WO2020129553A1 - 微細構造付ガラス基板及び微細構造付ガラス基板の製造方法 - Google Patents

微細構造付ガラス基板及び微細構造付ガラス基板の製造方法 Download PDF

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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
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Abstract

微細構造付ガラス基板(1)は、第一孔(21)と、第二孔(22)とを有する。第一孔(21)は、第一主面(11)において1000μm以下の直径を有する。その直径をDと表すとき、第二孔(22)は、第一主面(11)において1.1D以上の最大寸法を有する。

Description

微細構造付ガラス基板及び微細構造付ガラス基板の製造方法
 本発明は、微細構造付ガラス基板及び微細構造付ガラス基板の製造方法に関する。
 近年、半導体実装の基板の材料としてガラス基板が注目されている。なぜなら、ガラス基板は、熱安定性、半導体の線膨張係数とのマッチング、及び高周波低損失電気特性等の観点から有利な特性を有するからである。ガラス基板を半導体実装の基板として利用するために、ガラス基板に孔を形成する技術が提案されている。
 例えば、特許文献1には、基板にレーザービームを照射して基板を貫通し側壁を有する開口を形成し、開口にエッチャントを導入して側壁をエッチャントでエッチングして開口の少なくとも1つの特性を変化させる技術が知られている。基板はガラス基板でありうる。
 特許文献2には、内壁の表面粗さRaが1μm以下である少なくとも1つの孔を有する
ガラス基板が記載されている。少なくとも1つの孔は、ガラス基板の第一表面から延びており、第一表面において第一直径を有する第一開口を含む。第一開口が所定の形状に形成されている。
 特許文献3には、貫通孔を有するガラス板であって、ガラス板の厚みが50μm以上2mm以下であり、貫通孔の孔径が500μm以下であり、貫通孔のテーパ角が86度以上であるガラス板が記載されている。
特許第5868424号公報 国際公開第2018/049044号 特開2018-108907号公報
 特許文献1~3には、ガラス基板の主面において異なる寸法を有する複数の孔を形成することは記載されておらず、ガラス基板の主面においてより大きな孔をどのような寸法で形成すべきであるのか示唆されていない。そこで、本発明は、ガラス基板の主面において異なる寸法を有する複数の孔を有し、複数の孔の寸法が所定の関係にある微細構造付ガラス基板を提供する。また、本発明は、このような微細構造付ガラス基板を製造する方法を提供する。
 本発明は、
 第一主面において1000μm以下の直径を有する第一孔と、
 前記直径をDと表すとき、前記第一主面において1.1D以上の最大寸法を有する第二孔と、を有する、
 微細構造付ガラス基板を提供する。
 また、本発明は、
 微細構造付ガラス基板を製造する方法であって、
 ガラス基板にパルスレーザーを照射して、第一変質部と、複数の基本変質部を含む第二変質部とを形成することと、
 ウェットエッチングにより前記第一変質部を除去して、第一主面において1000μm以下の直径を有する第一孔を形成することと、
 前記直径をDと表すとき、ウェットエッチングにより前記第二変質部を除去して、前記第一主面において1.1D以上の最大寸法を有する第二孔を形成することと、を備えた、
 方法を提供する。
 上記の微細構造付ガラス基板は、ガラス基板の第一主面において異なる寸法を有する複数の孔を有し、複数の孔の寸法が所定の関係にある。上記の方法によれば、このような微細構造付ガラス基板を製造できる。
図1は、本発明に係る微細構造付ガラス基板の一例を模式的に示す平面図である。 図2は、本発明に係る微細構造付ガラス基板の第二孔におけるσの値の決定方法を概念的に説明する図面である。 図3は、本発明に係る微細構造付ガラス基板の一例を示す断面図である。 図4は、第二変質部の形成方法を概念的に示す図面である。 図5は、第二孔の形成に関連する寸法の関係を概念的に説明する図面である。 図6は、本発明に係る微細構造付ガラス基板の一例を示す写真である。 図7Aは、図6に示す微細構造付ガラス基板の第二孔を示す写真である。 図7Bは、図6に示す微細構造付ガラス基板の別の第二孔を示す写真である。 図7Cは、図6に示す微細構造付ガラス基板のさらに別の第二孔を示す写真である。 図7Dは、図6に示す微細構造付ガラス基板のさらに別の第二孔を示す写真である。 図7Eは、図6に示す微細構造付ガラス基板のさらに別の第二孔を示す写真である。 図8Aは、第二孔の開口を平面視した写真である。 図8Bは、図8Aの第二孔の開口の輪郭の検出結果を示す写真である。 図8Cは、図8Bの第二孔の開口の輪郭から最小二乗法により求めた近似円を輪郭とともに示す写真である。 図9は、図8Bの第二孔の開口の輪郭と図8Cの近似円との間の残差の分布を示すグラフである。 図10は、第二孔の基本孔間距離とσとの関係を示すグラフである。 図11は、第二孔の内面の表面粗さを評価する箇所を示す写真である。 図12は、第二孔の基本孔間距離と第二孔の内面の表面粗さとの関係を示すグラフである。 図13Aは、第二孔の開口を平面視した写真である。 図13Bは、別の第二孔の開口を平面視した写真である。 図13Cは、さらに別の第二孔の開口を平面視した写真である。 図13Dは、さらに別の第二孔の開口を平面視した写真である。 図13Eは、さらに別の第二孔の開口を平面視した写真である。 図13Fは、さらに別の第二孔の開口を平面視した写真である。 図13Gは、さらに別の第二孔の開口を平面視した写真である。 図13Hは、さらに別の第二孔の開口を平面視した写真である。 図14Aは、図13Aに示す第二孔の内面が見えるガラス基板の断面を示す写真である。 図14Bは、図13Bに示す第二孔の内面が見えるガラス基板の断面を示す写真である。 図14Cは、図13Cに示す第二孔の内面が見えるガラス基板の断面を示す写真である。 図14Dは、図13Dに示す第二孔の内面が見えるガラス基板の断面を示す写真である。 図14Eは、図13Eに示す第二孔の内面が見えるガラス基板の断面を示す写真である。 図14Fは、図13Fに示す第二孔の内面が見えるガラス基板の断面を示す写真である。 図14Gは、図13Gに示す第二孔の内面が見えるガラス基板の断面を示す写真である。 図14Hは、図13Hに示す第二孔の内面が見えるガラス基板の断面を示す写真である。 図15Aは、さらに別の第二孔の開口を平面視した写真である。 図15Bは、さらに別の第二孔の開口を平面視した写真である。
 半導体実装における配線基板設計において、基板材料及び配線材料の電気抵抗及び誘電率等の電気特性、伝送信号設計、実装部品の性能、及び空間的制約などの理由により、局所的な最適化を行うことが考えられる。この場合、抵抗損失又は伝送損失を考慮して、配線基板の設計では異なる寸法を有する複数の孔が形成された微細構造付基板が必要となることが考えられる。そこで、本発明者らは、ガラス基板を用いてこのような基板を提供できないか日夜検討を重ねた。その結果、新規な製造方法によって所望の微細構造付ガラス基板が得られることを見出し、本発明に係る微細構造付ガラス基板を案出した。
 以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明は、本発明の一例に関するものであり、本発明は以下の実施形態に限定されない。
 図1に示す通り、微細構造付ガラス基板1は、第一孔21と、第二孔22とを有する。第一孔21は、微細構造付ガラス基板1の第一主面11において1000μm以下の直径を有する。この直径をDと表すとき、第二孔22は、第一主面11において1.1D以上の最大寸法を有する。第一孔21は、貫通孔であってもよいし、有底孔であってもよい。貫通孔は、微細構造付ガラス基板1を厚み方向に貫通している孔である。有底孔は、微細構造付ガラス基板1の一方の主面にのみ開口している孔である。
 微細構造付ガラス基板1は、第一孔21に加え、第一主面11において1.1D以上の最大寸法を有する第二孔22を有するので、微細構造付ガラス基板1を用いれば、半導体実装における配線基板設計において貫通孔等の微細構造の局所的な最適化を図ることができる。
 微細構造付ガラス基板1の第一主面11における第一孔21の直径は、望ましくは600μm以下であり、より望ましくは300μm以下であり、さらに望ましくは200μm以下である。第一孔21の直径が小さいほど、微細構造付ガラス基板1上に配置される電気回路又は素子等の集積度を高めやすい。
 微細構造付ガラス基板1の第一主面11における第二孔22の直径は、1.1D以上の最大寸法を有する限り特定の値に限定されない。第一主面11における第二孔22の直径は、例えば170μm~570μmであり、270μm~570μmであってもよい。
 図2に示す通り、微細構造付ガラス基板1の第一主面11を平面視したときの第二孔22の開口の輪郭22aを最小二乗法によって回転対称な図形に近似して得られた近似図形Sfの回転中心から等角に2°ずつ離れた180本の直線P1~P180を順番に描く。この場合、i番目の直線Piと開口の輪郭22aとの交点と、i本目Piの直線と近似図形Sfの輪郭との交点との距離(残差)をεiと表す。なお、iは1~180の間の連続した整数である。微細構造付ガラス基板1において、例えば、下記式(1)によって決定されるσの値が4μm以下である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000003
 微細構造付ガラス基板1を用いて配線基板を作製するときに、めっき等の方法によって銅などの導電性物質が第二孔22の内部に配置されうる。第二孔22においてσの値が小さいことは、第二孔22の内部における導電性物質の均一な配置の観点から有利である。加えて、第二孔22においてσの値が小さいことは、第二孔22の内壁に付着した導電性物質の剥離を防止する観点からも有利である。これにより、微細構造付ガラス基板1を用いて作製された配線基板における導電性の低下及び電気特性上の損失を抑制できる。微細構造付ガラス基板1において、σの値は、望ましくは2.5μm以下であり、望ましくは2μm以下である。σの値は、例えば0.1μm以上であり、0.5μm以上であってもよく、0.9μm以上であってもよい。近似図形Sfとしては、第二孔22の開口の輪郭22aに最も近似した回転対称な図形が選択される。近似図形Sfは、例えば、円、楕円、又は回転対称な多角形である。
 第二孔22の内面の表面粗さRaは、例えば、13μm以下である。なお、表面粗さRaは、日本工業規格(JIS) B 0601:1970又はJIS B 0601:1970に基づくものである。第二孔22の内面の表面粗さRaは、微細構造付ガラス基板1の厚み方向における第二孔22の中心における50μmの測定長さに対して決定されるものである。第二孔22の内面の表面粗さRaの値が小さいことは、第二孔22の内部における導電性物質の均一な配置の観点から有利である。加えて、第二孔22の内面の表面粗さRaの値が小さいことは、第二孔22の内壁に付着した導電性物質の剥離を防止する観点からも有利である。第二孔22の内面の表面粗さRaは、望ましくは4μm以下であり、より望ましくは1.5μm以下である。第二孔22の内面の表面粗さRaは、例えば0.1μm以上であり、望ましくは0.5μm以上であり、より望ましくは0.8μm以上である。
 図3に示す通り、微細構造付ガラス基板1の第一主面11における第二孔22の開口の寸法が最大となり、かつ、第一主面11に垂直である断面において、直線L1と、直線L2とが第二孔22の外部でなす角をθ1と表す。直線L1は、その断面において、第一主面11に隣接している第二孔22の輪郭に沿って延びる直線である。直線L2は、その断面において、第一主面11に平行な直線である。微細構造付ガラス基板1において、例えば、70°≦θ1≦90°の条件が満たされている。これにより、第二孔22の内部に導電性物質を充填しやすい。微細構造付ガラス基板1において、望ましくは80°≦θ1≦90°の条件が満たされ、より望ましくは85°≦θ1≦90°の条件が満たされる。
 微細構造付ガラス基板1の第一主面11における第二孔22の最大寸法をDmと表し、かつ、微細構造付ガラス基板1の厚みをdと表す。微細構造付ガラス基板1において、例えば、d/Dm≦8の関係が満たされている。
 第二孔22は、例えば、貫通孔又は有底孔である。第一主面11における第二孔22の開口の形状は、円状、楕円状、多角形状、及び細長い直線状又は曲線状でありうる。第二孔22が貫通孔である場合、第二孔22はスリットであってもよい。第二孔22が有底孔である場合、第二孔22は細長い溝(トレンチ)であってもよい。第二孔22は、例えば、半導体実装における配線基板設計において微細構造の局所的な最適化に従って、形成されうる。
 微細構造付ガラス基板1の製造方法の一例について説明する。微細構造付ガラス基板1は、例えば、以下の(I)、(IIa)、及び(IIb)の工程を備えた方法によって製造できる。
(I)ガラス基板10にパルスレーザーを照射して、第一変質部と、複数の基本変質部22eを含む第二変質部22tとを形成する。
(IIa)ウェットエッチングにより第一変質部を除去して、第一主面11において1000μm以下の直径を有する第一孔21を形成する。
(IIb)第一主面11における第一孔21の直径をDと表すとき、ウェットエッチングにより第二変質部22tを除去して、第一主面11において1.1D以上の最大寸法を有する第二孔22を形成する。
 (IIb)の工程において、例えば、上記の式(1)に示すσの値が4μm以下であるように、ウェットエッチングが行われる。
 (IIb)の工程において、例えば、70°≦θ1≦90°の条件が満たされるように、ウェットエッチングが行われる。
 (IIb)の工程において、例えば、d/Dm≦8の関係が満たされるように、ウェットエッチングが行われる。
 (IIb)の工程において、例えば、第二孔22の内面の表面粗さRaが3μm以下であるように、ウェットエッチングが行われる。
 (IIb)の工程において、例えば、1.1≦φt/φoの条件が満たされるように、ウェットエッチングが行われる。
 ガラス基板に対して、所定の吸収係数を与える波長の光を含むパルスレーザーの照射による変質部の形成と、その後のウェットエッチングによる変質部の選択的な除去とを組み合わせた方法によって、ガラス基板に微細な孔を形成することが考えられる。この方法によれば、数十μmの直径を有する孔を、略一律に、数百μmの厚みを有するガラスに形成できる。このため、この方法は、タクトタイムの向上、孔位置精度の向上、及び加工ひずみの低減の観点から、特に大きなガラス基板に孔を形成するのに適している。なお、この方法において、パルスレーザーの照射で形成される変質部及び変質部の周辺に発生する応力によって生じたひずみは、ウェットエッチングにより変質部が除去されることによって解消される。この方法において、例えば、パルスレーザーの照射によって、ガラス厚み方向に変質部を形成し、変質部に対するエッチングレートが変質部以外の部分に対するエッチングレートよりも高いエッチング液を用いてウェットエッチングが行われる。これにより、変質部が除去されるとともに、所定の直径の孔が形成される。同一条件によるパルスレーザーの照射及び同一条件によるウェットエッチングによってガラス基板に孔を形成すると、典型的には、同一のガラス基板における孔の寸法は同じになる。このため、この方法によって、異なる寸法を有する複数の孔を形成することは困難である。そこで、(I)の工程では、ガラス基板10にパルスレーザーを照射して複数の基本変質部22eを含む第二変質部22tを形成するとともに、(IIb)の工程では、ウェットエッチングにより複数の基本変質部22eを含む第二変質部22tを除去して、1.1D以上の最大寸法を有する第二孔22を形成する。
 (I)、(IIa)、及び(IIb)の工程を備えた上記の方法によれば、第二変質部22tにおける複数の基本変質部22eの配置を調整することにより、第二孔22を所望の形状に形成できる。(IIa)及び(IIb)の工程は、同時に行われてもよい。
 上記の方法において、望ましくは、第一主面11に垂直な方向において、1~50μmの間隔でガラス基板にパルスレーザーを照射して第二変質部22tを形成する。この場合、第二孔22におけるσの値を4μm以下に調整しやすい。加えて、第二孔22の内面の表面粗さRaを13μm以下に調整しやすい。
 上記の方法において、より望ましくは、第一主面11に垂直な方向において、1~20μmの間隔でガラス基板10にパルスレーザーを照射して第二変質部22tを形成する。さらに望ましくは、第一主面11に垂直な方向において、2~10μmの間隔でガラス基板10にパルスレーザーを照射して第二変質部22tを形成する。この場合、第二孔22におけるσの値を1.5μm以下に調整しやすい。加えて、第二孔22の内面の表面粗さRaを4μm以下に調整しやすい。特に望ましくは、第一主面11に垂直な方向において、5~10μmの間隔でガラス基板10にパルスレーザーを照射して第二変質部22tを形成する。この場合、第二孔22におけるσの値を1μm以下に調整しやすい。加えて、第二孔22の内面の表面粗さRaを1.5μm以下に調整しやすい。
 上記の方法において、第二変質部22tの複数の基本変質部22eは、第一主面11において、例えば、円、楕円、多角形、直線、又は曲線を形成する軌跡に沿って配置されている。この場合、第一主面11における第二孔22の開口22aの形状を、円状、楕円状、多角形状、直線状、又は曲線状に形成できる。
 図4に示す通り、例えば、第一主面11における第二孔22の開口22aの形状が円状になるように第二孔22を形成する場合、(I)の工程において、第一主面11における仮想円Ctをトレースするように所定の間隔でパルスレーザーLpが照射される。これにより、ガラス基板10の内部において複数の基本変質部22eが仮想円Ctに沿って所定の間隔で形成される。
 図5は、本発明の具体例についてわかりやすく説明するために、強調して記載した基本孔と第二孔の作製の概念図である。図5に示す通り、仮想円Ctの直径をφiと表し、単発のパルスレーザーLpによって形成された変質部をウェットエッチングすることによって形成される孔(基本孔)の直径をφoと表す。ここで、基本孔の直径は、基本孔をなす変質部が隣接する基本孔とつながらないように隣接する基本孔をなす変質部から十分に離れていると仮定した場合に、ウェットエッチングにより得られる孔の直径である。加えて、仮想円Ctに沿って所定の間隔で形成された複数の基本変質部22eをウェットエッチングにより除去して得られる円孔の直径をφtと表し、隣接する基本孔同士の距離である基本孔間距離をDhと表す。基本孔間距離Dhは、(I)の工程において、第二変質部22tの形成のために連続して照射される2つのパルスレーザーの第一主面11における照射位置の第一主面11に垂直な方向における距離に相当する。φo<φtの条件が満たされ、1.1≦φt/φoの条件がさらに満たされる。例えば、φo=70μmである場合、φtは77μm以上である。なお、上記の方法において、φi<φtの関係が満たされ、φi+φoは、φtに略等しい。第一孔21及び第二孔22が形成されるガラス基板に、単発のパルスレーザーを照射して単一の変質部を形成し、その後のウェットエッチングによって変質部を除去して得られる基本孔の直径を予め調べる。これにより、所望の形状又は寸法を有する第二孔22を上記の方法によって形成するために必要な基本変質部22eの数又は配置を決定できる。なお、第一孔21の直径は、例えば、基本孔の直径φoと等しい。
 基本孔間距離Dhが小さいほど、第二孔22の内面が滑らかになりやすく、基本孔間距離Dhを所定の値に調整することによって、第二孔22のσの値又は第二孔22の内面の表面粗さRaを所望の範囲に調整できる。一方、基本孔間距離Dhが小さすぎると、パルスレーザーの照射回数が増え、タクトタイムが長くなるので有利とは言い難く、ガラス基板の内部に変質部が過剰に重なり合って形成され、ひずみ又は残留応力が発生して変質部の付近のガラスの特性が不均一になりやすい。これにより、ウェットエッチングによるガラス成分の除去が不均一となり第二孔22の凹凸が増す可能性がある。このことは、第二孔22のσの値又は第二孔22の内面の表面粗さRaを所望の範囲に調整する観点から有利とは言い難い。このため、基本孔間距離をDhは、例えば1~50μmであり、望ましくは1~20μmであり、2~10μmであってもよく、5~10μmであってもよい。
 微細構造付ガラス基板1の製造のために使用されるガラス基板10は、上記の方法により第一孔21及び第二孔22を形成できる限り、特定のガラス基板に限定されない。ガラス基板10をなすガラスは、例えば、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、又はチタン含有シリケートガラスである。ガラス基板10をなすガラスは、これらのガラスであって、かつ、アルカリ成分(アルカリ金属酸化物)を実質的に含んでいない無アルカリガラス又はアルカリ成分を微量だけ含んでいる低アルカリガラスであってもよい。
 さらに、その吸収係数を効果的に高めるために、ガラスが、着色成分として、Bi、W、Mo、Ce、Co、Fe、Mn、Cr、V及びCuから選ばれる金属の酸化物を少なくとも1種含んでいてもよい。
 ホウケイ酸ガラスとしては、コーニング社の#7059ガラス(組成は、質量%で表して、SiO2 49%、Al23 10%、B23 15%、RO(アルカリ土類金属酸化物)25%)又はパイレックス(登録商標)(ガラスコード7740)等が挙げられる。
 アルミノシリケートガラスは、以下の組成を有するガラスであってもよい。
 質量%で表して、
 SiO2 50~70%、
 Al23 14~28%、
 Na2O 1~5%、
 MgO 1~13%、及び
 ZnO 0~14%、
を含むガラス。
 アルミノシリケートガラスは、以下の組成を有するガラスであってもよい。
 質量%で表して、
 SiO2 56~70%、
 Al23 7~17%、
 B23 0~9%、
 Li2O 4~8%、
 MgO 1~11%、
 ZnO 4~12%、
 TiO2 0~2%、
 Li2O+MgO+ZnO 14~23%、
 CaO+BaO 0~3%、
を含むガラス。
 アルミノシリケートガラスは、以下の組成を有するガラスであってもよい。
 質量%で表して、
 SiO2 58~66%、
 Al23 13~19%、
 Li2O 3~4.5%、
 Na2O 6~13%、
 K2O 0~5%、
 R2O 10~18%(ただし、R2O=Li2O+Na2O+K2O)、
 MgO 0~3.5%、
 CaO 1~7%、
 SrO 0~2%、
 BaO 0~2%、
 RO 2~10%(ただし、RO=MgO+CaO+SrO+BaO)、
 TiO2 0~2%、
 CeO2 0~2%、
 Fe23 0~2%、
 MnO 0~1%(ただし、TiO2+CeO2+Fe23+MnO=0.01~3%)、
 SO3 0.05~0.5%、
を含むガラス。
 アルミノシリケートガラスは、以下の組成を有するガラスであってもよい。
 質量%で表して、
 SiO2 60~70%、
 Al23 5~20%、
 Li2O+Na2O+K2O 5~25%、
 Li2O 0~1%、
 Na2O 3~18%、
 K2O 0~9%、
 MgO+CaO+SrO+BaO 5~20%、
 MgO 0~10%、
 CaO 1~15%、
 SrO 0~4.5%、
 BaO 0~1%、
 TiO2 0~1%、
 ZrO2 0~1%、
を含むガラス。
 アルミノシリケートガラスは、以下の組成を有するガラスであってもよい。
 質量%で示して、
 SiO2 59~68%、
 Al23 9.5~15%、
 Li2O 0~1%、
 Na2O 3~18%、
 K2O 0~3.5%、
 MgO 0~15%、
 CaO 1~15%、
 SrO 0~4.5%、
 BaO 0~1%、
 TiO2 0~2%、
 ZrO2 1~10%、
を含むガラス。
 ソーダライムガラスは、例えば板ガラスに広く用いられる組成を有する。
 チタン含有シリケートガラスは、以下の組成を有する第一チタン含有シリケートガラスであってもよい。
 モル%で表示して、
 TiO2 5~25%を含み、
 SiO2+B23 50~79%、
 Al23+TiO2 5~25%、
 Li2O+Na2O+K2O+Rb2O+Cs2O+MgO+CaO+SrO+BaO 5~20%、
であるガラス。
 また、第一チタン含有シリケートガラスにおいて、
 SiO2 60~65%、
 TiO2 12.5~15%、
 Na2O 12.5~15%、を含み、
 SiO2+B23 70~75%、
であることが望ましい。
 さらに、第一チタン含有シリケートガラスにおいて、
 (Al23+TiO2)/(Li2O+Na2O+K2O+Rb2O+Cs2O+MgO+CaO+SrO+BaO)≦0.9、
であることがより望ましい。
 また、チタン含有シリケートガラスは、以下の組成を有する第二チタン含有シリケートガラスであってもよい。
 モル%で表示して、
 B23 10~50%、
 TiO2 25~40%、を含み、
 SiO2+B23 20~50%、
 Li2O+Na2O+K2O+Rb2O+Cs2O+MgO+CaO+SrO+BaO 10~40%、
であるガラス。
 低アルカリガラスは、以下の組成を有する第一低アルカリガラス又は第一無アルカリガラスであってもよい。
 モル%で表示して、
 SiO2 45~68%、
 B23 2~20%、
 Al23 3~20%、
 TiO2 0.1~5.0%(但し5.0%は除く)、
 ZnO 0~9%、を含み、
 Li2O+Na2O+K2O 0~2.0%(但し2.0%は除く)であるガラス組成物。
 また、第一低アルカリガラスにおいて、着色成分として、
 CeO2 0~3%、
 Fe23 0~1%、
 を含むことが望ましい。
 さらに実質的にアルカリ金属酸化物を含まない第一無アルカリガラスがより望ましい。
 第一低アルカリガラス又は第一無アルカリガラスは、必須成分としてTiO2を含む。第一低アルカリガラス又は第一無アルカリガラスにおけるTiO2の含有量は、0.1モル%以上5.0モル%未満であり、レーザー照射によって得られる孔の内面の平滑性に優れる点から、望ましくは0.2~4.0モル%であり、より望ましくは0.5~3.5モル%であり、さらに望ましくは1.0~3.5モル%である。特定の組成を有する低アルカリガラス又は無アルカリガラスにTiO2を適度に含ませることにより、比較的弱いレーザー照射によっても変質部を形成することが可能となる。加えて、その変質部は後工程のウェットエッチングにより容易に除去されうる。また、TiO2は結合エネルギーが紫外光のエネルギーと略一致しており、紫外光を吸収することが知られている。TiO2を適度に含ませることにより、電荷移動吸収として一般に知られているように、他の着色剤との相互作用を利用して着色をコントロールすることも可能である。従ってTiO2の含有量の調整により、所定の光に対する吸収を適度なものにすることができる。ガラスが適切な吸収係数を有することによって、ウェットエッチングによって孔が形成される変質部の形成が容易になるため、これらの観点からも、適度にTiO2を含ませることが望ましい。
 また、第一低アルカリガラス又は第一無アルカリガラスはZnOを任意成分として含んでいてもよい。第一低アルカリガラス又は第一無アルカリガラスにおけるZnOの含有量は、望ましくは0~9.0モル%であり、より望ましくは1.0~8.0モル%であり、さらに望ましくは1.5~5.0モル%であり、特に望ましくは1.5~3.5モル%である。ZnOは、TiO2と同様に紫外光の領域に吸収を示すので、ガラス基板10をなすガラスに有効な作用をもたらす。
 第一低アルカリガラス又は第一無アルカリガラスは、着色成分としてCeO2を含有させてもよい。特にTiO2と併用することで、変質部をより容易に形成させることができる。第一低アルカリガラス又は第一無アルカリガラスにおけるCeO2の含有量は望ましくは0~3.0モル%であり、より望ましくは0.05~2.5モル%であり、さらに望ましくは0.1~2.0モル%であり、特に望ましくは0.2~0.9モル%である。
 Fe23もガラス基板10をなすガラスにおける着色成分として有効であり、含有させてもよい。特にTiO2とFe23とを併用すること、又は、TiO2とCeO2とFe23とを併用することにより、変質部の形成が容易になる。第一低アルカリガラス又は第一無アルカリガラスにおけるFe23の含有量は、望ましくは0~1.0モル%であり、より望ましくは0.008~0.7モル%であり、さらに望ましくは0.01~0.4モル%であり、特に望ましくは0.02~0.3モル%である。
 第一低アルカリガラス又は第一無アルカリガラスは、以上に挙げた成分に限られるものではないが、適度な着色成分の含有によりガラスの所定波長(波長535nm以下)の吸収係数が1~50/cm、望ましくは3~40/cmになるようにしてもよい。
 また、低アルカリガラスは、以下の組成を有する第二低アルカリガラス又は第二無アルカリガラスであってもよい。
 モル%で表示して、
 SiO2 45~70%、
 B23 2~20%、
 Al23 3~20%、
 CuO 0.1~2.0%、
 TiO2 0~15.0%、
 ZnO 0~9.0%、
 Li2O+Na2O+K2O 0~2.0%(但し2.0%は除く)であるガラス。
 さらに実質的にアルカリ金属酸化物を含まない第二無アルカリガラスがより望ましい。
 第二低アルカリガラス又は第二無アルカリガラスは、第一低アルカリガラス又は第一無アルカリガラスと同様にTiO2を含んでいてもよい。第二低アルカリガラス又は第二無アルカリガラスにおけるTiO2の含有量は0~15.0モル%であり、レーザー照射によって得られる孔の内面の平滑性に優れる点から、望ましくは0~10.0モル%であり、より望ましくは1~10.0モル%であり、さらに望ましくは1.0~9.0モル%であり、特に望ましくは1.0~5.0モル%である。
 また、第二低アルカリガラス又は第二無アルカリガラスはZnOを含んでもよい。第二低アルカリガラス又は第二無アルカリガラスにおけるZnOの含有量は0~9.0モル%であり、望ましくは1.0~9.0モル%であり、より望ましくは1.0~7.0モル%である。ZnOは、TiO2と同様に紫外光の領域に吸収を示し、ガラス基板10をなすガラスに対して有効な作用をもたらす。
 さらに、第二低アルカリガラス又は第二無アルカリガラスはCuOを含む。第二低アルカリガラス又は第二無アルカリガラスにおけるCuOの含有量は、望ましくは0.1~2.0モル%であり、より望ましくは0.15~1.9モル%であり、さらに望ましくは0.18~1.8モル%であり、特に望ましくは0.2~1.6モル%である。CuOを含有させることにより、ガラスに着色が生じ、所定のレーザーの波長における吸収係数を適切な範囲にすることで、照射レーザーのエネルギーを適切に吸収させることができ、孔形成の基礎となる変質部を容易に形成できる。
 第二低アルカリガラス又は第二無アルカリガラスは、以上に挙げた成分に限られるものではないが、適度な着色成分の含有によりガラスの所定波長(波長535nm以下)の吸収係数が1~50/cm、望ましくは3~40/cmになるようにしてもよい。
 第一低アルカリガラス、第二低アルカリガラス、第一無アルカリガラス、又は第二無アルカリガラスはMgOを任意成分として含んでいてもよい。MgOはアルカリ土類金属酸化物の中でも、熱膨張係数の増大を抑制しつつ、かつ歪点を過大には低下させないという特徴を有し、溶解性も向上させるので含有させてもよい。第一低アルカリガラス、第二低アルカリガラス、第一無アルカリガラス、又は第二無アルカリガラスにおけるMgOの含有量は、望ましくは15.0モル%以下であり、より望ましくは12.0モル%以下であり、さらに望ましくは10.0モル%以下であり、特に望ましくは9.5モル%以下である。また、MgOの含有量は、望ましくは2.0モル%以上であり、より望ましくは3.0モル%以上であり、さらに望ましくは4.0モル%以上であり、特に望ましくは4.5モル%以上である。
 第一低アルカリガラス、第二低アルカリガラス、第一無アルカリガラス、又は第二無アルカリガラスはCaOを任意成分として含んでいてもよい。CaOは、MgOと同様に、熱膨張係数の増大を抑制しつつ、かつ歪点を過大には低下させないという特徴を有し、溶解性も向上させるので含有させてもよい。第一低アルカリガラス、第二低アルカリガラス、第一無アルカリガラス、又は第二無アルカリガラスにおけるCaOの含有量は、望ましくは15.0モル%以下であり、より望ましくは12.0モル%以下であり、さらに望ましくは10.0モル%以下であり、特に望ましくは9.3モル%以下である。また、CaOの含有量は、望ましくは1.0モル%以上であり、より望ましくは2.0モル%以上であり、さらに望ましくは3.0モル%以上であり、特に望ましくは3.5モル%以上である。
 第一低アルカリガラス、第二低アルカリガラス、第一無アルカリガラス、又は第二無アルカリガラスはSrOを任意成分として含んでいてもよい。SrOはMgO及びCaOと同様に、熱膨張係数の増大を抑制しつつ、かつ歪点を過大には低下させないという特徴を有し、溶解性も向上させるので、失透特性と耐酸性の改善のためには含有させてもよい。第一低アルカリガラス、第二低アルカリガラス、第一無アルカリガラス、又は第二無アルカリガラスにおけるSrOの含有量は、望ましくは15.0モル%以下であり、より望ましくは12.0モル%以下であり、さらに望ましくは10.0モル%以下であり、特に望ましくは9.3モル%以下である。また、SrOの含有量は、望ましくは1.0モル%以上であり、より望ましくは2.0モル%以上であり、さらに望ましくは3.0モル%以上であり、特に望ましくは3.5モル%以上である。
 ある成分を「実質的に含有しない」とは、ガラスにおける当該成分の含有量が、0.1モル%未満、望ましくは0.05モル%未満、より望ましくは0.01モル%以下であることを意味する。なお、本明細書において、数値範囲(各成分の含有量、各成分から算出される値及び各物性等)の上限値及び下限値は適宜組み合わせ可能である。
 ガラス基板10をなすガラスの熱膨張係数は、望ましくは100×10-7/℃以下であり、より望ましくは70×10-7/℃以下であり、さらに望ましくは60×10-7/℃以下であり、特に望ましくは50×10-7/℃以下である。また、熱膨張係数の下限は特に限定されないが、10×10-7/℃以上であってもよく、20×10-7/℃以上であってもよい。
 熱膨張係数は以下のように測定される。まず、直径5mm、高さ18mmの円柱形状のガラス試料を作製する。これを25℃からガラス試料の降伏点まで加温し、各温度におけるガラス試料の伸びを測定することにより、熱膨張係数を算出する。50~350℃の範囲の熱膨張係数の平均値を計算し、平均熱膨張係数を得ることができる。
 上記の方法によれば、(I)の工程では、いわゆる感光性ガラスを用いる必要がなく、加工できるガラスの範囲が広い。すなわち、(I)の工程では、金や銀を実質的に含まないガラスからなるガラス基板10に変質部を形成できる。
 高剛性のガラスは、レーザー照射した際に、ガラス基板10の第一主面11と第二主面12のどちらにおいても割れを発生しづらい。このため、ガラス基板10をなすガラスが高剛性のガラスであれば、(I)の工程において変質部を形成しやすい。高剛性のガラスは、例えば、80GPa以上のヤング率を有するガラスである。
 なお、吸収係数αは、厚さt(cm)のガラス基板10の透過率及び反射率を測定することによって算出できる。厚さt(cm)のガラス基板10について、所定の波長(波長535nm以下)における透過率T(%)と入射角12°における反射率R(%)とを分光光度計(例えば、日本分光株式会社製紫外可視近赤分光光度計V-670)を用いて測定する。得られた測定値から以下の式を用いて吸収係数α(/cm)を算出する。
  α=(1/t)*ln{(100-R)/T}
 ガラス基板10をなすガラスの吸収係数αは、望ましくは1~50/cmであり、より望ましくは3~40/cmである。
 以上に挙げたガラスについては、市販されている場合もあり、それらを購入して入手することができる。またそうでない場合であっても、公知の成形方法、例えば、オーバーフロー法、フロート法、スリットドロー法、キャスティング法等で所望のガラスを作製することができ、さらに切断や研磨等の後加工によって目的の形状のガラス基板を得ることができる。
 (I)の工程では、1度のパルスレーザー照射で第一変質部又は基本変質部を形成することが可能である。すなわち、本工程では、照射位置が重ならないようにパルスレーザーを照射することによって、これらの変質部を形成できる。ただし、照射パルスが重なるようにパルスレーザーを照射してもよい。
 (I)の工程では、通常、ガラス基板10の内部にフォーカスされるようにレンズでパルスレーザーを集光する。例えば、ガラス基板10に貫通孔を形成する場合には、通常、ガラス基板10の厚さ方向の中央付近にフォーカスされるようにパルスレーザーを集光する。なお、ガラス基板10の上面側(パルスレーザーの入射側)のみを加工する場合には、通常、ガラス基板10の上面側にフォーカスされるようにパルスレーザーを集光する。逆に、ガラス基板10の下面側(パルスレーザーの入射側とは反対側)のみを加工する場合には、通常、ガラス基板10の下面側にフォーカスされるようにパルスレーザーを集光する。ただし、変質部を形成できる限り、パルスレーザーがガラス基板10の外部にフォーカスされてもよい。例えば、ガラス基板10の上面や下面から所定の距離(例えば1.0mm)だけガラス基板10から離れた位置にパルスレーザーがフォーカスされてもよい。換言すれば、ガラス基板10に変質部が形成できる限り、パルスレーザーは、ガラス基板10の上面から手前方向(パルスレーザーの進行方向とは逆の方向)に1.0mm以内にある位置(ガラス基板10の上面含む)、又は、ガラス基板10の下面から後方(ガラスを透過したパルスレーザーが進行する方向)に1.0mm以内にある位置(ガラス基板10の下面位置を含む)又は内部にフォーカスされてもよい。
 パルスレーザーのパルス幅は、1~200ns(ナノ秒)が好ましく、1~100nsがより好ましく、5~50nsがさらに好ましい。また、パルス幅が200nsより大きくなると、パルスレーザーの尖頭値が低下してしまい、加工がうまくできない場合がある。5~100μJ/パルスのエネルギーからなるレーザー光をガラス基板10に照射する。パルスレーザーのエネルギーを増加させることによって、それに比例するように変質部の長さを長くすることが可能である。パルスレーザーのビーム品質M2値は、例えば2以下であってもよい。M2値が2以下であるパルスレーザーを用いることによって、微小な細孔又は微小な溝の形成が容易になる。
 (I)の工程では、パルスレーザーが、Nd:YAGレーザーの高調波、Nd:YVO4レーザーの高調波、又はNd:YLFレーザーの高調波であってもよい。高調波は、例えば、第2高調波、第3高調波又は第4高調波である。これらレーザーの第2高調波の波長は、532~535nm近傍である。第3高調波の波長は、355~357nm近傍である。第4高調波の波長は、266~268nmの近傍である。これらのレーザーを用いることによって、ガラス基板を安価に加工できる。
 (I)の工程に適用されるレーザー加工に用いる装置としては、例えば、コヒレント社製の高繰返し固体パルスUVレーザー:AVIA355-4500が挙げられる。当該装置では、第3高調波Nd:YVO4レーザーであり、繰返し周波数が25kHzの時に6W程度の最大のレーザーパワーが得られる。第3高調波の波長は350~360nmである。
 パルスレーザーの波長は、535nm以下が好ましく、例えば、350~360nmの範囲であってもよい。一方、パルスレーザーの波長が535nmよりも大きくなると、照射スポットが大きくなり、微小な構造の作製が困難になる上、熱の影響で照射スポットの周囲が割れやすくなる。
 典型的な光学系として、発振されたレーザーを、ビームエキスパンダで2~4倍に広げ(この時点でφ7.0~14.0mm)、可変のアイリスでレーザーの中心部分を切り取った後にガルバノミラーで光軸を調整し、100mm程度のfθレンズで焦点位置を調整しつつガラス基板10に集光する。
 レンズの焦点距離L(mm)は、例えば50~500mmの範囲にあり、100~200mmの範囲から選択してもよい。
 また、パルスレーザーのビーム径D(mm)は、例えば1~40mmの範囲にあり、3~20mmの範囲から選択してもよい。ここで、ビーム径Dは、レンズに入射する際のパルスレーザーのビーム径であり、ビームの中心の強度に対して強度が[1/e2]倍となる範囲の直径を意味する。
 (I)の工程では、焦点距離Lをビーム径Dで除した値、すなわち[L/D]の値が、7以上であり、7以上40以下が好ましく、10以上20以下であってもよい。この値は、ガラスに照射されるレーザーの集光性に関係する値であり、この値が小さいほど、レーザーが局所的に集光され、均一で長い変質部の作製が困難になることを示す。この値が7未満であると、ビームウェスト近傍でレーザーパワーが強くなりすぎてしまい、ガラス基板10の内部でクラックが発生しやすくなるという問題が生じる。
 (I)の工程では、パルスレーザーの照射前にガラスに対する前処理(例えば、パルスレーザーの吸収を促進するような膜を形成すること)は不要である。ただし、そのような処理を行ってもよい。
 アイリスの大きさを変えてレーザー径を変化させて開口数(NA)を0.020~0.075まで変動させてもよい。NAが大きくなりすぎると、レーザーのエネルギーが焦点付近のみに集中し、ガラス基板10の厚さ方向にわたって効果的に変質部が形成されない。
 さらにNAの小さいパルスレーザーを照射することにより、一度のパルス照射によって、厚み方向に比較的長い変質部が形成されるため、タクトタイムの向上に効果がある。
 繰返し周波数は10~25kHzとして、サンプルにレーザーを照射するのが好ましい。また焦点位置をガラス基板10の厚み方向で変えることで、ガラス基板10に形成される変質部の位置(上面側又は下面側)を最適に調整できる。
 さらに制御PCからのコントロールにより、レーザー出力、ガルバノミラーの動作等を制御することができ、CADソフト等で作成した2次元描画データに基づいて、レーザーを所定の速度でガラス基板10上に照射することができる。
 レーザーが照射された部分には、ガラス基板10の他の部分とは異なる変質部が形成される。この変質部は、光学顕微鏡等により容易に見分けることが可能である。組成によってガラス毎に差異はあるものの、変質部はおおむね円柱状に形成される。変質部はガラス基板10の上面近傍から下面近傍に達しうる。
 変質部は、レーザー照射により光化学的な反応が生じ、E’センタや非架橋酸素等の欠陥が生じた部位、又は、レーザー照射による急加熱若しくは急冷却によって生じた、高温度域における疎なガラス構造を保持した部位であると考えられる。
 フェムト秒レーザー装置を用いた従来の加工方法では、照射パルスが重なるようにレーザーを深さ方向(ガラス基板10の厚み方向)にスキャンしながら変質部を形成していたが、本発明の(I)の工程に係るレーザー照射とウェットエッチングを併用する孔開け技術においては、一度のパルスレーザーの照射で変質部を形成することができる。
 (I)の工程において選択される条件としては、例えば、ガラスの吸収係数が1~50/cmであり、パルスレーザー幅が1~100nsであり、パルスレーザーのエネルギーが5~100μJ/パルスであり、波長が350~360nmであり、パルスレーザーのビーム径Dが3~20mmであり、かつレンズの焦点距離Lが100~200mmである組み合わせが挙げられる。
 さらに、必要に応じて、ウェットエッチングを行う前に、変質部の直径のばらつきを減らすために、ガラス基板10を研磨してもよい。研磨しすぎると変質部に対するウェットエッチングの効果が弱まるため、研磨の深さは、ガラス基板10の上面から1~20μmの深さが好ましい。
 (I)の工程で形成される変質部の大きさは、レンズに入射する際のレーザーのビーム径D、レンズの焦点距離L、ガラスの吸収係数、パルスレーザーのパワー等によって変化する。得られる変質部は、例えば、直径が5~200μm程度であり、10~150μm程度であってもよい。また、変質部の深さは、上記のレーザー照射条件、ガラスの吸収係数、ガラスの板厚によっても異なるが、例えば、50~300μm程度であってもよい。
 また、変質部を形成する方法としては以上の態様に限られない。例えば、先述のフェムト秒レーザー装置からの照射によっても変質部又は加工孔を形成してもよい。
 パルスレーザーを照射するための光学系は、アキシコンレンズを備えた光学系であってもよい。このような光学系を用いてレーザービームを集光すれば、ベッセルビームを形成できる。例えば、パルスレーザーの照射位置の光軸方向に数mm~数十mmの長さにおいて中心部の光強度が高く保たれるベッセルビームを得ることができる。これにより、焦点深度を深くでき、かつ、ビーム径を小さくできる。その結果、ガラス基板10の厚み方向に略均一な変質部を形成できる。
 変質部の代わりに、ガラス基板10の内部に、予め加工孔を形成しておき、後工程のウェットエッチングによって、最終的な貫通孔等の構造を形成させることもできる。この加工孔を形成する工程は、例えば適切なガラス基板(例えば、レーザー加工に対して加工閾値を下げる効果の高いTi含有シリケートガラス等)に対して、所定の特性を備えるレーザーの照射によって、アブレーション又は蒸発により、加工孔を形成するというものである。用いるレーザー装置としては、例えば、中心波長が266nm又は355nm(パルス幅5~8nm)のYAGレーザーであって、レンズの焦点距離L(mm)は、例えば50~500mmの範囲であり、繰返し周波数は10~25kHzとして、0.5~10秒間ガラスにレーザーを照射するのが好ましい。
 レーザーアブレーションによっては、それ自体で10~100μm又はそれ以上の径の孔又は溝を形成できるため、ウェットエッチングと併用することによって、孔径の拡大や、ストレート性の向上の他に、加工部周辺のデブリ等のガラスの変形部位を目立たなくしたり、微細なクラックを除去する効果もある。
 後工程のウェットエッチングとの併用によって、ガラス基板10に第一孔21又は第二孔22を形成できれば、変質部の形成の方法は、以上の方法に限られない。
 (IIa)及び(IIb)の工程において、変質部を含まない部分よりも変質部を速く溶解除去できるエッチング液を用いてウェットエッチングすることにより、ガラス基板10に孔を形成できる。このとき、エッチング液が孔の内部まで入りにくい、又は、孔の内部に入ったエッチング液が周囲のエッチング液と置き換わりにくい場合は、ガラス基板の表面部(第一主面11又は第二主面12)がガラス基板の内部よりも選択的にエッチングされて、上記の角θ1が小さくなる可能性がある。例えば、ウェットエッチングにおいて、ガラス基板10を搖動させること又は超音波を照射することにより、エッチング液がガラス基板10の孔の内部まで入りやすい。加えて、エッチング液に溶解したガラス成分が孔の中から外部に運びだされ、新鮮なエッチング液が供給される。その結果、上記の角θ1が所望の範囲になりやすい。これにより、ガラス基板10の厚み方向における第二孔22の一端における寸法、他端における寸法、及び一端と他端との中間における寸法が近い値を取りやすい。なお、エッチング液におけるフッ酸の濃度を所定の濃度より低くすることにより、70°≦θ1≦90°の条件が満たされやすい。この場合、80°≦θ1≦90条件を満たすことも可能である。加えて、ガラス基板10の搖動又は超音波の照射により、85°≦θ1≦90°の条件が満たされやすい。
 上記の通り、(IIa)及び(IIb)の工程において、ガラス基板10に超音波を照射しながらウェットエッチングが行われてもよい。超音波によるキャビテーション、振動加速度、及び水流により、エッチング液及びエッチングによる生成物の分散が微細な孔の内部でも促進される。ウェットエッチング時に超音波の照射を行うことによって、微細な孔におけるガラス基板の表面付近と内部でのエッチング進行の差をなくし、微細で、勾配が大きく(高ストレート性)、深い、孔を形成できる。
 液体中で超音波を伝搬させると、液体中に空洞ができる現象であるキャビテーションが発生する。キャビテーションは極めて短時間に昇圧と減圧を繰り返し、水分子を揺さぶりながら、引っ張ったり圧縮したりすることで、微細な孔の内部までエッチング液又はエッチングによる生成物の動きを促す。しかし、周波数を高くしていくとキャビテーションが発生する閾値が上がり、特に100kHzを超えるとその閾値が指数関数的に急激に上昇してキャビテーションが発生しにくくなる。微細な孔のガラス基板の表面付近と内部のエッチング進行の差をなくし、微細で勾配が大きく、深い、孔を形成する観点から、ウェットエッチング時に照射される超音波の周波数は、120kHz以下の範囲から選ばれる少なくとも1つでありうる。超音波の周波数は、望ましくは10~120kHzであり、より望ましくは20~100kHzである。
 超音波の強度は、特に限定されない。超音波の強度は、例えば0.10~5.0w/cm2であり、望ましくは0.15~4.0w/cm2であり、より望ましくは0.20~3.0w/cm2である。ガラス基板10のダメージがない範囲で、照射する超音波の強度が調整される。これにより、孔の内部及び孔の近傍におけるエッチング液の交換が促進されやすい。超音波の強度は、実施例に記載の方法及び条件に従って測定できる。
 超音波処理には、特に限定されず、公知の装置を用いることができる。例えば、卓上型超音波洗浄器(本多電子社製、型番:W-113、出力:100W、発振周波数:28kHz/45kHz/100kHz、槽寸法:W240mm×D140mm×H100mm、又は、超音波洗浄器(アズワン社製、型番:US-3R、出力:120W、発振周波数:40kHz、槽寸法:W303mm×D152mm×H150mm)を使用できる。
 (IIa)及び(IIb)の工程において、ガラス基板10の片側のみからのエッチングを可能にするために、ガラス基板10の上面側又は下面側に表面保護皮膜剤を塗布して保護してもよい。このような表面保護皮膜剤として、市販品を使用でき、例えば、シリテクト-II(Trylaner International社製)を使用できる。
 (IIa)及び(IIb)の工程におけるウェットエッチングのエッチング液は、例えば、フッ化水素酸;硝酸、塩酸及び硫酸からなる群から選ばれる1種以上の無機酸;及び界面活性剤を含む。エッチング液は、他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、フッ化水素酸、硝酸、塩酸及び硫酸以外の無機酸;シュウ酸、酒石酸、ヨウド酢酸、フマル酸、マレイン酸等の有機酸;キレート剤が挙げられる。キレート剤は金属イオンを錯体化することで、ガラス基板10の表面への再付着を防止するので有効である。キレート剤としては、ジメチルグリオキシム、ジチゾン、オキシン、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸(HEDP)、ニトリロトリスメチレンホスホン酸(NTMP)等が挙げられる。HEDP及びNTMPはフッ化水素酸系の酸性領域での溶解性が高く有効である。
 エッチング液に含まれる界面活性剤としては、両性界面活性剤、陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、非イオン性界面活性剤等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。両性界面活性剤としては、例えば、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油アルキルアミノプロピオン酸ナトリウム、ラウリルアミノジプロピオン酸ナトリウムが挙げられる。陽イオン界面活性剤としては、例えば、第4級アンモニウム塩(例えば、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド)、高級アミンハロゲン酸塩(例えば、硬牛脂アミン)、ハロゲン化アルキルピリジニウム系(例えば、塩化ドデシルピリジニウム)が挙げられる。陰イオン界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、α-オレフィンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、タウリン系界面活性剤、ザルコシネート系界面活性剤、イセチオネート系界面活性剤、N-アシル酸性アミノ酸系界面活性剤、モノアルキルリン酸エステル塩、高級脂肪酸塩及びアシル化ポリペプチドが挙げられる。非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体が挙げられる。
 フッ化水素酸によるガラスの溶解反応は次のように記述される。
 SiO2+6HF→2H2O+H2SiF6
 フッ化水素酸濃度を上げるとエッチング速度が速くなるが、速くなりすぎると超音波照射による微細な孔の内部のエッチング液及びエッチングによる生成物の流動促進が十分に追いつかなくなってしまう。
 エッチング液に含まれるフッ化水素酸濃度は、例えば、0.05wt%~8.0wt%である。超音波照射によるエッチングにおいて微細な孔のガラス基板10の表面付近と内部のエッチング進行の差をなくし、微細で勾配が大きく、深い、孔を形成できる点から、エッチング液に含まれるフッ化水素酸濃度は、望ましくは0.10wt%~7.0wt%であり、より望ましくは0.20wt%~5.0wt%である。エッチング液に含まれるフッ化水素酸濃度を下げることによって、形成された孔の勾配を改善させることが可能である。一方、フッ化水素酸濃度を下げすぎると、エッチングレートが遅くなり処理効率が高まりにくい。
 フッ化水素酸によるガラスのエッチングで生じるフッ化物及びケイフッ化物は、溶解度が低いため、微細な孔の内部に留まりやすい。エッチング液がフッ化水素酸と硝酸、塩酸及び硫酸からなる群から選ばれる1種以上の無機酸との混酸を含む場合、硝酸、塩酸及び硫酸の電離によってH+が十分存在することで、HF⇔H++F-の平衡が左寄りとなる。これにより、遊離F-が少なくなり、フッ化物及びケイフッ化物の生成が抑えられ、超音波照射による微細な孔の内部のエッチング液及びエッチングによる生成物の流動を安定して保つことができる。単純にフッ化水素酸の濃度を下げた場合、遊離F-を少なくできるが、エッチングも進行し難くなるので、強酸によって、遊離F-の発生を抑えることが望ましい。エッチング液において硝酸、塩酸、及び硫酸の濃度を上げればエッチングレートが速くなる。エッチングレートが速くなりすぎると、超音波照射による微細な孔の内部のエッチング液及びエッチングによる生成物の流動促進が十分においつかなくなる可能性があるので、エッチングレートが所望の速さになるようにエッチング液における硝酸、塩酸、及び硫酸の濃度が調整される。
 エッチング液に界面活性剤を加えてエッチング液のガラスに対する濡れ性を向上することによって、エッチング液が微細な孔の内部に出入りしやすくなる。さらに汚れの除去、パーティクル又は生成物のガラス基板への再付着の防止により、超音波照射による微細な孔の内部でエッチングが良好に進行する。汚れ除去の効果を高めるために、界面活性剤の量を増やしてもよいが、増やしすぎると泡立ち又はすすぎの手間などの点で有利とは言い難い。エッチング液に加えられる界面活性剤は、例えば、質量基準で5ppm(parts per million)以上である。
 エッチング液に含まれる、硝酸、塩酸、及び硫酸からなる群より選ばれる1種以上の無機酸(好適には硝酸)の濃度は、例えば、2.0wt%~16.0wt%である。超音波照射によるエッチングにおいて、微細な孔のガラス基板の表面と孔の内部におけるエッチング進行の差をなくし、微細で勾配が大きく、深い、孔を形成できる点から、エッチング液に含まれる無機酸の濃度は、望ましくは2.5wt%~15.0wt%であり、より望ましくは3.0wt%~14.0wt%である。
 エッチング液に含まれる界面活性剤の含有量(重量濃度)は、例えば、5ppm~1000ppmである。超音波照射によるエッチングにおいて、微細な孔のガラス基板の表面と孔の内部におけるエッチング進行の差をなくし、微細で勾配が大きく、深い、孔又は溝を形成できる点から、界面活性剤の含有量は、望ましくは10ppm~800ppmであり、より望ましくは15ppm~600ppmである。界面活性剤の含有量は、例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて、測定できる。
 ウェットエッチングの時間及びエッチング液の温度は、変質部の形状、目的とする加工形状に応じて選択される。なお、ウェットエッチングにおいてエッチング液の温度を高くすることによって、エッチングレートを高めることができる。また、エッチングレートはエッチング液の組成によっても調整できる。(IIa)及び(IIb)の工程において、エッチングレートは、変質部以外のガラス基板におけるエッチングレートで表したところ、特に限定されないが、例えば0.1~9.0μm/minであり、望ましくは0.2~7.0μm/minであり、より望ましくは0.5~6.0μm/minである。さらに、エッチング条件によって、孔の直径を制御することが可能である。
 ウェットエッチングの時間は特に限定されないが、例えば、30~180分程度である。エッチング液の温度は、エッチングレートの調整のために変更可能であり、望ましくは5~45℃程度であり、より望ましくは15~40℃程度である。エッチング液の温度が45℃以上の温度であってもガラス基板に孔を形成できるが、エッチング液の揮発が早いため実用的ではない場合がある。5℃以下の温度でもガラス基板に孔を形成できるが、エッチングレートが極端に遅くなる温度の場合は実用的とは言い難い。
 エッチング液は、上記した各成分を溶媒中で混合することで得ることができる。溶媒は、特に限定されない。溶媒は、例えば水である。
 以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されない。
 <実施例1>
 mol%で表して、SiO2:63%、B23:10%、Al23:12%、TiO2:3%、ZnO:3%、Li2O+Na2O+K2O:0%(実質的に含まれない)、MgO+CaO+SrO+BaO:9%の組成を有する無アルカリガラスからなる実施例1に係るガラス基板を準備した。このガラス基板は、40mm×40mmの正方形状であり、0.4mmの厚みを有していた。
 ガラス基板にパルスレーザーを照射して所定の間隔で直線状に複数の第一変質部を形成した。さらに、表1に示す通り、基本孔間距離を、1μm、2μm、5μm、10μm、20μm、50μm、70μm、及び100μmに設定して、ガラス基板に、所定形状の輪郭に沿ってパルスレーザーを照射して複数の基本変質部を含む第二変質部を形成した。変質部の形成には、コヒレント社製の高繰返し固体パルスUVレーザー:AVIA355-4500を用いた。第3高調波Nd:YVO4レーザーであり、繰返し周波数が25kHzの時に6W程度の最大のレーザーパワーが得られる。第3高調波の主波長は355nmである。
 このレーザー装置より出射されたパルスレーザー(パルス幅:9ns、パワー:1.2W、ビーム径:3.5mm)を、ビームエキスパンダで4倍に広げ、この拡大されたビームを、径5~15mmの範囲で調整可能な可変のアイリスで切り取り、ガルバノミラーで光軸を調整し、焦点距離100mmのfθレンズでガラス基板の内部に入射させた。アイリスの大きさを変えることでレーザー径を変化させてNAを0.020~0.075まで変動させた。このとき、ガラス基板の上面から物理長で0.15mmだけ離れた位置にレーザー光を集光させた。照射パルスが重ならないように、レーザー光を、400mm/秒の速度でスキャンした。
 パルスレーザーの照射後にガラス基板を光学顕微鏡により観察した。その結果、ガラス基板のパルスレーザーが照射された部分において、他の部分とは異なる変質部が形成されていることが確認された。変質部はおおむね円柱状に形成されていた。
 繰返し周波数は10~25kHzとして、ガラス基板にパルスレーザーを照射した。また、焦点位置をガラス基板の厚み方向で変えることで、ガラス基板に形成される変質部の位置(上面側又は下面側)を最適に調整した。
 2wt%のフッ酸及び6wt%の硝酸を含有する水溶液を準備した。この水溶液に、非イオン系界面活性剤(和光純薬工業社製、製品名:NCW-1001、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの濃度が30重量%の水溶液)を15ppm添加し、実施例1に係るエッチング液を得た。エッチング液の温度を30℃に保ち、40kHz及び0.26W/cm2の超音波が照射されたエッチング槽にガラス基板を入れた。超音波の強度は出力(単位W)をエッチング槽の底面積(単位cm2)で除して求めた。超音波の照射には、超音波洗浄器(アズワン社製、型番:US-3R、出力:120W、発振周波数:40kHz、槽寸法:W303mm×D152mm×H150mm)を用いた。エッチング槽において、ガラス基板を起立させて上下方向に搖動させた。これにより、実施例1に係る微細構造付ガラス基板を得た。実施例1に係る微細構造付ガラス基板は、第一変質部が除去されて形成された複数の第一孔(A)、第二変質部が除去されて形成された複数種類の第二孔(B-1)~(B-5)、(C-1)~(C-5)、及び(D-1)~(D-6)、孔(X)、及び孔(Y)を有していた。実施例1に係る微細構造付ガラス基板の写真(傾斜角度:45°)を図6に示す。図6において、複数の第一孔(A)と、第二孔(B-1)~(B-5)及び(C-1)~(C-5)とが示されている。また、第二孔(C-1)~(C-5)の写真(傾斜角度:45°)を、それぞれ、図7A~図7Eに示す。加えて、第二孔(D-1)~(D-6)を真上から見た写真を、それぞれ、図13A~図13Fに示し、第二孔(D-1)~(D-6)の内面が見えるガラス基板の断面の写真を、それぞれ、図14A~図14Fに示す。孔(X)及び孔(Y)を真上から見た写真を、それぞれ、図13G及び図13Hに示し、孔(X)及び孔(Y)の内面が見えるガラス基板の断面の写真を、それぞれ、図14G及び図14Hに示す。
 <実施例2>
 1.3mmの厚みを有する以外は、実施例1に係るガラス基板と同一の実施例2に係るガラス基板を準備した。表1に示す通り、基本孔間距離を5μmに設定し、実施例2に係るガラス基板に所定形状の輪郭に沿って実施例1と同様にしてパルスレーザーを照射して複数の基本変質部を含む第二変質部を形成した。その後、実施例1と同様にして、超音波を照射しながら、実施例2に係るガラス基板における第二変質部をウェットエッチングにより除去し、実施例2に係る微細構造付ガラス基板を得た。実施例2に係る微細構造付ガラス基板は、第二孔(E-1)及び(E-2)を有していた。
 <実施例3>
 表1に示す通り、基本孔間距離を5μmに設定して、実施例1と同様にして、ガラス基板に所定形状の輪郭に沿ってパルスレーザーを照射して複数の基本変質部を含む第二変質部を形成した。その後、超音波を照射しなかったこと以外は実施例1と同様にして、ガラス基板における第二変質部をウェットエッチングにより除去し、実施例3に係る微細構造付ガラス基板を得た。実施例3に係る微細構造付ガラス基板は、第二孔(F)を有していた。
 <実施例4>
 表1に示す通り、基本孔間距離を5μmに設定して、実施例1と同様にして、ガラス基板に所定形状の輪郭に沿ってパルスレーザーを照射して複数の基本変質部を含む第二変質部を形成した。その後、2wt%のフッ酸及び6wt%の硝酸を含有する水溶液の代わりに、3wt%のフッ酸及び6wt%の硝酸を含有する水溶液を用いてエッチング液を調製し、かつ、超音波を照射しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、ガラス基板における第二変質部をウェットエッチングにより除去し、実施例4に係る微細構造付ガラス基板を得た。実施例4に係る微細構造付ガラス基板は、第二孔(G)を有していた。
 <実施例5>
 表1に示す通り、基本孔間距離を5μmに設定して、実施例1と同様にして、ガラス基板に所定形状の輪郭に沿ってパルスレーザーを照射して複数の基本変質部を含む第二変質部を形成した。その後、2wt%のフッ酸及び6wt%の硝酸を含有する水溶液の代わりに、4wt%のフッ酸及び6wt%の硝酸を含有する水溶液を用いてエッチング液を調製し、かつ、超音波を照射しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、ガラス基板における第二変質部をウェットエッチングにより除去し、実施例5に係る微細構造付ガラス基板を得た。実施例5に係る微細構造付ガラス基板は、第二孔(H)を有していた。
 <実施例6>
 表1に示す通り、基本孔間距離を5μmに設定して、実施例1と同様にして、ガラス基板に所定形状の輪郭に沿ってパルスレーザーを照射して複数の基本変質部を含む第二変質部を形成した。実施例1と同様にして、ガラス基板における第二変質部をウェットエッチングにより除去し、実施例6に係る微細構造付ガラス基板を得た。実施例6に係る微細構造付ガラス基板は、第二孔(I-1)及び(I-2)を有していた。第二孔(I-1)及び(I-2)を真上から見た写真をそれぞれ図15A及び図15Bに示す。
 (第二孔の開口の輪郭の計測)
 3次元測長器(Nikon社製、製品名:VMR-6555)を用いて、微細構造付ガラス基板の一方の主面における各第二孔の略円形状又は略四角形状の開口の輪郭を8倍の倍率で拡大したデジタル画像を得た。得られたデジタル画像において、略円形状の開口の輪郭を最小二乗法によって円に近似しつつ、略四角形状の開口の輪郭を最小二乗法によって四角形に近似した。その後、実際の輪郭と近似円又は近似四角形との残差εiから式(1)に従ってσの値を求めた。なお、画像の取り込み及び開口の輪郭の検出を含む一連の処理には、本装置に付属の測定ソフトウェアを用いた。得られたσの値を表1に示す。第二孔(D-1)の開口の輪郭の検出結果及び近似円の決定結果をそれぞれ図8B及び図8Cに示す。加えて、第二孔(D-1)のσの値の決定のために求めた実際の輪郭と近似円との残差εiの分布を図9に示す。第二孔(D-1)~(D-6)に関し、基本孔間距離と、各第二孔のσの値との関係を図10に示す。
 (第二孔の内面の計測)
 各第二孔が形成された位置で微細構造付ガラス基板を割断し、割断面を研磨してガラス基板の断面と第二孔の内面が明確に確認できるように第二孔の内面を露出させた。次に、レーザー顕微鏡(Keyence社製、製品名:VK-8500)を用いて、各第二孔の内面をガラス基板の厚み方向における略中心の位置で各第二孔の内面の表面粗さを計測した。例えば、第二孔(B-1)について、図11に示す写真における横線上の点r1及び点r2に挟まれたガラス基板の主面に略平行な50μmの長さの線状の測定領域に対し、JIS B 0601:1970又はJIS B 0601:1994に基づいて、中心線平均粗さ(Ra)、最大高さ(Ry)、及び十点平均粗さ(Rz)を算出した。同様にして、他の第二孔の内面における中心線平均粗さ(Ra)、最大高さ(Ry)、及び十点平均粗さ(Rz)を算出した。また、観察されたガラス基板の断面から、各第二孔について、上記の角θ1及びアスペクト比d/Dmを求めた。結果を表1に示す。加えて、第二孔(D-1)~(D-6)に関し、基本孔間距離と、各第二孔の内面のRa、Ry、及Rzの値との関係を図12に示す。
 表1に示す通り、φt≦270μmを満たす第二孔において、基本孔間距離が50μm以下であるときにσ≦4μmであり、基本孔間距離が1μm以上かつ20μm以下であるときにσ≦2.5μmであり、基本孔間距離が2μm以上かつ20μm以下であるときにσ≦2μmであった。270μm<φt、特に570μm≦φtを満たす第二孔において、基本孔間距離が1μm以上かつ20μm以下であるときにσ≦4μmであり、基本孔間距離が1μm以上かつ10μm以下のときにσ≦2.5μmであり、基本孔間距離が2μm以上かつ10μm以下のときにσ≦2μmであった。
 各第二孔において、基本孔間距離が1μm以上かつ20μm以下の場合、Ra≦13μmであった。特にφt=270μmの場合、基本孔間距離が1μm以上かつ50μm以下のときにRa≦13μmであった。各第二孔において、基本孔間距離が2μm以上かつ5μm以下のときにRa≦4μmであった。φt=270μmの場合、基本孔間距離が1μm以上かつ10μm以下のときにRa≦4μmであり、基本孔間距離が5μm以上かつ10μm以下のとき、Ra≦1.5μmであった。いずれのパルスレーザーの照射条件(変質部形成条件)においても、ウェットエッチングにおいて超音波を照射せず、かつ、HF(フッ化水素酸)の濃度を実施例1で用いたエッチング液におけるフッ酸濃度を1.5倍以上に変更した場合を除き、上記の角θ1は、80°≦θ1≦90°を満たしていた。加えて、いずれの第二孔においてもアスペクト比d/Dmについては、d/Dm≦8を満たしていた。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004

Claims (15)

  1.  第一主面において1000μm以下の直径を有する第一孔と、
     前記直径をDと表すとき、前記第一主面において1.1D以上の最大寸法を有する第二孔と、を有する、
     微細構造付ガラス基板。
  2.  前記第一主面を平面視したときの前記第二孔の開口の輪郭を最小二乗法によって回転対称な図形に近似して得られた近似図形の回転中心から等角に2°ずつ離れた180本の直線を順番に描き、i番目の前記直線(iは、1~180の間の連続した整数)と前記開口の輪郭との交点と、前記i番目の直線と前記近似図形の輪郭との交点との距離をεiと表すとき、下記式(1)によって決定されるσの値が4μm以下である、請求項1に記載の微細構造付ガラス基板。
    Figure JPOXMLDOC01-appb-M000001
  3.  前記第一主面における前記第二孔の開口の寸法が最大となり、かつ、前記第一主面に垂直である断面において、前記第一主面に隣接している前記第二孔の輪郭に沿って延びる直線と、前記第一主面に平行な直線とが前記第二孔の外部でなす角をθ1と表すとき、70°≦θ1≦90°である、請求項1又は2に記載の微細構造付ガラス基板。
  4.  前記第一主面における前記第二孔の前記最大寸法をDmと表し、かつ、当該微細構造付ガラス基板の厚みをdと表すとき、d/Dm≦8の関係を満たす、請求項1~3のいずれか1項に記載の微細構造付ガラス基板。
  5.  前記第二孔の内面の日本工業規格JIS B 0601:1970に基づく表面粗さRaは、13μm以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の微細構造付ガラス基板。
  6.  前記第二孔は、貫通孔又は有底孔である、請求項1~5のいずれか1項に記載の微細構造付ガラス基板。
  7.  微細構造付ガラス基板を製造する方法であって、
     ガラス基板にパルスレーザーを照射して、第一変質部と、複数の基本変質部を含む第二変質部とを形成することと、
     ウェットエッチングにより前記第一変質部を除去して、第一主面において1000μm以下の直径を有する第一孔を形成することと、
     前記直径をDと表すとき、ウェットエッチングにより前記第二変質部を除去して、前記第一主面において1.1D以上の最大寸法を有する第二孔を形成することと、を備えた、
     方法。
  8.  前記第一主面に垂直な方向において、1~50μmの間隔で前記ガラス基板にパルスレーザーを照射して前記第二変質部を形成する、請求項7に記載の方法。
  9.  前記第二変質部の前記複数の基本変質部は、前記第一主面において、円、楕円、多角形、直線、又は曲線を形成する軌跡に沿って配置されている、請求項7又は8に記載の方法。
  10.  前記第一主面を平面視したときの前記第二孔の開口の輪郭を最小二乗法によって回転対称な図形に近似して得られた近似図形の回転中心から等角に2°ずつ離れた180本の直線を順番に描き、i番目の前記直線(iは、1~180の間の連続した整数)と前記開口の輪郭との交点と、前記i番目の直線と前記近似図形の輪郭との交点との距離をεiと表すとき、下記式(1)によって決定されるσの値が4μm以下であるように、前記ウェットエッチングが行われる、請求項7~9のいずれか1項に記載の方法。
    Figure JPOXMLDOC01-appb-M000002
  11.  前記第一主面における前記第二孔の開口の寸法が最大となり、かつ、前記第一主面に垂直である断面において、前記第一主面に隣接している前記第二孔の輪郭に沿って延びる直線と、前記第一主面に平行な直線とが前記第二孔の外部でなす角をθ1と表すとき、70°≦θ1≦90°であるように、前記ウェットエッチングが行われる、請求項7~10のいずれか1項に記載の方法。
  12.  前記第一主面における前記第二孔の前記最大寸法をDmと表し、かつ、当該微細構造付ガラス基板の厚みをdと表すとき、d/Dm≦8の関係を満たすように、前記ウェットエッチングが行われる、請求項7~11のいずれか1項に記載の方法。
  13.  前記第二孔の内面の日本工業規格JIS B 0601:1970に基づく表面粗さRaは、13μm以下であるように、前記ウェットエッチングが行われる、請求項7~12のいずれか1項に記載の方法。
  14.  前記ガラス基板に単発のパルスレーザーを照射して単一の前記基本変質部を形成し、前記ウェットエッチングと同一条件のウェットエッチングにより前記単一の前記基本変質部を除去して得られる基本孔の前記第一主面における直径をφoと表し、かつ、前記第一主面における前記第二孔の直径をφtと表すとき、1.1≦φt/φoの条件が満たされる、請求項7~13のいずれか1項に記載の方法。
  15.  前記第二変質部の前記複数の基本変質部は、前記第一主面において、円、楕円、多角形、直線、又は曲線を形成する軌跡に沿って配置され、
     前記軌跡によって囲まれる図形の直径をφiと表すとき、φi+φoは、φtに略等しい、請求項14に記載の方法。
     
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