WO2021060129A1

WO2021060129A1 - 層転写用フィルムカートリッジおよび層転写装置

Info

Publication number: WO2021060129A1
Application number: PCT/JP2020/035208
Authority: WO
Inventors: 板橋奈緒; 中西有樹子; 市川智也
Original assignee: ブラザー工業株式会社
Priority date: 2019-09-26
Filing date: 2020-09-17
Publication date: 2021-04-01
Also published as: US20220289520A1

Abstract

重量の大きな層転写用フィルムカートリッジであっても、層転写用フィルムカートリッジの着脱作業を容易に行うことができる層転写用フィルムカートリッジを提供する。層転写用フィルムカートリッジ（ＦＣ）は、転写層と、転写層を支持する支持層と、を有する多層フィルム（Ｆ）が巻回される供給リール（３１）と、供給リール（３１）を収容する供給ケース（３２）と、多層フィルム（Ｆ）を巻き取るための巻取リール（３５）と、供給ケース（３２）または供給リール（３１）に支持される第１ハンドル（８１）と、を備える。

Description

層転写用フィルムカートリッジおよび層転写装置

　本開示は、シートに転写層を転写する層転写装置の筐体に着脱可能な層転写用フィルムカートリッジおよび層転写装置に関する。

　従来、層転写装置の筐体に着脱可能な層転写用フィルムカートリッジが知られている（特開平７－２９０６８５号公報参照）。層転写用フィルムカートリッジは、多層フィルムが巻回された供給リールと、多層フィルムを巻き取る巻取リールとを備える。

　ところで、多層フィルムとして例えば金属層を含むものを採用したり、多層フィルムが供給リールに多量に巻回されていたりする場合などには、層転写用フィルムカートリッジの重量が大きくなってしまい、層転写用フィルムカートリッジを層転写装置に着脱するのに取り扱いにくいという問題が生じる。

　重量の大きな層転写用フィルムカートリッジであっても、層転写用フィルムカートリッジの着脱作業を容易に行うことができる層転写用フィルムカートリッジを提供することが望まれている。

　転写層と、前記転写層を支持する支持層と、を有する多層フィルムが巻回される供給リールと、前記供給リールを収容する供給ケースと、前記多層フィルムを巻き取る巻取リールと、前記供給ケースまたは前記供給リールに支持される第１ハンドルと、を備える層転写用フィルムカートリッジを開示する。

　この構成によれば、層転写用フィルムカートリッジの第１ハンドルにユーザの指をフックさせることができるので、重量の大きな層転写用フィルムカートリッジであっても、層転写用フィルムカートリッジの着脱作業を容易に行うことができる。

　また、前記第１ハンドルは、前記供給リールの回転軸に沿った第１軸方向に延びていてもよい。また、前記第１ハンドルは、前記供給ケースに支持されていてもよい。

　また、前記第１軸方向における前記第１ハンドルの一端は、前記第１軸方向における前記供給リールの一端に支持され、前記第１軸方向における前記第１ハンドルの他端は、前記第１軸方向における前記供給リールの他端に支持されていてもよい。

　また、前記第１ハンドルは、前記供給リールに対して近接・離間可能に支持されていてもよい。

　また、前記層転写用フィルムカートリッジは、前記供給リールと前記巻取リールとを連結する連結部を備え、前記供給ケースは、前記多層フィルムを前記供給ケース外へ案内する供給開口を有し、前記第１ハンドルは、前記供給リールの回転軸と前記巻取リールの回転軸を含む仮想平面に直交する方向において、前記仮想平面に対して前記供給開口と同じ側に配置されていてもよい。

　また、前記供給ケースは、前記第１軸方向に延びる平面を有し、前記第１ハンドルは、前記第１軸方向に延びる第１ベース部と、前記第１軸方向における前記第１ベース部の両端から延びる第１脚と、を有し、前記供給リールは、前記第１軸方向と直交し、かつ、前記供給リールの回転軸と前記巻取リールの回転軸とを結ぶ直線に沿った軸間方向と直交する方向において、前記平面と前記第１ベース部との間に配置されていてもよい。

　また、前記層転写用フィルムカートリッジは、前記巻取リールを収容する巻取ケースと、前記巻取ケースに支持される第２ハンドルと、を備えていてもよい。また、前記第２ハンドルは、前記巻取リールの回転軸に沿った第２軸方向に延びていてもよい。また、前記第１軸方向における前記第１ハンドルの長さは、前記第２軸方向における前記第２ハンドルの長さよりも長くてもよい。

　また、前記層転写用フィルムカートリッジは、前記供給リールと前記巻取リールとを連結する連結部を備え、前記巻取ケースは、前記多層フィルムを前記巻取ケース内へ案内する巻取開口を有し、前記第２ハンドルは、前記供給リールの回転軸と前記巻取リールの回転軸を含む仮想平面に直交する方向において、前記仮想平面に対して前記巻取開口と同じ側に配置されていてもよい。

　また、前記層転写用フィルムカートリッジは、前記供給リールと前記巻取リールとを連結する連結部と、前記巻取ケースまたは前記巻取リールに配置されるシャフトであって、前記第２軸方向に沿って延び、前記巻取ケースから離れて配置されるシャフトと、を備え、前記第２ハンドルは、前記供給リールの回転軸と前記巻取リールの回転軸を含む仮想平面に直交する方向において、前記仮想平面に対して前記シャフトと同じ側に配置されていてもよい。

　また、前記第１ハンドルは、前記供給リールの回転軸に沿った第１軸方向における前記供給リールの一端と、前記巻取リールの回転軸に沿った第２軸方向における前記巻取リールの一端と、に支持されていてもよい。

　また、前記供給ケースは、前記第１軸方向に延びる平面を有し、前記第１ハンドルは、前記供給リールの回転軸と前記巻取リールの回転軸とを結ぶ直線に沿った軸間方向に延びる第１ベース部と、前記軸間方向における前記第１ベース部の一端から延びて前記第１軸方向における前記供給リールの一端に支持される第１供給側脚と、前記軸間方向における前記第１ベース部の他端から延びて前記第２軸方向における前記巻取リールの一端に支持される第１巻取側脚と、を有し、前記供給リールは、前記第１軸方向と直交し、かつ、前記軸間方向と直交する方向において、前記平面と前記第１ベース部との間に配置されていてもよい。

　また、前記層転写用フィルムカートリッジは、前記第１軸方向における前記供給リールの他端と前記第２軸方向における前記巻取リールの他端とに支持される第２ハンドルを備えていてもよい。

　また、転写層と、前記転写層を支持する支持層と、を有する多層フィルムが巻回される供給リールと、前記供給リールを収容する供給ケースと、前記多層フィルムを巻き取る巻取リールと、前記巻取リールを収容する巻取ケースと、前記供給ケースおよび前記巻取ケースの少なくとも一方に形成された溝状のグリップと、を備える層転写用フィルムカートリッジを開示する。

　この構成によれば、層転写用フィルムカートリッジの溝状のグリップにユーザの指をフックさせることができるので、重量の大きな層転写用フィルムカートリッジであっても、層転写用フィルムカートリッジの着脱作業を容易に行うことができる。

　また、層転写用フィルムカートリッジは、供給リールと、供給ケースと、巻取リールと、第１ハンドルと、メモリとを備えるものとしてもよい。供給リールには、転写層と、転写層を支持する支持層と、を有する多層フィルムが巻回される。供給ケースは、供給リールを収容する。巻取リールは、多層フィルムを巻き取る。第１ハンドルは、供給ケースまたは供給リールに支持される。供給リールの少なくとも一部がメモリと第１ハンドルとの間に位置する。

　この構成による層転写用フィルムカートリッジが層転写装置に装着された場合には、層転写装置は、層転写用フィルムカートリッジに関する情報を得ることができる。

　また、第１ハンドルは、供給ケースに支持され、供給リールの回転軸に沿った第１軸方向と直交し、かつ、供給リールの回転軸と巻取リールの回転軸が並ぶ軸間方向と直交する直交方向において、供給リールの少なくとも一部がメモリと第１ハンドルとの間に位置する構成としてもよい。

　また、第１ハンドルは、供給リールの回転軸に沿った第１軸方向における供給リールの一端と、巻取リールの回転軸に沿った第２軸方向における巻取リールの一端と、を連結し、第１軸方向において、供給リールの少なくとも一部がメモリと第１ハンドルとの間に位置する構成としてもよい。

　また、シートに転写層を転写する層転写装置を開示する。層転写装置は、筐体開口を有する筐体と、電気接点と、層転写用フィルムカートリッジとを備える。電気接点は、筐体内に配置され、筐体開口を向く。層転写用フィルムカートリッジは、筐体開口を通して筐体に着脱可能であり、供給リールと巻取リールと、メモリとを有する。供給リールには、転写層と、転写層を支持する支持層と、を有する多層フィルムが巻回される。巻取リールは、多層フィルムを巻き取るように構成される。メモリは、層転写用フィルムカートリッジが筐体に装着された装着位置で電気接点と接触する接触面を有する。

　この構成によれば、層転写装置は層転写カートリッジに関する情報を得ることができる。また、層転写用フィルムカートリッジが装着されるときには、メモリの接触面は、筐体の開口を向く電気接点に向いているので、層転写用フィルムカートリッジを装着するときに、接触面が筐体の装着方向に沿った壁面などに接触しにくい。このため、接触面が筐体に不要に擦れることを抑制でき、メモリに記憶された情報を層転写装置が安定して読み出すことができる。

　また、層転写用フィルムカートリッジが装着位置にある場合、供給リールの回転軸に沿った第１軸方向と直交する直交方向において、供給リールは、少なくとも一部が筐体開口と電気接点との間に位置する構成としてもよい。また、直交方向は、第１軸方向と直交し、かつ、供給リールの回転軸と巻取リールの回転軸が並ぶ軸間方向と直交する方向である構成としてもよい。

　また、層転写用フィルムカートリッジは、供給リールを収容する供給ケースと、供給ケースまたは供給リールに支持される第１ハンドルと、をさらに有し、直交方向において供給リールは少なくとも一部がメモリと第１ハンドルと間に位置する構成としてもよいまた、メモリは、供給ケースに設けられている構成としてもよい。また、供給ケースは、外周面の一部に設けられた平面と、平面から凹んだ凹部と、を有し、接触面は、凹部内に位置する構成としてもよい。

　これによれば、メモリの接触面が供給ケースの平面から突出しないので、接触面が傷つくことを抑制できる。

　また、接触面は、前記平面に平行である構成としてもよい。

　また、層転写用フィルムカートリッジは、メモリが固定されるメモリホルダをさらに有し、メモリホルダは、供給ケースに対して供給リールの回転軸に沿った第１軸方向に移動可能に支持されている構成としてもよい。

　これによれば、層転写用フィルムカートリッジを筐体に装着するときに、筐体に対して第１軸方向に少しずれても、メモリの接触面を安定して電気接点に接触させることができる。

　また、層転写用フィルムカートリッジは、供給リールの軸方向（第１軸方向）の一端と、巻取リールの軸方向（その回転軸に沿った第２軸方向）の一端とを連結する連結部をさらに備え、メモリは、連結部に設けられている構成としてもよい。

　また、接触面は、第１軸方向に並んで複数設けられ、供給リールの回転軸と巻取リールの回転軸が並ぶ軸間方向に延びている構成としてもよい。

　これによれば、層転写用フィルムカートリッジを筐体に装着するときに、筐体に対して軸間方向に少しずれても、メモリの接触面を安定して電気接点に接触させることができる。

　また、メモリは、多層フィルムを使用した長さを記憶可能である構成としてもよい。

　また、層転写用フィルムカートリッジは、供給リールと、収容部材と、シール構造とを備えるものとしてもよい。供給リールには、転写層および転写層を支持する支持層を有する多層フィルムが巻回される。収容部材は、供給リールを収容し、供給リールに巻回された多層フィルムを外部に引き出すための供給開口を有する。シール構造は、供給開口を塞ぐように設けられ、多層フィルムの転写層側の面に接触する第１接触部と、多層フィルムの支持層側の面に接触する第２接触部と、を有し、第１接触部と第２接触部との間で多層フィルムを引き出し可能に挟む。

　このような構成によれば、シール構造によって収容部材を密閉することができるので、多層フィルムの劣化を抑制することができる。

　前記した層転写用フィルムカートリッジにおいて、第１接触部は、弾性体からなる構成とすることができる。

　これによれば、多層フィルムの転写層を保護することができる。

　前記した層転写用フィルムカートリッジにおいて、第２接触部は、弾性体からなる構成とすることができる。

　これによれば、多層フィルムを保護することができる。

　前記した層転写用フィルムカートリッジにおいて、第１接触部および／または第２接触部を構成する弾性体は、ポリウレタンからなるものであってもよい。

　前記した層転写用フィルムカートリッジにおいて、供給リールは、多層フィルムが巻回される軸部を有し、収容部材は、軸部を回転可能に支持する一対の側壁を有し、軸部は、端部が側壁から外部に突出しており、層転写用フィルムカートリッジは、軸部と側壁との間の隙間を塞ぐ端部シール部材を備える構成とすることができる。

　これによれば、収容部材の密閉性を高めることができるので、多層フィルムの劣化をより抑制することができる。

　前記した層転写用フィルムカートリッジは、供給リールに巻回された多層フィルムとともに収容部材内に配置された乾燥剤を備える構成とすることができる。

　これによれば、収容部材内の湿度上昇を抑えることができるので、多層フィルムの劣化をより抑制することができる。

　また、供給リールと、収容部材と、カバー部材とを備える層転写用フィルムカートリッジを開示する。ここで、供給リールには、転写層および転写層を支持する支持層を有する多層フィルムが巻回される。収容部材は、供給リールを収容し、供給リールに巻回された多層フィルムを外部に引き出すための供給開口を有する。カバー部材は、供給開口を開閉可能である。
　カバー部材は、供給開口を閉じた状態において、収容部材との間で供給開口から引き出された多層フィルムを挟む。

　このような構成によれば、収容部材の供給開口をカバー部材で覆うことで収容部材を密閉することができるので、多層フィルムの劣化を抑制することができる。

　前記した層転写用フィルムカートリッジにおいて、カバー部材は、供給開口を閉じた状態において、多層フィルムに接触する第１シール部材を有する構成とすることができる。第１シール部材は弾性体からなる。

　これによれば、多層フィルムを保護することができる。

　前記した層転写用フィルムカートリッジにおいて、第１シール部材は、カバー部材が供給開口を閉じた状態において、供給開口の周縁部に接触する構成とすることができる。

　前記した層転写用フィルムカートリッジにおいて、収容部材は、カバー部材が供給開口を閉じた状態において、第１シール部材との間で供給開口から引き出された多層フィルムを挟む第２シール部材を有する構成とすることができる。第２シール部材は弾性体からなる。

　これによれば、多層フィルムを保護することができる。

　前記した層転写用フィルムカートリッジにおいて、第１シール部材および／または第２シール部材を構成する弾性体は、ポリウレタンからなるものであってもよい。

　前記した層転写用フィルムカートリッジは、少なくともカバー部材が供給開口を閉じた状態において、供給リールに巻回された多層フィルムと同じ空間内に配置される乾燥剤を備える構成とすることができる。

　これによれば、多層フィルムが配置される空間内の湿度上昇を抑えることができるので、多層フィルムの劣化をより抑制することができる。

　前記した層転写用フィルムカートリッジにおいて、カバー部材は、供給開口を閉じた状態とする閉位置と、供給開口を開いた状態とする開位置との間を収容部材に対して移動可能に設けられている構成とすることができる。

　前記した層転写用フィルムカートリッジにおいて、カバー部材は、収容部材に対して着脱可能であり、収容部材に装着された状態において、供給開口を覆う構成とすることができる。また、カバー部材は、スナップフィットによって収容部材に対して着脱可能である構成とすることができる。

　また、カバー部材が閉位置と開位置との間を移動可能な層転写用フィルムカートリッジが着脱可能な筐体を備える層転写装置を開示する。筐体は、層転写用フィルムカートリッジを着脱する場合に層転写用フィルムカートリッジが通る筐体開口を有する筐体本体と、筐体開口を開閉する筐体カバーと、を備える。
　筐体カバーは、筐体カバーを閉じる場合に、層転写用フィルムカートリッジの一部を押圧することで、カバー部材を収容部材に対して閉位置から開位置に移動させるカートリッジ押圧部を有する。

　このような構成によれば、層転写用フィルムカートリッジは、筐体本体に装着された後、筐体カバーを閉じるまではカバー部材が閉位置に位置するので、収容部材が密閉され、多層フィルムの劣化を抑制することができる。また、筐体カバーを閉じることで、カバー部材が閉位置から開位置に自動的に移動するので、カバー部材の開け忘れを防止することができる。

　また、層転写用フィルムカートリッジは、供給リールと、巻取リールと、巻取りケースと、残量表示部材とを備えるものとしてもよい。供給リールには、転写層と転写層を支持する支持層とを有する多層フィルムが巻回される。巻取リールは、多層フィルムを巻き取る。巻取ケースは、巻取リールを収容する。残量表示部材は、巻取リールに巻回されている多層フィルムの面に接触し、多層フィルムの巻回量に応じて移動する接触部と、巻取ケースの外側に位置し、接触部の移動に応じて移動することで多層フィルムの残量を表示する表示端部と、を有する。

　この構成によれば、残量表示部材の表示端部が多層フィルムの残量を表示するので、多層フィルムの残量がわかりやすい。

　また、層転写用フィルムカートリッジは、接触部を巻取リールに巻回された多層フィルムに向けて付勢するバネをさらに備える構成としてもよい。

　これによれば、接触部を多層フィルムの面に安定して接触させることができる。

　また、残量表示部材は、巻取リールの回転軸に沿った第２軸方向に直交する直交方向に延び、揺動支点を支点として揺動可能であり、接触部は、表示端部と揺動支点の間に位置する構成としてもよい。また、表示端部は、巻取ケースから供給リールとは反対側に突出している構成としてもよい。これによれば、表示端部が巻取ケースと供給リールの間に位置しないので、ユーザは、表示端部を見やすい。

　また、残量表示部材は、巻取リールの回転軸に沿った第２軸方向に直交する直交方向に延び、巻取ケースに対してスライド移動可能である構成としてもよい。

　また、接触部は、コロである構成としてもよい。

　これによれば、接触部が多層フィルムの面に接触しても、巻取方向に抵抗がかかることを抑制できる。

　また、残量表示部材は、層転写用フィルムカートリッジが新品であることを示す新品位置と、多層フィルムが未使用であることを示す初期位置と、多層フィルムが空であることを示す最終位置と、を移動可能であってもよい。巻取リールの回転軸に沿った第２軸方向に沿って見た場合、初期位置は、新品位置および最終位置と異なる位置である。そして、層転写用フィルムカートリッジは、当該層転写用フィルムカートリッジが新品である場合、残量表示部材を新品位置にロックするロック部をさらに備える構成としてもよい。

　これによれば、残量表示部材によって、ユーザは、層転写用フィルムカートリッジが新品であるかを確認することができる。

　また、新品位置は、最終位置と同じ位置、または、最終位置よりも巻取リールの回転中心から離れた位置である構成としてもよい。

　また、層転写用フィルムカートリッジは、供給リールと、供給ケースと、巻取リールと、残量表示部材とを備えるものとしてもよい。供給リールには、転写層と転写層を支持する支持層とを有する多層フィルムが巻回される。供給ケースは、供給リールを収容する。巻取リールは、多層フィルムを巻き取る。残量表示部材は、供給リールに巻回されている多層フィルムの面に接触し、多層フィルムの巻回量に応じて移動する接触部と、供給ケースの外側に位置し、接触部の移動に応じて移動することで多層フィルムの残量を表示する表示端部と、を有する。

　また、層転写用フィルムカートリッジは、接触部を供給リールに巻回された多層フィルムに向けて付勢するバネをさらに備える構成としてもよい。

　また、残量表示部材は、供給リールの回転軸に沿った第１軸方向に直交する直交方向に延び、揺動支点を支点として揺動可能であり、接触部は、表示端部と揺動支点の間に位置する構成としてもよい。また、表示端部は、供給ケースから巻取リールとは反対側に突出している構成としてもよい。これによれば、表示端部が供給ケースと巻取リールの間に位置しないので、ユーザは、表示端部を確認しやすい。

　また、残量表示部材は、供給リールの回転軸に沿った第１軸方向に直交する直交方向に延び、供給ケースに対してスライド移動可能である構成としてもよい。

　また、接触部は、コロである構成としてもよい。

　また、残量表示部材は、層転写用フィルムカートリッジが新品であることを示す新品位置と、多層フィルムが未使用であることを示す初期位置と、多層フィルムが空であることを示す最終位置と、を移動可能であってもよい。供給リールの回転軸に沿った第１軸方向に沿って見た場合、初期位置は、新品位置および最終位置と異なる位置である。そして、層転写用フィルムカートリッジは、当該層転写用フィルムカートリッジが新品である場合、残量表示部材を新品位置にロックするロック部をさらに備える構成としてもよい。

　また、新品位置は、最終位置と同じ位置、または、最終位置よりも供給リールの回転中心から離れた位置である構成としてもよい。

　また、層転写用フィルムカートリッジは、供給リールと、巻取リールと、供給ケースと、引き込み機構とを備えるものとしてもよい。供給リールには、転写層および転写層を支持する支持層を有する多層フィルムが巻回される。巻取リールは、多層フィルムを巻き取る。供給ケースは、供給リールを収容する。引き込み機構は、多層フィルムを供給ケース内に引き込む。

　このような構成によれば、引き込み機構によって多層フィルムが供給リールと巻取リールとの間で大きく弛むのを抑制することができる。

　前記した層転写用フィルムカートリッジにおいて、供給ケースは、供給リールに巻回された多層フィルムが通る供給開口を有し、引き込み機構は、供給ケース内に配置され、多層フィルムが掛けられるダンサーローラを有し、ダンサーローラは、供給リールの回転方向に沿って、第１位置と、第１位置よりも供給開口から遠い第２位置との間で移動可能である構成とすることができる。

　これによれば、ダンサーローラが第１位置から第２位置に移動することで、多層フィルムを供給ケース内に引き込むことができる。

　前記した層転写用フィルムカートリッジにおいて、引き込み機構は、ダンサーローラを第１位置から第２位置に向けて付勢するバネを有する構成とすることができる。

　これによれば、ダンサーローラを自動的に第１位置から第２位置に移動させることができる。

　前記した層転写用フィルムカートリッジにおいて、ダンサーローラは、第１位置から第２位置に向けて自重で移動可能に設けられている構成とすることができる。

　これによれば、部品点数を削減しつつ、ダンサーローラを自動的に第１位置から第２位置に移動させることができる。

　前記した層転写用フィルムカートリッジにおいて、ダンサーローラは、多層フィルムの支持層側の面に接触する構成とすることができる。

　前記した層転写用フィルムカートリッジにおいて、供給ケースは、供給リールに巻回された多層フィルムが通る供給開口を有し、引き込み機構は、供給ケース内に配置され、開口を開閉するシャッタを有し、シャッタは、供給リールの回転方向に沿って、供給開口を開いた状態とする開位置と、供給開口を閉じた状態とする閉位置との間で回動可能であり、開位置から閉位置に回動するときに回動方向における下流側の接触端部が多層フィルムに接触することで、多層フィルムを供給ケース内に引き込む構成とすることができる。

　これによれば、シャッタにより、多層フィルムの弛みを抑制することができるとともに、供給ケースの供給開口を閉じて供給ケース内に異物が侵入するのを抑制することができる。

　前記した層転写用フィルムカートリッジにおいて、シャッタは、接触端部に配置された弾性部材を有する構成とすることができる。

　これによれば、多層フィルムを保護することができる。

　前記した層転写用フィルムカートリッジにおいて、シャッタの接触端部は、多層フィルムの支持層側の面に接触する構成とすることができる。

　前記した層転写用フィルムカートリッジは、供給リールと巻取リールとを連結する連結部材をさらに備え、供給ケースは、供給リールとともに、連結部材に、供給リールの回転軸と巻取リールの回転軸とを結ぶ直線に沿った軸間方向に移動可能に支持されており、引き込み機構は、供給リールと一体に回転するピニオンギヤと、連結部材に設けられたラックギヤであって、ピニオンギヤと噛合可能なラックギヤと、を有し、供給ケースを巻取リールに近づく方向に移動させることで、供給リールが多層フィルムを巻き取る方向に回転する構成とすることができる。

　これによれば、供給ケースを巻取リールに近づく方向に移動させることで、多層フィルムを供給ケース内に引き込むことができる。

　前記した層転写用フィルムカートリッジにおいて、供給ケースは、連結部材に、巻取リールから最も遠い第３位置と、巻取リールに最も近い第４位置との間で前記軸間方向に移動可能に支持されており、ラックギヤは、供給ケースが第３位置に位置するときにピニオンギヤと噛合しない構成とすることができる。

　これによれば、供給ケースが第３位置に位置するときには、供給リールを自由に回転できる状態とすることができる。

　また、層転写用フィルムカートリッジは、供給リールと、供給ケースと、シートガイドとを備えるものとしてもよい。供給リールには、シートに転写される転写層および転写層を支持する支持層を有する多層フィルムが巻回される。供給ケースは、供給リールを収容するシートガイドは、供給ケースに設けられた第１ガイド面と、第１ガイド面と向かい合う第２ガイド面であって、第１ガイド面を挟んで供給リールと反対に配置される第２ガイド面とを有する。

　このような構成によれば、層転写装置の小型化を図ることができるとともに、層転写装置の構成の複雑化を抑制することができる。

　前記した層転写用フィルムカートリッジは、供給ケースまたは供給リールに支持される第１ハンドルを備える構成とすることができる。

　これによれば、層転写用フィルムカートリッジを層転写装置に着脱する際の操作性を向上させることができる。

　前記した層転写用フィルムカートリッジにおいて、第２ガイド面は、供給ケースに設けられ、第１ハンドルは、グリップ部を有する構成とすることができる。グリップ部は、供給リールの回転軸に沿った第１軸方向に延び、第１ガイド面および第２ガイド面を挟んで供給リールと反対に配置される。

　これによれば、層転写装置の構成の複雑化を抑制することができる。また、層転写用フィルムカートリッジの構成の複雑化を抑制することができる。

　また、前記した層転写用フィルムカートリッジにおいて、第１ハンドルは、供給リールの回転軸に沿った第１軸方向に延び、第１ガイド面を挟んで供給リールと反対に配置されるグリップ部を有する構成としてもよい。その場合、第２ガイド面は、グリップ部に設けられる。

　これによれば、層転写用フィルムカートリッジをコンパクトにすることができるので、層転写用フィルムカートリッジが装着される層転写装置のさらなる小型化を図ることができる。

　前記した層転写用フィルムカートリッジにおいて、第２ガイド面が設けられたグリップ部は、第１位置と、第１位置よりも第１ガイド面に近い第２位置との間で移動可能であり、第２位置に位置する場合にシートガイドを構成することとしてもよい。

　これによれば、第１ガイド面と第２ガイド面の間隔をシートの搬送に適した間隔とすることができるので、シートガイドでのシートの搬送性能を向上させることができる。

　前記した層転写用フィルムカートリッジにおいて、第１ガイド面および第２ガイド面の少なくとも一方には、シートの搬送方向に沿って延びるリブが、供給リールの回転軸に沿った第１軸方向に並んで複数設けられている構成とすることができる。

　これによれば、ガイド面とシートとの接触面積を小さくできるので、シートガイドでのシートの搬送性能を向上させることができる。

　また、層転写用フィルムカートリッジは、シートに転写層を転写する層転写装置の筐体に着脱可能な層転写用フィルムカートリッジであって、供給リールと、供給ケースと、巻取リールと、巻取ケースとを備えるものとしてもよい。供給リールには、前記転写層と、前記転写層を支持する支持層と、を有する多層フィルムが巻回される。巻取リールは、前記多層フィルムを巻き取る。供給ケースは、前記供給リールを収容する。巻取ケースは、前記巻取リールを収容し、前記供給ケースの外径とは異なる外径を有する。
　第１の向きで前記筐体へ装着するときには、前記筐体に装着可能であり、前記第１の向きに対して前記層転写用フィルムカートリッジの着脱方向に沿った軸回りに反転した第２の向きで前記筐体へ装着するときには、前記供給ケースおよび前記巻取ケースのうち外径が大きい方のケースが前記筐体と干渉して、前記筐体に装着できない。

　この構成によれば、ユーザが層転写用フィルムカートリッジを第２の向きで筐体に誤って組み付けようとすると、層転写用フィルムカートリッジが装着位置まで到達する前に外径が大きい方のケースが筐体と干渉するので、層転写用フィルムカートリッジの誤組付を防止できる。

　また、シートに転写層を転写する層転写装置を開示する。層転写装置は、筐体開口を有する筐体と、層転写用フィルムカートリッジとを備える。層転写用フィルムカートリッジは、前記筐体開口を通して前記筐体に着脱可能であり、前記転写層と、前記転写層を支持する支持層と、を有する多層フィルムを支持する。
　前記筐体は、第１の向きの前記層転写用フィルムカートリッジを装着位置までガイドする第１ガイドと、所定方向において前記第１ガイドとは非対称に構成される第２ガイドであって、前記第１の向きの前記層転写用フィルムカートリッジを前記装着位置までガイドする第２ガイドと、を備える。

　この構成によれば、第１ガイドおよび第２ガイドが所定方向において非対称に構成されるので、第１の向きに対して層転写用フィルムカートリッジの着脱方向に沿った軸回りに反転した第２の向きで層転写用フィルムカートリッジをユーザが筐体に誤って組み付けようとすると、層転写用フィルムカートリッジが装着位置まで到達する前に筐体と干渉するので、層転写用フィルムカートリッジの誤組付を防止できる。

　また、前記層転写用フィルムカートリッジは、前記多層フィルムが巻回される供給リールと、前記多層フィルムを巻き取るための巻取リールと、を備え、前記第１ガイドおよび前記第２ガイドは、前記供給リールの回転軸に沿った第１軸方向に直交する方向に延びていてもよい。

　また、前記第１の向きに対して前記層転写用フィルムカートリッジの着脱方向に沿った軸回りに反転した第２の向きの前記層転写用フィルムカートリッジが、前記装着位置から離れた位置で前記筐体と干渉して、前記装着位置への移動が前記筐体で規制された状態において、前記層転写用フィルムカートリッジの少なくとも一部が前記筐体開口から前記筐体の外に突出していてもよい。

　これによれば、第２の向きの層転写用フィルムカートリッジが装着位置から離れた位置で筐体と干渉して、装着位置への移動が筐体で規制された状態において、層転写用フィルムカートリッジの少なくとも一部が筐体開口から外に突出するので、ユーザが誤組付を即座に知ることができる。

　また、前記第２ガイドは、前記層転写用フィルムカートリッジの着脱方向および前記所定方向に直交する直交方向において前記第１ガイドとは異なる位置に配置され、前記層転写用フィルムカートリッジは、前記層転写用フィルムカートリッジを前記第１の向きで前記筐体へ装着するときに前記第１ガイドで案内される第１被ガイド部と、前記層転写用フィルムカートリッジを前記第１の向きで前記筐体へ装着するときに前記第２ガイドで案内される第２被ガイド部であって、前記直交方向において前記第１被ガイド部とは異なる位置に配置される第２被ガイド部と、をさらに備えていてもよい。また、前記層転写装置は、前記第２ガイドは、前記筐体の複数箇所に配置され、前記第２被ガイド部前記層転写用フィルムカートリッジの複数箇所に配置されていてもよい。

　また、前記層転写用フィルムカートリッジは、前記供給リールの第１軸方向における一端と、前記巻取リールの回転軸に沿った第２軸方向における一端とを連結する第１連結部と、前記供給リールの第１軸方向における他端と、前記巻取リールの第２軸方向における他端とを連結する第２連結部と、をさらに備え、前記第１連結部は、前記第１被ガイド部を有し、前記第２連結部は、前記第２被ガイド部を有していてもよい。

　また、前記第２ガイドは、前記第１ガイドとは異なる幅であってもよい。そして、前記層転写用フィルムカートリッジは、第１被ガイド部と、第２被ガイド部とをさらに備えていてもよい。第１被ガイド部は、前記層転写用フィルムカートリッジを前記第１の向きで前記筐体へ装着するときに前記第１ガイドで案内される。第１被ガイド部は、前記第１ガイドの幅に対応した大きさを有する。第２被ガイド部は、前記層転写用フィルムカートリッジを前記第１の向きで前記筐体へ装着するときに前記第２ガイドで案内される。第２被ガイド部は、前記第２ガイドの幅に対応した大きさを有する。

　また、前記第１被ガイド部は、前記巻取リールの回転軸に沿った第２軸方向における一端部と、前記供給リールの回転軸に沿った第１軸方向における一端部であり、前記第２被ガイド部は、前記巻取リールの前記第２軸方向における他端部と、前記供給リールの前記第１軸方向における他端部であってもよい。

　また、前記層転写用フィルムカートリッジは、前記供給リールを収容する供給ケースと、前記巻取リールを収容する巻取ケースとをさらに備えるものであってもよい。ここで、巻取ケースの外径は、前記供給ケースの外径とは異なる。そして、前記筐体は、前記供給リールから引き出される前記多層フィルムに接触して、前記多層フィルムの進行方向を変更する第１案内軸と、前記第１案内軸で案内された前記多層フィルムに接触して、前記多層フィルムの進行方向を変更する第２案内軸と、を備え、前記第１案内軸と前記第２案内軸は、前記層転写用フィルムカートリッジの着脱方向および前記所定方向に直交する直交方向に間隔を空けて並んで。また、前記筐体開口は、前記第１案内軸に対して前記第２案内軸とは反対側に位置する第１端と、前記第２案内軸に対して前記第１案内軸とは反対側に位置する第２端と、を有する。前記層転写用フィルムカートリッジの着脱方向から見たときにおける、前記第１端と前記第１案内軸との間隔は、前記供給ケースの外径に対応した大きさであり、前記第２端と前記第２案内軸との間隔は、前記巻取ケースの外径に対応した大きさである。

　また、層転写装置は、シートに転写層を転写する層転写装置であって、筐体本体と、層転写用フィルムカートリッジと、載置台と、第１カートリッジガイドとを備えるものとしてもよい。筐体本体は、上下方向に直交する第１方向を向く筐体開口を有し、層転写用フィルムカートリッジは、前記筐体開口を通して前記筐体本体に着脱可能である。層転写用フィルムカートリッジは、供給リールと巻取リールとを備える。供給リールには、前記転写層と、前記転写層を支持する支持層と、を有する多層フィルムが巻回される。巻取リールは、前記多層フィルムを巻き取る。載置台は、前記筐体本体から前記第１方向に前記筐体本体外へ延出する。第１カートリッジガイドは、前記供給リールの回転軸が前記第１方向に沿うように前記載置台に載置された前記層転写用フィルムカートリッジを前記筐体開口を介して前記第１方向に沿って前記筐体本体内へ案内する。

　この構成によれば、層転写用フィルムカートリッジを上下方向に直交する第１方向に沿って筐体本体に装着する場合に、層転写用フィルムカートリッジを載置台で支持することができるので、層転写用フィルムカートリッジの重量が大きい場合であっても、層転写用フィルムカートリッジを第１方向に容易に着脱することができる。

　また、前記載置台が、前記第１カートリッジガイドを有していてもよい。

　また、前記載置台は、前記筐体開口を開放する開位置と、前記筐体開口を閉じる閉位置との間で回動可能であってもよい。

　また、前記層転写用フィルムカートリッジは、前記載置台に載置された状態において、前記供給リールの前記筐体開口から遠い側の一端部と、前記巻取リールの前記筐体開口から遠い側の一端部とを連結する連結部をさらに備え、前記供給リールの前記一端部とは反対側の他端部と、前記巻取リールの前記一端部とは反対側の他端部は、連結されていなくてもよい。

　これによれば、筐体本体内において供給部と巻取部の間に配置される部材と層転写用フィルムカートリッジが干渉することなく、層転写用フィルムカートリッジを第１方向に装着することができる。

　また、前記第１カートリッジガイドは、前記上下方向に交差するとともに前記第１方向に直交する第２方向において、前記層転写用フィルムカートリッジを挟み込む２つの第１凸部からなり、前記筐体本体は、当該筐体本体の内部において、前記層転写用フィルムカートリッジを前記第１方向にガイドする内側ガイドをさらに備えるものであってもよい。内側ガイドは、前記第２方向において前記層転写用フィルムカートリッジを挟み込む２つの第２凸部からなる。２つの前記第１凸部の間隔は、２つの前記第２凸部の間隔よりも大きい。

　これによれば、層転写用フィルムカートリッジを載置台に載置する際には、間隔の大きな２つの第１凸部の間に層転写用フィルムカートリッジを置けばよいので、層転写用フィルムカートリッジを載置台に載置する作業を容易に行うことができる。また、載置台に載置された層転写用フィルムカートリッジを筐体本体に第１方向に沿って装着する際には、間隔の小さな第２凸部の間に層転写用フィルムカートリッジが案内されることで、層転写用フィルムカートリッジを装着位置まで安定した姿勢で案内することができる。

　また、前記載置台は、前記層転写用フィルムカートリッジを支持する第１支持面を有し、前記筐体本体は、当該筐体本体の内部において前記層転写用フィルムカートリッジを支持する第２支持面を有し、前記第１支持面は、前記第２支持面よりも上に位置していてもよい。

　これによれば、載置台に載置された層転写用フィルムカートリッジを筐体本体に第１方向に沿って装着する際において、層転写用フィルムカートリッジが第２支持面の縁に引っかかることが抑制されるので、層転写用フィルムカートリッジの装着作業を容易に行うことができる。

　また、前記筐体本体が、前記第１カートリッジガイドを有し、前記載置台は、前記第１カートリッジガイドで案内されることで、前記筐体本体内の内側位置と、前記筐体本体外の外側位置との間で前記筐体開口を通って移動可能であり、前記第１カートリッジガイドは、前記載置台を介して前記層転写用フィルムカートリッジを前記第１方向に案内してもよい。

　また、前記外側位置に位置する前記載置台の前記筐体開口から遠い端部から上に延びるカバーをさらに備え、前記カバーは、前記載置台が前記内側位置に位置するときに前記筐体開口を塞いでもよい。

　また、前記層転写装置は、前記多層フィルムを加熱する加熱ローラをさらに備えていてもよい。加熱ローラは、前記第１方向に沿って延び、前記載置台に設けられていてもよい。

　また、前記層転写装置は、前記載置台が前記外側位置に位置するときに、前記加熱ローラに向けて前記層転写用フィルムカートリッジを案内する第２カートリッジガイドをさらに備えていてもよい。

　また、前記層転写装置は、前記載置台が前記第１方向において前記筐体本体の外側に延出した状態において、前記載置台を下から支持する脚であって、前記筐体本体とは別部材である脚をさらに備えていてもよい。

　これによれば、層転写用フィルムカートリッジの重量によって載置台が撓んでしまうのを脚によって抑えることができる。

第１実施形態に係る層転写装置を示す図（ａ）と、多層フィルムの構成を示す断面図（ｂ）である。層転写装置の筐体カバーを開けた状態を示す図である。層転写用フィルムカートリッジを示す斜視図である。層転写用フィルムカートリッジを示す断面図（ａ）と、シャフトと多層フィルムの関係を示す平面図（ｂ）である。層転写用フィルムカートリッジと筐体本体を示す斜視図である。筐体カバーを閉める動作に連動してシャフトが第１位置から第２位置に移動する動作を示す断面図（ａ），（ｂ）である。第１変形例に係る層転写用フィルムカートリッジを示す斜視図である。第１変形例に係る層転写用フィルムカートリッジを示す断面図（ａ），（ｂ）である。第２変形例に係る層転写用フィルムカートリッジを示す斜視図である。第３変形例に係る層転写用フィルムカートリッジを示す断面図（ａ）と、第４変形例に係る層転写用フィルムカートリッジを示す断面図（ｂ）である。第５変形例に係る層転写用フィルムカートリッジを示す斜視図である。第２実施形態に係る層転写装置を示す図である。筐体カバーを開けて層転写装置から層転写用フィルムカートリッジを取り出した状態を示す図である。層転写用フィルムカートリッジと筐体本体を示す斜視図である。層転写用フィルムカートリッジをメモリが取り付けられた側から見た平面図である。供給ケースからメモリメモリホルダを外した状態を示す斜視図（ａ）と、メモリホルダを（ａ）とは反対側から見た斜視図（ｂ）である。図１５におけるＡ－Ａ断面図（ａ）と、Ｂ－Ｂ断面図（ｂ）である。他の形態における層転写用フィルムカートリッジの斜視図である。他の形態における筐体カバーを開けて層転写装置から層転写用フィルムカートリッジを取り出した状態を示す図である。第３実施形態に係る層転写装置を示す図である。層転写装置の筐体カバーを開けた状態を示す図である。第３実施形態に係る層転写用フィルムカートリッジを示す斜視図である。層転写用フィルムカートリッジを示す断面図（ａ）と、シャフトと多層フィルムの関係を示す平面図（ｂ）である。層転写用フィルムカートリッジを分解して示す斜視図である。第４実施形態に係る層転写用フィルムカートリッジを示す斜視図であり、カバー部材が開位置に位置する図（ａ）と、カバー部材が閉位置に位置する図（ｂ）である。供給部を示す断面図であり、カバー部材が開位置に位置する図（ａ）と、カバー部材が閉位置に位置する図（ｂ）である。シール部材と供給開口の関係を示す平面図である。筐体カバーを閉める動作に連動してカバー部材が収容部材に対して相対的に移動する動作を示す断面図（ａ），（ｂ）である。第５実施形態に係る層転写用フィルムカートリッジであってカバー部材を取り外した状態を示す斜視図（ａ）と、カバー部材を示す斜視図（ｂ）である。カバー部材を装着した状態の供給部を示す斜視図である。カバー部材を装着した状態の供給部を示す断面図である。変形例に係る層転写用フィルムカートリッジを示す断面図である。シール構造の変形例を示す図である。第６実施形態に係る層転写装置を示す図である。筐体カバーを開けて層転写装置から層転写用フィルムカートリッジ取り出した状態を示す図である。層転写用フィルムカートリッジを示す斜視図である。層転写用フィルムカートリッジを軸方向からみた断面図であり、残量表示部材が新品位置である状態を示す図（ａ）と、残量表示部材が初期位置である状態を示す図（ｂ）と、残量表示部材が最終位置である状態を示す図（ｃ）である。図３７（ａ），（ｂ），（ｃ）にそれぞれ対応する層転写用フィルムカートリッジの一部を示す斜視図（ａ），（ｂ），（ｃ）である。新品の層転写用フィルムカートリッジを装着した後の光センサの検出波形（ａ）と、多層フィルムが残っている状態の光センサの検出波形（ｂ）と、多層フィルムが空である状態の光センサの検出波形（ｃ）である。第７実施形態における層転写用フィルムカートリッジを軸方向からみた断面図であり、残量表示部材が新品位置である状態を示す図（ａ）と、残量表示部材が初期位置である状態を示す図（ｂ）と、残量表示部材が最終位置である状態を示す図（ｃ）である。第７実施形態における、新品の層転写用フィルムカートリッジを装着した後の光センサの検出波形（ａ）と、多層フィルムが残っている状態の光センサの検出波形（ｂ）と、多層フィルムが空である状態の光センサの検出波形（ｃ）である。第８実施形態における層転写用フィルムカートリッジを軸方向からみた断面図であり、残量表示部材が初期位置である状態を示す図（ａ）と、残量表示部材が最終位置である状態を示す図（ｂ）である。図４２（ａ），（ｂ）にそれぞれ対応する層転写用フィルムカートリッジの一部を示す斜視図（ａ），（ｂ）である。第９実施形態に係る層転写装置を示す図である。層転写装置の筐体カバーを開けた状態を示す図である。第９実施形態に係る層転写用フィルムカートリッジを示す斜視図である。層転写用フィルムカートリッジを示す断面図（ａ）と、シャフトと多層フィルムの関係を示す平面図（ｂ）である。第９実施形態の引き込み機構を示す断面図（ａ），（ｂ）である。第９実施形態の引き込み機構の変形例を示す断面図（ａ），（ｂ）である。第１０実施形態の引き込み機構を示す断面図（ａ），（ｂ）である。第１１実施形態に係る層転写用フィルムカートリッジを示す側面図（ａ）～（ｃ）である。第１２実施形態に係る層転写装置を示す図である。層転写装置の筐体カバーを開けた状態を示す図である。第１２実施形態に係る層転写用フィルムカートリッジを示す斜視図である。筐体カバーを閉める動作に連動してシャフトが移動する動作を示す断面図（ａ），（ｂ）である。第１２実施形態に係る層転写用フィルムカートリッジの供給部を示す正面図である。筐体に装着された状態の層転写用フィルムカートリッジの供給部付近を拡大して示す断面図である。第１３実施形態に係る層転写用フィルムカートリッジを示す斜視図である。第１３実施形態に係る層転写用フィルムカートリッジの供給部を示す側面図（ａ），（ｂ）である。第１２実施形態の変形例に係る層転写用フィルムカートリッジの供給部を示す斜視図である。第１４実施形態に係る層転写装置を示す図である。層転写装置の筐体カバーを開けた状態を示す図である。層転写用フィルムカートリッジを示す斜視図である。層転写用フィルムカートリッジと筐体本体を示す斜視図である。層転写用フィルムカートリッジの各部位と筐体本体の各部位の関係を示す図である。第１４実施形態の変形例に係る層転写装置を示す図である。図６６の層転写用フィルムカートリッジの各部位と筐体本体の各部位の関係を示す図である。第１５実施形態に係る層転写装置を示す図である。層転写装置を示す斜視図であり、載置台が閉位置に位置する状態を示す図（ａ）と、載置台が開位置に位置する状態を示す図（ｂ）である。載置台に層転写用フィルムカートリッジを載せた状態を示す図である。筐体から層転写用フィルムカートリッジを外した状態を示す図である。第１ガイドと内側ガイドの関係を示す断面図（ａ）と、図７２（ａ）のＩ－Ｉ断面図（ｂ）である。第１５実施形態の変形例に係る層転写装置を示す斜視図である。図７３のＩＩ－ＩＩ断面図である。

　第１実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明においては、まず、層転写装置の全体構成を簡単に説明した後、層転写用フィルムカートリッジの特徴部分の構成について説明する。

　図１（ａ）に示すように、層転写装置１は、例えばレーザプリンタ等の画像形成装置でシートＳにトナー像を形成した後、シートＳのトナー像の上にアルミニウム等の箔を有する転写層を転写することで、シートＳに箔の画像を形成する装置である。つまり、層転写装置１は、シートＳのトナー像の上に箔を転写することで、シートＳに箔の画像を形成している。層転写装置１は、筐体２と、シート搬送部１０と、フィルム供給部３０と、転写部５０とを備えている。

　筐体２は、樹脂などからなり、筐体本体２１と、筐体カバー２２とを備えている。筐体本体２１は、上部に筐体開口２１Ａ（図２参照）を有している。筐体開口２１Ａは、筐体本体２１に後述する層転写用フィルムカートリッジＦＣを着脱するための開口であり、層転写用フィルムカートリッジＦＣを着脱する場合に層転写用フィルムカートリッジＦＣが通る。筐体カバー２２は、筐体開口２１Ａを開閉するための部材である。筐体カバー２２は、筐体本体２１に回動可能に支持されている。筐体カバー２２は、筐体開口２１Ａを閉じる閉位置（図１（ａ）の位置）と、筐体開口２１Ａを開放する開位置（図２の位置）との間で回動可能となっている。

　シート搬送部１０は、シート供給機構１１と、シート排出機構１２とを備えている。シート搬送部１０は、後述するメインモータＭによって回転駆動される。シート供給機構１１は、図示せぬシートトレイ上のシートＳを一枚ずつ転写部５０に向けて搬送する機構である。

　シート排出機構１２は、転写部５０を通過したシートＳを筐体２の外部に排出する機構である。

　フィルム供給部３０は、シート供給機構１１から搬送されたシートＳに重ねるように多層フィルムＦを供給する部分である。フィルム供給部３０は、層転写用フィルムカートリッジＦＣと、第１案内軸４１と、第２案内軸４２と、駆動源としてのメインモータＭを備えている。第１案内軸４１および第２案内軸４２は、筐体本体２１に設けられている（図２参照）。

　層転写用フィルムカートリッジＦＣは、図２に示すように、筐体開口２１Ａを通して筐体本体２１に着脱可能となっている。層転写用フィルムカートリッジＦＣは、多層フィルムＦを支持するカートリッジである。層転写用フィルムカートリッジＦＣは、供給部３１０と、巻取部３５０と、シャフト４３とを主に備えている。供給部３１０は、供給リール３１を主に有する。巻取部３５０は、巻取リール３５を主に有する。供給リール３１には、多層フィルムＦが巻回されている。

　図１（ｂ）に示すように、多層フィルムＦは、複数の層からなるフィルムである。詳しくは、多層フィルムＦは、支持層Ｆ１と、被支持層Ｆ２とを有する。支持層Ｆ１は、高分子材料からなるテープ状の透明な基材であり、被支持層Ｆ２を支持している。被支持層Ｆ２は、例えば、剥離層Ｆ２１と、転写層Ｆ２２と、接着層Ｆ２３とを有する。剥離層Ｆ２１は、支持層Ｆ１から転写層Ｆ２２を剥離しやすくするための層であり、支持層Ｆ１と転写層Ｆ２２との間に配置されている。剥離層Ｆ２１は、支持層Ｆ１から剥離しやすい透明な材料、例えばワックス系樹脂を含んでいる。

　転写層Ｆ２２は、シートＳのトナー像の上に転写される層であり、箔を含んでいる。箔とは、金、銀、銅、アルミニウム等の金属であって薄く延された金属である。また、転写層Ｆ２２は、金色、銀色、赤色などの着色材料と、熱可塑性樹脂とを含む。転写層Ｆ２２は、剥離層Ｆ２１と接着層Ｆ２３との間に配置されている。

　接着層Ｆ２３は、転写層Ｆ２２をトナー像に接着しやすくするための層である。接着層Ｆ２３は、後述する転写部５０によって加熱されたトナー像に付着しやすい材料、例えば塩化ビニル系樹脂やアクリル系樹脂を含んでいる。

　供給リール３１は、樹脂などからなり、多層フィルムＦが巻回される供給軸部３１Ａを有している。供給軸部３１Ａには、多層フィルムＦの一端が固定されている。

　巻取リール３５は、樹脂などからなり、多層フィルムＦを巻き取るための巻取軸部３５Ａを有している。巻取軸部３５Ａには、多層フィルムＦの他端が固定されている。巻取軸部３５Ａは、メインモータＭによって回転駆動される。

　なお、層転写用フィルムカートリッジＦＣが新品の状態においては、供給リール３１に巻回されたロール状の多層フィルムＦの径は最大となっており、巻取リール３５には多層フィルムＦが巻回されていない、もしくは、巻取リール３５に巻回されたロール状の多層フィルムＦの径は最小となっている。また、層転写用フィルムカートリッジＦＣの寿命時（多層フィルムＦを使い切ったとき）においては、巻取リール３５に巻回されたロール状の多層フィルムＦの径は最大となり、供給リール３１には多層フィルムＦが巻回されていない、もしくは、供給リール３１に巻回されたロール状の多層フィルムＦの径は最小となる。

　第１案内軸４１は、多層フィルムＦを案内する軸である。詳しくは、第１案内軸４１は、供給リール３１から引き出される多層フィルムＦに接触して、多層フィルムＦの進行方向を変更する。第１案内軸４１は、例えば、ＳＵＳ（ステンレス鋼）からなっている。第２案内軸４２は、多層フィルムＦを案内する軸である。詳しくは、第２案内軸４２は、第１案内軸４１で案内された多層フィルムＦに接触して、多層フィルムＦの進行方向を変更する。第２案内軸４２は、例えば、ＳＵＳからなっている。

　層転写用フィルムカートリッジＦＣが筐体本体２１に装着された状態において、第１案内軸４１および第２案内軸４２は、多層フィルムＦの面のうち支持層Ｆ１によって形成される第１面ＦＡ（図１（ｂ）参照）に接触している。また、層転写用フィルムカートリッジＦＣが筐体本体２１に装着された状態において、第１案内軸４１と第２案内軸４２の間に張架される多層フィルムＦの面のうち第１面ＦＡと反対側の面であって、転写層Ｆ２２を含む被支持層Ｆ２によって形成される第２面ＦＢ（図１（ｂ）参照）が、シート搬送部１０によって搬送されるシートＳや、加圧ローラ５１と、接触する。

　シャフト４３は、シートＳから多層フィルムＦを剥離させるときの多層フィルムＦの角度を調整するためのＳＵＳなどからなる部材であり、多層フィルムＦの第２面ＦＢに接触している。シャフト４３は、第２案内軸４２で案内された多層フィルムＦに接触して、多層フィルムＦの進行方向を変更する。シャフト４３が第２案内軸４２と巻取リール３５の間で張架される多層フィルムＦの第２面ＦＢに押し当てられることで、第２案内軸４２で案内された多層フィルムＦの進行方向が変更され、第２案内軸４２を起点に折り曲げられた多層フィルムＦの角度（以下、「剥離角度」ともいう。）がより小さく（鋭角に）なるように調整されている。詳しくは、剥離角度は、多層フィルムＦのうち、第１案内軸４１と第２案内軸４２の間で張架される部分と、第２案内軸４２とシャフト４３の間で張架される部分とのなす角である。剥離角度が鋭角であるほど、すなわち、剥離角度が小さいほど、第２案内軸４２を通過したシートＳが多層フィルムＦから剥離しやすくなる。なお、第１案内軸４１および第２案内軸４２は、筐体本体２１に回転可能に支持されてもよいし、回転不能に支持されてもよい。また、シャフト４３は、後述する支持部材９０に、回転可能に支持されてもよいし、回転不能に支持されてもよい。

　第１案内軸４１は、トナー像が形成された面を下にした状態で搬送されるシートＳに対して、供給リール３１から引き出された多層フィルムＦを下から重ねるように案内している。第１案内軸４１は、供給リール３１から引き出された多層フィルムＦの搬送方向を変えて、シートＳの搬送方向と略平行に多層フィルムＦを案内する。

　第２案内軸４２は、転写部５０を通過した多層フィルムＦと接触し、転写部５０を通過した多層フィルムＦの搬送方向をシートＳの搬送方向とは異なる方向に変更することで、多層フィルムＦをシートＳから離れる方向に案内する剥離ローラである。転写部５０を通過してシートＳと重なった状態で搬送された多層フィルムＦは、第２案内軸４２を通過する際にシートＳとは異なる方向に案内され、シートＳから剥離される。

　転写部５０は、シートＳと多層フィルムＦを重ねた状態で加熱および加圧することで、シートＳに形成されたトナー像の上に転写層Ｆ２２を転写するための部分である。転写部５０は、加圧ローラ５１と、加熱ローラ６１とを備えている。転写部５０は、加圧ローラ５１と加熱ローラ６１のニップ部において、シートＳと多層フィルムＦを重ねて加熱および加圧する。

　加圧ローラ５１は、円筒状の芯金の周囲をシリコンゴムからなるゴム層で被覆したローラである。加圧ローラ５１は、多層フィルムＦの上側に配置され、シートＳの裏面（トナー像が形成された面と反対側の面）と接触可能となっている。

　加圧ローラ５１は、両端部が筐体カバー２２に回転可能に支持されている。加圧ローラ５１は、加熱ローラ６１との間でシートＳおよび多層フィルムＦを挟み、メインモータＭによって回転駆動されることで加熱ローラ６１を従動回転させる。このように加圧ローラ５１と加熱ローラ６１との間でシートＳおよび多層フィルムＦを挟んだ状態で、加圧ローラ５１および加熱ローラ６１が回転することで、シートＳおよび多層フィルムＦが搬送される。

　加熱ローラ６１は、円筒状に形成された金属管の内部に図示せぬヒータを配置したローラであり、多層フィルムＦおよびシートＳを加熱している。加熱ローラ６１は、多層フィルムＦの下側に配置され、多層フィルムＦの第１面ＦＡと接触している。

　このように構成された層転写装置１では、シートＳの表面を下向きにして図示せぬシートトレイに載置されたシートＳが、シート供給機構１１により一枚ずつ転写部５０に向けて搬送される。シートＳは、転写部５０のシート搬送方向における上流側で、供給リール３１から供給された多層フィルムＦと重ねられ、シートＳのトナー像と多層フィルムＦが接触した状態で転写部５０に搬送される。

　転写部５０においては、シートＳと多層フィルムＦが加圧ローラ５１と加熱ローラ６１の間のニップ部を通過する際に、加熱ローラ６１と加圧ローラ５１により加熱および加圧され、トナー像の上に転写層Ｆ２２が転写される。なお、以下の説明では、トナー像への転写層Ｆ２２の転写を、単に「層転写」とも称する。

　層転写が行われた後、シートＳと多層フィルムＦは密着した状態で第２案内軸４２まで搬送される。シートＳと多層フィルムＦが第２案内軸４２を通過すると、多層フィルムＦの搬送方向がシートＳの搬送方向と異なる方向に変わるため、シートＳから多層フィルムＦが剥離される。

　シートＳから剥離された多層フィルムＦは、巻取リール３５に巻き取られていく。一方、多層フィルムＦが剥離されたシートＳは、シート排出機構１２によって、箔が転写された表面を下に向けた状態で、筐体２の外部に排出される。

　図３に示すように、層転写用フィルムカートリッジＦＣは、前述した供給部３１０、巻取部３５０およびシャフト４３の他、連結部７０と、ハンドル８０と、支持部材９０とを備えている。供給部３１０は、前述した供給リール３１の他、供給ケース３２を有している。また、巻取部３５０は、前述した巻取リール３５の他、巻取ケース３６を備えている。なお、以下の説明では、供給リール３１の回転軸Ｘ１に沿った第１軸方向または巻取リール３５の回転軸Ｘ２に沿った第２軸方向を、単に「軸方向」とも称する。また、以下の説明では、回転軸Ｘ１，Ｘ２を結ぶ直線に沿った軸間方向を、単に「軸間方向」とも称する。

　供給ケース３２は、供給リール３１を収容するケースであり、樹脂などからなり、中空の略円柱状に形成されている。詳しくは、供給ケース３２は、供給リール３１の供給軸部３１Ａに巻回された多層フィルムＦを内部に収容している。供給リール３１の供給軸部３１Ａは、供給ケース３２の軸方向の各端面から外側に突出している。

　供給ケース３２は、連結部７０に対して回転軸Ｘ１回りに回転しないように、連結部７０に係合または固定されている。供給ケース３２は、外周面の一部に設けられた平面３２Ｂを有している。本実施形態では、平面３２Ｂは、軸方向と軸間方向に延びている。平面３２Ｂが筐体本体２１の平面部分に接触することで、層転写用フィルムカートリッジＦＣが筐体本体２１に支持される（図１参照）。

　供給リール３１は、供給ケース３２および連結部７０に回転可能に支持されている。供給リール３１は、軸方向と直交し、かつ、軸間方向と直交する方向において、平面３２Ｂと後述する第１ベース部８１Ａとの間に配置されている。

　巻取ケース３６は、巻取リール３５を収容するケースであり、樹脂などからなり、中空の円柱状に形成されている。詳しくは、巻取ケース３６は、巻取リール３５の巻取軸部３５Ａに巻回された多層フィルムＦを内部に収容している。巻取リール３５の巻取軸部３５Ａは、巻取ケース３６の軸方向の各端面から外側に突出している。

　巻取ケース３６は、連結部７０に対して回転軸Ｘ２回りに回転しないように、連結部７０に係合または固定されている。巻取リール３５は、巻取ケース３６および連結部７０に回転可能に支持されている。巻取リール３５は、前述した巻取軸部３５Ａと、巻取ギヤ３５Ｃとを有している。巻取ギヤ３５Ｃは、メインモータＭからの駆動力を受けるギヤである。巻取ギヤ３５Ｃは、巻取軸部３５Ａの軸方向における一端に設けられている。詳しくは、巻取軸部３５Ａの一部がＤ形状に成形されていて、巻取ギヤ３５Ｃに開けられたＤ形状の穴と篏合することにより、巻取ギヤ３５Ｃが巻取軸部３５Ａに対して回転不能に固定されている。巻取ケース３６の外径は、供給ケース３２の外径よりも小さい。

　連結部７０は、供給部３１０と巻取部３５０とを連結する部材である。連結部７０は、第１連結部７１と、第２連結部７２とを有している。第１連結部７１および第２連結部は、軸方向（第１軸方向）と直交する方向に延びている。詳しくは、第１連結部７１および第２連結部７２は、供給リール３１の回転軸Ｘ１と巻取リール３５の回転軸Ｘ２とを結ぶ直線に沿った軸間方向に長い長尺な板状に形成されている。第１連結部７１および第２連結部７２は、多層フィルムＦから離れた位置に位置する。

　第１連結部７１は、軸方向における供給部３１０の一端と、軸方向における巻取部３５０の一端とを連結している。具体的に、第１連結部７１は、供給軸部３１Ａの一端と、巻取軸部３５Ａの一端とを連結している。詳しくは、第１連結部７１は、軸間方向の両端に、供給軸部３１Ａや巻取軸部３５Ａが貫通する穴を有する。第１連結部７１は、軸方向において、巻取ギヤ３５Ｃと巻取ケース３６との間に配置されている。

　第２連結部７２は、軸方向における供給部３１０の他端と、軸方向における巻取部３５０の他端とを連結している。具体的に、第２連結部７２は、供給軸部３１Ａの他端と、巻取軸部３５Ａの他端とを連結している。詳しくは、第２連結部７２は、軸間方向の両端に供給軸部３１Ａや巻取軸部３５Ａが貫通する穴を有する。供給ケース３２および巻取ケース３６は、軸方向において、第１連結部７１と第２連結部７２との間に配置されている。

　ハンドル８０は、ユーザの指がフックされることを許容する部位である。ハンドル８０は、第１ハンドル８１と、第１ハンドル８１から軸間方向に離れて配置される第２ハンドル８２とを有している。

　第１ハンドル８１は、樹脂などからなり、軸方向に延びるように供給部３１０に配置されている。第１ハンドル８１は、供給ケース３２または供給リール３１に支持される。本実施形態では、第１ハンドル８１は、供給ケース３２に支持されている。第１ハンドル８１は、供給ケース３２の外周面から、回転軸Ｘ１に交差する方向、詳しくは直交する方向に突出している。第１ハンドル８１は、軸方向に延びるグリップ部としての第１ベース部８１Ａと、第１ベース部８１Ａの軸方向の両端から供給リール３１に向けて延びる２つの第１脚８１Ｂとを備えている。２つの第１脚８１Ｂは、供給ケース３２に接続されている。

　第２ハンドル８２は、樹脂などからなり、軸方向に延びるように巻取部３５０に配置されている。詳しくは、第２ハンドル８２は、巻取ケース３６に支持されている。第２ハンドル８２は、巻取ケース３６の外周面から、回転軸Ｘ２に交差する方向、詳しくは直交する方向に突出している。第２ハンドル８２は、軸方向に延びる第２ベース部８２Ａと、第２ベース部８２Ａの軸方向の両端から巻取リール３５に向けて延びる２つの第２脚８２Ｂとを備えている。２つの第２脚８２Ｂは、巻取ケース３６に接続されている。

　軸方向における第１ハンドル８１の長さは、軸方向における第２ハンドル８２の長さよりも長い。軸方向において、第２ハンドル８２は、第１ハンドル８１の範囲内に位置している。

　シャフト４３は、巻取部３５０に配置されている。シャフト４３は、軸方向（第２軸方向）に沿って延びる断面円形の軸形状を有している。シャフト４３は、巻取リール３５、詳しくは巻取ケース３６から離れて配置されている。シャフト４３の軸方向の寸法は、多層フィルムＦの軸方向の幅よりも大きい

　支持部材９０は、シャフト４３を支持する部材である。支持部材９０は、第１側板９１と、第２側板９２とを有している。第１側板９１および第２側板９２は、巻取リール３５の回転軸Ｘ２から巻取リール３５の径方向外側に向けて延びる板状の部材であり、径方向外側に向かうにつれて先細となる略扇状に形成されている。第１側板９１および第２側板９２は、巻取軸部３５Ａが貫通する穴を有する。第１側板９１および第２側板９２は、巻取リール３５の巻取軸部３５Ａに回動可能に連結されている。詳しくは、第１側板９１および第２側板９２は、巻取ケース３６を軸方向の外側から挟むように、すなわち、巻取ケース３６が第１側板９１および第２側板９２の間に位置するように配置され、巻取軸部３５Ａに連結されている。

　第１側板９１は、シャフト４３の軸方向の一端を支持している。第１側板９１は、軸方向において、巻取ケース３６と第１連結部７１との間に配置されている。第１側板９１は、軸方向外側の外面９１Ａと、外面９１Ａから突出する突出部９１Ｂとを有している。外面９１Ａは、第１連結部７１に対面する面である。

　突出部９１Ｂは、巻取リール３５の径方向において、巻取ケース３６とシャフト４３の間、詳しくは、第１連結部７１とシャフト４３との間に配置されている。突出部９１Ｂには、板バネＳＰが設けられている。板バネＳＰは、突出部９１Ｂに対して供給リール３１とは反対側に配置されている。

　第２側板９２は、シャフト４３の軸方向の他端を支持している。第２側板９２は、軸方向において、巻取ケース３６と第２連結部７２との間に配置されている。第２側板９２は、軸方向外側の外面９２Ａと、外面９２Ａから突出する突出部９２Ｂとを有している。外面９２Ａは、第２連結部に対面する面である。突出部９２Ｂには、前述した第１側板９１の突出部に設けられた板バネＳＰと同様の板バネＳＰが設けられている。

　図４（ａ）に示すように、支持部材９０で支持されたシャフト４３は、連結部７０に対して移動可能となっている。詳しくは、シャフト４３は、連結部７０に対して軸方向と略直交する方向に移動可能となっている。ここで、軸方向と略直交するとは、軸方向とシャフト４３の移動する方向とのなす角度が８０°～１００°の範囲であることを指す。より詳しくは、シャフト４３は、図に破線で示す第１位置と、第１位置よりも供給リール３１に近い第２位置（実線で示す位置）との間で移動可能となっている。なお、巻取ケース３６または連結部７０には、シャフト４３の移動範囲を第１位置から第２位置までの範囲に規制する図示せぬ規制部が設けられている。具体的に、規制部は、シャフト４３が第１位置と第２位置の間でのみ移動できるように、支持部材９０の回動範囲を規制している。

　規制部は、例えば連結部７０に配置することができる。規制部は、例えば第１規制部と第２規制部とを有していてもよい。この場合、シャフト４３が第１位置から第２位置まで移動すると、支持部材９０が第１規制部に当接し、シャフト４３が第２位置から第１位置まで移動すると、支持部材９０が第２規制部に当接する。

　また、規制部は１つであってもよい。この場合、トーションばね等で支持部材９０が規制部に当接する方向へ付勢されている。これによれば、シャフト４３が第２位置から第１位置まで移動すると、支持部材９０が規制部に当接する。また、筐体カバー２２を閉めたときに後述する押圧部材２２Ａが支持部材９０を押圧すると、支持部材９０がトーションばねの付勢力に反して移動してシャフト４３が第１位置から第２位置まで移動する。

　図４（ｂ）に示すように、シャフト４３の軸方向の寸法Ｌ１は、多層フィルムＦの幅Ｌ２よりも大きい。

　図３および図４（ａ）に示すように、供給ケース３２は、多層フィルムＦが通る供給開口３２Ａを有している。供給開口３２Ａは、供給リール３１に巻回された多層フィルムＦを外部に引き出すための開口であり、多層フィルムＦを供給ケース３２の内側から外側へ案内する。巻取ケース３６は、多層フィルムＦが通る巻取開口３６Ａを有している。巻取開口３６Ａは、多層フィルムＦを巻取ケース３６の外側から内側へ案内する。多層フィルムＦは、供給開口３２Ａの縁と巻取開口３６Ａの縁とで支持されることで、供給リール３１と巻取リール３５の間で張架される、つまり張った状態で架け渡されることが可能となっている。第１ハンドル８１および第２ハンドル８２は、供給リール３１の回転軸Ｘ１と巻取リール３５の回転軸Ｘ２を含む仮想平面ＦＦに直交する方向において、供給部３１０（詳しくは供給ケース３２）と巻取部３５０（詳しくは巻取ケース３６）とで張架された多層フィルムＦに対して仮想平面ＦＦとは反対側に配置されている。

　また、供給部３１０に配置される第１ハンドル８１は、仮想平面ＦＦに直交する方向において、仮想平面ＦＦに対して供給開口３２Ａと同じ側に配置されている。巻取部３５０に配置される第２ハンドル８２は、仮想平面ＦＦに直交する方向において、仮想平面ＦＦに対して巻取開口３６Ａと同じ側に配置されている。第２ハンドル８２は、仮想平面ＦＦに直交する方向において、巻取開口３６Ａよりも仮想平面ＦＦから離れている。

　また、巻取部３５０に配置される第２ハンドル８２は、仮想平面ＦＦに直交する方向において、仮想平面ＦＦに対してシャフト４３と同じ側に配置されている。

　層転写用フィルムカートリッジＦＣは、仮想平面ＦＦに直交する方向において、筐体本体２１に着脱可能となっている。なお、以下の説明では、仮想平面ＦＦに直交する方向を、「着脱方向」とも称する。

　図５に示すように、筐体本体２１は、第１ガイドＧＤ１と、第２ガイドＧＤ２とを有している。第１ガイドＧＤ１は、層転写用フィルムカートリッジＦＣが筐体本体２１に着脱される際において、供給リール３１の供給軸部３１Ａをガイドする溝である。第１ガイドＧＤ１は、前述した着脱方向に沿って延び（図２参照）、当該着脱方向に供給軸部３１Ａをガイドしている。第１ガイドＧＤ１は、軸方向において、筐体本体２１の一端と他端にそれぞれ設けられている。

　第２ガイドＧＤ２は、層転写用フィルムカートリッジＦＣが筐体本体２１に着脱される際において、巻取リール３５の巻取軸部３５Ａをガイドする溝である。第２ガイドＧＤ２は、前述した着脱方向に沿って延び（図２参照）、当該着脱方向に巻取軸部３５Ａをガイドしている。第２ガイドＧＤ２は、軸方向において、筐体本体２１の一端と他端にそれぞれ設けられている。

　図６に示すように、筐体カバー２２は、シャフト４３を、図６（ａ）に示す第１位置から、図６（ｂ）に示す第２位置に向けて押圧する押圧部材２２Ａを備えている。押圧部材２２Ａは、筐体カバー２２に固定されており、筐体カバー２２が閉まるときに、シャフト４３を第１位置から第２位置に向けて押圧する。なお、押圧部材２２Ａは、筐体カバー２２自体であってもよく、例えば、筐体カバー２２の一部を突出させた突起であってもよい。

　ここで、第１位置に位置するシャフト４３は、着脱方向に投影したときに第２案内軸４２と重ならない。これにより、シャフト４３を第１位置に配置している場合には、シャフト４３が第２案内軸４２と干渉することなく、層転写用フィルムカートリッジＦＣを着脱することが可能となっている。

　また、第２位置に位置するシャフト４３は、着脱方向に投影したときに第２案内軸４２と重なる。これにより、第２案内軸４２での多層フィルムＦの剥離角度を適正な角度にすることが可能となっている。

　押圧部材２２Ａは、軸方向において、シャフト４３の一端と他端に配置されている。一端側の押圧部材２２Ａは、層転写用フィルムカートリッジＦＣが筐体本体２１に装着された状態において、第１側板９１に設けられた板バネＳＰと接触可能な位置に配置されている。また、他端側の押圧部材２２Ａ（図示略）は、層転写用フィルムカートリッジＦＣが筐体本体２１に装着された状態において、第２側板９２に設けられた板バネＳＰと接触可能な位置に配置されている。これにより、各押圧部材２２Ａは、板バネＳＰおよび支持部材９０を介してシャフト４３を押圧可能となっている。

　次に、本実施形態に係る層転写装置１の作用効果について説明する。
　図３に示すように、層転写用フィルムカートリッジＦＣをユーザが持つ場合には、ユーザは、一方の手で第１ハンドル８１を持ち、他方の手で第２ハンドル８２を持つことで、層転写用フィルムカートリッジＦＣをバランスよく持つことができる。この際、第１ハンドル８１および第２ハンドル８２が、図４（ａ）に示すように、供給リール３１と巻取リール３５の間で張架された多層フィルムＦに対して仮想平面ＦＦとは反対側に配置されているため、ユーザは、多層フィルムＦに触れることなく、第１ハンドル８１および第２ハンドル８２を持つことができる。

　図２および図５に示すように、ユーザが、ハンドル８０を掴んで層転写用フィルムカートリッジＦＣを筐体本体２１に上から第１ガイドＧＤ１および第２ガイドＧＤ２に沿って装着していくと、供給ケース３２と巻取ケース３６の間で架け渡された多層フィルムＦが、筐体本体２１の第１案内軸４１と第２案内軸４２に接触する。その後、さらに層転写用フィルムカートリッジＦＣを装着位置に向けて移動させると、図６（ａ）に示すように、多層フィルムＦは、供給ケース３２、第１案内軸４１、第２案内軸４２および巻取ケース３６の各部材間で架け渡され、供給ケース３２から引き出されていく。

　層転写用フィルムカートリッジＦＣを筐体本体２１に装着した後、筐体カバー２２を閉めていくと、押圧部材２２Ａが板バネＳＰと接触する。その後、ユーザが筐体カバー２２をさらに閉めていくと、押圧部材２２Ａが板バネＳＰおよび支持部材９０を介してシャフト４３を第１位置から第２位置に向けて押圧する。

　シャフト４３は、第２位置に到達する前に、第２案内軸４２と巻取ケース３６との間で張架された多層フィルムＦに接触する。その後、ユーザが筐体カバー２２をさらに閉めていくと、シャフト４３は、第２案内軸４２と巻取ケース３６との間で張架された多層フィルムＦを供給ケース３２に向けて押圧した後、第２位置に到達する。

　シャフト４３が第２位置に位置すると、図示せぬ規制部で支持部材９０の回動が規制されるので、その後ユーザが筐体カバー２２をさらに閉めていくと、押圧部材２２Ａと支持部材９０との間で板バネＳＰが押し縮められる。

　これにより、図６（ｂ）に示すように、筐体カバー２２を完全に閉じた状態においては、板バネＳＰの付勢力を支持部材９０およびシャフト４３を介して多層フィルムＦに伝達することができ、多層フィルムＦに適正なテンションを付与することができる。

　層転写用フィルムカートリッジＦＣを筐体本体２１から取り外す場合には、筐体カバー２２を開けた後、ユーザが手で支持部材９０を回動させることで、シャフト４３を第２位置から第１位置に移動させる。その後、ユーザは、第１ハンドル８１および第２ハンドル８２を持って、第１ガイドＧＤ１および第２ガイドＧＤ２に沿って着脱方向に層転写用フィルムカートリッジＦＣを引き出すことで、層転写用フィルムカートリッジＦＣを筐体本体２１から容易に取り外すことができる。

　なお、本実施形態では、手動で支持部材９０を回動させることでシャフト４３を第２位置から第１位置に回動させることとしたが、例えば、シャフト４３を第２位置から第１位置に付勢するバネを、支持部材９０と連結部７０との間や、支持部材９０と巻取ケース３６との間などに設けてもよい。

　以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
　ハンドル８０をユーザが指でフックして把持することができるので、ユーザは、重量の大きな層転写用フィルムカートリッジＦＣであっても、層転写用フィルムカートリッジＦＣの着脱作業を容易に行うことができる。また、ハンドル８０が、供給リール３１と巻取リール３５の間で張架された多層フィルムＦに対して仮想平面ＦＦとは反対側に配置されているため、ユーザが多層フィルムＦに触れてしまうのを抑えることができる。

　層転写用フィルムカートリッジＦＣが、第１ハンドル８１と、第１ハンドル８１から離れて配置される第２ハンドル８２とを有するので、比較的重い層転写用フィルムカートリッジＦＣをより安定してユーザが持つことができる。

　シャフト４３が連結部７０に対して移動可能であるため、層転写用フィルムカートリッジＦＣの着脱時においてシャフト４３が第２案内軸４２と干渉するのを抑制することができる。これにより、設計の自由度を高めることができる。

　押圧部材２２Ａによってシャフト４３を第１位置から第２位置に移動させることができるので、シャフト４３が第１位置のままで誤った剥離角度で層転写が行われることを抑制することができる。

　筐体カバー２２を閉めると、押圧部材２２Ａがシャフト４３を第２位置に移動させるので、シャフト４３が第１位置のままで誤った剥離角度で層転写が行われることをより抑制することができる。

　押圧部材２２Ａが、軸方向において、シャフト４３の一端と他端に配置されているので、シャフト４３をバランスよく押圧することができる。

　なお、前記実施形態は、以下に例示するように様々な形態に変形して実施することできる。以下の説明においては、前記実施形態と略同様の構造となる部材には同一の符号を付し、その説明は省略する。

　前記実施形態では、第１ハンドル８１の２つの第１脚８１Ｂを供給ケース３２に接続したが、例えば図７に示すように、２つの第１脚８１Ｃは、供給リール３１の供給軸部３１Ａに連結されていてもよい。つまり、第１ハンドル８１の軸方向一端は、供給リール３１の軸方向一端に支持され、第１ハンドル８１の軸方向他端は、供給リール３１の軸方向他端に支持されていてもよい。また、この場合、第１ハンドル１８１（詳しくは、第１ベース部８１Ａ）は、供給リール３１に対して近接・離間可能に移動可能であってもよい。

　詳しくは、図７の形態では、各第１脚８１Ｃは、前述した着脱方向に沿って延びる長孔Ｈ１と、着脱方向に沿って延びる被ガイド面ＦＧとを有している。また、連結部７０は、着脱方向に沿って延びて、被ガイド面ＦＧを着脱方向に案内するガイドリブＲＧを有している。

　これにより、第１ハンドル１８１の第１ベース部８１Ａは、図８（ａ）に示す第３位置と、当該第３位置よりも供給ケース３２に近い、図８（ｂ）に示す第４位置との間で移動可能となっている。第１ベース部８１Ａは、第３位置に位置するときに、供給ケース３２から離れている。第１ベース部８１Ａは、第４位置に位置するときに、供給ケース３２に接触している。

　この形態によれば、第１ハンドル１８１の第１ベース部８１Ａを供給ケース３２から離間させることで、第１ベース部８１Ａにユーザの指をフックさせやすくすることができる。また、第１ベース部８１Ａを供給ケース３２に近接させることで、筐体２内において第１ハンドル１８１が他の部材と干渉するのを抑制することができる。例えば、第１ベース部８１Ａを供給ケース３２に近接させることで、ハンドル１８１がシートＳの搬送経路から遠ざかり、ハンドル１８１がシートＳと干渉するのを抑制することができる。

　なお、第２ハンドルを、図８に示す第１ハンドル１８１と同様に構成してもよい。つまり、第２ハンドルは、巻取リールに連結され、巻取リールに対して近接・離間可能に移動可能となっていてもよい。

　前記実施形態では、ハンドル８０を供給ケース３２および巻取ケース３６に設けたが、例えば、図９に示すように、供給部３１０と巻取部３５０を連結する部分を、ハンドル２８０としてもよい。

　具体的に、この形態では、ハンドル２８０は、第１ハンドル２８１と、第１ハンドル２８１から軸方向に離れた第２ハンドル２８２とを有している。第１ハンドル２８１は、供給部３１０における軸方向一端と、巻取部３５０における軸方向一端と、を連結している。第２ハンドル２８２は、供給部３１０における軸方向他端と、巻取部３５０における軸方向他端と、を連結している。詳しくは、第１ハンドル２８１は、供給リール３１の軸方向一端と、巻取リール３５の軸方向一端と、に支持されている。第２ハンドル２８２は、供給リール３１の軸方向他端と、巻取リール３５の軸方向他端と、に支持されている。

　第１ハンドル２８１は、第１ベース部２８１Ａと、第１供給側脚２８１Ｂと、第１巻取側脚２８１Ｃとを有している。第１ベース部２８１Ａは、軸間方向に延びている。供給リール３１は、軸方向と直交し、かつ、軸間方向と直交する方向において、供給ケース３２の平面３２Ｂと第１ベース部２８１Ａとの間に配置されている。

　第１供給側脚２８１Ｂは、第１ベース部２８１Ａの軸間方向の一端から供給リール３１の供給軸部３１Ａに向けて延びている。第１供給側脚２８１Ｂは、供給軸部３１Ａの一端に連結されている。

　第１巻取側脚２８１Ｃは、第１ベース部２８１Ａの軸間方向の他端から巻取リール３５の巻取軸部３５Ａに向けて延びている。第１巻取側脚２８１Ｃは、巻取軸部３５Ａの一端に連結されている。

　第２ハンドル２８２は、第２ベース部２８２Ａと、第２供給側脚２８２Ｂと、第２巻取側脚２８２Ｃとを有している。第２ベース部２８２Ａは、軸間方向に延びている。

　第２供給側脚２８２Ｂは、第２ベース部２８２Ａの軸間方向の一端から供給リール３１の供給軸部３１Ａに向けて延びている。第２供給側脚２８２Ｂは、供給軸部３１Ａの他端に連結されている。

　第２巻取側脚２８２Ｃは、第２ベース部２８２Ａの軸間方向の他端から巻取リール３５の巻取軸部３５Ａに向けて延びている。第２巻取側脚２８２Ｃは、巻取軸部３５Ａの他端に連結されている。

　そして、各ベース部２８１Ａ，２８２Ａと、各供給側脚２８１Ｂ，２８２Ｂの一部と、各巻取側脚２８１Ｃ，２８２Ｃの一部は、供給リール３１と巻取リール３５の間で張架された多層フィルムＦに対して仮想平面ＦＦとは反対側に配置されている。つまり、この形態では、ハンドル２８０の一部が、供給部３１０と巻取部３５０の間で張架された多層フィルムＦに対して仮想平面ＦＦとは反対側に配置され、ハンドル２８０の他部が、供給リール３１と巻取リール３５の間で張架された多層フィルムＦに対して仮想平面ＦＦと同じ側に配置されている。

　この形態では、第１ハンドル２８１と第２ハンドル２８２とが、多層フィルムＦを軸方向から挟むように配置されているので、ハンドル２８０が多層フィルムＦやシートＳと干渉するのを抑制することができる。

　前記実施形態では、ユーザの指がフックされる部分の一例として、供給ケース３２および巻取ケース３６の外面からそれぞれ突出する第１ハンドル８１および第２ハンドル８２を例示したが、例えば、図１０（ａ）に示すように、軸方向に延びるように供給ケース３２に形成された溝状の第１グリップ３８１と、軸方向に延びるように巻取ケース３６に形成された溝状の第２グリップ３８２を、ユーザの指がフックされる部分としてもよい。具体的に、第１グリップ３８１は、軸間方向において、巻取部３５０とは反対側に向けて開口している。第２グリップ３８２は、軸間方向において、供給部３１０とは反対側に向けて開口している。

　なお、溝状のグリップと、凸状のハンドルとを組み合わせてもよい。例えば、図１０（ｂ）に示すように、供給ケース３２に前記実施形態の第１ハンドル８１を設け、巻取ケース３６に溝状のグリップＨＳを設けてもよい。また、この図に示すように、グリップＨＳは、供給リール３１と巻取リール３５の間で張架された多層フィルムＦに対して仮想平面ＦＦと同じ側に配置されていてもよい。

　前記実施形態では、供給ケース３２および巻取ケース３６を連結部７０に固定したが、供給ケースおよび巻取ケースは、連結部に対して回転可能であってもよい。具体的には、層転写用フィルムカートリッジは、例えば図１１に示すような構造とすることができる。

　この形態では、供給ケース３２０は、第１ハンドル８１が形成される内ケース３２１と、内ケース３２１を覆って回動可能に支持する外ケース３２２とを備えている。内ケース３２１は、供給リール３１を収容するケースであり、中空の略円柱状に形成されている。内ケース３２１は、供給リール３１の供給軸部３１Ａを回転可能に支持している。連結部７０は、供給リール３１の供給軸部３１Ａに回転可能に取り付けられている。つまり、この形態では、連結部７０に対して、供給リール３１、内ケース３２１および外ケース３２２がそれぞれ回転可能となっている。

　内ケース３２１は、供給開口３２Ａを有している。外ケース３２２は、略円筒状のケースである。内ケース３２１の軸方向の両端は、外ケース３２２の両端の開口から外部に露出している。

　外ケース３２２は、外周面の一部に平面３２２Ａを有している。層転写用フィルムカートリッジＦＣが筐体本体２１に装着された状態において、平面３２２Ａは、筐体本体２１の平面部分に接触する。これにより、層転写用フィルムカートリッジＦＣが筐体本体２１に装着された状態において、外ケース３２２は、筐体本体２１に対して回転不能となっている。

　外ケース３２２は、内ケース３２１の第１ハンドル８１と供給開口３２Ａを外部に露出させるための開口３２２Ｂを有している。内ケース３２１は、供給開口３２Ａが開口３２２Ｂを通して外部に露出される開位置と、供給開口３２Ａが外ケース３２２で覆われる閉位置との間で外ケース３２２に対して回動可能となっている。

　内ケース３２１が開位置に位置するときには、第１ハンドル８１の平面３２２Ａに対する角度が、０°に近い小さな第１角度となる（例えば、図４に示すような角度）。内ケース３２１が閉位置に位置するときには、第１ハンドル８１の平面３２２Ａに対する角度が、第１角度よりも大きな第２角度、詳しくは９０°に近い角度となる。

　これにより、層転写用フィルムカートリッジＦＣを筐体本体２１に装着する際には、内ケース３２１（第１ハンドル８１）を閉位置に配置することで、第１ハンドル８１を装着方向の上流側に向けることができるので、層転写用フィルムカートリッジＦＣの装着作業を容易に行うことができる。また、層転写用フィルムカートリッジＦＣを筐体本体２１に装着した後、第１ハンドル８１を開位置に回すと、シートＳの搬送経路（例えば図１参照）から第１ハンドル８１を退避させることができるので、第１ハンドル８１がシートＳに干渉するのを抑制できる。

　また、この形態では、巻取ケース３６は、供給リール３１の供給軸部３１Ａを回転可能に支持している。連結部７０は、供給リール３１の供給軸部３１Ａに回転可能に取り付けられている。つまり、この形態では、連結部７０に対して、巻取ケース３６が回転可能となっている。

　前記実施形態では、供給リール３１の供給軸部３１Ａを連結部７０で回転可能に支持したが、供給軸部を連結部に回転不能に固定してもよい。この場合、供給リールを、供給軸部と、供給軸部が通される円筒であって、供給軸部に回転可能に支持される円筒とを備える構成とすればよい。なお、この構造では、この円筒に多層フィルムの一端を固定すればよい。巻取リールも同様に、巻取軸部を連結部に回転不能に固定し、巻取リールを、巻取軸部が通される円筒としてもよい。

　前記実施形態では、筐体カバー２２を閉める動作に連動して押圧部材２２Ａがシャフト４３を移動させる構成としたが、例えば、押圧部材が筐体本体に移動可能に支持されていて、モータの駆動により押圧部材が移動してシャフトを移動させてもよい。

　第１ハンドルは、供給ケースまたは供給リールに直接支持されていなくてもよく、別部材を介して供給ケースまたは供給リールに支持されてもよい。また、第１ハンドルは、第１軸方向と直交する方向に延びるように、供給ケースに支持されてもよい。

　第２ハンドルは、巻取ケースに直接支持されていなくてもよく、別部材を介して巻取ケースに支持されてもよい。また、第２ハンドルは、第２軸方向と直交する方向に延びるように、巻取ケースに支持されてもよい。

　前記実施形態では、巻取ケースにハンドルまたはグリップを設けたが、ハンドルまたはグリップは、少なくとも供給ケースまたは供給リールに設けられていればよい。

　前記実施形態では、支持部材９０に板バネＳＰを設けたが、板バネはなくてもよい。なお、この場合には、図６の押圧部材２２Ａによって支持部材９０を直接押圧する構造とすればよい。また、板バネを押圧部材２２Ａの先端に設けてもよい。

　前記実施形態では、連結部７０を２つの連結部、すなわち、第１連結部７１および第２連結部７２で構成したが、連結部は１つ（例えば第１連結部のみ）であってもよいし、連結部はなくてもよい。また、連結部は、供給部と巻取部を連結していればよく、例えば、供給ケースと巻取ケースを連結していてもよい。

　第２実施形態について、主に図１２～図１７を参照しながら詳細に説明する。以下の説明においては、第１実施形態と略同様の構造となる部材には同一の符号を付し、その説明は省略する。

　図１２に示すように、層転写装置１は、筐体２と、シート搬送部１０と、フィルム供給部３０と、転写部５０と、制御部１６０とを備えている。フィルム供給部３０は、層転写用フィルムカートリッジＦＣと、第１案内軸４１と、第２案内軸４２と、駆動源としてのメインモータＭを備えている。

　層転写用フィルムカートリッジＦＣは、図１３に示すように、筐体開口２１Ａを通して筐体本体２１に着脱可能となっている。層転写用フィルムカートリッジＦＣは、図１（ｂ）に示すような複数の層からなる多層フィルムＦを支持するカートリッジである。層転写用フィルムカートリッジＦＣは、供給部３１０と、巻取部３５０と、シャフト４３と、メモリ３２５と、を主に備えている。供給部３１０は、供給リール３１を有する。巻取部３５０は、巻取リール３５を有する。供給リール３１には、多層フィルムＦが巻回されている。

　メモリ３２５は、情報を記憶する媒体であり、例えばＩＣチップである。メモリ３２５は、接触面３２５Ｃを有する。接触面３２５Ｃは、層転写用フィルムカートリッジＦＣを装着する装着方向を向いている。本実施形態では、装着方向は、一例として直交方向である。なお、例えば、軸方向および軸間方向に直交する方向に対して多少傾いた角度（例えば、±２０°の範囲内の角度）を向く方向を、着脱方向としてもよい。
　接触面３２５Ｃは、供給ケース１３２の外周面の一部に設けられた平面３２Ｂに平行である。また、接触面３２５Ｃは、供給リール３１の回転軸Ｘ１と巻取リール３５の回転軸Ｘ２を含む仮想平面ＦＦに平行である。

　メモリ３２５は、多層フィルムＦの仕様情報および使用履歴情報を記憶可能である。多層フィルムＦの仕様情報は、多層フィルムＦの種類、多層フィルムＦの幅、新品の多層フィルムＦの長さなどである。多層フィルムＦの使用履歴情報は、多層フィルムＦを使用した長さ、多層フィルムＦの残量すなわち未使用の多層フィルムＦの長さ、層転写用フィルムカートリッジＦＣを初めて使用してからの経過時間、などである。なお、多層フィルムＦを使用した長さは、回転軸や巻取ギヤの回転量から算出されてもよい。

　制御部１６０は、ＣＰＵ，ＲＯＭ，ＲＡＭ、不揮発性メモリなどを有し、予め用意されたプログラムに基づいて各種制御を行うように構成される。ＲＯＭ，ＲＡＭ、不揮発性メモリなどには、層転写制御に必要なデータとして、例えば、多層フィルムＦの使用情報や多層フィルムＦの使用履歴情報が記憶されている。

　図１４に示すように、層転写用フィルムカートリッジＦＣは、前述した供給部３１０、巻取部３５０、シャフト４３およびメモリ３２５の他、連結部７０と、ハンドル８０と、支持部材９０とを備えている。供給部３１０は、前述した供給リール３１の他、供給ケース１３２を有している。また、巻取部３５０は、前述した巻取リール３５の他、巻取ケース３６を備えている。供給ケース１３２は、供給リール３１を収容し、巻取ケース３６は、巻取リール３５を収容する。

　ハンドル８０は、メモリ３２５とは反対側に配置されている。直交方向において、供給リール３１は、少なくとも一部がメモリ３２５と第１ハンドル８１との間に位置する。詳しくは、ハンドル８０は、供給リール３１の回転軸Ｘ１と巻取リール３５の回転軸Ｘ２を含む仮想平面ＦＦに直交する直交方向において、仮想平面ＦＦの一方側に位置し、メモリ３２５は、直交方向において、仮想平面ＦＦの他方側に位置する（図１３参照）。なお、直交方向において、供給リール３１がメモリ３２５と第１ハンドル８１との間に位置するとき、メモリ３２５、供給リール３１および第１ハンドル８１は、直交方向に延びる直線上に位置していなくてもよい。

　支持部材９０は、シャフト４３を支持する部材である。支持部材９０は、第１側板９１と、第２側板９２とを有している。本実施形態において、第１側板９１および第２側板９２は、巻取ケース３６または連結部７０に固定されている。これにより、シャフト４３は、供給リール３１との距離が変わる方向に移動不能となっている。

　図１３に示すように、層転写装置１は、メモリ３２５と接触してメモリ３２５から情報を読み取るリーダ１５０をさらに有している。
　リーダ１５０は、筐体本体２１に配置されている。リーダ１５０は、層転写用フィルムカートリッジＦＣが筐体本体に装着された場合に、メモリ３２５と向かい合う位置に配置されている。リーダ１５０は、接触面３２５Ｃと接触する電気接点１５１を有している。電気接点１５１は、筐体本体２１内に配置され、筐体開口２１Ａを向いている。リーダ１５０は、制御部１６０と接続されている。

　図１２に示すように、層転写用フィルムカートリッジＦＣが筐体本体２１に装着されると、メモリ３２５の接触面３２５Ｃとリーダ１５０の電気接点１５１が接触するので、制御部１１６０は、リーダ１５０を介してメモリ３２５と通信可能な状態となる。

　制御部１６０は、ＲＡＭや不揮発性メモリなどの自身のメモリやメモリ３２５に記憶された多層フィルムＦの使用情報や使用履歴情報に基づいて、層転写用フィルムカートリッジＦＣに最適な層転写を実行する。また、制御部１６０は、層転写に応じて更新された多層フィルムＦの使用履歴情報などをメモリ３２５に書き込むことも可能である。

　図１５に示すように、メモリ３２５は、供給ケース１３２に設けられている。本実施形態では、メモリ３２５は、供給リール３１の回転軸Ｘ１と巻取リール３５の回転軸Ｘ２の間に配置されている。メモリ３２５は、層転写用フィルムカートリッジＦＣの軸方向において、中央Ｃを基準として巻取ギヤ３５Ｃが配置された一方側に配置されている。

　メモリ３２５は、樹脂から形成された基板３２５Ｂ（図１６（ａ）も参照）と、金メッキ加工された接触面３２５Ｃとを有する。接触面３２５Ｃは、供給リール３１の軸方向に並んで複数設けられている。接触面３２５Ｃは、供給リール３１の回転軸Ｘ１と巻取リール３５の回転軸Ｘ２が並ぶ軸間方向に延びている。本実施形態では、接触面３２５Ｃは、４つ設けられ、軸間方向に長い矩形をしている。接触面３２５Ｃは、層転写用フィルムカートリッジＦＣが筐体本体２１に装着された装着位置で、リーダ１５０の電気接点１５１と接触する。

　図１６（ａ）に示すように、供給ケース１３２は、平面３２Ｂから凹んだ凹部３２Ｃを有している。凹部３２Ｃは、長方形の開口を有している。凹部３２Ｃは、底面に軸方向に延びる２つのスリット３２Ｓが形成されている。

　層転写用フィルムカートリッジＦＣは、メモリ３２５が固定されるメモリホルダ４２５をさらに備える。メモリホルダ４２５は、供給ケース１３２の凹部３２Ｃ内に位置している。また、メモリ３２５の接触面３２５Ｃは、供給ケース１３２の凹部３２Ｃ内に位置している。

　メモリホルダ４２５は、樹脂製であり、本体部４２５Ｒと、係合部４２５Ｈ（図１６（ｂ）参照）とを有している。
　本体部４２５Ｒは、メモリ３２５が入り込める凹部であり、内側にメモリ３２５を保持する。これにより、メモリ３２５の接触面３２５Ｃは、供給ケース１３２の凹部３２Ｃ内に位置している。
　図１７（ａ）に示すように、係合部４２５Ｈは、先端がフック形状に形成され、弾性変形しながら先端がスリット３２Ｓに入り込んで係合するようになっている。
　図１７（ｂ）に示すように、係合部４２５Ｈの軸方向の寸法Ｌ３は、スリット３２Ｓの軸方向の寸法Ｌ４より小さい。このため、メモリホルダ４２５は、寸法Ｌ４から寸法Ｌ３を差し引いた分だけ軸方向にスライド可能となっている。このようにして、メモリホルダ４２５は、供給ケース１３２に対して供給リール３１の軸に沿った方向すなわち軸方向に移動可能に支持されている。

　図１２に示すように、層転写用フィルムカートリッジＦＣが装着位置にある場合、供給リール３１の軸に沿った軸方向と直交する直交方向において、供給リール３１は、筐体開口２１Ａとリーダ１５０の電気接点１５１との間に位置する。なお、直交方向において、供給リール３１が筐体開口２１Ａと電気接点１５１との間に位置するとき、電気接点１５１、供給リール３１および筐体開口２１Ａは、直交方向に延びる直線上に位置していなくてもよい。

　以上の構成によれば、本実施形態において次のような効果を得ることができる。
　層転写装置１に装着される層転写用フィルムカートリッジＦＣは、メモリ３２５を有する。このため、層転写装置１は、メモリ３２５から層転写用フィルムカートリッジＦＣの仕様などのデータを読み出すことで、層転写カートリッジに関する情報を得ることができる。この結果、その層転写用フィルムカートリッジＦＣの仕様に応じた最適な条件で層転写することが可能である。
　また、層転写用フィルムカートリッジＦＣが装着位置にあるときには、メモリ３２５の接触面３２５Ｃは、筐体本体２１の筐体開口２１Ａを向く電気接点１５１に向いているので、層転写用フィルムカートリッジを装着するときに、接触面３２５Ｃが筐体本体２１の装着方向に沿った壁面などに接触しにくい。このため、接触面３２５Ｃが筐体本体２１に不要に擦れることを抑制できる。この結果、メモリ３２５に記憶された情報を層転写装置１が安定して読み出すことができる。

　また、層転写用フィルムカートリッジＦＣのハンドル８０（第１ハンドル８１および第２ハンドル８２）は、仮想平面ＦＦの一方側に位置し、メモリ３２５は、仮想平面ＦＦの他方側に位置する。層転写用フィルムカートリッジＦＣは金属箔の多層フィルムＦなどを有するため、片手で持つには重いので、着脱するときには、両手でしっかりと持つとよい。第１ハンドル８１および第２ハンドル８２は、ともに上側に配置されているので、ユーザが両手で持ちやすい。これに対し、メモリ３２５は、第１ハンドル８１および第２ハンドル８２の反対側に配置されているので、ユーザがメモリ３２５をリーダ１５０に接触させやすい。

　また、メモリ３２５の接触面３２５Ｃは、供給ケース１３２の凹部３２Ｃ内に位置するので、接触面３２５Ｃが供給ケース１３２の平面３２Ｂから突出しない。このため、接触面３２５Ｃが傷つくことを抑制できる。

　また、メモリホルダ４２５は、供給ケース１３２に対して供給リール３１の軸方向に移動可能に支持されているので、層転写用フィルムカートリッジＦＣを筐体本体２１に装着するときに、筐体本体２１に対して軸方向に少しずれても、メモリ３２５の接触面３２５Ｃを安定してリーダ１５０の電気接点１５１に接触させることができる。

　また、接触面３２５Ｃは、供給リール３１の軸方向に並んで複数設けられ、軸間方向に延びているので、層転写用フィルムカートリッジＦＣを筐体本体２１に装着するときに、筐体本体２１に対して軸間方向に少しずれても、接触面３２５Ｃを安定してリーダ１５０の電気接点１５１に接触させることができる。

　なお、前記した第２実施形態は、以下に例示するように様々な形態に変形して実施することができる。以下の説明においては、前記実施形態と略同様の構造となる部材には同一の符号を付し、その説明は省略する。

　前記実施形態では、メモリ３２５は、供給ケース１３２に設けられていたが、メモリ３２５は、巻取ケース３６に設けられていてもよく、連結部７０に設けられていてもよい。
　例えば、図１８に示す層転写用フィルムカートリッジＦＣ２では、メモリ３２５は、連結部７０に設けられている。

　具体的には、メモリ３２５は、メモリホルダ４２５Ａに保持され、メモリホルダ４２５Ａが連結部７０に固定されている。一方、筐体本体には、層転写用フィルムカートリッジＦＣ２が装着された場合に、連結部７０に位置するメモリ３２５と対面する部分にリーダを有している（図示省略）。そして、前記実施形態と同様に、メモリ３２５の接触面３２５Ｃは、層転写用フィルムカートリッジＦＣ２を装着する装着方向を向いている。このため、層転写用フィルムカートリッジＦＣ２が筐体本体に装着されると、リーダの電気接点とメモリ３２５の接触面３２５Ｃが接触するようになっている（図示省略）。

　この形態によっても、層転写用フィルムカートリッジＦＣ２を装着するときに、接触面３２５Ｃが不要に擦れることを抑制でき、メモリ３２５に記憶された情報を層転写装置１が安定して読み出すことができる。

　前記実施形態では、層転写用フィルムカートリッジの装着方向は、直交方向であったが、この方向に限定されない。例えば、図１９に示す層転写装置１Ａは、層転写用フィルムカートリッジＦＣ３が軸方向に着脱される。つまり、層転写用フィルムカートリッジＦＣ３では、装着方向が、軸方向に沿った方向である。

　具体的に、層転写装置１Ａの筐体２Ａは、筐体本体２１Jと、筐体カバー２２Ｃとを備えている。筐体本体２１Jは、側部に筐体開口２１Ｋを有している。筐体開口２１Ｋは、層転写用フィルムカートリッジＦＣ３を着脱するための開口であり、筐体２Ａの軸方向側に位置する。筐体２Ａの軸方向における筐体開口２１Ｋとは反対側の側壁内側には、筐体開口２１Ｋ側を向く電気接点１５１が配置されている。筐体カバー２２Ｃは、筐体開口２１Ｋを開閉するための部材であり、筐体本体２１Ｊに回動可能に支持されている。ユーザは、筐体カバー２２Ｃを開き、筐体カバー２２Ｃに層転写用フィルムカートリッジＦＣ３を載置し、軸方向にスライドさせて層転写用フィルムカートリッジＦＣ３を装着することができる。なお、この形態では、前記第２実施形態における第２連結部７２が省略されており、第１連結部７１のみで供給部３１０と巻取部３５０を連結している。

　この図１９に示す変形例では、第１連結部７１が第１ハンドルとして機能する。すなわち、ユーザは、第１連結部７１を把持して層転写用フィルムカートリッジＦＣ３を着脱する。この形態においては、軸方向において、供給リール３１は少なくとも一部がメモリ３２５とハンドル（第１連結部７１）との間に位置する。詳しくは、供給リール３１における供給ケース１３２に収容された部分が、メモリ３２５と第１ハンドル（第１連結部７１）との間に位置する。

　また、この形態においても、メモリ３２５の接触面は、層転写用フィルムカートリッジＦＣ３を装着する装着方向を向いている。
　このような図１９に示す形態によっても、層転写用フィルムカートリッジＦＣ３を装着するときに、接触面が装着方向に沿った筐体２Ａの壁面などに不要に擦れることを抑制でき、装着後には、接触面がリーダ１５０の電気接点１５１に確実に接触することができるので、メモリ３２５に記憶された情報を層転写装置１Ａが安定して読み出すことができる。

　次に、第３実施形態について、主に図２０～図２４を参照しながら詳細に説明する。以下の説明においては、第１実施形態と略同様の構造となる部材には同一の符号を付し、その説明は省略する。

　図２０に示すように、層転写装置１は、筐体２と、シート搬送部１０と、フィルム供給部３０と、転写部５０とを備えている。フィルム供給部３０は、層転写用フィルムカートリッジＦＣと、第１案内軸４１と、第２案内軸４２と、駆動源としてのメインモータＭを備えている。

　図２１に示すように、層転写用フィルムカートリッジＦＣは、筐体開口２１Ａを通して層転写装置１の筐体２、詳しくは筐体本体２１に着脱可能となっている。層転写用フィルムカートリッジＦＣは、図１（ｂ）に示すような複数の層からなる多層フィルムＦを支持するカートリッジである。層転写用フィルムカートリッジＦＣは、供給部３１０と、巻取部３５０と、シャフト４３とを主に備えている。供給部３１０は、供給リール３１を主に有する。巻取部３５０は、巻取リール３５を主に有する。供給リール３１には、多層フィルムＦが巻回されている。

　図２２に示すように、層転写用フィルムカートリッジＦＣは、前述した供給部３１０、巻取部３５０およびシャフト４３の他、連結部７０と、ハンドル８０と、支持部材９０とを備えている。供給部３１０は、前述した供給リール３１の他、収容部材の一例としての供給ケース２３２を有している。また、巻取部３５０は、前述した巻取リール３５の他、巻取ケース３６とを備えている。供給ケース２３２は、供給リール３１を収容し、巻取ケース３６は、巻取リール３５を収容する。

　供給ケース２３２は、外周面の一部に設けられた被規制部３２Ｄを有している。被規制部３２Ｄが筐体本体２１の規制凹部２１Ｂ（図２０参照）に係合することで、層転写用フィルムカートリッジＦＣが筐体本体２１に支持される。

　図２３（ａ）に示すように、支持部材９０で支持されたシャフト４３は、連結部７０に対して移動可能となっている。詳しくは、シャフト４３は、図に破線で示す第１位置と、第１位置よりも供給リール３１に近い第２位置（実線で示す位置）との間で移動可能となっている。なお、巻取ケース３６または連結部７０には、シャフト４３の移動範囲を第１位置から第２位置までの範囲に規制する図示せぬ規制部が設けられている。具体的に、規制部は、シャフト４３が第１位置と第２位置の間でのみ移動できるように、支持部材９０の回動範囲を規制している。規制部の構成と作用は第１実施形態と同様である。

　図２３（ｂ）に示すように、シャフト４３の軸方向の寸法Ｌ１は、多層フィルムＦの幅Ｌ２よりも大きい。

　図２３（ａ）に示すように、供給ケース２３２は、多層フィルムＦが通る供給開口２３２Ａを有している。供給開口２３２Ａは、供給リール３１に巻回された多層フィルムＦを外部に引き出すための開口であり、多層フィルムＦを供給ケース２３２の内側から外側へ案内する。巻取ケース３６は、多層フィルムＦが通る巻取開口３６Ａを有している。巻取開口３６Ａは、多層フィルムＦを巻取ケース３６の外側から内側へ案内する。多層フィルムＦは、供給開口２３２Ａに配置された第２開口シール部材１２０と巻取開口３６Ａの縁とで支持されることで、供給リール３１と巻取リール３５の間で張架される、つまり張った状態で架け渡されることが可能となっている。

　層転写用フィルムカートリッジＦＣは、供給リール３１の回転軸Ｘ１と巻取リール３５の回転軸Ｘ２を含む仮想平面ＦＦに直交する方向において、筐体本体２１に着脱可能となっている。

　図２１に示すように、筐体本体２１は、第１ガイドＧＤ１と、第２ガイドＧＤ２とを有している。第１ガイドＧＤ１および第２ガイドＧＤ２の構成は図５に示す第１実施形態と同様である。第１ガイドＧＤ１は、層転写用フィルムカートリッジＦＣが筐体本体２１に着脱される際において、供給リール３１の供給軸部３１Ａをガイドする溝である。第１ガイドＧＤ１は、前述した着脱方向に沿って延び、当該着脱方向に供給軸部３１Ａをガイドしている。第１ガイドＧＤ１は、軸方向において、筐体本体２１の一端と他端にそれぞれ設けられている。

　第２ガイドＧＤ２は、層転写用フィルムカートリッジＦＣが筐体本体２１に着脱される際において、巻取リール３５の巻取軸部３５Ａをガイドする溝である。第２ガイドＧＤ２は、前述した着脱方向に沿って延び、当該着脱方向に巻取軸部３５Ａをガイドしている。第２ガイドＧＤ２は、軸方向において、筐体本体２１の一端と他端にそれぞれ設けられている。

　筐体カバー２２は、シャフト４３を、図２３（ａ）に示す第１位置から第２位置に向けて押圧する押圧部材を備えている。押圧部材は、筐体カバー２２の内側に固定されており、筐体カバー２２が閉まるときに、シャフト４３を第１位置から第２位置に向けて押圧する。なお、押圧部材の構成および配置ならびにシャフト４３との関係と作用は、図６を参照して説明した第１実施形態の押圧部材２２Ａと同様である。したがって、本実施形態の層転写用フィルムカートリッジＦＣの筐体本体２１への装着および取り外しも、第１実施形態と同様に行うことができる。

　図２２および図２３（ａ）に示すように、層転写用フィルムカートリッジＦＣは、供給ケース２３２の供給開口２３２Ａを塞ぐように設けられたシール構造１００を有している。シール構造１００は、第１接触部の一例としての第１開口シール部材１１０と、第２接触部の一例としての第２開口シール部材１２０とを有し、第１開口シール部材１１０と第２開口シール部材１２０との間で多層フィルムＦを引き出し可能に挟む構造である。

　第１開口シール部材１１０は、軸方向に長い長尺のシール部材であり、供給開口２３２Ａの周縁部のうちの巻取リール３５から遠い縁部に配置されている。これにより、第１開口シール部材１１０は、多層フィルムＦの転写層Ｆ２２（図１（ｂ）参照）側の面である第２面ＦＢに接触する。第２開口シール部材１２０は、軸方向に長い長尺のシール部材であり、供給開口２３２Ａの周縁部のうちの巻取リール３５に近い縁部に配置されている。これにより、第２開口シール部材１２０は、多層フィルムＦの支持層Ｆ１（図１（ｂ）参照）側の面である第１面ＦＡに接触する。

　第１開口シール部材１１０および第２開口シール部材１２０は、いずれも、弾性体からなる。第１開口シール部材１１０および第２開口シール部材１２０を構成する弾性体は、弾性を有するとともに、多層フィルムＦとの摺動性が高い材料である。弾性体は、例えば、ポリウレタンからなる。

　図２４に示すように、層転写用フィルムカートリッジＦＣは、端部シール部材１３０を備えている。端部シール部材１３０は、供給リール３１の供給軸部３１Ａと供給ケース２３２との間の隙間を塞ぐ略円筒状のシール部材であり、開口シール部材１１０，１２０と同様に、ポリウレタンなどの弾性体からなる。供給軸部３１Ａは、「軸部」の一例である。

　供給ケース２３２は、略円筒状の円筒壁３２Ｅと、円筒壁３２Ｅの軸方向の端を閉じるように設けられた一対の側壁３２Ｆとを有している。一対の側壁３２Ｆは、供給軸部３１Ａを回転可能に支持する壁である。供給リール３１の供給軸部３１Ａは、軸方向の両端部が側壁３２Ｆから供給ケース２３２の外部に突出している。端部シール部材１３０は、供給軸部３１Ａと側壁３２Ｆとの間に配置され、供給軸部３１Ａと側壁３２Ｆとの間の隙間を塞いでいる。端部シール部材１３０は、軸方向において、供給軸部３１Ａの一端と他端にそれぞれ設けられている。

　図２３（ａ）に示すように、層転写用フィルムカートリッジＦＣは、乾燥剤１４０をさらに備えている。乾燥剤１４０は、例えば、シリカゲルなどであり、供給リール３１に巻回された多層フィルムＦとともに供給ケース２３２内に配置されている。乾燥剤１４０は、円筒壁３２Ｅの内面に形成された凹部３２Ｈに配置され、供給ケース２３２に対して動かないように固定された状態で設けられている。

　以上によれば、第３実施形態において以下のような効果を得ることができる。
　シール構造１００によって供給ケース２３２を密閉することができるので、供給ケース２３２内への水蒸気の侵入を抑制することができ、多層フィルムＦの劣化を抑制することができる。

　多層フィルムＦの転写層Ｆ２２側の第２面ＦＢに接触する第１開口シール部材１１０が弾性体からなるので、多層フィルムＦの転写層Ｆ２２を保護することができる。

　多層フィルムＦを挟む第１開口シール部材１１０と第２開口シール部材１２０の両方が弾性体からなるので、多層フィルムＦを挟む部材が弾性体から構成されてない場合と比較して、多層フィルムＦを保護することができる。

　層転写用フィルムカートリッジＦＣが供給リール３１の供給軸部３１Ａと供給ケース２３２の側壁３２Ｆとの間の隙間を塞ぐ端部シール部材１３０を備えるので、供給ケース２３２の密閉性を高めることができる。これにより、多層フィルムＦの劣化をより抑制することができる。

　層転写用フィルムカートリッジＦＣが供給リール３１に巻回された多層フィルムＦとともに供給ケース２３２内に配置された乾燥剤１４０を備えるので、供給ケース２３２内の湿度上昇を抑えることができる。これにより、多層フィルムＦの劣化をより一層抑制することができる。

　なお、本実施形態では、シール構造１００の、多層フィルムＦの第１面ＦＡに接触する部分（第２接触部）が弾性体からなる構成であったが、これに限定されない。第２接触部は、例えば、供給ケース２３２の供給開口２３２Ａの縁などであってもよい。つまり、第２接触部は、弾性体からなる構成でなくてもよい。また、供給ケース２３２の、前述した効果を達成するための密閉性を確保できるのであれば、第１接触部も、弾性体からなる構成でなくてもよい。

　次に、第４実施形態について説明する。なお、以下では、先に説明した第３実施形態と同様の点については部材に同一の符号を付すなどして適宜説明を省略し、第３実施形態と異なる点について詳細に説明する。
　図２５および図２６に示すように、層転写用フィルムカートリッジＦＣの供給部３１０は、供給リール３１と、収容部材２１０と、カバー部材２２０とを主に備えている。

　収容部材２１０は、供給リール３１を収容する部材であり、樹脂などからなり、中空の略円柱状に形成されている。詳しくは、収容部材２１０は、供給リール３１の供給軸部３１Ａに巻回された多層フィルムＦを内部に収容している。収容部材２１０は、略円筒状の筒状壁２１１と、一対の側壁２１２とを有している。

　筒状壁２１１は、供給開口２１１Ａと、露出開口２１１Ｂとを有している。供給開口２１１Ａは、供給リール３１に巻回された多層フィルムＦを外部に引き出すための開口である。第１ハンドル８１は、筒状壁２１１（収容部材２１０）の外周面から、回転軸Ｘ１に交差する方向、詳しくは直交する方向に突出している。

　側壁２１２は、供給軸部３１Ａを回転可能に支持する壁であり、筒状壁２１１の軸方向の端を閉じるように設けられている。前述した第３実施形態と同様に、供給リール３１の供給軸部３１Ａは、軸方向の両端部が側壁２１２から収容部材２１０の外部に突出しており、層転写用フィルムカートリッジＦＣは、供給軸部３１Ａと側壁２１２との間の隙間を塞ぐ略円筒状の端部シール部材２３０を備えている。端部シール部材２３０は、ポリウレタンなどの弾性体からなり、軸方向において、供給軸部３１Ａの一端と他端にそれぞれ設けられている。

　カバー部材２２０は、供給開口２１１Ａを開閉可能な部材であり、樹脂などからなる。カバー部材２２０は、略半円筒状の弧状壁２２１と、弧状壁２２１の軸方向の両側に設けられた一対の保持部２２２とを有している。弧状壁２２１は、供給開口２１１Ａを開閉するカバー部２２１Ａと、乾燥剤２４０が配置される凹部２２１Ｂと、層転写用フィルムカートリッジＦＣが筐体本体２１に装着されたときに筐体本体２１の規制凹部２１Ｂ（図２８参照）に係合する被規制部２２１Ｃとを有している。保持部２２２は、軸方向において、収容部材２１０の一端と他端を回動可能に保持している。

　カバー部材２２０は、収容部材２１０に対して移動可能に設けられている。詳しくは、カバー部材２２０は、収容部材２１０に対し、供給開口２１１Ａを開いた状態とする図２６（ａ）に示す開位置と、カバー部２２１Ａが供給開口２１１Ａを覆って閉じた状態とする図２６（ｂ）に示す閉位置との間を回動可能に設けられている。本実施形態では、ユーザが第１ハンドル８１を掴んでカバー部材２２０に対して収容部材２１０を回動させることで、カバー部材２２０が収容部材２１０に対して開位置と閉位置との間を相対的に移動する。

　カバー部材２２０は、第１シール部材２５１を有し、収容部材２１０は、第２シール部材２５２を有している。第１シール部材２５１および第２シール部材２５２は、いずれも、弾性体からなり、軸方向に長い長尺な板状に形成されている。第１シール部材２５１および第２シール部材２５２を構成する弾性体は、弾性を有するとともに、多層フィルムＦとの摺動性が高い材料である。弾性体は、例えば、ポリウレタンからなる。

　第１シール部材２５１は、カバー部２２１Ａの端面から内面にわたって配置され、接着剤などによりカバー部２２１Ａに固着されている。第２シール部材２５２は、収容部材２１０の供給開口２１１Ａの周縁部のうちの巻取リール３５から遠い縁部に配置され、接着剤などにより供給開口２１１Ａの周縁部に固着されている。

　図２７に示すように、第１シール部材２５１および第２シール部材２５２の軸方向の寸法Ｌ５は、供給開口２１１Ａの軸方向の寸法Ｌ６よりも大きい。なお、第１シール部材２５１の軸方向の寸法と、第２シール部材２５２の軸方向の寸法は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。

　図２６（ｂ）に示すように、カバー部材２２０は、供給開口２１１Ａを閉じた状態において、収容部材２１０との間で供給開口２１１Ａから引き出された多層フィルムＦを挟むように設けられている。詳しくは、カバー部材２２０が供給開口２１１Ａを閉じた状態において、カバー部材２２０の第１シール部材２５１が多層フィルムＦに接触する。このとき、カバー部材２２０が供給開口２１１Ａを閉じた状態において、収容部材２１０の第２シール部材２５２も多層フィルムＦに接触し、第２シール部材２５２は第１シール部材２５１との間で供給開口２１１Ａから引き出された多層フィルムＦを挟む。

　また、第１シール部材２５１は、カバー部材２２０が供給開口２１１Ａを閉じた状態において、収容部材２１０の供給開口２１１Ａの周縁部に接触する。詳しくは、第１シール部材２５１は、供給開口２１１Ａの周縁部のうちの第２シール部材２５２が固着された部分に、多層フィルムＦおよび第２シール部材２５２を介して接触する。

　層転写用フィルムカートリッジＦＣは、乾燥剤２４０をさらに備えている。乾燥剤２４０は、例えば、シリカゲルなどであり、カバー部材２２０に形成された凹部２２１Ｂに配置されている。乾燥剤２４０は、カバー部材２２０に対して動かないように固定された状態で設けられている。凹部２２１Ｂは、カバー部材２２０が供給開口２１１Ａを閉じた状態である閉位置に位置する場合において、供給リール３１の回転方向の位置が露出開口２１１Ｂと重なる。このため、乾燥剤２４０は、カバー部材２２０が閉位置に位置する場合に露出開口２１１Ｂから収容部材２１０内に露出し、供給リール３１に巻回された多層フィルムＦと同じ空間内に配置される。

　図２８に示すように、筐体カバー２２は、収容部材２１０をカバー部材２２０に対して、図２５（ｂ）および図２８（ａ）に示す閉位置から、図２５（ａ）および図２８（ｂ）に示す開位置に移動させるカートリッジ押圧部２２Ｂを有している。カートリッジ押圧部２２Ｂは、筐体カバー２２に一体に形成されており、筐体カバー２２を閉じる場合に、層転写用フィルムカートリッジＦＣの一部を押圧する。詳しくは、カートリッジ押圧部２２Ｂは、層転写用フィルムカートリッジＦＣが筐体本体２１に装着された状態において、第１ハンドル８１と接触可能な位置に配置されている。これにより、カートリッジ押圧部２２Ｂは、筐体カバー２２が閉じる際に、層転写用フィルムカートリッジＦＣの一部である第１ハンドル８１を押圧可能となっている。

　次に、第４実施形態に係る層転写装置１の作用効果について説明する。
　図２８（ａ）に示すように、ユーザが第１ハンドル８１および第２ハンドル８２を掴んで層転写用フィルムカートリッジＦＣを筐体本体２１に装着すると、カバー部材２２０の被規制部２２１Ｃが筐体本体２１に設けられた規制凹部２１Ｂに係合する。これにより、筐体本体２１に対するカバー部材２２０の位置が規制され、カバー部材２２０が筐体２に対して動かなくなる。

　その後、ユーザが筐体カバー２２を閉めていくと、カートリッジ押圧部２２Ｂが収容部材２１０に設けられた第１ハンドル８１と接触する。そして、ユーザが筐体カバー２２をさらに閉めていくと、カートリッジ押圧部２２Ｂが第１ハンドル８１を押圧することで、収容部材２１０が図示時計回りに回動する。これにより、カバー部材２２０が収容部材２１０に対して閉位置から開位置に向けて相対的に移動していく。そして、図２８（ｂ）に示すように、筐体カバー２２が完全に閉じられると、カバー部材２２０は、収容部材２１０に対して開位置となる。

　なお、筐体カバー２２を閉めていくときに、図２８（ａ）に示す第１位置に位置するシャフト４３が筐体カバー２２の押圧部材２２Ａにより押圧されて図２８（ｂ）に示す第２位置に移動することは、第１実施形態および第３実施形態と同様である。

　層転写用フィルムカートリッジＦＣを筐体２から取り外す場合には、ユーザが筐体カバー２２を開けた後、手で支持部材９０を回動させてシャフト４３を第２位置から第１位置に移動させるとともに、手で第１ハンドル８１を図示反時計回りに回動させる。これにより、収容部材２１０が図示反時計回りに回動し、カバー部材２２０が収容部材２１０に対して開位置から閉位置に向けて相対的に移動する。そして、カバー部材２２０を収容部材２１０に対して閉位置とした後、ユーザが第１ハンドル８１および第２ハンドル８２を持って層転写用フィルムカートリッジＦＣを引き出すことで、層転写用フィルムカートリッジＦＣを筐体本体２１から取り外すことができる。

　図２６（ｂ）に示すように、カバー部材２２０が閉位置に移動すると、多層フィルムＦが収容部材２１０の第２シール部材２５２とカバー部材２２０の第１シール部材２５１との間に挟まれた状態で供給開口２１１Ａが閉じられ、収容部材２１０内が密閉状態となる。また、カバー部材２２０が閉位置に移動すると、乾燥剤２４０が露出開口２１１Ｂから露出し、収容部材２１０内の水蒸気を吸収可能となる。

　以上によれば、第４実施形態において以下のような効果を得ることができる。
　収容部材２１０の供給開口２１１Ａをカバー部材２２０で覆うことで収容部材２１０を密閉することができるので、収容部材２１０内への水蒸気の侵入を抑制することができ、多層フィルムＦの劣化を抑制することができる。

　カバー部材２２０が多層フィルムＦに接触する、弾性体からなる第１シール部材２５１を有するので、例えば、カバー部２２１Ａが多層フィルムＦに直接接触する場合と比較して、多層フィルムＦを保護することができる。

　第１シール部材２５１は、カバー部材２２０が供給開口２１１Ａを閉じた状態において、供給開口２１１Ａの周縁部に接触するので、収容部材２１０の密閉性を高めることができる。これにより、多層フィルムＦの劣化をより抑制することができる。

　収容部材２１０が、第１シール部材２５１との間で多層フィルムＦを挟む、弾性体からなる第２シール部材２５２を有するので、多層フィルムＦを挟む部材が弾性体から構成されてない場合と比較して、多層フィルムＦを保護することができる。

　層転写用フィルムカートリッジＦＣが供給リール３１の供給軸部３１Ａと収容部材２１０の側壁２１２との間の隙間を塞ぐ端部シール部材２３０を備えるので、収容部材２１０の密閉性を高めることができる。これにより、多層フィルムＦの劣化をより抑制することができる。

　層転写用フィルムカートリッジＦＣが、カバー部材２２０が閉位置に位置する場合に供給リール３１に巻回された多層フィルムＦと同じ空間内に配置される乾燥剤２４０を備えるので、多層フィルムＦが配置される空間内（収容部材２１０内）の湿度上昇を抑えることができる。これにより、多層フィルムＦの劣化をより一層抑制することができる。

　層転写用フィルムカートリッジＦＣは、筐体本体２１に装着された後、ユーザが筐体カバー２２を閉じるまではカバー部材２２０が閉位置に位置するので、収容部材２１０が密閉され、多層フィルムＦの劣化を抑制することができる。また、ユーザが筐体カバー２２を閉じることで、カートリッジ押圧部２２Ｂによりカバー部材２２０が閉位置から開位置に自動的に移動するので、カバー部材２２０の開け忘れを防止することができる。

　なお、本実施形態では、層転写用フィルムカートリッジＦＣは、ユーザが筐体カバー２２を開けた後、手で第１ハンドル８１を回動させることでカバー部材２２０を開位置から閉位置に移動させる構成であったが、これに限定されない。例えば、層転写用フィルムカートリッジＦＣは、収容部材２１０をカバー部材２２０に対して図２８の反時計回りに回動するように付勢する付勢部材を備え、筐体カバー２２を開けることで、収容部材２１０が自動的に回動してカバー部材２２０が開位置から閉位置に自動的に移動する構成であってもよい。

　また、本実施形態では、乾燥剤２４０は、カバー部材２２０が閉位置に位置する場合にのみ供給リール３１に巻回された多層フィルムＦと同じ空間内に配置される構成であったが、これに限定されない。乾燥剤は、例えば、収容部材内に配置されていてもよい。つまり、乾燥剤は、カバー部材が閉位置に位置する場合に限らず、常時、供給リールに巻回された多層フィルムと同じ空間内に配置されていてもよい。

　また、本実施形態では、筐体２は、筐体カバー２２に設けられたカートリッジ押圧部２２Ｂを有し、筐体カバー２２を閉めることでカバー部材２２０が閉位置から開位置に移動したが、これに限定されない。例えば、筐体および層転写用フィルムカートリッジは、層転写用フィルムカートリッジを筐体本体に装着したり、層転写用フィルムカートリッジを筐体本体に装着した後に筐体カバーを閉じたりする場合に層転写用フィルムカートリッジに作用してカバー部材を閉位置から開位置に移動させ、かつ、筐体カバーを開いたり、層転写用フィルムカートリッジを筐体本体から取り外したりする場合に層転写用フィルムカートリッジに作用してカバー部材を開位置から閉位置に移動させる構成を有していてもよい。

　次に、第５実施形態について説明する。
　図２９に示すように、層転写用フィルムカートリッジＦＣの供給部３１０は、供給リール３１と、収容部材４１０と、カバー部材４２０とを主に備えている。
　収容部材４１０は、供給リール３１を収容する部材であり、樹脂などからなり、中空の略円柱状に形成されている。収容部材４１０は、供給リール３１に巻回された多層フィルムＦを外部に引き出すための開口である供給開口４１１Ａを有している。

　カバー部材４２０は、供給開口４１１Ａを開閉可能な部材であり、樹脂などからなる。カバー部材４２０は、収容部材４１０に対して着脱可能であり、図３０に示す収容部材４１０に装着された状態において、供給開口４１１Ａを覆うように設けられている。カバー部材４２０は、スナップフィットによって収容部材４１０に対して着脱可能である。

　詳しくは、図２９および図３１に示すように、収容部材４１０は、その外周面から突出するように設けられた、２つのフック部４１１と、カバー掛止部４１２とを有している。また、カバー部材４２０は、カバー本体４２１と、３つの爪部４２２と、２つのフック掛止部４２３とを有している。

　フック部４１１は、収容部材４１０の外周面のうち、供給開口４１１Ａよりも巻取リール３５に近い位置に設けられている。フック部４１１は、供給リール３１の回転方向に沿って、弾性的に撓み変形可能である。フック部４１１は、軸方向において、多層フィルムＦの外側に１つずつ設けられている。このため、供給部３１０と巻取部３５０の間で張架される多層フィルムＦは、軸方向において２つのフック部４１１の間に位置している。

　カバー掛止部４１２は、収容部材４１０の外周面のうち、供給開口４１１Ａよりも巻取リール３５から遠い位置に設けられている。カバー掛止部４１２は、軸方向に長い形状に形成されている。カバー掛止部４１２は、軸方向における両端部と中央の３箇所にカバー部材４２０の爪部４２２が係合する係合穴４１２Ａを有している。

　カバー本体４２１は、カバー部材４２０が収容部材４１０に装着された状態において、供給開口４１１Ａを覆って閉じる部分であり、軸方向に長い長尺の略板状に形成されている。爪部４２２は、カバー本体４２１の軸方向における両端部と中央の３箇所から突出している。

　フック掛止部４２３は、フック部４１１が係合する部分であり、フック部４１１を通すための挿通孔４２３Ａと、挿通孔４２３Ａの周縁部の一部を形成するとともにフック部４１１が引っ掛かる掛止部４２３Ｂとを有している。

　カバー部材４２０は、第１シール部材４５１を有し、収容部材４１０は、第２シール部材４５２を有している。第１シール部材４５１および第２シール部材４５２は、いずれも、弾性体からなり、軸方向に長い矩形の枠状に形成されている。第１シール部材４５１および第２シール部材４５２を構成する弾性体は、弾性を有するとともに、多層フィルムＦとの摺動性が高い材料である。弾性体は、例えば、ポリウレタンからなる。

　第２シール部材４５２は、供給開口４１１Ａを取り囲むように、収容部材４１０の供給開口４１１Ａの周縁部に配置され、接着剤などにより供給開口２１１Ａの周縁部に固着されている。第１シール部材２５１は、カバー部材４２０が収容部材４１０に装着された状態において、カバー本体４２１の供給開口４１１Ａと対向する部分を取り囲むように配置され、接着剤などによりカバー本体４２１に固着されている。

　図３１に示すように、カバー部材４２０は、収容部材４１０に装着されて供給開口４１１Ａを閉じた状態において、収容部材４１０との間で供給開口４１１Ａから引き出された多層フィルムＦを挟むように構成されている。詳しくは、カバー部材４２０が供給開口４１１Ａを閉じた状態において、カバー部材４２０の第１シール部材４５１が多層フィルムＦに接触する。このとき、カバー部材４２０が供給開口４１１Ａを閉じた状態において、収容部材４１０の第２シール部材４５２が多層フィルムＦに接触し、第２シール部材４５２は第１シール部材４５１との間で供給開口４１１Ａから引き出された多層フィルムＦを挟む。

　また、第１シール部材４５１は、カバー部材４２０が供給開口４１１Ａを閉じた状態において、収容部材４１０の供給開口４１１Ａの周縁部に接触する。詳しくは、第１シール部材４５１は、供給開口２１１Ａの周縁部に全周にわたって、多層フィルムＦや第２シール部材４５２を介して接触する。

　次に、第５実施形態に係る層転写用フィルムカートリッジＦＣの作用効果について説明する。
　ユーザがカバー部材４２０を収容部材４１０に装着する場合には、カバー部材４２０の３つの爪部４２２を収容部材４１０のカバー掛止部４１２に設けられた対応する係合穴４１２Ａに係合させるとともに、収容部材４１０の２つのフック部４１１をカバー部材４２０の挿通孔４２３Ａに通して掛止部４２３Ｂに引っ掛ける。これにより、カバー部材４２０を収容部材４１０に装着することができる。このとき、第１シール部材４５１および第２シール部材４５２は、多層フィルムＦを挟んで互いに接触し、カバー部材４２０と収容部材４１０との間で押し縮められて密着する。

　ユーザがカバー部材４２０を収容部材４１０から取り外す場合には、収容部材４１０のフック部４１１を供給開口４１１Ａに近づく方向に押して撓ませ、フック部４１１と掛止部４２３Ｂとの係合を解除する。そうすると、押し縮められていた第１シール部材４５１と第２シール部材４５２の復元力によってカバー部材４２０の端部が押し上げられ、フック部４１１がフック掛止部４２３から外れる。その後、ユーザがカバー部材４２０を引っ張って爪部４２２をカバー掛止部４１２の係合穴４１２Ａから引き抜くことで、カバー部材４２０を収容部材４１０から取り外すことができる。

　そして、カバー部材４２０を取り外した層転写用フィルムカートリッジＦＣを、筐体本体２１（図２１参照）に装着して筐体カバー２２を閉じることで、層転写装置１による層転写が可能となる。

　以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
　収容部材４１０の供給開口４１１Ａをカバー部材４２０で覆うことで収容部材４１０を密閉することができるので、収容部材４１０内への水蒸気の侵入を抑制することができ、多層フィルムＦの劣化を抑制することができる。

　第１シール部材４５１が供給開口４１１Ａの周縁部に全周にわたって接触するので、収容部材４１０の密閉性を高めることができ、これによって、多層フィルムＦの劣化をより抑制することができる。

　カバー部材４２０が第１シール部材４５１を有するので、多層フィルムＦを保護することができる。また、収容部材４１０が、第１シール部材４５１との間で多層フィルムＦを挟む第２シール部材４５２を有するので、多層フィルムＦを保護することができる。

　なお、本実施形態の層転写用フィルムカートリッジＦＣは、先に説明した実施形態と同様に、端部シール部材や乾燥剤を備えていてもよい。

　また、本実施形態で説明したスナップフィットの構成は一例であり、他のさまざまな構成が実施可能である。スナップフィットの構成は、例えば、カバー部材に設けたフック部が、収容部材に設けた穴などに係合する構成であってもよい。また、本実施形態では、カバー部材４２０がスナップフィットによって収容部材４１０に対して着脱可能であったが、これに限定されず、例えば、カバー部材に設けた、繰り返し、剥がしたり、貼ったりすることが可能な粘着剤によってカバー部材が収容部材に対して着脱可能であってもよい。

　以上に第３実施形態から第５実施形態について説明したが、これらの実施形態は、以下に例示するように適宜変形して実施することができる。

　第３実施形態および第４実施形態では、層転写用フィルムカートリッジＦＣが端部シール部材１３０，２３０を備えていたが、これに限定されない。例えば、供給リールの軸部と収容部材の側壁との間の密閉性が高い構造や、軸部の端部が側壁から外部に突出していない構造であれば、端部シール部材を備えない構成としてもよい。

　第３実施形態および第４実施形態では、層転写用フィルムカートリッジＦＣが乾燥剤１４０，２４０を備えていたが、これに限定されない。例えば、シール構造などにより収容部材の密閉性が十分に確保できる構造であれば、乾燥剤を備えない構成としてもよい。

　第４実施形態および第５実施形態では、カバー部材が第１シール部材を有し、収容部材が第２シール部材を有していたが、これに限定されない。例えば、第１シール部材および第２シール部材のうちの一方だけで収容部材の密閉性を確保できるのであれば、他方を省略してもよい。また、シール部材がなくてもカバー部材を閉じた状態において収容部材の密閉性を確保できる構造であれば、第１シール部材および第２シール部材の両方を省略してもよい。

　前記実施形態では、収容部材として、中空の略円柱状に形成された硬質の供給ケース２３２などを例示したが、これに限定されない。収容部材は、例えば、図３２に示す収容袋５１０のような、樹脂などからなる柔軟な袋状の部材などであってもよい。

　なお、第３実施形態では、シール構造１００が２つの開口シール部材１１０，１２０から構成されていたが（図２２参照）、図３２に示す層転写用フィルムカートリッジＦＣのシール構造１００は、収容袋５１０の供給開口５１１Ａを塞ぐように設けられた１つの開口シール部材１００Ａからなる構成である。詳しくは、図３３に示すように、開口シール部材１００Ａは、多層フィルムＦを通すためのスリット１０３を有している。

　このシール構造１００（開口シール部材１００Ａ）は、スリット１０３を挟んで設けられた第１接触部１０１と第２接触部１０２とを有し、第１接触部１０１と第２接触部１０２との間で多層フィルムＦを引き出し可能に挟む構造となっている。図３２に示すように、第１接触部１０１は、多層フィルムＦの第２面ＦＢに接触し、第２接触部１０２は、多層フィルムＦの第１面ＦＡに接触する。

　前記実施形態では、層転写用フィルムカートリッジＦＣが供給リール３１と巻取リール３５を備えていたが、これに限定されない。層転写用フィルムカートリッジは、例えば、図３２に示す層転写用フィルムカートリッジＦＣのように、供給リール３１を備えるが、巻取リールを備えない構成であってもよい。

　第６実施形態について、主に図３４～３９を参照しながら詳細に説明する。以下の説明においては、第１実施形態と略同様の構造となる部材には同一の符号を付し、その説明は省略する。

　図３４に示すように、層転写装置１は、筐体２と、シート搬送部１０と、フィルム供給部３０と、転写部５０と、を備えている。フィルム供給部３０は、層転写用フィルムカートリッジＦＣと、第１案内軸４１と、第２案内軸４２と、駆動源としてのメインモータＭを備えている。

　層転写用フィルムカートリッジＦＣは、図３５に示すように、筐体開口２１Ａを通して筐体本体２１に着脱可能となっている。層転写用フィルムカートリッジＦＣは、図１（ｂ）に示すような複数の層からなる多層フィルムＦを支持するカートリッジである。層転写用フィルムカートリッジＦＣは、供給部３１０と、巻取部３５０と、シャフト４３と、を主に備えている。供給部３１０は、供給リール３１を有する。巻取部３５０は、巻取リール３５を有する。供給リール３１には、多層フィルムＦが巻回されている。

　なお、層転写用フィルムカートリッジＦＣが新品の状態、すなわち、後述する供給ケース３２内における供給リール３１に巻回された多層フィルムＦが一切層転写に使用されていない状態においては、供給リール３１に巻回されたロール状の多層フィルムＦの径は最大となっており、巻取リール３５には多層フィルムＦが巻回されていない、もしくは、巻取リール３５に巻回されたロール状の多層フィルムＦの径は最小となっている。つまり、層転写用フィルムカートリッジＦＣが新品の状態においては、供給ケース３２内の未使用の多層フィルムＦの巻回量としての多層フィルムＦの残量が、最大となる。また、層転写用フィルムカートリッジＦＣの寿命時、すなわち、供給ケース３２内の多層フィルムＦを層転写のために使い切ったときにおいては、巻取リール３５に巻回されたロール状の多層フィルムＦの径は最大となり、供給リール３１には多層フィルムＦが巻回されていない、もしくは、供給リール３１に巻回されたロール状の多層フィルムＦの径は最小となる。つまり、層転写用フィルムカートリッジＦＣの寿命時においては、多層フィルムＦの残量が最少となる。

　図３６に示すように、層転写用フィルムカートリッジＦＣは、前述した供給部３１０、巻取部３５０およびシャフト４３の他、連結部７０と、ハンドル８０とを備えている。供給部３１０は、前述した供給リール３１の他、供給ケース３２を有している。また、巻取部３５０は、前述した巻取リール３５の他、巻取ケース３６と、支持部材９０とを備えている。

　供給ケース３２は、連結部７０に対して回転軸Ｘ１回りに回転しないように、連結部７０に係合または固定されている。供給ケース３２は、外周面の一部に設けられた平面３２Ｂを有している。本実施形態では、平面３２Ｂは、軸方向と軸間方向に延びている。平面３２Ｂが筐体本体２１の平面部分に接触することで、層転写用フィルムカートリッジＦＣが筐体本体２１に支持される（図３４参照）。

　支持部材９０は、シャフト４３を支持する部材である。支持部材９０は、第１側板９１と、第２側板９２とを有している。本実施形態において、第１側板９１および第２側板９２は、巻取ケース３６に揺動可能に支持されている。これにより、層転写用フィルムカートリッジＦＣを着脱するときには、第１側板９１および第２側板９２が揺動して、シャフト４３が第２案内軸４２を避けることができる。

　層転写用フィルムカートリッジＦＣは、軸方向および軸間方向に直交する所定方向において、筐体本体２１に着脱可能となっている。なお、本実施形態では、この所定方向を、「着脱方向」とも称する。

　図３７（ａ），（ｂ），（ｃ）に示すように、層転写用フィルムカートリッジＦＣは、残量表示部材５００と、バネ５１６とをさらに備える。

　残量表示部材５００は、多層フィルムＦの残量を表示する部材である。残量表示部材５００は、図３７（ａ）に示すような層転写用フィルムカートリッジＦＣが新品であることを示す新品位置と、図３７（ｂ）に示すような多層フィルムＦが未使用であることを示す初期位置と、図３７（ｃ）に示すような多層フィルムＦが空であることを示す最終位置とに移動可能である。

　層転写用フィルムカートリッジＦＣが新品である状態とは、層転写用フィルムカートリッジＦＣが筐体本体２１に装着されて電源がＯＮされ、且つ、筐体カバー２２が閉じられた状態に一度もなったことがない状態をいう。

　層転写用フィルムカートリッジＦＣが未使用である状態とは、筐体本体２１に装着されて電源がＯＮされ、且つ、筐体カバー２２が閉じられた状態になったことはあるが、一度も層転写に使われていない状態をいう。

　多層フィルムＦが空である状態とは、層転写用フィルムカートリッジＦＣの寿命時、すなわち、供給ケース３２内の多層フィルムＦを層転写のために使い切った状態をいう。

　残量表示部材５００は、細長い板状で略直方体の形状を有する１つの部品からなり、巻取リール３５の軸に沿った軸方向に直交する直交方向に長く延びている。残量表示部材５００の長手方向における一端は、巻取ケース３６に対して揺動支点５１３を支点として揺動可能に支持されている。

　また、残量表示部材５００は、接触部５１１と、表示端部５１２とを有する。表示端部５１２は、残量表示部材５００の長手方向における他端である。表示端部５１２は、巻取ケース３６の外側に位置する。表示端部５１２は、接触部５１１の移動に応じて移動することで多層フィルムＦの残量を巻取ケース３６の外部に表示可能となっている。表示端部５１２は、巻取ケース３６から供給リール３１とは反対側に突出している。

　接触部５１１は、巻取リール３５に巻回されている多層フィルムＦの面に接触し、多層フィルムＦの巻回量に応じて移動する部分である。接触部５１１は、残量表示部材５００の長手方向における一端と他端との間の部分である。すなわち、接触部５１１は、表示端部５１２と揺動支点５１３の間に位置する。

　バネ５１６は、一例として、引っ張りバネである。バネ５１６は、一端がバネ係合部５１４に係合し、他端が巻取ケース３６の一部に係合している。バネ係合部５１４は、残量表示部材５００に取り付けられている。バネ係合部５１４は、接触部５１１と揺動支点５１３との間に位置する。バネ５１６は、接触部５１１を巻取軸部３５Ａに向けて、つまり、巻取リール３５に巻回された多層フィルムＦに向けて付勢する。

　図３８（ａ），（ｂ），（ｃ）に示すように、巻取ケース３６は、軸方向に沿った側壁にＬ字形状の貫通孔５３０を有する。貫通孔５３０は、軸方向に直交する方向に延びる第１孔５３１と、第１孔５３１から軸方向の一方に向けて延びる第２孔５３２とを有する。

　残量表示部材５００は、貫通孔５３０を通って巻取ケース３６の内側から外側に突出している。残量表示部材５００の、巻取ケース３６から突出した端部が、多層フィルムＦの残量を表示する表示端部５１２となっている。

　図３８（ａ）に示すように、残量表示部材５００は、層転写用フィルムカートリッジＦＣが新品である場合、貫通孔５３０における第２孔５３２の部分を通っている。このとき、残量表示部材５００は、バネ５１６により第２孔５３２の軸方向に延びる縁に付勢されて、第２孔５３２の位置に維持される。すなわち、第２孔５３２の軸方向に延びる縁が、残量表示部材５００を新品位置にロックするロック部５３５として機能する。

　層転写装置１は、筐体カバー２２が閉じられ、且つ電源がＯＮされたときに、筐体本体２１に装着されている新品の層転写用フィルムカートリッジＦＣの残量表示部材５００を軸方向に押圧するアクチュエータを有している（図示省略）。このアクチュエータは、残量表示部材５００の表示端部５１２に接触し、残量表示部材５００を第２孔５３２の位置すなわち新品位置から第１孔５３１に向けて移動させるようになっている。図３８（ｂ）に示すように、アクチュエータに押圧されて第２孔５３２の位置から第１孔５３１内に移動した残量表示部材５００は、バネ５１６により付勢されて、軸方向に直交する方向において第２孔５３２から離れた位置に移動する。すなわち、残量表示部材５００は、初期位置に移動する。残量表示部材５００は、第１孔５３１に沿って軸方向に直交する方向に揺動可能となる。

　図３６に示すように、層転写装置１は、光センサ１９０をさらに備えている。光センサ１９０は、発光部１９１と受光部１９２とを有する。受光部１９２は、発光部１９１から出射された光ＬＢを受光可能に、発光部１９１に向かい合って設けられている。光センサ１９０は、発光部１９１と受光部１９２の間に、光ＬＢを遮るものが何もない場合、受光部１９２が光ＬＢを受光してハイレベルとなるＯＮ信号を出力する。一方、光センサ１９０は、発光部１９１と受光部１９２の間に、光ＬＢを遮るものがある場合、受光部１９２が光ＬＢを受光せず、ローレベルとなるＯＦＦ信号を出力する。ＯＮ信号とＯＦＦ信号のレベルは逆であってもよい。

　図３７（ａ）に示すように、表示端部５１２は、残量表示部材５００が新品位置にある場合において、光センサ１９０の光ＬＢよりも、巻取軸部３５Ａから離れた位置に位置する。本実施形態において、新品位置は、図３７（ｃ）に示す最終位置よりも巻取リール３５の回転中心から離れた位置である。
　図３７（ｂ）に示すように、表示端部５１２は、残量表示部材５００が初期位置にある場合において、光センサ１９０の光ＬＢよりも、巻取軸部３５Ａの近くに位置する。
　図３７（ｃ）に示すように、表示端部５１２は、残量表示部材５００が最終位置にある場合において、光センサ１９０の光ＬＢと重なる位置に位置する。

　以上のような構成により、層転写装置１は、次のような作用・効果を得ることができる。
　新品の層転写用フィルムカートリッジＦＣを層転写装置１に装着したとき、残量表示部材５００は、新品位置に位置し、巻取軸部３５Ａおよびそれに巻かれた多層フィルムＦから離れている。そして、層転写装置１の筐体カバー２２が閉まり、電源がＯＮとなると、図示しないアクチュエータなどの押圧機構が残量表示部材５００を軸方向に押圧する。すると、残量表示部材５００は、第２孔５３２から第１孔５３１に移動し、ロック部５３５のロックが外れるので、残量表示部材５００はバネ５１６に付勢されて図３７（ａ）に示す新品位置から図３７（ｂ）に示す初期位置に移動する。このとき、残量表示部材５００の表示端部５１２が光センサ１９０の光ＬＢの光路を通過する間だけ光ＬＢを遮るので、図３９（ａ）で示すように、光センサ１９０の波形は、ＯＮ信号からＯＦＦ信号となり、ＯＦＦ信号から再びＯＮ信号となる。層転写装置１は、この信号の変化を検知し、かつ、ＯＦＦ信号が出力されている時間が所定時間未満であった場合に、装着された層転写用フィルムカートリッジＦＣが新品であると判定することができる。所定時間は、残量表示部材５００が新品位置から初期位置まで移動するときに残量表示部材５００の表示端部５１２が光センサ１９０の光ＬＢの光路に入ってから通過するまでに要する時間よりも長い時間に設定されている。

　残量表示部材５００が初期位置に移動した後、層転写が実行されると、使用された多層フィルムＦが巻取リール３５に巻かれていくので、巻取リール３５に巻かれた多層フィルムＦの直径が大きくなる。巻取リール３５に巻かれた多層フィルムＦに接触している接触部５１１は、多層フィルムＦの直径が大きくなるのにしたがって巻取リール３５の軸から巻取リール３５の周面に向かう径方向に移動する。これにより、残量表示部材５００が初期位置から最終位置に向けて徐々に揺動していく。このため、ユーザは、表示端部５１２を見れば、多層フィルムＦの残量を知ることができる。残量表示部材５００の表示端部５１２が光センサ１９０の光ＬＢを遮らない間は、図３９（ｂ）で示すように、光センサ１９０の信号はＯＮ信号のままである。層転写装置１は、光センサ１９０のＯＮ信号を検知しているとき、多層フィルムＦが空でないことを判定することができる。

　そして、さらに巻取リール３５に多層フィルムＦが巻かれて残量表示部材５００が最終位置に達すると、図３９（ｃ）に示すように、表示端部５１２が光センサ１９０の光ＬＢを遮る。これにより、光センサ１９０の信号はＯＦＦ信号となる。層転写装置１は、光センサ１９０のＯＦＦ信号を所定時間以上継続して検知しているとき、多層フィルムＦが空であることを判定することができる。層転写装置１は、多層フィルムＦが空であると判定するとき、多層フィルムＦが空になったことや層転写用フィルムカートリッジＦＣの交換を促す旨を、例えば筐体カバー２２に設けられたディスプレイに表示させることができる。

　以上に説明した層転写用フィルムカートリッジＦＣによれば、残量表示部材５００の表示端部５１２が多層フィルムＦの残量を表示するので、多層フィルムＦの残量がわかりやすい。この残量表示部材５００は、層転写用フィルムカートリッジＦＣを層転写装置１に装着して状態であっても、外した状態であっても、多層フィルムＦの残量を表示できる。

　また、残量表示部材５００は、バネ５１６によって、接触部５１１を巻取リール３５に巻回された多層フィルムＦに向けて付勢されているので、接触部５１１を多層フィルムＦの面に安定して接触させることができる。例えば、層転写用フィルムカートリッジＦＣを層転写装置１から外して上下逆さまに置いたとしても、接触を維持できる。

　また、残量表示部材５００の表示端部５１２は、巻取ケース３６から供給リール３１とは反対側に突出しているので、表示端部５１２が巻取ケース３６と供給リール３１の間に位置しない。このため、ユーザは表示端部５１２を見やすい。

　また、層転写用フィルムカートリッジＦＣが新品である場合、ロック部５３５によって、残量表示部材５００が新品位置にロックされている。このため、残量表示部材５００によって、層転写用フィルムカートリッジＦＣが新品であるかを確認することができる。

　次に、第７実施形態について、図４０、図４１を参照して説明する。以下の説明においては、第６実施形態と略同様の構造となる部材には同一の符号を付し、その説明は省略する。

　第６実施形態では、残量表示部材５００が巻取ケース３６に設けられていたのに対し、第７実施形態では、残量表示部材５４０が供給ケース３２に設けられている。

　残量表示部材５４０は、接触部５４１と、表示端部５４２とを有している。残量表示部材５４０は、供給ケース３２に対して揺動支点５４３を支点として揺動可能に支持されている。バネ５４６は、一端がバネ係合部５４４に係合し、他端が供給ケース３２の一部に係合している。バネ係合部５４４は、残量表示部材５４０に取り付けられている。残量表示部材５４０は、バネ５４６によって、供給リール３１に巻回された多層フィルムＦに向けて付勢されている。接触部５４１は、供給リール３１に巻回されている多層フィルムＦの面に接触し、多層フィルムＦの巻回量に応じて移動する。表示端部５４２は、供給ケース３２から巻取リール３５とは反対側に突出している。表示端部５４２は、Ｌ字形状を有しており、供給ケース３２の外側で残量表示部材５４０が揺動する方向に屈曲している。

　図４０（ａ）に示すように、表示端部５４２は、残量表示部材５４０が新品位置にある場合において、光センサ１９０の光ＬＢよりも、供給軸部３１Ａから離れた位置に位置する。
　図４０（ｂ）に示すように、表示端部５４２は、残量表示部材５４０が初期位置にある場合において、光センサ１９０の光ＬＢと重なる位置に位置する。
　図４０（ｃ）に示すように、表示端部５４２は、残量表示部材５００が最終位置にある場合において、光センサ１９０の光ＬＢよりも、供給軸部３１Ａに近くに位置する。

　新品の層転写用フィルムカートリッジＦＣ２を層転写装置１に装着したとき、残量表示部材５４０は、新品位置に位置し、多層フィルムＦから離れている。そして、層転写装置１の電源をＯＮすると、図示しないアクチュエータなどの押圧機構が残量表示部材５４０を軸方向に押圧する。すると、ロック部５４５のロックが外れるので、残量表示部材５４０はバネ５４６に付勢されて図４０（ａ）に示す新品位置から図４０（ｂ）に示す初期位置に移動する。
　このとき、残量表示部材５４０の表示端部５４２が光センサ１９０の光ＬＢを遮るので、図４１（ａ）で示すように、光センサ１９０は、ＯＮ信号からＯＦＦ信号に切り替わる。層転写装置１は、押圧機構に押圧されてから所定時間以内に光センサ１９０の信号がＯＮ信号からＯＦＦ信号に切り替わることを検知して、装着された層転写用フィルムカートリッジＦＣ２が新品であると判定することができる。

　残量表示部材５４０が初期位置に移動した後、層転写が実行されると、多層フィルムＦが供給リール３１から供給されていくので、供給リール３１に巻かれた多層フィルムＦの直径が小さくなる。接触部５４１は、多層フィルムＦの直径が小さくなるのにしたがって移動し、これにより、残量表示部材５４０が初期位置から最終位置に向けて徐々に移動していく。このため、ユーザは、表示端部５４２を見れば、多層フィルムＦの残量を知ることができる。図４１（ｂ）に示すように、残量表示部材５４０の表示端部５４２が光センサ１９０の光ＬＢを遮っている間は、光センサ１９０の信号はＯＦＦ信号のままである。層転写装置１は、光センサ１９０のＯＦＦ信号を検知して、多層フィルムＦが空でないことを判定することができる。

　そして、さらに供給リール３１から多層フィルムＦが供給されて残量表示部材５４０が最終位置に達すると、図４０（ｃ）に示すように、表示端部５４２が光センサ１９０の光ＬＢを遮らない。これにより、図４１（ｃ）に示すように、光センサ１９０の信号はＯＮ信号となる。層転写装置１は、光センサ１９０のＯＮ信号を検知して、多層フィルムＦが空であることを判定することができる。
　このように、第７実施形態の層転写用フィルムカートリッジＦＣ２によっても、第６実施形態と同様に、多層フィルムＦの残量がわかりやすい。

　次に、第８実施形態について、図４２、図４３を参照して説明する。以下の説明においては、第６実施形態と略同様の構造となる部材には同一の符号を付し、その説明は省略する。

　第６実施形態では、残量表示部材が揺動することで、多層フィルムＦの残量を表示していたのに対して、図４２に示す第８実施形態の層転写用フィルムカートリッジＦＣ３では、残量表示部材５５０がスライドすることで多層フィルムＦの残量を表示する。なお、残量表示部材５５０は、供給ケース３２に設けてもよく、巻取ケース３６に設けてもよいが、代表して供給ケース３２に設けられた場合を説明する。

　図４２に示すように、層転写用フィルムカートリッジＦＣ３の残量表示部材５５０は、巻取リール３５の軸に沿った軸方向に直交する直交方向に延び、供給ケース３２に対してスライド移動可能である。残量表示部材５５０は、バネ５５６によって供給軸部３１Ａに向けて付勢されている。残量表示部材５５０は、接触部５５１と、表示端部５５２を有している。巻取リール３５の軸に沿った軸方向に直交する方向における表示端部５５２の一端は、供給ケース３２の外側に位置する。巻取リール３５の軸に沿った軸方向に直交する方向における表示端部５５２の他端には、接触部５５１が設けられている。接触部５５１は、表示端部５５２に回転可能に支持されたコロである。バネ５５６は、押しバネであり、一端が表示端部５５２に取り付けられたバネ係合部５５４に係合し、他端が供給ケース３２の一部に係合している。

　層転写用フィルムカートリッジＦＣ３を層転写装置１に装着され、層転写が実行されると、多層フィルムＦが供給リール３１から供給されていくので、供給リール３１に巻かれた多層フィルムＦの直径が小さくなる。接触部５５１は、多層フィルムＦの直径が小さくなるのにしたがって移動し、これにより、残量表示部材５５０が図４２（ａ）に示す初期位置から図４２（ｂ）に示す最終位置に向けて徐々にスライド移動していく。
　すると、図４３（ａ）に示すように、供給ケース３２から突出していた表示端部５５２は、図４３（ｂ）に示すように、供給ケース３２に入り込む。ユーザは、表示端部５５２が供給ケース３２から突出している量が多いと、多層フィルムＦの残量が多いとわかる。一方、ユーザは、表示端部５５２が供給ケース３２に入り込んで、表示端部５５２が供給ケース３２から突出している量が少ないと、多層フィルムＦの残量が少ないとわかる。なお、図４３（ａ）、（ｂ）では、表示端部５５２にドットハッチを付している。このように、ユーザは、表示端部５５２を見れば、多層フィルムＦの残量を知ることができる。

　この第８実施形態の層転写用フィルムカートリッジＦＣ３においても、第６実施形態と同様に、表示端部５５２が多層フィルムＦの残量を表示するので、多層フィルムＦの残量がわかりやすい。
　また、接触部５５１は、コロであるため、接触部５５１が多層フィルムＦの面に接触しても、多層フィルムＦの移動方向に抵抗がかかることを抑制できる。

　なお、前記実施形態は、以下に例示するように様々な形態に変形して実施することできる。

　前記実施形態では、層転写用フィルムカートリッジは、残量表示部材の接触部を巻取リールに巻回された多層フィルムに向けて付勢するバネを備えていたが、バネは省略することができる。例えば、第８実施形態のバネ５５６が省略されたとしても、重力によって残量表示部材５５０の自重により、供給リール３１に巻回された多層フィルムＦの直径に応じて残量表示部材５５０をスライドさせることができる。接触部を強く多層フィルムに押し付けるために、重りを追加してもよい。

　前記実施形態では、残量表示部材の接触部を付勢するバネが引っ張りバネや押しバネであったが、バネは、トーションバネなどであってもよい。

　前記実施形態では、残量表示部材５００は、細長い板状で略直方体の形状を有していたが、この形状に限定されない。例えば、残量表示部材は、円柱や多角柱など他の形状を有していてもよい。

　前記実施形態では、層転写装置１は光センサ１９０を備え、層転写装置１は、光センサ１９０によって、多層フィルムＦの残量を検知していたが、光センサは省略してもよい。この場合、ユーザは残量表示部材の表示端部の位置を目視することで、未使用の多層フィルムの残量を把握することができる。このような形態においては、ユーザが目視しやすいように、残量メモリなどを設けると残量がわかりやすい。

　前記実施形態では、新品位置は最終位置よりも巻取リールの回転中心から離れた位置であったが、新品位置は最終位置と同じ位置であってもよい。

　次に、第９実施形態について、主に図４４～図４９を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明においては、第１実施形態と略同様の構造となる部材に同一の符号を付し、その説明は省略する。

　図４４に示すように層転写装置１は、筐体２と、シート搬送部１０と、フィルム供給部３０と、転写部５０とを備えている。フィルム供給部３０は、層転写用フィルムカートリッジＦＣと、第１案内軸４１と、第２案内軸４２と、駆動源としてのメインモータＭを備えている。

　図４５に示すように、層転写用フィルムカートリッジＦＣは、筐体開口２１Ａを通して層転写装置１の筐体２、詳しくは筐体本体２１に着脱可能となっている。層転写用フィルムカートリッジＦＣは、図１（ｂ）に示すような複数の層からなる多層フィルムＦを支持するカートリッジである。層転写用フィルムカートリッジＦＣは、供給部３１０と、巻取部３５０と、シャフト４３とを主に備えている。供給部３１０は、供給リール３１を主に有する。巻取部３５０は、巻取リール３５を主に有する。供給リール３１には、多層フィルムＦが巻回されている。

　図４６に示すように、層転写用フィルムカートリッジＦＣは、前述した供給部３１０、巻取部３５０およびシャフト４３の他、連結部７０と、ハンドル８０と、支持部材９０とを備えている。供給部３１０は、前述した供給リール３１の他、供給ケース３２を有している。また、巻取部３５０は、前述した巻取リール３５の他、巻取ケース３６を備えている。供給ケース３２は、供給リール３１を収容し、巻取ケース３６は、巻取リール３５を収容する。

　供給リール３１は、供給ケース３２および連結部７０に回転可能に支持されている。供給リール３１は、後述するトーションバネ６２０（図４８参照）の付勢力によって回転しないように、供給ケース３２に対して適度なフリクションを持った状態で回転可能に支持されている。

　巻取リール３５は、トーションバネ６２０（図４８参照）の付勢力によって回転しないように、巻取ケース３６に対して適度なフリクションを持った状態で回転可能に支持されている。

　図４７（ａ）に示すように、支持部材９０で支持されたシャフト４３は、連結部７０に対して移動可能となっている。詳しくは、シャフト４３は、図に破線で示す退避位置と、退避位置よりも供給リール３１に近い使用位置（実線で示す位置）との間で移動可能となっている。ここで、「退避位置」、「使用位置」は、第１実施形態における「第１位置」、「第２位置」に相当する。なお、巻取ケース３６または連結部７０には、シャフト４３の移動範囲を退避位置から使用位置までの範囲に規制する図示せぬ規制部が設けられている。具体的に、規制部は、シャフト４３が退避位置と使用位置の間でのみ移動できるように、支持部材９０の回動範囲を規制している。規制部の構成と作用は、第１実施形態と同様である。

　図４７（ｂ）に示すように、シャフト４３の軸方向の寸法Ｌ１は、多層フィルムＦの幅Ｌ２よりも大きい。

　図４６および図４７（ａ）に示すように、供給ケース３２は、多層フィルムＦが通る供給開口３２Ａを有している。供給開口３２Ａは、多層フィルムＦを供給ケース３２の内側から外側へ案内する。巻取ケース３６は、多層フィルムＦが通る巻取開口３６Ａを有している。巻取開口３６Ａは、多層フィルムＦを巻取ケース３６の外側から内側へ案内する。多層フィルムＦは、供給開口３２Ａに配置された一対の第２案内ローラ６４０と巻取開口３６Ａの縁とで支持されることで、供給リール３１と巻取リール３５の間で張架される、つまり張った状態で架け渡されることが可能となっている。

　層転写用フィルムカートリッジＦＣは、供給リール３１の回転軸Ｘ１と巻取リール３５の回転軸Ｘ２を含む仮想平面ＦＦに直交する方向において、筐体本体２１に着脱可能となっている。なお、本実施形態では、仮想平面ＦＦに直交する方向を、「着脱方向」とも称する。

　図４５に示すように、筐体本体２１は、第１ガイドＧＤ１と、第２ガイドＧＤ２とを有している。第１ガイドＧＤ１および第２ガイドＧＤ２の構成は図５に示す第１実施形態と同様である。第１ガイドＧＤ１は、層転写用フィルムカートリッジＦＣが筐体本体２１に着脱される際において、供給リール３１の供給軸部３１Ａをガイドする溝である。第１ガイドＧＤ１は、前述した着脱方向に沿って延び、着脱方向に供給軸部３１Ａをガイドしている。第１ガイドＧＤ１は、軸方向において、筐体本体２１の一端と他端にそれぞれ設けられている。

　第２ガイドＧＤ２は、層転写用フィルムカートリッジＦＣが筐体本体２１に着脱される際において、巻取リール３５の巻取軸部３５Ａをガイドする溝である。第２ガイドＧＤ２は、前述した着脱方向に沿って延び、着脱方向に巻取軸部３５Ａをガイドしている。第２ガイドＧＤ２は、軸方向において、筐体本体２１の一端と他端にそれぞれ設けられている。

　筐体カバー２２は、シャフト４３を、図４７（ａ）に示す退避位置から使用位置に向けて押圧する押圧部材を備えている。押圧部材は、筐体カバー２２の内側に固定されており、筐体カバー２２が閉まるときに、シャフト４３を退避位置から使用位置に向けて押圧する。なお、押圧部材の構成および配置ならびにシャフト４３との関係と作用は、図６を参照して説明した第１実施形態の押圧部材２２Ａと同様である。したがって、本実施形態の層転写用フィルムカートリッジＦＣの筐体本体２１への装着および取り外しも、第１実施形態と同様に行うことができる。

　図４８に示すように、層転写用フィルムカートリッジＦＣは、引き込み機構６００をさらに備えている。引き込み機構６００は、多層フィルムＦを供給ケース３２内に引き込むための機構であり、供給部３１０に配置されている。引き込み機構６００は、ダンサーローラ６１０と、ローラ支持部材６１１と、バネの一例としてのトーションバネ６２０と、一対の第１案内ローラ６３０と、一対の第２案内ローラ６４０とを有している。

　ダンサーローラ６１０は、多層フィルムＦを供給ケース３２内に引き込むローラであり、供給ケース３２内に配置されている。ダンサーローラ６１０は、供給ケース３２内に配置されたローラ支持部材６１１に回転可能に支持されていることで、供給ケース３２に対して回転可能である。ローラ支持部材６１１は、軸方向において、ダンサーローラ６１０の一端と他端にそれぞれ設けられている。

　ダンサーローラ６１０は、ローラ支持部材６１１により供給ケース３２に対して供給リール３１の回転方向に沿って移動可能に支持されている。詳しくは、ダンサーローラ６１０は、供給ケース３２に対し、図４８（ａ）に示す第１位置と、第１位置よりも供給開口３２Ａから遠い図４８（ｂ）に示す第２位置との間で回動可能である。なお、供給ケース３２には、ダンサーローラ６１０の移動範囲を第１位置から第２位置までの範囲に規制する図示せぬ規制部が設けられている。具体的に、規制部は、ダンサーローラ６１０が第１位置と第２位置の間でのみ移動できるように、ローラ支持部材６１１の回動範囲を規制している。

　ダンサーローラ６１０には、多層フィルムＦが掛けられている。ダンサーローラ６１０は、多層フィルムＦの第２面ＦＢ（図１（ｂ）参照）に接触している。

　トーションバネ６２０は、ダンサーローラ６１０を第１位置から第２位置に向けて付勢するバネである。詳しくは、トーションバネ６２０は、一端が供給ケース３２に固定され、他端がローラ支持部材６１１を図の反時計回りに回動させるように付勢することで、ダンサーローラ６１０を第１位置から第２位置に向けて付勢している。トーションバネ６２０は、軸方向において、ダンサーローラ６１０の一端と他端にそれぞれ設けられている。

　トーションバネ６２０の付勢力は、層転写用フィルムカートリッジＦＣを筐体本体２１から取り外す場合にダンサーローラ６１０を第１位置から第２位置に向けて回動させることで、ダンサーローラ６１０により供給ケース３２と巻取ケース３６との間に位置する多層フィルムＦを供給ケース３２内に引き込むことができるような強さとなっている。

　一方で、トーションバネ６２０の付勢力は、層転写用フィルムカートリッジＦＣを筐体本体２１に装着する場合において多層フィルムＦが供給ケース３２内から引き出される際には、多層フィルムＦの張力でダンサーローラ６１０が第２位置から第１位置に回動するような強さとなっている。また、トーションバネ６２０の付勢力は、層転写用フィルムカートリッジＦＣが筐体２に装着された状態においては、多層フィルムＦが供給ケース３２内から引き出されているか否かにかかわらず、ダンサーローラ６１０が第１位置に維持されるような強さとなっている。

　第１案内ローラ６３０は、供給リール３１から引き出される多層フィルムＦの進行方向をダンサーローラ６１０に向けて変更するローラであり、供給ケース３２に対して回転可能である。第１案内ローラ６３０は、供給ケース３２内に配置され、多層フィルムＦを挟んだ状態で設けられている。第１案内ローラ６３０は、供給ケース３２に対して移動しないように支持されている。

　第２案内ローラ６４０は、ダンサーローラ６１０で案内された多層フィルムＦの進行方向を供給ケース３２の外に向けて変更するローラであり、供給ケース３２に対して回転可能である。第２案内ローラ６４０は、供給開口３２Ａに配置され、多層フィルムＦを挟んだ状態で設けられている。第２案内ローラ６４０は、供給ケース３２に対して移動しないように支持されている。

　次に、本実施形態に係る層転写装置１の作用効果について説明する。
　層転写用フィルムカートリッジＦＣを筐体本体２１から取り外す場合に、図４４の状態から、ユーザは、筐体カバー２２を開けた後、手で支持部材９０を回動させることで、シャフト４３を使用位置から退避位置に移動させる。その後、ユーザは、図４５に示すように、第１ハンドル８１および第２ハンドル８２を持って、第１ガイドＧＤ１および第２ガイドＧＤ２に沿って着脱方向に層転写用フィルムカートリッジＦＣを引き出すことで、層転写用フィルムカートリッジＦＣを筐体本体２１から容易に取り外すことができる。

　層転写用フィルムカートリッジＦＣを筐体本体２１から取り外していくと、ダンサーローラ６１０は、トーションバネ６２０の付勢力で図４８（ａ）に示す第１位置から、図４８（ｂ）に示す第２位置に向けて移動していき、多層フィルムＦを供給ケース３２内に引き込んでいく。これにより、図４７（ａ）に示すように、層転写用フィルムカートリッジＦＣにおいては、筐体本体２１から取り外された状態において、多層フィルムＦが、２点鎖線で示すように大きく弛むのを抑制することができる。

　なお、層転写用フィルムカートリッジＦＣを筐体本体２１に装着する場合において多層フィルムＦが供給ケース３２内から引き出される際には、ダンサーローラ６１０は、トーションバネ６２０の付勢力に抗して多層フィルムＦの張力で、図４８（ｂ）に示す第２位置から、図４８（ａ）に示す第１位置に向けて移動する。

　以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
　層転写用フィルムカートリッジＦＣを筐体本体２１から取り外した際に、引き込み機構６００によって多層フィルムＦが供給リール３１と巻取リール３５との間で大きく弛むのを抑制することができる。

　具体的には、ダンサーローラ６１０が第１位置から第２位置に移動することで、多層フィルムＦを供給ケース３２内に引き込むことができる。

　また、引き込み機構６００がダンサーローラ６１０を第１位置から第２位置に向けて付勢するトーションバネ６２０を有するので、ユーザがダンサーローラ６１０を移動させるための操作をすることなく、ダンサーローラ６１０を自動的に第１位置から第２位置に移動させることができる。

　なお、本実施形態では、バネとしてトーションバネ６２０を例示したが、これに限定されず、バネは、例えば、引張コイルバネなど、トーションバネ以外のバネであってもよい。

　また、本実施形態では、ダンサーローラ６１０は、第１位置から第２位置に向けてトーションバネ６２０（バネ）の付勢力で移動可能に設けられていたが、これに限定されない。例えば、図４９に示すように、ダンサーローラ６１０Ａは、図４９（ａ）に示す第１位置から、図４９（ｂ）に示す第２位置に向けて自重で移動可能に設けられていてもよい。この場合、引き込み機構は、バネと第１案内ローラ６３０とを備えない構成とすることができる。これによれば、層転写用フィルムカートリッジＦＣの部品点数を削減しつつ、ダンサーローラ６１０Ａを自動的に第１位置から第２位置に移動させることができる。

　また、本実施形態では、ダンサーローラ６１０は、多層フィルムＦの転写層Ｆ２２側の面である第２面ＦＢ（図１（ｂ）参照）に接触するように設けられていたが、これに限定されない。例えば、図４９に示すように、ダンサーローラ６１０Ａは、多層フィルムＦの支持層Ｆ１側の面である第１面ＦＡに接触するように設けられていてもよい。これによれば、多層フィルムＦの転写層Ｆ２２を保護することができる。

　また、本実施形態では、多層フィルムＦを供給ケース３２内に引き込む引き込み部材として、供給ケース３２に対して回転可能なダンサーローラ６１０を例示したが、これに限定されず、引き込み部材は、例えば、供給ケースに対して回転しない棒状の部材などであってもよい。

　次に、第１０実施形態について説明する。なお、以下では、先に説明した第９実施形態と同様の点については部材に同一の符号を付すなどして適宜説明を省略し、先に説明した実施形態と異なる点について詳細に説明する。
　図５０に示すように、層転写用フィルムカートリッジＦＣは、多層フィルムＦを供給ケース３２内に引き込むための引き込み機構６００Ｂを備えている。引き込み機構６００Ｂは、シャッタ６５０と、トーションバネ６６０とを有している。

　シャッタ６５０は、供給ケース３２の供給開口３２Ａを開閉する部材であり、供給ケース３２内に配置されている。シャッタ６５０は、シャッタ本体６５１と、弾性部材６５２とを有している。シャッタ本体６５１は、樹脂などからなり、シャッタ部６５１Ａと、一対の支持部６５１Ｂとを有している。シャッタ部６５１Ａは、断面視略円弧形状を有する軸方向に長い板状に形成されている。支持部６５１Ｂは、シャッタ部６５１Ａの軸方向の両端から回転軸Ｘ１に向けて延びる板状の部分であり、回転軸Ｘ１に向かうにつれて先細となる略扇状に形成されている。

　シャッタ６５０は、一対の支持部６５１Ｂにより供給ケース３２に対して供給リール３１の回転方向に沿って回動可能に支持されている。詳しくは、シャッタ６５０は、供給ケース３２に対し、シャッタ部６５１Ａが供給開口３２Ａを開いた状態とする図５０（ａ）に示す開位置と、シャッタ部６５１Ａが供給開口３２Ａを閉じた状態とする図５０（ｂ）に示す閉位置との間で回動可能である。なお、供給ケース３２には、シャッタ６５０の移動範囲を開位置から閉位置までの範囲に規制する図示せぬ規制部が設けられている。具体的に、規制部は、シャッタ６５０が開位置と閉位置の間でのみ移動できるように、シャッタ本体６５１の回動範囲を規制している。

　シャッタ６５０は、開位置から閉位置に回動するときに、その回動方向における下流側の接触端部６５０Ａが多層フィルムＦに接触することで、多層フィルムＦを供給ケース３２内に引き込む。接触端部６５０Ａは、多層フィルムＦの支持層Ｆ１（図１（ｂ）参照）側の面である第１面ＦＡに接触する。

　弾性部材６５２は、弾性を有する部材であり、接触端部６５０Ａに配置されている。言い換えると、シャッタ６５０は、接触端部６５０Ａが弾性を有する部材から構成されている。弾性部材６５２は、多層フィルムＦとの摺動性が高い材料からなる。弾性部材６５２の材料としては、例えば、ＰＵ（ポリウレタン）、ＰＴＦＥ（ポリテトラフルオロエチレン）、ＰＦＡ（ペルフルオロアルコキシアルカン）などを用いることができる。

　トーションバネ６６０は、シャッタ６５０を図５０（ａ）に示す開位置から図５０（ｂ）に示す閉位置に向けて付勢するバネである。詳しくは、トーションバネ６６０は、一端が供給ケース３２に固定され、他端が支持部６５１Ｂを図の時計回りに回動させるように付勢することで、シャッタ６５０を開位置から閉位置に向けて付勢している。トーションバネ６６０は、軸方向において、シャッタ６５０の一端と他端にそれぞれ設けられている。

　トーションバネ６６０の付勢力は、層転写用フィルムカートリッジＦＣを筐体本体２１（図４５参照）から取り外す場合にシャッタ６５０を開位置から閉位置に回動させることで、シャッタ６５０により供給ケース３２と図示せぬ巻取ケースとの間に位置する多層フィルムＦを供給ケース３２内に引き込むことができるような強さとなっている。

　一方で、トーションバネ６６０の付勢力は、層転写用フィルムカートリッジＦＣを筐体本体２１に装着する場合において多層フィルムＦが供給ケース３２内から引き出される際には、多層フィルムＦの張力でシャッタ６５０が閉位置から開位置に回動するような強さとなっている。また、トーションバネ６６０の付勢力は、層転写用フィルムカートリッジＦＣが筐体２に装着された状態においては、多層フィルムＦが供給ケース３２内から引き出されているか否かにかかわらず、シャッタ６５０が開位置に維持されるような強さとなっている。

　層転写用フィルムカートリッジＦＣを層転写装置１の筐体本体２１から取り外していくと、シャッタ６５０は、トーションバネ６６０の付勢力で図５０（ａ）に示す開位置から、図５０（ｂ）に示す閉位置に回動する。これにより、接触端部６５０Ａが多層フィルムＦに接触して、多層フィルムＦを供給ケース３２内に引き込む。これにより、層転写用フィルムカートリッジＦＣが筐体本体２１から取り外された状態において、多層フィルムＦが大きく弛むのを抑制することができる。

　以上によれば、本実施形態において、第９実施形態と同様に、引き込み機構６００Ｂによって多層フィルムＦが供給リール３１と図示せぬ巻取リールとの間で大きく弛むのを抑制することができる。

　また、引き込み機構６００Ｂが供給開口３２Ａを開閉するシャッタ６５０を有するので、シャッタ６５０により、多層フィルムＦの弛みを抑制することができるとともに、供給ケース３２の供給開口３２Ａを閉じて供給ケース３２内に異物が侵入するのを抑制することができる。

　また、シャッタ６５０が接触端部６５０Ａに配置された弾性部材６５２を有するので、シャッタ本体６５１が多層フィルムＦに直接接触する場合と比較して、多層フィルムＦを保護することができる。

　また、接触端部６５０Ａが多層フィルムＦの支持層Ｆ１側の面である第１面ＦＡに接触するので、転写層Ｆ２２側の面である第２面ＦＢに接触する場合と比較して、多層フィルムＦの転写層Ｆ２２を保護することができる。

　なお、本実施形態では、シャッタ６５０は、トーションバネ６６０の付勢力により開位置から閉位置に回動するように設けられていたが、これに限定されない。例えば、層転写用フィルムカートリッジにシャッタを回動させるための操作部を設け、ユーザがこの操作部を操作することで、シャッタが開位置と閉位置との間を回動するように設けられていてもよい。この場合、引き込み機構６００Ｂは、シャッタを回動させるバネを備えない構成とすることができる。

　また、筐体２の筐体本体２１や筐体カバー２２に層転写用フィルムカートリッジの前述した操作部に当接して操作部を動かす作用部を設け、層転写用フィルムカートリッジを筐体本体２１に装着したり、層転写用フィルムカートリッジを筐体本体２１に装着した後に筐体カバー２２を閉じたりすることで、作用部が操作部に当接してシャッタが閉位置から開位置に回動するように構成されていてもよい。

　また、本実施形態では、シャッタ６５０の接触端部６５０Ａが弾性を有する弾性部材６５２から構成されていたが、これに限定されない。シャッタの接触端部は、多層フィルムとの摺動性が高ければ、例えば、弾性を有しない樹脂などから構成されていてもよい。

　次に、第１１実施形態について説明する。
　図５１に示すように、層転写用フィルムカートリッジＦＣにおいて、供給ケース３２は、供給リール３１とともに、連結部材としての連結部７０に、軸間方向に移動可能に支持されている。詳しくは、連結部７０（第１連結部７１および図示せぬ第２連結部７２）は、長孔７０Ａを有している。長孔７０Ａは、供給リール３１の供給軸部３１Ａが係合する軸間方向に長い孔であり、連結部７０の軸間方向の一端に形成されている。

　供給ケース３２は、供給リール３１の供給軸部３１Ａが連結部７０に形成された長孔７０Ａに係合することで、供給リール３１とともに、連結部７０に対して軸間方向に沿って移動可能に支持されている。供給ケース３２は、連結部７０に、巻取リール３５から最も遠い図５１（ａ）に示す第３位置と、巻取リール３５に最も近い図５１（ｃ）に示す第４位置との間で軸間方向に移動可能に支持されている。

　層転写用フィルムカートリッジＦＣは、多層フィルムＦを供給ケース３２内に引き込むための引き込み機構６００Ｃを備えている。引き込み機構６００Ｃは、ピニオンギヤ６７０と、ラックギヤ６８０とを有している。

　ピニオンギヤ６７０は、供給リール３１と一体に回転するギヤであり、供給リール３１の供給軸部３１Ａの一端に設けられている。ピニオンギヤ６７０は、供給軸部３１Ａの一端とともに長孔７０Ａに入り込んでいる。

　ラックギヤ６８０は、ピニオンギヤ６７０と噛合可能なギヤであり、連結部７０に設けられている。詳しくは、ラックギヤ６８０は、第１連結部７１に形成された長孔７０Ａの内周面のうちの着脱方向における一方側の面（図の下側の面。以下、「対向面７０Ｂ」という。）に設けられている。

　ラックギヤ６８０は、軸間方向において対向面７０Ｂの中央部付近から巻取リール３５側の端にわたって設けられている。言い換えると、ラックギヤ６８０は、対向面７０Ｂの供給リール３１側の端部には設けられていない。このため、ラックギヤ６８０は、供給ケース３２が図５１（ａ）に示す第３位置に位置するときにピニオンギヤ６７０と噛合せず、図５１（ｂ），（ｃ）に示すように、供給ケース３２が第３位置から第４位置に向けて移動する際に、第３位置と第４位置の間の位置から、第４位置までピニオンギヤ６７０と噛合する。

　層転写用フィルムカートリッジＦＣは、層転写装置１の筐体本体２１（図４５参照）から取り外した後、供給ケース３２を巻取リール３５に近づく方向、つまり、図５１（ａ）に示す第３位置から、図５１（ｃ）に示す第４位置に向けて移動させることで、ピニオンギヤ６７０とラックギヤ６８０が噛合し、ピニオンギヤ６７０とともに供給軸部３１Ａが図の反時計回りに回転する（図５１（ｂ）参照）。これにより、供給リール３１が多層フィルムＦを巻き取る方向に回転し、多層フィルムＦを供給ケース３２内に引き込むことができる。

　以上によれば、本実施形態において、先に説明した実施形態と同様に、引き込み機構６００Ｃによって多層フィルムＦが供給リール３１と巻取リール３５との間で大きく弛むのを抑制することができる。

　具体的には、供給ケース３２を巻取リール３５に近づく方向に移動させることで、多層フィルムＦを供給ケース３２内に引き込むことができる。

　また、ラックギヤ６８０は、供給ケース３２が第３位置に位置するときにピニオンギヤ６７０と噛合しないので、供給ケース３２が第３位置に位置するときには、供給リール３１を自由に回転できる状態とすることができる。

　なお、本実施形態では、供給ケース３２は、軸間方向に沿って直線を描くような軌道で移動可能であったが、これに限定されない。供給ケースは、巻取リールに近づく方向に移動させることができれば、例えば、弧を描くような軌道で移動可能であってもよい。

　以上に実施形態について説明したが、前記実施形態は、以下に例示するように適宜変形して実施することができる。

　前記第９実施形態～第１１実施形態では、連結部７０を２つの連結部、すなわち第１連結部７１および第２連結部７２で構成したが、これに限定されず、連結部は１つ（例えば第１連結部のみ）であってもよい。

　次に、第１２実施形態について、主に図５２～図５７を参照しながら詳細に説明する。以下の説明においては、第１実施形態と略同様の構成要素については同一の符号を付し、その説明は省略する。
　図５２に示すように、層転写装置１は、筐体２と、シート搬送部１０と、フィルム供給部３０と、転写部５０とを備えている。フィルム供給部３０は、層転写用フィルムカートリッジＦＣと、第１案内軸４１と、第２案内軸４２と、メインモータＭを備えている。

　層転写用フィルムカートリッジＦＣは、図５３に示すように、筐体開口２１Ａを通して筐体本体２１に着脱可能となっている。層転写用フィルムカートリッジＦＣは、図１（ｂ）に示すような複数の層からなる多層フィルムＦを支持するカートリッジである。層転写用フィルムカートリッジＦＣは、供給部３１０と、巻取部３５０と、第３案内軸としてのシャフト４３とを主に備えている。

　供給部３１０は、供給リール３１を主に有する。巻取部３５０は、巻取リール３５を主に有する。供給リール３１は、転写部５０に向けて多層フィルムＦを供給するためのリールであり、巻取リール３５は、転写部５０を通過した多層フィルムＦを巻き取るためのリールである。供給リール３１には、多層フィルムＦが巻回されている。

　図５４に示すように、層転写用フィルムカートリッジＦＣは、供給部３１０、巻取部３５０およびシャフト４３の他、ハンドル８０と、支持部材９０と、シートガイド７００とを備えている。本実施形態の層転写用フィルムカートジッリには、供給部３１０と巻取部３５０とを連結する第１実施形態における連結部７０に相当する部材は設けられていない。

　供給部３１０は、供給リール３１の他、供給ケース３２を有している。また、巻取部３５０は、巻取リール３５の他、巻取ケース３６を備えている。供給ケース３２は、供給リール３１を収容し、巻取ケース３６は、巻取ケース収容する。

　ハンドル８０は、ユーザの指がフックされることを許容する部位であり、第１ハンドル８１と、第２ハンドル８２とを有している。供給ケース３２に支持されている第１ハンドル８１は、軸方向に延びるグリップ部としての第１ベース部８１Ａと、第１ベース部８１Ａの軸方向の両端から供給リール３１に向けて延びる２つの第１脚８１Ｂとを有している。２つの第１脚８１Ｂは、供給ケース３２に接続されている。巻取ケース３６に支持されている第２ハンドル８２は、軸方向に延びるグリップ部としての第２ベース部８２Ａと、第２ベース部８２Ａの軸方向の両端から巻取リール３５に向けて延びる２つの第２脚８２Ｂとを備えている。２つの第２脚８２Ｂは、巻取ケース３６に接続されている。

　図５３に示すように、支持部材９０で支持されたシャフト４３は、巻取ケース３６に対して移動可能となっている。詳しくは、シャフト４３は、２点鎖線で示す退避位置と、退避位置よりも供給リール３１に近い、実線で示す使用位置との間で移動可能となっている。ここで、「退避位置」「使用位置」は、第１実施形態における「第１位置」「第２位置」に相当する。

　供給ケース３２は、多層フィルムＦが通る供給開口３２Ａを有している。供給開口３２Ａは、多層フィルムＦを供給ケース３２の内側から外側へ案内する。また、巻取ケース３６は、多層フィルムＦが通る巻取開口３６Ａを有している。巻取開口３６Ａは、多層フィルムＦを巻取ケース３６の外側から内側へ案内する。多層フィルムＦは、供給開口３２Ａの縁と巻取開口３６Ａの縁とで支持されることで、供給リール３１と巻取リール３５の間で張った状態で架け渡されることが可能となっている。

　層転写用フィルムカートリッジＦＣは、着脱方向において、筐体本体２１に着脱可能となっている。本実施形態では、着脱方向は、軸方向に直交する方向である。また、着脱方向は、層転写用フィルムカートリッジＦＣが筐体本体２１に装着された状態における、回転軸Ｘ１，Ｘ２を結ぶ直線Ｌ（図５２参照）に直交する方向である。

　図５５に示すように、筐体カバー２２は、シャフト４３を、図５５（ａ）に示す退避位置から、図５５（ｂ）に示す使用位置に向けて押圧する押圧部材２２Ａを備えている。押圧部材２２Ａは、筐体カバー２２に固定されており、筐体カバー２２が閉まるときに、シャフト４３を退避位置から使用位置に向けて押圧する。

　図５５（ａ）に示す退避位置に位置するシャフト４３は、着脱方向に投影したときに第２案内軸４２と重ならない。これにより、シャフト４３を退避位置に配置している場合には、シャフト４３が第２案内軸４２と干渉することなく、層転写用フィルムカートリッジＦＣを着脱することが可能となっている。また、図５５（ｂ）に示す使用位置に位置するシャフト４３は、着脱方向に投影したときに第２案内軸４２と重なる。これにより、多層フィルムＦの剥離角度を適正な角度にすることが可能となっている。

　押圧部材２２Ａは、軸方向において、シャフト４３の一端と他端に配置されている。一端側の押圧部材２２Ａは、層転写用フィルムカートリッジＦＣが筐体本体２１に装着された状態において、第１側板９１に設けられた板バネＳＰと接触可能な位置に配置されている。また、図示せぬ他端側の押圧部材２２Ａは、層転写用フィルムカートリッジＦＣが筐体本体２１に装着された状態において、第２側板９２に設けられた板バネＳＰと接触可能な位置に配置されている。これにより、各押圧部材２２Ａは、板バネＳＰおよび支持部材９０を介してシャフト４３を押圧可能となっている。

　図５６に示すように、シートガイド７００は、層転写用フィルムカートリッジＦＣが筐体２に装着された状態において、シート搬送部１０によって搬送されるシートＳをガイドする部分である。シートガイド７００は、供給部３１０に設けられている。本実施形態では、シートガイド７００は、供給ケース３２に設けられている。

　供給ケース３２は、軸方向に沿って延びる第１壁７０１と、第１壁７０１を挟んで供給リール３１と反対に配置される第２壁７０２と、第１壁７０１と第２壁７０２の軸方向の一端同士を接続する第３壁７０３と、第１壁７０１と第２壁７０２の軸方向の他端同士を接続する第４壁７０４とを有している。第１壁７０１と第２壁７０２は、軸方向に直交する方向（着脱方向）に所定の間隔をあけて配置されており、第３壁７０３と第４壁７０４は、軸方向に所定の間隔をあけて配置されている。第３壁７０３と第４壁７０４の軸方向の間隔は、層転写装置１で搬送可能な最大サイズのシートＳの軸方向の幅よりも大きい。

　シートガイド７００は、第１壁７０１、第２壁７０２、第３壁７０３および第４壁７０４によって形成されている。シートガイド７００は、供給ケース３２を貫通するように設けられている。シートガイド７００は、第１ガイド面７１０と、第２ガイド面７２０とを有している。

　第１ガイド面７１０は、シートＳの、転写層Ｆ２２が転写される表面ＳＡと向かい合う面であり、供給ケース３２の第１壁７０１に設けられている。第１ガイド面７１０は、第１壁７０１の、供給リール３１が配置される側とは反対の面である。

　第２ガイド面７２０は、第１ガイド面７１０と向かい合う面である。さらに言えば、第２ガイド面７２０は、シートＳの裏面ＳＢと向かい合う面である。第２ガイド面７２０は、第１ガイド面７１０を挟んで供給リール３１と反対に配置されている。本実施形態では、第２ガイド面７２０は、供給ケース３２の第２壁７０２に設けられている。第２ガイド面７２０は、第２壁７０２の、供給リール３１が配置される側の面である。第１ガイド面７１０および第２ガイド面７２０は、軸方向に直交する方向（着脱方向）において、シートＳを挟むように設けられている。

　本実施形態では、第１ハンドル８１の第１ベース部８１Ａは、第１ガイド面７１０および第２ガイド面７２０の両方、すなわち、シートガイド７００を挟んで供給リール３１と反対に配置されている。第１ベース部８１Ａは、供給ケース３２の上側に配置されている。

　第１ガイド面７１０には、第１リブ７１１が設けられている。第１リブ７１１は、シートＳの搬送方向に沿って延びるリブであり、第１ガイド面７１０から第２ガイド面７２０に向けて突出するように設けられている。第１リブ７１１は、第１ガイド面７１０に、軸方向に並んで複数設けられている。

　第２ガイド面７２０には、第２リブ７２１が設けられている。第２リブ７２１は、シートＳの搬送方向に沿って延びるリブであり、第２ガイド面７２０から第１ガイド面７１０に向けて突出するように設けられている。第２リブ７２１は、第２ガイド面７２０に、軸方向に並んで複数設けられている。各第２リブ７２１は、軸方向に直交する方向において、対応する一の第１リブ７１１と向かい合って設けられている。

　図５７に示すように、シートＳの搬送方向における第１ガイド面７１０の長さは、シートＳの搬送方向における第２ガイド面７２０の長さよりも長い。詳しくは、シートＳの搬送方向において、第１ガイド面７１０の下流端の位置と、第２ガイド面７２０の下流端の位置は略揃っている。一方、シートＳの搬送方向において、第１ガイド面７１０の上流端は、第２ガイド面７２０の上流端よりも上流に位置している。

　筐体カバー２２は、図示せぬシートトレイから供給されるシートＳを、シートガイド７００に向けてガイドする筐体側シートガイド７５０を備えている。筐体側シートガイド７５０は、シートＳの表面ＳＡと向かい合う第３ガイド面７５１と、シートＳの裏面ＳＢと向かい合う第４ガイド面７５２とを有している。

　層転写用フィルムカートリッジＦＣが筐体本体２１に装着されて筐体カバー２２が閉じられた状態において、第１ガイド面７１０は、シートＳの搬送方向における第３ガイド面７５１の下流に配置され、第２ガイド面７２０は、シートＳの搬送方向における第４ガイド面７５２の下流に配置される。第１ガイド面７１０の、シートＳの搬送方向における上流側の端部は、第４ガイド面７５２の、シートＳの搬送方向における下流側の端部と向かい合う。第１ガイド面７１０と第２ガイド面７２０の間隔は、第１ガイド面７１０と第４ガイド面７５２の間隔よりも大きい。また、第１ガイド面７１０と第２ガイド面７２０の間隔は、第３ガイド面７５１と第４ガイド面７５２の間隔よりも大きい。

　シート供給機構１１は、筐体カバー２２に設けられている。シート供給機構１１は、シートＳを転写部５０に向けて搬送するシート供給ローラ１１Ａを備えている。層転写用フィルムカートリッジＦＣが筐体本体２１に装着されて筐体カバー２２が閉じられると、シート供給ローラ１１Ａは、シートＳの搬送方向における第１ガイド面７１０と第３ガイド面７５１の間に配置される。

　層転写用フィルムカートリッジＦＣが筐体２に装着された状態において、シートガイド７００（第１ガイド面７１０および第２ガイド面７２０）は、第１案内軸４１および第２案内軸４２よりも上に配置される。また、シートガイド７００は、供給開口３２Ａの上側に配置される。また、第１ハンドル８１は、第１案内軸４１および第２案内軸４２よりも上に配置される。

　次に、本実施形態に係る層転写装置１の作用効果について説明する。
　図５３に示すように、ユーザが、ハンドル８０を掴んで層転写用フィルムカートリッジＦＣを筐体本体２１に上から装着していくと、供給ケース３２と巻取ケース３６の間で架け渡された多層フィルムＦが、第１案内軸４１と第２案内軸４２に接触する。その後、さらに層転写用フィルムカートリッジＦＣを装着位置に向けて移動させると、図５５（ａ）に示すように、破線で示す多層フィルムＦは、供給ケース３２、第１案内軸４１、第２案内軸４２および巻取ケース３６の各部材間で架け渡される。

　層転写用フィルムカートリッジＦＣを筐体本体２１に装着した後、筐体カバー２２を閉めていくと、押圧部材２２Ａが板バネＳＰと接触する。その後、ユーザが筐体カバー２２をさらに閉めていくと、押圧部材２２Ａが板バネＳＰおよび支持部材９０を介してシャフト４３を退避位置から使用位置に向けて押圧する。

　シャフト４３は、使用位置に到達する前に、第２案内軸４２と巻取ケース３６との間で張架された多層フィルムＦに接触する。その後、ユーザが筐体カバー２２をさらに閉めていくと、シャフト４３は、第２案内軸４２と巻取ケース３６との間で張架された多層フィルムＦを供給ケース３２に向けて押圧した後、使用位置に到達する。

　シャフト４３が使用位置に位置すると、図示せぬ規制部で支持部材９０の回動が規制されるので、その後ユーザが筐体カバー２２をさらに閉めていくと、押圧部材２２Ａと支持部材９０との間で板バネＳＰが押し縮められる。これにより、図５５（ｂ）に示すように、筐体カバー２２を完全に閉じた状態においては、板バネＳＰの付勢力を支持部材９０およびシャフト４３を介して多層フィルムＦに伝達することができ、多層フィルムＦに適正なテンションを付与することができる。

　なお、層転写用フィルムカートリッジＦＣを筐体本体２１から取り外す場合には、筐体カバー２２を開けた後、ユーザが手で支持部材９０を回動させることで、シャフト４３を使用位置から退避位置に移動させる。その後、ユーザは、ハンドル８０を持って、着脱方向に層転写用フィルムカートリッジＦＣを引き出すことで、層転写用フィルムカートリッジＦＣを筐体本体２１から容易に取り外すことができる。

　図５７に示すように、シートＳへの層転写を行う場合、図示せぬシートトレイに載置されたシートＳは、シート供給機構１１のシート供給ローラ１１Ａにより、筐体側シートガイド７５０、および、層転写用フィルムカートリッジＦＣに設けられたシートガイド７００によってガイドされながら、転写部５０に向けて搬送される。その後、シートＳは、前述したように、転写部５０で層転写が行われた後、シート排出機構１２により筐体２の外部に排出される。

　以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
　層転写用フィルムカートリッジＦＣが第１ガイド面７１０と第２ガイド面７２０を有するシートガイド７００を備えるので、層転写装置の筐体に、層転写用フィルムカートリッジを避けるようにシートガイドを設ける場合と比較して、層転写装置１の小型化を図ることができる。また、層転写用フィルムカートリッジのケースと層転写装置の筐体との間にシートを通すように構成する場合と比較して、向かい合う２つのガイド面の位置決め等を行う構成を設けることなく、向かい合う第１ガイド面７１０と第２ガイド面７２０の位置精度を出すことができるので、層転写装置１の構成の複雑化を抑制することができる。

　また、層転写用フィルムカートリッジＦＣがハンドル８０（８１，８２）を備えるので、層転写用フィルムカートリッジＦＣを層転写装置１に着脱する際の操作性を向上させることができる。

　また、層転写用フィルムカートリッジのケースと層転写装置の筐体との間にシートを通す構成においては、装置側のガイド面をハンドルが配置される部分に設けることが難しいが、層転写用フィルムカートリッジＦＣがシートガイド７００を備えることで、装置側のガイド面の少なくとも一部は不要となる。これにより、層転写装置１の構成の複雑化を抑制することができる。また、ケースと層転写装置の筐体との間にシートを通す構成においては、例えば、装置側のガイド面を避けるように層転写用フィルムカートリッジのハンドルをケースに対して移動可能に設ける必要が生じる場合があるが、層転写用フィルムカートリッジＦＣがシートガイド７００を備えることで、第１ハンドル８１を固定状態で設けることができるので、層転写用フィルムカートリッジＦＣの構成の複雑化を抑制することができる。

　また、ガイド面７１０，７２０にリブ７１１，７２１が設けられているので、ガイド面７１０，７２０とシートＳとの接触面積を小さくすることができる。これにより、シートガイド７００でのシートＳの搬送性能を向上させることができる。

　また、層転写用フィルムカートリッジＦＣのうち、多層フィルムＦの供給側（供給部３１０）にシートガイド７００が設けられるので、シートＳをシートガイド７００によって層転写装置１の転写位置（転写部５０）に向けて精度良く送り込むことができる。

　次に、第１３実施形態について説明する。なお、以下では、先に説明した第１２実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付す等して適宜説明を省略し、先に説明した実施形態と異なる点について詳細に説明する。
　図５８に示すように、層転写用フィルムカートリッジＦＣは、供給部３１０と、巻取部３５０と、シャフト４３と、第１ハンドル７８１と、第２ハンドル８２と、支持部材９０と、シートガイド７００（図５９（ｂ）参照）とを備えている。

　第１ハンドル７８１は、第１実施形態の第１ハンドル８１と同様に、ユーザの指がフックされることを許容する部位である。第１ハンドル７８１は、軸方向に延びるように供給部３１０に配置されている。詳しくは、第１ハンドル７８１は、供給リール３１に支持されている。第１ハンドル７８１は、軸方向に延びる第１ベース部７８１Ａと、第１ベース部７８１Ａの軸方向の両端から供給リール３１に向けて延びる２つの第１脚７８１Ｂとを有している。

　２つの第１脚７８１Ｂは、供給リール３１の供給軸部３１Ａに接続されている。詳しくは、図５９（ａ）に示すように、各第１脚７８１Ｂは、供給軸部３１Ａの軸方向の端部に係合する長孔７８１Ｃであって、着脱方向に沿って延びる長孔７８１Ｃと、着脱方向に沿って延びる被ガイド面７８１Ｄとを有している。供給ケース３２は、着脱方向に沿って延びて、被ガイド面７８１Ｄを着脱方向にガイドするガイドリブ３２Ｒを有している。

　このような構成により、グリップ部としての第１ベース部７８１Ａは、図５９（ａ）に示す第１位置と、第１位置よりも供給ケース３２（第１ガイド面７１０）に近い、図５９（ｂ）に示す第２位置との間で着脱方向に沿って移動可能である。

　シートガイド７００は、第１ガイド面７１０と、第２ガイド面７２０とを有している。第１ガイド面７１０は、供給ケース３２に設けられている。第１ガイド面７１０は、供給ケース３２の上側の面である。一方、本実施形態では、第２ガイド面７２０は、第１ベース部７８１Ａに設けられている。第２ガイド面７２０は、第１ベース部７８１Ａの下側の面である。第１ベース部７８１Ａは、第１ガイド面７１０を挟んで供給リール３１と反対に配置されている。第１ガイド面７１０には、複数の第１リブ７１１が設けられ、第２ガイド面７２０には、複数の第２リブ７２１が設けられている。

　本実施形態では、シートガイド７００は、供給ケース３２と、第１ハンドル７８１の第１ベース部７８１Ａとによって形成されている。詳しくは、第１ベース部７８１Ａは、図５９（ｂ）に示す第２位置に位置する場合にシートガイド７００を構成する。言い換えると、第１ベース部７８１Ａは、第２位置に位置する場合にシートＳをガイドするシートガイド７００として機能する。２つの第１脚７８１Ｂの軸方向の間隔は、層転写装置１で搬送可能な最大サイズのシートＳの軸方向の幅よりも大きい。

　以上によれば、本実施形態において、第１実施形態と同様に、層転写用フィルムカートリッジＦＣが第１ガイド面７１０と第２ガイド面７２０を有するシートガイド７００を備えるので、層転写装置１の小型化を図ることができるとともに、層転写装置１の構成の複雑化を抑制することができる。

　また、シートガイド７００を構成する第２ガイド面７２０が第１ハンドル７８１の第１ベース部７８１Ａに設けられているので、シートガイドとハンドルを別に設ける場合と比較して、層転写用フィルムカートリッジＦＣをコンパクトにすることができる。これにより、層転写用フィルムカートリッジＦＣが装着される層転写装置１のさらなる小型化を図ることができる。

　また、第１ベース部７８１Ａが図５９（ａ）に示す第１位置と図５９（ｂ）に示す第２位置との間で移動可能であり、第２位置に位置する場合にシートガイド７００を構成するので、第１ガイド面７１０と第２ガイド面７２０の間隔をシートＳの搬送に適した間隔とすることができる。これにより、シートガイド７００でのシートＳの搬送性能を向上させることができる。

　一方で、第１ベース部７８１Ａを第１ガイド面７１０（供給ケース３２）から離れる第１位置に移動させることで、第１ベース部７８１Ａにユーザの指をフックさせやすくすることができる。これにより、層転写用フィルムカートリッジＦＣを層転写装置１に着脱する際の操作性を向上させることができる。

　なお、第１３実施形態では、第１ベース部７８１Ａが着脱方向に沿ってスライド移動可能な構成であったが、例えば、回動可能な構成であってもよい。また、第１３実施形態では、シートガイド７００を構成する第１ベース部７８１Ａが供給ケース３２に対して移動可能であったが、これに限定されず、供給ケースに対して移動不能に固定された状態で設けられていてもよい。すなわち、シートガイドは、供給ケースに設けられた第１ガイド面と、供給ケースに対して動かないグリップ部に設けられた第２ガイド面とによって形成されていてもよい。

　以上に第１２実施形態および第１３実施形態について説明したが、これらの実施形態は、以下に例示するように適宜変形して実施することができる。

　前記実施形態では、供給部３１０が供給ケース３２から突出するように設けられた第１ハンドル８１（ハンドル）を備えていたが、これに限定されず、ハンドルを備えない構成であってもよい。例えば、図６０に示すように、供給部３１０（層転写用フィルムカートリッジＦＣ）は、ハンドルの代わりに、ユーザの指がフックされる部分として、溝状の凹部７８１Ｒを備えていてもよい。一例として、凹部７８１Ｒは、供給ケース３２の軸方向の両側面に１つずつ設けられている。図６０に示す層転写用フィルムカートリッジＦＣは、供給ケース３２に設けられた第１ガイド面７１０および第２ガイド面７２０を有するシートガイド７００を備えている。

　なお、供給部３１０と巻取部３５０は、例えば、供給リール３１または供給ケース３２の一方と、巻取リール３５または巻取ケース３６の一方とを連結する連結部材によって互いに連結されていてもよい。この場合、供給部３１０または巻取部３５０の一方だけにハンドルを設ける構成とすることもできる。

　前記実施形態では、シートガイド７００を構成する第１ガイド面７１０および第２ガイド面７２０の両方にリブ７１１，７２１が設けられていたが、これに限定されない。例えば、第１ガイド面および第２ガイド面の一方だけにリブが設けられていてもよい。また、第１ガイド面および第２ガイド面の両方にリブが設けられていない構成であってもよい。

　前記実施形態では、層転写用フィルムカートリッジは、多層フィルムの供給側にシートガイドを備える構成であったが、これに限定されず、多層フィルムの巻取側にシートガイドを備える構成であってもよい。また、層転写用フィルムカートリッジは、多層フィルムの供給側と巻取側の両方にそれぞれシートガイドを備える構成であってもよい。

　第１４実施形態について、主に図６１～図６７を参照しながら詳細に説明する。以下の説明においては、第１実施形態と略同様の構造となる部材には同一の符号を付し、その説明は省略する。

　図６１に示すように、層転写装置１は、筐体２と、シート搬送部１０と、フィルム供給部３０と、転写部５０とを備えている。フィルム供給部３０は、層転写用フィルムカートリッジＦＣと、第１案内軸４１と、第２案内軸４２と、駆動源としてのメインモータＭを備えている。

　層転写用フィルムカートリッジＦＣは、図６２に示すように、筐体開口２１Ａを通して筐体本体２１に着脱可能となっている。層転写用フィルムカートリッジＦＣは、図１（ｂ）に示すような複数の層からなる多層フィルムＦを支持するカートリッジである。層転写用フィルムカートリッジＦＣは、供給部３１０と、巻取部３５０と、シャフト４３とを主に備えている。供給部３１０は、供給リール３１を主に有する。巻取部３５０は、巻取リール３５を主に有する。供給リール３１には、多層フィルムＦが巻回されている。

　図６３に示すように、層転写用フィルムカートリッジＦＣは、前述した供給部３１０、巻取部３５０およびシャフト４３の他、連結部７０と、ハンドル８０と、支持部材９０とを備えている。供給部３１０は、前述した供給リール３１の他、供給ケース３２を有している。また、巻取部３５０は、前述した巻取リール３５の他、巻取ケース３６を備えている。供給ケース３２は、供給リール３１を収容し、巻取ケース３６は、巻取リール３５を収容する。巻取ケース３６の外径は、供給ケース３２の外径よりも小さい。

　連結部７０は、供給部３１０と巻取部３５０とを連結する部材である。連結部７０は、第１連結部７１と、第２連結部７２とを有している。第１連結部７１および第２連結部７２は、第１軸方向と直交する方向に延びている。詳しくは、第１連結部７１および第２連結部７２は、供給リール３１の回転軸Ｘ１と巻取リール３５の回転軸Ｘ２とを結ぶ直線に沿った軸間方向に長い長尺な板状に形成されている。第１連結部７１および第２連結部７２は、多層フィルムＦから離れた位置に位置する。

　第１連結部７１は、外面７１Ａと、第１被ガイド部７１Ｂとを有する。外面７１Ａは、軸方向において第２連結部７２とは反対側を向いている。第１被ガイド部７１Ｂは、層転写用フィルムカートリッジＦＣを後述する第１の向きで筐体本体２１へ装着するときに、後述する第１ガイドＧＤ１（図６４参照）で案内される部位である。第１被ガイド部７１Ｂは、外面７１Ａから突出している突起である。第１被ガイド部７１Ｂは、第１連結部７１の軸間方向における中心から突出している。

　第２連結部７２は、軸方向における供給部３１０の他端と、軸方向における巻取部３５０の他端とを連結している。具体的に、第２連結部７２は、供給軸部３１Ａの他端と、巻取軸部３５Ａの他端とを連結している。詳しくは、第２連結部７２は、軸間方向の両端に、供給軸部３１Ａや巻取軸部３５Ａが貫通する穴を有する。

　供給ケース３２および巻取ケース３６は、軸方向において、第１連結部７１と第２連結部７２との間に配置されている。

　第２連結部７２は、外面７２Ａと、２つの第２被ガイド部７２Ｂとを有する。外面７２Ａは、軸方向において第１連結部７１とは反対側を向いている。第２被ガイド部７２Ｂは、層転写用フィルムカートリッジＦＣを後述する第１の向きで筐体本体２１へ装着するときに、後述する第２ガイドＧＤ２（図６４参照）で案内される部位である。第２被ガイド部７２Ｂは、外面７２Ａから突出している突起である。各第２被ガイド部７２Ｂは、軸間方向において、第１被ガイド部７１Ｂとは異なる位置に配置されている。言い換えると、各第２被ガイド部７２Ｂは、第１被ガイド部７１Ｂの軸間方向における中心を通る直線であって且つ軸方向に延びる直線上から、外れた位置に配置されている。各第２被ガイド部７２Ｂは、第２連結部７２の軸間方向における中心からずれた位置から突出している。詳しくは、一方の第２被ガイド部７２Ｂから他方の第２被ガイド部７２Ｂまでの中間位置に、第２連結部７２の軸間方向における中心が位置する。また、各第２被ガイド部７２Ｂは、軸間方向の寸法が、第１被ガイド部７１Ｂの軸間方向の寸法よりも小さい。

　層転写用フィルムカートリッジＦＣは、軸方向および軸間方向に直交する方向において、筐体本体２１に着脱可能となっている。なお、本実施形態では、軸方向および軸間方向に直交する方向を、「着脱方向」とも称する。

　図６４に示すように、筐体本体２１は、第１ガイドＧＤ１と、２つの第２ガイドＧＤ２とを備えている。第１ガイドＧＤ１および各第２ガイドＧＤ２は、第１の向きの層転写用フィルムカートリッジＦＣを装着位置までガイドするガイドである。ここで、「第１の向き」とは、筐体本体２１に層転写用フィルムカートリッジＦＣが正常に取り付けられるときの向きをいう。詳しくは、「第１の向き」とは、層転写用フィルムカートリッジＦＣが装着位置に位置しているときの向きをいう。本実施形態では、「第１の向き」とは、当該第１の向きのまま層転写用フィルムカートリッジＦＣが筐体本体２１に対して装着位置までガイドされた状態において、加熱ローラ６１に対して供給リール３１がシートＳの搬送方向上流側に配置され、かつ、シャフト４３が巻取リール３５の回転軸Ｘ２（図６３参照）よりも装着方向上流側に配置される向きをいう。

　なお、以下の筐体本体２１の説明では、前述した軸方向および軸間方向を、筐体本体２１に層転写用フィルムカートリッジＦＣが装着された状態での方向として説明する。

　第１ガイドＧＤ１は、層転写用フィルムカートリッジＦＣの第１被ガイド部７１Ｂが入る溝であり、所定方向の一例としての軸方向において、筐体本体２１の一端に設けられている。第１ガイドＧＤ１は、筐体本体２１の内面に位置する。第１ガイドＧＤ１は、軸方向に直交する方向に延びている。第１ガイドＧＤ１は、軸間方向に直交する方向に延びている。

　詳しくは、第１ガイドＧＤ１は、軸方向に直交する方向に延びる第１部分ＧＤ１１と、層転写用フィルムカートリッジＦＣの装着方向において第１部分ＧＤ１１の上流側に位置する第２部分ＧＤ１２とを有する。第１部分ＧＤ１１の軸方向および軸間方向に直交する方向に延びる２つの縁は、層転写用フィルムカートリッジＦＣの装着方向に平行に延びている。第１部分ＧＤ１１の幅、つまり軸間方向の寸法、詳しくは２つの縁の間隔は、第１の幅Ｂ１（図６５参照）となっている。第２部分ＧＤ１２は、層転写用フィルムカートリッジＦＣの装着方向上流側に向かうにつれて、徐々に幅広となるように形成されている。

　第２ガイドＧＤ２は、層転写用フィルムカートリッジＦＣの第２被ガイド部７２Ｂが入る溝であり、軸方向において、筐体本体２１の他端に２つ設けられている。各第２ガイドＧＤ２は、筐体本体２１の内面に位置し、第１ガイドＧＤ１が形成された筐体本体２１の内面と向き合っている。各第２ガイドＧＤ２は、軸方向に直交する方向に延びている。各第２ガイドＧＤ２は、軸間方向に直交する方向に延びている。

　詳しくは、各第２ガイドＧＤ２は、軸方向に直交する方向に延びる第１部分ＧＤ２１と、層転写用フィルムカートリッジＦＣの装着方向において第１部分ＧＤ２１の上流側に位置する第２部分ＧＤ２２とを有する。第１部分ＧＤ２１の軸方向および軸間方向に直交する方向に延びる２つの縁は、層転写用フィルムカートリッジＦＣの装着方向に平行に延びている。第１部分ＧＤ２１の幅、つまり軸間方向の寸法、詳しくは２つの縁の間隔は、第１の幅Ｂ１よりも小さな第２の幅Ｂ２（図６５参照）となっている。第２部分ＧＤ２２は、層転写用フィルムカートリッジＦＣの装着方向上流側に向かうにつれて、徐々に幅広となるように形成されている。

　各第２ガイドＧＤ２は、軸方向において第１ガイドＧＤ１とは非対称に構成されている。詳しくは、各第２ガイドＧＤ２は、軸間方向、つまり層転写用フィルムカートリッジＦＣの着脱方向および所定方向に直交する直交方向において、第１ガイドＧＤ１とは異なる位置に配置されている。

　図６５に示すように、層転写用フィルムカートリッジＦＣの第１被ガイド部７１Ｂの軸間方向の寸法は、第１ガイドＧＤ１の幅Ｂ１に対応した大きさ、詳しくは略同じ大きさとなっている。層転写用フィルムカートリッジＦＣの各第２被ガイド部７２Ｂのそれぞれの軸間方向の寸法は、第２ガイドＧＤ２の幅Ｂ２に対応した大きさ、詳しくは略同じ大きさとなっている。詳しくは、第１被ガイド部７１Ｂの軸間方向の寸法は、第１ガイドＧＤ１の幅Ｂ１よりも若干小さい。第１被ガイド部７１Ｂの軸間方向の寸法は、第２ガイドＧＤ２の幅Ｂ２よりも大きい。

　第１案内軸４１と第２案内軸４２は、軸間方向、つまり層転写用フィルムカートリッジＦＣの着脱方向および所定方向に直交する直交方向において、間隔を空けて並んでいる。筐体本体２１の筐体開口２１Ａは、第１端Ｅ１と、第２端Ｅ２とを有している。

　第１端Ｅ１は、軸間方向において、第１案内軸４１に対して第２案内軸４２とは反対側に位置している。第２端Ｅ２は、軸間方向において、第２案内軸４２に対して第１案内軸４１とは反対側に位置している。

　層転写用フィルムカートリッジＦＣの着脱方向から見たときにおける、第１端Ｅ１と第１案内軸４１との間隔Ｌ７は、供給ケース３２の外径Ｄ１に対応した大きさとなっている。詳しくは、間隔Ｌ７は、外径Ｄ１よりも若干大きい。

　層転写用フィルムカートリッジＦＣの着脱方向から見たときにおける、第２端Ｅ２と第２案内軸４２との間隔Ｌ８は、巻取ケース３６の外径Ｄ２に対応した大きさとなっている。詳しくは、間隔Ｌ８は、巻取ケース３６の外径Ｄ２よりも若干大きく、供給リール３１の外径Ｄ１よりも小さい。

　次に、本実施形態に係る層転写装置１の作用効果について説明する。
　図６４に示すように、層転写用フィルムカートリッジＦＣを第１の向きで筐体本体２１に装着する場合には、層転写用フィルムカートリッジＦＣの第１被ガイド部７１Ｂが筐体本体２１の第１ガイドＧＤ１に入ることができるとともに、２つの第２被ガイド部７２Ｂが筐体本体２１の２つの第２ガイドＧＤ２に入ることができる。また、供給ケース３２が、第１案内軸４１と筐体開口２１Ａの第１端Ｅ１の間を通ることができるとともに、巻取ケース３６が、第２案内軸４２と筐体開口２１Ａの第２端Ｅ２の間を通ることができる。そのため、層転写用フィルムカートリッジＦＣを筐体本体２１に対して第１の向きとしている場合には、層転写用フィルムカートリッジＦＣを筐体本体２１に良好に装着することができる。

　一方、層転写用フィルムカートリッジＦＣの向きを、第１の向きに対して層転写用フィルムカートリッジＦＣの着脱方向に沿った軸Ｘ３回りに反転した第２の向きとした場合には、層転写用フィルムカートリッジＦＣの第１被ガイド部７１Ｂが、装着位置から離れた位置で筐体開口２１Ａの第２ガイドＧＤ２側の縁と干渉するとともに、各第２被ガイド部７２Ｂが、装着位置から離れた位置で筐体開口２１Ａの第１ガイドＧＤ１側の縁と干渉する。この際、幅広の第１被ガイド部７１Ｂを幅狭の第２ガイドＧＤ２に合わせても、幅の違いにより、第１被ガイド部７１Ｂが第２ガイドＧＤ２内に入ることはない。

　また、この際、外径の大きな供給ケース３２は、装着位置から離れた位置で第２案内軸４２または筐体開口２１Ａの第２端Ｅ２と干渉する。そして、このように層転写用フィルムカートリッジＦＣが筐体本体２１と干渉した状態において、層転写用フィルムカートリッジＦＣは、装着位置への移動が筐体本体２１で規制される。そのため、層転写用フィルムカートリッジＦＣの向きを第２の向きとした場合には、層転写用フィルムカートリッジＦＣを、筐体本体２１に装着することはできない。

　また、第２の向きの層転写用フィルムカートリッジＦＣが装着位置から離れた位置で筐体本体２１に干渉して装着位置への移動が筐体本体２１で規制された状態において、層転写用フィルムカートリッジＦＣの少なくとも一部は、筐体開口２１Ａから筐体本体２１の外に突出している。本実施形態では、着脱方向において、層転写用フィルムカートリッジＦＣの半分以上の部分が、筐体開口２１Ａから外に突出する。

　そのため、第２の向きの層転写用フィルムカートリッジＦＣが筐体本体２１に支持された状態においては、層転写用フィルムカートリッジＦＣの少なくとも一部が筐体開口２１Ａから突出することにより、筐体カバー２２を閉じることはできず、層転写を行うことができない。また、第１の向きの層転写用フィルムカートリッジＦＣが筐体本体２１に支持された状態においては、層転写用フィルムカートリッジＦＣが装着位置に位置して筐体開口２１Ａから突出しないので、筐体カバー２２を閉じることができ、層転写を行うことができる。

　以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
　第１ガイドＧＤ１および第２ガイドＧＤ２が軸方向において非対称に構成されるので、ユーザが層転写用フィルムカートリッジＦＣを第２の向きで筐体本体２１に誤って組み付けようとすると、層転写用フィルムカートリッジＦＣが装着位置まで到達する前に筐体本体２１と干渉するので、層転写用フィルムカートリッジＦＣの誤組付を防止できる。

　第２の向きの層転写用フィルムカートリッジＦＣが装着位置から離れた位置で筐体本体２１と干渉して、装着位置への移動が筐体本体２１で規制された状態において、層転写用フィルムカートリッジＦＣの少なくとも一部が筐体開口２１Ａから外に突出するので、ユーザが誤組付を即座に知ることができる。

　巻取ケース３６の外径を供給ケース３２の外径よりも小さくしたので、層転写後の層厚が小さくなった多層フィルムＦを収容する巻取ケース３６をコンパクトにして、層転写用フィルムカートリッジＦＣの小型化を図ることができる。

　なお、前記した第１４実施形態は、以下に例示するように様々な形態に変形して実施することができる。以下の説明においては、第１４実施形態と略同様の構造となる部材には同一の符号を付し、その説明は省略する。

　第１ガイド、第２ガイド、第１被ガイド部および第２被ガイド部は、前記実施形態に限らず、どのような形状・位置・数であってもよく、例えば、図６６に示すように構成してもよい。図６６に示す形態では、筐体本体２１は、２つの第１ガイドＧ１１，Ｇ１２と、２つの第２ガイドＧ２１とを有している。２つの第１ガイドＧ１１，Ｇ１２と、２つの第２ガイドＧ２１は、軸方向において非対称に構成されている。

　詳しくは、第１ガイドＧ１１は、軸方向に直交する方向に延びる第１部分Ｇ１１１と、層転写用フィルムカートリッジＦＣの装着方向において第１部分Ｇ１１１の上流側に位置する第２部分Ｇ１１２とを有する。第１部分Ｇ１１１の軸方向および軸間方向に直交する方向に延びる２つの縁は、層転写用フィルムカートリッジＦＣの装着方向に平行に延びている。第１部分Ｇ１１１の幅、つまり軸間方向の寸法、詳しくは２つの縁の間隔は、第１の幅Ｂ３（図６７参照）となっている。第２部分Ｇ１１２は、層転写用フィルムカートリッジＦＣの装着方向上流側に向かうにつれて、徐々に幅広となるように形成されている。

　第１ガイドＧ１２は、軸方向に直交する方向に延びる第１部分Ｇ１２１と、層転写用フィルムカートリッジＦＣの装着方向において第１部分Ｇ１２１の上流側に位置する第２部分Ｇ１２２とを有する。第１部分Ｇ１２１の軸方向および軸間方向に直交する方向に延びる２つの縁は、層転写用フィルムカートリッジＦＣの装着方向に平行に延びている。第１部分Ｇ１２１の幅、つまり軸間方向の寸法、詳しくは２つの縁の間隔は、第１の幅Ｂ３よりも大きな第２の幅Ｂ４（図６７参照）となっている。第２部分Ｇ１２２は、層転写用フィルムカートリッジＦＣの装着方向上流側に向かうにつれて、徐々に幅広となるように形成されている。

　各第２ガイドＧ２１は、軸方向に直交する方向に延びる第１部分Ｇ２１１と、層転写用フィルムカートリッジＦＣの装着方向において第１部分Ｇ２１１の上流側に位置する第２部分Ｇ２１２とを有する。第１部分Ｇ２１１の軸方向および軸間方向に直交する方向に延びる２つの縁は、層転写用フィルムカートリッジＦＣの装着方向に平行に延びている。第１部分Ｇ２１１の幅、つまり軸間方向の寸法、詳しくは２つの縁の間隔は、第１ガイドＧ１２の第１部分Ｇ１２１と同じ幅、つまり第１の幅Ｂ３よりも大きな第２の幅Ｂ４（図６７参照）となっている。第２部分Ｇ２１２は、層転写用フィルムカートリッジＦＣの装着方向上流側に向かうにつれて、徐々に幅広となるように形成されている。

　層転写用フィルムカートリッジＦＣは、第１被ガイド部として、巻取軸部３５Ａの一端部Ａ１１および供給軸部３１Ａの一端部Ａ２１を有している。また、層転写用フィルムカートリッジＦＣは、第２被ガイド部として、巻取軸部３５Ａの他端部Ａ１２および供給軸部３１Ａの他端部Ａ２２を有している。

　巻取軸部３５Ａの一端部Ａ１１は、層転写用フィルムカートリッジＦＣの軸方向の一端側の面、詳しくは巻取ギヤ３５Ｃの第１連結部７１とは反対側の面から突出している。供給軸部３１Ａの一端部Ａ２１は、層転写用フィルムカートリッジＦＣの軸方向の一端側の面、詳しくは第１連結部７１の供給ケース３２とは反対側の面から突出している。

　巻取軸部３５Ａの他端部Ａ１２および供給軸部３１Ａの他端部Ａ２２は、層転写用フィルムカートリッジＦＣの軸方向の他端側の面、詳しくは第２連結部７２の巻取ケース３６とは反対側の面から突出している。

　巻取軸部３５Ａの一端部Ａ１１は、層転写用フィルムカートリッジＦＣを第１の向きで筐体本体２１へ装着するときに幅狭の第１ガイドＧ１１で案内される部位であり、幅狭の第１ガイドＧ１１の第１部分Ｇ１１１の幅Ｂ３に対応した大きさで形成されている。詳しくは、巻取軸部３５Ａの一端部Ａ１１の外径は、第１ガイドＧ１１の第１部分Ｇ１１１の幅Ｂ３よりも若干小さい。供給軸部３１Ａの一端部Ａ２１は、層転写用フィルムカートリッジＦＣを第１の向きで筐体本体２１へ装着するときに幅広の第１ガイドＧ１２で案内される部位であり、幅広の第１ガイドＧ１２の第１部分Ｇ１２１の幅Ｂ４に対応した大きさで形成されている。詳しくは、供給軸部３１Ａの一端部Ａ２１の外径は、第１ガイドＧ１２の第１部分Ｇ１２１の幅Ｂ４よりも若干小さい。供給軸部３１Ａの一端部Ａ２１の外径は、第１ガイドＧ１１の第１部分Ｇ１１１の幅Ｂ３よりも大きい。

　巻取軸部３５Ａの他端部Ａ１２は、層転写用フィルムカートリッジＦＣを第１の向きで筐体本体２１へ装着するときに第２ガイドＧ２１で案内される部位であり、第２ガイドＧ２１の第１部分Ｇ２１１の幅Ｂ４に対応した大きさで形成されている。詳しくは、巻取軸部３５Ａの他端部Ａ１２の外径は、第２ガイドＧ２１の第１部分Ｇ２１１の幅Ｂ４よりも若干小さい。供給軸部３１Ａの他端部Ａ２２は、層転写用フィルムカートリッジＦＣを第１の向きで筐体本体２１へ装着するときに第２ガイドＧ２１で案内される部位であり、第２ガイドＧ２１の第１部分Ｇ２１１の幅Ｂ４に対応した大きさで形成されている。詳しくは、供給軸部３１Ａの他端部Ａ２２の外径は、第２ガイドＧ２１の第１部分Ｇ２１１の幅Ｂ４よりも若干小さい。

　つまり、巻取軸部３５Ａの他端部Ａ１２の外径、供給軸部３１Ａの一端部Ａ２１の外径、および、供給軸部３１Ａの他端部Ａ２２の外径は、それぞれ同じ大きさ、詳しくは幅Ｂ３よりも大きな幅Ｂ４と略同じ大きさとなっている。また、巻取軸部３５Ａの一端部Ａ１１の外径は、巻取軸部３５Ａの他端部Ａ１２、供給軸部３１Ａの一端部Ａ２１、および、供給軸部３１Ａの他端部Ａ２２の外径よりも小さい。

　筐体本体２１の筐体開口２１Ａは、供給ケース３２の軸方向の各端面に沿った２つの第３端Ｅ３と、第１ハンドル８１の軸方向の各端面に沿った２つの第４端Ｅ４とを有している。２つの第３端Ｅ３は、軸方向に離れている。２つの第４端Ｅ４は、軸方向に離れている。

　図６７に示すように、２つの第３端Ｅ３の軸方向における間隔Ｄ３は、供給ケース３２の軸方向の寸法、すなわち供給ケース３２の軸方向の各端面間の距離と略同じ大きさとなっている。詳しくは、間隔Ｄ３は、供給ケース３２の軸方向の寸法よりも若干大きい。なお、この形態では、巻取ケース３６の軸方向の寸法が、供給ケース３２の軸方向の寸法と異なっている。詳しくは、巻取ケース３６の軸方向の寸法、すなわち巻取ケース３６の軸方向の各端面間の距離が、供給ケース３２の軸方向の寸法よりも大きい。そのため、２つの第３端Ｅ３の軸方向における間隔Ｄ３は、巻取ケース３６の軸方向の寸法よりも小さくなっている。

　２つの第４端Ｅ４の軸方向における間隔Ｄ４は、間隔Ｄ３よりも小さく、かつ、第１ハンドル８１の軸方向の寸法よりも若干大きい。また、間隔Ｄ４は、供給ケース３２の軸方向の寸法よりも小さい。

　この形態では、層転写用フィルムカートリッジＦＣを第２の向きで筐体本体２１に装着しようとすると、供給軸部３１Ａの他端部Ａ２２が、幅狭の第１ガイドＧ１１と干渉するので、層転写用フィルムカートリッジＦＣの装着位置への移動が第１ガイドＧ１１で規制される。また、層転写用フィルムカートリッジＦＣを第２の向きで筐体本体２１に装着しようとすると、軸方向の寸法が大きい巻取ケース３６が、第３端Ｅ３または第４端Ｅ４と干渉するので、層転写用フィルムカートリッジＦＣの装着位置への移動が第３端Ｅ３または第４端Ｅ４で規制される。そのため、この形態でも、層転写用フィルムカートリッジＦＣの誤組付を防止することができる。

　なお、この形態では、巻取軸部３５Ａの一端部Ａ１１および供給軸部３１Ａの一端部Ａ２１を第１被ガイド部とし、巻取軸部３５Ａの他端部Ａ１２および供給軸部３１Ａの他端部Ａ２２を第２被ガイド部としたが、第１被ガイド部は、巻取リールの軸方向における巻取部の一端部と、供給リールの軸方向における供給部の一端部であればよく、例えば巻取ケースおよび供給ケースの軸方向の一端に設けた突起であってもよい。また、第２被ガイド部は、巻取リールの軸方向における巻取部の他端部と、供給リールの軸方向における供給部の他端部であればよく、例えば巻取ケースおよび供給ケースの軸方向の他端に設けた突起であってもよい。

　また、この形態では、巻取ケース３６の軸方向の寸法を、供給ケース３２の軸方向の寸法よりも大きくしたが、例えば、巻取ケースの軸方向の寸法を、供給ケースの軸方向の寸法よりも小さくしてもよい。

　前記実施形態では、巻取ケース３６の外径を供給ケース３２の外径よりも小さくしたが、巻取ケースの外径を供給ケースの外径よりも大きくしてもよい。なお、この場合には、例えば巻取ケースの外径を供給ケースよりも小さくするものに比べ、巻取リールに付与する巻取トルクを小さくすることができる。ここで、巻取ケースが小さいと、巻取ケース内の多層フィルムの収容空間が小さくなるため、巻取トルクを大きくして多層フィルムの張力を強くしながら巻き取り、巻取ケース内の多層フィルムの径を小さくすることで、小さな収容空間内に使用済みの多層フィルムを収容する必要がある。これに対し、巻取ケースが大きいと、その制約が緩くなるため、巻取トルクを小さくできる。

　供給ケースおよび巻取ケースは、リールのすべてを収容していなくてもよく、リールの少なくとも一部を収容していればよい。例えば、供給ケースおよび巻取ケースは、リールのうち、リールの回転軸よりも装着方向下流側の半分を収容していればよい。また、供給ケースおよび巻取ケースは、複数の孔やスリットを有していてもよく、例えばメッシュ状に構成されていてもよい。

　前述した図６４の形態では、第２ガイドＧＤ２の幅を第１ガイドＧＤ１の幅よりも小さくしたが、例えば第２ガイドの幅を第１ガイドの幅よりも大きくしてもよいし、第２ガイドの幅と第１ガイドの幅を同じにしてもよい。

　前述した図６４の形態では、第２被ガイド部および第２ガイドの数をそれぞれ２つとしたが、第２被ガイド部および第２ガイドの数は、それぞれ１つであってもよいし、３つ以上であってもよい。同様に、第１被ガイド部および第１ガイドの数は、いくつであってもよい。

　前記実施形態では、所定方向として軸方向を例示したが、所定方向は、例えば軸間方向であってもよい。

　前記実施形態では、連結部７０を２つの連結部、すなわち第１連結部７１および第２連結部７２で構成したが、連結部は１つ（例えば第１連結部のみ）であってもよいし、連結部はなくてもよい。また、連結部は、供給部と巻取部を連結していればよく、例えば、供給ケースと巻取ケースを連結していてもよい。

　第１５実施形態について、主に図６８～図７２を参照しながら詳細に説明する。以下の説明においては、第１実施形態と略同様の構造となる部材には同一の符号を付し、その説明は省略する。

　図６８に示すように、層転写装置１は、筐体２と、シート搬送部１０と、フィルム供給部３０と、転写部５０とを備えている。

　図６９（ａ），（ｂ）に示すように、筐体２は、樹脂などからなり、筐体本体２１と、載置台２２Ｄとを備えている。筐体本体２１は、側部に筐体開口２１Ｋを有している。筐体開口２１Ｋは、筐体本体２１に後述する層転写用フィルムカートリッジＦＣを着脱するための開口である。筐体開口２１Ｋは、上下方向に直交する第１方向を向いている。ここで、「上下方向に直交する第１方向」とは、上下方向に直交する方向に対して多少傾いた角度（例えば、±２０°の範囲内の角度）を向く方向であってもよい。筐体開口２１Ｋを有する筐体本体２１の側部は、第１方向と直交する方向に広がる面を有し、当該面を貫通するように筐体開口２１Ｋが形成されている。

　図７０に示すように、載置台２２Ｄは、層転写用フィルムカートリッジＦＣを下から支持する台である。図６９（ａ），（ｂ）に示すように、載置台２２Ｄは、筐体本体２１に回動可能に支持されている。載置台２２Ｄは、筐体開口２１Ｋを閉じる閉位置（図６９（ａ）の位置）と、筐体開口２１Ｋを開放する開位置（図６９（ｂ）の位置）との間で回動可能となっている。載置台２２Ｄは、後述する第２方向に沿った回動軸を中心に、筐体本体２１に回動可能となっている。

　載置台２２Ｄは、開位置に位置するときにおいて、筐体本体２１の筐体開口２１Ｋに隣接する位置から、筐体本体２１の内側から外側に向けて第１方向に延出している。載置台２２Ｄは、第１支持面２２Ｓと、第１ガイドＧ１とを有している。

　第１支持面２２Ｓは、層転写用フィルムカートリッジＦＣを下から支持する面である。第１支持面２２Ｓは、第１方向と、第１方向に対して直交し、かつ、上方方向に対して斜めに交差する第２方向に沿って延びている。第１支持面２２Ｓは、ユーザが層転写用フィルムカートリッジＦＣから手を離した状態であっても、層転写用フィルムカートリッジＦＣを滑り落ちないように支持可能となっている。

　第１ガイドＧ１は、載置台２２Ｄに載置された層転写用フィルムカートリッジＦＣ（図７０参照）を筐体本体２１内の装着位置に向けて第１方向に案内する第１カートリッジガイドの一例である。第１ガイドＧ１は、第２方向において、載置台２２Ｄに載置された層転写用フィルムカートリッジＦＣを挟み込む２つの第１凸部ＧＰ１からなっている。

　各第１凸部ＧＰ１は、第１支持面２２Ｓの第２方向の各端から突出している。各第１凸部ＧＰ１は、第１方向に長いリブ状に形成されている。

　図６８に戻って、シート搬送部１０は、シート供給機構１１と、シート排出機構１２とを備えている。シート搬送部１０は、後述するメインモータＭによって回転駆動される。シート供給機構１１は、図示せぬシートトレイ上のシートＳを一枚ずつ転写部５０に向けて搬送するシート排出機構１２は、転写部５０を通過したシートＳを筐体２の外部に排出する機構である。

　フィルム供給部３０は、層転写用フィルムカートリッジＦＣと、第１案内軸４１と、第２案内軸４２と、駆動源としてのメインモータＭを備えている。

　層転写用フィルムカートリッジＦＣは、図７１に示すように、筐体開口２１Ｋを通して筐体本体２１に着脱可能となっている。層転写用フィルムカートリッジＦＣは、図１（ｂ）に示すような複数の層からなる多層フィルムＦを支持するカートリッジである。層転写用フィルムカートリッジＦＣは、供給部３１０と、巻取部３５０と、シャフト４３とを主に備えている。供給部３１０は、供給リール３１を主に有する。巻取部３５０は、巻取リール３５を主に有する。供給リール３１には、多層フィルムＦが巻回されている。

　転写部５０は、加圧ローラ５１と、加熱ローラ６１とを備えている。転写部５０は、加圧ローラ５１と加熱ローラ６１のニップ部において、シートＳと多層フィルムＦを重ねて加熱および加圧する。加圧ローラ５１および加熱ローラ６１は、第１方向に沿って延びている。加圧ローラ５１および加熱ローラ６１は、第１方向に沿って延びる回転軸を中心として、それぞれ筐体本体２１に回転可能に支持されている。

　また、加圧ローラ５１および加熱ローラ６１の少なくとも一方のローラは、他方のローラに対して接触する接触位置と、他方から離れる離間位置との間で移動可能となっている。なお、一方のローラの移動は、図示せぬ接離機構によって行うことができる。また、接離機構は、載置台２２Ｄが開位置に位置するときに一方のローラの位置を離間位置とし、載置台２２Ｄが閉位置に位置するときに一方のローラの位置を接触位置とするように構成することができる。詳しくは、シートＳのトナー像への多層フィルムＦの転写層Ｆ２２の転写を開始する際に、接離機構は、一方のローラの位置を離間位置から接触位置とする。また、トナー像への転写層Ｆ２２の転写、すなわち、層転写が終了すると、接離機構は、一方のローラの位置を接触位置から離間位置とする。層転写は、載置台２２Ｄが閉位置に位置しているのを条件として、実行される。

　加圧ローラ５１は、加熱ローラ６１との間でシートＳおよび多層フィルムＦを挟み、メインモータＭによって回転駆動されることで加熱ローラ６１を従動回転させる。このように加圧ローラ５１と加熱ローラ６１との間でシートＳおよび多層フィルムＦを挟んだ状態で、加圧ローラ５１および加熱ローラ６１が回転することで、シートＳおよび多層フィルムＦが搬送される。

　加熱ローラ６１は、円筒状に形成された金属管の内部にヒータを配置したローラであり、多層フィルムＦおよびシートＳを加熱している。加熱ローラ６１は、多層フィルムＦの下側に配置され、多層フィルムＦの第１面ＦＡと接触している。

　転写部５０においては、シートＳと多層フィルムＦが加圧ローラ５１と加熱ローラ６１の間のニップ部を通過する際に、加熱ローラ６１と加圧ローラ５１により加熱および加圧され、トナー像の上に転写層Ｆ２２が転写される。

　図７１に示すように、層転写用フィルムカートリッジＦＣは、前述した供給部３１０、巻取部３５０およびシャフト４３の他、連結部７０と、ハンドル８０と、支持部材９０とを備えている。供給部３１０は、前述した供給リール３１の他、供給ケース３２を有している。また、巻取部３５０は、前述した巻取リール３５の他、巻取ケース３６を備えている。供給ケース３２は、供給リール３１を収容し、巻取リール３６は、巻取リール３５を収容する。

　連結部７０は、供給部３１０の一端部Ａ２１と巻取部３５０の一端部Ａ１１とを連結する部材である。詳しくは、図７０に示すように、連結部７０は、層転写用フィルムカートリッジＦＣが載置台２２Ｄに載置された状態において、供給部３１０の筐体開口２１Ｋから遠い側の一端部Ａ２１と、巻取部３５０の筐体開口２１Ｋから遠い側の一端部Ａ１１とを連結している。別の観点からすると、連結部７０は、層転写用フィルムカートリッジＦＣが載置台２２Ｄに載置された状態において、供給部３１０の筐体本体２１から遠い側の一端部Ａ２１と、巻取部３５０の筐体本体２１から遠い側の一端部Ａ１１とを連結している。図７１に示すように、供給部３１０の一端部Ａ２１とは反対側の他端部Ａ２２と、巻取部３５０の一端部Ａ１１とは反対側の他端部Ａ１２は、連結されていない。

　なお、本実施形態では、供給部３１０の各端部Ａ２１，Ａ２２を供給リール３１の供給軸部３１Ａの各端部とし、巻取部３５０の各端部Ａ１１，Ａ１２を巻取リール３５の巻取軸部３５Ａの各端部とするが、例えば、供給部３１０の各端部は、供給ケース３２の各端部であってもよいし、巻取部３５０の各端部は、巻取ケース３６の各端部であってもよい。

　連結部７０は、供給リール３１の回転軸Ｘ１と巻取リール３５の回転軸Ｘ２とを結ぶ直線に沿った軸間方向に長い長尺な板状に形成されている。連結部７０は、軸方向において、巻取ギヤ３５Ｃと巻取ケース３６との間に配置されている。

　層転写用フィルムカートリッジＦＣは、供給リール３１の回転軸Ｘ１が第１方向に沿い、かつ、供給部３１０の他端部Ａ２２が筐体開口２１Ｋを向いた状態で、載置台２２Ｄに載置されることで、第１ガイドＧ１に沿って筐体本体２１に装着可能となっている。

　図７２（ａ）に示すように、筐体本体２１は、当該筐体本体２１の内部において、層転写用フィルムカートリッジＦＣを第１方向にガイドする内側ガイドＧ２を備えている。内側ガイドＧ２は、層転写用フィルムカートリッジＦＣをガイドしているときに、第２方向において層転写用フィルムカートリッジＦＣを挟み込む２つの第２凸部ＧＰ２からなっている。載置台２２Ｄに設けられる２つの第１凸部ＧＰ１の間隔Ｄ５は、２つの第２凸部ＧＰ２の間隔Ｄ６よりも大きい。

　図７２（ｂ）に示すように、筐体本体２１は、当該筐体本体２１の内部において層転写用フィルムカートリッジＦＣを下から支持する第２支持面２１Ｓを有している。載置台２２Ｄに設けられる第１支持面２２Ｓは、第２支持面２１Ｓよりも上に位置している。

　次に、本実施形態に係る層転写装置１の作用効果について説明する。
　層転写用フィルムカートリッジＦＣを筐体本体２１に装着する場合には、まず、図７０に示すように、層転写用フィルムカートリッジＦＣを載置台２２Ｄに載置する。詳しくは、層転写用フィルムカートリッジＦＣのうち連結部７０が設けられていない側の端部を筐体開口２１Ｋに向けて、層転写用フィルムカートリッジＦＣを載置台２２Ｄに載置する。この際、図７２（ａ）に示すように、２つの第１凸部ＧＰ１の間隔Ｄ５が２つの第２凸部ＧＰ２の間隔Ｄ６よりも大きいので、ユーザは、各第１凸部ＧＰ１の間の広いスペースに層転写用フィルムカートリッジＦＣを容易に配置することができる。

　次に、ユーザは、層転写用フィルムカートリッジＦＣを載置台２２Ｄの第１支持面２２Ｓ上で滑らせていくことで、層転写用フィルムカートリッジＦＣを第１方向に沿って筐体本体２１内に移動させる。この際、２つの第２凸部ＧＰ２の間隔Ｄ６が２つの第１凸部ＧＰ１の間隔Ｄ５よりも小さいので、層転写用フィルムカートリッジＦＣの第２方向での位置ずれを小さく抑えることができ、層転写用フィルムカートリッジＦＣを安定した姿勢で装着位置まで案内することができる。

　また、この際、図７２（ｂ）に示すように、筐体本体２１の第２支持面２１Ｓが第１支持面２２Ｓよりも下に位置するので、層転写用フィルムカートリッジＦＣが第２支持面２１Ｓの縁で引っかからず、層転写用フィルムカートリッジＦＣをスムーズに筐体本体２１内の装着位置まで移動させることができる。なお、筐体本体２１から層転写用フィルムカートリッジＦＣを外す場合には、ユーザは、連結部７０を持って、層転写用フィルムカートリッジＦＣの連結部７０側の端部を少し浮かした状態にすることで、層転写用フィルムカートリッジＦＣを第２支持面２１Ｓから第１支持面２２Ｓに容易に移動させることができる。

　以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
　層転写用フィルムカートリッジＦＣを上下方向に直交する第１方向に沿って筐体本体２１に装着する場合に、層転写用フィルムカートリッジＦＣを載置台２２Ｄで支持することができるので、層転写用フィルムカートリッジＦＣの重量が大きい場合であっても、層転写用フィルムカートリッジＦＣを第１方向に容易に着脱することができる。

　供給部３１０の他端部Ａ２２と巻取部３５０の他端部Ａ１２が連結されていないので、筐体本体２１内において供給部３１０と巻取部３５０の間に配置される部材（例えば加熱ローラ６１）と層転写用フィルムカートリッジＦＣが干渉することなく、層転写用フィルムカートリッジＦＣを第１方向に装着することができる。

　層転写用フィルムカートリッジＦＣを載置台２２Ｄに載置する際には、間隔の大きな２つの第１凸部ＧＰ１の間に層転写用フィルムカートリッジＦＣを置けばよいので、層転写用フィルムカートリッジＦＣを載置台２２Ｄに載置する作業を容易に行うことができる。また、載置台２２Ｄに載置された層転写用フィルムカートリッジＦＣを筐体本体２１に第１方向に沿って装着する際には、間隔の小さな第２凸部ＧＰ２の間に層転写用フィルムカートリッジＦＣが案内されることで、層転写用フィルムカートリッジＦＣを装着位置まで安定した姿勢で案内することができる。

　第２支持面２１Ｓが第１支持面２２Ｓよりも下に位置することで、載置台２２Ｄに載置された層転写用フィルムカートリッジＦＣを筐体本体２１に第１方向に沿って装着する際において、層転写用フィルムカートリッジＦＣが第２支持面２１Ｓの縁に引っかかることが抑制されるので、層転写用フィルムカートリッジＦＣの装着作業を容易に行うことができる。

　なお、前記した第１５実施形態は、以下に例示するように様々な形態に変形して実施することができる。以下の説明においては、前記実施形態と略同様の構造となる部材には同一の符号を付し、その説明は省略する。

　第１５実施形態では、載置台２２Ｄが回動可能な構造を例示したが、例えば、図７３に示すように、載置台２３Ｄが第１方向に沿って移動可能に構成されていてもよい。

　具体的に、この形態では、筐体２は、ドロワＤＲを備えている。ドロワＤＲは、筐体本体２１の筐体開口２１Ｋを通して第１方向にスライド可能となっている。ドロワＤＲの底壁は、載置台２３Ｄとなっている（図７４も参照）。

　筐体本体２１は、ドロワＤＲを第１方向に案内する第１ガイドＧ３を有している。第１ガイドＧ３は、第１方向に延びるリブ状に形成されている。第１ガイドＧ３は、筐体本体２１の第２方向の一端と他端にそれぞれ配置されている。

　ドロワＤＲは、第１ガイドＧ３で案内されることで、筐体本体２１内の内側位置と、筐体本体２１外の外側位置（図の位置）との間で、筐体開口２１Ｋを通って移動可能となっている。つまり、載置台２３Ｄは、第１ガイドＧ３で案内されることで、筐体本体２１内の内側位置と、筐体本体２１外の外側位置（図の位置）との間で、筐体開口２１Ｋを通って移動可能となっている。

　載置台２３Ｄには、加熱ローラ６１、第１案内軸４１および第２案内軸４２が設けられている。詳しくは、加熱ローラ６１、第１案内軸４１および第２案内軸４２は、台座２９に支持されている。台座２９は、載置台２３Ｄ上に設けられている。

　ドロワＤＲは、前述した載置台２３Ｄの他、第１壁２４と、第２壁２５と、第３壁２６と、カバー２７と、脚２８とをさらに有している。

　第１壁２４は、載置台２３Ｄの第２方向の一端側の端部から上に延びている。第２壁２５は、載置台２３Ｄの第２方向の他端側の端部から上に延びている。第１壁２４および第２壁２５は、第１方向と、第２方向と直交する方向とに沿って延びている。第１壁２４と第２壁２５との間には、加熱ローラ６１、第１案内軸４１、第２案内軸４２および台座２９が配置されている。第１壁２４の第２壁２５とは反対側の面には、ガイド溝ＧＧが形成されている。ガイド溝ＧＧは、第１方向に沿って延びている。ガイド溝ＧＧ内には、筐体本体２１の第１ガイドＧ３が嵌っている。なお、第２壁２５の第１壁２４とは反対側の面にも、同様のガイド溝ＧＧ（図７４参照）が形成されている。

　第３壁２６は、外側位置に位置する載置台２３Ｄの筐体開口２１Ｋ側の端部から上に延びている。第３壁２６は、第１壁２４と第２壁２５とに接続されている。第３壁２６は、第１方向において、加熱ローラ６１、第１案内軸４１、第２案内軸４２および台座２９から離れている。第３壁２６は、第２方向と、第２方向および第１方向と直交する方向とに沿って延びている。

　第３壁２６は、第２ガイドＧ４を有している。第２ガイドＧ４は、載置台２３Ｄが外側位置に位置するときに、加熱ローラ６１に向けて層転写用フィルムカートリッジＦＣを案内するガイドである。第２ガイドＧ４は、第３壁２６に形成された、第２方向および第１方向と直交する方向に延びる溝である。第２ガイドＧ４は、第２カートリッジガイドの一例である。

　第２ガイドＧ４は、第３壁２６の第２方向の一端側と他端側に１つずつ設けられている。詳しくは、第２方向において、２つの第２ガイドＧ４の間には、加熱ローラ６１、第１案内軸４１および第２案内軸４２が配置されている。第２方向の一端側に配置される第２ガイドＧ４は、巻取部３５０の他端部Ａ１２を案内する。第２方向の他端側に配置される第２ガイドＧ４は、供給部３１０の他端部Ａ２２を案内する。

　カバー２７は、外側位置に位置する載置台２３Ｄの筐体開口２１Ｋとは反対側の端部から上に延びている。カバー２７は、載置台２３Ｄが内側位置に位置するときに筐体開口２１Ｋを塞ぐように構成されている。カバー２７は、第１方向において、加熱ローラ６１、第１案内軸４１、第２案内軸４２および台座２９から離れている。カバー２７は、第２方向と、第２方向および第１方向と直交する方向とに沿って延びている。カバー２７は、第３壁２６に設けられる２つの第２ガイドＧ４と同様の２つの第２ガイドＧ４（図示略）を有している。カバー２７の第２方向の一端側に配置される第２ガイドＧ４は、巻取部３５０の一端部Ａ１１を案内する。カバー２７の第２方向の他端側に配置される第２ガイドＧ４は、供給部３１０の一端部Ａ２１を案内する。カバー２７は、第１壁２４と第２壁２５とに接続されている。第３壁２６とカバー２７との間には、加熱ローラ６１、第１案内軸４１、第２案内軸４２および台座２９が配置されている。

　脚２８は、載置台２３Ｄが第１方向において筐体本体２１の外側に延出した状態において、載置台２３Ｄを下から支持する部位である。脚２８は、筐体本体２１とは別部材として構成されている。

　詳しくは、脚２８は、図７３に２点鎖線で示すカバー２７の下端から下に延びている。言い換えると、脚２８は、載置台２３Ｄの筐体開口２１Ｋとは反対側の端部から下に延びている。脚２８の下端は、上下方向において、筐体本体２１の下端と同じ位置に配置されている。これにより、筐体本体２１を載置する面に脚２８の下端を接触させることができるので、層転写用フィルムカートリッジＦＣの重量で載置台２３Ｄが撓んでしまうのを脚２８によって抑えることができる。

　層転写用フィルムカートリッジＦＣは、前記実施形態と異なり、供給部３１０と巻取部３５０を第１連結部７１と第２連結部７２とで連結している。第１連結部７１は、供給部３１０の一端部Ａ２１と巻取部３５０の一端部Ａ１１とを連結している。第２連結部７２は、供給部３１０の他端部Ａ２２と巻取部３５０の他端部Ａ１２とを連結している。

　第１連結部７１は、層転写用フィルムカートリッジＦＣを載置台２３Ｄに載置したときに、台座２９とカバー２７との間に配置される。第２連結部７２は、層転写用フィルムカートリッジＦＣを載置台２３Ｄに載置したときに、台座２９と第３壁２６との間に配置される。

　この形態では、層転写用フィルムカートリッジＦＣを載置台２３Ｄに載置する際には、供給部３１０の各端部Ａ２１，Ａ２２と巻取部３５０の各端部Ａ１１，Ａ１２が、ドロワＤＲの各第２ガイドＧ４で案内されるので、加熱ローラ６１に対して層転写用フィルムカートリッジＦＣを精度良く位置決めすることができる。層転写用フィルムカートリッジＦＣを載置台２３Ｄに載置した後は、ドロワＤＲを第１ガイドＧ３に沿って筐体本体２１に押し込むことで、層転写用フィルムカートリッジＦＣが筐体本体２１に装着される。つまり、第１ガイドＧ３が、載置台２３Ｄを介して層転写用フィルムカートリッジＦＣを第１方向に案内するので、層転写用フィルムカートリッジＦＣの重量が大きい場合であっても、層転写用フィルムカートリッジを第１方向に容易に着脱することができる。

　図７１の形態において、供給部３１０の他端部Ａ２２と巻取部３５０の他端部Ａ１２を連結しない構造としたが、図７１の形態において、加熱ローラ６１、第１案内軸４１および第２案内軸４２と干渉しないように屈曲した連結部で、供給部３１０の他端部Ａ２２と巻取部３５０の他端部Ａ１２を連結してもよい。

　前記した図７１の実施形態では、載置台２３Ｄを筐体本体２１に対して可動に構成したが、例えば、載置台は筐体本体に固定されていてもよい。

　前記実施形態では、シャフト４３を連結部７０に対して移動可能としたが、シャフトは、連結部に対して移動不能となるように、連結部や巻取ケースなどに固定されていてもよい。

　前記した各実施形態では、連結部７０～７２を設けることとしたが、連結部はなくてもよい。また、連結部は、供給部と巻取部を連結していればよく、例えば、供給ケースと巻取ケースを連結していてもよい。

　連結部は、供給ケースや巻取ケースに一体に形成されることで、供給ケースや巻取ケースを介して間接的に供給リールや巻取リールに連結されてもよい。連結部は、板状ではなく、供給ケースと巻取ケースとに固定される棒状でもよい。連結部は、樹脂製でもよいし金属製でもよい。支持部材は、連結部に回動可能に連結されていてもよい。

　巻取ケースや供給ケースを連結部に固定する構造は、どのような構造であってもよい。例えば、巻取ケースと供給ケースとを連結部に直接固定してもよい。また、例えば、図３における、連結部７１，７２と巻取ケース３６との間を中空の部材でつなぎ、巻取ケース３６が連結部７１，７２に対して回動しないようにし、中空の部材の中に巻取リール３５の巻取軸部３５Ａの端部を通して巻取ギヤ３５Ｃ等を付けてもよい。この場合、中空の部材によって、巻取リール３５は回転可能に支持される。

　前記した第１実施形態から第１５実施形態およびそれらの変形例の説明において、層転写用フィルムカートリッジＦＣが使用される層転写装置１がレーザプリンタ等の画像形成装置とは別の装置であったが、層転写装置は画像形成装置と一体に構成されていてもよい。層転写装置として、シートＳのトナー像の上に転写層Ｆ２２を転写するための装置を例示したが、例えば、層転写装置は、シートに形成されたインク像の上に転写層を転写する装置や、転写層をサーマルヘッドでシートに転写する装置などであってもよい。

　前記諸実施形態および変形例では、箔を含む転写層Ｆ２２を例示したが、転写層は、例えば、箔や着色材料を含まず、熱可塑性樹脂から形成されていてもよい。

　前記諸実施形態および変形例では、多層フィルムＦを４層で構成したが、多層フィルムは、転写層と支持層を有していれば、層の数はいくつであってもよい。

　前記した諸実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施してもよい。

Claims

　転写層と、前記転写層を支持する支持層と、を有する多層フィルムが巻回される供給リールと、
　前記供給リールを収容する供給ケースと、
　前記多層フィルムを巻き取る巻取リールと、
　前記供給ケースまたは前記供給リールに支持される第１ハンドルと、を備えることを特徴とする層転写用フィルムカートリッジ。
　前記第１ハンドルは、前記供給リールの回転軸に沿った第１軸方向に延びることを特徴とする請求項１に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
　前記第１ハンドルは、前記供給ケースに支持されることを特徴とする請求項２に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
　前記第１軸方向における前記第１ハンドルの一端は、前記第１軸方向における前記供給リールの一端に支持され、
　前記第１軸方向における前記第１ハンドルの他端は、前記第１軸方向における前記供給リールの他端に支持されることを特徴とする請求項２に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
　前記第１ハンドルは、前記供給リールに対して近接・離間可能に支持されることを特徴とする請求項４に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
　前記供給リールと前記巻取リールとを連結する連結部を備え、
　前記供給ケースは、前記多層フィルムを前記供給ケース外へ案内する供給開口を有し、
　前記第１ハンドルは、前記供給リールの回転軸と前記巻取リールの回転軸を含む仮想平面に直交する方向において、前記仮想平面に対して前記供給開口と同じ側に配置されることを特徴とする請求項２から請求項４のいずれか１項に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
　前記供給ケースは、前記第１軸方向に延びる平面を有し、
　前記第１ハンドルは、
　　前記第１軸方向に延びる第１ベース部と、
　　前記第１軸方向における前記第１ベース部の両端から延びる第１脚と、を有し、
　前記供給リールは、前記第１軸方向と直交し、かつ、前記供給リールの回転軸と前記巻取リールの回転軸とを結ぶ直線に沿った軸間方向と直交する方向において、前記平面と前記第１ベース部との間に配置されることを特徴とする請求項２から請求項６のいずれか１項に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
　前記巻取リールを収容する巻取ケースと、
　前記巻取ケースに支持される第２ハンドルと、を備えることを特徴とする請求項２から請求項７のいずれか１項に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
　前記第２ハンドルは、前記巻取リールの回転軸に沿った第２軸方向に延びることを特徴とする請求項８に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
　前記第１軸方向における前記第１ハンドルの長さは、前記第２軸方向における前記第２ハンドルの長さよりも長いことを特徴とする請求項９に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
　前記供給リールと前記巻取リールとを連結する連結部を備え、
　前記巻取ケースは、前記多層フィルムを前記巻取ケース内へ案内する巻取開口を有し、
　前記第２ハンドルは、前記供給リールの回転軸と前記巻取リールの回転軸を含む仮想平面に直交する方向において、前記仮想平面に対して前記巻取開口と同じ側に配置されることを特徴とする請求項９または請求項１０に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
　前記供給リールと前記巻取リールとを連結する連結部と、
　前記巻取ケースまたは前記巻取リールに配置されるシャフトであって、前記第２軸方向に沿って延び、前記巻取ケースから離れて配置されるシャフトと、を備え、
　前記第２ハンドルは、前記供給リールの回転軸と前記巻取リールの回転軸を含む仮想平面に直交する方向において、前記仮想平面に対して前記シャフトと同じ側に配置されることを特徴とする請求項９から請求項１１のいずれか１項に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
　前記第１ハンドルは、前記供給リールの回転軸に沿った第１軸方向における前記供給リールの一端と、前記巻取リールの回転軸に沿った第２軸方向における前記巻取リールの一端と、に支持されることを特徴とする請求項１に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
　前記供給ケースは、前記第１軸方向に延びる平面を有し、
　前記第１ハンドルは、
　　前記供給リールの回転軸と前記巻取リールの回転軸とを結ぶ直線に沿った軸間方向に延びる第１ベース部と、
　　前記軸間方向における前記第１ベース部の一端から延びて前記第１軸方向における前記供給リールの一端に支持される第１供給側脚と、
　　前記軸間方向における前記第１ベース部の他端から延びて前記第２軸方向における前記巻取リールの一端に支持される第１巻取側脚と、を有し、
　前記供給リールは、前記第１軸方向と直交し、かつ、前記軸間方向と直交する方向において、前記平面と前記第１ベース部との間に配置されることを特徴とする請求項１３に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
　前記第１軸方向における前記供給リールの他端と前記第２軸方向における前記巻取リールの他端とに支持される第２ハンドルを備えることを特徴とする請求項１３または請求項１４に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
　転写層と、前記転写層を支持する支持層と、を有する多層フィルムが巻回される供給リールと、
　前記供給リールを収容する供給ケースと、
　前記多層フィルムを巻き取る巻取リールと、
　前記巻取リールを収容する巻取ケースと、
　前記供給ケースおよび前記巻取ケースの少なくとも一方に形成された溝状のグリップと、を備えることを特徴とする層転写用フィルムカートリッジ。
　メモリをさらに備え、
　前記供給リールの少なくとも一部が前記メモリと前記第１ハンドルとの間に位置することを特徴とする請求項１に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
　前記第１ハンドルは、前記供給ケースに支持され、
　前記供給リールの回転軸に沿った第１軸方向と直交し、かつ、前記供給リールの回転軸と前記巻取リールの回転軸が並ぶ軸間方向と直交する直交方向において、前記供給リールの少なくとも一部が前記メモリと前記第１ハンドルとの間に位置することを特徴とする請求項１７に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
　前記第１ハンドルは、前記供給リールの回転軸に沿った第１軸方向における前記供給リールの一端と、前記巻取リールの回転軸に沿った第２軸方向における前記巻取リールの一端と、を連結し、
　前記第１軸方向において、前記供給リールの少なくとも一部が前記メモリと前記第１ハンドルとの間に位置することを特徴とする請求項１７に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
　シートに転写層を転写する層転写装置であって、当該層転写装置は、
　筐体開口を有する筐体と、
　請求項１７に記載の層転写用フィルムカートリッジと、
　前記筐体内に配置され、前記筐体開口を向く電気接点と、を備え、　前記層転写用フィルムカートリッジは、前記筐体開口を通して前記筐体に着脱可能であり、
　前記メモリは、当該層転写用フィルムカートリッジが前記筐体に装着された装着位置で前記電気接点と接触する接触面を有することを特徴とする層転写装置。
　前記層転写用フィルムカートリッジが前記装着位置にある場合、前記供給リールの回転軸に沿った第１軸方向と直交する直交方向において、前記供給リールは、少なくとも一部が前記筐体開口と前記電気接点との間に位置することを特徴とする請求項２０に記載の層転写装置。
　前記直交方向は、前記第１軸方向と直交し、かつ、前記供給リールの回転軸と前記巻取リールの回転軸が並ぶ軸間方向と直交する方向であることを特徴とする請求項２１に記載の層転写装置。
　前記直交方向において、前記供給リールは、少なくとも一部が前記メモリと前記第１ハンドルとの間に位置することを特徴とする請求項２１または請求項２２に記載の層転写装置。
　前記メモリは、前記供給ケースに設けられていることを特徴とする請求項２３に記載の層転写装置。
　前記供給ケースは、外周面の一部に設けられた平面と、前記平面から凹んだ凹部と、を有し、
　前記接触面は、前記凹部内に位置することを特徴とする請求項２４に記載の層転写装置。
　前記接触面は、前記平面に平行であることを特徴とする請求項２５に記載の層転写装置。
　層転写用フィルムカートリッジは、前記メモリが固定されるメモリホルダをさらに有し、
　前記メモリホルダは、前記供給ケースに対して前記第１軸方向に移動可能に支持されていることを特徴とする請求項２４から請求項２６のいずれか１項に記載の層転写装置。
　層転写用フィルムカートリッジは、前記供給リールの前記第１軸方向の一端と、前記巻取リールの回転軸に沿った第２軸方向の一端とを連結する連結部をさらに有し、
　前記メモリは、前記連結部に設けられていることを特徴とする請求項２１から請求項２３のいずれか１項に記載の層転写装置。
　前記接触面は、前記第１軸方向に並んで複数設けられ、前記供給リールの回転軸と前記巻取リールの回転軸が並ぶ軸間方向に延びていることを特徴とする請求項２１から請求項２８のいずれか１項に記載の層転写装置。
　前記メモリは、前記多層フィルムを使用した長さを記憶可能であることを特徴とする請求項２０から請求項２９に記載の層転写装置。
　前記供給ケースは、前記供給リールに巻回された前記多層フィルムを前記供給ケース外に引き出すための供給開口を有し、
　前記供給開口を塞ぐように設けられ、前記多層フィルムの前記転写層側の面に接触する第１接触部と、前記多層フィルムの前記支持層側の面に接触する第２接触部と、を有し、前記第１接触部と前記第２接触部との間で前記多層フィルムを引き出し可能に挟むシール構造をさらに備えることを特徴とする請求項１に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
　前記第１接触部および前記第２接触部の少なくとも一方は、弾性体からなることを特徴とする請求項３１に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
　前記弾性体は、ポリウレタンからなることを特徴とする請求項３２に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
　前記供給リールは、前記多層フィルムが巻回される軸部を有し、
　前記供給ケースは、前記軸部を回転可能に支持する一対の側壁を有し、
　前記軸部は、端部が前記側壁から外部に突出しており、
　前記軸部と前記側壁との間の隙間を塞ぐ端部シール部材を備えることを特徴とする請求項３１から請求項３３のいずれか１項に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
　前記供給リールに巻回された前記多層フィルムとともに前記供給ケース内に配置された乾燥剤を備えることを特徴とする請求項３１から請求項３４のいずれか１項に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
　前記供給ケースは、前記供給リールに巻回された前記多層フィルムを前記供給ケース外に引き出すための供給開口を有し、
　前記層転写用フィルムカートリッジは、前記供給開口を開閉可能なカバー部材をさらに備え、
　前記カバー部材は、前記供給開口を閉じた状態において、前記供給ケースとの間で前記供給開口から引き出された前記多層フィルムを挟むことを特徴とする請求項１に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
　前記カバー部材は、前記供給開口を閉じた状態において、前記多層フィルムに接触する第１シール部材であって、弾性体からなる第１シール部材を有することを特徴とする請求項３６に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
　前記第１シール部材は、前記カバー部材が前記供給開口を閉じた状態において、前記供給開口の周縁部に接触することを特徴とする請求項３７に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
　前記供給ケースは、前記カバー部材が前記供給開口を閉じた状態において、前記第１シール部材との間で前記供給開口から引き出された前記多層フィルムを挟む第２シール部材であって、弾性体からなる第２シール部材を有することを特徴とする請求項３７または請求項３８に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
　前記弾性体は、ポリウレタンからなることを特徴とする請求項３７から請求項３９のいずれか１項に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
　前記供給リールは、前記多層フィルムが巻回される軸部を有し、
　前記供給ケースは、前記軸部を回転可能に支持する一対の側壁を有し、
　前記軸部は、端部が前記側壁から外部に突出しており、
　前記軸部と前記側壁との間の隙間を塞ぐ端部シール部材を備えることを特徴とする請求項３６から請求項４０のいずれか１項に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
　少なくとも前記カバー部材が前記供給開口を閉じた状態において、前記供給リールに巻回された前記多層フィルムと同じ空間内に配置される乾燥剤を備えることを特徴とする請求項３６から請求項４１のいずれか１項に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
　前記カバー部材は、前記供給開口を閉じた状態とする閉位置と、前記供給開口を開いた状態とする開位置との間を前記供給ケースに対して移動可能に設けられていることを特徴とする請求項３６から請求項４２のいずれか１項に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
　前記カバー部材は、前記供給ケースに対して着脱可能であり、前記供給ケースに装着された状態において、前記供給開口を覆うことを特徴とする請求項３６から請求項４２のいずれか１項に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
　前記カバー部材は、スナップフィットによって前記供給ケースに対して着脱可能であることを特徴とする請求項４４に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
　請求項４３に記載の層転写用フィルムカートリッジが着脱可能な筐体を備える層転写装置であって、
　前記筐体は、前記層転写用フィルムカートリッジを着脱する場合に前記層転写用フィルムカートリッジが通る筐体開口を有する筐体本体と、前記筐体開口を開閉する筐体カバーと、を備え、
　前記筐体カバーは、前記筐体カバーを閉じる場合に、前記層転写用フィルムカートリッジの一部を押圧することで、前記カバー部材を前記供給ケースに対して前記閉位置から前記開位置に移動させるカートリッジ押圧部を有することを特徴とする層転写装置。
　前記巻取リールを収容する巻取ケースと、
　残量表示部材と、をさらに備え、
　前記残量表示部材は、前記巻取リールに巻回されている前記多層フィルムの面に接触し、前記多層フィルムの巻回量に応じて移動する接触部と、前記巻取ケースの外側に位置し、前記接触部の移動に応じて移動することで前記多層フィルムの残量を表示する表示端部と、を有することを特徴とする請求項１に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
　前記接触部を前記巻取リールに巻回された前記多層フィルムに向けて付勢するバネをさらに備えることを特徴とする請求項４７に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
　前記残量表示部材は、前記巻取リールの回転軸に沿った第２軸方向に直交する直交方向に延び、揺動支点を支点として揺動可能であり、
　前記接触部は、前記表示端部と前記揺動支点の間に位置することを特徴とする請求項４７または請求項４８に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
　前記表示端部は、前記巻取ケースから前記供給リールとは反対側に突出していることを特徴とする請求項４９に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
　前記残量表示部材は、前記巻取リールの回転軸に沿った第２軸方向に直交する直交方向に延び、前記巻取ケースに対してスライド移動可能であることを特徴とする請求項４７または請求項４８に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
　前記接触部は、コロであることを特徴とする請求項５１に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
　前記残量表示部材は、前記層転写用フィルムカートリッジが新品であることを示す新品位置と、前記多層フィルムが未使用であることを示す初期位置と、前記多層フィルムが空であることを示す最終位置と、を移動可能であり、
　前記巻取リールの回転軸に沿った第２軸方向に沿って見た場合、前記初期位置は、前記新品位置および前記最終位置と異なる位置であり、
　前記層転写用フィルムカートリッジが新品である場合、前記残量表示部材を前記新品位置にロックするロック部をさらに備えることを特徴とする請求項４７から請求項５２のいずれか１項に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
　前記新品位置は、前記最終位置と同じ位置、または、前記最終位置よりも前記巻取リールの回転中心から離れた位置であることを特徴とする請求項５３に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
　残量表示部材をさらに備え、
　前記残量表示部材は、前記供給リールに巻回されている前記多層フィルムの面に接触し、前記多層フィルムの巻回量に応じて移動する接触部と、前記供給ケースの外側に位置し、前記接触部の移動に応じて移動することで前記多層フィルムの残量を表示する表示端部と、を有することを特徴とする請求項１に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
　前記接触部を前記供給リールに巻回された前記多層フィルムに向けて付勢するバネをさらに備えることを特徴とする請求項５５に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
　前記残量表示部材は、前記供給リールの回転軸に沿った第１軸方向に直交する直交方向に延び、揺動支点を支点として揺動可能であり、
　前記接触部は、前記表示端部と前記揺動支点の間に位置することを特徴とする請求項５５または請求項５６に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
　前記表示端部は、前記供給ケースから前記巻取リールとは反対側に突出していることを特徴とする請求項５７に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
　前記残量表示部材は、前記供給リールの回転軸に沿った第１軸方向に直交する直交方向に延び、前記供給ケースに対してスライド移動可能であることを特徴とする請求項５５または請求項５６に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
　前記接触部は、コロであることを特徴とする請求項５９に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
　前記残量表示部材は、前記層転写用フィルムカートリッジが新品であることを示す新品位置と、前記多層フィルムが未使用であることを示す初期位置と、前記多層フィルムが空であることを示す最終位置と、を移動可能であり、
　前記供給リールの回転軸に沿った第１軸方向に沿って見た場合、前記初期位置は、前記新品位置および前記最終位置と異なる位置であり、
　前記層転写用フィルムカートリッジが新品である場合、前記残量表示部材を前記新品位置にロックするロック部をさらに備えることを特徴とする請求項５５から請求項６０のいずれか１項に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
　前記新品位置は、前記最終位置と同じ位置、または、前記最終位置よりも前記供給リールの回転中心から離れた位置であることを特徴とする請求項６１に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
　前記多層フィルムを前記供給ケース内に引き込む引き込み機構をさらに備えることを特徴とする請求項１に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
　前記供給ケースは、前記供給リールに巻回された前記多層フィルムが通る供給開口を有し、
　前記引き込み機構は、前記供給ケース内に配置され、前記多層フィルムが掛けられるダンサーローラを有し、
　前記ダンサーローラは、前記供給リールの回転方向に沿って、第１位置と、前記第１位置よりも前記供給開口から遠い第２位置との間で移動可能であることを特徴とする請求項６３に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
　前記引き込み機構は、前記ダンサーローラを前記第１位置から前記第２位置に向けて付勢するバネを有することを特徴とする請求項６４に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
　前記ダンサーローラは、前記第１位置から前記第２位置に向けて自重で移動可能に設けられていることを特徴とする請求項６４に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
　前記ダンサーローラは、前記多層フィルムの前記支持層側の面に接触することを特徴とする請求項６４から請求項６６のいずれか１項に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
　前記供給ケースは、前記供給リールに巻回された前記多層フィルムが通る供給開口を有し、
　前記引き込み機構は、前記供給ケース内に配置され、前記供給開口を開閉するシャッタを有し、
　前記シャッタは、前記供給リールの回転方向に沿って、前記供給開口を開いた状態とする開位置と、前記供給開口を閉じた状態とする閉位置との間で回動可能であり、前記開位置から前記閉位置に回動するときに回動方向における下流側の接触端部が前記多層フィルムに接触することで、前記多層フィルムを前記供給ケース内に引き込むことを特徴とする請求項６３に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
　前記シャッタは、前記接触端部に配置された弾性部材を有することを特徴とする請求項６８に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
　前記接触端部は、前記多層フィルムの前記支持層側の面に接触することを特徴とする請求項６８または請求項６９に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
　前記供給リールと前記巻取リールとを連結する連結部材をさらに備え、
　前記供給ケースは、前記供給リールとともに、前記連結部材に、前記供給リールの回転軸と前記巻取リールの回転軸とを結ぶ直線に沿った軸間方向に移動可能に支持されており、
　前記引き込み機構は、
　前記供給リールと一体に回転するピニオンギヤと、
　前記連結部材に設けられたラックギヤであって、前記ピニオンギヤと噛合可能なラックギヤと、を有し、
　前記供給ケースを前記巻取リールに近づく方向に移動させることで、前記供給リールが前記多層フィルムを巻き取る方向に回転することを特徴とする請求項６３に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
　前記供給ケースは、前記連結部材に、前記巻取リールから最も遠い第３位置と、前記巻取リールに最も近い第４位置との間で前記軸間方向に移動可能に支持されており、
　前記ラックギヤは、前記供給ケースが前記第３位置に位置するときに前記ピニオンギヤと噛合しないことを特徴とする請求項７１に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
　前記供給ケースに設けられた第１ガイド面と、前記第１ガイド面と向かい合う第２ガイド面であって、前記第１ガイド面を挟んで前記供給リールと反対に配置される第２ガイド面とを有するシートガイドをさらに備えることを特徴とする請求項１に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
　前記第２ガイド面は、前記供給ケースに設けられ、
　前記第１ハンドルは、前記供給リールの回転軸に沿った第１軸方向に延びるグリップ部であって、前記第１ガイド面および前記第２ガイド面を挟んで前記供給リールと反対に配置されるグリップ部を有することを特徴とする請求項７３に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
　前記第１ハンドルは、前記供給リールの回転軸に沿った第１軸方向に延びるグリップ部であって、前記第１ガイド面を挟んで前記供給リールと反対に配置されるグリップ部を有し、
　前記第２ガイド面は、前記グリップ部に設けられていることを特徴とする請求項７３に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
　前記グリップ部は、第１位置と、前記第１位置よりも前記第１ガイド面に近い第２位置との間で移動可能であり、前記第２位置に位置する場合に前記シートガイドを構成することを特徴とする請求項７５に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
　前記第１ガイド面および前記第２ガイド面の少なくとも一方には、シートの搬送方向に沿って延びるリブが、前記供給リールの回転軸に沿った第１軸方向に並んで複数設けられていることを特徴とする請求項７３から請求項７６のいずれか１項に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
　シートに前記転写層を転写する層転写装置の筐体に着脱可能な請求項１に記載の層転写用フィルムカートリッジであって、
　前記巻取リールを収容する巻取ケースであって、前記供給ケースの外径とは異なる外径を有する巻取ケースをさらに備え、
　第１の向きで前記筐体へ装着するときには、前記筐体に装着可能であり、
　前記第１の向きに対して前記層転写用フィルムカートリッジの着脱方向に沿った軸回りに反転した第２の向きで前記筐体へ装着するときには、前記供給ケースおよび前記巻取ケースのうち外径が大きい方のケースが前記筐体と干渉して、前記筐体に装着できないことを特徴とする層転写用フィルムカートリッジ。
　シートに転写層を転写する層転写装置であって、当該層転写装置は、
　筐体開口を有する筐体と、
　請求項１に記載の層転写用フィルムカートリッジと、を備え、
　前記層転写用フィルムカートリッジは、前記筐体開口を通して前記筐体に着脱可能であり、
　前記筐体は、
　　第１の向きの前記層転写用フィルムカートリッジを装着位置までガイドする第１ガイドと、
　　所定方向において前記第１ガイドとは非対称に構成される第２ガイドであって、前記第１の向きの前記層転写用フィルムカートリッジを前記装着位置までガイドする第２ガイドと、を備えることを特徴とする層転写装置。
　前記第１ガイドおよび前記第２ガイドは、前記供給リールの回転軸に沿った第１軸方向に直交する方向に延びることを特徴とする請求項７９に記載の層転写装置。
　前記第１の向きに対して前記層転写用フィルムカートリッジの着脱方向に沿った軸回りに反転した第２の向きの前記層転写用フィルムカートリッジが、前記装着位置から離れた位置で前記筐体と干渉して、前記装着位置への移動が前記筐体で規制された状態において、前記層転写用フィルムカートリッジの少なくとも一部が前記筐体開口から前記筐体の外に突出していることを特徴とする請求項８０に記載の層転写装置。
　前記第２ガイドは、前記層転写用フィルムカートリッジの着脱方向および前記所定方向に直交する直交方向において前記第１ガイドとは異なる位置に配置され、
　前記層転写用フィルムカートリッジは、
　　前記層転写用フィルムカートリッジを前記第１の向きで前記筐体へ装着するときに前記第１ガイドで案内される第１被ガイド部と、
　　前記層転写用フィルムカートリッジを前記第１の向きで前記筐体へ装着するときに前記第２ガイドで案内される第２被ガイド部であって、前記直交方向において前記第１被ガイド部とは異なる位置に配置される第２被ガイド部と、をさらに備えることを特徴とする請求項８０または請求項８１に記載の層転写装置。
　前記第２ガイドは、前記筐体の複数箇所に配置され、前記第２被ガイド部は、前記層転写用フィルムカートリッジの複数箇所に配置されていることを特徴とする請求項８２に記載の層転写装置。
　前記層転写用フィルムカートリッジは、
　　前記供給リールの前記第１軸方向における一端と、前記巻取リールの回転軸に沿った第２軸方向における一端とを連結する第１連結部と、
　　前記供給リールの前記第１軸方向における他端と、前記巻取リールの前記第２軸方向における他端とを連結する第２連結部と、をさらに備え、
　前記第１連結部は、前記第１被ガイド部を有し、
　前記第２連結部は、前記第２被ガイド部を有することを特徴とする請求項８２または請求項８３に記載の層転写装置。
　前記第２ガイドの幅は、前記第１ガイドの幅とは異なり、
　前記層転写用フィルムカートリッジは、
　　前記層転写用フィルムカートリッジを前記第１の向きで前記筐体へ装着するときに前記第１ガイドで案内される第１被ガイド部であって、前記第１ガイドの幅に対応した大きさを有する第１被ガイド部と、
　　前記層転写用フィルムカートリッジを前記第１の向きで前記筐体へ装着するときに前記第２ガイドで案内される第２被ガイド部であって、前記第２ガイドの幅に対応した大きさを有する第２被ガイド部と、をさらに備えることを特徴とする請求項８０または請求項８１に記載の層転写装置。
　前記第１被ガイド部は、前記巻取リールの回転軸に沿った第２軸方向における一端部と、前記供給リールの前記第１軸方向における一端部であり、
　前記第２被ガイド部は、前記巻取リールの前記第２軸方向における他端部と、前記供給リールの前記第１軸方向における他端部であることを特徴とする請求項８５に記載の層転写装置。
　前記層転写用フィルムカートリッジは、
　前記巻取リールを収容する巻取ケースであって、前記供給ケースの外径とは異なる外径を有する巻取ケースをさらに備え、
　前記筐体は、
　　前記供給リールから引き出される前記多層フィルムに接触して、前記多層フィルムの進行方向を変更する第１案内軸と、
　　前記第１案内軸で案内された前記多層フィルムに接触して、前記多層フィルムの進行方向を変更する第２案内軸と、を備え、
　前記第１案内軸と前記第２案内軸は、前記層転写用フィルムカートリッジの着脱方向および前記所定方向に直交する直交方向に間隔を空けて並んでおり、
　前記筐体開口は、
　　前記第１案内軸に対して前記第２案内軸とは反対側に位置する第１端と、
　　前記第２案内軸に対して前記第１案内軸とは反対側に位置する第２端と、を有し、
　前記層転写用フィルムカートリッジの着脱方向から見たときにおける、前記第１端と前記第１案内軸との間隔は、前記供給ケースの外径に対応した大きさであり、前記第２端と前記第２案内軸との間隔は、前記巻取ケースの外径に対応した大きさであることを特徴とする請求項８０から請求項８６のいずれか１項に記載の層転写装置。
　シートに転写層を転写する層転写装置であって、当該層転写装置は、
　上下方向に直交する第１方向を向く筐体開口を有する筐体本体と、
　請求項１に記載の層転写用フィルムカートリッジであって、前記筐体開口を通して前記筐体本体に着脱可能な層転写用フィルムカートリッジと、
　前記筐体本体から前記第１方向に前記筐体本体外へ延出する載置台と、
　前記供給リールの回転軸が前記第１方向に沿うように前記載置台に載置された前記層転写用フィルムカートリッジを前記筐体開口を介して前記第１方向に沿って前記筐体本体内へ案内する第１カートリッジガイドと、を備えることを特徴とする層転写装置。
　前記載置台が、前記第１カートリッジガイドを有することを特徴とする請求項８８に記載の層転写装置。
　前記載置台は、前記筐体開口を開放する開位置と、前記筐体開口を閉じる閉位置との間で回動可能であることを特徴とする請求項８９に記載の層転写装置。
　前記層転写用フィルムカートリッジは、前記載置台に載置された状態において、前記供給リールの前記筐体開口から遠い側の一端部と、前記巻取リールの前記筐体開口から遠い側の一端部とを連結する連結部をさらに備え、
　前記供給リールの前記一端部とは反対側の他端部と、前記巻取リールの前記一端部とは反対側の他端部は、連結されていないことを特徴とする請求項８９または請求項９０に記載の層転写装置。
　前記第１カートリッジガイドは、前記上下方向に交差するとともに前記第１方向に直交する第２方向において、前記層転写用フィルムカートリッジを挟み込む２つの第１凸部からなり、
　前記筐体本体は、当該筐体本体の内部において、前記層転写用フィルムカートリッジを前記第１方向にガイドする内側ガイドであって、前記第２方向において前記層転写用フィルムカートリッジを挟み込む２つの第２凸部からなる内側ガイドをさらに備え、
　２つの前記第１凸部の間隔は、２つの前記第２凸部の間隔よりも大きいことを特徴とする請求項８９から請求項９１のいずれか１項に記載の層転写装置。
　前記載置台は、前記層転写用フィルムカートリッジを支持する第１支持面を有し、
　前記筐体本体は、当該筐体本体の内部において前記層転写用フィルムカートリッジを支持する第２支持面を有し、
　前記第１支持面は、前記第２支持面よりも上に位置することを特徴とする請求項８９から請求項９２のいずれか１項に記載の層転写装置。
　前記筐体本体が、前記第１カートリッジガイドを有し、
　前記載置台は、前記第１カートリッジガイドで案内されることで、前記筐体本体内の内側位置と、前記筐体本体外の外側位置との間で前記筐体開口を通って移動可能であり、
　前記第１カートリッジガイドは、前記載置台を介して前記層転写用フィルムカートリッジを前記第１方向に案内することを特徴とする請求項８８に記載の層転写装置。
　前記外側位置に位置する前記載置台の前記筐体開口から遠い端部から上に延びるカバーをさらに備え、
　前記カバーは、前記載置台が前記内側位置に位置するときに前記筐体開口を塞ぐことを特徴とする請求項９４に記載の層転写装置。
　前記多層フィルムを加熱する加熱ローラであって、前記第１方向に沿って延びる加熱ローラをさらに備え、
　前記加熱ローラは、前記載置台に設けられることを特徴とする請求項９４または請求項９５に記載の層転写装置。
　前記載置台が前記外側位置に位置するときに、前記加熱ローラに向けて前記層転写用フィルムカートリッジを案内する第２カートリッジガイドをさらに備えることを特徴とする請求項９６に記載の層転写装置。
　前記載置台が前記第１方向において前記筐体本体の外側に延出した状態において、前記載置台を下から支持する脚であって、前記筐体本体とは別部材である脚をさらに備えたことを特徴とする請求項８８から請求項９７のいずれか１項に記載の層転写装置。