房細動の心拍数コントロールに用いた場合に誘発される徐脈の改善についても、本発明は、特に夜間の副交感神経優位の際の徐脈を改善することが期待され、心房細動の治療に関し、やはり合目的である。
したがって、心不全、高血圧、狭心症および心房細動の心拍数コントロール、いずれに対するβ遮断の使用により誘発された徐脈であっても、本発明化合物による徐脈治療(補正)は合目的と考えられる。
したがって、一つの態様として、本発明における薬剤誘発性徐脈性不整脈とは、以下に記載の疾患と理解される。
(6)β遮断薬誘発性徐脈性不整脈
(7)プロプラノロールにより誘発される徐脈性不整脈
カルシウム拮抗薬は、降圧剤や抗不整脈剤、抗狭心症薬として幅広く使用される薬剤である。カルシウム拮抗薬の作用は、冠動脈を含む血管拡張作用、心収縮力の抑制、刺激伝導系の抑制に分けられる。また、カルシウム拮抗薬は、大きくは、ジヒドロピリジン系、ベンゾチアゼピン系、フェニルアルキルアミン系に分けられる。ジヒドロピリジン系のカルシウム拮抗薬は、その種類も豊富で、主に高血圧治療に使用されており、ニフェジピン、ニカルジピン、アムロジピン、シルニジピンが含まれる。ベンゾチアゼピン系はジルチアゼム、フェニルアルキルアミン系はベラパミルに代表される。
ベラパミルに代表されるフェニルアルキルアミン系のカルシウム拮抗薬は、洞結節や房室結節の抑制作用(陰性変時作用)があるため、上室性頻脈などの頻脈性不整脈に対して抗不整脈剤として使用されるが、一方で重大な副作用として、洞停止、房室ブロック、徐脈等が記載されている。また、陰性変力作用(心収縮抑制作用)が強いため、うっ血性心不全例では禁忌とされている。
そこで、本発明者らは、上室性頻脈などの頻脈性不整脈に対する治療薬としてのベラパミルによって誘発された副作用としての徐脈性不整脈や、徐脈頻脈症候群に伴う徐脈性不整脈に対して、徐脈を改善できる薬剤、すなわち「薬剤誘発性徐脈性不整脈治療薬」を見出すことができれば、ベラパミルと併用内服する、または薬剤誘発性徐脈性不整脈治療薬とベラパミルとの合剤を内服することで、これらの徐脈性不整脈病態の治療薬に成り得ると考えた。
また、ベラパミルに限らず、カルシウム拮抗薬には一般的に、陰性変時作用、血管拡張作用(降圧作用)、陰性変力作用があるが、それらのうちの陰性変時作用による過度な徐脈や房室ブロックを予防、治療する、そういう「薬剤誘発性徐脈性不整脈治療薬」としての使途は十分可能性があり、合目的と考えられる。したがって、心房細動等の上室性頻脈性不整脈、高血圧、狭心症、いずれに対するカルシウム拮抗薬の使用により誘発された徐脈であっても、本発明化合物による徐脈治療(補正)は合目的と考えられる。
したがって、一つの態様として、本発明における薬剤誘発性徐脈性不整脈とは、以下に記載の疾患と理解される。
(8)カルシウム拮抗薬誘発性徐脈性不整脈
(9)ベラパミルにより誘発される徐脈性不整脈
そこで、本発明者らは、上室性頻脈などの頻脈性不整脈に対する治療薬としてのベラパミルによって誘発された副作用としての徐脈性不整脈や、徐脈頻脈症候群に伴う徐脈性不整脈に対して、徐脈を改善できる薬剤、すなわち「薬剤誘発性徐脈性不整脈治療薬」を見出すことができれば、ベラパミルと併用内服する、または薬剤誘発性徐脈性不整脈治療薬とベラパミルとの合剤を内服することで、これらの徐脈性不整脈病態の治療薬に成り得ると考えた。
また、ベラパミルに限らず、カルシウム拮抗薬には一般的に、陰性変時作用、血管拡張作用(降圧作用)、陰性変力作用があるが、それらのうちの陰性変時作用による過度な徐脈や房室ブロックを予防、治療する、そういう「薬剤誘発性徐脈性不整脈治療薬」としての使途は十分可能性があり、合目的と考えられる。したがって、心房細動等の上室性頻脈性不整脈、高血圧、狭心症、いずれに対するカルシウム拮抗薬の使用により誘発された徐脈であっても、本発明化合物による徐脈治療(補正)は合目的と考えられる。
したがって、一つの態様として、本発明における薬剤誘発性徐脈性不整脈とは、以下に記載の疾患と理解される。
(8)カルシウム拮抗薬誘発性徐脈性不整脈
(9)ベラパミルにより誘発される徐脈性不整脈
本発明における、徐脈を誘発する薬剤、β遮断薬、S1P受容体モジュレーター、ジギタリス製剤およびカルシウム拮抗剤は、既存の薬剤、将来当該作用を見出される既存の薬剤、および将来当該作用を見出される新規な薬剤を含む。
本発明の治療剤が対象とする薬剤誘発性徐脈および徐脈性不整脈は、本治療剤が有効である限りにおいて限定されない。
さらに前記のとおり、本発明者らは、本発明化合物が、β遮断薬、カルシウム拮抗薬およびS1P受容体モジュレーターという、全く異なる機序による薬剤それぞれが誘発する徐脈性不整脈を改善することを見出した。すなわち本発明化合物は、β遮断薬、カルシウム拮抗薬およびS1P受容体モジュレーターに限らず、すべての機序による薬剤誘発性徐脈性不整脈に有効である。
さらに前記のとおり、本発明者らは、本発明化合物が、β遮断薬、カルシウム拮抗薬およびS1P受容体モジュレーターという、全く異なる機序による薬剤それぞれが誘発する徐脈性不整脈を改善することを見出した。すなわち本発明化合物は、β遮断薬、カルシウム拮抗薬およびS1P受容体モジュレーターに限らず、すべての機序による薬剤誘発性徐脈性不整脈に有効である。
本発明者らは、本発明化合物が、洞停止、房室ブロックに有効であることを遺伝子改変動物モデルで見出している。
また、前記のとおり、β遮断薬およびカルシウム拮抗薬が誘発する徐脈としては、徐脈、高度な徐脈、完全房室ブロック、房室ブロック、洞不全症候群、洞機能不全、洞停止、高度徐脈が記載され、S1P受容体モジュレーターが誘発する徐脈としては、数日間にわたる心拍数の低下作用が記載されている。
このような様々な態様の徐脈を誘発するβ遮断薬、カルシウム拮抗薬、S1P受容体モジュレーターに対し、本発明者らは、本発明化合物の有効性を明らかにしている。
したがって、本発明の治療剤が対象とする症状は、以下を含みうる。
(8)以下のいずれかの徐脈
(a)洞性徐脈、(b)洞停止、(c)洞房ブロック、(d)房室ブロック、(e)洞機能不全、(f)徐脈性心不全、(g)徐脈性心房細動。
また、前記のとおり、β遮断薬およびカルシウム拮抗薬が誘発する徐脈としては、徐脈、高度な徐脈、完全房室ブロック、房室ブロック、洞不全症候群、洞機能不全、洞停止、高度徐脈が記載され、S1P受容体モジュレーターが誘発する徐脈としては、数日間にわたる心拍数の低下作用が記載されている。
このような様々な態様の徐脈を誘発するβ遮断薬、カルシウム拮抗薬、S1P受容体モジュレーターに対し、本発明者らは、本発明化合物の有効性を明らかにしている。
したがって、本発明の治療剤が対象とする症状は、以下を含みうる。
(8)以下のいずれかの徐脈
(a)洞性徐脈、(b)洞停止、(c)洞房ブロック、(d)房室ブロック、(e)洞機能不全、(f)徐脈性心不全、(g)徐脈性心房細動。
また、本発明者らは、後述のとおり、本発明化合物が薬剤によって誘発された房室ブロックまたは洞性徐脈に対し特に有効であることを見出した。
したがって、本発明化合物が特に有効な薬剤誘発性徐脈性不整脈とは、以下に記載の疾患と理解される。
(9)洞性徐脈又は房室ブロックのいずれか
(10)洞性徐脈
(11)房室ブロック
したがって、本発明化合物が特に有効な薬剤誘発性徐脈性不整脈とは、以下に記載の疾患と理解される。
(9)洞性徐脈又は房室ブロックのいずれか
(10)洞性徐脈
(11)房室ブロック
本発明において、洞性徐脈とは、不整脈の症状のうち、拍動リズムは正常で規則的でありながらも心拍数が遅くなる病態である。洞性徐脈は、一般に、心拍数が毎分50回以下に減少する病態として理解される。洞性徐脈は、洞不全症候群のうちRubenstein分類によるI群の病態として理解される。
本発明において、洞停止とは、洞結節から電気信号が発生しなくなり心房興奮が起こらなくなる病態である。
本発明において、洞房ブロックとは、洞結節と心房との間の興奮伝導障害により心房興奮が起こらなくなる病態をいう。
本発明において、房室ブロックとは、心房と心室との間の興奮伝導障害により心室興奮が起こらなくなる病態をいう。房室ブロックは、以下の病型分類を含む。
(1)第I度房室ブロック
心房-心室間の伝導時間が延長しているもの。(興奮の伝導は保たれている)
(2)第II度房室ブロック:心房-心室の伝導が突然途絶するもの。以下の4類型を含む。
(2-1)Wenckebach型:心房-心室間の伝導が徐々に延長したあとに心室の興奮が脱落するもの。
(2-2)MobitzII型:心房-心室間の伝導の延長なしに突然心室の興奮が脱落するもの。
(2-3)2:1房室ブロック:房室伝導比が2:1のブロック。
(2-4)高度房室ブロック:房室伝導比が3:1以上のブロック。
(3)第III度房室ブロック:心房-心室間の伝導が完全に途絶したもの。
(1)第I度房室ブロック
心房-心室間の伝導時間が延長しているもの。(興奮の伝導は保たれている)
(2)第II度房室ブロック:心房-心室の伝導が突然途絶するもの。以下の4類型を含む。
(2-1)Wenckebach型:心房-心室間の伝導が徐々に延長したあとに心室の興奮が脱落するもの。
(2-2)MobitzII型:心房-心室間の伝導の延長なしに突然心室の興奮が脱落するもの。
(2-3)2:1房室ブロック:房室伝導比が2:1のブロック。
(2-4)高度房室ブロック:房室伝導比が3:1以上のブロック。
(3)第III度房室ブロック:心房-心室間の伝導が完全に途絶したもの。
本発明において、洞機能不全とは、洞結節から心房への興奮伝導障害を指し、生理学的に適切でない心拍数での心房興奮が引き起こされる,いくつかの病態を指す。洞不全症候群としては以下のものがある:
不適切な洞徐脈、交互に生じる徐脈と心房性頻拍性不整脈(徐脈頻脈症候群)、洞停止または洞休止、洞房ブロック。
不適切な洞徐脈、交互に生じる徐脈と心房性頻拍性不整脈(徐脈頻脈症候群)、洞停止または洞休止、洞房ブロック。
本発明において、徐脈性心不全とは、心拍数が過度に低下することにより身体活動に必要とされる循環血液量が保てず、心ポンプ機能の代償機転が破綻した結果、呼吸困難・倦怠感や浮腫が出現し、それに伴い運動耐容能が低下する臨床症候群を指す。ここでいう徐脈はかならずしも心拍数が50回以下である必要はなく、心拍数を増加させることにより心不全症状が改善する可能性のある病態は徐脈性心不全に含め本剤の治療対象となる。
本発明において、徐脈性心房細動とは、心房細動患者において、心房から心室へ電気的興奮を伝える房室結節の機能が何らかの理由で低下し、房室伝導の低下を来すことにより房室ブロックの状態を合併し、結果的に心室徐脈を呈する病態をいう。
また、本発明者らは、後述のとおり、本発明化合物が、特に薬剤によって誘発された徐脈性不整脈の予防または停止に有効であることを見出した。
したがって、本発明における薬剤誘発性徐脈性不整脈の治療剤とは、以下に記載の治療剤と理解される。
(12)
予防を目的とした治療剤
(13)
停止を目的とした治療剤
したがって、本発明における薬剤誘発性徐脈性不整脈の治療剤とは、以下に記載の治療剤と理解される。
(12)
予防を目的とした治療剤
(13)
停止を目的とした治療剤
予防とは、当業者に周知の概念であるが、一つの態様として、「悪い事態がおこらないよう前もってそれをふせぐこと」(広辞苑)である。したがって、本発明の「薬剤誘発性徐脈性不整脈の予防を目的とした治療剤」とは、一つの態様として、「薬剤誘発性徐脈性不整脈がおこらないよう前もってそれをふせぐことを目的とした治療剤」である。
本発明において「前もって」とは、薬剤誘発性徐脈性不整脈が生じる前の時刻であれば、特に限定されない。したがって、予防を目的とした本発明化合物の投与は、不整脈を誘発する化合物(以下、誘発剤)の投与の前であっても、後であっても、前と後に複数回にわたっていても、限定されない。
予防を目的とした本発明化合物の最初の投与は、一つの態様として、誘発剤の投与前であり、一つの態様として、誘発剤の投与の1日前までであり、一つの態様として、誘発剤の投与の12時間前までである。
また、予防を目的とした投与は、臨床の場において、誘発剤と本発明化合物の薬物体内動態を勘案して決定される。したがって臨床の場における当業者にとって「予防を目的とする」と理解される場合は、すべて予防の範疇である。ここにあげる予防の範疇にはさらに、S1P受容体モジュレーターやβ遮断薬などの徐脈性不整脈を発生する薬剤が、徐脈性不整脈出現により適応疾患(S1P受容体モジュレーターの場合は多発性硬化症、β遮断剤の場合は慢性心不全)に対する有効必要量投与が困難な場合、本発明化合物と併用することにより投与開始あるいは増量可能になる場合を含む。
本発明において「前もって」とは、薬剤誘発性徐脈性不整脈が生じる前の時刻であれば、特に限定されない。したがって、予防を目的とした本発明化合物の投与は、不整脈を誘発する化合物(以下、誘発剤)の投与の前であっても、後であっても、前と後に複数回にわたっていても、限定されない。
予防を目的とした本発明化合物の最初の投与は、一つの態様として、誘発剤の投与前であり、一つの態様として、誘発剤の投与の1日前までであり、一つの態様として、誘発剤の投与の12時間前までである。
また、予防を目的とした投与は、臨床の場において、誘発剤と本発明化合物の薬物体内動態を勘案して決定される。したがって臨床の場における当業者にとって「予防を目的とする」と理解される場合は、すべて予防の範疇である。ここにあげる予防の範疇にはさらに、S1P受容体モジュレーターやβ遮断薬などの徐脈性不整脈を発生する薬剤が、徐脈性不整脈出現により適応疾患(S1P受容体モジュレーターの場合は多発性硬化症、β遮断剤の場合は慢性心不全)に対する有効必要量投与が困難な場合、本発明化合物と併用することにより投与開始あるいは増量可能になる場合を含む。
停止とは、当業者に周知の概念であるが、一つの態様として、「いったん動きをとめること」(広辞苑)である。したがって、本発明の「薬剤誘発性徐脈性不整脈の停止を目的とした治療剤」とは、一つの態様として、「薬剤誘発性徐脈性不整脈を止めることを目的とした治療剤」である。また、臨床の場における当業者にとって「停止を目的とする」と理解される場合は、すべて停止の範疇である。
また、前述のとおり、本発明化合物は、心房選択的な不応期延長作用を有し、心房細動などの不整脈への有効性が報告されている化合物である。これら本発明化合物が単剤として薬効を期待される場面ではなく、本発明化合物と誘発剤とが併用される場合であれば、その目的は、薬剤誘発性徐脈性不整脈の治療または予防もしくは停止だと推測される。
前記のとおり、本発明化合物(化合物(I))は、KAChチャネルの阻害作用を有しており、同作用により本発明の効果を示している可能性がある。すなわち、化合物(I)に限らず、KAChチャネルの阻害作用を有する化合物であれば、本発明の効果を示す可能性が高い。したがって、1つの態様として、本発明の治療剤は以下のとおりである。
(14)
KAChチャネルの阻害作用を有する化合物又はそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分として含む薬剤誘発性徐脈および徐脈性不整脈の治療剤。
(14)
KAChチャネルの阻害作用を有する化合物又はそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分として含む薬剤誘発性徐脈および徐脈性不整脈の治療剤。
一つの態様として、本発明は、薬剤誘発性徐脈および徐脈性不整脈の治療剤を提供する。本明細書により示されているとおり、本発明化合物は、薬剤誘発性徐脈性不整脈にも、薬剤誘発性ではない徐脈性不整脈にも有効である。したがって、本発明における薬剤誘発性徐脈および徐脈性不整脈の治療剤とは、以下に記載の治療剤と理解される。また本発明化合物は実施例に記載した通り、初期の心拍数が50回以上であっても心拍数を増加させ、心拍出量を増加させる作用がある。そのためここでいう徐脈性不整脈とは心拍数毎分50拍以下に限らず本化合物により心拍数が増加し心不全症状が改善する可能性のある病態を含める。
(15)
薬剤誘発性徐脈性不整脈治療剤。
(16)
徐脈性不整脈治療剤。
(15)
薬剤誘発性徐脈性不整脈治療剤。
(16)
徐脈性不整脈治療剤。
一つの態様として、前記の臨床場面からすると、薬剤誘発性徐脈薬の治療薬は、当該薬剤の薬効に影響を与えないことが好ましい。例えば、S1P受容体モジュレーター誘発性の徐脈の治療剤は、S1P受容体モジュレーターの末梢血中リンパ球減少作用を阻害しないことが好ましい。しかし、複数の薬物間の複数の薬効の相互の影響については不明な点も多く、薬効の相互作用の有無についての予測は難しい。本発明者らは、驚くべきことに、化合物(I)が、S1P受容体モジュレーターの末梢血中リンパ球減少作用を阻害しないことも見出した。
本発明の治療剤に含まれる化合物(I)とは、前述のとおり、(3R,4S)-7-ヒドロキシメチル-2,2,9-トリメチル-4-(フェネチルアミノ)-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[2,3-g]キノリン-3-オールである。
一つの態様として、化合物(I)は、(3R,4S)体を含むラセミ混合物またはジアステレオマー混合物でもよい。
その他の態様として、本発明の治療剤に含まれる化合物は、化合物(I)の類縁体であっても良い。当該類縁体の例としては、国際公開第2005/090357号に記載の化合物が挙げられる。
一つの態様として、化合物(I)は、(3R,4S)体を含むラセミ混合物またはジアステレオマー混合物でもよい。
その他の態様として、本発明の治療剤に含まれる化合物は、化合物(I)の類縁体であっても良い。当該類縁体の例としては、国際公開第2005/090357号に記載の化合物が挙げられる。
本発明の治療剤に含まれる化合物(I)は、薬理学的に許容される塩の形態であっても良い。
薬理学的に許容される塩の例としては塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、メタンスルホン酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、酒石酸塩、リン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、リンゴ酸塩、グルコン酸塩及びサリチル酸塩等が挙げられる。
化合物(I)の好ましい塩は、塩酸塩、マレイン酸塩及びメタンスルホン酸塩である。
薬理学的に許容される塩の例としては塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、メタンスルホン酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、酒石酸塩、リン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、リンゴ酸塩、グルコン酸塩及びサリチル酸塩等が挙げられる。
化合物(I)の好ましい塩は、塩酸塩、マレイン酸塩及びメタンスルホン酸塩である。
本発明の治療剤に含まれる化合物は、結晶であっても良い。結晶は、本発明の目的を阻害しない限り、どのような結晶形であっても良い。化合物(I)の好ましい結晶形の例としては、国際公開第2010/126138号に記載の結晶形が挙げられる。一つの態様として、同結晶は、X線源としてCu・Kαを用いた際の粉末X線回折のパターンとして、回折角2θ=5.6、8.2、12.0、14.7、16.6、16.9、17.9、18.4、22.5、24.5、27.6(±0.2°)に特徴的なピークを有する結晶である。その他の態様として、同結晶は、前記11本のピークのうち、任意の3本、5本、7本または9本のピークを有する結晶である。粉末X線回折による結晶形の同定は、当業者による技術常識、例えば、日本薬局方の記載に基づき行われる。Cu・Kα線以外のX線を用いた場合は、ブラッグの式に基づく2θ値の換算により回折角のパターンが比較される。2θ値の測定誤差は、通常±0.2°の範囲であるが、0.2°以上の誤差を有するピークが少数存在したとしても、当業者の合理的な同定を妨げるものではない。
本発明の治療剤に含まれる化合物(I)は、公知の方法によって製造できる。当該公知の方法とは、例えば、国際公開第2005/090357号、国際公開第2010/126138号である。また、化合物(I)の製造にあたっては、国際公開第2007/105658号、国際公開第2014/050613号、国際公開第2014/051077号、国際公開第2015/012271号などを参考にすることができる。
本発明は、前記の治療に有効な量の本発明化合物を含む医薬組成物又は獣医薬組成物を提供する。
本発明に係る化合物の投与形態としては、注射剤(皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内注射)、軟膏剤、坐剤、エアゾール剤等による非経口投与又は錠剤、カプセル剤、顆粒剤、丸剤、シロップ剤、液剤、乳剤、懸濁液剤等による経口投与をあげることができる。
本発明に係る化合物を含有する上記の医薬的又は獣医薬的組成物は、全組成物の重量に対して、本発明に係る化合物を約0.01%~99.5%、好ましくは、約0.1%~30%を含有する。
本発明に係る化合物の投与形態としては、注射剤(皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内注射)、軟膏剤、坐剤、エアゾール剤等による非経口投与又は錠剤、カプセル剤、顆粒剤、丸剤、シロップ剤、液剤、乳剤、懸濁液剤等による経口投与をあげることができる。
本発明に係る化合物を含有する上記の医薬的又は獣医薬的組成物は、全組成物の重量に対して、本発明に係る化合物を約0.01%~99.5%、好ましくは、約0.1%~30%を含有する。
本発明に係る化合物に又は該化合物を含有する組成物に加えて、他の医薬的に又は獣医薬的に活性な化合物を含ませることができる。
また、これらの組成物は、本発明に係る化合物の複数を含ませることができる。
また、これらの組成物は、本発明に係る化合物の複数を含ませることができる。
本発明化合物の臨床的投与量は、年齢、体重、患者の感受性、症状の程度等により異なるが、通常効果的な投与量は、成人一日当たり0.003g~1.5g、好ましくは、0.01g~0.6g程度である。しかし必要により上記の範囲外の量を用いることもできる。
本発明化合物は、製薬の慣用手段によって投与用に製剤化される。
即ち、経口投与用の錠剤、カプセル剤、顆粒剤、丸剤は、賦形剤、例えば白糖、乳糖、ブドウ糖、でんぷん、マンニット;結合剤、例えばヒドロキシプロピルセルロース、シロップ、アラビアゴム、ゼラチン、ソルビット、トラガント、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン;崩壊剤、例えばでんぷん、カルボキシメチルセルロース又はそのカルシウム塩、微結晶セルロース、ポリエチレングリコール;滑沢剤、例えばタルク、ステアリン酸マグネシウム又はカルシウム、シリカ;潤滑剤、例えばラウリル酸ナトリウム、グリセロール等を使用して調製される。
注射剤、液剤、乳剤、懸濁剤、シロップ剤及びエアゾール剤は、活性成分の溶剤、例えば水、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ポリエチレングリコール;界面活性剤、例えばソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、水素添加ヒマシ油のポリオキシエチレンエーテル、レシチン;懸濁剤、例えばカルボキシメチルナトリウム塩、メチルセルロース等のセルロース誘導体、トラガント、アラビアゴム等の天然ゴム類;保存剤、例えばパラオキシ安息香酸のエステル、塩化ベンザルコニウム、ソルビン酸塩等を使用して調製される。
経皮吸収型製剤である軟膏には、例えば白色ワセリン、流動パラフィン、高級アルコール、マクロゴール軟膏、親水軟膏、水性ゲル基剤等が用いられる。
坐剤は、例えばカカオ脂、ポリエチレングリコール、ラノリン、脂肪酸トリグリセライド、ココナット油、ポリソルベート等を使用して調製される。
即ち、経口投与用の錠剤、カプセル剤、顆粒剤、丸剤は、賦形剤、例えば白糖、乳糖、ブドウ糖、でんぷん、マンニット;結合剤、例えばヒドロキシプロピルセルロース、シロップ、アラビアゴム、ゼラチン、ソルビット、トラガント、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン;崩壊剤、例えばでんぷん、カルボキシメチルセルロース又はそのカルシウム塩、微結晶セルロース、ポリエチレングリコール;滑沢剤、例えばタルク、ステアリン酸マグネシウム又はカルシウム、シリカ;潤滑剤、例えばラウリル酸ナトリウム、グリセロール等を使用して調製される。
注射剤、液剤、乳剤、懸濁剤、シロップ剤及びエアゾール剤は、活性成分の溶剤、例えば水、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ポリエチレングリコール;界面活性剤、例えばソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、水素添加ヒマシ油のポリオキシエチレンエーテル、レシチン;懸濁剤、例えばカルボキシメチルナトリウム塩、メチルセルロース等のセルロース誘導体、トラガント、アラビアゴム等の天然ゴム類;保存剤、例えばパラオキシ安息香酸のエステル、塩化ベンザルコニウム、ソルビン酸塩等を使用して調製される。
経皮吸収型製剤である軟膏には、例えば白色ワセリン、流動パラフィン、高級アルコール、マクロゴール軟膏、親水軟膏、水性ゲル基剤等が用いられる。
坐剤は、例えばカカオ脂、ポリエチレングリコール、ラノリン、脂肪酸トリグリセライド、ココナット油、ポリソルベート等を使用して調製される。
以下に実施例を示し、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
評価例1
イソフルラン麻酔下モルモットモデルにおけるフィンゴリモド誘発徐脈性不整脈に対する化合物(I)の予防効果
Hartleyモルモット(週齢7-10週、雄性、日本SLC株式会社)に対して、溶媒あるいは化合物(I)(フリー体)1, 3, 10 mg/kg(容量:5 mL/kg)を強制経口投与し、投与後、イソフルラン(ファイザー株式会社)吸入による導入麻酔を施し、ヒーター機能付き手術台に保定した。気管を切開し、気管カニューレ(KN-375/株式会社夏目製作所)を挿入し、人工呼吸器(SN-480-7/株式会社シナノ製作所)と接続し、容量10 mL、換気回数60回/分で100%酸素を供給して人工呼吸管理した。溶媒には0.5w/v% メチルセルロース400溶液(富士フィルム和光純薬株式会社)を用いた。維持麻酔としてイソフルラン(ファイザー株式会社)麻酔、約1-4%(キャリアーガスは100%酸素)を用いた。頸動脈および頸静脈に50 units/mL ヘパリン(エイワイファーマ株式会社)を充填したカテーテル(BD intramedic polyethylene tubing PE50/Becton Dickinson and Company)を挿入し、それぞれ血管内で留置した。頸動脈に留置したカテーテルを介して、高感度直流増幅器(AD-611J/日本光電工業株式会社)を用いて体血圧を測定した。体表面に電極を取り付け、高感度増幅器(AB-611J/日本光電工業株式会社)を用いて体表面心電図を測定した。血圧および心電図はPowerLab/Labchartシステム(ADInstruments)を用いてデータ取得、解析を行った。解析項目は、収縮期血圧、拡張期血圧、平均血圧、心拍数、P波幅、PR間隔、QRS幅、QT間隔、補正QT間隔である。補正QT間隔はfridelicia式(QTc=QT間隔/RR間隔1/3)を用いて算出した。各パラメータの安定後、頸静脈に留置したカテーテルを介して、フィンゴリモド塩酸塩(国際公開第2000/027798号を参考に合成)0.1 mg/kgを10分間静脈内持続投与し、60分間の間での徐脈性不整脈発症の有無を観察した。溶媒には生理食塩水(株式会社大塚製薬工場)を用いた。フィンゴリモド塩酸塩投与開始後、5、10、15、20、30および60分後にデータの記録並びに採血を行った。投与開始後60分後に観察を終了し、個体はイソフルラン麻酔下、放血あるいは多量のペントバルビタールまたは飽和塩化カリウム溶液静脈内投与により安楽殺した。経時的な心房拍動数、経時的な心室拍動数、心電図パラメータ、房室ブロック発症の有無、化合物(I)、フィンゴリモドおよびフィンゴリモドリン酸化体の血漿中濃度をデータ解析した。血液を遠心分離することで血漿を回収し、約-20℃で冷凍保存した。血漿を融解させた後に、アセトニトリルによる除タンパク後にLC/MS/MSを用いて血漿中薬物濃度測定を行った。
房室ブロックの定義は以下の通りとした。
2度房室ブロック:心房興奮波(P波)は正常で、後ろに心室興奮波(QRS波)が続くものと続かないものが混在している
3度房室ブロック:心房と心室の間に電気的伝導がなく,心房興奮波と心室興奮波は無関係に発生し、房室乖離している。
各群での各パラメータ測定値の経時的な変化を図1に示し、得られた代表的な心電図波形を図2に示す。なお、図1において、測定値は平均値±標準誤差で表した。また、各略号等は以下のとおりである。
・(I):化合物(I)
・房室ブロック:房室ブロックの発症の有無
(×は2度あるいは3度房室ブロックを示す)
・PR & QRS:房室伝導時間と心室興奮時間
・QT & QTcF:心室の再分極時間と心拍数補正した心室再分極時間
・血漿中濃度:フィンゴリモド、フィンゴリモドのリン酸化体(-P)、化合物(I)の血漿中濃度
イソフルラン麻酔下モルモットモデルにおけるフィンゴリモド誘発徐脈性不整脈に対する化合物(I)の予防効果
Hartleyモルモット(週齢7-10週、雄性、日本SLC株式会社)に対して、溶媒あるいは化合物(I)(フリー体)1, 3, 10 mg/kg(容量:5 mL/kg)を強制経口投与し、投与後、イソフルラン(ファイザー株式会社)吸入による導入麻酔を施し、ヒーター機能付き手術台に保定した。気管を切開し、気管カニューレ(KN-375/株式会社夏目製作所)を挿入し、人工呼吸器(SN-480-7/株式会社シナノ製作所)と接続し、容量10 mL、換気回数60回/分で100%酸素を供給して人工呼吸管理した。溶媒には0.5w/v% メチルセルロース400溶液(富士フィルム和光純薬株式会社)を用いた。維持麻酔としてイソフルラン(ファイザー株式会社)麻酔、約1-4%(キャリアーガスは100%酸素)を用いた。頸動脈および頸静脈に50 units/mL ヘパリン(エイワイファーマ株式会社)を充填したカテーテル(BD intramedic polyethylene tubing PE50/Becton Dickinson and Company)を挿入し、それぞれ血管内で留置した。頸動脈に留置したカテーテルを介して、高感度直流増幅器(AD-611J/日本光電工業株式会社)を用いて体血圧を測定した。体表面に電極を取り付け、高感度増幅器(AB-611J/日本光電工業株式会社)を用いて体表面心電図を測定した。血圧および心電図はPowerLab/Labchartシステム(ADInstruments)を用いてデータ取得、解析を行った。解析項目は、収縮期血圧、拡張期血圧、平均血圧、心拍数、P波幅、PR間隔、QRS幅、QT間隔、補正QT間隔である。補正QT間隔はfridelicia式(QTc=QT間隔/RR間隔1/3)を用いて算出した。各パラメータの安定後、頸静脈に留置したカテーテルを介して、フィンゴリモド塩酸塩(国際公開第2000/027798号を参考に合成)0.1 mg/kgを10分間静脈内持続投与し、60分間の間での徐脈性不整脈発症の有無を観察した。溶媒には生理食塩水(株式会社大塚製薬工場)を用いた。フィンゴリモド塩酸塩投与開始後、5、10、15、20、30および60分後にデータの記録並びに採血を行った。投与開始後60分後に観察を終了し、個体はイソフルラン麻酔下、放血あるいは多量のペントバルビタールまたは飽和塩化カリウム溶液静脈内投与により安楽殺した。経時的な心房拍動数、経時的な心室拍動数、心電図パラメータ、房室ブロック発症の有無、化合物(I)、フィンゴリモドおよびフィンゴリモドリン酸化体の血漿中濃度をデータ解析した。血液を遠心分離することで血漿を回収し、約-20℃で冷凍保存した。血漿を融解させた後に、アセトニトリルによる除タンパク後にLC/MS/MSを用いて血漿中薬物濃度測定を行った。
房室ブロックの定義は以下の通りとした。
2度房室ブロック:心房興奮波(P波)は正常で、後ろに心室興奮波(QRS波)が続くものと続かないものが混在している
3度房室ブロック:心房と心室の間に電気的伝導がなく,心房興奮波と心室興奮波は無関係に発生し、房室乖離している。
各群での各パラメータ測定値の経時的な変化を図1に示し、得られた代表的な心電図波形を図2に示す。なお、図1において、測定値は平均値±標準誤差で表した。また、各略号等は以下のとおりである。
・(I):化合物(I)
・房室ブロック:房室ブロックの発症の有無
(×は2度あるいは3度房室ブロックを示す)
・PR & QRS:房室伝導時間と心室興奮時間
・QT & QTcF:心室の再分極時間と心拍数補正した心室再分極時間
・血漿中濃度:フィンゴリモド、フィンゴリモドのリン酸化体(-P)、化合物(I)の血漿中濃度
図1では、化合物(I)の無投与、投与量1mg/kg、3mg/kgおよび10mg/kgでの効果が比較されている。心室拍動数の項をみると、無投与においては心室拍動数がおよそ半分に減少するなど、フィンゴリモドが誘発する顕著な徐脈が確認される。これに対し、化合物(I)投与群では、用量依存的に徐脈が改善し、3mg/kg投与群では徐脈がほぼ回復し、10mg/kg投与群では徐脈が完全に回復している。
また、房室ブロック発症の有無の項を見ると、無投与群では全例(4例中4例)でフィンゴリモドが誘発する房室ブロックが観察された。これに対し化合物(I)の1mgおよび3mg/kg投与群では3例(75%)で房室ブロックが見られなくなり、10mg/kg投与群では4例(100%)で房室ブロックが抑制された。フィンゴリモドが誘発するQT時間の延長についても、同様にほぼ完全な抑制効果が見られた。
図2では、化合物(I)の無投与群と、10mg/kg投与群での典型的な心電図が示されている。無投与群では心拍数が約半数になり、顕著な徐脈が観察されるのに対し、10mg/kg投与群では、このようなフィンゴリモドが誘発する徐脈が完全に解消している。
また、房室ブロック発症の有無の項を見ると、無投与群では全例(4例中4例)でフィンゴリモドが誘発する房室ブロックが観察された。これに対し化合物(I)の1mgおよび3mg/kg投与群では3例(75%)で房室ブロックが見られなくなり、10mg/kg投与群では4例(100%)で房室ブロックが抑制された。フィンゴリモドが誘発するQT時間の延長についても、同様にほぼ完全な抑制効果が見られた。
図2では、化合物(I)の無投与群と、10mg/kg投与群での典型的な心電図が示されている。無投与群では心拍数が約半数になり、顕著な徐脈が観察されるのに対し、10mg/kg投与群では、このようなフィンゴリモドが誘発する徐脈が完全に解消している。
以上、図1および図2から明らかなように、化合物(I)は用量依存的にフィンゴリモドによる徐脈性不整脈(房室ブロック)の発症を予防し、心拍数低下をふせいだ。
評価例2
イソフルラン麻酔下モルモットモデルにおけるシポニモド誘発徐脈性不整脈に対する化合物(I)の予防効果
Hartleyモルモット(週齢7-10週、雄性、日本SLC株式会社)に対して、溶媒あるいは化合物(I)(フリー体)0.3, 1, 3 mg/kg(容量:5 mL/kg)を強制経口投与し、投与後、イソフルラン(ファイザー株式会社)吸入による導入麻酔を施し、ヒーター機能付き手術台に保定した。気管を切開し、気管カニューレ(KN-375/株式会社夏目製作所)を挿入し、人工呼吸器(SN-480-7/株式会社シナノ製作所)と接続し、容量10 mL、換気回数60回/分で100%酸素を供給して人工呼吸管理した。溶媒には0.5w/v% メチルセルロース400溶液(富士フィルム和光純薬株式会社)を用いた。維持麻酔としてイソフルラン(ファイザー株式会社)麻酔、約1-4%(キャリアーガスは100%酸素)を用いた。頸動脈および頸静脈に50 units/mL ヘパリン(エイワイファーマ株式会社)を充填したカテーテル(BD intramedic polyethylene tubing PE50/Becton Dickinson and Company)を挿入し、それぞれ血管内で留置した。頸動脈に留置したカテーテルを介して、高感度直流増幅器(AD-611J/日本光電工業株式会社)を用いて体血圧を測定した。体表面に電極を取り付け、高感度増幅器(AB-611J/日本光電工業株式会社)を用いて体表面心電図を測定した。血圧および心電図はPowerLab/Labchartシステム(ADInstruments)を用いてデータ取得、解析を行った。解析項目は、収縮期血圧、拡張期血圧、平均血圧、心拍数、P波幅、PR間隔、QRS幅、QT間隔、補正QT間隔である。補正QT間隔はFridelicia式(QTc=QT間隔/RR間隔1/3)を用いて算出した。各パラメータの安定後、頸静脈に留置したカテーテルを介して、シポニモド(国際公開第2017/120124号に従って合成)0.01 mg/kgを10分間静脈内持続投与し、60分間の間での徐脈性不整脈発症の有無を観察した。溶媒にはポリエチレングリコール400(関東化学株式会社)とジメチルスルホキシド(富士フィルム和光純薬株式会社)を9:1(体積比)で混合した溶液を用いた。シポニモド投与開始後、5、10、15、20、30および60分後にデータの記録並びに採血を行った。投与開始後60分後に観察を終了し、個体はイソフルラン麻酔下、放血あるいは多量の飽和塩化カリウム溶液静脈内投与により安楽殺した。経時的な心房拍動数、経時的な心室拍動数、心電図パラメータ、房室ブロック発症の有無、化合物(I)およびシポニモドの血漿中濃度をデータ解析した。血液を遠心分離することで血漿を回収し、約-20℃で冷凍保存した。血漿を融解させた後に、アセトニトリルによる除タンパク後にLC/MS/MSを用いて血漿中薬物濃度測定を行った。
各群での各パラメータ測定値の経時的な変化を図3に示し、得られた代表的な心電図波形を図4に示す。なお、図3において、測定値は平均値±標準誤差で表した。また、各略号等は以下のとおりである。
・(I):化合物(I)
・房室ブロック:房室ブロックの発症の有無
(×は2度あるいは3度房室ブロックを示す)
・PR & QRSは房室伝導時間と心室興奮時間
:QT & QTcF:心室の再分極時間と心拍数補正した心室再分極時間
・血漿中濃度:シポニモド、化合物(I)の血漿中濃度
イソフルラン麻酔下モルモットモデルにおけるシポニモド誘発徐脈性不整脈に対する化合物(I)の予防効果
Hartleyモルモット(週齢7-10週、雄性、日本SLC株式会社)に対して、溶媒あるいは化合物(I)(フリー体)0.3, 1, 3 mg/kg(容量:5 mL/kg)を強制経口投与し、投与後、イソフルラン(ファイザー株式会社)吸入による導入麻酔を施し、ヒーター機能付き手術台に保定した。気管を切開し、気管カニューレ(KN-375/株式会社夏目製作所)を挿入し、人工呼吸器(SN-480-7/株式会社シナノ製作所)と接続し、容量10 mL、換気回数60回/分で100%酸素を供給して人工呼吸管理した。溶媒には0.5w/v% メチルセルロース400溶液(富士フィルム和光純薬株式会社)を用いた。維持麻酔としてイソフルラン(ファイザー株式会社)麻酔、約1-4%(キャリアーガスは100%酸素)を用いた。頸動脈および頸静脈に50 units/mL ヘパリン(エイワイファーマ株式会社)を充填したカテーテル(BD intramedic polyethylene tubing PE50/Becton Dickinson and Company)を挿入し、それぞれ血管内で留置した。頸動脈に留置したカテーテルを介して、高感度直流増幅器(AD-611J/日本光電工業株式会社)を用いて体血圧を測定した。体表面に電極を取り付け、高感度増幅器(AB-611J/日本光電工業株式会社)を用いて体表面心電図を測定した。血圧および心電図はPowerLab/Labchartシステム(ADInstruments)を用いてデータ取得、解析を行った。解析項目は、収縮期血圧、拡張期血圧、平均血圧、心拍数、P波幅、PR間隔、QRS幅、QT間隔、補正QT間隔である。補正QT間隔はFridelicia式(QTc=QT間隔/RR間隔1/3)を用いて算出した。各パラメータの安定後、頸静脈に留置したカテーテルを介して、シポニモド(国際公開第2017/120124号に従って合成)0.01 mg/kgを10分間静脈内持続投与し、60分間の間での徐脈性不整脈発症の有無を観察した。溶媒にはポリエチレングリコール400(関東化学株式会社)とジメチルスルホキシド(富士フィルム和光純薬株式会社)を9:1(体積比)で混合した溶液を用いた。シポニモド投与開始後、5、10、15、20、30および60分後にデータの記録並びに採血を行った。投与開始後60分後に観察を終了し、個体はイソフルラン麻酔下、放血あるいは多量の飽和塩化カリウム溶液静脈内投与により安楽殺した。経時的な心房拍動数、経時的な心室拍動数、心電図パラメータ、房室ブロック発症の有無、化合物(I)およびシポニモドの血漿中濃度をデータ解析した。血液を遠心分離することで血漿を回収し、約-20℃で冷凍保存した。血漿を融解させた後に、アセトニトリルによる除タンパク後にLC/MS/MSを用いて血漿中薬物濃度測定を行った。
各群での各パラメータ測定値の経時的な変化を図3に示し、得られた代表的な心電図波形を図4に示す。なお、図3において、測定値は平均値±標準誤差で表した。また、各略号等は以下のとおりである。
・(I):化合物(I)
・房室ブロック:房室ブロックの発症の有無
(×は2度あるいは3度房室ブロックを示す)
・PR & QRSは房室伝導時間と心室興奮時間
:QT & QTcF:心室の再分極時間と心拍数補正した心室再分極時間
・血漿中濃度:シポニモド、化合物(I)の血漿中濃度
図3では、化合物(I)の無投与、投与量0.3mg/kg、1mg/kgおよび3mg/kgでの効果が比較されている。心室拍動数の項をみると、無投与においてはシポニモドが誘発する顕著な徐脈が確認される。これに対し、化合物(I)投与群では、用量依存的に徐脈が改善し、特に3mg/kg投与群では徐脈が完全に回復している。
また、房室ブロックの発症の有無の項を見ると、無投与群では多数例(4例中3例)でシポニモドが誘発する房室ブロックが観察された。これに対し化合物(I)の0.3mg/kg投与群で2例(50%)、1mg/kg投与群では3例(75%)で房室ブロックが見られなくなり、3mg/kg投与群では全4例(100%)で房室ブロックが抑制された。シポニモドが誘発するQT時間の延長についても、同様にほぼ完全な抑制効果が見られた。
図4では、化合物(I)の無投与群と、3mg/kg投与群での典型的な心電図が示されている。無投与群では心拍数が約半数になる顕著な徐脈が観察されるのに対し、3mg/kg投与群では、このようなシポニモドが誘発する徐脈が完全に解消している。
また、房室ブロックの発症の有無の項を見ると、無投与群では多数例(4例中3例)でシポニモドが誘発する房室ブロックが観察された。これに対し化合物(I)の0.3mg/kg投与群で2例(50%)、1mg/kg投与群では3例(75%)で房室ブロックが見られなくなり、3mg/kg投与群では全4例(100%)で房室ブロックが抑制された。シポニモドが誘発するQT時間の延長についても、同様にほぼ完全な抑制効果が見られた。
図4では、化合物(I)の無投与群と、3mg/kg投与群での典型的な心電図が示されている。無投与群では心拍数が約半数になる顕著な徐脈が観察されるのに対し、3mg/kg投与群では、このようなシポニモドが誘発する徐脈が完全に解消している。
以上、図3および図4から明らかなように、化合物(I)は用量依存的にシポニモドによる徐脈性不整脈(房室ブロック)の発症を予防し、心拍数低下をふせいだ。
評価例3
イソフルラン麻酔下モルモットモデルにおけるフィンゴリモド誘発徐脈性不整脈に対する化合物(I)の停止効果
Hartleyモルモット(週齢7-10週、雄性、日本SLC株式会社)に対して、イソフルラン(ファイザー株式会社)吸入による導入麻酔を施し、ヒーター機能付き手術台に保定した。気管を切開し、気管カニューレ(KN-375/株式会社夏目製作所)を挿入し、人工呼吸器(SN-480-7/株式会社シナノ製作所)と接続し、容量10 mL、換気回数60回/分で100%酸素を供給して人工呼吸管理した。維持麻酔としてイソフルラン(ファイザー株式会社)麻酔、約1-4%(キャリアーガスは100%酸素)を用いた。頸動脈および頸静脈に50 units/mL ヘパリン(エイワイファーマ株式会社)を充填したカテーテル(BD intramedic polyethylene tubing PE50/Becton Dickinson and Company)を挿入し、それぞれ血管内で留置した。頸動脈に留置したカテーテルを介して、高感度直流増幅器(AD-611J/日本光電工業株式会社)を用いて体血圧を測定した。体表面に電極を取り付け、高感度増幅器(AB-611J/日本光電工業株式会社)を用いて体表面心電図を測定した。血圧および心電図はPowerLab/Labchartシステム(ADInstruments)を用いてデータ取得、解析を行った。各パラメータの安定後、頸静脈に留置したカテーテルを介して、フィンゴリモド塩酸塩(日産化学株式会社)0.1 mg/kgを10分間静脈内持続投与し、房室ブロックの有無を観察した。房室ブロックが発症してから10分間継続することを確認した後に、溶媒あるいは化合物(I) 2塩酸塩 0.1 mg/kgを30分間静脈内持続投与し、その間の房室ブロックの停止作用を観察した。溶媒には生理食塩水(株式会社大塚製薬工場)を用いた。化合物(I) 2塩酸塩投与開始後、10、20、30分後および房室ブロック停止時にデータの記録並びに採血を行った。投与開始後30分後に観察を終了し、個体はイソフルラン麻酔下、放血あるいは多量の飽和塩化カリウム溶液静脈内投与により安楽殺した。停止の有無、停止までの時間、停止時の化合物(I)の血漿中濃度をデータ解析した。血液を遠心分離することで血漿を回収し、約-20℃で冷凍保存した。血漿を融解させた後に、アセトニトリルによる除タンパク後にLC/MS/MSを用いて血漿中薬物濃度測定を行った。得られた代表的な心電図波形を図5に示す。
房室ブロックの停止を示した数、停止までに要した時間、停止させた時の化合物(I)濃度を表1に示す。なお、表中の測定値は、平均値±標準誤差で表す。
イソフルラン麻酔下モルモットモデルにおけるフィンゴリモド誘発徐脈性不整脈に対する化合物(I)の停止効果
Hartleyモルモット(週齢7-10週、雄性、日本SLC株式会社)に対して、イソフルラン(ファイザー株式会社)吸入による導入麻酔を施し、ヒーター機能付き手術台に保定した。気管を切開し、気管カニューレ(KN-375/株式会社夏目製作所)を挿入し、人工呼吸器(SN-480-7/株式会社シナノ製作所)と接続し、容量10 mL、換気回数60回/分で100%酸素を供給して人工呼吸管理した。維持麻酔としてイソフルラン(ファイザー株式会社)麻酔、約1-4%(キャリアーガスは100%酸素)を用いた。頸動脈および頸静脈に50 units/mL ヘパリン(エイワイファーマ株式会社)を充填したカテーテル(BD intramedic polyethylene tubing PE50/Becton Dickinson and Company)を挿入し、それぞれ血管内で留置した。頸動脈に留置したカテーテルを介して、高感度直流増幅器(AD-611J/日本光電工業株式会社)を用いて体血圧を測定した。体表面に電極を取り付け、高感度増幅器(AB-611J/日本光電工業株式会社)を用いて体表面心電図を測定した。血圧および心電図はPowerLab/Labchartシステム(ADInstruments)を用いてデータ取得、解析を行った。各パラメータの安定後、頸静脈に留置したカテーテルを介して、フィンゴリモド塩酸塩(日産化学株式会社)0.1 mg/kgを10分間静脈内持続投与し、房室ブロックの有無を観察した。房室ブロックが発症してから10分間継続することを確認した後に、溶媒あるいは化合物(I) 2塩酸塩 0.1 mg/kgを30分間静脈内持続投与し、その間の房室ブロックの停止作用を観察した。溶媒には生理食塩水(株式会社大塚製薬工場)を用いた。化合物(I) 2塩酸塩投与開始後、10、20、30分後および房室ブロック停止時にデータの記録並びに採血を行った。投与開始後30分後に観察を終了し、個体はイソフルラン麻酔下、放血あるいは多量の飽和塩化カリウム溶液静脈内投与により安楽殺した。停止の有無、停止までの時間、停止時の化合物(I)の血漿中濃度をデータ解析した。血液を遠心分離することで血漿を回収し、約-20℃で冷凍保存した。血漿を融解させた後に、アセトニトリルによる除タンパク後にLC/MS/MSを用いて血漿中薬物濃度測定を行った。得られた代表的な心電図波形を図5に示す。
房室ブロックの停止を示した数、停止までに要した時間、停止させた時の化合物(I)濃度を表1に示す。なお、表中の測定値は、平均値±標準誤差で表す。
表1から明らかなように、化合物(I)はフィンゴリモド投与により生じた徐脈性不整脈(房室ブロック:A-V block)を完全に停止させた。また、図5では、フィンゴリモド投与前、化合物(I)投与前及び化合物(I) 2塩酸塩 0.1 mg/kgの投薬開始後30分における典型的な心電図が示されている。化合物(I)投与前においては、心拍数が約半数になる顕著な徐脈が観察されるのに対し、化合物(I) 2塩酸塩 0.1 mg/kgの投薬開始後30分においては、このようなフィンゴリモドが誘発する徐脈が完全に解消している。
評価例4
イソフルラン麻酔下モルモットモデルにおけるシポニモド誘発徐脈性不整脈に対する化合物(I)の停止効果
Hartleyモルモット(週齢7-10週、雄性、日本SLC株式会社)に対して、イソフルラン(ファイザー株式会社)吸入による導入麻酔を施し、ヒーター機能付き手術台に保定した。気管を切開し、気管カニューレ(KN-375/株式会社夏目製作所)を挿入し、人工呼吸器(SN-480-7/株式会社シナノ製作所)と接続し、容量10 mL、換気回数60回/分で100%酸素を供給して人工呼吸管理した。維持麻酔としてイソフルラン(ファイザー株式会社)麻酔、約1-4%(キャリアーガスは100%酸素)を用いた。頸動脈および頸静脈に50 units/mL ヘパリン(エイワイファーマ株式会社)を充填したカテーテル(BD intramedic polyethylene tubing PE50/Becton Dickinson and Company)を挿入し、それぞれ血管内で留置した。頸動脈に留置したカテーテルを介して、高感度直流増幅器(AD-611J/日本光電工業株式会社)を用いて体血圧を測定した。体表面に電極を取り付け、高感度増幅器(AB-611J/日本光電工業株式会社)を用いて体表面心電図を測定した。血圧および心電図はPowerLab/Labchartシステム(ADInstruments)を用いてデータ取得、解析を行った。各パラメータの安定後、頸静脈に留置したカテーテルを介して、シポニモド(日産化学株式会社)0.01 mg/kgを10分間静脈内持続投与し、房室ブロックの有無を観察した。溶媒にはポリエチレングリコール400(関東化学株式会社)とジメチルスルホキシド(富士フィルム和光純薬株式会社)を9:1(体積比)で混合した溶液を用いた。房室ブロックが発症してから10分間継続することを確認した後に、溶媒あるいは化合物(I) 2塩酸塩 0.1 mg/kgを30分間静脈内持続投与し、その間の房室ブロックの停止作用を観察した。溶媒には生理食塩水(株式会社大塚製薬工場)を用いた。化合物(I) 2塩酸塩投与開始後、10、20、30分後および房室ブロック停止時にデータの記録並びに採血を行った。投与開始後30分後に観察を終了し、個体はイソフルラン麻酔下、放血あるいは多量の飽和塩化カリウム溶液静脈内投与により安楽殺した。停止の有無、停止までの時間、停止時の化合物(I)の血漿中濃度をデータ解析した。血液を遠心分離することで血漿を回収し、約-20℃で冷凍保存した。血漿を融解させた後に、アセトニトリルによる除タンパク後にLC/MS/MSを用いて血漿中薬物濃度測定を行った。
房室ブロックの停止を示した数、停止までに要した時間、停止させた時の化合物(I)濃度を表2に示す。なお、表中の測定値は、平均値±標準誤差で表す。
イソフルラン麻酔下モルモットモデルにおけるシポニモド誘発徐脈性不整脈に対する化合物(I)の停止効果
Hartleyモルモット(週齢7-10週、雄性、日本SLC株式会社)に対して、イソフルラン(ファイザー株式会社)吸入による導入麻酔を施し、ヒーター機能付き手術台に保定した。気管を切開し、気管カニューレ(KN-375/株式会社夏目製作所)を挿入し、人工呼吸器(SN-480-7/株式会社シナノ製作所)と接続し、容量10 mL、換気回数60回/分で100%酸素を供給して人工呼吸管理した。維持麻酔としてイソフルラン(ファイザー株式会社)麻酔、約1-4%(キャリアーガスは100%酸素)を用いた。頸動脈および頸静脈に50 units/mL ヘパリン(エイワイファーマ株式会社)を充填したカテーテル(BD intramedic polyethylene tubing PE50/Becton Dickinson and Company)を挿入し、それぞれ血管内で留置した。頸動脈に留置したカテーテルを介して、高感度直流増幅器(AD-611J/日本光電工業株式会社)を用いて体血圧を測定した。体表面に電極を取り付け、高感度増幅器(AB-611J/日本光電工業株式会社)を用いて体表面心電図を測定した。血圧および心電図はPowerLab/Labchartシステム(ADInstruments)を用いてデータ取得、解析を行った。各パラメータの安定後、頸静脈に留置したカテーテルを介して、シポニモド(日産化学株式会社)0.01 mg/kgを10分間静脈内持続投与し、房室ブロックの有無を観察した。溶媒にはポリエチレングリコール400(関東化学株式会社)とジメチルスルホキシド(富士フィルム和光純薬株式会社)を9:1(体積比)で混合した溶液を用いた。房室ブロックが発症してから10分間継続することを確認した後に、溶媒あるいは化合物(I) 2塩酸塩 0.1 mg/kgを30分間静脈内持続投与し、その間の房室ブロックの停止作用を観察した。溶媒には生理食塩水(株式会社大塚製薬工場)を用いた。化合物(I) 2塩酸塩投与開始後、10、20、30分後および房室ブロック停止時にデータの記録並びに採血を行った。投与開始後30分後に観察を終了し、個体はイソフルラン麻酔下、放血あるいは多量の飽和塩化カリウム溶液静脈内投与により安楽殺した。停止の有無、停止までの時間、停止時の化合物(I)の血漿中濃度をデータ解析した。血液を遠心分離することで血漿を回収し、約-20℃で冷凍保存した。血漿を融解させた後に、アセトニトリルによる除タンパク後にLC/MS/MSを用いて血漿中薬物濃度測定を行った。
房室ブロックの停止を示した数、停止までに要した時間、停止させた時の化合物(I)濃度を表2に示す。なお、表中の測定値は、平均値±標準誤差で表す。
表2から明らかなように、化合物(I)はシポニモド投与により生じた徐脈性不整脈(房室ブロック)を完全に停止させた。
評価例5
ヒトiPS細胞由来心房筋細胞におけるシポニモド誘発徐脈性不整脈に対する化合物(I)の治療効果
凍結保存していたヒトiPS細胞由来心房筋細胞(Human iPSC-derived atrial cardiomyocytes: Axol Bioscience)を解凍し、ファイブロネクチンでコーティングした6ウェルプレート上に1,400,000細胞/ウェルを播種し、11日間、37℃、5% CO2インキュベーターで培養した。その間、1日おきに全量の培地交換を行った。11日後、拍動が開始したヒトiPS細胞由来心房筋細胞をTrypLE Select Enzyme(ThermoFisher Scientific)を用いてプレートからはがし、回収した。ファイブロネクチンでコーティングした6ウェルMEA Chip(60-6wellMEA200/30iR-Ti-tcr:Multi Channel Systems)上に25,000細胞/2 μLを播種し、1時間、37℃、5% CO2インキュベーターで培養した。その後、400μLの培地を加え、13日間、37℃、5% CO2インキュベーターで培養した。その間、1日おきに半量の培地交換を行った。8日後にマルチ電極アレイシステム(MEA2100:Multi Channel Systems)にMEA Chipをセットし、自発拍動下での細胞外電位を取得した。拍動数の安定後に、シポニモドを0.1μM添加し、10分間、拍動数への影響を観察した。その後、化合物(I)0.1μMあるいは溶媒(ジメチルスルホキシド(富士フィルム和光純薬株式会社))をさらに添加し、10分間、拍動数への影響を観察した。Labchartシステム(ADInstruments)を用いてデータ解析を行った。
シポニモド添加による拍動数への影響、化合物(I)の拍動数改善効果を図6に示す。なお、図中の測定値は、平均値±標準誤差で表し、図中の(I)は化合物(I)を示す。
ヒトiPS細胞由来心房筋細胞におけるシポニモド誘発徐脈性不整脈に対する化合物(I)の治療効果
凍結保存していたヒトiPS細胞由来心房筋細胞(Human iPSC-derived atrial cardiomyocytes: Axol Bioscience)を解凍し、ファイブロネクチンでコーティングした6ウェルプレート上に1,400,000細胞/ウェルを播種し、11日間、37℃、5% CO2インキュベーターで培養した。その間、1日おきに全量の培地交換を行った。11日後、拍動が開始したヒトiPS細胞由来心房筋細胞をTrypLE Select Enzyme(ThermoFisher Scientific)を用いてプレートからはがし、回収した。ファイブロネクチンでコーティングした6ウェルMEA Chip(60-6wellMEA200/30iR-Ti-tcr:Multi Channel Systems)上に25,000細胞/2 μLを播種し、1時間、37℃、5% CO2インキュベーターで培養した。その後、400μLの培地を加え、13日間、37℃、5% CO2インキュベーターで培養した。その間、1日おきに半量の培地交換を行った。8日後にマルチ電極アレイシステム(MEA2100:Multi Channel Systems)にMEA Chipをセットし、自発拍動下での細胞外電位を取得した。拍動数の安定後に、シポニモドを0.1μM添加し、10分間、拍動数への影響を観察した。その後、化合物(I)0.1μMあるいは溶媒(ジメチルスルホキシド(富士フィルム和光純薬株式会社))をさらに添加し、10分間、拍動数への影響を観察した。Labchartシステム(ADInstruments)を用いてデータ解析を行った。
シポニモド添加による拍動数への影響、化合物(I)の拍動数改善効果を図6に示す。なお、図中の測定値は、平均値±標準誤差で表し、図中の(I)は化合物(I)を示す。
図6から明らかなように、シポニモド添加により拍動数50拍/分以下の徐脈性不整脈(洞性徐脈)が生じ、化合物(I)添加により拍動数を上昇させ、徐脈性不整脈を改善させた。
評価例6
モルモットにおけるフィンゴリモドの血中リンパ球減少作用に対する化合物(I)の影響検討
Hartleyモルモット(週齢8週、雄性、日本SLC株式会社)に対して、約16時間絶食を行い、その後、溶媒あるいは化合物(I)(フリー体)10, 30 mg/kg(容量:5 mL/kg)を強制経口投与した。溶媒には0.5w/v% メチルセルロース400溶液(富士フィルム和光純薬株式会社)を用いた。投与後、30分後に溶媒あるいはフィンゴリモド塩酸塩 0.1 mg/kg(容量:5 mL/kg)を強制経口投与した。溶媒には生理食塩水(株式会社大塚製薬工場)を用いた。化合物(I)投与前、フィンゴリモド塩酸塩投与後5、24時間後に頸静脈、鎖骨下静脈または腹大静脈から採血を行った。血球成分解析は多項目自動血球数装置(XN-1000/シスメックス株式会社)を用いて行った。血液を遠心分離することで血漿を回収し、約-20℃で冷凍保存した。血漿を融解させた後に、アセトニトリルによる除タンパク後にLC/MS/MSを用いて血漿中薬物濃度測定を行った。
図7にモルモット末梢血リンパ球数に対するフィンゴリモドおよび化合物(I)の影響を示す。なお、図中の測定値は、平均値±標準誤差で表し、図中の(I)は化合物(I)を示す。
モルモットにおけるフィンゴリモドの血中リンパ球減少作用に対する化合物(I)の影響検討
Hartleyモルモット(週齢8週、雄性、日本SLC株式会社)に対して、約16時間絶食を行い、その後、溶媒あるいは化合物(I)(フリー体)10, 30 mg/kg(容量:5 mL/kg)を強制経口投与した。溶媒には0.5w/v% メチルセルロース400溶液(富士フィルム和光純薬株式会社)を用いた。投与後、30分後に溶媒あるいはフィンゴリモド塩酸塩 0.1 mg/kg(容量:5 mL/kg)を強制経口投与した。溶媒には生理食塩水(株式会社大塚製薬工場)を用いた。化合物(I)投与前、フィンゴリモド塩酸塩投与後5、24時間後に頸静脈、鎖骨下静脈または腹大静脈から採血を行った。血球成分解析は多項目自動血球数装置(XN-1000/シスメックス株式会社)を用いて行った。血液を遠心分離することで血漿を回収し、約-20℃で冷凍保存した。血漿を融解させた後に、アセトニトリルによる除タンパク後にLC/MS/MSを用いて血漿中薬物濃度測定を行った。
図7にモルモット末梢血リンパ球数に対するフィンゴリモドおよび化合物(I)の影響を示す。なお、図中の測定値は、平均値±標準誤差で表し、図中の(I)は化合物(I)を示す。
図7から明らかのように、フィンゴリモド投与によりモルモット末梢血中のリンパ球数が低下し、その作用は化合物(I)存在下においても示し、化合物(I)はフィンゴリモドの主薬効である末梢血中リンパ球減少作用を阻害しないことを示した。
評価例7
心拍数測定用テレメトリー送信機埋込みラットにおける覚醒下でのプロプラノロール誘発徐脈性不整脈に対する化合物(I)の治療効果
Wistarラット(週齢10週、雄性、株式会社 紀和実験動物研究所)に対して、セボフレン吸入麻酔液(丸石製薬株式会社)吸入による麻酔を施し、手術台に保定した。埋込み型テレメトリー送信器ETA-F10(DSI)を皮下に留置し、リードは右上胸部と左下胸部に各1本固定した。十分に覚醒させた後、受信ボード上のケージ内にラットを入れ、高感度増幅器を用いて体表面心電図を測定した。心電図はLabChart Pro & LabChartモジュール(バイオリサーチセンター株式会社)を用いてデータ取得、解析を行った。心拍数の安定後、プロプラノロール(インデラル注射液、アストラゼネカ株式会社)1 mg/kgを腹腔内注射により投与した。約30分後に心拍数の安定化を確認した後に、生理食塩水あるいは化合物(I) 2塩酸塩 1 mg/kgを腹腔内注射により投与し、投与から約30分後の安定した状態の心拍数を測定評価した。溶媒には生理食塩水(株式会社大塚製薬工場)を用いた。観察終了後、個体はセボフルラン麻酔下にテレメトリー送信器を取り外し、放血あるいはセボフルランの過量投与により安楽殺した。
プロプラノロール誘発徐脈性不整脈に対する化合物(I)または生理食塩水の投与前後に得られた心拍数の変化を図8に示す。
心拍数測定用テレメトリー送信機埋込みラットにおける覚醒下でのプロプラノロール誘発徐脈性不整脈に対する化合物(I)の治療効果
Wistarラット(週齢10週、雄性、株式会社 紀和実験動物研究所)に対して、セボフレン吸入麻酔液(丸石製薬株式会社)吸入による麻酔を施し、手術台に保定した。埋込み型テレメトリー送信器ETA-F10(DSI)を皮下に留置し、リードは右上胸部と左下胸部に各1本固定した。十分に覚醒させた後、受信ボード上のケージ内にラットを入れ、高感度増幅器を用いて体表面心電図を測定した。心電図はLabChart Pro & LabChartモジュール(バイオリサーチセンター株式会社)を用いてデータ取得、解析を行った。心拍数の安定後、プロプラノロール(インデラル注射液、アストラゼネカ株式会社)1 mg/kgを腹腔内注射により投与した。約30分後に心拍数の安定化を確認した後に、生理食塩水あるいは化合物(I) 2塩酸塩 1 mg/kgを腹腔内注射により投与し、投与から約30分後の安定した状態の心拍数を測定評価した。溶媒には生理食塩水(株式会社大塚製薬工場)を用いた。観察終了後、個体はセボフルラン麻酔下にテレメトリー送信器を取り外し、放血あるいはセボフルランの過量投与により安楽殺した。
プロプラノロール誘発徐脈性不整脈に対する化合物(I)または生理食塩水の投与前後に得られた心拍数の変化を図8に示す。
図8から明らかのように、化合物(I)はプロプラノロール投与により生じた徐脈を改善させた。
評価例8
ビーグル犬における覚醒下でのプロプラノロール誘発徐脈に対する化合物(I)の治療効果
ビーグル犬(体重約10kg、雌性、オリエンタル酵母工業株式会社)に対して、右前肢に18G針で末梢静脈路を確保し、手術台に保定した。心電図モニターを装着し心拍数をモニタリング、左前肢にマンシェットを装着しオムロン自動電子血圧計にて血圧測定、心エコー図法の傍胸骨左縁短軸二腔像でのMモード法にて左室機能を計測した。心拍数の安定後、プロプラノロール(インデラル注射液、アストラゼネカ株式会社)2 mg/kgを急速静脈内注射により投与し、引き続き1 mg/分にてシリンジポンプにて持続静脈内注射投与を開始した。約30分後に心拍数の安定化を確認した後に、生理食塩水、次に化合物(I) 2塩酸塩 0.01 mg/kg、0.1 mg/kg、1 mg/kgを各10分間隔で急速静脈内注射により投与し、各投与から約10分後の安定した状態の心拍数、血圧、左室機能を測定評価した。溶媒には生理食塩水(株式会社大塚製薬工場)を用いた。
プロプラノロール誘発徐脈に対する生理食塩水および化合物(I)の投与前後に得られた心拍数、左室駆出率(LVEF)の変化を図9に示す。
ビーグル犬における覚醒下でのプロプラノロール誘発徐脈に対する化合物(I)の治療効果
ビーグル犬(体重約10kg、雌性、オリエンタル酵母工業株式会社)に対して、右前肢に18G針で末梢静脈路を確保し、手術台に保定した。心電図モニターを装着し心拍数をモニタリング、左前肢にマンシェットを装着しオムロン自動電子血圧計にて血圧測定、心エコー図法の傍胸骨左縁短軸二腔像でのMモード法にて左室機能を計測した。心拍数の安定後、プロプラノロール(インデラル注射液、アストラゼネカ株式会社)2 mg/kgを急速静脈内注射により投与し、引き続き1 mg/分にてシリンジポンプにて持続静脈内注射投与を開始した。約30分後に心拍数の安定化を確認した後に、生理食塩水、次に化合物(I) 2塩酸塩 0.01 mg/kg、0.1 mg/kg、1 mg/kgを各10分間隔で急速静脈内注射により投与し、各投与から約10分後の安定した状態の心拍数、血圧、左室機能を測定評価した。溶媒には生理食塩水(株式会社大塚製薬工場)を用いた。
プロプラノロール誘発徐脈に対する生理食塩水および化合物(I)の投与前後に得られた心拍数、左室駆出率(LVEF)の変化を図9に示す。
図9から明らかのように、化合物(I)はプロプラノロール投与により生じた徐脈を改善させた。また、化合物(I)はプロプラノロール投与による心収縮抑制作用には影響を及ぼさなかった。
評価例9
ビーグル犬における覚醒下でのベラパミル誘発徐脈に対する化合物(I)の治療効果
ビーグル犬(体重約10kg、雌性、オリエンタル酵母工業株式会社)に対して、右前肢に18G針で末梢静脈路を確保し、手術台に保定した。心電図モニターを装着し心拍数をモニタリング、左前肢にマンシェットを装着しオムロン自動電子血圧計にて血圧測定、心エコー図法の傍胸骨左縁短軸二腔像でのMモード法にて左室機能を計測した。心拍数の安定後、ベラパミル(ワソラン静注、エーザイ株式会社)0.8 mg/kg/時をシリンジポンプにて持続静脈内注射により投与し、投与開始後約30分後に、2.4 mg/kg/時に増量して持続点滴を継続したところ、増量後17分より持続的に2:1房室ブロックが認められたため、ベラパミルの投与を中止した。生理食塩水、次に化合物(I) 2塩酸塩 0.01 mg/kg、0.1 mg/kg、1 mg/kgを10分間隔で急速静脈内注射により投与し、各投与から約10分後の安定した状態の心電図、心拍数、血圧、左室機能を測定評価した。溶媒には生理食塩水(株式会社大塚製薬工場)を用いた。
ベラパミル誘発徐脈に対する化合物(I)または生理食塩水の投与前後に得られた心拍数の変化を図10に示す。ベラパミル誘発徐脈性不整脈(2:1房室ブロック)に対する化合物(I)0.1 mg/kgによる停止作用を示した際に得られた代表的な心電図波形を図10に示す。
ビーグル犬における覚醒下でのベラパミル誘発徐脈に対する化合物(I)の治療効果
ビーグル犬(体重約10kg、雌性、オリエンタル酵母工業株式会社)に対して、右前肢に18G針で末梢静脈路を確保し、手術台に保定した。心電図モニターを装着し心拍数をモニタリング、左前肢にマンシェットを装着しオムロン自動電子血圧計にて血圧測定、心エコー図法の傍胸骨左縁短軸二腔像でのMモード法にて左室機能を計測した。心拍数の安定後、ベラパミル(ワソラン静注、エーザイ株式会社)0.8 mg/kg/時をシリンジポンプにて持続静脈内注射により投与し、投与開始後約30分後に、2.4 mg/kg/時に増量して持続点滴を継続したところ、増量後17分より持続的に2:1房室ブロックが認められたため、ベラパミルの投与を中止した。生理食塩水、次に化合物(I) 2塩酸塩 0.01 mg/kg、0.1 mg/kg、1 mg/kgを10分間隔で急速静脈内注射により投与し、各投与から約10分後の安定した状態の心電図、心拍数、血圧、左室機能を測定評価した。溶媒には生理食塩水(株式会社大塚製薬工場)を用いた。
ベラパミル誘発徐脈に対する化合物(I)または生理食塩水の投与前後に得られた心拍数の変化を図10に示す。ベラパミル誘発徐脈性不整脈(2:1房室ブロック)に対する化合物(I)0.1 mg/kgによる停止作用を示した際に得られた代表的な心電図波形を図10に示す。
図10から明らかのように、化合物(I)はベラパミル投与により生じた徐脈性不整脈(2:1房室ブロック)を改善させた。
本発明により、本発明化合物(I)は薬剤誘発性徐脈および徐脈性不整脈の治療剤として用いることができる。
Claims (16)
- 前記薬剤誘発性徐脈性不整脈が、S1P受容体モジュレーター誘発性徐脈性不整脈である、請求項1に記載の治療剤。
- 前記薬剤誘発性徐脈性不整脈が、S1P1モジュレーター誘発性徐脈性不整脈である、請求項1に記載の治療剤。
- 前記薬剤誘発性徐脈性不整脈が、フィンゴリモドにより誘発される徐脈性不整脈である、請求項1に記載の治療剤。
- 前記薬剤誘発性徐脈性不整脈が、シポニモドにより誘発される徐脈性不整脈である、請求項1に記載の治療剤。
- 前記薬剤誘発性徐脈性不整脈が、β遮断薬誘発性徐脈性不整脈である、請求項1に記載の治療剤。
- 前記薬剤誘発性徐脈性不整脈が、プロプラノロールにより誘発される徐脈性不整脈である、請求項1に記載の治療剤。
- 前記薬剤誘発性徐脈性不整脈が、以下の徐脈のいずれかである、請求項1に記載の治療剤。
((a)洞性徐脈、(b)洞停止、(c)洞房ブロック、(d)房室ブロック、(e)洞機能不全、(f)徐脈性心不全、(g)徐脈性心房細動。) - 前記薬剤誘発性徐脈性不整脈が、洞性徐脈又は房室ブロックのいずれかである、請求項1に記載の治療剤。
- 前記薬剤誘発性徐脈性不整脈が、洞性徐脈である、請求項1に記載の治療剤。
- 前記薬剤誘発性徐脈性不整脈が、房室ブロックである、請求項1に記載の治療剤。
- 前記治療剤が予防を目的とした治療剤である、請求項1に記載の治療剤。
- 前記治療剤が停止を目的とした治療剤である、請求項1に記載の治療剤。
- KAChチャネルの阻害作用を有する化合物又はそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分として含む薬剤誘発性徐脈および徐脈性不整脈の治療剤。
- 前記薬剤誘発性徐脈および徐脈性不整脈の治療剤が、薬剤誘発性徐脈性不整脈治療剤である請求項1乃至請求項14のうち何れか一項に記載の治療剤。
- 前記薬剤誘発性徐脈および徐脈性不整脈の治療剤が、徐脈性不整脈治療剤である請求項1乃至請求項14のうち何れか一項に記載の治療剤。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
EP21827874.5A EP4173623A1 (en) | 2020-06-26 | 2021-06-25 | Therapeutic agent for drug-induced bradycardia and bradyarrhythmia |
CN202180044368.6A CN115916201A (zh) | 2020-06-26 | 2021-06-25 | 药剂诱发性心动过缓及心动过缓性心律失常治疗药 |
JP2022532557A JPWO2021261598A1 (ja) | 2020-06-26 | 2021-06-25 | |
US18/013,174 US20230241053A1 (en) | 2020-06-26 | 2021-06-25 | Therapeutic agent for drug-induced bradycardia and bradyarrhythmia |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020110975 | 2020-06-26 | ||
JP2020-110975 | 2020-06-26 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
WO2021261598A1 true WO2021261598A1 (ja) | 2021-12-30 |
Family
ID=79281364
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
PCT/JP2021/024254 WO2021261598A1 (ja) | 2020-06-26 | 2021-06-25 | 薬剤誘発性徐脈および徐脈性不整脈治療薬 |
Country Status (6)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US20230241053A1 (ja) |
EP (1) | EP4173623A1 (ja) |
JP (1) | JPWO2021261598A1 (ja) |
CN (1) | CN115916201A (ja) |
TW (1) | TW202214582A (ja) |
WO (1) | WO2021261598A1 (ja) |
Citations (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2000027798A1 (en) | 1998-11-11 | 2000-05-18 | Novartis Ag | Production of 2-amino-2-[2-(4-c2-20-alkyl-phenyl)ethyl]propane-1,3-diols |
WO2005090357A1 (en) | 2004-03-23 | 2005-09-29 | Nissan Chemical Industries, Ltd. | Tricyclic benzopyran compound as anti-arrhythmic agents |
WO2007105658A1 (ja) | 2006-03-10 | 2007-09-20 | Nissan Chemical Industries, Ltd. | 光学活性クロメンオキシド化合物の製造方法 |
JP2010136660A (ja) * | 2008-12-11 | 2010-06-24 | Japan Health Science Foundation | Gタンパク質制御カリウムチャネルの変異型の検出による不整脈検査方法及び不整脈改善剤 |
WO2010126138A1 (ja) | 2009-04-30 | 2010-11-04 | 日産化学工業株式会社 | 3環性ベンゾピラン化合物の新規な結晶形態及びその製造方法 |
WO2014050613A1 (ja) | 2012-09-27 | 2014-04-03 | 日産化学工業株式会社 | 含窒素複素環n-オキシド化合物の製造方法 |
WO2014051077A1 (ja) | 2012-09-27 | 2014-04-03 | 日産化学工業株式会社 | 高純度の含窒素複素環化合物の製造方法 |
WO2015012271A1 (ja) | 2013-07-25 | 2015-01-29 | 日産化学工業株式会社 | 複素環化合物の製造方法 |
WO2017120124A1 (en) | 2016-01-04 | 2017-07-13 | Auspex Pharmaceuticals, Inc. | Azetidine modulators of the sphingosine 1-phosphate receptor |
WO2020138428A1 (ja) * | 2018-12-28 | 2020-07-02 | 国立大学法人大阪大学 | 遺伝性徐脈性不整脈治療薬 |
-
2021
- 2021-06-25 TW TW110123438A patent/TW202214582A/zh unknown
- 2021-06-25 WO PCT/JP2021/024254 patent/WO2021261598A1/ja unknown
- 2021-06-25 JP JP2022532557A patent/JPWO2021261598A1/ja active Pending
- 2021-06-25 CN CN202180044368.6A patent/CN115916201A/zh active Pending
- 2021-06-25 US US18/013,174 patent/US20230241053A1/en active Pending
- 2021-06-25 EP EP21827874.5A patent/EP4173623A1/en active Pending
Patent Citations (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2000027798A1 (en) | 1998-11-11 | 2000-05-18 | Novartis Ag | Production of 2-amino-2-[2-(4-c2-20-alkyl-phenyl)ethyl]propane-1,3-diols |
WO2005090357A1 (en) | 2004-03-23 | 2005-09-29 | Nissan Chemical Industries, Ltd. | Tricyclic benzopyran compound as anti-arrhythmic agents |
JP2007530436A (ja) * | 2004-03-23 | 2007-11-01 | 日産化学工業株式会社 | 抗不整脈薬としての3環性ベンゾピラン化合物 |
WO2007105658A1 (ja) | 2006-03-10 | 2007-09-20 | Nissan Chemical Industries, Ltd. | 光学活性クロメンオキシド化合物の製造方法 |
JP2010136660A (ja) * | 2008-12-11 | 2010-06-24 | Japan Health Science Foundation | Gタンパク質制御カリウムチャネルの変異型の検出による不整脈検査方法及び不整脈改善剤 |
WO2010126138A1 (ja) | 2009-04-30 | 2010-11-04 | 日産化学工業株式会社 | 3環性ベンゾピラン化合物の新規な結晶形態及びその製造方法 |
WO2014050613A1 (ja) | 2012-09-27 | 2014-04-03 | 日産化学工業株式会社 | 含窒素複素環n-オキシド化合物の製造方法 |
WO2014051077A1 (ja) | 2012-09-27 | 2014-04-03 | 日産化学工業株式会社 | 高純度の含窒素複素環化合物の製造方法 |
WO2015012271A1 (ja) | 2013-07-25 | 2015-01-29 | 日産化学工業株式会社 | 複素環化合物の製造方法 |
WO2017120124A1 (en) | 2016-01-04 | 2017-07-13 | Auspex Pharmaceuticals, Inc. | Azetidine modulators of the sphingosine 1-phosphate receptor |
WO2020138428A1 (ja) * | 2018-12-28 | 2020-07-02 | 国立大学法人大阪大学 | 遺伝性徐脈性不整脈治療薬 |
Non-Patent Citations (10)
Title |
---|
"Japanese Circulation Society/Japanese Heart Failure Society Guideline", GUIDELINES FOR DIAGNOSIS AND TREATMENT OF ACUTE AND CHRONIC HEART FAILURE, pages 58 - 59 |
"Optimization of Heart Failure Medication After Cardiac Resynchronization Therapy and the Impact on Long-Term Survival", EUROPEAN HEART JOURNAL CARDIOVASCULAR PHARMACOTHERAPY, vol. 1, no. 3, 2015, pages 182 - 188 |
AMERICAN HEART JOURNAL, vol. 147, 2004, pages 324 - 330 |
AMERICAN JOURNAL OF TRANSPLANTATION, vol. 5, 2005, pages 529 - 36 |
BRITISH JOURNAL OF CLINICAL PHARMACOLOGY, vol. 75, 2013, pages 831 - 841 |
FUNDAMENTAL & CLINICAL PHARMACOLOGY, vol. 31, 2017, pages 392 - 402 |
KOYRAKH LEV, ET AL: "The heart rate decrease caused by acute FTY720 administration is mediated by the G protein-gated potassium channel I.KACh", AMERICAN JOURNAL OF TRANSPLANTATION, BLACKWELL MUNKSGAARD, DK, vol. 5, no. 3, 1 March 2005 (2005-03-01), DK , pages 529 - 536, XP002562406, ISSN: 1600-6135, DOI: 10.1111/j.1600-6143.2005.00754.x * |
NORIAKI YAMADA , KURA TSUKAMOTO: "Drug discovery development in heart disease, overcoming disease with new therapeutic intervention", SHINZO [HEART], vol. 51, no. 12, 15 December 2019 (2019-12-15), JP , pages 1252 - 1259, XP009542356, ISSN: 0586-4488, DOI: 10.11281/shinzo.51.1252 * |
TOXICOLOGY AND APPLIED PHARMACOLOGY, vol. 15, no. 281, 2014, pages 39 - 47 |
YAMADA NORIAKI, ASANO YOSHIHIRO, FUJITA MASASHI, YAMAZAKI SATORU, INANOBE ATSUSHI, MATSUURA NORIO, KOBAYASHI HATASU, OHNO SEIKO, E: "Mutant KCNJ3 and KCNJ5 Potassium Channels as Novel Molecular Targets in Bradyarrhythmias and Atrial Fibrillation", CIRCULATION, AMERICAN HEART ASSOCIATION, US, vol. 139, no. 18, 30 April 2019 (2019-04-30), US , pages 2157 - 2169, XP055893633, ISSN: 0009-7322, DOI: 10.1161/CIRCULATIONAHA.118.036761 * |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
EP4173623A1 (en) | 2023-05-03 |
TW202214582A (zh) | 2022-04-16 |
JPWO2021261598A1 (ja) | 2021-12-30 |
CN115916201A (zh) | 2023-04-04 |
US20230241053A1 (en) | 2023-08-03 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR20100135909A (ko) | 심혈관성 입원 또는 사망을 예방하는데 사용하기 위한 약제의 제조에 있어서의 드로네다론의 용도 | |
KR20110026422A (ko) | 영구적 심방 세동의 예방을 위한 드로네다론 | |
US11123328B2 (en) | Dantrolene and analogs thereof for the chronic treatment and prevention of dyssynchronous cardiac dysfunction | |
US5747507A (en) | Cardio-protective agent | |
MX2007008845A (es) | Metodos para control del intervalo qt. | |
Alps et al. | A comparison of the cardiovascular actions of indoramin, propranolol, lignocaine, and quinidine | |
WO2021261598A1 (ja) | 薬剤誘発性徐脈および徐脈性不整脈治療薬 | |
US5985933A (en) | Methods for treating central and peripheral nerve pain | |
US20050009899A1 (en) | Pharmaceutical composition comprising a sodium hydrogen exchange inhibitor and an angiotensin converting enzyme inhibitor | |
Euler et al. | Sympathetic influences on electrical and mechanical alternans in the canine heart | |
Sakamoto et al. | Sequential use of aminophylline and theophylline for the treatment of atropine-resistant bradycardia after spinal cord injury: a case report | |
JP2011517694A (ja) | ドロネダロンと少なくとも1つの利尿薬の組み合わせおよびこの治療的使用 | |
KR101078133B1 (ko) | 동방 결절 if 흐름 억제제와 베타 차단제의 회합체 | |
WO2019131308A1 (ja) | 9‐β‐D‐アラビノフラノシルヒポキサンチンによる不整脈治療 | |
WO2007023775A1 (ja) | 心房細動治療剤 | |
CA2586918C (en) | Use of ion channel modulating compounds for treating acute atrial fibrillation in a human | |
Torresani | Bretylium tosylate in patients with acute myocardial infarction | |
RU2493836C1 (ru) | Фармацевтическая комбинация для профилактики и лечения хронических нарушений вегетативной регуляции ритма сердца и способ профилактики и лечения с помощью фармацевтической комбинации | |
EP2386300A1 (en) | Use of dronedarone for the preparation of a medicament for use in the prevention of cardiovascular hospitalization or of mortality in patients having a first recurrence of atrial fibrillation or atrial flutter | |
JP4613496B2 (ja) | 不整脈治療剤 | |
US9974759B2 (en) | Beta 2 adrenoceptor antagonists for treating orthostatic hypotension | |
US6911209B1 (en) | Method of treating sick sinus syndrome with levosimendan | |
US4271175A (en) | Method of using 2-[N-(2,6-dichloro-phenyl)-N-allyl-amino]-2-imidazoline and salts thereof as bradycardiacs | |
US20230172883A1 (en) | Anti-arrhythmic compositions and methods | |
EP0303357A2 (en) | 4-Amino-6,7-dimethoxy-2-(6,7-dimethoxy-1,2,3,4-tetrahydroisoquinol-2-yl)quinoline for (treatment of cardiac arrhythmias). |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
121 | Ep: the epo has been informed by wipo that ep was designated in this application |
Ref document number: 21827874 Country of ref document: EP Kind code of ref document: A1 |
|
ENP | Entry into the national phase |
Ref document number: 2022532557 Country of ref document: JP Kind code of ref document: A |
|
ENP | Entry into the national phase |
Ref document number: 2021827874 Country of ref document: EP Effective date: 20230126 |
|
NENP | Non-entry into the national phase |
Ref country code: DE |