WO2021117521A1 - 接着剤組成物、ゴム-有機繊維コード複合体及びタイヤ - Google Patents

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Abstract

ホルマリン及びレゾルシンを含まない場合であっても、優れた接着性が実現された、接着剤組成物を提供することを目的とする。 上記課題を解決するため、本発明は、ポリフェノール類と、芳香族環を有するアルデヒド類と、イソシアネート化合物と、を含むことを特徴とする。

Description

接着剤組成物、ゴム-有機繊維コード複合体及びタイヤ
 本発明は、接着剤組成物、ゴム-有機繊維コード複合体及びタイヤに関するものである。
 従来、ポリエステル繊維等の有機繊維は、高い初期弾性率や、優れた熱時寸法安定性を有しているため、フィラメント、コード、ケーブル、コード織物、帆布等の形態で、タイヤ、ベルト、空気バネ、ゴムホース等のゴム物品の補強材として極めて有用であり、これらの繊維とゴムとの接着性を改良させるため、種々の接着剤組成物が提案されている。接着剤組成物として、例えば、レゾルシンや、ホルマリン、ゴムラテックス等を含むRFL(レゾルシン・ホルマリン・ラテックス)接着剤を用い、該RFL接着剤を熱硬化させることにより接着力を確保する技術が、知られている(例えば、特許文献1~3等を参照。)。
 また、接着剤組成物については、レゾルシンとホルマリンを初期縮合させたレゾルシンホルマリン樹脂を用いる技術(特許文献4、5参照)や、エポキシ樹脂でポリエステル繊維等からなるタイヤコードを前処理することにより、接着力の向上を図る技術が知られている。
 ここで、上述した接着剤組成物に一般的用いられているホルマリンは、レゾルシンを架橋させるための重要な原材料であるものの、近年、作業環境を考慮して使用量の削減が求められている。さらに、レゾルシンについても同様に、環境面の観点から、使用量の削減が求められている。
 そのため、レゾルシン及びホルマリンを含まず、環境への配慮がされた接着剤組成物や、接着方法がいくつか提案されている(例えば、特許文献6を参照。)。しかしながら、レゾルシン及びホルマリンを含有しない接着剤組成物は、硬化に時間を要するため、生産性や、接着性の点でさらなる改善が求められている。
 また、接着対象の有機繊維としてポリエチレンテレフタラート(PET)繊維を用いる場合、レゾルシン及びホルマリンを含有しない接着剤組成物の、接着性能が十分に得られないことが多く、特に改善が望まれていた。これは、熱的寸法性の良いポリエチレンテレフタレートを代表とする主鎖中にエステル結合を有する線状高分子であるポリエステル繊維材料をゴム製品の補強材として使用すると、構造的に緻密であり、また、官能基が少ないポリエステル繊維材料はこのRFL等のラテックスと水溶性フェノールを架橋する原材料を混合させて得られる接着剤組成物では、殆ど接着が得られないためである。
 そのため、ポリエステルやアラミドなどの不活性なタイヤ用コードへの接着剤処理として、エポキシ等によって前処理を施し、次いで、レゾルシン・ホルムアルデヒド・ラテックス(RFL)に浸漬する2浴処理が一般的に用いられてきた。しかしながら、2浴処理は十分な接着力が得られるものの、2浴処理による加工費増大や設備的な制約より全体のコストが高くなりがちで、1浴処理を用いた場合でも高い接着性が得られる技術の開発が望まれている。
 このような技術として、例えば特許文献7には、ゴムラテックスを含む接着剤組成物に接着促進するイソシアネート化合物を含ませる方法が提案されているが、レゾルシン及びホルマリンを含まない接着剤組成物の熱硬化性樹脂成分を用いた一浴処理によってポリエステル繊維材料の接着性が得られる技術については提案されていない。
特開昭58-2370号公報 特開昭60-92371号公報 特開昭60-96674号公報 特開昭63-249784号公報 特公昭63-61433号公報 特開2010-255153号公報 特開2013-82923号公報
 そのため、本発明の目的は、ホルマリン及びレゾルシンを含まない場合であっても、優れた接着性を実現できる、接着剤組成物を提供することにある。
 また、本発明の目的は、環境への負荷が少なく、生産性の高い、ゴムと有機繊維コードとの接着性に優れた、ゴム-有機繊維コード複合体及びタイヤを提供することにある。
 本発明者らは、上記目的を達成するべく検討を行った結果、接着剤組成物中に、特定のポリフェノール類及び芳香族環を有するアルデヒド類を含有させることによって、ホルマリン及びレゾルシンを用いない場合でも、高い接着力を実現できる可能性があることに着目し、さらに鋭意研究を行った結果、接着剤組成物中に、ポリフェノール類及び芳香族環を有するアルデヒド類に加えて、特定のイソシアネート化合物を含有させることによって、これらの相乗効果によって、極めて優れた接着性を実現できることを見出した。
 すなわち、本発明の接着剤組成物は、ポリフェノール類と、芳香族環を有するアルデヒド類と、イソシアネート化合物と、を含むことを特徴とする。
 上記構成により、ホルマリン及びレゾルシンを含まない場合であっても、優れた接着性を実現できる。
 また、本発明の接着剤組成物は、ゴムラテックスをさらに含み、該ゴムラテックスは、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、ハロゲン化ブチルゴム、アクリロニリトル-ブタジエンゴム(NBR)及びビニルピリジン-スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(Vp)からなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましい。接着剤組成物のゴムラテックス成分を含むことにより、被着ゴムのゴム成分同士による相互作用と共加硫により、被着ゴムとの優れた接着性を実現できるためである。
 また、本発明の接着剤組成物では、前記ポリフェノール類は、3つ以上の水酸基を有することが好ましい。より優れた接着性を実現できるためである。
 さらに、本発明の接着剤組成物では、前記アルデヒド類は、2つ以上のアルデヒド基を有することが好ましい。より優れた接着性を実現できるためである。
 また、本発明の接着剤組成物では、前記イソシアネート化合物が、(ブロックド)イソシアネート基含有芳香族化合物であることが好ましい。より優れた接着性を実現できるためである。
 さらにまた、本発明の接着剤組成物では、前記ポリフェノール類及び前記芳香族環を有するアルデヒド類の合計含有量が、2~30質量%であり、前記ゴムラテックスの含有量が、20~90質量%であり、前記イソシアネート化合物の含有量が、5~65質量%であることが好ましい。生産性を低下させることなく、より優れた接着性を実現できるためである。
 なお、本発明の接着剤組成物中での各成分の含有量を表す質量%は、それぞれ、組成物の乾燥物中で含有される固形分の比としての質量%を表す。
 本発明の接着剤組成物の製造方法は、有機繊維コード用の接着剤組成物を製造する方法であって、ポリフェノール類及び芳香族環を有するアルデヒド類を含有し、それらを事前縮合させたものと、ラテックスとを混合した溶液を、熟成させた後、イソシアネート化合物含有を溶解させることを特徴とする。 上記構成によって、得られた接着剤組成物は、ホルマリン及びレゾルシンを含まない場合であっても、優れた接着性を実現できる。
 本発明のゴム-有機繊維コード複合体は、ゴム部材と、有機繊維コードと、を備えた、ゴム-有機繊維コード複合体であって、前記有機繊維コードの少なくとも一部に、上述した本発明の接着剤組成物がコーティングされていることを特徴とする。
 上記構成によって、環境への負荷が少なく、ゴムと有機繊維コードとの接着性を向上させることができる。
 また、本発明のゴム-有機繊維コード複合体では、前記有機繊維コードが、ポリエチレンテレフタラート(PET)繊維コードであることが好ましい。本発明によるゴムと有機繊維コードとの接着性の向上効果が、より顕著に発揮されるためである。
 本発明のタイヤは、上述した本発明のゴム-有機繊維コード複合体を用いたことを特徴とする。
 上記構成によって、環境への負荷が少なく、ゴムと有機繊維コードとの接着性を向上させることができる。
 本発明によれば、ホルマリン及びレゾルシンを含まない場合であっても、優れた接着性を実現できる、接着剤組成物を提供することができる。
 また、本発明によれば、環境への負荷が少なく、ゴムと有機繊維コードとの接着性に優れた、ゴム-有機繊維コード複合体及びタイヤを提供することができる。
<接着剤組成物>
 以下に、本発明の接着剤組成物の一実施形態について詳細に説明する。
 本発明の接着剤組成物は、ポリフェノール類と、芳香族環を有するアルデヒド類と、イソシアネート化合物と、を含む。
(ポリフェノール類)
 本発明の接着剤組成物は、樹脂成分としてポリフェノール類を含む。接着剤組成物中にポリフェノール類を含むことで、樹脂組成物の接着性を高めることができる。
 ここで、前記ポリフェノール類については、水溶性のポリフェノール類であり、レゾルシン(レゾルシノール)以外のポリフェノールであれば限定はされず、芳香族環の数や、水酸基の数についても、適宜選択することができる。
 また、前記ポリフェノール類は、より優れた接着性を実現する観点からは、2個以上の水酸基を有することが好ましく、3つ以上の水酸基を有することがより好ましい。3つ以上の水酸基を含むことにより水分を含む接着剤組成物液により前記ポリフェノールあるいは前記ポリフェノールの縮合物は水溶することで接着剤組成物内に均一して分布できるので、より優れた接着性を実現できる。
 さらに、前記ポリフェノール類が、複数個(2個以上)の芳香環を含むポリフェノールの場合、それらの芳香環では、各々、2個又は3個の水酸基がオルト、メタ又はパラ位に存在する。
 上述した3つ以上の水酸基を有するポリフェノール類としては、例えば以下に示すポリフェノール類が挙げられる。
フロログルシノール:
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001
モリン(2’,4’,3,5,7-ペンタヒドロキシフラボン):
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000002
フロログルシド(2,4,6,3,’5’-ビフェニルペントール):
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000003
 これらの中でも、前記ポリフェノール化合物(レゾルシンは除く)は、フロログルシノールであることが好ましい。
 これらポリフェノール化合物は、レゾルシンよりも環境負荷が少なく、合理的なコストで接着性が良好な有機繊維コード用接着剤組成物の材料とすることができるからである。
 なお、前記ポリフェノール化合物(レゾルシンは除く)の含有量は、特に限定されるものではないが、より優れた接着性を確保できる点からは、乾燥物中で含有される固形分の比として、1.5質量%以上であることが好ましく、2.0質量%以上であることがより好ましい。また、前記ポリフェノール化合物(レゾルシンは除く)の含有量は、特に限定されるものではないが、前記ポリフェノール化合物(レゾルシンは除く)が確実に溶解し、より優れた作業性が得られる点からは、乾燥物中で含有される固形分の比として、13 質量%以下であることが好ましく、11 質量%以下であることがより好ましい。
 
(芳香族環を有するアルデヒド類)
 本発明の接着剤組成物は、上述したポリフェノール類に加えて、樹脂成分として芳香族環を有するアルデヒド類を含む。
 接着剤組成物中に芳香族環を有するアルデヒド類を含有することで、上述したポリフェノール類と共に高い接着性を実現できる。
 ここで、前記芳香族環を有するアルデヒド類については、特に限定はされず、芳香族環の数や、アルデヒド基の数についても、適宜選択することができる。なお、前記芳香族環を有するアルデヒド類については、ホルムアルデヒドを含まない。
なお、本発明において「ホルムアルデヒドを含まない」とは、アルデヒド類の総質量に基づくホルムアルデヒドの質量含有量が0.5質量%未満であることを意味する。
 前記芳香環を有するアルデヒド類は、1分子内に、少なくとも1つの芳香環を含み、且つ少なくとも 1つのアルデヒド基を有する芳香族アルデヒドである。前記芳香環を有するアルデヒド類は、ホルムアルデヒドよりも環境負荷が少なく、また、優れた機械的強度、電気絶縁性、耐酸性、耐水性、耐熱性等を備えた、比較的安価な樹脂を形成することができる。
 また、前記芳香族環を有するアルデヒド類は、より優れた接着性を実現する観点からは、2つ以上のアルデヒド基を有することが好ましい。前記アルデヒド類が、複数のアルデヒド基により架橋し、縮合することによって、熱硬化性樹脂の架橋度を高くすることができるため、接着性をより高めることができる。
 さらに、前記アルデヒド類が、2つ以上のアルデヒド基を有する場合、1つの芳香族環において、2つ以上のアルデヒド基が存在することがより好ましい。なお、各アルデヒド基は、1つの芳香族環において、オルト、メタ又はパラの位置に存在することができる。
 このようなアルデヒド類としては、例えば、1,2-ベンゼンジカルボキサルデヒド、1,3-ベンゼンジカルボキサルデヒド、1,4-ベンゼンジカルボアルデヒド1,4-ベンゼンジカルボアルデヒド、2-ヒドロキシベンゼン-1,3,5-トリカルボアルデヒド、これらの化合物の混合物等が挙げられる。
 これらの中でも、より優れた接着性を実現できる観点から、前記芳香族環を有するアルデヒド類として、1,4-ベンゼンジカルボアルデヒドを少なくとも用いることが好ましい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000004
 また、前記芳香族環を有するアルデヒド類については、ベンゼン環を有するものだけでなく、複素芳香族化合物も含まれる。
 前記複素芳香族化合物であるアルデヒド類としては、例えば、以下に示すようなフラン環を有するアルデヒド類が挙げられる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000005
(式中、Xは、Oを含み;Rは、-Hまたは-CHOを示す。)
 上記のフラン環を有するアルデヒド類として、例えば、以下の化合物が挙げられる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000006
(記式中、Rは、-Hまたは-CHO;R1、R2及びR3は、それぞれ、アルキル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール又はシクロアルキル基を示す。)
 なお、前記芳香環を有するアルデヒド化合物の含有量は、特に限定されるものではないが、より優れた接着性を確保できる点からは、乾燥物中で含有される固形分の比として、0.5質量%以上であることが好ましく1.0質量%以上であることがより好ましい。また、前記芳香環を有するアルデヒド化合物の含有量は、特に限定されるものではないが、前記芳香環を有するアルデヒド化合物が確実に溶解し、より優れた作業性が得られる点からは、乾燥物中で含有される固形分の比として、9.5質量%以下であることが好ましく、8.5質量%以下であることがより好ましい。
 なお、本発明の接着剤組成物では、前記ポリフェノール類及び前記芳香環を有するアルデヒド類が縮合された状態であり、前記ポリフェノール類と前記芳香環を有するアルデヒド類との質量比(芳香環を有するアルデヒド類の含有量/ポリフェノール類の含有量)は、0.1以上、3以下であることが好ましく、0.25以上、2.5以下であることがより好ましい。前記ポリフェノール類と前記芳香環を有するアルデヒド類との間では、縮合反応が起こるが、その生成物である樹脂の硬度、接着性がより適したものになるからである。 
 また、本発明の接着剤組成物中の、前記ポリフェノール類及び前記芳香族環を有するアルデヒド類の合計含有量は、2~30質量%であることが好ましく、3~25質量%であることがより好ましく、さらには5~20質量%が好ましい。作業性等を悪化させることなく、より優れた接着性を確保できるためである。
 なお、前記ポリフェノール類及び前記芳香族環を有するアルデヒド類の質量比並びに合計含有量は、乾燥物の質量(固形分比)である。
(イソシアネート化合物)
 本発明の接着剤組成物は、上述したポリフェノール類及び芳香族環を有するアルデヒド類に加えて、イソシアネート化合物をさらに含む。ポリフェノール類及び芳香族環を有するアルデヒド類との相乗効果によって、本発明の接着剤組成物の接着性を大きく高めることができる。
 ここで、前記イソシアネート化合物は、接着剤組成物の被着体である樹脂材料(例えば、ポリフェノール類及び芳香族環を有するアルデヒド類を縮合させたフェノール/アルデヒド樹脂) への接着を促進させる作用を有する化合物であって、極性官能基としてイソシアネート基を有する化合物である。
 前記イソシアネート化合物の種類については、特に限定はされないが、接着性をより向上できる観点から、(ブロックド)イソシアネート基含有芳香族化合物であることが好ましい。本発明の接着剤組成物中に、前記イソシアネート化合物を含ませると、被着体繊維と接着剤組成物の界面近傍の位置にブロックド)イソシアネート基含有芳香族が分布し、接着促進効果が得られる作用が得られ、この作用効果により、有機コードとの接着をより高度化することができる。
 前記(ブロックド)イソシアネート基含有芳香族化合物は、(ブロックド)イソシアネート基を有する芳香族化合物である。また、「(ブロックド)イソシアネート基」とは、ブロックドイソシアネート基又はイソシアネート基を意味し、イソシアネート基の他、イソシアネート基に対するブロック化剤と反応して生じたブロックドイソシアネート基、イソシアネート基に対するブロック化剤と未反応のイソシアネート基、又はブロックドイソシアネート基のブロック化剤が解離して生じたイソシアネート基等を含む。
 さらに、前記(ブロックド)イソシアネート基含有芳香族化合物は、芳香族類がアルキレン鎖で結合された分子構造を含むのが好ましく、芳香族類がメチレン結合した分子構造を含むことがより好ましい。芳香族類がアルキレン鎖で結合された分子構造としては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート、又はフェノール類とホルムアルデヒドとの縮合物等にみられる分子構造が挙げられる。
 なお、前記(ブロックド)イソシアネート基含有芳香族化合物としては、例えば、芳香族ポリイソシアネートと熱解離性ブロック化剤を含む化合物、ジフェニルメタンジイソシアネート又は芳香族ポリイソシアネートを熱解離性ブロック化剤でブロック化した成分を含む水分散性化合物、水性ウレタン化合物等が挙げられる。
 前記芳香族ポリイソシアネートと熱解離性ブロック化剤とを含む化合物としては、ジフェニルメタンジイソシアネートと公知のイソシアネートブロック化剤を含むブロックドイソシアネート化合物等が好適に挙げられる。上記ジフェニルメタンジイソシアネート又は芳香族ポリイソシアネートを熱解離性ブロック化剤でブロック化した成分を含む水分散性化合物としては、ジフェニルメタンジイソシアネート又はポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートを、イソシアネート基をブロックする公知のブロック化剤でブロックした反応生成物が挙げられる。具体的には、エラストロンBN69(第一工業製薬(株)製)、エラストロンBN77(第一工業製薬(株)製)やメイカネートTP-10(明成化学工業(株)製)等の市販のブロックドポリイソシアネート化合物を用いることができる。
 前記水性ウレタン化合物は、芳香族類がアルキレン鎖で結合された分子構造、好ましくは芳香族類がメチレン結合した分子構造を含有する有機ポリイソシアネート化合物(α)と、複数の活性水素を有する化合物(β)と、イソシアネート基に対する熱解離性ブロック化剤(γ)とを反応させて得られる。また、水性ウレタン化合物(F)は、その可撓性のある分子構造から、接着改良剤としての作用のみならず、可撓性のある架橋剤として接着剤の高温時流動化を抑止する作用も有する。
 なお、「水性」とは、水溶性または水分散性であることを示し、「水溶性」とは必ずしも完全な水溶性を意味するのではなく、部分的に水溶性のもの、あるいは本発明の接着剤組成物の水溶液中で相分離しないものを意味する。
 ここで、前記水性ウレタン化合物(F)としては、例えば、下記一般式(I):
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000007
(式中、Aは芳香族類がアルキレン鎖で結合された分子構造を含有する有機ポリイソシアネート化合物(α)の活性水素が脱離した残基を示し、Yはイソシアネート基に対する熱解離性ブロック化剤(γ)の活性水素が脱離した残基を示し、Zは化合物(δ)の活性水素が脱離した残基を示し、Xは複数の活性水素を有する化合物(β)の活性水素が脱離した残基であり、nは2~4の整数であり、p+mは2~4の整数(m≧0.25)である。)で表される水性ウレタン化合物が好ましい。
 なお、前記芳香族類がアルキレン鎖で結合された分子構造を含有する有機ポリイソシアネート化合物(α)としては、メチレンジフェニルポリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート等が挙げられる。
 また、前記複数の活性水素を有する化合物(β)は、好ましくは2~4個の活性水素を有し、平均分子量が5,000以下の化合物である。かかる化合物(β)としては、(i)2~4個の水酸基を有する多価アルコール類、(ii)2~4個の第一級及び/又は第二級アミノ基を有する多価アミン類、(iii)2~4個の第一級及び/又は第二級アミノ基と水酸基を有するアミノアルコール類、(iv)2~4個の水酸基を有するポリエステルポリオール類、(v)2~4個の水酸基を有するポリブタジエンポリオール類及びそれらと他のビニルモノマーとの共重合体、(vi)2~4個の水酸基を有するポリクロロプレンポリオール類及びそれらと他のビニルモノマーとの共重合体、(vii)2~4個の水酸基を有するポリエーテルポリオール類であって、多価アミン、多価フェノール及びアミノアルコール類のC2~C4のアルキレンオキサイド重付加物、C3以上の多価アルコール類のC2~C4のアルキレンオキサイド重付加物、C2~C4のアルキレンオキサイド共重合物、又はC3~C4のアルキレンオキサイド重合物等が挙げられる。
 さらに、前記イソシアネート基に対する熱解離性ブロック化剤(γ)は、熱処理によりイソシアネート基を遊離することが可能な化合物であり、公知のイソシアネートブロック化剤が挙げられる。
 さらにまた、前記化合物(δ)は、少なくとも1つの活性水素とアニオン性及び/又は非イオン性の親水性基を有する化合物である。少なくとも1つの活性水素とアニオン性の親水基を有する化合物としては、例えば、タウリン、N-メチルタウリン、N-ブチルタウリン、スルファニル酸等のアミノスルホン酸類、グリシン、アラニン等のアミノカルボン酸類等が挙げられる。一方、少なくとも1つの活性水素と非イオン性の親水基を有する化合物としては、例えば、親水性ポリエーテル鎖を有する化合物類が挙げられる。
 また、本発明の接着剤組成物における、前記イソシアネート化合物の含有量は、特に限定はされないが、より確実に優れた接着性を確保する観点から、5~65質量%の範囲であることが好ましく、5~55質量%であることがより好ましく、さらには10~50質量%が好ましい。
 なお、前記イソシアネート化合物の含有量は、乾燥物の質量(固形分比)である。
(ゴムラテックス)
 本発明の接着剤組成物は、上述したポリフェノール類、芳香族環を有するアルデヒド類及びイソシアネート化合物に加えて、実質的にはゴムラテックスをさらに含む。ゴム部材との接着性をより高めることができるためである。
 ここで、前記ゴムラテックスについては、特に限定はされず、天然ゴム(NR)の他、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、ハロゲン化ブチルゴム、アクリロニリトル-ブタジエンゴム(NBR)、ビニルピリジン-スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(Vp)等の合成ゴムを用いることができる。これらのゴム成分は、一種単独で用いてもよいし、二種以上をブレンドして用いてもよい。
 なお、前記ゴムラテックスについては、前記イソシアネート化合物を配合する前に、前記フェノール類及び前記アルデヒド類と混合させることが好ましい。
 また、本発明の接着剤組成物中の前記ゴムラテックスの含有量は、20~90質量%であることが好ましく、25~80質量%であることがより好ましい。さらには30~75質量%が好ましい。
<接着剤組成物の製造方法>
 次に、本発明の接着剤組成物の製造方法について説明する。
 本発明の接着剤組成物の製造方法は、有機繊維コード用の接着剤組成物を製造する方法であって、ポリフェノール類及び芳香族環を有するアルデヒド類を溶解させた溶液と、ラテックスとを、混合・熟成させた後に、イソシアネート化合物を加えることを特徴とする。
 接着剤組成物中に、ポリフェノール類及び芳香族環を有するアルデヒド類及びラテックスに加えて、特定のイソシアネート化合物を加えることによって、得られた接着剤組成物は、極めて優れた接着性を実現できる。
 前記ポリフェノール類及び芳香族環を有するアルデヒド類を溶解させる溶媒としては、特に限定はされないが、水や水酸化ナトリウム溶液等が挙げられ、より確実に前記ポリフェノールを溶解させることができる点からは、水及び水酸化ナトリウム溶液、並びに/又は、アンモニア水溶液を含有させることが好ましい。
 前記水については、前記ポリフェノール類及び前記芳香族環を有するアルデヒド類をより確実に溶解できる観点から、40℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましい。
 また、接着剤組成物において、前記芳香族環を有するアルデヒド類をより確実に溶解させつつ、生産性の低下を抑える観点からは、前記芳香族環を有するアルデヒド類は、前記ポリフェノール類を含有する溶液へ、漸次的に加えることが好ましい。
 なお、前記ポリフェノール類、前記芳香族環を有するアルデヒド類の構成や含有量等については、上述した本発明の接着剤組成物の中で説明した内容と同様である。
 また、本発明の接着剤組成物の製造方法では、上述したように、前記ゴムラテックスを加えることができる。
 ゴムラテックスを加えることで、得られた接着剤組成物のゴム部材との接着性をより向上させることができる。なお、前記ゴムラテックスの構成や含有量等については、上述した本発明の接着剤組成物の中で説明した内容と同様である。
 さらに、本発明の接着剤組成物の製造方法において、前記ゴムラテックスを加える場合、該ゴムラテックスの添加後、熟成させることがより好ましい。より確実にラテックスを凝固させ、接着剤組成物の取り扱い易さを向上できるとともに、接着性の向上も図れるためである。
 ここで、前記ゴムラテックスの熟成とは、ラテックスの特性を向上させることを目的として、ラテックスを添加・混合した後、一定時間経過させる工程のことである。その条件については特に限定はされない。例えば、25℃程度で、1時間~1週間経過させることで、前記ゴムラテックスの熟成を行うことができる。
 そして、本発明では、上述したように、ポリフェノール類及び芳香族環を有するアルデヒド類を溶解させた溶液と、ラテックスとを、混合・熟成させた後に、イソシアネート化合物を加える。
 前記イソシアネート化合物を加えることによって、前記ポリフェノール類及び前記芳香族環を有するアルデヒド類との相乗効果によって、得られた接着剤組成物の接着性を大きく高めることができる。
 なお、前記イソシアネート化合物の構成や含有量等については、上述した本発明の接着剤組成物の中で説明した内容と同様である
 なお、本発明の接着剤組成物の製造方法では、接着剤組成物を、一浴処理液から構成することができる。ここで、一浴処理については、接着させる有機繊維コードを、1つの処理液(接着剤組成物)にディップさせることで、有機繊維コードの表面に接着剤組成物を付着させる処理である。
 なお、接着剤組成物が一浴処理液から構成される場合、上述した各成分を加える順番としては、例えば、前記ポリフェノール類及び前記芳香族環を有するアルデヒド類を縮合させてなるフェノール/アルデヒド樹脂を準備する。その後、必要に応じてラテックスと混合させた後、イソシアネート化合物を加えることによって、処理液を準備する。そして、前記有機繊維コードを処理液にディップさせることで、接着剤組成物を有機繊維コードにコーティングすることができる。
<ゴム-有機繊維コード複合体>
 本発明のゴム-有機繊維コード複合体は、ゴム部材と、有機繊維コードとを備えた、ゴム-有機繊維コード複合体であって、前記有機繊維コードの少なくとも一部に、上述した本発明の接着剤組成物がコーティングされていることを特徴とする。
 本発明のゴム-有機繊維コード複合体は、本発明の接着剤組成物を用いているため、環境への負荷が少なく、ゴムと有機繊維コードとの接着性に優れる。
 ここで、本発明のゴム-有機繊維コード複合体の用途は、特に限定はされない。例えば、ベルト、空気ばね、ホース等の部材として用いることができる。
 なお、本発明のゴム-有機繊維コード複合体では、本発明の接着剤組成物が前記有機繊維コードの少なくとも一部を覆っていればよいが、ゴムと有機繊維コードとの接着性をより向上できる点からは、本発明の接着剤組成物が前記有機繊維コードの全面にコーティングされていることが好ましい。
 また、前記有機繊維コードの種類については、特に限定はされず、用途によって適宜選択することができる。ここで、前記有機繊維コードとは、タイヤ等のゴム物品の強度を補うために使用されるものである。この有機繊維コードを補強材として使用する際には、まず、紡糸された有機繊維の原糸のモノフィラメントコード、あるいはマルチフイラメントコードを撚糸した撚りコードを、有機繊維コードとして使用することができる。そして、当該有機繊維コードを、接着剤組成物を用いて、当該有機繊維コードを被覆するゴムに埋設して加硫を行い接着させることにより有機繊維コード-ゴム複合体を形成させ、この有機繊維コード-ゴム複合体を、タイヤ等のゴム物品の補強部材として使用することができる。
 前記有機繊維コードの材質としては、特に限定はないが、ポリエチレンテレフタラート(PET)繊維コード、ポリエステル、6-ナイロン、6,6-ナイロン、4,6-ナイロン等の脂肪族ポリアミド繊維コード、人造フィブロイン繊維等のタンパク質繊維コード、ポリケトン繊維コード、ポリノナメチレンテレフタルアミド、パラフェニレンテレフタルアミドに代表される芳香族ポリアミド繊維コード、アクリル繊維コード、炭素繊維コード、レーヨン、リヨセル等のセルロース繊維コードに代表される樹脂繊維材料、あるいはこれらを混合した繊維材料に使用することができる。
 さらに、より顕著に本発明の、環境への負荷が少なく、ゴムと有機繊維コードとの接着性に優れる、という効果が発揮される観点からは、前記有機繊維コードとして、ポリエチレンテレフタラート(PET)繊維コードを用いることが好ましい。前記ポリエチレンテレフタラート(PET)繊維コードは、ゴム部材との高い接着性が得られにくいためである。
<タイヤ>
 本発明のタイヤは、上述した本発明のゴム-有機繊維コード複合体を、用いたことを特徴とする。
 本発明のタイヤでは、述した本発明のゴム-有機繊維コード複合体を、例えば、カーカスプライ、ベルト層、ベルト補強層、フリッパー等のベルト周り補強層等として用いることが可能である。
 なお、本発明の空気入りタイヤは、上述のゴム物品を用いる以外特に制限はなく、常法に従って製造することができる。また、該タイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
 以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
<接着剤組成物1~8>
 表1に示す配合組成、並びに、表2に示す製造条件従って、サンプルとなる接着剤組成物を調製した。
(1)接着剤組成物1~4の製造条件
 まず、フロログルシノールを、100℃程度の水に溶解させ、濃度10wt%のフロログルシノール含有溶液を得た。
 その後、10wt%フロログルシノール溶液33.5gを、高温下で維持して攪拌しながら、4%水酸化ナトリウム18.2gを加えた後、水206gで希釈し、25%アンモニア水を7.5g加えた。上記溶液に、1,4-ベンゼンジカルボアルデヒド6.4gを漸次的に加え、フロログルシノール・1,4-ベンゼンジカルボアルデヒド含有溶液を得た後、表3に示す温度及び時間で熟成を行い、フェノール/アルデヒド樹脂を得た。
 上記フロログルシノール・1,4-ベンゼンジカルボアルデヒド含有溶液の熟成により得たフェノール/アルデヒド樹脂に、ビニルピリジン-スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(Vp)、スチレンーブタジエン共重合体ゴム及び天然ゴムを加え、27℃で24時間ゴムの熟成を行った。さらに上記フェノール/アルデヒド樹脂およびVpの混合液に、表2の配合比となるよう、特定のイソシアネート化合物を加えた。
 接着剤組成物1~4の配合成分については、配合Aとして表1及び2に示す。なお、表1は、固形成分としての配合量(質量%)、表2は、溶液状態での配合量(質量%)を示している。
(2)接着剤組成物5~8の製造条件
 まず、フロログルシノールを、100℃の水に溶解させ、濃度10wt%のフロログルシノール含有溶液を得た。
その後、10wt%フロログルシノール溶液33.5gを、高温下で維持して攪拌しながら、4%水酸化ナトリウム18.2gを加えた後、水206gで希釈し、25%アンモニア水を7.5g加えた。上記溶液に、1,4-ベンゼンジカルボアルデヒド6.4gを漸次的に加え、フロログルシノール・1,4-ベンゼンジカルボアルデヒド含有溶液を得た後、表3に示す温度及び時間で熟成を行い、フェノール/アルデヒド樹脂を得た。
 上記フロログルシノール・1,4-ベンゼンジカルボアルデヒド含有溶液の熟成により得たフェノール/アルデヒド樹脂に、ビニルピリジン-スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(Vp)、スチレンーブタジエン共重合体ゴム及び天然ゴムを加え、27℃で24時間ゴムの熟成を行った。
 接着剤組成物5~8の配合成分については、配合Bとして表1及び2に示す。なお、表1は、固形成分としての配合量(質量%)、表2は、溶液状態での配合量(質量%)を示している。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000008
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000009
*1: 富士フィルム和光純薬(株)製、10%水溶液として使用
*2: 東京化成工業(株)製、純度98%
*3: 関東化学(株)製、1N NaOH水溶液
*4: 関東化学(株)製、25%アンモニア水溶液
*5: Sime Darby社製、HYTEX HA
*6: JSR(株)製、SBR ラテックス 2108
*7: 日本A&L(株)製、PYRATEX
*8: 第一工業製薬(株)製、BN77、固形分濃度18%となるように希釈して使用
<接着性評価>
 天然ゴム、スチレン-ブタジエン共重合体からなるゴム成分、カーボンブラック、架橋剤を含む未加硫状態のゴム組成物に、各サンプルの接着剤組成物をコーティングしたタイヤ用ポリエステルコードを埋め込み、これを試験片として、160℃で20分間、20kgf/cmの加圧下で加硫した。
 得られた加硫物を室温まで冷却し、該加硫物からコードを掘り起こし、30cm/分の速度でコードを加硫物から剥離する時の抗力(N/cord)を25±1℃の室温雰囲気温度にて測定した。なお、このときの抗力を接着性評価の指標とした。
 測定によって得られた接着剤組成物1~8を用いた際の試験片の剥離時の抗力を表3に示す。また、本発明例1、2、3及び4の抗力は、同様の熟成条件である、比較例5、6、7及び8の抗力を100としたときの指数として表示し、表3に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000010
 表3の結果から、本発例となる接着剤組成物1~4を用いた際の接着性は、比較例となる接着剤組成物5~8を用いた際の接着性に比べて、大きく優れていることがわかった。
 本発明によれば、ホルマリン及びレゾルシンを含まない場合であっても、優れた接着性を実現できる、接着剤組成物を提供することができる。また、本発明によれば、環境への負荷が少なく、ゴムと有機繊維コードとの接着性に優れた、ゴム-有機繊維コード複合体及びタイヤを提供することができる。

Claims (10)

  1.  ポリフェノール類と、芳香族環を有するアルデヒド類と、イソシアネート化合物と、を含むことを特徴とする、接着剤組成物。
  2.  さらに、ゴムラテックスを含むことを特徴とする、請求項1に記載の接着剤組成物。
  3.  前記ポリフェノール類は、3つ以上の水酸基を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の接着剤組成物。
  4.  前記アルデヒド類は、2つ以上のアルデヒド基を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
  5.  前記イソシアネート化合物が、(ブロックド)イソシアネート基含有芳香族化合物であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
  6.  前記ゴムラテックスは、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、ハロゲン化ブチルゴム、アクリロニリトル-ブタジエンゴム(NBR)及びビニルピリジン-スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(Vp)からなる群より選択される少なくとも一種であることを特徴とする、請求項2に記載の接着剤組成物。
  7.  前記ポリフェノール類及び前記芳香族環を有するアルデヒド類の合計含有量が、2~30質量%であり、前記ゴムラテックスの含有量が、20~90質量%であり、前記イソシアネート化合物の含有量が、5~65質量%であることを特徴とする、請求項2~6のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
  8.  ゴム部材と、有機繊維コードと、を備えた、ゴム-有機繊維コード複合体であって、
     前記有機繊維コードの少なくとも一部に、請求項1~7のいずれか1項に記載の接着剤組成物がコーティングされていることを特徴とする、ゴム-有機繊維コード複合体。
  9.  前記有機繊維コードが、ポリエチレンテレフタラート(PET)繊維コードであることを特徴とする、請求項8に記載のゴム-有機繊維コード複合体。
  10.  請求項8又は9に記載のゴム-有機繊維コード複合体を用いたことを特徴とする、タイヤ。
     
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