WO2021066202A1 - 空間除菌清浄化装置 - Google Patents
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Abstract
次亜塩素酸水を用いて空間を除菌・清浄化する空間除菌清浄化装置において、電極の寿命の長期化を図り、電解動作を長期に維持させることのできる空間除菌清浄化装置を提供することを目的とする。 この発明に係わる空間除菌清浄化装置は、除塵フィルタ32で除塵され、電解次亜塩素酸水生成装置60で生成された電解次亜塩素酸水を吸水した除菌フィルタ76を通過することにより電解次亜塩素酸水から揮発した次亜塩素酸を含むと共に電解次亜塩素酸水と気液接触した空気を、排気口20から筐体12外に排気して、筐体12の周囲の空間を除菌すると共に、清浄化するす空間除菌清浄化装置において、電極62は、チタン又はチタン合金製の電極本体62Aと、この電極本体62Aの表面に付着された貴金属成分を有する触媒層62Bとを備え、制御手段64は、間に通電停止期間を挟んで電極62間に電流方向を交互に逆転するように通電させる制御と、電極62への通電停止期間中に、電極62への通電方向を逆転させる制御とを実行することを特徴としている。
Description
この発明は、この装置が設置された周囲空間を除菌し清浄化する空間除菌清浄化装置に関する。
空気清浄機や加湿機には、これまでにも様々な工夫が盛り込まれている。例えば特許文献1記載の加湿機では、加湿用の水槽の水を電気分解して次亜塩素酸を含む電解水を生成し、この次亜塩素酸を水槽の水や加湿フィルタの除菌に利用している。特許文献2記載の加湿機では、加湿用の水の一部を電気分解して電解水を生成し、この電解水をミスト化し、加湿された空気に乗せて機外に放散することにより、室内空気の除菌や脱臭に役立てている。
特許文献1に記載のものでは、加湿部の除菌はできるが、室内空気の除菌や脱臭はできない。特許文献2に記載のものでは、室内空気の除菌や脱臭は可能であるが、構造上、加湿をしながらでないと、室内空気の除菌や脱臭はできない。このため、両特許文献1、2の出願人と同一出願人より、両特許文献1,2を従来技術とした特許出願が、特許文献3として出願されている。
特許文献1に記載のものでは、加湿部の除菌はできるが、室内空気の除菌や脱臭はできない。特許文献2に記載のものでは、室内空気の除菌や脱臭は可能であるが、構造上、加湿をしながらでないと、室内空気の除菌や脱臭はできない。このため、両特許文献1、2の出願人と同一出願人より、両特許文献1,2を従来技術とした特許出願が、特許文献3として出願されている。
ここで、従前から空気清浄機の分野においては、特に、周辺空間を除菌し、除塵して清浄化させる空間除菌清浄化装置が提供されていて、特に室内空間における除菌・除塵をなして空間性状の改善がなされていた。この改善の一環として、電解作用を実行する一対の電極間に通電する通電制御を実施することにより、空気清浄機の性能向上を図る技術が種々提案されている。特に、特許文献3に記載の加湿機においては、[0060]において、「制御部60は、電解水中の次亜塩素酸の濃度を一定レベル以下に下げないようにするため、電極62間に大電流と小電流を一定時間ずつ流すことを繰り返す制御を行う。図8に示す例では、300mAの電流を10分間流した後、10分間の電流停止期間を挟んで、150mAの電流を10分間流し、もう一度10分間の電流停止期間を挟んで、300mAの電流を10分間流すというサイクルを繰り返す。電流停止期間は、極性切替出力を切り替えてIN1とIN2を共にHあるいはLにすることにより得られる。」旨の制御を行うことが記載されている。
しかしながら、特許文献3が目指す電極への通電制御は、あくまでも、「電解水中の次亜塩素酸の濃度を一定レベル以下に下げないようにする」ことを目的とするものであり、決して空気清浄機の性能の向上、例えば、電極の寿命の長期化を図り、電解動作を長期に維持させることに関する記載は存在せず、またこれを目的とするものではなく、この観点での改善が強く要望されていた。
しかしながら、特許文献3が目指す電極への通電制御は、あくまでも、「電解水中の次亜塩素酸の濃度を一定レベル以下に下げないようにする」ことを目的とするものであり、決して空気清浄機の性能の向上、例えば、電極の寿命の長期化を図り、電解動作を長期に維持させることに関する記載は存在せず、またこれを目的とするものではなく、この観点での改善が強く要望されていた。
この発明は、次亜塩素酸水を用いて空間を除菌・清浄化する空間除菌清浄化装置において、電極の寿命の長期化を図り、電解動作を長期に維持させることのできる空間除菌清浄化装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、この発明に係わる空間除菌清浄化装置は、請求項1の記載によれば、筐体12と、この筐体12に形成された吸気口18及び排気口20を互いに連通する送風路22と、前記筐体12内に配設され、貯留した塩分を含む水に漬け込まれた少なくとも一対の電極62を備え、この塩分を含む水を電解処理して次亜塩素酸と次亜塩素酸が溶け込んだ電解次亜塩素酸水とを生成する電解手段60と、前記送風路22中に通風可能に配設された除菌フィルタ76と、この除菌フィルタ76に、前記電解手段60で生成された電解次亜塩素酸水を含水させると共に、電解次亜塩素酸水から揮発した次亜塩素酸を含ませる除菌手段48と、前記吸気口18から導入され、前記除菌フィルタ76中を通風して、前記排気口20から排気される空気流を、前記送風路22内に生成する送風手段28と、前記電解手段60の電極62間に流れる電流を制御する制御手段64とを具備し、前記除菌フィルタ76を通風する空気は、前記除菌フィルタ76に含まれる次亜塩素酸及び気液接触した電解次亜塩素酸水により除菌されると共に、次亜塩素酸を含む空気が、前記排気口20から前記筐体12外に排気して、該次亜塩素酸により前記筐体12の周囲空間を除菌する空間除菌清浄化装置において、前記電極62は、チタン又はチタン合金製の電極本体62aと、この電極本体62aの表面に付着された貴金属成分を有する触媒層62bとを備え、前記制御手段64は、間に通電停止期間を挟んで前記電極62間に電流方向を交互に逆転するように通電させると共に、前記電極62への前記通電停止期間中に、前記電極62への通電方向を逆転させる制御を実行することを特徴としている。
このように請求項1に記載の空間除菌清浄化装置を構成することにより、間に通電停止期間を挟んで電極62間に電流方向を交互に逆転するように通電させる制御と、電極62への通電停止期間中に、電極への通電方向を逆転させる制御とを実行することにより、電極62に流れるサージ電流に基づき電極62に帯電される過帯電電荷により触媒層62bの電極本体62aへの付着状態が損なわれることを防止して、電極62の寿命の長期化を図ることが可能となる。
また、この発明に係わる空間除菌清浄化装置は、請求項2の記載によれば、前記制御手段64は、前記電極62への通電を停止している期間の長さを、前記電極62間に流す電流の通電時間より長く設定する制御を実行することを特徴としている。
このように請求項2に記載の空間除菌清浄化装置を構成することにより、前記電極62への通電が停止されている間に過帯電電荷が十分に放電されて、過帯電電荷による触媒層62bの電極本体62aへの付着状態が損なわれることが効果的に防止されることになる。
また、この発明に係わる空間除菌清浄化装置は、請求項3の記載によれば、前記制御手段64は、前記電極62への通電を停止している期間の長さを、前記電極62に流れるサージ電流に基づき前記電極に帯電される電荷が自然放電される時間に設定することを特徴としている。
このように請求項3に記載の空間除菌清浄化装置を構成することにより、前記電極62への通電が停止されている間に過帯電電荷が自然放電されて、過帯電電荷による触媒層62bの電極本体62aへの付着状態が損なわれることが確実に防止されることになる。
また、この発明に係わる空間除菌清浄化装置は、請求項4の記載によれば、前記制御手段64は、前記通電停止期間を、前記電極62に流れるサージ電流に基づき前記電極62に帯電される電荷が自然放電される時間に設定する制御を、通常モードが設定される状態において実行することを特徴としている。
このように請求項4に記載の空間除菌清浄化装置を構成することにより、装置において通常モードが設定されると、過帯電電荷による触媒層62bの電極本体62aへの付着状態が損なわれることが防止された状態で電極62への通電制御が実行され、電極62の寿命の長期化を確実に図ることができることになる。
また、この発明に係わる空間除菌清浄化装置は、請求項5の記載によれば、前記制御手段64は、前記電極62への通電を停止している期間の長さを、前記電極62間に流す電流の通電時間より短い時間に設定することを特徴としている。
このように、請求項5に記載の空間除菌清浄化装置を構成することにより、電極62間に流す電流の通電時間、即ち、電解動作実行時間を充分に確保することが出来、高濃度の電解次亜塩素酸水の生成が担保されることになる。
また、この発明に係わる空間除菌清浄化装置は、請求項6の記載によれば、前記制御手段64は、前記電極62への通電を停止している期間の長さを、前記電極62間に流す電流の通電時間より短く設定する制御を、強モードが設定されている状態において実行することを特徴としている。
このように請求項6に記載の空間除菌清浄化装置を構成することにより、装置において強モードが設定されると、高濃度の電解次亜塩素酸水の生成が促進され、除菌フィルタ76における除菌効率が向上されることになる。
また、この発明に係わる空間除菌清浄化装置は、請求項7の記載によれば、前記制御手段64は、通電方向を逆転された通電量を、互いに同一に設定する制御を実行することを特徴としている。
このように、請求項7に記載の空間除菌清浄化装置を構成することにより、両電極62間で生成される電解水としての次亜塩素酸水を最大効率で生成することが出来ることになる。
また、この発明に係わる空間除菌清浄化装置は、請求項8の記載によれば、前記触媒層62bは、プラチナ成分を含む貴金属から形成されていることを特徴としている。
このように、請求項8に記載の空間除菌清浄化装置を構成することにより、電極62間の極性の転換に確実に対応することが出来ることになる。
また、この発明に係わる空間除菌清浄化装置は、請求項9の記載によれば、前記プラチナ成分を含む貴金属は、プラチナ−イリジウム合金であることを特徴としている。
このように、請求項9の空間除菌清浄化装置を構成することにより、電極62間の極性の転換により確実に対応することが出来ることになる。
また、この発明に係わる空間除菌清浄化装置は、請求項10の記載によれば、前記電極62は、複数対設けられていることを特徴としている。
このように、請求項10の空間除菌清浄化装置を構成することにより、電解手段60により生成される電解次亜塩素酸水の濃度をより高く設定することが可能となる。
上記目的を達成するために、この発明に係わる空間除菌清浄化装置は、請求項1の記載によれば、筐体12と、この筐体12に形成された吸気口18及び排気口20を互いに連通する送風路22と、前記筐体12内に配設され、貯留した塩分を含む水に漬け込まれた少なくとも一対の電極62を備え、この塩分を含む水を電解処理して次亜塩素酸と次亜塩素酸が溶け込んだ電解次亜塩素酸水とを生成する電解手段60と、前記送風路22中に通風可能に配設された除菌フィルタ76と、この除菌フィルタ76に、前記電解手段60で生成された電解次亜塩素酸水を含水させると共に、電解次亜塩素酸水から揮発した次亜塩素酸を含ませる除菌手段48と、前記吸気口18から導入され、前記除菌フィルタ76中を通風して、前記排気口20から排気される空気流を、前記送風路22内に生成する送風手段28と、前記電解手段60の電極62間に流れる電流を制御する制御手段64とを具備し、前記除菌フィルタ76を通風する空気は、前記除菌フィルタ76に含まれる次亜塩素酸及び気液接触した電解次亜塩素酸水により除菌されると共に、次亜塩素酸を含む空気が、前記排気口20から前記筐体12外に排気して、該次亜塩素酸により前記筐体12の周囲空間を除菌する空間除菌清浄化装置において、前記電極62は、チタン又はチタン合金製の電極本体62aと、この電極本体62aの表面に付着された貴金属成分を有する触媒層62bとを備え、前記制御手段64は、間に通電停止期間を挟んで前記電極62間に電流方向を交互に逆転するように通電させると共に、前記電極62への前記通電停止期間中に、前記電極62への通電方向を逆転させる制御を実行することを特徴としている。
このように請求項1に記載の空間除菌清浄化装置を構成することにより、間に通電停止期間を挟んで電極62間に電流方向を交互に逆転するように通電させる制御と、電極62への通電停止期間中に、電極への通電方向を逆転させる制御とを実行することにより、電極62に流れるサージ電流に基づき電極62に帯電される過帯電電荷により触媒層62bの電極本体62aへの付着状態が損なわれることを防止して、電極62の寿命の長期化を図ることが可能となる。
また、この発明に係わる空間除菌清浄化装置は、請求項2の記載によれば、前記制御手段64は、前記電極62への通電を停止している期間の長さを、前記電極62間に流す電流の通電時間より長く設定する制御を実行することを特徴としている。
このように請求項2に記載の空間除菌清浄化装置を構成することにより、前記電極62への通電が停止されている間に過帯電電荷が十分に放電されて、過帯電電荷による触媒層62bの電極本体62aへの付着状態が損なわれることが効果的に防止されることになる。
また、この発明に係わる空間除菌清浄化装置は、請求項3の記載によれば、前記制御手段64は、前記電極62への通電を停止している期間の長さを、前記電極62に流れるサージ電流に基づき前記電極に帯電される電荷が自然放電される時間に設定することを特徴としている。
このように請求項3に記載の空間除菌清浄化装置を構成することにより、前記電極62への通電が停止されている間に過帯電電荷が自然放電されて、過帯電電荷による触媒層62bの電極本体62aへの付着状態が損なわれることが確実に防止されることになる。
また、この発明に係わる空間除菌清浄化装置は、請求項4の記載によれば、前記制御手段64は、前記通電停止期間を、前記電極62に流れるサージ電流に基づき前記電極62に帯電される電荷が自然放電される時間に設定する制御を、通常モードが設定される状態において実行することを特徴としている。
このように請求項4に記載の空間除菌清浄化装置を構成することにより、装置において通常モードが設定されると、過帯電電荷による触媒層62bの電極本体62aへの付着状態が損なわれることが防止された状態で電極62への通電制御が実行され、電極62の寿命の長期化を確実に図ることができることになる。
また、この発明に係わる空間除菌清浄化装置は、請求項5の記載によれば、前記制御手段64は、前記電極62への通電を停止している期間の長さを、前記電極62間に流す電流の通電時間より短い時間に設定することを特徴としている。
このように、請求項5に記載の空間除菌清浄化装置を構成することにより、電極62間に流す電流の通電時間、即ち、電解動作実行時間を充分に確保することが出来、高濃度の電解次亜塩素酸水の生成が担保されることになる。
また、この発明に係わる空間除菌清浄化装置は、請求項6の記載によれば、前記制御手段64は、前記電極62への通電を停止している期間の長さを、前記電極62間に流す電流の通電時間より短く設定する制御を、強モードが設定されている状態において実行することを特徴としている。
このように請求項6に記載の空間除菌清浄化装置を構成することにより、装置において強モードが設定されると、高濃度の電解次亜塩素酸水の生成が促進され、除菌フィルタ76における除菌効率が向上されることになる。
また、この発明に係わる空間除菌清浄化装置は、請求項7の記載によれば、前記制御手段64は、通電方向を逆転された通電量を、互いに同一に設定する制御を実行することを特徴としている。
このように、請求項7に記載の空間除菌清浄化装置を構成することにより、両電極62間で生成される電解水としての次亜塩素酸水を最大効率で生成することが出来ることになる。
また、この発明に係わる空間除菌清浄化装置は、請求項8の記載によれば、前記触媒層62bは、プラチナ成分を含む貴金属から形成されていることを特徴としている。
このように、請求項8に記載の空間除菌清浄化装置を構成することにより、電極62間の極性の転換に確実に対応することが出来ることになる。
また、この発明に係わる空間除菌清浄化装置は、請求項9の記載によれば、前記プラチナ成分を含む貴金属は、プラチナ−イリジウム合金であることを特徴としている。
このように、請求項9の空間除菌清浄化装置を構成することにより、電極62間の極性の転換により確実に対応することが出来ることになる。
また、この発明に係わる空間除菌清浄化装置は、請求項10の記載によれば、前記電極62は、複数対設けられていることを特徴としている。
このように、請求項10の空間除菌清浄化装置を構成することにより、電解手段60により生成される電解次亜塩素酸水の濃度をより高く設定することが可能となる。
図1は、本発明の実施形態に係る空間除菌清浄化装置の外観を前方から見た斜視図である。
図2は、図1の空間除菌清浄化装置の外観を、後方から見た斜視図である。
図3は、図1の空間除菌装置の内部構造を示す分解斜視図である。
図4は、図1の空間除菌清浄化装置の垂直断面図である。
図5は、図1の空間除菌清浄化装置の垂直断面図で、図2と反対の方向に視点を置き、且つ断面箇所を異ならせたものである。
図6は、図1の空間除菌清浄化装置の水平断面図である。
図7は、図1の空間除菌清浄化装置の筐体に挿入される、空間除菌装置保持状態の水受けパンと、それに組み合わせられる筐体内部材の斜視図である。
図8は、図1の空間除菌清浄化装置の垂直断面図で、図2及び図3と直角の方向に断面したものである。
図9は、空間除菌装置保持状態の水受けパンの垂直断面図である。
図10は、空間除菌装置保持状態の水受けパンの垂直断面図で、図9のA−A線の位置で断面したものである。
図11は、空気除菌装置保持状態の水受けパンの垂直断面図で、図9のB−B線の位置で断面したものである。
図12は、空気除菌装置非保持状態の水受けパンの斜視図である。
図13は、空気除菌装置保持状態の水受けパンの上面図である。
図14は、空気除菌装置非保持状態の水受けパンの上面図である。
図15は、空気除菌装置非保持状態の水受けパンの垂直断面図である。
図16は、背面側から見た送風装置の斜視図である。
図17は、図6と同様の空間除菌清浄化装置の垂直断面図で、図6と反対の方向に視点を置いて示す図である。
図18は、電極の構成を模式的に示す断面図であり、(A)は一対の電極構成を、(B)は二対の電極構成を、夫々示している。
図19は、制御装置の概略構成を示すシステムズ図である。
図20は、図19に示す制御装置の電極ドライブ回路から両電極に出力される電極出力の出力状態を示す線図であり、(A)は通常モードが設定された際の出力状態を、(B)は強モードが設定された際の出力状態を、夫々示している。
図2は、図1の空間除菌清浄化装置の外観を、後方から見た斜視図である。
図3は、図1の空間除菌装置の内部構造を示す分解斜視図である。
図4は、図1の空間除菌清浄化装置の垂直断面図である。
図5は、図1の空間除菌清浄化装置の垂直断面図で、図2と反対の方向に視点を置き、且つ断面箇所を異ならせたものである。
図6は、図1の空間除菌清浄化装置の水平断面図である。
図7は、図1の空間除菌清浄化装置の筐体に挿入される、空間除菌装置保持状態の水受けパンと、それに組み合わせられる筐体内部材の斜視図である。
図8は、図1の空間除菌清浄化装置の垂直断面図で、図2及び図3と直角の方向に断面したものである。
図9は、空間除菌装置保持状態の水受けパンの垂直断面図である。
図10は、空間除菌装置保持状態の水受けパンの垂直断面図で、図9のA−A線の位置で断面したものである。
図11は、空気除菌装置保持状態の水受けパンの垂直断面図で、図9のB−B線の位置で断面したものである。
図12は、空気除菌装置非保持状態の水受けパンの斜視図である。
図13は、空気除菌装置保持状態の水受けパンの上面図である。
図14は、空気除菌装置非保持状態の水受けパンの上面図である。
図15は、空気除菌装置非保持状態の水受けパンの垂直断面図である。
図16は、背面側から見た送風装置の斜視図である。
図17は、図6と同様の空間除菌清浄化装置の垂直断面図で、図6と反対の方向に視点を置いて示す図である。
図18は、電極の構成を模式的に示す断面図であり、(A)は一対の電極構成を、(B)は二対の電極構成を、夫々示している。
図19は、制御装置の概略構成を示すシステムズ図である。
図20は、図19に示す制御装置の電極ドライブ回路から両電極に出力される電極出力の出力状態を示す線図であり、(A)は通常モードが設定された際の出力状態を、(B)は強モードが設定された際の出力状態を、夫々示している。
以下に、添付図面の図1乃至図20を参照して、この発明に係わる空間除菌清浄化装置の第1の実施例の構成を、詳細に説明する。
先ず、本実施例における用語を以下の通り説明する。
最初に、この実施例で用いられる「空間」とは、この一実施例の空間除菌清浄化装置10が設置される周囲空間を差し、単に、領域としての空間のみならず、この周囲空間に存在する物品をも含むものとする。また、この一実施例で用いられる「除菌」(広義の除菌)とは、これが設置される周囲空間に浮遊する細菌の殺菌(狭義の除菌)及びウィルスの不活化、周囲空間に存在する物品の表面に付着した細菌の殺菌(狭義の除菌)及びウィルスの不活化、並びに、装置10内に取り込まれた周囲空間から吸気された空気が通過するフィルタにトラップされた細菌の殺菌(狭義の除菌)及びウィルスの不活化を意味するものとする。更に、この実施例で用いられる「清浄化」とは、周囲空間に存在するハウスダスト、たばこの煙、PM2.5の微細塵、ペット・体臭等の臭い等の除去を意味するものとする。尚、この一実施例で用いられる「水道水」とは、上位概念としての「塩分を含む水」の下位概念として定義される用語とする。
この一実施例の空間除菌清浄化装置10は、図1乃至図3に示すように、前後方向に偏平で前面が全面的に開放された筐体12と、この筐体12の開放された前面を全面的に開放可能に覆う前カバー14とを備えている。尚、以下の説明において、筐体10の説明に用いる方位表現については、図1における紙面左側が左、紙面右側が右、と定義する。他の構成要素の説明に用いる方位表現もこれにならうものとする。
図1及び図3に示すように、筐体10の上面前方には操作パネル16が配置されている。この操作パネル16には、各種指令を入力するスイッチ群と、空間除菌清浄化装置10の運転状況その他の情報を表示するランプ群が配置されている。スイッチ群はメンブレンスイッチにより構成され、ランプ群は発光ダイオード(LED)により構成される。
また、図3に示すように、前カバー14の前面の底縁には、横方向に延出するスリット状の吸気口18、及び、これの両側縁には、夫々縦方向に延出する凹み状の吸気口18が形成され、また、図1及び図2に示すように、筐体12の上面後方に排気口20が形成されている。排気口20にはこれを閉塞可能に開放する上ルーバー21が取り付けられ、排気口20から手指等が差し込まれるのを防ぐと共に、装置内への塵の侵入を防いでいる。
図4及び図5に示すように、筐体12の内部には、一方の端が吸気口12、他方の端が排気口20となった空気流通経路(送風路)22が形成されている。空気流通経路22には、吸気口18を起点とした上流側から排気口20を終点とした下流側に向けて、空気清浄装置24、空気除菌装置26、及び送風装置28が順に配置されている。
空気清浄装置24は、図3に具体的に示すように、空気流通経路22の最も上流側に配置され、装置10内に吸気口18から導入(吸気)した外気(空気)中の粗い塵やハウスダスト等を除塵すると共に、臭気を活性炭を介して脱臭する脱臭フィルタ30と、この脱臭フィルタ30と筐体12の開口との間に介設されたPM2.5クラスのHEPAフィルタからなる微細塵用の除塵フィルタ32と、この除塵フィルタ32の前面(通気方向上流側の面)に全面に渡り配設され、花粉を吸着するための花粉フィルタ33を備えて、三重構造として構成されている。尚、この花粉フィルタ33はかなり薄手のメッシュ材から構成されており、自身で形状を自立して保持することができず、脱臭フィルタ30と除塵フィルタ32との間に挟み込まれた状態で取り付けられるものであり、図3においては便宜上、除塵フィルタ32の前面に添着された状態で描かれている。
送風装置28は、3箇所の吸気口18から吸い込まれ、排気口20から排出される空気流を形成すものであって、シロッコファン34及びそれを回転させるモータ36と、シロッコファン34を囲むファンケーシング38とを備えて構成されている。ファンケーシング38には排気口20に接続する吐出口38a(図16に最も良く形状が表れている)が形成されている。
次に、空気除菌装置26の構造を、図4乃至図17を参照して詳細に説明する。この空気除菌装置26には、これに水道水を供給する給水装置40が設けられている。この給水装置40は、筐体12の右側面から着脱可能に挿入される、引出式の水受けパン42を中心として構成される。この水受けパン42の右側面と、その上に着脱可能に取り付けられるカバー44は、筐体12の外殻の一部を構成する。水受けパン42の右側面には、操作者の手を掛けるための凹部46が形成されている。
水受けパン42は、図7乃至図12に示すように、空気除菌装置26を構成する除菌機構48(後に詳述する。)と共に、約5リットルの水道水が貯留される給水タンク50を支持するように構成されている。尚、この給水タンクには、水道水が貯留される他に、電解生成される次亜塩素酸の濃度を高く維持するために、食塩が混入されている。尚、水道水には、元来、塩素が不可避に混入されていて、本装置において生成される次亜塩素酸は、この水道水に元来混入されている塩素を原料とするものである。ところが、地域の水道局によって、塩素濃度に差があるため、次亜塩素酸が生成されるための最低塩素濃度を確実に確保するために、食塩が混入されるものである。
尚、食塩は家庭用の精製食塩で充分であり、その混入量は、例えば、高濃度(35ppm)の次亜塩素酸を生成するためには、水道水5リットル当たり小さじ半分程度である。尚、塩素濃度が高い水道水においては、食塩の混入が不要になる場合があることは、言うまでもない。一方、外国においてこの空間除菌清浄化装置10を用いる場合において、特に、中東諸国において、水道水として精製水が用いられる国では、水道水に塩分が含まれないので、食塩の混入は必須となる。
水受けパン42の右端には、図3及び図6に示すように、給水タンク50から供給される塩が追加混入された水道水(以下、端に水道水と表現する。)を受ける未処理水貯水槽52が形成されている。未処理水貯水槽52には、給水タンク50の図示しないバルブを押し開ける突起54が形成されている。
このように水道水の入った給水タンク50を水受けパン42の未処理水貯水槽52上にセットすると、突起54でもって給水タンク50の図示しないバルブが押し開けられ、後述するように所定水位(図9~図11で示す水位線WL)まで水道水が水受けパン42に供給されるように構成されている。
水受けパン42には、図14に示すように、未処理水貯水槽52の他、次亜塩素酸水生成用貯水槽56、及び、除菌用貯水槽58が、それぞれ隔壁によって区画形成されている。次亜塩素酸水生成用貯水槽56は給水タンク54から供給された未処理水(水道水)を電解により次亜塩素酸水に変えたものを溜めておくための槽であり、除菌用貯水槽58は次亜塩素酸水生成用貯水槽56からの次亜塩素酸水を空気除菌装置26に供給する除菌水として貯めておくためのものである。
未処理水貯水槽52と次亜塩素酸水生成用貯水槽58との間には、第1の連通部52aが形成され、次亜塩素酸水生成用貯水槽56と除菌用貯水槽58との間には、第2の連通部56aが形成され、これらの連通部52a、56aにより、各貯水槽の水位は同一に保たれる。連通部52a、56aは、夫々隔壁を貫通する小孔により構成されている。
次亜塩素酸水生成用貯水槽56の左端には、未処理水貯水槽52から連通部52aを通じて次亜塩素酸水生成用貯水槽56に流れ込む未処理水(水道水)を電解処理して電解次亜塩素酸水を生成する次亜塩素酸水生成装置60が配置されている。この次亜塩素酸水生成装置60は、次亜塩素酸水生成用貯水槽56内の水に浸る1対の電極62と、両電極62間に所定の電圧を印加し、電流を流す制御装置64(後に詳細に説明する。)とを備えて構成されている。
水受けパン42の左端外面には、図11に示すように、次亜塩素酸水生成装置60に電流を供給するためのコネクタ66が取り付けられている。ここで、水受けパン42を筐体12の奥まで押し込むと、筐体12の内部に設けられた図示しないコネクタにコネクタ66が係合し、図示しない電源及び制御装置64と結線され、次亜塩素酸水生成装置60に対する給電が可能となる。
一方、水受けパン42には、図12に示すように、除菌用貯水槽58の正面側の側壁上端と次亜塩素酸水生成用貯水槽56の正面側の側壁上端から、対をなす支柱68が互いに向かい合う形で立設されている。各支柱68の互いに対向する面の上端には、上方に開いたU字形の軸受部70が形成されている。両軸受部70に除菌装置48の支軸72e(後述する。)が回転自在に支持される。
続いて、空気除菌装置26の主たる構成要素としての除菌機構48の構造を説明する。この除菌機構48は、水車のような形状のホイール72を備えている。このホイール72は中心にハブ72a、周縁にリム72bを有し、ハブ72aとリム72bとを、複数の正面側スポーク72cと複数の背面側スポーク72dとで強固に連結した構造となる。
詳述すると、図8に示すように、ホイール72は、正面側スポーク72c、リム72b、及び内側のハブ部72a1を有するホイールベース72lと、背面側スポーク72d、外側のハブ部72a2、及び後述する入力歯車72fを有するホイールキャップ72mとを備えて構成され、ホイールベース72lにホイールキャップ72mを、ハブ72a1、72a2同士を嵌め合わせて結合することにより構成されている。内外両ハブ部72a1、72a2を互いに合わせたものがハブ72aとなる。
ハブ72aからは前後に支軸72eが突き出しており、この支軸72eの両端を、両支柱68の軸受部70に夫々落とし込むことにより、ホイール72は水平軸線まわりに回転自在に支持される。
ホイール72には除菌部74(図9参照)が設けられている。除菌部74を主として構成するのは、ディスク状の除菌フィルタ76である。除菌フィルタ76は保水能力と通風性を兼ね備えた素材、例えばネットや不織布からなり、背面側スポーク72dの前面に取り付けられる。
除菌フィルタ76は、平板状のまま取り付けられるのでなく、所定の起伏(立体)形状を呈するように取り付けられる。好適する実施形態では、図8に示すように、除菌フィルタ76の中心部を正面側スポーク72cの方に押し出し、周囲に円錐面76aを生じさせている。詳述すると、ホイール72の背面側スポーク72dには、円錐面76aを形成するための傾斜面72hを有するリブ72iが突設され、一方、正面側スポーク72cの裏側には、傾斜面72hと向かい合う位置に、傾斜面72hと同じ傾斜面72jを有するリブ72kが突設されている。そして、ホイールベース72lとホイールキャップ72mを結合する際に両リブ72iと72kの間に除菌フィルタ76を挟み込むことにより、除菌フィルタ76を平板状でない所定の起伏(立体)形状にしている。
ホイール72のリム72bには、一面が開口された複数(図では6個)のバケット78が、一定の角度間隔で配置される。各バケット78は、別部品をリム72bに取り付けてもよく、リム72bに一体成型してもよい。
全てのバケット78が開口を一定方向に向けて配置されている。ホイール72が回転し、バケット78がリム72bの最下部まで移動した時、バケット78は除菌用貯水槽58の除菌水中に沈み、除菌水がバケット78内に浸入する。そして、ホイール72が回転し、自重によりバケット78の開口が上を向くように回転すると、バケット78は除菌水を汲み上げる事になる。バケット78がリム72bの上部に来て、その開口が横向きになるにつれ、汲み上げた除菌水が滴下する。ここで、除菌フィルタ76の円錐面76aは、除菌水の落下進路に干渉しており、滴下する除菌水は、除菌フィルタ76上に流出する。
ここで、ホイール72を回転させるモータ80は、水受けパン42にではなく、筐体12の内部の隔壁12a(図7参照)に支持されている。モータ80は出力歯車80aを有している。出力歯車80aは、モータ80と同じく隔壁12aに支持された中間歯車82に噛合している。この中間歯車82には、ホイール72のホイールキャップ72mの外周部に一体成型ないし固定された入力歯車72fが噛み合っている。尚、入力歯車72fが中間歯車82に噛み合うのは、水受けパン42を筐体12内の最も奥まで押し込んだときに設定されている。
ホイール72の周囲を囲い84(図7参照)が取り巻き、囲い84の内部が、上述したファンケーシング38の吸気口38bに連通している。囲い84は、隔壁12aに一体成型した部分囲い84aと、水受けパン42に一体成型した部分囲い84bとにより構成される。水受けパン42を筐体12内の最も奥まで押し込んだとき、部分囲い84aに部分囲い84bが接合し、囲い84が完成するように設定されている。
以上のように構成される空間除菌清浄化装置10において、次に、空間除菌清浄化装置10の動作を説明する。
先ず、給水タンク50の中に水道水が十分残っていれば、未処理水貯水槽52、次亜塩素酸水生成用貯水槽56及び除菌用貯水槽58の夫々の内部には、図9~図11に夫々示す水位線WLの高さまで水が溜まっている状態である。給水タンク50の中の水が残り少なく、水位が水位線WLより下がっている状態であれば、図示しないセンサがそれを検知し、操作パネル16に水不足の旨の表示が出る。水不足の表示を見たときは、操作者は、カバー44を外し、給水タンク50を取り出して、中に水道水を補給する。水道水の補給後、給水タンク50を水受けパン42の上に置くと、給水タンク50から流れ出す水道水によって水位が水位線WLの高さまで回復し、水不足の表示は消える。外しておいたカバー44を元通りはめ込めば、空間除菌清浄化装置10の運転が可能になる。
一方、空間除菌清浄化装置10を後に詳細に説明する通常モードで運転すると、送風装置28のモータ36、次亜塩素酸水生成装置60の電極62、及び除菌機構48のモータ80に給電が行われ、これらの構成要素は、詳細は後述するが、制御装置64によるそれぞれ定められた制御内容に従って動作を開始する。
この後、次亜塩素酸水生成装置60の電極62に所定の電圧(例えば10V)が印加されると、これも後に詳述する通電制御が実行されることにより、未処理水貯水槽52から次亜塩素酸水生成用貯水槽56に流入した未処理水(水道水)が電気分解(電解)されて次亜塩素酸水、即ち電解次亜塩素酸水となる。
次に、動作の説明に先立ち、この空間除菌清浄化装置10で設定される動作モードについて、以下の表1を参照して説明する。この表1に示すように、この空間除菌清浄化装置10は、動作モードとして、「通常モード」と「強モード」と「待機モード」との3つのモードが設定可能な状況にあり、これらモードは、筐体12の上面に設けられた操作パネル16の詳細は図示していないが、モード設定ボタンを用いて設定される。
通常モード(A)は、この空間除菌清浄化装置10の通常の運転モードを示すもので、より詳細には、「標準モード」、「自動モード」、「エコ自動モード」、「急速モード」、「静音モード」が設定可能な状況にあるが、本実施例の特徴を構成するものではなく、電解設定は「通常モード」として上位概念化された状態で制御動作が実行されるので、ここでの説明は省略する。
この空間除菌清浄化装置10を用いて、これが設置された室内の空気を除菌・清浄化する場合には、操作パネル16で通常モード(A)が設定されるが、この通常モード(A)における電解設定、即ち、電極62への通電制御内容としては、図20の(A)に示す通り、電極62への通電を停止している期間の長さを、電極62間に流す電流の通電時間より長く設定する制御、具体的には、「6分通電、54分休止」の繰り返し制御を実行すると共に、間に通電停止期間を挟んで、通電方向を交互に逆転させ、通電方向の逆転は通電停止期間に実行にするように設定されている。尚、この電極62への通電時の電流値としては、0.248(A)を基本としており、詳細な説明は割愛するが、次亜塩素酸水生成用貯水槽56に貯められている水道水の塩分濃度に応じて、0.24(A)から0.252(A)の範囲で変更制御されるように設定されている。また、電極62への通電時の電圧値は、10(V)以下になるように設定されている。ここで、この通常モードにおいては、即ちモータ80の駆動制御としては、除菌フィルタ76の回転が休止2分間、回転3分間となるように設定されている。
一方、操作パネル16で強モード(B)が設定される状況においては、電解設定、即ち、電極62への通電制御内容としては、図20の(B)に示す通り、電極62への通電を停止している期間の長さを、電極、62間に流す電流の通電時間より短い時間に設定する制御、具体的には、「9分通電、1分休止」の繰り返し制御を実行すると共に、間に通電停止期間を挟んで、通電方向を交互に逆転させ、通電方向の逆転は通電停止期間に実行にするように設定されている。尚、この電極62への通電時の電流値及び電圧値としては、上述の通常モード(A)と同様に設定される一方、この強モード(B)においては、即ちモータ80の駆動制御としては、除菌フィルタ76の回転が連続運転となるように設定されている。
また、待機モード(C)は、電源オフに伴い設定されるモードであり、この装置10においては、仮に電源がオフにされても、内部制御はオフとはならず、表1に示すように、8時間ごとに1回、6分間のみ通電制御が行われるように設定されている。これは、電源オフに伴い、全ての制御動作を停止すると、除塵フィルタ32にトラップされた細菌やウィルスが活性化して増殖する恐れがあるのと、除菌フィルタ76に上から掛けられた除菌水が乾燥して、除菌フィルタ76自身の除菌性が損なわれることになるのを、防止するために、この待機モードの制御手順が規定されている。この待機モード(C)から通常モード(A)や強モード(B)が設定されると、その設定されたモードが起動することになる。また、この待機モード(C)は装置10の電源が抜かれると、当然に、制御動作が停止することになる。
ここで、この実施例の主たる特徴をなす点であるが、電極62への通電態様としては、通常モード(A)が設定されている状態においては、図20(A)に示す通り、休止時間が通電時間よりも長く設定された通電制御、具体的には、6分通電、54分休止の繰り返し制御を実行され、また、間に通電停止期間を挟んで、通電方向を交互に逆転させ、通電方向の逆転は通電停止期間に実行にするように設定されている。即ち、先ず、極性(通電方向)の逆転切換制御は、これを行わず、常時、一方向のみの通電方向であると、電極62の表面にスケールが付着して電解効率が低下してしまうため、従前から行われている周知の制御である。
ところが、通電方向を逆転させると、そのままでは以下の問題が発生することになる。即ち、プラスの通電からマイナスの通電に通電方向を逆転させると、電極62には、+0.248(A)と−0.248(A)との電流値の絶対値の合算値:0.496(A)のサージ電流に基づく過帯電電荷(過剰な帯電電荷)が残留することになるものであり、再通電の際に、この残留した過帯電電荷に基づき、電極62の触媒層62bが電極本体62aら剥離する不着不良というダメージを受けやすくなるものである。
仮に、触媒層62bが電極本体62aから剥離してしまうと、電解動作に寄与する電極62の表面積がその分だけ減じられることとなり、電解効率が低下してしまうことになると共に、再付着はなく、剥離状態は電解動作が進むにつれて進行することとなる。このため、通電方向の逆転時に、一旦、停止期間を設ける、換言すれば、この通電停止期間中に通電方向の切換制御を行うことにより、電極62に帯電する電荷は、+0.248(A)又は−0.248(A)の電流値の絶対値である0.248(A)のサージ電流に基づく値となる。即ち、上記した通電停止期間を設ける場合と比較して、その値は半分となり、電極62へのダメージは確実に減じられることとなる。このように、通常モード(A)が設定される状況において、電極62の長寿命化を確実に図り、電解動作を長期に維持させる効果が達成されることになる。
しかも、電極62に帯電する電荷は、時間の経過とともにイクスポーネンシャル的な変化で自然放電されるものであり、通常、数拾分の時間経過があれば、ほとんど影響がない程度に減じられるものである。これに鑑み、この実施例の通常モード(A)においては、通電停止時間を「54分」と通電時間に比して大幅に長い時間に設定しており、通電時に電極62に帯電した電荷が十分に自然放電され、実質的に消滅して電極62へのダメージが防止されることになる。このように、この通常モード(A)が設定される状況にあっては、電極62が通電時に受けるダメージを最小限に抑えつつ、必要な電解次亜塩素酸の濃度を維持するように設定されている。
一方、強モード(B)が設定されている状態においては、強制的に電解次亜塩素酸の生成濃度を高めるために、休止時間を通電時間よりも短く設定された通電制御、具体的には、9分通電、1分休止の繰り返し制御が実行され、通電方向は通常モード(A)と同様に、間に通電停止期間を挟んで、交互に逆転させ、また、この通電方向の逆転は通電停止期間に実行にするように設定されている。即ち、この強モード(B)が設定されている状況にあっては、電解次亜塩素酸水の生成濃度を高めることが優先される制御が実行されている。ここで、この強モード(B)における通電停止期間は、「1分間」に設定されており、上述した通常モード(A)と比較しては、長時間の通電停止時における電極62の帯電電荷の自然放電は期待できないものではある。それでも、従前の通電方向の切換制御と比して、通電停止期間中に通電方向のプラスからマイナス、又は、マイナスからプラスへのダイレクトの逆転通電と比較して、電極62に帯電する帯電電荷量は半減するので、これだけでも、従来に比して電極62へのダメージの抑止につながるものである。このように、強モード(B)が設定される状況においても、電極62の長寿命化を図り、電解動作を長期に維持させる効果が達成されるものである。
このような強モード(B)の通電制御を実行することにより電極62に多少のダメージが与えられることに目をつぶる制御となっているものであるが、この強モード(B)においては、電極62のダメージを最小限に抑えるために、この強モード(B)の設定から40分経過後、強制的に強モード(B)の設定を解除し、通常モード(A)に復帰するように設定されている。
ここで、電極62に上述した通電制御を行うことにより、塩が混入された水道水から電解次亜塩素酸水及び次亜塩素酸(イオン)が生成されるプロセスを、以下に説明する。まず、水道水は塩素を含んでいるので、次のような電気化学反応が発生する。
<陽極側>
4H2O−4e−→4H++O2↑+2H2O
2Cl−→Cl2+2e−
H2O+Cl2←→HClO+H++Cl−
<陰極側>
4H2O+4e−→2H2↑+4OH−
<電極間>
H++OH−→H2O
上記反応により、除菌作用、即ち、細菌の殺菌作用及びウィルスの不活化作用と共に脱臭作用のある次亜塩素酸(HClO)や活性酸素(O2↑)が生成され、この次亜塩素酸の水溶液として電解次亜塩素酸水が生成される。即ち、次亜塩素酸は揮発され、空気中に放出されると共に、水に溶け込んで電解次亜塩素酸水が生成される。
次亜塩素酸水生成用貯水槽56の中の電解次亜塩素酸水は、第2の連通部56aを通じて除菌用貯水槽58に流入する。この除菌用貯水槽58には、次亜塩素酸水生成装置60で十分に除菌機能を発揮する濃度(例えば通常モード(A)では15ppm、強モード(B)では35ppm)に生成された電解次亜塩素酸水が除菌水として貯水されることになる。
一方、除菌機構48を構成するモータ80は、ホイール72を所定のゆっくりとした回転速度で回転させる。ホイール72の回転方向は、ホイール72を正面側から示す図10においては反時計方向回りに、ホイール72を背面側から見ている図11においては時計方向回りとなる。ホイール72がこの方向に回転するのに伴い、バケット78は除菌用貯水槽58から除菌水を汲み上げて、除菌フィルタ76に上方からかけるという動作を繰り返す。
ここで、モータ80への通電により、シロッコファン32が回転すると、吸気口18→空気清浄装置24→空気除菌装置26→送風装置28→排気口20という空気の流れが空気流通経路22に発生する。
具体的には、吸気口18から吸い込まれた空気(外気)は、空気清浄装置24の脱臭フィルタ30を通過する際に、活性炭を介して臭いを脱臭されると共に粗い塵埃やハウスダストが除塵され、引き続く花粉フィルタ33を通過する際に、空気中の花粉が吸着され、最後に、HEPAフィルタからなる除塵フィルタ32を通過する際に、PM2.5の微細な塵埃、細菌やウィルスが殆ど捕捉されて清浄化されることになる。
ここで、除塵フィルタ32に捕捉された細菌やウィルスは、従前であれば、ここに捕捉された状態で除塵フィルタ32に留まることとなり、この除塵フィルタ32内に時間と共に蓄積されることとなる。換言すれば、除塵フィルタ32は、細菌やウィルスを捕捉できるが、逆に、細菌やウィルスの『温床』となる問題が強く指摘されていた。しかしながら、この実施例の特徴となる点であるが、上述したように次亜塩素酸水(除菌用水槽58に貯水された次亜塩素酸水及び除菌フィルタ32に含水された次亜塩素酸水)から揮発した次亜塩素酸が除菌フィルタ32にもたらされ、これに含まれることにより、除塵フィルタ32内に捕捉された細菌やウィルスは、次亜塩素酸により殺菌および不活化され、文字通り、除菌されて清浄化される状態となるものであり、除塵フィルタ32が細菌やウィルスの温床となることは、効果的に抑制さえることになる。
尚、上述したように、吸気口18から吸い込まれた空気(外気)は、空気清浄装置24の脱臭フィルタ30を通過する際に、この空気(外気)に含まれる細菌やウィルスは、先ず、活性炭に吸着されて、ここにトラップされてしまうものも出てくるかもしれないが、仮に、活性炭にトラップされる状況が発生したとしても、上記した除塵フィルタ32における次亜塩素酸の作用と同じ作用が脱臭フィルタ30に対してもなされるので、細菌やウィルスがトラップされた脱臭フィルタ30が細菌やウィルスの温床となる恐れは効果的に抑制されるものである。
更には、この次亜塩素酸は、除菌フィルタ76を通風する際に、上記したように次亜塩素酸水により除菌されると共に、除菌フィルタ76中の揮発した次亜塩素酸を含む状態で、空気流に乗って除菌フィルタ76を通過し、揮発した次亜塩素酸を含む空気が排気口20から室内に排出され、その後、吸気口18から空間除菌清浄化装置10に再び取り込まれる(吸気される)こととなる。このように、この吸気口18から空気流通路22に取り込まれた次亜塩素酸を含む空気は、再び、除塵フィルタ32を通過することとなる。そして、この除塵フィルタ32を通過する空気に含まれる次亜塩素酸により、除塵フィルタ32に捕捉されていた細菌やウィルスは除菌されることとなる。このように、この実施例においては、上記空気流通が繰り返されることにより、除塵フィルタ32に捕捉されていた細菌やウィルスは基本的に次亜塩素酸により、除菌されることとなり、従前のような除塵フィルタ32が細菌やウィルスの温床となる問題は完璧に解消されることとなる。
このように空気清浄装置24により清浄化された空気は、除塵フィルタ32により殆ど細菌は殺菌されウィルスは不活化されることになるが、それでも、除塵フィルタ32の周囲(脇)を通り抜けた空気が存在し、この通り抜けた空気中の細菌やウィルスが残ることとなるが、このように除塵フィルタ32を通り抜けた空気は、今度は、この空気除菌装置26に入り、除菌フィルタ76を通過する際に、この除菌フィルタ76が除菌機構48を介して次亜塩素酸水を上方から掛けられて内部に保持されている次亜塩素酸水と気液接触し、除菌フィルタ76を通過する空気中に残留していた細菌及びウィルスは、次亜塩素酸水により、ほぼ完璧に殺菌および不活化されることになる。
一方、除菌水としての次亜塩素酸水と気液接触して、次亜塩素酸含むようになった空気は、送風装置28により、排気口20から装置10外に排気され、装置10の周囲の空間に放出され、この周囲の空間を、除菌することになる。具体的には、排気口20から排気された排気中に含まれる次亜塩素酸により、この装置10の周囲の空間中に存在する(浮遊する)種々の細菌が殺菌され、ウィルスが不活化されると共に、周囲の空間に存在する機器や部品類の表面に付着している細菌やウィルスも、排気口20から排気された排気中に含まれる次亜塩素酸により殺菌及び不活化、即ち、除菌されることになる。
一方、除菌フィルタ76に上方からかけられた除菌水(次亜塩素酸水)は、除菌フィルタ76に保持されえなかった剰余分が、自重により下方に落下し、除菌水貯水槽58に回収され、再び、上記除菌動作に供されることになる。ここで、除菌フィルタ76から回収された除菌水は、除菌フィルタ76を通過する空気が、HEPAフィルタ32により、微細な塵埃を除塵されて清浄化され、また、除菌されているので、当然に、微細な塵埃を含まない清浄化された除菌水となっている。この結果、除菌フィルタ76から落下してきて除菌水貯水槽58に回収された除菌水が、除菌水貯水槽58に既に貯水されている除菌水を、微細な塵埃や細菌・ウィルス等で汚染することは、効果的に防止されることとなる。
このように、除菌フィルタ76から除菌水が回収されることにより、除菌水貯水槽58の除菌水は、常に補充されて、除菌に必要となる最低限の量しか、消費されないこととなり、これにより、除菌水生成装置60における除菌水生成時の負荷が、効果的に抑制されることとなる効果を達成することが出来る。
更に、除菌フィルタ76から回収されてきた除菌水は、HEPAフィルタ32により微細な塵埃まで除塵されて清浄化されると共に、除菌されているので、除菌水貯水槽58に貯水されている除菌水を、微細な塵埃や細菌・ウィルス等で汚染することが無く、除菌水貯水槽58に第2の連通部56aを介して連通されている次亜塩素酸水生成用貯水槽56内に貯水されている次亜塩素酸水を、微細な塵埃や細菌・ウィルス等で汚染することも、効果的に抑制されることになる。この結果、従来のように、微細な塵埃で汚染されている電解水が混入することにより、電気抵抗値が増して、電解のための必要となる印加電圧を増大せざるを得ない事態が効果的に抑止され、電解水の生成功率の向上を果たす効果を奏する事ができるものである。
以下に、上述した制御装置64の構成及び制御手順を説明する。
先ず、制御装置64の構成を説明する前に、図18(A)を参照して、この実施形態で用いられる電極62の構成を説明する。各電極62は、チタン又はチタン合金製の電極本体62aと、この電極本体62aの表面に添着された貴金属成分を有する触媒層62bとから構成されている。ここで、この実施形態においては、触媒層62bの貴金属成分は、プラチナ成分を含むものであり、更に具体的には、プラチナーイリジウム(Pt−Ir)合金から構成されている。
また、この実施形態においては、触媒層62bは、電極本体62aの表面に対して、アンカリング効果を利用等しての機械的接合により付着されているものである。このように、この実施形態では、接着剤等の接合剤を用いていないので、電解動作に伴い接合剤が電解水中に溶け出ることが無く、電解水としての次亜塩素酸水が、溶け出した接合剤により汚染されることが効果的に防止されることになる。
一方、図19に示すように、制御装置64は、1対の電極62の間に電流を流す電極ドライブ回路86を備えている。この電極ドライブ回路86に対しスイッチング素子としての極性切替回路88から出力(IN1及びIN2)がなされ、極性切替回路88に対しては制御部60のCPU90から出力がなされる。CPU90からの出力はPWM(pulse−width modulation)出力と極性切替出力である。
そして、この実施例においては、この制御装置64は、極性切替回路88により電流方向が切り替えされる(即ち、極性が切り替えられる)タイミングを、電極62への通電が停止されている期間に行うように制御態様が規定されている。このようにして、電極62に流れるサージ電流を抑制し、電極62の触媒層62bに過度の電流密度の電流が流れることを防止して、電極本体62aと触媒層62bとの添着状態(機械的接合)状態を確実に維持させることが出来るように構成されている。これにより、電極62が 電流の極性切替によりダメージを受けること(具体的には、電極62において、触媒層62bが過剰な帯電電荷により電極本体62aから部分的とは言え剥がれて、電極本体62aの触媒層62bとの接合面が剥き出しとなり、電解効率が低下すること)が防止され、電極62が長寿命化される効果が奏せられることになる。
具体的には、通常モード(A)においては、図20(A)に示ように、0.248(A)の電流を6分間流した後、回路をオープンにして54分間の通電停止期間を設け、この通電停止期間に、極性切替回路88の極性切替出力を電流の通電方向が今までと逆方向になるように切り替えておく。そして、54分間の通電停止期間が経過すると、電源ドライブ回路86を起動して、電極62への通電を開始するが、この通電は、正方向の通電時の電流値と同一の0.248(A)で、逆方向の電流を6分間流すように設定されている。
このように、間に54分間の通電停止期間を挟んで、正逆が逆転した0.248(A)の電流を6分間流すという通電サイクルが繰り返えされるように設定されている。尚、通電停止期間の54分間は、通電停止に伴い電極62の表面にサージ電流に基づき過剰に帯電した電荷が、問題ない程度まで自然放電されるに充分な時間に設定されている。この時間は、電極62のサイズ、印加電圧、通電電流の値により適宜選定されるものであるが、重要な選定条件は、この通電停止期間の間に、電極62の表面に帯電した電荷が自然放電されるに充分な時間であることである。
また、強モード(B)においては、図20(B)に示ように、0.248(A)の電流を9分間流した後、回路をオープンにして1分間の通電停止期間を設け、この通電停止期間に、極性切替回路88の極性切替出力を電流の通電方向が今までと逆方向になるように切り替えておく。そして、1分間の通電停止期間が経過すると、電源ドライブ回路86を起動して、電極62への通電を開始するが、この通電は、正方向の通電時の電流値と同一の0.248(A)で、逆方向の電流を9分間流すように設定されている。このように、強モード(B)が設定される状態においては、この強モード(B)の設定が許容される40分間のうちに、36分間の通電が行われるので、電解効率は高く維持されることとなる。
ここで、再び図19を参照して制御装置64における通電制御の仕組みを説明する。1対の電極62の間に電流を流すのは電極ドライブ回路86である。電極ドライブ回路86に対し極性切替回路88から出力(IN1及びIN2)がなされ、他方、この極性切替回路88に対しては制御部64のCPU90から出力がなされる。CPU90からの出力はPWM(pulse−width modulation)出力と極性切替出力である。
一方、電極ドライブ回路86とグラウンドとの間には抵抗92が接続されている。抵抗76に流れる電流(=電極62間の電流)による電圧(パルス)を、平均電流監視回路94が増幅し、平均化した電圧をCPU90に入力する。また、抵抗92に流れる電流(=電極62間の電流)による電圧(パルス)を、ピーク電流監視回路96が増幅し、パルスのピーク電圧を保持しCPU90に入力するように構成されている。
以上説明した実施形態の構成では、空気清浄装置24にも空気除菌装置26にも、送風装置28の吐出力でなく吸引力が作用するから、空気除菌装置26が大きな抵抗にならず、送風量の低下が少なくて済む効果が達成される。また、除菌フィルタ76を濡らすのが除菌水であるから、除菌フィルタ76自体を除菌することができることになる。
更に、この実施形態の構成においては、除菌フィルタ76を通過する正常化された空気に除菌水を含ませていて、これだけで、室内空間を充分に除菌・脱臭することが出来るものであるため、従来のようなミスト発生装置も、ミスト送風装置も必要とならず、装置10全体の構成の簡略化及び小型化及びコスト減を図ることが出来ることとなる。
空間除菌清浄化装置10を長期間使用していると、水が接触する箇所に水中のミネラルがスケールとなって付着する。実施形態の構成では、水が接触する箇所が水受けパン42を中心にまとまっているので、水受けパン42を引き出せば、水関係のメンテナンスが必要な箇所を筐体12の外に容易に取り出すことができる。これにより、メンテナンスが楽になる。
以上、この発明の実施形態につき説明したが、この発明はこれに限定されるものではなく、この発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることはいうまでもない。また、用いた数値はあくまでも一例であり、この発明が実施形態の説明において用いた数値を採用することに限定されないことも、いうまでも無い。
例えば、上述した実施形態においては、次亜塩素酸生成装置60に備えられた電極62は、図18(A)に示すように、一対の一組を備えるように説明したが、この発明はこのような構成に限定されること無く、例えば、次亜塩素酸濃度を高めたい場合には、図18(B)に変形例として示すように、この一対の電極を、2組なり3組なり、複数組を備えるように、次亜塩素酸生成装置60を構成しても良いことは、言うまでもない。具体的には、この変形例では、図18(B)に示すように、3枚の電極62A,62B,62Cを備え、2組の電極対を備える構成を採用している。即ち、第1及び第3の電極62A,62Cは、各々、電極本体62aと、この電極本体62aの片面に添着された触媒層62bとを備えて構成され、第2の電極62Bは、電極本体62aと、この電極本体62aの両面に夫々添着された触媒層62b1,62b2とを備えて構成されている。そして、第1の電極対は、第1の電極62Aと第2の電極62Bの図中一点鎖線の左半分、即ち、第2の電極62Bの電極本体62aの左半分とこれの図中左側面に添着された触媒層62b1とから構成し、第2の電極対は、第3の電極62Cと第2の電極62Bの図中一点鎖線の右半分、即ち、第2の電極62Bの電極本体62aの右半分とこれの図中右側面に添着された触媒層62b2とから構成している。このように、この変形例においては、電極62として、2対の電極62A;62B,62C;62Bから構成しているので、電解効率は実質的に2倍となり、一対の電極構成の場合と比較して高い濃度の次亜塩素酸を生成することが可能となる。
また、上述した実施例においては、制御装置64は図19に示すような回路構成を備えるように説明したがが、この発明はこのような構成に限定されることなく、例えばICに制御システムを組み込んだ構成とすることも可能であることは言うまでもない、
発明の効果
この発明によると、次亜塩素酸水を用いて空間を除菌・清浄化する空間除菌清浄化装置において、電極の寿命の長期化を図り、電解動作を長期に維持させることのできる空間除菌清浄化装置が提供されることになる。
先ず、本実施例における用語を以下の通り説明する。
最初に、この実施例で用いられる「空間」とは、この一実施例の空間除菌清浄化装置10が設置される周囲空間を差し、単に、領域としての空間のみならず、この周囲空間に存在する物品をも含むものとする。また、この一実施例で用いられる「除菌」(広義の除菌)とは、これが設置される周囲空間に浮遊する細菌の殺菌(狭義の除菌)及びウィルスの不活化、周囲空間に存在する物品の表面に付着した細菌の殺菌(狭義の除菌)及びウィルスの不活化、並びに、装置10内に取り込まれた周囲空間から吸気された空気が通過するフィルタにトラップされた細菌の殺菌(狭義の除菌)及びウィルスの不活化を意味するものとする。更に、この実施例で用いられる「清浄化」とは、周囲空間に存在するハウスダスト、たばこの煙、PM2.5の微細塵、ペット・体臭等の臭い等の除去を意味するものとする。尚、この一実施例で用いられる「水道水」とは、上位概念としての「塩分を含む水」の下位概念として定義される用語とする。
この一実施例の空間除菌清浄化装置10は、図1乃至図3に示すように、前後方向に偏平で前面が全面的に開放された筐体12と、この筐体12の開放された前面を全面的に開放可能に覆う前カバー14とを備えている。尚、以下の説明において、筐体10の説明に用いる方位表現については、図1における紙面左側が左、紙面右側が右、と定義する。他の構成要素の説明に用いる方位表現もこれにならうものとする。
図1及び図3に示すように、筐体10の上面前方には操作パネル16が配置されている。この操作パネル16には、各種指令を入力するスイッチ群と、空間除菌清浄化装置10の運転状況その他の情報を表示するランプ群が配置されている。スイッチ群はメンブレンスイッチにより構成され、ランプ群は発光ダイオード(LED)により構成される。
また、図3に示すように、前カバー14の前面の底縁には、横方向に延出するスリット状の吸気口18、及び、これの両側縁には、夫々縦方向に延出する凹み状の吸気口18が形成され、また、図1及び図2に示すように、筐体12の上面後方に排気口20が形成されている。排気口20にはこれを閉塞可能に開放する上ルーバー21が取り付けられ、排気口20から手指等が差し込まれるのを防ぐと共に、装置内への塵の侵入を防いでいる。
図4及び図5に示すように、筐体12の内部には、一方の端が吸気口12、他方の端が排気口20となった空気流通経路(送風路)22が形成されている。空気流通経路22には、吸気口18を起点とした上流側から排気口20を終点とした下流側に向けて、空気清浄装置24、空気除菌装置26、及び送風装置28が順に配置されている。
空気清浄装置24は、図3に具体的に示すように、空気流通経路22の最も上流側に配置され、装置10内に吸気口18から導入(吸気)した外気(空気)中の粗い塵やハウスダスト等を除塵すると共に、臭気を活性炭を介して脱臭する脱臭フィルタ30と、この脱臭フィルタ30と筐体12の開口との間に介設されたPM2.5クラスのHEPAフィルタからなる微細塵用の除塵フィルタ32と、この除塵フィルタ32の前面(通気方向上流側の面)に全面に渡り配設され、花粉を吸着するための花粉フィルタ33を備えて、三重構造として構成されている。尚、この花粉フィルタ33はかなり薄手のメッシュ材から構成されており、自身で形状を自立して保持することができず、脱臭フィルタ30と除塵フィルタ32との間に挟み込まれた状態で取り付けられるものであり、図3においては便宜上、除塵フィルタ32の前面に添着された状態で描かれている。
送風装置28は、3箇所の吸気口18から吸い込まれ、排気口20から排出される空気流を形成すものであって、シロッコファン34及びそれを回転させるモータ36と、シロッコファン34を囲むファンケーシング38とを備えて構成されている。ファンケーシング38には排気口20に接続する吐出口38a(図16に最も良く形状が表れている)が形成されている。
次に、空気除菌装置26の構造を、図4乃至図17を参照して詳細に説明する。この空気除菌装置26には、これに水道水を供給する給水装置40が設けられている。この給水装置40は、筐体12の右側面から着脱可能に挿入される、引出式の水受けパン42を中心として構成される。この水受けパン42の右側面と、その上に着脱可能に取り付けられるカバー44は、筐体12の外殻の一部を構成する。水受けパン42の右側面には、操作者の手を掛けるための凹部46が形成されている。
水受けパン42は、図7乃至図12に示すように、空気除菌装置26を構成する除菌機構48(後に詳述する。)と共に、約5リットルの水道水が貯留される給水タンク50を支持するように構成されている。尚、この給水タンクには、水道水が貯留される他に、電解生成される次亜塩素酸の濃度を高く維持するために、食塩が混入されている。尚、水道水には、元来、塩素が不可避に混入されていて、本装置において生成される次亜塩素酸は、この水道水に元来混入されている塩素を原料とするものである。ところが、地域の水道局によって、塩素濃度に差があるため、次亜塩素酸が生成されるための最低塩素濃度を確実に確保するために、食塩が混入されるものである。
尚、食塩は家庭用の精製食塩で充分であり、その混入量は、例えば、高濃度(35ppm)の次亜塩素酸を生成するためには、水道水5リットル当たり小さじ半分程度である。尚、塩素濃度が高い水道水においては、食塩の混入が不要になる場合があることは、言うまでもない。一方、外国においてこの空間除菌清浄化装置10を用いる場合において、特に、中東諸国において、水道水として精製水が用いられる国では、水道水に塩分が含まれないので、食塩の混入は必須となる。
水受けパン42の右端には、図3及び図6に示すように、給水タンク50から供給される塩が追加混入された水道水(以下、端に水道水と表現する。)を受ける未処理水貯水槽52が形成されている。未処理水貯水槽52には、給水タンク50の図示しないバルブを押し開ける突起54が形成されている。
このように水道水の入った給水タンク50を水受けパン42の未処理水貯水槽52上にセットすると、突起54でもって給水タンク50の図示しないバルブが押し開けられ、後述するように所定水位(図9~図11で示す水位線WL)まで水道水が水受けパン42に供給されるように構成されている。
水受けパン42には、図14に示すように、未処理水貯水槽52の他、次亜塩素酸水生成用貯水槽56、及び、除菌用貯水槽58が、それぞれ隔壁によって区画形成されている。次亜塩素酸水生成用貯水槽56は給水タンク54から供給された未処理水(水道水)を電解により次亜塩素酸水に変えたものを溜めておくための槽であり、除菌用貯水槽58は次亜塩素酸水生成用貯水槽56からの次亜塩素酸水を空気除菌装置26に供給する除菌水として貯めておくためのものである。
未処理水貯水槽52と次亜塩素酸水生成用貯水槽58との間には、第1の連通部52aが形成され、次亜塩素酸水生成用貯水槽56と除菌用貯水槽58との間には、第2の連通部56aが形成され、これらの連通部52a、56aにより、各貯水槽の水位は同一に保たれる。連通部52a、56aは、夫々隔壁を貫通する小孔により構成されている。
次亜塩素酸水生成用貯水槽56の左端には、未処理水貯水槽52から連通部52aを通じて次亜塩素酸水生成用貯水槽56に流れ込む未処理水(水道水)を電解処理して電解次亜塩素酸水を生成する次亜塩素酸水生成装置60が配置されている。この次亜塩素酸水生成装置60は、次亜塩素酸水生成用貯水槽56内の水に浸る1対の電極62と、両電極62間に所定の電圧を印加し、電流を流す制御装置64(後に詳細に説明する。)とを備えて構成されている。
水受けパン42の左端外面には、図11に示すように、次亜塩素酸水生成装置60に電流を供給するためのコネクタ66が取り付けられている。ここで、水受けパン42を筐体12の奥まで押し込むと、筐体12の内部に設けられた図示しないコネクタにコネクタ66が係合し、図示しない電源及び制御装置64と結線され、次亜塩素酸水生成装置60に対する給電が可能となる。
一方、水受けパン42には、図12に示すように、除菌用貯水槽58の正面側の側壁上端と次亜塩素酸水生成用貯水槽56の正面側の側壁上端から、対をなす支柱68が互いに向かい合う形で立設されている。各支柱68の互いに対向する面の上端には、上方に開いたU字形の軸受部70が形成されている。両軸受部70に除菌装置48の支軸72e(後述する。)が回転自在に支持される。
続いて、空気除菌装置26の主たる構成要素としての除菌機構48の構造を説明する。この除菌機構48は、水車のような形状のホイール72を備えている。このホイール72は中心にハブ72a、周縁にリム72bを有し、ハブ72aとリム72bとを、複数の正面側スポーク72cと複数の背面側スポーク72dとで強固に連結した構造となる。
詳述すると、図8に示すように、ホイール72は、正面側スポーク72c、リム72b、及び内側のハブ部72a1を有するホイールベース72lと、背面側スポーク72d、外側のハブ部72a2、及び後述する入力歯車72fを有するホイールキャップ72mとを備えて構成され、ホイールベース72lにホイールキャップ72mを、ハブ72a1、72a2同士を嵌め合わせて結合することにより構成されている。内外両ハブ部72a1、72a2を互いに合わせたものがハブ72aとなる。
ハブ72aからは前後に支軸72eが突き出しており、この支軸72eの両端を、両支柱68の軸受部70に夫々落とし込むことにより、ホイール72は水平軸線まわりに回転自在に支持される。
ホイール72には除菌部74(図9参照)が設けられている。除菌部74を主として構成するのは、ディスク状の除菌フィルタ76である。除菌フィルタ76は保水能力と通風性を兼ね備えた素材、例えばネットや不織布からなり、背面側スポーク72dの前面に取り付けられる。
除菌フィルタ76は、平板状のまま取り付けられるのでなく、所定の起伏(立体)形状を呈するように取り付けられる。好適する実施形態では、図8に示すように、除菌フィルタ76の中心部を正面側スポーク72cの方に押し出し、周囲に円錐面76aを生じさせている。詳述すると、ホイール72の背面側スポーク72dには、円錐面76aを形成するための傾斜面72hを有するリブ72iが突設され、一方、正面側スポーク72cの裏側には、傾斜面72hと向かい合う位置に、傾斜面72hと同じ傾斜面72jを有するリブ72kが突設されている。そして、ホイールベース72lとホイールキャップ72mを結合する際に両リブ72iと72kの間に除菌フィルタ76を挟み込むことにより、除菌フィルタ76を平板状でない所定の起伏(立体)形状にしている。
ホイール72のリム72bには、一面が開口された複数(図では6個)のバケット78が、一定の角度間隔で配置される。各バケット78は、別部品をリム72bに取り付けてもよく、リム72bに一体成型してもよい。
全てのバケット78が開口を一定方向に向けて配置されている。ホイール72が回転し、バケット78がリム72bの最下部まで移動した時、バケット78は除菌用貯水槽58の除菌水中に沈み、除菌水がバケット78内に浸入する。そして、ホイール72が回転し、自重によりバケット78の開口が上を向くように回転すると、バケット78は除菌水を汲み上げる事になる。バケット78がリム72bの上部に来て、その開口が横向きになるにつれ、汲み上げた除菌水が滴下する。ここで、除菌フィルタ76の円錐面76aは、除菌水の落下進路に干渉しており、滴下する除菌水は、除菌フィルタ76上に流出する。
ここで、ホイール72を回転させるモータ80は、水受けパン42にではなく、筐体12の内部の隔壁12a(図7参照)に支持されている。モータ80は出力歯車80aを有している。出力歯車80aは、モータ80と同じく隔壁12aに支持された中間歯車82に噛合している。この中間歯車82には、ホイール72のホイールキャップ72mの外周部に一体成型ないし固定された入力歯車72fが噛み合っている。尚、入力歯車72fが中間歯車82に噛み合うのは、水受けパン42を筐体12内の最も奥まで押し込んだときに設定されている。
ホイール72の周囲を囲い84(図7参照)が取り巻き、囲い84の内部が、上述したファンケーシング38の吸気口38bに連通している。囲い84は、隔壁12aに一体成型した部分囲い84aと、水受けパン42に一体成型した部分囲い84bとにより構成される。水受けパン42を筐体12内の最も奥まで押し込んだとき、部分囲い84aに部分囲い84bが接合し、囲い84が完成するように設定されている。
以上のように構成される空間除菌清浄化装置10において、次に、空間除菌清浄化装置10の動作を説明する。
先ず、給水タンク50の中に水道水が十分残っていれば、未処理水貯水槽52、次亜塩素酸水生成用貯水槽56及び除菌用貯水槽58の夫々の内部には、図9~図11に夫々示す水位線WLの高さまで水が溜まっている状態である。給水タンク50の中の水が残り少なく、水位が水位線WLより下がっている状態であれば、図示しないセンサがそれを検知し、操作パネル16に水不足の旨の表示が出る。水不足の表示を見たときは、操作者は、カバー44を外し、給水タンク50を取り出して、中に水道水を補給する。水道水の補給後、給水タンク50を水受けパン42の上に置くと、給水タンク50から流れ出す水道水によって水位が水位線WLの高さまで回復し、水不足の表示は消える。外しておいたカバー44を元通りはめ込めば、空間除菌清浄化装置10の運転が可能になる。
一方、空間除菌清浄化装置10を後に詳細に説明する通常モードで運転すると、送風装置28のモータ36、次亜塩素酸水生成装置60の電極62、及び除菌機構48のモータ80に給電が行われ、これらの構成要素は、詳細は後述するが、制御装置64によるそれぞれ定められた制御内容に従って動作を開始する。
この後、次亜塩素酸水生成装置60の電極62に所定の電圧(例えば10V)が印加されると、これも後に詳述する通電制御が実行されることにより、未処理水貯水槽52から次亜塩素酸水生成用貯水槽56に流入した未処理水(水道水)が電気分解(電解)されて次亜塩素酸水、即ち電解次亜塩素酸水となる。
次に、動作の説明に先立ち、この空間除菌清浄化装置10で設定される動作モードについて、以下の表1を参照して説明する。この表1に示すように、この空間除菌清浄化装置10は、動作モードとして、「通常モード」と「強モード」と「待機モード」との3つのモードが設定可能な状況にあり、これらモードは、筐体12の上面に設けられた操作パネル16の詳細は図示していないが、モード設定ボタンを用いて設定される。
通常モード(A)は、この空間除菌清浄化装置10の通常の運転モードを示すもので、より詳細には、「標準モード」、「自動モード」、「エコ自動モード」、「急速モード」、「静音モード」が設定可能な状況にあるが、本実施例の特徴を構成するものではなく、電解設定は「通常モード」として上位概念化された状態で制御動作が実行されるので、ここでの説明は省略する。
この空間除菌清浄化装置10を用いて、これが設置された室内の空気を除菌・清浄化する場合には、操作パネル16で通常モード(A)が設定されるが、この通常モード(A)における電解設定、即ち、電極62への通電制御内容としては、図20の(A)に示す通り、電極62への通電を停止している期間の長さを、電極62間に流す電流の通電時間より長く設定する制御、具体的には、「6分通電、54分休止」の繰り返し制御を実行すると共に、間に通電停止期間を挟んで、通電方向を交互に逆転させ、通電方向の逆転は通電停止期間に実行にするように設定されている。尚、この電極62への通電時の電流値としては、0.248(A)を基本としており、詳細な説明は割愛するが、次亜塩素酸水生成用貯水槽56に貯められている水道水の塩分濃度に応じて、0.24(A)から0.252(A)の範囲で変更制御されるように設定されている。また、電極62への通電時の電圧値は、10(V)以下になるように設定されている。ここで、この通常モードにおいては、即ちモータ80の駆動制御としては、除菌フィルタ76の回転が休止2分間、回転3分間となるように設定されている。
一方、操作パネル16で強モード(B)が設定される状況においては、電解設定、即ち、電極62への通電制御内容としては、図20の(B)に示す通り、電極62への通電を停止している期間の長さを、電極、62間に流す電流の通電時間より短い時間に設定する制御、具体的には、「9分通電、1分休止」の繰り返し制御を実行すると共に、間に通電停止期間を挟んで、通電方向を交互に逆転させ、通電方向の逆転は通電停止期間に実行にするように設定されている。尚、この電極62への通電時の電流値及び電圧値としては、上述の通常モード(A)と同様に設定される一方、この強モード(B)においては、即ちモータ80の駆動制御としては、除菌フィルタ76の回転が連続運転となるように設定されている。
また、待機モード(C)は、電源オフに伴い設定されるモードであり、この装置10においては、仮に電源がオフにされても、内部制御はオフとはならず、表1に示すように、8時間ごとに1回、6分間のみ通電制御が行われるように設定されている。これは、電源オフに伴い、全ての制御動作を停止すると、除塵フィルタ32にトラップされた細菌やウィルスが活性化して増殖する恐れがあるのと、除菌フィルタ76に上から掛けられた除菌水が乾燥して、除菌フィルタ76自身の除菌性が損なわれることになるのを、防止するために、この待機モードの制御手順が規定されている。この待機モード(C)から通常モード(A)や強モード(B)が設定されると、その設定されたモードが起動することになる。また、この待機モード(C)は装置10の電源が抜かれると、当然に、制御動作が停止することになる。
ここで、この実施例の主たる特徴をなす点であるが、電極62への通電態様としては、通常モード(A)が設定されている状態においては、図20(A)に示す通り、休止時間が通電時間よりも長く設定された通電制御、具体的には、6分通電、54分休止の繰り返し制御を実行され、また、間に通電停止期間を挟んで、通電方向を交互に逆転させ、通電方向の逆転は通電停止期間に実行にするように設定されている。即ち、先ず、極性(通電方向)の逆転切換制御は、これを行わず、常時、一方向のみの通電方向であると、電極62の表面にスケールが付着して電解効率が低下してしまうため、従前から行われている周知の制御である。
ところが、通電方向を逆転させると、そのままでは以下の問題が発生することになる。即ち、プラスの通電からマイナスの通電に通電方向を逆転させると、電極62には、+0.248(A)と−0.248(A)との電流値の絶対値の合算値:0.496(A)のサージ電流に基づく過帯電電荷(過剰な帯電電荷)が残留することになるものであり、再通電の際に、この残留した過帯電電荷に基づき、電極62の触媒層62bが電極本体62aら剥離する不着不良というダメージを受けやすくなるものである。
仮に、触媒層62bが電極本体62aから剥離してしまうと、電解動作に寄与する電極62の表面積がその分だけ減じられることとなり、電解効率が低下してしまうことになると共に、再付着はなく、剥離状態は電解動作が進むにつれて進行することとなる。このため、通電方向の逆転時に、一旦、停止期間を設ける、換言すれば、この通電停止期間中に通電方向の切換制御を行うことにより、電極62に帯電する電荷は、+0.248(A)又は−0.248(A)の電流値の絶対値である0.248(A)のサージ電流に基づく値となる。即ち、上記した通電停止期間を設ける場合と比較して、その値は半分となり、電極62へのダメージは確実に減じられることとなる。このように、通常モード(A)が設定される状況において、電極62の長寿命化を確実に図り、電解動作を長期に維持させる効果が達成されることになる。
しかも、電極62に帯電する電荷は、時間の経過とともにイクスポーネンシャル的な変化で自然放電されるものであり、通常、数拾分の時間経過があれば、ほとんど影響がない程度に減じられるものである。これに鑑み、この実施例の通常モード(A)においては、通電停止時間を「54分」と通電時間に比して大幅に長い時間に設定しており、通電時に電極62に帯電した電荷が十分に自然放電され、実質的に消滅して電極62へのダメージが防止されることになる。このように、この通常モード(A)が設定される状況にあっては、電極62が通電時に受けるダメージを最小限に抑えつつ、必要な電解次亜塩素酸の濃度を維持するように設定されている。
一方、強モード(B)が設定されている状態においては、強制的に電解次亜塩素酸の生成濃度を高めるために、休止時間を通電時間よりも短く設定された通電制御、具体的には、9分通電、1分休止の繰り返し制御が実行され、通電方向は通常モード(A)と同様に、間に通電停止期間を挟んで、交互に逆転させ、また、この通電方向の逆転は通電停止期間に実行にするように設定されている。即ち、この強モード(B)が設定されている状況にあっては、電解次亜塩素酸水の生成濃度を高めることが優先される制御が実行されている。ここで、この強モード(B)における通電停止期間は、「1分間」に設定されており、上述した通常モード(A)と比較しては、長時間の通電停止時における電極62の帯電電荷の自然放電は期待できないものではある。それでも、従前の通電方向の切換制御と比して、通電停止期間中に通電方向のプラスからマイナス、又は、マイナスからプラスへのダイレクトの逆転通電と比較して、電極62に帯電する帯電電荷量は半減するので、これだけでも、従来に比して電極62へのダメージの抑止につながるものである。このように、強モード(B)が設定される状況においても、電極62の長寿命化を図り、電解動作を長期に維持させる効果が達成されるものである。
このような強モード(B)の通電制御を実行することにより電極62に多少のダメージが与えられることに目をつぶる制御となっているものであるが、この強モード(B)においては、電極62のダメージを最小限に抑えるために、この強モード(B)の設定から40分経過後、強制的に強モード(B)の設定を解除し、通常モード(A)に復帰するように設定されている。
ここで、電極62に上述した通電制御を行うことにより、塩が混入された水道水から電解次亜塩素酸水及び次亜塩素酸(イオン)が生成されるプロセスを、以下に説明する。まず、水道水は塩素を含んでいるので、次のような電気化学反応が発生する。
<陽極側>
4H2O−4e−→4H++O2↑+2H2O
2Cl−→Cl2+2e−
H2O+Cl2←→HClO+H++Cl−
<陰極側>
4H2O+4e−→2H2↑+4OH−
<電極間>
H++OH−→H2O
上記反応により、除菌作用、即ち、細菌の殺菌作用及びウィルスの不活化作用と共に脱臭作用のある次亜塩素酸(HClO)や活性酸素(O2↑)が生成され、この次亜塩素酸の水溶液として電解次亜塩素酸水が生成される。即ち、次亜塩素酸は揮発され、空気中に放出されると共に、水に溶け込んで電解次亜塩素酸水が生成される。
次亜塩素酸水生成用貯水槽56の中の電解次亜塩素酸水は、第2の連通部56aを通じて除菌用貯水槽58に流入する。この除菌用貯水槽58には、次亜塩素酸水生成装置60で十分に除菌機能を発揮する濃度(例えば通常モード(A)では15ppm、強モード(B)では35ppm)に生成された電解次亜塩素酸水が除菌水として貯水されることになる。
一方、除菌機構48を構成するモータ80は、ホイール72を所定のゆっくりとした回転速度で回転させる。ホイール72の回転方向は、ホイール72を正面側から示す図10においては反時計方向回りに、ホイール72を背面側から見ている図11においては時計方向回りとなる。ホイール72がこの方向に回転するのに伴い、バケット78は除菌用貯水槽58から除菌水を汲み上げて、除菌フィルタ76に上方からかけるという動作を繰り返す。
ここで、モータ80への通電により、シロッコファン32が回転すると、吸気口18→空気清浄装置24→空気除菌装置26→送風装置28→排気口20という空気の流れが空気流通経路22に発生する。
具体的には、吸気口18から吸い込まれた空気(外気)は、空気清浄装置24の脱臭フィルタ30を通過する際に、活性炭を介して臭いを脱臭されると共に粗い塵埃やハウスダストが除塵され、引き続く花粉フィルタ33を通過する際に、空気中の花粉が吸着され、最後に、HEPAフィルタからなる除塵フィルタ32を通過する際に、PM2.5の微細な塵埃、細菌やウィルスが殆ど捕捉されて清浄化されることになる。
ここで、除塵フィルタ32に捕捉された細菌やウィルスは、従前であれば、ここに捕捉された状態で除塵フィルタ32に留まることとなり、この除塵フィルタ32内に時間と共に蓄積されることとなる。換言すれば、除塵フィルタ32は、細菌やウィルスを捕捉できるが、逆に、細菌やウィルスの『温床』となる問題が強く指摘されていた。しかしながら、この実施例の特徴となる点であるが、上述したように次亜塩素酸水(除菌用水槽58に貯水された次亜塩素酸水及び除菌フィルタ32に含水された次亜塩素酸水)から揮発した次亜塩素酸が除菌フィルタ32にもたらされ、これに含まれることにより、除塵フィルタ32内に捕捉された細菌やウィルスは、次亜塩素酸により殺菌および不活化され、文字通り、除菌されて清浄化される状態となるものであり、除塵フィルタ32が細菌やウィルスの温床となることは、効果的に抑制さえることになる。
尚、上述したように、吸気口18から吸い込まれた空気(外気)は、空気清浄装置24の脱臭フィルタ30を通過する際に、この空気(外気)に含まれる細菌やウィルスは、先ず、活性炭に吸着されて、ここにトラップされてしまうものも出てくるかもしれないが、仮に、活性炭にトラップされる状況が発生したとしても、上記した除塵フィルタ32における次亜塩素酸の作用と同じ作用が脱臭フィルタ30に対してもなされるので、細菌やウィルスがトラップされた脱臭フィルタ30が細菌やウィルスの温床となる恐れは効果的に抑制されるものである。
更には、この次亜塩素酸は、除菌フィルタ76を通風する際に、上記したように次亜塩素酸水により除菌されると共に、除菌フィルタ76中の揮発した次亜塩素酸を含む状態で、空気流に乗って除菌フィルタ76を通過し、揮発した次亜塩素酸を含む空気が排気口20から室内に排出され、その後、吸気口18から空間除菌清浄化装置10に再び取り込まれる(吸気される)こととなる。このように、この吸気口18から空気流通路22に取り込まれた次亜塩素酸を含む空気は、再び、除塵フィルタ32を通過することとなる。そして、この除塵フィルタ32を通過する空気に含まれる次亜塩素酸により、除塵フィルタ32に捕捉されていた細菌やウィルスは除菌されることとなる。このように、この実施例においては、上記空気流通が繰り返されることにより、除塵フィルタ32に捕捉されていた細菌やウィルスは基本的に次亜塩素酸により、除菌されることとなり、従前のような除塵フィルタ32が細菌やウィルスの温床となる問題は完璧に解消されることとなる。
このように空気清浄装置24により清浄化された空気は、除塵フィルタ32により殆ど細菌は殺菌されウィルスは不活化されることになるが、それでも、除塵フィルタ32の周囲(脇)を通り抜けた空気が存在し、この通り抜けた空気中の細菌やウィルスが残ることとなるが、このように除塵フィルタ32を通り抜けた空気は、今度は、この空気除菌装置26に入り、除菌フィルタ76を通過する際に、この除菌フィルタ76が除菌機構48を介して次亜塩素酸水を上方から掛けられて内部に保持されている次亜塩素酸水と気液接触し、除菌フィルタ76を通過する空気中に残留していた細菌及びウィルスは、次亜塩素酸水により、ほぼ完璧に殺菌および不活化されることになる。
一方、除菌水としての次亜塩素酸水と気液接触して、次亜塩素酸含むようになった空気は、送風装置28により、排気口20から装置10外に排気され、装置10の周囲の空間に放出され、この周囲の空間を、除菌することになる。具体的には、排気口20から排気された排気中に含まれる次亜塩素酸により、この装置10の周囲の空間中に存在する(浮遊する)種々の細菌が殺菌され、ウィルスが不活化されると共に、周囲の空間に存在する機器や部品類の表面に付着している細菌やウィルスも、排気口20から排気された排気中に含まれる次亜塩素酸により殺菌及び不活化、即ち、除菌されることになる。
一方、除菌フィルタ76に上方からかけられた除菌水(次亜塩素酸水)は、除菌フィルタ76に保持されえなかった剰余分が、自重により下方に落下し、除菌水貯水槽58に回収され、再び、上記除菌動作に供されることになる。ここで、除菌フィルタ76から回収された除菌水は、除菌フィルタ76を通過する空気が、HEPAフィルタ32により、微細な塵埃を除塵されて清浄化され、また、除菌されているので、当然に、微細な塵埃を含まない清浄化された除菌水となっている。この結果、除菌フィルタ76から落下してきて除菌水貯水槽58に回収された除菌水が、除菌水貯水槽58に既に貯水されている除菌水を、微細な塵埃や細菌・ウィルス等で汚染することは、効果的に防止されることとなる。
このように、除菌フィルタ76から除菌水が回収されることにより、除菌水貯水槽58の除菌水は、常に補充されて、除菌に必要となる最低限の量しか、消費されないこととなり、これにより、除菌水生成装置60における除菌水生成時の負荷が、効果的に抑制されることとなる効果を達成することが出来る。
更に、除菌フィルタ76から回収されてきた除菌水は、HEPAフィルタ32により微細な塵埃まで除塵されて清浄化されると共に、除菌されているので、除菌水貯水槽58に貯水されている除菌水を、微細な塵埃や細菌・ウィルス等で汚染することが無く、除菌水貯水槽58に第2の連通部56aを介して連通されている次亜塩素酸水生成用貯水槽56内に貯水されている次亜塩素酸水を、微細な塵埃や細菌・ウィルス等で汚染することも、効果的に抑制されることになる。この結果、従来のように、微細な塵埃で汚染されている電解水が混入することにより、電気抵抗値が増して、電解のための必要となる印加電圧を増大せざるを得ない事態が効果的に抑止され、電解水の生成功率の向上を果たす効果を奏する事ができるものである。
以下に、上述した制御装置64の構成及び制御手順を説明する。
先ず、制御装置64の構成を説明する前に、図18(A)を参照して、この実施形態で用いられる電極62の構成を説明する。各電極62は、チタン又はチタン合金製の電極本体62aと、この電極本体62aの表面に添着された貴金属成分を有する触媒層62bとから構成されている。ここで、この実施形態においては、触媒層62bの貴金属成分は、プラチナ成分を含むものであり、更に具体的には、プラチナーイリジウム(Pt−Ir)合金から構成されている。
また、この実施形態においては、触媒層62bは、電極本体62aの表面に対して、アンカリング効果を利用等しての機械的接合により付着されているものである。このように、この実施形態では、接着剤等の接合剤を用いていないので、電解動作に伴い接合剤が電解水中に溶け出ることが無く、電解水としての次亜塩素酸水が、溶け出した接合剤により汚染されることが効果的に防止されることになる。
一方、図19に示すように、制御装置64は、1対の電極62の間に電流を流す電極ドライブ回路86を備えている。この電極ドライブ回路86に対しスイッチング素子としての極性切替回路88から出力(IN1及びIN2)がなされ、極性切替回路88に対しては制御部60のCPU90から出力がなされる。CPU90からの出力はPWM(pulse−width modulation)出力と極性切替出力である。
そして、この実施例においては、この制御装置64は、極性切替回路88により電流方向が切り替えされる(即ち、極性が切り替えられる)タイミングを、電極62への通電が停止されている期間に行うように制御態様が規定されている。このようにして、電極62に流れるサージ電流を抑制し、電極62の触媒層62bに過度の電流密度の電流が流れることを防止して、電極本体62aと触媒層62bとの添着状態(機械的接合)状態を確実に維持させることが出来るように構成されている。これにより、電極62が 電流の極性切替によりダメージを受けること(具体的には、電極62において、触媒層62bが過剰な帯電電荷により電極本体62aから部分的とは言え剥がれて、電極本体62aの触媒層62bとの接合面が剥き出しとなり、電解効率が低下すること)が防止され、電極62が長寿命化される効果が奏せられることになる。
具体的には、通常モード(A)においては、図20(A)に示ように、0.248(A)の電流を6分間流した後、回路をオープンにして54分間の通電停止期間を設け、この通電停止期間に、極性切替回路88の極性切替出力を電流の通電方向が今までと逆方向になるように切り替えておく。そして、54分間の通電停止期間が経過すると、電源ドライブ回路86を起動して、電極62への通電を開始するが、この通電は、正方向の通電時の電流値と同一の0.248(A)で、逆方向の電流を6分間流すように設定されている。
このように、間に54分間の通電停止期間を挟んで、正逆が逆転した0.248(A)の電流を6分間流すという通電サイクルが繰り返えされるように設定されている。尚、通電停止期間の54分間は、通電停止に伴い電極62の表面にサージ電流に基づき過剰に帯電した電荷が、問題ない程度まで自然放電されるに充分な時間に設定されている。この時間は、電極62のサイズ、印加電圧、通電電流の値により適宜選定されるものであるが、重要な選定条件は、この通電停止期間の間に、電極62の表面に帯電した電荷が自然放電されるに充分な時間であることである。
また、強モード(B)においては、図20(B)に示ように、0.248(A)の電流を9分間流した後、回路をオープンにして1分間の通電停止期間を設け、この通電停止期間に、極性切替回路88の極性切替出力を電流の通電方向が今までと逆方向になるように切り替えておく。そして、1分間の通電停止期間が経過すると、電源ドライブ回路86を起動して、電極62への通電を開始するが、この通電は、正方向の通電時の電流値と同一の0.248(A)で、逆方向の電流を9分間流すように設定されている。このように、強モード(B)が設定される状態においては、この強モード(B)の設定が許容される40分間のうちに、36分間の通電が行われるので、電解効率は高く維持されることとなる。
ここで、再び図19を参照して制御装置64における通電制御の仕組みを説明する。1対の電極62の間に電流を流すのは電極ドライブ回路86である。電極ドライブ回路86に対し極性切替回路88から出力(IN1及びIN2)がなされ、他方、この極性切替回路88に対しては制御部64のCPU90から出力がなされる。CPU90からの出力はPWM(pulse−width modulation)出力と極性切替出力である。
一方、電極ドライブ回路86とグラウンドとの間には抵抗92が接続されている。抵抗76に流れる電流(=電極62間の電流)による電圧(パルス)を、平均電流監視回路94が増幅し、平均化した電圧をCPU90に入力する。また、抵抗92に流れる電流(=電極62間の電流)による電圧(パルス)を、ピーク電流監視回路96が増幅し、パルスのピーク電圧を保持しCPU90に入力するように構成されている。
以上説明した実施形態の構成では、空気清浄装置24にも空気除菌装置26にも、送風装置28の吐出力でなく吸引力が作用するから、空気除菌装置26が大きな抵抗にならず、送風量の低下が少なくて済む効果が達成される。また、除菌フィルタ76を濡らすのが除菌水であるから、除菌フィルタ76自体を除菌することができることになる。
更に、この実施形態の構成においては、除菌フィルタ76を通過する正常化された空気に除菌水を含ませていて、これだけで、室内空間を充分に除菌・脱臭することが出来るものであるため、従来のようなミスト発生装置も、ミスト送風装置も必要とならず、装置10全体の構成の簡略化及び小型化及びコスト減を図ることが出来ることとなる。
空間除菌清浄化装置10を長期間使用していると、水が接触する箇所に水中のミネラルがスケールとなって付着する。実施形態の構成では、水が接触する箇所が水受けパン42を中心にまとまっているので、水受けパン42を引き出せば、水関係のメンテナンスが必要な箇所を筐体12の外に容易に取り出すことができる。これにより、メンテナンスが楽になる。
以上、この発明の実施形態につき説明したが、この発明はこれに限定されるものではなく、この発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることはいうまでもない。また、用いた数値はあくまでも一例であり、この発明が実施形態の説明において用いた数値を採用することに限定されないことも、いうまでも無い。
例えば、上述した実施形態においては、次亜塩素酸生成装置60に備えられた電極62は、図18(A)に示すように、一対の一組を備えるように説明したが、この発明はこのような構成に限定されること無く、例えば、次亜塩素酸濃度を高めたい場合には、図18(B)に変形例として示すように、この一対の電極を、2組なり3組なり、複数組を備えるように、次亜塩素酸生成装置60を構成しても良いことは、言うまでもない。具体的には、この変形例では、図18(B)に示すように、3枚の電極62A,62B,62Cを備え、2組の電極対を備える構成を採用している。即ち、第1及び第3の電極62A,62Cは、各々、電極本体62aと、この電極本体62aの片面に添着された触媒層62bとを備えて構成され、第2の電極62Bは、電極本体62aと、この電極本体62aの両面に夫々添着された触媒層62b1,62b2とを備えて構成されている。そして、第1の電極対は、第1の電極62Aと第2の電極62Bの図中一点鎖線の左半分、即ち、第2の電極62Bの電極本体62aの左半分とこれの図中左側面に添着された触媒層62b1とから構成し、第2の電極対は、第3の電極62Cと第2の電極62Bの図中一点鎖線の右半分、即ち、第2の電極62Bの電極本体62aの右半分とこれの図中右側面に添着された触媒層62b2とから構成している。このように、この変形例においては、電極62として、2対の電極62A;62B,62C;62Bから構成しているので、電解効率は実質的に2倍となり、一対の電極構成の場合と比較して高い濃度の次亜塩素酸を生成することが可能となる。
また、上述した実施例においては、制御装置64は図19に示すような回路構成を備えるように説明したがが、この発明はこのような構成に限定されることなく、例えばICに制御システムを組み込んだ構成とすることも可能であることは言うまでもない、
発明の効果
この発明によると、次亜塩素酸水を用いて空間を除菌・清浄化する空間除菌清浄化装置において、電極の寿命の長期化を図り、電解動作を長期に維持させることのできる空間除菌清浄化装置が提供されることになる。
この発明は、室内の除菌・清浄化に寄与するものであり、室内として、一般家庭の室内に留まらず、医療施設等の寝室・病室・手術室・処置室等にも、また、業務用の事務室等、人員が集まる部屋(空間)の環境改善等にも、広く利用可能であることはいうまでもない。
Claims (10)
- 筐体と、
この筐体に形成された吸気口及び排気口を互いに連通する送風路と、
前記筐体内に配設され、貯留した塩分を含む水に漬け込まれた少なくとも一対の電極を備え、この塩分を含む水を電解処理して次亜塩素酸と次亜塩素酸が溶け込んだ電解次亜塩素酸水とを生成する電解手段と、
前記送風路中に通風可能に配設された除菌フィルタと、
この除菌フィルタに、前記電解手段で生成された電解次亜塩素酸水を含水させると共に、電解次亜塩素酸水から揮発した次亜塩素酸を含ませる除菌手段と、
前記吸気口から導入され、前記除菌フィルタ中を通風して、前記排気口から排気される空気流を、前記送風路内に生成する送風手段と、
前記電解手段の電極間に流れる電流を制御する制御手段とを具備し、
前記除菌フィルタを通風する空気は、前記除菌フィルタに含まれる次亜塩素酸及び気液接触した電解次亜塩素酸水により除菌されると共に、次亜塩素酸を含む空気が、前記排気口から前記筐体外に排気して、該次亜塩素酸により前記筐体の周囲空間を除菌する空間除菌清浄化装置において、
前記電極は、チタン又はチタン合金製の電極本体と、この電極本体の表面に付着された貴金属成分を有する触媒層とを備え、
前記制御手段は、間に通電停止期間を挟んで前記電極間に電流方向を交互に逆転するように通電させると共に、前記電極への前記通電停止期間中に、前記電極への通電方向を逆転させる制御を実行することを特徴とする空間除菌清浄化装置。 - 前記制御手段は、前記電極への通電を停止している期間の長さを、前記電極間に流す電流の通電時間より長く設定する制御を実行することを特徴とする請求項1に記載の空間除菌清浄化装置。
- 前記制御手段は、前記電極への通電を停止している期間の長さを、前記電極に流れるサージ電流に基づき前記電極に帯電される電荷が自然放電される時間に設定することを特徴とする請求項2に記載の空間除菌清浄化装置。
- 前記制御手段は、前記通電停止期間を、前記電極に流れるサージ電流に基づき前記電極に帯電される電荷が自然放電される時間に設定する制御を、通常モードが設定される状態において実行することを特徴とする請求項3に記載の空間除菌清浄化装置。
- 前記制御手段は、前記電極への通電を停止している期間の長さを、前記電極間に流す電流の通電時間より短い時間に設定することを特徴とする請求項1に記載の空間除菌清浄化装置。
- 前記制御手段は、前記電極への通電を停止している期間の長さを、前記電極間に流す電流の通電時間より短く設定する制御を、強モードが設定されている状態において実行することを特徴とする請求項5に記載の空間除菌清浄化装置。
- 前記制御手段は、通電方向を逆転された通電量を、互いに同一に設定する制御を実行することを特徴とする請求項1に記載の空間除菌清浄化装置。
- 前記触媒層は、プラチナ成分を含む貴金属から形成されていることを特徴とする請求項1に記載の空間除菌清浄化装置。
- 前記プラチナ成分を含む貴金属は、プラチナ−イリジウム合金であることを特徴とする請求項8に記載の空間除菌清浄化装置。
- 前記電極は、複数対設けられていることを特徴とする請求項1に記載の空間除菌清浄化装置。
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