WO2018154854A1

WO2018154854A1 - 保護構造

Info

Publication number: WO2018154854A1
Application number: PCT/JP2017/039423
Authority: WO
Inventors: 睦弘横松
Original assignee: 株式会社ハイレックスコーポレーション
Priority date: 2017-02-22
Filing date: 2017-10-31
Publication date: 2018-08-30
Also published as: JP2018135949A

Abstract

基体と、基体に対して前進および後退する進退部材と、基体から延出した延出領域の進退部材を覆うブーツと、を備えた保護構造であって、ブーツは、伸縮部と、伸縮部の一端側に設けられた接続部を介して接続する移動規規制部とを有し、伸縮部は、接続部とは反対側の端部に設けられた固定部を有し、移動規制部は、接続部とは反対側の端部に設けられた係合部を有し、係合部は、基体から延出した進退部材の先端側に設けられた被係合部と係合し、固定部は、基体に固定され、伸縮部は、進退部材の軸方向に対して垂直な方向に張り出した張出部を有し、移動規制部は、進退部材が後退した際に、接続部が進退部材の先端側へ相対移動するのを規制する剛性を有する保護構造を用いることでかしめによらずブーツを固定することができる。

Description

保護構造

　本発明は、保護構造に関する。

　サスペンションやコントロールケーブルなど、軸方向に露出する部分が基体に対して進退移動する進退部材の進退領域を外部から保護するブーツを有する保護構造が知られている。
　例えば、特許文献１では、進退部材としての索端部材の一端部にインナーケーブルとしての内索の端部を挿入して固定するための内索挿入孔が設けられ、かつ、その外周面に内索挿入孔の深さより幅の広い係合溝が設けられた保護構造が開示されている。
　係合溝には、ブーツの先端部を係合し、カラーを嵌め付けて係合溝の円形部を含む領域をかしめることで、ブーツの先端部が索端部材に固定される。
　この保護構造では、円形部にブーツが密着するので雨水などの浸入はなく、また係合溝にブーツの端部が係合されているので、コントロールケーブルの摺動により使用しているうちにブーツがずれ動いてしまうということがない。

実開平０３－０３６５１５号公報

　特許文献１に記載の保護構造では、ロッド部材に設けた係合溝にブーツの端部をかしめて固定しているため、ロッド部材の強度が低下しうる。そのため、ロッド部材の径を太くしなくてはならいので重量が増加し、例えば、コントロールケーブルの操作性が低下しうる。

　そこで、本発明の目的は、かしめによらずブーツを固定できる保護構造を提供することにある。

　本発明の保護構造は、基体と、前記基体に対して前進および後退する進退部材と、前記基体から延出した延出領域の前記進退部材を覆うブーツと、を備えた保護構造であって、前記ブーツは、伸縮部と、前記伸縮部の一端側に設けられた接続部を介して接続する移動規規制部とを有し、前記伸縮部は、前記接続部とは反対側の端部に設けられた固定部を有し、前記移動規制部は、前記接続部とは反対側の端部に設けられた係合部を有し、前記係合部は、前記基体から延出した前記進退部材の先端側に設けられた被係合部と係合し、前記固定部は、前記基体に固定され、前記伸縮部は、前記進退部材の軸方向に対して垂直な方向に張り出した張出部を有し、前記移動規制部は、前記進退部材が後退した際に、前記接続部が前記進退部材の先端側へ相対移動するのを規制する剛性を有する。

　本発明によれば、かしめによらずブーツを固定できる。

本発明の一実施の形態に係る保護構造を適用したコントロールケーブルを示す図である。図２Ａは図１のＡ―Ａ線矢視断面図であり、図２Ｂは図１のＢ-Ｂ線矢視断面図である。図１の保護構造の要部構成を示す部分断面図である。図３において進退部材が後退した状態のブーツの説明に供する部分断面図である。図１の保護構造の変形例を示す図である。

　以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。

＜保護構造の全体構成＞
　本発明の実施の形態に係る保護構造１は、例えば、図１に示すように、基体２に対する進退部材の前進および後退において、基体２から延出して軸方向に露出する進退部材３の延出領域Ｅをブーツ４で外部から保護する構成を有する。ブーツ４は、延出領域Ｅの外周を覆い、進退部材の前進および後退に追随して変形できる。

　図１に示す保護構造１は、例えば、車両等の取付対象に取り付けられて車体に配索されるコントロールケーブル等の長尺部材に適用されたり、トランスミッションの操作機構において基体２に対して進退移動する進退部材３を有する構造にも適用可能である。保護構造１は、両端側で操作部と被操作部と接続するコントロールケーブル８を用いたコントロールケーブルアッシーにおいて、コントロールケーブル８の被操作部側に設けられている。コントロールケーブル８は、例えば、シフトレバーとトランスミッションとを接続したり、シフトペダルとオートマチックトランスミッションとを接続したりするコントロールケーブルである。なお、コントロールケーブル８は、インナーケーブル８１と、インナーケーブル８１が挿通された外被であるアウターケーシング８２とを含む。

　コントロールケーブル８の操作部側のアウターケーシング８２の端部は、固定部（図示せず）にカシメなどにより固定される。コントロールケーブル８の操作部側のアウターケーシング８２の端部においては、延出されたインナーケーブル８１が、同軸上に配置されたロッド部材８４の一端部に固定されて、図示しない操作部に接続される。
　操作部の操作により、インナーケーブル８１は、コントロールケーブル８のアウターケーシング８２内で押し引きされる。これにより、保護構造１の進退部材３が前進および後進して、被操作部は操作される。

　保護構造１は、車両のコントロールケーブルに限らず、基体２に対して前進および後退する進退部材３において、基体２から延出した延出領域Ｅの部分をブーツ４で保護するものであれば、どのようなものに適用できる。また、本実施の形態の保護構造１であるコントロールケーブルアッシーはコントロールケーブル８の操作部側に適用してもよい。

　保護構造１は、基体２と、基体２に対して前進および後退する進退部材３と、延出領域Ｅの進退部材３を覆うブーツ４とを備え、本実施形態においては、さらに隣接部材５を備えている。

＜基体２＞
　基体２は、進退部材３が前進および後進するように設けられ、進退部材３の進退方向の移動を案内するとともに、進退部材３を保護する。基体２は、進退部材３が前進および後進可能な、進退部材３の進退方向の長さを有する。基体２は、進退移動する進退部材３を支持するように構成され、進退部材３の後退側の外周と摺接するように設けられている。
　基体２は、操作部と、操作部の操作対象である被操作部との間に設けられる。基体２は、図示しない操作部により前進および後退する進退部材３の移動方向を案内する。また、
基体２は、他端側が、キャップに接続し、弾性部材により覆われた状態となっている。基体２は、キャップを介して車体のブラケット等の取付対象に取り付けられてもよい。
　基体２は、例えば、筒状部材により構成され、進退部材３を、進退部材３の一部が摺動可能となるように収納する。また、基体２は、溝および溝に嵌合する突起を介して、揺動するようにキャップに嵌合しながら、摺動するように進退部材３を収容しても良い。
　基体２は、樹脂或いは金属製の筒状部材であることが好ましく、本実施形態においては端末支持装置のガイドパイプとして用いられているが、例えば、アウターケーシング、アウターケーシングの端部に設けられたキャップ等として用いてもよい。また、基体２には、断面形状で、円、楕円形状或いは多角形状の孔を有する長さを有する部材を用いてもよい。
　基体２は、一端側がブーツ４に覆われ、一端から進退部材３の他端が延出する。
　基体２は、本実施の形態では、アウターケーシング８２の端部に接続する円筒状のガイドパイプ２０を含む。
　基体２は、アウターケーシング８２の端部に設けられたキャップと、キャップを弾性的に支持する弾性部材と、弾性部材を囲繞するソケットと共に端末支持装置を構成するガイドパイプ２０として用いられ、ソケットに設けられた固定部９１を介して、保護構造１が取り付けられる車両に固定される。
　基体２のガイドパイプ２０の内部を、進退部材３のロッド部材３０が摺動し、ロッド部材３０は、ガイドパイプ２０の一端部から延出する。基体２の一端部は、ブーツ４の伸縮部４１に挿入される。

＜進退部材３＞
　進退部材３は、基体２に対して相対移動可能であり、本実施の形態では、基体２の一端部に対して進退自在に設けられ、進退移動することにより、一部が基体２内に収容され、他の一部が一端部から延出する。
　進退部材３は、後退方向側の端部がケーブルを介して操作部に接続され、操作力の入力により、基体２に対して進退し、操作力を被操作部に伝達する。操作部は、例えば、シフトレバー等の様に、操作することにより進退部材３を進退移動させる。
　進退部材３の後退方向側の構成は、進退部材３の後退方向側の端部にアイエンドを接続し、このアイエンドに操作部が接続される構成としてもよいし、進退部材３を進退移動させる操作側の部材がコントロールケーブル８を介して固定される構成としてもよい。また、本実施の形態のように、進退部材３の後退方向側の端部が、アウターケーシング８２内を摺動するインナーケーブル８１に接合された構成としてもよい。

　進退部材３の前進方向側の端部、つまり、本実施の形態における基体２から延出する側の端部は、被操作部に接続される。進退部材３は、基体２に対する前進および後退により、操作部からの操作力を被操作部に伝達する。被操作部としては、例えば、操作部がシフトレバーである場合は、トランスミッション等におけるレバー部材等の隣接部材５が設けられた部材が挙げられる。被操作部は、レバー部材等の隣接部材５を有する場合には、進退部材３の前進および後退によって操作される際に、隣接部材５のレバー部材の回動を伴って操作される。
　進退部材３の前進方向側の端部、つまり本実施の形態での前進方向側の先端部３４は、ボールスタッドとそれに球面接触するソケットで構成される。ボールジョイントを構成するスタッドとして構成された先端部３４は、隣接部材５を有する被操作部に接続される。
　進退部材３は、例えば、ロッド部材或いはケーブル等の進退方向に延在する部材を含む。進退部材３は、本実施の形態では、ロッド部材３０を含み、基体２であるガイドパイプ２０の先端部に対して前進および後退自在に設けられている。
　進退部材３のロッド部材３０は、基体２に対して進退移動することによりブーツ４の伸縮部４１を伸縮させる。また進退部材３のロッド部材３０は、ブーツ４の移動規制部４３に接触してもよい。

　進退部材３において、基体２のガイドパイプ２０から延出した先端側、つまり本実施の形態でのロッド部材３０の先端部３４側には、ブーツ４の係合部４３２に係合する被係合部３２が設けられている。
　被係合部３２は、ブーツ４の係合部４３２に係合して、ブーツ４に対して進退部材３の進退移動に追随した移動をさせることができる。また、被係合部３２は、ブーツ４の移動規制部４３の進退部材３に対する位置を位置決めをすることができる。
　被係合部３２は、本実施の形態では、先端部３４の基端部で、径方向に突出した突起として形成されている。被係合部３２は、先端部３４が接続する被操作部の接続部位（ボールスタッドの位置）から離間した位置に設けられている。
　進退部材３のロッド部材３０は、進退移動することにより操作力を伝達可能な剛性を有するものであり、例えば、金属材料により形成される。
　本実施の形態では、進退部材３のロッド部材３０は、進退方向に延びる棒状体であり、基体２のガイドパイプ２０内を摺動し、ガイドパイプ２０により進退方向に案内される。
　進退部材３のロッド部材３０は、ガイドパイプ２０と、ロッド部材３０の軸方向に沿って摺動する。進退部材３のロッド部材３０と、基体２がアウターケーシング８２の先端を構成するガイドパイプ２０とを有する本実施の形態の保護構造１では、進退部材３の延出領域Ｅは、基体２の先端であるガイドパイプ２０の先端と、この先端から露出するロッド部材３０の一端との間で規定される。
　進退部材３のロッド部材３０の摺動の際に進退部材３に発生する振動は、ロッド部材３０の外周側に配置されるブーツ４によっても吸収される。

＜ブーツ４＞
　ブーツ４は、基体２から延出した延出領域Ｅの進退部材３を覆うとともに進退部材３の進退移動を維持する。ここで、基体２から延出した延出領域Ｅとは、進退部材３の前進および後退により基体２の一端部から露出するロッド部材３０の延出部分が存在する範囲であり、ロッド部材３０の前進および後退によりその範囲が変化する。進退部材３が前進すれば、基体２の一端部から延出する進退部材３は長くなり、延出領域Ｅは広くなる。また進退部材３が後退すれば、基体２の一端部から延出する進退部材３のロッド部材３０の延出部分の長さは短くなり、延出領域Ｅは狭くなる。延出領域Ｅは、ブーツ４内部に形成され、ブーツ４で囲まれることとなり、ブーツ４の外部には露出しない。

　ブーツ４は、基体２の一端部と、延出領域Ｅの進退部材３、つまり、進退部材３の延出部分とを囲み、基体２と進退部材３との間の隙間から水分や異物が侵入することを防止する。ブーツ４は、進退部材３の前進および後退に関わらず、基体２の一端部に設けられた開口を囲むことで基体２と進退部材３との間に生じた間隙を覆い、基体２内に移動可能な進退部材３の部位をも覆うこととなるので、外部からの水分や異物の侵入を防止することができる。
　ブーツ４は、ゴムあるいはエラストマーなどの弾性部材により形成される。
　ブーツ４は、筒状であり、軸方向に伸縮する。ブーツ４は、他端側が基体２に固定されるとともに、一端側が進退部材３に係合して固定される。
　ブーツ４は、伸縮部４１と移動規制部４３とを有し、伸縮部４１と移動規制部４３とは、前記伸縮部４１の一端側に設けられた接続部４２を介して接続する。

　伸縮部４１は基体２の先端部を覆うとともに、進退部材３の進退により増減する進退部材３の延出領域Ｅを覆う。
　伸縮部４１は、進退部材３の前進および後退に追従して伸縮する。伸縮部４１は、伸縮することにより、進退部材３が進退移動した場合であっても、進退部材３と基体２との間の隙間を覆う。
　伸縮部４１は、一端側に接続部４２と、接続部４２とは反対側の端部（他端部）に固定
部４１２とを有する。伸縮部４１は、一端側で移動規制部４３へ接続し、他端側の固定部４１２により基体２に固定する。
　伸縮部４１は、進退部材３の軸方向に対して垂直な方向に張り出した張出部４１４を有する。

　本実施の形態では、伸縮部４１は、張出部４１４が複数連続して形成された蛇腹部４４を有する。張出部４１４は、蛇腹部４４の山谷部分を形成する。進退部材３が進退移動しても、複数の張出部４１４である山谷部分の形状が変化することによって、進退部材３の延出領域Ｅを保護する。なお、本実施の形態では、伸縮部４１は複数の張出部４１４を設けた構成としたが、これに限らず、進退部材３の進退により増減する進退部材３の延出領域Ｅを覆う構成であれば、張出部４１４は一つであってもよい。また、張出部４１４は、進退部材３の軸方向に対して垂直な方向に張り出しているため、進退部材３の延出領域Ｅの基端側がＬ字状であったり、Ｒ付きの形状であったり、屈曲或いは湾曲している場合でも、進退移動する部分を保護できる。

　接続部４２は、伸縮部４１において、進退部材３の先端部３４側、本実施の形態では、被操作部側に設けられている。
　接続部４２は、ブーツ４において、伸縮部４１と移動規制部４３とを接続する部分であり、伸縮部４１に設けられた固定部４１２に連続し、移動規制部４３に設けられた係合部４３２に連続する。
　接続部４２は、本実施の形態では、移動規制部４３の一端部と蛇腹部４４の端部とが接合する環状部分である。

　固定部４１２は、ブーツ４の基体２に対する軸方向への移動を規制する。固定部４１２は、進退部材３の前進および後退の際に、係合部４３２とともにブーツ４が進退部材３及び基体２からずれたり外れたりすることを防止する。ブーツ４が固定部４１２によって基体２に固定されることにより、他端側からの水分や異物の侵入を抑制することができる。
　固定部４１２は、ブーツ４において基体２側である他端部側に配置され、ブーツ４の他端部側を基体２に対して固定するとともに、接続部４２を介して移動規制部４３に接続される。
　固定部４１２は、図３に示すように、本実施の形態では、ブーツ４の他端部側において内周面に設けられた凹部であり、基体２に嵌合して径方向で基体２を押圧してブーツ４を固定する。
　固定部４１２は、基体２に密着して気密に固定されており、他端部側からの水及び塵等の障害物の侵入を防止する。
　固定部４１２は、伸縮部４１の蛇腹部４４に、空気溜まり部４５を介して連続する。

　空気溜まり部４５は、移動規制部４３および蛇腹部４４の内部と連通し、且つ、膨らんだり萎んだりできる中空部を有する（図２Ｂ参照）。空気溜まり部４５は、ブーツ４において蛇腹部４４が伸縮する際に、膨らんだり萎んだりすることによって、ブーツ４内における空気の体積変化を吸収する。

＜移動規制部４３＞
　移動規制部４３は、進退部材３の前進および後退の際のブーツ４の移動を規制する。移動規制部４３は、本実施の形態では、進退部材３に沿って延在し、進退部材３によって延在する方向に対して垂直な方向に支持されている。また、移動規制部４３は、進退部材３を収容する収容部分を有する。移動規制部４３は、本実施の形態では、進退部材３の延在方向に沿って一様な径で延在する筒状の収容部となっている。
　移動規制部４３の外径は、伸縮部４１の外径よりも小さい径である。
　移動規制部４３は、進退部材３の前進および後進により伸縮する伸縮部４１に対して先
端側の位置に設けられている。移動規制部４３は、ブーツ４において、伸縮部４１を進退部材３に直接接続させることなく、伸縮部４１を進退部材３の前進および後進に伴い伸縮させる。

　移動規制部４３は、接続部４２とは反対側の端部４３ａに設けられた係合部４３２を有する。係合部４３２は、端部４３ａの周回り方向に設けられ、被係合部３２と密着して、移動規制部４３内への水分や異物の侵入を抑制することができる。
　係合部４３２は、基体２から延出した進退部材３の先端側に設けられた被係合部３２と係合する。
　係合部４３２は、ブーツ４の一端側を基体２に対して固定する。
　係合部４３２は、軸方向への移動を規制する構造であり、本実施の形態では、係合部４３２は、被係合部３２に係合する凹部である。係合部４３２は、進退部材３の被係合部３２に係合することにより、移動規制部４３を、接続部４２とは反対側の端部４３ａにおいて固定する。

　移動規制部４３は、進退部材３が後退した際に、接続部４２が進退部材３の先端側へ相対移動するのを規制する剛性を有する。
　進退部材３が後退すると、延出領域Ｅ（図１参照）は縮小し、進退部材３の先端は軸方向に移動して基体２に接近する。これに伴い、ブーツ４自体には、基体２に固定される固定部４１２側と、進退部材３に係合する係合部４３２側から軸方向に縮小する力が加わる。ブーツ４では、接続部４２と進退部材３の先端側の被係合部３２との間に設けられた移動規制部４３は、剛性により収縮せずに、伸縮部４１が収縮する。伸縮部４１が収縮する際に、伸縮部４１の一端側の接続部４２は、相対的に進退部材３の先端側へ移動しようとするが、進退部材３の先端側の被係合部３２と接続部４２との間の長さは保持されるため、移動することがない。

　移動規制部４３の係合部４３２が進退部材３の被係合部３２に係合することにより、ブーツ４を進退部材３に取り付けている。これにより、本実施の形態のブーツ４は、軸方向にずれることがなく、係合部４３２と被係合部３２との係合状態は強固に保持される。
　移動規制部４３の剛性は、接続部４２の軸方向への移動を抑制するものであれば、多少撓む剛性でもよい。接続部４２の軸方向への移動が抑制されることにより、張出部４１４と被操作部との干渉を抑制することができる。
　移動規制部４３は、本実施の形態では、進退部材３に外挿される筒状体であり、その内周面には、図２Ａに示すように、移動規制部４３の延在方向に延在するリブ等の突条部４３４が周方向で複数並べて形成されている。突条部４３４は、移動規制部４３自体を補強し、移動規制部４３の剛性を確保している。なお、突条部４３４は、移動規制部４３の外周面に、移動規制部４３の延在方向に延在して１本或いは、周方向に複数並べて形成されてもよい。

＜隣接部材５＞
　隣接部材５は、延出領域Ｅにおいて移動規制部４３に覆われる移動規制部領域Ｅ２に隣接し、かつ、進退部材３の軸方向で蛇腹部４４が収縮した際に蛇腹部４４の固定部４１２側の端面と離間して配置される。

　延出領域Ｅは、移動規制部４３に覆われる移動規制部領域Ｅ２とともに、蛇腹部４４に覆われる蛇腹部領域Ｅ１を有する。蛇腹部領域Ｅ１は、基体２に対して進退部材３が前進及び後退しても、延出領域Ｅの進退部材３において、ブーツ４の蛇腹部４４により常時覆われる領域である。蛇腹部領域Ｅ１は、本実施の形態では、蛇腹部４４が進退部材３の延出領域（蛇腹部領域Ｅ１）とともに基体２であるガイドパイプの一部を覆っているため、蛇腹部４４の一部で覆われる。
　移動規制部領域Ｅ２は、蛇腹部領域Ｅ１に隣接する領域である。また、移動規制部領域Ｅ２は、基体２に対して進退部材３が前進及び後退しても、延出領域Ｅの進退部材３において、ブーツ４の移動規制部４３により常時覆われる領域である。なお、移動規制部領域Ｅ２は、移動規制部４３の長さと同様の長さを有する。移動規制部領域Ｅ２は、剛性を有する移動規制部４３により覆われているため、その領域は伸びたり縮んだりすることが無い。

　蛇腹部４４の固定部４１２側の端面は、本実施の形態では、蛇腹部４４と固定部４１２側で隣接する空気溜まり部４５との接続部分に設けられる。
　隣接部材５は、移動規制部領域Ｅ２に隣接しており、伸縮しない移動規制部４３と接触しない位置で、移動規制部４３と隣接する。また、隣接部材５は、進退部材３の軸方向で蛇腹部４４が伸縮する蛇腹部４４の張出部４１４に接触しない。
　すなわち、隣接部材５は、進退部材３が前進および後退しても、進退部材３の前進および後退に追従して伸縮する伸縮部４１において外径が拡縮する蛇腹部４４と接触しない位置に位置している。
　隣接部材５は、例えば、保護構造１がコントロールケーブルアッシーとして自動車に用いられる場合では、保護構造１を構成する構成要素以外の他の部品であってもよく、保護構造１の進退部材３の先端側に取り付けられるレバー等の部品であってもよい。また、隣接部材５は、進退部材３の先端部３４側をシフトレバー等の操作部に接続し、基体２側のコントロールケーブル８に被操作部を接続する場合、隣接部材５は、マニュアルレバー或いは、マニュアルレバーに固定される部材としてもよい。
　隣接部材５は、本実施の形態では、進退部材３が接続し、被操作部の一部であるボールスタッドに連結された、レバー部であり、進退部材の進退移動によって操作される被操作部の一部である。
　隣接部材５であるレバー部は、ブーツ４の他端側に向かって延び、ブーツ４とは間隔を設けた状態で近接した位置に配置されている。隣接部材５は、本実施形態においては、ブーツ４の移動規制部４３に隣接して平行配置されている。隣接部材５は、被操作部の一部を構成し、進退部材３は、隣接部材５に接続される。

＜進退部材の基体に対する前進および後退に伴うブーツの動作＞
　図１に示す保護構造１において、進退部材３は、基体２に対して前進および後退する。進退部材３の前進および後退は、本実施の形態では、図示しない操作部の操作により、コントロールケーブル８を介して行う。
　アイエンド部を後側（後退側）に移動させると、進退部材３は、図４に示すように、基体２のガイドパイプ２０の先端からガイドパイプ２０内に後退する。なお、図４では、便宜上、基体２であるガイドパイプ２０を省略して、ブーツ４と進退部材３との位置関係を示す。破線部分は、後退前の位置、つまり、図１に示す進退部材３およびブーツ４と同様に進退部材３およびブーツ４が前進した後の状態の位置を示す。
　具体的には、進退部材３のロッド部材３０が基体２であるガイドパイプ内に移動すると、ブーツ４は、進退部材３の先端の被係合部３２に係合する係合部４３２を介して、進退部材３の後退側に押圧される。ブーツ４では、移動規制部４３が係合部４３２で進退部材３に係合し、この移動規制部４３は、接続部４２が進退部材３の先端側へ相対移動するのを規制する剛性を有している。これにより、係合部４３２を介して付与される、ブーツ４を係合部４３２とは反対側へと移動させようとする力は、接続部４２を介して接続する伸縮部４１に伝達される。接続部４２と反対側の端部の固定部４１２で基体に固定された伸縮部４１では、伝達される力は、伸縮部４１の蛇腹部４４が収縮することにより吸収され、移動規制部４３は、蛇腹部４４の収縮を伴って、進退部材３とともに軸方向の後退側に移動する。

　このように、ブーツ４では、進退部材３の後退に追従して移動規制部４３がブーツ４の
固定部４１２側に移動し、移動規制部４３の移動した長さの分、伸縮部４１の蛇腹部４４は収縮する。これにより、ブーツ４は、進退部材３の基体に対して後退しても、常に、前記基体２から延出した延出領域Ｅの進退部材３のロッド部材３０を覆う。また、移動規制部４３の収縮が抑制されているので、蛇腹部４４が被操作部から離間した状態を維持することもできる。
　この構成によれば、伸縮しない移動規制部４３の係合部４３２を介して、進退部材３の被係合部３２に係合するため、伸縮部４１の一端を進退部材にカシメにより固定することなしに、ブーツ４が軸方向にずれることがない。また、伸縮部４１の軸方向への収縮の際に、移動規制部４３は軸方向の長さが維持され、伸縮部４１の一端部の接続部４２が、進退部材３の先端側に相対移動しない。これにより、伸縮部４１が、移動規制部４３の係合部４３２に係合する進退部材３の先端側の被係合部３２に近づくことがない。よって、進退部材３の先端の被係合部３２の近傍、つまり、保護構造１を適用したコントロールケーブル８を含むケーブルの配索経路近傍で、伸縮部４１の嵩高い蛇腹部４４の張出部４１４が他の部材の邪魔になることがない。

　また、ブーツ４には、ロッド部材３０が後退方向へ移動した際に、接続部４２または移動規制部４３において、ガイドパイプ２０の前進方向側端部に当たる位置に、移動規制部材がカシメにより設けられていないため、移動規制部材による進退部材３の進退移動の阻害を抑制することができる。
　更に、ブーツ４の接続部４２が軸方向において隣接部材５の後退方向側端部の位置と同じ位置又は後退方向側端部の位置よりも後退方向側に位置し、移動規制部４３の後退方向側端部とガイドパイプ２０との間の距離が、進退部材３の進退移動可能距離よりも短い場合、例えばブーツ４の移動規制部４３がガイドパイプ２０の前進方向側端部と当接して拡径し当接が解除されるとロッド部材３０の外周上の位置に戻って伸縮部４１の移動の抑制を規制する弾性を有し、移動規制部４３がロッド部材３０に対する移動を規制する剛性を有するため、移動規制部材を強固にかしめメた場合にガイドパイプ２０と衝突したり、移動規制部材のカシメが不十分であった場合に軸方向への接続部４２の移動によって隣接部材５と伸縮部４１とが接触したりしないようにすることができる。

　また、図示しない操作部の操作により、アイエンド部を前側に移動させると、図４に示す進退部材３は、基体２のガイドパイプの先端に対して前進し、延出領域Ｅが長くなる。このとき、ブーツ４では、進退部材３の移動に追従して、移動規制部４３は移動するとともに、伸縮部４１は伸長する。これにより、ブーツ４は、進退部材３が基体２に対して前進しても、常に、前記基体２から延出した延出領域Ｅの進退部材３のロッド部材３０を覆う。

　また、伸縮部４１の軸方向へ延出する際に、移動規制部４３は軸方向の長さが維持された状態で進退部材３の前進に追従して移動する。このとき、接続部４２は進退部材３の先端側に相対移動しないので、伸縮部４１が、進退部材３の先端側の被係合部３２に近づくことがない。よって、進退部材３の先端の被係合部３２の近傍、つまり、保護構造１を適用したコントロールケーブルの配索経路近傍で、伸縮部４１の嵩高い蛇腹部４４の張出部４１４が他の部材の邪魔になることがない。

　本実施の形態では、一端にロッド部材３０が固定されたコントロールケーブル８において、レバー部材である隣接部材５が延出領域Ｅに隣接して配置されている。
　従来、基体から進退部材が前進および後退する際に、基体から延出する進退部材をブーツで覆う構成では、上述したように、ブーツに移動規制部は無く、ブーツの蛇腹部の一端をロッド部材に直接かしめて固定されることが一般的である。このような従来構成では、蛇腹部が収縮した際にレバー部材に蛇腹部の端面が接触して押されることでブーツの一端がロッド部材から外れてしまったり、蛇腹部とレバー部材との接触により蛇腹部が破れて
しまったりするおそれがある。

　これに対して、本実施の形態では、移動規制部領域Ｅ２に隣接し、かつ、進退部材３の軸方向で蛇腹部４４が収縮した際に、蛇腹部４４の固定部４１２側の端面と離間して配置され、且つ、進退部材３の先端で連結される隣接部材５を有する。
　このように、ブーツ４と隣接部材５との接触を防ぐことができ、従来構造と異なり、上記の虞を解消できる。

＜変形例＞
　図５に示す保護構造１Ａのブーツ４Ａでは、移動規制部４３の係合部４３２側の端部が、径方向に突出する突出部４３５を有する。なお、ブーツ４Ａ及び進退部材３の構成は、図１に示す実施の形態の保護構造１におけるブーツ４及び進退部材３の構成において、突出部４３５の構成のみ異なり、その他の構成は同様の構成である。よって、図５では、図１と同様の構成要素については同名称、同符号を付して説明は省略する。
　突出部４３５は、平板状をなしており、係合部４３２側の端部の外周から互いに逆向きに突出して設けられている。
　この構成によれば、係合部４３２を、進退部材３の被係合部３２と係合させる際に、突出部４３５を掴み、係合部４３２を被係合部３２に容易に係合させることができる。

　以上、本発明の実施の形態について説明した。なお、以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されない。つまり、上記構造の構成や各部分の形状についての説明は一例であり、本発明の範囲においてこれらの例に対する様々な変更や追加が可能であることは明らかである。

　本発明に係る保護構造は、かしめによらずブーツを固定できる効果を有し、特に、基体に対して前進および後退する進退部材を有する構造に用いるものとして有用である。

　１、１Ａ　保護構造
　３　進退部材
　４、４Ａ　ブーツ
　５　隣接部材
　８　コントロールケーブル
　２０　ガイドパイプ
　３０　ロッド部材
　３２　被係合部
　３４　先端部
　４１　伸縮部
　４２　接続部
　４３　移動規制部
　４３ａ　端部
　４４　蛇腹部
　４５　空気溜まり部
　８１　インナーケーブル
　８２　アウターケーシング
　９１、９３　固定部
　４１２　固定部
　４１４　張出部
　４３２　係合部
　４３４　突条部
　４３５　突出部
　Ｅ　延出領域
　Ｅ１　蛇腹部領域
　Ｅ２　移動規制部領域

Claims

　基体と、
　前記基体に対して前進および後退する進退部材と、
　前記基体から延出した延出領域の前記進退部材を覆うブーツと、
　を備えた保護構造であって、
　前記ブーツは、伸縮部と、前記伸縮部の一端側に設けられた接続部を介して接続する移動規規制部とを有し、
　前記伸縮部は、前記接続部とは反対側の端部に設けられた固定部を有し、
　前記移動規制部は、前記接続部とは反対側の端部に設けられた係合部を有し、
　前記係合部は、前記基体から延出した前記進退部材の先端側に設けられた被係合部と係合し、
　前記固定部は、前記基体に固定され、
　前記伸縮部は、前記進退部材の軸方向に対して垂直な方向に張り出した張出部を有し、
　前記移動規制部は、
　　前記進退部材が後退した際に、前記接続部が前記進退部材の先端側へ相対移動するのを規制する剛性を有する、
　保護構造。
　前記移動規制部の外径は、前記伸縮部の外径よりも小さい、
　請求項１に記載の保護構造。
　前記伸縮部が、蛇腹部を有し
　前記進退部材が、ロッド部材を含み、
　前記基体が、インナーケーブルまたは前記ロッド部材が挿通される外被の先端であり、
　前記延出領域が、前記外被の先端とこの先端から露出する前記ロッド部材の一端との間である、
　請求項１または請求項２に記載の保護構造。
　前記延出領域は、
　　前記蛇腹部に覆われる蛇腹部領域と、
　　前記移動規制部に覆われる移動規制部領域と、を有し、
　前記移動規制部領域に隣接し、かつ、前記進退部材の軸方向で前記蛇腹部が収縮した際に前記蛇腹部の固定部側の端面と離間して配置される隣接部材を有する、請求項３に記載の保護構造。
　前記移動規制部の係合部側の端部が、径方向に突出する突出部を有する、請求項１から請求項４に記載の保護構造。