WO2019194275A1 - Cu-Ga合金スパッタリングターゲット - Google Patents

Cu-Ga合金スパッタリングターゲット Download PDF

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Abstract

CuとGaと不可避不純物からなるCu-Ga合金スパッタリングターゲットであって、γ1相,γ2相,γ3相のいずれか1つからなる単一相組織とされており、理論密度比が96%以上とされるとともに、ターゲットスパッタ面におけるGa濃度のばらつきが2.0%以内とされていることを特徴とする。

Description

Cu-Ga合金スパッタリングターゲット
本発明は、例えばCIGS太陽電池の光吸収層となるCu-In-Ga-Se四元系合金薄膜を形成する際に用いられるCu-Ga合金スパッタリングターゲットに関するものである。
 本願は、2018年4月4日に日本に出願された特願2018-072565号、および、2019年4月3日に日本に出願された特願2019-071386号について優先権を主張し、その内容をここに援用する。
 従来、化合物半導体からなる薄膜太陽電池として、Cu-In-Ga-Se四元系合金薄膜からなる光吸収層を備えたCIGS系太陽電池が提供されている。
 ここで、Cu-In-Ga-Se四元系合金薄膜からなる光吸収層を形成する方法として、蒸着法により成膜する方法が知られている。蒸着法によって成膜された光吸収層を備えた太陽電池は、エネルギー交換効率が高いといった利点を有しているものの、大面積化に不向きであり、生産効率が低いといった問題があった。
 そこで、Cu-In-Ga-Se四元系合金薄膜からなる光吸収層を形成する方法として、In膜とCu-Ga膜との積層膜を形成し、この積層膜をSe雰囲気中で熱処理して、上述の積層膜をセレン化する方法が提供されている。ここで、In膜及びCu-Ga膜を形成する際には、Inスパッタリングターゲット及びCu-Ga合金スパッタリングターゲットを用いたスパッタ法が適用される。
上述のCu-Ga合金スパッタリングターゲットとしては、平板型スパッタリングターゲット、及び、円筒型スパッタリングターゲットが提案されている。ここで、円筒型スパッタリングターゲットは、その外周面がスパッタ面とされており、ターゲットを回転しながらスパッタを実施することから、平板型スパッタリングターゲットを用いた場合に比べて連続成膜に適しており、かつ、スパッタリングターゲットの使用効率に優れるといった利点を有している。
 ここで、上述のCu-Ga合金スパッタリングターゲットとしては、例えば、特許文献1,2に示すようなものが提案されている。
 特許文献1には、焼結体からなり、実質的にγ相からなるCu-Ga合金スパッタリングターゲットが提案されている。
 特許文献2には、溶解鋳造法によって製造されて柱状組織を有し、γ相の単相組織とされた平板形状のCu-Ga合金スパッタリングターゲットが提案されている。
特許第5144766号公報 特許第5519800号公報
 ところで、特許文献1に開示されたCu-Ga合金スパッタリングターゲットにおいては、実質的にγ相からなる結晶組織を有しているが、γ相は加工性に劣るため、焼結体を所定の寸法に加工する際に割れが生じてしまい、加工歩留まりが低下してしまうおそれがあった。
 また、特許文献2に開示されたCu-Ga合金スパッタリングターゲットにおいては、柱状組織とされるとともにγ相の単相組織とされているので、溶解鋳造して得られたインゴットを所定の寸法に加工する際に割れが生じてしまい、加工歩留まりが低下してしまうおそれがあった。
 ここで、Cu-Ga合金スパッタリングターゲットをγ相の単相組織ではなく、複数の相を有する組織とすることによって、加工性を向上させることができる。しかしながら、複数の相を有する組織では、ターゲットスパッタ面内でGa濃度が局所的に異なる箇所が生じることになり、成膜した膜の組成にばらつきが生じるおそれがあった。
 この発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、単一相で構成され、均一な組成のCu-Ga合金膜を安定して成膜することができ、かつ、加工性に優れたCu-Ga合金スパッタリングターゲットを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明のCu-Ga合金スパッタリングターゲットは、CuとGaと不可避不純物からなるCu-Ga合金スパッタリングターゲットであって、 γ1相,γ2相,γ3相のいずれか1つからなる単一相組織とされており、理論密度比が96%以上とされるとともに、ターゲットスパッタ面におけるGa濃度のばらつきが2.0%以内とされていることを特徴としている。
この構成のCu-Ga合金スパッタリングターゲットによれば、γ1相,γ2相,γ3相のいずれか1つからなる単一相組織とされ、ターゲットスパッタ面におけるGa濃度のばらつきが2.0%以内とされているので、ターゲットスパッタ面内で局所的にGa濃度が大きく異なる箇所がなく、均一な組成のCu-Ga合金膜を安定して成膜することが可能となる。
また、γ相に比べて加工性に優れたγ1相,γ2相,γ3相の単一相組織とされ、さらに理論密度比が96%以上とされて内部に空孔が少ないため、所定の寸法に加工する際に割れが生じることを抑制でき、加工歩留まりを大幅に向上させることが可能となる。
ここで、本発明のCu-Ga合金スパッタリングターゲットにおいては、ターゲットスパッタ面が円筒面をなす円筒型スパッタリングターゲットとされ、密度のばらつきが2.0%以内とされていることが好ましい。
この場合、ターゲットスパッタ面が円筒面をなす円筒型スパッタリングターゲットとされているので、平板型スパッタリングターゲットに比べて、連続成膜に適しており、かつ、スパッタリングターゲットの使用効率に優れる。
また、密度のばらつきが2.0%以内とされているので、空孔が局所的に存在しておらず、加工性に特に優れており、円筒形状に加工する際に割れが発生することを抑制でき、加工歩留まりを大幅に向上させることが可能となる。
また、上述した本発明のCu-Ga合金スパッタリングターゲットにおいては、ターゲットスパッタ面をX線回折法で測定し、得られたCu31.3Ga16.3に帰属する (3,3,0)面、(6,0,0)面、(6,3,3)面のピーク強度比から、以下の式によって算出される結晶配向度が8.0以下であることが好ましい。
I(3,3,0) = 100×(I’(3,3,0)/( I’(3,3,0)+ I’(6,0,0) + I’(6,3,3)))
I(6,0,0) = 100×(I’(6,0,0)/( I’(3,3,0)+ I'(6,0,0) + I'(6,3,3)))
I(6,3,3) = 100×(I'(6,3,3)/( I'(3,3,0)+ I'(6,0,0) + I'(6,3,3)))
Ic(3,3,0) = 100×(Ic'(3,3,0)/( Ic'(3,3,0)+ Ic'(6,0,0) + Ic'(6,3,3)))
Ic(6,0,0) = 100×(Ic'(6,0,0)/( Ic'(3,3,0)+ Ic'(6,0,0) + Ic'(6,3,3)))
Ic(6,3,3) = 100×(Ic'(6,3,3)/( Ic'(3,3,0)+ Ic'(6,0,0) + Ic'(6,3,3)))
 結晶配向度=|I(3,0,0) - Ic(3,0,0)|+|I(6,0,0) - Ic(6,0,0)|+|I(6,3,3) - Ic(6,3,3)|
 ただし、
I’(3,3,0):Cu31.3Ga16.3に帰属する(3,3,0)面のピーク強度
I’(6,0,0):Cu31.3Ga16.3に帰属する(6,0,0)面のピーク強度
I’(6,3,3):Cu31.3Ga16.3に帰属する(6,3,3)面のピーク強度
 Ic’(3,3,0): (3,3,0)面の理論ピーク強度
 Ic’(6,0,0): (6,0,0)面の理論ピーク強度
 Ic’(6,3,3): (6,3,3)面の理論ピーク強度
 上述の結晶配向度は、その値が大きいと、標準データに対して結晶の配向が強く、標準データに対して結晶方位にずれが生じていることになる。よって、結晶配向度が高いと残留応力が高くなり、疲労強度が低下して加工性が低下するおそれがある。
 そこで、ターゲットスパッタ面の結晶配向度を8.0以下に制限することにより、ターゲット内における残留応力が少なくなり、加工性をさらに確実に向上させることが可能となる。
 なお、標準データとしては、得られる回折パターンに類似するとともに信頼度が高いことから、PDFカード番号01-078-8025 Quality:Iを用いた。
 さらに、本発明のCu-Ga合金スパッタリングターゲットにおいては、平均結晶粒径が250μm以下であることが好ましい。
 この場合、平均結晶粒径が250μm以下と比較的微細とされているので、さらに加工性が向上することになり、加工歩留まりを大幅に向上させることが可能となる。
 本発明によれば、単一相で構成され、均一な組成のCu-Ga合金膜を安定して成膜することができ、かつ、加工性に優れたCu-Ga合金スパッタリングターゲットを提供することが可能となる。
本発明の一実施形態であるCu-Ga合金スパッタリングターゲットの概略説明図である。(a)が軸線O方向に直交する断面図、(b)が軸線Oに沿った断面図である。 CuとGaの二元状態図である。 本実施形態であるCu-Ga合金スパッタリングターゲットの製造方法を示すフロー図である。 本発明の他の実施形態であるCu-Ga合金スパッタリングターゲットの概略説明図である。 本発明の他の実施形態であるCu-Ga合金スパッタリングターゲットの概略説明図である。 実施例において、成膜されたCu-Ga合金膜における測定試料の採取位置を示す説明図である。 実施例において、本発明例3のX線回折パターンを示す図である。
 以下に、本発明の一実施形態に係るCu-Ga合金スパッタリングターゲットについて説明する。
 本実施形態に係るCu-Ga合金スパッタリングターゲットは、例えばCIGS系薄膜太陽電池においてCu-In-Ga-Se四元系合金薄膜からなる光吸収層を形成するために、Cu-Ga合金薄膜をスパッタによって成膜する際に用いられるものである。
 本実施形態であるCu-Ga合金スパッタリングターゲット10においては、図1に示すように、円筒面(外周面)がスパッタ面とされた円筒型スパッタリングターゲットとされている。
 図1に示すCu-Ga合金スパッタリングターゲット10においては、軸線Oに沿って延在する円筒形状をなしており、例えば外径Dが140mm≦D≦200mmの範囲内、内径dが100mm≦d≦180mmの範囲内、軸線O方向長さLが80mm≦L≦350mmの範囲内とされている。
 そして、本実施形態に係るCu-Ga合金スパッタリングターゲット10は、CuとGaと不可避不純物からなるCu-Ga合金で構成されており、γ1相,γ2相,γ3相のいずれか1つからなる単一相組織とされている。
 なお、本実施形態に係るCu-Ga合金スパッタリングターゲット10は、γ1相、γ2相、γ3相の単一相組織とされているため、その組成は、図2に示す2元状態図に示すように、それぞれ決定されることになる。
 具体的には、γ1相の単一相組織の場合には、Ga濃度が30原子%以上33原子%以下の範囲内とされ、残部がCu及び不可避不純物となる。
 γ2相の単一相組織の場合には、Ga濃度が34原子%以上37原子%以下の範囲内とされ、残部がCu及び不可避不純物となる。
 γ3相の単一相組織の場合には、Ga濃度が38原子%以上41.7原子%以下の範囲内とされ、残部がCu及び不可避不純物となる。
 また、本実施形態に係るCu-Ga合金スパッタリングターゲット10においては、ターゲットスパッタ面におけるGa濃度のばらつきが2.0%以内とされている。
 なお、Ga濃度のばらつきは、ターゲットスパッタ面の複数の箇所でGa濃度(原子%)を測定した結果、以下の式によって算出されるものである。
  Ga濃度のばらつき(%)={(Ga濃度の最大値-Ga濃度の最小値)/Ga濃度の平均値}×100
 なお、本実施形態では、図1に示すように、軸線O方向の両端部A,Bと中心部Cにおいて、円周方向に90°間隔の(1)、(2)、(3)、(4)の計12点で、Ga濃度を測定し、ターゲットスパッタ面におけるGa濃度のばらつきを算出している。
 さらに、本実施形態に係るCu-Ga合金スパッタリングターゲット10においては、理論密度比が96%以上とされている。
 ここで、理論密度比は、以下の式で算出されるものである。
  理論密度比(%)=(測定密度)/(理論密度)×100
 なお、理論密度は、Ga濃度に応じて変化することになる。このため、本実施形態では、当該組成のCu-Ga合金の溶湯を溶製し、これを鋳型に注湯して冷却速度5℃/min以下の徐冷を行って無欠陥のインゴットを作製し、このインゴットの密度(g/cm)を理論密度とした。
 また、本実施形態に係るCu-Ga合金スパッタリングターゲット10においては、平均結晶粒径が250μm以下とされている。
 なお、本実施形態では、図1に示す12点で、結晶粒径を測定し、上述の平均結晶粒径を算出している。
 さらに、円筒型をなす本実施形態に係るCu-Ga合金スパッタリングターゲット10においては、密度のばらつきが2.0%以内とされている。
 なお、密度のばらつきは、ターゲットスパッタ面の複数の箇所で密度(g/cm)を測定した結果、以下の式によって算出されるものである。
  密度のばらつき(%)={(密度の最大値-密度の最小値)/密度の平均値}×100
 なお、本実施形態では、図1に示す12点で、密度を測定し、密度のばらつきを算出している。
 さらに、円筒型をなす本実施形態に係るCu-Ga合金スパッタリングターゲット10においては、ターゲットスパッタ面をX線回折法で測定し、得られたCu31.3Ga16.3に帰属する (3,3,0)面、(6,0,0)面、(6,3,3)面のピーク強度比から、以下の式によって算出される結晶配向度が8.0以下とされている。
I(3,3,0) = 100×(I’(3,3,0)/( I’(3,3,0)+ I’(6,0,0) + I’(6,3,3)))
I(6,0,0) = 100×(I'(6,0,0)/( I'(3,3,0)+ I'(6,0,0) + I'(6,3,3)))
I(6,3,3) = 100×(I'(6,3,3)/( I'(3,3,0)+ I'(6,0,0) + I'(6,3,3)))
Ic(3,3,0) = 100×(Ic'(3,3,0)/( Ic'(3,3,0)+ Ic'(6,0,0) + Ic'(6,3,3)))
Ic(6,0,0) = 100×(Ic'(6,0,0)/( Ic'(3,3,0)+ Ic'(6,0,0) + Ic'(6,3,3)))
Ic(6,3,3) = 100×(Ic'(6,3,3)/( Ic'(3,3,0)+ Ic'(6,0,0) + Ic'(6,3,3)))
  結晶配向度=|I(3,0,0) - Ic(3,0,0)|+|I(6,0,0) - Ic(6,0,0)|+|I(6,3,3) - Ic(6,3,3)|
 ただし、
 I’(3,3,0):Cu31.3Ga16.3に帰属する(3,3,0)面のピーク強度
 I’(6,0,0):Cu31.3Ga16.3に帰属する(6,0,0)面のピーク強度
 I’(6,3,3):Cu31.3Ga16.3に帰属する(6,3,3)面のピーク強度
 Ic’(3,3,0): (3,3,0)面の理論ピーク強度
 Ic’(6,0,0): (6,0,0)面の理論ピーク強度
 Ic’(6,3,3): (6,3,3)面の理論ピーク強度
 なお、理論ピーク強度は、PDFカード番号01-078-8025 Quality:Iを用いた。
 次に、本実施形態であるCu-Ga合金スパッタリングターゲット10の製造方法について、図3を参照して説明する。
(Cu-Ga合金粉作製工程S01)
 まず、原料粉として用いられるCu-Ga合金粉を作製する。
 このCu-Ga合金粉作製工程S01においては、塊状のCu原料及びGa原料を所定の組成となるように秤量し、カーボン製のるつぼに入れてガスアトマイズ装置にセットする。例えば10-2Pa以下にまで真空排気を行って1000℃以上1200℃以下の温度条件で1分以上30分以下保持して原料を溶解した後、孔径1mm以上3mm以下のノズルから溶湯を落下させながら、噴射ガス圧1Pa以上5Pa以下の条件でArガスを噴射させ、ガスアトマイズ粉を作製する。冷却後、得られたガスアトマイズ粉を10~250μmのふるいで分級することにより、所定の粒径のCu-Ga合金粉を得る。
 本実施形態では、Ga濃度が50質量%で残部がCuと不可避不純物とされ、平均粒径が250μm以下のCu-Ga合金紛を製造した。
(焼結原料粉作製工程S02)
 次に、上述のCu-Ga合金粉と、Cu粉と、を所定の組成になるように秤量し、混合装置を用いて混合し、焼結原料粉を得る。
 なお、Cu粉としては、純度が99.99質量%以上で、平均粒径が250μm以下のものを用いることが好ましい。
 また、混合装置としては、例えば、V型混合機やロッキングミキサー等を用いることができる。
(成形工程S03)
 次に、上述の焼結原料を成形型(本実施形態では、中子を有する円筒形状の成形型)に充填して加圧することにより、円筒形状の圧粉体を成形する。
 本実施形態では、CIP(冷間静水圧プレス)によって、円筒形状の圧粉体を成形している。
(焼結工程S04)
 次に、上述の圧粉体を、還元性雰囲気又は真空雰囲気で、常圧焼結を行う。なお、焼結温度は、圧粉体におけるGa濃度によって適宜選択することが好ましい。
 この焼結工程S04においては、後述のように、圧粉体のGa濃度に応じて焼結温度を設定していることから、焼結時において液相を適度に生じさせて、密度を十分に向上することが可能となる。
 常圧焼結を行う場合の焼結温度は、具体的には、以下のように設定される。
 γ1相の単一相組織とする場合には、Ga濃度が30原子%以上33原子%以下の範囲内であるため、焼結温度の下限を700℃以上、好ましくは750℃以上とするとともに、焼結温度の上限を840℃以下、好ましくは800℃以下とする。
 γ2相の単一相組織とする場合には、Ga濃度が34原子%以上37原子%以下の範囲内であるため、焼結温度の下限を600℃以上、好ましくは650℃以上とするとともに、焼結温度の上限を770℃以下、好ましくは730℃以下とする。
 γ3相の単一相組織とする場合には、Ga濃度が38原子%以上41.7原子%以下の範囲内であるため、焼結温度の下限を440℃以上、好ましくは470℃以上とするとともに、焼結温度の上限を570℃以下、好ましくは530℃以下とする。
(機械加工工程S05)
 上述のようにして得られた焼結体に対して機械加工を行い、図1に示す円筒形状のスパッタリングターゲットを得る。
 以上のようにして、本実施形態に係るCu-Ga合金スパッタリングターゲット10が製造される。
 以下に、本実施形態に係るCu-Ga合金スパッタリングターゲット10の結晶組織、理論密度比、ターゲットスパッタ面におけるGa濃度のばらつき、密度のばらつき、結晶配向度、平均結晶粒径を、上述のように規定した理由について説明する。
(結晶組織)
 γ1相,γ2相,γ3相は、γ相に比べて加工性に優れており、機械加工工程S05における割れの発生を抑制し、加工歩留まりを向上させることが可能となる。また、単一相組織とすることにより、ターゲットスパッタ面においてGa濃度が局所的に大きく異なる箇所が存在せず、均一な組成のCu-Ga合金膜を安定して成膜することが可能となる。
 このため、本実施形態に係るCu-Ga合金スパッタリングターゲット10においては、γ1相,γ2相,γ3相のいずれか1つからなる単一相組織としている。なお、焼結原料粉作製工程S02における配合組成と、焼結工程S04における焼結条件を調整することによって、γ1相,γ2相,γ3相のいずれか1つからなる単一相組織とすることが可能となる。
(理論密度比)
 焼結体からなるCu-Ga合金スパッタリングターゲット10において、理論密度比が96%未満では、空孔が比較的多く存在し、機械加工工程S05に割れが生じ、加工歩留まりが低下するおそれがある。
 このような理由から、本実施形態のCu-Ga合金スパッタリングターゲット10においては、理論密度比を96%以上に規定している。
 なお、機械加工工程S05における加工歩留まりをさらに向上させるためには、上述の理論密度比を97%以上とすることが好ましく、98%以上とすることがさらに好ましい。
(ターゲットスパッタ面におけるGa濃度のばらつき)
 本実施形態に係るCu-Ga合金スパッタリングターゲット10を用いてCu-Ga合金膜を成膜する場合には、Cu-Ga合金スパッタリングターゲット10のターゲットスパッタ面に応じた組成のCu-Ga合金膜が成膜されることになる。そこで、ターゲットスパッタ面においてGa濃度のばらつきが2.0%を超えると、均一な組成のCu-Ga合金膜を安定して成膜できなくなるおそれがある。
 このため、本実施形態に係るCu-Ga合金スパッタリングターゲット10においては、ターゲットスパッタ面におけるGa濃度のばらつきを2.0%以内に制限している。
 なお、均一な組成のCu-Ga合金膜をさらに安定して成膜するためには、ターゲットスパッタ面におけるGa濃度のばらつきを1.5%以内とすることが好ましく、1.0%以内とすることがさらに好ましい。
(密度のばらつき)
 円筒型をなす本実施形態に係るCu-Ga合金スパッタリングターゲット10を製造する場合には、上述のように、成形工程S03において圧粉体を成形し、焼結工程S04において常圧焼結を行っている。すなわち、焼結時に加圧していないことから、円筒形状の圧粉体の一部に局所的に圧力が作用することがなく、密度のばらつきが抑えられることになる。
 ここで、密度のばらつきを2.0%以内に制限することにより、空孔が局所的に存在することが抑制され、加工性がさらに向上することになる。
 このため、本実施形態に係るCu-Ga合金スパッタリングターゲット10においては、密度のばらつきを2.0%以内に制限している。
 なお、加工性をさらに向上させるためには、密度のばらつきを1.5%以内とすることが好ましく、1.0%以内とすることがさらに好ましい。
(結晶配向度)
 上述の結晶配向度は、標準データに対する配向の強さを示すものであり、この結晶配向度が高いと、標準データに対する結晶方位のずれが大きいことになる。よって、結晶配向度を8.0以下とすることにより、残留応力が低く、疲労強度が高くなり、加工性がさらに向上することになる。
 このため、本実施形態では、ターゲットスパッタ面の結晶配向度を8.0以下に制限している。
 なお、加工性をさらに向上させるためには、ターゲットスパッタ面の結晶配向度を6以下とすることが好ましく、5以下とすることがさらに好ましい。
(平均結晶粒径)
 結晶粒径が微細であると、さらに加工性が向上することになる。このため、本実施形態では、平均結晶粒径を250μm以下に設定している。
 なお、加工性をさらに向上させるためには、Cu-Ga合金スパッタリングターゲットの平均結晶粒径を200μm以下とすることが好ましく、150μm以下とすることがさらに好ましい。
 以上のような構成とされた本実施形態に係るCu-Ga合金スパッタリングターゲット10によれば、γ1相,γ2相,γ3相のいずれか1つからなる単一相組織とされ、ターゲットスパッタ面におけるGa濃度のばらつきが2.0%以内とされているので、ターゲットスパッタ面内において局所的にGa濃度が大きく異なる箇所がなく、均一な組成のCu-Ga合金膜を安定して成膜することが可能となる。
 また、γ相に比べて加工性に優れたγ1相,γ2相,γ3相の単一相組織とされ、さらに、理論密度比が96%以上とされ、内部に空孔が少ないため、加工性に特に優れており、加工歩留まりを大幅に向上させることが可能となる。
 さらに、本実施形態に係るCu-Ga合金スパッタリングターゲット10においては、ターゲットスパッタ面が円筒面をなす円筒型スパッタリングターゲットとされており、密度のばらつきが2.0%以内とされているので、空孔が局所的に存在しておらず、加工性に特に優れており、円筒形状に加工する際に割れが発生することを抑制でき、加工歩留まりを大幅に向上させることが可能となる。
 また、本実施形態においては、結晶配向度が8.0以下に制限されているので、標準データに対する配向が比較的弱く、ターゲット内における残留応力が少なくなり、加工性をさらに確実に向上させることが可能となる。
 さらに、本実施形態においては、平均結晶粒径が250μm以下と比較的微細とされているので、さらに加工性が向上することになり、加工歩留まりを大幅に向上させることが可能となる。
 さらに、本実施形態においては、図1に示すように、スパッタ面が円筒面状をなす円筒型スパッタリングターゲットとされているので、ターゲットを回転しながらスパッタを実施することができ、連続成膜に適しており、かつ、ターゲットの使用効率に優れる。
 以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
 例えば、本実施形態では、図1に示すように円筒形状のスパッタリングターゲットとして説明したが、これに限定されることはなく、図4に示すように、円板状のスパッタリングターゲットとしてもよいし、図5に示すように、矩形平板状のスパッタリングターゲットとしてもよい。
 ここで、円板状のスパッタリングターゲットにおいては、図4に示すように、円の中心(1)、及び、円の中心を通過するとともに互いに直交する2本の直線上の外周部分(2)、(3)、(4)、(5)の5点で、Ga濃度、密度、結晶粒径を測定し、Ga濃度のばらつき、密度のばらつき、平均結晶粒径を算出することが好ましい。なお、外周部分(2)、(3)、(4)、(5)は、外周縁から内側に向かって直径の10%以内の範囲内とした。
 一方、矩形平板状のスパッタリングターゲットにおいては、図5に示すように、対角線が交差する交点(1)と、各対角線上の角部(2)、(3)、(4)、(5)の5点で、Ga濃度、密度、結晶粒径を測定し、Ga濃度のばらつき、密度のばらつき、平均結晶粒径を算出することが好ましい。なお、角部(2)、(3)、(4)、(5)は、角部から内側に向かって対角線全長の10%以内の範囲内とした。
 また、本実施形態では、圧粉体を成形する成形工程S03と常圧焼結する焼結工程S04とを備えた製造方法として説明したが、これに限定されることはなく、焼結原料粉を型に充填して一軸加圧しながら焼結を実施してもよい。
 特に、図4及び図5に示す平板形状のスパッタリングターゲットにおいては、一軸加圧焼結を行うことで製造効率が向上することになる。
 一方、円筒形状のスパッタリングターゲットにおいては、焼結時に加圧すると軸方向で圧力が不均一に作用して密度のばらつきが生じるおそれがあり、密度のばらつきが生じるとスパッタ時に膜厚のばらつきが大きくなることに繋がる。密度のばらつきを減らし、膜厚を均一にするためには、本実施形態のように、圧粉体を成形して常圧焼結することが好ましい。
 なお、一軸加圧焼結を行う場合には、焼結時に加圧することから液相の生成を抑える必要があり、常圧焼結とは、適正な焼結温度が異なる。
 一軸加圧焼結における焼結温度は、具体的には、以下のように設定される。
 γ1相の単一相組織とする場合には、Ga濃度が30原子%以上33原子%以下の範囲内であるため、焼結温度の下限を600℃以上、好ましくは650℃以上とするとともに、焼結温度の上限を800℃以下、好ましくは760℃以下とする。
 γ2相の単一相組織とする場合には、Ga濃度が34原子%以上37原子%以下の範囲内であるため、焼結温度の下限を500℃以上、好ましくは550℃以上とするとともに、焼結温度の上限を650℃以下、好ましくは620℃以下とする。
 γ3相の単一相組織とする場合には、Ga濃度が38原子%以上41.7原子%以下の範囲内であるため、焼結温度の下限を380℃以上、好ましくは420℃以上とするとともに、焼結温度の上限を460℃以下、好ましくは440℃以下とする。
 以下に、前述した本発明のCu-Ga合金スパッタリングターゲットについて評価した評価試験の結果について説明する。
 純度99.99質量%以上のCu金属塊と、純度99.99質量%以上のGa金属塊と、を準備し、全体重量が1200g,Ga濃度が50質量%となるように秤量し、これをカーボン坩堝に充填して溶解した後、Arガスによるガスアトマイズ法により、Ga濃度が調整されたCu-Ga合金紛を作製し、125μmの篩にかけて分級した。ガスアトマイズ条件として、溶解時の温度を1100℃、噴射ガス圧を2.8Pa、ノズル径を1.5mmとした。
 得られたCu-Ga合金粉と、Cu粉(純度99.99質量%以上)と、を表1に示す配合組成となるように秤量し、ロッキングミキサーを用いて混合した。これにより、焼結原料粉を作製した。
 ここで、表1に示すように、本発明例1~6,13、15、比較例1~3,5,7~9は、冷間静水圧プレスによって圧粉体を成形し、これを表1に示す条件で常圧焼結を実施した。また、本発明例7~12,14、比較例4,6は、表1に示す条件で一軸加圧焼結を実施した。これにより、円筒形状又は矩形平板状の焼結体を得た。
 次に、得られた円筒形状の焼結体に対して、切り込み量1.5mm、送り速度0.061mm/rev、回転速度80rpmの条件で機械加工(旋盤加工)を行い、外径160mm、内径135mm、軸線方向長さ210mmの円筒形状のCu-Ga合金スパッタリングターゲットを作製した。
 または、得られた矩形平板状の焼結体に対して、切り込み量1.5mm、送り速度0.061mm/rev、回転速度140rpmの条件で機械加工(旋盤加工)を行い、幅127mm×長さ279.4mm×厚さ10mmの矩形平板形状のCu-Ga合金スパッタリングターゲットを作製した。
 作製された本発明例及び比較例のCu-Ga合金スパッタリングターゲットについて、以下の項目について評価した。
(ターゲット組成)
図1及び図5に記載した箇所からそれぞれ測定試料を切り出し、これを酸で前処理した後、ICP-AES法により、Ga濃度(原子%)を測定した。そして、Ga濃度の平均値を算出した。評価結果を表2に示す。
(金属相の同定)
ターゲット研磨面のEPMA面分析により元素マッピング画像を得た。倍率は500倍、視野は220μm×180μmとした。元素マッピング画像を用いて定量分析を行い、Ga濃度を測定して金属相を同定した。そして画像解析処理を用いて各金属相の面積率を算出した。また、主相となる金属相の面積率が95%以上のものを、当該金属相の単一相組織であると判断した。また面積率が5%を超える金属相が複数存在する場合を複合相組織であると判断した。評価結果を表2に示す。
(理論密度比)
 当該組成のCu-Ga合金の溶湯を溶製し、これを鋳型に注湯して冷却速度5℃/min以下の徐冷を行い、無欠陥のインゴットを作製し、このインゴットの密度(g/cm)を理論密度とした。
また、図1及び図5に記載した箇所からそれぞれ測定試料を切り出し、この測定試料についてアルキメデス法によって密度(g/cm)を測定し、密度の平均値を算出した。
そして、実施形態に記載した式に基づいて、理論密度比を算出した。評価結果を表2に示す。
(Ga濃度のばらつき)
 図1及び図5に記載した箇所からそれぞれ測定試料を切り出し、これを酸で前処理した後、ICP-AES法により、Ga濃度(原子%)を測定した。
そして、実施形態に記載した式に基づいて、Ga濃度のばらつきを算出した。評価結果を表2に示す。
(密度のばらつき)
 上述のように、図1及び図5に記載した箇所からそれぞれ測定試料を切り出し、この測定試料についてアルキメデス法によって密度(g/cm)を測定した。
 そして、実施形態に記載した式に基づいて、密度のばらつきを算出した。評価結果を表3に示す。
(結晶配向度)
 ターゲット研磨面に対してX線回折分析を行い、得られたX線回折パターンから各結晶方位のピーク強度を測定し、実施形態に記載した式に基づいて、結晶配向度を算出した。評価結果を表3に示す。また、X線回折分析結果の一例として、本発明例3のX線回折パターンを図7に示す。
(平均結晶粒径)
 図1及び図5に記載した箇所からそれぞれ観察試料を切り出し、この観察試料の表面を鏡面に研磨し、硝酸と純水からなるエッチング液によってエッチングした後、結晶粒界が識別可能な倍率(50~1000倍)の光学顕微鏡によって顕微鏡写真を撮像し、この顕微鏡写真にランダムに10本の線を引いて、以下の式によって結晶粒径を測定した。
  結晶粒径=(10本の線の合計長さ)/(通過した結晶粒の数)
 そして、測定された結晶粒径から平均結晶粒径(μm)を算出した。評価結果を表3に示す。
(加工歩留まり)
 各本発明例、比較例のスパッタリングターゲットをそれぞれ20個作製した。そして、上述の機械加工(旋盤加工)において、仕上がり面に2mm以上の傷やチッピングが確認された場合を「不良」と判断し、以下の式で加工歩留まりを算出した。評価結果を表3に示す。
  加工歩留まり(%)=(全数-不良数)/全数×100
(スパッタ試験)
 円筒形状のCu-Ga合金スパッタリングターゲットにおいては、ステンレス製のバッキングチューブにInはんだによってはんだ付けし、マグネトロンスパッタ装置にセットし、以下の条件でCu-Ga合金膜を成膜した。
 Arガス圧:0.4Pa
 スパッタ電力:1.2kW
 基板:ガラス基板 20mm×100mm
 基板位置:ターゲットの長手方向を6分割し、両端を除いた4領域に配置。
 矩形平板状のCu-Ga合金スパッタリングターゲットにおいては、ステンレス製のバッキングプレートにInはんだによってはんだ付けし、マグネトロンスパッタ装置にセットし、以下の条件でCu-Ga合金膜を成膜した。
 Arガス圧:0.67Pa
 スパッタ電力:3kW
 基板:ガラス基板 80mm×180mm
(膜のGa濃度のミクロばらつき)
 上述の条件で成膜されたCu-Ga合金膜をEPMAにより、500倍の視野でランダムに3か所観察して面分析を行い、各視野のGa濃度(原子比:Ga/(Ga+Cu))を測定した。そして、以下の式によって、Ga濃度のミクロばらつきを算出した。
  Ga濃度のミクロばらつき(%)={(Ga濃度の最大値-Ga濃度の最小値)/Ga濃度の平均値}×100
 なお、円筒ターゲットで成膜されたCu-Ga合金膜については、4領域×3か所の12か所のGa濃度を用いてGa濃度のミクロばらつきを算出した。
(膜のGa濃度のマクロばらつき)
 上述の条件で成膜されたCu-Ga合金膜において、図6に示す位置から測定試料を採取し、これを酸で前処理した後、ICP-AES法により、Ga濃度(原子%)を測定した。そして、以下の式によって、Ga濃度のマクロばらつきを算出した。
  Ga濃度のマクロばらつき(%)={(Ga濃度の最大値-Ga濃度の最小値)/Ga濃度の平均値}×100
なお、円筒ターゲットで成膜されたCu-Ga合金膜については、4領域×5か所の20か所のGa濃度を用いてGa濃度のマクロばらつきを算出した。
(膜の厚さ)
 スパッタ試験で作製した各本発明例、比較例の膜について、図6に示す位置の膜厚を、段差測定器を用いて測定した。そして、測定した膜厚の平均値を求め、測定した膜厚から最大値(最大膜厚値)と最小値(最小膜厚値)とを抽出し、下記の式より膜厚のばらつき(%)を算出した。
  膜厚のばらつき(%)={(最大膜厚値-最小膜厚値)/膜厚の平均値}×100
 なお、円筒ターゲットで成膜されたCu-Ga合金膜については、4領域×5か所の20か所の膜厚を用いて膜厚のばらつきを算出した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
 Ga濃度が単一相組織を形成する範囲になく、複合相組織となった比較例1,2,7においては、成膜した膜におけるGa濃度のミクロばらつきが大きくなった。
 焼結温度が低く、理論密度比が96%未満となった比較例3,4,8においては、加工歩留まりが低くなった。
 Ga濃度のばらつきが2.0%を超える比較例5,6,9においては、成膜した膜におけるGa濃度のミクロばらつき、及び、マクロばらつきが大きくなった。単一相組織を形成するGa濃度に対し、焼結温度が適正な範囲を超えており、必要以上に液相が生成されたためと考えられる。
 これに対して、γ1相、γ2相、γ3相のいずれか1つからなる単一相組織とされ、理論密度比が96%以上とされ、Ga濃度のばらつきが2.0%以内とされた本発明例1-15においては、加工歩留まりが高く、かつ、成膜した膜におけるGa濃度のミクロばらつき、及び、マクロばらつきが小さく、均一な組成の膜の成膜可能であった。
 なお、密度のばらつきが2.0%以内、結晶配向度が8.0以下、平均結晶粒径が250μm以下の場合には、加工歩留まりがさらに向上することが確認された。
 以上のことから、本発明例によれば、単一相で構成され、均一な組成のCu-Ga合金膜を安定して成膜することができ、かつ、加工性に優れたCu-Ga合金スパッタリングターゲットを提供可能であることが確認された。
 本発明によれば、単一相で構成され、均一な組成のCu-Ga合金膜を安定して成膜することができ、かつ、加工性に優れたCu-Ga合金スパッタリングターゲットを提供することが可能となる。
10 Cu-Ga合金スパッタリングターゲット

Claims (4)

  1.  CuとGaと不可避不純物からなるCu-Ga合金スパッタリングターゲットであって、
     γ1相,γ2相,γ3相のいずれか1つからなる単一相組織とされており、
     理論密度比が96%以上とされるとともに、
     ターゲットスパッタ面におけるGa濃度のばらつきが2.0%以内とされていることを特徴とするCu-Ga合金スパッタリングターゲット。
  2.  ターゲットスパッタ面が円筒面をなす円筒型スパッタリングターゲットとされ、
     密度のばらつきが2.0%以内とされていることを特徴とする請求項1に記載のCu-Ga合金スパッタリングターゲット。
  3.  ターゲットスパッタ面をX線回折法で測定し、得られたCu31.3Ga16.3に帰属する (3,3,0)面、(6,0,0)面、(6,3,3)面のピーク強度比から、以下の式によって算出される結晶配向度が8.0以下であることを特徴とする請求項2に記載のCu-Ga合金スパッタリングターゲット。
     I(3,3,0) = 100×(I’(3,3,0)/( I’(3,3,0)+ I’(6,0,0) + I’(6,3,3)))
     I(6,0,0) = 100×(I’(6,0,0)/( I’(3,3,0)+ I’(6,0,0) + I’(6,3,3)))
     I(6,3,3) = 100×(I’(6,3,3)/( I’(3,3,0)+ I’(6,0,0) + I’(6,3,3)))
     Ic(3,3,0) = 100×(Ic’(3,3,0)/( Ic’(3,3,0)+ Ic’(6,0,0) + Ic’(6,3,3)))
     Ic(6,0,0) = 100×(Ic’(6,0,0)/( Ic’(3,3,0)+ Ic’(6,0,0) + Ic’(6,3,3)))
     Ic(6,3,3) = 100×(Ic’(6,3,3)/( Ic’(3,3,0)+ Ic’(6,0,0) + Ic’(6,3,3)))
      結晶配向度=|I(3,0,0) - Ic(3,0,0)|+|I(6,0,0) - Ic(6,0,0)|+|I(6,3,3) - Ic(6,3,3)|
     ただし、
     I’(3,3,0):Cu31.3Ga16.3に帰属する(3,3,0)面のピーク強度
     I’(6,0,0):Cu31.3Ga16.3に帰属する(6,0,0)面のピーク強度
     I’(6,3,3):Cu31.3Ga16.3に帰属する(6,3,3)面のピーク強度
     Ic’(3,3,0): (3,3,0)面の理論ピーク強度
     Ic’(6,0,0): (6,0,0)面の理論ピーク強度
     Ic’(6,3,3): (6,3,3)面の理論ピーク強度
  4.  平均結晶粒径が250μm以下であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のCu-Ga合金スパッタリングターゲット。
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