WO2018116907A1 - 高誘電率樹脂組成物 - Google Patents

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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
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Abstract

本発明は、(A)樹脂と(B)導電性酸化物粒子とを含有し、上記(A)樹脂100質量部に対して上記(B)導電性酸化物粒子を0.03~13.0質量部配合してなることを特徴とする高誘電率樹脂組成物、該高誘電率樹脂組成物を含有することを特徴とする成形品、及び該高誘電率樹脂組成物を含有する電気・電子部品を提供する。本発明の高誘電率樹脂組成物は、ごく少量のフィラー添加により高い誘電率及び低誘電正接を示すものであり、このため構成する樹脂の特性を十分に活用することでき、成形性に優れると共に、フィルムやコンデンサ等の電子部品に広く採用することができる。

Description

高誘電率樹脂組成物
 本発明は、高誘電率樹脂組成物に関し、より詳しくは、樹脂と導電性酸化物とを含有する高誘電率樹脂組成物並びに該組成物を用いたフィルム等の成形品及び電気・電子部品に関する。
 近年、情報通信機器では、高周波領域に適応できる高性能な高周波用電子部品が求められている。そのため、コンデンサやアンテナ等の電子部品に使用される高誘電率樹脂材料に対しては、それぞれの設計に応じて適切な誘電率を示し、且つ低誘電正接であることが要求されている。
 高誘電率樹脂材料としては、従来から、樹脂中にチタン酸バリウム等の高誘電率の金属酸化物フィラーを添加したものや、カーボンブラック、金属等の導電性フィラーを添加したものが知られている。
 特許文献1では、末端基が異なるシランカップリング剤で表面処理された2種類のチタン酸バリウム粉末を樹脂に添加することによって、比較的少ない誘電率粉末の添加で高誘電率樹脂組成物が得られることが記載されている。しかしながら、この文献では、エポキシ樹脂100質量部に対して誘電率粉末を少なくとも55質量部程度添加しており、樹脂組成物としての成形性は十分とはいえない。
 また、特許文献2では、誘電率を向上させるためにチタン酸バリウムの添加量を高めても樹脂組成物の成形性を損なわないようにするために、特定の化合物を添加剤として含有させる技術が提案されている。しかしながら、この技術では、チタン酸バリウムを40質量%以上配合するものであり、このため樹脂本来の特性が損なわれてしまうおそれがある。
 更に、特許文献3には、板形状の導電性フィラーを含有する誘電体樹脂材料が開示されている。しかしながら、この技術では、フィラー形状を制御した上に樹脂中で配向させることから、製造が煩雑であり使用様態に制限が生じる問題がある。
 また、樹脂中に高誘電率フィラーを添加した高誘電率樹脂材料については、ごく少量の高誘電率フィラーを添加した場合、添加量に対して誘電率があまり増大しないことが知られている。これは、樹脂中に少量の高誘電率フィラーが分散している状態を等価回路で表すと、低誘電率の樹脂に対応する容量の小さなキャパシタンスと高誘電率フィラーに対応する容量の大きなキャパシタンスとの直列回路のようになっているためであると考えられる。このため、このような高誘電率樹脂材料では、誘電率を比較的小さく調整する場合でも、多量の高誘電率フィラーを添加する必要があり、その結果、成形性や樹脂本来の特性が損なわれてしまう。
 一方、樹脂中に導電性フィラーを添加した高誘電率樹脂材料の場合、実質的に電極間距離(誘電体の厚み)が小さくなることにより、誘電率が増大すると考えられる。キャパシタンスは電極間距離に反比例するため、フィラーの添加量が少なくてもある程度の誘電率増大効果が得られると考えられる。
 しかしながら、従来から導電性フィラーとして用いられるカーボンブラックや金属では、十分な誘電率が得られない。導電性フィラーの添加量を多くすれば誘電率の増大が望めるが、樹脂としての特性や絶縁性が損なわれてしまう。
特開2005-15652号公報 特開2003-97074号公報 特開2004-247382号公報
 本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、少量のフィラー添加により得られる高誘電率樹脂組成物並びに該組成物を用いたフィルム等の成形品及び電気・電子部品を提供することを目的とする。
 本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、熱可塑性樹脂等の樹脂材料に導電性酸化物、特に、平均粒子径が所定範囲以下の導電性酸化物粒子を少量配合することにより、樹脂材料の持つ成形性等の特性を損なうことなく、従来用いられる導電性フィラーよりも誘電率を増大させることができ、且つ、誘電正接が低くなることを見出し、本発明をなすに至ったものである。
 即ち、本発明は、下記の高誘電率樹脂組成物及び該組成物を用いたフィルム、成形品、電気・電子部品を提供する。
1.(A)樹脂と(B)導電性酸化物粒子とを含有し、上記(A)樹脂100質量部に対して上記(B)導電性酸化物粒子を0.03~13.0質量部配合してなることを特徴とする高誘電率樹脂組成物。
2.上記(B)導電性酸化物粒子の酸化物は、酸化スズ、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化亜鉛及び酸化カドミウムの群から選ばれる少なくとも1種を含む酸化物又は複合酸化物である1記載の高誘電率樹脂組成物。
3.上記(B)導電性酸化物粒子の酸化物は、アンチモンドープ酸化スズ又はスズドープ酸化インジウムである1記載の高誘電率樹脂組成物。
4.上記(B)導電性酸化物粒子の平均粒子径が100nm以下である1~3のいずれかに記載の高誘電率樹脂組成物。
5.上記(A)樹脂は、ポリスチレン樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、ポリ乳酸樹脂、6ナイロン樹脂、66ナイロン樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリフェニレンスルファイド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂及びポリフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体樹脂の群から選ばれる少なくとも1種を含む熱可塑性樹脂である1~4のいずれかに記載の高誘電率樹脂組成物。
6.上記1~5のいずれかに記載の高誘電率樹脂組成物を含有することを特徴とする成形品。
7.体積抵抗率が1×109~1×1015Ω・cmである6記載の成形品。
8.上記成形品がフィルムである6又は7記載の成形品。
9.上記1~5のいずれかに記載の高誘電率樹脂組成物を含有することを特徴とする電気・電子部品。
 本発明の高誘電率樹脂組成物は、ごく少量のフィラー添加により高い誘電率及び低誘電正接を示すものであり、このため構成する樹脂の特性を十分に活用することでき、成形性に優れると共に、フィルムやコンデンサ等の電子部品に広く採用することができる。
 本発明は、(A)樹脂と(B)導電性酸化物粒子とを含有するものであり、(A)樹脂100質量部に対して(B)導電性酸化物粒子を0.03~13.0質量部配合してなる高誘電率樹脂組成物である。
 (A)樹脂としては、熱可塑性樹脂であることが好ましく、具体的には、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、ポリスチレン樹脂(PS)、ABS樹脂、AS樹脂、ポリアクリル樹脂(PMMA)、超低密度ポリエチレン樹脂(VLDPE)、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、線状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)、超高分子量ポリエチレン(U-PE)、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリカーボネート樹脂(PC)、変性PPE樹脂(m-PPE)、6ナイロン樹脂(PA6)、66ナイロン樹脂(PA66)、ポリアセタール樹脂(POM)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエステル樹脂(PEs)、ポリスルホン樹脂(PSF)、ポリアリレート樹脂(PAR)、ポリエーテルイミド樹脂(PEI)、ポリイミド樹脂、ポリ乳酸樹脂(PLA)、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)、ポリフェニレンスルファイド樹脂(PPS)、ポリフェニレンオキシド樹脂(PPO)、ポリアミドイミド樹脂(PAI)、液晶ポリマー樹脂(LCP)、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)、ポリフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体樹脂(PVDF-HFP)、ウレタン樹脂、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン樹脂、エチレン-テトラフルオロエチレエン共重合体、エチレン-クロロフルオロエチレン共重合体、塩化ビニリデン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、変性ポリオレフィン樹脂、水架橋ポリオレフィン樹脂、エチレン-ビニルアセテート共重合体、エチレン-エチルアクリレート共重合体、フッ素樹脂フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂及び各種高分子物質の共重合物、混合物等が挙げられる。
 上記の熱可塑性樹脂の中でも、(A)樹脂としては、特に、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリフェニレンスルファイド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、ポリ乳酸樹脂、6ナイロン樹脂、66ナイロン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体樹脂が好ましく、ポリスチレン樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体樹脂がさらに好ましく、特に、ポリエーテルイミド樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体樹脂を採用することが好適である。
 次に、(B)導電性酸化物粒子は、特に限定されないが、酸化スズ、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化亜鉛及び酸化カドミウムの群から選ばれる少なくとも1種を含む酸化物又は複合酸化物であることが好ましい。具体的には、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、スズドープ酸化インジウム(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、リンドープ酸化スズ(PTO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)等が挙げられる。なかでも、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)またはスズドープ酸化インジウム(ITO)を採用することが好適である。
 (B)導電性酸化物粒子の平均粒子径は、特に限定されないが、100nm以下であることが好ましく、より好ましくは10~100nmである。この粒子径が大きすぎると、成形性に悪影響を与えるおそれがある。なお、(B)導電性酸化物の上記粒子径は、1次粒子径であり、BET法(比表面積計算法)やTEM、SEM等により直接観察される測定値を意味する。
 また、本発明に用いられる導電性酸化物粒子は、体積抵抗率が106Ω・cm以下、好ましくは1.0×10-4~1.0×105Ω・cmであることが好適である。
 本発明では、(A)樹脂100質量部に対して、(B)導電性酸化物粒子を0.03~13.0質量部の範囲で配合することにより、本発明の高誘電率樹脂組成物が得られるものであり、(B)導電性酸化物粒子の更に好ましい配合量は0.05~10.0質量部の範囲である。(B)導電性酸化物粒子の含有量が0.03質量部未満であると、誘電率が十分に増大しなくなる。また、上記(B)成分の含有量が13.0質量部を超えると、凝集物が発生しやすく、成形性の悪化や絶縁性の低下によって誘電正接が増大するおそれがある。なお、本発明の高誘電率樹脂組成物の使用形態については、粉体、ペレット等の固体の形態であってもよいし、分散液、水溶液等の液体の形態であってもよい。
 (A)樹脂に(B)導電性酸化物粒子を配合する方法としては特に限定されないが、例えば、下記のいずれかの方法が挙げられる。
(i)(A)樹脂を(C)有機溶媒に溶解した後、(B)導電性酸化物を添加,分散する方法、
(ii)(A)樹脂を水に分散させ、この水分散体に(B)導電性酸化物粒子を添加,分散する方法、
(iii)(A)樹脂を溶融混練し、(B)導電性酸化物粒子を分散する方法
などが挙げられる。
 (i)の方法の場合、使用する(C)有機溶媒としては、(A)樹脂が溶解するものを適宜選択すればよく、その種類は特に限定されない。例えば、アルコール、エーテル、ケトン、芳香族炭化水素、窒素含有有機溶媒等が挙げられ、(A)樹脂と(C)有機溶媒との溶解パラメーター(SP値)や極性を考慮して選択される。
 例えば、(A)樹脂が、ポリエーテルイミド樹脂やポリアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体樹脂等であれば、N-メチルピロリドン(NMP)を(C)有機溶媒として用いることができる。
 上記(i)の場合、(B)導電性酸化物粒子を、(A)樹脂を(C)有機溶媒に溶解させた溶液に直接添加・混合してもよいが、予め、(B)導電性酸化物粒子を(C)有機溶媒に分散させた分散体とし、これを混合してもよい。
 (C)有機溶媒の使用量は特に限定はされないが、工業上使用するにあたり、(A)樹脂100質量部に対して、(C)有機溶媒を10~5,000質量部で用いることが好ましい。
 (A)樹脂と(C)有機溶媒をプロペラ式撹拌機やホモジナイザー等の公知の混合調製方法によって混合溶解した後、(B)導電性酸化物粒子または(C)有機溶媒に(B)導電性酸化物粒子を分散させたものを混合することによって本発明の高誘電率樹脂組成物を得ることができる。
 (ii)の方法の場合、(A)樹脂を水に分散させたエマルジョン等の水分散体と(B)導電性酸化物粒子を、プロペラ式撹拌機やホモジナイザー等の公知の混合調製方法で混合することによって本発明の高誘電率樹脂組成物を得ることができる。この場合、用いられる水分散体としては、ポリアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリウレタン樹脂の水分散体であることが好ましい。
 (i)及び(ii)の方法においては、このようにして得られた混合液を型に流し込み、乾燥させることにより所望の形状に成形することができ、特に、フィルム等の成形品に好適である。
 乾燥は、有機溶媒又は水が沸騰し、フィルムに空気が混合してしまうことを防ぐために、有機溶媒又は水の沸点以下の温度(例えば、30~400℃)で段階的に乾燥させることが好ましく、沸点以下の温度で予備乾燥(プレ乾燥)を行い、その後、沸点近くの温度で本乾燥を行うことが好ましい。なお、本乾燥後は、沸点より高温で乾燥してもよい。この予備乾燥を行うことにより、均一な品質のフィルムを成形することが可能となる。例えば、(A)樹脂をN-メチルピロリドン(NMP)に溶解させ、(B)導電性酸化物粒子を混合したNMP分散液では150℃で予備乾燥し、その後、沸点近くの200℃で本乾燥を行うことが好ましい。乾燥時間は、形状やフィルムの厚みによって適宜調整できるが、工業上の使用を考慮すると0.1~100時間で乾燥することが好ましい。
 このような高誘電率樹脂組成物を含んで構成されるフィルムにおいて、乾燥前の塗膜の厚みについては、乾燥後に所望の厚みとなるように適宜設定すればよく、好ましくは1μm~10mm、より好ましくは2μm~1mmの範囲に設定することができる。塗膜の厚みが10mmを超えると、溶媒がフィルム中に残存したり、乾燥が長時間となるため好ましくない。また、塗膜の厚みを1μm未満とすると、破れなどの欠陥が増えて成形不良となる可能性がある。
 (iii)の方法の場合、(A)樹脂を溶融し、(B)導電性酸化物粒子を混合する。この溶融混練工程は、単軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等を用いて実施される。その条件は特に限定されないが、200~500℃の温度で混練して成形することが好ましい。溶融混練したものは射出成形等によって所望の形状に成形することができ、幅広い用途に使用することができる。
 得られたフィルム等の成形品については、体積抵抗率が1×109Ω・cm以上、特に1×1010Ω・cm以上であることが好ましい。体積抵抗率が1×109Ω・cmよりも低いと、絶縁性の悪化による不具合が懸念される。1×109Ω・cm以上であれば、本発明の高誘電率樹脂組成物を誘電体材料として使用するのに十分な絶縁性を確保することができる。また、得られたフィルム等の成形品の体積抵抗率の上限値としては、1×1015Ω・cm以下であることが好ましい。
 本発明の高誘電率樹脂組成物は、(B)導電性酸化物粒子の含有量を0.03~13.0質量部の範囲で変化させることにより、その誘電率を周波数100kHzで2.5~20の範囲に設定することができる。誘電率は、目的とするアプリケーションに応じて適切な値を選択すればよい。
 また、高誘電率樹脂組成物には、性能に影響を与えない範囲で、酸化防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、帯電防止剤、可塑剤、難燃剤等の各種添加剤を適宜添加してもよい。
 本発明の高誘電率樹脂組成物は、フィルムや射出成形品等の成形品など幅広い用途に展開可能であり、特に高誘電率で優れた電気的特性を有するため、コンデンサなどの電気・電子部品材料として好適に使用することができる。
 以下に実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において、部及び%はそれぞれ質量部、質量%を示す。
[実施例1]
 ポリアクリル樹脂(PMMA)(旭化成ケミカルズ(株)製デルペット60N)100部を、N-メチルピロリドン(NMP)500部に室温で溶解させた。そこに粒子径50nmのアンチモンドープ酸化スズ(ATO)(シグマアルドリッチジャパン社製)0.3部を混合し、液状の樹脂組成物を得た。
 得られた樹脂組成物を、アルミ製トレーに流しこみ、150℃で2時間の予備乾燥を行った後、200℃で2時間の本乾燥を行った。厚さ0.40mmのフィルムを得た。
 得られたフィルムの体積抵抗率、誘電率、誘電正接を測定し、その結果を表1に示す。なお、各測定の詳細は以下に示す。
[体積抵抗率の測定]
 高抵抗抵抗率計として(株)三菱化学アナリテック製Hiresta-UX MCP-HT800を、治具としてリングプローブに(株)三菱化学アナリテック製URSプローブを、レジテーブルに(株)三菱化学アナリテック製UFLを用い、作製した樹脂フィルムを挟み、印加電圧1,000V、10秒間の条件で樹脂フィルムの体積抵抗率を測定した。
[誘電率及び誘電正接の測定]
 LCRメータとしてAgilent社製E-4980Aを、治具にAgilent社製16451B誘電体テストフィクスチャとを用い、平行板法の電極接触法によって樹脂フィルムの誘電率及び誘電正接を測定した。各周波数(100Hz、1kHz、10kHz、100kHz、1MHz、2MHz)において測定した静電容量Cp[F]の値を、下記式に代入し、誘電率(εr)を算出した。また、同時に誘電正接Dを測定・算出した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000001
  tm:膜厚[m]
  A:主電極の表面積[m2
  d:主電極の直径[m]
  ε0:真空の誘電率=8.854×10-12[F/m]
[実施例2]
 実施例1のポリアクリル樹脂(PMMA)をポリスチレン樹脂(PS)(PSジャパン(株)製GPPS SGP10)に代えた以外は実施例1と同様に樹脂組成物とフィルムとを作製し、評価を行った。その結果を表1に示す。
[実施例3]
 実施例1のポリアクリル樹脂(PMMA)をポリカーボネート樹脂(PC)(出光興産(株)製タフロンIR2200)に代えた以外は実施例1と同様に樹脂組成物とフィルムとを作製し、評価を行った。その結果を表1に示す。
[実施例4]
 実施例1のポリアクリル樹脂(PMMA)をポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)(アルケマ(株)製Kynar741)に代えた以外は実施例1と同様に樹脂組成物とフィルムとを作製し、評価を行った。その結果を表1に示す。
[実施例5]
 実施例1のポリアクリル樹脂(PMMA)をポリフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体樹脂(PVDF-HFP)(アルケマ(株)製Kynar2801-00)に代えた以外は実施例1と同様に樹脂組成物とフィルムとを作製し、評価を行った。その結果を表1に示す。
[実施例6]
 ポリ乳酸樹脂(PLA)エマルジョン(ミヨシ油脂(株)製ランディPL-3000)250部(固形分換算100部)に粒子径50nmのアンチモンドープ酸化スズ(ATO)(シグマアルドリッチジャパン(株)社製)0.3部を分散させ、液状の樹脂組成物を得た。実施例1と同様にフィルムを作製し、評価を行った。その結果を表1に示す。
[実施例7]
 実施例1のポリアクリル樹脂(PMMA)をポリエーテルイミド樹脂(PEI)(ウルテムレジン1000:SABIC.I.P.製)に代えた以外は実施例1と同様に樹脂組成物とフィルムとを作製し、評価を行った。その結果を表2に示す。
[実施例8~14]
 アンチモンドープ酸化スズ(ATO)の添加量及び/又は粒子径を表2に示すようにした以外は、実施例7と同様に樹脂組成物とフィルムとを作製し、評価を行った。その結果を表2に示す。
[実施例15~17]
 (B)導電性酸化物粒子としてスズドープ酸化インジウム(ITO)を用いて、その添加量及び/又は粒子径を表2に示すようにした以外は、実施例7と同様に樹脂組成物とフィルムとを作製し、評価を行った。その結果を表2に示す。
[比較例1~7]
 表1及び表2に示すように、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)を加えずに、各実施例と同様の方法で樹脂組成物とフィルムとを作製し、評価を行った。その結果を表1及び表2に示す。
[比較例8及び比較例9]
 アンチモンドープ酸化スズ(ATO)の添加量を表2に示すようにした以外は、実施例7と同様に樹脂組成物とフィルムとを作製し、評価を行った。その結果を表2に示す。
[比較例10及び比較例11]
 アンチモンドープ酸化スズ(ATO)をチタン酸バリウム(BaTiO3)(シグマアルドリッチジャパン社製)に代えて、その添加量を表3に示すように調整した以外は、実施例7と同様に樹脂組成物とフィルムとを作製し、評価を行った。その結果を表3に示す。
[比較例12及び比較例13]
 アンチモンドープ酸化スズ(ATO)をカーボンナノパウダー(100nm)(シグマアルドリッチジャパン社製)に代えて、その添加量を表3に示すように調整した以外は、実施例7と同様に樹脂組成物とフィルムとを作製し、評価を行った。その結果を表3に示す。
 なお、下記表1~3中の(B-1)及び(B-2)成分の材料の詳細は、下記のとおりである。
(B-1)
・アンチモンドープ酸化錫(粒子径50nm):シグマアルドリッチジャパン社製
・アンチモンドープ酸化錫(粒子径20nm):三菱マテリアル電子化成(株)社製 T-1
(B-2)
・錫ドープ酸化インジウム(粒子径50nm):シグマアルドリッチジャパン社製
・錫ドープ酸化インジウム(粒子径20nm):三菱マテリアル電子化成(株)社製 E-ITO
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
 表1~3に示すとおり、本実施例の高誘電率樹脂組成物及びその樹脂フィルムは、いずれも、(A)樹脂100質量部に対して(B)導電性酸化物粒子を0.03~13.0質量部配合させたものであり、カーボンナノパウダーやチタン酸バリウム粒子を含有させた各比較例よりも高い誘電率を示すことが分かる。
 即ち、前述したように、樹脂中に導電性フィラーを添加した高誘電率樹脂材料では、実質的に電極間距離(誘電体の厚み)が小さくなることにより、誘電率が増大すると考えられる。この効果そのものは、導電性フィラーの種類に依存するものではないため、導電性フィラーの種類を変えても誘電率は大きく変化しないと考えられていた。しかしながら、本発明(本実施例)では、上記表1~3に示すように、導電性酸化物粒子を用いることによって、カーボンナノパウダーと比較して、非常に高い誘電率の増大効果及び低誘電正接を発揮し得る。更に、樹脂中にチタン酸バリウム等の高誘電率の金属酸化物フィラーを添加したものと比較しても、本実施例では、特定の誘電率を設定する場合は少ない添加量となり、成形性も良好なものである。

Claims (9)

  1.  (A)樹脂と(B)導電性酸化物粒子とを含有し、上記(A)樹脂100質量部に対して上記(B)導電性酸化物粒子を0.03~13.0質量部配合してなることを特徴とする高誘電率樹脂組成物。
  2.  上記(B)導電性酸化物粒子の酸化物は、酸化スズ、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化亜鉛及び酸化カドミウムの群から選ばれる少なくとも1種を含む酸化物又は複合酸化物である請求項1記載の高誘電率樹脂組成物。
  3.  上記(B)導電性酸化物粒子の酸化物は、アンチモンドープ酸化スズ又はスズドープ酸化インジウムである請求項1記載の高誘電率樹脂組成物。
  4.  上記(B)導電性酸化物粒子の平均粒子径が100nm以下である請求項1~3のいずれか1項記載の高誘電率樹脂組成物。
  5.  上記(A)樹脂は、ポリスチレン樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、ポリ乳酸樹脂、6ナイロン樹脂、66ナイロン樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリフェニレンスルファイド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂及びポリフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体樹脂の群から選ばれる少なくとも1種を含む熱可塑性樹脂である請求項1~4のずれか1項記載の高誘電率樹脂組成物。
  6.  請求項1~5のいずれか1項記載の高誘電率樹脂組成物を含有することを特徴とする成形品。
  7.  体積抵抗率が1×109~1×1015Ω・cmである請求項6記載の成形品。
  8.  上記成形品がフィルムである請求項6又は7記載の成形品。
  9.  請求項1~5のいずれか1項記載の高誘電率樹脂組成物を含有することを特徴とする電気・電子部品。
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