WO2020149040A1 - 微細構造付ガラス基板及び微細構造付ガラス基板の製造方法 - Google Patents

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    • C03C23/00Other surface treatment of glass not in the form of fibres or filaments

Abstract

微細構造付ガラス基板(10)は、50μm~2000μmの厚みを有し、第一主面(11)において開口しているとともに、微細構造付ガラス基板(10)をtと表すとき、(i)0.4≦ΦC/ΦA≦1.0、(ii)70°≦θ≦90°、(iii)Ra≦1.0μm、(iv)0≦D/t≦0.003、及び(v)1.5≦L/ΦC≦30の条件を満たす孔を有する。

Description

微細構造付ガラス基板及び微細構造付ガラス基板の製造方法
 本発明は、微細構造付ガラス基板及び微細構造付ガラス基板の製造方法に関する。
 近年、半導体実装の基板の材料としてガラス基板が注目されている。なぜなら、ガラス基板は、熱安定性、半導体の線膨張係数とのマッチング、及び高周波低損失電気特性等の観点から有利な特性を有するからである。ガラス基板を半導体実装の基板として利用するために、ガラス基板に孔等の微細構造を形成する技術が提案されている。一方、ガラスは脆性材料であるので、機械式ドリルを用いてガラス基板に微細構造を形成することは難しい。また、レーザードリル装置を用いたガラス基板の加工では、タクトタイムが長くなる。そこで、ガラス基板に微細構造を形成する実用的な方法として、変質部の形成のためのガラス基板へのレーザー照射と、ガラス基板に形成された変質部を除去するためのウェットエッチングとを組み合わせた方法が提案されている。
 例えば、特許文献1には、ガラスに穴を形成する方法が記載されており、この方法において、パルスレーザービームがガラスに向けられ、ガラス中のレーザービームの焦線に沿ってダメージトラック(パイロット孔)が形成される。その後、ガラスを酸溶液中でエッチングしてガラス中のダメージトラック(パイロット孔)が拡張され、所定の貫通穴が生成される。また、エッチングにおいて超音波撹拌が行われている。
 特許文献2には、ガラス系基板にパルスレーザービームを照射してガラス系基板の内部に損傷領域を形成し、エッチング溶液中でそのガラス系基板をエッチングしてその損傷領域を拡大させ、ガラス系基板に所定の穴を形成する方法が記載されている。エッチング溶液のpHは1.0~2.0である。エッチングにおいて、超音波によってエッチング溶液が撹拌されている。
 特許文献3には、ガラス基板にビアを形成するためのプロセスが記載されている。このプロセスによれば、ガラス基板に所定のパターンでレーザーを向けることによって複数のエッチング経路が作製される。その後、水酸化物系のエッチング材を使用して、エッチング経路に沿ってガラス基板を特異的にエッチングされる。
特表2017-510531号公報 米国特許出願公開第2018/0068868号明細書 特表2018-531205号公報
 特許文献1~3に記載の技術によれば、ガラス基板における孔の開口近傍の状態をも示す孔の幾何学的特徴についてさらなる検討の余地を有する。そこで、本発明は、孔の開口近傍の状態をも示す孔の幾何学的特徴が所望の状態にある微細構造付ガラス基板を提供する。加えて、本発明は、アルカリ性水溶液をエッチング液として用いて、このような微細構造付ガラス基板を製造する観点から有利な方法を提供する。
 本発明は、
 微細構造付ガラス基板であって、
 50μm~2000μmの厚みを有し、
 当該微細構造付ガラス基板の第一主面において開口しているとともに、前記厚みをtと表すとき、下記(i)、(ii)、(iii)、(iv)、及び(v)の条件を満たす孔を有する、
 微細構造付ガラス基板を提供する。
(i)0.4≦ΦC/ΦA≦1.0
(ii)70°≦θ≦90°
(iii)Ra≦1.0μm
(iv)0≦D/t≦0.003
(v)1.5≦L/ΦC≦30
 ΦAは、前記第一主面における前記孔の開口の直径である。
 ΦCは、当該微細構造付ガラス基板の厚み方向において前記第一主面及び前記孔の前記開口と反対側の端から等距離である位置での前記孔の直径である。
 θは、前記孔の軸線に沿って当該微細構造付ガラス基板を切断して現れる断面において、当該微細構造付ガラス基板の厚み方向の中央から前記第一主面に向かって延びる前記孔の内面がなす第一輪郭線と前記第一主面がなす第二輪郭線とがなす90°以下の大きさを有する角の大きさである。
 Raは、当該微細構造付ガラス基板の厚み方向における前記第一主面及び前記孔の前記反対側の端から等距離である位置での前記孔の前記内面の日本工業規格(JIS)B 0601:1994に基づく算術平均粗さである。
 Dは、前記微細構造が、前記断面において前記第一輪郭線に対して前記孔の半径方向外側に前記第二輪郭線に連なる第三輪郭線をなす環状の特異部を有するときに、当該微細構造付ガラス基板の厚み方向に沿って延びるとともに前記第一主面よりも前記孔の前記反対側の端から離れた位置で正の値をもたらす座標軸において、当該微細構造付ガラス基板の厚み方向において前記第一主面から最も離れた前記環状の特異部の位置を示す座標である。
 Lは、当該微細構造付ガラス基板の厚み方向における前記孔の長さである。
 また、本発明は、
 微細構造付ガラス基板を製造する方法であって、
 ガラス基板にパルスレーザーを照射して変質部を形成することと、
 ウェットエッチングにより前記変質部を除去して、前記ガラス基板に孔を形成することと、を備え、
 前記ウェットエッチングにおいて、下記式(1)で定義される特性値αが0.01以上であるアルカリ性水溶液をエッチング液として使用する、
 方法を提供する。
 α=η×Vt   式(1)
 ηは、前記エッチング液の粘度[mPa・s]である。
 Vtは、前記エッチング液におけるアルカリイオンのモル濃度[mol/L]と前記アルカリイオンを球と仮定したときの体積Vi[nm3]との積である。
 上記の微細構造付ガラス基板は、孔の開口近傍の状態をも示す孔の幾何学的特徴が所望の状態にある。また、上記の方法は、アルカリ性水溶液をエッチング液として用いており、上記の微細構造付ガラス基板を製造する観点から有利である。
図1は、本発明に係る微細構造付ガラス基板の一例を模式的に示す断面図である。 図2は、参考例に係る微細構造付ガラス基板の一例を模式的に示す断面図である。 図3は、エッチング液のα値とエッチングレートの関係を示したグラフである。
 ガラス基板にパルスレーザーを照射して形成されたダメージトラック又はパイロット孔等の欠陥を、フッ酸などの酸をエッチング液として用いたウェットエッチングによって拡張する場合、ガラスの種類によっては、反応種の拡散速度に対してエッチング速度が速くなりやすい。これにより、ガラス基板の主面から孔の内部に離れた領域で消費される反応種の量が少なく、ガラス基板の厚み方向の中央付近での孔径がガラス基板の主面における孔の開口の直径よりも小さくなりやすい。換言すると、ガラス基板の厚み方向の中央付近において孔にくびれが生じやすくなる場合がある。
 ガラス基板の厚み方向において孔の一端と他端との間で孔径の変動が小さい孔(ここでは、「ストレート性が高い孔」と表現する)を形成するために、エッチング液中に超音波を印加して反応種の拡散速度を高めることが考えられる。しかし、拡散速度を高めるために比較的低い周波数(例えば、28~50kHz)の超音波を用いると、用いるガラスの機械的特性によっては、ガラス基板にクラック又はダメージが生じやすい場合がある。加えて、ガラス基板の主面が過剰にエッチングされてガラス基板の表面が周囲より凹んだ部位に孔の開口の近傍が形成されたり、基板の表面から盛り上がった部位によって孔の開口の近傍が形成されたりする可能性がある。一方、比較的高い周波数(例えば、80kHz以上)の超音波を用いると、ガラス基板にクラック又はダメージは生じにくいものの、反応種の拡散速度を高めにくく、得られる孔にくびれが生じやすくなる場合がある。さらに、超音波の使用は、超音波の減衰及び反射波の重なりにより、エッチング槽における超音波の強度の空間的なばらつきを引き起こす可能性もある。この場合、ガラス基板の表面又は孔の内面における表面粗さ(例えば、日本工業規格(JIS)B 0601:1994に基づく算術平均粗さRa)が大きくなりやすい。加えて、複数の孔において孔径のばらつきが大きくなりやすく、特に、大きなサイズのガラス基板において均一な孔径で複数の孔を形成することが難しい場合がある。なお、フッ酸は高い腐食性を有するので、フッ酸を用いたエッチングには耐腐食性の設備が必要であり、作業者の安全性を確保するための設備も必要である。また、フッ酸は、産業廃棄物としての処理の負担が大きい。
 そこで、エッチング液としてアルカリ性水溶液を使用することが考えられる。この場合、エッチング液のエッチング速度がフッ酸等の酸のエッチング速度より遅くなりやすく、ガラス基板の主面から孔の内部に離れた領域にエッチング液の反応種が拡散しやすい。その結果、超音波を印加しなくてもストレート性の高い孔が形成されやすい。一方、アルカリ性水溶液をエッチング液として用いると、エッチング速度が遅いので、このような観点から改良の余地がある。そこで、本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、ウェットエッチングにおけるエッチング液として所定のアルカリ溶液を用いることによって、所望のエッチング速度で所望の幾何学的特徴を有する孔をガラス基板に形成できることを新たに見出した。
 以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明は、本発明の一例に関するものであり、本発明は以下の実施形態に限定されない。
 図1に示す通り、微細構造付ガラス基板10は、50μm~2000μmの厚みを有する。微細構造付ガラス板10は、孔20を有する。孔20は、例えば貫通孔である。孔20は、有底孔であってもよい。孔20は、微細構造付ガラス板10の第一主面11において開口している。加えて、微細構造付ガラス基板10の厚みをtと表すとき、下記(i)、(ii)、(iii)、(iv)、及び(v)の条件を満たす。厚みtは、例えば、第一主面11における孔20の開口21の近傍における微細構造付ガラス板10の厚みである。
(i)0.4≦ΦC/ΦA≦1.0
(ii)70°≦θ≦90°
(iii)Ra≦1.0μm
(iv)0≦D/t≦0.003
(v)1.5≦L/ΦC≦30
 ΦAは、第一主面11における孔20の開口21の直径である。
 ΦCは、微細構造付ガラス基板10の厚み方向において第一主面11及び孔20の開口21と反対側の端から等距離である位置での孔20の直径である。
 θは、孔20の軸線に沿って微細構造付ガラス基板10を切断して現れる断面において、微細構造付ガラス基板10の厚み方向の中央から第一主面11に向かって延びる孔20の内面がなす第一輪郭線L1と第一主面11がなす第二輪郭線L2とがなす90°以下の大きさを有する角の大きさである。
 Raは、微細構造付ガラス基板10の厚み方向における第一主面11及び孔20の反対側の端から等距離である位置での孔20の内面のJIS B 0601:1994に基づく算術平均粗さである。
 Dは、孔20が、上記の断面において第一輪郭線L1に対して孔20の半径方向外側に第二輪郭線L2に連なる第三輪郭線L3をなす環状の特異部を有するときに、微細構造付ガラス基板10の厚み方向に沿って延びるとともに第一主面11よりも孔20の反対側の端から離れた位置で正の値をもたらす座標軸Zにおいて、微細構造付ガラス基板10の厚み方向において第一主面11から最も離れた環状の特異部の位置を示す座標である。
 Lは、微細構造付ガラス基板10の厚み方向における孔20の長さである。
 孔20の軸線に沿って微細構造付ガラス基板10を切断して現れる断面において、微細構造付ガラス基板10の厚み方向の中央から第一主面11に向かって第一輪郭線L1の延びる方向が変わる場合、θの値が最小になるようにθが決定される。
 孔20が、上記の条件(i)及び(ii)を満たしているので、微細構造付ガラス基板10の厚み方向において孔20の中央付近でくびれが小さく、孔20のストレート性が高い。孔20は、望ましくは0.5≦ΦC/ΦA≦1.0の条件を満たし、より望ましくは0.6≦ΦC/ΦA≦1.0の条件を満たす。加えて、孔20は、望ましくは80°≦θ≦90°の条件を満たし、より望ましくは85°≦θ≦90°の条件を満たす。ここで、「くびれが小さい」とは、ガラス基板の厚み方向の中央付近での孔径がガラス基板の主面における孔の開口の直径よりも小さくなる程度が小さいことを意味する。
 孔20が、上記の条件(iii)を満たしているので、孔20の内面の凹凸が小さく孔20の内面が平滑になりやすい。このため、例えば、孔20の内面に導電性材料を容易に付着させて導電膜を得ることができ、付着した導電性材料が剥離しにくい。加えて、その導電膜が均一な特性を有しやすく、所望の電気特性が得られやすい。孔20は、望ましくは、Ra≦0.9μmの条件を満たし、より望ましくは、Ra≦0.8μmの条件を満たす。
 孔20が、上記の条件(iv)を満たしているので、θが90°より小さく、かつ、孔20が環状の特異部を有していても、孔20の軸線方向における環状の特異部の長さが小さく、孔20がストレートに延びる部分の長さが長くなりやすい。孔20は、望ましくは0≦D/t≦0.0025の条件を満たし、より望ましくは0≦D/t≦0.002の条件を満たす。
 図1に示す微細構造付ガラス基板10のように、Dが正の値である場合、環状の特異部として環状の凸部が形成される。このような環状の凸部が形成される理由は、孔表面近傍は、孔内部から溶出物濃度が高い液が流出するため平坦部と比較しエッチングレートが低下し易いからと考えられる。特に易溶解性成分のアルカリ成分比率が少ない無アルカリガラスにおいてエッチングレートの低下が顕著となり凸部形状が形成される。図2に示す参考例に係る微細構造付ガラス基板100のように、Dが負の値である場合、環状の特異部として、環状の凹部が形成される。微細構造付ガラス基板100は、特に説明する部分を除き、微細構造付ガラス基板10と同様に構成されている。このような環状の凹部が形成される理由は、超音波照射により孔部分にポンプ効果が発生し孔の内部及び孔表面の液流速が速くなるためだと考えられる。その結果、孔表面近傍のエッチングレートが向上し凹部が形成されると考えている。この効果はエッチャントが酸及びアルカリに関わりなく発生する。
 L/ΦCは、孔20のアスペクト比を示す。孔20が、上記の条件(v)を満たしているので、孔20が所望のアスペクト比を有する。このため、微細構造付ガラス基板10を用いて、半導体実装における集積度を高めることができる。孔20は、2≦L/ΦC≦30の条件を満たしてもよく、3≦L/ΦC≦30の条件を満たしてもよい。孔20が貫通孔である場合、Lの値は、tの値と一致する。
 なお、図1及び図2は、各パラメータをわかりやすく表現し、説明をわかりやすくするための概略図である。例えば、実際の孔20はその開口近傍でコーン状(テーパ状)の形状を呈している場合もあるが、図1及び図2の孔20は、これ以外に厚み方向に大きく三分割されているように記載されている。これは、ΦAとΦCとの違いや、角度θと第一輪郭線L1、「くびれ」などについてわかりやすく表現するために記載したものであることに留意されたい。
 微細構造付ガラス基板10をなすガラスは、特定のガラスに限定されない。半導体実装への適用を考慮すると、微細構造付ガラス基板10をなすガラスにおけるアルカリ成分の含有率が低いことが望ましい。なぜなら、微細構造付ガラス基板10の線膨張係数をシリコン基板の線膨張係数に近づけやすく、良好な耐薬品性を実現しやすいからである。加えて、熱拡散又は酸若しくはアルカリによる処理により、微細構造付ガラス基板10に含有されるアルカリ成分が溶出して半導体素子に向かって拡散することを抑制できる。その結果、電気絶縁性の低下を招きにくい。加えて、誘電率(ε)及び誘電正接(tanδ)等の電気特性及び高周波特性に悪影響が及びにくい。
 微細構造付ガラス基板10をなすガラスにおいて、Li2O、Na2O、及びK2Oの含有量の和は、望ましくは、10モル%未満である。この場合、微細構造付ガラス基板10が半導体実装における基板として所望の特性を有しやすい。微細構造付ガラス基板10をなすガラスにおいて、Li2O、Na2O、及びK2Oの含有量の和(Li2O+Na2O+K2O)は、より望ましくは5モル%未満であり、さらに望ましくは0.5モル%未満である。
 微細構造付ガラス基板10を製造する方法は、例えば、以下の(I)及び(II)の工程を備える。
(I)ガラス基板にパルスレーザーを照射して変質部を形成する。
(II)ウェットエッチングにより上記の変質部を除去して、上記のガラス基板に孔を形成する。
 上記の(II)のウェットエッチングにおいて、下記式(1)で定義される特性値αが0.01以上であるアルカリ性水溶液をエッチング液として使用する。なお、ηは、前記エッチング液の粘度[mPa・s]であり、Vtは、エッチング液におけるアルカリイオンのモル濃度[mol/L]とアルカリイオンを球と仮定したときの体積Vi[nm3]との積である。なお、本明細書においてエッチング液の粘度ηは、20℃における値である。
 α=η×Vt   式(1)
 典型的には、ガラスの変質部に対するエッチング液のエッチングレートは、ガラスの変質されていない領域に対するエッチング液のエッチングレートより大きい。
 特性値αが0.01以上であると、エッチング液が所定値以上の粘度を有し、エッチング液に所望の濃度でアルカリ成分が含まれる。これにより、エッチング液が適切な反応性を発揮できる。
 特性値αは、望ましくは0.04≦α≦0.4の条件を満たし、より望ましくは0.05≦α≦0.3の条件を満たす。これにより、エッチング液の粘度が低くなりやすく、エッチング液の反応種が移動しやすい。このため、反応種が適切に拡散して変質部全体に到達しやすい。加えて、エッチング液に含まれるアルカリイオンのモルの体積Viが所定値以下になりやすく、アルカリイオンが拡散しやすい。このため、エッチング液の反応種が変質部全体に到達しやすい。その結果、エッチング液に超音波を印加しなくても高いストレート性を有する孔20を形成できる。
 エッチング液の粘度ηは、例えば、Wolf, A. V.,Aqueous Solutions and Body Fluids, Hoeber Medical Division, Harper & Row, 1966.及びSohnel, O., and Novotny, P., Densities of Aqueous Solutions of Inorganic Substances, Elsevier, Amsterdam, 1985.等の文献を参照して決定できる。エッチング液の粘度は回転式粘度計又は音叉式粘度計を用いて決定してもよい。また、エッチング液の粘度の測定は、JIS Z 8803:2011の液体の粘度測定方法に準じた、毛細管粘度計によって行ってもよい。回転式粘度計の具体例として、LAMY Rheology社製の型式B-ONE TOUCH-Rを挙げることができる。このような粘度計を20℃の環境で用いてエッチング液の粘度の測定を実施できる。
 上記の微細構造付ガラス基板10を製造する方法に用いられるガラス基板において、Li2O、Na2O、及びK2Oの含有量の和は、望ましくは、10モル%未満である。Li2O、Na2O、及びK2Oの含有量の和(Li2O+Na2O+K2O)は、より望ましくは5モル%未満であり、さらに望ましくは0.5モル%未満である。また、上記のガラス基板において、Li2O、Na2O、及びK2Oなどのアルカリ金属酸化物は実質的に含まれなくてもよい。ここで「実質的に含まれない」とは、ガラスにおけるこれらの成分の含有量が、0.1モル%未満、望ましくは0.05モル%未満、より望ましくは0.01モル%以下であることを意味する。
 アルカリ性水溶液は、例えば、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、又は水酸化カリウム水溶液と水酸化ナトリウム水溶液との混合物である。この場合、エッチング液に含まれるアルカリイオンは、特性値αが所望の条件を満たすのに有利な体積Viを有する。なお、ナトリウムイオンの体積Viを決定するためのナトリウムイオンのイオン半径は、例えば0.095nmであり、カリウムイオンの体積Viを決定するためのカリウムイオンのイオン半径rは、例えば、0.133nmである。これらのイオン半径は、L. Pauling, The Nature of the Chemical Bond, 3rd Edn., Cornell University Press,Ithaca, N. Y. (1960)、FA コットン, G. ウィルキンソン著, 中原 勝儼訳 『コットン・ウィルキンソン無機化学』 培風館、1987年、及び長島弘三、佐野博敏、富田 功 『無機化学』 実教出版等の文献に基づく値である。
 (II)の工程において、ガラス基板の片側のみからのエッチングを可能にするために、ガラス基板の一方の主面に表面保護皮膜剤を塗布してもよい。このような表面保護皮膜剤としては、シリテクト-II(Trylaner International社製)等の市販品を使用できる。
 エッチング時間又はエッチング液の温度は、変質部の形状あるいは目的とする加工形状に応じて選択される。エッチング時間はガラス基板の厚みにもよるので、特に限定されないが、例えば、30~180分間である。
 ウェットエッチングにおけるアルカリ性水溶液の温度は、例えば、60℃~130℃である。エッチング液の反応種の移動速度を高めて反応種を適切に拡散させ、反応種を変質部全体に到達させること、及び、反応速度を高めることを考慮すると、アルカリ性水溶液の温度が高いことが有利である。(II)の工程の期間中に、エッチング液の温度は、エッチングレートの調整のために変更可能である。例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製の反応槽又はニッケル製の反応槽を用いることにより、アルカリ性水溶液の温度を130℃付近まで高めてウェットエッチングを実施できる。一方、耐熱性塩化ビニル又はポリエチレン製の反応層を用いることも可能である。耐熱性塩化ビニル又はポリエチレンは、耐薬品性が高く、良好な加工性を有する汎用性の材料である。このため、微細構造付ガラス基板10の製造コストを低減しやすい。耐熱性塩化ビニル又はポリエチレン製の反応層を用いる場合、アルカリ性水溶液の温度は、望ましくは100℃以下である。
 微細構造付ガラス基板10をなすガラス又は上記の製造方法に用いられるガラス基板をなすガラスは、特定のガラスに限定されない。ガラスにおいて、例えば、上記の工程(I)のパルスレーザーの中心波長における吸収係数aが1~50/cmである。パルスレーザーの中心波長は、典型的には、535nm以下である。パルスレーザーの波長は、例えば、350~360nmの範囲であってもよい。
 吸収係数aは、厚さt(cm)のガラス基板の透過率及び反射率を測定することによって算出できる。厚さt(cm)のガラス基板について、所定の波長(波長535nm以下)における透過率T(%)と入射角12°における反射率R(%)とを分光光度計(例えば、日本分光株式会社製紫外可視近赤分光光度計V-670)を用いて測定する。得られた測定値から以下の式を用いて吸収係数a(/cm)を算出する。
 a=(1/t)*ln{(100-R)/T}
 パルスレーザーの中心波長におけるガラスの吸収係数aは、望ましくは1~50/cmであり、より望ましくは3~40/cmである。
 (I)の工程では、通常、ガラス基板の内部にフォーカスされるようにレンズでパルスレーザーを集光する。例えば、ガラス基板に貫通孔を形成する場合には、通常、ガラス基板の厚さ方向の中央付近にフォーカスされるようにパルスレーザーを集光する。なお、ガラス基板の上面側(パルスレーザーの入射側)のみを加工する場合には、通常、ガラス基板の上面側にフォーカスされるようにパルスレーザーを集光する。逆に、ガラス基板の下面側(パルスレーザーの入射側とは反対側)のみを加工する場合には、通常、ガラス基板の下面側にフォーカスされるようにパルスレーザーを集光する。ただし、変質部を形成できる限り、パルスレーザーがガラス基板の外部にフォーカスされてもよい。例えば、ガラス基板の上面や下面から所定の距離(例えば1.0mm)だけガラス基板から離れた位置にパルスレーザーがフォーカスされてもよい。換言すれば、ガラス基板に変質部を形成できる限り、パルスレーザーは、ガラス基板の上面から手前方向(パルスレーザーの進行方向とは逆の方向)に1.0mm以内にある位置(ガラス基板の上面含む)、又は、ガラス基板の下面から後方(ガラスを透過したパルスレーザーが進行する方向)に1.0mm以内にある位置(ガラス基板の下面位置を含む)又は内部にフォーカスされてもよい。
 パルスレーザーのパルス幅は、1~200ns(ナノ秒)が好ましく、1~100nsがより好ましく、5~50nsがさらに好ましい。また、パルス幅が200nsより大きくなると、パルスレーザーの尖頭値が低下してしまい、加工がうまくできない場合がある。5~100μJ/パルスのエネルギーからなるレーザー光をガラス基板に照射する。パルスレーザーのエネルギーを増加させることによって、それに比例するように変質部の長さを長くすることが可能である。パルスレーザーのビーム品質M2値は、例えば2以下であってもよい。M2値が2以下であるパルスレーザーを用いることによって、微小な細孔又は微小な溝の形成が容易になる。
 (I)の工程では、パルスレーザーが、Nd:YAGレーザーの高調波、Nd:YVO4レーザーの高調波、又はNd:YLFレーザーの高調波であってもよい。高調波は、例えば、第2高調波、第3高調波又は第4高調波である。これらレーザーの第2高調波の波長は、532~535nm近傍である。第3高調波の波長は、355~357nm近傍である。第4高調波の波長は、266~268nmの近傍である。これらのレーザーを用いることによって、ガラス基板を安価に加工できる。
 (I)の工程に適用されるレーザー加工に用いる装置としては、例えば、コヒレント社製の高繰返し固体パルスUVレーザー:AVIA355-4500が挙げられる。当該装置では、第3高調波Nd:YVO4レーザーであり、繰返し周波数が25kHzの時に6W程度の最大のレーザーパワーが得られる。第3高調波の波長は350~360nmである。
 典型的な光学系において、発振されたレーザーを、ビームエキスパンダで2~4倍に広げ(この時点でφ7.0~14.0mm)、可変のアイリスでレーザーの中心部分を切り取った後にガルバノミラーで光軸を調整し、100mm程度のfθレンズで焦点位置を調整しつつガラス基板に集光する。
 レンズの焦点距離L(mm)は、例えば50~500mmの範囲にあり、100~200mmの範囲から選択してもよい。
 また、パルスレーザーのビーム径S(mm)は、例えば1~40mmの範囲にあり、3~20mmの範囲から選択してもよい。ここで、ビーム径Sは、レンズに入射する際のパルスレーザーのビーム径であり、ビームの中心の強度に対して強度が[1/e2]倍となる範囲の直径を意味する。
 (I)の工程では、焦点距離Lをビーム径Sで除した値、すなわち[L/S]の値が、7以上であり、7以上40以下が好ましく、10以上20以下であってもよい。この値は、ガラスに照射されるレーザーの集光性に関係する値であり、この値が小さいほど、レーザーが局所的に集光され、均一で長い変質部の作製が困難になることを示す。この値が7未満であると、ビームウェスト近傍でレーザーパワーが強くなりすぎてしまい、ガラス基板の内部でクラックが発生しやすくなるという問題が生じる。
 (I)の工程では、パルスレーザーの照射前にガラスに対する前処理(例えば、パルスレーザーの吸収を促進するような膜を形成すること)は不要である。ただし、そのような処理を行ってもよい。
 アイリスの大きさを変えてレーザー径を変化させて開口数(NA)を0.020~0.075まで変動させてもよい。NAが大きくなりすぎると、レーザーのエネルギーが焦点付近のみに集中し、ガラス基板の厚さ方向にわたって効果的に変質部が形成されない。
 さらにNAの小さいパルスレーザーを照射することにより、一度のパルス照射によって、厚み方向に比較的長い変質部が形成されるため、タクトタイムの向上に効果がある。
 繰返し周波数は10~25kHzとして、サンプルにレーザーを照射するのが好ましい。また焦点位置をガラス基板の厚み方向で変えることで、ガラス基板に形成される変質部の位置(上面側又は下面側)を最適に調整できる。
 さらに制御PCからのコントロールにより、レーザー出力、ガルバノミラーの動作等を制御することができ、CADソフト等で作成した2次元描画データに基づいて、レーザーを所定の速度でガラス基板上に照射することができる。
 レーザーが照射された部分には、ガラス基板の他の部分とは異なる変質部が形成される。この変質部は、光学顕微鏡等により容易に見分けることが可能である。組成によってガラス毎に差異はあるものの、変質部はおおむね円柱状に形成される。変質部はガラス基板の上面近傍から下面近傍に達しうる。
 変質部は、レーザー照射により光化学的な反応が生じ、E’センタや非架橋酸素等の欠陥が生じた部位、又は、レーザー照射による急加熱若しくは急冷却によって生じた、高温度域における疎なガラス構造を保持した部位であると考えられる。
 フェムト秒レーザー装置を用いた従来の加工方法では、照射パルスが重なるようにレーザーを深さ方向(ガラス基板の厚み方向)にスキャンしながら変質部を形成していた。一方、本発明の(I)の工程に係るレーザー照射とウェットエッチングとを併用する製造方法によれば、一度のパルスレーザーの照射で変質部を形成することができる。
 (I)の工程において選択される条件としては、例えば、ガラスの吸収係数が1~50/cmであり、パルスレーザー幅が1~100nsであり、パルスレーザーのエネルギーが5~1000μJ/パルスであり、波長が350~360nmであり、パルスレーザーのビーム径Sが3~20mmであり、かつレンズの焦点距離Lが100~200mmである組み合わせが挙げられる。
 さらに、必要に応じて、ウェットエッチングを行う前に、変質部の直径のばらつきを減らすために、ガラス基板を研磨してもよい。研磨しすぎると変質部に対するウェットエッチングの効果が弱まるため、研磨の深さは、ガラス基板の上面から1~20μmの深さが好ましい。
 (I)の工程で形成される変質部の大きさは、レンズに入射する際のレーザーのビーム径S、レンズの焦点距離L、ガラスの吸収係数、パルスレーザーのパワー等によって変化する。得られる変質部は、例えば、直径が5~200μm程度であり、10~150μm程度であってもよい。また、変質部の深さは、上記のレーザー照射条件、ガラスの吸収係数、ガラスの板厚によっても異なるが、例えば、50~2000μm程度であってもよい。
 また、変質部を形成する方法としては以上の態様に限られない。例えば、先述のフェムト秒レーザー装置からの照射によって変質部又は加工孔を形成してもよい。
 パルスレーザーを照射するための光学系は、アキシコンレンズを備えた光学系であってもよい。このような光学系を用いてレーザービームを集光すれば、ベッセルビームを形成できる。例えば、パルスレーザーの照射位置の光軸方向に数mm~数十mmの長さにおいて中心部の光強度が高く保たれるベッセルビームを得ることができる。これにより、焦点深度を深くでき、かつ、ビーム径を小さくできる。その結果、ガラス基板の厚み方向に略均一な変質部を形成できる。
 微細構造付ガラス基板10をなすガラス又は上記の製造方法に用いられるガラス基板をなすガラスは、例えば、以下の組成を有するアルミノボロシリケートガラスでありうる。
 モル%で表示して、
 SiO2 45~68%、
 B23 2~20%、
 Al23 3~20%、
 TiO2 0.1~5.0%、
 ZnO 0~9%、を含み、
 Li2O+Na2O+K2O 0~15%であるガラス。
 上記のアルミノボロシリケートガラスにおいて、Li2O+Na2O+K2Oは、望ましくは10モル%未満であり、より望ましくは5モル%未満であり、さらに望ましくは0.5モル%未満である。
 上記のアルミノボロシリケートガラスにおいて、着色成分として、
 CeO2 0~3%、
 Fe23 0~1%、
 を含んでいてもよい。
 上記のアルミノボロシリケートガラスは、必須成分としてTiO2を含む。アルミノボロシリケートガラスにおけるTiO2の含有量は、0.1モル%以上5.0モル%以下である。TiO2の含有量は、パルスレーザーの照射によって得られる孔の内面の平滑性を高める観点から、望ましくは0.2~4.0モル%であり、より望ましくは0.5~3.5モル%であり、さらに望ましくは1.0~3.5モル%である。上記のアルミノボロシリケートガラスにTiO2を適度に含ませることにより、比較的弱いレーザー照射によって変質部が形成されやすい。加えて、その変質部は後工程のウェットエッチングにより容易に除去されうる。また、TiO2は結合エネルギーが紫外光のエネルギーと略一致しており、紫外光を吸収しやすい。TiO2を適度に含ませることにより、電荷移動吸収によって、他の着色剤との相互作用を利用して着色をコントロールすることも可能である。従って、TiO2の含有量の調整により、所定の光に対する吸収を適度なものにすることができる。ガラスが適切な吸収係数を有することによって、ウェットエッチングによって孔が形成される変質部の形成が容易になるため、これらの観点からも、適度にTiO2を含ませることが望ましい。
 上記のアルミノボロシリケートガラスはZnOを任意成分として含んでいてもよい。アルミノボロシリケートガラスにおけるZnOの含有量は、望ましくは0~9.0モル%であり、より望ましくは1.0~8.0モル%であり、さらに望ましくは1.5~5.0モル%であり、特に望ましくは1.5~3.5モル%である。ZnOは、TiO2と同様に紫外光の領域に吸収を示す。
 上記のアルミノボロシリケートガラスは、着色成分としてCeO2を含有していてもよい。CeO2は、特にTiO2と併用されることにより、変質部を容易に形成させることができる。CeO2の含有量は望ましくは0~3.0モル%であり、より望ましくは0.05~2.5モル%であり、さらに望ましくは0.1~2.0モル%であり、特に望ましくは0.2~0.9モル%である。
 Fe23も着色成分として有効であり、上記のアルミノボロシリケートガラスがFe23を含有していてもよい。特にTiO2とFe23とを併用すること、又は、TiO2と、CeO2と、Fe23とを併用することにより、変質部の形成が容易になる。アルミノボロシリケートガラスにおけるFe23の含有量は、望ましくは0~1.0モル%であり、より望ましくは0.008~0.7モル%であり、さらに望ましくは0.01~0.4モル%であり、特に望ましくは0.02~0.3モル%である。
 アルミノボロシリケートガラスは、以上に挙げた成分に限られるものではないが、適度な着色成分の含有によりガラスの所定波長(波長535nm以下)の吸収係数が1~50/cm、望ましくは3~40/cmになるようにしてもよい。
 アルミノボロシリケートガラスは、MgOを任意成分として含んでいてもよい。MgOはアルカリ土類金属酸化物の中でも、熱膨張係数の増大を抑制しつつ、かつ歪点を過大には低下させないという特徴を有し、溶解性も向上させる。アルミノボロシリケートガラスにおけるMgOの含有量は、望ましくは15.0モル%以下であり、より望ましくは12.0モル%以下であり、さらに望ましくは10.0モル%以下であり、特に望ましくは9.5モル%以下である。また、MgOの含有量は、望ましくは2.0モル%以上であり、より望ましくは3.0モル%以上であり、さらに望ましくは4.0モル%以上であり、特に望ましくは4.5モル%以上である。
 アルミノボロシリケートガラスはCaOを任意成分として含んでいてもよい。CaOは、MgOと同様に、熱膨張係数の増大を抑制しつつ、かつ歪点を過大には低下させないという特徴を有し、溶解性も向上させる。アルミノボロシリケートガラスにおけるCaOの含有量は、望ましくは15.0モル%以下であり、より望ましくは12.0モル%以下であり、さらに望ましくは10.0モル%以下であり、特に望ましくは9.3モル%以下である。また、CaOの含有量は、望ましくは1.0モル%以上であり、より望ましくは2.0モル%以上であり、さらに望ましくは3.0モル%以上であり、特に望ましくは3.5モル%以上である。
 アルミノボロシリケートガラスはSrOを任意成分として含んでいてもよい。SrOはMgO及びCaOと同様に、熱膨張係数の増大を抑制しつつ、かつ歪点を過大には低下させないという特徴を有し、溶解性も向上させるので、失透特性と耐酸性の改善のためには含有させてもよい。アルミノボロシリケートガラスにおけるSrOの含有量は、望ましくは15.0モル%以下であり、より望ましくは12.0モル%以下であり、さらに望ましくは10.0モル%以下であり、特に望ましくは9.3モル%以下である。また、SrOの含有量は、望ましくは1.0モル%以上であり、より望ましくは2.0モル%以上であり、さらに望ましくは3.0モル%以上であり、特に望ましくは3.5モル%以上である。
 本明細書において、数値範囲(各成分の含有量、各成分から算出される値及び各物性等)の上限値及び下限値は適宜組み合わせ可能である。
 微細構造付ガラス基板10をなすガラス又は上記の製造方法に用いられるガラス基板をなすガラスの熱膨張係数は、例えば100×10-7/℃以下であり、望ましくは70×10-7/℃以下であり、より望ましくは60×10-7/℃以下であり、さらに望ましくは50×10-7/℃以下である。また、熱膨張係数の下限は特に限定されないが、10×10-7/℃以上であってもよく、20×10-7/℃以上であってもよい。
 ガラスの熱膨張係数は、例えば以下のように測定する。まず、直径5mm、高さ18mmの円柱形状のガラス試料を作製する。これを25℃からガラス試料の降伏点まで加温し、各温度におけるガラス試料の伸びを測定することにより、熱膨張係数を算出する。50~350℃の範囲の熱膨張係数の平均値を計算し、平均熱膨張係数を決定できる。
 以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されない。まず、実施例及び比較例に関する評価方法について説明する。
 <厚み>
 マイクロメータ(ミツトヨ社製、製品名:IP54)を用いて、各実施例及び各比較例に係る微細構造付ガラス基板の厚みを測定した。微細構造付ガラス基板に形成された孔は貫通孔であったので、微細構造付ガラス基板の厚みを孔の長さとみなした。結果を表1に示す。
 <孔の形状の評価>
 3次元測長器(Nikon社製、製品名:VMR-6555)を用いて、各実施例及び各比較例に係る微細構造付ガラスに形成された孔のA面及びC面にフォーカスされた8倍の倍率の拡大画像を取得した。拡大画像の取得における対象物の照明は落射照明により行い、光量レベルは55%に設定した。A面は、パルスレーザーが入射したガラス基板の主面に対応する、微細構造付ガラスの一方の主面を含む平面であった。C面は、A面及びB面から等距離にある平面であった。B面は、微細構造付ガラスの一方の主面と反対側の主面であった。微細構造付ガラスの孔のA面及びC面にフォーカスされた拡大画像に対して、画像解析ソフトを用いて画像解析を行い、A面及びC面における孔の形状を評価した。孔の形状の評価において、孔の軸線周りに2°の間隔で位置する180か所において孔とガラス基板の壁面との境界の位置を特定して180か所における境界の位置情報から最小二乗法により近似円を特定した。この近似円の直径を孔の孔径とみなし、A面における孔径ΦA及びC面における孔径ΦCを決定した。結果を表1に示す。
 各実施例及び各比較例に係る微細構造付ガラス基板を割断して孔の内面を露出させ、割断により現れた面を研磨した。研磨により得られる面が孔の軸線を含む平面とみなせるように研磨を行った。その後、レーザー顕微鏡(キーエンス社製、製品名:VK-8500)を用いて、C面と交差し、かつ、約200μmの測定長さを有する測定領域において、孔の内面の凹凸を測定し、粗さ曲線を取得した。この粗さ曲線から、JIS B 0601:1994に基づく算術平均粗さRaを算出した。研磨により得られた面を観察して、その面において、微細構造付ガラス基板の厚み方向の中央からA面に向かって延びる孔の内面がなす輪郭線とA面に含まれる微細構造付ガラス基板の主面がなす輪郭線とがなす90°以下の大きさを有する角(傾斜角)θの大きさを決定した。加えて、研磨により得られた面におけるA面近傍の領域を観察して、環状の特異部の有無を確認した。微細構造付ガラス基板の厚み方向においてA面に含まれる微細構造付ガラス基板の主面から最も離れた環状の特異部の位置を特定し、その位置に基づいて環状の特異部に関するD値を決定した。結果を表1に示す。
 <線膨張係数>
 実施例及び比較例で用いた、組成A、組成B、組成C、及び組成Dのガラスと同一の組成を有するガラス並びに単結晶シリコンでできた、4mm×4mm×20mmの寸法を有する角柱状のサンプルを準備した。熱機械分析装置(NETZSCH社製、製品名:TMA 402F1 Hyperion)を用いて、-100℃~500℃の温度範囲及び5℃/分の昇温速度の条件で、大気圧下で、サンプルの周囲の温度を変化させ、所定の温度におけるサンプルの長さを測定した。この測定結果に基づき、JIS R 3102:1995(ガラスの平均線膨張係数の試験方法)に準拠して、各ガラス及び単結晶シリコンの0℃~300℃の温度範囲における平均線膨張係数CTEを決定した。結果を表2に示す。表2におけるCTE(G)/CTE(Si)は、単結晶シリコンの0℃~300℃の温度範囲におけるCTEに対するガラスの0℃~300℃の温度範囲におけるCTEの比である。
 <耐酸性試験>
 ドイツ工業規格DIN12116に準拠してガラスの耐酸性試験を行った。実施例及び比較例で用いた、組成A、組成B、組成C、及び組成Dのガラスと同一の組成を有するガラスを粉砕して300~500μmの粒径を有する2gの粉砕物である供試体を準備した。6mol/Lの塩酸の沸騰水溶液に供試体を入れ、6時間経過後に供試体の質量を測定した。その測定結果に基づき、DIN12116に準拠して、その表面損失の半分の質量減少を求め、下記の基準に従って耐酸性のクラスを分類した。結果を表2に示す。
クラス1:その表面損失の半分の質量減少が0.7mg/100cm2未満である。
クラス2:その表面損失の半分の質量減少が0.7mg/100cm2以上かつ1.5mg/100cm2未満である。
クラス3:その表面損失の半分の質量減少が1.5mg/100cm2以上かつ15mg/100cm2未満である。
クラス4:その表面損失の半分の質量減少が15mg/100cm2以上である。
 <耐アルカリ試験>
 ISO 695に準拠してガラスの耐アルカリ性試験を行った。実施例及び比較例で用いた、組成A、組成B、組成C、及び組成Dのガラスと同一の組成を有するガラスの試料を混合アルカリの沸騰した水溶液に入れ、3時間経過後に試料の質量を測定した。混合アルカリの水溶液として、1mol/Lの濃度の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液と0.5mol/Lの炭酸ナトリウム(Na2CO3)の混合溶液を使用した。試料の質量減少から、ISO 695に準拠して、下記の基準に従って耐アルカリ性のクラスを分類した。結果を表2に示す。
クラス1:ガラスの質量減少が75mg/100cm2未満である。
クラス2:ガラスの質量減少が75mg/100cm2以上かつ175mg/100cm2未満である。
クラス3:ガラスの質量減少が175mg/100cm2以上である。
 <エッチングレート>
 各実施例及び各比較例に係るエッチング液を500gの量で1リットルの容積のポリエチレン製のビーカーに入れ、ウォーターバスを用いてエッチング液の温度を75℃に調整した。この状態で所定のサイズのガラス板をビーカーに入れエッチング液に浸した。ガラス板の厚みの減少量が70μmになるまでに要した時間に基づき、各エッチング液のエッチングレートを決定した。結果を表3に示す。
 <特性値α>
 エッチング液の粘度として上記の文献に基づく値を用いた。この粘度は、20℃における粘度である。ナトリウムイオン及びカリウムイオンのイオン半径として上記の文献に基づく値を用いた。この値に基づいてアルカリイオンを球と仮定してイオン体積を求め、各エッチング液の特性値αを上記の式(1)に基づいて決定した。結果を表3に示す。加えて、特性値αとエッチングレートとの関係を図3に示す。
 <実施例1>
 0.470mmの厚み及び30mm平方の主面を有するガラス基板を準備した。このガラス基板をなすガラスは、下記の組成Aを有していた。
(組成A)
ガラス硝種:無アルカリガラス(アルミノボロシリケートガラス)
ガラス組成:SiO2(63モル%)、B23(10モル%)、Al23(12モル%)、TiO2(3モル%)、ZnO(3モル%)、Li2O+Na2O+K2O(0モル%)、MgO+CaO+SrO+BaO(9モル%)
 ガラス基板に下記の条件でパルスレーザーを照射し、変質部を形成した。
 パルスレーザーの波長:355nm
 パルスレーザーの照射エネルギー:500μJ/パルス
 10重量%の濃度のNaOH水溶液をエッチング液として準備した。なお、このエッチング液の調製に使用した溶媒である水の粘度ηは、20℃において1.0mPa・sであった。エッチング液の温度を75℃に調整した状態で、ガラス基板の厚みが70μm減少するまでエッチング液にガラス基板を浸漬した。これにより、変質部がエッチングされて貫通孔が形成された。このようにして、実施例1に係る微細構造付ガラス基板を得た。
 <実施例2~11>
 表3に示す通りにエッチング液を変更した以外は実施例1と同様にして実施例2~10に係る微細構造付ガラス基板を作製した。下記の点以外は、実施例1と同様にして実施例11に係る微細構造付ガラス基板を作製した。実施例11において、130μmの厚み及び30mm平方の主面を有し、かつ、上記の組成Aを有するガラス基板を用いた。加えて、エッチング液として48重量%の濃度のNaOH水溶液を用い、ガラス基板の厚みが30μm減少するまでエッチング液にガラス基板を浸漬した。
 <実施例12>
 0.470mmの厚み及び30mm平方の主面を有するガラス基板を準備した。このガラス基板をなすガラスは、下記の組成Bを有していた。
(組成B)
ガラス硝種:低アルカリガラス(アルミノボロシリケートガラス)
ガラス組成:SiO2(59モル%)、B23(10モル%)、Al23(12モル%)、TiO2(3モル%)、ZnO(3モル%)、Li2O+Na2O+K2O(4モル%)、MgO+CaO+SrO+BaO(9モル%)
 上記の組成Bを有するガラス基板を用いた以外は、実施例1と同様にして、ガラス基板にパルスレーザーを照射し、変質部を形成した。
 30重量%の濃度のNaOH水溶液をエッチング液として準備した。エッチング液の温度を75℃に調整した状態で、ガラス基板の厚みが70μm減少するまでエッチング液にガラス基板を浸漬した。これにより、変質部がエッチングされて貫通孔が形成された。このようにして、実施例12に係る微細構造付ガラス基板を得た。
 <実施例13>
 0.470mmの厚み及び30mm平方の主面を有するガラス基板を準備した。このガラス基板をなすガラスは、下記の組成Cを有していた。
(組成C)
ガラス硝種:低アルカリガラス(アルミノボロシリケートガラス)
ガラス組成:SiO2(54モル%)、B23(10モル%)、Al23(12モル%)、TiO2(3モル%)、ZnO(3モル%)、Li2O+Na2O+K2O(9モル%)、MgO+CaO+SrO+BaO(9モル%)
 上記のガラス基板を用いた以外は、実施例12と同様にして、実施例13に係る微細構造付ガラス基板を得た。
 <実施例14>
 0.470mmの厚み及び30mm平方の主面を有するガラス基板を準備した。このガラス基板をなすガラスは、下記の組成Dを有していた。
(組成D)
ガラス硝種:アルカリガラス(アルミノボロシリケートガラス)
ガラス組成:SiO2(48モル%)、B23(10モル%)、Al23(12モル%)、TiO2(3モル%)、ZnO(3モル%)、Li2O+Na2O+K2O(15モル%)、MgO+CaO+SrO+BaO(9モル%)
 上記のガラス基板を用いた以外は、実施例12と同様にして、実施例14に係る微細構造付ガラス基板を得た。
 <比較例1>
 2.00mmの厚み及び30mm平方の主面を有するガラス基板を準備した。このガラス基板をなすガラスは、上記の組成Aを有していた。このガラス基板を用いた以外は、実施例1と同様にして、ガラス基板にパルスレーザーを照射し、変質部を形成した。
 48重量%の濃度のKOH水溶液をエッチング液として準備した。エッチング液の温度を100℃に調整した状態で、ガラス基板の厚みが200μm減少するまでエッチング液にガラス基板を浸漬した。これにより、変質部がエッチングされて貫通孔が形成された。このようにして、比較例1に係る微細構造付ガラス基板を得た。
 <比較例2>
 下記の点以外は、実施例1と同様にして、比較例2に係る微細構造付ガラス基板を得た。2重量%の濃度のHF水溶液と6重量%の濃度のHNO3水溶液との混合液をエッチング液として準備した。エッチング液の温度を20℃に調整した状態で、ガラス基板の厚みが65μm減少するまでエッチング液にガラス基板を浸漬した。これにより、変質部がエッチングされた。このようにして、比較例2に係る微細構造付ガラス基板を得た。
 <比較例3>
 下記の点以外は、実施例1と同様にして、比較例3に係る微細構造付ガラス基板を得た。2重量%の濃度のHF水溶液と6重量%の濃度のHNO3水溶液との混合液をエッチング液として準備した。エッチング液の温度を20℃に調整し、かつ、40kHzの超音波をエッチング液に印加した状態で、ガラス基板の厚みが65μm減少するまでエッチング液にガラス基板を浸漬した。これにより、変質部がエッチングされて貫通孔が形成された。このようにして、比較例3に係る微細構造付ガラス基板を得た。
 表1及び3に示す通り、アルカリエチャントを含むエッチング液の特性値αが0.01以上である各実施例に係る微細構造付ガラス基板に形成された孔において、0.4≦ΦC/ΦA≦1.0の条件が満たされており、孔のくびれが小さかった。加えて、各実施例に係る微細構造付ガラス基板に形成された孔において、70°≦θ≦90°の条件が満たされており、孔のストレート性が高かった。また、各実施例に係る微細構造付ガラス基板に形成された孔において、0<Dの条件が満たされており、孔の開口の近傍において環状の凹部がなかった。さらに、各実施例に係る微細構造付ガラス基板に形成された孔の内面における算術平均粗さRaが1nm未満であり、孔の内面が所望の表面状態にあった。表3に示す通り、エッチング液が0.04≦α≦0.4の条件をさらに満たすと、エッチングレートが大きくなり、微細構造付ガラス基板の製造の生産性を向上させうることが示唆された。エッチング液が0.05≦α≦0.3の条件をさらに満たすと、エッチングレートがより大きくなり、微細構造付ガラス基板の製造の生産性をさらに向上させうることが示唆された。
 比較例2及び3によれば、フッ酸を含む酸性のエッチング液を用いた場合、超音波を照射しなければ貫通孔を形成しにくかった。比較例3によれば、フッ酸を含む酸性のエッチング液を用いつつ超音波照射を行うと、表1に示す通り、孔の開口の近傍において環状の凹部が形成された。
 アルカリ成分の含有量が多い組成Dを有するガラスにおいて、そのガラスの線膨張係数とシリコンの線膨張係数との差が大きく、かつ、組成A、B、及びCを有するガラスに比べて耐酸性及び耐アルカリ性の点で劣っていた。
 本発明に係る方法によれば、エッチングレートが小さい無アルカリガラスであっても、エッチャントの特性値α値を調整することにより、ストレート性及び孔の内面の平坦性の点で所望の形状の孔を有する微細構造付ガラス基板を製造できることが示唆された。加えて、微細構造付ガラス基板の線膨張係数をシリコン基板の線膨張係数に合わせることが可能であり、温度変化に対して所望の状態を保つことができることが示唆された。さらに、微細構造付ガラス基板からアルカリ成分が溶出しにくく、アルカリ成分の拡散により製品の電気特性に影響が及ぶことを防止できる、半導体実装用基板及びその製造方法を提供できることが示唆された。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003

Claims (7)

  1.  微細構造付ガラス基板であって、
     50μm~2000μmの厚みを有し、
     当該微細構造付ガラス基板の第一主面において開口しているとともに、前記厚みをtと表すとき、下記(i)、(ii)、(iii)、(iv)、及び(v)の条件を満たす孔を有する、
     微細構造付ガラス基板。
    (i)0.4≦ΦC/ΦA≦1.0
    (ii)70°≦θ≦90°
    (iii)Ra≦1.0μm
    (iv)0≦D/t≦0.003
    (v)1.5≦L/ΦC≦30
     ΦAは、前記第一主面における前記孔の開口の直径である。
     ΦCは、当該微細構造付ガラス基板の厚み方向において前記第一主面及び前記孔の前記開口と反対側の端から等距離である位置での前記孔の直径である。
     θは、前記孔の軸線に沿って当該微細構造付ガラス基板を切断して現れる断面において、当該微細構造付ガラス基板の厚み方向の中央から前記第一主面に向かって延びる前記孔の内面がなす第一輪郭線と前記第一主面がなす第二輪郭線とがなす90°以下の大きさを有する角の大きさである。
     Raは、当該微細構造付ガラス基板の厚み方向における前記第一主面及び前記孔の前記反対側の端から等距離である位置での前記孔の前記内面の日本工業規格(JIS)B 0601:1994に基づく算術平均粗さである。
     Dは、前記孔が、前記断面において前記第一輪郭線に対して前記孔の半径方向外側に前記第二輪郭線に連なる第三輪郭線をなす環状の特異部を有するときに、当該微細構造付ガラス基板の厚み方向に沿って延びるとともに前記第一主面よりも前記孔の前記反対側の端から離れた位置で正の値をもたらす座標軸において、当該微細構造付ガラス基板の厚み方向において前記第一主面から最も離れた前記環状の特異部の位置を示す座標である。
     Lは、当該微細構造付ガラス基板の厚み方向における前記孔の長さである。
  2.  Li2O、Na2O、及びK2Oの含有量の和は、10モル%未満である、請求項1に記載の微細構造付ガラス基板。
  3.  微細構造付ガラス基板を製造する方法であって、
     ガラス基板にパルスレーザーを照射して変質部を形成することと、
     ウェットエッチングにより前記変質部を除去して、前記ガラス基板に孔を形成することと、を備え、
     前記ウェットエッチングにおいて、下記式(1)で定義される特性値αが0.01以上であるアルカリ性水溶液をエッチング液として使用する、
     方法。
     α=η×Vt   式(1)
     ηは、前記エッチング液の20℃における粘度[mPa・s]である。
     Vtは、前記エッチング液におけるアルカリイオンのモル濃度[mol/L]と前記アルカリイオンを球と仮定したときの体積Vi[nm3]との積である。
  4.  前記微細構造付ガラス基板は、50μm~2000μmの厚みを有し、
     前記孔は、前記パルスレーザーが入射する前記ガラス基板の主面に対応する前記微細構造付ガラス基板の第一主面において開口しているとともに、前記厚みをtと表すとき、下記(i)、(ii)、(iii)、(iv)、及び(v)の条件を満たす、
     請求項3に記載の方法。
    (i)0.4≦ΦC/ΦA≦1.0
    (ii)70°≦θ≦90°
    (iii)Ra≦1.0μm
    (iv)0≦D/t≦0.003
    (v)1.5≦L/ΦC≦30
     ΦAは、前記第一主面における前記孔の開口の直径である。
     ΦCは、前記微細構造付ガラス基板の厚み方向において前記第一主面及び前記孔の前記開口と反対側の端から等距離である位置での前記孔の直径である。
     θは、前記孔の軸線に沿って前記微細構造付ガラス基板を切断して現れる断面において、前記微細構造付ガラス基板の厚み方向の中央から前記第一主面に向かって延びる前記孔の内面がなす第一輪郭線と前記第一主面がなす第二輪郭線とがなす90°以下の大きさを有する角の大きさである。
     Raは、前記微細構造付ガラス基板の厚み方向における前記第一主面及び前記孔の前記反対側の端から等距離である位置での前記孔の前記内面の日本工業規格(JIS)B 0601:1994に基づく算術平均粗さである。
     Dは、前記孔が、前記断面において前記第一輪郭線に対して前記孔の半径方向外側に前記第二輪郭線に連なる第三輪郭線をなす環状の特異部を有するときに、前記微細構造付ガラス基板の厚み方向に沿って延びるとともに前記第一主面よりも前記孔の前記反対側の端から離れた位置で正の値をもたらす座標軸において、前記微細構造付ガラス基板の厚み方向において前記第一主面から最も離れた前記環状の特異部の位置を示す座標である。
     Lは、前記微細構造付ガラス基板の厚み方向における前記孔の長さである。
  5.  前記ガラス基板における、Li2O、Na2O、及びK2Oの含有量の和は、10モル%未満である、請求項3又は4に記載の方法。
  6.  前記アルカリ水溶液は、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、又は水酸化カリウム水溶液と水酸化ナトリウム水溶液との混合物である、請求項3~5のいずれか1項に記載の方法。
  7.  前記ウェットエッチングにおける前記アルカリ性水溶液の温度は、60℃~130℃である、請求項3~6のいずれか1項に記載の方法。
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