WO2021049403A1 - 角缶型非水電解質二次電池用セパレータ、電極積層体、及び角缶型非水電解質二次電池 - Google Patents

角缶型非水電解質二次電池用セパレータ、電極積層体、及び角缶型非水電解質二次電池 Download PDF

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Abstract

ポリオレフィン微多孔膜に多孔層を積層した角缶型非水電解質二次電池用積層セパレータであって、微多孔膜が式(1)~(3)を満足し、多孔層がヘキサフルオロプロピレンの含有量が2.5mol%以上6.0mol%以下であるフッ化ビニリデン共重合体を含む膨潤性樹脂、および無機粒子を含み、下記式(4)を満足する角缶型非水電解質二次電池用セパレータ。 8≦t≦20・・・式(1)(tはポリオレフィン微多孔膜の厚さ(μm)) 0.09≦N≦0.14・・・式(2)(Nはポリオレフィン微多孔膜のナノインデンテーション特性値) C≦4.0・・・式(3)(Cはポリオレフィン微多孔膜のクリープ特性値) 0.55≦Q≦1.10・・・式(4)(Qは単位面積あたりの多孔質における樹脂成分重量(g/m))

Description

角缶型非水電解質二次電池用セパレータ、電極積層体、及び角缶型非水電解質二次電池
 本発明は、角缶型非水電解質二次電池用セパレータ、該電池用セパレータを備える電極積層体、及び角缶型非水電解質二次電池に関する。
 非水電解質二次電池、中でも、リチウムイオン二次電池は、携帯電話や携帯情報端末等の小型電子機器に使用されて広く普及している。非水電解質二次電池の形態としては、例えば、円筒型電池、角型電池、ラミネート型電池等が挙げられる。一般に、これらの電池は、正極と負極とが電池用セパレータを介して配置された電極体と、非水電解液とが外装体に収納された構成を有する。電極体の構造としては、例えば、正極と負極とをセパレータを介して積層した積層電極体、正極と負極とを電池用セパレータを介して渦巻き状に捲回した捲回電極体などが挙げられる。
 従来、電池用セパレータとしては、主にポリオレフィン樹脂からなる微多孔膜(ポリオレフィン微多孔膜ともいう)が使用されている。ポリオレフィン微多孔膜は、いわゆるシャットダウン機能を有するため、電池の異常発熱時にセパレータの細孔を閉塞することにより、電流の流れを抑制して、発火などを防ぐことができる。
 近年、電池用セパレータにおいて、ポリオレフィン微多孔膜の一方又は両方の面に、ポリオレフィン樹脂以外の他の層を設けることで電池特性を向上させる試みがなされている。
 例えば特許文献1には、電池用セパレータ上のフッ素含有樹脂と正極及び/又は負極に含まれるバインダー樹脂とが接着し、正極及び/又は負極とセパレータの間の剥がれを抑制するために、電解液の含浸下で接着するフッ素含有樹脂を含む電池用セパレータとし、かつ、電解液含浸後、70℃又は90℃及び2MPaで加圧することで正極、及び/又は負極と電池用セパレータとを接着させることが提案されている。
 他方でリチウムイオン二次電池は充放電に際して電極が膨張収縮することが知られている。充放電の繰り返しにより電極の膨張収縮が繰り返されると、徐々にセパレータが塑性変形し、それにより正極、負極間の距離が均一に保たれなくなり電池特性が低下してしまう。電池特性の向上の試みとして、変形しにくいセパレータが近年提案されている。 
 例えば特許文献2には、厚さ25μmのポリエチレン製微多孔膜が例示されている荷重―変位曲線における最大変位と負荷を除いた際の変位及び最大変位がある関係を満たすセパレータは塑性変形しにくく、充放電サイクルを向上できることが述べられている。
 さらに、特許文献3には、50回目の負荷―除荷サイクルにおける変位量に対する10回目の負荷除荷サイクルにおける変位量の比率が、100%~130%の範囲であるセパレータはサイクル特性に優れることが述べられている。
 特許文献4では、厚さ7μmのポリオレフィン微多孔膜の両面に無機粒子を含む電解液膨潤性樹脂層を設けた積層電池用セパレータが電極接着性により電池特性を改善できることが提案されている。
国際公開2012/137377号 特開2004-39492号公報 特開2018-147886号公報 特願2017-127165号公報
 角型電池、特に積層電極体を用いたスタック式角缶型非水電解質二次電池は電池容量の観点で捲回電極体を用いた角缶型非水電解質二次電池に比べ電池容量に勝る点から需要拡大が期待されている。一方、スタック式角缶型非水電解質二次電池は電池容量以外に製造工程において電極、セパレータの位置ずれを引き起こしやすく、歩留まりを悪化させないために電解液が無い状態での電極接着性(DRY接着ともいう)、電解液存在下での電極接着性(WET接着ともいう)が要求される。しかし、角缶型非水電解質二次電池では外装体の外から電極とセパレータをプレス圧着できないためラミネート型非水電解質のようにセパレータは電極に追従しがたい。
 このため充放電に伴う電極の膨張・収縮により、電極間空隙の形成、セパレータの変形、電極又はセパレータの位置ズレにより正極/負極間の距離が均一に保たれにくい。その結果、電池のサイクル特性が低下する場合がある。
 本発明は、角缶型非水電解質二次電池において、前記課題すなわち、サイクル性能の低下を抑制し、電池製造工程における歩留まりを改善するのに適した角缶型非水電解質二次電池用セパレータ、該電池用セパレータを備える電極積層体、並びに角缶型非水電解質二次電池を提供することを目的とする。
 本発明者らは、上記課題を解決するため、ポリオレフィン微多孔膜に多孔層を積層した電池用セパレータにおいて、多孔層のみならず、ポリオレフィン微多孔膜を含めて鋭意検討を重ねた結果、角缶型非水電解質二次電池に最適な電池用セパレータを見出した。
 さらに、詳述すれば、特定の押込み試験における荷重負荷-保持-除荷サイクルを経た後の単位膜厚あたりの押込み量とクリープ特性を有するポリオレフィン微多孔膜に特定の膨潤性樹脂を含む多孔層を積層したセパレータを用いることで、電解液を含む状態で且つ、角型缶内における無加圧の状態での60℃から75℃の比較的低温で電極接着性が発現し、電極間空隙の形成、電極又はセパレータの位置ズレによる内部抵抗増大、サイクル特性の低下を抑制し、且つ、製造時の歩留まりが良好な角缶型非水電解質二次電池用セパレータ、該電池用セパレータを備える電極積層体、及び角缶型非水電解質二次電池を得るに至った。
 すなわち、本発明は、以下の構成を有する。
 (1)ポリオレフィン微多孔膜に多孔層を積層した角缶型非水電解質二次電池用積層セパレータであって、
前記微多孔膜が下記式(1)~(3)を満足し、
前記多孔層がフッ化ビニリデン及びヘキサフロロプロピレンを含む繰り返し単位からなり、かつ全構成単位に対するヘキサフロロプロピレンの含有量が2.5mol%以上6.0mol%以下であるフッ化ビニリデン共重合体を含む膨潤性樹脂、および無機粒子を含み、前記多孔層が下記式(4)を満足することを特徴とする角缶型非水電解質二次電池用セパレータ。
8≦t≦  ・・・式(1)
0.09≦N≦0.14 ・・・式(2)
C≦4.0  ・・・式(3)
0.55≦Q≦1.10 ・・・式(4)
ここで、tはポリオレフィン微多孔膜の厚さ(μm)
Nはポリオレフィン微多孔膜のナノインデンテーション特性値
Cはポリオレフィン微多孔膜のクリープ特性値
Qは単位面積あたりの多孔層における樹脂成分重量(g/m
ここで言うナノインデンテーション特性値Nは、ナノインデンテーション試験時の荷重印加時の荷重0.01MPaにおける単位膜厚当たり押し込み深さから得られる値である。
クリープ特性値Cは、ナノインデンテーション試験の荷重除荷後の単位膜厚当たり押し込み深さから得られる値である。
 (2)前記ポリオレフィン微多孔膜の空孔率が30%以上50%以下である。
 (3)前記膨潤性樹脂と前記無機粒子の体積を合わせて100としたときの前記膨潤性樹脂の体積比率が25体積%以上50体積%以下である。
 (4)前記(1)~(3)のいずれかに記載の角缶型非水電解質二次電池用セパレータ、負極、および正極を含むことを特徴とする電極積層体。
 (5)前記(4)に記載の電極積層体を含むことを特徴とする角缶型非水電解質二次電池である。
 本発明によれば、角缶型非水電解質二次電池において、サイクル性能の低下を抑制し、さらに、電池製造工程における歩留り改善をするに適した角缶型非水電解質二次電池用セパレータ、電極積層体、及び角缶型非水電解質二次電池を提供することができる。
WET接着性評価、サイクル性能試験に用いる厚さ方向を固定する治具を示す図である。なお、図1においては、各構成をわかりやすくするために、一部を強調して、あるいは一部を簡略化して表しており、実際の構造または形状、縮尺等が異なっている場合がある。 WET接着性試験の測定模式図を示す図である。なお、図2においては、各構成をわかりやすくするために、一部を強調して、あるいは一部を簡略化して表しており、実際の構造または形状、縮尺等が異なっている場合がある。
 以下、本発明の角缶型非水電解質二次電池用セパレータ、該電池用セパレータを備える電極積層体、及び角缶型非水電解質二次電池の代表的な実施形態を説明するが、本発明は以下の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の範囲において適宜変更を加えて実施することができる。
 なお、本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的又は辞書的な意味に限定して解釈されないものであり、本発明者は、自らの発明を最善の方法で説明するために、用語の概念を適切に定義することができるという原則に則して、本発明の技術的思想に符合する意味と概念とに基づいて解釈されなければならない。
 1.ポリオレフィン微多孔膜
 ポリオレフィン樹脂
 ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、及びポリペンテン等が挙げられる。
 ポリオレフィン樹脂の質量平均分子量(Mw)は特に制限されないが、通常1×10~1×10の範囲内であり、好ましくは1×10~15×10の範囲内であり、より好ましくは1×10~5×10の範囲内である。
 ポリオレフィン樹脂はポリエチレンを含むことが好ましいが、ポリエチレンとしては超高分子量ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレンなどが挙げられる。
 ポリエチレンは単一物でもよいが、2種以上のポリエチレンからなる混合物であることが好ましい。ポリエチレン混合物としてはMwの異なる2種類以上の超高分子量ポリエチレンの混合物、同様な高密度ポリエチレンの混合物、同様な中密度ポリエチレンの混合物及び低密度ポリエチレンの混合物を用いてもよい。また、超高分子量ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレンからなる群から選ばれた2種以上ポリエチレンの混合物を用いてもよい。
 なかでもポリエチレンの混合物としては、シャットダウン現象の温度上昇に対する応答性(シャットダウン速度)や、シャットダウン温度以上の高温領域でポリオレフィン多孔質膜の形状を維持し電極間の絶縁性を維持する観点から、Mwが5×10以上の超高分子量ポリエチレンと、Mwが1×10以上5×10未満のポリエチレンからなる混合物が好ましい。超高分子量ポリエチレンのMwは、5×10~1×10の範囲内であることが好ましく、1×10~15×10の範囲内であることがより好ましく、1×10~5×10の範囲内であることが特に好ましい。Mwが1×10以上5×10未満のポリエチレンとしては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレンのいずれも使用することが出来るが、特に高密度ポリエチレンを使用することが好ましい。Mwが1×10以上5×10未満のポリエチレンとしてはMwが異なるものを2種以上使用してもよいし、密度の異なるものを2種以上使用してもよい。ポリエチレン混合物のMwの上限値を15×10にすることにより、溶融押出を容易にすることが出来る。ポリエチレン混合物中の超高分子量ポリエチレンの含有量は、ポリエチレンの混合物全体に対し1重量%以上であることが好ましく、10~80重量%の範囲であることがより好ましい。
 上記超高分子量ポリエチレンを含むポリエチレン組成物には、任意成分としてMwが1×10~4×10の範囲内のポリ1-ブテン、Mwが1×10~4×10の範囲内のポリエチレンワックス、及びMwが1×10~4×10の範囲内のエチレン/α―オレフィン共重合体からなる群から選ばれた少なくとも1種のポリオレフィンを添加しても良い。これらの任意成分の添加量は、ポリオレフィン組成物を100重量%として20重量%以下であることが好ましい。
 ポリオレフィン微多孔膜のナノインデンテーション特性値Nの下限は、好ましくは0.09以上、より好ましくは0.095以上、さらに好ましくは0.1以上である。ナノインデンテーション特性値が0.09未満であるとポリオレフィン微多孔膜が微小な力で変形することを意味し、膨潤性樹脂の膨潤時にポリオレフィン微多孔膜が変形してしまい、良好なWET接着性が発現しない。また、ナノインデンテーション特性値Nの上限は好ましくは0.14以下、より好ましくは0.13以下、さらに好ましくは0.12以下である。ナノインデンテーション特性値Nが0.14を超えるとポリオレフィン微多孔膜が非常に硬く、変形し難いことを意味し、更なるポリエチレン成分の高分子量化、高結晶化度化等が一般に必要となり、電池用セパレータに要求されるシャットダウン特性が満足に満たされない場合がある。
 ここで言うナノインデンテーション特性値Nは、ナノインデンテーション試験時の荷重印加時の荷重0.01MPaにおける単位膜厚当たり押し込み深さ(a)の平均値(A)から次式により得られる、押し込み硬さを表す値である。
N=0.01/(A)
なお、ナノインデンテーション特性は、結晶化度、結晶配向等も関与するため空孔率によって一義的に決まるものではない。
 ポリオレフィン微多孔膜のクリープ特性値Cの上限は4.0以下が好ましく、より好ましくは3.0以下、さらに好ましくは2.5以下である。クリープ特性値Cが4.0より大きくなると、電池用セパレータが電極の膨張収縮に追従できず電極間距離を保てなくなり、サイクル特性を悪化させる場合がある。
 ここで言う、ポリオレフィン微多孔膜のクリープ特性値Cはナノインデンテーション試験により得られる値であり、長時間一定荷重で保持されたのち、荷重が除荷された後の初期厚さからの変化率を意味する。そしてクリープ特性値Cはナノインデンテーション試験における荷重印加―保持―除荷サイクルを経て荷重が除荷された時の単位膜厚当たりの押し込み深さ(b)の平均値(B)から以下の式を用いて算出される。
C=(B)×100
 これらナノインデンテーション特性値、クリープ特性値を満足するポリオレフィン微多孔膜は、製膜工程において一般には比較的低い温度で延伸するか、あるいはポリオレフィン原料中に長鎖分岐を有するポリオレフィン樹脂を適量配合することによって得られるが、材料費の上昇、あるいは延伸時に微多孔膜が破断しやすくなるなど収率が悪化するため、高コストとなる。このため、前記特性を満足するポリオレフィン微多孔膜は、湿式塗布工程で高い張力負荷のかかる多孔層を有する電池用セパレータの基材としては使用されない。本発明では、本発明の課題である角缶型非水電解質二次電池用セパレータにおいて、無加圧の状態で且つ比較的低温でのWET接着性を得るために、あえて上記ナノインデンテーション値とクリープ特性を満足するポリオレフィン微多孔膜を採用した。
 ポリオレフィン微多孔膜の膜厚が厚すぎると角缶型非水電解質二次電池の体積エネルギー密度を低下させてしまうため、ポリオレフィン微多孔膜の膜厚tの上限は好ましくは20μmであり、より好ましくは16μm、さらに好ましくは12μmである。一方、下限はポリオレフィン微多孔膜上への多孔層積層時に破断しやすくなるという観点から8μm以上が好ましく、より好ましくは9μm以上、さらに好ましくは10μm以上である。
 ポリオレフィン微多孔膜は微細な気孔を無数備えるが、その空孔率が過大であると十分な機械的強度が得られずポリオレフィン微多孔膜上への多孔層積層時に破断しやすくなり歩留まりを悪化させる他、気孔部が多くなりつぶれやすくなり無加圧の状態で且つ比較的低温でのWET接着性が発現できなくなってしまうため、空孔率の上限は好ましくは50%以下、より好ましくは45%以下である。一方、空孔率が低すぎるとポリオレフィン微多孔膜による電気抵抗が上昇してしまい電池としての機能を損なう場合がある。したがって、ポリオレフィン微多孔膜の空孔率下限は、好ましくは30%以上、より好ましくは35%以上である。
 2.膨潤性樹脂を含む積層膜
 膨潤性樹脂を含む積層膜とは、ポリオレフィン微多孔膜の両面に膨潤性樹脂を含む膜を積層した電池用積層セパレータである。ポリオレフィン微多孔膜は、特に限定されず、公知の電池用セパレータに用いられるポリオレフィン微多孔膜を用いることができる。
 本発明において、ポリオレフィン微多孔膜とは内部に連結した空隙を有する膜を意味する。
 膨潤性樹脂
 膨潤性樹脂とは、電解液に対して膨潤する樹脂である。電解液に対して膨潤する樹脂とは、電解液や電解液に用いられている有機溶媒に樹脂を含浸させ、昇温していくと膨潤する樹脂のことである。膨潤性樹脂は、具体的には、例えば、フッ素含有樹脂、アクリロニトリル含有樹脂、酢酸ビニル含有樹脂、エチレンオキシド含有樹脂、プロピレンオキシド含有樹脂などがあげられる。
 本発明では電解液に対する膨潤性の観点からフッ素含有樹脂として、フッ化ビニリデン―ヘキサフルオロプロピレン共重合体を用いる。
 膨潤性樹脂がフッ化ビニリデンと他の重合単位からなる共重合体の場合、他の重合単位の導入量を増やすと、電解液への膨潤特性を変化させることができる。
 本発明において、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体におけるヘキサフルオロプロピレン導入量の上限は好ましくは6.0モル%以下、より好ましくは4.8モル%以下、さらに好ましくは4.5モル%以下である。導入量が6.0モル%を超える場合には、電解液に対して膨潤しすぎるが故にイオン抵抗体となり電池特性を悪化させる。また、導入量下限は好ましくは2.5モル%以上、より好ましくは2.7モル%以上、さらに好ましくは3.0モル%以上である。導入量が下限を下回る場合には電解液に対して膨潤しなくなり、十分なWET接着性が得られず、良好な電池特性が得られない。ヘキサフルオロプロピレン導入量が上記範囲であると、角缶型非水電解質二次電池においても電池特性を損なわずに十分なWET接着性を発現しやすい。
 フッ素含有樹脂の重量平均分子量は、特に限定するものではないが、下限値は、好ましくは70万以上であり、より好ましくは100万以上である。上限値は、好ましくは200万以下であり、より好ましくは150万以下である。
 上記範囲内であれば角缶型非水電解質二次電池においても十分な無加圧の状態で且つ比較的低温でのWET接着性が得られやすい。
 重量平均分子量が70万未満の場合、電解液膨潤後のゲルが軟らかくなり過ぎ前記WET接着が発現できないことがあるほか、電極内部の奥まで入り込むことでLiイオンの移動を阻害しサイクル特性を悪化させる場合がある。一方で、重量平均分子量が200万より大きい場合、電解液に膨潤した際の粘度が高くなり、電極に入り込み難くなるため十分なWET接着性が得られずサイクル特性が改善されない場合がある。なお、フッ素含有樹脂の重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィによるポリスチレン換算値である。
 ポリオレフィン微多孔膜上に積層された多孔層中の膨潤性樹脂は平方メートルあたりの重量が少なすぎるとWET接着性が発現せず、多すぎるとWET接着性は良好になるが一方で電池特性を悪化させる。したがってポリオレフィン微多孔膜上に積層された多孔質層中の膨潤性樹脂重量の下限は好ましくは0.55g/m以上、より好ましくは0.65g/m以上、さらに好ましくは0.75g/m以上である。また、上限は、好ましくは1.1g/m以下、より好ましくは1.0g/m以下、さらに好ましくは0.95g/m以下である。上記範囲にすることで、十分なWET接着性を確保し且つリチウムイオンの移動を阻害しないため良好なサイクル特性が得られやすく角缶型非水電解質二次電池用セパレータに好適である。
 無機粒子
 膨潤性樹脂を含む多孔層は、耐熱性の観点から、無機粒子を含んでもよい。
 無機粒子としては、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、非晶性シリカ、結晶性のガラス粒子、カオリン、タルク、二酸化チタン、アルミナ、シリカ-アルミナ複合酸化物粒子、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、硫化モリブデン、マイカ、ベーマイト、酸化マグネシウムなどが挙げられる。特に、フッ素含有樹脂との親和性の観点から、二酸化チタン、アルミナ、ベーマイト、硫酸バリウムから選ばれる1種類以上を用いることが好ましい。
 無機粒子と膨潤性樹脂の比率は、膨潤性樹脂比率が大きすぎると電池特性を悪化させるほか、無機粒子が少なくなることにより熱収縮への効果が無くなってしまう。よって、膨潤性樹脂比率上限は、好ましくは50vol%以下、より好ましくは45vol%以下、さらに好ましくは40vol%以下である。一方、膨潤性樹脂比率が小さすぎると電極に対する十分なDRY接着性及びWET接着性が発現せず、工程歩留まりの悪化、電池特性の悪化を引き起こす。したがって、膨潤樹脂比率の下限は好ましくは25vol%以上、より好ましくは30vol%以上、さらに好ましくは33vol%以上である。
 上記範囲内であれば良好な熱収縮が得られ、角缶型非水電解質二次電池においても十分なDRY接着性及び無加圧の状態で且つ比較的低温でのWET接着性が得られやすい。
 3.角缶型非水電解質二次電池用セパレータの製造方法
 角缶型非水電解質二次電池用セパレータは、膨潤性樹脂を溶媒に溶解した膨潤性樹脂溶液に、無機粒子を添加・分散した塗工液を作製し、塗工液を上記のポリオレフィン微多孔膜に塗布した後、凝固液に浸漬し、洗浄・乾燥する工程を経ることで作製できる。
 より具体的には、例えば、膨潤性樹脂を溶媒に徐々に添加し完全に溶解させる。溶媒は膨潤性樹脂を溶解でき、かつ、凝固液と混和しうるものであれば特に限定されるものではないが、溶解性、低揮発性の観点から、N-メチル-2-ピロリドンが好ましい。
 塗工液をポリオレフィン微多孔膜に塗布する方法は、公知の方法でもよく、例えば、ディップ・コート法、リバースロール・コート法、グラビア・コート法、キス・コート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、マイヤーバーコート法、パイプドクター法、ブレードコート法、コンマコート法、及びダイコート法などが挙げられ、これらの方法を単独あるいは組み合わせることができる。
 角缶型非水電解質二次電池用セパレータにおける、膨潤性樹脂を含む膜はポリオレフィン微多孔膜の少なくとも片面に有していてもよく、ポリオレフィン微多孔膜の一方の面に膨潤性樹脂を含む膜を積層してもよく、ポリオレフィン微多孔膜の両方の面に膨潤性樹脂を含む層を積層してもよい。
 非水系電解質二次電池
 集電体、正極、正極活物質、負極、負極活物質及び電解液は、特に限定されず、従来公知の材料を適宜組み合わせて用いることができる。
 電解液に含まれる有機溶媒は、カーボネート系の溶媒があげられ、単一であってもよく、2つ以上の混合物であってもよい。具体的には、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネートなどがあげられる。
 電解質としては、LiPF,LiBF,LiClO,LiN(CFSO,Li(CSOなどがあげられる。
 なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものでなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
 以下、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明の実施態様は、これらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例で用いた評価法、分析の各法及び材料は、以下の通りである。
 (1)膜厚
 接触式膜厚計(株式会社ミツトヨ製“ライトマチック”(登録商標)series318)を使用して、ポリオレフィン微多孔膜及び電池用セパレータの膜厚を測定した。測定は、超硬球面測定子φ9.5mmを用いて、加重0.01N(確認項目)の条件で無作為に15点を測定し、得られた測定値の平均値を膜厚とした。
 ポリオレフィン微多孔膜の膜厚が20μmを超えるものは、体積エネルギー密度が低下し、電池容量が劣ると判断し不良と評価した。膜厚が20μm以下の場合は電池容量を損なわない若しくは向上できると判断し良と評価した。
 (2)ナノインデンテーション特性値とクリープ特性値の測定
 本発明でいうナノインデンテーション特性値とクリープ特性値の測定は、アントンパール社製UNHT3を用いて測定した。先ずポリオレフィン微多孔膜に皺が入らないように、MD方向(縦方向)の両端部を試料台の把持部で固定した。次いで、固定したポリオレフィン微多孔膜の長さが1%伸長するようにスクリューねじを廻し、曲率半径300mmの鏡面仕上げSUS台座上に固定した。
 次いで、SUS台座に固定したポリオレフィン微多孔膜にΦ100μmの円柱圧子を接触させ、負荷速度1.000mN/分(0.127MPa/分)で15秒間負荷を増加させ、負荷が0.078mN(0.010MPa)地点の押込み深さ(a)を読み取った。さらに負荷が0.25mN(0.031MPa)まで達した後、60分間、負荷0.25mN(0.031MPa)で保持し、次いで1mN/分(0.127MPa/分)の除荷速度で負荷0mN(0MPa)まで除荷した。この際の押込み深さ(b)を読み取った。TD方向に50μm間隔で4点、そこからMD方向に50μm間隔で5点の計20点について上記押し込み試験を繰り返した。測定した20点分の(a)及び(b)のデータよりそれぞれの平均値(A)、(B)を求め、ナノインデンテーション特性値Nおよびクリープ特性値Cを次式を用いて算出した。
N=0.01/(A)
C=(B)×100。
 (3)多孔層中の膨潤性樹脂量
 実施例および比較例で得られた電池用セパレータについて50mm角の試料を3枚用意し、電子天秤を用いて各試料の質量(g)を少数点下4桁まで読み取り、測定値の平均から次式を用いて目付(g/m)を計算した。
電池用セパレータの目付=質量/(0.05×0.05)
 膨潤性樹脂を含む多孔層の目付
 膨潤性樹脂を含む多孔層の目付は次式を用いて計算した。
膨潤性樹脂を含む多孔層の目付=電池用セパレータの目付-塗工液塗布前のポリオレフィン微多孔膜の目付
 膨潤性樹脂を含む多孔層の目付は、電池用セパレータの目付を計算したのち、電池用セパレータから膨潤性樹脂を含む膜を取り除いたポリオレフィン微多孔膜の目付を算出し、上記式に従い計算してもよい。
 膨潤性樹脂を含む多孔層中に無機粒子を含む場合には、上記で得られた膨潤性樹脂を含む多孔層の目付、膨潤性樹脂体積比率、膨潤性樹脂及び無機粒子の密度を用いて膨潤性樹脂のみの目付量を算出した。
 (4)膨潤性樹脂体積比率
 塗工液作製時の膨潤性樹脂重量及び無機粒子重量よりそれぞれの真密度を用いて、各体積を算出し、膨潤性樹脂体積と無機粒子体積を合わせて100としたときの膨潤性樹脂の体積比率を計算した。
 (5)ポリオレフィン微多孔膜の空孔率
 50mm角の試料の質量(g)を用いて次式を用いて空孔率(%)を計算した。
空孔率=(1-質量/(0.99×(0.05×0.05×膜厚))×100。
 (6)熱収縮
 50mm角の試料を3枚用意し、予め130度に過熱したオーブンに投入し、1時間経過後に取り出し冷却する。冷却後のMD(縦)、TD(横)寸法を予め計測していたMD、TD寸法で割り算出し熱収縮率とした。
多孔層積層前後の熱収縮率を測定し、下記式により熱収縮特性値Hを算出し評価した。
H=(多孔層積層後の熱収縮率)/(多孔層積層前の熱収縮率)
Hが0.97以下であれば多孔層積層による熱収縮低減の効果があると判断し良とし、0.98より大きくなった場合には多孔層積層による効果が無いと判断し不良とした。
 (7)シャットダウン温度
 シャットダウン温度は、5℃/分の昇温速度で加熱しながら、王研式透気抵抗度計(旭精工株式会社製、EGO-1T)により透気抵抗度を測定し、透気抵抗度が検出限界である1×10sec/100mLに到達した温度を求めシャットダウン温度(℃)とした。一般的にシャットダウン温度が高くなると熱暴走に到り易くなる観点から143℃以下を良とし、143℃を超える場合には不良とした。
 (8)多孔層積層性
 ポリオレフィン微多孔膜への多孔層形成を合計3000m実施し、その間に200mm幅のポリオレフィン微多孔膜が破断した回数が5回未満の場合歩留まり性が良いと判断し良とした。一方、破断回数が5回以上の場合は、積層性が悪いと判断し不良とした。
 (9)DRY接着性(電池製造工程における歩留り改善評価)
 50m×40mmの負極、70mm×60mmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用意し、電池用セパレータと負極を短辺同士の中心軸が揃い且つ互いの短辺が重なるように積層し、さらにPETフィルムを重ね、さらにもう1枚の負極を最初に準備した負極とちょうど重なるように積層させる。
 上記積層物を平板プレス機(新東工業 CYPT-20特)を用いて70℃、10sec、8kNの条件で熱プレスし電池用セパレータと負極を接着させる。
 PETフィルム及び接着されていない負極を取り除き試験片を、両面テープ(ニチバン ナイスタック(R)15mm幅)を用い試験片負極面とアルミ板を張り合わせる。さらに2kgのゴムローラ(テスター産業 SA-1003-B)を試験片上で2往復させ固定化する。負極と接着していない電池用セパレータ短辺に測定用冶具固定用の補助紙(50mm×80mm)を短辺が合うように取り付ける。
 引張用測定冶具を取り付けた卓上型精密万能試験機(SHIMAZU AGS-X)に取り付け、補助紙を引張り上げることで180度剥離試験(剥離速度300mm/min)を実施し、引張り上げた変位が20mmから80mmの間の電池用セパレータと負極の180度剥離に伴う応力の平均値をDRY接着力とした。平均値が2.0N/m以上となる場合にDRY接着性があると判断した。
 (10)無加圧の状態でのWET接着性
 カルボキシメチルセルロースを1.5質量部含む水溶液を人造黒鉛96.5質量部に加えて混合し、さらに固形分として2質量部のスチレンブタジエンラテックスを加えて混合して負極合剤含有スラリーとした。この負極合剤含有スラリーを、厚みが8μmの銅箔からなる負極集電体の両面に均一に塗付して乾燥して負極層を形成し、その後、ロールプレス機により圧縮成形して集電体を除いた負極層の密度を1.5g/cmにして、負極を作製した。
 上記で作成された負極(機械方向161mm×幅方向25mm×厚さ約0.14mm)と、作製された電池用セパレータ(機械方向160mm×幅方向26mm)を重ね、金属板(長さ300mm、幅25mm、厚さ1mm)を巻き芯としてセパレータが内側になるようにセパレータと負極を巻き取り、金属板を引き抜いて試験用捲回体を得た。試験用捲回体は長さ約26mm×幅約28mm×厚さ約0.9μmとなった。
 アルミラミネートフィルム(長さ70mm、幅65mm、厚さ0.1μm)2枚を重ね、4辺のうち3辺を溶着した袋状のラミネートフィルム内に試験用捲回体を入れた。エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートを体積比3:7で混合した溶媒にLiPFを1mol/Lの割合で溶解させた電解液400μLをグローブボックス中でラミネートフィルムの開口部から注入し、試験用捲回体に含浸させ、真空シーラーで開口部の一辺を封止した。
 次にラミネートフィルムに封入した試験用捲回体の厚さ方向を拘束する方法について図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明において厚さ方向を拘束するために用いた治具の模式図である。まずラミネートフィルムに封入した試験用捲回体の4隅及び中心付近の厚みを測定し、その平均値をセル厚みとした。セラミックス板1(長さ100mm×75mm×厚さ3mm)の両短辺の端部2カ所に上記厚みに合わせシムプレート2(幅6mm×長さ50mm)を積層し設置し、中心にラミネートフィルムに封入した試験用捲回体を置き、さらにシムプレート2を設置していないセラミックス板1を重ね4隅をねじ止めすることで厚さ方向を拘束した。このときセル厚みと同じ厚みとなるようにねじ止めを行った。
 前記、厚さ方向を拘束した状態恒温槽(エスペック SPH-101)を用いて70℃、12時間の加温処理を実施した。加温処理後、室温まで放冷し、アルミラミネートフィルムに封入したまま、試験用捲回体について卓上型精密万能試験機(島津製作所 AGS-X)を用いてWET接着性を測定した。以下にその詳細を記載する。
 2つの支点台(幅35mm×奥行35mm×高さ40mm)を支点台間距離が15mmとなるよう平行に配置・固定した。そこへ、試験用捲回体の幅方向(約28mm)中央が支点台間の中央に重なり、長さ方向(26mm)の辺が支点台の対向する面に平行で、長さ方向の中央が支点台奥行(35mm)方向の中央に重なるように2つの支点台間に設置した。
 次に、円筒圧子4として直径10mm×長さ約100mmの円筒を2つの支点台5の中間地点に支点台が対向する面と平行になり、円筒の曲面が上方から押し込まれるように引張試験機のロードセル(100N)に固定した(図2)。試験用捲回体6を2つの支持台上に設置し負荷速度0.5mm/分で圧子を押し込み荷重―変位曲線を得た。同様の試験を3個の試験用捲回体に対して行い、荷重―変位曲線より得られるそれぞれの最大荷重の平均値をWET接着強度とした。
 アルミラミネート及び負極自身の硬さを考慮し、WET接着強度が1.0N以上の場合WET接着性が発現しているとして良、1.0N未満の時はWET接着性が発現していないとし不良とした。
 (11)電池評価
 正極の作製
 PVDFを1.2質量部含むNMP溶液をコバルト酸リチウム97質量部、カーボンブラック1.8質量部に加えて混合し、正極合剤含有スラリーとした。この正極合剤含有スラリーを、厚みが20μmのアルミ箔からなる正極集電体の両面に均一に塗布して乾燥して正極層を形成し、その後、ロールプレス機により圧縮成型して集電体を除いた正極層の密度を3.6g/cmにして正極を作製した。
 負極の作製
 カルボキシメチルセルロースナトリウムを1.0質量部含む水溶液を人造黒鉛98質量部に加えて混合し、さらに固形分として1.0質量部含むスチレンブタジエンラテックスを加えて混合して負極合剤含有スラリーとした。この負極合剤含有スラリーを、厚みが10μmの銅箔からなる負極集電体の両面に均一に塗付して乾燥して負極層を形成し、その後、ロールプレス機により圧縮成形して集電体を除いた負極層の密度を1.45g/cmにして、負極を作製した。
 角缶型非水電解質二次電池の作製
 上記正極、負極にタブ付けされたものと各微多孔膜を使用して電極積層体の捲回体を作製した。次いで、アルミラミネート袋内に捲回体を設置し、電解液(1.1mol/L,LiPF,エチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート/ジエチレンカーボネート=3/5/2(体積比)に0.5重量%ビニレンカーボネート、2重量%フルオロエチレンカーボネートを添加したもの)を750μL滴下し真空ラミネータにて封止した。
 次に前記図1に示したラミネートフィルムに封入した試験用捲回体の厚さ方向を拘束した状態で、真空乾燥機(アズワン AVO-250NB)にて大気圧下で70℃、12時間保持した後取り出し、これを300mAhの角缶型非水電解質二次電池とした。
 サイクル性能試験
 上記作製した電池の厚さ方向を拘束した状態でサイクル性能試験を以下の充放電条件にて実施した。
充電:1C、4.35V定電流定電圧充電、カットオフ電流0.05C
放電:1C、3V定電流放電
測定温度:25℃
3個の試験用電池にて実施し、1回目の1C充電容量を基にした500回目の充電容量の割合すなわち容量維持率の平均値を導出し、サイクル性能の指標とした。
この時、容量維持率の平均値が85%以上であるものを特に最良好とし、最良と表記した。80%以上85%未満であるものを良好とし、良と表記した。80%未満であるものを不十分とし不良と表記した。
 [実施例1]
 膨潤性樹脂として、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン及びマレイン酸モノメチルエステルを出発原料として懸濁重合法にてフッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン/マレイン酸モノメチルエステルのモル比が96.5/3.0/0.5となるように共重合体を合成した。得られた共重合体の重量平均分子量は150万であった。
 上記の手順で得た共重合体と、N-メチル-2-ピロリドンを混合し、5重量%溶液を得た。その後、作成した溶液6927.2質量部とアルミナ粒子(平均粒径0.5μm、密度4.0g/mL)1453.6質量部加え、ディスパーで300rpmの条件で30分間撹拌した。さらにそこへ、N-メチル-2-ピロリドン3619.2質量部を追加で投入し、ディスパーで30分間、1100rpmで予備撹拌した。
 次いで、ダイノーミル(シンマルエンタープライゼス社製ダイノーミルマルチラボ(1.46L容器、充填率80%、φ0.5mmアルミナビーズ))を用いて、流量10kg/hr、周速10m/sの条件下で3回処理し、塗工液を作製した。
 得られた塗工液を、膜厚10μm、空孔率38%、透気抵抗度175秒/100mL、ナノインデンテーション特性値(N)0.1052、クリープ特性値(C)2.5%のポリエチレン微多孔膜の両面に、ディップ・コート法にて等量塗布した。塗布後の膜を、N-メチル-2-ピロリドン5-10質量%含有する水溶液中に9秒浸漬させ、純水で洗浄した後、45℃で乾燥し、電池用セパレータを得た。
 [実施例2]~[実施例14]、[比較例1]~[比較例7]
 表1または2記載の特性を持つポリオレフィン微多孔膜を用いた以外は、実施例1と同様の方法にて電池用セパレータを得た。
 [実施例15]~[実施例17]、[比較例8]~[比較例9]
 実施例1と同一のポリオレフィン微多孔膜を用い、表1または2記載の膨潤性樹脂量となるよう多孔層を積層し電池用セパレータを得た。
 [実施例18]~[実施例20]、[比較例10]~[比較例11]
 実施例1と同一のポリオレフィン微多孔膜を用い、表1または2記載のヘキサフルオロプロピレン導入量を有する膨潤性樹脂を使用し多孔層を積層し電池用セパレータを得た。
 [実施例21]~[実施例23]
 実施例1と同一のポリオレフィン微多孔膜を用い、表1記載の膨潤性樹脂比率となるよう膨潤性樹脂及びアルミナの混合比率を変更し多孔膜を積層させ電池用セパレータを得た。
 [比較例12]~[比較例14]
 実施例1と同一のポリオレフィン微多孔膜を用い、表2記載の膨潤性樹脂比率となるよう膨潤性樹脂及びアルミナの混合比率を変更した上で、表1記載の膨潤性樹脂量となるよう多孔膜を積層させ電池用セパレータを得た。
 実施例1~23、比較例1~14のポリエチレン微多孔膜の特性および、電池用セパレータの特性を表1、2に記す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
 表1より明らかなとおり、実施例1~23のポリオレフィン微多孔膜の厚さが8μm以上20μm以下、ナノインデンテーション特性値が0.09以上0.14以下、クリープ特性値が4以下であり、多孔層のヘキサフルオロプロピレン導入量が2.5mol%以上6.0mol%以下、膨潤性樹脂量が0.55g/m以上1.10g/m以下である本発明の電池用セパレータを用いた電池は、電極接着性が良好であり、サイクル性能が良好であることがわかる。またDRY接着性が良好であることから、歩留まりが良好であることがわかる。
 本発明の電池用セパレータは角缶型非水電解質二次電池におけるサイクル性能の低下を抑制し、電池製造工程における歩留まりを改善することが可能であり、角缶型非水電解質二次電池に好適に用いることができる。
1:セラミックス板
2:シムプレート
3:試験用の、捲回体又は封止した捲回体
4:円筒圧子
5:支持台
6:試験用捲回体

Claims (5)

  1.  ポリオレフィン微多孔膜に多孔層を積層した角缶型非水電解質二次電池用積層セパレータであって、
    前記微多孔膜が下記式(1)~(3)を満足し、
    前記多孔層がフッ化ビニリデン及びヘキサフロロプロピレンを含む繰り返し単位からなり、かつ全構成単位に対するヘキサフロロプロピレンの含有量が2.5mol%以上6.0mol%以下であるフッ化ビニリデン共重合体を含む膨潤性樹脂、および無機粒子を含み、前記多孔層が下記式(4)を満足することを特徴とする角缶型非水電解質二次電池用セパレータ。
    8≦t≦20  ・・・式(1)
    0.09≦N≦0.14 ・・・式(2)
    C≦4.0  ・・・式(3)
    0.55≦Q≦1.10 ・・・式(4)
    ここで、tはポリオレフィン微多孔膜の厚さ(μm)
    Nはポリオレフィン微多孔膜のナノインデンテーション特性値
    Cはポリオレフィン微多孔膜のクリープ特性値
    Qは単位面積あたりの多孔層における樹脂成分重量(g/m
  2.  前記ポリオレフィン微多孔膜の空孔率が30%以上50%以下である請求項1に記載の角缶型非水電解質二次電池用セパレータ。
  3.  前記膨潤性樹脂と前記無機粒子の体積を合わせて100としたときの前記膨潤性樹脂の体積比率が25体積%以上50体積%以下である請求項1または2に記載の角缶型非水電解質二次電池用セパレータ。
  4.  請求項1~3のいずれかに記載の角缶型非水電解質二次電池用セパレータ、負極、および正極を含むことを特徴とする電極積層体。
  5.  請求項4に記載の電極積層体を含むことを特徴とする角缶型非水電解質二次電池。
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