WO2018056334A1

WO2018056334A1 - 車両用シート

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Publication number: WO2018056334A1
Application number: PCT/JP2017/033988
Authority: WO
Inventors: 藤田　悦則; 小倉　由美; 杉本　栄治; 中村　実; 竜次桑野
Original assignee: デルタ工業株式会社; 株式会社デルタツーリング
Priority date: 2016-09-26
Filing date: 2017-09-20
Publication date: 2018-03-29
Also published as: CN109789822A; EP3517358A1; US10766389B2; CN109789822B; JP2018052178A; US20200023760A1; EP3517358B1; JP6719736B2; EP3517358A4

Abstract

弾性作用と減衰特性をバランスよく機能させ、振動吸収特性、並びにそれを初めとする衝撃吸収特性等のさらなる改善に寄与する。　シートクッション部１０が、前縁フレーム１０１及び後縁フレーム１０２間にループ状に掛け回され、上下に間隔をおいて設けられている上層部１０７１及び下層部１０７２を有するベース布帛１０７を備え、このベース布帛１０７の各側縁部に金属製の線材１０７３を設け、各線材１０７３の各端部と前縁フレーム１０１又は後縁フレーム１０２との間にばね部材としてのコイルスプリング１０８，１０９を設けた構成である。振動や衝撃等によってさらに荷重がかかった場合には、上層部１０７１が下層部１０７２に接触し、下層部１０７２も上下に変位する。それにより、線材１０７３を介して接続されたコイルスプリング１０８，１０９が伸縮し、その弾性力が作用する。

Description

車両用シート

　本発明は、自動車などの車両用シート、特にリヤシートとして適する車両用シートに関する。

　特許文献１には、リヤシートに適する車両用シートが開示されている。この車両用シートは、シートクッション部の前縁フレームに、板ばねを介して硬質の合成樹脂からなるプレート部材を配設し、その上部にウレタン製のシートクッション用パッドを配設している。プレート部材の後縁部は固定されておらず、前縁部のみが上記の板ばねによって支持されているため、前縁部を中心として、後縁部側が上下方向に変位するように弾性付勢されている。

特開２０１４－１０８７４１号公報

　特許文献１に記載の車両用シートは、上記したように、プレート部材を板ばねによって前縁フレームのみに支持した片持ち構造とすることで、弾性力を利用して、振動吸収特性の向上を図ったものである。また、プレート部材がシートクッション用パッドよりも硬質の合成樹脂からなるため、集中荷重とならず体圧分散性にも優れている。しかしながら、弾性作用の利用に重点がおかれた構造で、減衰特性の点で改善の余地があった。

　本発明は上記に鑑みなされたものであり、弾性作用と減衰特性をバランスよく機能させ、振動吸収特性、並びにそれを初めとする衝撃吸収特性等のさらなる改善に寄与できる車両用シートを提供することを課題とする。

　上記課題を解決するため、本発明の車両用シートは、
　シートクッション部とシートバック部を備えた車両用シートにおいて、
　前記シートクッション部が、
　前後に所定間隔をおいて配設される前縁フレーム及び後縁フレームと、前記前縁フレーム及び前記後縁フレームの長手方向に沿った対応する各端部間に配設される一対のサイドフレームとを備えたクッションフレームと、
　前記前縁フレーム及び前記後縁フレーム間にループ状に掛け回され、上下に間隔をおいて設けられている上層部及び下層部を有するベース布帛と、
　前記ベース布帛における前記下層部の各側縁部に、前後方向に沿って設けられた金属製の線材と、
　前記前縁フレームと前記各線材の前端部との間、及び、前記後縁フレームと前記各線材の後端部との間に掛け渡されるばね部材と
を有することを特徴とする。

　前記線材が、硬鋼線又はばね鋼線であることが好ましい。また、前記ばね部材が、コイルスプリングであることが好ましい。

　また、前記クッションフレームの前記後縁フレームの後方に突出するように設けられる車体取り付けブラケットを備え、前記前縁フレームに作用する力が、前記一対のサイドフレームを介して、前記車体取り付けブラケットに伝達される構成であることが好ましい。

　前記シートバック部は、前記車体取り付けブラケットを介して連結されるバックフレームを備え、前記バックフレームが、略方形状に形成された外枠フレームと、前記外枠フレーム内で上下方向に沿って配置され、着座者の背を支持する体幹支持プレートと、前記体幹支持プレートに交差するように、車幅方向に沿って配設されると共に、交差部において前記体幹支持プレートに固定されている交差フレームとを有して構成され、前記体幹支持プレート及び前記交差フレームが前記クッションフレーム方向への力の伝達経路となっていることが好ましい。
　なお、本発明の車両用シートは、特にリヤシートとして適している。

　本発明の車両用シートによれば、シートクッション部が、前縁フレーム及び後縁フレーム間にループ状に掛け回され、上下に間隔をおいて設けられている上層部及び下層部を有するベース布帛を備え、このベース布帛の下層部の各側縁部に金属製の線材を設け、各線材の各端部と前縁フレーム又は後縁フレームとの間にばね部材を設けた構成である。よって、荷重がかかった際には、前縁フレーム及び後縁フレームに掛け回されているに過ぎないベース布帛の上層部が下方に変位していくため、力を減衰させる。振動や衝撃等によってさらに荷重がかかった場合には、上層部が下層部に接触し、下層部も上下に変位する。それにより、線材を介して接続されたばね部材が伸縮し、その弾性力が作用する。従って、本発明によれば、ベース布帛の上層部の変位に伴う減衰特性と下層部の変位に伴うばね部材の弾性作用とをバランスよく機能させることができる。さらに言えば、ベース布帛に係合された前後の各ばね部材は、いずれも金属製の線材を介して直列接続になっており、それによりばね定数が低下するため、ベース布帛の減衰比を高くできる。そのため、薄型でありながら、高い減衰力を発揮でき、振動吸収特性や衝撃吸収特性のさらなる向上に寄与できる。該線材として硬鋼線を採用した場合には、それに連結される前後の各ばね部材の弾性力を効果的に引き出すことができ、ばね鋼線を採用した場合には、該ばね鋼線自体の弾性力も機能することで、振動吸収特性や衝撃吸収特性をさらに高めることができる。また、ベース布帛の各側部に金属製の線材を配置することで、体圧分散の点でも優れている。

図１は、本発明の一の実施形態にかかるリヤシートを示した外観斜視図である。図２は、クッションフレーム及びバックフレームを示した斜視図である。図３は、図２の平面図である。図４は、バックフレームの別の態様を説明するための図である。図５（ａ）は、クッションフレームの平面図であり、図５（ｂ）は、図５（ａ）のＡ－Ａ線断面図である。図６（ａ）は、クッションフレームの斜視図であり、図６（ｂ）は、図６（ａ）のＢ－Ｂ線断面図である。図７は、クッションフレームの分解斜視図である。図８は、上記実施形態の作用を説明するための図であり、図８（ａ）は無負荷時の状態を、図８（ｂ）は着座時の状態を、図８（ｃ）は振動が入力された時の状態を示した図である。

　以下、図面に示した実施形態に基づき、本発明をさらに詳細に説明する。図１～図８は、本発明の車両用シートの構成をリヤシート１に適用した例を示したものである。このリヤシート１は、図１に示したように、シートクッション部１０及びシートバック部２０を有して構成される。シートクッション部１０は、本実施形態では、車幅方向に所定間隔離間した２つのサイドシート部１１，１２と、それらの間のセンターシート部１３とを有している。

　シートクッション部１０は、クッションフレーム１００、シートクッション用パッド１１０、シートクッション用被覆部材１２０を有して構成される（図８参照）。クッションフレーム１００は、車幅方向に伸び、前後に所定間隔をおいて配設される前縁フレーム１０１及び後縁フレーム１０２と、前縁フレーム１０１及び後縁フレーム１０２の対応する各端部間に配設される一対のサイドフレーム１０３，１０４とを備えて構成される（図２～図５等参照）。後縁フレーム１０２には、後方に突出する車体取り付けブラケット１０５が適宜の間隔をおいて３箇所に設けられており、この車体取り付けブラケット１０５をボルトで車体の所定位置に固定して配置される。

　このように本実施形態では、シートクッション部１０のクッションフレーム１００が、前縁フレーム１０１及び後縁フレーム１０２を有し、両者間にサイドフレーム１０３，１０４が掛け渡され、平面視で略方形に形成されている。従って、前後に大きな衝撃が加わった際には、衝撃が前縁フレーム１０１から各サイドフレーム１０３，１０４を介して後縁フレーム１０２に伝達され、さらに、車体取り付けブラケット１０５を介して車体に伝達される構成である。そのため、前縁側においては、従来のリヤシートのように車体に複数箇所で固定する必要がなく、前縁フレーム１０１の中央付近１箇所で固定すれば強度的に十分である。また、シートクッション用パッド１１０として従来より薄いものを使用しても、衝撃エネルギーが効率よく分散される。

　前縁フレーム１０１及び後縁フレーム１０２間には、各サイドフレーム１０３，１０４と略平行に、車幅方向に沿って４本のワイヤ１０６が掛け渡されている。具体的には、各サイドフレーム１０３，１０４のすぐ内側に２本のワイヤ１０６，１０６が配設され、その２本のワイヤ１０６，１０６間に車幅方向に略均等間隔で他の２本のワイヤ１０６，１０６が配設されており、隣接する各ワイヤ１０６，１０６間が、上記した各サイドシート部１１，１２及びセンターシート部１３に対応する位置となっている。なお、これらのワイヤ１０６は、シートクッション用被覆部材１２０をつり込んで支持するために利用される。

　隣接する各ワイヤ１０６，１０６間には、ベース布帛１０７がそれぞれ配設される。すなわち、ベース布帛１０７は、上記した各サイドシート部１１，１２及びセンターシート部１３に対応する位置に３つ設けられている。ベース布帛１０７は、それぞれ前縁フレーム１０１と後縁フレーム１０２との間に、前後方向に沿ってループ状に掛け渡される。そのため、上下方向に、前縁フレーム１０１及び後縁フレーム１０２の直径分に相当する間隔をもって（図８（ａ）参照）、上層部１０７１及び下層部１０７２を有している。前縁フレーム１０１及び後縁フレーム１０２は、所定位置に固定されており、それら自体が変位するようには設けられておらず、ベース布帛１０７は、このように固定して設けられた前縁フレーム１０１及び後縁フレーム１０２に単に掛け回されているだけで、掛け回された状態で強い張力がかかっているわけではない。従って、ベース布帛１０７に下方向に荷重がかかった際には、上層部１０７１は下層部１０７２に接触するまでの間、該荷重による力を受け止めつつ下方に変位して減衰する作用を果たす。

　ベース布帛１０７は、このような機能を果たすために、前縁フレーム１０１及び後縁フレーム１０２間に、伸び率５％以下で掛け渡されていることが好ましく、伸び率０％で掛け渡されていることがより好ましい。さらには、多少の弛みを有する程度に掛け渡されていることが好ましい。

　ベース布帛１０７の下層部１０７２の各側縁部１０７２ａ，１０７２ａには、前後方向に沿って設けられた金属製の線材１０７３，１０７３が配設される。配設方法は任意であり、例えば各側縁部１０７２ａ，１０７２ａを筒状に形成すると共に、その内部に線材１０７３，１０７３を挿通して配設することができる。なお、筒状の各側縁部１０７２ａ，１０７２ａは、前後方向の長さが、ベース布帛１０７の幅方向中心における前後方向の長さよりも短くなっており、各側縁部１０７２ａ，１０７２ａは前縁フレーム１０１及び後縁フレーム１０２に接触していない。従って、筒状の各側縁部１０７２ａ，１０７２ａに線材１０７３，１０７３を挿通すると、前端部１０７３ａ及び後端部１０７３ｂが筒状の各側縁部１０７２ａ，１０７２ａから前後方向各端部から突出する（図５（ａ）参照）。

　各線材１０７３，１０７３は、ばね部材に連結される。ばね部材としては、本実施形態のようにコイルスプリング１０８，１０９を用いることが好ましい。具体的には、前縁フレーム１０１に溶接した被係合部１０１ａと線材１０７３の前端部１０７３ａとに、前側コイルスプリング１０８の各フックを係合して掛け渡し、後縁フレーム１０２に溶接した被係合部１０２ａと線材１０７３の後端部１０７３ｂとに、後側コイルスプリング１０９の各フックを係合して掛け渡す。なお、前縁フレーム１０１に設けられる被係合部１０１ａ及び後縁フレーム１０２に設けられる被係合部１０２ａは、いずれも、ベース布帛１０７の各側縁部１０７２ａ，１０７２ａの延長線上付近となるように設けられる。これにより、前側コイルスプリング１０８、線材１０７３及び後側コイルスプリング１０９は、図５に示したように、それぞれ対応するもの同士が、略一直線上に、あるいは、各コイルスプリング１０８，１０９の姿勢が線材１０７３の配置方向に対して若干斜めであるにしても全体として前後方向に沿った向きで配設されることになる。従って、各コイルスプリング１０８，１０９は、線材１０７３を介して直列接続となり、ばね定数が低下する。ばね定数が低下するため、各コイルスプリング１０８，１０９及び線材１０７３を介して支持されるベース布帛１０７の入力振動に対する減衰比が高い構造となる。これにより、ベース布帛１０７は、上下のストロークが小さくても、高い減衰特性を発揮させることができる。

　線材１０７３としては鋼線を用いることが好ましく、なかでも、硬鋼線又はばね鋼線を用いることがより好ましい。硬鋼線を用いた場合には、図８（ｃ）に想像線で示したように、剛性が高く、人が着座した状態で振動入力があった場合でも、ほぼ直線状となっており、前後の各コイルスプリング１０８，１０９の弾性をよく引き出すように作用する。ばね鋼線を用いた場合には、図８（ｃ）の想像線で示したように、上下変位に応じて撓むため、ばね鋼線自体の弾性がさらに作用し、前後の各コイルスプリング１０８，１０９と共に、直列接続のばね要素の一つとなるため、減衰比をさらに高めることができる。硬鋼線を用いるかばね鋼線を用いるかは、求められる着座フィーリングや性能に応じて選択することができる。

　また、線材１０７３，１０７３は、各ベース布帛１０７において各側縁部１０７２ａ，１０７２ａに設けられることから、荷重集中を低減し、体圧分散性を高める機能も果たすことができる。この場合、硬鋼線を用いると、剛性が高まるため、体圧分散性の点ではより好ましい。

　ここで、ベース布帛１０７は、二次元の布帛（織布、不織布、編物又はネット等のいずれのタイプも含む）を用いることができるが、三次元の布帛（織布、不織布、編物又は、ネット等のいずれのタイプも含む）を用いると、各糸間や繊維間での厚み方向の摩擦により、さらに高い減衰力が得られるため好ましい。なかでも、一対のグランド編地間に連結糸を往復させて編成した三次元立体編物を用いると、隣接する連結糸間の摩擦力が作用しやすいためより好ましい。

　このようにして設けられた各ベース布帛１０７の上部には、前縁フレーム１０１及び後縁フレーム１０２に前後の部位が支持されるウレタン等からなるシートクッション用パッド１１０が配設される。そして、その表面がシートクッション用被覆部材１２０で被覆される（図８参照）。

　シートバック部２０は、バックフレーム２００に、一体発泡成形等により、シートバック用パッド（図示せず）が支持され、その表面がシートバック用被覆部材２２０で被覆されて構成される（図１参照）。バックフレーム２００は、例えば、図２及び図３に示したように、車幅方向に６：４の割合で分割され、いずれもパイプ材を略方形状に加工して形成された第１外枠フレーム２０１と第２外枠フレーム２０２とを有する構造とすることができる。第１外枠フレーム２０１は、上記したシートクッション部１０の一方のサイドシート部１１及びセンターシート部１３とを合わせた幅を有し、第２外枠フレーム２０２は他方のサイドシート部１２に相当する幅を有している。

　そして、第１外枠フレーム２０１の両サイドフレーム２０１ａ，２０１ｂの下部及び第２外枠フレーム２０２の両サイドフレーム２０２ａ，２０２ｂの下部がそれぞれ、クッションフレーム１００の後縁フレーム１０２から後方に突出する３つの車体取り付けブラケット１０５の中途にボルト連結されている。

　第１外枠フレーム２０１においては、一方のサイドシート部１１に着座する人の背（特に背の中心付近）に対応する位置、センターシート部１３に着座する人の背（特に背の中心付近）に対応する位置に、それぞれ、該第１外枠フレーム２０１の上部フレーム２０１ｃ及び下部フレーム２０１ｄ間に上下方向に沿って体幹支持プレート２０３，２０４が配設されている。第２外枠フレーム２０２においては、他方のサイドシート部１２に着座する人の背（特に背の中心付近）に対応する位置に、該第２外枠フレーム２０２の上部フレーム２０２ｃ及び下部フレーム２０２ｄ間に上下方向に沿って体幹支持プレート２０５が配設されている。

　体幹支持プレート２０３，２０４，２０５は、上下方向略中央部よりも下方の部位が前面方向に膨出する形状に形成されており、この膨出部２０３ａ，２０４ａ，２０５ａより上の中途部、すなわち上下方向略中央部が相対的に弱い部分となっている。その一方、各外枠フレーム２０１，２０２に連結されている端部付近は変形しにくいため、体幹支持プレート２０３，２０４，２０５は、通常時において人の背を支持しつつ、人の背をシートバック部２０に押しつける方向に大きな荷重が付加された場合には、各外枠フレーム２０１，２０２の上部側が後方に変位するように、各外枠フレーム２０１，２０２の全体が後傾する。すなわち、体幹を支える機能を果たしながら、衝撃吸収のために外枠フレーム２０１，２０２が後傾していくようになっており、第１外枠フレーム２０１及び第２外枠フレーム２０２の全ての面をパネル状にしなくても、効率的に荷重を支持し、衝撃を吸収することができる。

　体幹支持プレート２０３，２０４，２０５はまた、断面形状が略コ字状（あるいはハット形）に形成されている。このため、後方からかかる荷重、特に、荷室の荷物が急ブレーキなどにより前方に移動し、それによって所定以上の荷重がかかる場合、断面略コ字状でそのうち開放面が後方に向いているため、断面略コ字状の側部が座屈するような変形をする。よって、その変形により衝撃エネルギーを吸収することができる。そしてさらに、その衝撃エネルギーが所定以上であれば体幹支持プレート２０３，２０４，２０５の上下方向略中央部が相対的に弱い部分となっているため、略く字状に変形して衝撃を吸収する。従って、本実施形態のバックフレーム２００によれば、前後いずれからかかる衝撃エネルギーも効率よく吸収することができる。

　第１外枠フレーム２０１の体幹支持プレート２０３，２０４は上下方向略中央部において、具体的には膨出部２０３ａ，２０４ａより若干上の部分で車幅方向に沿う補強フレーム２０６が各交差部で溶接されて固定されている。これにより、シートバック部２０に付与される衝撃等に伴うエネルギーは、体幹支持プレート２０３，２０４に対応する位置はもちろんのこと、そこから外れた位置に付加された場合でも、この補強フレーム２０６を介して、体幹支持プレート２０３，２０４及び第１外枠フレーム２０１を経由して、クッションフレーム１００の後縁フレーム１０２及び車体取り付けブラケット１０５へと伝達させて分散することができ、強度及び耐久性を向上させることができる。

　なお、バックフレーム２００としては、図２及び図３に示したような分割タイプではなく、図４に示したような、車幅方向に一つの方形枠からなる外枠フレーム２１００を用いた構成とすることもできる。この場合、体幹支持プレート２０３，２０４，２０５が一つの外枠フレーム２１００内に設けられるため、補強フレーム２０６としては、これらの全てに交差するように設けることが好ましい。これにより、シートバック部２０に付与されるエネルギーが、補強フレーム２０６と、３つの体幹支持プレート２０３，２０４，２０５を介して、外枠フレーム２１００、クッションフレーム１００の後縁フレーム１０２及び車体取り付けブラケット１０５へと伝達させて分散することができ、この場合も、強度及び耐久性を向上させることができる。

　本実施形態によれば、着座すると、図８（ａ）に示した状態から、図８（ｂ）に示したように変化する。この際、ベース布帛１０７の上層部１０７１が下方に変位していくため、力を減衰させる。さらに振動が入力されると、図８（ｃ）に示したように上下に変位する。振動に対しては、線材１０７３によって直列接続された前後の各コイルスプリング１０８，１０９による弾性作用により効果的に除振される。また、各コイルスプリング１０８，１０９が線材１０７３を介して直列接続されているため、これらによって支持されたベース布帛１０７の減衰比が高くなっており、大きな衝撃エネルギーが付加された場合でも、高い減衰力を発揮することができる。しかも、ベース布帛１０７をループ状に掛け回し、下層部１０７２に設けた線材１０７３を介してコイルスプリング１０８，１０９で支持するだけの構成であるため、これらの部材を含む範囲の厚さは、前縁フレーム１０１と後縁フレーム１０２の各直径を若干上回る程度とすることができ、薄型構造でありながら高い減衰力を発揮することができる。よって、下方スペースの小さいリヤシートに用いることが好ましい。但し、本実施形態の構成を、フロントシートに用いることは可能である。

　１　リヤシート
　１０　シートクッション部
　１１，１２　サイドシート部
　１３　センターシート部
　１００　クッションフレーム
　１０１　前縁フレーム
　１０２　後縁フレーム
　１０３，１０４　サイドフレーム
　１０６　ワイヤ
　１０７　ベース布帛
　１１０　シートクッション用パッド
　１２０　シートクッション用被覆部材
　２０　シートバック部
　２００　バックフレーム
　２０１　第１外枠フレーム
　２０２　第２外枠フレーム
　２０３，２０４，２０５　体幹支持プレート
　２２０　シートバック用被覆部材
　２１００　外枠フレーム

Claims

　シートクッション部とシートバック部を備えた車両用シートにおいて、
　前記シートクッション部が、
　前後に所定間隔をおいて配設される前縁フレーム及び後縁フレームと、前記前縁フレーム及び前記後縁フレームの長手方向に沿った対応する各端部間に配設される一対のサイドフレームとを備えたクッションフレームと、
　前記前縁フレーム及び前記後縁フレーム間にループ状に掛け回され、上下に間隔をおいて設けられている上層部及び下層部を有するベース布帛と、
　前記ベース布帛における前記下層部の各側縁部に、前後方向に沿って設けられた金属製の線材と、
　前記前縁フレームと前記各線材の前端部との間、及び、前記後縁フレームと前記各線材の後端部との間に掛け渡されるばね部材と
を有することを特徴とする車両用シート。
　前記線材が、硬鋼線又はばね鋼線である請求項１記載の車両用シート。
　前記ばね部材が、コイルスプリングである請求項１又は２記載の車両用シート。
　前記クッションフレームの前記後縁フレームの後方に突出するように設けられる車体取り付けブラケットを備え、前記前縁フレームに作用する力が、前記一対のサイドフレームを介して、前記車体取り付けブラケットに伝達される構成である請求項１～３のいずれか１に記載の車両用シート。
　前記シートバック部は、
　前記車体取り付けブラケットを介して連結されるバックフレームを備え、
　前記バックフレームが、
　略方形状に形成された外枠フレームと、
　前記外枠フレーム内で上下方向に沿って配置され、着座者の背を支持する体幹支持プレートと、
　前記体幹支持プレートに交差するように、車幅方向に沿って配設されると共に、交差部において前記体幹支持プレートに固定されている交差フレームと
を有して構成され、
　前記体幹支持プレート及び前記交差フレームが前記クッションフレーム方向への力の伝達経路となっている請求項４記載の車両用シート。
　リヤシートとして用いられる請求項１～５のいずれか１に記載の車両用シート。