WO2021100336A1 - 液体アンモニア輸送用及び貯蔵用鋼材、および、液体アンモニア輸送用及び貯蔵用鋼材の製造方法 - Google Patents

液体アンモニア輸送用及び貯蔵用鋼材、および、液体アンモニア輸送用及び貯蔵用鋼材の製造方法 Download PDF

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Definitions

  • the crack becomes a stress concentration part, the film fracture at the crack tip and the corrosion reaction proceed at an accelerating rate, eventually leading to the fracture of the steel material.
  • the resistance (arrestability) of the steel material to SCC crack propagation that determines the life of the steel material. Therefore, in order to secure the SCC resistance of the steel material, it is necessary to increase the SCC crack propagation resistance. Specifically, it is necessary to reduce the anodic dissolution sensitivity at the crack tip.
  • the Cu content and the Sb content are set to 0.50% or less, respectively. It is preferably 0.40% or less, and more preferably 0.30% or less, respectively.
  • the above steel material (steel slab) is hot-rolled to a desired size and shape

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Abstract

液体アンモニア環境下で使用されるプラントやタンクなどといった大型構造物の構造用部材に適用して好適であり、また製造性の面でも有利な耐アンモニアSCC性に優れた液体アンモニア輸送用及び貯蔵用鋼材、および、液体アンモニア輸送用及び貯蔵用鋼材の製造方法を提供することを目的とする。 所定の成分組成を有するとともに、 (Cu+Sb)偏析度が15未満である、液体アンモニア輸送用及び貯蔵用鋼材。 ここで、(Cu+Sb)偏析度は、次式(1)により定義される。 [(Cu+Sb)偏析度]=[偏析部の(Cu+Sb)濃度]/[平均の(Cu+Sb)濃度] (1)

Description

液体アンモニア輸送用及び貯蔵用鋼材、および、液体アンモニア輸送用及び貯蔵用鋼材の製造方法
 本発明は、液体アンモニア環境下で使用されるパイプライン、プラントやタンクなどといった大型構造物の構造用部材に好適な液体アンモニア輸送用及び貯蔵用鋼材、および、液体アンモニア輸送用及び貯蔵用鋼材の製造方法に関するものである。
 アンモニアは、主に硝酸などの基礎化学品や、肥料の原料用途として、広く製造、流通している化合物である。一方で、アンモニアは取扱いが難しく、特に、液体アンモニアを取り扱う炭素鋼製の配管や貯槽、タンク車、ラインパイプにおいて、アンモニアによる応力腐食割れ(以下、アンモニアSCC(Stress Corrosion Cracking)ともいう)が発生することが知られている。
 このため、従来から、液体アンモニア環境下で使用される構造物については、応力腐食割れに対する感受性の低い鋼材の適用、および、アンモニアSCCを抑制する操業上の措置が講ぜられてきた。
 例えば、アンモニアSCCの発生については、経験的に、材料の強度と相関があることが知られている。炭素鋼の使用にあたっては、その強度に上限を設けること、および、溶接部に対して応力除去焼鈍を施すことにより、アンモニアSCCの抑制が図られている。
 また、液体アンモニア環境では、液体アンモニアと共存する水が応力腐食割れの発生を抑制する作用を示す。このため、液体アンモニアの品質に支障がないレベルで水を添加するという予防措置がとられる場合もある。
 ところで、近年、液体アンモニアの用途拡大を背景に、世界的にその需要が増加しており、設備の大型化、および、流通・製造でのコスト低減が志向されている。これに伴い、上記のようなアンモニアSCCの抑制対策や予防措置を行うことが困難となっている。
 例えば、溶接部に応力除去焼鈍を施すことは製造工程を増やすこととなるので、特に大型設備において、その適用は現実的とは言えない。また、液体アンモニアへの水の添加は、液体アンモニア中の水分濃度を適切に管理する必要がある。設備の大型化に伴って、その濃度管理は困難となる。さらに、近年需要が高まっている高純度の液体アンモニアについては、そもそも水の添加による予防措置を講ずることはできない。
 そのため、液体アンモニアを取り扱うプラントやタンクなどの構造用部材に適用して好適な耐アンモニアSCC性に優れた鋼材の開発が望まれている。
 液体アンモニア環境で使用される鋼材に関する技術として、例えば、特許文献1には、重量%で、C:0.15%以下、Si:0.15~0.40%、Mn:0.80~2.00%、P:0.020%以下、S:0.005%以下、Alsol0.015~0.050%を含有し、さらにCu:0.35%以下、Ni:1.00%以下、Cr:0.50%以下、Mo:0.25%以下、V:0.05%以下、Nb:0.05%以下及びTi:0.05%以下のいずれかを1種類以上含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなるスラブを熱間圧延後、オーステナイト化温度に加熱し空冷以下の冷却速度で冷却した後、さらに2相域温度(Ac1~Ac3)に加熱焼入れし、続いて焼戻し処理を施すことを特徴とする耐アンモニア割れ性に優れた高張力鋼の製造法が開示されている。
 また、特許文献2には、重量%でC:0.06~0.14%、Si:0.50%以下、Mn:0.30~1.80%、P:0.025%以下、S:0.020%以下、V:0.01~0.10%、Al:0.010~0.10%、N:0.0050%以下、残部鉄及び不可避的不純物よりなり、且つ、PCM=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5B(%)とするとき、PCM≦0.24%である鋼片を所定の板厚に圧延した後、焼入れ処理加熱の前に1100~1300℃の温度に加熱し、C≦0.05%である厚さ0.5mm以上の脱炭層を鋼板表面部に形成し、次いで、焼入れ焼戻し処理を施すことを特徴とする耐硫化物応力腐食割れ性及び耐アンモニア応力腐食割れ性のすぐれた調質60kgf/mm級高張力鋼板の製造方法が開示されている。
 さらに、特許文献3には、アンモニアタンク用鋼板の製造方法において、前記鋼板素材の表面から0.3mm以内のC含有量が母材C量の50%以下になるように表面脱炭する工程と、前記表面脱炭鋼板を焼入れ温度に加熱した後前記脱炭表面の冷却速度を800~500℃の温度範囲で150℃/sec以下になるように冷却する工程と、を有して成ることを特徴とする耐アンモニア割れ特性のすぐれた調質鋼板の製造方法が開示されている。
特開平5-9571号公報 特開昭61-279631号公報 特開昭58-67830号公報
 しかしながら、特許文献1~3に開示される製造方法で得られる鋼材は、表面組織を制御することにより、耐アンモニアSCC性を担保するものである。そのため、実際の施工において、特許文献1~3の鋼材が加熱加工を受けた場合、表面組織が変質する可能性がある。このため、必ずしも十分な耐アンモニアSCC性が得られるとは言えない。
 また、特許文献1~3の製造方法ではいずれも、熱間圧延工程以降に、焼き戻し等の熱処理を行うことが不可欠であり、製造コスト、及び、リードタイムを含めた製造工程における負荷は極めて大きくなる。さらに、熱処理設備のサイズ制約によって、大型構造物を構成する部材を供給する上では、不利となる。
 本発明は、上記の現状に鑑み開発されたものであって、液体アンモニア環境下で使用されるプラントやタンクなどといった大型構造物の構造用部材に適用して好適であり、また製造性の面でも有利な耐アンモニアSCC性に優れた液体アンモニア輸送用及び貯蔵用鋼材、および、液体アンモニア輸送用及び貯蔵用鋼材の製造方法を提供することを目的とする。
 本発明者らは、上記の課題を解決すべく、種々検討を重ねた。
 まず、本発明者らは、液体アンモニア環境下におけるアンモニアSCCの発生メカニズムを詳細に検討したところ、以下の知見を得た。
 液体アンモニア環境では、以下の腐食反応が生じる。
アノード反応:2Fe→2Fe2++4e
カソード反応:O+2NH +4e→2OH+2NH
 ただし、鋼材表面には、上記の腐食反応に伴い、不活性な酸化被膜が形成される。このため、通常であれば、上記の腐食反応の総反応量は多くない。したがって、液体アンモニア環境は、本質的には厳しい腐食環境ではない。
 しかしながら、鋼材の残留応力や外部から加えられる応力によって、鋼材表面に新生面が生じると、酸化被膜が存在しない新生面をアノードサイトとした選択的な鉄溶解反応が進行し、亀裂を形成する。
 亀裂は応力集中部となるため、亀裂先端での被膜破壊と、腐食反応とが加速度的に進行していき、最終的に鋼材を破断に至らしめる。なお、SCCにより亀裂がひとたび発生した場合、鋼材の寿命を決めるのは、鋼材のSCC亀裂伝播に対する耐性(アレスト性)である。したがって、鋼材のSCC耐性を確保するためには、SCC亀裂伝播耐性を高める必要がある。具体的には、亀裂先端でのアノード溶解感受性を低減する必要がある。
 そこで、本発明者らは、上記の知見に基づき、液体アンモニア環境において、優れた耐アンモニアSCC性を示す鋼材の開発に向けて鋭意研究を重ねた。
 その結果、耐アンモニアSCC性を向上させるためには、CuおよびSbを適正量添加することが有効であることを知見した。
 なお、アンモニアSCCの進展は、上述のように亀裂先端での被膜破壊と、腐食反応の進行により生じる局部腐食現象の一種である。したがって、亀裂部先端でのアノード溶解感受性を平均的に低減したとしても、先端近傍でのアノード溶解感受性に不均一性がある場合、その不均一性を駆動力として、局部腐食が進行してしまい、アンモニアSCCの進展抑制には至らない。すなわち、CuおよびSbの板厚方向での偏析(局部濃化)度を一定以下に制限することで、鋼材内でのアノード溶解感受性を均一化でき、耐アンモニアSCC性を大幅に向上できることを知見した。
 本発明は、上記の知見に基づき、さらに検討を加えた末に完成されたものである。すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
[1]質量%で、
C:0.50%以下、
Si:0.01~1.00%、
Mn:0.10~3.00%、
P:0.030%以下、
S:0.0100%以下、
N:0.0005~0.0100%、
Al:0.001~0.10%
を含有し、さらに
Cu:0.010~0.50%および
Sb:0.010~0.50%
のうちから選ばれる1種または2種を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有するとともに、
(Cu+Sb)偏析度が15未満である、液体アンモニア輸送用及び貯蔵用鋼材。
ここで、(Cu+Sb)偏析度は、次式(1)により定義される。
[(Cu+Sb)偏析度]=[偏析部の(Cu+Sb)濃度]/[平均の(Cu+Sb)濃度]   (1)
[2]前記成分組成が、さらに質量%で、
Sn:0.01~0.50%、
Ni:0.01~3.00%、
Cr:0.01~3.00%
のうちから選ばれる1種以上を含有する[1]に記載の液体アンモニア輸送用及び貯蔵用鋼材。
[3]前記成分組成が、さらに質量%で、
Ca:0.0001~0.0100%、
Mg:0.0001~0.0200%および
REM:0.001~0.200%
のうちから選ばれる1種以上を含有する[1]または[2]に記載の液体アンモニア輸送用及び貯蔵用鋼材。
[4]前記成分組成が、さらに質量%で、
Ti:0.005~0.100%、
Zr:0.005~0.100%、
Nb:0.005~0.100%および
V:0.005~0.100%
のうちから選ばれる1種以上を含有する[1]~[3]のいずれかに記載の液体アンモニア輸送用及び貯蔵用鋼材。
[5]前記成分組成が、さらに質量%で、
Co:0.01~0.50%
を含有する[1]~[4]のいずれかに記載の液体アンモニア輸送用及び貯蔵用鋼材。
[6]前記成分組成が、さらに質量%で、
B:0.0001~0.0300%
を含有する[1]~[5]のいずれかに記載の液体アンモニア輸送用及び貯蔵用鋼材。
[7][1]~[6]のいずれかに記載された成分組成を有する鋼を、鋳造速度:0.3~2.8m/minで連続鋳造することにより鋼素材を製造し、
鋼素材を、再加熱温度:900~1350℃、再加熱時の800~950℃の温度範囲における滞在時間:8~150minの条件で再加熱し、
再加熱された鋼素材を仕上圧延終了温度:650℃以上で熱間圧延する液体アンモニア輸送用及び貯蔵用鋼材の製造方法。
 本発明によれば、液体アンモニア環境下で使用されるパイプライン、プラントやタンクなどといった大型構造物の構造用部材に適用して好適な、液体アンモニア輸送用及び貯蔵用鋼材を得ることができる。また、本発明の鋼材は、熱間圧延後に、焼き戻しなどの熱処理を施さなくとも製造することができるので、製造性の面でも有利である。さらに、本発明の鋼材を、例えば、液体アンモニアの貯蔵タンクに適用する場合には、溶接部に対し応力除去焼鈍を施さなくとも、従来に比べてより長期間にわたる使用が可能となるので、産業上極めて有利である。
図1は、(Cu+Sb)偏析度を求める際の、測定する面領域を説明する模式図である。
 以下、本発明の実施形態について説明する。なお、成分組成における単位はいずれも「質量%」であり、以下、特に断らない限り単に「%」で示す。
 C:0.50%以下
 Cは、鋼の強度確保に有効な元素である。したがって、本発明においては、0.01%以上を含有することが好ましい。より好ましくは、0.02%以上である。一方、C含有量が0.50%を超えると、加工性および溶接性が大幅に劣化する。このため、C含有量は0.50%以下とする。好ましくは0.40%以下、より好ましくは0.30%以下、さらに好ましくは0.20%以下である。
 Si:0.01~1.00%
 Siは、耐アンモニアSCC性向上に有効な元素である。すなわち、Siは、液体アンモニア環境での鋼材の腐食に伴って溶出し、鋼材表面に不活性なSiO被膜を形成する。これにより、亀裂先端での選択的なアノード溶解反応の進行が抑制され、鋼材のアンモニアSCC感受性が低減される。このような効果は、Si含有量を0.01%以上とすることで発現する。Si含有量は0.02%以上であることが好ましく、0.03%以上であることがより好ましく、0.05%以上であることがいっそう好ましい。一方、Si含有量が1.00%を超えると、靭性や溶接性が劣化する。このため、Si含有量は、1.00%以下とし、0.80%以下が好ましく、0.70%以下がより好ましく、0.60%以下であることがいっそう好ましい。なお、アンモニアのSCC亀裂伝播過程においては、亀裂が深く進展するため、亀裂先端での酸素濃度が低下して、SiO被膜が十分に形成されない。したがって、安定的に耐アンモニアSCC性の向上を図るためには、CuもしくはSb含有に加えて、後述する(Cu+Sb)偏析度を制御する必要がある。
 Mn:0.10~3.00%
 Mnは、強度および靭性を改善する元素である。ここで、Mn含有量が0.10%未満では、その効果が十分でないのでMn含有量は0.10%以上とし、0.20%以上であることが好ましく、0.50%以上であることがさらに好ましい。一方、Mn含有量が3.00%を超えると、溶接性が劣化するので、Mn含有量は3.00%以下とし、2.00%以下であることが好ましい。
 P:0.030%以下
 Pは、靭性及び溶接性を劣化させるため、P含有量は0.030%以下とする。好ましくは0.025%以下である。
 S:0.0100%以下
 Sは、鋼の靭性および溶接性を劣化させる有害元素であるので、極力低減することが望ましい。特に、S含有量が0.0100%を超えると、母材靭性および溶接部靭性の劣化が大きくなる。そのため、S含有量は0.0100%以下とする。好ましくは0.0080%以下、さらに好ましくは0.0060%以下である。
 N:0.0005~0.0100%
 Nは、靭性を低下させる有害な元素であるので、極力低減させることが望ましい。特に、N量が0.0100%を超えると、靭性の低下が大きくなる。したがって、N量は0.0100%以下とする。好ましくは0.0080%である。より好ましくは0.0070%である。一方、製鋼工程における精錬コストが過度に増加することを避けるため、N量は0.0005%以上とし、0.0010%以上であることが好ましい。
 Al:0.001~0.10%
 Alは、脱酸剤として添加される元素であり、Al量は0.001%以上とし、0.003%以上であることが好ましい。しかし、Al量が0.10%を超えると、鋼の靭性が低下する。このため、Al量は0.10%以下とし、0.08%以下であることが好ましい。
 Cu:0.010~0.50%およびSb:0.010~0.50%のうちから選ばれる1種または2種
 CuおよびSbは、耐アンモニアSCC性向上のために重要な元素であり、このうちの1種または2種を含有させる必要がある。すなわち、CuおよびSbは、液体アンモニア環境中において鋼材のアノード溶出に伴って速やかに、それぞれ、難溶性のメタルCuとメタルSbとして表面に濃化する。これら難溶性金属の表面濃化の結果として、亀裂先端でのアノード溶解感受性が低下する。その結果、応力腐食割れの亀裂先端でのアノード反応が抑制され、亀裂進展速度が低下する。このような効果を得るため、Cuを含有させる場合にはCu含有量を0.010%以上に、また、Sbを含有させる場合にはSb含有量を0.010%以上に、それぞれする必要がある。一方、CuおよびSbを過剰に含有させると、溶接性や靱性が劣化し、コストの観点からも不利になる。このため、Cu含有量およびSb含有量はそれぞれ0.50%以下とする。好ましくはそれぞれ0.40%以下であり、より好ましくはそれぞれ0.30%以下である。
 以上、基本成分について説明したが、必要に応じて、以下の元素を適宜含有させてもよい。
 Sn:0.01~0.50%、Ni:0.01~3.00%、Cr:0.01~3.00%のうちから選ばれる1種以上
 Sn、NiおよびCrは、耐アンモニアSCC性を一層向上させる元素であり、このうちの1種以上を含有させてもよい。これらの元素はいずれも、鋼材の耐酸性を高める元素であり、亀裂先端での選択的なアノード溶解の結果、過剰にpHが低下した場合に、加速度的に進行する腐食反応を抑制する働きを有する。このような効果は、これらの元素を0.01%以上含有させることで発現するので、0.01%以上含有させることが好ましく、0.02%以上含有させることがより好ましい。しかし、いずれの元素も多量に含有させると、溶接性や靱性を劣化させ、コストの観点からも不利になる。したがって、これらの元素を含有させる場合、Snの含有量は0.50%以下が好ましく、0.35%以下がより好ましい。Niの含有量は3.00%以下が好ましく、2.00%以下がより好ましい。Crの含有量は3.00%以下が好ましく、2.00%以下がより好ましい。
 Ca:0.0001~0.0100%、Mg:0.0001~0.0200%およびREM:0.001~0.200%のうちから選ばれる1種以上
 Ca、MgおよびREMはいずれも、溶接部の靱性を確保する目的で、このうちの1種以上を含有させてもよい。しかし、いずれの元素も多量に含有させると、溶接部の靱性劣化やコストの増加を招く。したがって、これらの元素を含有させる場合、その含有量はCa:0.0001~0.0100%、Mg:0.0001~0.0200%およびREM:0.001~0.200%の範囲とすることが好ましい。
 Ti:0.005~0.100%、Zr:0.005~0.100%、Nb:0.005~0.100%およびV:0.005~0.100%のうちから選ばれる1種以上
 Ti、Zr、NbおよびVは、所望とする強度を確保するために、このうちの1種または2種以上を含有させてもよい。しかし、いずれの元素も多量に含有させると、靱性や溶接性を劣化させる。したがって、これらの元素を含有させる場合、その含有量はいずれも0.005~0.100%の範囲とすることが好ましく、より好ましくは0.005~0.050%の範囲である。
 Co:0.01~0.50%
 Coは、鋼材の強度を高める元素であり、必要に応じて含有させてもよい。このような効果を得るためには、Coを0.01%以上含有させることが好ましい。しかし、Co含有量が0.50%を超えると、靱性や溶接性が劣化する。したがって、Coを含有させる場合、その含有量は0.01~0.50%の範囲とすることが好ましく、より好ましくは0.01~0.30%の範囲である。
 B:0.0001~0.0300%
 Bは、鋼材の焼入性を向上させる元素であり、鋼材の強度を確保する目的で必要に応じて含有させてもよい。このような効果を得るためには、Bを0.0001%以上含有させることが好ましく、0.0003%以上含有させることがより好ましい。しかし、B含有量が0.0300%を超えると、靱性の大幅な劣化を招く。したがって、Bを含有させる場合、その含有量は0.0300%以下とすることが好ましく、0.0020%以下とすることがより好ましい。
 上記以外の成分はFeおよび不可避的不純物である。
 以上、本発明の液体アンモニア輸送用及び貯蔵用鋼材の成分組成について説明したが、本発明の液体アンモニア輸送用及び貯蔵用鋼材では、(Cu+Sb)偏析度を次のように制御することが極めて重要である。
 (Cu+Sb)偏析度:15未満
 CuとSbの偏析によって、偏析部と非偏析部での耐アノード溶解性の差は大きくなる。この耐アノード溶解性の差は、選択的なアノード溶解の駆動力となり、アノード溶解支配型であるアンモニアSCCの亀裂伝播を助長する。すなわち、アンモニアSCCの亀裂伝播過程においては、亀裂が深く進展するため、亀裂先端での酸素濃度が低下して、SiO被膜が十分に形成されない。したがって、CuとSbを含有する成分組成において優れた耐アンモニアSCC特性を確保するには、前述したCuもしくはSbの含有に加えて、CuとSbの偏析を抑制して鋼材内でのアノード溶解感受性差を抑制することが重要である。このような観点から、(Cu+Sb)偏析度は15未満とする。好ましくは14未満である。より好ましくは12以下である。下限については特に限定されるものではないが、1.5以上とすることが好ましい。
 なお、ここでいう(Cu+Sb)偏析度とは、鋼材の圧延方向と平行に切断した断面(鋼材表面に垂直な断面)において、電子線マイクロアナライザ(Electron Probe Microanalyzer、以下、EPMAと示す)の線分析により得られる平均の(Cu+Sb)濃度に対する偏析部の(Cu+Sb)濃度の比である。ここで、(Cu+Sb)濃度とは、Cu濃度とSb濃度との和である。(Cu+Sb)偏析度の求め方は、具体的には、鋼材の厚さをt(mm)、幅(鋼材の圧延方向および厚さ方向と直角の方向)をW(mm)としたとき、まず、鋼材の圧延方向と平行、かつ鋼材表面に垂直な断面(鋼材表面に垂直な断面)の鋼材の圧延方向:1mm、全板厚方向(板表裏面最表層0.05mmを除く):(t-0.1)mmの面領域において、鋼材の厚さ方向にビーム径:20μm、ピッチ:50μmの条件で、CuおよびSbのEPMA線分析を実施する。なお、CuとSbのEPMA面分析は、一方の幅端部から、W/4の位置と、3W/4の位置の2断面における、任意の1mm×(t-0.1)mmの面領域にて実施する(図1参照)。そして、測定ラインごとにCuおよびSbの濃度の和である(Cu+Sb)濃度(質量濃度)の最大値を求め、これらの平均値を偏析部の(Cu+Sb)濃度とする。この偏析部の(Cu+Sb)濃度を、測定ラインの全測定値のCuおよびSbの濃度の和の算術平均値である平均の(Cu+Sb)濃度で除した値を、(Cu+Sb)偏析度とする。すなわち、(Cu+Sb)偏析度は、次式(1)により定義される。
[(Cu+Sb)偏析度]=[偏析部の(Cu+Sb)濃度]/[平均の(Cu+Sb)濃度]   (1)
 上述したように、本発明の液体アンモニア輸送用及び貯蔵用鋼材は、耐SCC性を確保する観点から、CuとSbの偏析を抑制する、すなわち、CuとSbの偏析の度合いを示す(Cu+Sb)偏析度を所定値以下に制御することが極めて重要である。ここで、(Cu+Sb)偏析度は、成分組成が同じであっても、製造条件によって大きく変化する。このため、CuとSbの偏析を抑制するには、後述する鋼材の製造方法を適切に制御することが非常に重要である。
 次に、本発明の液体アンモニア輸送用及び貯蔵用鋼材の好適な製造方法について説明する。
 本発明の鋼材は、上記した成分組成に調整した鋼を、転炉や電気炉、真空脱ガス等、公知の精錬プロセスを用いて溶製し、連続鋳造法あるいは造塊-分塊圧延法で鋼素材(スラブ)とし、ついでこの鋼素材を必要に応じて再加熱してから熱間圧延することにより、鋼板または形鋼等とすることで製造することができる。
 ここで、連続鋳造の場合、本発明では鋳造速度(引抜速度)を0.3~2.8m/minとすることが好ましい。鋳造速度が0.3m/min未満では、操業効率が悪くなるので、0.3m/min以上であることが好ましく、0.4m/min以上であることがより好ましい。一方、鋳造速度が2.8m/minを超えると、表面温度ムラが生じ、また、鋳片内部への溶鋼供給が不十分になって、CuおよびSbの偏析が促されるので、2.8m/min以下であることが好ましい。CuおよびSbの偏析を抑制する観点からは、鋳造速度は2.6m/min以下であることがより好ましく、2.2m/min以下であることがさらに好ましい。
 また、未凝固層を有する凝固末期の鋳片を、凝固収縮量と熱収縮量との和に相当する程度の圧下総量及び圧下速度で、圧下ロール群によって徐々に圧下しながら鋳造する軽圧下法を行うことが好ましい。軽圧下法を行うことにより、未凝固層を有する凝固末期の鋳片に対して軽圧下を実施することにより、鋳片の厚さ方向中心部における、CuとSbの中心偏析を軽減することができる。このため、最終的に得られる鋼材においても(Cu+Sb)偏析度を低位に制御することができ、耐アンモニアSCC性を向上させるうえで有効である。軽圧下の条件は特に限定されるものではないが、軽圧下を実施する場合には、たとえば、鋳片の厚さ方向中心部の固相率が0.3~0.7の状態において0.5~2.0mm/minの圧下を加えることが好ましい。
 次に、上記の鋼素材(鋼スラブ)を所望の寸法形状に熱間圧延する際には、スラブ再加熱温度を900~1350℃として再加熱することが好ましい。スラブ再加熱温度が900℃未満では変形抵抗が大きく、熱間圧延が難しくなる。一方、スラブ再加熱温度が1350℃を超えると、鋼材表面に部分溶融相が生じるため表面痕が発生したり、スケールロスや燃料原単位が増加したりする。
 また、CuとSbの偏析度は、加熱条件の影響を受けるため、加熱条件を適切に制御することが耐アンモニアSCC性確保の観点から好ましい。具体的には、800~950℃のスラブ再加熱温度範囲において、CuとSbは急速に拡散し、この800~950℃までの温度範囲における滞在時間(前記温度域における滞在時間の和)を8~150minの範囲とすることが好ましい。滞在時間が8min未満では、拡散が不十分となり、耐アンモニアSCC性の確保が困難となるおそれがあるので、8min以上であることが好ましく、10min以上であることがより好ましい。さらに好ましくは15min以上である。また、加熱滞在時間が150minを超えると、鋼表面での鉄の選択酸化が過度に進行することとなり、結果として、同じく表層近傍でCuおよびSbの偏析相が新たに形成されてしまい、耐アンモニアSCC性が劣化するおそれがあるので、150min以下であることが好ましく、120min以下であることがより好ましい。さらに好ましくは100min以下である。
 なお、本発明に係る鋼材の製造方法において、鋼素材(スラブ)を再加熱して熱間圧延するプロセスに代えて、連続鋳造法あるいは造塊-分塊圧延法により製造された鋼素材(スラブ)を900℃未満の温度域に冷却することなく、そのまま再加熱せずに熱間圧延することが可能である。この場合、熱間圧延前の鋼素材(スラブ)においてCuおよび/またはSbは容易に拡散可能なので、スラブを冷却した場合のような偏析は顕在化せず、問題とならない。このため、この場合には、鋼素材(スラブ)を再加熱する場合に規定される特定温度域において特定時間滞在させるという、Cuおよび/またはSbの偏析軽減のための処置は不要である。また、熱間圧延後に得られた熱延鋼板に、再加熱処理、酸洗、冷間圧延を施し、所定板厚の冷延鋼板としてもよい。
 熱間圧延では、仕上圧延終了温度を650℃以上とすることが好ましい。仕上圧延終了温度が650℃未満では、変形抵抗の増大により圧延荷重が増加し、圧延の実施が困難となる。なお、仕上圧延終了温度は950℃以下とすることが好ましい。圧延終了温度が950℃を超えると、未再結晶温度域における圧下が十分には確保できず、最終的に得られる鋼板の強度と靭性が低下する。
 熱間圧延後の冷却は、空冷、加速冷却のいずれの方法でもよいが、より高い強度を得たい場合には、加速冷却を行うことが好ましい。ここで、加速冷却を行う場合には、冷却速度を2~100℃/s、冷却停止温度を700~400℃とするのが好ましい。すなわち、冷却速度が2℃/s未満、および/または冷却停止温度が700℃超では、加速冷却の効果が小さく、十分な高強度化が達成されない場合がある。一方、冷却速度が100℃/s超、および/または冷却停止温度が400℃未満では、鋼材の靭性が低下したり、鋼材の形状に歪が発生する場合がある。
 本発明においては、耐アンモニアSCC性の観点からは、圧延後に冷却された鋼板に対して熱処理を行う必要がない。なお、鋼板にひずみが発生した場合にその矯正を目的とした熱処理を施すことが可能であり、その場合には、200~700℃まで加熱することが好ましい。
 また、本発明において、製造条件における温度はいずれも鋼板平均温度とする。鋼板平均温度は、板厚、表面温度および冷却条件等から、シミュレーション計算等により求められる。例えば、差分法を用い、板厚方向の温度分布を計算することにより、鋼板の平均温度が求められる。
 次に、本発明の実施例について説明する。なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
 表1に示す成分組成の鋼(残部はFeおよび不可避的不純物である)を、転炉で溶製して、表2に示す条件の連続鋳造により鋼スラブとした。連続鋳造工程において、No.11、No.53およびNo.59においては、軽圧下を実施した。具体的には、鋳片の厚さ方向中心部の固相率が0.3~0.7の状態において0.5~2.0mm/minの圧下を加えた。これに対して、ほかの場合には軽圧下を実施しなかった。これらの鋼スラブを1130℃に再加熱後、表2に示す条件で保持し、仕上圧延終了温度:800℃の熱間圧延を施し、板厚:25mmの鋼材を得た。なお、熱間圧延後の冷却は、冷却速度:10℃/s、冷却停止温度:550℃の水冷(加速冷却)とした。
 そして、上記した方法により、得られた鋼材における(Cu+Sb)偏析度を求めた。また、SCC亀裂伝播特性の観点から低歪速度試験(SSRT:Slow Strain Rate Test)法による耐アンモニアSCC性の評価を行った。SSRTは常に一定の歪速度にて鋼材に歪みが加わる試験であり、SCCの発生過程は考慮されない。したがって、SCCの亀裂伝播特性を反映したSCC特性評価試験法と言える。具体的には以下の手順で実施した。
 鋼材を、130mm×6.35mmφの丸棒に加工し、両端にねじ切り加工を施すと共に、丸棒の中心部から両端に向けて12.7mmずつを3.81mmφに加工し、長さ25.4mmの平行部を設けた。本試験材を、アセトン中で超音波脱脂を5分間行い、SSRT試験機に取り付けた。試験材を覆うセル中へ、カルバミン酸アンモニウム12.5gと液体アンモニア1Lとを混合した溶液を、充填した条件と充填しない条件で、それぞれ乾燥空気雰囲気下、1×10-6/sの歪み速度で歪みを加えた。そして、破断に至るまでの全伸びの比率({溶液を充填した時の全伸び/溶液を充填しない時の全伸び}×100)を算出し、以下の基準で耐アンモニアSCC性を評価した。なお、○もしくは◎であれば、十分な耐アンモニアSCC特性を有していると判定される。
◎(優):90%以上
○(良):80%以上90%未満
×(不十分):80%未満
 得られた結果を表2に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
 表2に示したとおり、発明例は全て優れた耐アンモニアSCC性を有している。これに対して、比較例はいずれも耐アンモニアSCC性が不十分であり、液体アンモニア輸送用及び貯蔵用鋼材として不適である。

Claims (7)

  1.  質量%で、
    C:0.50%以下、
    Si:0.01~1.00%、
    Mn:0.10~3.00%、
    P:0.030%以下、
    S:0.0100%以下、
    N:0.0005~0.0100%、
    Al:0.001~0.10%
    を含有し、さらに
    Cu:0.010~0.50%および
    Sb:0.010~0.50%
    のうちから選ばれる1種または2種を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有するとともに、
    (Cu+Sb)偏析度が15未満である、液体アンモニア輸送用及び貯蔵用鋼材。
    ここで、(Cu+Sb)偏析度は、次式(1)により定義される。
    [(Cu+Sb)偏析度]=[偏析部の(Cu+Sb)濃度]/[平均の(Cu+Sb)濃度]   (1)
  2.  前記成分組成が、さらに質量%で、
    Sn:0.01~0.50%、
    Ni:0.01~3.00%、
    Cr:0.01~3.00%
    のうちから選ばれる1種以上を含有する請求項1に記載の液体アンモニア輸送用及び貯蔵用鋼材。
  3.  前記成分組成が、さらに質量%で、
    Ca:0.0001~0.0100%、
    Mg:0.0001~0.0200%および
    REM:0.001~0.200%
    のうちから選ばれる1種以上を含有する請求項1または2に記載の液体アンモニア輸送用及び貯蔵用鋼材。
  4.  前記成分組成が、さらに質量%で、
    Ti:0.005~0.100%、
    Zr:0.005~0.100%、
    Nb:0.005~0.100%および
    V:0.005~0.100%
    のうちから選ばれる1種以上を含有する請求項1~3のいずれかに記載の液体アンモニア輸送用及び貯蔵用鋼材。
  5.  前記成分組成が、さらに質量%で、
    Co:0.01~0.50%
    を含有する請求項1~4のいずれかに記載の液体アンモニア輸送用及び貯蔵用鋼材。
  6.  前記成分組成が、さらに質量%で、
    B:0.0001~0.0300%
    を含有する請求項1~5のいずれかに記載の液体アンモニア輸送用及び貯蔵用鋼材。
  7.  請求項1~6のいずれかに記載された成分組成を有する鋼を、鋳造速度:0.3~2.8m/minで連続鋳造することにより鋼素材を製造し、
    鋼素材を、再加熱温度:900~1350℃、再加熱時の800~950℃の温度範囲における滞在時間:8~150minの条件で再加熱し、
    再加熱された鋼素材を仕上圧延終了温度:650℃以上で熱間圧延する液体アンモニア輸送用及び貯蔵用鋼材の製造方法。
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