WO2019111471A1

WO2019111471A1 - 情報処理装置及びその制御方法、並びに記録媒体

Info

Publication number: WO2019111471A1
Application number: PCT/JP2018/033154
Authority: WO
Inventors: 剛五十嵐; 淳也鈴木; 俊海津; 祐介大谷; 雄登石津
Original assignee: ソニー株式会社
Priority date: 2017-12-08
Filing date: 2018-09-07
Publication date: 2019-06-13
Also published as: US20200390926A1; CN111417919A; US11642431B2

Abstract

ユーザの身体に装着して用いられる情報処理装置を提供する。　情報処理装置は、センサと、通信部と、前記センサ及び前記通信部を制御する制御部と、電源部と、前記センサ、前記通信部、前記制御部、及び前記電源部を収納する筐体部と、前記筐体部をユーザに固定する貼着部と、前記貼着部における前記ユーザと前記筐体との貼着状態を検出する貼着センサを具備する。前記制御部は、前記貼着部が前記ユーザから剥がれ又は剥がれる直前であることを前記貼着センサが検出したことに応じて、前記通信部を介して所定信号を外部に無線送信させる。

Description

情報処理装置及びその制御方法、並びに記録媒体

　本明細書で開示する技術は、ユーザの身体に装着して用いられる情報処理装置及びその制御方法、並びに記録媒体に関する。

　近年、腕や頭部などユーザの身体のさまざまな場所に装着して用いられるウェアラブル・デバイスが普及しつつある。ウェアラブル・デバイスは、生体情報や位置情報、その他のユーザの状態を検出したり、ユーザの周囲の様子を撮像又は録音などの記録を行なったり、音声などで多様な情報をユーザに提示したりする用途がある。ウェアラブル・デバイスは、例えば、ライフログの分野やスポーツ支援の分野など、多岐にわたる分野で利用されている。

　例えば、ユーザの首の左右両側から後ろ側（背中側）にかけて半周回するような装着ユニットで、ユーザの首に掛けるようにして装着される、ネックバンド型のウェアラブル・デバイスについて提案がなされている（例えば、特許文献１を参照のこと）。

ＷＯ２０１６／０６３５８７特開２００６－３４５２６９号公報特表２００４－５２３２８９号公報特表２００８－５１８７０９号公報特開２０１１－２２５５２１号公報ＷＯ２０１７／０６８８２９

　本明細書で開示する技術の目的は、ユーザの身体に装着して用いられる情報処理装置及びその制御方法、並びに記録媒体を提供することにある。

　本明細書で開示する技術の第１の側面は、
　センサと、
　外部と無線通信する通信部と、
　前記センサ及び前記通信部を制御する制御部と、
　前記センサ、前記通信部、及び前記制御部のうち少なくとも１つに対して電源を供給する電源部と、
　前記センサ、前記通信部、前記制御部、及び前記電源部のうち少なくとも１つを収納する筐体部と、
　前記筐体部をユーザに固定する貼着部と、
　前記貼着部における前記ユーザと前記筐体との貼着状態を検出する貼着センサと、
を具備し、
　前記制御部は、前記貼着センサにより検出される前記貼着状態に応じて、前記通信部における通信動作を制御する、
情報処理装置である。

　前記制御部は、前記貼着部が前記ユーザから剥がれ又は剥がれる直前であることを前記貼着センサが検出したことに応じて、前記通信部を介して所定信号を外部に無線送信するように制御する。

　また、前記情報処理装置は、前記通信部を介して無線通信するホストデバイスをさらに備えていてもよい。前記ホストデバイスは、前記所定信号を受信したことに応答して前記ユーザに対して通知する。また、前記ホストデバイスは、前記センサにより検出されたセンサデータに基づいて前記ユーザの認証処理を行うことが可能であるが、前記所定信号を受信したことにより前記認証処理によるユーザ認証を解除する。

　また、前記情報処理装置の内部情報を記憶する記憶部をさらに備えている。前記記憶部には、前記情報処理装置の機器情報や、前記センサにより検出されたセンサデータが記憶される。前記制御部は、前記貼着部が前記ユーザから剥がれ又は剥がれる直前であることを前記貼着センサが検出したことに応じて、前記記憶部に記憶された所定の情報を初期化又は削除する。

　また、前記情報処理装置の使用前には、前記貼着部は剥離紙で表面が保護されている。そして、前記剥離紙が前記貼着部から剥がされたことに応じて起動する。例えば、前記剥離紙は、前記電源部を絶縁する舌片状の非導電部を備えている。そして、前記剥離紙が前記貼着部から剥がされると、前記非導電部が外れて前記電源部が導電状態になることで、情報処理装置の起動が開始される。あるいは、前記制御部は、前記剥離紙が前記貼着部から剥がされたことを前記貼着センサにより検出されたことに応じて、前記情報処理装置を起動させる。

　また、本明細書で開示する技術の第２の側面は、センサと、外部と無線通信する通信部と、前記センサ及び前記通信部を制御する制御部と、前記センサ、前記通信部、及び前記制御部のうち少なくとも１つに対して電源を供給する電源部と、前記センサ、前記通信部、前記制御部、及び前記電源部のうち少なくとも１つを収納する筐体部と、前記筐体部をユーザに固定する貼着部と、前記貼着部における前記ユーザと前記筐体との貼着状態を検出する貼着センサを具備する情報処理装置の制御方法であって、
　前記貼着センサによる検出結果を取得するステップと、
　前記検出結果に基づいて、前記貼着部が前記ユーザから剥がれ又は剥がれる直前であるかどうかを判別するステップと、
　前記貼着部が前記ユーザから剥がれ又は剥がれる直前であるときに、前記通信部を介して所定信号を外部に無線送信するステップと、
を有する情報処理装置の制御方法である。

　また、本明細書で開示する技術の第３の側面は、センサと、外部と無線通信する通信部と、前記センサ及び前記通信部を制御する制御部と、前記センサ、前記通信部、及び前記制御部のうち少なくとも１つに対して電源を供給する電源部と、前記センサ、前記通信部、前記制御部、及び前記電源部のうち少なくとも１つを収納する筐体部と、前記筐体部をユーザに固定する貼着部と、前記貼着部における前記ユーザと前記筐体との貼着状態を検出する貼着センサを具備する情報処理装置を制御するためのコンピュータ・プログラムを記録する記録媒体であって、前記コンピュータ・プログラムは、
　前記貼着センサによる検出結果を取得するステップと、
　前記検出結果に基づいて、前記貼着部が前記ユーザから剥がれ又は剥がれる直前であるかどうかを判別するステップと、
　前記貼着部が前記ユーザから剥がれ又は剥がれる直前であるときに、前記通信部を介して所定信号を外部に無線送信するステップと、
をコンピュータに実行させるようにコンピュータ可読形式で記述される、記録媒体である。

　本明細書で開示する技術によれば、ユーザの身体に装着して用いられる情報処理装置及びその制御方法、並びに記録媒体を提供することができる。

　なお、本明細書に記載された効果は、あくまでも例示であり、本発明の効果はこれに限定されるものではない。また、本発明が、上記の効果以外に、さらに付加的な効果を奏する場合もある。

　本明細書で開示する技術のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。

図１は、ユーザの眼下に貼着された貼着型デバイスが剥がれかけている様子を例示した図である。図２は、貼着型デバイス１００がユーザの眼下に貼着されている様子と、貼着型デバイス１００の分解図を示した図である。図３は、図２に示した貼着型デバイス１００の正面図である。図４は、図２に示した貼着型デバイス１００の背面図である。図５は、図２に示した貼着型デバイス１００の右側面図である。図６は、図２に示した貼着型デバイス１００の左側面図である。図７は、図１に示した貼着型デバイス１００の上面図である。図８は、図１に示した貼着型デバイス１００の底面図である。図９は、ユーザの眼下に貼着され、カメラとして機能することができる貼着型デバイス１００の内部構成例を示した図である。図１０は、貼着型デバイス１００がユーザの背中上部の中央に貼着されている様子を示した図である。図１１は、図１０に示した貼着型デバイス１００の正面図である。図１２は、図１０に示した貼着型デバイス１００の背面図である。図１３は、図１０に示した貼着型デバイス１００の右側面図である。図１４は、図１０に示した貼着型デバイス１００の左側面図である。図１５は、図１０に示した貼着型デバイス１００の上面図である。図１６は、図１０に示した貼着型デバイス１００の底面図である。図１７は、図１０に示した貼着型デバイス１００の斜視図である。図１８は、本明細書で提案する貼着型デバイスを貼着可能な場所を例示した図である。図１９は、電気部１０１の実装イメージを例示した図である。図２０は、ユーザの身体表面に貼着した状態の貼着型デバイス１００の断面構成を例示した図である。図２１は、ユーザの身体表面に貼着して用いられる貼着型デバイス１００の入出力機能の構成例を模式的に示した図である。図２２は、貼着場所に応じたセンサ素子並びにアクチュエータ素子の適否を示した図である。図２３は、貼着型デバイス１００の貼着部１０３の糊面に剥離紙９００を貼り付けて保護している様子を示した図である。図２４は、ユーザの身体への貼着状態に応じて貼着型デバイス１００を動作させるための処理手順を示したフローチャートである。図２５は、ユーザの身体への貼着状態に応じて貼着型デバイス１００を動作させるための他の処理手順を示したフローチャートである。図２６は、ユーザの身体に貼着していた貼着型デバイス１００を剥がす際の処理手順を示したフローチャートである。図２７は、ユーザの左右の眼下に貼着された貼着型デバイスからなるステレオカメラのシステム構成例を示した図である。図２８は、ステレオカメラの映像伝送システムの構成例を示した図である。図２９は、眼輪筋制御を含んだステレオカメラの映像伝送システムの構成例を示した図である。図３０は、臭気対処機能付きの貼着型デバイス１７００と、貼着型デバイス１７００と連携するホストデバイス１７５０の機能的構成例を示した図である。図３１は、貼着型デバイス１７００を貼着部１７１０と本体部１７２０とカートリッジ１７３０に分解した様子を示した図である。図３２は、ホストデバイス１７５０がユーザの行動予定に基づいて貼着型デバイス１７００側における芳香制御を実施するための処理手順を示したフローチャートである。図３３は、ホストデバイス１７５０が貼着型デバイス１７００側における芳香の実施履歴に基づいて芳香要求するスケジュールを調整するための処理手順を示したフローチャートである。

　以下、図面を参照しながら本明細書で開示する技術の実施形態について詳細に説明する。

　腕時計型情報端末、メガネ型情報端末といった、腕や頭部などに装着して用いられるウェアラブル・デバイスは広く知られている。例えば、腕時計型情報端末は、腕時計のようにユーザの手首付近に巻いて使用され、腕時計の基本機能に加え、メールなどの文字コミュニケーション、歩数計などの活動量測定及び測定結果の表示、音楽再生などの多くの機能を提供する。また、メガネ型情報端末は、装着したユーザの視界の一部に情報を提示することで、ユーザがナビゲーションや最新のニュースなどの情報を常に受け取ることができる。

　従来のウェアラブル・デバイスの多くは、ユーザが装着していることが外見上明らかである。例えば、メガネ型情報端末は、一般的な視力矯正用のメガネに比べて形状が大きく異なる。このため、周囲の人に違和感を与えることがあり、ウェアラブル・デバイスの普及の妨げになることが懸念される。ウェアラブル・デバイスの装置本体の意匠を工夫することで、ユーザ本人や周囲に違和感なく受け入れられるようにする方法も考えられる。また、ユーザに新しい形態の装置を利用することに対する心理的違和感を排除することは容易ではない。

　そこで、本明細書では、ユーザの身体の表面（若しくは、皮膚）に直接貼着して用いられる、貼着型の情報処理装置（「スティッカブルデバイス」又は「貼着型デバイス」とも呼ぶ）について、以下で提案する。ユーザの身体表面に貼着された情報処理装置は、外見上の変化が最小限であることから、周囲の人に違和感を与えずに済む。また、このタイプの情報処理装置は、ユーザ本人にとっても、さりげなく心地よく、可能な限り装着感を感じさせない。すなわち、貼着型の情報処理装置は、着用しているユーザがその存在を感じず、且つ、周囲の人々もその存在に気づかないが、いざユーザが使用する際にはしっかりと機能を提供して、さりげなく心地よく使用感を与えることができる。

　本明細書で提案する貼着型の情報処理装置は、基本的には、物理的に単一の装置として構成され、上述したユーザの身体上のいずれか１つの部位に貼着して用いられる。変形例として、情報処理装置は、物理的に分離した２以上の分割装置の集合体として構成され、上述した２以上に部位に各分割装置が貼着される。後者の場合、各分割装置は、無線通信や生体通信などを利用して相互接続され、各分割装置が協働的に動作して１つの情報処理装置として機能するように構成される。

　本明細書で提案する貼着型の情報処理装置は、センサと、外部と無線通信する通信部と、センサ及び通信部を制御する制御部と、センサ、通信部、及び制御部のうち少なくとも１つに対して電源を供給する電源部と、センサ、通信部、制御部、及び電源部のうち少なくとも１つを収納する筐体部と、筐体部をユーザに固定する貼着部と、貼着部におけるユーザと筐体との貼着状態を検出する貼着センサを基本構成要素とする。上記センサは、１以上のセンサ素子からなる。また、この貼着型の情報処理装置は、センサにより検出されたセンサデータを、通信部を介して外部に無線送信することを基本動作とする。

　また、本明細書で提案する貼着型の情報処理装置の特徴的な動作として、制御部が、貼着センサにより検出される貼着部とユーザとの貼着状態に応じて通信部における通信動作を制御する点を挙げることができる。具体的には、制御部は、貼着部がユーザから剥がれ始め、若しくは剥がれる直前であることを貼着センサが検出したことに応じて、通信部を介して所定信号を外部に無線送信するように制御する。図１には、ユーザの左右の眼下に貼着された情報処理装置のうち、左側の情報処理装置が剥がれ始めている様子を示している。

　また、情報処理装置は、通信部を介して無線通信するホストデバイスをさらに備えていてもよい。ホストデバイスは、所定信号を受信したことに応答して、貼着部がユーザから剥がれ始め若しくは剥がれる直前であることなどをユーザに対して通知する機能を備えていてもよい。また、ホストデバイスは、センサによるセンサデータを無線通信により受信して、センサデータに基づいてユーザの認証処理を行う機能をさらに備えていてもよい。そして、ホストデバイスは、所定信号を受信したことにより、認証処理によるユーザ認証を解除するようにしてもよい。

　また、貼着型の情報処理装置は、上記センサの１つとして集音機能を有する収音センサを備え、収音センサにより検出されたオーディオデータを通信部により外部に無線送信するようにしてもよい。ＩｏＴ（Ｉｎｔｅｒｎｅｔ　ｏｆ　Ｔｈｉｎｇｓ）デバイスにはマウスやキーボードといった従来の入力装置が不在であり、文字情報よりも音声情報を用いたユーザ・インターフェース（ＵＩ）が有力である。したがって、収音センサは、情報処理装置に必須の構成要素の１つということができる。収音センサは、例えば小型のマイクロフォンなどで構成される。

　貼着型の情報処理装置本体を、眼下など眼球付近や、こめかみ、耳裏、顎の下、首、首元、咽喉部といったユーザの頭部若しくは顔部に貼着したり、背中や腹部、上腕、前腕、手首、手の甲など首、首元、咽喉部などユーザの胴体部若しくは四肢に貼着したりして使用することができる。情報処理装置本体をユーザの声帯の近傍に貼着して使用する場合、口からの空気伝導や頭部の肉伝導又は骨伝導を含めて、ユーザの肉声を効果的に集音することができる。したがって、情報処理装置は、ライフログ用の音声センシング機能を提供し易くなる。また、顎の下などを貼着場所にすると、情報処理装置は目立たず周囲の人に違和感を与えずに済む。

Ａ．システム構成
　図２には、一例として、貼着型デバイス１００がユーザの左側の眼下に貼着されている様子と、貼着型デバイス１００の分解図を示している。また、図３～図８には、ユーザの眼下に貼着される貼着型デバイス１００の正面図、背面図、右側面図、左側面図、上面図、並びに底面図をそれぞれ示している。

　貼着型デバイス１００は、撮像センサなどのセンサや通信部、制御部、電源部などの回路コンポーネントを搭載した基板からなる電気部１０１と、電気部１０１を収納する筐体部１０２と、筐体部１０２をユーザの身体の表面に貼着してユーザの身体に固定する貼着部１０３を備えている。また、図示の貼着型デバイス１００は、貼着部１０３の上に体液処理部１０４が積層されている。

　筐体部１０２は、貼着型デバイス１００本体を貼着した部位以外のユーザの身体と接触したり、周囲の人の身体と接触したりした際に、損傷を与えないことを考慮して、柔軟性を有するソフトシェルであることが好ましい。また、筐体部１０２は、金属又は非金属の素材を用いて構成されるが、通信部を収納することから、電波透過性を備えている必要がある。図２や図３からも分かるように、筐体部１０２（若しくは、貼着型デバイス１００本体）のアウトラインのうち、上側の形状は、目の下半分の形状（下まつ毛側の形状）に沿った曲線で構成されているので、外観上の違和感がない。また、ユーザの身体（顔面など）に貼着するにあたり、貼着型デバイス１００のアウトラインにエッジがあると装着感がよくないため、アウトラインは曲線で構成されている。また、筐体部１０２の表面（言い換えれば、貼着型デバイス１００本体の正面）には、少なくとも１つの開口部が形成されている。各開口部には、撮像部を保護する透明のカバー（レンズレスカメラの場合は透明のカバー）、若しくは撮像用のレンズが設けられている。

　また、貼着型デバイス１００本体を貼着した部位における外見上の変化が最小限となるように、筐体部１０２の表面（若しくは体裁面）は、肌色に調色されていることが好ましい。あるいは、筐体部１０２の表面を透明色にしたり、ファッション性のある色に塗装したりしてもよい。また、貼着した部位の周辺の肌のシミや凹凸に似せて、筐体部１０２を調色したり凹凸形状を形成したりしてもよい。また、筐体部１０２の表面に、タトゥシールのような模様を形成して、ユーザの個性の表現するようにしてもよい。

　但し、貼着型デバイス１００本体は、ユーザの眼下だけでなく、ユーザの身体表面のさまざまな場所に貼着して用いられることを想定している。そこで、貼着場所毎に筐体部１０２若しくは貼着型デバイス１００本体の外観形状を変更してもよいし、すべての貼着場所で共通の外観形状としてもよい。

　また、筐体部１０２は、撥水性の素材を用いる、あるいは表面に撥水加工を施すなどして、撥水性を備えていることが好ましい。筐体部１０２の表面に撥水性がないと、ユーザの皮膚から分泌又は排出される体液（汗など）や降雨などが、筐体部１０２の内部に浸み込んで、電気部１０１を構成する回路コンポーネントにダメージを与えたり、さらにその下層の貼着部１０３の貼着性が劣化したりするおそれがある。

　電気部１０１は、１以上のセンサや通信部、制御部、電源部などと、これらの回路コンポーネントを搭載した基板からなる（前述）。制御部は、例えばプロセッサとメモリからなり、センサにより検出されたセンサデータの処理や、通信部による無線信号の送受信処理などを制御する。また、メモリには、貼着型デバイス１００の機器情報や、センサにより検出されたセンサデータなどが記憶される。

　貼着型デバイス１００本体が貼着されたユーザの身体表面（自由曲面）の変化に倣うように、電気部１０１を構成する基板は、柔軟性や伸縮性を備えていることが好ましい。例えば、フレキシブル基板を用いるとともに、フレキシブル基板に２軸以上の方向に切れ込みを形成することで、柔軟性や伸縮性が増し、自由曲面に倣い易くなる。逆に、基盤が柔軟性や伸縮性を備えていないと、貼着型デバイス１００本体は、貼着されたユーザの身体表面から剥離し易くなる。

　貼着部１０３は、シート状で、且つ、表面が貼着性能を持つ糊面となっており、ユーザの身体の表面に貼着して、貼着型デバイス１００本体をユーザの身体に固定することができる。また、ユーザの皮膚から相当量の体液（汗など）が分泌又は排出されることを考慮して、貼着部１０３は、透湿性（若しくは、透水性、透液性）を備えていることが好ましい。例えば、１以上の開口を有する多孔性の素材を用いて貼着部１０３を構成する。

　貼着部１０３の糊面は、皮膚に適用可能（例えば、皮膚に刺激を与えることがなく、アレルギーなどを発生し難い）な接着材で形成されていることが好ましい。また、未使用の状態では、糊面にゴミなどが付着せず貼着性能を維持できるよう、貼着部１０３の糊面は剥離紙（図示しない）で保護されていることが好ましい。付言すれば、剥離紙を貼着部１０３から剥離することによって、使用状態に移行して、貼着型デバイス１００の電源が投入されるように構成してもよい。

　体液処理部１０４は、貼着部１０３の開口を介して浸み込んでくるユーザの体液を処理して、電気部１０１に到達しないように体液を遮る。体液処理部１０４は、例えば高分子ポリマー吸湿材のようなメッシュ材を用いて構成される。体液処理部１０４は、毛細管現象により体液を誘導して、環境（貼着型デバイス１００の外部）に放出する。体液処理部１０４は、交換部品として構成されることが好ましい。

　ユーザの眼下に貼着される貼着型デバイス１００が上記センサの１つとして撮像センサを備えることで、ユーザの視点とほぼ一致する視界の画像を撮像することができる。撮像光学系次第では、ユーザの視界以上の視野で撮像することも可能である。また、撮像センサを備えた貼着型デバイス１００を左右の眼下に設置することで、ステレオカメラを構成することができる。もちろん、左右の眼下のうちいずれか一方にのみ貼着型デバイス１００を設置して、単眼カメラとして利用してもよい。

　図９には、ユーザの眼下に貼着され、カメラとして機能することができる貼着型デバイス１００の内部構成例を示している。同図では、貼着部１０３及び体液処理部１０４の図示を省略し、貼着型デバイス１００を裏面側から眺めた様子を示している。電気部１０１は、センサの１つとして撮像部２０１と、外部と無線通信する通信部２０２と、撮像部２０１及び通信部２０２を制御する制御部２０３と、撮像部２０１、通信部２０２、及び制御部２０３のうち少なくとも１つに対して電源を供給する電源部２０４を備え、これらのコンポーネントは筐体部１０２によって覆われている。例えば、複数のレンズレスの撮像センサを装備することで、レンズの大きさや重量を増やすことなく、広視野角化を実現することができる（後述）。図２並びに図３～図８に示す構成例では、正面の筐体部１０２には、３個の撮像センサが撮像するための３つの穴が穿設されている。

　図１０には、他の例として、貼着型デバイス１００がユーザの背中上部の中央に貼着されている様子を示している。また、図１１～図１７には、図１０に示す貼着型デバイス１００の正面図、背面図、右側面図、上面図、底面図、並びに斜視図をそれぞれ示している。図１０又は図１７からも分かるように、ユーザの背中に貼着するタイプの貼着型デバイス１００のアウトラインは、ユーザが動き易く、身体の曲面にフィットし易い曲線で構成されている。アウトラインの曲線の半径ｒが小さ過ぎる（より半径の小さい円弧曲線という意味）と、貼り付け部分の面積が小さくなり、貼着型デバイス１００本体を保持する強度が不足してしまう。このため、適度な面積を確保する程度の曲線の半径ｒとしている。また、貼着型デバイス１００のアウトラインが適度な半径ｒを有する曲線で構成されていると、背中上部に貼着した際に、貼着型デバイス１００が衣服に覆われて、外部からは視認され難くなる、という効果がある。

　通常、ユーザの背中上部はユーザが着用する服に覆われてしまうので、周囲に違和感を与えることはなく、さりげなく使用することができるが、上記センサとして撮像センサを装備しても外界を撮像するのに適していない。他方、背中には発汗や代謝によるユーザの体臭がこもり易いので、上記センサの１つとして臭気を感知する臭気センサを備えていてもよい。そして、臭気センサにより収臭された臭気データ（及び、臭気データの時系列データ）を通信部により外部に無線送信するようにしてもよい。

　また、体臭は周囲の人々又はユーザ本人に不快感を与えるおそれがある。そこで、ユーザの背中上部の中央に貼着される貼着型デバイス１００は、芳香又は消臭のうち少なくとも１つの機能を備えた臭気対処部をさらに備えていてもよい。制御部は、臭気センサにより収臭された臭気データに基づいて、臭気対処部の芳香又は消臭の駆動を制御するようにすればよい。

　上記では、ユーザの眼下並びに背中上部の中央の各々に貼着して用いられる貼着型デバイス１００について例示したが、貼着型デバイス１００本体は、ユーザの身体表面のさまざまな場所に貼着して用いられることが想定される。図１８には、本明細書で提案する貼着型デバイスを貼着することが想定される、ユーザの身体上の部位を例示している。図示のように、貼着型デバイスは、眼下、こめかみ、眉間、耳裏、顎の下、首、首元、咽喉部、上腕、前腕、手首、手の甲、腹部などの部位に貼着して、いわゆるウェアラブル・デバイスとして用いられることを想定している。

　なお、図示を省略するが、同様の貼着型デバイスを、人体ではなくさまざまな動物（愛玩動物や家畜、使役動物など）、植物（食用又は観葉に栽培される植物、野生植物を含む）、移動体などの機械類に貼着して、ＩｏＴデバイスとしても活用することができる。

　図１９には、基板への電気部１０１の実装イメージを例示している。柔軟性や伸縮性を備えた基板５００上には、センサ５０１と、通信処理部を兼用する制御部５０２と、チップ・アンテナ５０３などの回路部品とともに、コイン・バッテリーで構成される電源部５０４が搭載されている。

　図２０には、ユーザの身体表面に貼着した状態の貼着型デバイス１００の断面構成を例示している。図１９を参照しながら既に説明したように、柔軟性や伸縮性を備えた基板５００上には、センサ５０１と、通信処理部を兼用する制御部５０２などの回路部品と、コイン・バッテリーで構成される電源部５０４が搭載されている。

　図２１には、ユーザの身体表面に貼着して用いられる貼着型デバイス１００の入出力機能の構成例を模式的に示している。図示の貼着型デバイス１００は、センサ部７１０と、アクチュエータ部７２０と、通信部７３０を備えている。

　貼着型デバイス１００本体がユーザの身体表面に接触しているという特徴を活かして、センサ部７１０は、ユーザ（人体）の情報を検出する第１のセンサ部７１１と、ユーザの外（外界）の情報を検出する第２のセンサ部７１２を備えている。また、アクチュエータ部７２０は、ユーザ（人体）に対して情報を出力する第１のアクチュエータ部７２１と、ユーザの外（外界や、周囲の人）に対して情報を出力する第２のアクチュエータ部７２２を備えている。

　貼着型デバイス１００の基本機能として、制御部（図２１では図示しない）は、収音センサ、第１のセンサ部７１１、又は第２のセンサ部７１２のうち少なくとも１つのセンサによる検出結果に基づいて、第１のアクチュエータ部７２１又は第２のアクチュエータ部７２２のうち少なくとも一方を駆動する。第１のアクチュエータ部７２１を駆動することで、センサにより検出されたセンサデータ（例えば、ユーザ自身の生体情報、又は周囲の環境情報）を、ユーザに通知することができる。また、第２のアクチュエータ７２２を駆動することで、センサによる検出結果を、ユーザの周囲に伝達することができる。

　また、貼着型デバイス１００が備える機能として、制御部は、センサ部７１０により検出されたセンサデータを通信部７３０から外部に無線送信し、又はセンサ部７１０により検出されたセンサデータに基づいてアクチュエータ部７２０を駆動する。

　また、貼着型デバイス１００が備えるさらに他の機能として、制御部は、通信部７３０を介して外部から受信した情報に基づいて、アクチュエータ７２０の駆動を制御したり、センサ部７１０における検出処理を制御したりする。

　なお、制御部は、貼着型デバイス１００（又はユーザ）を識別する個体識別番号や、外部との情報交換の際に盗聴防止などのために使用する暗号鍵などを保存するためのメモリを含んでいてもよい。また、メモリは、センサ部７１０により検出されたセンサデータを一時的に保持してもよい。

　例えば収音センサは、貼着型デバイス１００本体を貼着したユーザの発話を収音するという観点から、第１のセンサ部７１１に含めることができる。収音センサは、口からの空気伝導や、頭部の肉伝導又は骨伝導により、ユーザが発声する音声を収音する。筐体部１０２には、空気電動される音声を収音するための収音孔を穿設していることが好ましい。また、収音孔には防水処理が施されていることが好ましい。

　例えば、貼着型デバイス１００が顎の下、首、首元、咽喉部など口や声帯から近い場所に貼着して用いられる場合には、収音センサは、口からの空気伝導や頭部の肉伝導又は骨伝導を含めて、微小な音声情報を拾うことができる。また、雑音がある環境下でも、肉伝導や骨伝導を利用して、ユーザの声を分離して収音することができる。

　付言すれば、第１のセンサ部７１１に含まれる収音センサと、第１のアクチュエータ部７２１に含まれるスピーカとの協働的動作により収音⇒増幅⇒再生を行い、貼着型デバイス１００を集音器若しくは補聴器として活用することもできる。

　また、ユーザの体臭などを臭気する臭気センサを、第１のセンサ部７１１に含めることができる。さらに脳波センサや静脈センサ、筋電位センサ、体温センサ、発汗センサ、心拍又は脈拍センサ、視線センサなど、生体情報を検出することができるさまざまなタイプの生体センサを、第１のセンサ部７１１に含めることができる。制御部は、臭気センサにより収臭された臭気データ（及び、臭気データの時系列データ）や、その他の生体センサにより検出された生体センサデータを、通信部７３０により外部に無線送信するようにしてもよい。また制御部は、臭気データやその他の生体センサデータに基づいて、アクチュエータ部７２０の駆動を制御するようにしてもよい。例えば、第２のアクチュエータ部７２２として臭気対処部を含む場合には、制御部は、臭気センサにより収臭された臭気データに基づいて、臭気対処部の芳香又は消臭の駆動を制御するようにすればよい。

　また、貼着型デバイス１００がこめかみや眉間などのユーザの頭部に貼着して用いられる場合には、脳波センサを用いてユーザの脳波を高い精度で検出することができる。制御部は、脳波センサの検出結果を解析して、ユーザの意思や感情を認識することによって、非侵襲式のＢｒａｉｎ－Ｍａｃｈｉｎｅ　Ｉｎｔｅｒｆａｃｅ（ＢＭＩ）を実現することができる。また、制御部は、脳波センサの検出結果に基づいてユーザの眠気を感知したときには、例えば第１のアクチュエータ部７２１を駆動させて、電撃などにより眠気を撃退するといった動作も可能である。

　但し、貼着型デバイス１００本体を貼着した場所に応じて生体情報の検出の適否があり、また、貼着型デバイス１００自体の用途に応じて生体情報の要否が異なる。したがって、貼着場所と生体情報の要否に応じて適宜必要な生体センサを第１のセンサ部７１１に組み込むようにすればよい。

　また、振動センサを、第１のセンサ部７１１に含めることができる。振動センサは、例えば加速度センサ、ジャイロ・センサ、又は地磁気センサ、あるいはこれらのうち２以上のセンサ素子の組み合わせで構成される。制御部は、振動センサによる検出結果に基づいて、貼着型デバイス１００を身体に貼着したユーザの姿勢や体動（衝撃、振動、傾斜、転倒、落下、移動、その他）を検知することができる。また、貼着型デバイス１００がユーザの手の甲や指に貼着して用いられる場合などには、制御部は、振動センサの検出結果を解析して、ユーザが行なったジェスチャーを検出することができる。

　さらに制御部は、振動センサで検出した振動データから特徴データを抽出するとともに、所定量だけ蓄積した特徴データの時系列に基づいて、ユーザの行動を認識することができる（例えば、特許文献２を参照のこと）。また、制御部は、特徴データの時系列情報を逐次学習していくようにしてもよい。振動センサから得られる振動データは、貼着型デバイス１００本体が貼着された場所毎に特徴が相違する。そこで、制御部は、振動センサから得られる振動データ（若しくは、振動データから抽出された特徴データの時系列）に基づいて、貼着型デバイス１００本体が貼着された場所をさらに推定することもできる。

　また、貼着型デバイス１００本体が貼着部１０３によってユーザの身体に貼着されている貼着状態かどうかを検出する貼着センサも、第１のセンサ部７１１に含めることができる。貼着センサは、例えば、人体が接近してきたことに伴う静電容量の変化を検出する静電容量センサや、人体の表面（皮膚）に照射した赤外線の反射光を検出する赤外線反射センサなどを用いて、貼着センサを構成することができる。

　制御部は、貼着センサによって検出される貼着部１０３とユーザとの貼着状態に応じて、貼着型デバイス１００の所定の処理の起動を制御するようにしてもよい。例えば、制御部は、貼着部１０３によって貼着型デバイス１００本体がユーザに固定されたことを検出したことを貼着センサが検出したことに応じて、センサ部７１０により検出されたセンサデータの外部への無線送信を開始させるようにしてもよい。また、貼着型デバイス１００が通信部を介して無線通信するホストデバイスをさらに備える場合には、センサ部７１０により検出されたセンサデータをホストデバイスに無線送信し、ホストデバイスはセンサデータに基づいてユーザの認証処理を行うようにしてもよい。また、貼着部１０３がユーザから剥がれ始め若しくは剥がれる直前であることなどを貼着センサが検出したことに応じて、制御部は、アクチュエータ部７２０を駆動してユーザに対して通知するようにしてもよいし、ホストデバイスに所定信号を無線送信してもよい。ホストデバイスは、所定信号を受信したことにより、認証処理によるユーザ認証を解除するようにしてもよい。ホストデバイスは、例えば、スマートフォンなどユーザが所持する情報端末であってもよい。

　第２のセンサ部７１２として、（ユーザの肉声ではなく）外界の音響又は騒音を収音する収音センサ（マイクなど）や、周囲の風景を撮像する撮像センサ、温度、湿度、照度、気圧などの外部環境情報を検出する環境センサを挙げることができる。図２に例示したようなユーザの眼下に貼着される貼着型デバイス１００の場合、ユーザの視点とほぼ一致する視界の画像を撮像することができる。撮像光学系次第では、ユーザの視界以上の視野で撮像することも可能である。また、撮像センサを備えた貼着型デバイス１００を左右の眼下に設置することで、ステレオカメラを構成することができる。制御部は、ユーザの眼下から撮像した画像を、例えばリアルタイムで外部に無線送信するようにしてもよい。

　また、無線通信用のチップ・アンテナ５０３（前述）は、電波（無線信号）を検出するという観点から、広義で、第２のセンサ部７１２に含めることもできる。さらに、ＧＰＳ（Ｇｌｏｂａｌ　Ｐｏｓｉｔｉｏｎｉｎｇ　Ｓｙｓｔｅｍ）センサのような位置情報センサを、第２のセンサ部７１２に含めることができる。但し、貼着型デバイス１００は、位置情報センサ以外の手段により位置検出機能を装備することも可能である。例えば、第２のセンサ部７１２としてイメージ・センサを備えている場合には、ＳＬＡＭ（Ｓｉｍｕｌｔａｎｅｏｕｓ　Ｌｏｃａｌｉｚａｔｉｏｎ　ａｎｄ　Ｍａｐｐｉｎｇ）やＴｏＦ（Ｔｉｍｅ　ｏｆ　Ｆｌｉｇｈｔ）といった技術を利用して、自己位置推定を実現することができる。また、ＰｌａｃｅＥｎｇｉｎｅ技術を利用して、チップ・アンテナ５０３で受信する周辺の複数のアクセスポイントからの電波強度のバランスに基づいて、現在地を算出することができる。第２のセンサ部７１２として位置情報センサを装備し、又は、貼着型デバイス１００が位置検出機能を有している場合、制御部は、ユーザの位置情報の時系列すなわち経路情報に基づいて、ユーザの行動を認識することができる。

　但し、貼着型デバイス１００本体を貼着した場所に応じてセンサ素子の適否がある。例えば、図２に示したように貼着型デバイス１００本体がユーザの眼下に貼着されている場合には周囲の風景を撮像するのに適しているが、顎の下に貼着される場合には周囲の風景を撮像するには適していない。したがって、貼着場所と生体情報の要否に応じて適宜必要なセンサ素子を第１のセンサ部７１１並びに第２のセンサ部７１２にそれぞれ組み込むようにすればよい。

　第１のアクチュエータ部７２１は、基本的には、ユーザの身体に対して直接出力する。例えば、第１のアクチュエータ部７２１として、小型スピーカや、肉伝導により音声を出力する肉伝導スピーカ、ハプティック出力可能なハプティック・デバイス、振動による刺激を印加する振動アクチュエータ、軽い電気刺激を与えるアクチュエータ（若しくは、微弱電流を出力するデバイス）などを挙げることができる。但し、貼着型デバイス１００本体を貼着した場所に応じて出力の適否があり、また、貼着型デバイス１００自体の用途に応じて出力の要否が異なる。したがって、貼着場所と情報出力の要否に応じて適宜必要なアクチュエータ素子を第１のアクチュエータ部７２１に組み込むようにすればよい。

　第２のアクチュエータ部７２２は、基本的には、貼着型デバイス１００を装着するユーザやその周囲の人に対して情報を出力する。第２のアクチュエータ部７２２から出力される情報として、通信部７３０を介して受信した、ホストデバイスなどの外部から提供される情報を挙げることができる。

　例えば、第２のアクチュエータ部７２２として、光や画像を出力する表示部や、音声を出力するスピーカなどを挙げることができる。表示部は、例えば柔軟性の高い有機ＥＬ（Ｅｌｅｃｔｒｏ　Ｌｕｍｉｎｅｓｃｅｎｃｅ）ディスプレイを用いて構成することができる。表示部は、筐体１０２内には収納されず、筐体１０２の表面に配設される。また、第２のアクチュエータ部７２２としてスピーカが備えられ場合には、筐体１０２の表面には、音響出力孔や排気孔が形成されることもある。

　また、第１のセンサ部７１１や第２のセンサ部７１２による検出結果や、その検出データを制御部で解析又は認識した結果を、第１のアクチュエータ部７２１並びに第２のアクチュエータ部７２２から出力することもできる。例えば第１のセンサ部７１１として貼着センサを含む場合には、制御部は、貼着部１０３がユーザから剥がれ始め若しくは剥がれる直前であることなどを貼着センサが検出したことに応じてアクチュエータ部７２０を駆動して、ユーザに対して通知するようにしてもよい。また、第１のセンサ部７１１として臭気センサを含む場合には、制御部は、臭気センサがユーザの体臭を検出したことに応じて、第２のアクチュエータ部７２２に含まれる臭気対処部を駆動して、芳香又は消臭などの処理を実施するようにしてもよい。

　但し、貼着型デバイス１００本体を貼着した場所に応じて出力の適否があり、また、貼着型デバイス１００自体の用途に応じて出力の要否が異なる。したがって、貼着場所と情報出力の要否に応じて適宜必要なアクチュエータ素子を第１のアクチュエータ部７２１並びに第２のアクチュエータ部７２２に組み込むようにすればよい。

　通信部７３０は、ホストデバイスなどの外部と情報通信を行なう。例えば、通信部７３０は、センサ部や１０により検出されたセンサデータを外部に出力する。また、通信部７３０は、制御部やアクチュエータ部７２０に対する指示を外部から入力する。

　通信部７３０は、例えばＷｉ－Ｆｉなどの無線通信を経由して、ホストデバイスや、インターネット上の装置（クラウドなど）と通信を行なう。あるいは、通信部７３０は、Ｂｌｕｅｔｏｏｔｈ（登録商標）やその他の近距離通信機能を用いて、スマートフォンなどユーザが所持する他の情報端末と通信を行なう。通信部３３０が無線を利用して外部装置と情報通信を行なう際には、盗聴防止のために暗号鍵（前述）を用いた秘密通信を行なうことが好ましい。

　また、通信部７３０は、ＮＦＣ（Ｎｅａｒ　Ｆｉｅｌｄ　Ｃｏｍｍｕｎｉｃａｔｉｏｎ）のような近接無線通信技術を利用して、至近距離の情報端末と通信や認証処理を行なうようにしてもよい。また、通信部７３０は、人体通信機能を備え、同じユーザの別の身体部位に貼着された他の貼着型デバイスや同じユーザが所持する情報端末と人体通信を介して情報通信を行なうようにしてもよい。

　第１のセンサ部７１１、第２のセンサ部７１２に適用可能なセンサ素子や、第１のアクチュエータ部７２１、第２のアクチュエータ７２２に適用可能なアクチュエータ素子は、貼着型デバイス１００本体を貼着した場所にも依存する。貼着場所に応じたセンサ素子並びにアクチュエータ素子の適否を、図２２にまとめた。

　貼着する場所を限定して、最小限のセンサ素子及びアクチュエータ素子のみを装備するという貼着型デバイス１００の構成方法と、多くの貼着場所に適用することを想定して、可能な限り多種類のセンサ素子及びアクチュエータ素子を装備するというハイスペックな貼着型デバイス１００の構成方法が考えられる。

　前者の方法によれば、１台の貼着型デバイス１００を比較的安価に製作することが可能になるので、使い捨てタイプの貼着型デバイス１００とすることもできる。例えば、ユーザの身体から一旦剥がれた貼着型デバイス１００は、使用期限が切れたものとして廃棄処分する。

　また、後者の構成方法によれば、現実に貼着した場所によっては、稼働させる必要がないセンサ素子及びアクチュエータ素子が生じる。すべてのセンサ素子並びにアクチュエータ素子を駆動すると、電力を浪費してしまうことになる。そこで、各センサ素子及びアクチュエータ素子のオン／オフを手動で切り替えられるようにしてもよいし、制御部が振動センサから得られる振動データ（ユーザの体動）や生体センサなどのセンサデータに基づいて貼着場所を推定して自動でオン／オフ切り替え制御を行なうようにしてよい。また、各センサ素子及びアクチュエータ素子の完全なオン／オフの切り替えを制御するのではなく、貼着した場所から推定される使用目的などに応じて、センサ感度を段階的に切り替える、アクチュエータの出力レベルを段階的に切り替える、といった制御を実施するようにしてもよい。

　なお、温度センサを内蔵し、人などの検体の皮膚に貼付して用いられる皮膚用パッチ材について、既に提案されている（例えば、特許文献３を参照のこと）。この皮膚用パッチ材は、温度センサの他にマイクロプロセッサや送信機などの電気部とボタン型電池も内蔵するが、貼着センサを装備していない。すなわち、この皮膚用パッチ材は、貼着部がユーザから剥がれ始め、若しくは剥がれる直前であることを貼着センサが検出したことに応じて、通信部を介して所定信号を外部に無線送信することができない、貼着部がユーザから剥がれ始め若しくは剥がれる直前であることなどをユーザに対して通知することができない、という観点などから、本明細書で開示する貼着型デバイスとは本質的に相違する。

Ｂ．貼着面の保護と装置の使用開始処理
　いずれの部位に貼着して用いられるにせよ、貼着型デバイス１００は、未使用時には貼着部１０３の糊面にゴミなどの異物が付着せず貼着性能を維持できるように保護された状態で流通することを想定している。具体的には、未使用時には、貼着部１０３の糊面を剥離紙で保護するようにする。

　また、貼着型デバイス１００は、出荷してから使用を開始するまでの時間は不定である。使用を開始するまでの長時間にわたって、上記のように貼着部１０３の貼着性能を維持するだけでなく、電源部５０４として用いられるバッテリーの消耗も回避若しくは抑制する必要がある。

　そこで、本実施形態では、貼着部１０３の糊面を保護する剥離紙の一部に非導電部を形成して、剥離紙で糊面を保護している状態では、同時に非導電部によって電源部５０４を基板５００から絶縁状態若しくは非導電状態を保ちながら保管できるようにしている。そして、貼着型デバイス１００の使用開始時に、剥離紙を糊面から剥ぎ取ると、貼着型デバイス１００本体をユーザの身体の所定の部位に貼着することが可能になると同時に、電源部５０４から基板５００上の各回路コンポーネントへの給電が可能となり、貼着型デバイス１００は動作を開始することができる。

　図２３には、貼着型デバイス１００の貼着部１０３の糊面に剥離紙９００を貼り付けて保護している様子を示している。但し、同図では、見易さのため、筐体部１０２を取り外して基板部５００が露出している状態を示している。

　剥離紙９００の一部には、舌片状の非導電部９０１が形成されている。剥離紙９００を基板５００の裏面側の貼着部１０３（図２３では図示しない）に張り付けている状態では、非導電部９０１は、電源部５０４と基板５００の間隙に挿入されて両者間の絶縁状態若しくは非導電状態を保っている。但し、剥離紙９００の少なくとも舌片状の非導電部９０１の部分は絶縁素材で製作されていることを前提とする。

　そして、貼着型デバイス１００の使用開始時に剥離紙９００を剥ぎ取ると、貼着部１０３の糊面が露出してユーザの身体の所定の部位に貼着することが可能になる。これと同時に、電源部５０４と基板５００の間隙から非導電部９０１が抜き取られて、電源部５０４から基板５００上の各回路コンポーネントへの給電が可能となり、貼着型デバイス１００は動作を開始することができる。

　このように、貼着型デバイス１００は、剥離紙９００で保護された状態で保管されている間は電源オフであり、剥離紙９００を取り除くと動作を開始する。

　なお、電源オフ状態は、非導電部９０１のような手段によって完全に電源を遮断した状態に限定されず、変形例として十分に省電力の状態であってもよい。貼着型デバイス１００は、十分な省電力の状態において、貼着センサなどセンサ部７１０の一部を駆動させて、光の反射の有無をモニタリングしたり、貼着部１０３の貼着面（糊面）のインピーダンスを測定したり、温度や湿度、照度などの環境変化をモニタリングしたり、血流など生体情報の変化をモニタリングすることができる。そして、いずれか１つのセンサデータ、又は複数のセンサデータを組み合わせた複合情報に応じて、貼着型デバイス１００の使用が開始されようとしていることを検出すると、省電力の状態から電源オン状態に移行して、ユーザの身体の所定の部位に貼着されること待機するようにしてもよい。

　非導電部９０１の抜き取り又はセンサデータの変化のいずれに応じて貼着型デバイス１００の使用が開始される場合にせよ、ユーザの身体への貼着を検出すると、ユーザの生体情報を取得し、生体情報に基づいてユーザを認証することができる。

　ユーザへの貼着状態は、例えば第１のセンサ部７１１に含まれる貼着センサが、温度、湿度、照度、血流の状態、血管の形状などのセンサデータ若しくはセンサデータの変化、２以上のセンサデータを組み合わせた複合情報などに基づいて、検出することができる。あるいは、貼着センサは、人体が接近してきたことに伴う静電容量の変化や、体の表面（皮膚）に照射した赤外線の反射光に基づいて、貼着状態を検出することができる。

　また、ユーザの認証に関しては、主に第１のセンサ部７１１によって検出される生体情報の特徴量を、事前にユーザから取得した生体情報と比較して、確認することができる。生体情報として、例えば、貼着面における血管の形状、体液情報、肌の色素情報などを利用することができる。

　なお、貼着状態の検出とユーザの認証に同じ生体情報を利用することで、貼着型デバイス１００が装備するセンサ素子数を節約することができる。また、ユーザ認証できる生体情報を取得できないときはそもそも貼着状態が検出されないので、無駄な使用開始処理を起動しなくて済む。

　貼着型デバイス１００が、通信部７３０を介して無線通信可能なホストデバイスをさらに備えている場合には、ホストデバイスに貼着型デバイス１００の機器情報やユーザの認証情報（生体情報の特徴量など）を事前に登録しておくことにより、貼着型デバイス１００をユーザの身体に貼着して使用を開始したときに、ホストデバイスを利用して機器認証やユーザ認証を効果的且つより高精度に実施することができる。

　制御部は、貼着型デバイス１００本体の貼着状態に応じて、貼着型デバイス１００の動作を制御する。貼着部１０３の糊面から剥離紙９００が剥ぎ取られた状態であってもユーザの身体表面に貼着されていない状態は、貼着型デバイス１００が使用されていない状態とみなすことができる。したがって、貼着部１０３の糊面から剥離紙９００が剥ぎ取られたことにより非導電部９０１も抜き取られて、電源部５０４から基板５００上の各部へ給電が可能になっても、貼着センサを含む一部の機能を除いて回路を停止させて、十分な省電力の状態で使用が開始されるまで待機する。そして、貼着型デバイス１００がユーザの身体に貼着されたことが検出されると、制御部は、省電力の状態から通常の電源オン状態に移行させて、停止していた回路や機能を起動させる。通常の電源オン状態に移行した後に、制御部は、認証処理など所定の処理を起動するようにしてもよい。

　図２４には、ユーザの身体への貼着状態に応じて貼着型デバイス１００を動作させるための処理手順をフローチャートの形式で示している。図示の処理手順は、例えば貼着型デバイス１００の制御部が主導して実施されるものとする。

　貼着型デバイス１００の貼着部１０３の糊面から剥離紙９００が剥ぎ取られ、これに伴って非導電部９０１が抜き取られると、電気部１０１への導電が開始される（ステップＳ１００１）。そして、制御部を含む一部の回路やセンサ素子が動作を開始する。

　そして、制御部は、貼着センサからの入力があったかどうかをチェックする（ステップＳ１００２）。

　貼着センサからの入力があったときには（ステップＳ１００２のＹｅｓ）、制御部は、貼着型デバイス１００がユーザの身体に貼着され、使用状態に移行したかどうかをさらにチェックする（ステップＳ１００３）。

　ここで、貼着センサからの入力がないときには（ステップＳ１００２Ｎｏ）、制御部は、貼着センサ以外のセンサ（例えば、生体センサや振動センサなど、第１のセンサ部７１１に含まれるその他のセンサ素子）により検出されたセンサデータに基づいて、貼着型デバイス１００の貼着状態の判別を試みる（ステップＳ１００５）。

　そして、貼着型デバイス１００本体がユーザの身体に貼着された状態であることが判ったとき（ステップＳ１００３のＹｅｓ）、又は、貼着された状態であると推定されたときには（ステップＳ１００５のＹｅｓ）、制御部は、省電力の状態から通常の電源オン状態に移行させて、停止していた回路や機能を起動させる。そして、制御部は、認証処理など所定の処理を起動する（ステップＳ１００４）。

　一方、貼着センサによるセンサデータに基づいて貼着型デバイス１００本体がユーザの身体に貼着されていない状態であることが判ったとき（ステップＳ１００３のＮｏ）、又は、貼着センサ以外のセンサによるセンサデータに基づいて貼着されていない状態であると推定されるときには（ステップＳ１００６のＮｏ）、ステップＳ１００２に戻り、貼着型デバイス１００本体がユーザの身体に貼着されるまで、上述した処理を繰り返し実行する。

　ここで言う認証は、貼着型デバイス１００本体を貼着したユーザの本人認証と、他の機器との認証のいずれか一方又は両方の処理を含むものとする。前者のユーザ認証には、例えば生体センサで検出される生体情報を用いるようにしてもよい。また、不正なしに認証処理を実現するために、電気部１０１は、ＩＣチップのような耐タンパ性のある回路部品を備えていてもよい。例えばｅＳＩＭのような組込み型のＩＣカードを利用して、リモートでペアリングに関する情報を書き込めるようにしてもよい。また、制御部は、認証処理の中で、他の機器とのペアリングも行なうようにしてもよい。

　また、図２５には、ユーザの身体への貼着状態に応じて貼着型デバイス１００を動作させるための他の処理手順をフローチャートの形式で示している。図示の処理手順は、貼着型デバイス１００が通信部を介して無線通信するホストデバイスをさらに備えることを想定しており、貼着型デバイス１００はホストデバイスとの間で認証処理とともにペアリングを行なう。ホストデバイスは、例えば、スマートフォンなどユーザが所持する情報端末であってもよい。

　貼着型デバイス１００の貼着部１０３の糊面から剥離紙９００が剥ぎ取られ、これに伴って非導電部９０１が抜き取られると、電気部１０１への導電が開始される（ステップＳ１１０１）。そして、制御部を含む一部の回路やセンサ素子が動作を開始する。

　導電が開始されると、貼着型デバイス１００は、貼着型デバイス１００がユーザの身体に貼着されたことが検出又は推定されるまで（ステップＳ１１０３のＮｏ）、貼着検出待ち状態となる（ステップＳ１１０２）。貼着検出待ち状態では、制御部は、貼着センサにより検出されたセンサデータに基づいて貼着型デバイス１００がユーザの身体に貼着されたかどうかを検出し、又は、貼着センサ以外のセンサにより検出されたセンサデータに基づいて貼着されたかどうかを推定する。

　そして、貼着型デバイス１００本体がユーザの身体に貼着された状態であることが判ったとき、又は貼着された状態であると推定されたときには（ステップＳ１１０３のＹｅｓ）、制御部は、省電力の状態から通常の電源オン状態に移行させて（ステップＳ１１０４）、停止していた回路や機能を起動させる（同上）。

　一方、スマートフォンなどからなるホストデバイスは、ユーザの身体に貼着された貼着型デバイス１００との接続待ち状態にあるものとする。

　また、本処理では、ユーザはホストデバイスを常に携帯していることを前提とする。したがって、ホストデバイスは、必然的に、ユーザの身体に貼着された貼着型デバイス１００とは近接していることになる（ステップＳ１１１１）。

　ホストデバイスは、近接通信を利用して、貼着型デバイス１００に対して接続要求を発行する（ステップＳ１１１２）。ここで言う近接通信は、貼着型デバイス１００側の通信部７３０が利用可能な通信手段とする。具体的には、ホストデバイスは。Ｗｉ－ＦｉやＢｌｕｅｔｏｏｈ（登録商標）、ＮＦＣ、人体通信などを利用して、貼着型デバイス１００に対して接続要求を発行する。

　これに対し、貼着型デバイス１００は、ホストデバイスからの接続要求を受信すると（ステップＳ１１０５のＹｅｓ）、貼着型デバイス１００自身の機器情報と、第１のセンサ部７１１により検出されたユーザの生体情報の特徴量をホストデバイスに送信して（ステップＳ１１０６）、ホストデバイスからの通知待ち状態となる（ステップＳ１１０７のＮｏ）。

　ホストデバイスは、接続要求先の貼着型デバイス１００から、機器情報とユーザの生体情報の特徴量を受信すると（ステップＳ１１１３のＹｅｓ）、貼着型デバイス１００の機器認証と、ユーザ認証を実施する（ステップＳ１１１４）。

　例えば、貼着型デバイス１００を貼着したユーザのモーション、筋電位、心拍といった生体情報を用いて個人認証を行なうことが可能である。心拍信号に基づく個人認証技術は既に知られている（例えば、特許文献４を参照のこと）。ホストデバイスは、例えば、事前に登録しておいた機器情報やユーザの生体情報の特徴量と比較することにより、貼着型デバイス１００に対する認証処理を実施する。

　そして、ホストデバイスは、認証処理に成功したときには（ステップＳ１１１５のＹｅｓ）、貼着型デバイス１００に接続完了通知を行なって（ステップＳ１１１６）、本処理を終了する。また、ホストデバイスは、認証処理に失敗したときには（ステップＳ１１１５のＮｏ）、貼着型デバイス１００との接続に失敗したものとして本処理を終了する。

　貼着型デバイス１００は、ホストデバイスから接続完了通知を受信したときには（ステップＳ１１０７のＹｅｓ）、本処理を終了して、ホストデバイスと接続状態となる。なお、貼着型デバイス１００は、所定時間内にホストデバイスから接続完了通知を受信できない場合（すなわち、タイムアウトしたとき）には、ホストデバイスとの接続に失敗したものとして本処理を終了するようにしてもよい。

　図２５に示した接続シーケンスにおいて、貼着型デバイス１００がユーザの身体に貼着されたことを検出して、即座に認証処理を実施するのではなく、所定時間が経過した後に認証処理を実施するようにしてもよい。貼着型デバイス１００は、貼着を検出してから所定時間だけセンサ部７１０により検出されたセンサデータを取得し、所定時間にわたるセンサデータに基づいて、より高精度なユーザ認証を実施することができる。例えば、貼着型デバイス１００は、貼着を検出してから所定時間だけ、ユーザの身体の加速度や関節の角速度などのモーション情報や、筋電位、心拍などの生体情報から特徴量を抽出し、ユーザの持つ固有の特徴量と比較することで、ユーザの癖からユーザを特定することができる。

　接続が完了した貼着型デバイス１００及びホストデバイスは使用可能状態へと移行する。接続された貼着型デバイス１００とホストデバイスは「ペアリング」された状態ということもでき、さまざまな連携動作を実施することができる。

　図２５に示した処理手順では、貼着型デバイス１００とホストデバイスは、近接通信技術を利用した通信シーケンスを利用してペアリングを行なっているが、ペアリングに使用する手段は特に限定されない。例えば、ＱＲコードを利用して、デバイス間で直接ペアリングを行なうことができる（ホストデバイスが貼着型デバイス１００に付されたＱＲコードを読み取り、又は、貼着型デバイス１００がホストデバイスに付されたＱＲコードを読み取る）。また、貼着型デバイス１００がｅＳＩＭのような組込み型のＩＣカードを装備して、リモートでペアリング情報を書き込めるようにしてもよい。

　ホストデバイスは、ペアリングした貼着型デバイス１００に対する各種の操作コマンドを、近接通信（前述）を用いて送信することができる。一方の貼着型デバイス１００は、センサ部７１０により検出されたセンサデータを、近接通信（前述）を用いて、ホストデバイスに送信することができる。

　ホストデバイスがスマートフォンなどの情報端末の場合、ユーザはスマートフォンの画面を介して貼着型デバイス１００に対する操作コマンドを入力して、貼着型デバイス１００を遠隔で制御することができる。もちろん、ユーザは、ホストデバイスを使わず、貼着型デバイス１００に搭載されるセンサ部やスイッチなどを介して、貼着型デバイス１００を直接操作することも可能である。また、貼着型デバイス１００は、第１のセンサ部７１１に含まれる生体センサにより検出された生体情報や、第２のセンサ７１２に含まれる撮像センサにより撮像された周囲画像などのセンサデータをホストデバイスに送信し、ホストデバイス側では、受信したセンサデータを保存したり画面に表示出力したりすることができる。

　また、同じユーザの身体に貼着された複数の貼着型デバイス１００が、１つのホストデバイスに接続して連携することができる。もちろん、同じユーザの身体に貼着された複数の貼着型デバイス１００同士が、ホストデバイスを介さず直接通信を通じて連携することもできる。複数の貼着型デバイス１００が連携する場合、すべての貼着型デバイス１００の認証後に動作を開始するという使用の形態や、各貼着型デバイス１００が個別に動作を開始してスケーラブルに機能を拡張できるようにする使用の形態も考えられる。

　また、ユーザの身体の複数の箇所に貼着された複数の貼着型デバイス１００が連携することで、ユーザの挙動や身体動作のモーション・データを、高精度に捕捉することが可能である。例えば、ユーザの左右に眼下に貼着された、それぞれ撮像センサを含む貼着型デバイス１００が連携して、ステレオカメラとして機能することができる。モーション・データに筋電位データを組み合わせると、さらに高精度にユーザのモーションを捕捉することが可能になる。高精度のモーション・キャプチャを実現することができれば、ユーザが行なったジェスチャーを検出することが可能となり、ジェスチャーに基づくコマンド入力を行なうことも可能である。

　なお、図２５中のホストデバイスにおける処理を、スマートフォンのようなユーザが携帯する情報端末ではなく、クラウド（若しくは、広域ネットワーク上のコンピュータ資源）を用いて実施するようにしてもよい。クラウドには、複数のユーザから生体情報などを伴う認証要求が送られてくることが想定される。このような場合、クラウド側では、あるユーザに貼着された１台目の貼着型デバイス１００から送られてくる生体情報に基づいてシグニチャを作成し、ユーザと関連付けて蓄積しておく。そして、同じユーザに貼着された２台目以降の貼着型デバイス１００から生体情報が送られてきたときには、クラウド側で既に蓄積されているシグニチャとのマッチングによりユーザ認証を行ない、生体情報に基づいて同じユーザに貼着された複数の貼着型デバイス１００を関連付け（ペアリングなど）することができる。

Ｃ．装置の剥離（貼着の解除）と使用停止
　ユーザは、自分の身体に貼着している貼着型デバイス１００の動作を停止し又は使用を終了する際には、ホストデバイスを介して貼着型デバイス１００を停止操作すればよい。あるいは、ユーザは、貼着型デバイス１００を自分の身体から剥ぎ取る（若しくは、貼着を解除する）ことによっても、貼着型デバイス１００の動作を正常に終了させることができる。

　また、ユーザは、自分の身体から剥ぎ取って使用を終えた貼着型デバイス１００を放置してしまうことも想定される。あるいは、ユーザの身体に貼着して使用中の貼着型デバイス１００が、ユーザの意図に反して剥がれ落ちてしまい、その際にユーザが気付かないために、剥がれ落ちた貼着型デバイス１００が放置されてしまうことも想定される。図１には、ユーザの眼下に貼着された貼着型デバイスが剥がれかけている様子を例示している。

　剥がれ落ちた貼着型デバイス１００に記憶されている情報が外部に流出するおそれがある。例えば、貼着型デバイス１００に格納されている機器情報や、センサ部７１０により検出されたセンサデータが外部流出の危険にさらされる。機器情報はセキュリティ情報やユーザの個人情報を含む。また、センサデータの中にはユーザの生体情報などの個人情報も含まれ、プライバシーの侵害の危険にさらされる。そこで、本実施形態では、ユーザの身体から剥がれ又は剥がれる直前の貼着型デバイス１００は、記憶している情報の少なくとも一部を初期化又は削除して、外部流出を防ぐようにしている。

　また、ホストデバイスが、ユーザの身体から剥がれた後も貼着型デバイス１００を認証状態のままにしておくと、不正ユーザが貼着型デバイス１００を無断で使用してホストデバイスに不正アクセスするなど、認証状態が悪用されるおそれがある。そこで、本実施形態では、ホストデバイスは、ユーザの身体から剥がれ又は剥がれる直前の貼着型デバイス１００の認証状態を解除して、剥がれ落ちた貼着型デバイス１００の不正利用を防ぐようにしている。また、本実施形態では、ホストデバイスは、貼着型デバイス１００がユーザの身体から剥がれ又は剥がれる直前であることをユーザに通知して、不正利用が起きないように注意を喚起するようにしている。貼着型デバイス１００の剥がれが意図しないものである場合、ユーザは、通知に気づいて貼着型デバイス１００を貼り直すといった処置を行なうことが可能になる。

　また、本実施形態では、ホストデバイス側での貼着型デバイス１００の剥がれに対する上記のような対処処理を実現可能にするために、貼着型デバイス１００は、自身の剥がれ又は剥がれる直前であることを、ホストデバイスに通知するようにしている。

　図２６には、ユーザの身体に貼着していた貼着型デバイス１００を剥がす際に貼着型デバイス１００及びホストデバイスが実施する処理手順をフローチャートの形式で示している。

　貼着型デバイス１００側では、貼着センサ又はその他のセンサにより検出されたセンサデータに基づいて、常時若しくは定期的に、ユーザの身体との貼着状態を検出している（ステップＳ１３０１）。

　そして、貼着型デバイス１００がユーザの身体から剥がれたこと又は剥がれる直前であること（すなわち、貼着の解除）が検出されると（ステップＳ１３０２のＹｅｓ）、制御部は、貼着型デバイス１００内に記憶している情報の少なくとも一部を初期化又は削除して（ステップＳ１３０４）、外部への流出を防ぐ。初期化又は削除の対象となる情報は、例えば、機器情報や、ユーザの個人情報、生体センサにより検出されたユーザの生体情報などである。

　ここで、ユーザ自らが貼着型デバイス１００を自分の身体から剥がそうとする場合と、貼着部１０３の糊面の貼着力が低下したためにユーザが意図せず貼着型デバイス１００が剥がれてしまう場合とがある。そこで、貼着型デバイス１００は、ユーザに対して、剥がれたこと又は剥がれる直前であることを通知して、注意を喚起するようにしてもよい（ステップＳ１３０３）。例えば、第１のアクチュエータ部７２１又は第２のアクチュエータ部７２２を駆動させて、ユーザへの通知を行なうことができる。ユーザへの通知は、ステップＳ１３０４で情報の初期化又は削除を行なう前に実施してもよいし、情報の初期化又は削除を行なった後に実施してもよい。

　次いで、貼着型デバイス１００の制御部は、通信部７３０を介して、貼着型デバイス１００がユーザの身体から剥がれ又は剥がれる直前であること（すなわち、貼着の解除）を示す情報を、ホストデバイスに送信する（ステップＳ１３０５）。この情報送信後に、貼着型デバイス１００は、ホストデバイスとの接続切断を完了する。

　一方、ホストデバイス側では、例えば図２５に示した処理手順に従って貼着型デバイス１００との接続が完了した後は、貼着型デバイス１００からの信号受信待ち状態にある。

　そして、ホストデバイスは、上記ステップＳ１３０５において貼着型デバイス１００から送信された、貼着型デバイス１００がユーザの身体から剥がれ又は剥がれる直前であることを示す情報を受信したときには（ステップＳ１３１１のＹｅｓ）、貼着型デバイス１００との接続の切断処理を起動するとともに、貼着型デバイス１００の認証状態を解除して（ステップＳ１３１３）、剥がれ落ちた貼着型デバイス１００の不正利用を防ぐようにする。

　ここで、ユーザ自らが貼着型デバイス１００を自分の身体から剥がそうとする場合と、貼着部１０３の糊面の貼着力が低下したためにユーザが意図せず貼着型デバイス１００が剥がれてしまう場合とがある。そこで、ホストデバイスは、ユーザに対して、剥がれたこと又は剥がれる直前であることを通知して（ステップＳ１３１２）、注意を喚起するようにしてもよい。例えばホストデバイスがスマートフォンの場合には、貼着型デバイス１００が剥がれたこと又は剥がれる直前であることをスマートフォンの画面に表示したり、貼着型デバイス１００が剥がれたこと又は剥がれる直前であることを音声メッセージで出力したりする。ユーザへの通知は、ステップＳ１３１３の認証状態の解除を行なう前に実施してもよいし、認証状態を解除した後に実施してもよい。

　そして、ホストデバイスは、貼着型デバイス１００の認証状態を解除した後、その貼着型デバイス１００との接続切断を完了する。なお、ホストデバイスは、貼着の解除を通知してきた貼着型デバイス１００の認証状態の解除と接続切断を行なうことと併せて、他の貼着型デバイスとの関連付け（ペアリング）の解消も行なうようにする。

　なお、貼着型デバイス１００の貼着センサは、例えば、人体が接近してきたことに伴う静電容量の変化を検出する静電容量センサや、人体の表面（皮膚）に照射した赤外線の反射光を検出する赤外線反射センサなどを用いて構成され、貼着型デバイス１００がユーザの身体から剥がれたかどうかを検出することができる。また、温度や湿度、照度などの環境変化、あるいは血流など生体情報の変化をモニタリングすることによって、貼着型デバイス１００がユーザの身体から剥がれ他かどうかを検出することができる。

　他方、貼着型デバイス１００がユーザの身体から完全に剥がれず、剥がれる直前、言い換えれば剥がれそうになった状態を検出することは難しい。そこで、貼着型デバイス１００がユーザの身体から剥がれそうになり揺れている状態において、振動センサにより検出されるセンサデータなどを深層学習して、剥がれそうな状態を検出するようにしてもよい。

　また、図２６中のホストデバイスにおける処理を、スマートフォンのようなユーザが携帯する情報端末ではなく、クラウド（若しくは、広域ネットワーク上のコンピュータ資源）を用いて実施するようにしてもよい（同上）。ユーザから剥がれたこと又は剥がれる直前であることを通知した貼着型デバイス１００が他の貼着型デバイス１００と関連付け（ペアリング）されている場合には、クラウドは、通知してきた貼着型デバイス１００との接続切断並びに認証状態の解除を行なうとともに、ペアリングの解消も行なう。

Ｄ．撮像機能付き貼着型デバイス
　貼着型デバイス１００は、センサ部７１０に撮像センサを含めることができる。図２に示したように、ユーザの眼下に貼着される貼着型デバイス１００は、ユーザの視点とほぼ一致する視界の画像を撮像することができる。撮像光学系次第では、ユーザの視界以上の視野で撮像することも可能である。また、撮像センサを備えた貼着型デバイス１００を左右の眼下に設置することで、ステレオカメラを構成することができる。

　図２７には、ユーザの左側の眼下に貼着された貼着型デバイス１４００Ｌと、右側の眼下に貼着された貼着型デバイス１４００Ｒと、これら貼着型デバイス１４００Ｌ及び１００Ｒをペアリングするホストデバイス１４１０とで実現されるステレオカメラのシステム構成例を示している。以下、各部について説明する。但し、貼着型デバイス１４００Ｌ及び１４００Ｒの構成はほぼ同一なので、１つにまとめる。

　１つの貼着型デバイス１４００は、撮像部１４０１と、露光制御部１４０２と、筋電位計測部１４０３と、無線通信部１４０４と、同期部１４０５と、貼着センサ１４０６と、制御部１４０７と、電源部１４０８を備えている。貼着型デバイス１４００は、その他のセンサなど図示しない構成要素を含んでいるが、図面の簡素化のため省略している。

　貼着センサ１４０６は、貼着型デバイス１４００がユーザの身体（ここでは、眼下）に貼着された状態を検出する。貼着状態の検出方法の詳細については既に説明した通りである。制御部１４０７は、貼着センサ１４０６による貼着状態の検出結果に基づいて、当該貼着型デバイス１４００の動作を制御する。例えば、貼着センサ１４０６がユーザの身体への貼着を検出すると、制御部１４０７は、ホストデバイス１４１０に機器情報やユーザの生体情報を送信して、使用開始並びにペアリングのための処理を実行する。また、貼着センサ１４０６が貼着の解除（貼着型デバイス１４００本体がユーザの身体から剥がれた又は剥がれる直前であること）を検出すると、内部の情報の初期化又は削除や、ホストデバイス１４１０への通知など、使用終了のための処理を実行する。また、電源部１４０８は、例えば貼着型デバイス１４００の貼着面が剥離紙で保護されているときには非導電状態に保たれ、剥離紙が剥がされると導電状態となって各部への給電を開始する。

　撮像部１４０１は、例えばＣＭＯＳ（Ｃｏｍｐｌｅｍｅｎｔａｒｙ　Ｍｅｔａｌ　Ｏｘｉｄｅ　Ｓｅｍｉｃｏｎｄｕｃｔｏｒ）のような撮像センサで構成される。貼着型デバイス１００がユーザの眼下に貼着された状態では、ユーザの視点とほぼ一致する視界の画像を撮像できるように、撮像センサが配置されている。露光制御部１４０２は、撮像部１４０１の撮像時の露光を自動制御する。

　撮像部１４０１の視野角を広くするために、球面レンズを使用してもよい。但し、ガラスレンズは重量があり、プラスチックレンズは屈折率が低いため大型化する。レンズの大きさや重量が増大すると、貼着時の貼着型デバイス１４００のしなりやたわみが発生する可能性があり、さらにはユーザの眼下から剥がれ落ち易くなることが懸念される。そこで、撮像部１４０１に複数の撮像センサを隣接して配置し、各撮像センサの画像を貼り合わせることで、レンズの大きさや重量を増やすことなく、且つ、たわみの影響を抑えつつ、広視野角の撮像を実現するようにしてもよい。撮像部１４０１の広視野角化を実現することで、ユーザの周囲を広範にカバーした第３者視点画像や、ユーザの上方から俯瞰したような感覚のアラウンド画像を生成することもできる。また、広視野角の撮像部１４０１を使用して、ユーザの眼球位置を含めた撮像を行なうことで、ユーザの注視点を推定することもできる。なお、撮像センサにレンズレスカメラを利用して、さらに軽量化、薄型化を図ってもよい（レンズレスカメラは、レンズの代わりに透過フィルムを使用して被写体の像を投影し、デジタル処理で画像や映像を再現する技術である）。

　なお、眼下の凹凸形状には個人差がある。貼着型デバイス１４００の貼着面がユーザの眼下の形状に倣うように貼着された場合には、複数の撮像センサ間で視線方向の補正を行なう必要がある。物理的に各撮像センサの位置を調整するようにしてもよいが、撮像画像に補正処理を施すようにしてもよい。補正処理は、貼着型デバイス１４００内で実施してもよいし、映像データの送信先であるホストデバイス１４１０側で実施してもよい。

　また、撮像部１４０１で、各撮像センサの撮像波長範囲や撮像手法が異なる複数の撮像センサを組み合わせて使用してもよい。例えば、サーモカメラ、Ｄｅｐｔｈカメラ、偏向カメラ、暗視カメラなどを組み合わせて撮像部１４０１を構成してもよい。

　筋電位計測部１４０３は、ユーザの眼下で、ユーザの眼球周辺の筋電位を計測する。筋電位の計測結果に基づいて、眼球周りの筋肉の弛緩状態を測定し、さらにはユーザの眼球位置や注視点を検出することもできる。筋電位計測部１４０３の計測結果に基づいて、撮像部１４０１による撮像動作を制御する。また、筋電位計測部１４０３は、表情筋などユーザの顔面の筋肉の筋電位を計測することができるので、その筋電位の計測結果に基づいてユーザの感情を推定して、感情データをホストデバイス１４１０に伝送することもできる。

　無線通信部１４０７は、貼着型デバイス１００の外部と無線通信を行なう。図示の例では、無線通信部１４０７は、ホストデバイス１４１０との間で無線信号の送受信を行なう。無線通信部１４０７は、撮像部１４０１で撮像した映像データを、ホストデバイス１４１０に送信する。

　貼着型デバイス１４００Ｌ及び１４００Ｒは、ユーザの左右の眼下にそれぞれ配置され、ユーザの視点に極めて近い映像を撮像できることから、違和感のないステレオ画像を提供することができる。

　但し、ステレオカメラとして利用する場合には、左右の撮像部１４０１Ｌ及び１４０１Ｒでそれぞれ撮像された映像データが同期している必要があるので、無線送信する際には各々の同期部１４０５Ｌ及び１４０５Ｒによって左右の映像データの同期をとるものとする。例えば、同期部１４０５Ｌ及び１４０５Ｒのいずれか一方がマスタとなり、他方がスレーブとなって、同期処理を実施する。同期処理の手段は任意である。例えば同期部１４０５Ｌ及び１４０５Ｒが近接通信などにより直接通信して同期を獲得してもよいし、ホストデバイス１４１０経由で同期を調整するようにしてもよい。同期を獲得することにより、ユーザの左右の眼下に貼着された２台の貼着型デバイス１４００Ｌ及び１４００Ｒの間で同一の同期信号を共有することが可能になる。映像データを外部に送出する際には、同期部１４０５Ｌ及び１４０５Ｒ間で獲得された同期信号が付与される。

　また、無線通信部１４０７は、筋電位計測部１４０３による計測結果、その他のセンサ（図２７では図示しない）により検出したセンサデータも、ホストデバイス１４１０に送信する。例えば生体センサで取得されるユーザの生体信号は、映像データのインデックスとして利用することができる。生体信号を外部に送出する際には、同期部１４０５Ｌ及び１４０５Ｒ間で獲得された同期信号が付与される。

　ホストデバイス１４１０は、例えばユーザが携帯するスマートフォンなどの情報端末で構成される。但し、図２７では、貼着型デバイス１４００とペアリングした動作に特化した機能的構成に限定して図示している。ホストデバイス１４１０は、図示しないその他の構成要素を含んでいてもよい。なお、ホストデバイス１４１０の機能をクラウド上で提供することも可能である。

　ホストデバイス１４１０は、第１の無線通信部１４１１と、第２の無線通信部１４１２と、貼着位置推定部１４１３と、眼球位置推定部１４１４と、コマンド・ジェスチャー認識部１４１５を備えている。

　第１の無線通信部１４１１と第２の無線通信部１４１２はそれぞれ、ユーザの左側の眼下に貼着された貼着型デバイス１４００Ｌ及び右側の眼下に貼着された貼着型デバイス１４００Ｒとの間で無線通信を行なう。第１の無線通信部１４１１と第２の無線通信部１４１２は、単一の無線通信回路で構成され、時分割で貼着型デバイス１４００Ｌ及び１４００Ｒと交互に無線通信を行なうのであってもよい。

　第１の無線通信部１４１１と第２の無線通信部１４１２はそれぞれ、貼着型デバイス１４００Ｌ及び右側の眼下に貼着された貼着型デバイス１４００Ｒから、映像データとともに、筋電位の計測結果や筋電位に基づく感情データ、生体センサにより検出された生体信号、その他のセンサにより検出されたセンサデータなどを受信する。

　貼着位置推定部１４１３は、ユーザの左側の眼下に貼着された貼着型デバイス１４００Ｌ、及び右側の眼下に貼着された貼着型デバイス１４００Ｒの各貼着位置の推定を行なう。貼着型デバイス１４００Ｌ及び１４００Ｒの貼着位置にばらつきが生じる可能性がある。貼着型デバイス１４００Ｌ及び１４００Ｒをステレオカメラとして用いる場合、貼着位置のばらつきは、左右の撮像データの視野角や中心位置のずれに影響する。このため、貼着位置推定部１４１３は、貼着型デバイス１４００Ｌ及び１４００Ｒの各々から受信した撮像データから、貼着型デバイス１４００Ｌ及び１４００Ｒの貼着位置を推定する。そして、貼着位置がずれている場合には、一方の撮像データの視野角や中心位置が他方の撮像データと一致するように画像補正を行うようにする。

　眼球位置推定部１４１４は、各貼着型デバイス１４００Ｌ及び１４００Ｒから受信したユーザの眼球周辺の筋電位データに基づいて、ユーザの左右の眼球位置を推定して、各貼着型デバイス１４００Ｌ及び１４００Ｒを左右の眼下に貼着したユーザの注視点を検出する。

　図２７では図示を省略したが、ホストデバイス１４１０は、各貼着型デバイス１４００Ｌ及び１４００Ｒから受信した映像データを記録する映像記録部を備えていてもよい。映像データを記録する際には、眼球位置推定部１４１４により検出されたユーザの注視点を対応付けて記録するようにしてもよい。

　コマンド・ジェスチャー認識部１４１５は、眼球位置推定部１４１４によって推定されたユーザの左右の眼球位置や、各貼着型デバイス１４００Ｌ及び１４００Ｒから受信した映像データに映っているユーザの動作などに基づいて、ユーザが指示しようとしているコマンドやジェスチャーを認識する。また、コマンド・ジェスチャー認識部１４１５は、各貼着型デバイス１４００Ｌ及び１４００Ｒから送られてくるユーザの感情データに基づいて、ユーザが指示しようとしているコマンドを認識する。

　ホストデバイス１４１０は、認識されたコマンドやジェスチャーに応じて、ホストデバイス１４１０自身の動作を制御し、さらには各貼着型デバイス１４００Ｌ及び１４００Ｒに対する動作指示を無線送信する。また、ホストデバイス１４１０は、認識されたコマンドやジェスチャーに応じて、各貼着型デバイス１４００Ｌ及び１４００Ｒから受信した映像データの再生出力を制御したり（例えば、再生開始、再生停止、一時停止、早送り、巻き戻し、視点移動など）、映像データの編集を行ったりすることができる。例えば、各貼着型デバイス１４００Ｌ及び１４００Ｒの生体センサで取得されたユーザの生体信号を用いて映像データのインデクシングを行うことができる。

　図２７に示したシステムにおける動作手順は、以下の通りとなる。

（１）まず、１台目の貼着型デバイス１４００とホストデバイス１４１０とのペアリングを行う。ホストデバイス１４１０は、例えばＮＦＣやＱＲコードの読み取り、貼着型デバイス１４００とホストデバイス１４１０間で直接ペアリングを行うようにしてもよい。あるいは、貼着型デバイス１４００とホストデバイス１４１０内にそれぞれ組み込まれているｅＳＩＭに、リモートでペアリングに関する情報を書き込んで、ペアリングを行うようにしてもよい。

（２）次いで、ユーザは１台目の貼着型デバイス１４００の貼着面から剥離紙を剥離する。これによって、電源部１４０８から各部への給電が開始される。さらに貼着型デバイス１４００をユーザの身体の所定の部位（ここでは、眼下）に貼着することにより、貼着型デバイス１４００のスリープ状態が解除される。

（３）貼着型デバイス１４００は、生体センサ（図２７では図示しない）を用いてユーザの生体信号を取得すると、生体信号の特徴量をホストデバイス１４１０に送信する。ホストデバイス１４１０は、貼着型デバイス１４００の機器情報と生体信号の特徴量に基づいて、貼着型デバイス１４００の機器認証とユーザ認証を実施して、これらの認証に成功すると、１台目の貼着型デバイス１４００とホストデバイス１４１０間の接続が完了する。認証処理の詳細については、上述並びに図２５を参照されたい。

（４）そして、２台目の貼着型デバイス１４００についても、上記（１）～（３）の処理を実施して、ホストデバイス１４１０とのペアリング、ユーザの身体（他方の眼下）への貼着、及び認証処理を経て、ホストデバイス１４１０との接続を完了させる。なお、２台の貼着型デバイス１４００Ｌ及び１４００Ｒのうちいずれを１台目にするか（すなわち、どちらを先に接続するか）は任意である。また、３台以上の貼着型デバイス１４００をホストデバイス１４１０に接続する場合には、３台目以降について同様に、上記（１）～（３）の処理を繰り返し実施することになる。

（５）各貼着型デバイス１４００Ｌ及び１４００Ｒは、ホストデバイス１４１０に無線送信する映像データが同期するよう、各々の同期部１４０５Ｌ及び１４０５Ｒによって同期をとる。例えば同期部１４０５Ｌ及び１４０５Ｒが近接通信などにより直接通信して同期を獲得してもよいし、ホストデバイス１４１０経由で同期を調整するようにしてもよい。

（６）次いで、ホストデバイス１４１０側では、貼着位置推定部１４１３は、貼着型デバイス１４００Ｌ及び１４００Ｒの各々から受信した撮像データから、貼着型デバイス１４００Ｌ及び１４００Ｒの貼着位置を推定する。そして、貼着位置がずれている場合には、一方の撮像データの視野角や中心位置が他方の撮像データと一致するように画像補正を行なうように設定する。貼着型デバイス１４００Ｌ及び１４００Ｒの貼着位置にばらつきは、左右の撮像データの視野角や中心位置のずれに影響するからである。

（７）上記のようにして、各貼着型デバイス１４００Ｌ及び１４００Ｒとホストデバイス１４１０とのペアリング、認証、接続が完了し、さらに貼着型デバイス１４００Ｌ及び１４００Ｒ間での同期処理及び貼着位置補正を行なった後に、各貼着型デバイス１４００Ｌ及び１４００Ｒからホストデバイス１４１０への映像データの無線伝送が開始される。映像データには、同一の同期信号が付与される。また、各貼着型デバイス１４００Ｌ及び１４００Ｒでセンサにより検出されたセンサデータも、映像データと併せてホストデバイス１４１０へ無線伝送される。

（８）ホストデバイス１４１０は、各貼着型デバイス１４００Ｌ及び１４００Ｒから受信した映像データ及びセンサデータを、さらに遠隔デバイスに送信する。

（９）遠隔デバイスは、ホストデバイス１４１０経由で受信した映像データを再生出力する。また、遠隔デバイスは、受信したセンサデータに基づいて、視覚以外の五感を利用した感覚フィードバックを、遠隔デバイスを使用する遠隔ユーザに与えるようにしてもよい。

　ここで言う遠隔デバイスは、例えばＶＲ（Ｖｉｒｔｕａｌ　Ｒｅａｌｉｔｙ）映像又はＡＲ（Ａｕｇｕｍｅｎｔｅｄ　Ｒｅａｌｉｔｙ）映像を再生出力可能なヘッドマウントディスプレイ、若しくはその他の形態の表示装置である。

　図２８には、左右の貼着型デバイス１４００Ｌ及び１４００Ｒと、ホストデバイス１４１０と、さらに遠隔デバイス１５００を含んだ、ステレオカメラの映像伝送システムの構成例を示している。貼着型デバイス１４００Ｌ及び１４００Ｒと、ホストデバイス１４１０の構成は図２７と同様であり、図２８では簡素化のため一部の構成要素の図示を省略している。

　ホストデバイス１４１０は、遠隔デバイスに対して情報伝送を行うための送信部１４１６をさらに備えている。送信部１４１６からは、各貼着型デバイス１４００Ｌ及び１４００Ｒから受信した映像データやセンサデータの他、ユーザの眼球位置の推定結果や、コマンドやジェスチャーの認識結果が送信される。

　ホストデバイス１４１０と遠隔デバイス１５００間の通信手段は特に限定されない。例えば無線又は有線のＬＡＮ（Ｌｏｃａｌ　Ａｒｅａ　Ｎｅｔｗｏｒｋ）やホームネットワークを利用した通信でもよいし、インターネットなどの広域ネットワークを利用した通信でもよい。

　遠隔デバイス１５００は、ホストデバイス１４１０から情報を受信するための受信部１５０１と、左右の表示部１５０２及び１５０３を備えている。基本的には、ユーザの左側の眼下に貼着された貼着型デバイス１４００Ｌで撮像された映像データは左側の表示部１５０２に表示され、また、右側の眼下に貼着された貼着型デバイス１４００Ｒで撮像された映像データは右側の表示部１５０３に表示され、遠隔ユーザに対してステレオ映像を提供する。左右の表示部１５０２及び１５０３は、受信した映像データに付与された同期信号に基づいて同期をとって映像を表示するものとする。但し、遠隔デバイス１５００を左右の貼着型デバイス１４００Ｌ又は１４００Ｒのうちいずれか一方の映像データしか表示しないモノカメラとして動作させてもよい。

　また、遠隔デバイス１５００は、ホストデバイス１４１０経由で受信したセンサデータに基づいて駆動して、視覚以外の五感を利用した感覚フィードバックを遠隔ユーザに与えるアクチュエータ（図示しない）をさらに備えていてもよい。

　図２８に示したような映像伝送システムにおいて、貼着型デバイス１４００Ｌ及び１４００Ｒはそれぞれユーザの左右の眼下に貼着されることを想定しており、ユーザの頭部の動きに追従して周囲の状況を撮像する。ところが、ユーザの実際の視野角は、頭部の動きに加え、眼球の方向にも依存している。このため、遠隔デバイス１５００側で貼着型デバイス１４００Ｌ及び１４００Ｒが捕捉した映像データを提示しても、ユーザの視野角と一致する映像を遠隔ユーザに提示することにはならない。

　そこで、ユーザの左右の眼輪筋を検出するとともに、この検出結果に基づいて遠隔ユーザの左右の眼輪筋を制御して、ユーザの視野角と一致する映像を遠隔ユーザに提示できるようにしてもよい。

　図２９には、眼輪筋制御を含んだステレオカメラの映像伝送システムの構成例を示している。

　ユーザの左右の眼下にそれぞれ貼着される貼着型デバイス１４００Ｌ及び１４００Ｒは、第１のセンサ部７１１の１つとして眼輪筋を検出する眼輪筋センサ１４０９Ｌ及び１４０９Ｒをさらに備えている点で、図２７及び図２８とは相違する。各貼着型デバイス１４００Ｌ及び１４００Ｒは、眼輪筋センサ１４０９Ｌ及び１４０９Ｒにより検出された眼輪筋データを、無線通信部１４０４Ｌ及び１４０４Ｒから、映像データや生体信号、他のセンサデータなどとともに送出される。各貼着型デバイス１４００Ｌ及び１４００Ｒから無線送信されるセンサデータには、同期信号が付与されているものとする。

　一方、遠隔ユーザの左右の眼周辺（例えば、眼下）には、貼着型デバイス１６００Ｌ及び１６００Ｒがそれぞれ貼着されている点で、図２８に示したシステム構成とは相違する。

　各貼着型デバイス１６００Ｌ及び１６００Ｒは、第１のアクチュエータ部７２１の１つとして遠隔ユーザの眼輪筋を駆動する眼輪筋アクチュエータ１６０２Ｌ及び１６０２Ｒをそれぞれ装備している点に主な特徴がある。

　各貼着型デバイス１６００Ｌ及び１６００Ｒは、各貼着型デバイス１４００Ｌ及び１４００Ｒで眼輪筋センサ１４０９Ｌ及び１４０９Ｒにより検出された眼輪筋データを、ホストデバイス１４１０経由で各無線通信部１６０１Ｌ及び１６０１Ｒにより受信する。そして、受信した眼輪筋データに基づいて眼輪筋アクチュエータ１６０２Ｌ及び１６０２Ｒをそれぞれ駆動させることにより、遠隔ユーザの左右の眼輪筋を制御して、ユーザの視野角と一致する映像を遠隔デバイス１４１０上で提示できるようにしている。

Ｅ．臭気対処機能付き貼着型デバイス
　心地よい香りを放つなど、ユーザの嗅覚に刺激を与えることで、ユーザは気分転換する、リラックスする、体調を整えるといった芳香療法的な効果がある。また、体臭は周囲の人々又はユーザ本人に不快感を与えるおそれがある。そこで、ユーザの胴体などに貼着される貼着型デバイスは、第１のセンサ部７１１の１つとして第２のアクチュエータ部７２２の１つとして、芳香又は消臭のうち少なくとも１つの機能を備えた臭気対処部を備えていてもよい。制御部は、臭気センサにより収臭された臭気データに基づいて、臭気対処部の芳香又は消臭の駆動を制御するようにすればよい。例えば、ユーザの行動予定や位置情報、周囲環境といったコンテキストに基づいて、ＴＰＯに相応しい芳香を実施できるように、ホストデバイスやクラウドから貼着型デバイスを遠隔的に制御するようにしてもよい。

　図３０には、臭気対処機能付きの貼着型デバイス１７００と、貼着型デバイス１７００と連携するホストデバイス１７５０の機能的構成例を示している。

　貼着型デバイス１７００は、貼着部１７１０と、本体部１７２０と、カートリッジ１７３０で構成される。図３１には、ユーザの背中上部の中央に貼着される貼着型デバイス１７００（例えば、図１０並びに図１１～図１７を参照のこと）を、貼着部１７１０と、本体部１７２０と、カートリッジ１７３０に分解した様子を示している。

　貼着部１７１０は、背中などユーザの体表面に接する貼着面（若しくは、糊面）を有している。また、貼着部１７１０は、本体部１７２０の上面を覆っている。逆に言えば、貼着部１７１０を剥がすことで、本体部１７２０の上面が露出される。また、本体部１７２０は、いくつかの回路部品（後述）を含むとともに、カートリッジ１７３０を収容するポケットを備えている。

　図３１から分かるように、本体部１７２０のポケットにカートリッジ１７３０を取り付け、本体部１７２０の上面を貼着部１７１０で覆うとともに、貼着部１７１０をユーザの身体上の所定の部位に貼着することで、本体部１７２０がユーザの身体に固定され、貼着型デバイス１７００は使用可能な状態となる。

　カートリッジ１７３０内には、芳香剤が格納されている。本体部１７２０内のアクチュエータ（後述する芳香部１７２８）が駆動することで、カートリッジ１７３０内の芳香剤が噴霧されて、香りを放つことができる。１つのカートリッジ１７３０が複数の種類の芳香剤を格納し、いずれかの芳香剤を選択して使用したり、２以上の芳香剤をブレンドして使用したりできるように構成されていてもよい。

　カートリッジ１７３０は、消耗品であり、芳香剤の残量がなくなると、新しいカートリッジ１７３０と交換可能である必要がある。また、香りが異なる複数種類のカートリッジ１７３０を取り揃え、本体部１７２０のポケットに取り付けたカートリッジ１７３０を異なる種類のものに交換することで、放つ香りを変更することが可能である。

　カートリッジ１７３０を交換するためには、本体部１７２０の上面を覆う貼着部１７１０は取り外し可能であることが好ましい。また、貼着部１７１０は、ユーザの体表面と接触する部分であることから、洗浄に適しているとともに、洗浄しても貼着面の貼着力が低下しないことが好ましい。

　本体部１７２０は、貼着センサ１７２１と、電源部１７２２と、制御部１７２３と、生体センサ１７２４と、臭気センサ１７２５と、体温制御部１７２６と、消臭部１７２７と、芳香部１７２８と、無線通信部１７２９を備えている。

　貼着センサ１７２１は、貼着部１７１０（言い換えれば、貼着型デバイス１７００）がユーザの身体に貼着された状態を検出する。貼着状態の検出方法の詳細については既に説明した通りである。制御部１７２３は、貼着センサ１７２１による貼着状態の検出結果に基づいて、当該貼着型デバイス１７００の動作を制御する。例えば、貼着センサ１７２１がユーザの身体への貼着を検出すると、制御部１７２３は、ホストデバイス１７５０に機器情報やユーザの生体信号を送信して、使用開始並びにペアリングのための処理を実行する。また、貼着センサ１７２１が貼着の解除（貼着型デバイス１７００本体がユーザの身体から剥がれた又は剥がれる直前であること）を検出すると、内部の情報の初期化又は削除や、ホストデバイス１７５０への通知など、使用終了のための処理を実行する。また、電源部１７２３は、例えば貼着部１７１０の貼着面が剥離紙で保護されているときには非導電状態に保たれ、剥離紙が剥がされると導電状態となって各部への給電を開始する。

　貼着型デバイス１７００をユーザの身体に貼着した際には、貼着型デバイス１７００とホストデバイス１７５０は、例えば図２５に示した処理手順に従った所定の機器認証やユーザ認証のプロセスを実施して接続を行う。また、貼着型デバイス１７００がユーザの身体から剥がれたこと又は剥がれる直前であること（すなわち、貼着の解除）が検出されると、例えば図２６に示した処理手順に従って、貼着型デバイス１７００は、内部に記憶している情報の少なくとも一部を初期化又は削除し、さらにホストデバイス１７５０に貼着解除を通知して接続切断などの処理を実施する。

　生体センサ１７２４は、当該貼着型デバイス１７００が貼着されたユーザの体温や心拍、発汗の有無、汗の成分といった生体情報を取得する。生体センサ１７２４は、ユーザ（人体）の情報を検出する第１のセンサ部７１１の１つということができる。また、臭気センサ１７２５は、当該貼着型デバイス１７００若しくはユーザの周囲の臭気を検出する。また、当該貼着型デバイス１７００は、図３０に図示した以外のセンサを装備していてもよい。

　体温制御部１７２６は、主に当該貼着型デバイス１７００とユーザの体表面との接触部分を発熱又は冷却して、ユーザの体温を一時的に制御する。体温制御部１７２６は、例えばペルチェ素子などで構成される。体温制御部１７２６は、ユーザ（人体）に対して情報を出力する第１のアクチュエータ部７２１の１つということができる。

　消臭部１７２７は、当該貼着型デバイス１７００の周囲のにおいの元となる成分（例えば、ユーザの体臭など）を、物理的に取り除き、又は化学的に無修正分に変化させる。例えば、植物由来の新規の多孔質炭素材料Ｔｒｉｐｏｒｏｕｓ（登録商標）を用いて消臭部１７２７を構成することができる。なお、Ｔｒｉｐｏｒｏｕｓは、ケイ素化合物を含む籾殻など余剰バイオマス（再生可能な生物由来の有機性資源）を原料とした微細構造と吸着特性を示す多孔質炭素材料であり、例えば特許文献５に開示されている。特許文献５に開示された内容は、本願明細書に組み込まれるものとする。

　芳香部１７２８は、カートリッジ１７３０内を撹拌して芳香剤を噴霧し、香りを放たせる。例えば、カートリッジ式の香り提供装置ＡＲＯＭＡＳＴＩＣＫが知られており、例えば特許文献６にも開示されている。特許文献６に開示された内容は、本願明細書に組み込まれるものとする。

　なお、消臭部１７２７と芳香部１７２８は、ユーザの外（外界や、周囲の人）に対して情報を出力する第２のアクチュエータ部７２２ということができる。

　制御部１７２３は、例えば生体センサ１７２４によって検出されたユーザの生体情報やその他のセンサにより検出されたセンサデータに基づいて、体温制御部１７２６、消臭部１７２７、及び芳香部１７２８といったアクチュエータの駆動を制御する。

　例えば、制御部１７２３は、ユーザの体温や心拍の変化、汗の成分などに基づいてユーザの体調不良を認識すると、体温制御部１７２６に対して保温を指示したり、芳香部１７２８に芳香を指示したりして、ユーザの体調を整えようとする。また、制御部１７２３は、ユーザの体温上昇や発汗に基づいてユーザが暑がっていることを認識すると、体温制御部１７２６に対して冷却を指示し、ユーザが快適になるようにする。また、制御部１７２３は、臭気センサ１７２５によりユーザの体臭や周囲の異臭を検出すると、消臭部１７２７に対して消臭を指示したり、芳香部１７２８に芳香を指示したりして、ユーザの作業環境が快適となるように整える。１つのカートリッジ１７３０が複数の種類の芳香剤を格納している場合には、制御部１７２３は、ユーザの体調や体臭、あるいはユーザの行動予定や周囲環境といったコンテキストなどに応じて、芳香部１７２８において使用する芳香剤を選択制御するようにしてもよい。

　無線通信部１７２９は、ホストデバイス１７５０などの外部と無線通信を行う。制御部１７２３は、生体センサ１７２４によって検出されたユーザの生体情報や、その他のセンサにより検出されたセンサデータを、無線通信部１７２９を介してホストデバイス１７５０に送信するようにしてもよい。また、制御部１７２３は、ホストデバイス１７５０から受信した情報（コマンドなど）に基づいて、体温制御部１７２６や消臭部１７２７、芳香部１７２８などのアクチュエータの駆動を制御するようにしてもよい。

　ホストデバイス１７５０は、例えばスマートフォンなど、ユーザが携帯する情報端末で構成される。図３０に示す例では、ホストデバイス１７５０は、無線通信部１７５１と、行動管理部１７５２と、環境計測部１７５３と、制御部１７５４を備えている。

　無線通信部１７５１は、貼着型デバイス１７００側の無線通信部１７２９との間で無線通信を行う。行動管理部１７５２は、貼着型デバイス１７００を貼着したユーザの行動予定を管理する。例えばスマートフォン上で動作するスケジュール帳などのアプリケーションで扱われるデータに基づいて、ユーザの行動予定に関する情報を取得することができる。また、行動管理部１７５２は、ユーザの行動予定に基づいて、貼着型デバイス１７００に対して体温制御部１７２６、消臭部１７２７や芳香部１７２８の駆動を指示するスケジューラの管理も行う。また、環境計測部１７５３は、外気温などのユーザの周囲環境に関するデータを計測する。

　制御部１７５４は、行動管理部１７５２で管理するユーザの行動予定や、環境計測部１７５３で計測された外気温などの環境データを、無線通信部１７５１を介して貼着型デバイス１７００に送信する。貼着型デバイス１７００では、ユーザの行動予定や周囲環境といったコンテキストに基づいて、体温制御部１７２６や消臭部１７２７、芳香部１７２８などのアクチュエータの駆動を制御することができる。

　また、ホストデバイス１７５０側の制御部１７５４は、ユーザの行動予定や周囲環境といったコンテキストに基づいて、貼着型デバイス１７００側のこれらアクチュエータの駆動を指示する駆動要求を、無線通信部１７５１を介して貼着型デバイス１７００に送信するようにしてもよい。１つのカートリッジ１７３０が複数の種類の芳香剤を格納している場合には、制御部１７５４は、ユーザのコンテキストに応じて、芳香部１７２８において使用する芳香剤を選択制御するようにしてもよい。

　なお、図３０中のホストデバイス１７５０における処理を、スマートフォンのようなユーザが携帯する情報端末ではなく、クラウド（若しくは、広域ネットワーク上のコンピュータ資源）を用いて実施するようにしてもよい。

　図３２には、ホストデバイス１７５０がユーザの行動予定に基づいて貼着型デバイス１７００側における芳香制御を実施するための処理手順をフローチャートの形式で示している。この処理手順を実施する前提として、貼着型デバイス１７００とホストデバイス１７５０の接続が完了しているものとする。

　ホストデバイス１７５０側では、行動管理部１７５２が貼着型デバイス１７００を装着したユーザの行動予定を解析して（ステップＳ１９１１）、制御部１７５４はこの解析結果に基づいて芳香要求の有無を推定する（ステップＳ１９１２）。芳香要求がなければ（ステップＳ１９１２のＮｏ）、一定時間待機してから（ステップＳ１９１３）、ステップＳ１９１１に戻る。また、ユーザの行動予定に基づいて芳香要求があると判断された場合には（ステップＳ１９１２のＹｅｓ）、制御部１７５４は、無線通信部１７５１を介して貼着型デバイス１７００に芳香要求を通知する（ステップＳ１９１４）。

　一方、貼着型デバイス１７００側では、制御部１７２３は、一定時間毎に（ステップＳ１９０１）、ホストデバイス１７５０から芳香要求を受信したかどうかをチェックする（ステップＳ１９０２）。

　そして、無線受信部１７２８でホストデバイス１７５０からの芳香要求を受信すると（ステップＳ１９０２のＹｅｓ）、制御部１７２３は、芳香部１７２８に対して方向を指示する。これに対し、芳香部１７２８は、カートリッジ１７３０から芳香要求で指定されている芳香剤を選択して（ステップＳ１９０３）、芳香剤の噴霧を実施する（ステップＳ１９０４）。

　図３２に示した処理手順に従えば、貼着型デバイス１７００は、ホストデバイス１７５０側で管理されているユーザの行動予定に応じて芳香剤を噴霧することができる。例えば、昼食後の午後の時間帯にユーザの眠気を抑えるために、爽快感をもたらす芳香剤を噴霧したり、一日の仕事の終わりと推定される時間帯に、ユーザをリラックスさせるための落ち着く芳香剤を噴霧したりすることができる。

　なお、図３２中のホストデバイス１７５０における処理を、スマートフォンのようなユーザが携帯する情報端末ではなく、クラウド（若しくは、広域ネットワーク上のコンピュータ資源）を用いて実施するようにしてもよい。

　また、貼着型デバイス１７００は、ホストデバイス１７５０からの要求に依らず、生体センサ１７２３により検出された生体情報などに基づいて自律的に芳香を実施することもできる。このような場合、ホストデバイス１７５０は、貼着型デバイス１７００における芳香の実施状況に応じて、貼着型デバイス１７００に対して芳香要求するスケジュールを調整するようにしてもよい。

　図３３には、ホストデバイス１７５０が貼着型デバイス１７００側における芳香の実施履歴に基づいて芳香要求するスケジュールを調整するための処理手順をフローチャートの形式で示している。この処理手順を実施する前提として、貼着型デバイス１７００とホストデバイス１７５０の接続が完了しているものとする。

　貼着型デバイス１７００側では、制御部１７２３は、一定時間毎に（ステップＳ２００１）、生体センサ１７２４及び臭気センサ１７２５により検出されるセンサデータをチェックして、規定値以上のユーザ若しくは周囲の臭気、又は規定値以上のユーザの体温などユーザの生体情報や周囲環境に異常がないかどうかをチェックする（ステップＳ２００２）。

　ここで、規定値以上の臭気、又は規定値以上のユーザの体温が検出されたときには（ステップＳ２００２のＹｅｓ）、制御部１７２３は、消臭部１７２７に対してユーザの体臭又は周囲の臭気の消臭の実施、芳香部１７２８に対する芳香の実施、又は、体温制御部１７２６に対してユーザの身体の冷却若しくは加熱を指示する。これに対し、消臭部１７２７による消臭や芳香部１７２８による芳香を実施し、又は、体温制御部１７２６はユーザの身体を冷却若しくは加熱する（ステップＳ２００３）。

　例えば、制御部１７２３は、ユーザの興奮による体温の上昇を検知したときには、体温制御部１７２６を駆動してユーザの身体を冷却して、体温を一時的に低減させる。あるいは制御部１７２３は、ユーザが寒気や悪寒を感じていることを検知したときには、体温制御部１７２６を駆動してユーザの身体を加熱して、体温を一時的に上昇させる。また、制御部１７２３は、ユーザの体臭若しくは周囲の臭気を検知したときには、消臭部１７２７を駆動して消臭を実施したり、芳香部１７２８を駆動して芳香を実施したりして、周囲の環境を改善する。

　その後、制御部１７２３は、消臭部１７２７による消臭や、芳香部１７２８による芳香、体温制御部１７２６によるユーザの身体の冷却若しくは加熱の実施履歴を、無線通信部１７２９を介してホストデバイス１７５０側に通知する（ステップＳ２００４）。

　一方、ホストデバイス１７５０側では、制御部１７５４は、一定時間毎に（ステップＳ２０１１）、貼着型デバイス１７００から上記の実施履歴の通知を受信したかどうかをチェックする（ステップＳ２０１２）。

　そして、貼着型デバイス１７００から実施履歴の通知を受信したときには（ステップＳ２０１２のＹｅｓ）、制御部１７５４は、受信した実施履歴を解析して（ステップＳ２０１３）、貼着型デバイス１７００側の体温制御部１７２６、消臭部１７２７や芳香部１７２８の駆動を指示するスケジューラに対して、消臭や芳香、ユーザの身体の冷却・加熱などを指示するためのイベントの追加や修正を行う（ステップＳ２０１４）。

　このように、貼着型デバイス１７００は、消臭や芳香、体温制御といった、アクチュエータの駆動を実施した実施履歴をホストデバイス１７５０に通知することで、ホストデバイス１７５０側では、実施履歴を解析した結果に基づいて、消臭や芳香、体温制御といったアクチュエータの駆動を指示するスケジューラに対してイベントを追加や修正を行うことができる。その結果、以降はホストデバイス１７５０側からの指示により、貼着型デバイス１７００は、未然に消臭や芳香、体温制御を実施して、ユーザの生体情報や周囲環境の異常に対処することができる。

　なお、図３３中のホストデバイス１７５０における処理を、スマートフォンのようなユーザが携帯する情報端末ではなく、クラウド（若しくは、広域ネットワーク上のコンピュータ資源）を用いて実施するようにしてもよい。

　以上、特定の実施形態を参照しながら、本明細書で開示する技術について詳細に説明してきた。しかしながら、本明細書で開示する技術の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。

　本明細書で開示する情報処理装置は、身体の表面（皮膚）に貼着して用いられるウェアラブル・デバイスであり、例えばユーザのこめかみ、眉間、耳裏、顎の下、首、首元、咽喉部、上腕、前腕、手首、手の甲、腹部などの部位に貼着して用いられる。

　また、同様の貼着型の情報処理装置を、人体ではなくさまざまな動物（愛玩動物や家畜、使役動物など）、植物（食用又は観葉に栽培される植物、野生植物を含む）、移動体などの機械類に貼着して、ＩｏＴデバイスとしても活用することができる。

　要するに、例示という形態により本明細書で開示する技術について説明してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本明細書で開示する技術の要旨を判断するためには、特許請求の範囲を参酌すべきである。

　なお、本明細書の開示の技術は、以下のような構成をとることも可能である。
（１）センサと、
　外部と無線通信する通信部と、
　前記センサ及び前記通信部を制御する制御部と、
　前記センサ、前記通信部、及び前記制御部のうち少なくとも１つに対して電源を供給する電源部と、
　前記センサ、前記通信部、前記制御部、及び前記電源部のうち少なくとも１つを収納する筐体部と、
　前記筐体部をユーザに固定する貼着部と、
　前記貼着部における前記ユーザと前記筐体との貼着状態を検出する貼着センサと、
を具備し、
　前記制御部は、前記貼着センサにより検出される前記貼着状態に応じて、前記通信部における通信動作を制御する、
情報処理装置。
（２）前記制御部は、前記貼着部が前記ユーザから剥がれ又は剥がれる直前であることを前記貼着センサが検出したことに応じて、前記通信部を介して所定信号を外部に無線送信するように制御する、
上記（１）に記載の情報処理装置。
（３）前記通信部を介して無線通信するホストデバイスをさらに備える、
上記（２）に記載の情報処理装置。
（４）前記ホストデバイスは、前記所定信号を受信したことに応答して前記ユーザに対して通知する、
上記（３）に記載の情報処理装置。
（５）前記ホストデバイスは、
　前記センサにより検出されたセンサデータに基づいて前記ユーザの認証処理を行うことが可能で、
　前記所定信号を受信したことにより前記認証処理によるユーザ認証を解除する、
上記（３）又は（４）のいずれかに記載の情報処理装置。
（６）前記情報処理装置の内部情報を記憶する記憶部をさらに備え、
　前記制御部は、前記貼着部が前記ユーザから剥がれ又は剥がれる直前であることを前記貼着センサが検出したことに応じて、前記記憶部に記憶された所定の情報を初期化又は削除する、
上記（１）乃至（５）のいずれかに記載の情報処理装置。
（７）前記記憶部は、前記情報処理装置の機器情報を記憶し、
　前記制御部は、前記貼着部が前記ユーザから剥がれ又は剥がれる直前であることを前記貼着センサが検出したことに応じて、前記記憶部に記憶された前記機器情報を初期化又は削除する、
上記（６）に記載の情報処理装置。
（８）前記記憶部は、前記センサにより検出されたセンサデータを記憶し、
　前記制御部は、前記貼着部が前記ユーザから剥がれ又は剥がれる直前であることを前記貼着センサが検出したことに応じて、前記記憶部に記憶された前記センサデータを初期化又は削除する、
上記（６）又は（７）のいずれかに記載の情報処理装置。
（９）前記情報処理装置の使用前には、前記貼着部は剥離紙で表面が保護されており、
　前記剥離紙が前記貼着部から剥がされたことに応じて起動する、
上記（１）乃至（８）のいずれかに記載の情報処理装置。
（１０）前記剥離紙は、前記電源部を絶縁する舌片状の非導電部を備え、
　前記剥離紙が前記貼着部から剥がされると、前記非導電部が外れて前記電源部が導電状態になる、
上記（９）に記載の情報処理装置。
（１１）前記制御部は、前記剥離紙が前記貼着部から剥がされたことを前記貼着センサにより検出されたことに応じて、前記情報処理装置を起動させる、
上記（９）に記載の情報処理装置。
（１２）前記センサは、撮像機能を有する撮像センサを含み、
　前記筐体部が前記ユーザの眼球付近に貼着され、前記撮像センサは前記ユーザの視界の少なくとも一部に対応する画像を撮像する、
上記（１）乃至（１１）のいずれかに記載の情報処理装置。
（１３）前記筐体部が前記ユーザの左右いずれか一方の眼球付近に貼着され、
　前記ユーザの他方の眼球付近に貼着された他の情報処理装置との間で共有される同一の同期信号を付与して、前記撮像センサにより撮像された撮像データを前記通信部から無線送信する、
上記（１２）に記載の情報処理装置。
（１４）前記センサは、前記ユーザの生体信号を検出する生体センサを含み、
　前記生体センサにより検出された生体信号に前記同期信号を付与して前記通信部から無線送信する、
上記（１３）に記載の情報処理装置。
（１５）前記情報処理装置及び前記他の情報処理装置の各々から撮像データを受信するホストデバイスをさらに備え、
　前記ホストデバイスは、受信した撮像データに基づいて前記情報処理装置及び前記他の情報処理装置の各貼着位置を推定して、一方の撮像データの視野角や中心位置が他方の撮像データと一致するように画像補正を行う、
上記（１３）又は（１４）のいずれかに記載の情報処理装置。
（１６）前記センサは、前記ユーザの眼球周辺の筋電位を検出する筋電位センサを含み、
　前記ホストデバイスは、前記情報処理装置及び前記他の情報処理装置から受信した筋電位データに基づいて、前記ユーザの注視点を検出する、
上記（１５）に記載の情報処理装置。
（１６－１）前記ホストデバイスは、前記情報処理装置及び前記他の情報処理装置から受信した映像データを、前記ユーザの注視点を対応付けて記録する記録部をさらに備える、
上記（１６）に記載の情報処理装置。
（１６－２）前記筋電位データに基づいて前記ユーザの感情を推定する、
上記（１６）に記載の情報処理装置。
（１６－３）前記情報処理装置及び前記他の情報処理装置は、前記ユーザの眼輪筋を検出する眼輪筋センサをさらに備え、
　前記ホストデバイスは、前記情報処理装置及び前記他の情報処理装置から受信した眼輪筋データを、他のユーザの眼球付近に貼着された眼輪筋アクチュエータ付き貼着型デバイスに送信する、
上記（１６）に記載の情報処理装置。
（１７）前記センサは、臭気センサを含み、
　芳香又は消臭のうち少なくとも１つの機能を有する臭気対処部をさらに備え、
　前記制御部は、前記臭気センサにより検出された臭気データに基づいて前記臭気対処部による芳香又は消臭を制御する、
上記（１）乃至（１６）のいずれかに記載の情報処理装置。
（１８）前記制御部は、前記ユーザのコンテキストに基づいて、前記臭気センサにより検出された臭気データに基づいて前記臭気対処部による芳香又は消臭を制御する、
上記（１）乃至（１７）のいずれかに記載の情報処理装置。
（１８－１）温度を制御可能な温度制御部をさらに備え、
　前記制御部は、前記センサにより検出されたセンサデータ、又は前記ユーザのコンテキストに基づいて、前記温度制御部を制御する、
上記（１）乃至（１８）のいずれかに記載の情報処理装置。
（１９）センサと、外部と無線通信する通信部と、前記センサ及び前記通信部を制御する制御部と、前記センサ、前記通信部、及び前記制御部のうち少なくとも１つに対して電源を供給する電源部と、前記センサ、前記通信部、前記制御部、及び前記電源部のうち少なくとも１つを収納する筐体部と、前記筐体部をユーザに固定する貼着部と、前記貼着部における前記ユーザと前記筐体との貼着状態を検出する貼着センサを具備する情報処理装置の制御方法であって、
　前記貼着センサによる検出結果を取得するステップと、
　前記検出結果に基づいて、前記貼着部が前記ユーザから剥がれ又は剥がれる直前であるかどうかを判別するステップと、
　前記貼着部が前記ユーザから剥がれ又は剥がれる直前であるときに、前記通信部を介して所定信号を外部に無線送信するステップと、
を有する情報処理装置の制御方法。
（２０）センサと、外部と無線通信する通信部と、前記センサ及び前記通信部を制御する制御部と、前記センサ、前記通信部、及び前記制御部のうち少なくとも１つに対して電源を供給する電源部と、前記センサ、前記通信部、前記制御部、及び前記電源部のうち少なくとも１つを収納する筐体部と、前記筐体部をユーザに固定する貼着部と、前記貼着部における前記ユーザと前記筐体との貼着状態を検出する貼着センサを具備する情報処理装置を制御するためのコンピュータ・プログラムを記録する記録媒体であって、前記コンピュータ・プログラムは、
　前記貼着センサによる検出結果を取得するステップと、
　前記検出結果に基づいて、前記貼着部が前記ユーザから剥がれ又は剥がれる直前であるかどうかを判別するステップと、
　前記貼着部が前記ユーザから剥がれ又は剥がれる直前であるときに、前記通信部を介して所定信号を外部に無線送信するステップと、
をコンピュータに実行させるようにコンピュータ可読形式で記述される、記録媒体。

　１００…貼着型デバイス
　１０１…電気部、１０２…筐体部
　１０３…貼着部、１０４…体液処理部
　５００…基板、５０１…収音センサ、５０２…制御部
　５０３…チップ・アンテナ、５０４…電源部
　７１０…センサ部
　７１１…第１のセンサ部、７１２…第２のセンサ部
　７２０…アクチュエータ部
　７２１…第１のアクチュエータ部、７２２…第２のアクチュエータ部
　７３０…通信部
　１４００…貼着型デバイス、１４０１…撮像部、１４０２…露光制御部
　１４０３…筋電位計測部、１４０４…無線通信部、１４０５…同期部
　１４０６…貼着センサ、１４０７…制御部、１４０８…電源部
　１４０９…眼輪筋センサ
　１４１０…ホストデバイス、１４１１、１４１２…無線通信部
　１４１３…貼着位置推定部、１４１４…眼球位置推定部
　１４１５…コマンド・ジェスチャー認識部、１４１６…通信部
　１５００…遠隔デバイス、１５０１…受信部、１５０２…表示部
　１６００…貼着型デバイス（遠隔ユーザ用）
　１６０１…無線通信部、１６０２…眼輪筋アクチュエータ
　１７００…貼着型デバイス
　１７１０…貼着部、１７２０…本体部、１７２１…貼着センサ
　１７２２…電源部、１７２３…制御部、１７２４…生体センサ
　１７２５…臭気センサ、　１７２６…体温制御部、１７２７…消臭部
　１７２８…芳香部、１７２９…無線通信部
　１７５０…ホストデバイス、１７５１…無線通信部
　１７５２…行動管理部、１７５３…環境計測部、１７５４…制御部

Claims

　センサと、
　外部と無線通信する通信部と、
　前記センサ及び前記通信部を制御する制御部と、
　前記センサ、前記通信部、及び前記制御部のうち少なくとも１つに対して電源を供給する電源部と、
　前記センサ、前記通信部、前記制御部、及び前記電源部のうち少なくとも１つを収納する筐体部と、
　前記筐体部をユーザに固定する貼着部と、
　前記貼着部における前記ユーザと前記筐体との貼着状態を検出する貼着センサと、
を具備し、
　前記制御部は、前記貼着センサにより検出される前記貼着状態に応じて、前記通信部における通信動作を制御する、
情報処理装置。
　前記制御部は、前記貼着部が前記ユーザから剥がれ又は剥がれる直前であることを前記貼着センサが検出したことに応じて、前記通信部を介して所定信号を外部に無線送信するように制御する、
請求項１に記載の情報処理装置。
　前記通信部を介して無線通信するホストデバイスをさらに備える、
請求項２に記載の情報処理装置。
　前記ホストデバイスは、前記所定信号を受信したことに応答して前記ユーザに対して通知する、
請求項３に記載の情報処理装置。
　前記ホストデバイスは、
　前記センサにより検出されたセンサデータに基づいて前記ユーザの認証処理を行うことが可能で、
　前記所定信号を受信したことにより前記認証処理によるユーザ認証を解除する、
請求項３に記載の情報処理装置。
　前記情報処理装置の内部情報を記憶する記憶部をさらに備え、
　前記制御部は、前記貼着部が前記ユーザから剥がれ又は剥がれる直前であることを前記貼着センサが検出したことに応じて、前記記憶部に記憶された所定の情報を初期化又は削除する、
請求項１に記載の情報処理装置。
　前記記憶部は、前記情報処理装置の機器情報を記憶し、
　前記制御部は、前記貼着部が前記ユーザから剥がれ又は剥がれる直前であることを前記貼着センサが検出したことに応じて、前記記憶部に記憶された前記機器情報を初期化又は削除する、
請求項６に記載の情報処理装置。
　前記記憶部は、前記センサにより検出されたセンサデータを記憶し、
　前記制御部は、前記貼着部が前記ユーザから剥がれ又は剥がれる直前であることを前記貼着センサが検出したことに応じて、前記記憶部に記憶された前記センサデータを初期化又は削除する、
請求項６に記載の情報処理装置。
　前記情報処理装置の使用前には、前記貼着部は剥離紙で表面が保護されており、
　前記剥離紙が前記貼着部から剥がされたことに応じて起動する、
請求項１に記載の情報処理装置。
　前記剥離紙は、前記電源部を絶縁する舌片状の非導電部を備え、
　前記剥離紙が前記貼着部から剥がされると、前記非導電部が外れて前記電源部が導電状態になる、
請求項９に記載の情報処理装置。
　前記制御部は、前記剥離紙が前記貼着部から剥がされたことを前記貼着センサにより検出されたことに応じて、前記情報処理装置を起動させる、
請求項９に記載の情報処理装置。
　前記センサは、撮像機能を有する撮像センサを含み、
　前記筐体部が前記ユーザの眼球付近に貼着され、前記撮像センサは前記ユーザの視界の少なくとも一部に対応する画像を撮像する、
請求項１に記載の情報処理装置。
　前記筐体部が前記ユーザの左右いずれか一方の眼球付近に貼着され、
　前記ユーザの他方の眼球付近に貼着された他の情報処理装置との間で共有される同一の同期信号を付与して、前記撮像センサにより撮像された撮像データを前記通信部から無線送信する、
請求項１２に記載の情報処理装置。
　前記センサは、前記ユーザの生体信号を検出する生体センサを含み、
　前記生体センサにより検出された生体信号に前記同期信号を付与して前記通信部から無線送信する、
請求項１３に記載の情報処理装置。
　前記情報処理装置及び前記他の情報処理装置の各々から撮像データを受信するホストデバイスをさらに備え、
　前記ホストデバイスは、受信した撮像データに基づいて前記情報処理装置及び前記他の情報処理装置の各貼着位置を推定して、一方の撮像データの視野角や中心位置が他方の撮像データと一致するように画像補正を行う、
請求項１３に記載の情報処理装置。
　前記センサは、前記ユーザの眼球周辺の筋電位を検出する筋電位センサを含み、
　前記ホストデバイスは、前記情報処理装置及び前記他の情報処理装置から受信した筋電位データに基づいて、前記ユーザの注視点を検出する、
請求項１５に記載の情報処理装置。
　前記センサは、臭気センサを含み、
　芳香又は消臭のうち少なくとも１つの機能を有する臭気対処部をさらに備え、
　前記制御部は、前記臭気センサにより検出された臭気データに基づいて前記臭気対処部による芳香又は消臭を制御する、
請求項１に記載の情報処理装置。
　前記制御部は、前記ユーザのコンテキストに基づいて、前記臭気センサにより検出された臭気データに基づいて前記臭気対処部による芳香又は消臭を制御する、
請求項１に記載の情報処理装置。
　センサと、外部と無線通信する通信部と、前記センサ及び前記通信部を制御する制御部と、前記センサ、前記通信部、及び前記制御部のうち少なくとも１つに対して電源を供給する電源部と、前記センサ、前記通信部、前記制御部、及び前記電源部のうち少なくとも１つを収納する筐体部と、前記筐体部をユーザに固定する貼着部と、前記貼着部における前記ユーザと前記筐体との貼着状態を検出する貼着センサを具備する情報処理装置の制御方法であって、
　前記貼着センサによる検出結果を取得するステップと、
　前記検出結果に基づいて、前記貼着部が前記ユーザから剥がれ又は剥がれる直前であるかどうかを判別するステップと、
　前記貼着部が前記ユーザから剥がれ又は剥がれる直前であるときに、前記通信部を介して所定信号を外部に無線送信するステップと、
を有する情報処理装置の制御方法。
　センサと、外部と無線通信する通信部と、前記センサ及び前記通信部を制御する制御部と、前記センサ、前記通信部、及び前記制御部のうち少なくとも１つに対して電源を供給する電源部と、前記センサ、前記通信部、前記制御部、及び前記電源部のうち少なくとも１つを収納する筐体部と、前記筐体部をユーザに固定する貼着部と、前記貼着部における前記ユーザと前記筐体との貼着状態を検出する貼着センサを具備する情報処理装置を制御するためのコンピュータ・プログラムを記録する記録媒体であって、前記コンピュータ・プログラムは、
　前記貼着センサによる検出結果を取得するステップと、
　前記検出結果に基づいて、前記貼着部が前記ユーザから剥がれ又は剥がれる直前であるかどうかを判別するステップと、
　前記貼着部が前記ユーザから剥がれ又は剥がれる直前であるときに、前記通信部を介して所定信号を外部に無線送信するステップと、
をコンピュータに実行させるようにコンピュータ可読形式で記述される、記録媒体。