WO2019039583A1 - 圧延機及び圧延機の設定方法 - Google Patents

圧延機及び圧延機の設定方法 Download PDF

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Abstract

圧延機の設定方法であって、圧延機は、少なくとも一対の作業ロールと作業ロールを支持する一対の補強ロールとを含む、複数のロールを備える4段以上の圧延機であり、圧下位置零点調整前または圧延開始前に、圧下方向に配列された各ロールのうちいずれか1つのロールを基準ロールとして、少なくとも補強ロール以外のロールに作用するロール胴長方向におけるスラスト反力を測定するスラスト反力測定ステップと、測定されたスラスト反力が許容範囲内となるように、基準ロールのロールチョックの圧延方向位置を基準位置として固定し、基準ロール以外のロールのロールチョックを被圧延材の圧延方向に移動させ、ロールチョックの位置を調整するロールチョック位置調整ステップと、を含む。

Description

圧延機及び圧延機の設定方法
 本発明は、被圧延材を圧延する圧延機及び当該圧延機の設定方法に関する。
 熱延圧延プロセスにおいて通板トラブルの起因となる現象として、例えば鋼板の蛇行がある。鋼板が蛇行する要因の1つに圧延装置のロール間の微小クロス(ロールスキューともいう。)で発生するスラスト力があるが、スラスト力を直接測定することは困難である。そこで、従来からロール間で発生するスラスト力の合計値の反力として検出されるスラスト反力あるいはロールスキュー角を測定し、当該スラスト反力あるいは当該ロールスキュー角に基づきロール間で発生するスラスト力を同定して、鋼板の蛇行制御を行うことが提案されている。
 例えば、特許文献1には、ロール軸方向のスラスト反力と圧下方向の荷重を測定し、圧下位置零点と圧延機の変形特性のいずれか一方または双方を求め、圧延実行時の圧下位置設定し圧延制御する板圧延方法が開示されている。また、特許文献2には、圧延機の内部に設けられた距離センサを用いて測定されたロール間微小クロス(スキュー角)に基づきロールに発生するスラスト力を算出し、当該スラスト力に基づき圧下方向の荷重測定値から蛇行起因の差荷重成分を演算して圧下レベリング制御する、蛇行制御方法が開示されている。
 さらに、特許文献3には、ペアクロス圧延機において上下のロールの中心軸が水平方向で交差する点(クロスポイント)のずれを修正するクロスポイント修正装置が開示されている。かかる装置は、クロスヘッドとロールチョックとの間に発生する遊びを吸収するアクチュエータと、ロールチョック位置を検出する検出器とを備え、ロールチョック位置に基づきクロスポイントのずれを修正している。
 また、特許文献4には、駆動側と操作側の荷重差を検出し、検出した荷重差に基づいて駆動側と操作側の圧下位置を独立操作することにより圧延材の蛇行を制御する際に、圧延中のスラストに起因する差荷重を推定することによって、圧延中の差荷重を圧延材の蛇行に起因するものとスラストに起因するものとに分離し、これら分離した差荷重に基づいて駆動側と操作側の圧下位置を操作する圧延機の制御方法が開示されている。
特許第3499107号公報 特開2014-4599号公報 特開平8-294713号公報 特許第4962334号公報
 しかし、上記特許文献1に記載の技術では、補強ロール以外のロールのスラスト反力の測定が圧下位置零調時と圧延中に必要であるが、圧延中にスラスト反力を測定する場合、圧延荷重等の圧延条件の変化によっては、スラスト反力の作用点等の特性が変化し、スラスト力に伴う非対称変形を正しく特定できない場合がある。このため、圧下レベリング制御を正確に実施できない可能性がある。
 また、上記特許文献2に記載の技術では、渦流式等の距離センサにより測定されたロールの水平方向距離からロールスキュー角を求めている。しかし、ロール胴長部分の偏芯あるいは円筒度等機械加工精度によりロールが水平方向に振動し、また、圧延開始時の咬み込み時の衝撃等により水平方向のチョック位置が変動するため、スラスト力の発生の原因となるロールの水平変位を正確に測定することは困難である。また、ロールの摩擦係数は、圧延本数が増えるにつれてロールの粗度が経時的に変化することから、時々刻々変化する。このため、摩擦係数の同定なしにスラスト力の演算をロールスキュー角測定のみから正確に行うことはできない。
 さらに、上記特許文献3に記載の技術では、ロール間クロス角はロール間の相対的なクロスによって生じ、ロールベアリング等にもガタがあるため、各ロールチョック位置を個々に圧延方向に位置制御をしてもロール自体の相対的な位置関係のずれは解消されない。このため、ロール間クロス角により発生するスラスト力を無くすことはできない。
 また、上記特許文献4に記載の技術では、圧延に先立ち、上下ロールが接触しない状態にてロールを駆動しつつベンディング力を付与し、その際に発生する駆動側と作業側の荷重差から求めたスラスト係数あるいはスキュー量からスラストに起因する差荷重を推定している。特許文献4では上下ロールの1つの回転状態での測定値のみからスラスト係数またはスキュー量を同定している。このため、荷重検出装置の零点のずれ、あるいは、ハウジングとロールチョックとの摩擦抵抗の影響が左右で異なる場合、駆動側の測定値と作業側の測定値とに左右非対称な誤差が生じる可能性がある。特に、ベンディング力の負荷のように荷重レベルが小さい場合には、かかる誤差は、スラスト係数あるいはスキュー量の同定において致命的な誤差になり得る。また、特許文献4は、ロール間摩擦係数を与えなければスラスト係数またはスキュー量を同定することができない。
 さらに、特許文献4では、バックアップロールのスラスト反力はロール軸心位置に作用するとしており、スラスト反力の作用点位置の変化を考慮していない。通常、バックアップロールのチョックは圧下装置等に支持されるため、スラスト反力の作用点位置はロール軸心に位置するとは限らない。このため、駆動側の圧下方向荷重と作業側の圧下方向荷重との荷重差から求めるロール間スラスト力に誤差が生じ、当該ロール間スラスト力に基づき算出されるスラスト係数あるいはスキュー量にも誤差が生じる。
 そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、ロール間で発生するスラスト力を低減して、被圧延材の蛇行及びキャンバーの発生を抑制することが可能な、新規かつ改良された圧延機及び圧延機の設定方法を提供することにある。
 上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、圧延機の設定方法であって、圧延機は、少なくとも一対の作業ロールと作業ロールを支持する一対の補強ロールとを含む、複数のロールを備える4段以上の圧延機であり、圧下位置零点調整前または圧延開始前に、圧下方向に配列された各ロールのうちいずれか1つのロールを基準ロールとして、少なくとも補強ロール以外のロールに作用するロール胴長方向におけるスラスト反力を測定するスラスト反力測定ステップと、測定されたスラスト反力が許容範囲内となるように、基準ロールのロールチョックの圧延方向位置を基準位置として固定し、基準ロール以外のロールのロールチョックを被圧延材の圧延方向に移動させ、ロールチョックの位置を調整するロールチョック位置調整ステップと、を含む、圧延機の設定方法が提供される。
 ここで、複数のロールのうち圧下方向において最下部または最上部に位置するロールを上準ロールとしてもよい。
 ロールチョック位置調整ステップでは、作業ロールをキスロール状態にして、基準ロールと反対側のロールから順に、隣接するロール間に発生するスラスト反力が許容範囲内となるように、位置調整対象のロールのロールチョックを被圧延材の圧延方向に移動させて、当該ロールチョックの位置を調整し、このとき、すでにロールチョックの位置が調整されたロールのロールチョックを、位置調整対象のロールのロールチョックとの相対位置を保持しながら、同時かつ同方向に制御するようにしてもよい。
 また、ロールチョック位置調整ステップでは、作業ロールをキスロール状態にして、基準ロール側から順に、隣接するロール間に発生するスラスト反力が許容範囲内となるように、位置調整対象のロールのロールチョックを被圧延材の圧延方向に移動させて、当該ロールチョックの位置を調整し、このとき、ロールチョックの位置が未調整であるロールのロールチョックを、位置調整対象のロールのロールチョックとの相対位置を保持しながら、同時かつ同方向に制御するようにしてもよい。
 また、4段の圧延機において、被圧延材に対して圧下方向上側に設けられた複数のロールを上ロール系、被圧延材に対して圧下方向下側に設けられた複数のロールを下ロール系として、ロールチョック位置調整ステップでは、作業ロールのロールギャップを開状態とし、上ロール系及び下ロール系それぞれについて、作業ロールのロールチョックと補強ロールのロールチョックとの位置を調整する第1調整と、第1調整を終えた後、作業ロールをキスロール状態にして、上ロール系または下ロール系のいずれか一方を基準ロール系とし、他方のロール系の各ロールのロールチョックを、当該ロールチョックの相対位置を保持しながら同時かつ同方向に制御して、当該ロールチョックの位置を調整する第2調整と、を実施し、第1調整では、上ロール系及び下ロール系それぞれについて、作業ロールのロールチョックに対してベンディング装置によりベンディング力を負荷させた状態で、測定されたスラスト反力が許容範囲内となるように、基準ロール側の作業ロールのロールチョック、及び、基準ロールと反対側のロール系の作業ロールのロールチョックまたは補強ロールのロールチョックのいずれか一方を被圧延材の圧延方向に移動させて、ロールチョックの位置を調整するようにしてもよい。
 あるいは、圧延機は、作業ロールと補強ロールとの間に中間ロールをそれぞれ備える6段の圧延機であり、被圧延材に対して圧下方向上側に設けられた複数のロールを上ロール系、被圧延材に対して圧下方向下側に設けられた複数のロールを下ロール系として、ロールチョック位置調整ステップでは、作業ロールのロールギャップを開状態とし、上ロール系及び下ロール系それぞれについて、中間ロールのロールチョックと補強ロールのロールチョックとの位置を調整する第1調整と、第1調整を終えた後、作業ロールのロールギャップを開状態に維持して、上ロール系及び下ロール系それぞれについて、中間ロールのロールチョックと作業ロールのロールチョックとの位置を調整する第2調整と、第2調整を終えた後、作業ロールをキスロール状態にして、上ロール系または下ロール系のいずれか一方を基準ロール系とし、他方のロール系の各ロールのロールチョックを、当該ロールチョックの相対位置を保持しながら同時かつ同方向に制御して、当該ロールチョックの位置を調整する第3調整と、を実施し、第1調整及び第2調整は、中間ロールのロールチョック及び作業ロールのロールチョックに対してベンディング装置によりベンディング力を負荷させた状態で行われ、第1調整では、上ロール系及び下ロール系それぞれについて、測定されたスラスト反力が許容範囲内となるように、基準ロール側の中間ロールのロールチョック、及び、基準ロールと反対側のロール系の中間ロールのロールチョックまたは補強ロールのロールチョックのいずれか一方を被圧延材の圧延方向に移動させて、ロールチョックの位置を調整し、第2調整では、上ロール系及び下ロール系それぞれについて、測定されたスラスト反力が許容範囲内となるように、基準ロール側の作業ロールのロールチョック、及び、基準ロールと反対側のロール系の中間ロールのロールチョックまたは作業ロールのロールチョックのいずれか一方を被圧延材の圧延方向に移動させて、ロールチョックの位置を調整し、基準ロールと反対側のロール系の中間ロールのロールチョックを移動させる場合には、当該中間ロールのロールチョックとこれに隣接する補強ロールのロールチョックとの相対位置を保持しながら同時かつ同方向に制御するようにしてもよい。
 また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、少なくとも一対の作業ロールと作業ロールを支持する一対の補強ロールとを含む、複数のロールを備える4段以上の圧延機であって、圧下方向に配列された各ロールのうちいずれか1つのロールを基準ロールとして、少なくとも補強ロール以外の各ロールに作用するロール胴長方向におけるスラスト反力を測定する測定装置と、少なくとも基準ロール以外のロールのロールチョックに対し、圧延方向入側または出側のいずれか一方に設けられ、被圧延材の圧延方向に押圧する押圧装置と、少なくとも基準ロール以外のロールのロールチョックに対し、圧延方向において押圧装置と対向するように設けられ、被圧延材の圧延方向に移動させる駆動装置と、基準ロールのロールチョックの圧延方向位置を基準位置として固定し、駆動装置を駆動して、各ロールのスラスト反力が許容範囲内の値となるように、基準ロール以外のロールのロールチョックの圧延方向における位置を制御する位置制御装置と、を備える、圧延機が提供される。
 ここで、複数のロールのうち圧下方向において最下部または最上部に位置するロールを基準ロールとしてもよい。
 また、圧延機は、ロールに対してベンディング力を付与するベンディング装置を備え、位置制御装置は、位置調整対象とするロールと位置調整対象外のロールとのロールギャップを開状態にし、位置調整対象のロールのロールチョックに対して、ベンディング装置によりベンディング力を付与するようにしてもよい。
 駆動装置は、ロールチョック位置検出装置を備えた油圧シリンダであってもよい。
 以上説明したように本発明によれば、ロール間で発生するスラスト力を低減して、被圧延材の蛇行及びキャンバーの発生を抑制することが可能となる。
圧延時において圧延機のロール間に発生するスラスト力及びスラスト反力を説明するための、圧延機の概略側面図及び概略正面図である。 本発明の第1の実施形態に係る圧延機と、当該圧延機を制御するための装置との構成を示す説明図である。 同実施形態に係る圧延機の設定方法を説明するフローチャートであって、基準ロールと反対側のロールから位置調整を行う場合の例を示す。 同実施形態に係る圧延機の設定方法を説明するフローチャートであって、基準ロールと反対側のロールから位置調整を行う場合の例を示す。 図3A及び図3Bに示す圧延機の設定方法におけるロール位置調整の手順を示す説明図である。 同実施形態に係る圧延機の設定方法を説明するフローチャートであって、基準ロール側のロールから位置調整を行う場合の例を示す。 同実施形態に係る圧延機の設定方法を説明するフローチャートであって、基準ロール側のロールから位置調整を行う場合の例を示す。 図5A及び図5Bに示す圧延機の設定方法におけるロール位置調整の手順を示す説明図である。 本発明の第2の実施形態に係る圧延機と、当該圧延機を制御するための装置との構成を示す説明図である。 同実施形態に係る圧延機の設定方法を示すフローチャートである。 同実施形態に係る圧延機の設定方法を示すフローチャートである。 図8A及び図8Bに示す圧延機の設定方法におけるロール位置調整の手順を示す説明図である。 ロールギャップが開状態である圧延機の、作業ロール及び補強ロールの配置を示す説明図である。 ロール間クロス角の定義を示す説明図である。 ロールギャップ開状態での、補強ロールクロス角と、補強ロールスラスト反力、作業ロールスラスト反力、及び、圧下方向荷重の差荷重との一関係を示すグラフである。 キスロール状態にされた圧延機の、作業ロール及び補強ロールの配置を示す説明図であって、ペアクロス無の状態を示す。 図13に示すキスロール状態での、補強ロールクロス角と、補強ロールスラスト反力、及び、作業ロールスラスト反力との一関係を示すグラフである。 キスロール状態にされた圧延機の、作業ロール及び補強ロールの配置を示す説明図であって、ペアクロス有の状態を示す。 図15に示すキスロール状態での、作業ロールと補強ロールとのペアクロス角と、補強ロールスラスト反力、及び、作業ロールスラスト反力との一関係を示すグラフである。 ロールチョック位置検出装置を備える油圧シリンダの代わりに、回転角検出機能付サーボモータを適用する例を示す説明図である。 図4に示した圧延機の設定方法を6段圧延機に適用した場合のロール位置調整の手順を示す説明図である。 図6に示した圧延機の設定方法を6段圧延機に適用した場合のロール位置調整の手順を示す説明図である。 図9に示した圧延機の設定方法を6段圧延機に適用した場合のロール位置調整の手順を示す説明図である。 本発明の各実施形態に係る圧延機を制御するための装置として機能する情報処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
 以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
 <1.目的>
 本発明の実施形態に係る圧延機と当該圧延機の設定方法では、ロール間に発生するスラスト力をなくし、蛇行及びキャンバーのない、あるいは蛇行及びキャンバーが極めて軽微な製品を安定して製造することを目的とする。図1に、被圧延材Sの圧延時において圧延機のロール間に発生するスラスト力及びスラスト反力を説明するための、圧延機の概略側面図及び概略正面図を示す。以下では、図1に示すように、ロール胴長方向の作業側をWS(Work Side)、駆動側をDS(Drive Side)と表す。
 図1に示す圧延機は、上作業ロール1及び下作業ロール2とからなる一対の作業ロールと、圧下方向(Z方向)において上作業ロール1を支持する上補強ロール3及び下作業ロール2を支持する下補強ロール4とからなる一対の補強ロールとを有する。作業ロール間に被圧延材Sを通し圧延することで、被圧延材Sの板厚を所定の厚さにする。
 圧延機には、圧下方向(Z方向)において、被圧延材Sの上面側に配置された上作業ロール1及び上補強ロール3からなる上ロール系に係る圧下方向荷重を検出する上荷重検出装置28a、28bと、被圧延材Sの下面側に配置された下作業ロール2及び下補強ロール4からなる下ロール系に係る圧下方向荷重を検出する下荷重検出装置29a、29bとが設けられている。上荷重検出装置28a及び下荷重検出装置29aは、作業側における圧下方向荷重を検出し、上荷重検出装置28b及び下荷重検出装置29bは、駆動側における圧下方向荷重を検出する。なお、上ロール系、下ロール系の「ロール系」とは、複数のロールからなるロール群の意である。
 上作業ロール1、下作業ロール2、上補強ロール3及び下補強ロール4は、被圧延材Sの搬送方向に直交するように、各ロールの胴長方向を平行にして配置される。しかし、圧下方向に平行な軸(Z軸)まわりにロールが僅かに回転し、上作業ロール1と上補強ロール3との胴長方向のずれ、あるいは、下作業ロール2と下補強ロール4との胴長方向のずれが生じると、作業ロールと補強ロールとの間に、ロールの胴長方向に作用するスラスト力が発生する。ロール間スラスト力は、ロールに余分なモーメントを発生させ、非対称なロール変形が起因となり圧延を不安定な状態にする一因であり、例えば蛇行あるいはキャンバーを引き起こす。
 このロール間スラスト力は、作業ロールと補強ロールとのロール胴長方向にずれが生じ、ロール間クロス角が発生することにより生じる。例えば、下作業ロール2と下補強ロール4との間にロール間クロス角が発生しているとする。このとき、下作業ロール2と下補強ロール4との間にはスラスト力が発生する。被圧延材Sと下作業ロール間にも僅かであるがスラスト力が発生し、これらの合力の反力として下作業ロールチョック6にスラスト反力が作用する。その結果、下補強ロール4にモーメントが発生し、このモーメントにバランスするようにロール間の荷重分布が変化し、非対称なロール変形が生じる。この非対称なロール変形によって蛇行あるいはキャンバーを引き起こす等、圧延が不安定となる。
 以上より、本発明では、圧延機による被圧延材の圧延において、ロール間に発生するロール間スラスト力がなくなるように各ロールのロールチョック位置を調整することで、蛇行及びキャンバーのない、あるいは蛇行及びキャンバーが極めて軽微な製品を安定して製造することを目的とする。
 <2.第1の実施形態>
 図2~図6に基づいて、本発明の第1の実施形態に係る圧延機及び当該圧延機を制御するための装置の構成と、圧延機の設定方法とについて説明する。第1の実施形態に係る圧延機の設定方法では、圧下位置零点調整前または圧延開始前に、基準とするロールと他のロールとのロール間クロス角をゼロにするように調整し、スラスト力の発生しない圧延を実現する。
 [2-1.圧延機の構成]
 まず、図2に基づいて、本実施形態に係る圧延機と、当該圧延機を制御するための装置とを説明する。図2は、本実施形態に係る圧延機と、当該圧延機を制御するための装置との構成を示す説明図である。なお、図2に示す圧延機は、ロール胴長方向の作業側から見た状態を示しているとする。また、図2では、下補強ロールを基準ロールとした場合の構成を示す。なお、基準ロールは、チョックとハウジングとの接触面積が大きく、位置が安定する最下部または最上部に位置するロールが好ましい。
 図2に示す圧延機は、一対の作業ロール1、2と、これを支持する一対の補強ロール3、4とを有する4段の圧延機である。上作業ロール1は上作業ロールチョック5により支持されており、下作業ロール2は下作業ロールチョック6により支持されている。なお、上作業ロールチョック5及び下作業ロールチョック6は、図2紙面奥側(駆動側)にも同様に設けられており、それぞれ上作業ロール1、下作業ロール2を支持している。上作業ロール1及び下作業ロール2は、駆動用電動機21により回転駆動される。また、上補強ロール3は上補強ロールチョック7により支持されており、下補強ロール4は下補強ロールチョック8により支持されている。上補強ロールチョック7及び下補強ロールチョック8も、図2紙面奥側(駆動側)にも同様に設けられており、それぞれ上補強ロール3、下補強ロール4を支持している。上作業ロールチョック5、下作業ロールチョック6、上補強ロールチョック7、及び下補強ロールチョック8は、ハウジング30により保持されている。
 上作業ロールチョック5には、圧延方向入側に設けられ、上作業ロールチョック5を圧延方向に押圧する上作業ロールチョック押圧装置9と、圧延方向出側に設けられ、圧延方向の位置を検出して上作業ロールチョック5を圧延方向に駆動する上作業ロールチョック位置検出機能付駆動装置11とが設けられている。また、上作業ロール1には、当該上作業ロール1にかかるスラスト反力を測定する上作業ロールスラスト反力測定装置17が設けられている。
 同様に、下作業ロールチョック6には、圧延方向入側に設けられ、下作業ロールチョック6を圧延方向に押圧する下作業ロールチョック押圧装置10と、圧延方向出側に設けられ、圧延方向の位置を検出して下作業ロールチョック6を圧延方向に駆動する下作業ロールチョック位置検出機能付駆動装置12とが設けられている。また、下作業ロール2には、当該下作業ロール2にかかるスラスト反力を測定する下作業ロールスラスト反力測定装置18が設けられている。
 上作業ロールチョック位置検出機能付駆動装置11、下作業ロールチョック位置検出機能付駆動装置12、上作業ロールチョック押圧装置9の駆動機構、及び下作業ロールチョック押圧装置10の駆動機構には、例えば油圧シリンダが用いられる。なお、図2において、上下の作業ロールチョック位置検出機能付駆動装置11、12と上下の作業ロールチョック押圧装置9、10とは、作業側のみを表示しているが、紙面奥側(駆動側)にも同様に設けられている。
 上補強ロールチョック7には、圧延方向出側に設けられ、上補強ロールチョック7を圧延方向に押圧する上補強ロールチョック押圧装置13と、圧延方向入側に設けられ、圧延方向の位置を検出して上補強ロールチョック7を圧延方向に駆動する上補強ロールチョック位置検出機能付駆動装置14とが設けられている。上補強ロールチョック位置検出機能付駆動装置14、及び、上補強ロールチョック押圧装置13の駆動機構には、例えば油圧シリンダが用いられる。また、上補強ロール3には、当該上補強ロール3にかかるスラスト反力を測定する上補強ロールスラスト反力測定装置19が設けられている。なお、図2において、上補強ロールチョック位置検出機能付駆動装置14と上補強ロールチョック押圧装置13は、作業側のみを表示しているが、紙面奥側(駆動側)にも同様に設けられている。
 一方、下補強ロールチョック8は、本実施形態においては下補強ロール4を基準ロールとしているため、基準ロールチョックとなる。したがって、下補強ロールチョック8を駆動させて位置調整を行うことはないので、上補強ロールチョック7のように、必ずしも駆動装置及び位置検出装置を備えていなくともよい。ただし、図2に示すように、圧延方向の入側または出側に、例えば下補強ロールチョック押圧装置40等を設けてもよい。これにより、位置調整の基準とする基準ロールチョックの位置が変化しないように、下補強ロールチョック8のガタツキを押さえることができる。また、下補強ロール4には、当該下補強ロール4にかかるスラスト反力を測定する下補強ロールスラスト反力測定装置20が設けられている。なお、図2において、下補強ロールチョック押圧装置40は、作業側のみを表示しているが、紙面奥側(駆動側)にも同様に設けられている。
 圧延機を制御するための装置として、例えば図2に示すように、ロールチョック圧延方向力制御装置15と、ロールチョック位置制御装置16と、駆動用電動機制御装置22と、ロール間クロス制御装置23とを有する。
 ロールチョック圧延方向力制御装置15は、上作業ロールチョック押圧装置9、下作業ロールチョック押圧装置10、上補強ロールチョック押圧装置13、及び下補強ロールチョック押圧装置40の圧延方向の押圧力を制御する。ロールチョック圧延方向力制御装置15は、後述するロール間クロス制御装置23の制御指示に基づき、チョック位置の制御対象である上作業ロールチョック押圧装置9、下作業ロールチョック押圧装置10、及び、上補強ロールチョック押圧装置13を駆動させる。これらのロールチョック押圧装置を駆動して、各ロールチョックに対して所定の押圧力を与えることにより、チョック位置を制御可能な状態を形成する。
 ロールチョック位置制御装置16は、上作業ロールチョック位置検出機能付駆動装置11、下作業ロールチョック位置検出機能付駆動装置12、及び、上補強ロールチョック位置検出機能付駆動装置14の駆動制御を行う。ロールチョック位置制御装置16は、ロール間クロス制御装置23の制御指示に基づき、ロール間のスラスト反力が所定範囲内となるように上作業ロールチョック位置検出機能付駆動装置11、下作業ロールチョック位置検出機能付駆動装置12、及び、上補強ロールチョック位置検出機能付駆動装置14を駆動させる。位置検出機能付駆動装置11、12、14は、作業側及び駆動側の両側に配置されている。上作業ロールチョック5、下作業ロールチョック6及び上補強ロールチョック7の作業側及び駆動側の圧延方向の位置が、同一量、作業側と駆動側とで逆向きに変化するように、位置検出機能付駆動装置11、12、14を制御することにより、作業側及び駆動側の平均的な圧延方向位置を変更することなく、ロール間クロス角のみを変更することができる。
 駆動用電動機制御装置22は、上作業ロール1及び下作業ロール2を回転駆動する駆動用電動機21を制御する。本実施形態に係る駆動用電動機制御装置22は、ロール間クロス制御装置23からの指示に基づき、上作業ロール1または下作業ロール2の駆動を制御する。
 ロール間クロス制御装置23は、圧延機を構成する上作業ロール1、下作業ロール2、上補強ロール3、及び、下補強ロール4について、ロール間クロス角がゼロとなるように、各ロールの位置を制御する。ロール間クロス制御装置23は、上作業ロールスラスト反力測定装置17、下作業ロールスラスト反力測定装置18、上補強ロールスラスト反力測定装置19、及び、下補強ロールスラスト反力測定装置20により測定されたスラスト反力に基づき、スラスト反力が許容範囲以下となるように、ロールチョック圧延方向力制御装置15、ロールチョック位置制御装置16と、駆動用電動機制御装置22に対して制御指示を行う。これにより、ロール間に生じていたクロスをなくすようにする。なお、当該圧延機の設定方法の詳細については後述する。
 また、上述では、作業ロールチョック5、6については、圧延機の出側に位置検出機能付駆動装置11、12、入側に押圧装置9、10、補強ロールチョック7については、圧延機の入側に位置検出機能付駆動装置14、出側に押圧装置13を配備する例を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、これらの配置を圧延機の入側と出側とで逆に設置してもよく、あるいは、作業ロール1、2及び補強ロール3、4で、押圧装置9、10、13及び位置検出機能付駆動装置11、12、14を同じ側に設置してもよい。
 さらに、位置検出機能付駆動装置11、12、14については、作業側及び駆動側の両側に配置し、それぞれを位置制御する例を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。これらの装置を作業側及び駆動側の片側のみに配置、あるいは、片側のみを動作させるようにしてもよい。この場合、配置されている装置または動作される装置の反対側を回転の支点として、位置制御を行うことによってロール間クロス角を制御することが可能であり、ロール間クロスを低減するという同様の効果が得られることは、言うまでもない。
 また、上述では、ロールスラスト反力測定装置を全ロールに配備する例を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、上作業ロールスラスト反力測定装置17と下作業ロールスラスト反力測定装置18のみの場合、あるいは、これらと上補強ロールスラスト反力測定装置19または下補強ロールスラスト反力測定装置20が配備する場合においても、後述する圧延機の設定方法を同様に実施することが可能である。これらの手順については後述する。
 また、上述では、位置検出機能付駆動装置を基準ロール以外に配置する例を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、位置検出機能付駆動装置を全ロールに配置し、状況に応じて基準ロールを変更してもよい。この場合、その変更した基準ロールに基づいて後述する圧延機の設定方法を実施すればよい。
 [2-2.圧延機の設定方法]
 本実施形態に係る圧延機の設定方法では、圧下位置零点調整前または圧延開始前に、圧下方向に配列された各ロールのうちいずれか1つのロールを基準ロールとして、まず、少なくとも補強ロール以外のロールに作用するロール胴長方向におけるスラスト反力を測定する。そして、測定されたスラスト反力が許容範囲内となるように、基準ロールのロールチョックの圧延方向位置を基準位置として固定し、基準ロール以外のロールのロールチョックを被圧延材の圧延方向に移動させ、ロールチョックの位置を調整する。このようにロールチョックの位置を調整することで、ロール間クロス角をなくし、ロール間スラスト力が発生しないようにする。以下、本実施形態に係る圧延機の設定方法について、具体的に説明する。
 なお、本実施形態に係る圧延機の設定方法は、圧延機を稼働させた際にロール間スラスト力を発生させないために、圧延機に組み込まれたロール間に生じているロール間クロス角がゼロとなるようにロールチョックの位置を調整してロールの相対位置を調整する方法である。この圧延機の設定は、例えばロール組み替え時に、圧下位置の零点調整よりも前に実施される。このように、本実施形態に係る圧延機の設定方法は、圧延機を稼働して発生したロール間スラスト力を考慮して蛇行あるいはキャンバーを抑制するために圧延機を制御する方法とは異なる。
(1)基準ロールと反対側のロールからロール位置を調整する場合(全ロールのスラスト反力を測定する例)
 まず、図3A~図4に基づいて、本実施形態に係る圧延機の設定方法について説明する。図3A及び図3Bは、本実施形態に係る圧延機の設定方法を説明するフローチャートであって、基準ロールと反対側のロールからロール位置を調整する場合の例を示す。図4は、本実施形態に係る圧延機の設定方法におけるロール位置調整の手順を示す説明図である。なお、図4においては、ロール間に作用する荷重分布の記載を省略し、スラスト力及びスラスト反力については、対象とするロール間スラスト力のみがスラスト反力の測定値として現れる場合のみを記載している。
 本例では、下補強ロール4を基準ロールとして説明するが、上補強ロール3が基準ロールとなる場合もある。なお、基準ロールとしては圧延機を構成するロールのいずれか1つを設定すればよく、圧下方向において最上部又は最下部にあるロールのいずれか一方を基準ロールとするのが好ましい。例えば、上補強ロール3を基準ロールとする場合には、以下の同様の手順で、基準ロール(上補強ロール3)から最も遠いロール(下補強ロール4)と2番目に遠いロール(下作業ロール2)との位置調整、これら2つのロールと3番目に遠いロール(上作業ロール1)との位置調整、そして、これら3つのロールと基準ロールとの位置調整、のように、基準ロールと反対側のロール系から順にロールの位置調整を行えばよい。
(初期設定:S100a)
 圧延を開始するにあたり、図3Aに示すように、まず、ロール間クロス制御装置23は、圧下装置27に、上作業ロール1と下作業ロール2とが所定のキスロール状態となるように、圧下方向におけるロール位置を調整させる(S100a)。圧下装置27は、当該指示に基づきロールに対して所定の負荷を与え、作業ロール1、2をキスロール状態とする。
 次いで、各ロールの位置調整が段階的に行われる。このとき、基準ロールのロールチョックの圧延方向位置は基準位置として固定し、基準ロール以外のロールのロールチョックの圧延方向における位置を移動して調整することにより、ロールの相対位置が調整される。
(第1調整:S102a~S106a)
 第1調整では、図4に示すように、基準ロールである下補強ロール4と反対側のロール系にある上補強ロール3に対して作用する上補強ロールスラスト反力がゼロとなるように調整する。そこで、まず、ロール間クロス制御装置23は、駆動用電動機制御装置22により駆動用電動機21を駆動させて、各ロールを回転させる。そして、上補強ロール3に作用するスラスト反力を、上補強ロールスラスト反力測定装置19により測定する(S102a)。上補強ロールスラスト反力測定装置19により測定された上補強ロール3に作用するスラスト反力は、ロール間クロス制御装置23へ出力される。
 次いで、ロール間クロス制御装置23は、測定された上補強ロール3に作用するスラスト反力が許容範囲内となるように、上補強ロールチョック7の位置を制御する(S104a)。スラスト反力の許容範囲内の値の上下限値は、キスロール条件におけるロール変形解析を行い、非対称変形分を圧下レベリング量に換算した上で求めてもよい。例えば、ロール間クロス角の許容範囲内の上下限値は、製品に要求されるキャンバーの限界値または絞りが発生するキャンバーの限界値を基準として、既存の圧延モデルに基づき計算すればよい。また、スラスト反力測定装置の数が少なく、対象とするロール間以外のスラスト力がスラスト反力の測定値に含まれる場合は、ロールチョック位置あるいはロール間クロス角とスラスト反力との相対的な変化から当該スラスト反力が最大あるいは最小となる値に基づき許容範囲を求めてもよい。
 ロール間クロス制御装置23は、ロールチョック圧延方向力制御装置15、ロールチョック位置制御装置16に対して、上補強ロールチョック7の位置を調整するよう指示する。ロールチョック位置制御装置16により上補強ロールチョック7の位置を検出しつつ、ロールチョック圧延方向力制御装置15は、上補強ロール3に作用するスラスト反力が許容範囲内となるまで上補強ロールチョック7の位置を調整する(S106a)。
 そして、ステップS106aにて、上補強ロール3に作用するスラスト反力が許容範囲内となったと判定されると、上補強ロールチョック7の位置調整が終了する。第1調整により、上補強ロール3と上作業ロール1とのロール間クロス角が許容範囲内に調整される。
(第2調整:S108a~S112a)
 次いで、第2調整では、図4に示すように、基準ロールである下補強ロール4と反対側のロール系にある上作業ロール1に対して作用する上作業ロールスラスト反力がゼロとなるように、圧延機が調整される。ロール間クロス制御装置23は、駆動用電動機21により各ロールが回転されている状態で、上作業ロール1に作用するスラスト反力を、上作業ロールスラスト反力測定装置17により測定する(S108a)。上作業ロールスラスト反力測定装置17により測定された上作業ロール1に作用するスラスト反力は、ロール間クロス制御装置23へ出力される。
 次いで、ロール間クロス制御装置23は、測定された上作業ロール1に作用するスラスト反力が許容範囲内となるように、上作業ロールチョック5の位置を制御する(S110a)。ロール間クロス制御装置23は、ロールチョック圧延方向力制御装置15、ロールチョック位置制御装置16に対して、上作業ロールチョック5の位置を調整するよう指示する。ロールチョック位置制御装置16により上作業ロールチョック5の位置を検出しつつ、ロールチョック圧延方向力制御装置15は、上作業ロール1に作用するスラスト反力が許容範囲内となるまで上作業ロールチョック5の位置を調整する(S112a)。このとき、既に上作業ロール1とのロール間クロスが調整された上補強ロール3も、上作業ロール1に対するロールチョック間の相対位置を保持しながら、上作業ロール1と同時にかつ同方向に動くように、上補強ロールチョック7の位置が制御される。これにより、上補強ロール3、上作業ロール1及び下作業ロール2のロール間クロスの調整を行うことができる。
 そして、ステップS112aにて、上作業ロール1に作用するスラスト反力が許容範囲内となったと判定されると、上作業ロールチョック5の位置調整が終了する。第2調整により、上補強ロール3、上作業ロール1及び下作業ロール2のロール間クロス角が許容範囲内となるようにロールチョックの位置を調整することで、各ロールの位置が調整される。
(第3調整:S114a~S120a)
 そして、第3調整では、図3B及び図4に示すように、基準ロールである下補強ロール4と同じ側のロール系にある下作業ロール2または下補強ロール4に対して作用するスラスト反力がゼロとなるようにロールチョックの位置を調整することで、各ロールの位置を調整する。既に下作業ロール2から上方のロール系のロール間クロスが調整されていることから、ロール間クロスは下作業ロール2と下補強ロール4との間のみ存在し、それによりスラスト反力が発生する。このとき、同じ大きさで符号の異なるスラスト反力が下作業ロール2と下補強ロール4とに生じる。したがって、いずれかのスラスト反力をゼロにするようにロールチョック位置を調整することによって、ロール間クロスをゼロにすることができる。
 下作業ロールスラスト反力測定装置18は、駆動用電動機21により各ロールが回転されている状態で、下作業ロール2に作用するスラスト反力を測定する。あるいは、下補強ロールスラスト反力測定装置20により、下補強ロール4に作用するスラスト反力を測定する(S114a)。下作業ロールスラスト反力測定装置18により測定された下作業ロール2に作用するスラスト反力、または、下補強ロールスラスト反力測定装置20により測定された下補強ロール4に作用するスラスト反力は、ロール間クロス制御装置23へ出力される。
 次いで、ロール間クロス制御装置23は、測定されたスラスト反力が許容範囲内となるように、下作業ロールチョック6の位置を制御する(S116a)。ロール間クロス制御装置23は、ロールチョック圧延方向力制御装置15、ロールチョック位置制御装置16に対して、下作業ロールチョック6の位置を調整するよう指示する。ロールチョック位置制御装置16により下作業ロールチョック6の位置を検出しつつ、ロールチョック圧延方向力制御装置15は、ステップS114aにて測定されたスラスト反力が許容範囲内となるまで下作業ロールチョック6の位置を調整する(S118a)。このとき、既に下作業ロール2とのロール間クロスが調整された上作業ロール1及び上補強ロール3も、ロールチョック間の相対位置を保持しながら下作業ロール2と同時にかつ同方向に動くように、上作業ロールチョック5及び上補強ロールチョック7の位置制御が行われる。これにより、上補強ロール3、上作業ロール1、下作業ロール2及び下補強ロール4のロール間クロスの調整を行うことができる。
 そして、ステップS118aにて、下作業ロール2に作用するスラスト反力が許容範囲内となったと判定されると、下作業ロールチョック6の位置調整が終了する。第3調整により、上補強ロール3、上作業ロール1、下作業ロール2及び下補強ロール4のロール間クロス角が許容範囲内となるようにロールチョック位置が調整される。こうして圧延機のすべてのロールのロール間クロス角が許容範囲内にされると、ロール間クロス制御装置23は、圧下装置27に、上作業ロール1と下作業ロール2とのロールギャップが所定の大きさとなるように調整させる(S120a)。その後、当該圧延機による被圧延材の圧延が開始される。
(2)基準ロール側のロールから位置調整する場合(基準ロールと反対側の補強ロール以外のロールのスラスト反力を測定する例)
 次に、図5A~図6に基づいて、本実施形態に係る圧延機の設定方法の他の例として、基準ロールと反対側の補強ロール以外のロールスラスト反力を測定する場合について説明する。図5A及び図5Bは、本実施形態に係る圧延機の設定方法を説明するフローチャートであって、基準ロール側のロールからロールの位置を調整する場合の例を示す。図6は、本実施形態に係る圧延機の設定方法におけるロール位置調整の手順を示す説明図である。なお、図6においては、ロール間に作用する荷重分布の記載を省略し、スラスト力及びスラスト反力については、対象とするロール間スラスト力のみがスラスト反力の測定値として現れる場合のみを記載している。
 本例においても下補強ロール4を基準ロールとして説明するが、上補強ロール3が基準ロールとなる場合もある。なお、基準ロールとしては圧延機を構成するロールのいずれか1つを設定すればよく、基準ロールは圧下方向において最上部又は最下部にあるロールのいずれか一方とするのが好ましい。この場合も以下の同様の手順で各ロールの位置調整を行えばよい。
(初期設定:S100b)
 圧延を開始するにあたり、図5Aに示すように、まず、ロール間クロス制御装置23は、圧下装置27に、上作業ロール1と下作業ロール2とが所定のキスロール状態となるように、圧下方向におけるロール位置を調整させる(S100b)。圧下装置27は、当該指示に基づきロールに対して所定の負荷を与え、作業ロール1、2をキスロール状態とする。
 次いで、各ロールの位置調整が段階的に行われる。このとき、基準ロールのロールチョックの圧延方向位置は基準位置として固定し、基準ロール以外のロールのロールチョックの圧延方向における位置を移動して調整することにより、ロールの相対位置が調整される。
(第1調整:S102b~S106b)
 第1調整では、図6に示すように、基準ロールである下補強ロールに対して作用する下補強ロールスラスト反力がゼロとなるように調整する。そこで、まず、ロール間クロス制御装置23は、駆動用電動機制御装置22により駆動用電動機21を駆動させて、各ロールを回転させる。そして、下補強ロール4に作用するスラスト反力を、下補強ロールスラスト反力測定装置20により測定する(S102b)。下補強ロールスラスト反力測定装置20により測定された下補強ロール4に作用するスラスト反力は、ロール間クロス制御装置23へ出力される。
 次いで、ロール間クロス制御装置23は、測定された下補強ロール4に作用するスラスト反力が許容範囲内となるように、下作業ロールチョック6の位置を制御する(S104b)。ロール間クロス制御装置23は、ロールチョック圧延方向力制御装置15、ロールチョック位置制御装置16に対して、下作業ロールチョック6の位置を調整するよう指示する。ロールチョック位置制御装置16により下作業ロールチョック6の位置を検出しつつ、ロールチョック圧延方向力制御装置15は、下補強ロール4に作用するスラスト反力が許容範囲内となるまで下作業ロールチョック6の位置を調整する(S106b)。このとき、上作業ロール1及び上補強ロール3も、ロールチョック間の相対位置を保持しながら下作業ロール2と同時にかつ同方向に動くように、上作業ロールチョック5及び上補強ロールチョック7の位置を制御する。これにより、上補強ロール3及び上作業ロール1と下作業ロール2とのロール間クロスの状態を維持したまま、下作業ロール2と下補強ロール4とのロール間クロスの調整を行うことができる。
 そして、ステップS106bにて、下補強ロール4に作用するスラスト反力が許容範囲内となったと判定されると、下作業ロールチョック6の位置調整が終了する。第1調整により、下補強ロール4と下作業ロール2とのロール間クロス角が許容範囲内に調整される。
(第2調整:S108b~S112b)
 次いで、第2調整では、図6に示すように、基準ロールである下補強ロール4側のロール系にある下作業ロール2に対して作用する下作業ロールスラスト反力がゼロとなるように、圧延機が調整される。ロール間クロス制御装置23は、駆動用電動機21により各ロールが回転されている状態で、下作業ロール2に作用するスラスト反力を、下作業ロールスラスト反力測定装置18により測定する(S108b)。下作業ロールスラスト反力測定装置18により測定された下作業ロール2に作用するスラスト反力は、ロール間クロス制御装置23へ出力される。
 次いで、ロール間クロス制御装置23は、測定された下作業ロール2に作用するスラスト反力が許容範囲内となるように、上作業ロールチョック5の位置を制御する(S110b)。ロール間クロス制御装置23は、ロールチョック圧延方向力制御装置15、ロールチョック位置制御装置16に対して、上作業ロールチョック5の位置を調整するよう指示する。ロールチョック位置制御装置16により上作業ロールチョック5の位置を検出しつつ、ロールチョック圧延方向力制御装置15は、上作業ロール1に作用するスラスト反力が許容範囲内となるまで上作業ロールチョック5の位置を調整する(S112b)。このとき、上補強ロール3も、ロールチョック間の相対位置を保持しながら上作業ロール1と同時にかつ同方向に動くように、上補強ロールチョック7の位置が制御される。これにより、上補強ロール3と上作業ロール1とのロール間クロスの状態を維持したまま、上作業ロール1と、下作業ロール2及び下補強ロール4とのロール間クロスの調整を行うことができる。
 そして、ステップS112bにて、上作業ロール1に作用するスラスト反力が許容範囲内となったと判定されると、上作業ロールチョック5の位置調整が終了する。第2調整により、上作業ロール1、下作業ロール2、及び下補強ロール4のロール間クロス角が許容範囲内となるようにロールチョックの位置を調整することで、各ロールの位置が調整される。
(第3調整:S114b~S120b)
 そして、第3調整では、図5B及び図6に示すように、基準ロールである下補強ロール4と反対側のロール系にある上作業ロール1に対して作用するスラスト反力がゼロとなるようにロールチョックの位置を調整することで、各ロールの位置を調整する。上作業ロールスラスト反力測定装置17は、駆動用電動機21により各ロールが回転されている状態で、上作業ロール1に作用するスラスト反力を測定する(S114b)。上作業ロールスラスト反力測定装置17により測定された上作業ロール1に作用するスラスト反力は、ロール間クロス制御装置23へ出力される。
 次いで、ロール間クロス制御装置23は、測定されたスラスト反力が許容範囲内となるように、上補強ロールチョック7の位置を制御する(S116b)。ロール間クロス制御装置23は、ロールチョック圧延方向力制御装置15、ロールチョック位置制御装置16に対して、上補強ロールチョック7の位置を調整するよう指示する。ロールチョック位置制御装置16により上補強ロールチョック7の位置を検出しつつ、ロールチョック圧延方向力制御装置15は、ステップS114bにて測定されたスラスト反力が許容範囲内となるまで上補強ロールチョック7の位置を調整する(S118b)。これにより、上補強ロール3、上作業ロール1、下作業ロール2及び下補強ロール4のロール間クロスの調整を行うことができる。
 そして、ステップS118bにて、上作業ロール1に作用するスラスト反力が許容範囲内となったと判定されると、上補強ロールチョック7の位置調整が終了する。第3調整により、上補強ロール3、上作業ロール1、下作業ロール2及び下補強ロール4のロール間クロス角が許容範囲内となるようにロールチョック位置が調整される。こうして圧延機のすべてのロールのロール間クロス角が許容範囲内にされると、ロール間クロス制御装置23は、圧下装置27に、上作業ロール1と下作業ロール2とのロールギャップが所定の大きさとなるように調整させる(S120b)。その後、当該圧延機による被圧延材の圧延が開始される。
 以上、本発明の第1の実施形態に係る圧延装置と圧延機の設定方法について説明した。なお、上述の説明では、基準ロールの反対側の補強ロール以外のロールについて、スラスト反力の測定装置が配置されているとしていたが、全ロールにスラスト反力の測定装置が配置されている場合にも同様に適用できることは言うまでもない。また、スラスト反力測定装置が作業ロールのみにしかない場合においても、ロールチョック位置制御装置の位置に対するスラスト反力の相対的な変化の最大あるいは最小となる値に基づきロール間クロスの調整を探索的に行えばよい。
 <3.第2の実施形態>
 次に、図7~図9に基づいて、本発明の第2の実施形態に係る圧延機及び当該圧延機を制御するための装置の構成と、圧延機の設定方法とについて説明する。第2の実施形態に係る圧延機の設定方法では、まず、上作業ロール1と上補強ロール3とからなる上ロール系と、下作業ロール2と下補強ロール4とからなる下ロール系とについて、それぞれ作業ロールと補強ロールとの間のスラスト反力がゼロとなるようにする。その後、上作業ロール1と下作業ロール2とをキスロール状態にして、上作業ロール1と下作業ロール2との間のスラスト反力がゼロとなるようにする。これにより、圧延機を構成するすべてのロールのロール間クロス角をゼロにするように調整し、スラスト力の発生しない圧延を実現する。
 [3-1.圧延機の構成]
 まず、図7に基づいて、本実施形態に係る圧延機と、当該圧延機を制御するための装置とを説明する。図7は、本実施形態に係る圧延機と、当該圧延機を制御するための装置との構成を示す説明図である。図7に示す圧延機は、ロール胴長方向の作業側から見た状態を示しており、下補強ロールを基準ロールとした場合の構成を示している。
 図7に示す本実施形態に係る圧延機は、一対の作業ロール1、2と、これを支持する一対の補強ロール3、4とを有する4段の圧延機である。本実施形態に係る圧延機は、図2に示した第1の実施形態の圧延機と比較して、上補強ロールスラスト反力測定装置19及び下補強ロールスラスト反力測定装置20を備えていない点、インクリースベンディング装置24a、24b、25a、25bと、これらを制御するインクリースベンディング制御装置26を備える点で相違する。他の構成は同一であるため、本実施形態ではその説明を省略する。
 本実施形態に係る圧延機は、上作業ロールチョック5とハウジング30との間のプロジェクトブロックに入側上インクリースベンディング装置24a及び出側上インクリースベンディング装置24bを備えている。また、圧延機は、下作業ロールチョック6とハウジング30との間のプロジェクトブロックに入側下インクリースベンディング装置25a及び出側下インクリースベンディング装置25bを備えている。入側上インクリースベンディング装置24a、出側上インクリースベンディング装置24b、入側下インクリースベンディング装置25a、及び出側下インクリースベンディング装置25bは、図7紙面奥側(駆動側)にも同様に設けられている。各インクリースベンディング装置は、上作業ロール1と上補強ロール3、下作業ロール2と下補強ロール4に荷重を負荷するためのインクリースベンディング力を作業ロールチョックに付与する。
 インクリースベンディング制御装置26は、入側上インクリースベンディング装置24a、出側上インクリースベンディング装置24b、入側下インクリースベンディング装置25a、及び出側下インクリースベンディング装置25bを制御する装置である。本実施形態に係るインクリースベンディング制御装置26は、ロール間クロス制御装置23からの指示に基づき、作業ロールチョックに対してインクリースベンディング力を与えるように、インクリースベンディング装置を制御する。なお、インクリースベンディング制御装置26は、本実施形態に係るロール間クロスの調整を行う場合以外においても、例えば被圧延材のクラウン制御あるいは形状制御を行う際にも、インクリースベンディング装置の制御を行ってもよい。
 [3-2.圧延機の設定方法]
 次に、図8A~図9に基づいて、本実施形態に係る圧延機の設定方法について説明する。図8A及び図8Bは、本実施形態に係る圧延機の設定方法を示すフローチャートである。図9は、図8A及び図8Bに示す圧延機の設定方法におけるロール位置調整の手順を示す説明図である。なお、図9においては、ロール間に作用する荷重分布の記載を省略し、スラスト力及びスラスト反力については、対象とするロール間スラスト力のみがスラスト反力の測定値として現れる場合のみを記載している。
 本実施形態に係る圧延機の設定方法は、まず、上作業ロール1と下作業ロール2とのロールギャップを開状態にする。そして、上ロール系と下ロール系とについて、それぞれ独立して作業ロールと補強ロールとのスラスト反力がゼロとなるようにインクリースベンディング装置を有する作業ロールチョックの位置を調整し、これらのロール間クロス角を許容範囲内にする。次いで、上作業ロール1と下作業ロール2とをキスロール状態にする。そして、いずれか一方のロール系のロールチョックの位置を調整し、上作業ロール1と下作業ロール2との間のスラスト反力がゼロとなるようにする。これにより、上ロール系と下ロール系とのロール間クロス角が許容範囲内となる。その結果、圧延機を構成するすべてのロールのロール間クロス角が許容範囲内となる。このように、本実施形態においても、基準ロールのロールチョックの圧延方向位置は基準位置として固定し、基準ロール以外のロールのロールチョックの圧延方向における位置を移動して、ロールチョックの位置が調整される。以下、詳細に説明していく。
(各ロール系のロール間クロス調整(第1調整):S200~S208)
 まず、図8Aに示すように、ロール間クロス制御装置23は、圧下装置27に、上作業ロール1と下作業ロール2とのロールギャップが所定の間隙を有する開状態となるように、圧下方向におけるロール位置を調整させる(S200)。圧下装置27は、当該指示に基づきインクリースベンディング力をバランス状態として、作業ロール1、2のロールギャップを開状態とする。なお、ここで、バランス状態とは、作業ロール、ロールチョック等の自重を持ち上げる程度のベンディング力を負荷している状態のことをいい、作業ロールと補強ロールとの間に作用する荷重がほぼゼロであることを意味する。
 また、ロール間クロス制御装置23は、インクリースベンディング制御装置26に対して、インクリースベンディング装置24a、24b、25a、25bによりバランス状態から所定のインクリースベンディング力を作業ロールチョック5、6に負荷するように指示する(S202)。インクリースベンディング制御装置26は、当該指示に基づき各インクリースベンディング装置24a、24b、25a、25bを制御し、所定のインクリースベンディング力を作業ロールチョック5、6に負荷する。これにより、作業ロール間のロールギャップを開状態とする。なお、ステップS200とステップS202とは、どちらを先に実行してもよい。
 次いで、ロール間クロス制御装置23は、駆動用電動機制御装置22により駆動用電動機21を駆動させて、各ロールを回転させる(S204)。上下の作業ロールに作用するスラスト反力は、作業ロールのスラスト反力測定装置17、18により測定され、ロール間クロス制御装置23へ出力される。そして、ロール間クロス制御装置23は、上下の作業ロールに作用するスラスト反力が許容範囲内の値となるように、ベンディング装置を有するロールのロールチョック、すなわち、作業ロールチョック5、6の位置を制御する(図9上側に示す第1調整、S206)。ロールチョック圧延方向力制御装置15により所定の圧延方向の押圧力を与え、ロールチョック位置制御装置16により作業ロールチョック5、6の位置を検出しつつ、作業ロールに作用するスラスト反力が許容範囲内となるまで作業ロールチョック5、6の位置が調整される(S208)。
 なお、上述では、図9上側に示したように、上ロール系については、上作業ロールチョック5を位置制御する場合について説明したが、上補強ロールチョック7の位置制御を行ってもよい。すなわち、図9中央に示すように、上ロール系の上作業ロールに作用するスラスト反力が許容範囲内の値となるように、基準ロールと反対側のロール系の補強ロール、すなわち、上補強ロールチョック7の位置制御を行うことで、第1調整を行ってもよい。
 そして、ステップS208にて、上ロール系及び下ロール系について、作業ロールまたは補強ロールに作用するスラスト反力が許容範囲内となったと判定されると、作業ロールチョック5、6の位置調整が終了する。このような第1調整により、上補強ロール3と上作業ロール1とのロール間クロス、及び、下補強ロール4と下作業ロール2とのロール間クロス角がそれぞれ許容範囲内に調整される。なお、ここでは、上ロール系と下ロール系とのロール間クロスの調整を並行して実行するものとして説明したが、本発明はかかる例に限定されず、一方のロール系のロール間クロスを調整した後、他方のロール系のロール間クロスを調整するようにしてもよい。また、ステップS208までの処理が終了した段階で、一旦駆動用電動機21の駆動を停止してもよく、ロール回転を継続したまま次のステップに進んでもよい。
(上ロール系と下ロール系とのロール間クロス調整(第2調整):S210~S218)
 上ロール系及び下ロール系それぞれにおいて、作業ロールと補強ロールとのロール間クロスが調整されると、次に、ロール間クロス制御装置23は、第2調整として、図9下側に示すように、上ロール系と下ロール系とのロール間クロスを調整する。まず、ロール間クロス制御装置23は、圧下装置27に、上作業ロール1と下作業ロール2とが所定のキスロール状態となるように、圧下方向におけるロール位置を調整させる(S210)。圧下装置27は、当該指示に基づきロールに対して所定の負荷を与え、作業ロール1、2を接触させてキスロール状態とする。
 次いで、図8Bに示すように、ロール間クロス制御装置23は、駆動用電動機制御装置22により駆動用電動機21を駆動させて各ロールを回転させる。そして、上作業ロール1及び下作業ロール2に作用するスラスト反力を上作業ロールスラスト反力測定装置17及び下作業ロールスラスト反力測定装置18により測定する(S212)。上作業ロールスラスト反力測定装置17及び下作業ロールスラスト反力測定装置18により測定された上作業ロール1及び下作業ロール2に作用するスラスト反力の値は、ロール間クロス制御装置23へ出力される。
 そして、ロール間クロス制御装置23は、上作業ロール1及び下作業ロール2に作用するスラスト反力が許容範囲内の値となるように、上ロール系または下ロール系の作業ロールチョック及び補強ロールチョックの位置を、ロールチョック間の相対位置を保持しながら、同時かつ同方向に制御する(S214)。例えば、下ロール系を基準ロール系とすると、下ロール系とのロール間クロス角が許容範囲内となるように、上ロール系の上作業ロールチョック5及び上補強ロールチョック7の位置が制御される。
 ロール間クロス制御装置23は、ロールチョック圧延方向力制御装置15、ロールチョック位置制御装置16に対して、基準ロール系と反対側の作業ロールチョック及び補強ロールチョックの位置を調整するよう指示する。ロールチョック位置制御装置16により作業ロールチョック及び補強ロールチョックの位置を検出しつつ、ロールチョック圧延方向力制御装置15は、上作業ロール1及び下作業ロール2に作用するスラスト反力が許容範囲内となるまで作業ロールチョック及び補強ロールチョックの位置を調整する(S216)。このとき、既に上ロール系のロール間クロスと下ロール系のロール間クロスとは調整されている。したがって、ロールチョック間の相対位置を保持しながら、補強ロールが作業ロールと同時にかつ同方向に動くように、作業ロールチョックだけでなく補強ロールチョックの位置制御も行われる。
 そして、ステップS216にて、上作業ロール1及び下作業ロール2に作用するスラスト反力が許容範囲内となったと判定されると、上補強ロール3、上作業ロール1、下作業ロール2及び下補強ロール4のロール間クロス角が許容範囲内となるようにロールチョック位置が調整される。こうして圧延機のすべてのロールのロール間クロス角が許容範囲内となると、ロール間クロス制御装置23は、圧下装置27に上作業ロール1と下作業ロール2とのロールギャップが所定の大きさとなるように調整させる(S218)。その後、当該圧延機による被圧延材の圧延が開始される。
 以上、本発明の第2の実施形態に係る圧延装置と圧延機の設定方法について説明した。なお、上述では、ロールスラスト反力測定装置を上下の作業ロールのみに配備する例を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、上下の作業ロールスラスト反力装置に加え、上または下、あるいは、上下双方に補強ロールスラスト反力測定装置を配備する場合においても、同様に制御可能であることは言うまでもない。
 <4.ロール間クロス角と各種値との関係>
 上述の第1及び第2の実施形態に係る圧延機の設定方法では、ロール間クロスをなくすために、ロール間に発生するスラスト反力がゼロまたは許容範囲内の値となるように、ロールチョックの位置制御を行っている。これは、スラスト反力とロール間クロス角との間に、以下に示すような相関があるという知見に基づいている。以下、図10~図16に基づいて、ロール間クロス角と各種値との関係について説明する。
 [4-1.ロールギャップ開状態での関係]
 まず、図10~図12に基づいて、作業ロールのロールギャップが開状態である場合での、ロール間クロスと各種値との関係について説明する。図10は、ロールギャップが開状態である圧延機の、作業ロール1、2及び補強ロール3、4の配置を示す説明図である。図11は、ロール間クロス角の定義を示す説明図である。図12は、作業ロール径80mmの小型圧延機において行った実験結果であり、ロールギャップ開状態での、補強ロールクロス角と、上下の補強ロールスラスト反力、及び、上下の作業ロールスラスト反力との一関係を示すグラフである。なお、図12において、上下の補強ロールスラスト反力、及び、上下の作業ロールスラスト反力は、補強ロールクロス角を増加方向に設定した場合と減少方向に設定した場合とについてそれぞれ測定し、増加方向での測定値と減少方向での測定値とを平均化した値を表示している。
 実験では、まず、図10に示すように、上作業ロール1と下作業ロール2とのロールギャップを開状態として、作業ロールチョックに対してインクリースベンディング装置によりインクリースベンディング力を負荷した状態を形成した。そして、上補強ロール3及び下補強ロール4のクロス角をそれぞれ変化させたときの、補強ロールスラスト反力、作業ロールスラスト反力及び圧下方向荷重の差荷重の変化を調べた。補強ロールのクロス角は、図11に示すように、ロール胴長方向に延びるロール軸Arollの作業側が、幅方向(X方向)から出側に向く方向を正として表す。また、インクリースベンディング力は、1ロールチョック当たり0.5tonf負荷した。
 その結果、図12に示すように、上補強ロール3及び下補強ロール4のクロス角を、負の角度から、角度ゼロ、正の角度、と次第に大きくしていくと、補強ロールスラスト反力についてはクロス角と同様に値が大きくなり、作業ロールスラスト反力については次第に値が小さくなるという関係があることがわかった。そして、補強ロールスラスト反力、及び、作業ロールスラスト反力のいずれについても、補強ロールのクロス角がゼロであるとき、これらの値もゼロとなることが確認された。
 したがって、ロールギャップを開状態にしてインクリースベンディング力を負荷した状態では、補強ロールスラスト反力、または、作業ロールスラスト反力のいずれかの値から、各ロール系の補強ロールと作業ロールとのロール間クロス角に起因するスラスト力の影響を把握することが可能であるといえる。そして、これらの値がゼロとなるようにロールチョックの位置を制御することで、ロール間スラスト力を低減することが可能であるといえる。
 [4-2.キスロール状態での関係(ペアクロス無)]
 次に、図13及び図14に基づいて、作業ロールがキスロール状態である場合での、ロール間クロスと各種値との関係について説明する。図13は、キスロール状態にされた圧延機の、作業ロール1、2及び補強ロール3、4の配置を示す説明図である。図14は、キスロール状態での、補強ロールクロス角と、上下の補強ロールスラスト反力、及び、上下の作業ロールスラスト反力との一関係を示すグラフである。なお、図14において、上下の補強ロールスラスト反力、及び、上下の作業ロールスラスト反力は、補強ロールクロス角を増加方向に設定した場合と減少方向に設定した場合とについてそれぞれ測定し、増加方向での測定値と減少方向での測定値とを平均化した値を表示している。
 ここでは、図13に示すように、上作業ロール1と下作業ロール2とをキスロール状態として、上補強ロール3及び下補強ロール4のクロス角をそれぞれ変化させたときの、補強ロールスラスト反力、及び、作業ロールスラスト反力の変化を調べた。このとき、キスロール締め込み荷重は1.0tonfとした。
 その結果、図14に示すように、上補強ロール3及び下補強ロール4のクロス角を、負の角度から、角度ゼロ、正の角度、と次第に大きくしていくと、補強ロールスラスト反力についてはクロス角と同様に値が大きくなり、作業ロールスラスト反力については次第に値が小さくなるという関係があることがわかった。そして、補強ロールスラスト反力、及び、作業ロールスラスト反力のいずれについても、補強ロールのクロス角がゼロであるとき、これらの値もゼロとなることが確認された。
 したがって、キスロール状態において締め込んだ状態では、補強ロールスラスト反力、または、作業ロールスラスト反力のいずれかの値から、各ロール系の補強ロールと作業ロールとのロール間クロス角に起因するスラスト力の影響を把握することが可能であるといえる。そして、これらの値がゼロとなるようにロールチョックの位置を制御することで、ロール間スラスト力を低減することが可能であるといえる。
 [4-3.キスロール状態での関係(ペアクロス有)]
 次に、図15及び図16に基づいて、作業ロールがキスロール状態である場合での、ロール間クロスと各種値との関係について説明する。図15は、キスロール状態にされた圧延機の、作業ロール1、2及び補強ロール3、4の配置を示す説明図である。図16は、キスロール状態での、作業ロールと補強ロールとのペアクロス角、上下の補強ロールスラスト反力、及び、上下の作業ロールスラスト反力の一関係を示すグラフである。なお、図16において、上下の補強ロールスラスト反力、及び、上下の作業ロールスラスト反力は、ペアクロス角を増加方向に設定した場合と減少方向に設定した場合とについてそれぞれ測定し、増加方向での測定値と減少方向での測定値とを平均化した値を表示している。
 ここでは、図15に示すように、上作業ロール1と下作業ロール2とをキスロール状態として、作業ロールと補強ロールとのペアクロス角をそれぞれ変化させたときの、作業ロールスラスト反力、及び、補強ロールスラスト反力の変化を調べた。このとき、キスロール締め込み荷重は6.0tonfとした。
 その結果、図16の下側に示すように、作業ロールスラスト反力については、ペアクロス角を、負の角度から、角度ゼロ、正の角度、と次第に大きくしていくと、ペアクロス角の変化に対応し変化し、ペアクロス角がゼロのとき、これらの測定値もゼロとなることがわかった。これより、キスロール締め込み荷重を付与した状態では、作業ロールスラスト反力から、上下作業ロール間のクロスに起因するスラスト力の影響を検出することが可能である。そして、これらの値がゼロとなるように上下それぞれの作業ロールと補強ロールとを一体としてロールチョック位置を制御することによって、上下作業ロール間スラスト力を低減できる可能性があることが確認された。
 なお、補強ロールスラスト反力については、図16上側に示すように、クロス角に対応して変化しない。その理由は、キスロール状態での締め込み時の荷重が大きかったため、補強ロールチョックでこの反力を支持する部分のロール軸方向の摺動抵抗が大きくなりスラスト力がロードセルに伝わり難くなったためと推察される。ただし、図14に示した通り、キスロール締め込み荷重が1.0tonf程度であれば、作業ロールと補強ロールとの間に作用するロール間スラスト力の影響を、補強ロールに作用するスラスト反力として十分に測定することは可能である。
 図2に示す構成の熱間仕上圧延機の第5~第7スタンドについて、ロール間クロスによるロール間スラスト力の影響を考慮した圧下レベリング設定に関して、従来法と本発明の方法との比較を行った。
 まず、従来法では、本発明のロール間クロス制御装置の機能は用いずに、定期的にハウジングライナー及びチョックライナーの交換を行い、ロール間クロスが生じないように設備管理を行った。その結果、ハウジングライナーの交換直前の時期において、出側板厚1.2mm、幅1200mmの薄物広幅材を圧延したときに、第6スタンドにおいて100mm以上の蛇行が生じ、これによる絞り込みが発生した。
 一方、本発明の方法では、上記第1の実施形態に係るロール間クロス制御装置の機能を用いて、キスロール締め込み状態で、各ロールのスラスト反力を測定し、図3A及び図3Bに示す処理フローに従い、圧下位置零点調整前にスラスト反力が予め設定した許容範囲内に入るように各ロールのロールチョック位置を制御した。その結果、ハウジングライナーの交換直前の時期においても、従来法で絞り込みが生じた出側板厚1.2mm、幅1200mmの薄物広幅材を圧延した場合でも、10mm以下の蛇行の発生に留まり、被圧延材に絞りを発生させることなく圧延ラインを通板させることができた。
 以上のように、本発明の方法では、圧下位置零点調整前または圧延開始前に各ロールのスラスト反力を測定し、適正なロジックに基づき許容範囲内に入るように、基準ロールに基づき各ロールのロールチョック位置を制御する。これにより、ロール間クロス自体を無くし、ロール間クロスに起因するスラスト力によって生じる被圧延材の左右非対称変形が排除できる。したがって、本発明の方法により、蛇行及びキャンバーのない、あるいは蛇行及びキャンバーの極めて軽微な金属板材を、安定して製造することができる。
 次に、図7に示すような構成の熱間厚板圧延機に、ロール間クロスによるスラスト力の影響を考慮した圧下レベリング設定に関して、従来法と本発明の方法との比較を行った。
 まず、従来法では、本発明のロール間クロス制御装置の機能は用いずに、定期的にハウジングライナー及びチョックライナーの交換を行い、ロール間クロスが生じないように設備管理を行った。
 一方、本発明の方法では、上記第2の実施形態に係るロール間クロス制御装置の機能を用いて、圧下位置零点調整前に、図8A及び図8Bに示す処理フローに従い、ロールチョックの位置調整を行った。すなわち、まず、ロールギャップを開状態としてインクリースベンディング力を負荷した状態で、上下の作業ロールに作用するスラスト反力を測定し、上下の作業ロールチョックの位置を制御した。次いで、キスロール状態とし、上下の作業ロールに作用するスラスト反力を測定し、当該スラスト反力が予め設定した許容範囲内に入るように上下の作業ロール及び補強ロールのロールチョックの位置を制御した。
 表1に、本発明と従来法とについて、代表圧延本数に対するキャンバー発生の実測値を示す。被圧延材の先端部1mあたりのキャンバー実績値のうち、補強ロール組み替え直前かつハウジングライナー交換直前の値をみると、本発明の場合、0.11mm/mと比較的小さな値に抑えられていることがわかる。これに対して従来法の場合、補強ロール組み替え直前やハウジングライナー交換直前の時期において、本発明の場合と比較してキャンバー実績値が大きくなっている。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 以上のように、本発明の方法では、圧下位置零点調整前または圧延開始前に作業ロールのスラスト反力を測定し、適正なロジックに基づき許容範囲内に入るように、基準ロールに基づき各ロールのチョック位置を制御する。これにより、ロール間クロス自体を無くし、ロール間クロスに起因するスラスト力によって生じる被圧延材の左右非対称変形が排除できる。したがって、本発明の方法により、蛇行及びキャンバーのない、あるいは蛇行及びキャンバーの極めて軽微な金属板材を、安定して製造することができる。
 以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
 <5.変形例>
 例えば、上記実施形態では、例えば図2に示すように、作業ロールチョックの圧延方向における位置を検出するロールチョック位置検出機能付の駆動装置を用いたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、ロールチョック位置検出装置の代わりに、回転角検出機能付サーボモータを用いても、作業ロールチョックの圧延方向における位置を測定することができる。すなわち、図17に示す上作業ロール1及び上作業ロールチョック5のように、上作業ロールチョック5の圧延方向において、上作業ロールチョック位置検出機能付駆動装置11と対向するように、回転角検出機能付サーボモータ34を設けてもよい。
 また、上記実施形態では、一対の作業ロールと、一対の補強ロールとを備える4段の圧延機について説明したが、本発明は、4段以上の圧延機に対して適用可能である。この場合にも、圧延機を構成するロールのいずれか1つを基準ロールとして設定すればよい。例えば、6段圧延機の場合、作業ロール、中間ロールまたは補強ロールのいずれかを基準ロールとして設定し得る。このとき、4段圧延機の場合と同様、圧下方向に配列された各ロールのうち、最下部または最上部に位置するロールを基準ロールとするのが好ましい。
 6段圧延機は、例えば図18に示すように、作業ロール1、2と補強ロール3、4との間にそれぞれ中間ロール41、42が設けられている。上中間ロール41は、作業側の上中間ロールチョック43a及び駆動側の上中間ロールチョック43bに支持されている(上中間ロールチョック43a、43bをまとめて、「上中間ロールチョック43」とも称する)。下中間ロール42は、作業側の下中間ロールチョック44a及び駆動側の下中間ロールチョック44bに支持されている(下中間ロールチョック44a、44bをまとめて、「下中間ロールチョック44」とも称する)。
 上作業ロール1には、当該上作業ロール1にかかるスラスト反力を測定する上作業ロールスラスト反力測定装置17が設けられており、下作業ロール2には、当該下作業ロール2にかかるスラスト反力を測定する下作業ロールスラスト反力測定装置18が設けられている。同様に、上補強ロール3には、当該上補強ロール3にかかるスラスト反力を測定する上補強ロールスラスト反力測定装置19が設けられており、下補強ロール4には、当該下補強ロール4にかかるスラスト反力を測定する下補強ロールスラスト反力測定装置20が設けられている。そして、上中間ロール41には、当該上中間ロール41にかかるスラスト反力を測定する上中間ロールスラスト反力測定装置45が設けられており、下中間ロール42には、当該下中間ロール42にかかるスラスト反力を測定する下中間ロールスラスト反力測定装置46が設けられている。
 例えば、キスロール状態におけるロール間クロス角の調整においては、図18に示すように、図4に示した4段圧延機の場合と同様、隣接するロールに発生するスラスト反力が許容範囲内となるように、基準ロールと反対側の補強ロールのロールチョックから、ロールチョック位置の調整を順次行えばよい。
 すなわち、図18に示す6段圧延機の調整においては、上補強ロール3の上補強ロールチョック7と上中間ロール41の上中間ロールチョック43とのロールチョック間の調整を行う第1調整、上中間ロール41の上中間ロールチョック43と上作業ロール1の上作業ロールチョック5とのロールチョック間の調整を行う第2調整、上作業ロール1の上作業ロールチョック5と下作業ロール2の下作業ロールチョック6とのロールチョック間の調整を行う第3調整、下作業ロール2の下作業ロールチョック6と下中間ロール42の下中間ロールチョック44とのロールチョック間の調整を行う第4調整、下中間ロール42の下中間ロールチョック44と下補強ロール4の下補強ロールチョック8とのロールチョック間の調整を行う第5調整が順次行われる。このとき、第2調整~第5調整では、それ以前で調整されたロールチョックについては、調整中のロールチョックとの相対位置を保持しながら、同時かつ同方向に制御される。
 あるいは、キスロール状態におけるロール間クロス角の調整において、例えば図19に示すように、図6に示した4段圧延機の場合と同様、隣接するロールに発生するスラスト反力が許容範囲内となるように、基準ロール側の中間ロールのロールチョックから、ロールチョック位置の調整を順次行ってもよい。なお、図19に示す6段圧延機では、基準ロールと反対側の補強ロール(すなわち、上補強ロール3)には、ロールスラスト反力測定装置は配置されていない。上作業ロール1、下作業ロール2、下補強ロール4、上中間ロール41及び下中間ロール42には、図18と同様、上作業ロールスラスト反力測定装置17、下作業ロールスラスト反力測定装置18、下補強ロールスラスト反力測定装置20、上中間ロールスラスト反力測定装置45、下中間ロールスラスト反力測定装置46が設けられている。
 図19に示す6段圧延機の調整においては、基準ロールである下補強ロール4の下補強ロールチョック8と下中間ロール42の下中間ロールチョック44とのロールチョック間の調整を行う第1調整、下中間ロール42の下中間ロールチョック44と下作業ロール2の下作業ロールチョック6とのロールチョック間の調整を行う第2調整、下作業ロール2の下作業ロールチョック6と上作業ロール1の上作業ロールチョック5とのロールチョック間の調整を行う第3調整、上作業ロール1の上作業ロールチョック5と上中間ロール41の上中間ロールチョック43とのロールチョック間の調整を行う第4調整、上中間ロール41の上中間ロールチョック43と上補強ロール3の上補強ロールチョック7とのロールチョック間の調整を行う第5調整が順次行われる。このとき、第1調整~第4調整では、未調整のロールチョックについては、調整中のロールチョックとの相対位置を保持しながら、同時かつ同方向に制御される。
 また、ロールギャップの開状態におけるロール間クロス角の調整においては、例えば図20に示すように、図9に示した4段圧延機の場合と同様、上作業ロールと下作業ロールとを開状態にして、上ロール系と下ロール系とについてそれぞれロールチョックの調整を行った後、キスロール状態にして上ロール系のロールチョックと下ロール系のロールチョックとの調整を行えばよい。なお、図20に示す6段圧延機では、上補強ロール3及び下補強ロール4にはロールスラスト反力測定装置は配置されておらず、上作業ロール1、下作業ロール2、上中間ロール41及び下中間ロール42にのみ、図18と同様、上作業ロールスラスト反力測定装置17、下作業ロールスラスト反力測定装置18、上中間ロールスラスト反力測定装置45、下中間ロールスラスト反力測定装置46が設けられている。
 例えば、図20に示す6段圧延機の調整においては、まず、作業ロール1、2のロールギャップを開状態とし、上ロール系及び下ロール系それぞれについて、中間ロール41、42のロールチョック43、44と補強ロール3、4のロールチョック7、8との位置を調整する第1調整が行われる。次いで、第1調整を終えた後、作業ロール1、2のロールギャップを開状態に維持して、上ロール系及び下ロール系それぞれについて、中間ロール41、42のロールチョック43、44と作業ロール1、2のロールチョック5、6との位置を調整する第2調整が行われる。第2調整を終えると、作業ロール1、2をキスロール状態にして、上ロール系または下ロール系のいずれか一方を基準ロール系に決定する。図20の例では下ロール系を基準ロール系としている。そして、基準ロール系のロールチョック位置を基準位置として固定し、上ロール系の各ロール1、41、3のロールチョック5、43、7を、当該ロールチョック5、43、7間の相対位置を保持しながら同時かつ同方向に制御して、上ロール系と下ロール系とのロールチョックの位置を調整する第3調整を実施する。
 なお、第1調整においては、中間ロール41、42のベンディング装置を使用し、中間ロール41、42と補強ロール3、4との間に荷重を負荷して、作業ロール1、2のベンディング装置はゼロあるいはバランス状態とする。また、第2調整においては、作業ロール1、2のベンディング装置を使用し、作業ロール1、2と中間ロール41、42との間に荷重を負荷して、中間ロール41、42のベンディング装置はゼロあるいはバランス状態とする。なお、中間ロール41、42がディクリースベンディング装置を有する場合は、ディクリースベンディング装置を、中間ロール41、42と補強ロール3、4との間の荷重を除荷する方向(マイナス方向)に作用させてもよい。
 このように、4段圧延機のみならず6段圧延機にも本発明は適用可能である。また、本発明は、4段圧延機及び6段圧延機以外にも同様に適用可能であり、例えば8段圧延機あるいは5段圧延機に対しても適用可能である。
 <6.ハードウェア構成例>
 図21に基づいて、上述の本発明の各実施形態に係る圧延機を制御するための装置のハードウェア構成例について、詳細に説明する。図21は、本発明の各実施形態に係る圧延機を制御するための装置として機能する情報処理装置100のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
 情報処理装置100は、主として、CPU901と、ROM903と、RAM905とを有する。また、情報処理装置100は、バス907と、入力装置909と、出力装置911と、ストレージ装置913と、ドライブ915と、接続ポート917と、通信装置919とを有する。
 CPU901は、演算処理装置および制御装置として機能し、ROM903、RAM905、ストレージ装置913、またはリムーバブル記録媒体921に記録された各種プログラムに従って、情報処理装置100内の動作全般またはその一部を制御する。ROM903は、CPU901が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM905は、CPU901が使用するプログラムや、プログラムの実行において適宜変化するパラメータ等を一次記憶する。これらはCPUバス等の内部バスにより構成されるバス907により相互に接続されている。
 バス907は、ブリッジを介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バスに接続されている。
 入力装置909は、ユーザが情報処理装置100を操作する操作手段を有し、情報を入力するための装置である。入力装置909は、操作手段を用いてユーザにより入力された情報に基づいて入力信号を生成し、CPU901に出力する入力制御回路を有する。ユーザは、入力装置909を操作することにより、圧延機に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。入力装置909は、入力手段として、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、スイッチ及びレバー等を有する。入力装置909は、例えば、赤外線やその他の電波を利用したリモートコントローラであってもよく、情報処理装置100の操作を行い得るPDA(Personal Digital Assistant)等の外部接続機器923であってもよい。
 出力装置911は、情報をユーザに対して視覚的または聴覚的に通知することが可能な装置である。出力装置911は、例えば、CRTディスプレイ装置、液晶ディスプレイ装置、プラズマディスプレイ装置、ELディスプレイ装置及びランプ等の表示装置や、スピーカ及びヘッドホン等の音声出力装置や、プリンタ装置等である。出力装置911は、例えば、情報処理装置100に実行された各種処理により取得された結果を出力する。具体的には、出力装置911は、情報処理装置100に実行された各種処理により取得された結果を、テキストまたはイメージで表示し得る。あるいは、出力装置911は、音声データや音響データ等からなるオーディオ信号をアナログ信号に変換して出力し得る。
 ストレージ装置913は、情報処理装置100の記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置である。ストレージ装置913は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)等の磁気記憶部デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、または光磁気記憶デバイス等である。ストレージ装置913は、CPU901が実行するプログラムや各種データ、外部から取得した各種のデータ等を格納する。
 ドライブ915は、記録媒体用リーダライタであり、情報処理装置100に内蔵あるいは外付けされる。ドライブ915は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスクまたは半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体921に記録されている情報を読み出し、RAM905に出力する。また、ドライブ915は、装着されているリムーバブル記録媒体921に情報を書き込むことも可能である。リムーバブル記録媒体921は、例えば、CDメディア、DVDメディア、Blu-ray(登録商標)メディア等である。また、リムーバブル記録媒体921は、コンパクトフラッシュ(登録商標)(CompactFlash:CF)、フラッシュメモリ、または、SDメモリカード(Secure Digital memory card)等であってもよい。また、リムーバブル記録媒体921は、例えば、非接触型ICチップを搭載したICカード(Integrated Circuit card)または電子機器等であってもよい。
 接続ポート917は、機器を情報処理装置100に直接接続するためのポートである。接続ポート917は、例えば、USB(Universal Serial Bus)ポート、IEEE1394ポート、SCSI(Small Computer System Interface)ポート、RS-232Cポート等である。接続ポート917に外部接続機器923を接続することで、情報処理装置100は、外部接続機器923から直接各種のデータを取得したり、外部接続機器923に各種のデータを提供したりし得る。
 通信装置919は、通信網925に接続するための通信デバイス等で構成された通信インターフェースである。通信装置919は、例えば、有線または無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)、またはWUSB(Wireless USB)用の通信カード等である。また、通信装置919は、光通信用のルータ、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)用のルータ、または、各種通信用のモデム等であってもよい。通信装置919は、例えば、インターネットや他の通信機器との間で、例えばTCP/IP等の所定のプロトコルに則して信号等を送受信することができる。また、通信装置919に接続される通信網925は、有線または無線によって接続されたネットワークであり、例えば、インターネット、LAN、赤外線通信、ラジオ波通信または衛星通信等であってもよい。
 以上、本発明の各実施形態に係る圧延機を制御するための装置の機能を実現可能な情報処理装置100のハードウェア構成の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。かかる構成は、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜変更可能である。
 1    上作業ロール
 2    下作業ロール
 3    上補強ロール
 4    下補強ロール
 5a   上作業ロールチョック(作業側)
 5b   上作業ロールチョック(駆動側)
 6a   下作業ロールチョック(作業側)
 6b   下作業ロールチョック(駆動側)
 7a   上補強ロールチョック(作業側)
 7b   上補強ロールチョック(駆動側)
 8a   下補強ロールチョック(作業側)
 8b   下補強ロールチョック(駆動側)
 9    上作業ロールチョック押圧装置
 10   下作業ロールチョック押圧装置
 11   上作業ロールチョック位置検出機能付駆動装置
 12   下作業ロールチョック位置検出機能付駆動装置
 13   上補強ロールチョック押圧装置
 14   上補強ロールチョック位置検出機能付駆動装置
 15   ロールチョック圧延方向力制御装置
 16   ロールチョック位置制御装置
 17   上作業ロールスラスト反力測定装置
 18   下作業ロールスラスト反力測定装置
 19   上補強ロールスラスト反力測定装置
 20   下補強ロールスラスト反力測定装置
 21   駆動用電動機
 22   駆動用電動機制御装置
 23   ロール間クロス制御装置
 24a  入側上インクリースベンディング装置
 24b  出側上インクリースベンディング装置
 25a  入側下インクリースベンディング装置
 25b  出側下インクリースベンディング装置
 26   インクリースベンディング制御装置
 27   圧下装置
 28a  上荷重測定装置(作業側)
 28b  上荷重測定装置(駆動側)
 29a  下荷重測定装置(作業側)
 29b  下荷重測定装置(駆動側)
 30   ハウジング
 32   上側差荷重演算部[減算器]
 33   下側差荷重演算部[減算器]
 34   回転角検出機能付サーボモータ
 40   下補強ロールチョック押圧装置
 41       上中間ロール
 42       下中間ロール
 43       上中間ロールチョック
 43a      上中間ロールチョック(作業側)
 43b      上中間ロールチョック(駆動側)
 44       下中間ロールチョック
 44a      下中間ロールチョック(作業側)
 44b      下中間ロールチョック(駆動側)
 45       上中間ロールスラスト反力測定装置
 46       下中間ロールスラスト反力測定装置
 

Claims (10)

  1.  圧延機の設定方法であって、
     前記圧延機は、少なくとも一対の作業ロールと前記作業ロールを支持する一対の補強ロールとを含む、複数のロールを備える4段以上の圧延機であり、
     圧下位置零点調整前または圧延開始前に、圧下方向に配列された各ロールのうちいずれか1つのロールを基準ロールとして、
     少なくとも前記補強ロール以外の前記ロールに作用するロール胴長方向におけるスラスト反力を測定するスラスト反力測定ステップと、
     測定された前記スラスト反力が許容範囲内となるように、前記基準ロールのロールチョックの圧延方向位置を基準位置として固定し、前記基準ロール以外の前記ロールのロールチョックを被圧延材の圧延方向に移動させ、前記ロールチョックの位置を調整するロールチョック位置調整ステップと、
    を含む、圧延機の設定方法。
  2.  前記複数のロールのうち圧下方向において最下部または最上部に位置するロールを前記基準ロールとする、請求項1に記載の圧延機の設定方法。
  3.  前記ロールチョック位置調整ステップでは、前記作業ロールをキスロール状態にして、前記基準ロールと反対側のロールから順に、隣接する前記ロール間に発生するスラスト反力が許容範囲内となるように、位置調整対象の前記ロールの前記ロールチョックを前記被圧延材の圧延方向に移動させて、当該ロールチョックの位置を調整し、
     このとき、すでに前記ロールチョックの位置が調整された前記ロールの前記ロールチョックを、位置調整対象の前記ロールの前記ロールチョックとの相対位置を保持しながら、同時かつ同方向に制御する、請求項2に記載の圧延機の設定方法。
  4.  前記ロールチョック位置調整ステップでは、前記作業ロールをキスロール状態にして、前記基準ロール側から順に、隣接する前記ロール間に発生するスラスト反力が許容範囲内となるように、位置調整対象の前記ロールの前記ロールチョックを前記被圧延材の圧延方向に移動させて、当該ロールチョックの位置を調整し、
     このとき、前記ロールチョックの位置が未調整である前記ロールの前記ロールチョックを、位置調整対象の前記ロールの前記ロールチョックとの相対位置を保持しながら、同時かつ同方向に制御する、請求項2に記載の圧延機の設定方法。
  5.  4段の前記圧延機において、前記被圧延材に対して圧下方向上側に設けられた複数のロールを上ロール系、前記被圧延材に対して圧下方向下側に設けられた複数のロールを下ロール系として、
     前記ロールチョック位置調整ステップでは、
     前記作業ロールのロールギャップを開状態とし、前記上ロール系及び前記下ロール系それぞれについて、前記作業ロールの前記ロールチョックと前記補強ロールの前記ロールチョックとの位置を調整する第1調整と、
     前記第1調整を終えた後、前記作業ロールをキスロール状態にして、前記上ロール系または前記下ロール系のいずれか一方を基準ロール系とし、他方のロール系の各ロールの前記ロールチョックを、当該ロールチョックの相対位置を保持しながら同時かつ同方向に制御して、当該ロールチョックの位置を調整する第2調整と、
    を実施し、
     前記第1調整では、前記上ロール系及び前記下ロール系それぞれについて、前記作業ロールの前記ロールチョックに対してベンディング装置によりベンディング力を負荷させた状態で、測定された前記スラスト反力が許容範囲内となるように、前記基準ロール側の前記作業ロールの前記ロールチョック、及び、前記基準ロールと反対側のロール系の前記作業ロールの前記ロールチョックまたは前記補強ロールの前記ロールチョックのいずれか一方を前記被圧延材の圧延方向に移動させて、前記ロールチョックの位置を調整する、請求項2に記載の圧延機の設定方法。
  6.  前記圧延機は、前記作業ロールと前記補強ロールとの間に中間ロールをそれぞれ備える6段の前記圧延機であり、
     前記被圧延材に対して圧下方向上側に設けられた複数のロールを上ロール系、前記被圧延材に対して圧下方向下側に設けられた複数のロールを下ロール系として、
     前記ロールチョック位置調整ステップでは、
     前記作業ロールのロールギャップを開状態とし、前記上ロール系及び前記下ロール系それぞれについて、前記中間ロールの前記ロールチョックと前記補強ロールの前記ロールチョックとの位置を調整する第1調整と、
     前記第1調整を終えた後、前記作業ロールのロールギャップを開状態に維持して、前記上ロール系及び前記下ロール系それぞれについて、前記中間ロールの前記ロールチョックと前記作業ロールの前記ロールチョックとの位置を調整する第2調整と、
     前記第2調整を終えた後、前記作業ロールをキスロール状態にして、前記上ロール系または前記下ロール系のいずれか一方を基準ロール系とし、他方のロール系の各ロールの前記ロールチョックを、当該ロールチョックの相対位置を保持しながら同時かつ同方向に制御して、当該ロールチョックの位置を調整する第3調整と、
    を実施し、
     前記第1調整及び前記第2調整は、前記中間ロールの前記ロールチョック及び前記作業ロールの前記ロールチョックに対してベンディング装置によりベンディング力を負荷させた状態で行われ、
     前記第1調整では、前記上ロール系及び前記下ロール系それぞれについて、測定された前記スラスト反力が許容範囲内となるように、前記基準ロール側の前記中間ロールの前記ロールチョック、及び、前記基準ロールと反対側のロール系の前記中間ロールの前記ロールチョックまたは前記補強ロールの前記ロールチョックのいずれか一方を前記被圧延材の圧延方向に移動させて、前記ロールチョックの位置を調整し、
     前記第2調整では、前記上ロール系及び前記下ロール系それぞれについて、
     測定された前記スラスト反力が許容範囲内となるように、前記基準ロール側の前記作業ロールの前記ロールチョック、及び、前記基準ロールと反対側のロール系の前記中間ロールの前記ロールチョックまたは前記作業ロールの前記ロールチョックのいずれか一方を前記被圧延材の圧延方向に移動させて、前記ロールチョックの位置を調整し、
     前記基準ロールと反対側のロール系の前記中間ロールの前記ロールチョックを移動させる場合には、当該中間ロールの前記ロールチョックとこれに隣接する前記補強ロールの前記ロールチョックとの相対位置を保持しながら同時かつ同方向に制御する、請求項2に記載の圧延機の設定方法。
  7.  少なくとも一対の作業ロールと前記作業ロールを支持する一対の補強ロールとを含む、複数のロールを備える4段以上の圧延機であって、
     圧下方向に配列された各ロールのうちいずれか1つのロールを基準ロールとして、
     少なくとも前記補強ロール以外の各前記ロールに作用するロール胴長方向におけるスラスト反力を測定する測定装置と、
     少なくとも前記基準ロール以外の前記ロールのロールチョックに対し、圧延方向入側または出側のいずれか一方に設けられ、被圧延材の圧延方向に押圧する押圧装置と、
     少なくとも前記基準ロール以外の前記ロールのロールチョックに対し、圧延方向において前記押圧装置と対向するように設けられ、被圧延材の圧延方向に移動させる駆動装置と、
     前記基準ロールのロールチョックの圧延方向位置を基準位置として固定し、前記駆動装置を駆動して、各前記ロールのスラスト反力が許容範囲内の値となるように、前記基準ロール以外の前記ロールの前記ロールチョックの圧延方向における位置を制御する位置制御装置と、
    を備える、圧延機。
  8.  前記複数のロールのうち圧下方向において最下部または最上部に位置するロールを前記基準ロールとする、請求項7に記載の圧延機。
  9.  前記ロールに対してベンディング力を付与するベンディング装置を備え、
     前記位置制御装置は、位置調整対象とする前記ロールと位置調整対象外の前記ロールとのロールギャップを開状態にし、前記位置調整対象の前記ロールの前記ロールチョックに対して、前記ベンディング装置によりベンディング力を付与する、請求項7または8に記載の圧延機。
  10.  前記駆動装置は、ロールチョック位置検出装置を備えた油圧シリンダである、請求項7~9のいずれか1項に記載の圧延機。
     
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