WO2020129203A1

WO2020129203A1 - エレメント部材及びチェーン部材、並びにスライドファスナー付き製品

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Publication number: WO2020129203A1
Application number: PCT/JP2018/046923
Authority: WO
Inventors: 宥辰董; 佳之庄; 千枝子道休; 夕子福田; 佳敬児島; 祐介細川
Original assignee: Ykk株式会社
Priority date: 2018-12-20
Filing date: 2018-12-20
Publication date: 2020-06-25
Also published as: TW202023434A; CN113163908A; CN113163908B; TWI703943B

Abstract

本発明のスライドファスナー用エレメント部材(11,12)は、固定部材(16)と、固定部材(16)に取着される複数のファスナーエレメント(14)と、固定部材(16)に取着されるとともに開離嵌挿具(5)の一部となる部材構成部(20,30)と、固定部材(16)に取着される案内部(40,50)とを有する。部材構成部(20,30)は、エレメント列(13)の一端部に隣接して配され、且つ、部材構成部(20,30)のエレメント列(13)に隣接する第１端部と、部材構成部(20,30)の第１端部とは反対側に配される第２端部とを有する。案内部(40,50)は、部材構成部(20,30)の第２端部に隣接して配されている。これにより、ミシンを用いてエレメント部材(11,12)を生地(3)に縫い付けるときに、案内部(40,50)をミシンのギア(86,87)で支持できるため、部材構成部(20,30)が揺れることや捩じることを防ぎ、部材構成部(20,30)を生地(3)の所定位置に安定して縫着できる。

Description

エレメント部材及びチェーン部材、並びにスライドファスナー付き製品

　本発明は、複数のファスナーエレメントが固定部材に取着されたエレメント部材、２つ一組のエレメント部材が噛み合わされたチェーン部材、及びチェーン部材の各エレメント部材が衣料品などの製品に直接取り付けられたスライドファスナー付き製品に関する。

　スライドファスナーは、一般的に、衣料品、日用雑貨品、産業用資材などの製品や、自動車、列車、航空機等の各種シート類などの製品の開閉具として多く使用されている。このような各種の製品に使用されるスライドファスナーは、一般的に、ファスナーテープのテープ側縁部にエレメント列が形成された左右一対のファスナーストリンガーと、左右のエレメント列に沿って摺動するスライダーとを有する。また、スライドファスナーの一つとして、左右のファスナーストリンガーを分離して離間可能にする開離嵌挿具が設けられたスライドファスナーが知られている。

　従来のスライドファスナーやファスナーストリンガーでは、例えば射出成形された合成樹脂製のファスナーエレメントなどがファスナーテープのテープ側縁部に取着されることにより、そのテープ側縁部にエレメント列が形成されている。また、スライドファスナーを衣料品などのファスナー被着部材に取り付ける場合には、ファスナーテープにおけるテープ側縁部以外の部分（一般にテープ主体部と言う）を、ファスナー被着部材のファスナー取付部に重ねた状態で両者をミシンで縫い合わせることが一般的に行われている。このため、一般的なスライドファスナーでは、通常、ファスナーテープが、スライドファスナーを構成するために必要不可欠な部材（部品）として用いられる。

　これに対して、例えば国際公開第２０１８／１４２６７１号（特許文献１）及び国際公開第２０１８／１４２６７２号（特許文献２）には、ファスナーテープを用いることなくスライドファスナーが構成されているとともに、開離嵌挿具が所定の位置に形成されたスライドファスナー付き製品が記載されている。

　例えば特許文献１に記載されているスライドファスナー付き製品１００では、図１７に示すように、先ず、衣服を形成する左右の生地１０１に対し、ミシンを用いて左右一対のエレメント部材１０２，１０３をそれぞれ縫着する。この場合、左右のエレメント部材１０２，１０３は、紐状の固定部材１０４に複数のファスナーエレメント１０５と、蝶棒部材１０７又は箱体部材１０８の位置決めを行う複数のアンカーエレメント１０６とが固着されている。その後、エレメント部材１０２，１０３が縫い付けられた左右の生地１０１に蝶棒部材１０７及び箱体部材１０８を取り付けて（仮固定して）、更に、ミシンを用いて縫着する。これによって、特許文献１のスライドファスナー付き製品１００が製造される。

　特許文献２に記載されているスライドファスナー付き製品１１０は、図１８に示すように、衣服を形成する左右の生地１１１に対し、ミシンを用いて、複数のファスナーエレメント１１２と蝶棒部１１３とが固定部材１１４に取着された左側の第１エレメント部材１１５と、複数のファスナーエレメント１１２と箱部１１６とが固定部材１１４に取着された右側の第２エレメント部材１１７とを縫着することによって製造されている。

　上述のような特許文献１のスライドファスナー付き製品１００や特許文献２のスライドファスナー付き製品１１０では、ファスナーテープが不要であるため、製品の軽量化や柔軟性を向上できる。また、開離嵌挿具の設置により、左右のファスナー被着部材を容易に分離して離間させることが可能となる。従って、スライドファスナーの使い易さや利便性を大幅に向上させることができる。

国際公開第２０１８／１４２６７１号国際公開第２０１８／１４２６７２号

　しかし、図１７に示した特許文献１のスライドファスナー付き製品１００を製造する場合、ミシンを用いてエレメント部材１０２，１０３を生地１０１に縫製加工を行う際に、エレメント部材１０２，１０３のアンカーエレメント１０６が設けられている側の端部を押さえながら縫製を行うことが難しく、エレメント部材１０２，１０３の端部が縫製時に送り方向に対して左右に揺れることや、捩じることがある。このため、縫製加工の安定性が低かった。また特許文献１の場合、エレメント部材１０２，１０３の縫製加工後に、生地１０１に対して蝶棒部材１０７又は箱体部材１０８を縫着する２回目の縫製加工を更に行う必要があるため、作業性の向上や作業時間の短縮を図ることが望まれていた。

　また、図１８に示した特許文献２のスライドファスナー付き製品１１０を製造する場合にも、ミシンを用いて第１エレメント部材１１５又は第２エレメント部材１１７を生地１１１に縫着する際に、エレメント部材の蝶棒部１１３又は箱部１１６が形成されている端部においての縫製加工の安定性が低く、改善の余地があった。

　更に特許文献２の場合、ミシンによって箱部１１６を有する第２エレメント部材１１７を生地１１１に縫着する場合、箱部１１６がファスナーエレメント１１２よりも大きい（特に、箱部１１６の幅方向の寸法が大きい）。このため、第２エレメント部材１１７の縫製加工では制約を受けることがあり、ファスナーエレメント１１２と箱部１１６とを連続的に縫製することが難しいという問題もあった。

　本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであって、その具体的な目的は、ミシンによる生地への縫製加工を従来よりも容易に且つ安定して行うことが可能なエレメント部材、そのエレメント部材を２つ一組で有するチェーン部材、及び、そのチェーン部材が生地に縫着されたスライドファスナー付き製品を提供することにある。

　上記目的を達成するために、本発明により提供されるエレメント部材は、固定部材と、前記固定部材に取着される複数のファスナーエレメントと、前記固定部材に取着されるとともにスライドファスナー用開離嵌挿具の一部となる部材構成部と、前記固定部材に取着される案内部とを有し、前記部材構成部は、複数の前記ファスナーエレメントにより形成されるエレメント列の一端部に隣接して配され、且つ、前記部材構成部の前記エレメント列に隣接する第１端部と、前記部材構成部の前記第１端部とは反対側に配される第２端部とを有し、前記案内部は、前記部材構成部の前記第２端部に隣接して配されてなることを最も主要な特徴とするものである。
　特に、前記ファスナーエレメント、前記部材構成部、及び前記案内部は合成樹脂により形成されていることが好ましい。

　本発明に係るエレメント部材において、前記部材構成部及び前記案内部は、それぞれ、前記固定部材の長さ方向に直交する方向に向けて開口する少なくとも１つのギア挿入凹部を有し、前記ギア挿入凹部は、前記固定部材から離間するにつれて長さ方向の開口寸法を大きくして形成されていることが好ましい。

　また本発明において、複数の前記ファスナーエレメントは、前記固定部材の長さ方向に沿って一定の取付ピッチで配され、前記ファスナーエレメントは、前記固定部材に固定されるエレメント胴部と、前記エレメント胴部から前記長さ方向に対して直交するエレメント幅方向に延出するエレメント首部と、前記エレメント首部から前記エレメント幅方向に更に延出する噛合頭部とを有し、前記エレメント列は、前記長さ方向に互いに隣接する前記ファスナーエレメントの前記噛合頭部間にギア挿入間隙を有し、前記部材構成部及び前記案内部の前記ギア挿入凹部は、前記エレメント列の前記ギア挿入間隙を前記部材構成部及び前記案内部に向けて仮想的に一定の間隔で繰り返して設けられる仮間隙の位置に対応して配されていることが好ましい。

　更に本発明において、前記部材構成部は、前記開離嵌挿具の蝶棒を形成する蝶棒部又は前記開離嵌挿具の箱棒を形成する箱棒部と、前記蝶棒部又は前記箱棒部から前記固定部材の長さ方向に直交する方向に薄板状に延出するヒレ片部とを有し、前記ヒレ片部には、前記長さ方向に沿って連続的に開口する１つの第１開口部と、前記蝶棒部又は前記箱棒部と前記第１開口部との間で開口するとともに、長さ方向における開口長さが前記第１開口部よりも小さな少なくとも１つの第２開口部とが設けられていることが好ましい。

　次に、本発明により提供されるチェーン部材は、上述したような特徴を備える前記エレメント部材を２つ一組で有し、一方の前記エレメント部材は、前記部材構成部が前記開離嵌挿具の蝶棒を形成する蝶棒部を有する第１エレメント部材であり、他方の前記エレメント部材は、前記部材構成部が前記開離嵌挿具の箱棒を形成する箱棒部を有する第２エレメント部材であり、前記第１エレメント部材の前記エレメント列と前記第２エレメント部材の前記エレメント列とが分離可能に噛み合わされてなることを最も主要な特徴とするものである。

　本発明のチェーン部材において、前記第１エレメント部材の前記蝶棒部と、前記第２エレメント部材の前記箱棒部とは、互いに組み合わせることが可能な凹凸形状を有し、互いに組み合わせられた状態の前記蝶棒部及び前記箱棒部におけるチェーン幅方向の寸法の最大値は、互いに噛み合わせられた２つの前記エレメント列におけるチェーン幅方向の寸法と同じ大きさであり、前記第１エレメント部材の前記案内部と、前記第２エレメント部材の前記案内部とは、互いに組み合わせることが可能な凹凸形状を有し、互いに組み合わせられた状態の２つの前記案内部におけるチェーン幅方向の寸法の最大値は、互いに噛み合わせられた２つの前記エレメント列におけるチェーン幅方向の寸法と同じ大きさであることが好ましい。

　また本発明のチェーン部材において、前記第１エレメント部材は、前記エレメント列の他端部に隣接して配される第１止め部を有し、前記第２エレメント部材は、前記エレメント列の他端部に隣接して配される第２止め部を有し、前記第１止め部及び前記第２止め部の少なくとも一方は、前記固定部材に固定される止め本体部と、前記止め本体部から前記ファスナーエレメントの厚さ方向に突出する少なくとも１つの突起部とを有し、前記止め本体部の厚さ方向における寸法は、前記ファスナーエレメントの厚さ方向における寸法と同じ大きさであり、前記第１止め部と前記第２止め部とは、互いに組み合わせることが可能な凹凸形状を有し、互いに組み合わせられた状態の前記第１止め部及び前記第２止め部におけるチェーン幅方向の寸法の最大値は、互いに噛み合わせられた２つの前記エレメント列におけるチェーン幅方向の寸法と同じ大きさであることが好ましい。

　次に、本発明により提供されるスライドファスナー付き製品は、上述したような特徴を備える前記チェーン部材と、前記チェーン部材の前記第１エレメント部材及び第２エレメント部材がそれぞれ取着される一対のエレメント取付縁部を互いに対向する位置に備えるファスナー被着部材とを有し、前記第１エレメント部材の前記エレメント列及び前記蝶棒部は、前記ファスナー被着部材の一方の前記エレメント取付縁部に、縫製糸で形成される第１縫製部により固定され、前記第２エレメント部材の前記エレメント列及び前記箱棒部は、前記ファスナー被着部材の他方の前記エレメント取付縁部に、縫製糸で形成される第２縫製部により固定され、前記第１エレメント部材の前記案内部及び前記第２エレメント部材の前記案内部は、前記固定部材の切断加工により除去され、前記固定部材は、前記切断加工で形成される切断部を有してなることを最も主要な特徴とするものである。

　本発明のスライドファスナー付き製品において、前記第１エレメント部材は、前記蝶棒部から前記固定部材の長さ方向に直交するエレメント幅方向に延出する薄板状の第１ヒレ片部を有し、前記第２エレメント部材は、前記箱棒部から前記固定部材の長さ方向に直交するエレメント幅方向に延出する薄板状の第２ヒレ片部を有し、前記第１ヒレ片部及び前記第２ヒレ片部には、前記長さ方向に沿って連続的に開口する１つの第１開口部と、前記蝶棒部又は前記箱棒部と前記第１開口部との間に開口するとともに、長さ方向における開口長さが前記第１開口部よりも小さな少なくとも１つの第２開口部とが設けられ前記第１縫製部及び前記第２縫製部は、ジグザグ状に折れ曲がって形成されて前記第１ヒレ片部又は前記第２ヒレ片部を固定するヒレ片縫製部と、直線状の返し縫い又は閂止め縫いによって形成される縫製端部とをそれぞれ有することが好ましい。

　また本発明のスライドファスナー付き製品おいて、前記第１エレメント部材は、前記蝶棒部から前記固定部材の長さ方向に直交するエレメント幅方向に延出する薄板状の第１ヒレ片部を有し、前記第２エレメント部材は、前記箱棒部から前記固定部材の長さ方向に直交するエレメント幅方向に延出する薄板状の第２ヒレ片部を有し、前記第１ヒレ片部及び前記第２ヒレ片部には、前記長さ方向に沿って連続的に開口する１つの開口部が少なくとも設けられ、前記第１縫製部及び前記第２縫製部は、前記第１ヒレ片部又は前記第２ヒレ片部を固定するヒレ片縫製部をそれぞれ有し、前記ヒレ片縫製部は、ジグザグ状に折れ曲がって形成される一次千鳥縫い縫製部と、ジグザグ状に折れ曲がって形成されるとともに前記一次千鳥縫い縫製部に交差するように重ねられる二次千鳥縫い縫製部とを有していても良い。

　次に、本発明では、固定部材と、前記固定部材に取着される複数のファスナーエレメントと、複数の前記ファスナーエレメントにより形成されるエレメント列の一方の端部に隣接して配される第１止め部とを備えた第１エレメント部材、及び、固定部材と、前記固定部材に取着される複数のファスナーエレメントと、複数の前記ファスナーエレメントにより形成されるエレメント列の一方の端部に隣接して配される第２止め部とを備えた第２エレメント部材を有し、前記第１止め部及び前記第２止め部の少なくとも一方は、前記固定部材に固定される止め本体部と、前記止め本体部から前記ファスナーエレメントの厚さ方向に突出する少なくとも１つの突起部とを有し、前記止め本体部の厚さ方向における寸法は、前記ファスナーエレメントの厚さ方向における寸法と同じ大きさであり、前記第１止め部と前記第２止め部とは、互いに組み合わせることが可能な凹凸形状を有し、互いに組み合わせられた状態の前記第１止め部及び前記第２止め部におけるチェーン幅方向の寸法の最大値は、互いに噛み合わせられた２つの前記エレメント列におけるチェーン幅方向の寸法と同じ大きさであることを特徴とするチェーン部材が提供される。

　上述のように案内部が固定部材に取り付けられた本発明のエレメント部材であれば、当該エレメント部材を、製品（例えば衣服等）における生地等のファスナー被着部材に対してミシンを用いて縫い付けるときに、エレメント部材の案内部をミシンのギア等で支持することによって部材構成部が左右方向に揺れることや捩じること等のような部材構成部の動きを効果的に抑制できる。

　このため、本発明は、例えば前述した特許文献１や特許文献２のスライドファスナー付き製品に比べて、縫製加工の安定性を大幅に向上させることができ、エレメント部材の蝶棒部や箱棒部といった部材構成部を、製品におけるファスナー被着部材の所定位置に容易に且つ安定して縫着することができる。また、本発明のエレメント部材は、ミシンによる一回の連続する縫製加工でエレメント部材の縫着を行うことが可能であるため、エレメント部材の縫製加工における作業性の向上や作業時間の短縮を実現でき、その結果、後述するスライドファスナー付き製品のコスト削減を図ることができる。

　更に、ファスナーエレメントの幅方向における寸法（以下、幅寸法と略記する）の最大値、部材構成部の幅寸法の最大値、案内部の幅寸法の最大値を互いに同じ大きさにすることが可能である。それによって、エレメント部材の縫製加工時にミシンによってエレメント部材を円滑に且つ安定して送ることができる。

　なおここで、幅方向とは、後述するように２つ一組のエレメント部材を互いに噛み合わせたときに、固定部材の長さ方向に直交し、且つ２つ一組のエレメント部材が互いに向き合う方向に沿った方向を言う。また、幅寸法の最大値を同じ大きさにすることには、比較する幅寸法の最大値を同一の大きさにする場合だけでなく、比較する幅方向の最大値間に±１０％の違い（誤差）が生じる場合も含むものとする。

　このような本発明のエレメント部材において、ファスナーエレメント、部材構成部、及び案内部は合成樹脂により形成されている。これより、本発明のエレメント部材を射出成形によって容易に製造することができる。

　また、部材構成部及び案内部は、それぞれ、固定部材の長さ方向に直交する方向に向けて開口する少なくとも１つのギア挿入凹部を有しており、ギア挿入凹部は、固定部材から離間するにつれて長さ方向の開口寸法を大きくして形成されている。これにより、例えば搬送ギアを備えたミシンを用いてエレメント部材の縫製加工を行う際に、部材構成部及び案内部に設けたギア挿入凹部に、回転する搬送ギアの歯を順番に挿入できる。それによって、搬送ギアで部材構成部及び案内部を送りながら支えることができるため、縫製加工時に、部材構成部が左右方向に揺れることや捩じることを効果的に防止できる。

　本発明の複数のファスナーエレメントは、長さ方向に沿って一定の取付ピッチで配されている。各ファスナーエレメントは、上述のようにエレメント胴部、エレメント首部、及び噛合頭部を有し、エレメント列は、隣接するファスナーエレメントの噛合頭部間にギア挿入間隙を有する。また、部材構成部及び案内部のギア挿入凹部は、エレメント列のギア挿入間隙を部材構成部及び案内部に向けて仮想的に一定の間隔で繰り返して設けられる仮間隙の位置に対応して配されている。これにより、上述したような搬送ギアを備えたミシンを用いてエレメント部材の縫製加工を行う際に、回転する搬送ギアの歯をより安定してエレメント部材のエレメント列、部材構成部、及び案内部に挿入できる。

　更に本発明の部材構成部では、蝶棒部又は箱棒部と、薄板状のヒレ片部とが一体的に形成され、また、ヒレ片部には、長さ方向に長い１つの第１開口部と、蝶棒部又は箱棒部と第１開口部との間に小さく開口する少なくとも１つの第２開口部とが設けられている。これにより、ミシン針を、蝶棒部又は箱棒部とヒレ片部とに刺通させずに部材構成部をファスナー被着部材に縫い付けることができるため、ミシン針が部材構成部を破損させることを防止できる。

　次に、本発明に係るチェーン部材は、上述したような特徴を備えるエレメント部材を２つ一組で有する。この場合、一方のエレメント部材は、開離嵌挿具の蝶棒を形成する蝶棒部を有する第１エレメント部材であり、他方のエレメント部材は、開離嵌挿具の箱棒を形成する箱棒部を有する第２エレメント部材である。また、このチェーン部材では、第１エレメント部材のエレメント列と第２エレメント部材のエレメント列とが幅方向に並べられて分離可能に噛み合わされている。

　このような本発明のチェーン部材を用いることによって、左右の各エレメント部材を、ファスナー被着部材に配される一対のエレメント取付縁部に、容易に且つ安定して縫着できるため、スライドファスナー付き製品を安定して製造できる。また、左右の各エレメント部材を、それぞれミシンによる一回の連続する縫製加工によってエレメント取付縁部に縫着可能であるため、製造工程における作業性の向上や作業時間の短縮を実現できる。

　このような本発明のチェーン部材において、第１エレメント部材の蝶棒部と、第２エレメント部材の箱棒部とは、互いに干渉せずに組み合わせることが可能な凹凸形状（凹凸構造）、例えば、組み合わせたときに厚さ方向（上下方向）に重なるように幅方向に突出した突片部をそれぞれ備えた形状を有する。また、第１エレメント部材の案内部と、第２エレメント部材の案内部とは、互いに組み合わせることが可能な凹凸形状を有する。更に、互いに組み合わせられた状態の蝶棒部及び箱棒部におけるチェーン幅方向の寸法の最大値と、互いに組み合わせられた状態の２つの案内部におけるチェーン幅方向の寸法の最大値とは、第１エレメント部材及び第２エレメント部材の互いに噛み合わせられた２つのエレメント列におけるチェーン幅方向の寸法と同じ大きさである。

　これにより、噛み合った左右のエレメント列の幅寸法、組み合った蝶棒部及び箱棒部の幅寸法の最大値、及び組み合った２つの案内部の幅寸法の最大値が同じになるため、例えばフィードローラ等を用いてチェーン部材を搬送する際に、チェーン部材の搬送を円滑に且つ安定して行うことができる。なお本発明において、寸法が同じであることには、比べる寸法が互いに同一の大きさである場合だけでなく、比べる寸法間に±１０％の違い（誤差）が生じる場合も含むものとする。

　更に本発明において、第１エレメント部材及び第２エレメント部材には、第１止め部及び第２止め部がそれぞれ配されている。また、第１止め部及び第２止め部の少なくとも一方は、固定部材に固定される止め本体部と、止め本体部からファスナーエレメントの厚さ方向に突出する少なくとも１つの突起部とを有しており、止め本体部の厚さ方向における寸法は、ファスナーエレメントの厚さ方向における寸法と同じ大きさである。これにより、第１エレメント部材及び第２エレメント部材とスライダーとを用いて製品にスライドファスナーを形成したときに、スライダーがエレメント列の閉鎖方向側の端部から脱落することを防止できる。なお、厚さ方向に突出する少なくとも１つの突起部は、第１止め部及び第２止め部の何れか一方のみに配されていることが好ましい。それにより、より簡単な構造でスライダーの脱落を防止でき、また、チェーン部材の製造コストの削減や軽量化が図れる。

　またこの場合、第１止め部と第２止め部とは、互いに組み合わせ可能な凹凸形状（凹凸構造）を有しており、また、互いに組み合わせられた状態の第１止め部及び第２止め部におけるチェーン幅方向の寸法の最大値は、第１エレメント部材及び第２エレメント部材の互いに噛み合わせられた２つのエレメント列におけるチェーン幅方向の寸法と同じ大きさである。これにより、チェーン部材に上述のような第１止め部及び第２止め部が設けられていても、例えばフィードローラ等を用いてチェーン部材を円滑に且つ安定して搬送できる。

　この場合、第１止め部及び第２止め部における互いに組み合わせ可能な凹凸形状として、第１止め部及び第２止め部のうちの一方の止め本体部から突出する突出部と、他方の止め本体部に凹設され、前記突出部を受け入れて収容可能な収容凹部とが形成されていることが好ましい。これにより、第１止め部と第２止め部を組み合わせ可能な凹凸形状を容易に形成でき、また、組み合わせられた第１止め部及び第２止め部におけるチェーン幅方向の寸法の最大値を所定の大きさに容易に合わせることができる。

　次に、本発明に係るスライドファスナー付き製品は、上述したような特徴を備えるチェーン部材と、一対のエレメント取付縁部を互いに対向する位置に備えるファスナー被着部材とを有する。また、第１エレメント部材のエレメント列及び蝶棒部は、縫製糸で形成される第１縫製部によりファスナー被着部材に固定されており、第２エレメント部材のエレメント列及び箱棒部は、縫製糸で形成される第２縫製部によりファスナー被着部材に固定されている。更に、第１エレメント部材の案内部及び第２エレメント部材の案内部は、固定部材の切断加工により除去されており、各固定部材は、その切断加工により形成される切断部を有する。

　このような本発明のスライドファスナー付き製品では、ファスナーテープを省略してスライドファスナーが形成されているため、製品の軽量化及び柔軟性の向上を実現できる。また、蝶棒部と箱棒部とがファスナー被着部材の所定位置にしっかりと縫着されているとともに、蝶棒部及び箱棒部の縫着時に利用された案内部が切除されているため、スライドファスナー用の開離嵌挿具を安定して形成できる。

　このような本発明のスライドファスナー付き製品において、第１エレメント部材は、蝶棒部から延出する薄板状の第１ヒレ片部を有し、第２エレメント部材は、箱棒部から延出する薄板状の第２ヒレ片部を有する。また、第１ヒレ片部及び第２ヒレ片部には、長さ方向に長い１つの第１開口部と、蝶棒部又は箱棒部と第１開口部との間で第１開口部よりも小さく開口する少なくとも１つの第２開口部とが設けられている。更に、第１縫製部及び第２縫製部には、第１ヒレ片部又は第２ヒレ片部を固定するジグザグ状のヒレ片縫製部と、直線状の返し縫い又は閂止め縫いによって形成される縫製端部とが連続的にそれぞれ形成されている。これにより、第１エレメント部材の第１ヒレ片部及び第２エレメント部材の第２ヒレ片部を、ファスナー被着部材にそれぞれ強固に固定できる。更に、第１縫製部及び第２縫製部にほつれを生じさせ難くすることができる。

　また、本発明のスライドファスナー付き製品において、第１エレメント部材は、蝶棒部から延出する薄板状の第１ヒレ片部を有し、第２エレメント部材は、箱棒部から延出する薄板状の第２ヒレ片部を有する場合に、第１ヒレ片部及び第２ヒレ片部には、長さ方向に長い１つの開口部が少なくとも設けられており、且つ、第１縫製部及び第２縫製部の各ヒレ片縫製部は、ジグザグ状の一次千鳥縫い縫製部と、一次千鳥縫い縫製部に交差するように重ねられるジグザグ状の二次千鳥縫い縫製部とを有していても良い。これによっても、第１ヒレ片部及び第２ヒレ片部をファスナー被着部材にそれぞれ強固に固定できる。また、第１縫製部及び第２縫製部にほつれを生じさせ難くすることができる。

　次に、本発明により提供されるチェーン部材は、固定部材に取着されるとともにエレメント列の一方の端部に隣接して配される第１止め部を備えた第１エレメント部材と、固定部材に取着されるとともにエレメント列の一方の端部に隣接して配される第２止め部とを備えた第２エレメント部材を有する。また、第１止め部及び第２止め部の少なくとも一方は、固定部材に固定される止め本体部と、止め本体部からファスナーエレメントの厚さ方向に突出する少なくとも１つの突起部とを有しており、止め本体部の厚さ方向における寸法は、ファスナーエレメントの厚さ方向における寸法と同じ大きさである。これにより、第１エレメント部材及び第２エレメント部材とスライダーとを用いて製品にスライドファスナーを形成したときに、スライダーがエレメント列の閉鎖方向側の端部から脱落することを防止できる。

　更に、第１止め部と第２止め部とは、互いに組み合わせ可能な凹凸形状を有しており、また、互いに組み合わせられた状態の第１止め部及び第２止め部におけるチェーン幅方向の寸法の最大値は、第１エレメント部材及び第２エレメント部材の互いに噛み合わせられた２つのエレメント列におけるチェーン幅方向の寸法と同じ大きさである。これにより、チェーン部材に上述のような第１止め部及び第２止め部が設けられていても、例えばフィードローラ等を用いてチェーン部材を円滑に且つ安定して搬送できる。

本発明の実施例に係るチェーン部材を模式的に示す斜視図である。図１に示すチェーン部材の平面図である。図２に示すＩＩＩ－ＩＩＩ線における断面図である。図２に示すＩＶ－ＩＶ線における断面図である。蝶棒部を有する第１エレメント部材の要部を模式的に示す平面図である。図５に示す第１エレメント部材を第２エレメント部材側から見た側面図である。第１エレメント部材の第１止め部を拡大して模式的に示す平面図である。図７に示す第１止め部を第２エレメント部材側から見た側面図である。箱棒部を有する第２エレメント部材の要部を模式的に示す平面図である。図９に示す第２エレメント部材を第１エレメント部材側から見た側面図である。第２エレメント部材の第２止め部を拡大して模式的に示す平面図である。図１１に示す第２止め部を後方側から見た背面図である。第１エレメント部材を生地に縫着する縫製加工について模式的に説明する説明図である。第２エレメント部材を生地に縫着する縫製加工について模式的に説明する説明図である。本発明の実施例に係るスライドファスナー付き製品（衣服）の要部を模式的に示す平面図である。本発明の変形例に係る第１エレメント部材を生地に縫着する縫製加工について模式的に説明する説明図である。従来のスライドファスナー付き製品について模式的に説明する説明図である。従来の別のスライドファスナー付き製品を模式的に示す平面図である。

　以下、本発明の好適な実施の形態について、実施例を挙げて図面を参照しながら詳細に説明する。
　なお、以下の各実施例では、スライドファスナー付き製品がスライドファスナー付き衣服である場合について説明するが、本発明に係るスライドファスナー付き製品には、衣服（衣料品）だけでなく、靴類や鞄類などの日用雑貨品、産業用資材などの製品、自動車、列車、航空機等の各種シート類などの様々な製品が含まれる。

　図１及び図２は、本発明の実施例に係るチェーン部材を模式的に示す斜視図及び平面図である。図３及び図４は、図２に示すＩＩＩ－ＩＩＩ線及びＩＶ－ＩＶ線における各断面図である。図５～図８は、本実施例の第１エレメント部材を模式的に示す図であり、図９～図１２は、本実施例の第２エレメント部材を模式的に示す図である。

　また、以下の説明において、前後方向とは、スライダーの摺動方向に平行なチェーン部材（又はエレメント部材）の長さ方向を言い、特に、スライダーが左右のエレメント列を噛合させるように摺動する方向を前方とし、左右のエレメント列を分離させるように摺動する方向を後方とする。また、前方及び後方は、開離嵌挿具から離れる方向及び開離嵌挿具に近付く方向と言い換えることもできる。

　左右方向とは、チェーン部材の幅方向又はチェーン部材で一対のエレメント部材が並べられる方向を言い、また、スライダーの摺動方向に直交し、且つ、ファスナー被着部材である生地の表面及び裏面に平行な方向と言い換えることもできる。

　上下方向とは、前後方向と左右方向とに直行する方向を言い、例えばファスナー被着部材である生地の表面及び裏面に直交するチェーン部材（又はエレメント部材）の厚さ方向を言う。特にこの場合、衣服を製造したときに生地の外面側となる向きを上方とし、その反対側の向きを下方とする。また具体的には、本実施例の場合、前後方向は図２の紙面における上下の方向であり、左右方向は図２の紙面における左右の方向である。また、上下方向は図２の紙面における表裏方向を言い、上方は、図２の紙面の手前側の向きであり、下方は、図２の紙面の奥側の向きである。

　図１～図４に示す本実施例のチェーン部材１０は、例えば図１５に要部を示すようなスライドファスナー付きの衣服（衣料品）１の製造に用いられるものである。
　本実施例のチェーン部材１０は、開離嵌挿具５の蝶棒部２１が設けられる左側の第１エレメント部材１１と、開離嵌挿具５の箱棒部３１が設けられる右側の第２エレメント部材１２とを有する。このチェーン部材１０では、左側の第１エレメント部材１１と右側の第２エレメント部材１２とは幅方向に互い略平行に並べられるとともに、第１エレメント部材１１に形成された左側のエレメント列１３と第２エレメント部材１２に形成された右側のエレメント列１３とが相互に分離可能に噛み合わせられている。

　左側の第１エレメント部材１１は、１本の長尺な固定部材１６と、固定部材１６に固着された複数の独立したファスナーエレメント１４、第１部材構成部（蝶棒側部材構成部）２０、第１案内部４０、及び第１止め部６０とを有する。右側の第２エレメント部材１２は、１本の長尺な固定部材１６と、固定部材１６に固着された複数の独立したファスナーエレメント１４、第２部材構成部（箱棒側部材構成部）３０、第２案内部５０、及び第２止め部７０とを有する。

　第１部材構成部２０と第２部材構成部３０の互いに向き合う対向側面部と、第１案内部４０と第２案内部５０の互いに向き合う対向側面部とには、左右のエレメント列１３を噛み合わせたときに、互いに干渉しないように上下方向に重なり合うように組み合わせることが可能な凹凸形状が設けられている。

　本実施例の第１エレメント部材１１及び第２エレメント部材１２に用いられる各固定部材１６は、可撓性を備えるとともに長さ方向に直交する断面が略円形を呈する同じ紐状の部材により形成されている。固定部材１６は、エレメント部材の長さ方向に関して、第１案内部４０又は第２案内部５０よりも更に後方に延出し、且つ、第１止め部６０又は第２止め部７０よりも更に前方に延出して配されている。

　固定部材１６としては、例えばモノフィラメント、撚糸（撚紐）、又は、引き揃えられた複数本のマルチフィラメントからなる芯糸を、複数の編糸で編成される袋織部で包み込むことにより形成される紐体（ニットコードとも言われる）などを用いることが可能である。なお本発明の固定部材１６は、複数のエレメントを取着できれば特に限定されない。また、固定部材１６の断面形状は必要に応じて任意に変更可能である。更に、複数のファスナーエレメントは２本以上の固定部材で連結されていても良い。第１エレメント部材１１及び第２エレメント部材１２では、複数のファスナーエレメント１４が、固定部材１６によって等間隔に連結されていることによってエレメント列１３が形成されている。

　各ファスナーエレメント１４は、例えば、ポリアセタールなどの熱可塑性樹脂を、１本の固定部材１６に射出成形することにより、固定部材１６と一体的に、且つ、固定部材１６の外周全体を覆って形成されている。なお、本発明において、ファスナーエレメント１４の材質は、上述の合成樹脂に限定されるものではなく、例えばファスナーエレメント１４をその他の合成樹脂又は金属で形成することも可能である。また、本実施例の第１及び第２エレメント部材１１，１２は、ファスナーエレメント１４が射出成形で形成されたものに限定されず、例えば、予め所定の形状に形成されたファスナーエレメント１４を、固定部材１６に溶着又は接着などによって固着されて形成されるものも含む。

　本実施例のファスナーエレメント１４は、固定部材１６に固定されるエレメント胴部１５ａと、エレメント胴部１５ａから幅方向に延出するとともに括れた形状を有するエレメント首部１５ｂと、エレメント首部１５ｂから更に幅方向に延出するとともに平面視にて略長円形を呈する噛合頭部１５ｃと、エレメント首部１５ｂから前方及び後方に突出する肩部１５ｄとを有する。

　エレメント胴部１５ａは、略直方体状の形態を有するとともに、固定部材１６が前後方向に貫通するように固定部材１６を包み込んで形成されている。この場合、固定部材１６は、エレメント胴部１５ａにおける厚さ方向の中央部に保持されている。

　エレメント首部１５ｂは、その長さ寸法（長さ方向における寸法）をエレメント胴部１５ａよりも小さくするとともに、所定の位置で最も小さくなるように形成されている。噛合頭部１５ｃの頂端部（先端部）には、左右のエレメント列１３を噛合させるときに噛合相手側のファスナーエレメント１４の肩部１５ｄを嵌入させる凹溝部が長さ方向に沿って形成されている。なお本発明において、ファスナーエレメント１４の形状は特に限定されず、任意に変更することが可能である。

　長さ方向に隣接するファスナーエレメント１４のエレメント胴部１５ａ間には、固定部材１６が露出する間隙が形成されており、このエレメント胴部１５ａ間の各間隙では、第１エレメント部材１１及び第２エレメント部材１２が後述する縫製糸の第１縫製部８１及び第２縫製部８２によってファスナー被着部材（生地）３に縫着されたときに、露出した固定部材１６が縫製糸の第１縫製部８１又は第２縫製部８２によって保持されて固定される。

　長さ方向に隣接するファスナーエレメント１４の噛合頭部１５ｃ間には、後述するように第１エレメント部材１１又は第２エレメント部材１２をファスナー被着部材（生地）３に縫い付ける縫製加工を行う際に、千鳥縫いミシンに設置された第１搬送ギア８６の歯と第２搬送ギア８７の歯とを挿入可能なギア挿入間隙１７ａが形成されている。

　本実施例において、第１エレメント部材１１に設けられる第１部材構成部２０、第１案内部４０、及び第１止め部６０と、第２エレメント部材１２に設けられる第２部材構成部３０、第２案内部５０、及び第２止め部７０とは、ファスナーエレメント１４と同じ合成樹脂により形成されていることが好ましい。

　第１部材構成部２０は、第１エレメント部材１１のエレメント列１３の後端部に隣接して配されており、この第１部材構成部２０とエレメント列１３の最も後方側に配されるファスナーエレメント１４（以下、このファスナーエレメント１４を第１後端エレメント１４ａと略記する）との間には、所定の間隙が設けられている。

　この場合、第１部材構成部２０の後述する蝶棒本体部２３と第１後端エレメント１４ａのエレメント胴部１５ａとの間には、隣接するファスナーエレメント１４のエレメント胴部１５ａ間に形成された間隙（すなわち、固定部材１６が露出する間隙）と同様の間隙が形成されている。また、第１部材構成部２０の後述する蝶棒側係合部２４と第１後端エレメント１４ａの噛合頭部１５ｃとの間には、隣接するファスナーエレメント１４の噛合頭部１５ｃ間に形成されたギア挿入間隙１７ａと同様のギア挿入間隙１７ａが形成されている。

　本実施例の第１部材構成部２０（蝶棒部２１）は、上下方向に直交して形成される平坦な上面及び平坦な下面を有しており、第１部材構成部２０における上面と下面との間の厚さ寸法は、ファスナーエレメント１４のエレメント胴部１５ａにおける厚さ寸法と同じ大きさに設定されている。

　この第１部材構成部２０は、固定部材１６に固着される蝶棒部２１と、蝶棒部２１からチェーン部材１０における幅方向の外側に向けて薄板状に延出する第１ヒレ片部２２とを有する。ここで、チェーン部材１０における幅方向の外側とは、第１エレメント部材１１の幅方向において、第２エレメント部材１２に対向する方向とは反対側の方向を言う。

　蝶棒部２１は、固定部材１６を包み込む略直方体状の蝶棒本体部２３と、蝶棒本体部２３の前端部における箱棒対向側面から幅方向に突出する蝶棒側係合部２４と、蝶棒本体部２３の箱棒対向側面から幅方向に突出する第１突片部２５とを有する。この蝶棒部２１では、蝶棒側係合部２４及び第１突片部２５によって、第２エレメント部材１２の後述する箱棒部３１に対して、干渉しないように上下方向に重なり合うように組み合わせることが可能な凹凸形状が形成されている。

　本実施例の蝶棒部２１は、蝶棒部２１における幅寸法の最大値が、ファスナーエレメント１４における幅寸法の最大値と同じ大きさに設定され、且つ、蝶棒部２１における上面と下面間の厚さ寸法が、ファスナーエレメント１４のエレメント胴部１５ａにおける厚さ寸法と同じ大きさに設定されて形成されている。これにより、ミシンを用いて第１エレメント部材１１を生地３に縫着する際に、第１エレメント部材１１の蝶棒部２１を、ファスナーエレメント１４と同様に円滑に送りながら生地３に縫い付けることができる。また、スライドファスナー２を形成したときに、蝶棒部２１をスライダーのエレメント案内路に円滑に挿通させることができる。

　蝶棒本体部２３の長さ寸法は、エレメント列１３におけるファスナーエレメント１４の形成ピッチの２倍以上６倍以下の大きさに設定されることが好ましい。ここで、ファスナーエレメント１４の形成ピッチとは、長さ方向に互いに隣接する２つのファスナーエレメント１４において、各ファスナーエレメント１４の長さ方向における中央位置間の間隔を言う。蝶棒本体部２３が上述のような長さ寸法を有することにより、スライドファスナー２を形成したときに開離嵌挿具５の操作を容易に且つ円滑に行うことができる。

　蝶棒部２１における蝶棒側係合部２４は、蝶棒本体部２３の上半部（蝶棒本体部２３における厚さ方向の中央位置よりも上側に配される部分）から、幅方向に突出している。この蝶棒側係合部２４は、第２エレメント部材１２のエレメント列１３の最も後方側に配されるファスナーエレメント１４（以下、このファスナーエレメント１４を第２後端エレメント１４ｂと略記する）と、第２部材構成部３０の後述する第２突片部３４とに対して係合可能な形状を有する。

　蝶棒部２１の第１突片部２５は、蝶棒本体部２３の長さ方向の全体に亘って、蝶棒本体部２３の下半部（蝶棒本体部２３における厚さ方向の中央位置よりも下側に配される部分）から幅方向に突出して形成されている。この第１突片部２５は、蝶棒部２１の略前半部に配されるとともに幅寸法を後述するギア挿入凹部１７ｂを除いて大きくした前側第１突片部２５ａと、蝶棒部２１の略後半部に配されるとともに前側第１突片部２５ａから段差２５ｃを介して幅寸法を前側第１突片部２５ａよりも小さくした後側第１突片部２５ｂとを有する。

　前側第１突片部２５ａは、当該前側第１突片部２５ａの箱棒対向側縁から幅方向に凹設されたギア挿入凹部１７ｂを有する。このギア挿入凹部１７ｂは、ミシンに設置される第１搬送ギア８６の歯と第２搬送ギア８７の歯を挿入可能なように、第１エレメント部材１１の平面視において、蝶棒本体部２３から離れる方向に向けて開口し、且つ、ギア挿入凹部１７ｂの前後方向における開口寸法（空間部の寸法）を、蝶棒本体部２３から離れるにつれて漸増させて形成されている。

　この場合、蝶棒部２１に形成されたギア挿入凹部１７ｂの位置と、前側第１突片部２５ａ及び後側第１突片部２５ｂ間に形成された段差２５ｃの位置とは、図５に仮想線（二点鎖線）で示すように、第１エレメント部材１１のエレメント列１３に形成されたギア挿入間隙１７ａを後方に向けて一定の間隔で繰り返すことによって仮想的に設けられる仮間隙１８の位置に対応している。

　第１部材構成部２０の第１ヒレ片部２２は、蝶棒本体部２３の箱棒対向側面部とは反対側の外側面部から、幅方向の外側に向けて平板状に延出するとともに、第１ヒレ片部２２を上下方向に貫通する外側開口部２２ａ及び内側開口部２２ｂを有する。この第１ヒレ片部２２は、蝶棒本体部２３の厚さ方向における中央部に連結しており、また、外側開口部２２ａ及び内側開口部２２ｂを除いて一定の厚さ寸法を有する。

　第１ヒレ片部２２は、第１エレメント部材１１の平面視において、略矩形状を呈するヒレ片本体部２２ｃと、ヒレ片本体部２２ｃの左側縁部（蝶棒本体部２３から離間する側の側縁部）から前方に突出する前方凸部２２ｄと、ヒレ片本体部２２ｃの左側縁部から後方に突出する後方凸部２２ｅとを有する。

　この場合、略矩形状のヒレ片本体部２２ｃにおける長さ寸法の最小値は、蝶棒本体部２３の長さ寸法の５０％以上に設定され、当該長さ寸法の最大値は、蝶棒本体部２３の長さ寸法の１００％以下に設定される。これにより、開離嵌挿具５を形成して蝶棒部２１の操作を行うときに、使用者がヒレ片本体部２２ｃを保持し易くして操作性の向上を図ることができ、また、蝶棒部２１の近傍における生地３を適切に保護することができる。

　更に第１ヒレ片部２２には、ヒレ片本体部２２ｃの左側縁部に配される１つの外側開口部（第１開口部）２２ａと、蝶棒部２１と外側開口部２２ａとの間に配される２つの内側開口部（第２開口部）２２ｂとが穿設されている。外側開口部２２ａは、ヒレ片本体部２２ｃにおける幅方向の中央位置よりも外側（左側）の部分に、前後方向に沿って直線状に連続して設けられている。

　この場合、外側開口部２２ａの幅寸法（幅方向における開口寸法）は、前端部及び後端部を除いて一定の大きさを有しており、例えば本実施例の場合、ヒレ片本体部２２ｃの幅寸法の最大値の１０％以上５０％以下の大きさに設定される。また、外側開口部２２ａの長さ寸法（長さ方向における開口寸法）の最大値は、ヒレ片本体部２２ｃの長さ寸法の５０％以上１００％未満に、好ましくは８０％以上９５％以下に設定される。

　２つの内側開口部２２ｂは、第１エレメント部材１１の平面視において、略円形又は略楕円形を呈する形状を有する。また、２つの内側開口部２２ｂは、幅方向に関して、外側開口部２２ａと蝶棒部２１との間の領域に、好ましくは当該領域内の外側開口部２２ａ寄りの同じ位置に形成されている。また、内側開口部２２ｂは、長さ方向に関し、ヒレ片本体部２２ｃにおける長さ方向の中央位置よりも前半に配される前半部分と後半に配される後半部分とに、１つずつ配されている。特に本実施例の場合、２つの内側開口部２２ｂは、長さ方向に関し、外側開口部２２ａを長さ方向で３等分したときの境界部に相当する位置に配されている。

　この場合、内側開口部２２ｂの幅寸法（幅方向における開口寸法）の最大値は、ヒレ片本体部２２ｃの幅寸法の最大値の１０％以上５０％以下の大きさに設定され、特に本実施例１の場合、外側開口部２２ａの幅寸法と同じ大きさを有する。また、内側開口部２２ｂの長さ寸法（長さ方向における開口寸法）の最大値は、内側開口部２２ｂの幅寸法の最大値以上で、且つ、外側開口部２２ａの幅寸法よりも小さく設定され、好ましくは、ヒレ片本体部２２ｃの長さ寸法の５０％以下に設定される。

　特に本発明の第１ヒレ片部２２及び後述する第２ヒレ片部３２において、外側開口部２２ａ，３２ａ及び内側開口部２２ｂ，３２ｂの幅寸法及び長さ寸法は、第１エレメント部材１１及び第２エレメント部材１２の縫製加工に用いるミシンのミシン針が安定して挿通可能なように、０．０５ｍｍ以上に設定されることが好ましい。
　なお本発明において、内側開口部（第２開口部）２２ｂ，３２ｂの個数及び形状は特に限定されるものではなく、例えば第１ヒレ片部２２及び第２ヒレ片部３２には、１つのみの内側開口部２２ｂ，３２ｂが形成されていても良く、また、３以上の内側開口部２２ｂ，３２ｂが形成されていても良い。更に、内側開口部２２ｂ，３２ｂを設けずに第１ヒレ片部２２及び第２ヒレ片部３２を形成することも可能である。

　本実施例の第１案内部４０は、蝶棒部２１の後方に、蝶棒部２１の後端部との間に所定の間隙を設けて配されている。第１案内部４０は、固定部材１６を包み込む第１案内本体部４１と、第１案内本体部４１の上半部における内側面（第２案内部５０に対向する対向側面）から幅方向に突出する上側突出部４２と、第１案内本体部４１の上半部における内側面から幅方向に凹設された収容凹部４３と、第１案内本体部４１の下半部における内側面から幅方向に延出する下側延出部４４と、第１案内本体部４１の上面よりも上方に突出する上側突起部４５と、第１案内本体部４１の下面よりも下方に突出する下側突起部４６とを有する。この場合、第１案内部４０には、上側突出部４２、収容凹部４３、及び下側延出部４４によって、第２エレメント部材１２の第２案内部５０に対し、上下方向に重なり合うように組み合わせることが可能な凹凸形状が形成されている。

　本実施例の第１案内部４０において、第１案内本体部４１の上面と下面との間の厚さ寸法は、ファスナーエレメント１４のエレメント胴部１５ａにおける厚さ寸法と同じである。また、第１案内部４０における幅寸法の最大値は、ファスナーエレメント１４における幅寸法の最大値と同じである。この第１案内部４０の長さ寸法は、エレメント列１３におけるファスナーエレメント１４の形成ピッチの２倍以上６倍以下の大きさに、特に３倍以上５倍以下の大きさに設定されることが好ましい。また具体的に、第１案内部４０の長さ寸法は、１５ｍｍ以上４５ｍｍ以下に設定されることが好ましい。

　第１案内部４０が、上述のように、ファスナーエレメント１４の形成ピッチの２倍以上又は１５ｍｍ以上の長さ寸法を有することにより、第１エレメント部材１１を生地３に縫着する縫製加工を行う際に、作業者が第１案内部４０を保持し易くすることや、指などで押さえ易くすることができるため、縫製加工を円滑に行うことが可能となる。一方、第１案内部４０が、ファスナーエレメント１４の形成ピッチの６倍以下又は４５ｍｍ以下の長さ寸法を有することにより、例えば縫製加工を行うために第１エレメント部材１１をミシンにセットするときに、第１案内部４０が第１部材構成部２０に対して捩れ難くすることができるため、第１エレメント部材１１をミシンに容易に且つ安定してセットすることができる。

　本実施例において、第１案内部４０の上側突出部４２は、第１案内本体部４１の前端部に設けられており、第１案内本体部４１から幅方向に最も突出して形成されている。また、上側突出部４２は、図５に示したように、上述した仮間隙１８の位置に重ならないように（言い換えると、仮間隙１８を回避するように）、設けられている。この上側突出部４２の後側には、収容凹部４３が連続的に形成されている。

　第１案内部４０の下側延出部４４は、長さ方向に関し、上側突出部４２の前端縁の位置から第１案内本体部４１の後端位置に亘って形成されている。この下側延出部４４には、前側第１突片部２５ａに設けたギア挿入凹部１７ｂと同じように、ミシンに設置される第１搬送ギア８６の歯と第２搬送ギア８７の歯を挿入可能な３つのギア挿入凹部１７ｂが設けられており、これらの３つのギア挿入凹部１７ｂの形成位置は、上述した仮間隙１８の位置に対応している。

　第１案内部４０の上側突起部４５と下側突起部４６とは、第１案内部４０における長さ方向及び幅方向の互いに対応する同じ位置に配されている。本実施例では、このような上側突起部４５及び下側突起部４６が第１案内部４０のみに形成されており、第２エレメント部材１２の第２案内部５０には設けられていない。それによって、第１エレメント部材１１と第２エレメント部材１２とを簡単に区別でき、例えば第１エレメント部材１１と第２エレメント部材１２の取り違えが生じることを抑制できる。

　更に本実施例では、上側突起部４５における第１案内本体部４１の上面から上端までの厚さ寸法（上下方向における寸法）と、下側突起部４６における第１案内本体部４１の下面から下端までの厚さ寸法とを互いに異ならせており、上側突起部４５の厚さ寸法を下側突起部４６の厚さ寸法よりも大きくしている。それによって、第１エレメント部材１１の上面側と下面側とを簡単に区別し、第１エレメント部材１１の表裏方向を容易に認識できる。

　第１エレメント部材１１の第１止め部６０は、第１エレメント部材１１の前端部に、エレメント列１３の前端部に隣接して配されており、第１止め部６０とエレメント列１３の前端部との間には所定の間隔が設けられている。この場合、第１止め部６０とそのファスナーエレメント１４の噛合頭部１５ｃとの間には、長さ方向に隣接するファスナーエレメント１４の噛合頭部１５ｃ間に形成されたギア挿入間隙１７ａと同様のギア挿入間隙１７ａが形成されている。また、第１止め部６０における幅寸法の最大値は、ファスナーエレメント１４における幅寸法の最大値と同じ大きさである。

　第１止め部６０は、図７及び図８に示すように、固定部材１６を包み込むとともに平坦な上面及び下面を備えた第１止め本体部６１と、第１止め本体部６１の下半部から右側（第２止め部７０側）と後方側（エレメント列１３側）とに向けて突出する下側突出部６２と、第１止め本体部６１の第２止め部７０に対向する対向側面部から幅方向に突出する上側突出部６３とを有する。

　第１止め本体部６１における平坦な上面と平坦な下面との間の厚さ寸法は、ファスナーエレメント１４のエレメント胴部１５ａにおける厚さ寸法と同じである。下側突出部６２は、第２止め部７０の後述する前側収容凹部７２に収容可能に形成されている。この下側突出部６２によって、第１止め部６０に、第２エレメント部材１２の第２止め部７０に組み合わせることが可能な凹凸形状が形成されている。上側突出部６３は、第１止め本体部６１の厚さ寸法の１０％以上５０％以下の厚さ寸法を有しており、上側突出部６３の下方は空間部が形成されている。このような上側突出部６３が設けられていることにより、第１止め部６０の軽量化を図りながら、第１止め部６０における幅寸法の最大値を、ファスナーエレメント１４における幅寸法の最大値と同じ大きさに容易に合わせることができる。

　本実施例の第２部材構成部３０は、第２エレメント部材１２のエレメント列１３の後端部に隣接して配されており、この第２部材構成部３０とエレメント列１３の最も後方側に配される第２後端エレメント１４ｂのエレメント胴部１５ａとの間には、固定部材１６が露出する間隙が設けられている。また、第２部材構成部３０の後述する箱棒側係合部３４ａと第２後端エレメント１４ｂの噛合頭部１５ｃとの間には、隣接するファスナーエレメント１４の噛合頭部１５ｃ間に形成されたギア挿入間隙１７ａと同様のギア挿入間隙１７ａが形成されている。

　本実施例の第２部材構成部３０は、平坦な上面と平坦な下面とを有しており、第２部材構成部３０における上面と下面との間の厚さ寸法は、ファスナーエレメント１４のエレメント胴部１５ａにおける厚さ寸法と同じ大きさに設定されている。また、第２部材構成部３０における幅寸法の最大値は、ファスナーエレメント１４における幅寸法の最大値と同じ大きさに設定されている。

　この第２部材構成部３０は、固定部材１６に固着される箱棒部３１と、箱棒部３１からチェーン部材１０における幅方向の外側に向けて薄板状に延出する第２ヒレ片部３２とを有する。箱棒部３１は、固定部材１６を包み込む略直方体状の箱棒本体部３３と、箱棒本体部３３の上半部における蝶棒対向側面から幅方向に突出する第２突片部３４と、箱棒本体部３３の下半部における蝶棒対向側面から幅方向に突出し、且つ第２突片部３４の下面側に一体的に形成される前側凸部３５及び後側凸部３６とを有する。

　この箱棒本体部３３の長さ寸法は、蝶棒本体部２３の長さ寸法よりも短く、且つ、エレメント列１３におけるファスナーエレメント１４の形成ピッチの２倍以上６倍以下の大きさに設定されることが好ましい。これにより、スライドファスナー２を形成したときに開離嵌挿具５の操作を容易に且つ円滑に行うことができる。

　箱棒部３１の第２突片部３４は、蝶棒部２１の第１突片部２５に対し、第１突片部２５の上側に重なり合うことが可能に形成されている。第２突片部３４の前端部には、蝶棒部２１の蝶棒側係合部２４に係合可能な箱棒側係合部３４ａが設けられている。第２突片部３４の蝶棒対向側縁部（先端側縁部）には、ギア挿入凹部１７ｂが凹設されている。

　このギア挿入凹部１７ｂは、第２エレメント部材１２の平面視において、箱棒本体部３３から離れる方向に向けて開口し、また、第２エレメント部材１２のギア挿入間隙１７ａを後方に向けて仮想的に一定の間隔で繰り返すことによって設けられる仮間隙１８の位置に対応して配されている。箱棒本体部３３の前側凸部３５と後側凸部３６との間には、蝶棒部２１の前側第１突片部２５ａの一部を挿入可能な間隔が形成されている。

　本実施例の箱棒部３１は、開離嵌挿具５を構成する箱体部６を装着可能に形成されている。この場合、箱体部６は、箱棒部３１と別体に形成されており、また、箱体部６には、弾性変形可能で箱棒部３１に係合可能な図示しない弾性爪部が設けられている。このような箱体部６を所定の位置に装着して係止するために、箱棒本体部３３の下面側には、箱体部６の弾性爪部を挿入して係合させる係合凹部３７が形成されている。更に、第２突片部３４及び後側凸部３６のそれぞれの後端部には、箱体部６を係止したときに箱体部６の図示しない中仕切り部が当接する。

　このような箱棒部３１では、上述した第２突片部３４、前側凸部３５及び後側凸部３６によって、蝶棒部２１に対して組み合わせることが可能な凹凸形状が形成されている。すなわち、本実施例の蝶棒部２１及び箱棒部３１は、箱棒部３１の第２突片部３４が蝶棒部２１の第１突片部２５の上に重なり合うとともに、箱棒部３１の前側凸部３５及び後側凸部３６間に第１突片部２５の一部が挿入されることによって組み合うことが可能である。

　第２部材構成部３０の第２ヒレ片部３２は、箱棒本体部３３の蝶棒対向側面部とは反対側の外側面部から、幅方向の外側に向けて平板状に延出して形成されている。また、第２ヒレ片部３２には、第２ヒレ片部３２を上下方向に貫通する１つの外側開口部（第１開口部）３２ａと２つの内側開口部（第２開口部）３２ｂとが設けられている。

　第２ヒレ片部３２は、第１ヒレ片部２２と同様に、略矩形状を呈するヒレ片本体部３２ｃと、前方凸部３２ｄと、後方凸部３２ｅとを有する。また、略矩形状のヒレ片本体部３２ｃにおける長さ寸法の最小値は、箱棒本体部３３の長さ寸法の５０％以上に設定され、当該長さ寸法の最大値は、箱棒本体部３３の長さ寸法の１００％以下に設定される。

　第２ヒレ片部３２の外側開口部３２ａは、ヒレ片本体部３２ｃにおける幅方向の中央位置よりも外側（右側）の部分に、前後方向に沿って直線状に連続して設けられている。この外側開口部３２ａの幅寸法は、前端部及び後端部を除いて、ヒレ片本体部３２ｃの幅寸法の最大値の１０％以上５０％以下の一定の大きさに設定される。また、外側開口部３２ａの長さ寸法の最大値は、ヒレ片本体部３２ｃの長さ寸法の５０％以上１００％未満に、好ましくは８０％以上９５％以下に設定される。

　２つの内側開口部３２ｂは、幅方向に関して、外側開口部３２ａと箱棒部３１との間の領域に、好ましくは当該領域内の外側開口部３２ａ寄りの同じ位置に形成されている。また、内側開口部３２ｂは、長さ方向に関して、ヒレ片本体部３２ｃにおける長さ方向の中央位置よりも前半部と後半部とに１つずつ配されている。内側開口部３２ｂの幅寸法の最大値は、ヒレ片本体部３２ｃの幅寸法の最大値の１０％以上５０％以下の大きさに設定され、また、外側開口部３２ａの幅寸法と同じ大きさを有する。内側開口部３２ｂの長さ寸法の最大値は、内側開口部３２ｂの幅寸法の最大値以上、且つ、ヒレ片本体部３２ｃの長さ寸法の５０％以下に設定される。

　本実施例の第２案内部５０は、箱棒部３１の後方に、箱棒部３１の後端部との間に所定の間隙を設けて配されている。この第２案内部５０は、固定部材１６を包み込む第２案内本体部５１と、第２案内本体部５１の前端部における内側面（第２案内部５０に対向する対向側面）から内側に延出するギア用挿入部５２と、第２案内本体部５１の上半部における内側面から幅方向に突出する上側延出部５３とを有する。

　この第２案内部５０において、第２案内本体部５１の上面と下面との間の厚さ寸法は、ファスナーエレメント１４のエレメント胴部１５ａにおける厚さ寸法と同じ大きさである。また、第２案内部５０における幅寸法の最大値は、ファスナーエレメント１４における幅寸法の最大値と同じ大きさである。第２案内部５０の長さ寸法は、エレメント列１３におけるファスナーエレメント１４の形成ピッチの２倍以上６倍以下の大きさに、特に３倍以上５倍以下の大きさに設定されることが好ましい。また具体的に、第２案内部５０の長さ寸法は、１５ｍｍ以上４５ｍｍ以下に設定されることが好ましい。

　第２案内部５０が、ファスナーエレメント１４の形成ピッチの２倍以上又は１５ｍｍ以上の長さ寸法を有することにより、第２エレメント部材１２を生地３に縫着する縫製加工を行う際に、作業者が第２案内部５０を保持し易くすることや、指などで押さえ易くすることができるため、縫製加工を円滑に行うことが可能となる。一方、第２案内部５０が、ファスナーエレメント１４の形成ピッチの６倍以下又は４５ｍｍ以下の長さ寸法を有することにより、例えば縫製加工を行うために第２エレメント部材１２をミシンにセットするときに、第２案内部５０が第２部材構成部３０に対して捩れ難くすることができる。

　第２案内部５０のギア用挿入部５２は、第２案内本体部５１と同じ厚さ寸法を有しており、また、図９に示したように、上述した仮間隙１８の位置に重ならないように（言い換えると、仮間隙１８を回避するように）、設けられている。このギア用挿入部５２と上側延出部５３との間には、ギア挿入凹部１７ｂが設けられている。

　第２案内部５０の上側延出部５３には、第２案内本体部５１から離れる方向（第１案内部４０側）に向けて突出して第１案内部４０の上述した収容凹部４３内に挿入可能な挿入突片部５４と、挿入突片部５４よりも後側に配されるとともに第２案内本体部５１から離れる方向に向けて開口する３つのギア挿入凹部１７ｂとが設けられている。この場合、３つのギア挿入凹部１７ｂは、長さ方向に一定の間隔で形成されており、これらの３つのギア挿入凹部１７ｂの形成位置は、上述した仮間隙１８の位置に対応している。

　上述した本実施例の第１案内部４０及び第２案内部５０は、第１案内部４０の上側突出部４２が第２案内部５０のギア用挿入部５２及び上側延出部５３間に入り込むとともに、第２案内部５０の挿入突片部５４が第１案内部４０の収容凹部４３に入り込み、且つ、第２案内部５０の上側延出部５３が第１案内部４０の下側延出部４４の上に重なり合うことによって組み合うことが可能である。

　第２エレメント部材１２の第２止め部７０は、第２エレメント部材１２の前端部に、エレメント列１３の前端部に隣接して配されており、第２止め部７０とエレメント列１３の前端部との間には所定の間隔が設けられている。この場合、第２止め部７０とそのファスナーエレメント１４の噛合頭部１５ｃとの間には、長さ方向に隣接するファスナーエレメント１４の噛合頭部１５ｃ間に形成されたギア挿入間隙１７ａと同様のギア挿入間隙１７ａが形成されている。また、第２止め部７０における幅寸法の最大値は、ファスナーエレメント１４における幅寸法の最大値と同じである。

　第２止め部７０は、図１１及び図１２に示すように、固定部材１６を包み込む第２止め本体部７１と、第２止め本体部７１の第１止め部６０に対向する対向側面部の下面側に設けられた前側収容凹部７２及び後側収容凹部７３と、第２止め本体部７１の上面よりも上方に突出する上側突起部７４と、第２止め本体部７１の下面よりも下方に突出する下側突起部７５とを有する。第２止め本体部７１の厚さ寸法は、ファスナーエレメント１４のエレメント胴部１５ａにおける厚さ寸法と同じである。

　第２止め部７０の前側収容凹部７２は、第１止め部６０に設けた下側突出部６２を挿入させて収容可能に形成されており、後側収容凹部７３は、第１エレメント部材１１のファスナーエレメント１４に設けた肩部１５ｄを挿入させて収容可能に形成されている。上側突起部７４及び下側突起部７５は、後述するようにスライドファスナー２が形成されたときに、スライダーの上翼板及び下翼板を第２止め部７０の上側突起部７４及び下側突起部７５にそれぞれ当接させることによって、スライダーの摺動を停止させることが可能である。

　また、本実施例の上側突起部７４及び下側突起部７５は、上側突起部７４における第２止め本体部７１の上面から上端までの厚さ寸法と、下側突起部７５における第２止め本体部７１の下面から下端までの厚さ寸法とを異ならせて形成されており、上側突起部７４は下側突起部７５よりも大きな厚さ寸法を有する。それによって、第２エレメント部材１２の上面側と下面側とを簡単に区別できる。

　なお本実施例において、上述のような上側突起部７４及び下側突起部７５は第２止め部７０のみに設けられており、第１エレメント部材１１の第１止め部６０には設けられていない。このように第１止め部６０及び第２止め部７０の一方（第２止め部７０）のみに上側突起部及び下側突起部を設けることにより、第１エレメント部材１１と第２エレメント部材１２とを簡単に区別できる。

　図１～図４に示した本実施例のチェーン部材１０では、第１エレメント部材１１及び第２エレメント部材１２の左右のエレメント列１３が互いに噛み合わされて形成されており、また、第１エレメント部材１１の蝶棒部２１、第１案内部４０、及び第１止め部６０と、第２エレメント部材１２の箱棒部３１、第２案内部５０、及び第２止め部７０とが、上述したように互いに厚さ方向で一部分を重ね合わせるようにして組み合わされている。これにより、チェーン部材１０の搬送、保管、及び管理等を容易に且つ安定して行うことができる。

　この場合、互いに組み合わせられた蝶棒部２１及び箱棒部３１におけるチェーン幅方向の寸法、互いに組み合わせられた第１案内部４０及び第２案内部５０におけるチェーン幅方向の寸法、及び、互いに組み合わせられた第１止め部６０及び第２止め部７０におけるチェーン幅方向の寸法は、互いに噛み合わせられた左右のエレメント列１３におけるチェーン幅方向の寸法とそれぞれ同じ大きさである。ここで、チェーン幅方向の寸法とは、互いに組み合わせられる部分又は噛み合わせられる部分の一方の外側面（例えば左側面）から他方の外側面（例えば右側面）までの幅方向の寸法を言い、例えば蝶棒部２１及び箱棒部３１におけるチェーン幅方向の寸法とは、蝶棒部２１の外側面（左側面）から箱棒部３１の外側面（右側面）までの幅方向の寸法を言う。

　すなわち、本実施例のチェーン部材１０では、チェーン部材１０の長さ方向の全体に亘ってチェーン幅方向の寸法が同じ大きさとなる。これにより、本実施例のチェーン部材１０を、例えば所定の幅で形成される搬送路や搬送凹溝上でフィードローラを用いて搬送する際に、チェーン部材１０が搬送路や搬送凹溝に引っ掛かることや、搬送路や搬送凹溝内で左右に揺れることを防いで、チェーン部材１０の搬送を円滑に行うことができる。

　なお、上述したようにチェーン幅方向の寸法が同じ大きさであるとは、各部分におけるチェーン幅方向の寸法の最大値が同じであることを言い、例えばチェーン幅方向の寸法が局部的に小さくなる場合であっても、各部分のチェーン幅方向の寸法の最大値が同じであれば、チェーン幅方向の寸法は同じ大きさであるとする。

　更にこの場合、蝶棒部２１及び箱棒部３１の後方に、組み合わせられた状態の第１案内部４０及び第２案内部５０が設けられていることにより、例えば複数のチェーン部材１０を長さ方向に連結した状態で搬送するときに、チェーン部材１０を捩れ難くすることができる。このため、製造されたチェーン部材１０に対して、その後に様々な加工を行う際に、それぞれの加工を安定して行うことができる。

　以上のような本実施例のチェーン部材１０は、例えば衣服において開閉部となる前身頃（特に、前立て部）を形成する生地３に取り付けられる。更にその後、図示しないスライダーをエレメント列１３に取り付けるとともに、箱棒部３１に箱体部６を取り付けることによって、開離嵌挿具５を有するスライドファスナー付き衣服１を製造することができる。

　この場合、衣服の前身頃を構成する生地３（ガーメント生地とも言う）が、第１エレメント部材１１及び第２エレメント部材１２が取着されるファスナー被着部材３となり、前身頃における互いに対向する対向縁部が、エレメント取付縁部となる。なお本発明において、衣服の生地は特に限定されるものではなく、適宜選択することができる。

　スライドファスナー付き衣服１を製造する場合、チェーン部材１０を左側の第１エレメント部材１１と右側の第２エレメント部材１２に一度分離し、先ず、第１エレメント部材１１と第２エレメント部材１２とを、例えば所定の形状に裁断された左右の生地３（生地パーツ）にそれぞれ縫着する縫製加工を行う。

　この縫製加工は、千鳥縫いミシンを用いて行われる。千鳥縫いミシンとは、ミシンの送り方向に交差する交差方向にミシン針を揺動させながら、生地３等を本縫いでジグザグに縫うことが可能なミシンである。この千鳥縫いミシンでは、上糸（針糸）及び下糸（ボビン糸）からなる縫製糸で、生地３の表裏面に縫製部（第１縫製部８１又は第２縫製部８２）を形成しながら、その縫製部で第１エレメント部材１１又は第２エレメント部材１２を生地３に固定することができる。

　特に本実施例で用いる千鳥縫いミシンの針板８３には、例えば図１３等に示すように、第１エレメント部材１１のファスナーエレメント１４、蝶棒部２１、第１案内部４０、及び第１止め部６０を挿通可能で、且つ、第２エレメント部材１２のファスナーエレメント１４、箱棒部３１、第２案内部５０、及び第２止め部７０を挿通可能な第１挿通溝部８４が設けられている。この第１挿通溝部８４の溝幅寸法を、ファスナーエレメント１４における幅寸法の最大値に対応させることによって、第１エレメント部材１１及び第２エレメント部材１２を第１挿通溝部８４に引っ掛からせることなく、円滑に送ることができる。

　更に本実施例では、千鳥縫いミシンの針板８３に設けた第１挿通溝部８４の溝底面に、第１エレメント部材１１の第１案内部４０に設けた下側突起部４６を挿通可能で、且つ、その下側突起部４６よりも高く形成された第１案内部４０の上側突起部４５を挿通不能な大きさを有する第２挿通溝部８５が形成されている。また、この第２挿通溝部８５は、第２エレメント部材１２の第２止め部７０に設けた下側突起部７５を挿通可能で、且つその下側突起部７５よりも高く形成された第２止め部７０の上側突起部７４を挿通不能に形成されている。このような第２挿通溝部８５により、第１エレメント部材１１及び第２エレメント部材１２がその表裏方向を間違えて生地３に縫着されることを防止できる。

　また、本実施例の千鳥縫いミシンには、図１３及び図１４に示すように、ミシンの送り動作に同期して回転する上流側の第１搬送ギア８６及び下流側の第２搬送ギア８７の２つの搬送ギアが所定の位置に設置されている。この場合、第１搬送ギア８６及び第２搬送ギア８７は、ミシンによる生地３と第１エレメント部材１１又は第２エレメント部材１２の送り方向を前方にして上側から見た場合（図１３及び図１４）、ミシン針の位置よりも右側に配されている。

　このような第１搬送ギア８６及び第２搬送ギア８７に配された各歯が、２つのファスナーエレメント１４間に形成されたギア挿入間隙１７ａ、第１エレメント部材１１の蝶棒部２１及び第１案内部４０に設けられたギア挿入凹部１７ｂ、及び第２エレメント部材１２の箱棒部３１及び第２案内部５０に設けられたギア挿入凹部１７ｂに挿入されながら、第１搬送ギア８６及び第２搬送ギア８７がそれぞれ時計回り方向に回転することによって、第１エレメント部材１１及び第２エレメント部材１２を、ミシンの図示しない送り歯とともに、ミシン針の昇降動作に合わせて安定して前方（図１３及び図１４における紙面の上方）に搬送することができる。

　本実施例の縫製加工において、例えば第１エレメント部材１１を生地３に縫着する場合、千鳥縫いミシンに、図１３に仮想線の円で示したような針落ち位置８８の座標データを設定する（又は、針落ち位置の座標データが事前に設定された千鳥縫いミシンを用いる）。なお、第１エレメント部材１１及び生地３に対する針落ち位置は、図１３に示した位置に限定されず、任意に変更可能である。

　この千鳥縫いミシンの針板８３の上に、第１エレメント部材１１と生地３とを、第１エレメント部材１１の第１止め部６０側から縫製が開始するように所定の位置にセットして縫製加工を行う。なお、第１エレメント部材１１の縫製加工を開始するときと終了するときには、縫製糸の解れを生じ難くするために、第１エレメント部材１１の長さ方向に沿って直線的な図示しない縫製端部を形成する返し縫いを行う。

　加工開始時の返し縫いを行った後、千鳥縫いミシンの送り方向に対してジグザグ状に折れ曲がる千鳥縫いが本縫いにより行われる。これにより、縫製糸で生地３のエレメント取付縁部及び第１エレメント部材１１に、第１縫製部８１として、図１３に仮想線の直線部分で示すようなジグザグ状のエレメント縫製部（第１固定用縫製部）８１ａを形成しながら、そのエレメント縫製部８１ａで第１エレメント部材１１の第１止め部６０及び複数のファスナーエレメント１４（エレメント列１３）を、生地３のエレメント取付縁部に固定できる。

　更に本実施例の第１エレメント部材１１の場合、エレメント列１３の最も後方側に配される第１後端エレメント１４ａをジグザグ状のエレメント縫製部８１ａで固定した後、第１エレメント部材１１の第１部材構成部２０を生地３に固定するヒレ片縫製部（第２固定用縫製部）８１ｂを第１縫製部８１の一部として形成する。

　このヒレ片縫製部８１ｂは、第１部材構成部２０における第１ヒレ片部２２の外側から、第１ヒレ片部２２に設けた直線状に長い外側開口部２２ａに移動してミシン針を生地３に刺通させ、更に、ミシン針を、第１ヒレ片部２２の外側開口部２２ａ、第１ヒレ片部２２よりも幅方向の外側の生地３、及び、第１ヒレ片部２２に設けた略円形又は略楕円形状の内側開口部２２ｂに、図１３に示すようにジグザグ状に移動させながら生地３に刺通させる。

　そして、第１ヒレ片部２２の外側開口部２２ａの最も後端位置でミシン針を生地３に刺通させた後、ミシン針を外側開口部２２ａから後方に移動させ、図１３に示したように、第１ヒレ片部２２の後方凸部２２ｅの後方側で、且つ、ヒレ片縫製部の最も後方にある針落ち位置８８ａで生地３に刺通させる。これにより、ヒレ片縫製部８１ｂを形成しながら、第１エレメント部材１１の第１部材構成部２０を、生地３のエレメント取付縁部にヒレ片縫製部８１ｂで固定することができる。

　なお本実施例１の場合、第１ヒレ片部２２の外側で刺通する針落ち位置を、上記針落ち位置８８ａから、例えば図１６に示す針落ち位置８８ｃに変更しても良い。この針落ち位置８８ｃは、ヒレ片本体部２２ｃと後方凸部２２ｅの境界近傍であるため、当該針落ち位置８８ｃでヒレ片縫製部８１ｂの固定を行うことにより、長さ方向及び幅方向に対するヒレ片縫製部８１ｂの固定強度がより高められる。

　特に本実施例では、上述のようなヒレ片縫製部８１ｂを形成して第１部材構成部２０を生地３に固定するときに、第１部材構成部２０の後方に配される第１案内部４０がミシンの針板８３に設けた第１挿通溝部８４に挿入されているとともに、当該第１案内部４０に設けられたギア挿入凹部１７ｂに第１搬送ギア８６の歯が挿入されて支持されている。

　これにより、ヒレ片縫製部８１ｂの形成時に、第１エレメント部材１１の第１案内部４０の位置が安定するため、第１部材構成部２０の位置が左右方向に揺動することや、第１部材構成部２０がエレメント列１３に対して捩じることを効果的に防止することができる。その結果、第１部材構成部２０を、ヒレ片縫製部８１ｂによって生地３の所定位置に安定して強固に固定することができる。

　ヒレ片縫製部８１ｂを形成した後（上述した針落ち位置８８ａでミシン針を生地３に刺通させた後）、縫製糸の解れを生じ難くするため、ヒレ片縫製部８１ｂに交差するように図示しない返し縫いを連続的に行って、長さ方向に沿った図示しない直線状の縫製端部を形成する。このとき、第１ヒレ片部２２の外側開口部２２ａは、第１エレメント部材１１の長さ方向に長い直線状に形成されているため、返し縫いを第１エレメント部材１１の長さ方向に沿って行っても、ミシン針が第１ヒレ片部２２を突き刺すことなく、直線状の縫製端部を安定して形成することができる。なお本実施例において、縫製加工の開始時と終了時に解れ防止のために形成する縫製端部は、上述のような直線状の返し縫いに代えて、閂止め縫いで形成されていても良い。
　上述のような縫製加工を行うことにより、第１縫製部８１を形成するとともに、その第１縫製部８１で、第１エレメント部材１１を生地３のエレメント取付縁部にしっかりと安定して縫着することができる。

　一方、本実施例の縫製加工で、第２エレメント部材１２を生地３に縫着する場合、先ず、千鳥縫いミシンに、図１４に仮想線の円で示したような針落ち位置８８の座標データを設定する。その千鳥縫いミシンの針板８３の上に、第２エレメント部材１２と生地３とを所定の位置にセットして縫製加工を行う。この第２エレメント部材１２の縫製加工を行う場合、第１エレメント部材１１の縫製加工の場合とは反対に、第２縫製部８２のヒレ片縫製部（第２固定用縫製部）８２ｂを形成して第２部材構成部３０を生地３に固定し、その後、第２縫製部８２のエレメント縫製部（第１固定用縫製部）８２ａを形成して、第２エレメント部材１２の複数のファスナーエレメント１４及び第２止め部７０を生地３に固定する。

　また、第２エレメント部材１２の縫製加工においても、縫製加工の開始時と終了時には、図示しない直線状の返し縫い又は閂止め縫いが行われて縫製端部が形成される。このため、加工開始時には、返し縫い又は閂止め縫いが、図１４に示す第２ヒレ片部３２の外側にある針落ち位置８８ｂまで行われる。

　上記縫製端部の形成後、ミシン針を針落ち位置８８ｂから第２ヒレ片部３２の外側開口部３２ａ内に移動させ、第２部材構成部３０を固定するヒレ片縫製部８２ｂを第２縫製部８２の一部として連続的に形成する。この第２縫製部８２のヒレ片縫製部８２ｂは、第１エレメント部材１１の第１縫製部８１と同様に、第２ヒレ片部３２の外側開口部３２ａ、第２ヒレ片部３２よりも幅方向の外側の生地３、及び、第２ヒレ片部３２に設けた略円形又は略楕円形状の内側開口部３２ｂに、図１４に仮想線の直線部分で示すようにジグザグ状に移動しながらミシン針を生地３に刺通させる。これにより、ヒレ片縫製部８２ｂを形成しながら、そのヒレ片縫製部８２ｂで第２部材構成部３０を生地３に固定できる。

　また本実施例では、上述のような第２エレメント部材１２の縫製開始時の返し縫いを行うときと、ヒレ片縫製部８２ｂを形成して第２部材構成部３０を生地３に固定するときに、図１４に示したように、第２案内部５０がミシンの針板８３に設けた第１挿通溝部８４に挿入されているとともに、当該第２案内部５０に設けられたギア挿入凹部１７ｂに第２搬送ギア８７の歯が挿入されて支持されている。

　これにより、第２縫製部８２の返し縫い時とヒレ片縫製部８２ｂの形成時に、第２エレメント部材１２の第２案内部５０の位置が安定するため、第２部材構成部３０の位置が左右方向に揺動することや、第２部材構成部３０がエレメント列１３に対して捩じることを効果的に防止することができる。

　ヒレ片縫製部８２ｂを形成した後、千鳥縫いミシンの送り方向に対してジグザグ状に折れ曲がる千鳥縫いが本縫いにより行われる。これにより、図１４に示すようなジグザグ状のエレメント縫製部８２ａを第２縫製部８２の一部として形成しながら、当該エレメント縫製部８２ａで第２エレメント部材１２の複数のファスナーエレメント１４及び第２止め部７０を生地３に固定する。その後、返し縫い又は閂止め縫いを行って図示しない縫製端部を形成する。これにより、形成された第２縫製部８２で第２エレメント部材１２を生地３のエレメント取付縁部にしっかりと安定して固定することができる。

　そして、以上のような縫製加工を行って、第１エレメント部材１１と第２エレメント部材１２を、衣服の前身頃を構成する左右の生地３にそれぞれ縫い付けた後、第１エレメント部材１１における第１部材構成部２０と第１案内部４０との間に露出する固定部材１６を切断加工して、第１案内部４０を第１エレメント部材１１から除去する。このとき、固定部材１６の切断加工によって、固定部材１６には、第１部材構成部２０の後方に（又は、第１部材構成部２０の後端と同じ長さ位置に）、切断痕又は切断面等のような切断部が形成される。また、第２エレメント部材１２も同様に、第２案内部５０が切断加工で除去されるとともに、第２エレメント部材１２の固定部材１６に、切断痕又は切断面等のような切断部が形成される。

　その後、第２エレメント部材１２のエレメント列１３に、図示しないスライダーを取り付ける。また、第２エレメント部材１２の箱棒部３１に、箱棒部３１とは別途に成形された箱体部６を後方側から近づけて、箱体部６の図示しない箱棒挿入孔部に箱棒部３１を挿入することにより、箱棒部３１に箱体部６を固定して、蝶棒部２１、箱棒部３１、及び箱体部６を備える本実施例の開離嵌挿具５が形成される。

　以上の工程を行うことにより、第１エレメント部材１１と第２エレメント部材１２とがそれぞれ取着された左右一対の前身頃を構成する衣服構成パーツが作製される。その後、作製した各部位の衣服構成パーツを互いに縫製等により結合させて、衣服を組み立てることによって、開離嵌挿具５を備えるスライドファスナー付き衣服１が製造される。

　このようにして製造された本実施例のスライドファスナー付き衣服１では、ファスナーテープの存在を省略した形態で、スライドファスナー２の機能を有することができる。これにより、スライドファスナー付き衣服１について、製造コストの削減、衣服の軽量化、衣服の柔軟性の向上を実現できる。また、スライドファスナー２の後端部に開離嵌挿具５を設けることができる。

　更に、本実施例の場合、第１エレメント部材１１及び第２エレメント部材１２を千鳥縫いミシンで生地３にそれぞれ縫着する際に、上述したように、第１エレメント部材１１及び第２エレメント部材１２に第１案内部４０及び第２案内部５０が設けられた状態のまま、縫製加工が行われる。これにより、縫製加工中に、第１エレメント部材１１の第１部材構成部２０及び第２エレメント部材１２の第２部材構成部３０が左右方向に揺動するという不具合やエレメント列１３に対して捩じるという不具合を生じさせることなく、第１部材構成部２０及び第２部材構成部３０を生地３の所定位置に安定して固定できる。

　なお、本実施例では、千鳥縫いミシンによる第１エレメント部材１１及び第２エレメント部材１２の縫製加工において、図１３及び図１４に示したように、ジグザグ状のヒレ片縫製部（第２固定用縫製部）８１ｂ、８２ｂと、返し縫い又は閂止め縫いによる図示しない縫製端部とを連続的に形成している。しかし本発明において、第１ヒレ片部２２及び第２ヒレ片部３２を生地３に固定する縫製部の形態は、任意に変更することが可能であり、例えば図１６に示すような変形例に係る第１縫製部９１を形成することによっても、第１ヒレ片部２２を生地３にしっかりと安定して固定できる。

　この図１６に示した変形例では、第１エレメント部材１１の第１止め部６０及び複数のファスナーエレメント１４を上述の実施例と同様にエレメント縫製部８１ａで生地３に固定し、その後、第１部材構成部２０を生地３に固定するために、上述の実施例とは異なるヒレ片縫製部（第２固定用縫製部）９１ｂを第１縫製部９１の一部として形成する。

　この場合、変形例に係るヒレ片縫製部９１ｂは、第１ヒレ片部２２の外側から、第１ヒレ片部２２に設けた直線状に長い外側開口部２２ａに移動してミシン針を生地３に刺通させ、更に、ミシン針を、第１ヒレ片部２２よりも幅方向の外側の生地３と、第１ヒレ片部２２の外側開口部２２ａとに、図１６に示すようにジグザグ状に移動させながら生地３に刺通させる。それによって、ジグザグ状に折れ曲がる一次千鳥縫い縫製部９２を形成する。続いて、第１ヒレ片部２２の外側開口部２２ａの最も後端位置でミシン針を生地３に刺通させた後、ミシン針を外側開口部２２ａから後方に移動させ、第１ヒレ片部２２の外側で、且つ、外側開口部２２ａよりも後方にある針落ち位置８８ｃで生地３に刺通させる。

　次に、ミシン針を針落ち位置８８ｃから外側開口部２２ａの最も後端位置に戻して生地３に刺通させ、更に、幅方向に移動させて第１ヒレ片部２２よりも幅方向の外側の生地３に刺通させる。続いて、ミシン針を、上記一次千鳥縫い縫製部９２に対して交差するようにジグザグ状に移動させながら縫製を行うことによって、ジグザグ状の二次千鳥縫い縫製部９３を形成する。

　これにより、上述のような一次千鳥縫い縫製部９２及び二次千鳥縫い縫製部９３を備えるヒレ片縫製部９１ｂを形成しながら、そのヒレ片縫製部９１ｂで第１エレメント部材１１の第１部材構成部２０を、生地３のエレメント取付縁部にしっかりと安定して固定できる。また、このような変形例に係るヒレ片縫製部９１ｂでは、返し縫いによる直線状の縫製部を形成しなくても、縫製糸の解れを生じ難くすることができる。

　更に、上述のような一次千鳥縫い縫製部９２及び二次千鳥縫い縫製部９３を形成して第１部材構成部２０を生地３に固定する場合、第１ヒレ片部２２に設けた２つの内側開口部２２ｂを利用しないため、第１ヒレ片部２２に内側開口部２２ｂを設けずに第１部材構成部を形成することも可能となる。またこの変形例の場合でも、上述の実施例の場合と同様に、第１部材構成部２０の位置が左右方向に揺動することや、第１部材構成部２０がエレメント列１３に対して捩じることを効果的に防止できる。

　更に本発明では、図１６に示した変形例に係るヒレ片縫製部９１ｂを、第１エレメント部材１１の第１部材構成部２０を生地３に縫着する場合だけでなく、第２エレメント部材１２の第２部材構成部３０を生地３に縫着する場合にも同様に適用することができる。このような変形例に係るヒレ片縫製部９１ｂを形成することによって、第２エレメント部材１２の第２部材構成部３０を、生地３のエレメント取付縁部にしっかりと安定して固定することができ、また、縫製糸の解れを生じ難くすることができる。

　　１　　　　　　　　スライドファスナー付き製品（スライドファスナー付き衣服）
　　２　　　　　　　　スライドファスナー
　　３　　　　　　　　生地（ファスナー被着部材）
　　５　　　　　　　　開離嵌挿具
　　６　　　　　　　　箱体部
　１０　　　　　　　　チェーン部材
　１１　　　　　　　　第１エレメント部材
　１２　　　　　　　　第２エレメント部材
　１３　　　　　　　　エレメント列
　１４　　　　　　　　ファスナーエレメント
　１４ａ　　　　　　　第１後端エレメント
　１４ｂ　　　　　　　第２後端エレメント
　１５ａ　　　　　　　エレメント胴部
　１５ｂ　　　　　　　エレメント首部
　１５ｃ　　　　　　　噛合頭部
　１５ｄ　　　　　　　肩部
　１６　　　　　　　　固定部材
　１７ａ　　　　　　　ギア挿入間隙
　１７ｂ　　　　　　　ギア挿入凹部
　１８　　　　　　　　仮間隙
　２０　　　　　　　　第１部材構成部（蝶棒側部材構成部）
　２１　　　　　　　　蝶棒部
　２２　　　　　　　　第１ヒレ片部
　２２ａ　　　　　　　外側開口部（第１開口部）
　２２ｂ　　　　　　　内側開口部（第２開口部）
　２２ｃ　　　　　　　ヒレ片本体部
　２２ｄ　　　　　　　前方凸部
　２２ｅ　　　　　　　後方凸部
　２３　　　　　　　　蝶棒本体部
　２４　　　　　　　　蝶棒側係合部
　２５　　　　　　　　第１突片部
　２５ａ　　　　　　　前側第１突片部
　２５ｂ　　　　　　　後側第１突片部
　２５ｃ　　　　　　　段差
　３０　　　　　　　　第２部材構成部（箱棒側部材構成部）
　３１　　　　　　　　箱棒部
　３２　　　　　　　　第２ヒレ片部
　３２ａ　　　　　　　外側開口部（第１開口部）
　３２ｂ　　　　　　　内側開口部（第２開口部）
　３２ｃ　　　　　　　ヒレ片本体部
　３２ｄ　　　　　　　前方凸部
　３２ｅ　　　　　　　後方凸部
　３３　　　　　　　　箱棒本体部
　３４　　　　　　　　第２突片部
　３４ａ　　　　　　　箱棒側係合部
　３５　　　　　　　　前側凸部
　３６　　　　　　　　後側凸部
　３７　　　　　　　　係合凹部
　４０　　　　　　　　第１案内部
　４１　　　　　　　　第１案内本体部
　４２　　　　　　　　上側突出部
　４３　　　　　　　　収容凹部
　４４　　　　　　　　下側延出部
　４５　　　　　　　　上側突起部
　４６　　　　　　　　下側突起部
　５０　　　　　　　　第２案内部
　５１　　　　　　　　第２案内本体部
　５２　　　　　　　　ギア用挿入部
　５３　　　　　　　　上側延出部
　５４　　　　　　　　挿入突片部
　６０　　　　　　　　第１止め部
　６１　　　　　　　　第１止め本体部
　６２　　　　　　　　下側突出部
　６３　　　　　　　　上側突出部
　７０　　　　　　　　第２止め部
　７１　　　　　　　　第２止め本体部
　７２　　　　　　　　前側収容凹部
　７３　　　　　　　　後側収容凹部
　７４　　　　　　　　上側突起部
　７５　　　　　　　　下側突起部
　８１　　　　　　　　第１縫製部
　８１ａ　　　　　　　エレメント縫製部（第１固定用縫製部）
　８１ｂ　　　　　　　ヒレ片縫製部（第２固定用縫製部）
　８２　　　　　　　　第２縫製部
　８２ａ　　　　　　　エレメント縫製部（第１固定用縫製部）
　８２ｂ　　　　　　　ヒレ片縫製部（第２固定用縫製部）
　８３　　　　　　　　針板
　８４　　　　　　　　第１挿通溝部
　８５　　　　　　　　第２挿通溝部
　８６　　　　　　　　第１搬送ギア
　８７　　　　　　　　第２搬送ギア
　８８，８８ａ　　　　針落ち位置
　８８ｂ，８８ｃ　　　針落ち位置
　９１　　　　　　　　第１縫製部
　９１ｂ　　　　　　　ヒレ片縫製部（第２固定用縫製部）
　９２　　　　　　　　一次千鳥縫い縫製部
　９３　　　　　　　　二次千鳥縫い縫製部

Claims

　固定部材(16)と、前記固定部材(16)に取着される複数のファスナーエレメント(14)と、前記固定部材(16)に取着されるとともにスライドファスナー用開離嵌挿具(5) の一部となる部材構成部(20,30) と、前記固定部材(16)に取着される案内部(40,50) とを有し、
　前記部材構成部(20,30) は、複数の前記ファスナーエレメント(14)により形成されるエレメント列(13)の一端部に隣接して配され、且つ、前記部材構成部(20,30) の前記エレメント列(13)に隣接する第１端部と、前記部材構成部(20,30) の前記第１端部とは反対側に配される第２端部とを有し、
　前記案内部(40,50) は、前記部材構成部(20,30) の前記第２端部に隣接して配されてなる、
ことを特徴とするスライドファスナー用エレメント部材。
　前記ファスナーエレメント(14)、前記部材構成部(20,30) 、及び前記案内部(40,50) は合成樹脂により形成されている請求項１記載のエレメント部材。
　前記部材構成部(20,30) 及び前記案内部(40,50) は、それぞれ、前記固定部材(16)の長さ方向に直交する方向に向けて開口する少なくとも１つのギア挿入凹部(17b) を有し、
　前記ギア挿入凹部(17b) は、前記固定部材(16)から離間するにつれて長さ方向の開口寸法を大きくして形成されている、
請求項１又は２記載のエレメント部材。
　複数の前記ファスナーエレメント(14)は、前記固定部材(16)の長さ方向に沿って一定の取付ピッチで配され、
　前記ファスナーエレメント(14)は、前記固定部材(16)に固定されるエレメント胴部(15a) と、前記エレメント胴部(15a) から前記長さ方向に対して直交するエレメント幅方向に延出するエレメント首部(15b) と、前記エレメント首部(15b) から前記エレメント幅方向に更に延出する噛合頭部(15c) とを有し、
　前記エレメント列(13)は、前記長さ方向に互いに隣接する前記ファスナーエレメント(14)の前記噛合頭部(15c) 間にギア挿入間隙(17a) を有し、
　前記部材構成部(20,30) 及び前記案内部(40,50) の前記ギア挿入凹部(17b) は、前記エレメント列(13)の前記ギア挿入間隙(17a) を前記部材構成部(20,30) 及び前記案内部(40,50) に向けて仮想的に一定の間隔で繰り返して設けられる仮間隙(18)の位置に対応して配されている、
請求項３記載のエレメント部材。
　前記部材構成部(20,30) は、前記開離嵌挿具(5) の蝶棒を形成する蝶棒部(21)又は前記開離嵌挿具(5) の箱棒を形成する箱棒部(31)と、前記蝶棒部(21)又は前記箱棒部(31)から前記固定部材(16)の長さ方向に直交する方向に薄板状に延出するヒレ片部(22,32) とを有し、
　前記ヒレ片部(22,32) には、前記長さ方向に沿って連続的に開口する１つの第１開口部(22a,32a) と、前記蝶棒部(21)又は前記箱棒部(31)と前記第１開口部(22a,32a) との間で開口するとともに、長さ方向における開口長さが前記第１開口部(22a,32a) よりも小さな少なくとも１つの第２開口部(22b,32b) とが設けられている、
請求項１～４のいずれかに記載のエレメント部材。
　請求項１～５のいずれかに記載の前記エレメント部材(11,12) を２つ一組で有し、
　一方の前記エレメント部材(11)は、前記部材構成部(20)が前記開離嵌挿具(5) の蝶棒を形成する蝶棒部(21)を有する第１エレメント部材(11)であり、
　他方の前記エレメント部材(12)は、前記部材構成部(30)が前記開離嵌挿具(5) の箱棒を形成する箱棒部(31)を有する第２エレメント部材(12)であり、
　前記第１エレメント部材(11)の前記エレメント列(13)と前記第２エレメント部材(12)の前記エレメント列(13)とが分離可能に噛み合わされてなる、
ことを特徴とするチェーン部材。
　前記第１エレメント部材(11)の前記蝶棒部(21)と、前記第２エレメント部材(12)の前記箱棒部(31)とは、互いに組み合わせることが可能な凹凸形状を有し、
　互いに組み合わせられた状態の前記蝶棒部(21)及び前記箱棒部(31)におけるチェーン幅方向の寸法の最大値は、互いに噛み合わせられた２つの前記エレメント列(13)におけるチェーン幅方向の寸法と同じ大きさであり、
　前記第１エレメント部材(11)の前記案内部(40)と、前記第２エレメント部材(12)の前記案内部(50)とは、互いに組み合わせることが可能な凹凸形状を有し、
　互いに組み合わせられた状態の２つの前記案内部(40,50) におけるチェーン幅方向の寸法の最大値は、互いに噛み合わせられた２つの前記エレメント列(13)におけるチェーン幅方向の寸法と同じ大きさである、
請求項６記載のチェーン部材。
　前記第１エレメント部材(11)は、前記エレメント列(13)の他端部に隣接して配される第１止め部(60)を有し、
　前記第２エレメント部材(12)は、前記エレメント列(13)の他端部に隣接して配される第２止め部(70)を有し、
　前記第１止め部(60)及び前記第２止め部(70)の少なくとも一方は、前記固定部材(16)に固定される止め本体部(71)と、前記止め本体部(71)から前記ファスナーエレメント(14)の厚さ方向に突出する少なくとも１つの突起部(74,75) とを有し、
　前記止め本体部(71)の厚さ方向における寸法は、前記ファスナーエレメント(14)の厚さ方向における寸法と同じ大きさであり、
　前記第１止め部(60)と前記第２止め部(70)とは、互いに組み合わせることが可能な凹凸形状を有し、
　互いに組み合わせられた状態の前記第１止め部(60)及び前記第２止め部(70)におけるチェーン幅方向の寸法の最大値は、互いに噛み合わせられた２つの前記エレメント列(13)におけるチェーン幅方向の寸法と同じ大きさである、
請求項６又は７記載のチェーン部材。
　請求項６～８のいずれかに記載の前記チェーン部材(10)と、前記チェーン部材(10)の前記第１エレメント部材(11)及び第２エレメント部材(12)がそれぞれ取着される一対のエレメント取付縁部を互いに対向する位置に備えるファスナー被着部材(3) とを有し、
　前記第１エレメント部材(11)の前記エレメント列(13)及び前記蝶棒部(21)は、前記ファスナー被着部材(3) の一方の前記エレメント取付縁部に、縫製糸で形成される第１縫製部(81,91) により固定され、
　前記第２エレメント部材(12)の前記エレメント列(13)及び前記箱棒部(31)は、前記ファスナー被着部材(3) の他方の前記エレメント取付縁部に、縫製糸で形成される第２縫製部(82)により固定され、
　前記第１エレメント部材(11)の前記案内部(40)及び前記第２エレメント部材(12)の前記案内部(50)は、前記固定部材(16)の切断加工により除去され、
　前記固定部材(16)は、前記切断加工で形成される切断部を有してなる、
ことを特徴とするスライドファスナー付き製品。
　前記第１エレメント部材(11)は、前記蝶棒部(21)から前記固定部材(16)の長さ方向に直交するエレメント幅方向に延出する薄板状の第１ヒレ片部(22)を有し、
　前記第２エレメント部材(12)は、前記箱棒部(31)から前記固定部材(16)の長さ方向に直交するエレメント幅方向に延出する薄板状の第２ヒレ片部(32)を有し、
　前記第１ヒレ片部(22)及び前記第２ヒレ片部(32)には、前記長さ方向に沿って連続的に開口する１つの第１開口部(22a,32a) と、前記蝶棒部(21)又は前記箱棒部(31)と前記第１開口部(22a,32a) との間に開口するとともに、長さ方向における開口長さが前記第１開口部(22a,32a) よりも小さな少なくとも１つの第２開口部(22b,32b) とが設けられ、
　前記第１縫製部(81)及び前記第２縫製部(82)は、ジグザグ状に折れ曲がって形成されて前記第１ヒレ片部(22)又は前記第２ヒレ片部(32)を固定するヒレ片縫製部(81b,82b) と、直線状の返し縫い又は閂止め縫いによって形成される縫製端部とをそれぞれ有する、
請求項９記載のスライドファスナー付き製品。
　前記第１エレメント部材(11)は、前記蝶棒部(21)から前記固定部材(16)の長さ方向に直交するエレメント幅方向に延出する薄板状の第１ヒレ片部(22)を有し、
　前記第２エレメント部材(12)は、前記箱棒部(31)から前記固定部材(16)の長さ方向に直交するエレメント幅方向に延出する薄板状の第２ヒレ片部(32)を有し、
　前記第１ヒレ片部(22)及び前記第２ヒレ片部(32) には、前記長さ方向に沿って連続的に開口する１つの開口部(22a,32a)が少なくとも設けられ、
　前記第１縫製部(91)及び前記第２縫製部は、前記第１ヒレ片部(22)又は前記第２ヒレ片部(32)を固定するヒレ片縫製部(91b) をそれぞれ有し、
　前記ヒレ片縫製部(91b) は、ジグザグ状に折れ曲がって形成される一次千鳥縫い縫製部(92)と、ジグザグ状に折れ曲がって形成されるとともに前記一次千鳥縫い縫製部(92)に交差するように重ねられる二次千鳥縫い縫製部(93)とを有する、
請求項９記載のスライドファスナー付き製品。
　固定部材(16)と、前記固定部材(16)に取着される複数のファスナーエレメント(14)と、複数の前記ファスナーエレメント(14)により形成されるエレメント列(13)の一方の端部に隣接して配される第１止め部(60)とを備えた第１エレメント部材(11)、及び、固定部材(16)と、前記固定部材(16)に取着される複数のファスナーエレメント(14)と、複数の前記ファスナーエレメント(14)により形成されるエレメント列(13)の一方の端部に隣接して配される第２止め部(70)とを備えた第２エレメント部材(12)を有し、
　前記第１止め部(60)及び前記第２止め部(70)の少なくとも一方は、前記固定部材(16)に固定される止め本体部(71)と、前記止め本体部(71)から前記ファスナーエレメント(14)の厚さ方向に突出する少なくとも１つの突起部(74,75) とを有し、
　前記止め本体部(71)の厚さ方向における寸法は、前記ファスナーエレメント(14)の厚さ方向における寸法と同じ大きさであり、
　前記第１止め部(60)と前記第２止め部(70)とは、互いに組み合わせることが可能な凹凸形状を有し、
　互いに組み合わせられた状態の前記第１止め部(60)及び前記第２止め部(70)におけるチェーン幅方向の寸法の最大値は、互いに噛み合わせられた２つの前記エレメント列(13)におけるチェーン幅方向の寸法と同じ大きさである、
ことを特徴とするチェーン部材。