WO2020080269A1 - 動力伝達用潤滑油基油 - Google Patents

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博紹 持田
明伸 竹上
駿介 阿野
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Abstract

本発明は、トラクション係数及び引火点が高く、低温流動性に優れた動力伝達用潤滑油基油を提供することを目的とする。本発明は一般式(1):[式中、R~Rは、同一又は異なって、それぞれ水素原子又は炭素数1~4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基を示し、R~Rのうちのいずれか2つが互いに結合して炭素数1~4のアルキレン基を形成してもよく、2つのR、2つのR、2つのR、2つのR及び2つのRは、それぞれ同一又は異なっていてもよい。Xは、炭素数4~12の分岐鎖状の脂肪族ジオールから2つの水酸基を除いて得られ、且つ、4級炭素を含まない2価の基を示し、当該2つの水酸基は第一級アルコールである。] で表される化合物を含有する動力伝達用潤滑油基油に関する。

Description

動力伝達用潤滑油基油
 本発明は、動力伝達用潤滑油基油に関する。具体的には、トラクションドライブ用潤滑油基油に関する。
 近年、デジタル情報社会化が進み、印刷機及び複写機への要求精度が高まっている。特に紙の高精度送りが求められるモータ部では、高回転精度、低振動及び低騒音化が求められている。これらの回転部の動力伝達手段として歯車方式を採用すると振動及び騒音が大きい為、それらの少ないトラクションドライブが多く用いられている。
 また、産業用ロボットの普及も進み、精密な動きが求められる関節部分にもトラクションドライブが用いられている。他には産業機器用無段変速機、航空機のジェネレータ、ヘリコプターのローター回転数制御などの分野でトラクションドライブの実用化が進展している。動力伝達量を大きくする為に、トラクションドライブの大型化の検討が進められてきているが、接触面積の増大に伴い発熱量も多くなる傾向があった。
 トラクションドライブ用潤滑油基油は、動力伝達能を高めるべく、高いトラクション係数を有するものが好ましく、脂環式炭化水素化合物等が提案されている。例えば、2-メチル-2,4-ジシクロヘキシルペンタンで代表されるジシクロヘキシル化合物、二量化ノルボルナン類などが挙げられる(特許文献1及び2)。
 しかしながら、2-メチル-2,4-ジシクロヘキシルペンタンに代表される脂環式炭化水素化合物は引火点が200℃以下と低くなる傾向が強く、大型のトラクションドライブ等が採用される耐熱性及び安全性が重要視される分野では必ずしも十分でなかった。
 また、特許文献3の実施例には、ネオペンチルグリコール及びシクロヘキサンカルボン酸、ネオペンチルグリコール及びメチルシクロヘキサンカルボン酸、並びにネオペンチルグリコール、シクロヘキサンカルボン酸及びメチルシクロヘキサンカルボン酸から合成されたジエステル化合物がトラクション用流体として記載されている。さらに、特許文献4の実施例には、シクロヘキサノール及びマロン酸、エチレングリコール及びシクロヘキサンカルボン酸、並びに1,3-ブタンジオール及びシクロヘキサンカルボン酸から合成されたジエステル化合物がトラクションフルードとして記載されている。
特開昭47-7664号公報 特開平3-95295号公報 国際公開第88/10292号 国際公開第89/01020号
 本発明は、トラクション係数及び引火点が高く、且つ、低温流動性が良好な動力伝達用潤滑油基油(特に、トラクションドライブ用潤滑油基油)を提供することを目的とするものである。
 本発明者らは、特定の化合物が高いトラクション係数及び引火点を有し、且つ、低温流動性が良好であることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて更に検討を加えることにより完成したものである。
 即ち、本発明は、以下の動力伝達用潤滑油基油(特に、トラクションドライブ用潤滑油基油)を提供するものである。
[項1]
 一般式(1):
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000002
[式中、R~Rは、同一又は異なって、それぞれ水素原子又は炭素数1~4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基を示し、R~Rのうちのいずれか2つが互いに結合して炭素数1~4のアルキレン基を形成してもよく、2つのR、2つのR、2つのR、2つのR及び2つのRは、それぞれ同一又は異なっていてもよい。Xは、炭素数4~12の分岐鎖状の脂肪族ジオールから2つの水酸基を除いて得られ、且つ、4級炭素を含まない2価の基を示し、当該2つの水酸基は第一級アルコールである。]
で表される化合物を含有する動力伝達用潤滑油基油。
[項2]
 一般式(1)に記載のR~Rが、同一又は異なって、それぞれ水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基又はtert-ブチル基であり、R~Rのうちのいずれか2つが互いに結合してメチレン基又はブチレン基を形成してもよい、[項1]に記載の動力伝達用潤滑油基油。
[項3]
 一般式(1)に記載のXが、炭素数3以上の直鎖状アルキレン基を主鎖とし、主鎖上の炭素原子にメチル基及びエチル基からなる群より選択される1種以上の基が結合した、2価の基である、[項1]又は[項2]に記載の動力伝達用潤滑油基油。
[項4]
 一般式(1)に記載のXが、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール及び2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオールからなる群より選択される1種から2つの水酸基を除いて得られる2価の基である、[項1]~[項3]のいずれかに記載の動力伝達用潤滑油基油。
[項5]
 一般式(1)で表される化合物の含有量が、動力伝達用潤滑油基油中、70質量%以上である、[項1]~[項4]のいずれかに記載の動力伝達用潤滑油基油。
[項6]
 前記動力伝達用潤滑油基油がトラクションドライブ用潤滑油基油である、[項1]~[項5]のいずれかに記載の動力伝達用潤滑油基油。
[項7]
 [項1]~[項6]のいずれかに記載の動力伝達用潤滑油基油を含有する動力伝達用潤滑油。
 本発明の動力伝達用潤滑油基油(特に、トラクションドライブ用潤滑油基油)は、一般式(1)で表される化合物を含有することにより、トラクション係数及び引火点が高く、且つ、低温流動性が良好である。
 本発明の動力伝達用潤滑油基油は、一般式(1):
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000003
[式中、R~Rは、同一又は異なって、それぞれ水素原子又は炭素数1~4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基を示し、R~Rのうちのいずれか2つが互いに結合して炭素数1~4のアルキレン基を形成してもよく、2つのR、2つのR、2つのR、2つのR及び2つのRは、それぞれ同一又は異なっていてもよい。Xは、炭素数4~12の分岐鎖状の脂肪族ジオールから2つの水酸基を除いて得られ、且つ、4級炭素を含まない2価の基を示し、当該2つの水酸基は第一級アルコールである。]
で表される化合物を含有することを特徴とする。
 本発明において、一般式(1)で表される化合物は、一般式(1’):
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000004
[式中、R~Rは、一般式(1)におけるR~Rと同意義である。Yは、4級炭素を含まない炭素数2~10の分岐鎖状のアルキレン基を示す。]
で表される化合物と表記することもできる。つまり、一般式(1)における「X」を「CH-Y-CH」と表記することもできる。
 一般式(1)に記載のR~Rで示される「炭素数1~4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基」としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等が挙げられる。好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基又はtert-ブチル基であり、より好ましくはメチル基、エチル基又はtert-ブチル基である。R~Rのうち少なくとも2つが水素原子であることが好ましく、少なくとも3つが水素原子であることがより好ましい。
 一般式(1)において、R~Rのうちのいずれか2つが互いに結合して形成された炭素数1~4のアルキレン基の数は、シクロヘキシル環1つに対して1個であることが好ましい。前記アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、メチルエチレン基等が挙げられる。好ましくはメチレン基、エチレン基、又はブチレン基であり、さらに好ましくはメチレン基である。また、前記アルキレン基は、RとRとが結合した基、RとRとが結合した基、又はRとRとが結合した基が好ましく、RとRとが結合した基がより好ましい。
 一般式(1)において、2つのR、2つのR、2つのR、2つのR及び2つのRは、それぞれ同一又は異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
 一般式(1)において、R~Rの一態様は、同一又は異なって、それぞれ水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基又はtert-ブチル基であり、R~Rのうちのいずれか2つ(好ましくはRとR、RとR、又はRとR)が互いに結合して炭素数1~4のアルキレン基を形成してもよい。ここで、2つのR、2つのR、2つのR、2つのR及び2つのRは、それぞれ同一であることがより好ましい。
 一般式(1)において、R~Rの一態様は、同一又は異なって、それぞれ水素原子、メチル基、エチル基又はtert-ブチル基であり、R~Rのうちのいずれか2つ(好ましくはRとR、RとR、又はRとR)が互いに結合してメチレン基、エチレン基、プロピレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、メチルエチレン基、又はブチレン基を形成してもよい。ここで、2つのR、2つのR、2つのR、2つのR及び2つのRは、それぞれ同一であることがより好ましい。
 一般式(1)において、Xは、炭素数4~12の分岐鎖状の脂肪族ジオールから2つの水酸基を除いて得られ、且つ、4級炭素を含まない2価の基を示し、当該2つの水酸基は第一級アルコールであり、炭素数4~12の分岐鎖状の脂肪族ジオールから水酸基を除いて得られる残基とも称する。本明細書及び請求の範囲において、Xを、単に「分岐鎖状の脂肪族ジオール残基」と言うことがある。またXにおける「炭素数」とは、「分岐鎖状の脂肪族ジオール残基」を構成する炭素原子の総数をいう。
 Xにおいて、酸素原子に結合した2つのメチレン基を両端とする直鎖状のアルキレン基を「主鎖」とも称する。また、「主鎖」に結合するアルキル基を「側鎖」とも称する。主鎖を構成する炭素原子の数は、側鎖を構成する炭素原子より大きいことが好ましいが、小さくてもよい。
 一般式(1)において、Xの炭素数は、4~9がより好ましく、4、6又は9がさらに好ましい。また、Xを構成する主鎖の炭素数は3以上であり、3~9が好ましく、3~7がより好ましく、3~5がさらに好ましい。Xを構成する側鎖の炭素数は1以上であり、1~3が好ましく、1又は2がより好ましい。
 Xを構成する側鎖の数は1以上であり、1~3が好ましく、1又は2がより好ましく、1がさらに好ましい。また、側鎖は、メチル基、エチル基、プロピル基又はイソプロピル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。側鎖が複数あるときは同一でも異なっていてもよい。
 Xは、「CH-Y-CH」と表記することもでき、ここでYは、4級炭素を含まない炭素数2~10の分岐鎖状のアルキレン基を示す。Yの好ましい例、詳細等は、本明細書及び請求の範囲の記載におけるXの記載から当業者が理解できる。
 Xの具体例としては、例えば、2-メチル-1,3-プロパンジオール残基、2-エチル-1,3-プロパンジオール残基、2-メチル-1,4-ブタンジオール残基、2-エチル-1,4-ブタンジオール残基、2,3-ジメチル-1,4-ブタンジオール残基、2,3-ジエチル-1,4-ブタンジオール残基、2-エチル-3-メチル-1,4-ブタンジオール残基、2-メチル-1,5-ペンタンジオール残基、3-メチル-1,5-ペンタンジオール残基、2-エチル-1,5-ペンタンジオール残基、3-エチル-1,5-ペンタンジオール残基、2,3-ジメチル-1,5-ペンタンジオール残基、2,4-ジメチル-1,5-ペンタンジオール残基、2,3-ジエチル-1,5-ペンタンジオール残基、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール残基、2-エチル-3-メチル-1,5-ペンタンジオール残基、2-エチル-4-メチル-1,5-ペンタンジオール残基、3-エチル-2-メチル-1,5-ペンタンジオール残基、2,3,4-トリメチル-1,5-ペンタンジオール残基、2,3,4-トリエチル-1,5-ペンタンジオール残基、2-エチル-3,4-ジメチル-1,5-ペンタンジオール残基、3-エチル-2,4-ジメチル-1,5-ペンタンジオール残基、2,3-ジエチル-4-メチル-1,5-ペンタンジオール残基、2,4-ジエチル-3-メチル-1,5-ペンタンジオール残基、2-メチル-1,6-ヘキサンジオール残基、3-メチル-1,6-ヘキサンジオール残基、2-エチル-1,6-ヘキサンジオール残基、3-エチル-1,6-ヘキサンジオール残基、2-メチル-1,7-ヘプタンジオール残基、3-メチル-1,7-ヘプタンジオール残基、4-メチル-1,7-ヘプタンジオール残基、2-エチル-1,7-ヘプタンジオール残基、3-エチル-1,7-ヘプタンジオール残基、4-エチル-1,7-ヘプタンジオール残基、2-メチル-1,8-オクタンジオール残基、3-メチル-1,8-オクタンジオール残基、4-メチル-1,8-オクタンジオール残基、2-エチル-1,8-オクタンジオール残基、3-エチル-1,8-オクタンジオール残基、4-エチル-1,8-オクタンジオール残基、2-メチル-1,9-ノナンジオール残基、3-メチル-1,9-ノナンジオール残基、4-メチル-1,9-ノナンジオール残基、5-メチル-1,9-ノナンジオール残基、2-エチル-1,9-ノナンジオール残基、3-エチル-1,9-ノナンジオール残基、4-エチル-1,9-ノナンジオール残基、5-エチル-1,9-ノナンジオール残基、2-メチル-1,10-デカンジオール残基、3-メチル-1,10-デカンジオール残基、4-メチル-1,10-デカンジオール残基、5-メチル-1,10-デカンジオール残基、2-エチル-1,10-デカンジオール残基、3-エチル-1,10-デカンジオール残基、4-エチル-1,10-デカンジオール残基、5-エチル-1,10-デカンジオール残基等が挙げられる。その中でも、2-メチル-1,3-プロパンジオール残基、2-エチル-1,3-プロパンジオール残基、3-メチル-1,5-ペンタンジオール残基、3-エチル-1,5-ペンタンジオール残基、2,4-ジメチル-1,5-ペンタンジオール残基、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール残基、2-メチル-1,7-ヘプタンジオール残基、3-メチル-1,7-ヘプタンジオール残基、2-エチル-1,7-ヘプタンジオール残基、3-エチル-1,7-ヘプタンジオール残基が好ましく、2-メチル-1,3-プロパンジオール残基、3-メチル-1,5-ペンタンジオール残基、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール残基がより好ましい。
 一般式(1)で表される化合物の一つの好ましい態様は、一般式(1)において、R~Rは、同一又は異なって、それぞれ水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基又はtert-ブチル基(好ましくは水素原子、メチル基、エチル基又はtert-ブチル基)であり、R~Rの少なくとも2つ(好ましくは少なくとも3つ)は水素原子であり、R~Rのうちのいずれか2つ(好ましくはR及びR)が互いに結合してメチレン基、エチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、メチルエチレン基又はブチレン基を形成してもよく、当該基の数はシクロヘキシル環1つに対して1個であり、2つのR、2つのR、2つのR、2つのR及び2つのRは、それぞれ同一又は異なっていてもよく、Xは、2-メチル-1,3-プロパンジオール残基、2-エチル-1,3-プロパンジオール残基、3-メチル-1,5-ペンタンジオール残基、3-エチル-1,5-ペンタンジオール残基、2,4-ジメチル-1,5-ペンタンジオール残基、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール残基、2-メチル-1,7-ヘプタンジオール残基、3-メチル-1,7-ヘプタンジオール残基、2-エチル-1,7-ヘプタンジオール残基又は3-エチル-1,7-ヘプタンジオール残基(好ましくは、2-メチル-1,3-プロパンジオール残基、3-メチル-1,5-ペンタンジオール残基又は2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール残基)である化合物である。
 一般式(1)で表される化合物の具体的な例としては、例えば、2-メチル-1,3-プロパンジオールジ(シクロヘキサンカルボキシレート)、2-メチル-1,3-プロパンジオールビス(2-メチルシクロヘキサンカルボキシレート)、2-メチル-1,3-プロパンジオールビス(3-メチルシクロヘキサンカルボキシレート)、2-メチル-1,3-プロパンジオールビス(4-メチルシクロヘキサンカルボキシレート)、2-メチル-1,3-プロパンジオールビス(2,3-ジメチルシクロヘキサンカルボキシレート)、2-メチル-1,3-プロパンジオールビス(2,4-ジメチルシクロヘキサンカルボキシレート)、2-メチル-1,3-プロパンジオールビス(2,5-ジメチルシクロヘキサンカルボキシレート)、2-メチル-1,3-プロパンジオールビス(2,6-ジメチルシクロヘキサンカルボキシレート)、2-メチル-1,3-プロパンジオールビス(3,4-ジメチルシクロヘキサンカルボキシレート)、2-メチル-1,3-プロパンジオールビス(3,5-ジメチルシクロヘキサンカルボキシレート)、2-メチル-1,3-プロパンジオールビス(2-tert-ブチルシクロヘキサンカルボキシレート)、2-メチル-1,3-プロパンジオールビス(3-tert-ブチルシクロヘキサンカルボキシレート)、2-メチル-1,3-プロパンジオールビス(4-tert-ブチルシクロヘキサンカルボキシレート)、2-メチル-1,3-プロパンジオールビス(ビシクロ[2.2.1]ヘプチルカルボキシレート)、2-メチルプロパン-1,3-ジイルビス(デカヒドロナフタレン-1-カルボキシレート)、2-メチルプロパン-1,3-ジイルビス(デカヒドロナフタレン-2-カルボキシレート)、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジ(シクロヘキサンカルボキシレート)、3-メチル-1,5-ペンタンジオールビス(2-メチルシクロヘキサンカルボキシレート)、3-メチル-1,5-ペンタンジオールビス(3-メチルシクロヘキサンカルボキシレート)、3-メチル-1,5-ペンタンジオールビス(4-メチルシクロヘキサンカルボキシレート)、3-メチル-1,5-ペンタンジオールビス(2,3-ジメチルシクロヘキサンカルボキシレート)、3-メチル-1,5-ペンタンジオールビス(2,4-ジメチルシクロヘキサンカルボキシレート)、3-メチル-1,5-ペンタンジオールビス(2,5-ジメチルシクロヘキサンカルボキシレート)、3-メチル-1,5-ペンタンジオールビス(2,6-ジメチルシクロヘキサンカルボキシレート)、3-メチル-1,5-ペンタンジオールビス(3,4-ジメチルシクロヘキサンカルボキシレート)、3-メチル-1,5-ペンタンジオールビス(3,5-ジメチルシクロヘキサンカルボキシレート)、3-メチル-1,5-ペンタンジオールビス(2-tert-ブチルシクロヘキサンカルボキシレート)、3-メチル-1,5-ペンタンジオールビス(3-tert-ブチルシクロヘキサンカルボキシレート)、3-メチル-1,5-ペンタンジオールビス(4-tert-ブチルシクロヘキサンカルボキシレート)、3-メチル-1,5-ペンタンジオールビス(ビシクロ[2.2.1]ヘプチルカルボキシレート)、3-メチルペンタン-1,5-ジイルビス(デカヒドロナフタレン-1-カルボキシレート)、3-メチルペンタン-1,5-ジイルビス(デカヒドロナフタレン-2-カルボキシレート)、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオールジ(シクロヘキサンカルボキシレート)、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオールビス(2-メチルシクロヘキサンカルボキシレート)、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオールビス(3-メチルシクロヘキサンカルボキシレート)、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオールビス(4-メチルシクロヘキサンカルボキシレート)、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオールビス(2,3-ジメチルシクロヘキサンカルボキシレート)、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオールビス(2,4-ジメチルシクロヘキサンカルボキシレート)、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオールビス(2,5-ジメチルシクロヘキサンカルボキシレート)、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオールビス(2,6-ジメチルシクロヘキサンカルボキシレート)、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオールビス(3,4-ジメチルシクロヘキサンカルボキシレート)、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオールビス(3,5-ジメチルシクロヘキサンカルボキシレート)、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオールビス(2-tert-ブチルシクロヘキサンカルボキシレート)、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオールビス(3-tert-ブチルシクロヘキサンカルボキシレート)、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオールビス(4-tert-ブチルシクロヘキサンカルボキシレート)、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオールビス(ビシクロ[2.2.1]ヘプチルカルボキシレート)、2,4-ジエチルペンタン-1,5-ジイルビス(デカヒドロナフタレン-1-カルボキシレート)、2,4-ジエチルペンタン-1,5-ジイルビス(デカヒドロナフタレン-2-カルボキシレート)等が挙げられる。
 その中でも、2-メチル-1,3-プロパンジオールジ(シクロヘキサンカルボキシレート)、2-メチル-1,3-プロパンジオールビス(2-メチルシクロヘキサンカルボキシレート)、2-メチル-1,3-プロパンジオールビス(3-メチルシクロヘキサンカルボキシレート)、2-メチル-1,3-プロパンジオールビス(4-メチルシクロヘキサンカルボキシレート)、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジ(シクロヘキサンカルボキシレート)、3-メチル-1,5-ペンタンジオールビス(2-メチルシクロヘキサンカルボキシレート)、3-メチル-1,5-ペンタンジオールビス(3-メチルシクロヘキサンカルボキシレート)、3-メチル-1,5-ペンタンジオールビス(4-メチルシクロヘキサンカルボキシレート)、3-メチル-1,5-ペンタンジオールビス(3,4-ジメチルシクロヘキサンカルボキシレート)、3-メチル-1,5-ペンタンジオールビス(3,5-ジメチルシクロヘキサンカルボキシレート)、3-メチル-1,5-ペンタンジオールビス(4-tert-ブチルシクロヘキサンカルボキシレート)、3-メチル-1,5-ペンタンジオールビス(ビシクロ[2.2.1]ヘプチルカルボキシレート)、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオールジ(シクロヘキサンカルボキシレート)、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオールビス(2-メチルシクロヘキサンカルボキシレート)、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオールビス(3-メチルシクロヘキサンカルボキシレート)、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオールビス(4-メチルシクロヘキサンカルボキシレート)が好ましい。
 さらに、2-メチル-1,3-プロパンジオールジ(シクロヘキサンカルボキシレート)、2-メチル-1,3-プロパンジオールビス(2-メチルシクロヘキサンカルボキシレート)、2-メチル-1,3-プロパンジオールビス(3-メチルシクロヘキサンカルボキシレート)、2-メチル-1,3-プロパンジオールビス(4-メチルシクロヘキサンカルボキシレート)、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジ(シクロヘキサンカルボキシレート)、3-メチル-1,5-ペンタンジオールビス(2-メチルシクロヘキサンカルボキシレート)、3-メチル-1,5-ペンタンジオールビス(3-メチルシクロヘキサンカルボキシレート)、3-メチル-1,5-ペンタンジオールビス(4-メチルシクロヘキサンカルボキシレート)、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオールジ(シクロヘキサンカルボキシレート)、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオールビス(2-メチルシクロヘキサンカルボキシレート)、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオールビス(3-メチルシクロヘキサンカルボキシレート)、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオールビス(4-メチルシクロヘキサンカルボキシレート)がより好ましい。
 上記の化合物の1種又は2種以上の混合物を動力伝達用潤滑油基油、例えば、トラクションドライブ用潤滑油基油、無段変速機用潤滑油基油等として用いることができる。好ましくはトラクションドライブ用潤滑油基油である。
 一般式(1)で表される化合物の製造方法は、当該化合物が得られれば特にその製法に限定されない。例えば、下記の反応式1~反応式3に従って製造することができる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000005
[式中、R~R及びXは前記に同じ。]
 一般式(2)で表される脂環式モノカルボン酸又はそのエステル化合物、及び一般式(3)で表される分岐鎖状の脂肪族ジオールをエステル化反応(エステル化合物の場合はエステル交換反応)させることにより、一般式(1)で表される化合物を製造することができる。ここで、一般式(2)で表される脂環式モノカルボン酸又はそのエステル化合物、及び一般式(3)で表される分岐鎖状の脂肪族ジオールは、それぞれ1種単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
 一般式(2)で表される脂環式モノカルボン酸の具体的な例としては、例えば、シクロヘキサンカルボン酸、2-メチルシクロヘキサンカルボン酸、3-メチルシクロヘキサンカルボン酸、4-メチルシクロヘキサンカルボン酸、2,3-ジメチルシクロヘキサンカルボン酸、2,4-ジメチルシクロヘキサンカルボン酸、2,5-ジメチルシクロヘキサンカルボン酸、2,6-ジメチルシクロヘキサンカルボン酸、3,4-ジメチルシクロヘキサンカルボン酸、3,5-ジメチルシクロヘキサンカルボン酸、2-tert-ブチルシクロヘキサンカルボン酸、3-tert-ブチルシクロヘキサンカルボン酸、4-tert-ブチルシクロヘキサンカルボン酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-カルボン酸、デカヒドロナフタレン-1-カルボン酸、デカヒドロナフタレン-2-カルボン酸等が挙げられる。
 一般式(2)で表される脂環式モノカルボン酸のエステル化合物の例としては、例えば、一般式(2)で表される脂環式モノカルボン酸のメチルエステル、エチルエステル等が挙げられる。
 一般式(3)で表される分岐鎖状の脂肪族ジオールの具体的な例としては、例えば、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,4-ブタンジオール、2-エチル-1,4-ブタンジオール、2,3-ジメチル-1,4-ブタンジオール、2,3-ジエチル-1,4-ブタンジオール、2-エチル-3-メチル-1,4-ブタンジオール、2-メチル-1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-エチル-1,5-ペンタンジオール、3-エチル-1,5-ペンタンジオール、2,3-ジメチル-1,5-ペンタンジオール、2,4-ジメチル-1,5-ペンタンジオール、2,3-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、2-エチル-3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-エチル-4-メチル-1,5-ペンタンジオール、3-エチル-2-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,3,4-トリメチル-1,5-ペンタンジオール、2,3,4-トリエチル-1,5-ペンタンジオール、2-エチル-3,4-ジメチル-1,5-ペンタンジオール、3-エチル-2,4-ジメチル-1,5-ペンタンジオール、2,3-ジエチル-4-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,4-ジエチル-3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,6-ヘキサンジオール、2-エチル-1,6-ヘキサンジオール、3-エチル-1,6-ヘキサンジオール、2-メチル-1,7-ヘプタンジオール、3-メチル-1,7-ヘプタンジオール、4-メチル-1,7-ヘプタンジオール、2-エチル-1,7-ヘプタンジオール、3-エチル-1,7-ヘプタンジオール、4-エチル-1,7-ヘプタンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、3-メチル-1,8-オクタンジオール、4-メチル-1,8-オクタンジオール、2-エチル-1,8-オクタンジオール、3-エチル-1,8-オクタンジオール、4-エチル-1,8-オクタンジオール、2-メチル-1,9-ノナンジオール、3-メチル-1,9-ノナンジオール、4-メチル-1,9-ノナンジオール、5-メチル-1,9-ノナンジオール、2-エチル-1,9-ノナンジオール、3-エチル-1,9-ノナンジオール、4-エチル-1,9-ノナンジオール、5-エチル-1,9-ノナンジオール、2-メチル-1,10-デカンジオール、3-メチル-1,10-デカンジオール、4-メチル-1,10-デカンジオール、5-メチル-1,10-デカンジオール、2-エチル-1,10-デカンジオール、3-エチル-1,10-デカンジオール、4-エチル-1,10-デカンジオール、5-エチル-1,10-デカンジオールが挙げられる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000006
[式中、R~R及びXは前記に同じ。]
 一般式(4)で表される芳香族モノカルボン酸又はそのエステル化合物、及び一般式(3)で表される分岐鎖状の脂肪族ジオールをエステル化反応(エステル化合物の場合はエステル交換反応)させることにより、一般式(5)で表される芳香族モノカルボン酸ジエステル化合物を製造し、さらに一般式(5)で表される芳香族モノカルボン酸ジエステル化合物のベンゼン環を核水素化(還元反応)させることにより、一般式(1)で表される化合物を製造することができる。ここで、一般式(4)で表される芳香族モノカルボン酸又はそのエステル化合物、及び一般式(3)で表されるジオールは、それぞれ1種単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
 一般式(4)で表される芳香族モノカルボン酸の具体的な例としては、例えば、安息香酸、2-メチル-安息香酸、3-メチル-安息香酸、4-メチル-安息香酸、2,3-ジメチル-安息香酸、2,4-ジメチル-安息香酸、2,5-ジメチル-安息香酸、2,6-ジメチル-安息香酸、3,4-ジメチル-安息香酸、3,5-ジメチル-安息香酸、2-tert-ブチル-安息香酸、3-tert-ブチル-安息香酸、4-tert-ブチル-安息香酸、1-ナフタレンカルボン酸、2-ナフタレンカルボン酸等が挙げられる。
 一般式(4)で表される芳香族モノカルボン酸のエステル化合物の例としては、例えば、一般式(4)で表される芳香族モノカルボン酸のメチルエステル、エチルエステル等が挙げられる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000007
[式中、R~R及びXは前記に同じ。]
 一般式(6)で表されるシクロヘキセン型モノカルボン酸又はそのエステル化合物、及び一般式(3)で表される分岐鎖状の脂肪族ジオールをエステル化反応(エステル化合物の場合はエステル交換反応)させることにより、一般式(7)で表されるシクロヘキセン型モノカルボン酸ジエステル化合物を製造し、さらに一般式(7)で表されるシクロヘキセン型モノカルボン酸ジエステル化合物の2重結合を水素化反応させることにより、一般式(1)で表される化合物を製造することができる。ここで、一般式(6)で表されるシクロヘキセン型モノカルボン酸又はそのエステル化合物、及び一般式(3)で表されるジオールは、それぞれ1種単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
 一般式(6)で表されるシクロヘキセン型モノカルボン酸の具体的な例としては、例えば、3-シクロヘキセニルカルボン酸、2-メチル-3-シクロヘキセニルカルボン酸、3-メチル-3-シクロヘキセニルカルボン酸、4-メチル-3-シクロヘキセニルカルボン酸、2,3-ジメチル-3-シクロヘキセニルカルボン酸、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセニルカルボン酸、2,5-ジメチル-3-シクロヘキセニルカルボン酸、2,6-ジメチル-3-シクロヘキセニルカルボン酸、3,4-ジメチル-3-シクロヘキセニルカルボン酸、3,5-ジメチル-3-シクロヘキセニルカルボン酸、2-tert-ブチル-3-シクロヘキセニルカルボン酸、3-tert-ブチル-3-シクロヘキセニルカルボン酸、4-tert-ブチル-3-シクロヘキセニルカルボン酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2-カルボン酸等が挙げられる。
 一般式(6)で表されるシクロヘキセン型モノカルボン酸のエステル化合物の例としては、例えば、一般式(6)で表されるシクロヘキセン型モノカルボン酸のメチルエステル、エチルエステル等が挙げられる。
 上記の製造方法の中でも、反応式1の製造方法が好ましい。
 一般式(1)で表される化合物の酸価としては、好ましくは0.1mgKOH/g以下、より好ましくは0.05mgKOH/g以下である。酸価が0.1mgKOH/g以下のときには化合物自身の耐熱性がより向上する傾向が認められ、このような好ましい範囲では本発明の基油の耐熱酸化安定性の向上にも好影響を与える。酸価を低減する方法としては、反応を十分に進行させる方法、後処理工程でのアルカリ成分で中和及び水洗する方法(アルカリ水溶液(例えば、水酸化ナトリウム水溶液)による洗浄(中和)及び水による洗浄を行う方法)、活性アルミナで酸成分を吸着処理する方法などが例示される。
 一般式(1)で表される化合物の水酸基価としては、好ましくは2mgKOH/g以下、より好ましくは1mgKOH/g以下である。水酸基価が2mgKOH/g以下のときには化合物自身の吸湿性がより低くなり、耐熱性もより向上する傾向が認められ、このような好ましい範囲では本発明の基油の耐水性及び耐熱酸化安定性の向上にも好影響を与える。水酸基価を低減する方法としては、反応を十分に進行させる方法、後処理工程での原料ジオール成分を減圧留去する方法(上記の蒸留可能な過剰の原料等を減圧下又は常圧下にて留去する方法)などが例示される。
 動力伝達用潤滑油基油のトラクション係数(60℃)は、通常、0.090以上であり、好ましくは0.100以上である。なお、本明細書及び請求の範囲においてトラクション係数(60℃)は、後述の実施例に記載した方法で測定される値である。
 動力伝達用潤滑油基油の低温流動性は、例えば、流動点によって評価することができる。潤滑油基油の流動点は、低温作動性の観点から、通常、-30℃以下であり、好ましくは-40℃以下である。なお、本明細書及び請求の範囲において流動点は、後述の実施例に記載した方法で測定される値である。
 動力伝達用潤滑油基油の引火点は、貯蔵安定性及び取り扱い性の観点から、通常、200℃以上であり、好ましくは220℃以上である。200℃未満であると、引火による取り扱い上の制約が多くなる。なお、本明細書及び請求の範囲において引火点は、後述の実施例に記載した方法で測定される値である。
 動力伝達用潤滑由基油としては、トラクション係数(60℃)0.100以上、流動点-30℃以下、引火点200℃以上の動力伝達用潤滑由基油、トラクション係数(60℃)0.090以上、流動点-40℃以下、引火点200℃以上の動力伝達用潤滑由基油、トラクション係数(60℃)0.090以上、流動点-30℃以下、引火点220℃以上の動力伝達用潤滑由基油が好ましく、トラクション係数(60℃)0.100以上、流動点-40℃以下、引火点200℃以上の動力伝達用潤滑由基油、トラクション係数(60℃)0.100以上、流動点-30℃以下、引火点220℃以上の動力伝達用潤滑由基油、トラクション係数(60℃)0.090以上、流動点-40℃以下、引火点220℃以上の動力伝達用潤滑由基油がより好ましく、特に、トラクション係数(60℃)0.100以上、流動点-40℃以下、引火点220℃以上の動力伝達用潤滑由基油が好ましい。なお、本明細書及び請求の範囲においてトラクション係数(60℃)、流動点及び引火点は、後述の実施例に記載した方法で測定される値である。
 動力伝達用潤滑油基油は、トラクション係数及び引火点が高く、且つ、低温流動性が良好なことから、動力伝達用潤滑油基油、特に、トラクションドライブ用潤滑油基油として好適に用いられる。
 動力伝達用潤滑油基油は、併用することができる他の基油(以下「併用基油」と表記する)を含むことができる。つまり、本発明の動力伝達用潤滑油基油には、一般式(1)で表される化合物のみ、及び当該化合物と併用基油とを包含する。動力伝達用潤滑油基油は併用基油を含まないことが好ましい。以下、動力伝達用潤滑油基油を「基油」と表記する場合がある。
 併用基油としては、鉱物油(例えば、石油の精製によって得られる炭化水素油);ポリ-α-オレフィン;ポリブテン;アルキルベンゼン;アルキルナフタレン;脂環式炭化水素油;フィッシャートロプシュ法によって得られる合成炭化水素の異性化油などの合成炭化水素油;動植物油;一般式(1)で表される化合物以外の有機酸エステル;ポリアルキレングリコール;ポリビニルエーテル、ポリフェニルエーテル、アルキルフェニルエーテルなどのエーテル系基油;シリコーン油などが挙げられる。これらの少なくとも1種を適宜併用することができる。
 鉱物油としては、例えば、溶剤精製鉱油、水素化精製鉱油、ワックス異性化油等が挙げられるが、通常、100℃における動粘度が1~25mm/s、好ましくは2~20mm/sの範囲にあるものが用いられる。
 ポリ-α-オレフィンとしては、例えば、炭素数2~16のα-オレフィン(例えばエチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン等)の重合体又は共重合体であって、100℃における動粘度が1~25mm/s、粘度指数が100以上のものが例示され、100℃における動粘度が1.5~20mm/sで、粘度指数が120以上のものが好ましい。
 ポリブテンとしては、例えば、イソブチレンを重合したもの、イソブチレンをノルマルブチレンと共重合したもの等があり、一般に100℃の動粘度が2~40mm/sの広範囲のものが挙げられる。
 アルキルベンゼンとしては、例えば、炭素数1~40の直鎖又は分岐のアルキル基で置換されたベンゼンが挙げられ、例えば、分子量が200~450であるモノアルキルベンゼン、ジアルキルベンゼン、トリアルキルベンゼン、テトラアルキルベンゼン等が例示される。
 アルキルナフタレンとしては、例えば、炭素数1~30の直鎖又は分岐のアルキル基で置換されたナフタレンが挙げられ、例えば、モノアルキルナフタレン、ジアルキルナフタレン等が例示される。
 動植物油としては、例えば、牛脂、豚脂、パーム油、ヤシ油、ナタネ油、ヒマシ油、ヒマワリ油等が例示される。
 一般式(1)で表される化合物以外の有機酸エステルとしては、脂肪酸モノエステル、脂肪族二塩基酸ジエステル、脂肪族二価アルコールジエステル(一般式(1)で表される化合物は除く)、ポリオールエステル及びその他のエステルが例示される。
 脂肪酸モノエステルとしては、例えば、炭素数5~22の脂肪族直鎖状又は分岐鎖状モノカルボン酸と炭素数3~22の直鎖状又は分岐鎖状の飽和若しくは不飽和の脂肪族アルコールとのエステルが挙げられる。
 脂肪族二塩基酸ジエステルとしては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9-ノナメチレンジカルボン酸、1,10-デカメチレンジカルボン酸等の脂肪族二塩基酸若しくはその無水物と炭素数3~22の直鎖状又は分岐鎖状の飽和若しくは不飽和の脂肪族アルコールとのジエステルが挙げられる。
 脂肪族二価アルコールジエステル(一般式(1)で表される化合物は除く)及びポリオールエステルとしては、ネオペンチルグリコール、2,2-ジエチルプロパンジオール、2-ブチル-2-エチルプロパンンジオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等のネオペンチル型構造のポリオール、又は1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,2-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、2-メチル-1,4-ブタンジオール、1,4-ペンタンジオール、2-メチル-1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,5-ヘキサンジオール、2-メチル-1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,6-ヘキサンジオール、1,6-ヘプタンジオール、2-メチル-1,7-ヘプタンジオール、3-メチル-1,7-ヘプタンジオール、4-メチル-1,7-ヘプタンジオール、1,7-オクタンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、3-メチル-1,8-オクタンジオール、4-メチル-1,8-オクタンジオール、1,8-ノナンジオール、2-メチル-1,9-ノナンジオール、3-メチル-1,9-ノナンジオール、4-メチル-1,9-ノナンジオール、5-メチル-1,9-ノナンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、グリセリン、ポリグリセリン、ソルビトール等の非ネオペンチル型構造のポリオールと、炭素数3~22の直鎖状及び/又は分岐鎖状の飽和又は不飽和の脂肪酸とのフルエステルが挙げられる。
 その他のエステルとしては、例えば、ダイマー酸、水添ダイマー酸などの重合脂肪酸、或いは、縮合ヒマシ油脂肪酸、水添縮合ヒマシ油脂肪酸などのヒドロキシ脂肪酸と、炭素数3~22の直鎖状若しくは分岐鎖状の飽和又は不飽和の脂肪族アルコールとのエステルが挙げられる。
 ポリアルキレングリコールとしては、例えば、アルコールと炭素数2~4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレンオキシドとの開環重合体が例示される。アルキレンオキシドとしてはエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドが挙げられ、これらの1種を用いた重合体、若しくは2種以上の混合物を用いた共重合体が使用可能である。又、片端又は両端の水酸基部分がエーテル化した化合物も使用可能である。重合体の動粘度は、好ましくは5~1000mm/s(40℃)、より好ましくは5~500mm/s(40℃)である。
 ポリビニルエーテルとしては、例えば、ビニルエーテルモノマーの重合によって得られる化合物であり、モノマーとしてはメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、sec-ブチルビニルエーテル、tert-ブチルビニルエーテル、n-ペンチルビニルエーテル、n-ヘキシルビニルエーテル、2-メトキシエチルビニルエーテル、2-エトキシエチルビニルエーテル等が挙げられる。重合体の動粘度は、好ましくは5~1000mm/s(40℃)、より好ましくは5~500mm/s(40℃)である。
 ポリフェニルエーテルとしては、例えば、2個以上の芳香環のメタ位をエーテル結合又はチオエーテル結合でつないだ構造を有する化合物が挙げられ、具体的には、ビス(m-フェノキシフェニル)エーテル、m-ビス(m-フェノキシフェノキシ)ベンゼン、及びそれらの酸素の1個若しくは2個以上を硫黄に置換したチオエーテル類等が例示される。
 アルキルフェニルエーテルとしては、例えば、ポリフェニルエーテルを炭素数6~18の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基で置換した化合物が挙げられ、特に1個以上のアルキル基で置換したアルキルジフェニルエーテルが好ましい。
 シリコーン油としては、例えば、ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、長鎖アルキルシリコーン、フルオロシリコーン等の変性シリコーンが挙げられる。
 動力伝達用潤滑油基油中における、一般式(1)で表わされる化合物の含有量は、通常、70質量%以上であり、好ましくは80質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。
 動力伝達用潤滑油基油中における併用基油の含有量は、通常、30質量%以下であり、好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。
 本発明は、前記動力伝達用潤滑油基油を含む動力伝達用潤滑油をも提供する。当該動力伝達用潤滑油は、その性能を向上させるために、前記基油に例えば、酸化防止剤、金属清浄剤、無灰分散剤、油性剤、摩耗防止剤、極圧剤、金属不活性剤、防錆剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、消泡剤、加水分解抑制剤、増ちょう剤、腐食防止剤、色相安定剤等の添加剤の少なくとも1種を適宜配合することができる。これらの配合量は、本発明の効果を奏する限り特に限定されるものではないが、その具体的な例を以下に示す。
 酸化防止剤としては、例えば、2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4’-イソプロピリデンビスフェノール、2,4-ジメチル-6-tert-ブチルフェノール、テトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,2’-ジヒドロキシ-3,3’-ジ(α-メチルシクロヘキシル)-5,5’-ジメチル-ジフェニルメタン、2,2’-イソブチリデンビス(4,6-ジメチルフェノール)、2,6-ビス(2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-メチルベンジル)-4-メチルフェノール、1,1’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,5-ジ-tert-アミルヒドロキノン、2,5-ジ-tert-ブチルヒドロキノン、1,4-ジヒドロキシアントラキノン、3-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニソール、2-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニソール、2,4-ジベンゾイルレゾルシノール、4-tert-ブチルカテコール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,4,5-トリヒドロキシベンゾフェノン、α-トコフェロール、ビス[2-(2-ヒドロキシ-5-メチル-3-tert-ブチルベンジル)-4-メチル-6-tert-ブチルフェニル]テレフタレート、トリエチレングリコールビス[3-(3-tert-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6-ヘキサンジオール-ビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ジフェニルアミン、モノブチル(直鎖及び分岐鎖を含む)ジフェニルアミン、モノペンチル(直鎖及び分岐鎖を含む)ジフェニルアミン、モノヘキシル(直鎖及び分岐鎖を含む)ジフェニルアミン、モノヘプチル(直鎖及び分岐鎖を含む)ジフェニルアミン、モノオクチル(直鎖及び分岐鎖を含む)ジフェニルアミン等のモノアルキルジフェニルアミン、特にモノ(C-Cアルキル)ジフェニルアミン(即ち、ジフェニルアミンの二つのベンゼン環の一方が、アルキル基、特にC-Cアルキル基でモノ置換されているもの、即ち、モノアルキル置換されたジフェニルアミン)、p,p’-ジブチル(直鎖及び分岐鎖を含む)ジフェニルアミン、p,p’-ジペンチル(直鎖及び分岐鎖を含む)ジフェニルアミン、p,p’-ジヘキシル(直鎖及び分岐鎖を含む)ジフェニルアミン、p,p’-ジヘプチル(直鎖及び分岐鎖を含む)ジフェニルアミン、p,p’-ジオクチル(直鎖及び分岐鎖を含む)ジフェニルアミン、p,p’-ジノニル(直鎖及び分岐鎖を含む)ジフェニルアミン等のジ(アルキルフェニル)アミン、特にp,p’-ジ(C-Cアルキルフェニル)アミン(即ち、ジフェニルアミンの二つのベンゼン環の各々が、アルキル基、特にC-Cアルキル基でモノ置換されているジアルキル置換のジフェニルアミンであって、二つのアルキル基が同一であるもの)、ジ(モノC-Cアルキルフェニル)アミンであって、一方のベンゼン環上のアルキル基が他方のベンゼン環上のアルキル基と異なるもの、ジ(ジ-C-Cアルキルフェニル)アミンであって、二つのベンゼン環上の4つのアルキル基のうちの少なくとも1つが残りのアルキル基と異なるもの等のジフェニルアミン化合物;N-フェニル-1-ナフチルアミン、N-フェニル-2-ナフチルアミン、4-オクチルフェニル-1-ナフチルアミン、4-オクチルフェニル-2-ナフチルアミン等のナフチルアミン;p-フェニレンジアミン、N-フェニル-N’-イソプロピル-p-フェニレンジアミン、N-フェニル-N’-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン等のフェニレンジアミン化合物等が例示される。なお、本段落及び次段落において「直鎖及び分岐鎖を含む」とは、直鎖アルキル及び分岐鎖アルキルの一方又は双方を含むという意味である。
 この中でも、特に、p,p’-ジオクチル(直鎖及び分岐鎖を含む)ジフェニルアミン、p,p’-ジノニル(直鎖及び分岐鎖を含む)ジフェニルアミン、N-フェニル-1-ナフチルアミン、チオジプロピオン酸ジ(n-ドデシル)、チオジプロピオン酸ジ(n-オクタデシル)等のチオジプロピオン酸エステル、フェノチアジン等の硫黄系化合物等が例示される。これらの酸化防止剤は、単独で又は適宜2種以上組み合わせて用いることができる。酸化防止剤を動力伝達用潤滑油基油に配合することにより、空気存在下での当該基油の分解等が抑えられることにより、動力伝達用潤滑油の耐熱性が向上する。酸化防止剤を使用する場合、通常、基油に対して0.01~5質量%、好ましくは0.05~3質量%程度添加することが望ましい。
 ここで、本明細書及び請求の範囲において、「基油に対して0.01~5質量%」のように、「基油に対して」との表現を用いて、添加剤の配合量の範囲を規定している場合がある。この場合に用いる「基油」は、一般式(1)で表される化合物のみからなる基油又は当該化合物と併用基油との混合物からなる基油の何れかの意味で用いている。そしてまた、「基油に対して0.01~5質量%」の例で言えば、基油100質量部に対して、0.01~5質量部という意味と同義である。
 金属清浄剤としては、例えば、Ca-石油スルフォネート、過塩基性Ca-石油スルフォネート、Ca-アルキルベンゼンスルフォネート、過塩基性Ca-アルキルベンゼンスルフォネート、Ba-アルキルベンゼンスルフォネート、過塩基性Ba-アルキルベンゼンスルフォネート、Mg-アルキルベンゼンスルフォネート、過塩基性Mg-アルキルベンゼンスルフォネート、Na-アルキルベンゼンスルフォネート、過塩基性Na-アルキルベンゼンスルフォネート、Ca-アルキルナフタレンスルフォネート、過塩基性Ca-アルキルナフタレンスルフォネート等の金属スルフォネート、Ca-フェネート、過塩基性Ca-フェネート、Ba-フェネート、過塩基性Ba-フェネート等の金属フェネート、Ca-サリシレート、過塩基性Ca-サリシレート等の金属サリシレート、Ca-フォスフォネート、過塩基性Ca-フォスフォネート、Ba-フォスフォネート、過塩基性Ba-フォスフォネート等の金属フォスフォネート、過塩基性Ca-カルボキシレート等を例示できる。これらの金属清浄剤は、単独で又は組み合わせて用いてもよく、これを使用する場合、通常、基油に対して1~10質量%、好ましくは2~7質量%添加することができる。
 無灰分散剤としては、例えば、ポリアルケニルコハク酸イミド、ポリアルケニルコハク酸アミド、ポリアルケニルベンジルアミン、ポリアルケニルコハク酸エステル等が例示される。これらの無灰分散剤は、単独で又は組み合わせて用いてもよく、これを使用する場合、通常、基油に対して1~10質量%、好ましくは2~7質量%添加することができる。
 油性剤としては、例えば、ステアリン酸、オレイン酸などの脂肪族飽和及び不飽和モノカルボン酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸などの重合脂肪酸、リシノレイン酸、12-ヒドロキシステアリン酸などのヒドロキシ脂肪酸、ラウリルアルコール、オレイルアルコールなどの脂肪族飽和及び不飽和モノアルコール、ステアリルアミン、オレイルアミンなどの脂肪族飽和及び不飽和モノアミン、ラウリン酸アミド、オレイン酸アミドなどの脂肪族飽和及び不飽和モノカルボン酸アミド、バチルアルコール、キミルアルコール、セラキルアルコールなどのグリセリンエーテル、ラウリルポリグリセリンエーテル、オレイルポリグリセリルエーテルなどのアルキル若しくはアルケニルポリグリセリルエーテル、ジ(2-エチルヘキシル)モノエタノールアミン、ジイソトリデシルモノエタノールアミンなどのアルキル若しくはアルケニルアミンのポリ(アルキレンオキサイド)付加物等が例示される。これらの油性剤は、単独で又は組み合わせて用いてもよく、これを使用する場合、通常、基油に対して0.01~5質量%、好ましくは0.1~3質量%添加することができる。
 摩耗防止剤及び極圧剤としては、例えば、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、アルキルフェニルホスフェート類、トリブチルホスフェート、ジブチルホスフェート等のリン酸エステル類、トリブチルホスファイト、ジブチルホスファイト、トリイソプロピルホスファイト等の亜リン酸エステル類及びこれらのアミン塩等のリン系、硫化油脂、硫化オレイン酸などの硫化脂肪酸、ジベンジルジスルフィド、硫化オレフィン、ジアルキルジスルフィドなどの硫黄系、Zn-ジアルキルジチオフォスフェート、Zn-ジアルキルジチオフォスフェート、Mo-ジアルキルジチオフォスフェート、Mo-ジアルキルジチオカルバメートなどの有機金属系化合物等が例示される。これらの摩耗防止剤は、単独で又は組み合わせて用いてもよく、これを使用する場合、通常、基油に対して0.01~10質量%、好ましくは0.1~5質量%添加することができる。
 金属不活性剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、チアジアゾール系、没食子酸エステル系の化合物等が例示される。これらの金属不活性剤は、単独で又は組み合わせて用いてもよく、これを使用する場合、通常、基油に対して0.01~0.4質量%、好ましくは0.01~0.2質量%添加することができる。
 防錆剤としては、例えば、ドデセニルコハク酸ハーフエステル、オクタデセニルコハク酸無水物、ドデセニルコハク酸アミドなどのアルキル又はアルケニルコハク酸誘導体、ソルビタンモノオレエート、グリセリンモノオレエート、ペンタエリスリトールモノオレエートなどの多価アルコール部分エステル、Ca-石油スルフォネート、Ca-アルキルベンゼンスルフォネート、Ba-アルキルベンゼンスルフォネート、Mg-アルキルベンゼンスルフォネート、Na-アルキルベンゼンスルフォネート、Zn-アルキルベンゼンスルフォネート、Ca-アルキルナフタレンスルフォネートなどの金属スルフォネート、ロジンアミン、N-オレイルザルコシンなどのアミン類、ジアルキルホスファイトアミン塩等が例示される。これらの防錆剤は、単独で又は組み合わせて用いてもよく、これを使用する場合、通常、基油に対して0.01~5質量%、好ましくは0.05~2質量%添加することができる。
 粘度指数向上剤としては、例えば、ポリアルキルメタクリレート、ポリアルキルスチレン、ポリブテン、エチレン-プロピレン共重合体、スチレン-ジエン共重合体、スチレン-無水マレイン酸エステル共重合体などのオレフィン共重合体が例示される。これらの粘度指数向上剤は、単独で又は組み合わせて用いてもよく、これを使用する場合、通常、基油に対して0.1~15質量%、好ましくは0.5~7質量%添加することができる。
 流動点降下剤としては、例えば、塩素化パラフィンとアルキルナフタレンの縮合物、塩素化パラフィンとフェノールの縮合物、既述の粘度指数向上剤であるポリアルキルメタクリレート、ポリアルキルスチレン、ポリブテン等が例示される。これらの流動点降下剤は、単独で又は組み合わせて用いてもよく、これを使用する場合、通常、基油に対して0.01~5質量%、好ましくは0.1~3質量%程度添加することができる。
 消泡剤としては、例えば、液状シリコーン等が例示され、これを使用する場合、その添加量は、通常、基油に対して0.0005~0.01質量%である。
 加水分解抑制剤としては、例えば、アルキルグリシジルエーテル類、アルキルグリシジルエステル類、アルキレングリコールグリシジルエーテル類、脂環式エポキシ類、フェニルグリシジルエーテルなどのエポキシ化合物、ジ-tert-ブチルカルボジイミド、1,3-ジ-p-トリルカルボジイミドなどのカルボジイミド化合物が例示される。これらの加水分解抑制剤は、単独で又は組み合わせて用いてもよく、通常、基油に対して0.05~2質量%添加することができる。
 動力伝達用潤滑油基油に増ちょう剤を適宜組み合わせることにより、「グリース」とすることができる。
 増ちょう剤としては、例えば、ナトリウム石けん、リチウム石けん、カルシウム石けん、カルシウムコンプレックス石けん、アルミニウムコンプレックス石けん、リチウムコンプレックス石けん等の石けん系増ちょう剤;ベントナイト、シリカエアロゲル、ナトリウムテレフタラメート、ウレア化合物、ポリテトラフルオロエチレン、窒化ホウ素等の非石けん系増ちょう剤が挙げられる。
 石けん系増ちょう剤としては、例えば、金属石けん系増ちょう剤、複合体石けん系増ちょう剤が挙げられる。金属石けん系増ちょう剤としては、例えば、リチウム-12-ヒドロキシステアレート等の水酸基を有する脂肪族カルボン酸リチウム塩、リチウムステアレート等の脂肪族カルボン酸リチウム塩又はそれらの混合物などが例示される。
 複合体金属石けん系増ちょう剤としては、例えば、水酸基を有する1価の脂肪族カルボン酸金属塩と2価の脂肪族カルボン酸金属塩とのコンプレックス等が挙げられ、具体的には複合体リチウム石けん、複合体アルミニウム石けんなどが例示される。
 ウレア化合物としては、例えば、脂環族、芳香族、脂肪族、ジウレア、トリウレア、テトラウレア、ウレア・ウレタン化合物等が例示される。
 上記の中でも、増ちょう剤として、リチウム石けん、リチウムコンプレックス石けん、ウレア化合物が好ましく、耐熱性の点から特にウレア化合物が好ましい。
 これらの増ちょう剤は1種で又は適宜2種以上を組み合わせて用いることができ、その添加量は所定の効果を奏する限り特に限定されるものではない。
 腐食防止剤としては、例えば、ナトリウムスルホネート、ソルビタンエステルなどが例示され、1種単独で又は2種以上を組み合わせて、通常、基油に対して0.1~3.0質量%程度添加される。
 色相安定剤としては、例えば、置換ハイドロキノン、フルフラールアジン等が例示され、1種単独で又は2種以上を組み合わせて、通常、基油に対して0.01~0.1質量%程度添加される。
 かくして得られる本発明の動力伝達用潤滑油は、上述の通り、トラクション係数及び引火点が高く、低温流動性に優れた基油を含有することから、トラクションドライブ用潤滑油として好適である。
 本発明の動力伝達用潤滑油基油は、動力伝達用潤滑油(特に、トラクションドライブ用潤滑油)に添加することにより、動力伝達用潤滑油のトラクション係数の向上を図ることができる。そのため、トラクション係数向上剤として用いることができる。
 本発明の動力伝達用潤滑油は、動力伝達能が高く、振動や騒音の発生が小さく、さらに引火点が高いため、トラクションドライブ、即ち2以上の回転体からなる動力伝達装置の潤滑油として用いることができる。当該トラクションドライブを採用する装置としては、例えば、自動車、船舶、航空機、精密機器、ロボット等のモータ、変速機、ジェネレータ、減速機等が挙げられる。
 以下に実施例を掲げて本発明を詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、各例における潤滑油基油及び潤滑油組成物の物理特性及び化学特性は以下の方法により評価した。特に言及していない化合物は試薬を使用した。
<使用化合物>
シクロヘキサンカルボン酸:シグマ-アルドリッチ社製
2-メチルシクロヘキサンカルボン酸:シグマ-アルドリッチ社製
3-メチルシクロヘキサンカルボン酸:シグマ-アルドリッチ社製
4-メチルシクロヘキサンカルボン酸:シグマ-アルドリッチ社製
3,4-ジメチルシクロヘキサンカルボン酸:特開昭49-135950号公報を参考に3,4-ジメチル安息香酸(東京化成工業社製)を5質量%パラジウム-カーボン触媒存在下で、水素化反応し、得られた粗物を蒸留精製することにより、3,4-ジメチルシクロヘキサンカルボン酸を得た。
3,5-ジメチルシクロヘキサンカルボン酸:特開昭49-135950号公報を参考に3,5-ジメチル安息香酸(東京化成工業社製)を5質量%パラジウム-カーボン触媒存在下で、水素化反応し、得られた粗物を蒸留精製することにより、3,5-ジメチルシクロヘキサンカルボン酸を得た。
4-tert-ブチルシクロヘキサンカルボン酸:東京化成工業社製
ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-カルボン酸:富士フイルム和光純薬社製
2-メチル-1,3-プロパンジオール:東京化成工業社製
3-メチル-1,5-ペンタンジオール:東京化成工業社製
2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール:東京化成工業社製
1,3-ブタンジオール:東京化成工業社製
2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール:東京化成工業社製
アジピン酸ジイソデシル:新日本理化株式会社製 製品名「サンソサイザー DIDA」
鉱物油Y:SKルブリカンツ社製 製品名「YUBASE 3」(飽和炭化水素の工業用流動パラフィン)
(a)酸価(AV)
 JIS K2501(2003)に準拠して測定した。なお検出限界は0.01KOHmg/gである。
(b)水酸基価(OHV)
 JIS K0070(1992)に準拠して測定した。なお検出限界は0.1KOHmg/gである。
[潤滑油基油の物性測定]
(c)トラクション係数
 下記装置および条件にて試験した時の最大トラクション係数を測定し、トラクション係数(60℃)とした。
[測定条件]
装置:ボールオンリング型摩擦試験機(Phoenix Tribology社製TE54型)
試験片形状:上試験片(Φ25mmの球)、下試験片(Φ50mmのリング)
試験片材質:SUJ2
滑り率:5%
試料温度:60℃
荷重:200N
<トラクション係数の評価>
 [I]:0.100以上
 [II]:0.090以上0.100未満
 [III]:0.090未満
(d)低温流動性試験(流動点)
 JIS-K-2269(1987)に準拠して流動点を測定した。
<低温流動性の評価>
 [I]:-40℃以下
 [II]:-40℃を越え-30℃以下
 [III]:-30℃を越える
(e)引火点
 JIS K2265(クリーブランド開放式)に準拠して測定した。
<引火点の評価>
 [I]:220℃以上
 [II]:200℃以上220℃未満
 [III]:200℃未満
(f)動力伝達用潤滑油基油の評価
 動力伝達用潤滑油基油の評価としては、トラクション係数の評価、低温流動性の評価及び引火点の評価の結果において、[III]が1以上あれば不適と、[II]が2以下(他の評価は[I])であれば良好と、[II]が1以下(他の評価は[I])であれば特に良好と評価される。
[実施例1]
 撹拌器、温度計、冷却管付き水分分留受器を備えた1リットルの四ツ口フラスコに脂環式モノカルボン酸として3-メチルシクロヘキサンカルボン酸469.2g(3.30mol)、分岐鎖状の脂肪族ジオールとして2-メチル-1,3-プロパンジオール135.2g(1.50mol)、エステル化触媒として酸化スズ0.5g、エントレーナーとしてキシレン30gを仕込み、フラスコ内を窒素置換した後、徐々に230℃まで昇温した。キシレンが還流するように減圧度を調整しながら、理論生成水量(54.0g)を目処にして留出してくる生成水を水分分留受器で除去しつつ、エステル化反応を行った。反応終了後、残存する3-メチルシクロヘキサンカルボン酸とキシレンを減圧下で蒸留により除去してエステル化粗物を得た。次いで、得られたエステル化粗物の酸価に対して1.5倍当量の苛性ソーダ水溶液で中和した後、中性になるまで水洗を繰り返した。得られたエステル化粗物に硫酸マグネシウムを加えて脱水した後、濾過により硫酸マグネシウムを除去して、2-メチル-1,3-プロパンジオールビス(3-メチル-シクロヘキサンカルボキシレート)409.6g(1.21mol)を得た。得られた化合物の酸価は、0.01mgKOH/g以下、水酸基価は、1mgKOH/g以下であった。当該化合物を動力伝達用潤滑油基油(A)として評価した際の各物性を表1に示す。
[実施例2]
 3-メチルシクロヘキサンカルボン酸をシクロヘキサンカルボン酸423.0g(3.3mol)に、2-メチル-1,3-プロパンジオールを3-メチル-1,5-ペンタンジオール177.3g(1.5mol)に変更した以外は実施例1と同様の方法で、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジ(シクロヘキサンカルボキシレート)440.0g(1.30mol)を得た。得られた化合物の酸価は、0.01mgKOH/g以下、水酸基価は、1mgKOH/g以下であった。当該化合物を動力伝達用潤滑油基油(B)として評価した際の各物性を表1に示す。
[実施例3]
 3-メチルシクロヘキサンカルボン酸を2-メチルシクロヘキサンカルボン酸469.2g(3.3mol)に、2-メチル-1,3-プロパンジオールを3-メチル-1,5-ペンタンジオール177.3g(1.5mol)に変更した以外は実施例1と同様の方法で、3-メチル-1,5-ペンタンジオールビス(2-メチル-シクロヘキサンカルボキシレート)465.5g(1.27mol)を得た。得られた化合物の酸価は、0.01mgKOH/g以下、水酸基価は、1mgKOH/g以下であった。当該化合物を動力伝達用潤滑油基油(C)として評価した際の各物性を表1に示す。
[実施例4]
 2-メチル-1,3-プロパンジオールを3-メチル-1,5-ペンタンジオール177.3g(1.5mol)に変更した以外は実施例1と同様の方法で、3-メチル-1,5-ペンタンジオールビス(3-メチルシクロヘキサンカルボキシレート)487.5g(1.33mol)を得た。得られた化合物の酸価は、0.01mgKOH/g以下、水酸基価は、1mgKOH/g以下であった。当該化合物を動力伝達用潤滑油基油(D)として評価した際の各物性を表1に示す。
[実施例5]
 3-メチルシクロヘキサンカルボン酸を4-メチルシクロヘキサンカルボン酸469.2g(3.3mol)に、2-メチル-1,3-プロパンジオールを3-メチル-1,5-ペンタンジオール177.3g(1.5mol)に変更した以外は実施例1と同様の方法で、3-メチル-1,5-ペンタンジオールビス(4-メチルシクロヘキサンカルボキシレート)498.5g(1.36mol)を得た。得られた化合物の酸価は、0.01mgKOH/g以下、水酸基価は、1mgKOH/g以下であった。当該化合物を動力伝達用潤滑油基油(E)として評価した際の各物性を表1に示す。
[実施例6]
 3-メチルシクロヘキサンカルボン酸をシクロヘキサンカルボン酸423.0g(3.3mol)に、2-メチル-1,3-プロパンジオールを2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール240.4g(1.5mol)に変更した以外は実施例1と同様の方法で、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオールジ(シクロヘキサンカルボキシレート)532.8g(1.40mol)を得た。得られた化合物の酸価は、0.01mgKOH/g以下、水酸基価は、1mgKOH/g以下であった。当該化合物を動力伝達用潤滑油基油(F)として評価した際の各物性を表1に示す。
[実施例7]
 2-メチル-1,3-プロパンジオールを2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール240.4g(1.5mol)に変更した以外は実施例1と同様の方法で、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオールビス(3-メチルシクロヘキサンカルボキシレート)521.0g(1.28mol)を得た。得られた化合物の酸価は、0.01mgKOH/g以下、水酸基価は、1mgKOH/g以下であった。当該化合物を動力伝達用潤滑油基油(G)として評価した際の各物性を表1に示す。
[実施例8]
 3-メチルシクロヘキサンカルボン酸を3,4-ジメチルシクロヘキサンカルボン酸515.5g(3.3mol)に、2-メチル-1,3-プロパンジオールを3-メチル-1,5-ペンタンジオール177.3g(1.5mol)に変更した以外は実施例1と同様の方法で、3-メチル-1,5-ペンタンジオールビス(3,4-ジメチルシクロヘキサンカルボキシレート)532.7g(1.35mol)を得た。得られた化合物の酸価は、0.01mgKOH/g以下、水酸基価は、1mgKOH/g以下であった。当該化合物を動力伝達用潤滑油基油(H)として評価した際の各物性を表1に示す。
[実施例9]
 3-メチルシクロヘキサンカルボン酸を3,5-ジメチルシクロヘキサンカルボン酸515.5g(3.3mol)に、2-メチル-1,3-プロパンジオールを3-メチル-1,5-ペンタンジオール177.3g(1.5mol)に変更した以外は実施例1と同様の方法で、3-メチル-1,5-ペンタンジオールビス(3,5-ジメチルシクロヘキサンカルボキシレート)538.6g(1.37mol)を得た。得られた化合物の酸価は、0.01mgKOH/g以下、水酸基価は、1mgKOH/g以下であった。当該化合物を動力伝達用潤滑油基油(I)として評価した際の各物性を表1に示す。
[実施例10]
 3-メチルシクロヘキサンカルボン酸を4-tert-ブチルシクロヘキサンカルボン酸608.1g(3.3mol)に、2-メチル-1,3-プロパンジオールを3-メチル-1,5-ペンタンジオール177.3g(1.5mol)に変更した以外は実施例1と同様の方法で、3-メチル-1,5-ペンタンジオールビス(4-tert-ブチルシクロヘキサンカルボキシレート)554.4g(1.23mol)を得た。得られた化合物の酸価は、0.01mgKOH/g以下、水酸基価は、1mgKOH/g以下であった。当該化合物を動力伝達用潤滑油基油(J)として評価した際の各物性を表1に示す。
[実施例11]
 3-メチルシクロヘキサンカルボン酸をビシクロ[2.2.1]ヘプタンカルボン酸462.6g(3.3mol)に、2-メチル-1,3-プロパンジオールを3-メチル-1,5-ペンタンジオール177.3g(1.5mol)に変更した以外は実施例1と同様の方法で、3-メチル-1,5-ペンタンジオールビス(ビシクロ[2.2.1]ヘプタンカルボキシレート)467.7g(1.29mol)を得た。得られた化合物の酸価は、0.01mgKOH/g以下、水酸基価は、1mgKOH/g以下であった。当該化合物を動力伝達用潤滑油基油(K)として評価した際の各物性を表1に示す。
[実施例12]
 3-メチルシクロヘキサンカルボン酸を2-メチルシクロヘキサンカルボン酸469.3g(3.3mol)に変更した以外は実施例1と同様の方法で、2-メチル-1,3-プロパンジオールビス(2-メチルシクロヘキサンカルボキシレート)462.1g(1.37mol)を得た。得られた化合物の酸価は、0.01mgKOH/g以下、水酸基価は、1mgKOH/g以下であった。当該化合物を動力伝達用潤滑油基油(L)として評価した際の各物性を表1に示す。
[実施例13]
 3-メチルシクロヘキサンカルボン酸を2-メチルシクロヘキサンカルボン酸469.6g(3.3mol)に、2-メチル-1,3-プロパンジオールを2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール240.4g(1.5mol)に変更した以外は実施例1と同様の方法で、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオールジ(2-メチルシクロヘキサンカルボキシレート)521.0g(1.28mol)を得た。得られた化合物の酸価は、0.01mgKOH/g以下、水酸基価は、1mgKOH/g以下であった。当該化合物を動力伝達用潤滑油基油(M)として評価した際の各物性を表1に示す。
[実施例14]
 3-メチルシクロヘキサンカルボン酸を4-メチルシクロヘキサンカルボン酸469.6g(3.3mol)に、2-メチル-1,3-プロパンジオールを2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール240.4g(1.5mol)に変更した以外は実施例1と同様の方法で、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオールジ(4-メチルシクロヘキサンカルボキシレート)514.9g(1.26mol)を得た。得られた化合物の酸価は、0.01mgKOH/g以下、水酸基価は、1mgKOH/g以下であった。当該化合物を動力伝達用潤滑油基油(N)として評価した際の各物性を表1に示す。
[比較例1]
 3-メチルシクロヘキサンカルボン酸をシクロヘキサンカルボン酸423.0g(3.3mol)に、2-メチル-1,3-プロパンジオールを1,3-ブタンジオール135.2g(1.5mol)に変更した以外は実施例1と同様の方法で、1,3-ブタンジオールジ(シクロヘキサンカルボキシレート)366.3g(1.18mol)を得た。得られた化合物の酸価は、0.01mgKOH/g以下、水酸基価は、1mgKOH/g以下であった。当該化合物を動力伝達用潤滑油基油(a)として評価した際の各物性を表2に示す。
[比較例2]
 3-メチルシクロヘキサンカルボン酸をシクロヘキサンカルボン酸423.0g(3.3mol)に、2-メチル-1,3-プロパンジオールを2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール156.2g(1.5mol)に変更した以外は実施例1と同様の方法で、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオールジ(シクロヘキサンカルボキシレート)395.8g(1.22mol)を得た。得られた化合物の酸価は、0.01mgKOH/g以下、水酸基価は、1mgKOH/g以下であった。当該化合物を動力伝達用潤滑油基油(b)として評価した際の各物性を表2に示す。
[比較例3]
 2-メチル-1,3-プロパンジオールを1,3-ブタンジオール135.2g(1.5mol)に変更した以外は実施例1と同様の方法で、1,3-ブタンジオールビス(3-メチルシクロヘキサンカルボキシレート)457.0g(1.35mol)を得た。得られた化合物の酸価は、0.01mgKOH/g以下、水酸基価は、1mgKOH/g以下であった。当該化合物を動力伝達用潤滑油基油(c)として評価した際の各物性を表2に示す。
[比較例4]
 アジピン酸ジイソデシルを動力伝達用潤滑油基油(d)として評価した際の各物性値を表2に示す。
[比較例5]
 鉱物油Yを動力伝達用潤滑油基油(e)として評価した際の各物性を表2に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000008
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000009
 表1から、本発明の動力伝達用潤滑油基油は、トラクション係数が高く、低温流動性に優れ、且つ、引火点が高い優れた動力伝達用潤滑油基油であることがわかる。
 本発明の動力伝達用潤滑油基油は、高いトラクション係数、高い引火点及び良好な低温流動性を有することから、自動車、船舶、航空機及び精密機器等の動力伝達用潤滑油基油(特に、トラクションドライブ用潤滑油基油)として好適に使用することができる。

Claims (7)

  1. 一般式(1):
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001
    [式中、R~Rは、同一又は異なって、それぞれ水素原子又は炭素数1~4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基を示し、R~Rのうちのいずれか2つが互いに結合して炭素数1~4のアルキレン基を形成してもよく、2つのR、2つのR、2つのR、2つのR及び2つのRは、それぞれ同一又は異なっていてもよい。Xは、炭素数4~12の分岐鎖状の脂肪族ジオールから2つの水酸基を除いて得られ、且つ、4級炭素を含まない2価の基を示し、当該2つの水酸基は第一級アルコールである。]
    で表される化合物を含有する動力伝達用潤滑油基油。
  2. 一般式(1)に記載のR~Rが、同一又は異なって、それぞれ水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基又はtert-ブチル基であり、R~Rのうちのいずれか2つが互いに結合してメチレン基又はブチレン基を形成してもよい、請求項1に記載の動力伝達用潤滑油基油。
  3. 一般式(1)に記載のXが、炭素数3以上の直鎖状アルキレン基を主鎖とし、主鎖上の炭素原子にメチル基及びエチル基からなる群より選択される1種以上の基が結合した、2価の基である、請求項1又は請求項2に記載の動力伝達用潤滑油基油。
  4. 一般式(1)に記載のXが、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール及び2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオールからなる群より選択される1種から2つの水酸基を除いて得られる2価の基である、請求項1~3のいずれかに記載の動力伝達用潤滑油基油。
  5. 一般式(1)で表される化合物の含有量が、動力伝達用潤滑油基油中、70質量%以上である、請求項1~4のいずれかに記載の動力伝達用潤滑油基油。
  6. 前記動力伝達用潤滑油基油がトラクションドライブ用潤滑油基油である、請求項1~5のいずれかに記載の動力伝達用潤滑油基油。
  7. 請求項1~6のいずれかに記載の動力伝達用潤滑油基油を含有する動力伝達用潤滑油。
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