WO2020085146A1

WO2020085146A1 - 車両用ルーフ装置

Info

Publication number: WO2020085146A1
Application number: PCT/JP2019/040446
Authority: WO
Inventors: 勇一水谷; 直樹石原
Original assignee: 株式会社豊田自動織機
Priority date: 2018-10-23
Filing date: 2019-10-15
Publication date: 2020-04-30
Also published as: JP2020066284A

Abstract

車両用ルーフ装置は、車両のボデーに固定されるように構成され、略方形の開口部を形成する内周縁を有する樹脂製ルーフパネルと、開口部を閉塞可能なルーフウインドウと、内周縁に沿うように樹脂製ルーフパネルの表面に設けられ、ルーフウインドウと密接可能なウエザーストリップと、ボデーに接続されるように構成されるとともに樹脂製ルーフパネルを該樹脂製ルーフパネルの裏面から支持するフレーム部材と、を備える。フレーム部材は、ウエザーストリップの下方に位置される。

Description

車両用ルーフ装置

　本開示は、樹脂製ルーフパネルを備えた車両用ルーフ装置に関する。

　例えば、特許文献１に開示された車両用ルーフ装置では、ルーフパネルの開口部の周縁部にアッパメンバを介してサンルーフパネルが配置されている。サンルーフパネルとアッパメンバとの間には、シールのためにウエザーストリップが配置されている。

　近年、車両の軽量化や製造の容易化等の観点から、樹脂製ルーフパネルを備えた車両用ルーフ装置が提案されている。例えば、図７に示す車両用ルーフ装置は、車両のボデー１００に固定された樹脂製ルーフパネル１０１と、樹脂製ルーフパネル１０１に支持された、開閉可能なガラス製のルーフウインドウ１０２と、を備えている。樹脂製ルーフパネル１０１は、ルーフウインドウ１０２と樹脂製ルーフパネル１０１との間からの水または音の進入を防止するウエザーストリップ１０３、１０４を備えている。

実開昭５８－１２９２２０号公報

　しかしながら、図７に示す車両ルーフ装置は、樹脂製ルーフパネル１０１が熱収縮によって変形するという問題を有する。樹脂製ルーフパネル１０１が変形すると、樹脂製ルーフパネル１０１とウエザーストリップ１０３との間に隙間が生じて、水や異音が車室内に入り込むおそれがある。

　本開示の目的は、樹脂製ルーフパネルの剛性を高め、樹脂製ルーフパネルの熱収縮による変形を抑制することが可能な車両用ルーフ装置を提供することにある。

　本開示の一態様では、車両用ルーフ装置は、車両のボデーに固定されるように構成され、略方形の開口部を形成する内周縁を有する樹脂製ルーフパネルと、前記開口部を閉塞可能なルーフウインドウと、前記内周縁に沿うように前記樹脂製ルーフパネルの表面に設けられ、前記ルーフウインドウと密接可能なウエザーストリップと、前記ボデーに接続されるように構成されるとともに前記樹脂製ルーフパネルを該樹脂製ルーフパネルの裏面から支持するフレーム部材と、を備え、前記フレーム部材は、前記ウエザーストリップの下方に位置する。

第１の実施形態に係る車両用ルーフ装置の概要を示す分解斜視図である。図1の車両用ルーフ装置の平面図である。図２における３－３線に沿った断面図である。図２における４－４線に沿った断面図である。フレーム部材の要部を示す斜視図である。第２の実施形態に係る車両用ルーフ装置の要部の側断面図である。従来の車両用ルーフ装置の要部を示す断面図である。

　（第１の実施形態）
　以下、第１の実施形態に係る車両用ルーフ装置について図面を参照して説明する。本実施形態の車両は自動車である。方向を特定する「前後」、「左右」および「上下」は、車両の運転席に着座した運転手が車両の前進側を向いた状態を基準としている。

　図１、図２に示すように、本実施形態の車両用ルーフ装置は、車両のボデー１１のルーフに形成されたボデー開口１２を覆うように設けられている。ボデー開口１２は方形であり車室と連通する。ボデー１１はボデー開口１２の前方に前ボデー部１３を有する。ボデー１１は、ボデー開口１２の左右両側に横ボデー部１４を有し、ボデー開口１２の後方に後ボデー部１５を有する。前ボデー部１３の前方にはフロントウインドウ（図示せず）が設けられ、後ボデー部１５の後方にはリヤウインドウ（図示せず）が設けられている。

　車両用ルーフ装置は、略方形の開口部１７を有する樹脂製ルーフパネル１６と、開口部１７を閉塞可能なルーフウインドウ１８と、ルーフウインドウ１８の開閉動作を行う作動機構１９と、を備えている。樹脂製ルーフパネル１６の詳細については後述する。

　本実施形態のルーフウインドウ１８は、一定の厚さを有する無色透明の無機ガラス板である。ルーフウインドウ１８は、前後方向の長さが左右方向の長さに比べて短い略矩形状に形成されている。図３に示すように、ルーフウインドウ１８の表面１８Ａは車外を向いており、ルーフウインドウ１８の裏面１８Ｂは下方の車室を向いている。

　図１に示すように、作動機構１９は、一対のレール２０および一対の摺動部材２１を有している。一対のレール２０は、前後方向に延在するように互いに平行に配置されており、センターリインフォースメント２２により相互に連結されている。一対の摺動部材２１は、ルーフウインドウ１８の裏面１８Ｂに固定されている。作動機構１９は、摺動部材２１をスライドさせる駆動モータ（図示せず）を有している。駆動モータの作動により、摺動部材２１がレール２０に対して後方へ移動すると、開口部１７を閉じた状態のルーフウインドウ１８が、樹脂製ルーフパネル１６の上面側にて後方へ向けて移動し、開口部１７が開放される。なお、作動機構１９の構成は公知の作動機構と同様の構成である。

　樹脂製ルーフパネル１６は、前後方向の長さが左右方向の長さに比べて長い略矩形状に形成されている。樹脂製ルーフパネル１６は、２色成形によって製作されており、パネル本体２３とパネル本体２３の表面に形成された表面層２４とを有している（図３参照）。パネル本体２３は、黒色に着色された不透明樹脂により形成されている。樹脂製ルーフパネル１６は、作動機構１９よりも大きく、作動機構１９を上方から覆うことが可能である。

　樹脂製ルーフパネル１６は、車室と連通可能な開口部１７を備えている。開口部１７は樹脂製ルーフパネル１６の前部に設けられている。樹脂製ルーフパネル１６は、開口部１７を形成する内周縁２６を有するとともに、略矩形の外周縁２７を有する。樹脂製ルーフパネル１６の前端には、ディフレクタ（図示せず）が上下に変位可能に取り付けられている。ディフレクタはルーフウインドウ１８の開放時における風切音の発生を抑制する。

　図１、図２に示すように、樹脂製ルーフパネル１６は、開口部１７の前方の前パネル体２８と、前パネル体２８の左右両端から後方へ向けて延在し、開口部１７の左右両側に位置する一対の横パネル体２９と、を有する。さらに、樹脂製ルーフパネル１６は開口部１７の後方の後パネル体３０を備える。

　前パネル体２８は、内周縁２６に沿って左右方向に延在している。図３に示すように、前パネル体２８は、ボデー１１に固定される前パネル基部３１と、前パネル基部３１から開口部１７へ向けて延在する前パネル延在部３２と、を有する。前パネル基部３１はほぼ平坦な部位であり、前パネル基部３１の下方には、作動機構１９の駆動モータ（図示せず）が設けられている。前パネル基部３１は、ボデー１１に近い方の縁部付近において、接着部３３によってボデー１１に接着されている。接着部３３は例えばウレタン樹脂系の接着剤により形成されている。

　図３に示すように、前パネル延在部３２は、第１壁部３４と、第１水平部３５と、第２壁部３６と、底壁部３７と、第３壁部３８と、第２水平部３９と、第４壁部４０と、内縁部４１と、を有する。第１壁部３４は、前パネル基部３１の内側（後側）の縁部から下方へ延びている。第１壁部３４には、ルーフウインドウ１８の前縁部と当接する第１ウエザーストリップ４２が取り付けられている。第１ウエザーストリップ４２は、前パネル基部３１とルーフウインドウ１８との間からの水や異音の車室への進入を防止する。

　第１水平部３５は、第１壁部３４の下端部から開口部１７へ向けて水平方向に延在する。第２壁部３６は、第１水平部３５の内側（後側）の縁部から下方へ延びている。底壁部３７は、第２壁部３６の下端部から開口部１７へ向けて水平方向に延在する。第３壁部３８は底壁部３７の内側（後側）の縁部から上方へ延びている。

　第２水平部３９は、第３壁部３８の上端部から開口部１７へ向けて水平方向に延在する。第２水平部３９の上面には、ルーフウインドウ１８の裏面１８Ｂと当接する第２ウエザーストリップ４３が取り付けられている。第２ウエザーストリップ４３は、第２水平部３９よりも後方に位置する開口部１７への水や異物の進入を防止する。

　第４壁部４０は、第２水平部３９の内側（後側）の縁部から開口部１７へ向けて延在する。内縁部４１は、第４壁部４０の下端部から開口部１７へ向けて水平方向へ延在する。内縁部４１は底壁部３７より低い位置に設けられている。第２壁部３６、底壁部３７および第３壁部３８は左右方向に延在する溝を形成する。

　本実施形態では、前パネル体２８の裏面には、前後方向に延在するリブ４４が形成されている。リブ４４は、前パネル基部３１と前パネル延在部３２とにわたって延在している。リブ４４は前パネル体２８の裏面から下方へ突出している。リブ４４の下端縁は、リブ４４が前パネル体２８の下方に位置する作動機構１９と干渉しないように形成されている。リブ４４は、熱収縮によって上下方向に変形しやすい前パネル体２８の剛性を高め、熱収縮による前パネル体２８の上下方向の変形を抑制する。図３では１本のリブ４４のみが図示されるが、本実施形態では、左右方向に複数本のリブ４４が配列されている。

　次に、横パネル体２９について説明する。各横パネル体２９は、内周縁２６に沿って前後方向に延在している。図４に示すように、各横パネル体２９は、ボデー１１に固定される横パネル基部４５と、横パネル基部４５から開口部１７へ向けて延在する横パネル延在部４６と、を有する。横パネル基部４５はほぼ平坦な部位である。横パネル基部４５は、ボデー１１に近い方の縁部付近において、接着部４７によってボデー１１に接着されている。接着部４７は例えばウレタン樹脂系の接着剤により形成されている。横パネル基部４５の左右方向の長さ、すなわち幅は、前パネル基部３１の前後方向の長さ、すなわち幅と比較して短い。

　図４に示すように、横パネル延在部４６は、第１壁部４８と、第１水平部４９と、第２壁部５０と、底壁部５１と、第３壁部５２と、第２水平部５３と、を有する。第１壁部４８は、横パネル基部４５の内側の縁部から下方へ延びている。第１壁部４８には、ルーフウインドウ１８の側縁部と当接する前記第１ウエザーストリップ４２が取り付けられている。第１ウエザーストリップ４２は、ルーフウインドウ１８と密接可能であり、横パネル基部４５とルーフウインドウ１８との間からの水や異物の進入を防止する。第１ウエザーストリップ４２は開口部１７を囲繞するようにループ状に形成されており、樹脂製ルーフパネル１６に設けられている。本実施形態では、後述する第２ウエザーストリップ４３が主に水や異物の進入を防止するように機能する。第１ウエザーストリップ４２は、水や異物の進入を防止する機能を有するが、主には風切音の発生防止および美観の保持のために機能する。

　図４に示すように、第１水平部４９は、第１壁部４８の下端部から開口部１７へ向けて水平方向に延在する。第２壁部５０は、第１水平部４９の内側の縁部から下方へ延びている。底壁部５１は、第２壁部５０の下端部から開口部１７へ向けて水平方向に延在する。第３壁部５２は底壁部５１の内側の縁部から上方へ延びている。

　第２水平部５３は、第３壁部５２の上端部から開口部１７へ向けて水平方向に延在する。第２水平部５３の上面には、ルーフウインドウ１８の裏面１８Ｂと当接する前記第２ウエザーストリップ４３が取り付けられている。第２ウエザーストリップ４３は、ルーフウインドウ１８と密接可能であり、第２水平部５３よりも内側に位置する開口部１７への水や異物の進入を防止する。第２ウエザーストリップ４３は開口部１７を囲繞するようにループ状に形成されている。

　第２壁部５０、底壁部５１および第３壁部５２は前後方向に延在する溝を形成する。図４に示すように、溝内には、ディフレクタが備えるアーム部材５５が設けられている。また、横パネル体２９の下方には、車室に面する内装パネル５６が設けられている。内装パネル５６はボデー１１に固定されており、開口部１７へ向けて張り出している。内装パネル５６とルーフウインドウ１８との間には、作動機構１９の一部（レール２０、摺動部材２１等）が配設されている。第２水平部５３を支持する上壁部６７は、第２壁部５０、底壁部５１および第３壁部５２によって形成される前記溝よりも内周縁２６の近くに位置する。

　本実施形態の車両用ルーフ装置は、内周縁２６に沿うように樹脂製ルーフパネル１６の裏面に接着されるフレーム部材６０を備えている。図２に示すように、フレーム部材６０は、前パネル延在部３２および左右一対の横パネル延在部４６に沿うように、平面視において略Ｕ字状に形成されている。フレーム部材６０は、樹脂製ルーフパネル１６の剛性を高めて、樹脂製ルーフパネル１６の熱収縮による変形を抑制するために設けられている。

　図５に示すように、フレーム部材６０は、前パネル体２８に沿って延びる前フレーム体６１と、両横パネル体２９に沿って延びる２つ（一方のみ図示）の横フレーム体６２と、を有する。前フレーム体６１と各横フレーム体６２とは、上下一対の連結板６３Ａ、６３Ｂにより連結されている。図２に示すように、各横フレーム体６２の後端部は、センターリインフォースメント２２に、例えばボルトを用いた締結、または溶接により連結されている。

　前フレーム体６１は、金属製である断面矩形の角パイプ体である。一例では、角パイプ体は市販されている汎用品である。前フレーム体６１は、断面矩形の角パイプ体であるため曲げ応力に対抗し易い形状である。図３に示すように、前フレーム体６１の上面は接着部６４によって前パネル延在部３２における第２水平部３９の裏面に接着されている。接着部６４は例えばウレタン樹脂系の接着剤により形成されており、弾性変形可能である。図５では、接着部６４の範囲を二点鎖線Ｍにて示す。第２水平部３９の表面には第２ウエザーストリップ４３が取り付けられているので、前フレーム体６１は第２ウエザーストリップ４３の下方（詳細には、直下）に位置する。前フレーム体６１の長手方向は左右方向である。第２水平部３９に接着される前フレーム体６１の上面は、第２壁部３６、底壁部３７および第３壁部３８によって形成される前記溝よりも内周縁２６の近くに位置する。

　次に、横フレーム体６２について説明する。各横フレーム体６２は、金属プレート体である。一例では、金属プレート体は押出成形により得られる押出材である。図４、図５に示すように、各横フレーム体６２は、底壁部６５、内壁部６６および上壁部６７を有している。各横フレーム体６２は、前後方向に延在する。底壁部６５は、接着部６８によって横パネル延在部４６の底壁部５１の裏面に接着されている。図５では、接着部６８の範囲を二点鎖線Ｎにて示す。接着部６８は例えばウレタン樹脂系の接着剤により形成されている。

　内壁部６６は底壁部６５と上壁部６７とを相互に接続する。横フレーム体６２が横パネル延在部４６に接着されている状態では、上壁部６７は、横パネル延在部４６の第２水平部５３の裏面に当接する。上壁部６７は第２水平部５３の裏面に接着されていない。第２水平部５３に当接する上壁部６７は、第２壁部５０、底壁部５１および第３壁部５２によって形成される前記溝よりも内周縁２６の近くに位置する。横フレーム体６２が横パネル延在部４６に接着されている状態では、底壁部６５および上壁部６７はほぼ水平となり、内壁部６６は作動機構１９と横パネル延在部４６の第３壁部５２との間に位置する。

　図５に示すように、連結板６３Ａ、６３Ｂの各々は、略Ｌ字状の金属板であり、前フレーム体６１と各横フレーム体６２とを相互に繋ぐ部材である。図５において、一方の連結板６３Ａは前フレーム体６１の左端部の上面と、横フレーム体６２の上壁部６７の前端部とを、例えば溶接、またはボルトを用いた締結により連結している。他方の連結板６３Ｂは前フレーム体６１の左端部の下面と、横フレーム体６２の底壁部６５の前端部とを、例えば溶接、またはボルトを用いた締結により連結している。なお、図示はされないが、前フレーム体６１の右端部も同様に、連結板６３Ａ、６３Ｂを介して右側の横フレーム体６２と接続されている。

　図２、図４および図５に示すように、本実施形態では、フレーム部材６０は２つのブラケット６９を介してボデー１１に固定されている。具体的には、各横フレーム体６２がブラケット６９を介して横ボデー部１４に接続されている。各ブラケット６９の両端部は、それぞれフレーム部材６０およびボデー１１に、例えばボルトを用いた締結により固定されている。図２では、ブラケット６９を二点鎖線により示している。

　次に、本実施形態の車両用ルーフ装置の作用について説明する。ルーフウインドウ１８が開口部１７を覆っている状態のときに作動機構１９を作動させると、ルーフウインドウ１８は樹脂製ルーフパネル１６上を後方へスライドして開口部１７を開放する。ルーフウインドウ１８が開口部１７を開放した状態のときに作動機構１９を作動させると、ルーフウインドウ１８は樹脂製ルーフパネル１６上を前方へスライドして開口部１７を覆う。

　車両用ルーフ装置の樹脂製ルーフパネル１６は、樹脂により形成されているため熱収縮により変形しやすい。しかし、樹脂製ルーフパネル１６の裏面に接着されたフレーム部材６０が樹脂製ルーフパネル１６の熱収縮による変形を抑制する。フレーム部材６０の各横フレーム体６２は、対応する横パネル体２９の横パネル延在部４６に接着されるとともに、ブラケット６９を介してボデー１１に連結されている。各横フレーム体６２の上壁部６７は、横パネル延在部４６の第２水平部５３の裏面に当接して横パネル体２９を支持する。第２ウエザーストリップ４３は第２水平部５３上に設けられている。すなわち、各横フレーム体６２は、横パネル体２９のうち、第２ウエザーストリップ４３が設けられた部位を支持する。横フレーム体６２は、横パネル体２９を裏面側から支持して拘束することにより、横パネル体２９の熱収縮による変形を抑制する。特に横パネル体２９の熱変形に起因する横パネル延在部４６の下方への変位が効果的に抑制される。

　フレーム部材６０の前フレーム体６１は、前パネル体２８のうち、第２ウエザーストリップ４３が設けられた部位に接着されている。具体的には、前フレーム体６１は、前パネル延在部３２の第２水平部３９の裏面に接着されている。本実施形態では、前パネル体２８の内周縁２６から外周縁２７までの距離は、各横パネル体２９の内周縁２６から外周縁２７までの距離と比較して十分に大きい。このため、前パネル体２８の熱収縮による変形は、各横パネル体２９のそれと比較して大きく、特に、前パネル延在部３２が上方へ大きく変位し易い。前パネル延在部３２の上方への変位を防止するため、本実施形態では、前フレーム体６１が、前パネル延在部３２の第２水平部３９（すなわち、第２ウエザーストリップ４３が設けられた部位）の裏面に接着されている。また、前パネル体２８には、前パネル基部３１と前パネル延在部３２とにわたって前後方向に延在するリブ４４が形成されている。前フレーム体６１およびリブ４４は、熱収縮によって上下方向に変形しやすい前パネル体２８の剛性を高め、熱収縮による前パネル体２８の上下方向の変形を抑制する。

　本実施形態では、前パネル体２８が前フレーム体６１によって第２水平部３９の１箇所にて拘束され、各横パネル体２９は横フレーム体６２によって底壁部５１および第２水平部５３の２箇所にて拘束されている。各横フレーム体６２はブラケット６９を介してボデー１１に連結され、前フレーム体６１は連結板６３Ａ、６３Ｂを介して各横フレーム体６２に連結されている。このため、樹脂製ルーフパネル１６の全体的な剛性は高められており、樹脂製ルーフパネル１６の熱収縮による変形はフレーム部材６０により規制されて抑制される。

　本実施形態の車両用ルーフ装置は以下の利点を有する。
　（１）フレーム部材６０が、樹脂製ルーフパネル１６の第２ウエザーストリップ４３の下方（詳細には、直下）に位置して樹脂製ルーフパネル１６を裏面から支持する。第２ウエザーストリップ４３がルーフウインドウ１８と密接するので、樹脂製ルーフパネル１６において第２ウエザーストリップ４３が設けられた部位はルーフウインドウ１８からの荷重を受ける。フレーム部材６０は、荷重を受ける第２ウエザーストリップ４３の下方で（詳細には、直下で）樹脂製ルーフパネル１６を支持するので、樹脂製ルーフパネル１６の熱収縮による変形を効果的に抑制することができる。その結果、樹脂製ルーフパネル１６と第２ウエザーストリップ４３との間に隙間が生じることはなく、よって、水や異音が車室内に入り込むことはない。

　（２）樹脂製ルーフパネル１６は、樹脂製ルーフパネル１６の裏面に形成されるリブ４４を有する。このため、フレーム部材６０に加えて、樹脂製ルーフパネル１６の裏面に形成されたリブ４４により、樹脂製ルーフパネル１６の熱収縮による変形をさらに効果的に抑制することができる。

　（３）フレーム部材６０は、樹脂製ルーフパネル１６を裏面から支持する断面矩形の角パイプ体を有する。フレーム部材６０が角パイプ体を有することにより、フレーム部材６０の軽量化を図ることができる。また、角パイプ体が汎用品であれば車両用ルーフ装置の製作コストを抑制することができる。

　（４）フレーム部材６０は、樹脂製ルーフパネル１６を裏面から支持する金属プレート体である横フレーム体６２を有する。フレーム部材６０を設置するスペースが制約を受ける条件であっても、フレーム部材６０が金属プレート体である横フレーム体６２を有することにより、横フレーム体６２によって樹脂製ルーフパネル１６を好適に支持することができる。

　（５）樹脂製ルーフパネル１６は、開口部１７の前方の前パネル体２８と、前パネル体２８の左右両端から後方へ向けて延在し、開口部１７の左右両側に位置する２つの横パネル体２９と、を有する。フレーム部材６０は、前パネル体２８を裏面から支持する断面矩形の角パイプ体である前フレーム体６１と、横パネル体２９を裏面からそれぞれ支持する金属プレート体である横フレーム体６２と、を有する。これにより、前パネル体２８および両横パネル体２９の熱収縮による変形を好適に抑制することが可能である。また、前フレーム体６１は、前パネル体２８のうち、第２ウエザーストリップ４３が設けられた部位の裏面に接着されているので、前パネル体２８の剛性を好適に高めることができる。

　（６）接着部６４、６８はウレタン樹脂系の接着剤により形成されているので、接着部６４、６８は、自身の弾性変形によって樹脂製ルーフパネル１６の熱収縮による変形の一部を吸収することができる。このため、フレーム部材６０およびリブ４４が樹脂製ルーフパネル１６の特定の方向の変形を抑制する一方、接着部６４、６８によって樹脂製ルーフパネル１６の変形を僅かに許容する方向を設定することができる。したがって、熱収縮する樹脂製ルーフパネル１６は過度の負荷を受けることがない。

　（第２の実施形態）
　次に、第２の実施形態に係る車両用ルーフ装置について説明する。本実施形態では、フレーム部材の前フレーム体が、角パイプ体ではなく金属プレート体である点で第１の実施形態と異なる。本実施形態では、第１の実施形態と同じ構成については第１の実施形態の説明を援用し、共通の符号を用いる。

　図６に示すように、本実施形態では、前パネル体２８の前パネル延在部３２は、第４壁部４０および内縁部４１を備えない。したがって、開口部１７の内周縁２６は第２水平部３９に存在する。本実施形態の車両用ルーフ装置は、内周縁２６に沿うように樹脂製ルーフパネル１６の裏面に接着されるフレーム部材７０を備えている。フレーム部材７０は、樹脂製ルーフパネル１６の剛性を高めて、樹脂製ルーフパネル１６の熱収縮による変形を抑制するために設けられている。フレーム部材７０は、前パネル体２８に沿って延びる前フレーム体７１と、両横パネル体２９に沿って延びる２つの横フレーム体６２と、を有する。図６には図示されないが、各横フレーム体６２は、前フレーム体７１の左右の両端の一方に連結板６３Ａ、６３Ｂを介して連結されている。

　前フレーム体７１は、金属プレート体である。一例では、金属プレート体は押出成形により得られる押出材である。図６に示すように、前フレーム体７１は、底壁部７２、内壁部７３および上壁部７４を有している。前フレーム体７１は、左右方向に延在する。上壁部７４は、接着部７５によって前パネル延在部３２の第２水平部３９の裏面に接着されている。接着部７５は例えばウレタン樹脂系の接着剤により形成されている。内壁部７３は底壁部７２と上壁部７４とを接続する。前フレーム体７１が前パネル延在部３２に接着されている状態では、底壁部７２および上壁部７４はほぼ水平となる。

　本実施形態は、第１の実施形態の利点（１）、（２）、（４）、（６）と同等の利点を有する。また、フレーム部材７０は、樹脂製ルーフパネル１６を裏面から支持する金属プレート体である前フレーム体７１を有する。フレーム部材６０を設置するスペースが制約を受ける条件であっても、フレーム部材６０が金属プレート体である前フレーム体７１を有することにより、前フレーム体７１によって樹脂製ルーフパネル１６を好適に支持することができる。

　上記各実施形態は種々の変更が可能であり、例えば、次のように変更してもよい。
　〇フレーム部材の平面視形状は略Ｕ字状に限らず、開口部１７の全周に沿って延びる略四角枠状であってもよい。また、フレーム部材は、単一部材でなく、分割された複数の部材の組み合わせであってもよい。また、フレーム部材は、開口部１７の内周縁の一部のみに沿って延びるように構成されてもよい。

　〇フレーム部材の横プレート体は金属プレート体でなくともよく、例えば、角パイプ体であってもよい。前プレート体および横プレート体をともに角パイプ体とすることにより、より軽量化と製作コストの低減を図ることができる。

　〇上記の各実施形態では、第２ウエザーストリップが設けられた各横パネル体の部位の裏面に対して横フレーム体が当接するが、このかぎりではない。例えば、第２ウエザーストリップが設けられた各横パネル体の部位の裏面に対して横フレーム体が接着剤により接着されてもよい。

　〇ルーフウインドウ１８は無機ガラス板に限らず、樹脂製でもよい。この場合、車両用ルーフ装置のより軽量化を図ることができる。

Claims

　車両のボデーに固定されるように構成され、略方形の開口部を形成する内周縁を有する樹脂製ルーフパネルと、
　前記開口部を閉塞可能なルーフウインドウと、
　前記内周縁に沿うように前記樹脂製ルーフパネルの表面に設けられ、前記ルーフウインドウと密接可能なウエザーストリップと、
　前記ボデーに接続されるように構成されるとともに前記樹脂製ルーフパネルを該樹脂製ルーフパネルの裏面から支持するフレーム部材と、を備え、
　前記フレーム部材は、前記ウエザーストリップの下方に位置する、車両用ルーフ装置。
　前記樹脂製ルーフパネルは、前記裏面に形成されるリブを有する、請求項１に記載の車両用ルーフ装置。
　前記フレーム部材は、前記樹脂製ルーフパネルを前記裏面から支持する断面矩形の角パイプ体を有する、請求項１または２に記載の車両用ルーフ装置。
　前記フレーム部材は、前記樹脂製ルーフパネルを前記裏面から支持する金属プレート体を有する、請求項１または２に記載の車両用ルーフ装置。
　前記樹脂製ルーフパネルは、
　　前記開口部の前方の前パネル体と、
　　前記前パネル体の左右両端から後方へ向けて延在し、前記開口部の左右両側に位置する２つの横パネル体と、を有し、
　前記フレーム部材は、
　　前記前パネル体を該前パネル体の裏面から支持する断面矩形の角パイプ体と、
　　前記２つの横パネル体を該横パネル体の裏面からそれぞれ支持する２つの金属プレート体と、を有する、請求項１または２に記載の車両用ルーフ装置。
　前記角パイプ体は、前記前パネル体のうち、前記ウエザーストリップが設けられた部位の裏面に接着される、請求項５に記載の車両用ルーフ装置。
　前記フレーム部材は、前記ウエザーストリップの直下で前記樹脂製ルーフパネルを支持する、請求項１～６のいずれか一項に記載の車両用ルーフ装置。
　前記フレーム部材は、前記樹脂製ルーフパネルのうち、前記ウエザーストリップが設けられた部位を支持する、請求項１～７のいずれか一項に記載の車両用ルーフ装置。