WO2020195211A1 - インクセット、画像記録方法、及び、画像記録物 - Google Patents

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Abstract

隠蔽性及び非浸透性基材に対する密着性に優れる画像を記録できるインクセット、画像記録方法、並びに画像記録物を提供する。インクセットは、pHが4.5以下又は9.5以上である処理液と、pHが4.5以下又は9.5以上の環境下で気体を発生する化合物A、樹脂、水、及び白色顔料を含有し、pHが4.5超9.5未満であるインクと、を備え、インクにおける、化合物Aの含有質量に対する白色顔料の含有質量の比が、1以上160以下である。

Description

インクセット、画像記録方法、及び、画像記録物
 本開示は、インクセット、画像記録方法、及び、画像記録物に関する。
 従来より、白色顔料を含有する白色のインクが知られている。
 例えば、特許文献1には、酸化チタンを顔料とした低粘度かつ保存安定性、顔料沈降性に優れたインクジェット用水性白インキとして、少なくとも、酸化チタンと顔料分散樹脂と有機溶剤と水とを含有するインクジェット用水性白インキであって、上記顔料分散樹脂として少なくともα-オレフィンとマレイン酸及び/又は無水マレイン酸とを共重合させた樹脂を使用することを特徴とするインクジェット用水性白インキが記載されている。
 また、特許文献2には、十分な白色度を有する記録をすることができる上、従来に比べてさらに分散安定性に優れたインクジェット用白インクとして、実質的に白色金属酸化物のみからなる中空粒子を、着色材として含むことを特徴とするインクジェット用白インクが開示されている。この特許文献1には、白色金属酸化物としては、酸化チタン、酸化亜鉛、および酸化アンチモンからなる群より選ばれた少なくとも1種が好ましいことも開示されている。
 また、特許文献3には、非吸収性被記録媒体又は低吸収性被記録媒体上に複数のインクを重ねて記録した場合に、それらのインク間でのブリードが防止でき、かつ目詰りしにくいインクセットとして、凝集剤を含む反応液と、色材を含む第1インクと、色材を含む第2インクと、を備え、非吸収性被記録媒体又は低吸収性被記録媒体への記録に用いるものであり、上記被記録媒体に、上記反応液、上記第1インク、及び上記第2インクを、この順に重ねて付与され用いられるものであるインクセットが開示されている。この特許文献2には、第1インク及び第2インクの少なくとも一方が、カラー色材を含むカラーインク又はブラック色材を含むブラックインクであり、第1インク及び第2インクの他方が、白色顔料を含む白インクである態様が開示されている。
特開2014-210837号公報 特開2013-23676号公報 特開2015-71738号公報
 白色顔料を含むインクによって記録される画像に対し、光の透過性が低いこと(「隠蔽性」ともいう。)が求められる場合がある。
 例えば着色された基材の表面上に画像を記録する場合、上記画像の隠蔽性が高いことにより、上記画像を透過して基材の色が視認されてしまうことが抑制されると考えられる。
 また、透明な基材の表面上に画像を記録する場合、上記画像の隠蔽性が高いことにより、上記透明な基材及び上記画像を光が透過することによる、画像の視認性の低下が抑制されると考えられる。
 また、白色無機顔料粒子を含むインクジェットインクを用いて記録された上記画像を、更に他の有色画像の下に記録される下地として用いることも知られている。
 上記下地として、隠蔽性が高い画像を用いることにより、上述のように、基材の色が見えてしまうこと、又は、上記基材及び上記画像を光が透過してしまうことが抑制されるため、有色画像の視認性が向上されると考えられる。
 本発明者等の検討により、基材上に処理液を付与し、基材の処理液が付与された面上に、インクを付与して画像を記録するにあたり、処理液として、pHが4.5以下又は9.5以上である処理液を用い、インクとして、pHが4.5以下又は9.5以上の環境下で気体を発生する化合物A、樹脂、水、及び白色顔料を含有し、pHが4.5超9.5未満であるインクを用いることにより、隠蔽性に優れた画像を記録できることが判明した。
 しかし、本発明者等の更なる検討により、上記のようにして記録された画像では、基材に対する画像の密着性が低下する場合があることも判明した。
 本開示の課題は、隠蔽性及び基材に対する密着性に優れる画像を記録できるインクセット、このインクセットを用いた画像記録方法、並びに、非浸透性基材と隠蔽性及び非浸透性基材に対する密着性に優れる画像とを備える画像記録物を提供することである。
 課題を解決するための具体的手段には、以下の態様が含まれる。
<1> pHが4.5以下又は9.5以上である処理液と、
 pHが4.5以下又は9.5以上の環境下で気体を発生する化合物A、樹脂、水、及び白色顔料を含有し、pHが4.5超9.5未満であるインクと、を備え、
 インクにおける、化合物Aの含有質量に対する白色顔料の含有質量の比が、1以上160以下であるインクセット。
<2> 処理液のpHとインクのpHとの差の絶対値が、3以上である<1>に記載のインクセット。
<3> インクにおける、化合物Aの含有質量に対する樹脂の含有質量の比が、0.3以上100以下である<1>又は<2>に記載のインクセット。
<4> インクにおける、化合物Aの含有質量に対する白色顔料及び樹脂の合計含有質量の比が、3以上250以下である<1>~<3>のいずれか1つに記載のインクセット。
<5> 化合物Aが、尿素である<1>~<4>のいずれか1つに記載のインクセット。
<6> インク中における白色顔料の含有量が、インクの全量に対し、5質量%~20質量%である<1>~<5>のいずれか1つに記載のインクセット。
<7> 白色顔料が、二酸化チタン粒子を含む<1>~<6>のいずれか1つに記載のインクセット。
<8> インクが、白色インクである<1>~<7>のいずれか1つに記載のインクセット。
<9> インクの全量に対する樹脂の含有量が、1質量%~10質量%であり、
 インクの全量に対する化合物Aの含有量が、0.1質量%~10質量%である<1>~<8>のいずれか1つに記載のインクセット。
<10> 樹脂が、樹脂粒子を含む<1>~<9>のいずれか1つに記載のインクセット。
<11> 樹脂粒子のガラス転移温度が、40℃以上である<10>に記載のインクセット。
<12> インクが、インクジェットインクである<1>~<11>のいずれか1つに記載のインクセット。
<13> 処理液が、有機酸、多価金属化合物、金属錯体、及び水溶性カチオンポリマーからなる群から選ばれる少なくとも1種である凝集剤を含有する<1>~<12>のいずれか1つに記載のインクセット。
<14> 非浸透性基材に対する画像の記録に用いられる<1>~<13>のいずれか1つに記載のインクセット。
<15> <1>~<14>のいずれか1つに記載のインクセットが用いられ、
 非浸透性基材上に、処理液を付与する工程と、
 非浸透性基材の処理液が付与された面上に、インクを付与して画像を記録する工程と、を有する画像記録方法。
<16> 処理液を付与する工程における単位面積当たりの処理液の付与量をXg/mとし、画像を記録する工程における単位面積当たりのインクの付与量をYg/mとした場合に、Y/X比が、3以上25以下である<15>に記載の画像記録方法。
<17> 非浸透性基材と、
 非浸透性基材上に配置され、樹脂及び白色顔料を含む画像と、を備え、
 画像における空隙率が1%以上30%以下である画像記録物。
 本開示によれば、隠蔽性及び基材に対する密着性に優れる画像を記録できるインクセット、このインクセットを用いた画像記録方法、並びに、非浸透性基材と隠蔽性及び非浸透性基材に対する密着性に優れる画像とを備える画像記録物が提供される。
画像記録の実施に用いるインクジェット記録装置の構成例を示す概略構成図である。 実施例における画像の隠蔽性の評価に用いた黒文字画像である。
 本開示において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
 本開示に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。
 本開示に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
 本開示において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する上記複数の物質の合計量を意味する。
 本開示において、「画像の記録」とは、インク及び必要に応じて処理液を用い、基材上に画像を描き、描いた画像を定着させることを意味する。「画像」とは、インクにより記録される像であればよく、文字、ベタ膜等を含むものとする。
 本開示において、「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
 本開示において、「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルの少なくとも一方を意味し、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートの少なくとも一方を意味する。
〔インクセット〕
 本開示のインクセットは、pHが4.5以下又は9.5以上である処理液と、pHが4.5以下又は9.5以上の環境下で気体を発生する化合物A、樹脂、水、及び白色顔料を含有し、pHが4.5超9.5未満であるインクと、を備え、インクにおける、化合物Aの含有質量に対する白色顔料の含有質量の比(以下、「含有質量比〔白色顔料/化合物A〕」又は単に「白色顔料/化合物A」ともいう)が、1以上160以下であるインクセットである。
 本開示のインクセットによれば、隠蔽性及び非浸透性基材に対する密着性に優れる画像を記録できる。
 かかる効果が奏される理由は、以下のように推測される。
 本発明者等の検討により、非浸透性基材上に処理液を付与し、非浸透性基材の処理液が付与された面上に、インクを付与して画像を記録するにあたり、処理液として、pHが4.5以下又は9.5以上である処理液を用い、インクとして、pHが4.5以下又は9.5以上の環境下で気体を発生する化合物A、樹脂、水、及び白色顔料を含有し、pHが4.5超9.5未満であるインクを用いることにより、隠蔽性に優れた画像を記録できることが判明した。この理由は、以下のように推測される。
 画像が記録される過程で、上記処理液と上記化合物Aとが接触することにより、気体が発生し、その結果、記録される画像中に適度な空隙が形成されると考えられる。記録される画像が上記空隙を含むことと、画像中に含まれる白色顔料の白さと、が相まって、画像の隠蔽性が向上すると考えられる。この隠蔽性向上の効果は、含有質量比〔白色顔料/化合物A〕が160以下であることによって発揮される。
 本発明者等の更なる検討により、上記のようにして記録された画像では、非浸透性基材に対する画像の密着性(以下、単に「密着性」ともいう)が低下する場合があることも判明した。
 この密着性低下は、画像中の上記空隙が過多となった場合に生じると考えられる。
 本開示のインクセットでは、インクにおける含有質量比〔白色顔料/化合物A〕が1以上であることにより、画像の密着性の低下が抑制される。この理由は、画像中の空隙が過多となることを抑制できるためと考えられる。
 本開示のインクセットにおいて、pHが4.5以下又は9.5以上である処理液(以下、「特定処理液」ともいう)とは、pH4.5以下及びpH9.5以上のいずれか一方を満足する処理液を意味する。
 本開示のインクセットは、特定処理液を、1種のみ備えていてもよいし、2種以上備えていてもよい。
 例えば、本開示のインクセットは、pHが4.5以下である処理液の1種以上と、pHが9.5以下である処理液の1種以上と、を備えていてもよい。
 本開示のインクセットは、pHが4.5以下又は9.5以上の環境下で気体を発生する化合物A、樹脂、水、及び白色顔料を含有し、pHが4.5超9.5未満であるインク(以下、「特定インク」ともいう)を、1種のみ備えていてもよいし、2種以上備えていてもよい。
 特定インクの色は、白色顔料を含むインクによって呈される色であれば特に制限はない。
 特定インクの色としては、白色、グレー、白色がかった有彩色(例えば、ライトシアン、ライトマゼンタ、ライトイエロー、ライトブルー、ピンク、等)が挙げられる。
 グレーのインクとしては、白色顔料と黒色色材とを含有する態様の特定インクが挙げられる。
 白色がかった有彩色のインクとしては、白色顔料と有彩色の色材(シアン色材、マゼンタ色材、イエロー色材、等)とを含有する態様の特定インクが挙げられる。
 隠蔽性向上の効果がより効果的に発揮される観点から、特定インクは、白色インクであることが好ましい。
 ここでいう白色インクとは、JIS Z 8721:1993に規定される明度が9以上であるインクを意味する。
 また、本開示のインクセットは、特定インク及び特定処理液以外の液体を備えていてもよい。
 特定インク及び特定処理液以外の液体としては、特定インク以外のインクが好適である。
 特定インク以外のインクとしては、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ブラックインク等の、白色インク以外のインク(即ち、有彩色のインク及び/又は黒色のインク)が好適であり、有彩色のインクジェットインク及び/又は黒色のインクジェットインクがより好適である。
 本開示のインクセットにおける特定インクとしては特に制限はないが、画像記録の効率の観点等から、好ましくはインクジェットインクである。
 即ち、本開示のインクセットにおける特定インクがインクジェットインクである場合には、インクジェット記録装置での使用が可能となる。これにより、有彩色のインクジェットインク及び/又は黒色のインクジェットインクによる精細な画像と、本開示のインクセットによる隠蔽性及び密着性に優れた画像と、を組み合わせた複合画像を、効率的に記録できる。上記複合画像を、単一のインクジェット記録装置を用いて記録することもでき、この場合には、上記複合画像を更に効率的に記録できる。
 インクジェットインクは、粘度が20cP以下であることが好ましい。
 また、本開示のインクセットは、紙基材、樹脂基材等のあらゆる基材(即ち、記録媒体)に対する画像の記録に用いることができる。
 一般に、非浸透性基材(例えば樹脂基材)に対する画像の記録では、インクが基材に浸透しにくいことから、浸透性基材に対する画像の記録の場合と比較して、画像と基材との密着性が得られにくい傾向がある。
 しかし、基材との密着性に優れた画像を記録できる本開示のインクセットによれば、基材として非浸透性基材を用いた場合にも、非浸透性基材との密着性に優れた画像が得られる。
 従って、本開示のインクセットは、非浸透性基材に対する画像の記録に用いられることが好ましい。
 非浸透性基材の好ましい態様については後述する。
<特定インク>
 本開示のインクセットは、特定インク(即ち、pHが4.5以下又は9.5以上の環境下で気体を発生する化合物A、樹脂、水、及び白色顔料を含有し、pHが4.5超9.5未満であるインク)を少なくとも1種備える。
(pHが4.5以下又は9.5以上の環境下で気体を発生する化合物A)
 特定インクは、pHが4.5以下又は9.5以上の環境下で気体を発生する化合物Aを少なくとも1種含有する。
 ここで、「pHが4.5以下又は9.5以上の環境下で気体を発生する」とは、pH4.5以下の環境下で気体を発生すること、及び、pH9.5以上の環境下で環境下で気体を発生することの少なくとも一方を満足することを意味する。
 化合物Aとしては、pHが4.5以下又は9.5以上の環境下で気体を発生する化合物であること以外には特に制限はないが、例えば、尿素、炭酸カルシウム等の炭酸塩、酢酸ナトリウム等のカルボン酸塩、塩化アンモニウム等のアンモニウム塩、等が挙げられる。化合物Aは、pHが4.5超9.5未満の環境下では気体を発生しないことが好ましい。
 化合物Aとしては、尿素が特に好ましい。 
 特定インクの全量に対する化合物Aの含有量は、含有質量比〔白色顔料/化合物A〕が1以上160以下となる範囲であればよく、特に制限はない。
 特定インクの全量に対する化合物Aの含有量は、好ましくは0.06質量%~10質量%であり、より好ましくは0.1質量%~10質量%である。
 特定インクの全量に対する化合物Aの含有量が0.06質量%以上である場合には、画像の隠蔽性がより向上する。画像の隠蔽性をより向上させる観点から、特定インクの全量に対する化合物Aの含有量は、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.2質量%以上であり、更に好ましくは0.5質量%以上である。
 特定インクの全量に対する化合物Aの含有量が10質量%以下である場合には、画像の密着性がより向上する。画像の密着性をより向上させる観点から、特定インクの全量に対する化合物Aの含有量は、好ましくは4質量%以下であり、より好ましくは2質量%以下である。
(樹脂)
 特定インクは、樹脂を少なくとも1種含有する。
 ここでいう樹脂は、特定インクに含有される全ての樹脂成分を意味する。
 特定インクに含有される樹脂の具体的な形態としては、樹脂からなる粒子である樹脂粒子;顔料の少なくとも一部を被覆して顔料を分散させるための樹脂分散剤;等が挙げられる。
 特定インクに含有される樹脂は、樹脂粒子を少なくとも1種含むことが好ましい。
 特定インクに含有される樹脂が樹脂粒子を含む場合には、画像の密着性がより向上する。また、特定インクをインクジェットインクとして用いた場合の吐出安定性も向上する。
-樹脂粒子-
 樹脂粒子は、中実形状であることが好ましい。
 本開示において、中実形状とは中空形状の対義語として用いられる用語である。
 具体的には、樹脂粒子の空隙率は、10%未満であることが好ましく、5%以下であることがより好ましい。
 なお、樹脂粒子が空隙を有する場合、上記空隙率は下記式により求めることができる。樹脂粒子が空隙を有しない場合、空隙率は0%とする。
 空隙率(%)=(樹脂粒子の空隙の半径/樹脂粒子の半径)×100
 また、樹脂粒子に空隙が一つではなく複数個ある場合には、
 空隙率(%)=Σ(樹脂粒子の空隙の半径)/(樹脂粒子の半径(粒径の1/2)×100、より求められる。
 上記樹脂粒子の半径及び樹脂粒子の空隙の半径は、透過型電子顕微鏡により樹脂粒子を観察することにより求められる。100個の樹脂粒子において求められた空隙率の算術平均値を樹脂粒子の空隙率とする。
 樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)には特に制限はない。
 画像の密着性をより向上させる観点から、樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは0℃以上であり、より好ましくは40℃以上であり、更に好ましくは80℃以上であり、更に好ましくは120℃以上であり、更に好ましくは140℃以上である。
 樹脂粒子のTgの上限は特に限定されないが、樹脂粒子のTgは、好ましくは300℃以下であり、より好ましくは200℃以下であり、更に好ましくは180℃以下である。
 本開示において、ガラス転移温度(Tg)としては、実測によって得られる測定Tgを適用する。
 具体的には、測定Tgとしては、(株)日立ハイテクサイエンス製の示差走査熱量計(DSC)EXSTAR6220を用いて通常の測定条件で測定された値を意味する。但し、樹脂の分解等により測定が困難な場合には、下記の計算式で算出される計算Tgを適用する。計算Tgは下記の式(1)で計算されるものである。
  1/Tg=Σ(Xi/Tgi)・・・(1)
 ここで、計算対象となる樹脂はi=1からnまでのn種のモノマー成分が共重合しているとする。Xiはi番目のモノマーの重量分率(ΣXi=1)、Tgiはi番目のモノマーの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度)である。但し、Σはi=1からnまでの和をとる。なお、各モノマーの単独重合体ガラス転移温度の値(Tgi)は、Polymer Handbook (3rd Edition) (J.Brandrup, E.H.Immergut著(Wiley-Interscience、1989))の値を採用する。上記文献に記載されていないモノマーの単独重合体ガラス転移温度の値は、モノマーの単独重合体を作製したのちに上述の測定方法により測定Tgとして得られる。この際、単独重合体の重量平均分子量を10,000以上とすることにより、重量平均分子量による重合体のTgに対する影響を無視することができる。
 樹脂粒子のガラス転移温度は、通常用いられる方法によって適宜制御することができる。例えば、樹脂粒子を構成するモノマー(重合性化合物)の種類、その構成比率、樹脂粒子を構成する樹脂の分子量等を適宜選択することで、樹脂粒子のガラス転移温度を所望の範囲に制御することができる。
 樹脂粒子における樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリビニル樹脂(例:塩化ビニル、酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、又はポリビニルブチラール等)、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂(例:フタル酸樹脂等)、アミノ材料(例:メラミン樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、アミノアルキド共縮合樹脂、ユリア樹脂、尿素樹脂等)などが挙げられる。
 樹脂粒子としては、アクリル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、又は、ポリオレフィン樹脂の粒子が好ましく、アクリル樹脂の粒子が更に好ましい。
 なお、本開示において、アクリル樹脂とは、(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリレート化合物に由来する構成単位を含む樹脂を意味する。アクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリレート化合物に由来する構成単位以外の構成単位を含んでいてもよい。
 また、樹脂粒子を形成する樹脂は、上記に例示された樹脂を構成する構成単位を2種以上含む共重合体であってもよく、2種以上の樹脂の混合物であってもよい。また、樹脂粒子自体が2種以上の樹脂の混合物からなるもののみならず、2種以上の樹脂が例えば、コア/シェルのように積層されてなる複合樹脂粒子であってもよい。
 樹脂粒子としては、転相乳化法により得られた樹脂粒子であることが好ましく、自己分散性樹脂の粒子(自己分散性樹脂粒子)がより好ましい。
 ここで、自己分散性樹脂とは、界面活性剤の不存在下、転相乳化法により分散状態としたとき、樹脂自身が有する官能基(特に、カルボキシ基等の酸性基又はその塩)によって、水性媒体中で分散状態となり得る水不溶性樹脂をいう。
 ここで、分散状態とは、水性媒体中に水不溶性樹脂が液体状態で分散された乳化状態(エマルション)、及び、水性媒体中に水不溶性樹脂が固体状態で分散された分散状態(サスペンジョン)の両方の状態を含むものである。
 また、「水不溶性」とは、水100質量部(25℃)に対する溶解量が5.0質量部未満(好ましくは1.0質量部未満)であることを指す。
 転相乳化法としては、例えば、樹脂を溶媒(例えば、水溶性溶剤等)中に溶解又は分散させた後、界面活性剤を添加せずにそのまま水中に投入し、樹脂が有する塩生成基(例えば、カルボキシ基などの酸性基)を中和した状態で、撹拌、混合し、溶媒を除去した後、乳化又は分散状態となった水性分散物を得る方法が挙げられる。
 自己分散性樹脂粒子としては、特開2010-64480号公報の段落0090~0121又は特開2011-068085号公報の段落0130~0167に記載されている自己分散性樹脂粒子の中から選択して用いることができる。
 自己分散性樹脂粒子としては、カルボキシ基を有する自己分散性樹脂粒子が好ましい。
 カルボキシ基を有する自己分散性樹脂粒子のより好ましい形態は、不飽和カルボン酸(好ましくは(メタ)アクリル酸)に由来する構成単位を含む樹脂からなる形態である。
 カルボキシ基を有する自己分散性樹脂粒子の更に好ましい形態は、
 脂環族基を有する構成単位と、
 アルキル基を有する構成単位と、
 不飽和カルボン酸(好ましくは(メタ)アクリル酸)に由来する構成単位と、
 を含む樹脂からなる形態である。
 上記樹脂中における、脂環族基を有する構成単位の含有量(2種以上存在する場合には総含有量)は、樹脂の全量に対し、3質量%~95質量%が好ましく、5質量%~75質量%がより好ましく、10質量%~50質量%が更に好ましい。
 上記樹脂中における、アルキル基を有する構成単位の含有量(2種以上存在する場合には総含有量)は、樹脂の全量に対し、5質量%~90質量%が好ましく、10質量%~85質量%がより好ましく、20質量%~80質量%が更に好ましく、30質量%~75質量%が更に好ましく、40質量%~75質量%が更に好ましい。
 上記樹脂中における不飽和カルボン酸(好ましくは(メタ)アクリル酸)に由来する構成単位の含有量(2種以上存在する場合には総含有量)は、樹脂の全量に対し、2質量%~30質量%が好ましく、5質量%~20質量%がより好ましく、5質量%~15質量%が更に好ましい。
 また、カルボキシ基を有する自己分散性樹脂粒子の形態としては、上述した「カルボキシ基を有する自己分散性樹脂粒子の更に好ましい形態」において、脂環族基を有する構成単位を、芳香族基を有する構成単位に変更した形態、又は、脂環族基を有する構成単位に加えて芳香族基を有する構成単位を含む形態も好ましい。
 いずれの形態においても、脂環族基を有する構成単位及び芳香族基を有する構成単位の総含有量は、樹脂の全量に対し、3質量%~95質量%が好ましく、5質量%~75質量%がより好ましく、10質量%~50質量%が更に好ましい。
 上記脂環族基を有する構成単位は、脂環式(メタ)アクリレートに由来する構成単位であることが好ましい。
 脂環式(メタ)アクリレートとしては、単環式(メタ)アクリレート、2環式(メタ)アクリレート、及び3環式(メタ)アクリレートが挙げられる。
 単環式(メタ)アクリレートとしては、シクロプロピル(メタ)アクリレート、シクロブチル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、シクロノニル(メタ)アクリレート、シクロデシル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル基の炭素原子数が3~10のシクロアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
 2環式(メタ)アクリレートとしては、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
 3環式(メタ)アクリレートとしては、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
 これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
 これらのうち、定着性、耐ブロッキング性、及び自己分散性樹脂粒子の分散安定性の観点から、2環式(メタ)アクリレート又は3環式以上の多環式(メタ)アクリレートが好ましく、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、又はジシクロペンタニル(メタ)アクリレートがより好ましい。
 芳香族基を有する構成単位は、芳香族基含有モノマーに由来する構成単位であることが好ましい。
 芳香族基含有モノマーとしては、例えば、芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマー(例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、等)、スチレン化合物等が挙げられる。
 中でも、樹脂鎖の親水性と疎水性のバランスとインク定着性の観点から、芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマーが好ましく、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、又はフェニル(メタ)アクリレートがより好ましく、フェノキシエチル(メタ)アクリレート又はベンジル(メタ)アクリレートが更に好ましい。
 アルキル基を有する構成単位は、アルキル基含有モノマーに由来する構成単位であることが好ましい。
 アルキル基含有モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するエチレン性不飽和モノマー;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、Nーヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド等のN-ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド;N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-(n-,イソ)ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-エトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-(n-、イソ)ブトキシエチル(メタ)アクリルアミド等のN-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
 中でも、アルキル(メタ)アクリレートが好ましく、アルキル基の炭素数が1~4であるアルキル(メタ)アクリレートがより好ましく、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、又はブチル(メタ)アクリレートが更に好ましく、メチル(メタ)アクリレートが更に好ましい。
 樹脂粒子(好ましくは自己分散性樹脂粒子。以下同じ。)を構成する樹脂の重量平均分子量は、3000~20万であることが好ましく、5000~15万であることがより好ましく、10000~10万であることが更に好ましい。
 重量平均分子量が3000以上であると、水溶性成分量を効果的に抑制することができる。また、重量平均分子量を20万以下とすることで、自己分散安定性を高めることができる。
 樹脂粒子を構成する樹脂の重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフ(GPC)によって測定された値を意味する。
 ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定は、測定装置として、HLC(登録商標)-8020GPC(東ソー(株))を用い、カラムとして、TSKgel(登録商標)Super Multipore HZ-H(4.6mmID×15cm、東ソー(株))を3本用い、溶離液として、THF(テトラヒドロフラン)を用いる。また、測定条件としては、試料濃度を0.45質量%、流速を0.35ml/min、サンプル注入量を10μl、及び測定温度を40℃とし、示差屈折率(RI)検出器を用いて行う。
 検量線は、東ソー(株)の「標準試料TSK standard,polystyrene」:「F-40」、「F-20」、「F-4」、「F-1」、「A-5000」、「A-2500」、「A-1000」、及び「n-プロピルベンゼン」の8サンプルから作製する。
 樹脂粒子を構成する樹脂は、自己分散性、及び処理液が接触した場合の凝集速度の観点から、酸価が100mgKOH/g以下の樹脂であることが好ましく、酸価は25mgKOH/g~100mgKOH/gの樹脂がより好ましい。
 樹脂粒子の体積平均粒径は、1nm~200nmの範囲が好ましく、1nm~150nmの範囲がより好ましく、1nm~100nmの範囲が更に好ましく、特に好ましくは1nm~10nmの範囲である。体積平均粒径が1nm以上であると製造適性が向上する。また、体積平均粒径が200nm以下であると保存安定性が向上する。また、樹脂粒子Aの粒径分布に関しては、特に制限はなく、広い粒径分布を持つもの又は単分散の粒径分布を持つもののいずれでもよい。
 樹脂粒子の体積平均粒径は、光散乱を用いた粒度分布測定装置(例えば、日機装(株)製のマイクロトラックUPA(登録商標) EX150)によって測定される。
 隠蔽性を向上する観点から、樹脂粒子の屈折率は、1.0~1.7が好ましい。
 樹脂粒子は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
 樹脂粒子(好ましくは自己分散性樹脂粒子)のインク中における含有量(2種以上である場合には総含有量)には特に制限はないが、インクの全量に対し、0.5質量%~11質量%が好ましく、0.5質量%~9質量%がより好ましく、2質量%~9質量%が更に好ましく、2質量%~7質量%が更に好ましい。
 上記含有量が0.5質量%以上であると、画像の密着性がより向上する。
 上記含有量が11質量%以下であると、インクの分散安定性をより向上させることができる。このため、例えば、インクをインクジェットインクとして用いた場合には、インクジェットヘッドからの吐出安定性(以下、単に「吐出安定性」ともいう)をより向上させることができる。
 以下に、樹脂粒子の具体例を挙げるが、本開示はこれらに限定されるものではない。なお、括弧内は共重合成分の質量比を表す。
・メチルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート/メタクリル酸/メタクリル酸ナトリウム共重合体(70/20/5/5)、Tg:150℃
・Joncryl(登録商標) JDX-C3080(ジョンソンポリマー社製)、Tg:130℃
・トレパール(登録商標)EP、東レ(株)製、Tg:190℃
・トレパール(登録商標)PES、東レ(株)製、Tg:225℃
-樹脂分散剤-
 特定インクは、樹脂として、顔料の少なくとも一部を被覆して顔料を分散させるための樹脂分散剤を含有してもよい。
 ここでいう顔料は、後述する白色顔料に代表される、特定インク中に含有される顔料を意味する。
 樹脂分散剤としては、アクリル樹脂が好ましい。
 樹脂分散剤としては、例えば、特開2016-145312号公報の段落0080~0096に記載の分散剤が好ましく挙げられる。
 特定インクに含有される全ての顔料の含有量に対する分散剤の含有量は、3質量%~20質量%であることが好ましく、4質量%~18質量%であることがより好ましく、5質量%~15質量%であることが更に好ましい。
 また、特定インクの全量に対する分散剤の含有量(後述するz質量%)は、0.1質量%~2.4質量%であることが好ましく、0.5質量%~2.0質量%であることがより好ましく、0.8質量%~1.5質量%であることが更に好ましい。
-樹脂の好ましい含有量-
 特定インク中における樹脂(例えば、樹脂粒子及び樹脂分散剤)の含有量(例えば、樹脂粒子及び樹脂分散剤の総含有量)は、特定インクの全量に対し、1質量%~12質量%が好ましく、1質量%~10質量%がより好ましく、3質量%~10質量%が更に好ましく、3質量%~8質量%が更に好ましい。
 また、特定インクにおける、化合物Aの含有質量に対する樹脂(例えば、樹脂粒子及び樹脂分散剤)の含有質量の比(以下、「含有質量比〔樹脂/化合物A〕」又は「樹脂全体/化合物A」ともいう)は、好ましくは0.1以上120以下であり、より好ましくは0.2以上100以下であり、更に好ましくは0.3以上100以下である。
 含有質量比〔樹脂/化合物A〕が0.1以上である場合には、画像の密着性がより向上する。画像の密着性を更に向上させる観点から、含有質量比〔樹脂/化合物A〕は、より好ましくは0.2以上であり、更に好ましくは0.3以上であり、更に好ましくは0.5以上であり、更に好ましくは1以上であり、更に好ましくは2以上であり、更に好ましくは3以上である。
 含有質量比〔樹脂/化合物A〕が120以下である場合には、画像の隠蔽性がより向上する。画像の隠蔽性を更に向上させる観点から、含有質量比〔樹脂/化合物A〕は、より好ましくは100以下であり、更に好ましくは50以下であり、更に好ましくは20以下である。
(白色顔料)
 特定インクは、白色顔料を少なくとも1種含有する。
 白色顔料としては、特に限定されず公知の白色顔料が用いられるが、例えば、二酸化チタン粒子(TiO)、酸化亜鉛粒子、硫酸バリウム粒子、酸化珪素粒子、酸化アルミニウム粒子、酸化マグネシウム粒子、カルシウムシリケート粒子、炭酸カルシウム粒子、カオリン粒子、タルク粒子、コロイダルシリカ粒子等の無機顔料粒子が挙げられる。また、白色顔料としては、中空の樹脂粒子も挙げられる。
 白色顔料は、画像の隠蔽性の観点から、二酸化チタン粒子を含むことが特に好ましい。
 二酸化チタン粒子は、屈折率が大きい粒子であるため、白色顔料が二酸化チタン粒子を含む場合には、画像の隠蔽性がより向上する。
 二酸化チタン粒子としては、アナターゼ型二酸化チタン粒子、ルチル型二酸化チタン粒子、ブルッカイト型二酸化チタン粒子等が挙げられるが、屈折率の観点から、ルチル型二酸化チタン粒子が好ましい。また、ルチル型二酸化チタン粒子は、アナターゼ型二酸化チタン粒子及びブルッカイト型二酸化チタン粒子と比較して、光触媒作用が弱いため、特定インク中の樹脂、樹脂基材等への影響が小さいという利点もある。
 白色顔料が二酸化チタン粒子を含む場合、白色顔料は、二酸化チタン粒子以外の白色顔料(例えば無機顔料粒子)を含んでいてもよい。
 白色顔料が二酸化チタン粒子を含む場合、白色顔料全量に占める二酸化チタン粒子の割合は、20質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。白色顔料全量に占める二酸化チタン粒子の割合の上限は特に限定されず、100質量%以下であればよい。
 白色顔料の平均一次粒径としては、画像の隠蔽性をより向上させる観点から、100nm以上が好ましく、150nm以上がより好ましく、200nm以上が更に好ましい。
 また、白色顔料の平均一次粒径としては、インクの分散安定性(例えば、インクをインクジェットインクとして用いた場合の吐出安定性)の観点から、400nm以下であることが好ましく、300nm以下であることがより好ましい。
 本開示における白色顔料の平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて測定される値である。測定には、日本電子株式会社製の透過型電子顕微鏡1200EXを用いることができる。
 具体的には、カーボン膜を貼り付けたCu200メッシュ(日本電子(株)製)に、1,000倍に希釈したインクを滴下し乾燥させた後、TEMで10万倍に拡大した画像から、重なっていない独立した粒子300個の円相当径を測定し、測定値を平均して平均粒径として求める。
 また、画像の隠蔽性の観点から、白色顔料の屈折率は、2.0以上が好ましい。
 本開示において「屈折率」は、特に断りが無い限り、温度23℃において波長550nmの可視光で、エリプソメトリーによって測定した値を意味する。
 特定インク中における白色顔料の含有量は、特定インクの全量に対し、1質量%~20質量%であることが好ましく、3質量%~20質量%であることがより好ましく、5質量%~20質量%であることが更に好ましく、6質量%~20質量%であることが更に好ましく、7質量%~15質量%であることが更に好ましい。
 特定インク中における白色顔料の含有量が、特定インクの全量に対して1質量%以上である場合には、画像の隠蔽性がより向上する。
 特定インク中における白色顔料の含有量が、特定インクの全量に対して20質量%以下である場合には、画像の密着性がより向上する。
 前述のとおり、特定インクにおいて、含有質量比〔白色顔料/化合物A〕(即ち、化合物Aの含有質量に対する白色顔料の含有質量の比)は、1以上160以下である。
 画像の密着性をより向上させる観点から、含有質量比〔白色顔料/化合物A〕は、2以上が好ましく、3以上であることがより好ましい。
 画像の隠蔽性をより向上させる観点から、含有質量比〔白色顔料/化合物A〕は、100以下であることがより好ましく、50以下であることが更に好ましく、20以下であることが更に好ましい。
 特定インクにおける、化合物Aの含有質量に対する白色顔料及び樹脂の合計含有質量の比(以下、「含有質量比〔(白色顔料及び樹脂)/化合物A〕」又は「(白色顔料+樹脂全体)/化合物A」ともいう)は、好ましくは3以上250以下である。
 含有質量比〔(白色顔料及び樹脂)/化合物A〕が3以上である場合、画像の密着性がより向上する。画像の密着性を更に向上させる観点から、含有質量比〔(白色顔料及び樹脂)/化合物A〕は、より好ましくは6以上であり、更に好ましくは7以上である。
 含有質量比〔(白色顔料及び樹脂)/化合物A〕が250以下である場合、画像の隠蔽性がより向上する。画像の隠蔽性を更に向上させる観点から、含有質量比〔(白色顔料及び樹脂)/化合物A〕は、より好ましくは240以下であり、更に好ましくは100以下であり、更に好ましくは50以下であり、更に好ましくは30以下である。
(他の色材)
 特定インクは、白色顔料以外の他の色材を更に含有してもよい。
 他の色材としては、有機顔料粒子又は無機顔料粒子が挙げられ、特開2011-94112号公報の段落0029~0041に記載の顔料粒子が好ましく挙げられる。
 特定インクに含有される色材全体に占める白色顔料の割合は、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、更に好ましくは90質量%以上である。
 特定インクに含有される色材全体に占める白色顔料の割合は、100質量%であってもよい。
(水)
 特定インクは、水を含有する。
 水の含有量は、特定インクの全量に対して、好ましくは30質量%以上であり、好ましくは40質量%以上であり、更に好ましくは50質量%以上である。
 水の含有量の上限は、他の成分の量にもよる。特定インクの全量に対する水の含有量の上限としては、例えば、90質量%、80質量%等が挙げられる。
(水溶性溶剤)
 特定インクは、水溶性溶剤の少なくとも1種を含有することが好ましい。
 これにより、特定インクの乾燥抑制又は特定インクの湿潤の効果を得ることができる。
 特定インクに含有され得る水溶性溶剤は、例えば、インクジェットヘッドの噴射ノズルのインク吐出口において特定インクが付着乾燥して凝集体ができ、目詰まりするのを防止する乾燥防止剤としても用いられ得る。
 本開示において、「水溶性」とは、25℃の水100gに対して1g以上溶解する性質を意味する。
 本開示における「水溶性」としては、25℃の水100gに対して5g以上(より好ましくは10g以上)溶解する性質が好ましい。
 乾燥抑制及び湿潤の観点から、特定インクに含有される水溶性溶剤としては、水より蒸気圧の低い水溶性溶剤(以下、「乾燥防止剤」ともいう)が好ましい。
 また、水溶性溶剤の1気圧(1013.25hPa)における沸点は、80℃~300℃が好ましく、120℃~250℃がより好ましい。
 乾燥防止剤の具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,2,6-ヘキサントリオール、アセチレングリコール誘導体、グリセリン、トリメチロールプロパン等に代表される多価アルコール類が挙げられる。
 このうち、乾燥防止剤としては、グリセリン、ジエチレングリコール等の多価アルコールが好ましい。
 乾燥防止剤は、1種単独で用いても2種以上併用してもよい。乾燥防止剤の含有量は、特定インクの全量に対し、好ましくは5質量%~50質量%であり、より好ましくは10質量%~40質量%であり、更に好ましくは10質量%~40質量%である。
 水溶性溶剤は、上記以外にもインクの粘度の調整のために用いられてもよい。
 粘度の調整に用いることができる水溶性溶剤の具体例としては、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、t-ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール)、グリコール誘導体(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル)、アミン(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、N-エチルジエタノールアミン、モルホリン、N-エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ポリエチレンイミン、テトラメチルプロピレンジアミン)、及びその他の極性溶媒(例えば、ホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-2-ピロリドン、2-オキサゾリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、アセトニトリル、アセトン)が含まれる。
 この場合、水溶性溶剤は1種単独で用いるほか、2種以上を併用してもよい。
 上述した水溶性溶剤の含有量は、特定インクの全量に対し、好ましくは5質量%~50質量%であり、より好ましくは10質量%~40質量%であり、更に好ましくは10質量%~40質量%である。
(その他の添加剤)
 特定インクは、上記成分以外のその他の成分を含有していてもよい。
 その他の成分としては、例えば、コロイダルシリカ、無機塩、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤、水溶性高分子化合物等の公知の添加剤が挙げられる。
(特定インクのpH)
 特定インクのpHは、4.5超9.5未満である。
 これにより、処理液と接触する前の特定インク中における、化合物A(即ち、pHが4.5以下又は9.5以上の環境下で気体を発生する化合物A)由来の気体の発生が抑制される。
 特定インクのpHは、好ましくは5以上9以下である。
 本開示において、pHは、測定温度25℃の条件でpHメーターを用いて測定されたpHを意味する。
(特定インクの粘度)
 特定インクの粘度は、1mPa・s以上30mPa・s以下が好ましく、1.5mPa・s以上20mPa・s以下がより好ましい。
 本開示において、粘度は、測定温度23℃、せん断速度1,400s-1の条件で、粘度計によって測定された値を意味する。
 粘度計としては、例えば、TV-20形粘度計(東機産業(株)製)を用いることができる。
(特定インクの表面張力)
 特定インクの表面張力は、20mN/m~60mN/mであることが好ましく、20mN/m~45mN/mがより好ましく、25mN/m~40mN/mが更に好ましい。
 本開示において、表面張力は、プレート法により25℃の条件下で測定された値を意味する。
 表面張力を測定するための測定装置としては、例えば、Automatic Surface Tensiometer CBVP-Z(協和界面科学(株)製)を用いることができる。
<特定処理液>
 本開示のインクセットは、特定処理液(即ち、pHが4.5以下又は9.5以上である処理液)を少なくとも1種備える。
 前述のとおり、本開示のインクセットを用い、特定インクと特定処理液とを接触させて画像を記録することにより、画像が記録される過程において、化合物A(即ち、pHが4.5以下又は9.5以上の環境下で気体を発生する化合物A)から気体が発生する。これにより、空隙を有する画像が記録される。画像中の空隙は、画像の隠蔽性向上の効果に寄与する。
 特定処理液のpHと特定インクのpHとの差の絶対値(以下、「pH差の絶対値」ともいう)は、画像の隠蔽性をより向上させる観点から、好ましくは2.5以上であり、より好ましくは3以上である。
 pH差の絶対値の上限は、好ましくは7.5であり、より好ましくは7であり、更に好ましくは6であり、更に好ましくは5である。
 特定処理液のpHが4.5以下又は9.5以上であることは、特定処理液に、後述する成分(凝集剤等)を含有させることによって達成してもよいし、特定処理液に、pH調整剤を含有させることによって達成してもよいし、特定処理液に、pH調整剤と後述する成分(凝集剤等)とを含有させることによって達成してもよい。
 pH調整剤としては特に制限はないが、例えば、無機酸(例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等)、無機塩基(例えば、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アンモニア、アンモニウム塩、等)、有機塩基〔例えば、アルキルアンモニウム水酸化物(例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム等のテトラアルキルアンモニウム水酸化物)、アミン化合物(例えばトリエタノールアミン等のアルカノールアミン)等〕、等が挙げられる。
(凝集剤)
 特定処理液は、好ましくは、有機酸、多価金属化合物、金属錯体、及び水溶性カチオンポリマーからなる群から選ばれる少なくとも1種である凝集剤を含有する。
 凝集剤は、特定インク中の成分(例えば、白色顔料、及び、含有される場合には樹脂粒子)を凝集させる機能を有する。このため、特定処理液が凝集剤を含有する場合には、画像の隠蔽性がより向上する。
-有機酸-
 有機酸としては、酸性基を有する有機化合物が挙げられる。
 酸性基としては、リン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、硫酸基、スルホン酸基、スルフィン酸基、カルボキシ基等を挙げることができる。
 上記酸性基は、インクの凝集速度の観点から、リン酸基又はカルボキシ基であることが好ましく、カルボキシ基であることがより好ましい。
 なお、上記酸性基は、処理液中において、少なくとも一部が解離していることが好ましい。
 カルボキシ基を有する有機化合物としては、ポリアクリル酸、酢酸、蟻酸、安息香酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸(好ましくは、DL-リンゴ酸)、マレイン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、フタル酸、4-メチルフタル酸、乳酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、等が好ましい。これらの化合物は、1種類で使用されてもよく、2種類以上併用されてもよい。
 カルボキシ基を有する有機化合物としては、インクの凝集速度の観点から、2価以上のカルボン酸(以下、多価カルボン酸ともいう。)が好ましい。
 多価カルボン酸としては、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、酒石酸、4-メチルフタル酸、又はクエン酸がより好ましく、マロン酸、リンゴ酸、酒石酸、又はクエン酸が好ましい。
 有機酸は、pKaが低い(例えば、1.0~5.0)ことが好ましい。
 これにより、カルボキシ基等の弱酸性の官能基で分散安定化しているインク中の顔料、ポリマー粒子などの粒子の表面電荷を、よりpKaの低い有機酸性化合物と接触させることにより減じ、分散安定性を低下させることができる。
 有機酸は、pKaが低く、水に対する溶解度が高く、価数が2価以上であることが好ましく、インク中の粒子を分散安定化させている官能基(例えば、カルボキシ基等)のpKaよりも低いpH領域に高い緩衝能を有する2価又は3価の酸性物質であることがより好ましい。
-多価金属化合物-
 多価金属化合物としては、周期表の第2族のアルカリ土類金属(例えば、マグネシウム、カルシウム)、周期表の第3族の遷移金属(例えば、ランタン)、周期表の第13族からのカチオン(例えば、アルミニウム)、ランタニド類(例えば、ネオジム)の塩を挙げることができる。
 これらの金属の塩としては、上述した有機酸の塩、硝酸塩、塩化物、又はチオシアン酸塩が好適である。
 中でも、好ましくは、有機酸(ギ酸、酢酸、安息香酸塩など)のカルシウム塩若しくはマグネシウム塩、硝酸のカルシウム塩若しくはマグネシウム塩、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、又は、チオシアン酸のカルシウム塩若しくはマグネシウム塩である。
 多価金属化合物は、処理液中において、少なくとも一部が多価金属イオンと対イオンとに解離していることが好ましい。
-金属錯体-
 金属錯体としては、金属元素として、ジルコニウム、アルミニウム、及びチタンからなる群から選択される少なくとも1種を含む金属錯体が好ましい。
 金属錯体としては、配位子として、アセテート、アセチルアセトネート、メチルアセトアセテート、エチルアセトアセテート、オクチレングリコレート、ブトキシアセチルアセトネート、ラクテート、ラクテートアンモニウム塩、及びトリエタノールアミネートからなる群から選択される少なくとも1種を含む金属錯体が好ましい。
 金属錯体としては、様々な金属錯体が市販されており、本開示においては、市販の金属錯体を使用してもよい。また、様々な有機配位子、特に金属キレート触媒を形成し得る様々な多座配位子が市販されている。そのため、市販の有機配位子と金属とを組み合わせて調製した金属錯体を使用してもよい。
 金属錯体としては、例えば、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート(例えば、マツモトファインケミカル(株)製「オルガチックスZC-150」)、ジルコニウムモノアセチルアセトネート(例えば、マツモトファインケミカル(株)製「オルガチックスZC-540」)、ジルコニウムビスアセチルアセトネート(例えば、マツモトファインケミカル(株)製「オルガチックスZC-550」)、ジルコニウムモノエチルアセトアセテート(例えば、マツモトファインケミカル(株)製「オルガチックスZC-560」)、ジルコニウムアセテート(例えば、マツモトファインケミカル(株)製「オルガチックスZC-115」)、チタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)(例えば、マツモトファインケミカル(株)製「オルガチックス TC-100」)、チタンテトラアセチルアセトネート(例えば、マツモトファインケミカル(株)製「オルガチックス TC-401」)、チタンジオクチロキシビス(オクチレングリコレート)(例えば、マツモトファインケミカル(株)製「オルガチックス TC-200」)、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート(例えば、マツモトファインケミカル(株)製「オルガチックス  TC-750」)、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート(例えば、マツモトファインケミカル(株)製「オルガチックス ZC-700」)、ジルコニウムトリブトキシモノアセチルアセトネート(例えば、マツモトファインケミカル(株)製「オルガチックス ZC-540」)、ジルコニウムモノブトキシアセチルアセトネート ビス(エチルアセトアセテート)(例えば、マツモトファインケミカル(株)製「オルガチックス ZC-570」))、ジルコニウムジブトキシ ビス(エチルアセトアセテート)(例えば、マツモトファインケミカル(株)製「オルガチックス ZC-580」)、アルミニウムトリスアセチルアセトネート(例えば、マツモトファインケミカル(株)製「オルガチックス AL-80」)、チタンラクテートアンモニウム塩(例えば、マツモトファインケミカル(株)製「オルガチックス TC-300」)、チタンラクテート(例えば、マツモトファインケミカル(株)製「オルガチックス TC-310、315」)、チタントリエタノールアミネート(マツモトファインケミカル(株)製「オルガチックス TC-400」)、塩化ジルコニル化合物(例えば、マツモトファインケミカル(株)製「オルガチックス ZC-126」)が挙げられる。
 これらの中で、チタンラクテートアンモニウム塩(例えば、マツモトファインケミカル(株)製「オルガチックス TC-300」)、チタンラクテート(例えば、マツモトファインケミカル(株)製「オルガチックス TC-310、315」)、チタントリエタノールアミネート(例えば、マツモトファインケミカル(株)製「オルガチックス TC-400」)、塩化ジルコニル化合物(例えば、マツモトファインケミカル(株)製「オルガチックス ZC-126」)が好ましい。
-水溶性カチオン性ポリマー-
 水溶性カチオン性ポリマーとしては、ポリアリルアミン、ポリアリルアミン誘導体、ポリ-2-ヒドロキシプロピルジメチルアンモニウムクロリド、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)、等が挙げられる。
 水溶性カチオン性ポリマーについては、特開2011-042150号公報(特に、段落0156)、特開2007-98610号公報(特に、段落0096~0108)等の公知文献の記載を適宜参照できる。
 水溶性カチオン性ポリマーの市販品としては、シャロール(登録商標)DC-303P、シャロールDC-902P(以上、第一工業製薬(株)製)、カチオマスター(登録商標)PD-7、カチオマスターPD-30(以上、四日市合成(株)製)、ユニセンスFPA100L(センカ(株)製)が挙げられる。
 特定処理液の全量に対する凝集剤の含有量には特に制限はないが、0.1質量%~40質量%であることが好ましく、0.1質量%~30質量%であることがより好ましく、1質量%~20質量%であることが更に好ましく、1質量%~10質量%であることが特に好ましい。
 画像の隠蔽性をより向上させる観点から、凝集剤は、有機酸を含むことが好ましい。
 凝集剤が有機酸を含む場合における、特定処理液全体に対する有機酸の含有量の好ましい範囲も、上述した、特定処理液の全量に対する凝集剤の含有量と同様である。
 凝集剤が有機酸を含む場合、凝集剤の全量中に占める有機酸の割合は、50質量%~100質量%が好ましく、80質量%~100質量%がより好ましく、90質量%~100質量%が更に好ましい。
(水)
 特定処理液は、水を含有することが好ましい。
 水の含有量は、特定処理液の全量に対して、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは60質量%以上である。
 水の含有量の上限は、他の成分の量にもよる。特定処理液の全量に対する水の含有量の上限としては、例えば、90質量%、80質量%等が挙げられる。
(樹脂粒子)
 特定処理液は、樹脂粒子を少なくとも1種含有してもよい。
 特定処理液が樹脂粒子を含有する場合には、画像の密着性がより向上する。
 樹脂粒子のTgは、得られる画像の密着性を更に向上させる観点から、100℃以下が好ましく、75℃以下がより好ましい。
 樹脂粒子に含まれる樹脂としては特に限定はないが、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレア樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。
 樹脂粒子は、ポリエステル樹脂及び/又はアクリル樹脂を含むことが好ましく、ポリエステル樹脂を含むことがより好ましい。
-脂環式構造又は芳香環式構造-
 樹脂粒子に含まれる樹脂は、構造中に脂環式構造又は芳香環式構造を有することが好ましく、芳香環式構造を有することがより好ましい。
 上記脂環式構造としては、炭素数5~10の脂環式炭化水素構造が好ましく、シクロヘキサン環構造、ジシクロペンタニル環構造、ジシクロペンテニル環構造、又は、アダマンタン環構造が好ましい。
 上記芳香環式構造としては、ナフタレン環又はベンゼン環が好ましく、ベンゼン環がより好ましい。
 脂環式構造又は芳香環式構造の量としては、例えば、上記樹脂粒子に含まれる樹脂100gあたり0.01mol~1.5molであることが好ましく、0.1mol~1molであることがより好ましい。
-イオン性基-
 樹脂粒子は水分散性を有することが好ましい。かかる観点から、樹脂粒子に含まれる樹脂は、構造中にイオン性基を有することが好ましい。
 イオン性基としては、アニオン性基であってもカチオン性基であってもよいが、導入の容易性の観点から、アニオン性基が好ましい。
 アニオン性基としては、特に限定されないが、カルボキシ基、又は、スルホ基であることが好ましく、スルホ基であることがより好ましい。
 イオン性基の量としては、例えば上記樹脂粒子に含まれる樹脂100gあたり0.001mol~1.0molであることが好ましく、0.01mol~0.5molであることがより好ましい。
 樹脂粒子の含有量には特に制限はない。
 特定処理液の全量に対する樹脂粒子の含有量は、0.5質量%~30質量%であることが好ましく、1質量%~20質量%であることがより好ましく、1質量%~15質量%であることが特に好ましい。
(水溶性溶剤)
 特定処理液は、水溶性溶剤の少なくとも1種を含むことが好ましい。
 水溶性溶剤としては、公知のものを特に制限なく用いることができる。
 水溶性溶剤としては、例えば、グリセリン、1,2,6-ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、アルカンジオール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール(1,2-プロパンジオール)、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2-ブテン-1,4-ジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、1,2-オクタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-ペンタンジオール、4-メチル-1,2-ペンタンジオール等)、ポリアルキレングリコール(例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール等)などの多価アルコール;ポリアルキレングリコールエーテル(例えば、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、トリエチレングリコールモノアルキルエーテル、トリプロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリオキシプロピレングリセリルエーテル等)などの多価アルコールエーテル;特開2011-42150号公報の段落0116に記載の、糖類、糖アルコール類、ヒアルロン酸類、炭素原子数1~4のアルキルアルコール類、グリコールエーテル類、2-ピロリドン、及びN-メチル-2-ピロリドン;等が挙げられる。
 中でも、成分の転写の抑制の観点から、多価アルコール、又は、多価アルコールエーテルが好ましく、アルカンジオール、ポリアルキレングリコール、又は、ポリアルキレングリコールエーテルがより好ましい。
(界面活性剤)
 特定処理液は、界面活性剤の少なくとも1種を含んでもよい。
 界面活性剤は、表面張力調整剤又は消泡剤として用いることができる。表面張力調整剤又は消泡剤としては、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ベタイン界面活性剤等が挙げられる。中でも、特定インクの凝集速度の観点から、ノニオン性界面活性剤又はアニオン性界面活性剤が好ましい。
 界面活性剤としては、特開昭59-157636号公報の第37~38頁及びリサーチディスクロージャーNo.308119(1989年)に界面活性剤として挙げた化合物も挙げられる。また、特開2003-322926号、特開2004-325707号、特開2004-309806号の各公報に記載のフッ素(フッ化アルキル系)系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等も挙げられる。
 特定処理液が界面活性剤を含む場合、特定処理液における界面活性剤の含有量としては特に制限はないが、特定処理液の表面張力が50mN/m以下となるような含有量であることが好ましく、20mN/m~50mN/mとなるような含有量であることがより好ましく、30mN/m~45mN/mとなるような含有量であることが更に好ましい。
 例えば、特定処理液が消泡剤としての界面活性剤を含む場合、消泡剤としての界面活性剤の含有量は、特定処理液の全量に対し、0.0001質量%~1質量%が好ましく、0.001質量%~0.1質量%がより好ましい。
(その他の成分)
 特定処理液は、必要に応じ、上記以外のその他の成分を含有してもよい。
 特定処理液に含有され得るその他の成分としては、固体湿潤剤、コロイダルシリカ、無機塩、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、粘度調整剤、防錆剤、キレート剤、水溶性カチオン性ポリマー以外の水溶性高分子化合物(例えば、特開2013-001854号公報の段落0026~0080に記載された水溶性高分子化合物)、等の公知の添加剤が挙げられる。
(特定処理液のpH)
 特定処理液のpHは、前述したとおり、4.5以下又は9.5以上である。
 pHが4.5以下である特定処理液のpHは、好ましくは1.0以上4.5以下であり、より好ましくは2.0以上4.5以下であり、更に好ましくは3.0以上4.5以下である。
 pHが9.5以上である特定処理液のpHは、好ましくは9.5以上14.0以下であり、より好ましくは9.5以上13.0以下であり、更に好ましくは9.5以上12.0以下であり、更に好ましくは9.5以上11.0以下である。
 特定処理液のpHの測定条件は、前述した特定インクのpHの測定条件と同様である。
(特定処理液の粘度)
 特定処理液の粘度は、0.5mPa・s~10mPa・sの範囲が好ましく、1mPa・s~5mPa・sの範囲がより好ましい。
 特定処理液の粘度の測定条件は、前述した特定インクの粘度の測定条件と同様である。
(特定処理液の表面張力)
 特定処理液の表面張力は、60mN/m以下であることが好ましく、20mN/m~50mN/mであることがより好ましく、30mN/m~45mN/mであることが更に好ましい。
 特定処理液の表面張力の測定条件は、前述した特定インクの表面張力の測定条件と同様である。
〔画像記録方法〕
 本開示の画像記録方法は、前述した本開示のインクセットが用いられる画像記録方法である。
 本開示の画像記録方法は、基材上に、上記処理液を付与する工程(以下、「処理液付与工程」ともいう)と、
 上記基材の上記特定処理液が付与された面上に、上記特定インクを付与して画像を記録する工程(以下、「画像記録工程」ともいう)と、を有する。
 本開示の画像記録方法は、必要に応じ、その他の工程を含んでいてもよい。
 本開示の画像記録方法によれば、隠蔽性及び密着性に優れた画像を記録できる。
 これらの効果が得られる理由については前述したとおりである。
<基材>
 本開示の画像記録方法における基材としては、特に限定されないが、例えば、紙、コート紙、樹脂基材、金属、セラミック、ガラス、テキスタイル基材等が挙げられる。
 本開示の画像記録方法によれば、隠蔽性及び密着性に優れた画像が得られることから、本開示の画像記録方法における基材としては、非浸透性基材が好ましい。
 本開示において、「非浸透性基材」とは、水の吸収が少ないか又は水を吸収しない基材を意味し、具体的には、水の吸収量が0.3g/m以下である基材を意味する。
 基材の水の吸収量(g/m)は、以下のようにして測定する。
 基材のオモテ面(即ち、画像を記録しようとする面)における100mm×100mmの領域に水を接触させ、この状態で25℃にて1分間保持する。この1分間の保持によって吸収された水の質量(吸収量(g))を求め、得られた吸収量(g)を単位面積当たりの吸収量(g/m)に換算する。
 非浸透性基材としては特に制限はないが、樹脂基材が好ましい。
 樹脂基材としては特に限定されないが、例えば熱可塑性樹脂からなる基材が挙げられる。
 樹脂基材としては、例えば、熱可塑性樹脂をシート状に成形した基材が挙げられる。
 樹脂基材は、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリエチレン、又は、ポリイミドを含むことが好ましい。
 樹脂基材は、透明な樹脂基材であっても、着色された樹脂基材であってもよいし、少なくとも一部に金属蒸着処理等がなされていてもよい。
 本開示において、「透明」とは、23℃における波長400nm~700nmにおける最低透過率が80%以上(好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上)であることを意味する。上記最低透過率は、分光光度計(例えば、(株)島津製作所製、分光光度計UV-2100)を用いて1nm刻みで測定される。
 樹脂基材の形状は、特に限定されないが、シート状の樹脂基材であることが好ましく、画像記録物の生産性の観点から、巻き取りによってロールを形成可能なシート状の樹脂基材であることがより好ましい。
 樹脂基材の厚さとしては、10μm~200μmが好ましく、10μm~100μmがより好ましい。
<処理液付与工程>
 本開示の画像記録方法は、処理液付与工程(即ち、基材上に、処理液を付与する工程)を有する。
 基材への処理液の付与は、塗布法、インクジェット法、浸漬法などの公知の方法を適用して行うことができる。
 塗布法としては、バーコーター(例えばワイヤーバーコーター)、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、フレキソコーター等を用いた公知の塗布法が挙げられる。
 インクジェット法の詳細については、後述する画像記録工程に適用され得るインクジェット法と同様である。
 単位面積当たりの処理液の付与質量(後述するXg/m)としては、好ましくは0.1g/m~10g/m、より好ましくは0.5g/m~6.0g/m、更に好ましくは0.8g/m~2.0g/mであり、更に好ましくは1.2g/m~1.6g/mである。
 処理液付与工程では、処理液の付与後であって、画像記録工程の前(即ち、インクの付与の前)に、処理液を加熱乾燥させてもよい。
 処理液の加熱乾燥を行うための手段としては、ヒータ等の公知の加熱手段、ドライヤ等の公知の送風手段、及び、これらを組み合わせた手段が挙げられる。
 処理液の加熱乾燥を行うための方法としては、例えば、基材の処理液が付与された面とは反対側からヒータ等で熱を与える方法、基材の処理液が付与された面に温風又は熱風をあてる方法、基材の処理液が付与された面の側から、又は、基材の処理液が付与された面とは反対側から、赤外線ヒータで熱を与える方法、これらの複数を組み合わせた方法、等が挙げられる。
 加熱乾燥時の加熱温度は、35℃以上が好ましく、40℃以上がより好ましい。
 加熱温度の上限には特に制限はないが、上限としては、100℃が好ましく、90℃がより好ましく、70℃が更に好ましい。
 加熱乾燥の時間には特に制限はないが、0.5秒~60秒が好ましく、0.5秒~20秒がより好ましく、0.5秒~10秒が特に好ましい。
<画像記録工程>
 本開示の画像記録方法は、画像記録工程(即ち、基材の特定処理液が付与された面上に、特定インクを付与して画像を記録する工程)を有する。
 特定インクの付与は、塗布法、インクジェット法、浸漬法などの公知の方法を適用して行うことができるが、精細な画像を記録できる観点から、インクジェット法によって行うことが好ましい。
 インクジェット法としては、公知のインクジェット法を適用できる。
 インクジェット法における特定インクの吐出方式には特に制限はなく、公知の方式、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、及びインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット(バブルジェット(登録商標))方式等のいずれであってもよい。
 インクジェット法としては、特に、特開昭54-59936号公報に記載の方法で、熱エネルギーの作用を受けたインクが急激な体積変化を生じ、この状態変化による作用力によって、インクをノズルから吐出させるインクジェット法を有効に利用することができる。
 インクジェット法として、特開2003-306623号公報の段落0093~0105に記載の方法も適用できる。
 インクジェット法による特定インクの付与は、インクジェットヘッドのノズルから特定インクを吐出することにより行う。
 インクジェットヘッドの方式としては、短尺のシリアルヘッドを、基材の幅方向に走査させながら記録を行うシャトル方式と、基材の1辺の全域に対応して記録素子が配列されているラインヘッドを用いたライン方式と、がある。
 ライン方式では、記録素子の配列方向と交差する方向に基材を走査させることで基材の全面に画像記録を行うことができる。ライン方式では、シャトル方式における、短尺ヘッドを走査するキャリッジ等の搬送系が不要となる。また、ライン方式では、シャトル方式と比較して、キャリッジの移動と基材との複雑な走査制御が不要になり、基材だけが移動する。このため、ライン方式によれば、シャトル方式と比較して、画像記録の高速化が実現される。
 インクジェットヘッドのノズルから吐出される特定インクの液滴量としては、高精細な画像を得る観点で、1pL(ピコリットル)~10pLが好ましく、1.5pL~6pLがより好ましい。
 また、画像のムラ、連続階調のつながりを改良する観点で、異なる液適量を組み合わせて吐出することも有効である。
 また、インクジェットヘッドは、特定インクが吐出される面(インク吐出面)に撥液膜を備えていてもよい。撥液膜としては、特開2016-193980号公報の段落0178~0184に記載のものが挙げられる。
 画像記録工程における、単位面積当たりの特定インクの付与質量(後述するYg/m)としては、好ましくは4.5g/m~25g/m、より好ましくは5.5g/m~20g/m、更に好ましくは9g/m~12g/mである。
 画像記録工程においては、付与された特定インクを加熱乾燥させてもよい。
 加熱乾燥を行うための手段としては、ヒータ等の公知の加熱手段、ドライヤ等の公知の送風手段、及び、これらを組み合わせた手段が挙げられる。
 特定インクの加熱乾燥を行うための方法としては、例えば、
 基材の特定インクが付与された面とは反対側からヒータ等で熱を与える方法、
 基材の特定インクが付与された面に温風又は熱風をあてる方法、
 基材の特定インクが付与された面の側から、又は、基材の特定インクが付与された面とは反対側から、赤外線ヒータで熱を与える方法、これらの複数を組み合わせた方法、等が挙げられる。
 特定インクの加熱乾燥時の加熱温度は、55℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましく、65℃以上が特に好ましい。
 特定インクの加熱温度の上限には特に制限はないが、上限としては、100℃が好ましく、90℃がより好ましい。
 特定インクの加熱乾燥の時間には特に制限はないが、3秒~60秒が好ましく、5秒~60秒がより好ましく、10秒~45秒が特に好ましい。
 また、画像記録工程においては、特定インクの付与前に、処理液が付与された基材を加熱してもよい。
 加熱温度としては、基材の種類、特定インクの組成等に応じて適宜設定すればよいが、基材の温度を20℃~50℃とすることが好ましく、25℃~40℃とすることがより好ましい。
 なお、前述の処理液付与工程において、処理液を加熱乾燥させる場合には、処理液の加熱乾燥のための加熱が、インク付与前の基材の加熱を兼ねていてもよい。
 本開示の画像記録方法において、処理液付与工程における単位面積当たりの特定処理液の付与量をXg/mとし、画像記録工程における単位面積当たりの特定インクの付与量をYg/mとした場合、Y/X比は、2以上28以下であることが好ましく、3以上25以下であることがより好ましく、4.5以上20以下であることが更に好ましく、6以上15以下であることが更に好ましく、6以上10以下であることが更に好ましい。
<その他の工程>
 本開示の画像記録方法は、その他の工程を更に含んでもよい。
 その他の工程としては、例えば、上記基材上に、黒色又は有彩色のインク(以下、「着色インク」ともいう)を付与して黒色又は有彩色の画像(以下、「着色画像」ともいう)を記録する工程等が挙げられる。
 着色インクは、本開示のインクセットに備えられるものであってもよいし、本開示のインクセットとは別に準備されたものであってもよい。
 上記着色画像を記録する工程は、上述の画像記録工程の前(好ましくは、上述の画像記録工程の前であって処理液付与工程の後)に行われてもよい。
 この場合、上記着色画像を記録する工程により記録された着色画像(例えば、文字、図形等のパターン画像)上に、特定インクによる画像(例えば、白色ベタ画像)が記録される。これにより、基材と特定インクによる画像(例えば白色ベタ画像)との間に着色画像を記録することが可能となる。
 このような画像を記録する場合、透明な基材が好ましく用いられる。これにより、基材の画像非記録面(即ち、画像が記録されていない面)側から観察した場合に、特定インクによる画像(例えば白色ベタ画像)を下地とする着色画像(例えば、文字、図形等のパターン画像)を、基材を通して視認することができる。一方、基材の画像記録面(即ち、画像が記録された面)側から観察した場合には、特定インクによる画像によって、着色画像及び基材が隠蔽され、着色画像及び基材が視認されにくくなる。
 また、上記着色画像を記録する工程は、上述の画像記録工程の後に行われてもよい。
 特定インクによる画像(例えば、白色ベタ画像)上に、着色画像(例えば、文字、図形等のパターン画像)を記録できる。この場合は、基材の画像記録面側から観察した場合には、特定インクによる画像(例えば白色ベタ画像)を下地とする着色画像(例えば、文字、図形等のパターン画像)を視認できる。一方、基材の画像非記録面側から観察した場合には、特定インクによる画像によって着色画像が隠蔽され、着色画像が視認されにくくなる。
 上記着色インクの付与方法としては、特に限定されないが、上述の画像記録工程の説明で述べたインクジェット法と同様の方法等が挙げられる。
 着色インクとしては、特に限定されないが、公知の水性インク等が挙げられる。
 着色インクは、1種類を単独で付与してもよいし、2種以上を付与してもよい。2種以上の着色インクを付与することにより、多色画像を記録できる。
〔画像記録物〕
 本開示の画像記録物は、基材(好ましくは非浸透性基材。以下同じ。)と、基材上に配置され、樹脂及び白色顔料を含む画像と、を備え、画像における空隙率が1%以上30%以下である画像記録物である。
 本開示の画像記録物における画像は、隠蔽性及び密着性に優れる。
 隠蔽性の効果には、上記空隙率が1%以上であることが寄与している。
 密着性の効果には、上記空隙率が30%以下であることが寄与している。
 画像の隠蔽性及び密着性をより向上させる観点から、画像における空隙率は、好ましくは5%以上25%以下であり、より好ましくは10%以上15%以下である。
 本開示において、画像における空隙率は、以下のようにして測定された値を意味する。
 画像の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)によって観察してSEM像(倍率25,000倍)を取得する。
 SEM像に基づき、以下の式によって画像における空隙率を算出する。
 画像における空隙率(%)=((空隙の全面積)/(空隙を含めた画像の全面積))×100
 SEM像の取得は、例えば、サーモフィッシャー・サイエンティフィック社製Helios 400S FIB-SEM複合機を用いて行う。
 本開示の画像記録物は、上述した本開示の画像記録方法によって好適に製造できる。
 この場合、画像における樹脂は、少なくとも、特定インク中の樹脂(即ち、樹脂全体)に由来するものである。処理液が樹脂粒子を含有する場合には、画像における樹脂は、特定インク中の樹脂及び処理液中の樹脂粒子に由来するものである。
 画像における白色顔料は、特定インク中の白色顔料に由来する。
 画像における空隙は、特定インク中の化合物Aと処理液とが接触することによって生じる気体に由来する。
 本開示の画像記録物における基材の好ましい態様は、画像記録方法の項を適宜参照できる。
 本開示の画像記録物における画像中の成分については、インクセットの項を適宜参照できる。
 本開示の画像記録物は、樹脂及び白色顔料を含む画像だけでなく、前述した着色画像を備えていてもよい。
〔ラミネート体〕
 本開示の画像記録物は、基材上に配置された画像上に配置されたラミネート用基材を更に備えていてもよい。
 以下、この態様の画像記録物を、ラミネート体とする。
 ラミネート体は、例えば、上記画像記録物の画像が配置された側にラミネート用基材をラミネートすることにより得られる。
 ラミネート用基材は、上記画像記録物の画像が配置された側に直接ラミネートしてもよいし、他の層(例えば接着層)を介してラミネートしてもよい。
 ラミネート用基材を、上記画像記録物の画像が配置された側に直接ラミネートする場合のラミネートは、熱圧着、熱融着等の公知の方法によって実施できる。
 また、ラミネート用基材を、上記画像記録物の画像が配置された側に接着層を介してラミネートする場合のラミネートは、例えば、上記画像記録物の画像が配置された側に接着剤を塗布し、次いでラミネート基材を載せ、次いで、画像記録物とラミネート基材とを貼り合わせる方法によって実施できる。
 また、上記画像記録物の画像が配置された側に接着層を介してラミネートする場合のラミネートは、押し出しラミネート(即ち、サンドイッチラミネート)等の方法によっても実施できる。
 上記画像記録物の画像が配置された側に接着層を介してラミネートする態様における接着層は、イソシアネート化合物を含むことが好ましい。
 接着層がイソシアネート化合物を含む場合には、この接着層と画像との密着性がより向上するため、ラミネート強度をより向上させることができる。
 ラミネート用基材としては、樹脂基材が好ましい。
 樹脂基材としては特に限定されないが、例えば熱可塑性樹脂からなる基材が挙げられる。
 樹脂基材としては、例えば、熱可塑性樹脂をシート状に成形した基材が挙げられる。
 樹脂基材は、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリエチレン、又は、ポリイミドを含むことが好ましい。
 樹脂基材の形状は、特に限定されないが、シート状の樹脂基材であることが好ましい。
 樹脂基材の厚さとしては、10μm~200μmが好ましく、10μm~100μmがより好ましい。
〔画像記録装置〕
 本開示の画像記録方法は、例えば、公知のインクジェット記録装置を用いて実施できる。
 公知のインクジェット記録装置としては、例えば、特開2010-83021号公報、特開2009-234221号公報、特開平10-175315号公報等に記載の公知のインクジェット記録装置が挙げられる。
 以下、本開示の画像記録方法に用いることができる画像記録装置の一例について、図1を参照して説明する。
 図1に示す画像記録装置は、処理液を付与する処理液付与手段と、インクジェット法を行う画像記録手段と、を備える。
 ここで、図1は、画像記録装置の構成例を示す概略構成図である。
 図1に示すように、画像記録装置は、基材の供給部11から基材の搬送方向(図中の矢印方向)に向かって順次、処理液を塗布するローラ材として、アニロックスローラ20及びこれに当接する塗布ローラ22を備えた処理液付与部12と、付与された処理液を乾燥させる加熱手段(不図示)を備えた処理液乾燥ゾーン13と、各種インクを吐出するインク吐出部14と、吐出されたインクを乾燥させるインク乾燥ゾーン15と、が配設されている。
 この画像記録装置における基材の供給部11は、基材が装填されたケースから基材を供給する供給部であってもよいし、基材がロール状に巻きつけられたロールから基材を供給する供給部であってもよい。
 基材は、供給部11から、搬送ローラ41,42,43,44,45,46によって、処理液付与部12、処理液乾燥ゾーン13、インク吐出部14、インク乾燥ゾーン15と順に送られて、集積部16に集積される。
 集積部16においては、基材をロール状に巻き取ってもよい。
 基材の搬送は、図1に示すような搬送ローラによる方法のほか、ドラム状部材を用いたドラム搬送方式、ベルト搬送方式、ステージを用いたステージ搬送方式等を採用してもよい。
 複数配置された搬送ローラ41,42,43,44,45,46のうち、少なくとも1つの搬送ローラはモータ(不図示)の動力が伝達された駆動ローラとすることができる。
 モータで回転する駆動ローラを定速回転することにより、基材は所定の方向に所定の搬送速度で搬送されるようになっている。
 処理液付与部12には、特定処理液が貯留された貯留皿に一部を浸漬させて配されたアニロックスローラ20と、アニロックスローラ20に当接された塗布ローラ22と、が設けられている。アニロックスローラ20は、基材の画像記録面と対向配置された塗布ローラ22に予め定められた量の特定処理液を供給するためのローラ材である。アニロックスローラ20から適量が供給された塗布ローラ22によって基材の上に特定処理液が均一に塗布されるようになっている。
 塗布ローラ22は、対向ローラ24と対をなして基材を搬送可能に構成されており、基材は、塗布ローラ22と対向ローラ24との間を通って処理液乾燥ゾーン13に送られる。
 処理液付与部12の基材の搬送方向の下流側には、処理液乾燥ゾーン13が配置されている。
 処理液乾燥ゾーン13は、ヒータ等の公知の加熱手段、ドライヤ、エアナイフ等の送風を利用した送風手段、或いはこれらを組み合わせた手段を用いて構成することができる。
 加熱手段は、基材の処理液付与面(即ち、画像記録面)とは反対側(例えば、基材を自動搬送する場合は基材を載せて搬送する搬送機構の下方)にヒータ等の発熱体を設置する方法、基材の処理液付与面(即ち、画像記録面)に温風又は熱風をあてる方法、赤外線ヒータを用いた加熱法などが挙げられる。また、加熱手段は、上記の方法を複数組み合わせてもよい。
 処理液乾燥ゾーン13では、溶媒除去ローラ等を用いて特定処理液から溶媒を除去してもよい。
 インク吐出部14は、処理液乾燥ゾーン13の基材の搬送方向の下流側に配置されている。
 インク吐出部14には、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)、特色インク(A)及びホワイト(W)の各色インクを貯留するインク貯留部の各々と繋がる記録用ヘッド(インク吐出用ヘッド)30K、30C、30M、30Y、30A及び30Wが配置されている。不図示の各インク貯留部には、各色相に対応する着色剤及び水を含有するインクが貯留されており、画像の記録に際して必要に応じて各インク吐出用ヘッド30K,30C,30M,30Y,30A及び30Wに供給されるようになっている。
 本開示における特定インクは白色インクであることが好ましいため、インク吐出用ヘッド30Wは、特定インクの吐出に用いられるインク吐出用ヘッドであることが好ましい。
 図1においては、インク吐出用ヘッド30Wは、インク吐出用ヘッド30Aの下流側(最下流)に配置されているが、インク吐出用ヘッド30Kの上流等に配置されていてもよい。
 上記特色インク(A)としては、オレンジ、グリーン、パープル、ライトシアン、ライトマゼンタ色のインク等が挙げられる。
 本開示の画像記録方法に適用する画像記録装置では、インク吐出用ヘッド30Aは、省略されていてもよい。また、インク吐出用ヘッド30Aに加え、その他の特色インク吐出用ヘッドを備えていてもよい。
 また、インク吐出用ヘッド30Aの位置は、図1中では、便宜上、基材の搬送方向にて、イエロー(Y)インク吐出用ヘッド30Yの下流側に記載してあるが、特に限定されず、特色インクの明度等を考慮して適宜設定すればよい。
 例えば、インク吐出用ヘッド30Aは、イエローインク吐出用ヘッド30Yとマゼンタインク吐出用ヘッド30Mの間に位置する態様、マゼンタインク吐出用ヘッド30Mとシアンインク吐出用ヘッド30Cの間に位置する態様等が考えられる。
 インク吐出用ヘッド30K、30C、30M、30Y、30A及び30Wは、基材の画像記録面と対向配置された吐出ノズルから、それぞれ画像に対応するインクを吐出する。これにより、基材の画像記録面上に各色インクが付与され、カラー画像が記録される。
 インク吐出用ヘッド30K,30C,30M,30Y,30A及び30Wは、いずれも、基材の表面上に記録される画像の最大記録幅(最大記録幅)にわたって多数の吐出口(ノズル)が配列されたフルラインヘッドとなっている。これは、基材の幅方向(基材の搬送方向と直交する方向)に短尺のシャトルヘッドを往復走査しながら記録を行うシリアル型のものに比べて、基材に高速に画像記録を行うことができる。
 本開示においては、シリアル型での記録、又は比較的高速記録が可能な方式、例えば、1回の走査で1ラインを形成するシングルパス方式での記録のいずれを採用してもよいが、本開示に係る画像記録方法によればシングルパス方式でも再現性の高い高品位の画像が得られる。
 ここでは、インク吐出用ヘッド30K,30C,30M,30Y,30A及び30Wは、全て同一構造になっている。
 処理液の付与量とインクの付与量とは、必要に応じて調節することが好ましい。例えば、基材に応じて、処理液とインクとが混合してできる凝集物の粘弾性等の物性を調節する等のために、処理液の付与量を変えてもよい。
 インク乾燥ゾーン15は、インク吐出部14の基材の搬送方向の下流側に配置されている。
 インク乾燥ゾーン15は、処理液乾燥ゾーン13と同様に構成することができる。
 画像記録装置は、供給部11から集積部16までの搬送路に、基材に加熱処理を施す加熱手段を更に備えていてもよい。
 例えば、処理液乾燥ゾーン13の上流側、インク吐出部14とインク乾燥ゾーン15との間、などの所望の位置に加熱手段を配置することで、基材を所望の温度に昇温させることにより、処理液の乾燥、インクの乾燥、インクの定着等を効果的に行うようにすることが可能になる。
 また、画像記録装置は、基材の種類(材質、厚み等)、環境温度等によって、基材の表面温度は変化するため、基材の表面温度を計測する計測部と、加熱条件を制御する加熱制御部と、計測部で計測された基材の表面温度の値を加熱制御部にフィードバックする制御部と、を有する加熱制御機構を備えることが好ましい。
 画像記録装置が加熱制御機構を備えることで、基材の温度を制御しながら、処理液の付与、インクの付与等を行うことができる。
 基材の表面温度を計測する計測部としては、接触又は非接触の温度計が好ましい。
 以下、本開示の実施例を示すが、本開示は以下の実施例には限定されない。
 以下、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
〔実施例1〕
 インク及び処理液をそれぞれ調製し、インク及び処理液を備えるインクセットを準備した。
 以下、詳細を示す。
<インクの調製>
(樹脂粒子P1の合成)
 インク中の成分の一つである樹脂粒子P1を合成した。以下、詳細を示す。
 撹拌機、温度計、還流冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた三口フラスコに、メチルエチルケトン(281g)を仕込んで、85℃まで昇温した。反応容器内は還流状態を保ちながら、メチルメタクリレート(208g)、イソボルニルメタクリレート(60g)、メタクリル酸(30g)、メチルエチルケトン(66g)、及び「V-601」(富士フイルム和光純薬(株)製)(0.66g)からなる混合溶液を、3時間で滴下が完了するように等速で滴下した。滴下完了後、1時間撹拌後、(1)「V-601」(0.66g)、メチルエチルケトン(3.5g)からなる溶液を加え、2時間撹拌を行った。続いて、(1)の工程を4回繰り返し、更に「V-601」(0.66g)、メチルエチルケトン(3.5g)からなる溶液を加えて3時間撹拌を続けた。60℃に降温後、イソプロピルアルコール(83g)を添加した。
 次に、重合溶液155g(固形分濃度40質量%)を秤量し、メチルエチルケトン(7g)、イソプロピルアルコール(23.1g)、20%無水マレイン酸水溶液(0.6g)、2モル/LのNaOH水溶液(20g)を加え、反応容器内温度を70℃に昇温した。次に蒸留水190gを滴下し、水分散化せしめた。その後、大気圧下にて反応容器内温度85℃で1時間保った後、反応容器内を減圧にし、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトンを留去し、樹脂粒子P1の水性分散物(固形分濃度30質量%)を得た。樹脂粒子P1のTgは150℃、重量平均分子量は50,000であった。
(分散剤D1の合成)
 インク中の成分の一つである分散剤D1(樹脂分散剤)を合成した。以下、詳細を示す。
 撹拌機、冷却管を備えた三口フラスコにジプロピレングリコールを後述するモノマーの全量と同質量を加え、窒素雰囲気下で85℃に加熱した。
 ステアリルメタクリレート9.1モル当量、ベンジルメタクリレート34.0モル当量、ヒドロキシエチルメタクリレート31.9モル当量、メタクリル酸25.0モル当量、及び、2-メルカプトプロピオン酸0.8モル当量を混合した溶液Iと、モノマーの全量に対し1質量%のt-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート(日油(株)製パーブチルO)を、モノマーの全量に対し20質量%のジプロピレングリコールに溶解させて得られた溶液IIと、をそれぞれ調製した。上記三口フラスコに溶液Iを4時間、溶液IIを5時間かけて滴下した。
 滴下終了後、更に2時間反応させた後、95℃に昇温し、3時間加熱撹拌して未反応モノマーをすべて反応させた。モノマーの消失は核磁気共鳴法(H-NMR法)で確認した。
 得られた反応溶液を70℃に加熱し、アミン化合物としてジメチルアミノエタノール(ジメチルエタノールアミン)を20.0モル当量添加した後、プロピレングリコールを加えて撹拌し、分散剤D1の30質量%溶液を得た。
 得られたポリマーの構成成分は、H-NMRにより確認した。また、GPCにより求めた重量平均分子量(Mw)は22,000であった。
 なお、分散剤D1における各構成単位の質量比は、ステアリルメタクリレート由来の構成単位/ベンジルメタクリレート由来の構成単位/ヒドロキシエチルメタクリレート由来の構成単位/メタクリル酸由来の構成単位=20/39/27/14であった。ただし、上記質量比は、ジメチルアミノエタノールは含まない値である。
(顔料分散物の調製)
 レディーミル モデルLSG-4U-08(アイメックス社製)を使用し、下記の通り顔料分散物を調製した。
 ジルコニア製の容器に、白色顔料としての二酸化チタン粒子(石原産業社製PF-690、平均一次粒径210nm)、上記分散剤D1の30質量%溶液、及び、超純水を加えた。更に、0.5mmφジルコニアビーズ(TORAY製トレセラムビーズ)(二酸化チタン粒子:ビーズ=1.125:1(質量比))を加えて、スパチュラで軽く混合した。
 ジルコニア製容器をボールミルに入れ、回転数1000rpmで5時間分散した。分散終了後、ろ布でろ過してビーズを取り除き、顔料濃度が45質量%であり分散剤D1の濃度が1.35質量%である水性顔料分散物である顔料分散物を得た。
(インクの調製)
 樹脂粒子P1の水性分散物(固形分濃度30質量%)と、分散剤D1の30質量%溶液と、下記組成中の「白色顔料、分散剤D1、及び樹脂粒子P1」以外の成分とを混合し、下記組成を有するインクを調製した。
 表1中では、分散剤D1及び樹脂粒子P1の合計を「樹脂全体」としている。
-インクの組成-
・白色顔料(二酸化チタン粒子、平均一次粒径210nm)
…10質量%
・分散剤D1(分散剤D1の30質量%溶液中の固形分)
…0.3質量%
・樹脂粒子P1(樹脂粒子P1の水性分散物中の固形分)
…4質量%
・尿素〔化合物A〕
…1質量%
・プロピレングリコール(富士フイルム和光純薬(株)製)〔水溶性溶剤〕
…20質量%
・ソルスパース(SOLSPERSE、登録商標)43000(Noveon社製)〔分散安定剤〕
…0.100質量%
・ポリビニルピロリドン K15(東京化成工業(株)製)〔水溶性高分子化合物〕
…0.100質量%
・サーフィノール104(日信化学工業(株)製)〔消泡剤〕
…1.00質量%
・スノーテックス(登録商標)XS(日産化学工業(株)製)〔コロイダルシリカ〕
…0.060質量%
・BYK(登録商標)-024(ビックケミー・ジャパン(株)製)〔消泡剤〕
…0.01質量%
・水…全体で100質量%となる残量
 得られたインクのpHを、25℃の条件下、pHメーター(東亜ディーケーケー社製MM-60R型)を用いて測定したところ、表1に示す値であった。
<処理液の調製>
 下記組成を有する処理液を調製した。
-処理液の組成-
・Eastek(登録商標) 1100(イーストマンケミカル社製)〔ポリエステル樹脂粒子〕
…10質量%
・マロン酸(富士フイルム和光純薬(株)製)〔凝集剤〕
…5質量%
・プロピレングリコール(富士フイルム和光純薬(株)製)〔水溶性溶剤〕
…10質量%
・水…全体で100質量%となる残量
 得られた処理液のpHを、25℃の条件下、pHメーター(東亜ディーケーケー社製MM-60R型)を用いて測定したところ、表1に示す値であった。
<画像記録>
 上記インク及び上記処理液を備えるインクセットを用い、以下のようにして画像記録を実施した。
 インクジェットヘッドとして、(株)リコー製GELJET(登録商標) GX5000プリンターヘッドを用意した。上記プリンターヘッドは、96本のノズルが並ぶラインヘッドである。
 上記プリンターヘッドを、上述の図1に示すインクジェット記録装置と同様の構成のインクジェット記録装置に固定配置した。
 このときの配置は、インクジェット装置のステージの移動方向と同一平面上で直交する方向に対し、96本のノズルが並ぶ方向が75.7°傾斜する配置とした。
 上記ラインヘッドのインク吐出面には、フッ素化合物を含む撥液膜が設けられている。フッ素化合物を含む撥液膜は、C17SiClの単分子膜(SAM膜)である。
 非浸透性基材として、ポリエチレンテレフタレート(PET)基材(FE2001、厚み12μm、フタムラ化学(株)製)を準備し、このPET基材を用い、下記の処理液付与工程、インク付与工程、及び乾燥工程を順次行った。
(処理液付与工程)
 PET基材をインクジェット記録装置のステージ上に固定し、次いでPET基材が固定されたステージを直線方向に500mm/秒で定速移動させながら、PET基材上に処理液をワイヤーバーコーターを用いて付与した。処理液の付与量は、1.4g/mとした。
 処理液の付与が終了した箇所において、この箇所への処理液の付与終了時から1.5秒後に、ドライヤを用いて50℃の条件で処理液の乾燥を開始し、処理液の付与終了時から3.5秒後に乾燥を終了した。このときの乾燥時間は2秒となる。
(画像記録工程)
 処理液の乾燥が終了したPET基材を、ステージ速度50mm/秒で定速移動させながら、PET基材の処理液が付与された面に対し、上記プリンターヘッドから上記インクをライン方式で吐出し、ベタ膜を形成した。インクの付与量は、11g/mとした。
 上記インクの吐出は、処理液の乾燥終了から2秒以内に開始した。
 上記インクの吐出条件は、インク液滴量4.5pL、吐出周波数24kHz、解像度1200dpi×1200dpi(dot per inch)とした。
 また、上記インクとしては、脱気フィルターを通して脱気し、30℃に温調したものを用いた。
 次に、PET基材の処理液が付与された面上に付与されたインクを、70℃で10秒間乾燥させることにより、画像(詳細にはベタ画像)を得た。
 以上により、PET基材と、PET基材上に配置された画像と、を備える画像記録物を得た。
<評価>
 上記で得られた画像記録物に対し、以下の評価を実施した。
 結果を表1に示す。
(隠蔽性)
 上記画像記録物におけるベタ画像の隠蔽性を、以下のようにして評価した。
 上記画像記録物とは別に、上記PET基材に対し、市販品のブラックインクジェットインクを用い、2pt(ポイント)、4pt、6pt及び8ptの各々のサイズの黒文字画像(計4個)を記録し、黒文字画像付き基材を得た。4個の黒文字画像は、いずれも、図2に示す黒文字画像とした。
 上記画像記録物と黒文字画像付き基材とを、互いの非画像記録面(画像が記録されていない面)が接する向きに重ねて積層物とした。得られた積層物を、ベタ画像が評価者の側に向くようにして30Wの蛍光灯にかざし、ベタ画像を通して、各黒文字画像の細部を視認できるかどうかを確認し、下記評価基準に従い、ベタ画像の隠蔽性を評価した。この際、評価者の目と積層物との距離は20cmとし、積層物から蛍光灯までの距離は2mとした。
 下記評価基準において、ベタ画像の隠蔽性に最も優れるランクは、「5」である。
-ベタ画像の隠蔽性の評価基準-
5:2pt、4pt、6pt及び8ptの黒文字画像について、細部を視認できなかった。
4:8ptの黒文字画像の細部を視認できたが、2pt、4pt、及び6ptの黒文字画像の細部については、細部を視認できなかった。
3:6pt及び8ptの黒文字画像の細部を視認できたが、2pt及び4ptの黒文字画像については、細部を視認できなかった。
2:4pt、6pt及び8ptの黒文字画像の細部を視認できたが、2ptの黒文字画像については、細部を視認できなかった。
1:2pt、4pt、6pt及び8ptの黒文字画像について、細部を視認できた。
(密着性)
 上記画像記録物における画像に対し、ISO2409(クロスカット法)に準拠してクロスハッチテストを実施し、以下の評価基準に従って、画像の密着性を評価した。
 下記評価基準において、画像の密着性に最も優れるランクは「5」である。
 このクロスハッチテストでは、カット間隔を1mmとし、1mm角の正方形の格子を25個形成した。
 下記の評価基準において、格子が剥がれた割合(%)は、下記の式によって求められた値である。下記の式における全格子数は25である。
 格子が剥がれた割合(%)=〔(剥がれが生じた格子数)/(全格子数)〕×100
-画像の経時密着性の評価基準-

5:格子が剥がれた割合(%)が0%以上5%以下であった。
4:格子が剥がれた割合(%)が5%超15%以下であった。
3:格子が剥がれた割合(%)が15%超35%以下であった。
2:格子が剥がれた割合(%)が35%超65%以下であった。
1:格子が剥がれた割合(%)が65%超であった。
(画像の空隙率)
 画像記録物における画像の空隙率を、上述した方法によって測定した。
 画像の空隙率の算出に用いるSEM像の取得は、サーモフィッシャー・サイエンティフィック社製Helios 400S FIB-SEM複合機を用いて行った。
〔実施例2~28、比較例1~3〕
 インクのpH、インク中の化合物Aの量、インク中の樹脂(即ち、樹脂分散剤及び樹脂粒子)の量、インク中の樹脂粒子のTg、処理液のpH、処理液中の凝集剤の種類、及び処理液の付与量の組み合わせを、表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様の操作を行った。
 結果を表1に示す。
 実施例2、4、及び5のインク(pH7.5又はpH6.8)では、実施例1のインク(pH8.5)中の水の一部を、pH調整剤としての塩酸に置き換えることによって、インクのpHが表1に示す値となるように調整した。これらのインクにおいて、pH調整剤の含有量は、インクの全量に対し、1質量%未満である。
 実施例14~16の処理液では、実施例1の処理液中の水の一部を、pH調整剤としての塩酸に置き換えることによって、処理液のpHが4.0となるように調整した。これらの処理液において、pH調整剤の含有量は、処理液の全量に対し、1質量%未満である。
 実施例12及び13では、実施例1のインクにおける樹脂粒子P1(Tg=150℃)を、下記樹脂粒子P2(Tg=60℃)及び下記樹脂粒子P3(Tg=0℃)に変更した。
-実施例12におけるインク中の樹脂粒子P2(Tg=60℃)の合成-
 撹拌機、温度計、還流冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた三口フラスコに、メチルエチルケトン(281g)を仕込んで、85℃まで昇温した。反応容器内は還流状態を保ちながら、メチルメタクリレート(120g)、イソボルニルメタクリレート(73g)、メタクリル酸(30g)、ドデシルメタクリレート(75g)、メチルエチルケトン(66g)、及び「V-601」(富士フイルム和光純薬(株)製)(0.66g)からなる混合溶液を、3時間で滴下が完了するように等速で滴下した。滴下完了後、1時間撹拌後、(1)「V-601」(0.66g)、メチルエチルケトン(3.5g)からなる溶液を加え、2時間撹拌を行った。続いて、(1)の工程を4回繰り返し、更に「V-601」(0.66g)、メチルエチルケトン(3.5g)からなる溶液を加えて3時間撹拌を続けた。60℃に降温後、イソプロピルアルコール(83g)を添加した。
 次に、重合溶液155g(固形分濃度40質量%)を秤量し、メチルエチルケトン(7g)、イソプロピルアルコール(23.1g)、20%無水マレイン酸水溶液(0.6g)、2モル/LのNaOH水溶液(20g)を加え、反応容器内温度を70℃に昇温した。次に蒸留水190gを滴下し、水分散化せしめた。その後、大気圧下にて反応容器内温度85℃で1時間保った後、反応容器内を減圧にし、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトンを留去し、樹脂粒子P2の水性分散物(固形分濃度30質量%)を得た。樹脂粒子P2のTgは60℃、重量平均分子量は65,000であった。
-実施例13におけるインク中の樹脂粒子P3(Tg=0℃)の調製-
 撹拌機、温度計、還流冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた三口フラスコに、メチルエチルケトン(281g)を仕込んで、85℃まで昇温した。反応容器内は還流状態を保ちながら、メチルメタクリレート(60g)、イソボルニルメタクリレート(43g)、メタクリル酸(30g)、ドデシルメタクリレート(165g)、メチルエチルケトン(66g)、及び「V-601」(富士フイルム和光純薬(株)製)(0.66g)からなる混合溶液を、3時間で滴下が完了するように等速で滴下した。滴下完了後、1時間撹拌後、(1)「V-601」(0.66g)、メチルエチルケトン(3.5g)からなる溶液を加え、2時間撹拌を行った。続いて、(1)の工程を4回繰り返し、更に「V-601」(0.66g)、メチルエチルケトン(3.5g)からなる溶液を加えて3時間撹拌を続けた。60℃に降温後、イソプロピルアルコール(83g)を添加した。
 次に、重合溶液155g(固形分濃度40質量%)を秤量し、メチルエチルケトン(7g)、イソプロピルアルコール(23.1g)、20%無水マレイン酸水溶液(0.6g)、2モル/LのNaOH水溶液(20g)を加え、反応容器内温度を70℃に昇温した。次に蒸留水190gを滴下し、水分散化せしめた。その後、大気圧下にて反応容器内温度85℃で1時間保った後、反応容器内を減圧にし、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトンを留去し、樹脂粒子P3の水性分散物(固形分濃度30質量%)を得た。樹脂粒子P3のTgは0℃、重量平均分子量は70,000であった。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
-表1の説明-
 インク中の成分の量は、インク全体に対する含有量(質量%)を意味し、処理液中の成分の量は、処理液全体に対する含有量(質量%)を意味する。
 「樹脂全体」は、樹脂分散剤と樹脂粒子とを合わせた樹脂成分全体を意味する。
 白色顔料は、二酸化チタン粒子である。
 化合物Aは、尿素である。
 白色顔料/化合物Aは、化合物Aの含有質量に対する白色顔料の含有質量の比である。
 樹脂全体/化合物Aは、化合物Aの含有質量に対する樹脂全体(即ち、樹脂分散剤及び樹脂粒子)の含有質量の比である。
 (白色顔料+樹脂全体)/化合物Aは、化合物Aの含有質量に対する、白色顔料及び樹脂全体(即ち、樹脂分散剤及び樹脂粒子)の合計含有質量の比である。
 Y/X比は、処理液付与工程における単位面積当たりの処理液の付与量をXg/mとし、画像記録工程における単位面積当たりのインクの付与量をYg/mとした場合の、Xに対するYの比である。
 表1中、処理液における特定pH調整剤は以下のとおりである。
・マロン酸 … 富士フイルム和光純薬(株)製のマロン酸
・CaCl … 富士フイルム和光純薬(株)製のCaCl
・金属錯体1 … チタンラクテート(マツモトファインケミカル(株)製の「オルガチックスTC-310」)
・カチオン性ポリマー1 … ポリ-2-ヒドロキシプロピルジメチルアンモニウムクロリド(四日市合成(株)製の「カチオマスターPD-7」)
 表1に示すように、pHが4.5以下又は9.5以上である処理液と、pHが4.5以下又は9.5以上の環境下で気体を発生する化合物A、樹脂、水、及び白色顔料を含有し、pHが4.5超9.5未満であるインクと、を備え、インクにおける、白色顔料/化合物A(即ち、化合物Aの含有質量に対する白色顔料の含有質量の比)が1以上160以下であるインクセットを用いた各実施例では、記録された画像の隠蔽性及び密着性に優れていた。
 これらの各実施例に対し、処理液のpHが4.5超9.5未満である比較例1及び白色顔料/化合物Aが160以上である比較例2の各々では、画像の隠蔽性が低下した。この理由は、化合物Aによる気体が発生せず、画像における空隙率が低下したためと考えられる。
 また、白色顔料/化合物Aが1未満である比較例3では、画像の密着性が低下した。この理由は、画像における空隙率が過大となったためと考えられる。
 実施例1~5の結果より、処理液のpHとインクのpHとの差の絶対値が3以上である場合(実施例1~4)、画像の隠蔽性がより向上することがわかる。
 実施例6及び8の結果より、インクにおける、樹脂全体/化合物Aが0.3以上である場合(実施例8)、画像の密着性がより向上することがわかる。
 実施例7及び9の結果より、インクにおける、樹脂全体/化合物Aが100以下である場合(実施例9)、画像の隠蔽性がより向上することがわかる。
 実施例12及び13の結果から、樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)が、40℃以上である場合(実施例12)、画像の密着性がより向上することがわかる。
 実施例1、4、及び14~16の結果から、処理液が、凝集剤として、有機酸を含む場合(実施例1)、画像の隠蔽性がより向上することがわかる。
11 供給部
12 処理液付与部
13 処理液乾燥ゾーン
14 インク吐出部
15 インク乾燥ゾーン
16 集積部
20 アニロックスローラ
22 塗布ローラ
24 対向ローラ
30W,30K,30C,30M,30Y,30A インク吐出用ヘッド
41,42,43,44,45,46 搬送ローラ

Claims (17)

  1.  pHが4.5以下又は9.5以上である処理液と、
     pHが4.5以下又は9.5以上の環境下で気体を発生する化合物A、樹脂、水、及び白色顔料を含有し、pHが4.5超9.5未満であるインクと、を備え、
     前記インクにおける、前記化合物Aの含有質量に対する前記白色顔料の含有質量の比が、1以上160以下であるインクセット。
  2.  前記処理液のpHと前記インクのpHとの差の絶対値が、3以上である請求項1に記載のインクセット。
  3.  前記インクにおける、前記化合物Aの含有質量に対する前記樹脂の含有質量の比が、0.3以上100以下である請求項1又は請求項2に記載のインクセット。
  4.  前記インクにおける、前記化合物Aの含有質量に対する前記白色顔料及び前記樹脂の合計含有質量の比が、3以上250以下である請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のインクセット。
  5.  前記化合物Aが、尿素である請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のインクセット。
  6.  前記インク中における白色顔料の含有量が、前記インクの全量に対し、5質量%~20質量%である請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のインクセット。
  7.  前記白色顔料が、二酸化チタン粒子を含む請求項1~請求項6のいずれか1項に記載のインクセット。
  8.  前記インクが、白色インクである請求項1~請求項7のいずれか1項に記載のインクセット。
  9.  前記インクの全量に対する前記樹脂の含有量が、1質量%~10質量%であり、
     前記インクの全量に対する前記化合物Aの含有量が、0.1質量%~10質量%である請求項1~請求項8のいずれか1項に記載のインクセット。
  10.  前記樹脂が、樹脂粒子を含む請求項1~請求項9のいずれか1項に記載のインクセット。
  11.  前記樹脂粒子のガラス転移温度が、40℃以上である請求項10に記載のインクセット。
  12.  前記インクが、インクジェットインクである請求項1~請求項11のいずれか1項に記載のインクセット。
  13.  前記処理液が、有機酸、多価金属化合物、金属錯体、及び水溶性カチオンポリマーからなる群から選ばれる少なくとも1種である凝集剤を含有する請求項1~請求項12のいずれか1項に記載のインクセット。
  14.  非浸透性基材に対する画像の記録に用いられる請求項1~請求項13のいずれか1項に記載のインクセット。
  15.  請求項1~請求項14のいずれか1項に記載のインクセットが用いられ、
     非浸透性基材上に、前記処理液を付与する工程と、
     前記非浸透性基材の前記処理液が付与された面上に、前記インクを付与して画像を記録する工程と、
     を有する画像記録方法。
  16.  前記処理液を付与する工程における単位面積当たりの前記処理液の付与量をXg/mとし、前記画像を記録する工程における単位面積当たりの前記インクの付与量をYg/mとした場合に、Y/X比が、3以上25以下である請求項15に記載の画像記録方法。
  17.  非浸透性基材と、
     前記非浸透性基材上に配置され、樹脂及び白色顔料を含む画像と、を備え、
     前記画像における空隙率が1%以上30%以下である画像記録物。
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