WO2020004307A1

WO2020004307A1 - 炭素繊維撚糸

Info

Publication number: WO2020004307A1
Application number: PCT/JP2019/024905
Authority: WO
Inventors: 好秀河野; 誓志今; 達哉高水; 知宏神平
Original assignee: 株式会社ブリヂストン; 株式会社島精機製作所
Priority date: 2018-06-27
Filing date: 2019-06-24
Publication date: 2020-01-02
Also published as: JP2021165437A

Abstract

炭素繊維撚糸は、炭素繊維を撚って構成される撚糸と、撚糸を被覆し、柔軟性及び表面の摺動性を有する樹脂層と、を有する。

Description

炭素繊維撚糸

　本開示は、炭素繊維撚糸に関する。

　米国特許第４１５６１８号明細書には、高温耐久性を有する樹脂により炭素繊維撚糸を被覆する技術が開示されている。また、特開２００５－２３４８０号公報には、樹脂が含浸された炭素繊維束を撚ることで製造されるゴム補強用炭素繊維コードが開示されている。

　ところで、繊維を用いて編物を製造するときの編み方は、使用する編機の種類により経編（たてあみ）と緯編（よこあみ）に大きく分類される。経編は、ループを縦方向に連続して編み上げて行く編み方である。一方、緯編は、ループを横方向に連続して編み上げて行く編み方である。経編と緯編の何れも、炭素繊維でループを作成せずに、炭素繊維を縦方向あるいは横方向に挿入することは従来から可能である。しかし編針でループを作成する場合、ループの根元部分と編針が掛かる部分に強い摩擦力や曲げ応力が生じる。炭素繊維は曲げ応力によりその圧縮側で折損し易いため、編機等を用いて炭素繊維を編むことは困難であった。

　本開示は、編機で編むことが可能な炭素繊維からなる炭素繊維撚糸を提供することを目的とする。

　第１の態様に係る炭素繊維撚糸は、複数の炭素繊維が撚られて構成される撚糸と、前記撚糸を被覆し、表面の摺動性を有する樹脂層と、を有する。

　この炭素繊維撚糸では、樹脂層の表面が摺動性を有しているので、編針で撚糸を引き出してループを作成する際に、ループの根元部分が隣接する炭素繊維撚糸に対して円滑に摺動する。換言すれば、炭素繊維撚糸同士の摩擦が低減される。また、炭素繊維撚糸と編針との間の摩擦も低減される。したがって、炭素繊維撚糸を編機で編むことが可能となる。

　第２の態様は、第１の態様に係る炭素繊維撚糸において、前記樹脂層の材質が、脂肪族ポリアミドである。

　脂肪族ポリアミドは、表面の摺動性が高いので、樹脂層の材質として、この脂肪族ポリアミドを用いることにより、編機で編むことが可能な炭素繊維撚糸を提供することができる。

　第３の態様は、第１の態様に係る炭素繊維撚糸において、前記樹脂層の材質が、ポリアミド６である。

　ポリアミド６は、表面の摺動性が高く、柔らかく、かつ低コストである。樹脂層の材質として、このポリアミド６を用いることにより、編機で編むことが可能な炭素繊維からなる炭素繊維撚糸を低コストで提供することができる。

　本開示によれば、編機で編むことが可能な炭素繊維撚糸を提供することができる。

本実施形態に係る炭素繊維撚糸を示す部分破断斜視図である。本実施形態に係る炭素繊維撚糸を示す断面図である。炭素繊維撚糸を緯編で編んで補強部材を製造する工程を模式的に示す平面図である。

　以下、本発明を実施するための形態を図面に基づき説明する。図１、図２において、本実施形態に係る炭素繊維撚糸１０は、撚糸１２と、樹脂層１４とを有している。

　撚糸１２は、複数の炭素繊維１６のストランドを束ね、これを撚って構成される。炭素繊維１６の太さや本数は任意に設定される。撚糸１２の撚り方は例えば片撚りであり、図１ではＳ撚りとされている。この撚り方は、Ｓ撚りに限られず、Ｚ撚りであってもよい。なお、撚糸１２の撚り方、撚り数は任意である。

　樹脂層１４は、撚糸１２を被覆しており、柔軟性及び表面の摺動性を有している。この樹脂層１４を撚糸１２の表層に結合する炭素繊維撚糸１０の製造時には、炭素繊維１６を撚って撚糸１２を作成した後、撚糸１２の外周に樹脂層１４が被覆される。ここで、柔軟性とは、後述するように編針２０でループ２２を作成する際に撚糸１２に追従する程度に柔軟であることを意味する（図３参照）。また、表面の摺動性とは、炭素繊維撚糸１０同士の摩擦や、編針２０に対する摩擦が少ないことを意味する。

　樹脂層１４の材質は、例えばポリアミド６である。ポリアミド６は、脂肪族ポリアミドの一種であり、ＰＡ６、ナイロン６又は６ナイロンとも表記される。このポリアミド６は、常温での柔軟性を有し、表面の摺動性に優れ、かつ低コストの樹脂である。なお、ポリアミド６における「６」は、図面の参照符号ではなく、ポリアミドの種類を表す数字である。

　樹脂層１４は、単層に限られず、複数の層で構成されていてもよい。複数の層は、それぞれ柔軟性を有することが望ましい。樹脂層１４が複数層で構成される場合、摺動性を考慮して、少なくとも最外層がポリアミド６とされることが望ましい。樹脂層１４は、撚糸１２を被覆するだけでなく、撚糸１２に含浸されていてもよい。撚糸１２への樹脂層１４の被覆工程において、被覆の加工方法は、チュービングあるいはコンプレッションなど適宜選択すれば良い。被覆の加工方法はこれらには限定されない。

（作用）
　本実施形態は、上記のように構成されており、以下その作用について説明する。図１、図２において、本実施形態に係る炭素繊維撚糸１０では、炭素繊維１６を撚って構成される撚糸１２が、柔軟性を有する樹脂層１４で被覆されている。したがって、炭素繊維１６が撚られていない場合や、柔軟性を有する樹脂層１４で覆われていない場合と比較して、屈曲に対する疲労耐久性を向上させることができる。

　したがって、図３に示されるように、炭素繊維撚糸１０を緯編で編むために、編針２０で炭素繊維撚糸１０を引き出してループ２２を作成する際に、編針２０が引掛けられる部分の折損が抑制される。また、樹脂層１４の表面が摺動性を有しているので、編針２０で炭素繊維撚糸１０を矢印Ａ方向に引き出してループ２２を作成する際に、ループ２２の根元部分２２Ａが、隣接する炭素繊維撚糸１０（濃色で表示）に対して円滑に矢印Ｂ方向に摺動する。換言すれば、炭素繊維撚糸１０同士の摩擦が低減される。また、編針２０の矢印Ａ方向への移動に伴い、炭素繊維撚糸１０が編針２０に対して矢印Ｃ方向に摺動するが、その際の摩擦も低減される。したがって、炭素繊維撚糸１０を引き出してループ２２を作成することが容易である。このため、炭素繊維撚糸１０を緯編で編むことが可能となる。

　樹脂層１４に用いられるポリアミド６は、柔らかく、表面の摺動性が高く、かつ低コストである。樹脂層１４としてポリアミド６を用いることにより、編機で編むことが可能な炭素繊維１６からなる炭素繊維撚糸１０を低コストで提供することができる。また、ポリアミド６は、溶融状態での粘度が高く、撚糸１２に付着し易いので、撚糸１２を製造しながら該撚糸１２をポリアミド６で被覆することが容易である。

　このように、本実施形態によれば、編機で編むことが可能な炭素繊維撚糸１０を提供することができる。図３に示されるように、炭素繊維撚糸１０を編むことにより、編み物状の補強部材１８（炭素繊維クロス）を製造することができる。補強部材１８では、炭素繊維撚糸１０が編機で編まれているので、例えばゴム（図示せず）を補強しつつ、該ゴムに柔軟性や伸縮性を適宜持たせることができる。

［他の実施形態］
　以上、本発明の実施形態の一例について説明したが、本発明の実施形態は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。

　樹脂層１４の材質が、脂肪族ポリアミドの一種であるポリアミド６であるものとしたが、柔軟性及び摺動性を有する材質であれば、他の樹脂材料であってもよい。
　撚糸１２を更に複数引き揃えた合撚糸としても良く、あるいは撚糸１２を複数撚り合わせた合撚糸としても構わない。合撚糸に対して樹脂層１４で被覆を行い、炭素繊維撚糸１０を得る。このように撚糸１２を合撚糸とすることで炭素繊維撚糸１０の太さを調整することができる。

　２０１８年６月２７日に出願された日本国特許出願２０１８－１２２３３４号の開示は、その全体が参照される。
　本明細書に記載されたすべての文献、特許出願、および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照されることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照される。

Claims

　複数の炭素繊維が撚られて構成される撚糸と、
　前記撚糸を被覆し、表面の摺動性を有する樹脂層と、
　を有する炭素繊維撚糸。
　前記樹脂層の材質は、脂肪族ポリアミドである請求項１に記載の炭素繊維撚糸。
　前記樹脂層の材質は、ポリアミド６である請求項１に記載の炭素繊維撚糸。