WO2018123011A1

WO2018123011A1 - 作業車両及び作業車両の可動部の位置調整方法

Info

Publication number: WO2018123011A1
Application number: PCT/JP2016/089078
Authority: WO
Inventors: 博史宮本
Original assignee: 株式会社小松製作所
Priority date: 2016-12-28
Filing date: 2016-12-28
Publication date: 2018-07-05
Also published as: JPWO2018123011A1; EP3366899A1; CN108513597B; EP3366899B1; CN108513597A; US20180266303A1; JP6408701B1; EP3366899A4; US10480390B2

Abstract

閉位置と開位置との間で車両本体（１１０）に回動可能に支持された送風ユニット（７０）と、送風ユニット（７０）が閉位置にある際に、送風ユニット（７０）の上下方向位置を調整する位置調整部（２００）と、を備え、位置調整部（２００）は、車両本体（１１０）に設けられて、上下に貫通する第一貫通部（２１４）を有する第一プレート（２１０）と、送風ユニット（７０）に設けられて、上下に貫通するとともに送風ユニット（７０）が閉位置にある際に第一貫通部（２１４に下方から連通する第二貫通部（２３４）を有する第二プレート（２３０）と、第一貫通部（２１４）及び第二貫通部（２３４）を挿通する軸部（２４１）を有する調整ボルト（２４０）と、を有する。

Description

作業車両及び作業車両の可動部の位置調整方法

　本発明は、作業車両に関する。

　特許文献１には、作業車両の一例として、ラジエータ等を有する冷却ユニットと、該冷却ユニットに送風する送風ユニットとを備えたホイールローダが開示されている。
このホイールローダの送風ユニットは、冷却ユニットに後方側から対向する閉位置と冷却ユニットを外部に露出させる閉位置との間で回動するように、該送風ユニットの一端が車両本体に回動可能に支持されている。

特開２００４－１４２５９７号公報

　上記のような作業車両の送風ユニットは一端が片持ち状に支持されている。そのため、送風ユニットの自重によって特に該送風ユニットの他端側の部分が当初意図した位置よりも下がってしまう場合がある。この場合、重量物である送風ユニットの他端側を上方に引き上げる位置調整を行う必要があり、作業が煩雑となってしまっていた。また、当該問題は送風ユニットのみならず、作業車両における他の可動部でも同様に生じていた。
　本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、可動部の位置調整を容易に行うことができる作業車両及び作業車両の可動部の位置調整方法を提供することを目的とする。

本発明の第一の態様に係る作業車両は、内外を連通させる開口部を有する車両本体と、前記開口部を閉塞する閉位置と前記開口部を開放させる開位置との間で、前記車両本体に回動可能に支持された可動部と、前記可動部が前記閉位置にある際に、前記可動部の上下方向位置を調整する位置調整部と、を備え、前記位置調整部は、前記車両本体に設けられて、上下に貫通する第一貫通部を有する第一プレートと、前記可動部に設けられて、上下に貫通するとともに前記可動部が閉位置にある際に前記第一貫通部に下方から連通する第二貫通部を有する第二プレートと、前記第一貫通部及び前記第二貫通部を挿通する軸部を有する調整ボルトと、を有する

　このような構成の作業車両によれば、第一貫通部及び第二貫通部を挿通する調整ボルトによって第一プレート及び第二プレートを締結することで、第二プレートを第一プレートに近接させることができる。これによって、可動部を上方に引き上げることができる。

　本発明の第二態様に係る作業車両の可動部の位置調整方法は、内外を連通させる開口部を有する車両本体と、前記開口部を閉塞する閉位置と前記開口部を開放させる開位置との間で、前記車両本体に回動可能に支持された可動部と、前記可動部が前記閉位置にある際に、前記可動部の上下方向位置を調整する位置調整部と、を備え、前記位置調整部が、前記車両本体に設けられて、上下に貫通する第一貫通部を有する第一プレートと、前記可動部に設けられて、上下に貫通するとともに前記可動部が閉位置にある際に前記第一貫通部に下方から連通する第二貫通部を有する第二プレートと、前記第一貫通部及び前記第二貫通部を挿通する軸部を有する調整ボルトと、を有する作業車両の位置調整方法であって、前記可動部を回動させることで、前記第二貫通部の水平方向位置を第一貫通部の水平方向位置と一致させる位置合わせ工程と、該位置合わせ工程の後に、前記第一貫通部及び前記第二貫通部に調整ボルトの軸部を挿入して締結することで、前記第一プレートに前記第二プレートを近接させる引き上げ工程と、を含む。

このような可動部の位置調整方法によれは、引き上げ工程で第一プレートに第二プレートを近接させることで、可動部を容易に上方に引き上げることができる。

　上記態様の作業車両及び作業車両の可動部の位置調整方法によれば、可動部の位置調整を容易に行うことができる。

本発明の第一実施形態に係る作業車両としてのホイールローダの側面図である。本発明の第一実施形態に係る作業車両としてのホイールローダの車両リア部の側面図である。本発明の第一実施形態に係る作業車両としてのホイールローダの車両リア部の斜視図である。本発明の第一実施形態に係る作業車両としてのホイールローダの車両リア部を縦断面とした冷却ユニット及び閉位置の送風ユニットの側面図である。送風ユニット及び該送風ユニットを支持する支持フレームを後方かつ上方から見た斜視図である。本発明の第一実施形態に係る作業車両としてのホイールローダの車両リア部を縦断面とした冷却ユニット及び開位置の送風ユニットの側面図である。本発明の第一実施形態に係る位置調整部の斜視図である。本発明の第一実施形態に係る位置調整部の分解斜視図である。本発明の第一実施形態に係る位置調整部の引き上げ工程前の状態を、後方側から見た図である。本発明の第一実施形態に係る位置調整部の引き上げ工程後の状態を、後方側から見た図である。本発明の第一実施形態において、第二プレートに調整ボルトが挿入された状態で送風ユニットが回動する様子を説明する斜視図である。本発明の第一実施形態に係る作業車両の可動部の位置調整方法の手順を示すフローチャートである。本発明の第二実施形態に係る位置調整部の引き上げ工程後の状態を、後方側から見た図である。

＜第一実施形態＞
　以下、本発明に係る作業車両の一例であるホイールローダの実施形態について、図１～図１０を参照して詳細に説明する。

＜作業車両＞
図１及び図２に示すように、作業車両としてのホイールローダ１００は、車両本体１１０、作業機１８０、エンジン４７、冷却ユニット５０、固定シュラウド６０及び送風ユニット（可動部）７０を備えている。
ホイールローダ１００は、図５及び図７に示すように、送風ユニット７０を車両本体１１０に対して固定するための固定ボルト１９０と、送風ユニット７０の車両本体１１０に対する位置調整可能な位置調整部２００を備えている。

　車両本体１１０は、図１に示すように、車両フロント部１２０、車両リア部１３０、前輪１４０、後輪１５０、キャブ１６０及び燃料タンク１７０を有する。車両フロント部１２０は車両本体１１０の前部を構成しており、車両リア部１３０は車両本体１１０の後部を構成している。車両フロント部１２０及び車両リア部１３０は、互いに水平方向に回動可能に連結されている。
　前輪１４０は車両フロント部１２０に設けられており、後輪１５０は車両リア部１３０に設けられている。前輪１４０及び後輪１５０が駆動されることで、車両本体１１０が前進、後進する。

　キャブ１６０は、車両リア部１３０の前方側の部分に上方に突出するように設けられている。キャブ１６０の内部に操縦席が設けられている。
燃料タンク１７０は、車両リア部１３０の下部に設けられており、燃料が貯留されている。
以下では、車両本体１１０の前後方向、前方、後方及び幅方向を単に「前後方向」、「前方」、「後方」及び「幅方向」と称する場合がある。なお、幅方向は、「右側」あるいは「左側」と称する場合もある。また、幅方向の中心に向かって、「内側」と称し、幅方向の中心から右側あるいは左側に向かって「外側」と称する場合がある。

　作業機１８０は、車両本体１１０の車両フロント部１２０の前方側の部分に設けられている。作業機１８０は、ブーム１８１及びバケット１８２を有している。ブーム１８１は、車両本体１１０に回動可能に連結されている。また、バケット１８２は、リンク１８５を介して、ベルクランク１８６の一端に連結されている。ベルクランク１８６の他端には、バケット駆動用シリンダ１８４が連結されている。バケット１８２はブーム１８１の先端に回動可能に連結されている。ブーム１８１は、ブーム駆動用シリンダ１８３で駆動され、バケット１８２は、バケット駆動用シリンダ１８４で駆動される。これらブーム駆動用シリンダ１８３及びバケット駆動用シリンダ１８４は油圧回路を介して供給される油圧によって駆動される。

＜車両リア部＞
以下、車両リア部１３０について、図２～図４を参照しながらさらに詳細に説明する。
車両リア部１３０は、リアフレーム１０、バンパー２０、外装カバー３０、支持フレーム４０及びグリル４６を有している。
リアフレーム１０は、前後方向に延びるバー状をなしており、幅方向に間隔をあけて互いに平行に一対が設けられている。

＜バンパー＞
　バンパー２０は、一対のリアフレーム１０の後方でこれら一対のリアフレーム１０にわたって幅方向に延びるように設けられている。バンパー２０は一対のリアフレーム１０に直接的に固定されていてもよいし、一対のリアフレーム１０にわたって設けられたエンドプレート等の他の部材を介して固定されていてもよい。

　バンパー２０は、図３に示すように、幅方向中央の部分がバンパー中央部２１とされ、該バンパー中央部２１の左右両側の部分がバンパー側部２２とされている。
　バンパー中央部２１は、一対のリアフレーム１０の幅方向外側の間隔にわたって延びている。このバンパー中央部２１の上面２１ａは、水平面に平行に幅方向に延びており、当該上面２１ａ上が幅方向に延びて作業者が通行可能な後部通路Ｒ１とされている。本実施形態では、後部通路Ｒ１となるバンパー中央部２１の上面２１ａには、樹脂等から形成された滑り止めマット２４ａが車両本体１１０の幅方向にわたって設けられている。滑り止めマット２４ａは、表面に凹凸が施された金属製の鋼板であってもよい。

　バンパー側部２２は、リアフレーム１０の幅方向外側よりもさらに幅方向外側の位置であって、バンパー中央部２１の両端側に設けられている。バンパー側部２２の上面２２ａは、水平面に平行とされており、バンパー中央部２１よりも一段高く配置されている。これにより、バンパー側部２２の上面２２ａとバンパー中央部２１の上面２１ａとの間には段差が形成されている。
　バンパー側部２２の前方側、かつ、リアフレーム１０の幅方向外側には、例えばバッテリ等の機器が収容可能な収容部２３が設けられている。収容部２３は後方側がバンパー側部２２に接しており、幅方向内側がリアフレーム１０に接している。収容部２３はリアフレーム１０に直接的に固定されていてもよいし、上記エンドプレートを介してリアフレーム１０に固定されていてもよい。

収容部２３の上面２３ａは、バンパー側部２２の上面２２ａと同一の高さで、水平面に平行に前後方向に延びている。収容部２３の上面２３ａ上とバンパー側部２２の上面２２ａ上が、これらバンパー側部２２と収容部２３とに前後方向にわたって延びる側部通路Ｒ２とされている。側部通路Ｒ２となる、バンパー側部２２の上面２２ａと収容部２３の上面２３ａには、後部通路Ｒ１と同様に、滑り止めマット２４ｂが設けられている。

＜外装カバー＞
外装カバー３０は、図２～図４に示すように、一対の側部カバー３１及び上部カバー３２を有している。
一対の側部カバー３１は、それぞれ上下方向及び前後方向に延びるパネル状をなしており、幅方向に間隔をあけて設けられている。これら一対の側部カバー３１は、それぞれ幅方向で対応する一対のリアフレーム１０に下端が固定されている。
上部カバー３２は、前後方向及び水平方向に延びるパネル状をなしている。上部カバー３２の幅方向両端は、一対の側部カバー３１の上端に前後方向にわたって接続されている。

一対の側部カバー３１及び上部カバー３２からなる外装カバー３０によって、該外装カバー３０の内側に内部空間が形成されている。この内部空間の前方側の部分はエンジン室Ｅとされ、後方側の部分は熱交換室Ｔとされている。エンジン室Ｅと熱交換室Ｔとの間には、これらエンジン室Ｅと熱交換室Ｔとの間で空気が流通可能な程度に仕切り板が設けられていてもよいし、仕切り板を設けずにエンジン室Ｅと熱交換室Ｔとが連通されていてもよい。側部カバー３１におけるエンジン室Ｅに対応する箇所には、エンジン室Ｅの内部と外装カバー３０との外部との間で空気が流通可能な通気部３３が形成されている。

外装カバー３０の後端には、内外を貫通して熱交換室Ｔを後方側に向かって露出させる開口部３５が形成されている。開口部３５は、側部カバー３１における上下方向に延びる後端を側縁部３６とし、上部カバー３２における幅方向に延びる後端を上縁部３７とし、さらにバンパー中央部２１の上面２１ａにおける幅方向に延びる前端を下縁部３８とした四角形状をなしている。即ち、外装カバー３０の後端及びバンパー２０の前端によって、開口部３５が区画形成されている。後部通路Ｒ１は、開口部３５の後方側であって、該開口部３５の下縁部３８に沿って幅方向に延びるように位置している。

＜支持フレーム＞
支持フレーム４０は、図４～図６に示すように、外装カバー３０の内側である熱交換室Ｔの後方側の位置、即ち、開口部３５側の位置に設けられた門型の部材である。支持フレーム４０は、送風ユニット７０を支持する役割を有している。支持フレーム４０は、図５に示すように、一対の側部フレーム４１、上部フレーム４２、回動用ブラケット４３、固定用ブラケット４４を有する。

側部フレーム４１は、上下方向に延びるバー状をなしており、幅方向に間隔をあけて一対が設けられている。一対の側部フレーム４１は、下端がそれぞれ幅方向で対応するリアフレーム１０にそれぞれ固定されている。一対の側部フレーム４１は、対応する側部カバー３１の内面に沿って配置されている。側部フレーム４１の幅方向外側に側部カバー３１が固定されていてもよい。一対の側部フレーム４１は、開口部３５の側縁部３６に近接するように該側縁部３６に沿って設けられている。

上部フレーム４２は、一対のリアフレーム１０の上端同士を接続するようにこれら一対のリアフレーム１０にわたって幅方向に延びるバー状をなしている。この上部フレーム４２の上面に外装カバー３０の上部カバー３２が固定されていてもよい。上部フレーム４２は開口部３５の上縁部３７に近接するように該上縁部３７に沿って設けられている。

回動用ブラケット４３は、送風ユニット７０を回動可能に支持する役割を有する。回動用ブラケット４３は、一対の側部フレーム４１のうちの一方（幅方向右側の側部フレーム４１）に一体に設けられている。回動用ブラケット４３は、側部フレーム４１における幅方向内側を向く面からさらに幅方向内側に突出するように設けられている。回動用ブラケット４３は、上下方向、即ち、側部フレーム４１の延在方向に間隔をあけて複数（本実施形態では２つ）が設けられている。回動用ブラケット４３には、上下方向に延びる回動軸線Ｏ１に沿って延びる孔部が形成されている。複数の回動用ブラケット４３の各孔部は、同一の回動軸線Ｏ１上に位置している。

回動用ブラケット４３が熱交換室Ｔ内における幅方向一方側に配置されているため、該回動用ブラケット４３を通過する回動軸線Ｏ１は、熱交換室Ｔ内における幅方向一方側に配置されている。回動軸線Ｏ１は、開口部３５の幅方向一方側の側縁部３６に沿うように上下方向に延びている。

固定用ブラケット４４は、該固定用ブラケット４４に対して着脱可能に固定される送風ユニット７０を、固定状態で支持する役割を有する。固定用ブラケット４４は一対の側部フレーム４１のうちの他方（幅方向左側の側部フレーム４１）に一体に設けられている。固定用ブラケット４４は、側部フレーム４１における幅方向内側を向く面からさらに内側に突出するように設けられている。

固定用ブラケット４４における後方側を向く面は、当接面４４ａとされている。当接面４４ａは、幅方向及び上下方向に延びる平面状をなしている。
固定用ブラケット４４における当接面４４ａの上端に接続されて該当接面４４ａの上端から前方に向かって延びる面は、上端面４４ｂとされている。上端面４４ｂは、水平面に平行に延びている。

＜グリル＞
グリル４６は、図３、図４及び図６に示すように、支持フレーム４０に回動可能に支持されている。グリル４６は、グリル４６は、複数のバー状の部材からなる格子状をなしており、その外形は開口部３５を前後方向から見た形状に対応して四角形状をなしている。グリル４６は、車両リア部１３０の開口部３５を閉塞する閉塞状態と、該開口部を開放する開放状態との間で回動可能とされている。グリル４６は、開口部３５を閉塞した状態で、前方側に向かって前傾した姿勢となるように設けられている。グリル４６は、一対の側部フレーム４１における一方（幅方向右側の側部フレーム４１）に対して、上下方向に延びるとともに前傾した軸線回りに回動可能となるように支持されている。

＜エンジン＞
エンジン４７は、図２に示すように、外装カバー３０の内側空間の前方側の部分であるエンジン室Ｅに設けられている。エンジン４７は、燃料タンク１７０から供給される燃料によって駆動される。エンジン４７の駆動力はシャフト等を介して前輪１４０及び後輪１５０に伝達され、これによってホイールローダ１００が前進又は後進する。エンジン４７の駆動力は、油圧ポンプ（図示省略）に伝達される。油圧ポンプで加圧された作動油は、油圧回路を介してブーム駆動用シリンダ１８３やバケット駆動用シリンダ１８４等の油圧駆動機器に供給される。エンジン４７は、水冷式の冷却構造を有している。

＜冷却ユニット＞
冷却ユニット５０は、図２及び図４に示すように、外装カバー３０内の熱交換室Ｔに設けられている。冷却ユニット５０は、上述した開口部３５や支持フレーム４０よりも前方側に設けられている。
冷却ユニット５０は、ラジエータ、オイルクーラ、アフタクーラ等の冷却機器と、これら冷却機器を収容する外枠フレームとを備えている。外枠フレームは、前後から見た形状が四角形状をなす直方体状をなしている。冷却ユニット５０における後方を向く背面５１には、ラジエータにおける多数の放熱チューブによって形成される面が露出している。

＜固定シュラウド＞
　固定シュラウド６０は、図２、図４及び図６に示すように、車両リア部１３０の熱交換室Ｔ内における冷却ユニット５０の後方に設けられた部材である。固定シュラウド６０は、前後方向に延びる基準軸線Ｏ２を囲う環状の部材である。基準軸線Ｏ２は、冷却ユニット５０の背面５１の中央を通過する前後方向に延びる軸線である。固定シュラウド６０は、冷却ユニット５０に前方側から流入して冷却ユニット５０の背面５１から後方側に流れ出す空気を、さらに後方に向かって案内する役割を有する。固定シュラウド６０は、後方側に向かうにしたがって内周面が縮径している。これにより、固定シュラウド６０の内側の流路は、後方側に向かうに従って基準軸線Ｏ２に直交する流路断面積が小さくなる。

＜送風ユニット＞
　送風ユニット７０は、図２、図４～図６に示すように、固定シュラウド６０の後方側で車両リア部１３０に対して回動軸線Ｏ１回りに回動可能に支持されている。送風ユニット７０は、冷却ユニット５０を冷却するための空気を該冷却ユニット５０に供給する役割を有する。送風ユニット７０は、冷却ユニット５０の背面５１に後方から対向する閉位置と、冷却ユニットの背面を露出させる開位置との間で回動可能に支持されている。
送風ユニット７０は、可動ブラケット７１、ファン８０、ガード部８５及び可動シュラウド９０を有する。

＜可動ブラケット＞
　可動ブラケット７１は、車両リア部１３０に対して回動可能に支持されており、ファン８０、可動シュラウド９０及びガード部８５を支持する役割を有する。可動ブラケット７１は、図５に示すように、回動連結部７２、ブラケット本体７３、及び固定連結部７６を有している。

　回動連結部７２は、図５及び図６に示すように、支持フレーム４０の回動用ブラケット４３に回動軸線Ｏ１回りに回動可能に連結されている。可動ブラケット７１は、一対の回動用ブラケット４３に対応して、一対の回動連結部７２を有している。回動連結部７２は、例えば回動用ブラケット４３の回動軸線Ｏ１に沿う孔部に挿入されたピンを介して回動用ブラケット４３に回動可能に連結されている。

ブラケット本体７３は、その一端に上記回動連結部７２が一体に固定されている。ブラケット本体７３は、回動連結部７２に固定された一端を基端として、軸線Ｏ１を中心とした仮想円の径方向内側から外側に向かって延びている。ブラケット本体７３が、図４及び図５に示すように、幅方向に延びている状態が、送風ユニット７０の閉位置である。一方、図６に示すように、ブラケット本体７３が閉位置から回動軸線Ｏ１回りに車両リア部１３０の後方に向かって回動することで、ブラケット本体７３が回動軸線Ｏ１から斜め後方に延びている状態が、送風ユニット７０の開位置である。
以下では、軸線Ｏ１回りの回動方向のうち、閉位置から開位置に向かう方向（送風ユニット７０を閉位置から開位置に向かって回動させる方向）を回動方向外側Ｄ１と称し、開位置から閉位置に向かう方向（送風ユニット７０を開位置から閉位置に向かって回動させる方向）を回動方向内側Ｄ２と称する。

　固定連結部７６は、ブラケット本体７３の他端に設けられている。固定連結部７６は、図５に示すように、送風ユニット７０が閉位置にある際に、固定用ブラケット４４に対して着脱可能に固定される。

固定連結部７６における回動方向外側Ｄ１を向く面、即ち、送風ユニット７０が閉位置にある際に後方側を向く面は、外側面７６ａとされている。固定連結部７６における回動方向内側Ｄ２を向く面は、内側面７６ｂ（図６参照）とされている。送風ユニット７０が閉位置にある際には、固定連結部７６の内側面７６ｂが、固定用ブラケット４４の当接面４４ａに対向して当接する。当接面４４ａ及び内側面７６はそれぞれ鉛直面に沿って延びる平面状をなしており、互いに面接触する。

固定連結部７６は、軸線Ｏ１を中心とした仮想円の径方向外側を向く平面状をなす外端面７６ｃを有する。外端面７６ｃは、回動方向内側Ｄ２の端部で、外側面７６ａにおける上記仮想円の径方向内側の端部と接続されている。

　なお、本実施形態では、ブラケット本体７３は、図５に示すように、閉位置時に、幅方向左右に離間して配置されて上下方向に延びる一対の縦枠部７４と、これら一対の縦枠部７４を幅方向に連結し上下に離間して配置された一対の横枠部７５とを有する枠状をなしている。回動連結部７２は一対の縦枠部７４の一方に設けられており、固定連結部７６は他方に設けられている。

＜ファン＞
　ファン８０は、図４及び図６に示すように、油圧モータ８１及びファン本体８２を有する。
　油圧モータ８１は、上記油圧ポンプから油圧ケーブル（図示省略）を介して供給される作動油よって回転駆動されるモータである。油圧モータ８１は、ブラケット本体７３に固定されている。油圧モータ８１は、可動ブラケット７１のブラケット本体７３における一対の横枠部７５の間に固定されている。油圧モータ８１は、ブラケット本体７３から前方に向かって突出するように配置されている。油圧モータ８１は、作動油が供給された際に駆動軸が回転するように構成されている。送風ユニット７０が閉位置にある場合には、油圧モータ８１の駆動軸の軸線は、基準軸線Ｏ２に一致している。

ファン本体８２は、油圧モータ８１によって回転駆動されることで送風を行う。ファン本体８２は、図６に示すように、油圧モータ８１の駆動軸に取り付けられた取付部８３と、該取付部８３の外周部に固定されて駆動軸の周方向に間隔をあけて複数枚（本実施形態では６枚）が設けられた羽根８４とを有する。
送風ユニット７０が閉位置の場合には、送風ユニット７０のファン８０は冷却ユニット５０の背面５１に後方側から対向する。この状態で油圧モータ８１が駆動されると、ファン本体８２が回転することにより、前方側から後方側に向かっての空気の流れが生じる。
＜ガード部＞

ガード部８５は、図４、図５及び図６に示すように、ファン８０を後方側及び該ファン８０の径方向外側から覆う部材である。ガード部８５は上記グリル４６部同様、複数のバー状の部材からなる格子状をなしており、可動ブラケット７１に一体に固定されている。ガード部８５により、空気の流れが阻害されることを回避しつつ、ファン８０回転時の安全性が担保されている。

＜可動シュラウド＞
　可動シュラウド９０は、図４～図６に示すように、送風ユニット７０にファン８０と一体に設けられている。可動シュラウド９０は、ファン８０のファン本体８２を外周側から覆う筒状をなしており、ファン本体８２に対して空気を導く役割を有している。

　送風ユニット７０が閉位置にある際には、該送風ユニット７０は冷却ユニット５０の背面５１に対して後方側から対向した状態にある。この際、固定シュラウド６０の後方側に可動シュラウド９０が接続されることで、固定シュラウド６０及び可動シュラウド９０の内側に冷却ユニット５０の背面５１から後方に向かって連続する流路が形成される。このように本実施形態では、ファン８０に空気を導くシュラウドを固定シュラウド６０と可動シュラウド９０とからなる分割構造としている。

　送風ユニット７０は、閉位置から開位置への回動に際して、車両リア部１３０の開口部３５の側縁部３６、上縁部３７及び下縁部３８に干渉しない。即ち、送風ユニット７０を構成するファン８０や可動シュラウド９０、ガード部８５は、開口部３５を通過できる大きさとされている。

＜固定ボルト＞
固定ボルト１９０は、図５、図７～図９に示すように、送風ユニット７０側、車両本体１１０側に形成された孔部を介して送風ユニット７０を車両本体１１０に対して固定する役割を有する。
図９及び図１０に示すように、送風ユニット７０の可動ブラケット７１における固定連結部７６には、送風ユニット７０側の孔部として、外側面７６ａと内側面７６ｂとにわたって貫通する可動側貫通孔１９１が形成されている。可動側貫通孔１９１は、送風ユニット７０が閉位置にある際に、固定連結部７６を前後方向に貫通している。可動側貫通孔１９１は、上下方向に間隔をあけて複数（本実施形態では３つ）が形成されている。

図９及び図１０に示すように、支持フレーム４０の固定用ブラケット４４の当接面４４ａには、車両本体１１０側に形成された孔部として、当接面４４ａから前方に向かって凹む車両側固定孔１９２が形成されている。車両側固定孔１９２は、送風ユニット７０が閉位置にある場合に可動側貫通孔１９１に対応する位置に形成されている。送風ユニット７０が閉位置にて適切な上下方向位置にある際には、図１０に示すように、各車両側固定孔１９２は各可動側貫通孔１９１に対して孔の中心軸が同軸上に配置された連通状態となる。車両側固定孔１９２は、内周面に雌ネジが形成されており、固定ボルト１９０の雄ネジと締結可能とされている。

固定ボルト１９０は、送風ユニット７０が閉位置にある際に、回動方向外側Ｄ１から回動方向内側Ｄ２に向かって可動側貫通孔１９１を挿通して車両側固定孔１９２に挿入される。この際、車両側固定孔１９２に固定ボルト１９０が締結される。車両側固定孔１９２は、固定ボルト１９０が締結した際に固定ボルト頭部が固定連結部７６の外側面７６ａに当接可能な寸法に形成されている。これによって、固定ボルト１９０が車両側固定孔１９２に締結した状態で、固定連結部７６の内側面７６ｂが固定用ブラケット４４の当接面４４ａに面接触するように当接する。

＜位置調整部＞
次に、位置調整部２００について説明する。位置調整部２００は、閉状態の送風ユニット７０を上方に向かって引き上げることで該送風ユニット７０の上下方向位置を調整する役割を有する。
位置調整部２００は、図７～図１０に示すように、第一プレート２１０、位置決めボルト２２０、第二プレート２３０、調整ボルト２４０を有している。

＜第一プレート＞
第一プレート２１０は、上面２１１、下面２１２及び側面２１３を有する板状をなしている。
上面２１１及び下面２１２は水平面に平行に配置されており、上方から見た平面視にて互いに同一の形状をなしている。上面２１１及び下面２１２の対向方向である上下方向が、板状をなす第一プレート２１０の厚さ方向とされている。側面２１３は上下方向に延びており上面２１１と下面２３２との外周を全周にわたって接続している。

第一プレート２１０には上面２１１と下面２１２とにわたって厚さ方向に貫通する第一貫通部２１４が形成されている。第一プレート２１０の第一貫通部２１４は、側面２１３の一部から水平方向に向かって上下方向にわたって開口している。即ち、第一貫通部２１４は、側面２１３の一部が凹むようにして形成された溝状をなしており、上方から見た平面視でＵ字状の切欠き形状をなしている。第一貫通部２１４は、上下方向にわたって一様な形状をなしている。

第一プレート２１０には、図８に示すように、複数（本実施形態では２つ）の長孔２１５が形成されている。該長孔２１５は、第一貫通部２１４と同様、上面２１１と下面２１２とにわたって厚さ方向に貫通している。長孔２１５は第一貫通部２１４が側面２１３から凹む方向に、該第一貫通部２１４と離間して形成されている。複数の長孔２１５は、第一貫通部２１４が側面２１３から凹む方向に、互いに間隔をあけて配置されている。長孔２１５は、第一貫通部２１４が側面２１３から凹む方向を短手方向とすると、該短手方向に直交する水平方向を長手方向となる。長孔２１５は上下方向にわたって一様な形状をなしている。

本実施形態の第一プレート２１０の平面視形状は、第一貫通部２１４、複数の長孔２１５の配列方向（第一貫通部２１４が側面２１３から凹む方向）を長手方向とし、当該長手方向に直交する方向を短手方向としている。よって、第一貫通部２１４は、第一プレート２１０の長手方向の一端に、該一端から凹むように形成されている。長孔２１５は、第一プレート２１０における第一貫通部２１４よりも長手方向の他端側に形成されている。

＜位置決めボルト＞
位置決めボルト２２０は、第一プレート２１０を車両本体１１０側に固定する役割を有する。位置決めボルト２２０は、図８に示すように、第一プレート２１０の長孔２１５を上方から貫通する軸部２２１を有している。位置決めボルト２２０の軸部２２１の直径は、長孔２１５の短手方向の寸法よりも小さい。よって、長孔２１５を貫通する位置決めボルト２２０の軸部２２１は、長孔２１５の長手方向のみならず短手方向にもある程度移動可能とされている。
位置決めボルト２２０の頭部２２２の直径は、長孔２１５の短手方向の寸法よりも大きい。したがって、長孔２１５を位置決めボルト２２０が貫通した状態では、位置決めボルト２２０の頭部２２２は第一プレート２１０の上面２１１に当接する。

　位置決めボルト２２０の軸部２２１は、第一プレート２１０の長孔２１５を貫通した状態で、車両本体１１０側に形成されたボルト固定孔４４ｃに挿入される。該軸部２２１はボルト固定孔４４ｃに締結することで固定される。ボルト固定孔４４ｃは、車両本体１１０を構成する支持フレーム４０の固定用ブラケット４４の上端面４４ｂに形成されている。ボルト固定孔４４ｃは、長孔２１５に対応して複数（本実施形態では２つ）が形成されている。ボルト固定孔４４ｃは、前後方向に間隔をあけて形成されている。複数のボルト固定孔４４ｃの間隔は、第一プレート２１０の複数の長孔２１５の間隔と対応するように設けられている。

　図７に示すように、第一プレート２１０が位置決めボルト２２０によって車両本体１１０に固定された状態では、第一プレート２１０の長手方向が前後方向に一致している。第一貫通部２１４は、図８に示すように、水平方向への開口部２１４ａが後方を向いており、即ち、当該開口部２１４ａが回動方向外側Ｄ１を向いている。第一貫通部２１４における回動方向内側Ｄ２の端部２１４ｂは、固定用ブラケット４４の上端面４４ｂの後端よりも後方に突出している。よって、第一貫通部２１４に対して上下からアクセス可能とされている。
第一プレート２１０が車両本体１１０に固定された状態では、長孔２１５は回動方向（Ｄ１もしくはＤ２）に交差する方向に長手方向を一致させておりとしており、本実施形態では、幅方向に長手方向を一致させている。

＜第二プレート＞
第二プレート２３０は、図７～図１０に示すように、第二プレート本体２３０Ａ及びナット部材２３５を有している。
第二プレート本体２３０Ａは、上面２３１、下面２３２及び側面２３３を有する板状をなしている。
　上面２３１及び下面２３２は水平面に平行に配置されており、側面２３３は、上面２３１及び下面２３２を接続している。第二プレート本体２３０Ａは、送風ユニット７０に固定されている。本実施形態では、第二プレート本体２３０Ａは、側面の一部が可動ブラケット７１の固定連結部７６における外側面７６ａ及び外端面７６ｃに固定されている。第二プレート本体２３０Ａの可動ブラケット７１への固定方法は、溶接やボルト等の周知の方法を採用することができる。

第二プレート本体２３０Ａには、上面２３１と下面２３２とにわたって厚さ方向に貫通する貫通孔２３４ａが形成されている、貫通孔２３４ａは上方から見た平面視にて円形をなしている。貫通孔２３４ａは、上下方向にわたって一様な形状をなしている。

ナット部材２３５は、第二プレート本体２３０Ａの下面２３２に固定されている。ナット部材２３５は、図９及び図１０に示すように、内周面に雌ネジが形成された雌ネジ孔２３４ｂを有するリング状の部材である。ナット部材２３５は、雌ネジ孔２３４ｂの中心軸線を第二プレート本体２３０Ａの貫通孔２３４ａの中心軸線に一致させた状態で、第二プレート本体２３０Ａの下面に例えば溶接によって一体に固定されている。

第二プレート本体２３０Ａとナット部材２３５とからなる第二プレート２３０には、第二プレート本体２３０Ａの貫通孔２３４ａとナット部材２３５の雌ネジ孔２３４ｂとによって、第二プレート２３０を上下に貫通する第二貫通部２３４が構成されている。したがって、第二貫通部２３４には、ナット部材２３５の雌ネジ孔２３４ｂによる雌ネジが形成されている。
送風ユニット７０が閉位置にある際には、第二貫通部２３４は、第一プレート２１０の第一貫通部２１４の下方に位置しており、第一貫通部２１４と互いに上下方向に連通している。

調整ボルト２４０は、図７から図１０に示すように、軸部２４１と頭部２４２とを有している。軸部２４１は、第一貫通部２１４及び第二貫通部２３４に挿通される直径を有している。軸部２４１の外周面における一端側の部分には雄ネジ２４１ａが形成されている。雌ネジ２４１ａは、第二貫通部２３４の雄ネジ、即ち、ナット部材２３５の雌ネジ孔２３４ｂに締結可能とされている。頭部２４２は、軸部２４１の延在方向の他端に一体に設けられている。
調整ボルト２４０は、頭部２４２を上方に向けた状態で、第一貫通部２１４及び第二貫通部２３４に挿通されている。この際、調整ボルト２４０の軸部２４１の雄ネジ２４１ａが第二貫通部２３４の雌ネジに締結し、調整ボルト２４０の頭部２４２が第一プレート２１０の上面２１１に上方から当接する。

＜動作及び作用効果＞
　ホイールローダ１００の稼働時には、図４に示すように、送風ユニット７０は閉位置とされており、車両リア部１３０の開口部３５はグリル４６によって閉塞されている。送風ユニット７０のファン本体８２が回転すると、外装カバー３０で形成された熱交換室Ｔ内から開口部３５を介して後方に向かって送風が行われる。これによって、外装カバー３０の通気部３３等を介してエンジン室Ｅや熱交換室Ｔに流入する空気は、熱交換室Ｔ内で冷却ユニット５０を通過するように後方に向かって流れる。冷却ユニット５０を冷却することで高温となった空気は、固定シュラウド６０及び可動シュラウド９０から形成される流路内を、ファン８０を経由して後方側に流通する。その後、車両リア部１３０の開口部３５からグリル４６を介して排出される。

　送風ユニット７０が閉位置にある場合には、送風ユニット７０は固定ボルト１９０によって車両本体１１０に固定されている。即ち、固定ボルト１９０が、可動側貫通孔１９１を貫通して車両側固定孔１９２に固定されることで、送風ユニット７０は閉位置にて回動不能な状態とされている。
　この状態では、図７及び図１０に示すように、位置調整部２００の調整ボルト２４０は、頭部２４２が第一プレート２１０の上面２１１に接触しており、軸部２４１は第一貫通部２１４、第二貫通部２３４の双方を挿通している。軸部２４１の雄ネジ２４１ａは第二貫通部２３４の雌ネジに締結している。

　ここで、ホイールローダ１００は土砂や砕石等の積み込み、運搬作業で用いられることがあるため、そのような作業で使用されると砂埃が多い環境に曝される。そのため、送風ユニット７０や冷却ユニット５０に砂埃が付着する。そのため、送風ユニット７０及び冷却ユニット５０のメンテナンス作業の一環としての清掃が行われる。

　メンテナンス作業の際には、固定ボルト１９０による送風ユニット７０の固定状態を解除する。即ち、固定ボルト１９０を除去することで、送風ユニット７０を回動可能な状態とする。同時に、位置調整部２００の調整ボルト２４０を緩めることで、調整ボルト２４０の頭部２４２の第一プレート２１０の上面２１１への当接状態を解除しておく。その後、送風ユニット７０を回動方向外側Ｄ１に向かって回動させる。この際、調整ボルト２４０は、第二プレート２３０に挿入された状態で送風ユニット７０とともに移動する。図１１に示すように、調整ボルト２４０の雄ネジ２４１ａが、第二貫通部２３４の雌ネジ孔２３４ｂに締結されたまま、送風ユニット７０が回動方向外側Ｄ１に向かって回動可能となる。第一プレート２１０の第一貫通部２１４は、回動方向外側Ｄ１に向かって開口するＵ字状の切欠き形状をなしているため、第一プレート２１０によって調整ボルト２４０の移動が妨げられることはない。さらに、調整ボルト２４０は第二貫通部２３４に締結しているため、第二プレート２３０から落下してしまうことはない。
なお、雄ネジ２４１ａの先端にリング状のストッパを設け、調整ボルト２４０を緩めたとしても、軸部２４１の雄ネジ２４１ａの先端が雌ネジ孔２３４ｂから完全に分離せず締結したままにして、調整ボルト２４０と第二プレート２３０とが常に分離しないようにしてもよい。
このように送風ユニット７０が開位置に回動されることで、作業員は後部通路Ｒ１上から、送風ユニット７０、固定シュラウド６０及び冷却ユニット５０の背面５１にメンテナンス可能な状態となる。

　メンテナンス作業が終了した後に、送風ユニット７０を回動方向内側Ｄ２に回動させて、元の状態に復帰させる。
　ここで、送風ユニット７０は、油圧モータやファン等からなる重量物であるとともに、車両本体１１０に片持ち状に支持されている。そのため、送風ユニット７０は、回動可能に支持された一端の反対側の他端側が自重によって当初意図した位置よりも下がってしまう場合がある。送風ユニット７０の他端側が下がってしまえば、図９に示すように、固定ボルト１９０としてのボルトが挿入される可動側貫通孔１９１と車両側固定孔１９２とが合わず、ボルトを挿入することができない。
　これに対して、本実施形態では、可動部を有する送風ユニット７０の位置調整方法によって送風ユニット７０の上下方向位置が調整される。

　送風ユニット７０の位置調整方法の手順について、図１２に示すフローチャートを参照して説明する。本実施形態の送風ユニット７０の位置調整方法は、位置合わせ工程Ｓ１及び引き上げ工程Ｓ２を含む。
　位置合わせ工程Ｓ１では、送風ユニット７０を回動軸線Ｏ１回りに回動させることで、第二貫通部２３４の水平方向位置を第一貫通部２１４の水平方向位置と一致させる。
本実施形態では、第二プレート２３０の第二貫通部２３４に調整ボルト２４０の軸部２４１の先端が締結したままの状態である。そのため、第二プレート２３０を閉位置に回動させると、図９に示すように、調整ボルト２４０の軸部２４１の一部が第一プレート２１０のＵ字状の第一貫通部２１４に嵌め込まれる。これによって、自動的に第一貫通部２１４と第二貫通部２３４との水平方向位置が一致する。

この段階では、第一プレート２１０の下面２１２と第二プレート２３０の上面２３１との間には上下方向の隙間が存在する。即ち、送風ユニット７０の自重による下降に伴い、第一プレート２１０に対して第二プレート２３０が下がった状態とされている。また、可動側貫通孔１９１と車両側固定孔１９２とは上下方向において孔の位置が一致していない。

　位置合わせ工程Ｓ１の後に引き上げ工程Ｓ２が行われる。引き上げ工程Ｓ２では、工具等を用いて調整ボルト２４０の頭部２４２を回転させて調整ボルト２４０を締め込む。調整ボルト２４０が締められると、調整ボルト２４０の頭部２４２が第一プレート２１０の上面に接触し、次いで、調整ボルト２４０の頭部２４２と第二プレート２３０との相対位置が近接していく。この結果、第二プレート２３０が第一プレート２１０に近づくように上昇する。これによって、図１０に示すように、第一プレート２１０と第二プレート２３０との上下方向の隙間が消失し、第一プレート２１０の下面２１２と第２プレート本体２３０Ａの上面２３１とが当接する。第二プレート２３０が固定された送風ユニット７０は、当初意図した通りの上下方向位置となる。

この結果、可動側貫通孔１９１と車両側固定孔１９２との上下方向における孔の位置が一致した状態となり、固定ボルト１９０が可動側貫通孔１９１及び車両側固定孔１９２を挿通可能な状態となる。固定ボルト１９０によって送風ユニット７０が車両本体１１０に固定され、次いでグリル４６が閉じられることで、メンテナンス作業が終了する。

以上のように、本実施形態によれば、第一貫通部２１４及び第二貫通部２３４を挿通する調整ボルト２４０によって、第一プレート２１０及び第二プレート２３０を締結することで、第二プレート２３０を第一プレート２１０に近接させることができる。これによって、例えばバールやシノ等の工具を使用せずとも、自重の大きい送風ユニット７０を上方に引き上げることができる。

特に本実施形態では、調整ボルト２４０の軸部２４１の雄ネジ２４１ａと第二プレート２３０の雌ネジが係合し、さらに調整ボルト２４０の頭部２４２が第一プレート２１０に上方から当接している。そのため、調整ボルト２４０を回転させると第二プレート２３０が第一プレート２１０に近づくように上昇する。これによって、第二プレート２３０が当初意図した位置よりも下方にある場合でも、該第二プレート２３０を意図通りの位置まで引き上げることができる。

第一貫通部２１４が回動方向外側Ｄ１に開口しているため、送風ユニット７０を開位置と閉位置との間で移動させる際に、調整ボルト２４０の軸部２４１を第二プレート２３０に締結させたままの状態で、調整ボルト２４０の軸部２４１を第一貫通部２１４内外に移動させることができる。したがって、調整ボルト２４０を抜き差しする作業を行う必要がないため、位置調整作業をより一層容易に行うことができる。
調整ボルト２４０の軸部２４１が第一貫通部２１４内に嵌め込まれた際には、第一貫通部２１４の下方に第二貫通部２３４が位置することになるため、第一貫通部２１４と第二貫通部２３４との位置合わせを容易に行うことができる。

　第一プレート２１０の車両本体１１０に対する位置は、長孔２１５を介して行うことができる。即ち、第一プレート２１０の第一貫通部２１４の位置が第二プレート２３０の第二貫通部２３４の回動軌跡上からずれた場合には、第一プレート２１０の車両本体１１０に対する位置を調整することができる。即ち、位置決めボルト２２０を緩めて長孔２１５の範囲で第一プレート２１０を移動させることで、第一貫通部２１４を適切な位置に配置することができる。
　したがって、各部品の寸法誤差、組み付け誤差や、経年による位置ズレが生じ、第一貫通部２１４と第二貫通部２３４との位置合わせができない場合であっても、第一プレート２１０の車両本体１１０に対する位置調整を行うことで第一貫通部２１４と第二貫通部２３４との相対位置を適切に設定することができる。また、第一プレート２１０の車両本体１１０に対する初期位置を決める際にも利用することができる。

長孔２１５は幅方向に延びており、即ち、回動方向に交差する方向に延びているため、第一貫通部２１４が第二貫通部２３４の回動軌跡から外れた場合であっても、該回動軌跡上となるように第一貫通部２１４の位置を調整することができる。
第一貫通部２１４の開口方向を変えることもできるため、第一貫通部２１４に対して第二貫通部２３４に挿入された軸部２４１を円滑に第一貫通部２１４内に嵌め込めるように、第一プレート２１０の姿勢を調整することができる。

送風ユニット７０の車両本体１１０の固定は、車両側固定孔１９２、可動側貫通孔１９１を挿通する固定ボルト１９０によって行うことができる。送風ユニット７０の自重によって車両側固定孔１９２と可動側貫通孔１９１との位置がずれた場合であっても、位置調整部２００によって送風ユニット７０の位置を上昇させることで、これら車両側固定孔１９２と可動側貫通孔１９１との位置合わせを行うことができる。
位置調整部２００と固定ボルト１９０とを別構成とすることで、位置調整部２００に重量物である送風ユニット７０を固定する負荷を負わせることはない。

＜第二実施形態＞
　以下、図１３を参照して、本発明の第二実施形態について説明する。第二実施形態では第一実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。第二実施形態の位置調整部３００の構成が第一実施形態と相違する。

　第二実施形態の第一プレート３１０は、第一プレート本体３１０Ａとナット部材３１５を有する。
　第一プレート本体３１０Ａは、上方から見た平面視にて円形の貫通孔３１４ａを有する。第一プレート本体３１０Ａの上面である上面３１１に、ナット部材３１５が溶接等により一体に固定されている。貫通孔３１４ａとナット部材３１５の雌ネジ孔３１４ｂは、同軸に配置されている。第一プレート本体３１０Ａの貫通孔３１４ａとナット部材３１５の雌ネジ孔３１４ｂとで上下方向に貫通する第一貫通部３１４が形成されている。第一プレート本体３１０Ａは、上面３１１、下面３１２、側面３１３を有する。

　第二実施形態の第二プレート３３０は、上面３３１、下面３３２及び側面３３３を有する。上下方向に貫通するとともに回動方向内側Ｄ２に開口する第二貫通部３３４を有する。即ち、第二貫通部３３４は、上方から見た平面視にてＵ字状の切欠き形状をなして上下方向に一様な形状で延びている。
　第一実施形態の第一貫通部２１４が第二実施形態の第二貫通部３３４に対応し、第一実施形態の第二貫通部２３４が第二実施形態の第一貫通部３１４に対応している。

　調整ボルト２４０は、頭部２４２を下方に向けて軸部２４１の先端を上方に向けた状態で第一貫通部３１４及び第二貫通部３３４に挿通されている。即ち、調整ボルト２４０は、下方から第二貫通部３３４、第一貫通部３１４の順序で挿通されている。調整ボルト２４０の軸部２４１の雄ネジ２４１ａは、第一貫通部３１４の雌ネジ、即ち、ナット部材３１５の雌ネジ孔３１４ｂに締結している。調整ボルト２４０の頭部２４２は、第二プレート３３０の下面３３２に下方から当接している。

　第二実施形態によれば、第一実施形態同様、調整ボルト２４０の頭部２４２を回転させることで、第二プレート３３０を第一プレート３１０に近接させることができる。これによって、第二プレート３３０と一体をなす送風ユニットを上方に容易に引き上げることができる。
　特に、位置調整部３００が高所にある場合には、下方から調整ボルト２４０を操作できることで作業性が向上する。

＜その他の実施形態＞
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。

例えば第一実施形態で、第一貫通部２１４を平面視Ｕ字状としたが、平面視円形としてもよい。この場合、送風ユニット７０の開閉時には調整ボルト２４０を一旦取り外せばよい。位置合わせ工程Ｓ１では、上下方向から視て第一貫通部２１４と第二貫通部２３４とが連通する位置、即ち、これらの双方に調整ボルト２４０の軸部２４１が挿入可能な水平方向位置まで位置合わせすればよい。
第二実施形態では、第二貫通部３３４を平面視Ｕ字状としたが、上記同様、平面視円形としてもよい。

第一実施形態では、第二貫通部２３４を構成する第二プレート本体２３０Ａの貫通孔２３４ａを平面視Ｕ字状としてもよい。第二実施形態では、第一貫通部３１４を構成する第一プレート本体３１０Ａの貫通孔３１４ａを平面視Ｕ字状としてもよい。

第一実施形態では、ナット部材２３５が第二プレート本体２３０Ａと一体とした構成を説明したが、ナット部材２３５が別体であってもよい。
第二実施形態でも、ナット部材３１５を第一プレート本体３１０Ａと一体とした構成を説明したが、ナット部材３１５が別体であってもよい。
　また、第二プレート本体２３０Ａとナット部材２３５、または第一プレート本体３１０Ａとナット部材３１５は、溶接以外の固定方法で一体に固定されていてもよく、一体成型されていてもよい。

第一実施形態では、ナット部材２３５を設けずに、第二プレート本体２３０Ａの貫通孔２３４ａに雌ネジを形成した構成であってもよい。
第二実施形態でも、ナット部材３１５を設けずに、第一プレート本体３１０Ａの貫通孔３１４ａに雌ネジを形成した構成であってもよい。

実施形態では、位置調整部２００，３００を送風ユニット７０の位置調整に用いたが、例えばグリル４６等の他の可動部の位置調整に用いてもよい。

　実施形態では、本発明の作業車両の一例としてホイールローダ１００について説明したが、例えば作業車両として、モータグレーダ等の他の作業車両に適用してもよい。また、冷却ユニット５０、送風ユニット７０を有する他の作業車両に本発明を適用してもよい。

１０…リアフレーム、２０…バンパー、２１…バンパー中央部、２１ａ…上面、２２…バンパー側部、２２ａ…上面、２３…収容部、２３ａ…上面、２４ａ…滑り止めマット、２４ｂ…滑り止めマット、３０…外装カバー、３１…側部カバー、３２…上部カバー、３３…通気部、３５…開口部、３６…側縁部、３７…上縁部、３８…下縁部、４０…支持フレーム、４１…側部フレーム、４２…上部フレーム、４３…回動用ブラケット、４４…固定用ブラケット、４４ａ…当接面、４４ｂ…上端面、４４ｃ…ボルト固定孔、４６…グリル、４７…エンジン、５０…冷却ユニット、５１…背面、６０…固定シュラウド、７０…送風ユニット（可動部）、７１…可動ブラケット、７２…回動連結部、７３…ブラケット本体、７４…縦枠部、７５…横枠部、７６…固定連結部、７６ａ…外側面、７６ｂ…内側面、７６ｃ…外端面、８０…ファン、８１…油圧モータ、８２…ファン本体、８３…取付部、８４…羽根、８５…ガード部、９０…可動シュラウド、１００…ホイールローダ、１１０…車両本体、１２０…車両フロント部、１３０…車両リア部、１４０…前輪、１５０…後輪、１６０…キャブ、１７０…燃料タンク、１８０…作業機、１８１…ブーム、１８２…バケット、１８３…ブーム駆動用シリンダ、１８４…バケット駆動用シリンダ、１８５…リンク、１８６…ベルランク、１９０…固定ボルト、１９１…可動側貫通孔、１９２…車両側固定孔、２００…位置調整部、２１０…第一プレート、２１１…上面、２１２…下面、２１３…側面、２１４…第一貫通部、２１４ａ…開口部、２１４ｂ…端部、２１５…長孔、２２０…位置決めボルト、２２１…軸部、２２２…頭部、２３０…第二プレート、２３０Ａ…第二プレート本体、２３１…上面、２３２…下面、２３３…側面、２３４…第二貫通部、２３４ａ…貫通孔、２３４ｂ…雌ネジ孔、２３５…ナット部材、２４０…調整ボルト、２４１…軸部、２４１ａ…雄ネジ、２４２…頭部、３００…位置調整部、３１０…第一プレート、３１０Ａ…第一プレート本体、３１１…上面、３１２…下面、３１３…側面、３１４…第一貫通部、３１４ａ…貫通孔、３１４ｂ…雌ネジ孔、３１５…ナット部材、３３０…第二プレート、３３１…上面、３３２…下面、３３３…側面、３３４…第二貫通部、Ｒ１…後部通路、Ｒ２…側部通路、Ｅ…エンジン室、Ｔ…熱交換室、Ｏ１…回動軸線、Ｏ２…基準軸線、Ｄ１…回動方向外側、Ｄ２…回動方向内側、Ｓ１…位置合わせ工程、Ｓ２…引き上げ工程

Claims

　内外を連通させる開口部を有する車両本体と、
　前記開口部を閉塞する閉位置と前記開口部を開放させる開位置との間で、前記車両本体に回動可能に支持された可動部と、
前記可動部が前記閉位置にある際に、前記可動部の上下方向位置を調整する位置調整部と、
を備え、
前記位置調整部は、
前記車両本体に設けられて、上下に貫通する第一貫通部を有する第一プレートと、
前記可動部に設けられて、上下に貫通するとともに前記可動部が閉位置にある際に前記第一貫通部に下方から連通する第二貫通部を有する第二プレートと、
前記第一貫通部及び前記第二貫通部を挿通する軸部を有する調整ボルトと、
を有する作業車両。
前記第二貫通部は、内周面に雌ネジを有し、
前記軸部は、外周面に前記雌ネジに締結可能な雄ネジを有し、
前記調整ボルトは、前記軸部の上端に設けられて前記第一プレートの上面に当接する頭部をさらに有する請求項１に記載の作業車両。
前記第一貫通部は、上下方向にわたって、前記可動部を前記開位置に回動させる方向に向かって開口している請求項２に記載の作業車両。
　前記第一貫通部は、内周面に雌ネジを有し、
　前記軸部は、外周面に前記雌ネジに締結可能な雄ネジを有し、
　前記調整ボルトは、前記軸部の下端に設けられて前記第二プレートの下面に当接する頭部をさらに有する請求項１に記載の作業車両。
前記第二貫通部は、上下方向にわたって、前記可動部を前記閉位置に回動させる方向に向かって開口している請求項４に記載の作業車両。
第一プレートは、上下方向に貫通するとともに水平方向を長手方向とする長孔を有し、
前記位置調整部は、
前記長孔を介して前記第一プレートを前記車両本体に固定する位置決めボルトをさらに有する請求項１から５のいずれか一項に記載の作業車両。
前記長孔は、前記可動部の回動方向に交差する水平方向を長手方向としている請求項６に記載の作業車両。
前記車両本体が、水平方向に貫通する車両側固定孔を有し、
前記可動部が、水平方向に貫通するとともに該可動部が閉位置にある際に前記車両側固定孔と対応する可動側貫通孔を有し、
前記車両側固定孔及び前記可動側貫通孔を介して前記可動部を車両本体に固定する固定ボルトをさらに備える請求項１から７のいずれか一項に記載の作業車両。
　前記車両本体は、熱交換室を有し、
　前記開口部は、熱交換室の後方側に形成されており、
　前記熱交換室内に設けられ、後方を向く背面を有する冷却ユニットをさらに備え、
　前記可動部は、回転駆動されるファン、及び該ファンを外周側から覆うシュラウドを有する送風ユニットであって、
　前記閉位置は、前記送風ユニットが前記冷却ユニットの背面に対向する位置であって、
　前記開位置は、前記送風ユニットが前記冷却ユニットの背面を露出させる位置である請求項１から８のいずれか一項に記載の作業車両。
　内外を連通させる開口部を有する車両本体と、
前記開口部を閉塞する閉位置と前記開口部を開放させる開位置との間で前記車両本体に回動可能に支持された可動部と、
前記可動部が前記閉位置にある際に前記可動部の上下方向位置を調整する位置調整部と、
を備え、
前記位置調整部が、
前記車両本体に設けられて上下に貫通する第一貫通部を有する第一プレートと、
前記可動部に設けられて上下に貫通するとともに前記可動部が閉位置にある際に前記第一貫通部に下方から連通する第二貫通部を有する第二プレートと、
前記第一貫通部及び前記第二貫通部を挿通する軸部を有する調整ボルトと、を有する作業車両の位置調整方法であって、
　前記可動部を回動させることで、前記第二貫通部の水平方向位置を第一貫通部の水平方向位置と一致させる位置合わせ工程と、
　該位置合わせ工程の後に、前記第一貫通部及び前記第二貫通部に前記調整ボルトの軸部を挿入して締結することで、前記第一プレートに前記第二プレートを近接させる引き上げ工程と、
を含む作業車両の可動部の位置調整方法。