WO2018193831A1

WO2018193831A1 - 情報処理装置、情報処理装置の制御方法、および制御プログラム

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Publication number: WO2018193831A1
Application number: PCT/JP2018/014223
Authority: WO
Inventors: 長谷川　進
Original assignee: シャープ株式会社
Priority date: 2017-04-17
Filing date: 2018-04-03
Publication date: 2018-10-25

Abstract

スライド操作に応じて、画面を滑らかにスクロールさせる。タッチパネル制御部（７０）は、操作物がタッチパネル（６０）のタッチ面へのスライド操作を行っている間、タッチ面上における操作物のタッチ位置を取得し、タッチ座標補正処理部（１４）は、タッチパネル制御部（７０）が取得した複数のタッチ位置の差分平均値に基づいて、タッチパネル制御部（７０）が取得したタッチ位置を補正する。

Description

情報処理装置、情報処理装置の制御方法、および制御プログラム

　本発明は、情報処理装置、情報処理装置の制御方法、および制御プログラムに関し、例えば、タッチ面を備えた情報処理装置に関する。

　従来、タッチ面（例えばタッチパネル、タッチパッド）を備えた情報処理装置（例えばスマートフォン、タブレット）が存在する。ユーザは、操作物（例えばユーザの指）を、タッチ面に接触または近接させることによって、情報処理装置をタッチ操作する。情報処理装置は、タッチ操作に応じた処理を実行する。タッチ操作には様々な種類がある。例えば、タップ、長押し、スライド、スワイプ、およびピンチなどの操作が、タッチ操作に含まれる。スライド操作とは、ユーザがタッチ面上で操作物を一方向にすべらす（スライド）させるタッチ操作である。ユーザは、スライド操作を停止するために、操作物をタッチ面に付けたまま停止させる。一方、フリック操作は、タッチ面上で操作物を素早くスライドさせた後、最後指先を素早く払う（ピッとはじく）点で、スライド操作とは異なる。

　情報処理装置は、通常、スワイプ操作（スライド操作）に応じて、表示部に表示される画面をスクロールさせる。ところが、画面のスクロール速度が一定しない場合がある（画面のカクツキ現象）。画面のスクロール速度が一定しないことは、ユーザには、画面が滑らかにスクロールしていないように見えるので、ユーザに違和感を与え得る。

　上記の問題を解決するために、特許文献１には、スクロール先の画面、すなわち、スワイプ操作が継続された場合に表示部が表示するであろう画面を、情報処理装置のバッファに予め格納しておくことが記載されている。特許文献１に記載の方法は、情報処理装置が画面を再描画する際の負荷を低減することを目的としている。

日本国公開特許公報「特開２０１４－１５４０９１号」（２０１４年８月２５日公開）

　しかしながら、画面が滑らかにスクロールしない原因は、情報処理装置への負荷が過大であることだけではない。操作物のスライド速度、すなわちタッチ面上で操作物が移動する速度が、時間的に微妙に変動しているために、画面のスクロール速度も微妙に変動する場合がある。この場合も、画面が滑らかにスクロールしない。また、タッチ面におけるタッチ操作の検出座標に誤差が含まれている場合、すなわち、情報処理装置の処理精度に問題がある場合も、画面が滑らかにスクロールしない。

　スクロール操作に応じて、現在表示されている画面からスクロール先の画面へとスムーズに遷移することは、タッチ面上を操作物が安定して移動することを前提にしている。すなわち、画面をスムーズに遷移させるためには、スライド操作中にタッチ面上で検出されるタッチ位置の間の差分が均一である必要がある。

　特許文献１に記載の手法はタッチ位置の検出座標処理に関するものではない。そのため、上述した原因に起因する画面のカクツキ現象を解決することはできない。また、特許文献１に記載の手法は、現在の画面とスクロール先の画面とが繋がっていることを前提としているが、現在の画面とスクロール先の画面とが繋がっていない場合がある。

　本発明の一態様は、スライド操作に応じて、画面を滑らかにスクロールさせることを目的とする。

　上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る情報処理装置は、タッチ面へのタッチ操作に応じて動作する情報処理装置であって、操作物が上記タッチ面へのスライド操作を行っている間、上記タッチ面上における上記操作物のタッチ位置を取得するタッチ位置取得部と、上記タッチ位置取得部が取得した複数の上記タッチ位置の差分の平均値を算出する差分平均算出部と、上記差分平均算出部が算出した上記平均値に基づいて、上記タッチ位置取得部が取得した上記タッチ位置を補正するタッチ位置補正部と、を備えている。

　上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る情報処理装置の制御方法は、タッチ面へのタッチ操作に応じて動作する情報処理装置の制御方法であって、操作物が上記タッチ面へのスライド操作を行っている間、上記タッチ面上における上記操作物のタッチ位置を取得し、取得した複数の上記タッチ位置の差分の平均値を算出し、算出した上記平均値に基づいて、取得した上記タッチ位置を補正する。

　本発明の一態様によれば、スライド操作に応じて、画面を滑らかにスクロールさせることができる。

実施形態１に係る端末の構成を示すブロック図である。実施形態１に係る端末の外観図である。実施形態１に係る端末が備えたタッチパネルに対するスライド操作を示す図である。図３に示すスライド操作に応じて、実施形態１に係る端末が実行する処理の流れを示すフローチャートである。図４に示すフロー中の処理の一つであるタッチ座標補正処理の流れを示すフローチャートである。実施形態２に係る端末が備えたタッチパネルに対するスライド操作を示す図である。実施形態２に係るタッチ座標補正処理の流れを示すフローチャートである。

　〔実施形態１〕
　以下、本発明の実施の形態について、図１～図５を用いて詳細に説明する。

　（端末１の構成）
　図１は、実施形態１に係る端末１（情報処理装置）の構成を示すブロック図である。図１に示すように、端末１は、主制御部１０、アプリケーション２０、記憶部３０、表示制御部４０、表示部５０、タッチパネル６０、およびタッチパネル制御部７０（タッチ位置取得部）を備えている。

　図２は、ユーザＵからタッチ操作を受けている端末１の外観図である。図２に示すように、ユーザＵは、操作物（図２では指）を、タッチパネル６０のタッチ面に接触または近接させることによって、タッチ操作を行う。タッチパネル６０は、静電センサまたは圧力センサ等によって操作物を検知する。端末１は、タッチパネル６０から取得する信号に基づいて、タッチ操作に応じて動作する。

　タッチパネル６０は、静電センサまたは圧力センサ等によって、タッチパネル６０のタッチ面（図２参照）に接触または近接する操作物（例えばユーザの指）を検知する。タッチパネル６０は、センサが検知した信号をタッチパネル制御部７０に出力する。センサが検知した信号には、タッチ面上における操作物の位置情報が含まれる。

　タッチパネル制御部７０は、タッチパネル６０のセンサが検知した信号を取得する。タッチパネル制御部７０は、タッチパネル６０から取得した信号に基づいて、タッチパネル６０のタッチ面上における操作物の位置を示すタッチ座標情報を生成する。タッチパネル制御部７０は、生成したタッチ座標情報を記憶部３０に記録する。あるいは、タッチパネル制御部７０は、タッチ座標情報を主制御部１０に送信してもよい。

　主制御部１０は、端末１の各部を統合的に制御する。また、主制御部１０は、記憶部３０またはタッチパネル制御部７０から、タッチ座標情報（タッチ面上におけるタッチ位置）を取得する。そして、主制御部１０は、取得したタッチ座標情報に基づいて、タッチイベント情報を生成する。タッチイベント情報は、タッチ面上におけるタッチ位置と、操作物から受け付けたタッチ操作の種別の情報とを含む。主制御部１０は、タッチイベント情報を、アプリケーション２０に通知する。なお、主制御部１０がタッチ座標情報からタッチイベント情報を生成する方法については後述する。

　図１に示すように、主制御部１０は、タッチイベント判定部１１、定速スライド判定部１２（差分平均算出部）、スクロール移動量算出部１３、およびタッチ座標補正処理部１４（タッチ位置補正部）を含む。また、主制御部１０は、アプリケーション２０も含む。主制御部１０の上記の各部が実行する処理については後述する。

　アプリケーション２０は、主制御部１０のタッチ座標補正処理部１４からタッチイベント情報を取得する。そして、アプリケーション２０は、タッチイベント情報が示すタッチ操作の種別に応じた処理を実行する。例えば、タッチイベント情報が示すタッチ操作の種別がスライド操作であった場合、アプリケーション２０は、表示部５０に表示された画面をスクロールするように、表示制御部４０に指示する（図１参照）。アプリケーション２０は、例えば、記憶部３０に記憶されたプログラムを端末１のＣＰＵ（図示せず）が実行することによって、ソフトウェアとして実現されてよい。

　記憶部３０は、タッチ座標情報および判定モードフラグ（０または１）を記憶している。判定モードフラグについては後述する。後述するように、主制御部１０は、タッチイベント生成処理において、記憶部３０の判定モードフラグがＯＮ（１）である場合、操作物の速度が一定（「定速スライド」）であるか否かを判定する。

　表示制御部４０は、アプリケーション２０からの指示に基づいて、表示部５０が表示する画面を制御する。表示部５０は、表示制御部４０によって制御されることによって、画面を表示する。表示部５０は、例えば、液晶表示ディスプレイ（ＬＣＤ；Liquid CrystalDisplay）または有機ＥＬ（Electro luminescence）ディスプレイであってよい。

　（タッチイベント生成処理）
　図３を参照しつつ、図４を用いて、端末１が実行するタッチイベント生成処理について説明する。図３は、端末１が備えたタッチパネル６０に対するスライド操作の流れを示す図である。図４は、図３に示すスライド操作に応じて、端末１が実行する処理の流れを示すフローチャートである。

　図４に示すように、タッチイベント生成処理では、まず、タッチパネル制御部７０が、タッチパネル６０に対するタッチ操作として、タッチダウンを検知する（Ｓ１）。タッチパネル制御部７０は、タッチパネル６０のタッチ面上におけるタッチダウンの位置（図３では（Ｘ０，Ｙ０））を示すタッチ座標情報を、記憶部３０に記憶する。あるいは、タッチパネル制御部７０は、タッチ座標情報を、主制御部１０に送信してもよい。

　次に、タッチパネル制御部７０が、タッチダウンに続くタッチ操作を検知する（Ｓ２）。タッチパネル制御部７０は、タッチパネル６０のセンサが検知する信号を取得する。そして、タッチパネル制御部７０は、タッチパネル６０から取得する信号に基づいて、タッチパネル６０のタッチ面上におけるタッチの位置（図３では（Ｘｎ，Ｙｎ）（ｎ＝１，２，３・・・））の情報を含むタッチ座標情報を生成する。

　図３に示すように、タッチの位置（Ｘｎ，Ｙｎ）は、タッチパネル６０の横方向（図３では左右方向）の位置座標であるタッチＸ座標Ｘｎと、タッチパネル６０の縦方向（図３では上下方向）の位置座標であるタッチＹ座標Ｙｎとで表される。

　タッチパネル制御部７０は、生成したタッチ座標情報を記憶部３０に記憶する。あるいは、タッチパネル制御部７０は、生成したタッチ座標情報を主制御部１０に送信してもよい。

　図４に示すように、主制御部１０のタッチイベント判定部１１は、記憶部３０が記憶しているタッチ座標情報に基づいて、ムーブイベントが発生したか否かを判定する（Ｓ３）。具体的には、タッチイベント判定部１１は、操作物が、タッチパネル６０に接触または近接したままで、タッチパネル６０上を一方向に移動している場合、ムーブイベントが発生したと判定する（Ｓ３でＹＥＳ）。そして、タッチイベント判定部１１は、ムーブイベントが発生したことを、主制御部１０の定速スライド判定部１２に通知する。さらに、タッチイベント判定部１１は、ムーブイベントの前後におけるタッチの位置を示す情報、すなわち（Ｘ（ｎ－１），Ｙ（ｎ－１））および（Ｘｎ，Ｙｎ）（ｎ＝１，２，・・・）を、定速スライド判定部１２に送信する。

　定速スライド判定部１２は、ムーブイベントが発生したことをタッチイベント判定部１１から通知された場合、記憶部３０の判定モードフラグ（図１参照）がＯＮ（１）であるか否かを確認する（Ｓ４）。

　記憶部３０の判定モードフラグがＯＦＦ（０）である場合（Ｓ４でＮＯ）、定速スライド判定部１２は、記憶部３０の判定モードフラグをＯＮ（１）にする（Ｓ５）。また、定速スライド判定部１２は、ムーブイベントが連続して発生した回数を示す変数ＭＣ、および、後述する差分平均値ｄＹの変数Ｍを、それぞれ１に設定する（Ｓ６）。また、定速スライド判定部１２は、閾値（定速度スライド判定用イベント数）ＮＴも設定する（Ｓ７）。なお、図３は、ＮＴが５である場合を示す。その後、定速スライド判定部１２は、ムーブイベント後のタッチＹ座標Ｙｎと、ムーブイベント前のタッチＹ座標Ｙ（ｎ－１）との差分ΔＹｎを計算し、計算した差分ΔＹｎを記憶部３０に記憶する（Ｓ１１）。

　一方、記憶部３０の判定モードフラグがＯＮ（１）である場合（Ｓ４でＹＥＳ）、定速スライド判定部１２は、ムーブイベントが連続して発生した回数を示す変数ＭＣに１加算する（Ｓ８）。そして、定速スライド判定部１２は、判定モードフラグがＯＮ（１）であることを、スクロール移動量算出部１３に通知する。

　定速スライド判定部１２からの通知を受けたスクロール移動量算出部１３は、記憶部３０の判定モードフラグがＯＮ（１）であることを確認する。その後、スクロール移動量算出部１３は、ムーブイベント後のタッチＹ座標Ｙｎと、ムーブイベント前のタッチＹ座標Ｙ（ｎ－１）との差分ΔＹｎ（図３参照）を計算する。そして、スクロール移動量算出部１３は、差分ΔＹｎが所定の距離閾値ＤＴ（例えば３０ピクセル）未満であるか否かを判定する（Ｓ９）。

　差分ΔＹｎが距離閾値ＤＴ以上である場合（Ｓ９でＮＯ）、スクロール移動量算出部１３は、記憶部３０の判定モードフラグをＯＦＦ（０）にする（Ｓ１０）。一方、差分ΔＹｎが距離閾値ＤＴ未満である場合（Ｓ９でＹＥＳ）、スクロール移動量算出部１３は、計算した差分ΔＹｎを記憶部３０に記憶する（Ｓ１１）。

　Ｓ３に戻り、タッチイベント判定部１１は、ムーブイベント以外のタッチイベントが発生したと判定した場合（Ｓ３でＮＯ）、タッチイベント判定部１１は、記憶部３０の判定モードフラグをＯＦＦ（０）にする（Ｓ１０）。また、Ｓ２において発生したタッチイベントがタッチアップまたはタッチキャンセルのタッチイベントであった場合（Ｓ１５でＹＥＳ）、タッチイベント生成処理のフローは終了する。一方、Ｓ２において発生したタッチイベントがタッチアップまたはタッチキャンセル以外であった場合（Ｓ１５でＮＯ）、端末１がタッチイベントの種別に応じた動作を行った後、処理フローはＳ２に戻る。

　スクロール移動量算出部１３が差分ΔＹｎを記憶部３０に記憶した（Ｓ１１）後、タッチ座標補正処理部１４は、ムーブイベントが連続して発生した回数を示す変数ＭＣが、予め定められた閾値ＮＴ（図３では、ＮＴ＝５）以上であるか否かを判定する（Ｓ１２）。

　変数ＭＣがＮＴ未満である場合（Ｓ１２でＮＯ）、タッチ座標補正処理部１４は、タッチＹ座標Ｙｎを補正しないことを決定する。この場合（Ｓ１２でＮＯ）、タッチ座標補正処理部１４は、元のタッチの位置（Ｘｎ，Ｙｎ）の情報を含むタッチ座標情報と、発生したタッチイベントの種別を示す情報とを含むタッチイベント情報を、アプリケーション２０に送信する。

　一方、変数ＭＣがＮＴ以上である場合（Ｓ１２でＹＥＳ）、タッチ座標補正処理部１４は、タッチＹ座標Ｙｎを補正する（Ｓ１３）。この場合（Ｓ１２でＹＥＳ）、タッチ座標補正処理部１４は、補正後のタッチの位置（Ｘｎ，Ｙｎ´）の情報を含むタッチ座標情報と、発生したタッチイベントの種別を示す情報とを含むタッチイベント情報を、アプリケーション２０に送信する。なお、Ｓ１３においてタッチ座標補正処理部１４が行うタッチ座標補正処理の詳細については後で、図５を参照して説明する。

　アプリケーション２０は、タッチ座標補正処理部１４から受信したタッチイベント情報が示すタッチ操作に応じた処理を実行する。例えば、タッチイベント情報が示すタッチイベントの種別はムーブイベントである場合、アプリケーション２０は、表示部５０に表示された画面をスクロールさせるように、表示制御部４０に指示する。表示制御部４０は、アプリケーション２０からの指示により、表示部５０に表示された画面をスクロールする（Ｓ１４）。

　次のタッチイベントがタッチアップまたはタッチキャンセルであった場合（Ｓ１５でＹＥＳ）、タッチイベント生成処理のフローは終了する。一方、次のタッチイベントがタッチアップまたはタッチキャンセル以外であった場合（Ｓ１５でＮＯ）、フローはＳ２に戻る。

　（タッチ座標補正処理）
　図３および図５を用いて、前述したタッチイベント生成処理（図４参照）のＳ１３において、タッチ座標補正処理部１４が行うタッチ座標補正処理の詳細を説明する。図５は、タッチ座標補正処理の流れを示すフローチャートである。

　図５に示すように、タッチ座標補正処理では、タッチ座標補正処理部１４は、１度目のタッチ座標補正処理において、差分平均算出フラグＹＭＵＣを設定する。１度目のタッチ座標補正処理では、ＹＭＵＣ＝１である。２度目以降のタッチ座標補正処理において、タッチ座標補正処理部１４は、差分平均算出フラグＹＭＵＣがＯＮ（１）であるか否かを判定する（Ｓ１３１）。

　差分平均算出フラグＹＭＵＣがＯＮ（１）である場合（Ｓ１３１でＹＥＳ）のみ、タッチ座標補正処理部１４は、スクロール移動量算出部１３が算出した差分ΔＹｎに基づいて、差分平均値ｄＹ（Ｍ）を算出する（Ｓ１３２、図３参照）。差分平均値ｄＹ（Ｍ）は、以下の計算式（１）にしたがって算出される。
ｄＹ（Ｍ）＝（ΔＹ（ｎ－ＣＮＴ＋１）＋・・・＋ΔＹｎ）／ＣＮＴ・・（１）
　ただし、式（１）において、ＣＮＴ（Ｙ座標差分平均値更新用イベント数）は、予め定められた所定数である。ＣＮＴは、前述したＮＴと同じ数であってもよいし、異なる数であってもよい。なお、図３は、ＣＮＴが５である場合を示す。特に、Ｍ＝１の場合、ｄＹ（１）＝（△Ｙ１＋△Ｙ２＋・・・＋△Ｙ（ＮＴ））／ＮＴである。ここで、ＮＴ（定速度スライド判定用イベント数）は、予め定められた閾値である。新たな差分平均値ｄＹ（Ｍ）が算出されるごとに、Ｍは１ずつ増大する。

　次に、タッチ座標補正処理部１４は、算出した差分平均値ｄＹ（Ｍ）に基づいて、補正後のタッチＹ座標Ｙｎ´を算出する（Ｓ１３３）。補正後のタッチＹ座標Ｙｎ´は、以下の計算式（２）にしたがって算出される。
Ｙｎ´＝Ｙ（ｎ－１）´＋ｄＹ（Ｍ）・・（２）
　上記式（２）によれば、補正後のタッチＹ座標Ｙｎ´とＹ（ｎ－１）´との差分は、常に一定である。

　その後、タッチ座標補正処理部１４は、変数ＭＣが、前述した所定数ＣＮＴであるかどうかを判定する（Ｓ１３４）。変数ＭＣが所定数ＣＮＴである場合（Ｓ１３４でＹＥＳ）、タッチ座標補正処理部１４は、差分平均算出フラグＹＭＵＣをＯＮ（１）にする（Ｓ１３５）とともに、変数ＭＣをゼロにリセットする（Ｓ１３７）。また、タッチ座標補正処理部１４は、変数Ｍに１加算する。一方、変数ＭＣが所定数ＣＮＴでない場合（Ｓ１３４でＮＯ）、タッチ座標補正処理部１４は、差分平均算出フラグＹＭＵＣをＯＦＦ（０）にする（Ｓ１３６）。したがって、タッチ座標補正処理がＣＮＴ回繰り返し行われるごとに、前述したＳ１３２において、新たな差分平均値ｄＹ（Ｍ）が算出されることになる。以上でタッチ座標補正処理は終了する。

　本実施形態の構成によれば、スライド操作が行われた場合、ムーブイベントの前後におけるタッチＹ座標の間の差分ΔＹｎ＝Ｙｎ―Ｙ（ｎ－１）に基づいて、差分平均値ｄＹ（Ｍ）が算出される（上記式（１）参照）。そして、算出された差分平均値ｄＹ（Ｍ）を用いて、ムーブイベント前後のタッチＹ座標Ｙ（ｎ－１），Ｙｎが補正される。補正後のタッチＹ座標Ｙｎ´は、補正後のタッチＹ座標Ｙ（ｎ－１）´に差分平均値ｄＹ（Ｍ）を加算した値になる（上記式（２）参照）。すなわち、補正後のタッチＹ座標Ｙｎ´と、補正後のタッチＹ座標Ｙ（ｎ－１）´との差分は一定になる。したがって、ムーブイベントに基づいて、表示部５０に表示される画面が、一定の速度で滑らかにスクロールする。

　さらに、本実施形態の構成によれば、ムーブイベントがＣＮＴ回発生するごとに、新たな差分平均値ｄＹ（Ｍ）が算出される。そして、新たな差分平均値ｄＹ（Ｍ）に基づいて、タッチＹ座標Ｙｎが補正される。そのため、ユーザが操作物を移動させる速度と、補正後のタッチＹ座標の変化量、すなわちＹｎ´とＹ（ｎ－１）´との差分とのかい離が大きくなり過ぎない。したがって、ユーザに与える違和感が緩和される。

　〔実施形態２〕
　本発明の他の実施形態について、図６および図７に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。

　本実施形態は、タッチ座標補正処理の手順において、前記実施形態１とは異なる。また、前記実施形態１では、ムーブイベントの前後におけるタッチ座標の間の差分は、補正によって一定にされた。一方、本実施形態では、ムーブイベントの前後におけるタッチの座標の間の差分は、補正によって、ムーブイベントごとに徐々に変化して、差分平均値に近づいてゆく。

　（タッチ座標補正処理）
　図６および図７を用いて、本実施形態に係るタッチ座標補正処理の詳細を説明する。図６は、端末１が備えたタッチパネル６０に対するスライド操作の流れを示す図である。図７は、タッチ座標補正処理の流れを示すフローチャートである。

　図７に示すように、タッチ座標補正処理では、タッチ座標補正処理部１４は、１度目のタッチ座標補正処理において、前述した差分平均算出フラグＹＭＵＣを設定する。１度目のタッチ座標補正処理では、ＹＭＵＣ＝１である。２度目以降のタッチ座標補正処理において、タッチ座標補正処理部１４は、差分平均算出フラグＹＭＵＣがＯＮ（１）であるか否かを判定する（Ｓ２３１）。差分平均算出フラグＹＭＵＣがＯＮ（１）である場合（Ｓ２３１でＹＥＳ）のみ、タッチ座標補正処理部１４は、スクロール移動量算出部１３が算出した差分ΔＹｎに基づいて、新たな差分平均値ｄＹ（Ｍ）を算出する（Ｓ２３２）。本実施形態でも、差分平均値ｄＹ（Ｍ）は、以下の計算式（１）にしたがって算出される。ｄＹ（Ｍ）＝（ΔＹ（ｎ－ＣＮＴ＋１）＋・・・＋ΔＹｎ）／ＣＮＴ・・（１）
　特に、Ｍ＝１の場合、ｄＹ（１）＝（△Ｙ１＋△Ｙ２＋・・・＋△Ｙ（ＮＴ））／ＮＴである。式（１）中の所定数ＣＮＴおよび変数Ｍについては、前記実施形態１で説明したため、本実施形態では説明を省略する。なお、図６では、ＣＮＴ＝５である。

　次に、タッチ座標補正処理部１４は、差分平均値ｄＹ（Ｍ）およびｄＹ（Ｍ－１）に基づいて、Ｙ座標移動単位ｄＵ（Ｍ）を算出する（Ｓ２３３）。Ｙ座標移動単位ｄＵ（Ｍ）は、以下の計算式（３）にしたがって算出される。
ｄＵ（Ｍ）＝（ｄＹ（Ｍ）－ｄＹ（Ｍ－１））／ＣＮＴ・・（３）
　特に、Ｍ＝１の場合、ｄＵ（１）＝０である。

　次に、タッチ座標補正処理部１４は、算出した差分平均値ｄＹ（Ｍ）およびＹ座標移動単位ｄＵ（Ｍ－１）に基づいて、補正後のタッチＹ座標Ｙｎ´を算出する（Ｓ２３４）。補正後のタッチＹ座標Ｙｎ´は、以下の計算式（４）にしたがって算出される。
Ｙｎ´＝Ｙ（ｎ－１）´＋ｄＹ（Ｍ）＋ＭＣ×ｄＵ（Ｍ）・・（４）
　上記式（４）によれば、補正後のタッチＹ座標Ｙｎ´とＹ（ｎ－１）´との差分は、ムーブイベントが発生する（図４のＳ３でＹＥＳ）ごとに、Ｙ座標移動単位ｄＵ（Ｍ）ずつ増加する。図６では、タッチＹ座標Ｙ１１～Ｙ１５は、上記式（１）にしたがって算出された差分平均値ｄＹ２、および、上記式（３）にしたがって算出されたＹ座標移動単位ｄＵ２に基づいて、Ｙ´１１～Ｙ´１５に補正されている。なお、図６では、タッチＹ座標Ｙ１～Ｙ５は、上記式（１）にしたがって算出された差分平均値ｄＹ１のみに基づいて、補正されているように見える。その理由は、前述したように、ｄＵ（Ｍ＝１）＝０と定義しているからである。

　その後、タッチ座標補正処理部１４は、変数ＭＣが、前述した所定数ＣＮＴの倍数であるかどうかを判定する（Ｓ２３５）。変数ＭＣが所定数ＣＮＴである場合（Ｓ２３５でＹＥＳ）、タッチ座標補正処理部１４は、差分平均算出フラグＹＭＵＣをＯＮ（１）にする（Ｓ２３６）とともに、変数ＭＣをゼロにリセットする（Ｓ２３８）。また、タッチ座標補正処理部１４は、変数Ｍに１加算する。一方、変数ＭＣが所定数ＣＮＴでない場合（Ｓ２３５でＮＯ）、タッチ座標補正処理部１４は、差分平均算出フラグＹＭＵＣをＯＦＦ（０）にする（Ｓ２３７）。

　以後、ムーブイベントがＣＮＴ回発生するごとに、Ｓ２３２において、新たな差分平均値ｄＹ（Ｍ）が算出され、また、Ｓ２３３において、新たなＹ座標移動単位ｄＵ（Ｍ－１）が算出される。以上でタッチ座標補正処理は終了する。

　本実施形態の構成によれば、新しい差分平均値ｄＹ（Ｍ）が算出された後、補正後のタッチＹ座標の差分は、ムーブイベントが発生するごとに、Ｙ座標移動単位ｄＵ（Ｍ－１）ずつ徐々に変化する（上記式（４）参照）。そして、補正後のタッチＹ座標の差分は、新しい差分平均値ｄＹ（Ｍ）に徐々に近づいてゆく。すなわち、本実施形態の構成によれば、新しい差分平均値ｄＹ（Ｍ）が算出された後、タッチＹ座標の差分ΔＹｎが、１度の補正で、古い差分平均値ｄＹ（Ｍ－１）から新しい差分平均値ｄＹ（Ｍ）になるのではなく、ＣＮＴ回（図６では５回）の補正で、古い差分平均値ｄＹ（Ｍ－１）から新しい差分平均値ｄＹ（Ｍ）に変化する。そのため、タッチＹ座標が補正された場合にユーザに与える違和感が緩和される。

　〔実施形態３〕
　（ソフトウェアによる実現例）
　端末１の制御ブロック（特に、タッチイベント判定部１１、定速スライド判定部１２、スクロール移動量算出部１３、タッチ座標補正処理部１４、アプリケーション２０、表示制御部４０、およびタッチパネル制御部７０）は、集積回路（ＩＣチップ）等に形成された論理回路（ハードウェア）によって実現してもよいし、ＣＰＵ（Central Processing Unit）を用いてソフトウェアによって実現してもよい。

　後者の場合、端末１は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するＣＰＵ、上記プログラムおよび各種データがコンピュータ（またはＣＰＵ）で読み取り可能に記録されたＲＯＭ（Read Only Memory）または記憶装置（これらを「記録媒体」と称する）、上記プログラムを展開するＲＡＭ（Random Access Memory）などを備えている。そして、コンピュータ（またはＣＰＵ）が上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体（通信ネットワークや放送波等）を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。

　〔まとめ〕
　本発明の態様１に係る情報処理装置（端末１）は、タッチ面へのタッチ操作に応じて動作する情報処理装置であって、操作物が上記タッチ面へのスライド操作を行っている間、上記タッチ面上における上記操作物のタッチ位置を取得するタッチ位置取得部（タッチパネル制御部７０）と、上記タッチ位置取得部が取得した複数の上記タッチ位置の差分の平均値を算出する差分平均算出部（定速スライド判定部１２）と、上記差分平均算出部が算出した上記平均値に基づいて、上記タッチ位置取得部が取得した上記タッチ位置を補正するタッチ位置補正部（タッチ座標補正処理部１４）と、を備えている。

　上記の構成によれば、操作物によるスライド操作中、複数のタッチ位置の差分平均値に基づいて、操作物のタッチ位置の差分が補正される。そして、補正後のタッチ位置の差分に応じた速度および方向で、表示部に表示された画面がスクロールされる。そのため、スライド操作中、タッチ面上において操作物が移動する速度が変動した場合であっても、画面を滑らかにスクロールさせることができる。

　本発明の態様２に係る情報処理装置は、上記態様１において、上記タッチ位置取得部が上記タッチ位置を所定回取得するごとに、上記差分平均算出部は、上記タッチ位置取得部が新たに取得した所定回分の上記タッチ位置を用いて、上記平均値を算出してもよい。

　上記の構成によれば、タッチ位置を所定回取得するごとに、タッチ位置の差分平均値を算出する。スライド操作中、タッチ面上において操作物が移動する速度が変動した場合、その変動に応じて、差分平均値が変化する。そして、変化後の差分平均値に基づいて、タッチ位置が補正される。したがって、操作物が移動する速度の変化に応じて、補正後のタッチ位置の間の差分を変化させることができる。

　本発明の態様３に係る情報処理装置は、上記態様１または２において、上記タッチ位置補正部は、上記タッチ位置取得部が取得した上記タッチ位置の間の差分を、上記平均値と一致させるように補正してもよい。上記の構成によれば、補正後のタッチ位置の間の差分が一定になるので、画面を滑らかにスクロールさせることができる。

　本発明の態様４に係る情報処理装置は、上記態様１から３のいずれかにおいて、上記タッチ位置補正部は、上記タッチ位置取得部が取得した上記タッチ位置の差分を、上記平均値に徐々に近づけてゆくように補正してもよい。

　上記の構成によれば、操作物のタッチ位置の間の差分が、複数のタッチ位置の差分平均値に徐々に近づくように補正される。また、補正後のタッチ位置の間の差分の変化に応じて、画面のスクロール速度も徐々に変化する。そのため、タッチ位置の間の差分が瞬時に差分平均値に補正される構成と比較して、画面のスクロール速度の変化が緩やかであるので、ユーザが、画面のスクロール速度が変化したことに違和感を得にくい。

　本発明の態様５に係る情報処理装置の制御方法は、タッチ面へのタッチ操作に応じて動作する情報処理装置の制御方法であって、操作物が上記タッチ面へのスライド操作を行っている間、上記タッチ面上における上記操作物のタッチ位置を取得し、取得した複数の上記タッチ位置の差分の平均値を算出し、算出した上記平均値に基づいて、取得した上記タッチ位置を補正する。上記の構成によれば、上記態様１に係る情報処理装置と同様の効果を奏することができる。

　本発明の各態様に係る情報処理装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記情報処理装置が備える各部（ソフトウェア要素）として動作させることにより上記情報処理装置をコンピュータにて実現させる情報処理装置の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。

　本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。

　　１　端末（情報処理装置）
　１２　定速スライド判定部（差分平均算出部）
　１４　タッチ座標補正処理部（タッチ位置補正部）
　７０　タッチパネル制御部（タッチ位置取得部）
　ｄＹ　差分平均値（平均値）

Claims

　タッチ面へのタッチ操作に応じて動作する情報処理装置であって、
　操作物が上記タッチ面へのスライド操作を行っている間、上記タッチ面上における上記操作物のタッチ位置を取得するタッチ位置取得部と、
　上記タッチ位置取得部が取得した複数の上記タッチ位置の差分の平均値を算出する差分平均算出部と、
　上記差分平均算出部が算出した上記平均値に基づいて、上記タッチ位置取得部が取得した上記タッチ位置を補正するタッチ位置補正部と、を備えた
　ことを特徴とする情報処理装置。
　上記タッチ位置取得部が上記タッチ位置を所定回取得するごとに、上記差分平均算出部は、上記タッチ位置取得部が新たに取得した所定回分の上記タッチ位置を用いて、上記平均値を算出することを特徴とする請求項１に記載の情報処理装置。
　上記タッチ位置補正部は、上記タッチ位置取得部が取得した上記タッチ位置の間の差分を、上記平均値と一致させるように補正することを特徴とする請求項１または２に記載の情報処理装置。
　上記タッチ位置補正部は、上記タッチ位置取得部が取得した上記タッチ位置の差分を、上記平均値に徐々に近づけてゆくように補正することを特徴とする請求項１から３のいずれか１項に記載の情報処理装置。
　タッチ面へのタッチ操作に応じて動作する情報処理装置の制御方法であって、
　操作物が上記タッチ面へのスライド操作を行っている間、上記タッチ面上における上記操作物のタッチ位置を取得し、
　取得した複数の上記タッチ位置の差分の平均値を算出し、
　算出した上記平均値に基づいて、取得した上記タッチ位置を補正する
　ことを特徴とする情報処理装置の制御方法。
　請求項１に記載の情報処理装置としてコンピュータを機能させるための制御プログラムであって、上記差分平均算出部および上記タッチ位置補正部としてコンピュータを機能させるための制御プログラム。