WO2020217464A1

WO2020217464A1 - 外反母趾矯正用サポーター

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Publication number: WO2020217464A1
Application number: PCT/JP2019/017973
Authority: WO
Inventors: 坂本　清
Original assignee: 坂本　清
Priority date: 2019-04-26
Filing date: 2019-04-26
Publication date: 2020-10-29
Also published as: JPWO2020217464A1; EP3960132A4; EP3960132A1; US20220202605A1

Abstract

【課題】　長時間にわたって快適に着用することのできる外反母趾矯正用サポーターを提供する。【解決手段】　サポーター本体部１１を踵の周辺部に宛がい、第一突出部１２及び第二突出部１３をそれぞれ甲の左右から甲の上面側に配して、第一突出部１２の外面に第二突出部１３を重ねた状態とし、第一面ファスナー１４に対して第二面ファスナー１５を固着することによって、サポーター１０を足根の周囲に装着するとともに、牽引帯３０の後端部をサポーター本体部１１の内側（ないそく）側に固着することによって、拇趾サック２０を後側に牽引するようにした外反母趾矯正用サポーターにおいて、第一突出部１２の先端側の端縁部と第一面ファスナー１４の先端側の端縁部とを、略同形の円弧状に形成して略重なった状態とした。

Description

外反母趾矯正用サポーター

　本発明は、足の拇趾（親指）が第二趾の方向に屈曲した状態になる外反拇趾を矯正するための外反母趾矯正用サポーターに関する。

　外反母趾を矯正するための外反母趾矯正用サポーターとして、本発明者は、特許文献１に記載されたものを既に提案している。

　特許文献１の外反母趾矯正用サポーター（同文献では「矯正具」と呼んでいる。）は、同文献の図１に示されるサポーター１１と、同文献の図２に示される拇指サック１２及び牽引帯１３，１４，１５とで構成されている。サポーター１１は、同文献の図３及び図４に示されるように、足根に装着するための部材となっている。また、拇趾サック１２は、足の拇趾に装着するための部材となっている。さらに、牽引帯１３，１４，１５は、その前端を拇趾サック１２に固定され、拇趾サック１２の内側（ないそく）側から後方に延びた状態に設けられている。

　特許文献１の外反母趾矯正用サポーターを構成する各部材のうち、サポーター１１は、同文献の図１に示されるように、踵の周辺部を覆うサポーター本体部１６（同文献では「主体部」と呼んでいる。）と、サポーター本体部１６における左右両側からそれぞれ甲の上面を覆うように突出した状態に設けられた第一突出部１７及び第二突出部１８（同文献ではそれぞれ「左翼部」及び「右翼部」と呼んでいる。）と、第一突出部１７に設けられた第一面ファスナー２１と、第二突出部１８の先端に設けられた第二面ファスナー２２とを有している。

　特許文献１の外反母趾矯正用サポーターは、第一突出部１７及び第二突出部１８をそれぞれ甲の左右から甲の上面側に配して、第一突出部１７の外面に第二突出部１８を重ねた状態とし、第一面ファスナー２１に対して第二面ファスナー２２を固着することによって、サポーター１１を足根の周囲に装着するとともに、牽引帯１３，１４，１５の後端（同文献の図２に示される面ファスナー２６，２７，２８）をサポーター本体部１６の内側側（同文献の図３及び図３に示される面ファスナー２５）に固着して使用するものとなっている。

　このように、拇趾サック１２を後側に牽引することによって、拇趾の先端に、内側（ないそく）側を向く外力（牽引帯１３，１４，１５の張力）が加えられるようになる。したがって、特許文献１の外反母趾矯正用サポーターを継続的に装着すると、外反母趾が次第に矯正されるようになる。特許文献１の外反母趾矯正用サポーターは、その着用時に拇趾サック１２が回転すると、所望の矯正効果が奏されなくなるおそれがあるところ、同文献には、牽引帯１３，１４，１５を、中央の主牽引帯１３と、主牽引帯１３の上下に配される補助牽引帯１４，１５との計３本で構成することによって、拇趾サック１２が回転しないようにすることについても開示されている。

特開２００５－１５２２１８号公報

　特許文献１の外反母趾矯正用サポーターは、長時間にわたって外反母趾の矯正効果が奏されるものではあったが、着用時に足の甲に痛みを感じるおそれがあった。

　というのも、特許文献１の外反母趾矯正用サポーターは、既に述べたように、第一突出部１７の上側（外面側）に第二突出部１８を重ねて、第一面ファスナー１７に対して第二面ファスナー１８を固着することにより、サポーター１１を足根に装着するものとなっており、サポーター１１を装着した際には、第一突出部１７及び第二突出部１８が足の甲を締め付けるようになっている。ところが、下側に配される第一突出部１７の先端側の端縁部が、同文献の図１に示されるように、略直角な角部を２箇所に有する形状を有していたために、サポーター１１を装着すると、第一突出部１７における上記の角部が着用者の足の甲に食い込みやすい構造となっているからである。

　この点、サポーター１１は、通常、第一突出部１７を含めてその略全体が柔らかい伸縮生地で形成される。このため、伸縮生地自体に角部が存在しても、その角部が着用者の身体に痛みを感じさせる可能性は低い。ところが、第一突出部１７の外面側には、上記の第一面ファスナー１７が重なった状態に設けられるため、第一突出部１７は、サポーター１１における他の部分よりも剛性が高くなっている（硬くなっている。）。したがって、第一突出部１７の先端側の端縁部に、上記の角部が存在していると、その角部が足の甲に突き当たって、足の甲に痛みを感じるおそれがある。

　本発明は、上記課題を解決するために為されたものであり、足の甲の上面に配される部分（上記の第一突出部）が足の甲に食い込みにくく、痛みを感じず、長時間にわたって快適に着用することのできる外反母趾矯正用サポーターを提供するものである。

　上記課題は、
　足根の周囲に装着するためのサポーターと、
　足の拇趾に装着するための拇指サックと、
　拇趾サックの内側（ないそく）側から後方に延びる牽引帯と
で構成され、
　サポーターが、
　踵の周辺部を覆うサポーター本体部と、
　サポーター本体部における左右両側からそれぞれ甲の上面を覆うように突出した状態に設けられた第一突出部及び第二突出部と、
　第一突出部に設けられた第一面ファスナーと、
　第二突出部の先端に設けられた第二面ファスナーと
を有し、
　サポーター本体部を踵の周辺部に宛がい、第一突出部及び第二突出部をそれぞれ甲の左右から甲の上面側に配して、第一突出部の外面に第二突出部を重ねた状態とし、第一面ファスナーに対して第二面ファスナーを固着することによって、サポーターを足根の周囲に装着するとともに、
　牽引帯の後端部をサポーター本体部の内側（ないそく）側に固着することによって、拇趾サックを後側に牽引するようにした
外反母趾矯正用サポーターであって、
　第一突出部の先端側の端縁部と第一面ファスナーの先端側の端縁部とが、略同形の円弧状に形成されて略重なった状態とされた
ことを特徴とする外反母趾矯正用サポーター
を提供することによって解決される。

　ここで、「内側（ないそく）側」とは、着用者の足における、その着用者の身体の左右方向中心を向く側を意味している。例えば、「拇趾の内側（ないそく）側」は、その拇趾が右足のものであればその拇趾の左側（外反母趾矯正用サポーターの着用者から見て左側）を指し、その拇趾が左足のものであればその拇趾の右側（外反母趾矯正用サポーターの着用者から見て右側）を指す。これに対し、着用者の足における、その着用者の身体の左右方向外方を向く側を「外側（がいそく）側」と呼ぶことがある。

　また、「円弧状」とは、丸みを帯びた滑らかな曲線状（角部を有さない曲線状）を意味しており、厳密に円弧を為している必要はない。すなわち、楕円曲線状や二次曲線状等も「円弧状」に含まれるものとする。

　本発明の外反母趾矯正用サポーターでは、上記のように、第一突出部及び第一面ファスナーの先端側の端縁部をいずれも円弧状として重ねた状態としているため、サポーター本体部を足根に装着しても、第一突出部や第一面ファスナーの先端が足の甲に突き当たらないようになっている。このため、外反母趾矯正用サポーターを、痛みを感じにくく、長時間にわたって快適に着用できるものとすることが可能となっている。

　本発明の外反母趾矯正用サポーターにおいて、第一突出部及び第一面ファスナーの先端側の端縁部の処理は、特に限定されない。しかし、第一突出部の先端側の端縁部と第一面ファスナーの先端側の端縁部とを、かがり縫いによって縫合することが好ましい。これにより、第一突出部の先端側では、第一突出部を形成する生地を折り返すことなく、その生地の端縁を処理（ほつれ防止処理）することができ、第一突出部の先端側の端縁部を薄く仕上げることが可能になる。したがって、第一突出部の先端側の端縁部から着用者の甲に押圧力が加わりにくくすることができる。加えて、第一突出部の先端側の端縁部と第一面ファスナーの先端側の端縁部とに糸が巻き掛かった状態とし、第一面ファスナーの背面（固着面と反対側の面）と端面とのエッジや、第一面ファスナーの固着面と端面とのエッジを、糸によって覆い、足の甲に直接触れないようにすることも可能になる。これにより、第一面ファスナーにおける上記のエッジも、足の甲に突き当たりにくくすることができる。よって、着用者の足の甲に痛みがより生じにくくすることが可能になる。

　ところで、本発明の外反母趾矯正用サポーターにおいては、第二面ファスナーの略全体を第二突出部に重ねた状態に設けてもよい。しかし、この場合には、サポーターにおける第二面ファスナーが設けられる部分の略全体が厚くなり、着用者の足の甲を圧迫しやすくなる。このため、第二面ファスナーは、その基端側の端縁部のみを第二突出部に重ねた状態に設け、第二面ファスナーにおけるそれ以外の箇所（基端側の端縁部以外の箇所）には、第二突出部が重ならないようにすることが好ましい。

　具体的には、第二突出部の先端側の端縁部に第二面ファスナーの基端側の端縁部を縫合することによって、第二面ファスナーの先端側を、第二突出部の先端側の端縁部から突出した状態に設けることが好ましい。これにより、第二面ファスナーの基端側の端縁部を除いた大部分が第二突出部に重ならないようにして、サポーターにおける第二面ファスナーが設けられる部分を薄く形成することが可能になる。

　ただし、上記のように、サポーターにおける第二面ファスナーが設けられる部分を薄く形成したとしても、以下のような理由により、足の甲に痛みが生ずるおそれがある。すなわち、本発明の外反母趾矯正用サポーターでは、上記のように、第一突出部及び第一面ファスナーの先端側の端縁部をいずれも円弧状として重ねた状態としたため、図９（ａ）に示すように、第一面ファスナー１４の先端寄りの箇所に第二面ファスナー１５を固着する場合（足の甲回り寸法が大きい場合）には、第二面ファスナー１５の基端側の領域α（斜線ハッチングで示した箇所）が、第一突出部１２及び第一面ファスナー１４の先端側の端縁部の両側から露出し、領域αにおける角部が足の甲に当たるおそれがある。また、領域αにおける第二面ファスナー１５が足の甲に接触して、着用者が違和感を覚えるおそれもある。

　このため、本発明の外反母趾矯正用サポーターでは、図９（ｂ）に示すように、第二突出部１３の両側の側縁にパイピング１７を施し、パイピング１７を第二面ファスナー１５の基端に重なる箇所まで延在した状態に設けることが好ましい。これにより、第二面ファスナー１５の基端側の領域αやその角部が着用者の足の甲に直接触れないようにして、足の甲に痛み等が生じにくくすることができる。

　以上のように、本発明によって、足の甲の上面に配される部分（上記の第一突出部）が足の甲に食い込みにくく、痛みを感じず、長時間にわたって快適に着用することのできる外反母趾矯正用サポーターを提供することが可能になる。

本発明に係る右足用の外反母趾矯正用サポーターを側方から見た状態を示した図である。本発明に係る右足用の外反母趾矯正用サポーターを図１とは逆側から見た状態を示した図である。本発明に係る右足用の外反母趾矯正用サポーターを右足に着用している様子を側方から見た状態を示した図であって、サポーターの装着を終えた状態を示した図である。本発明に係る右足用の外反母趾矯正用サポーターを右足に着用し終えた様子を側方から見た状態を示した図である。本発明に係る右足用の外反母趾矯正用サポーターを右足に着用し終えた様子を図４とは逆側から見た状態を示した図である。本発明に係る右足用の外反母趾矯正用サポーターを右足に着用している様子を上側から見た状態を示した図であって、サポーターの第一突出部を足の甲の上側に配した状態を示した図である。本発明に係る右足用の外反母趾矯正用サポーターを右足に着用している様子を上側から見た状態を示した図であって、サポーターの第一突出部の外面に対して第二突出部を重ねた状態を示した図である。本発明に係る右足用の外反母趾矯正用サポーターを右足に着用し終えた様子を上側から見た状態を示した図である。本発明に係る右足用の外反母趾矯正用サポーターにおいて、サポーターにおける第二突出部側の第二面ファスナーを、第一突出部側の第一面ファスナーに重ねた状態を、第二面ファスナーの固着面側から見た状態を示した図である。

　本発明の外反母趾矯正用サポーターの好適な実施態様について図面を用いてより具体的に説明する。本発明の外反母趾矯正用サポーターには、右足に着用する右足用のものと、左足に着用する左足用のものとがある。以下においては、説明の便宜上、右足用の外反母趾矯正用サポーターを例に挙げて説明し、左足用の外反母趾矯正用サポーターについての説明は極力割愛する。ただし、左足用の外反母趾矯正用サポーターは、右足用の外反母趾矯正用サポーターと左右対称な構造を有している。このため、右足用の外反母趾矯正用サポーターで述べた構成は、左右を反転することによって、左足用の外反母趾矯正用サポーターでも適用することができる。

　図１は、本発明に係る右足用の外反母趾矯正用サポーターを側方（内側（ないそく）側）から見た状態を示した図である。図２は、本発明に係る右足用の外反母趾矯正用サポーターを図１とは逆側（外側（がいそく）側）から見た状態を示した図である。本発明の外反母趾矯正用サポーターは、図１及び図２に示すように、サポーター１０と、拇指サック２０と、牽引帯３０とで構成されている。

　図３は、本発明に係る右足用の外反母趾矯正用サポーターを右足に着用している様子を側方（内側（ないそく）側）から見た状態を示した図であって、サポーター１０の装着を終え、拇趾サック２０を装着しようとしている様子を示した図である。サポーター１０は、図３に示すように、足根に装着するための部材となっている。図４及び図５は、本発明に係る右足用の外反母趾矯正用サポーターを右足に着用し終えた様子を示した図であって、図４は、内側（ないそく）側から見た状態を、図５は、外側（がいそく）側から見た状態をそれぞれ示している。拇趾サック１２は、図４及び図５に示すように、足の拇趾に装着するための部材となっている。牽引帯３０は、図１に示すように、その前端を拇趾サック２０に固定され、拇趾サック２０の内側（ないそく）側から後方に延びた状態に設けられている。

　サポーター１０は、着用者の足根を適度に締め付ける、文字通り「サポーター」としての機能を発揮するだけでなく、牽引帯３０の後端を固定する部分としても機能するようになっている。このサポーター１０は、図１に示すように、サポーター本体部１１と、第一突出部１２と、第二突出部１３とを有している。サポーター１０は、各種生地によって形成することができるが、通常、伸縮生地で形成される。これにより、サポーター１０の着用感を高めることができる。本実施態様においては、ナイロン繊維及びポリエステル繊維をタテ及びヨコの両方向に伸びるように編み込んだ経編生地でサポーター１０を形成している。このような経編生地としては、トリスキン（登録商標）等が例示される。

　サポーター１０を形成する生地（伸縮生地）の厚さは、特に限定されないが、薄くしすぎると、サポーター１０に必要な強度を維持できなくなるこのため、サポーター１０を形成する生地の厚さは、通常、０．１ｍｍ以上とされる。サポーター１０を形成する生地の厚さは、０．３ｍｍ以上とすることが好ましい。一方、サポーター１０を形成する生地を厚くしすぎると、サポーター１０を装着した際に着用者が足根に違和感を覚えやすくなる等、外反母趾矯正用サポーターの着用感が低下するおそれがある。このため、サポーター１０を形成する生地の厚さは、通常、１ｍｍ以下とされる。サポーター１０を形成する生地の厚さは、０．７ｍｍ以下とすることが好ましい。本実施態様において、サポーター１０を形成する生地の厚さは、約０．５ｍｍとなっている。このような薄手の生地は、その縫製を少しでも間違うとシワが生じやすいため、不良品になりやすい。

　サポーター本体部１１は、着用者の足の踵の周辺部を覆うための部分となっており、図３に示すように、内側（ないそく）側のくるぶし周辺を覆う内側（ないそく）側面状部１１ａと、図５に示すように、外側（がいそく）側のくるぶし周辺を覆う外側（がいそく）側面状部１１ｂと、土踏まずの下面を覆って内側（ないそく）側面状部１１ａの下縁と外側（がいそく）側面状部１１ｂの下縁とを連結する下側連結部１１ｃと、足首の後面を覆って内側（ないそく）側面状部１１ａの後縁と外側（がいそく）側面状部１１ｂの後縁とを連結する後側連結部１１ｄとを有している。このサポーター本体部１１における下側連結部１１ｃと後側連結部１１ｄとの間は、踵を挿入するための踵挿入穴１１ｅとなっている。サポーター１０を足根に装着する際に、この踵挿入穴１１ｅに踵を挿入することによって、足根に装着したサポーター１０の安定性を増大することができる。

　第一突出部１２は、図２に示すように、サポーター本体部１１の外側（がいそく）側面状部１１ｂの上部から突出した状態に設けられている。この第一突出部１２は、図６に示すように、足の甲の上面を覆うように配される。一方、第二突出部１３は、図２に示すように、サポーター本体部１１の内側（ないそく）側面状部１１ａの上部から突出した状態に設けられている。この第二突出部１３は、図７に示すように、第一突出部１２の外面（外反母趾矯正用サポーターの着用時に足の甲とは反対側を向く面。以下同じ。）に重ねた状態に配される。図６及び図７は、本発明に係る右足用の外反母趾矯正用サポーターを右足に着用している様子を上側から見た状態を示した図であって、図６は、サポーター１０の第一突出部１２を足の甲の上側に配した状態を示した図である。図７は、サポーター１０の第一突出部１２の外面に対して第二突出部１３を重ねた状態をそれぞれ示している。

　図２に示すように、第一突出部１２の外面には、第一面ファスナー１４が設けられている。第一突出部１２の先端側の端縁部と、第一面ファスナー１４の先端側の端縁部は、略同形の円弧状に形成されて略重なった状態となっている。本実施態様においては、第一面ファスナー１４を、長手方向両端部が円弧状の曲線を為す帯状に形成し、その円弧状に形成された一方の端縁部を、第一突出部１２におけるアール状に形成された先端側の端縁部に重ねて、第一面ファスナー１４の略全体が第一突出部１２の外面に重なるようにし、この第一面ファスナー１４の周縁に沿った箇所を第一突出部１２に縫合することによって、第一突出部１２に第一面ファスナー１４を固定している。第一突出部１２の先端側の端縁部と第一面ファスナー１４の先端側の端縁部とは、かがり縫いによって縫合している。第一面ファスナー１４の前縁は、第一突出部１２の前縁に重なるようにしている。既に述べたように、本実施態様において、サポーター１０は、薄手の伸縮生地で形成したところ、このようなかがり縫いであれば、その伸縮生地にシワを形成することなく、綺麗に処理することが可能である。

　一方、第二突出部１３の先端には、第二面ファスナー１５が設けられている。本実施態様においては、第二突出部１３の先端側の端縁部に第二面ファスナー１５の基端側の端縁部を縫合することによって、第二面ファスナー１５の略全体が第二突出部１３の先端側の端縁部から突出した状態となるようにしている。換言すると、第二面ファスナー１５の略全体が第二突出部１３に重ならない状態となるようにしている。本実施態様においては、第二面ファスナー１５を、長手方向一端部が円弧状の曲線を為す帯状に形成し、その第二面ファスナー１５における他方の端縁部（円弧状に形成されていない側の端縁部）を、第二突出部１３の先端側の端縁部に重ねて、第二面ファスナー１４の前記他方の端縁部（基端側の端縁部）のみが第二突出部１３に重なるようにし、この第二面ファスナー１５における基端側の端縁部に沿った箇所を第二突出部１２の先端側の端縁部に縫合することによって、第二突出部１３に第二面ファスナー１５を固定している。第二突出部１３の先端側の端縁部は、折り返すことなく、そのまま第二面ファスナー１５を縫合している。第二面ファスナー１５は、その固着面が内面（外反母趾矯正用サポーターの着用時に足の甲を向く面。以下同じ。）を向くようになっている。この第二面ファスナー１５は、第一面ファスナー１４に対して固着するための部分となっている。

　本実施態様において、サポーター１０は、それに設けられた踵挿入穴１１ｅに踵を挿入した後、図６に示すように、第一突出部１２を足の甲に載せ、この第一突出部１２の第一面ファスナー１４に対して、第二突出部１３の先端の第二面ファスナー１５を固着することによって、図７に示すように、第一突出部１２と第二突出部１３とが互いに固定された状態となり、足根に装着されるようになっている。第一面ファスナー１４に対して第二面ファスナー１５を固着する際には、第二突出部１３は、通常、引っ張られて伸長状態（自然長よりも伸びた状態）とされる。これにより、サポーター１０から着用者の足根に適度な締付力が加えられるようになり、サポーター１０で足根をしっかりとサポートすることが可能になる。第一面ファスナー１４は、足の甲に載せたときに左右方向に延在するよう帯状に設けられている。このため、第一面ファスナー１４に対する第二面ファスナー１５の固着位置（左右の固着位置）を調節することで、サポーター１０による締付力を調節することができるようになっている。

　ところで、既に述べたように、第一面ファスナー１４に対して第二面ファスナー１５を固着した際に、外反母趾矯正用サポーターの着用者の足の甲に、第一面ファスナー１４の端縁部が突き当ることがあると、着用者が足の甲に痛みを感じるおそれがある。この点、本実施態様においては、上述したように、第一面ファスナー１４の先端側の端縁部を、円弧状とし、同じく円弧状に形成された第一突出部１２の先端側の端縁部に重ねた状態としている。加えて、第一面ファスナー１４の先端側の端縁部と第一突出部１３の先端側の端縁部をかがり縫いによって縫合している。したがって、第一面ファスナー１４及び第一突出部１２の先端側の端縁部は、角部を有さない滑らかな形状となっていることに加えて、第一突出部１２の先端側の端縁部は、折り返しを有さない薄い状態に仕上げられている。また、第一面ファスナー１４の背面（固着面と反対側の面）と端面とのエッジや、第一面ファスナー１４の固着面と端面とのエッジを、糸によって覆い、足の甲に直接触れないようにすることも可能となっている。したがって、第一面ファスナー１４及び第一突出部１２の先端側の端縁部が着用者の甲に突き当たらないようになっており、外反母趾矯正用サポーターを長時間着用しても痛みを感じにくくなっている。

　ただし、第一突出部１２及び第一面ファスナー１４の先端側の端縁部をいずれも円弧状として重ねた状態とすると、図９（ａ）に示すように、第一面ファスナー１４の先端寄りの箇所に第二面ファスナー１５を固着する場合（足の甲回り寸法が大きい場合）には、第二面ファスナー１５の基端側の領域α（斜線ハッチングで示した箇所）が第一突出部１２の先端側の端縁部の側方から露出し、領域αにおける角部が足の甲に当たるおそれがある。また、領域αにおける第二面ファスナー１５が足の甲に接触して、着用者が違和感を覚えるおそれもある。

　このため、本実施態様においては、図９（ｂ）に示すように、第二突出部１３の両側の側縁にパイピング１７を施し、パイピング１７を第二面ファスナー１３の基端に重なる箇所まで延在した状態に設けている。図９は、サポーター１０における第二突出部１３側の第二面ファスナー１５を、第一突出部１２側の第一面ファスナー１４に重ねた状態を、第二面ファスナー１５の固着面側から見た状態を示した図であり、図９（ａ）は、第二面ファスナー１５にパイピングによる処理を施していない場合を、図９（ｂ）は、第二面ファスナー１５にパイピング１７による処理を施した場合をそれぞれ示している。このように、パイピング１７を第二面ファスナー１５の基端まで延在して設けることによって、第二面ファスナー１３の基端側の領域αやその角部が着用者の足の甲に直接触れないようにすることができる。加えて、パイピング１７は、本来、サポーター１０を形成する生地の端縁部のほつれを防止するためのものであるところ、このパイピング１７を利用することで、別部材を設けることなく、上記の問題を解消することが可能になる。

　また、第一面ファスナー１４に対して第二面ファスナー１５を固着した際に、第一面ファスナー１４と第二面ファスナー１５との固着部分が厚くなると、サポーター１０の上から靴下や靴を着用した際に、その固着部分が靴下や靴によって足の甲側に押されやすくなり、着用者の足の甲におけるその固着部分に重なる箇所に痛みを生じるおそれがある。この点、本実施態様においては、上述したように、第二面ファスナー１５の略全体が第二突出部１３の形成生地に重ならないようにしており、上記の固着部分が厚くならないようにしている。

　さらに、第一面ファスナー１４が設けられる第一突出部１２は、比較的薄手の伸縮生地で形成されるため、第一面ファスナー１４の基端（先端と反対側の端部）側の端縁部が、その下側の伸縮生地（第一突出部１２を形成する伸縮生地）を介して着用者の足の甲に突き当たると、やはり足の甲に痛みを生じるおそれがある。この点、本実施態様においては、上述したように、第一面ファスナー１４の先端側の端縁部だけでなく、第一面ファスナー１４の基端側の端縁部も円弧状に形成している。したがって、第一面ファスナー１４の基端側の端縁部も着用者の甲に突き当たらないようになっている。

　このように、サポーター１０には、それを足根に装着するための第一面ファスナー１４及び第二面ファスナー１５が設けられているが、本実施態様においては、図２に示すように、これらの面ファスナーに加えて、第三面ファスナー１６も設けている。第三面ファスナー１６は、サポーター１０における内側（ないそく）側面状部１１ａの外面に固定（本実施態様においては縫合）されている。この第三面ファスナー１６は、後述する牽引帯３０の後端に設けられた第四面ファスナー３０ａ（図１）を固着するための部分となっている。

　図８は、本発明に係る右足用の外反母趾矯正用サポーターを右足に着用し終えた様子を上側から見た状態を示した図である。拇指サック２０は、図８に示すように、足の拇趾に被せた状態で装着するものとなっている。このため、拇趾サック２０は、その内部に拇趾を挿入できるように、通常、袋状ないしはキャップ状に形成される。拇趾サック２０は、各種生地によって形成することができるが、サポーター１０と同様、伸縮生地で形成することが好ましい。これにより、拇趾サック２０の着用感を高めることができる。本実施態様においては、サポーター１０と同様の生地（ナイロン繊維及びポリエステル繊維をタテ及びヨコの両方向に伸びるように編み込んだ経編生地）で拇趾サック２０を形成している。

　牽引帯３０は、帯状の部材となっており、図８に示すように、その前端を拇趾サックの内側（ないそく）側に固定（本実施態様においては縫合）されている。この牽引帯３０は、拇趾サック２０を後側に牽引するためものとなっている。牽引帯３０は、各種生地によって形成することができるが、サポーター１０と同様、伸縮生地で形成することが好ましい。これにより、拇趾サック２０を弾性的に後側に牽引し、拇趾サック２０に無理な力が加わりにくくすることができる。本実施態様においては、サポーター１０と同様の生地（ナイロン繊維及びポリエステル繊維をタテ及びヨコの両方向に伸びるように編み込んだ経編生地）で牽引帯３０を形成している。

　牽引帯３０の後端には、図２に示すように、第四面ファスナー３０ａが設けられている。第四面ファスナー３０ａは、その固着面が内面（外反母趾矯正用サポーターの着用時に足側を向く面。以下同じ。）を向くようになっている。この第四面ファスナー３０ａは、図４及び図８に示すように、サポーター本体部１１における第三面ファスナー１６に対して固着するための部分となっている。第四面ファスナー３０ａは、第三面ファスナー１６における、牽引帯３０が伸長状態（自然長よりも伸びた状態）となる箇所に固着される。これにより、牽引帯３０が縮もうとする力が拇趾サック２０を後方に引っ張る牽引力として働くようになる。

　このように、牽引帯３０の後端をサポーター１０に固着して、牽引帯３０で拇趾サック２０の内側（ないそく）側を後方に引っ張ることにより、拇趾サック２０を装着した拇趾の先端が内側（ないそく）側に引っ張られるようになり、外反母趾が矯正されるようになっている。牽引帯３０の後端（第四面ファスナー３０ａ）を固着するための第三面ファスナー１６は、図３に示すように、サポーター本体部１１を前後方向にわたるある程度広い範囲に設けられている。このため、第三面ファスナー１６に対する第四面ファスナー３０ａの固着位置（前後の固着位置）を調節することで、牽引帯３０による拇趾サック２０の牽引力を調節することができるようになっている。

　牽引帯３０は、１つの拇趾サック２０につき１本のみ設けてもよい。しかし、牽引帯３０が１本のみであると、外反母趾矯正用サポーターを長時間着用しているうちに、拇趾サック２０が拇趾回りに回転して牽引帯３０が捩じれてしまい、牽引帯３０によって拇趾サック２０が捩じれた向きに牽引されるようになるおそれがある。このように、拇趾サック２０が捩じれた向きに牽引されてしまうと、所望の外反母趾矯正効果が奏されにくくなってしまう可能性がある。この点、本実施態様においては、複数本の牽引帯３０を設けることによって、拇趾サック２０が拇趾回りに回転しにくくすることで、上記の不具合の発生を抑えている。

　具体的には、牽引帯３０を、図４に示すように、拇趾サック２０の内側（ないそく）側後縁の中央部を牽引する主牽引帯３１と、拇趾サック２０の内側（ないそく）側後縁の上部を牽引する上側補助牽引帯３２と、拇趾サック２０の内側（ないそく）側後縁の下部を牽引する下側補助牽引帯３３との３本で構成している。このように、拇趾サック２０の内側（ないそく）側後縁を上下にわたる複数個所を複数本の牽引帯３０で牽引することによって、拇趾サック２０が拇趾回りに回転しにくくすることができる。これと同様の効果は、１本の幅広の牽引帯３０を使用しても得ることができるが、本実施態様のように複数本の牽引帯３０を使用することで、上側補助牽引帯３２による牽引力を弱めにして下側補助牽引帯３３による牽引力を強めにするといったように、牽引帯３０ごとに牽引力を調整することが可能になる。

　主牽引帯３１や上側補助牽引帯３２や下側牽引帯３３の幅は、特に限定されないが、通常、主牽引帯３１は、上側補助牽引帯３２や下側牽引帯３３よりも幅広に形成される。本実施態様においては、主牽引帯３１の幅を、上側補助牽引帯３２及び下側補助牽引帯３３の幅よりも広く形成（本実施態様においては約２倍に形成）するとともに、主牽引帯３１が内側（足の皮膚に近い側）となり、主牽引帯３１の外側に上側補助牽引帯３２及び下側補助牽引帯３３が重なるようにしている。これにより、主牽引帯３１の後端をサポーター１０の第三面ファスナー１６に固着した後、上側補助牽引帯３２及び下側補助牽引帯３３の後端をサポーター１０の第三面ファスナー１６に固着するといった手順で、牽引帯３０の後端を固定しやすくなっている。

　牽引帯３０の後端の第四面ファスナー３０ａが固着される第三面ファスナー１６は、サポーター１０を上下方向にわたるある程度広い範囲に設けられており、３本の牽引帯３０（主牽引帯３１、上側補助牽引帯３２及び下側補助牽引帯３３）の後端を同時に固着できるとともに、それぞれの上下位置をある程度調節することができるようになっている。このため、牽引帯３０が拇趾サック２０に加える牽引力の向きを微妙に調節することが可能となっている。

　以上で説明した本発明の外反母趾矯正用サポーターは、サポーター１０を足根の踵周辺に装着し、拇趾サック２０を拇趾に装着した後、牽引帯３０の後端をサポーター１０の内側（ないそく）側に固定することで着用するものとなっており、牽引帯３０から拇趾サック２０の内側（ないそく）側に加えられる後向きの牽引力によって拇趾の先端を内側（ないそく）側に牽引することで、外反母趾を矯正することができるものとなっている。また、従来の外反母趾矯正用サポーターでは問題となっていた着用者の甲に生じ得る痛み（第一突出部１２や第一面ファスナー１４の先端縁が甲に突き当たることによって生じる痛み）をなくし、外反母趾矯正用サポーターを長時間快適に着用することも可能となっている。

　　１０　　サポーター
　　１１　　サポーター本体部
　　１１ａ　内側（ないそく）側面状部
　　１１ｂ　外側（がいそく）側面状部
　　１１ｃ　下側連結部
　　１１ｄ　後側連結部
　　１１ｅ　踵挿入穴
　　１２　　第一突出部
　　１３　　第二突出部
　　１４　　第一面ファスナー
　　１５　　第二面ファスナー
　　１６　　第三面ファスナー
　　１７　　パイピング
　　２０　　拇指サック
　　３０　　牽引帯
　　３０ａ　第四面ファスナー
　　３１　　主牽引帯
　　３２　　上側補助牽引帯
　　３３　　下側補助牽引帯

Claims

　足根の周囲に装着するためのサポーターと、
　足の拇趾に装着するための拇指サックと、
　拇趾サックの内側側から後方に延びる牽引帯と
で構成され、
　サポーターが、
　踵の周辺部を覆うサポーター本体部と、
　サポーター本体部における左右両側からそれぞれ甲の上面を覆うように突出した状態に設けられた第一突出部及び第二突出部と、
　第一突出部に設けられた第一面ファスナーと、
　第二突出部の先端に設けられた第二面ファスナーと
を有し、
　サポーター本体部を踵の周辺部に宛がい、第一突出部及び第二突出部をそれぞれ甲の左右から甲の上面側に配して、第一突出部の外面に第二突出部を重ねた状態とし、第一面ファスナーに対して第二面ファスナーを固着することによって、サポーターを足根の周囲に装着するとともに、
　牽引帯の後端部をサポーター本体部の内側側に固着することによって、拇趾サックを後側に牽引するようにした
外反母趾矯正用サポーターであって、
　第一突出部の先端側の端縁部と第一面ファスナーの先端側の端縁部とが、略同形の円弧状に形成されて略重なった状態とされた
ことを特徴とする外反母趾矯正用サポーター。
　第一突出部の先端側の端縁部と第一面ファスナーの先端側の端縁部とが、かがり縫いによって縫合された請求項１記載の外反母趾矯正用サポーター。
　第二突出部の先端側の端縁部に第二面ファスナーの基端側の端縁部が縫合されることによって、第二面ファスナーの先端側が第二突出部の先端側の端縁部から突出した状態に設けられるとともに、
　第二突出部の両側の側縁にパイピングが施され、当該パイピングが第二面ファスナーの基端に重なる箇所まで延在した状態に設けられた
請求項１又は２記載の外反母趾矯正用サポーター。