WO2019064857A1 - 傾斜車両 - Google Patents

Abstract

本発明の目的は、傾斜車両の大型化を抑制しつつ後方積載荷物の積載量を増加させることである。　傾斜車両（１）は、シート後端（ＳＢ）から後輪アクスル（４１４）までの距離をＬ１と定義し、シート後端（ＳＢ）からホイールベース中央（ＷＢＣ）までの距離をＬ２と定義し、シート後端（ＳＢ）から積載部中央（ＢＣ）までの距離をＬ３と定義し、シート後端（ＳＢ）から積載部（８５）の前端までの距離をＬ４と定義し、ライダー専用シングルシート（２４）において着座面前端（ＳＦＦ）からヒップポイント（ＨＰ）までの距離をＬ５と定義したときに、式（ａ）、式（ｂ）及び式（ｃ）が成立する。Ｌ１＜Ｌ２・・・（ａ）、Ｌ３＜Ｌ２・・・（ｂ）、Ｌ４＜Ｌ５・・・（ｃ）

Description

傾斜車両

　本発明は、右前輪、左前輪及び後輪を備える傾斜車両に関する。

　従来の傾斜車両に関する発明としては、例えば、特許文献１及び特許文献２に記載の三輪車両が知られている。これらの三輪車両は、ハンドル、車体フレーム、左前輪、右前輪及び後輪を備える。ライダーは、ハンドルを操作することにより、三輪車両を上方から見たときに左前輪及び右前輪を反時計回りに回転させる。更に、ライダーは、車体フレームを三輪車両における左方に傾斜させる。これにより、三輪車両は左方に旋回する。また、ライダーは、ハンドルを操作することにより、三輪車両を上方から見たときに左前輪及び右前輪を時計回りに回転させる。更に、ライダーは、車体フレームを三輪車両における右方に傾斜させる。これにより、三輪車両は右方に旋回する。

特開２００５－２４７３０３号公報 米国特許第８８１４１８６号明細書

　ところで、特許文献１及び特許文献２に記載の三輪車両をビジネスや通勤等に用いる際に、荷物を積載したいという要望が高まっている。

　そこで、本発明の目的は、左前輪、右前輪、後輪、及び、左前輪のアクスルを右前輪のアクスルより車体フレームにおける上方に位置させることにより車体フレームを傾斜車両における左方に傾斜させ、右前輪のアクスルを左前輪のアクスルより車体本体における上方に位置させることにより車体本体を傾斜車両における右方に傾斜させるリンク機構を備える傾斜車両において、傾斜車両の大型化を抑制しつつ後方積載荷物の積載量を増加させることである。後方積載荷物は、後輪近傍上に積載される荷物である。

　本願発明者は、左前輪、右前輪、後輪及びリンク機構を備えた傾斜車両において、利便性を高めるために、パッセンジャーシートの傾斜車両における後方に設けられた積載部を増大することを検討した。ただし、単純に積載部が増大すると、傾斜車両の後部が後方に延びる、又は、傾斜車両の後部が左右方向に広がる。その結果、傾斜車両が大きくなってしまう。

　そこで、本願発明者は、既に提案されている傾斜車両の積載部を改良して増大するという技術思想とは異なる技術思想で検討した。具体的には、本願発明者は、積載部を増大させることを優先して、左前輪、右前輪、後輪、リンク機構、シート及び積載部のレイアウトを新たに構築するという技術思想で検討した。

　まず、本願発明者は、左前輪、右前輪及び後輪を備える傾斜車両の積載部を増大させるために、この傾斜車両の重量配分を調べた。すると、左前輪、右前輪及び後輪を備える傾斜車両の重量配分において左前輪及び右前輪が占める割合の合計は、１つの前輪及び１つの後輪を備える傾斜車両の重量配分において前輪が占める割合より大きいことが分かった。そこで、本願発明者は、重量配分において左前輪及び右前輪が占める割合の合計が大きな傾斜車両では、どのように荷物を積載することが好ましいのかを検討した。

　左前輪、右前輪及び後輪を備える傾斜車両では、前記の通り、重量配分において左前輪及び右前輪が占める割合の合計が大きい。換言すれば、左前輪、右前輪及び後輪を備える傾斜車両では、重量配分において後輪が占める割合が小さい。そこで、本願発明者は、後輪近傍上に荷物（以下、後方積載荷物）を積載して、重量配分において後輪が占める割合を増加させてもよいことに気付いた。

　ところで、傾斜車両では、後方積載荷物を積載している状態（積載状態）と後方積載荷物を積載していない状態（非積載状態）とが存在する。重量配分において左前輪及び右前輪が占める割合（以下、前重量配分）と重量配分において後輪が占める割合（以下、後重量配分）とを積載状態及び非積載状態との間において大きく変化させたくない場合がある。このような場合、積載状態と非積載状態との間において前重量配分と後重量配分とが大きく変化しない位置に後方積載荷物が積載されることが望ましい。そこで、本願発明者は、後方積載荷物が積載される位置について検討した。

　前記の通り、傾斜車両では、後輪近傍上に後方積載荷物が積載される。そのため、積載状態と非積載状態との間において、後輪に加わる重量が変動する。ただし、本願発明者は、積載状態と非積載状態との間における後輪に加わる重量の変動率を低減することによって、前重量配分と後重量配分とが大きく変化することを抑制できると考えた。そこで、本願発明者は、以下に説明するように、ライダーの重量が後輪により多く加わるように、傾斜車両においてシートを配置すればよいと考えた。

　例えば、６０ｋｇの体重を有するライダーが傾斜車両のシートに着座した場合を例に挙げて説明する。第１例では、２０ｋｇの重量が左前輪及び右前輪に加わり、４０ｋｇの重量が後輪に加わる傾斜車両を想定する。第２例では、５ｋｇの重量が左前輪及び右前輪に加わり、５５ｋｇの重量が後輪に加わる傾斜車両を想定する。第１例では、２０ｋｇの後方積載荷物が積載されると、後輪に加わる重量は、５０％増加する。第２例では、２０ｋｇの後方積載荷物が積載されると、後輪に加わる重量は、３６％増加する。このように、後輪に加わるライダーの重量が多くなるほどに、積載状態と非積載状態との間における後輪に加わる重量の変動率が低減される。そこで、本願発明者は、積載状態と非積載状態との間において前重量配分と後重量配分とが大きく変化することを抑制するためには、ライダーが着座するシートを後輪の近くに配置すればよいと考えた。

　本願発明者は、以上のように積載状態と非積載状態との間において前重量配分と後重量配分とが大きく変化することが抑制された傾斜車両において、傾斜車両を大型化することなく、より多くの後方積載荷物を積載する手法について検討した。そこで、本願発明者は、ビジネス用途及び通勤用途の傾斜車両の使用態様を検討した。本願発明者は、ビジネス用途及び通勤用途の傾斜車両では、ライダーのみが乗車し、パッセンジャーが乗車しないケースが多いことに気が付いた。そこで、本願発明者は、ライダー専用シングルシートを配置すると共に、ライダー専用シングルシートの後方に後方積載荷物の積載部を配置することを思い付いた。

　本発明は、上述した課題を解決するために、以下の構成を採用する。

（１）傾斜車両であって、
　左旋回時に前記傾斜車両における左方に傾斜し、右旋回時に前記傾斜車両における右方に傾斜する車体フレームと、
　前記車体フレームにおける左右方向の中央より前記車体フレームにおける左方に配置され、左前輪アクスルを中心として回転できる左前輪と、
　前記車体フレームにおける左右方向の中央より前記車体フレームにおける右方に配置され、右前輪アクスルを中心として回転できる右前輪と、
　前記左前輪及び前記右前輪を支持するリンク機構であって、前記左前輪アクスルを前記右前輪アクスルより前記車体フレームにおける上方に位置させることにより、左旋回時に前記車体フレームを前記傾斜車両における左方に傾斜させ、前記右前輪アクスルを前記左前輪アクスルより前記車体フレームにおける上方に位置させることにより、右旋回時に前記車体フレームを前記傾斜車両における右方に傾斜させる前記リンク機構と、
　前記左前輪及び前記右前輪より前記車体フレームにおける後方に配置され、後輪アクスルを中心として回転できる後輪であって、左旋回時に前記車体フレームと共に前記傾斜車両における左方に傾斜し、右旋回時に前記車体フレームと共に前記傾斜車両における右方に傾斜する前記後輪と、
　前記左前輪及び前記右前輪を操舵する操舵機構と、
　前記車体フレームに支持され、かつ、前記操舵機構を操舵するライダーのみが着座するライダー専用シングルシートと、
　前記ライダー専用シングルシートより前記車体フレームにおける後方に配置され、かつ、積載部上に後方積載荷物が積載される前記積載部と、
　を備え、
　前記ライダー専用シングルシートの後端から前記後輪アクスルまでの前記車体フレームにおける前後方向の距離をＬ１と定義し、
　前記ライダー専用シングルシートの後端から前記左前輪アクスル又は前記右前輪アクスルと前記後輪アクスルとの前記車体フレームにおける前後方向の中央に位置するホイールベース中央までの前記車体フレームにおける前後方向の距離をＬ２と定義し、
　前記ライダー専用シングルシートの後端から前記積載部の前記車体フレームにおける前後方向の中央までの前記車体フレームにおける前後方向の距離をＬ３と定義し、
　前記ライダー専用シングルシートの後端から前記積載部の前端までの前記車体フレームにおける前後方向の距離をＬ４と定義し、
　前記ライダー専用シングルシートにおいて前記ライダーが着座できる着座面の前端から前記ライダー専用シングルシートに着座した前記ライダーのヒップポイントまでの前記車体フレームにおける前後方向の距離をＬ５と定義し、
　前記リンク機構が前記左前輪アクスルと前記右前輪アクスルとを前記車体フレームにおける上下方向の同じ位置に位置させ、かつ、前記左前輪、前記右前輪及び前記後輪が地面に接触した状態において、式（ａ）、式（ｂ）及び式（ｃ）が成立する。
Ｌ１＜Ｌ２・・・（ａ）
Ｌ３＜Ｌ２・・・（ｂ）
Ｌ４＜Ｌ５・・・（ｃ）

　（１）の傾斜車両によれば、積載状態と非積載状態との間における後輪に加わる重量の変動率が低減される。より詳細には、（１）の傾斜車両において、リンク機構が左前輪アクスルと右前輪アクスルとを車体フレームにおける上下方向の同じ位置に位置させ、かつ、左前輪、右前輪及び後輪が地面に接触した状態とは、車体フレームが直立状態であることを意味する。（１）の傾斜車両では、車体フレームが直立状態であるときに、ライダー専用シングルシートの後端から後輪アクスルまでの車体フレームにおける前後方向の距離Ｌ１は、ライダー専用シングルシートの後端からホイールベース中央までの車体フレームにおける前後方向の距離Ｌ２より短い。すなわち、ライダー専用シングルシートの後端がホイールベースの後ろ半分に位置するようになるので、ライダー専用シングルシートが後輪アクスルの近くに位置するようになる。これにより、ライダー専用シングルシートに着座するライダーの重心が後輪アクスルの近くに位置するようになる。

　また、（１）の傾斜車両では、車体フレームが直立状態であるときに、ライダー専用シングルシートの後端から積載部の車体フレームにおける前後方向の中央までの車体フレームにおける前後方向の距離Ｌ３は、ライダー専用シングルシートの後端からホイールベース中央までの車体フレームにおける前後方向の距離Ｌ２より短い。すなわち、ライダー専用シングルシートが積載部の近くに位置している。これにより、ライダー専用シングルシートに着座するライダーの重心が積載部に積載される後方積載荷物の重心の近くに位置するようになる。前記の通り、ライダー専用シングルシートに着座するライダーの重心が後輪アクスルの近くに位置するので、積載部に積載される後方積載荷物の重心も後輪アクスルの近くに位置する。

　以上のように、（１）の傾斜車両では、ライダー専用シングルシートに着座するライダーの重心及び積載部に積載される後方積載荷物の重心が後輪アクスルの近くに位置している。これにより、ライダー及び後方積載荷物の重量の大部分が後輪に加わるようになる。その結果、積載状態と非積載状態との間における後輪に加わる重量の変動率が低減される。

　また、（１）の傾斜車両によれば、傾斜車両の大型化を抑制しつつ後方積載荷物の積載量を増加させることができる。より詳細には、ライダー専用シングルシートの後端から積載部の前端までの車体フレームにおける前後方向の距離Ｌ４は、ライダー専用シングルシートにおいてライダーが着座できる着座面の前端からライダー専用シングルシートに着座したライダーのヒップポイントまでの車体フレームにおける前後方向の距離Ｌ５より短い。着座面の前端からライダー専用シングルシートに着座したライダーのヒップポイントまでの車体フレームにおける前後方向の距離Ｌ５とは、１人の人間が着座できるスペースに相当する。そのため、（１）の傾斜車両では、ライダー専用シングルシートの後端から積載部の前端までの間には、１人の人間が着座できるスペースが存在しない。これにより、ライダー専用シングルシートの後端の車体フレームにおける後方には、無駄なスペースが殆ど配置されることなく、積載部が配置されている。その結果、（１）の傾斜車両では、傾斜車両を大型化することなく、より多くの後方積載荷物を積載することが可能となる。

　（２）　（１）の傾斜車両であって、
　前記車体フレームは、リンク支持部を含み、
　前記リンク機構は、前記左前輪及び前記右前輪より前記車体フレームにおける上方に配置され、前記リンク支持部の上部に上クロス部材の中間部が回転可能に支持される前記上クロス部材と、前記上クロス部材より前記車体フレームにおける下方かつ前記左前輪及び前記右前輪より前記車体フレームにおける上方に配置され、前記リンク支持部の下部に下クロス部材の中間部が回転可能に支持される前記下クロス部材と、左サイド部材の上部が前記上クロス部材の左部に回転可能に支持され、前記左サイド部材の下部が前記下クロス部材の左部に回転可能に支持される前記左サイド部材と、右サイド部材の上部が前記上クロス部材の右部に回転可能に支持され、前記右サイド部材の下部が前記下クロス部材の右部に回転可能に支持される前記右サイド部材と、を含み、
　前記左前輪は、前記左サイド部材に支持され、
　前記右前輪は、前記右サイド部材に支持される。

　（２）の傾斜車両によれば、パラレロリンクグラム方式のリンク機構を備える傾斜車両において、傾斜車両を大型化することなく、より多くの後方積載荷物を積載することが可能となる。

　（３）　（１）又は（２）のいずれかの傾斜車両であって、
　前記ライダー専用シングルシートの前記車体フレームにおける下方には収納空間が設けられており、
　前記ライダー専用シングルシートは、前記収納空間が前記傾斜車両の外部に露出しない閉状態と前記収納空間が前記傾斜車両の外部に露出する開状態とを取ることができる。

　（３）の傾斜車両によれば、ライダー専用シングルシートの車体フレームにおける下方には収納空間が設けられているので、収納空間にも収納荷物を収納することができる。

　（４）　（１）から（３）のいずれかの傾斜車両であって、
　前記ライダー専用シングルシートの前記車体フレームにおける前後方向の長さは、前記ホイールベース中央から前記後輪アクスルまでの前記車体フレームにおける前後方向の距離より短い。

　（４）の傾斜車両によれば、ライダー専用シングルシートの車体フレームにおける前後方向の長さが短いので、ライダーのみがライダー専用シングルシートに着座することができ、パッセンジャーがライダー専用シングルシートに着座することができない。

　（５）　（１）から（４）のいずれかの傾斜車両であって、
　前記傾斜車両は、
　前記後輪を回転させるための駆動力を発生し、クランク軸を有するエンジンを、
　更に備え、
　前記ライダー専用シングルシートは、前記エンジンを前記車体フレームにおける左方又は右方から見たときに、前記クランク軸の回転の中心軸の前記車体フレームにおける上方に配置されている。

　（５）の傾斜車両によれば、ライダー専用シングルシートに着座するライダーの重心が後輪アクスルの近くに位置するようになる。より詳細には、（５）の傾斜車両では、エンジンを車体フレームにおける左方又は右方から見たときに、ライダー専用シングルシートは、パワーユニットであるエンジンのクランク軸の回転の中心軸の車体フレームにおける上方に配置されている。従って、ライダー専用シングルシートとパワーユニットとの車体フレームにおける前後方向の距離が短い。パワーユニットは、後輪の近傍に配置されている。そのため、ライダー専用シングルシートと後輪アクスルとの車体フレームにおける前後方向の距離が短い。よって、（５）の傾斜車両では、ライダー専用シングルシートに着座するライダーの重心が後輪アクスルの近くに位置するようになる。

　この発明の上述の目的及びその他の目的、特徴、局面及び利点は、添付図面に関連して行われる以下のこの発明の実施形態の詳細な説明から一層明らかとなろう。

　本明細書にて使用される場合、用語「及び／又は（ａｎｄ／ｏｒ）」は１つの、又は複数の関連した列挙されたアイテム（ｉｔｅｍｓ）のあらゆる又は全ての組み合わせを含む。

　本明細書中で使用される場合、用語「含む、備える（ｉｎｃｌｕｄｉｎｇ）」、「含む、備える（ｃｏｍｐｒｉｓｉｎｇ）」又は「有する（ｈａｖｉｎｇ）」及びその変形の使用は、記載された特徴、工程、操作、要素、成分及び／又はそれらの等価物の存在を特定するが、ステップ、動作、要素、コンポーネント、及び／又はそれらのグループのうちの１つ又は複数を含むことができる。

　他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語（技術用語及び科学用語を含む）は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。

　一般的に使用される辞書に定義された用語のような用語は、関連する技術及び本開示の文脈における意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明示的に定義されていない限り、理想的又は過度に形式的な意味で解釈されることはない。

　本発明の説明においては、技術及び工程の数が開示されていると理解される。これらの各々は個別の利益を有し、それぞれは、他の開示された技術の１つ以上、又は、場合によっては全てと共に使用することもできる。従って、明確にするために、この説明は、不要に個々のステップの可能な組み合わせの全てを繰り返すことを控える。それにもかかわらず、明細書及び特許請求の範囲は、そのような組み合わせが全て本発明及び特許請求の範囲内にあることを理解して読まれるべきである。

　以下の説明では、説明の目的で、本発明の完全な理解を提供するために多数の具体的な詳細を述べる。しかしながら、当業者には、これらの特定の詳細なしに本発明を実施できることが明らかである。本開示は、本発明の例示として考慮されるべきであり、本発明を以下の図面又は説明によって示される特定の実施形態に限定することを意図するものではない。

　本発明によれば、左前輪、右前輪、後輪、及び、左前輪のアクスルを右前輪のアクスルより車体フレームにおける上方に位置させることにより車体フレームを傾斜車両における左方に傾斜させ、右前輪のアクスルを左前輪のアクスルより車体本体における上方に位置させることにより車体本体を傾斜車両における右方に傾斜させるリンク機構を備える傾斜車両において、傾斜車両の大型化を抑制しつつ後方積載荷物の積載量を増加させることができる。

図１は、車体フレーム２１が直立状態である傾斜車両１を車体フレーム２１における左方から見た図である。 図２は、車体フレーム２１が直立状態である傾斜車両１の前部を車体フレーム２１における前方から見た図である。 図３は、車体フレーム２１が直立状態である傾斜車両１の前部を上方ｕから見た図である。 図４は、傾斜車両１を左転舵させた状態の傾斜車両１の前部を上方ｕから見た図である。 図５は、車体フレーム２１が左方Ｌに傾斜した状態の傾斜車両１の前部を前方ｆから見た図である。 図６は、傾斜車両１を上方ｕから見た図である。 図７は、車体フレーム２１が直立状態である傾斜車両１を左方ｌから見た図である。 図８は、傾斜車両１ａを左方ｌから見た模式図である。 図９は、傾斜車両１ｂを左方ｌから見た模式図である。 図１０は、傾斜車両１ｃのライダー専用シングルシート２４及び積載機構８０を上方ｕから見た模式図である。

［全体構成］
　以下、一実施形態に係る傾斜車両１の全体構成について図１及び図２を参照しながら説明する。本実施形態では、傾斜車両１の一例として、傾斜可能な車体フレームと２つの前輪と１つの後輪を有する三輪車両を例示する。図１は、車体フレーム２１が直立状態である傾斜車両１を車体フレーム２１における左方から見た図である。図２は、車体フレーム２１が直立状態である傾斜車両１の前部を車体フレーム２１における前方から見た図である。図２では、車体カバー２２を透過させた状態で図示している。以下では、傾斜車両１における前方を前方Ｆと呼ぶ。傾斜車両１における後方を後方Ｂと呼ぶ。傾斜車両１における左方を左方Ｌと呼ぶ。傾斜車両１における右方を右方Ｒと呼ぶ。傾斜車両１における上方を上方Ｕと呼ぶ。傾斜車両１における下方を下方Ｄと呼ぶ。傾斜車両１における前後方向を前後方向ＦＢと呼ぶ。傾斜車両１における左右方向を左右方向ＬＲと呼ぶ。傾斜車両１における上下方向を上下方向ＵＤと呼ぶ。傾斜車両１における前方とは、傾斜車両１の進行方向である。傾斜車両１における後方とは、傾斜車両１の進行方向の反対方向である。傾斜車両１における左方とは、傾斜車両１に跨ったライダーを基準として左方である。傾斜車両１における右方とは、傾斜車両１に跨ったライダーを基準として右方である。傾斜車両１における上方とはそれぞれ、傾斜車両１に跨ったライダーを基準として上方である。傾斜車両１における下方とはそれぞれ、傾斜車両１に跨ったライダーを基準として下方である。

　また、傾斜車両１では、車体フレーム２１が左方Ｌ又は右方Ｒに傾斜できる。車体フレーム２１が左方Ｌ又は右方Ｒに傾斜した場合には、車体フレーム２１における上下方向及び左右方向はそれぞれ、傾斜車両１における上下方向ＵＤ及び左右方向ＬＲと一致しない。一方、直立状態の車体フレーム２１における上下方向及び左右方向はそれぞれ、傾斜車両１における上下方向ＵＤ及び左右方向ＬＲと一致する。以下では、車体フレーム２１における前方を前方ｆと呼ぶ。車体フレーム２１における後方を後方ｂと呼ぶ。車体フレーム２１における左方を左方ｌと呼ぶ。車体フレーム２１における右方を右方ｒと呼ぶ。車体フレーム２１における上方を上方ｕと呼ぶ。車体フレーム２１における下方を下方ｄと呼ぶ。車体フレーム２１における前後方向を前後方向ｆｂと呼ぶ。車体フレーム２１における左右方向を左右方向ｌｒと呼ぶ。車体フレーム２１における上下方向を上下方向ｕｄと呼ぶ。

　以下では、構成の上端とは、構成の上方の端を意味する。構成の下端とは、構成の下方の端を意味する。構成の前端とは、構成の前方の端を意味する。構成の後端とは、構成の後方の端を意味する。構成の左端とは、構成の左方の端を意味する。構成の右端とは、構成の右方の端を意味する。構成の上端部とは、構成の上端及びその近傍を意味する。構成の下端部とは、構成の下端及びその近傍を意味する。構成の前端部とは、構成の前端及びその近傍を意味する。構成の後端部とは、構成の後端及びその近傍を意味する。構成の左端部とは、構成の左端及びその近傍を意味する。構成の右端部とは、構成の右端及びその近傍を意味する。構成とは、傾斜車両１及び傾斜車両１を構成する部材を意味する。

　なお、前後方向に延びる軸や部材は、必ずしも前後方向と平行である軸や部材だけを示すものではない。前後方向に延びる軸や部材とは、前後方向に対して±４５°の範囲で傾斜している軸や部材のことである。同様に、上下方向に延びる軸や部材とは、上下方向に対して±４５°の範囲で傾斜している軸や部材のことである。左右方向に延びる軸や部材とは、左右方向に対して±４５°の範囲で傾斜している軸や部材のことである。また、車体フレーム２１の直立状態とは、ライダーが乗車せず、傾斜車両１に燃料を搭載していない状態であって、前輪が転舵も傾斜もしていない状態を意味する。

　また、本明細書において、第１部材が第２部材に支持されているとは、第１部材が第２部材に対して移動不可能に第２部材に取り付けられている（すなわち、固定されている）場合、及び、第１部材が第２部材に対して移動可能に第２部材に取り付けられている場合を含む。また、第１部材が第２部材に支持されているとは、第１部材が第２部材に直接に取り付けられている場合、及び、第１部材が第３部材を介して第２部材に取り付けられている場合の両方を含む。

　傾斜車両１は、図１に示すように、車両本体部２、左前輪３１（図２参照）、右前輪３２（図２参照）、後輪４、リンク機構５及び操舵機構７を備えている。車両本体部２は、車体フレーム２１、車体カバー２２、ライダー専用シングルシート２４及びパワーユニット２５を含んでいる。

　車体フレーム２１は、左旋回時に左方Ｌに傾斜する。車体フレーム２１は、右旋回時に右方Ｒに傾斜する。車体フレーム２１は、ヘッドパイプ２１１、ダウンフレーム２１２、アンダーフレーム２１４及びリアフレーム２１５を含んでいる。図１では、車体フレーム２１の内、車体カバー２２に隠れた部分は破線で示している。車体フレーム２１は、ライダー専用シングルシート２４やパワーユニット２５等を支持している。

　ヘッドパイプ２１１は、傾斜車両１の前部に配置されている。傾斜車両１の前部とは、傾斜車両１においてライダー専用シングルシート２４の前端より前方ｆに位置する部分である。傾斜車両１の後部とは、傾斜車両１においてライダー専用シングルシート２４の前端より後方ｂに位置する部分である。ヘッドパイプ２１１は、車体フレーム２１を左方ｌ又は右方ｒから見たときに、ヘッドパイプ２１１の下端部よりヘッドパイプ２１１の上端部が後方ｂに位置するように、上下方向ｕｄに対して傾斜して配置されている。操舵機構７及びリンク機構５は、ヘッドパイプ２１１の周囲に配置されている。操舵機構７のステアリングシャフト６０は、ヘッドパイプ２１１に回転可能に挿入されている。リンク機構５は、ヘッドパイプ２１１に支持されている。

　ダウンフレーム２１２は、ヘッドパイプ２１１より後方ｂに配置されている。ダウンフレーム２１２は、上下方向ｕｄに延びる円筒形状を有している。ダウンフレーム２１２の上端部は、ヘッドパイプ２１１の下端部の後方ｂに位置する。また、ダウンフレーム２１２の上端部は、ヘッドパイプ２１１の下端部に図示しない接続部により固定されている。

　アンダーフレーム２１４は、ダウンフレーム２１２の下端部から後方ｂかつ上方ｕに延びている。リアフレーム２１５は、アンダーフレーム２１４の後端から後方ｂかつ上方ｕに延びている。

　車体フレーム２１は、車体カバー２２によって覆われている。車体カバー２２は、フロントカバー２２１、左右一対のフロントフェンダー２２３及びレッグシールド２２５を含んでいる。フロントカバー２２１は、ライダー専用シングルシート２４の前方ｆに位置している。フロントカバー２２１は、操舵機構７及びリンク機構５の少なくとも一部を覆っている。

　パワーユニット２５は、エンジン及びミッション装置等を含んでいる。パワーユニット２５は、後述する後輪４を回転させるための駆動力を発生する。エンジンは、クランク軸を有する。クランク軸の回転の中心軸は、左右方向ｌｒに延びる中心軸Ａｘである。

　左前輪３１は、図２に示すように、車体フレーム２１の左右方向ｌｒの中央Ｃ０より左方ｌに配置されている。左前輪３１は、左前輪アクスル３１４を中心として回転できる。右前輪３２は、図２に示すように、車体フレーム２１の左右方向ｌｒの中央Ｃ０より右方ｒに配置されている。右前輪３２は、右前輪アクスル３２４を中心として回転できる。左前輪３１と右前輪３２は、中央Ｃ０に対して左右対称に配置されている。

　フロントフェンダー２２３は、左フロントフェンダー２２７及び右フロントフェンダー２２８を含んでいる。左フロントフェンダー２２７は、左前輪３１の上方ｕに配置されている。右フロントフェンダー２２８は、右前輪３２の上方ｕに配置されている。

　後輪４は、左前輪３１及び右前輪３２より後方ｂに配置されている。後輪４は、後輪アクスル４１４を中心として回転できる。後輪４は、パワーユニット２５が発生する駆動力により回転させられる。

　ライダー専用シングルシート２４は、前後方向ｆｂにおいて左前輪アクスル３１４又は右前輪アクスル３２４と後輪アクスル４１４との間に配置されている。更に、傾斜車両１を左方ｌ又は右方ｒから見たときに、ライダー専用シングルシート２４は、中心軸Ａｘの上方ｕに配置されている。ライダー専用シングルシート２４は、車体フレーム２１に支持されている。ライダー専用シングルシート２４は、後述する操舵機構７を操舵するライダー５００のみが着座するシートである。従って、ライダー専用シングルシート２４の前後方向ｆｂの長さは短く設計される。具体的には、ライダー専用シングルシート２４の前後方向ｆｂの長さＬ１１は、ホイールベース中央ＷＢＣから後輪アクスル４１４までの前後方向ｆｂの長さＬ１２より短い。ホイールベース中央ＷＢＣとは、左前輪アクスル３１４又は右前輪アクスル３２４と後輪アクスル４１４との前後方向ｆｂの中央の点である。

　ライダー専用シングルシート２４は、着座面２４ａ及び背もたれ２４ｂを含んでいる。着座面２４ａは、ライダー５００の臀部を上方ｕに押す領域である。従って、着座面２４ａは、上方ｕを向く平面である。ただし、着座面２４ａは、完全な平面ではなく、実質的に平面であればよい。従って、着座面２４ａは、僅かに湾曲する形状や滑り止めのための小さな凹凸が設けられた形状を有していてもよい。ただし、着座面２４ａの上端と着座面２４ａの下端との間の上下方向ｕｄにおける距離は、５ｃｍ以下である。また、着座面２４ａの法線は、上方ｕと一致していなくてもよい。着座面２４ａの法線とは、着座面２４ａの前端（以下、着座面前端ＳＦＦ）及び着座面２４ａの後端（以下、着座面後端ＳＦＢ）を含み、かつ、左右方向ｌｒに平行な平面の法線である。着座面２４ａの法線は、ライダー５００が着座できる範囲内で上方ｕに対して傾いていてもよい。具体的には、着座面２４ａの法線は、例えば、上方ｕに対して前方に１０°まで傾いていてもよい。

　ここで、着座面前端ＳＦＦ及び着座面後端ＳＦＢについて説明する。ライダー専用シングルシート２４において着座面２４ａの前方ｆには、円弧面Ｓ１が配置されている。着座面前端ＳＦＦは、円弧面Ｓ１の後端とする。また、ライダー専用シングルシート２４において着座面２４ａの後方ｂには、円弧面Ｓ２が配置されている。着座面後端ＳＦＢは、円弧面Ｓ２の前端とする。また、背もたれ２４ｂは、ライダー専用シングルシート２４において円弧面Ｓ２の前端より後方ｂに位置する部分である。背もたれ２４ｂは、ライダー５００の臀部を後方ｂから支持する。

　また、ライダー５００がライダー専用シングルシート２４に着座したときに、ライダー５００の股関節が位置するポイントをヒップポイントＨＰと呼ぶ。ヒップポイントＨＰは、左方ｌから見たときに、ライダー専用シングルシート２４の着座面２４ａの前端から２０ｃｍだけ後方ｂに位置する。

　また、着座面２４ａにはライダー５００のみが着座する。従って、着座面２４ａの前後方向ｆｂの長さは、短く設計される。具体的には、着座面２４ａの前後方向ｆｂの長さは、例えば、２０ｃｍ以上４５ｃｍ以下である。また、ライダー専用シングルシート２４は、１つの着座面２４ａしか含んでおらず、複数の座面を含まない。複数の座面とは、前後方向ｆｂに並ぶ２以上の平面が上下方向ｕｄの異なる位置に配置されることを意味する。２以上の平面の前後方向ｆｂの長さは、１０ｃｍ以上である。背もたれ２４ｂの上面の前後方向の長さは、１０ｃｍより短い。そのため、背もたれ２４ｂの上面は、２以上の平面には含まれない。

　以上のように、ライダー専用シングルシート２４には、パッセンジャーが着座できない。更に、傾斜車両１は、ライダー専用シングルシート２４の他にシートを備えていない。従って、傾斜車両１の乗車定員は、１名である。傾斜車両１の乗車定員については、例えば、傾斜車両１のマニュアルや車検証等により確認することが可能である。

［操舵機構］
　以下に、操舵機構７について図２及び図３を参照しながら説明する。図３は、車体フレーム２１が直立状態である傾斜車両１の前部を上方ｕから見た図である。図３では、車体カバー２２を透過させた状態で図示している。

　操舵機構７は、左前輪３１及び右前輪３２を操舵する。操舵機構７は、図２及び図３に示すように、操舵力伝達機構６、左緩衝装置３３及び右緩衝装置３４を含んでいる。

　左緩衝装置３３は、車体フレーム２１に対して上下方向ｕｄに移動可能に左前輪３１を支持する。左緩衝装置３３は、左下部３３ａ、左上部３３ｂ及び左支持部３３ｃを含んでいる。左下部３３ａは、上下方向ｕｄに延びている。左支持部３３ｃは、左下部３３ａの下端部に配置されている。左支持部３３ｃは、左前輪３１を回転可能に支持している。左前輪３１は、左前輪アクスル３１４を中心軸として回転できる。左前輪アクスル３１４は、左支持部３３ｃから左方ｌに延びている。左上部３３ｂは、上下方向ｕｄに延びている。左上部３３ｂは、左上部３３ｂの下端近傍が左下部３３ａに挿入された状態で、左下部３３ａの上方ｕに配置されている。左上部３３ｂの上端部は、後述する左ブラケット３１７に固定されている。すなわち、左上部３３ｂは、後述する左サイド部材５３に支持されている。

　左緩衝装置３３は、いわゆるテレスコピック式の緩衝装置である。左緩衝装置３３は、例えば、ダンパー及びスプリングの組み合わせにより構成される。左上部３３ｂが左下部３３ａに対して左下部３３ａの延びる方向に相対移動することにより、左緩衝装置３３は、当該方向に伸縮できる。これにより、左緩衝装置３３は、左上部３３ｂに対する左前輪３１の上下方向ｕｄにおける変位を緩衝する。

　右緩衝装置３４は、車体フレーム２１に対して上下方向ｕｄに移動可能に右前輪３２を支持する。右緩衝装置３４は、右下部３４ａ、右上部３４ｂ及び右支持部３４ｃを含んでいる。右下部３４ａは、上下方向ｕｄに延びている。右支持部３４ｃは、右下部３４ａの下端部に配置されている。右支持部３４ｃは、右前輪３２を回転可能に支持している。右前輪３２は、右前輪アクスル３２４を中心軸として回転できる。右前輪アクスル３２４は、右支持部３４ｃから右方ｒに延びている。右上部３４ｂは、上下方向ｕｄに延びている。右上部３４ｂは、右上部３４ｂの下端近傍が右下部３４ａに挿入された状態で、右下部３４ａの上方ｕに配置されている。右上部３４ｂの上端部は、後述する右ブラケット３２７に固定されている。すなわち、右上部３４ｂは、後述する右サイド部材５４に支持されている。

　右緩衝装置３４は、いわゆるテレスコピック式の緩衝装置である。右緩衝装置３４は、例えば、ダンパー及びスプリングの組み合わせにより構成される。右上部３４ｂが右下部３４ａに対して右下部３４ａの延びる方向に相対移動することにより、右緩衝装置３４は、当該方向に伸縮できる。これにより、右緩衝装置３４は、右上部３４ｂに対する右前輪３２の上下方向ｕｄにおける変位を緩衝する。

　操舵力伝達機構６は、左前輪３１及び右前輪３２より上方ｕに配置されている。操舵力伝達機構６は、操舵部材２８、タイロッド６７、左ブラケット３１７、右ブラケット３２７及び中央ブラケット３３７を含んでいる。操舵部材２８は、ライダーの操舵力を入力する部材である。操舵部材２８は、ステアリングシャフト６０及びハンドル２３を含んでいる。ハンドル２３は、ステアリングシャフト６０の上部に連結されている。ステアリングシャフト６０は、車体フレーム２１に回転可能に支持される。ステアリングシャフト６０の下端部は、ステアリングシャフト６０の上端部より前方ｆに位置する。ステアリングシャフト６０の一部は、ヘッドパイプ２１１に挿入されている。また、ステアリングシャフト６０は、上下方向ｕｄに延びている。これにより、ステアリングシャフト６０は、上下方向ｕｄに延びるステアリングシャフト６０の中心軸を中心として回転可能である。ステアリングシャフト６０は、ライダーによるハンドル２３の操作に伴って回転される。中央ブラケット３３７は、ステアリングシャフト６０の下端部に固定されている。よって、中央ブラケット３３７は、ステアリングシャフト６０と共にステアリングシャフト６０の中心軸を中心として回転可能である。

　タイロッド６７は、ハンドル２３の操作によるステアリングシャフト６０の回転を左緩衝装置３３及び右緩衝装置３４に伝達する。タイロッド６７は、左右方向ＬＲに延びる。タイロッド６７の左右方向ＬＲの中央は、中央ブラケット３３７に支持されている。タイロッド６７の左端部は、左ブラケット３１７に支持されている。タイロッド６７の右端部は、右ブラケット３２７に支持されている。

［リンク機構］
　以下に、リンク機構５について図２及び図３を参照しながら説明する。リンク機構５は、パラレログラムリンク方式のリンク機構である。リンク機構５は、ハンドル２３より下方ｄに配置されている。リンク機構５は、車体フレーム２１のヘッドパイプ２１１に支持されている。

　リンク機構５は、上クロス部材５１、下クロス部材５２、左サイド部材５３及び右サイド部材５４を含んでいる。上クロス部材５１、下クロス部材５２、左サイド部材５３及び右サイド部材５４は、車体フレーム２１に対して変位できる複数のリンク部材である。本明細書における変位とは、平行移動による変位、回転移動による変位、並びに、平行移動及び回転移動の組み合わせによる変位を含む。

　上クロス部材５１は、左右方向ＬＲに延びている。上クロス部材５１は、ヘッドパイプ２１１の前方ｆ、かつ、左前輪３１及び右前輪３２より上方ｕに配置されている。上クロス部材５１は、支持部Ｃによりヘッドパイプ２１１に支持されている。支持部Ｃは、上クロス部材５１の中間部、及び、ヘッドパイプ２１１の上部に位置する。上クロス部材５１の左部とは、上クロス部材５１を左右方向ＬＲに３等分したときに最も左方Ｌに位置する部分である。上クロス部材５１の右部とは、上クロス部材５１を左右方向ＬＲに３等分したときに最も右方Ｒに位置する部分である。上クロス部材５１の中間部とは、上クロス部材５１を左右方向ＬＲに３等分したときに真ん中に位置する部分である。ヘッドパイプ２１１の上部とは、ヘッドパイプ２１１の上半分である。ヘッドパイプ２１１の下部とは、ヘッドパイプ２１１の下半分である。支持部Ｃは、前後方向ｆｂに延びる軸である。支持部Ｃは、ヘッドパイプ２１１から僅かに上方ｕに傾いた状態で前方ｆに延びる。上クロス部材５１は、支持部Ｃを中心軸としてヘッドパイプ２１１に対して回転可能である。

　下クロス部材５２は、前下クロス部材５２２Ａ及び後下クロス部材５２２Ｂを有している。前下クロス部材５２２Ａは、左右方向ＬＲに延びている。前下クロス部材５２２Ａは、ヘッドパイプ２１１の前方ｆであって、上クロス部材５１より下方ｄかつ左前輪３１及び右前輪３２より上方ｕに配置されている。前下クロス部材５２２Ａは、支持部Ｆによりヘッドパイプ２１１に支持されている。支持部Ｆは、前下クロス部材５２２Ａの中間部、及び、ヘッドパイプ２１１の下部に位置している。前下クロス部材５２２Ａの左部とは、前下クロス部材５２２Ａを左右方向ＬＲに３等分したときに最も左方Ｌに位置する部分である。前下クロス部材５２２Ａの右部とは、前下クロス部材５２２Ａを左右方向ＬＲに３等分したときに最も右方Ｒに位置する部分である。前下クロス部材５２２Ａの中間部とは、前下クロス部材５２２Ａを左右方向ＬＲに３等分したときに真ん中に位置する部分である。支持部Ｆは、前後方向ｆｂに延びる軸である。支持部Ｆは、ヘッドパイプ２１１から僅かに上方ｕに傾いた状態で前方ｆに延びている。前下クロス部材５２２Ａは、支持部Ｆを中心軸としてヘッドパイプ２１１に対して回転可能である。

　後下クロス部材５２２Ｂは、左右方向ＬＲに延びている。後下クロス部材５２２Ｂは、ヘッドパイプ２１１の後方ｂであって、上クロス部材５１より下方ｄかつ左前輪３１及び右前輪３２より上方ｕに配置されている。後下クロス部材５２２Ｂは、支持部Ｆによりヘッドパイプ２１１に支持されている。支持部Ｆは、後下クロス部材５２２Ｂの中間部、及び、ヘッドパイプ２１１の下部に位置する。後下クロス部材５２２Ｂの左部とは、後下クロス部材５２２Ｂを左右方向ＬＲに３等分したときに最も左方Ｌに位置する部分である。後下クロス部材５２２Ｂの右部とは、後下クロス部材５２２Ｂを左右方向ＬＲに３等分したときに最も右方Ｒに位置する部分である。後下クロス部材５２２Ｂの中間部とは、後下クロス部材５２２Ｂを左右方向ＬＲに３等分したときに真ん中に位置する部分である。支持部Ｆは、前記の通り、前後方向ｆｂに延びる軸である。ただし、支持部Ｆは、ヘッドパイプ２１１から僅かに下方ｄに傾いた状態で後方ｂにも延びている。後下クロス部材５２２Ｂは、支持部Ｆを中心軸としてヘッドパイプ２１１に対して回転可能である。

　左サイド部材５３は、上下方向ｕｄに延びている。従って、左サイド部材５３が延びる方向は、ヘッドパイプ２１１が延びる方向と平行である。左サイド部材５３は、ヘッドパイプ２１１の左方ｌに配置されている。左サイド部材５３は、左前輪３１の上方ｕであって左緩衝装置３３の上方ｕに配置されている。左サイド部材５３は、支持部Ｄにより上クロス部材５１に支持されている。支持部Ｄは、左サイド部材５３の上部、及び、上クロス部材５１の左部に位置している。左サイド部材５３において、左サイド部材５３の上部とは、左サイド部材５３の上半分である。左サイド部材５３の下部とは、左サイド部材５３の下半分である。支持部Ｄは、前後方向ｆｂに延びる軸である。左サイド部材５３は、支持部Ｄを中心軸として上クロス部材５１に対して回転可能である。

　また、左サイド部材５３は、支持部Ｇにより前下クロス部材５２２Ａ及び後下クロス部材５２２Ｂに支持されている。支持部Ｇは、左サイド部材５３の下部、前下クロス部材５２２Ａの左部及び後下クロス部材５２２Ｂの左部に位置している。支持部Ｇは、前後方向ｆｂに延びる軸である。左サイド部材５３は、支持部Ｇを中心軸として前下クロス部材５２２Ａ及び後下クロス部材５２２Ｂに対して回転可能である。

　左ブラケット３１７は、左サイド部材５３の下端部に支持されている。左ブラケット３１７は、左中心軸Ｙ１を中心軸として左サイド部材５３に対して回転可能である。左中心軸Ｙ１は、左サイド部材５３の中心軸である。従って、左中心軸Ｙ１は、上下方向ｕｄに延びている。

　右サイド部材５４は、上下方向ｕｄに延びている。従って、右サイド部材５４が延びる方向は、ヘッドパイプ２１１が延びる方向と平行である。右サイド部材５４は、ヘッドパイプ２１１の右方ｒに配置されている。右サイド部材５４は、右前輪３２の上方ｕであって右緩衝装置３４の上方ｕに配置されている。右サイド部材５４は、支持部Ｅにより上クロス部材５１に支持されている。支持部Ｅは、右サイド部材５４の上部、及び、上クロス部材５１の右部に位置する。右サイド部材５４において、右サイド部材５４の上部とは、右サイド部材５４の上半分である。右サイド部材５４の下部とは、右サイド部材５４の下半分である。支持部Ｅは、前後方向ｆｂに延びる軸である。右サイド部材５４は、支持部Ｅを中心軸として上クロス部材５１に対して回転可能である。

　また、右サイド部材５４は、支持部Ｈにより前下クロス部材５２２Ａ及び後下クロス部材５２２Ｂに支持されている。支持部Ｈは、右サイド部材５４の下部、前下クロス部材５２２Ａの右部及び後下クロス部材５２２Ｂの右部に位置している。支持部Ｈは、前後方向ｆｂに延びる軸である。右サイド部材５４は、支持部Ｈを中心軸として前下クロス部材５２２Ａ及び後下クロス部材５２２Ｂに対して回転可能である。

　右ブラケット３２７は、右サイド部材５４の下端部に支持されている。右ブラケット３２７は、右中心軸Ｙ２を中心軸として右サイド部材５４に対して回転可能である。右中心軸Ｙ２は、右サイド部材５４の中心軸である。従って、右中心軸Ｙ２は、上下方向ｕｄに延びている。

　以上のように、上クロス部材５１、下クロス部材５２、左サイド部材５３及び右サイド部材５４は、上クロス部材５１と下クロス部材５２とが相互に平行な姿勢を保ち、左サイド部材５３と右サイド部材５４とが相互に平行な姿勢を保つように連結されている。

　また、左緩衝装置３３は、左サイド部材５３の下方ｄに配置されている。左緩衝装置３３は、左ブラケット３１７に支持されている。具体的には、左緩衝装置３３の上端部は、左ブラケット３１７に固定されている。更に、左緩衝装置３３は、左前輪３１を支持している。従って、左サイド部材５３は、左ブラケット３１７及び左緩衝装置３３を介して、左前輪３１を支持している。すなわち、リンク機構５は、左前輪３１を支持している。このような、左緩衝装置３３は、左サイド部材５３と共に左右方向ＬＲに傾斜する。

　また、右緩衝装置３４は、右サイド部材５４の下方ｄに配置されている。右緩衝装置３４は、右ブラケット３２７に支持されている。具体的には、右緩衝装置３４の上端部は、右ブラケット３２７に固定されている。更に、右緩衝装置３４は、右前輪３２を支持している。従って、右サイド部材５４は、右ブラケット３２７及び右緩衝装置３４を介して、右前輪３２を支持している。すなわち、リンク機構５は、右前輪３２を支持している。このような、右緩衝装置３４は、右サイド部材５４と共に左右方向ＬＲに傾斜する。

［操舵動作］
　以下に、傾斜車両１の操舵動作について図４を参照しながら説明する。図４は、傾斜車両１を左転舵させた状態の傾斜車両１の前部を上方ｕから見た図である。

　図４に示すように、ライダーがハンドル２３を左転舵すると、傾斜車両１を上方ｕから見たときに、ステアリングシャフト６０が反時計回りに回転する。中央ブラケット３３７は、ステアリングシャフト６０の下端部に固定されているので、傾斜車両１を上方ｕから見たときに、ステアリングシャフト６０と共に反時計回りに回転する。

　タイロッド６７は、中央ブラケット３３７の回転に伴って、左方ｌかつ後方ｂに平行移動する。タイロッド６７の左端部は、左ブラケット３１７の前端部に支持されている。左ブラケット３１７は、左中心軸Ｙ１（図２参照）を中心軸として回転可能である。そのため、タイロッド６７の平行移動に伴って、左ブラケット３１７は、傾斜車両１を上方ｕから見たときに、反時計回りに回転する。また、タイロッド６７の右端部は、右ブラケット３２７の前端部に支持されている。右ブラケット３２７は、右中心軸Ｙ２（図２参照）を中心軸として回転可能である。そのため、タイロッド６７の平行移動に伴って、右ブラケット３２７は、傾斜車両１を上方ｕから見たときに、反時計回りに回転する。

　左前輪３１は、左緩衝装置３３を介して左ブラケット３１７に接続されている。そのため、左ブラケット３１７の回転に伴って、傾斜車両１を上方ｕから見たときに、左前輪３１が左中心軸Ｙ１（図２参照）を中心軸として反時計回りに回転する。また、右前輪３２は、右緩衝装置３４を介して右ブラケット３２７に接続されている。そのため、右ブラケット３２７の回転に伴って、傾斜車両１を上方ｕから見たときに、右前輪３２が右中心軸Ｙ２（図２参照）を中心軸として反時計回りに回転する。

　なお、ライダーがハンドル２３を右転舵すると、上述した各要素は、ハンドル２３が左転舵された場合と逆方向（すなわち、時計回り）に回転する。各要素の動きは左右が逆になるのみであるので、これ以上の説明を省略する。

［傾斜動作］
　以下に、傾斜車両１の傾斜動作について図５を参照しながら説明する。図５は、車体フレーム２１が左方Ｌに傾斜した状態の傾斜車両１の前部を前方ｆから見た図である。

　リンク機構５は、図５に示すように、左前輪アクスル３１４が右前輪アクスル３２４より上方ｕに位置するように上クロス部材５１、下クロス部材５２、左サイド部材５３及び右サイド部材５４と車体フレーム２１とが相対変位することにより、左旋回時に車体フレーム２１を左方Ｌに傾斜させる。また、リンク機構５は、右前輪アクスル３２４が左前輪アクスル３１４より上方ｕに位置するように上クロス部材５１、下クロス部材５２、左サイド部材５３及び右サイド部材５４と車体フレーム２１とが相対変位することにより、右旋回時に車体フレーム２１を右方Ｒに傾斜させる。以下では、車体フレーム２１が左方Ｌに傾斜する場合を例に挙げて説明する。

　図５に示すように、リンク機構５の形状が変化することにより、直立状態の車体フレーム２１が左方Ｌに傾斜する。具体的には、図２に示すように、車体フレーム２１が直立状態である傾斜車両１では、上クロス部材５１、下クロス部材５２、左サイド部材５３及び右サイド部材５４は、長方形状を有している。一方、図５に示すように、車体フレーム２１が左方Ｌに傾斜している傾斜車両１では、上クロス部材５１、下クロス部材５２、左サイド部材５３及び右サイド部材５４は、平行四辺形状を有している。

　ライダーが車体フレーム２１を左方Ｌに傾斜させると、ヘッドパイプ２１１が左方Ｌに傾斜する。ヘッドパイプ２１１が左方Ｌに傾斜すると、上クロス部材５１は、傾斜車両１を前方ｆから見たときに、支持部Ｃを中心軸としてヘッドパイプ２１１に対して反時計回りに回転する。同様に、下クロス部材５２は、傾斜車両１を前方ｆから見たときに、支持部Ｆを中心軸としてヘッドパイプ２１１に対して反時計回りに回転する。これにより、上クロス部材５１は、傾斜車両１を前方ｆから見たときに、下クロス部材５２に対して左方Ｌに移動する。

　上クロス部材５１の移動により、左サイド部材５３は、傾斜車両１を前方ｆから見たときに、支持部Ｄを中心軸として上クロス部材５１に対して時計回りに回転する。同様に、右サイド部材５４は、傾斜車両１を前方ｆから見たときに、支持部Ｅを中心軸として上クロス部材５１に対して時計回りに回転する。また、上クロス部材５１の移動により、左サイド部材５３は、傾斜車両１を前方ｆから見たときに、支持部Ｇを中心軸として下クロス部材５２に対して時計回りに回転する。同様に、右サイド部材５４は、傾斜車両１を前方ｆから見たときに、支持部Ｈを中心軸として下クロス部材５２に対して時計回りに回転する。これにより、左サイド部材５３及び右サイド部材５４は、ヘッドパイプ２１１と平行な状態を保ったまま、左方Ｌに傾斜する。

　左ブラケット３１７は、左サイド部材５３の下端部に支持されている。そのため、左サイド部材５３の左方Ｌへの傾斜に伴い、左ブラケット３１７は、左方Ｌに傾斜する。左緩衝装置３３は、左ブラケット３１７に支持されているので、左ブラケット３１７の左方Ｌへの傾斜に伴い、左方Ｌに傾斜する。左前輪３１は、左緩衝装置３３の下端部に支持されているので、左緩衝装置３３の左方Ｌへの傾斜に伴い、左方Ｌに傾斜する。

　右ブラケット３２７は、右サイド部材５４の下端部に支持されている。そのため、右サイド部材５４の左方Ｌへの傾斜に伴い、右ブラケット３２７は、左方Ｌに傾斜する。右緩衝装置３４は、右ブラケット３２７に支持されているので、右ブラケット３２７の左方Ｌへの傾斜に伴い、左方Ｌに傾斜する。右前輪３２は、右緩衝装置３４の下端部に支持されているので、右緩衝装置３４の左方Ｌへの傾斜に伴い、左方Ｌに傾斜する。

　後輪４は、車体フレーム２１に支持されている。そのため、後輪４は、車体フレーム２１と共に左方Ｌに傾斜する。

　上記の左前輪３１及び右前輪３２の傾斜動作に係る説明は、鉛直方向を基準としている。しかしながら、傾斜車両１の傾斜動作時（リンク機構５の動作時）においては、車体フレーム２１における上下方向ｕｄと鉛直上下方向は一致しない。車体フレーム２１における上下方向ｕｄを基準とした場合、リンク機構５の作動時において、左前輪３１及び右前輪３２は、車体フレーム２１における上下方向ｕｄにおける相対位置が変化している。換言すると、リンク機構５は、車体フレーム２１における上下方向ｕｄにおける左前輪３１と右前輪３２との相対位置を変更することにより、車体フレーム２１を左方Ｌ又は右方Ｒに傾斜させる。

　なお、車体フレーム２１が右方Ｒに傾斜する場合には、上述した各要素は、車体フレーム２１が左方Ｌに傾斜する場合と逆方向に動作する。各要素の動きは左右が逆になるのみであるので、これ以上の説明を省略する。

［積載機構部］
　次に、積載機構８０について図１及び図６を参照しながら説明する。図６は、傾斜車両１を上方ｕから見た図である。図６では、後方積載荷物９０については図示していない。

　傾斜車両１は、積載機構８０を更に備える。積載機構８０は、リアキャリア８１及び収納ボックス８２を含む。収納ボックス８２は、樹脂製の直方体状をなす箱である。収納ボックス８２は、ライダー専用シングルシート２４の後方ｂに配置される。収納ボックス８２は、車体フレーム２１に支持されている。

　リアキャリア８１は、図６に示すように、上方ｕから見たときに、はしご形状を有している。リアキャリア８１は、車体フレーム２１に支持されている。リアキャリア８１は、左部８１１、右部８１２、連結部８１３，８１４，８１５及びストッパ部８１６を含んでいる。左部８１１は、ライダー専用シングルシート２４及び収納ボックス８２の左方ｌに設けられている。左部８１１は、前後方向ｆｂに延びている。ただし、左部８１１は、図１に示すように、左部８１１の後端が左部８１１の前端より僅かに上方ｕに位置するように傾斜している。左部８１１の後端は、前後方向ｆｂにおいて後輪４の後端近傍に位置している。右部８１２は、ライダー専用シングルシート２４及び収納ボックス８２の右方ｒに設けられている。右部８１２は、前後方向ｆｂに延びている。ただし、右部８１２は、右部８１２の後端が右部８１２の前端より僅かに上方ｕに位置するように傾斜している。右部８１２の後端は、前後方向ｆｂにおいて後輪４の後端近傍に位置している。

　連結部８１３は、図６に示すように、収納ボックス８２の後方ｂに配置されている。連結部８１３は、左右方向ｌｒに延びている。連結部８１３の左端は、左部８１１に接続されている。連結部８１３の右端は、右部８１２に接続されている。

　連結部８１４は、図６に示すように、連結部８１３の後方ｂに配置されている。連結部８１４は、左右方向ｌｒに延びている。連結部８１４の左端は、左部８１１に接続されている。連結部８１４の右端は、右部８１２に接続されている。

　連結部８１５は、図６に示すように、連結部８１４の後方ｂに配置されている。連結部８１５は、左右方向ｌｒに延びている。連結部８１５の左端は、左部８１１の後端に接続されている。連結部８１５の右端は、右部８１２の後端に接続されている。

　ストッパ部８１６は、図６に示すように、ストッパ部８１６を後方ｂから見たときに、上下が反転したＵ字型を有している。ストッパ部８１６は、ストッパ部８１６を後方ｂから見たときに、収納ボックス８２を左方ｌ、上方ｕ及び右方ｒの三方から囲んでいる。ストッパ部８１６の左端は、左部８１１に接続されている。ストッパ部８１６の右端は、右部８１２に接続されている。

　積載機構８０は、積載部８５を有する。積載部８５は、ライダー専用シングルシート２４より後方ｂに配置されている。積載部８５上には、図１に示すように、後方積載荷物９０が積載される。後方積載荷物９０は、直方体状の収納ボックス及び収納ボックスに収納された物品である。後方積載荷物９０は、積載機構８０に対して着脱することができる。積載部８５は、積載機構８０において、後方積載荷物９０の底面が対向する部分である。後方積載荷物９０の底面は、リアキャリア８１及び収納ボックス８２に接触する。収納ボックス８２は、後方積載荷物９０の底面の前端部を支持する。リアキャリア８１の連結部８１５は、収納ボックス８２の底面の後部を支持する。収納ボックス８２の底面の前部とは、収納ボックス８２の底面の前半分である。収納ボックス８２の底面の後部とは、収納ボックス８２の底面の後ろ半分である。また、ストッパ部８１６は、後方積載荷物９０の前面を支持する。従って、積載部８５は、図６に示すように、積載機構８０を上方ｕから見たときに、積載機構８０におけるストッパ部８１６より後方ｂに位置する部分である。

［各構成の位置関係］
　次に、傾斜車両１の各構成の位置関係について図６を参照しながら説明する。まず、Ｌ１～Ｌ５を以下のように定義する。

Ｌ１：ライダー専用シングルシート２４の後端（以下、シート後端ＳＢ）から後輪アクスル４１４までの前後方向ｆｂの距離
Ｌ２：ライダー専用シングルシート２４の後端（シート後端ＳＢ）から左前輪アクスル３１４又は右前輪アクスル３２４と後輪アクスル４１４との前後方向ｆｂの中央に位置するホイールベース中央ＷＢＣまでの前後方向ｆｂの距離
Ｌ３：ライダー専用シングルシート２４の後端（シート後端ＳＢ）から積載部８５の前後方向ｆｂの中央（以下、積載部中央ＢＣ）までの前後方向ｆｂの距離
Ｌ４：ライダー専用シングルシート２４の後端（シート後端ＳＢ）から積載部８５の前端までの前後方向ｆｂの距離
Ｌ５：ライダー専用シングルシートにおいてライダー５００（図６では図示せず）が着座できる着座面２４ａの前端（着座面前端ＳＦＦ）からライダー専用シングルシート２４に着座したライダー５００のヒップポイントＨＰまでの前後方向ｆｂの距離

　車体フレーム２１が直立状態であるときに、以下に示す式（ａ）、式（ｂ）及び式（ｃ）が成立する。車体フレーム２１が直立状態であるとは、リンク機構５が左前輪アクスル３１４と右前輪アクスル３２４とを上下方向ｕｄの同じ位置に位置させ、かつ、左前輪３１、右前輪３２及び後輪４が水平な地面に接触した状態である。車体フレーム２１の直立状態では、左前輪３１、右前輪３２及び後輪４には、傾斜車両１の重量のみが加わっている。従って、傾斜車両１には、ライダー５００が乗車しておらず、燃料も搭載されておらず、後方積載荷物９０も積載されていない。

Ｌ１＜Ｌ２・・・（ａ）
Ｌ３＜Ｌ２・・・（ｂ）
Ｌ４＜Ｌ５・・・（ｃ）

［収納空間］
　次に、収納空間１１０について図１及び図７を参照しながら説明する。図７は、車体フレーム２１が直立状態である傾斜車両１を左方ｌから見た図である。図７では、収納空間１１０が傾斜車両１の外部に露出している。

　傾斜車両１において、図１に示すように、ライダー専用シングルシート２４の下方ｄ及び後方ｂには、収納空間１１０が設けられている。より詳細には、ライダー専用シングルシート２４の後方ｂには、収納ボックス８２が配置されている。収納ボックス８２の内部は空洞である。また、ライダー専用シングルシート２４の後部の下方ｄにも空洞が設けられている。２つの空洞は、繋がっており収納空間１１０を形成している。収納空間１１０は、例えば、ヘルメット等を収容する空間である。

　ライダー専用シングルシート２４は、ライダー専用シングルシート２４の前端部に位置する軸を中心軸として回転することができる。図１に示すように、収納空間１１０が傾斜車両１の外部に露出していない状態がライダー専用シングルシート２４の閉状態である。閉状態では、ライダー５００は、収納空間１１０に荷物を出し入れできない。また、傾斜車両１を左方ｌから見たときに、閉状態のライダー専用シングルシート２４が反時計回りに回転させられると、図７に示すように、収納空間１１０が傾斜車両１の外部に露出する。図７に示すように、収納空間１１０が傾斜車両１の外部に露出している状態がライダー専用シングルシート２４の開状態である。開状態では、ライダー５００は、収納空間１１０に荷物を出し入れできる。

　なお、ライダー５００がライダー専用シングルシート２４を操作しなければ、収納空間１１０への出し入れができない荷物を後方積載荷物９０と区別して収納荷物と呼ぶ。後方積載荷物９０は、ライダー５００がライダー専用シングルシート２４を操作せずに出し入れできる荷物である。そのため、後方積載荷物９０は、ライダー専用シングルシート２４を操作しなければ、収納空間１１０への出し入れができない収納荷物を含まない。

［効果］
　傾斜車両１によれば、傾斜車両１の大型化を抑制しつつ後方積載荷物９０の積載量を増加させることができる。より詳細には、傾斜車両１では、車体フレーム２１が直立状態であるときに、シート後端ＳＢから後輪アクスル４１４までの前後方向ｆｂの距離Ｌ１は、シート後端ＳＢからホイールベース中央ＷＢＣまでの前後方向ｆｂの距離Ｌ２より短い。すなわち、シート後端ＳＢがホイールベースの後ろ半分に位置するようになるので、ライダー専用シングルシート２４が後輪アクスル４１４の近くに位置するようになる。これにより、ライダー専用シングルシート２４に着座するライダー５００の重心が後輪アクスル４１４の近くに位置するようになる。

　また、傾斜車両１では、車体フレーム２１が直立状態であるときに、シート後端ＳＢから積載部中央ＢＣまでの前後方向ｆｂの距離Ｌ３は、シート後端ＳＢからホイールベース中央ＷＢＣまでの前後方向ｆｂの距離Ｌ２より短い。すなわち、ライダー専用シングルシート２４が積載部８５の近くに位置している。これにより、ライダー専用シングルシート２４に着座するライダー５００の重心が積載部８５に積載される後方積載荷物９０の重心の近くに位置するようになる。前記の通り、ライダー専用シングルシート２４に着座するライダー５００の重心が後輪アクスル４１４の近くに位置するので、積載部８５に積載される後方積載荷物９０の重心も後輪アクスル４１４の近くに位置する。

　以上のように、傾斜車両１では、ライダー専用シングルシート２４に着座するライダー５００の重心及び積載部８５に積載される後方積載荷物９０の重心が後輪アクスル４１４の近くに位置している。これにより、ライダー５００及び後方積載荷物９０の重量の大部分が後輪４に加わるようになる。その結果、後方積載荷物９０が積載されている積載状態と後方積載荷物９０が積載されていない非積載状態との間における後輪４に加わる重量の変動率が低減される。

　また、シート後端ＳＢから積載部８５の前端までの前後方向ｆｂの距離Ｌ４は、着座面前端ＳＦＦからライダー専用シングルシート２４に着座したライダー５００のヒップポイントＨＰまでの前後方向ｆｂの距離Ｌ５より短い。着座面前端ＳＦＦからライダー専用シングルシート２４に着座したライダー５００のヒップポイントＨＰまでの前後方向ｆｂの距離Ｌ５とは、１人の人間が着座できるスペースに相当する。そのため、傾斜車両１では、シート後端ＳＢから積載部８５の前端までの間には、１人の人間が着座できるスペースが存在しない。これにより、シート後端ＳＢの後方には、無駄なスペースが殆ど配置されることなく、積載部８５が配置されている。その結果、傾斜車両１では、傾斜車両１を大型化することなく、より多くの後方積載荷物９０を積載することが可能となる。

　また、傾斜車両１によれば、ライダー専用シングルシート２４の下方ｄには収納空間１１０が設けられている。従って、収納空間１１０にも収納荷物を収納することが可能である。

　また、傾斜車両１では、ライダー専用シングルシート２４の前後方向ｆｂの長さＬ１１は、ホイールベース中央ＷＢＣから後輪アクスル４１４までの前後方向ｆｂの長さＬ１２より短い。これにより、ライダー専用シングルシート２４には、ライダー５００のみが着座することができ、パッセンジャーが着座することができない。

　また、傾斜車両１では、以下の理由によっても、ライダー専用シングルシート２４に着座するライダー５００の重心が後輪アクスル４１４の近くに位置する。傾斜車両１では、傾斜車両１を左方ｌ又は右方ｒから見たときに、ライダー専用シングルシート２４の下方ｄは、パワーユニット２５であるエンジンのクランク軸の回転の中心軸Ａｘの上方ｕに配置されている。従って、ライダー専用シングルシート２４とパワーユニット２５との前後方向ｆｂの距離が短い。パワーユニット２５は、後輪４の近傍に配置されている。そのため、ライダー専用シングルシート２４と後輪アクスル４１４との前後方向ｆｂの距離が短い。よって、傾斜車両１では、ライダー専用シングルシート２４に着座するライダー５００の重心が後輪アクスル４１４の近くに位置するようになる。

（第１の変形例）
　以下に、第１の変形例に係る傾斜車両１ａについて図８を参照しながら説明する。図８は、傾斜車両１ａを左方ｌから見た模式図である。図８では、傾斜車両１ａが左前輪３１及び右前輪３２を備えていることを容易に理解できるように、左前輪３１及び右前輪３２をずらして記載した。また、図８では、各構成を簡素化して記載しているため、各構成のサイズは実際のサイズと異なる。

　傾斜車両１ａは、積載機構８０の構造において傾斜車両１と相違する。より詳細には、傾斜車両１では、積載機構８０上に収納ボックスである後方積載荷物９０が積載される。一方、傾斜車両１ａの積載機構８０は、車体カバー２２と一体化された直方体状の収納ボックス８５０である。後方積載荷物９０は、収納ボックス８５０内に収納される。このとき、後方積載荷物９０は、収納ボックス８５０の内周面の底面上に積載される。従って、傾斜車両１ａでは、積載部８５は、収納ボックス８５０の内周面の底面である。傾斜車両１ａのその他の構成は、傾斜車両１と同じであるので説明を省略する。

（第２の変形例）
　以下に、第２の変形例に係る傾斜車両１ｂについて図９を参照しながら説明する。図９は、傾斜車両１ｂを左方ｌから見た模式図である。図９では、傾斜車両１ｂが左前輪３１及び右前輪３２を備えていることを容易に理解できるように、左前輪３１及び右前輪３２をずらして記載した。また、図９では、各構成を簡素化して記載しているため、各構成のサイズは実際のサイズと異なる。

　傾斜車両１ｂは、積載機構８０の構造において傾斜車両１ａと相違する。より詳細には、傾斜車両１ｂの積載機構８０は、車体カバー２２と一体化された直方体状の収納ボックス８５０を含んでいる。更に、傾斜車両１ｂの積載機構８０は、傾斜車両１ａにおいて収納ボックス８５０の下方ｄ及びライダー専用シングルシート２４の下方ｄに設けられている車体収納部８５４を含んでいる。収納ボックス８５０の底面の前部が欠損することにより、収納ボックス８５０内の空間と車体収納部８５４内の空間とが繋がっている。

　後方積載荷物９０は、積載機構８０内に収納される。このとき、後方積載荷物９０は、積載機構８０の内周面の底面上に積載される。従って、傾斜車両１ｂでは、積載部８５は、積載機構８０の内周面の底面である。すなわち、積載部８５は、収納ボックス８５０の内周面の底面及び車体収納部８５４の内周面の底面である。ただし、積載部８５は、ライダー専用シングルシート２４より後方ｂに配置される。そのため、積載部８５は、積載機構８０の内周面の底面（より特定的には、車体収納部８５４の内周面の底面）における、ライダー専用シングルシート２４の下方ｄに位置する部分を含まない。傾斜車両１ｂのその他の構成は、傾斜車両１ａと同じであるので説明を省略する。

（第３の変形例）
　以下に、第３の変形例に係る傾斜車両１ｃについて図１０を参照しながら説明する。図１０は、傾斜車両１ｃのライダー専用シングルシート２４及び積載機構８０を上方ｕから見た模式図である。なお、図１０では、ライダー専用シングルシート２４及び積載機構８０以外の構成については省略した。また、図１０では、各構成を簡素化して記載しているため、各構成のサイズは実際のサイズと異なる。

　傾斜車両１ｃは、積載機構８０の構造において傾斜車両１ａと相違する。より詳細には、傾斜車両１ｃの積載機構８０は、収納ボックス８５０に加えて、左突起部８５１及び右突起部８５２を含んでいる。左突起部８５１は、収納ボックス８５０の左端部から前方ｆに突出している。左突起部８５１は、ライダー専用シングルシート２４の後部の左方ｌに配置されている。ライダー専用シングルシート２４の前部とは、ライダー専用シングルシート２４の前半分である。ライダー専用シングルシート２４の後部とは、ライダー専用シングルシート２４の後ろ半分である。これにより、左突起部８５１は、ライダー５００（図１０には図示せず）がライダー専用シングルシート２４から左方ｌにずれることを抑制する。左突起部８５１の内部は空洞である。左突起部８５１内の空間と収納ボックス８５０内の空間とは繋がっている。

　右突起部８５２は、収納ボックス８５０の右端部から前方ｆに突出している。右突起部８５２は、ライダー専用シングルシート２４の後部の右方ｒに配置されている。これにより、右突起部８５２は、ライダー５００（図１０には図示せず）がライダー専用シングルシート２４から右方ｒにずれることを抑制する。右突起部８５２の内部は空洞である。右突起部８５２内の空間と収納ボックス８５０内の空間とは繋がっている。

　後方積載荷物９０（図１０には図示せず）は、積載機構８０内に収納される。このとき、後方積載荷物９０は、積載機構８０の内周面の底面上に積載される。従って、傾斜車両１ｃでは、積載部８５は、積載機構８０の内周面の底面である。ただし、積載部８５は、ライダー専用シングルシート２４より後方ｂに配置される。そのため、積載部８５は、収納ボックス８５０の内周面の底面を含み、左突起部８５１の内周面の底面及び右突起部８５２の内周面の底面を含まない。傾斜車両１ｃのその他の構成は、傾斜車両１ａと同じであるので説明を省略する。

（その他の実施形態）
　本明細書において記載と図示の少なくとも一方がなされた実施形態は、本開示の理解を容易にするためのものであって、本開示の思想を限定するものではない。上記の実施形態は、その趣旨を逸脱することなく変更・改良され得る。

　当該趣旨は、本明細書に開示された実施形態例に基づいて当業者によって認識されうる、均等な要素、修正、削除、組み合わせ（例えば、各種実施形態に跨る特徴の組み合わせ）、改良、変更を包含する。特許請求の範囲における限定事項は当該特許請求の範囲で用いられた用語に基づいて広く解釈されるべきであり、本明細書あるいは本願のプロセキューション中に記載された実施形態に限定されるべきではない。そのような実施形態は非排他的であると解釈されるべきである。例えば、本明細書において、「好ましくは」、「よい」という用語は非排他的なものであって、「好ましいがこれに限定されるものではない」、「よいがこれに限定されるものではない」ということを意味する。

　本明細書で用いられた用語および表現は、説明のために用いられたものであって、限定的に解釈するために用いられたものではない。本明細書に示され、かつ述べられた特徴事項のいかなる均等物をも排除するものではなく、本発明のクレームされた範囲内における各種変形をも許容するものであると認識されねばならない。

　本発明は、多くの異なった形態で具現化され得るものである。本明細書は、本発明の原理の実施形態を提供するものと見なされるべきである。本明細書において記載と図示の少なくとも一方がなされた好ましい実施形態は、当該実施形態に本発明が限定されることを意図するものではないという了解に基づいている。

　また、傾斜車両１，１ａ～１ｃでは、後輪４の左右方向ｌｒにおける中央は、左前輪３１と右前輪３２と左右方向ｌｒにおける中央と一致している。ただし、後輪４の左右方向ｌｒにおける中央は、左前輪３１と右前輪３２と左右方向ｌｒにおける中央と一致していなくてもよい。

　また、傾斜車両１，１ａ～１ｃでは、リンク機構５は、左前輪３１及び右前輪３２より上方ｕに配置されている。ただし、リンク機構５は、左前輪３１と右前輪３２との間に配置されてもよい。すなわち、リンク機構５は、リンク機構５を左方ｌ又は右方ｒから見たときに、左前輪３１及び右前輪３２と重なる。この場合、左サイド部材５３が左緩衝装置３３を兼ねる。また、右サイド部材５４が右緩衝装置３４を兼ねる。

　また、傾斜車両１，１ａ～１ｃでは、リンク機構５は、パラレログラムリンク方式のリンク機構である。ただし、リンク機構５は、ダブルウィッシュボーン方式のリンク機構であってもよい。

　また、傾斜車両１，１ａ～１ｃでは、上クロス部材５１が単一の板状部材であり、下クロス部材５２が前下クロス部材５２２Ａ及び後下クロス部材５２２Ｂを含んでいる。しかしながら、上クロス部材５１が前上クロス部材及び後上クロス部材を含んでいてもよい。また、下クロス部材５２が単一の板状部材であってもよい。上クロス部材５１及び下クロス部材５２の少なくとも一方は、ヘッドパイプ２１１と左サイド部材５３とに支持される左板状部材、及び、ヘッドパイプ２１１と右サイド部材５４とに支持される右板状部材を含んでもよい。

　また、傾斜車両１，１ａ～１ｃでは、ハンドル２３は、左右方向ＬＲに延びる単一の部材で構成されている。しかしながら、ハンドル２３は、左前輪３１及び右前輪３２を回動させる操舵力の入力が可能であれば、ライダー５００の左手により操作される左ハンドル部とライダー５００の右手により操作される右ハンドル部とが別体として設けられている構成であってもよい。

　また、傾斜車両１，１ａ～１ｃでは、リンク機構５は、リンク支持部の一例としてのヘッドパイプ２１１に支持されている。しかしながら、リンク機構５は、車体フレーム２１におけるヘッドパイプ２１１以外の部分に支持されてもよい。

　なお、パワーユニット２５は、車体フレーム２１に支持されている。従って、パワーユニット２５は、車体フレーム２１に直接に固定されていてもよいし、車体フレーム２１に回転可能に支持されているスイングアームに固定されていてもよい。

　また、傾斜車両１，１ａ～１ｃのパワーユニット２５は、エンジンではなく、電気モーター及びバッテリーの組み合わせであってもよい。この場合、ライダー専用シングルシート２４は、電気モーターの回転軸及びバッテリーの上方ｕに位置していてもよい。

　なお、傾斜車両１，１ａ～１ｃでは、左旋回時には、左前輪３１、右前輪３２、車体フレーム２１及び後輪４が左方Ｌに傾斜する。また、右旋回時には、左前輪３１、右前輪３２、車体フレーム２１及び後輪４が右方Ｒに傾斜する。このように、後輪４は、車体フレーム２１と共に左方Ｌ又は右方Ｒに傾斜する。従って、傾斜車両１，１ａ～１ｃは、左旋回又は右旋回時に、車体フレーム２１が捻じれて、後輪４が傾斜しないタイプの車両を含まない。

　なお、シート後端ＳＢから積載部８５の前端までの前後方向ｆｂの距離Ｌ４は、０であってもよい。すなわち、シート後端ＳＢと積載部８５とは前後方向ｆｂにおいて接していてもよい。

　また、傾斜車両１において、リアキャリア８１は、金属パイプにより作製されている。ただし、リアキャリア８１の構造は、図６に示した構造に限らない。リアキャリア８１は、木製板、金属板、樹脂板等により作製されていてもよい。

１，１ａ～１ｃ：傾斜車両
４：後輪
５：リンク機構
７：操舵機構
２１：車体フレーム
２４：ライダー専用シングルシート
２４ａ：着座面
２４ｂ：背もたれ
２５：パワーユニット
２８：操舵部材
３１：左前輪
３２：右前輪
５１：上クロス部材
５２：下クロス部材
５３：左サイド部材
５４：右サイド部材
８０：積載機構
８１：リアキャリア
８２：収納ボックス
８５：積載部
９０：後方積載荷物
１１０：収納空間
２１１：ヘッドパイプ
３１４：左前輪アクスル
３２４：右前輪アクスル
４１４：後輪アクスル
５００：ライダー
８１１：左部
８１２：右部
８１３～８１５：連結部
８１６：ストッパ部
８５０：収納ボックス
８５１：左突起部
８５２：右突起部
８５４：車体収納部
Ａｘ：中心軸
ＢＣ：積載部中央
ＨＰ：ヒップポイント
ＳＢ：シート後端
ＳＦＦ：着座面前端
ＷＢＣ：ホイールベース中央

Claims (5)

1. 　傾斜車両であって、
   　左旋回時に前記傾斜車両における左方に傾斜し、右旋回時に前記傾斜車両における右方に傾斜する車体フレームと、
   　前記車体フレームにおける左右方向の中央より前記車体フレームにおける左方に配置され、左前輪アクスルを中心として回転できる左前輪と、
   　前記車体フレームにおける左右方向の中央より前記車体フレームにおける右方に配置され、右前輪アクスルを中心として回転できる右前輪と、
   　前記左前輪及び前記右前輪を支持するリンク機構であって、前記左前輪アクスルを前記右前輪アクスルより前記車体フレームにおける上方に位置させることにより、左旋回時に前記車体フレームを前記傾斜車両における左方に傾斜させ、前記右前輪アクスルを前記左前輪アクスルより前記車体フレームにおける上方に位置させることにより、右旋回時に前記車体フレームを前記傾斜車両における右方に傾斜させる前記リンク機構と、
   　前記左前輪及び前記右前輪より前記車体フレームにおける後方に配置され、後輪アクスルを中心として回転できる後輪であって、左旋回時に前記車体フレームと共に前記傾斜車両における左方に傾斜し、右旋回時に前記車体フレームと共に前記傾斜車両における右方に傾斜する前記後輪と、
   　前記左前輪及び前記右前輪を操舵する操舵機構と、
   　前記車体フレームに支持され、かつ、前記操舵機構を操舵するライダーのみが着座するライダー専用シングルシートと、
   　前記ライダー専用シングルシートより前記車体フレームにおける後方に配置され、かつ、積載部上に後方積載荷物が積載される前記積載部と、
   　を備え、
   　前記ライダー専用シングルシートの後端から前記後輪アクスルまでの前記車体フレームにおける前後方向の距離をＬ１と定義し、
   　前記ライダー専用シングルシートの後端から前記左前輪アクスル又は前記右前輪アクスルと前記後輪アクスルとの前記車体フレームにおける前後方向の中央に位置するホイールベース中央までの前記車体フレームにおける前後方向の距離をＬ２と定義し、
   　前記ライダー専用シングルシートの後端から前記積載部の前記車体フレームにおける前後方向の中央までの前記車体フレームにおける前後方向の距離をＬ３と定義し、
   　前記ライダー専用シングルシートの後端から前記積載部の前端までの前記車体フレームにおける前後方向の距離をＬ４と定義し、
   　前記ライダー専用シングルシートにおいて前記ライダーが着座できる着座面の前端から前記ライダー専用シングルシートに着座した前記ライダーのヒップポイントまでの前記車体フレームにおける前後方向の距離をＬ５と定義し、
   　前記リンク機構が前記左前輪アクスルと前記右前輪アクスルとを前記車体フレームにおける上下方向の同じ位置に位置させ、かつ、前記左前輪、前記右前輪及び前記後輪が地面に接触した状態において、式（ａ）、式（ｂ）及び式（ｃ）が成立する、
   　傾斜車両。
   Ｌ１＜Ｌ２・・・（ａ）
   Ｌ３＜Ｌ２・・・（ｂ）
   Ｌ４＜Ｌ５・・・（ｃ）
2. 　前記車体フレームは、リンク支持部を含み、
   　前記リンク機構は、前記左前輪及び前記右前輪より前記車体フレームにおける上方に配置され、前記リンク支持部の上部に上クロス部材の中間部が回転可能に支持される前記上クロス部材と、前記上クロス部材より前記車体フレームにおける下方かつ前記左前輪及び前記右前輪より前記車体フレームにおける上方に配置され、前記リンク支持部の下部に下クロス部材の中間部が回転可能に支持される前記下クロス部材と、左サイド部材の上部が前記上クロス部材の左部に回転可能に支持され、前記左サイド部材の下部が前記下クロス部材の左部に回転可能に支持される前記左サイド部材と、右サイド部材の上部が前記上クロス部材の右部に回転可能に支持され、前記右サイド部材の下部が前記下クロス部材の右部に回転可能に支持される前記右サイド部材と、を含み、
   　前記左前輪は、前記左サイド部材に支持され、
   　前記右前輪は、前記右サイド部材に支持される、
   　請求項１に記載の傾斜車両。
3. 　前記ライダー専用シングルシートの前記車体フレームにおける下方には収納空間が設けられており、
   　前記ライダー専用シングルシートは、前記収納空間が前記傾斜車両の外部に露出しない閉状態と前記収納空間が前記傾斜車両の外部に露出する開状態とを取ることができる、
   　請求項１又は請求項２のいずれかに記載の傾斜車両。
4. 　前記ライダー専用シングルシートの前記車体フレームにおける前後方向の長さは、前記ホイールベース中央から前記後輪アクスルまでの前記車体フレームにおける前後方向の距離より短い、
   　請求項１から請求項３のいずれかに記載の傾斜車両。
5. 　前記傾斜車両は、
   　前記後輪を回転させるための駆動力を発生し、クランク軸を有するエンジンを、
   　更に備え、
   　前記ライダー専用シングルシートは、前記エンジンを前記車体フレームにおける左方又は右方から見たときに、前記クランク軸の回転の中心軸の前記車体フレームにおける上方に配置されている、
   　請求項１から請求項４のいずれかに記載の傾斜車両。

Images