WO2017145875A1

WO2017145875A1 - 噛合チェーン及び可動体移動装置

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Publication number: WO2017145875A1
Application number: PCT/JP2017/005380
Authority: WO
Inventors: 威志餌取
Original assignee: 株式会社椿本チエイン
Priority date: 2016-02-22
Filing date: 2017-02-14
Publication date: 2017-08-31
Also published as: KR20180033264A; TW201736753A; EP3421410A1; JP2017149505A; KR101929722B1; CN107848779A; EP3421410B1; US20180216703A1; US10295018B2; EP3421410A4; JP6078672B1; CN107848779B; TWI614426B

Abstract

噛合チェーン（１２）は、進退可能な一対のチェーン部材（１２ａ，１２ｂ）を有する。チェーン部材（１２ａ，１２ｂ）は、一対のピン孔（２３ａ，２３ｂ）をそれぞれ有する複数のリンクプレート（２１，２２）と、複数の連結ピン（２４）とを備える。複数のリンクプレート（２１，２２）は、ピン孔（２３ａ，２３ｂ）において連結ピン（２４）によって回動自在に直列に連結される。一対のピン孔（２３ａ，２３ｂ）は、進退方向（Ｚ）に並んで配置されるとともに、互いに大きさが異なる。各チェーン部材（１２ａ，１２ｂ）の各連結ピン（２４）は、進退方向（Ｚ）に隣り合う２つのリンクプレート（２１，２２）のうちの一方のリンクプレートのピン孔（２３ａ，２３ｂ）のうち小さい方のピン孔（２３ａ）に密嵌され、且つ他方のリンクプレートのピン孔（２３ａ，２３ｂ）のうち大きい方のピン孔（２３ｂ）に遊嵌される。チェーン部材（１２ａ，１２ｂ）同士が一体化された状態では、対向する連結ピン（２４）同士のピン孔（２３ａ，２３ｂ）に対する嵌合状態が同じになる。

Description

噛合チェーン及び可動体移動装置

　本発明は、噛合チェーン及び当該噛合チェーンを用いて可動体を移動させる可動体移動装置に関する。

　従来、この種の噛合チェーンとして、噛合チェーン式駆動装置に組み込まれて使用されるものが知られている（例えば、特許文献１参照）。このような噛合チェーン式駆動装置では、進退可能な一対の噛合チェーンを駆動させることにより、昇降テーブルが昇降される。一対の噛合チェーンは、進行方向への移動に伴い相互に噛み合って一体化する一方で、退行方向への移動に伴い噛み合いが解消されて分岐する。

　こうした噛合チェーンは、長手方向に連結された複数の外リンクプレートと複数の内リンクプレートとにより形成されている。複数の外リンクプレート及び複数の内リンクプレートの各々は一対のピン孔を有している。長手方向に隣り合う外リンクプレートと内リンクプレートとは、それぞれのピン孔に連結ピンが挿入されることにより屈曲可能に連結されている。複数の外リンクプレートがチェーンの幅方向に配置されており、チェーンの幅方向に隣り合う各対の外リンクプレートの間に内リンクプレートが配置されている。チェーンの幅方向に重なり合う複数の外リンクプレート及び複数の内リンクプレートのピン孔には、共通の連結ピンが挿入されている。

特開２０１０－１３８９２６号公報

　ところで、上述のような噛合チェーンでは、チェーンの幅方向の両側方の最外方に位置する外リンクプレートが有する一対のピン孔と、内リンクプレートが有する一対のピン孔との大きさが異なっている。そのため、外リンクプレートと内リンクプレートとを同じ構成（共通部品）にすることができない。このため、噛合チェーンを構成する部品の種類を低減することが困難であるという問題がある。

　本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、チェーン部材を構成する部品の種類を低減することができる噛合チェーン及び可動体移動装置を提供することにある。

　以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
　上記課題を解決する噛合チェーンは、進退可能な少なくとも一対のチェーン部材を有し、対をなすチェーン部材同士が進行方向に移動することで相互に噛み合って一体化する一方、その一体化した噛合状態から前記チェーン部材同士が退行方向に移動することで噛み合いが解消されて分岐する噛合チェーンであって、各チェーン部材は、一対のピン孔をそれぞれ有する複数のリンクプレートと、複数の連結ピンとを備えるとともに、前記複数のリンクプレート同士が前記ピン孔において前記連結ピンによって回動自在に直列に連結されて形成されており、各リンクプレートの前記一対のピン孔は、前記チェーン部材の進退方向に並んで配置されるとともに、互いに大きさが異なり、各チェーン部材の複数の連結ピンの各々は、前記進退方向において隣り合う２つのリンクプレートのうちの一方のリンクプレートの一対のピン孔のうちの小さい方のピン孔に密嵌され、且つ他方のリンクプレートの一対のピン孔のうちの大きい方のピン孔に遊嵌され、前記チェーン部材同士が噛み合って一体化された状態では、前記進退方向及び前記連結ピンの延びる方向の両方向と直交する方向において対向する連結ピン同士のピン孔に対する嵌合状態が同じになる。

　この構成によれば、対をなすチェーン部材のうちの一方のチェーン部材を構成するリンクプレートと他方のチェーン部材を構成するリンクプレートとを同じ構成（共通部品）にすることができるので、チェーン部材を構成する部品の種類を低減することができる。

　上記噛合チェーンにおいて、各リンクプレートは爪部を有し、対をなすチェーン部材同士は、一方のチェーン部材のリンクプレートの爪部と他方のチェーン部材のリンクプレートの爪部とが噛み合うことにより一体化し、各リンクプレートにおいて、前記爪部は、前記一対のピン孔のうち大きい方のピン孔よりも、小さい方のピン孔に近い位置に配置されることが好ましい。

　この構成によれば、対をなすチェーン部材のリンクプレートの爪部同士の噛合状態を安定させることができる。
　上記噛合チェーンにおいて、各リンクプレートは爪部を有し、対をなすチェーン部材同士は、一方のチェーン部材のリンクプレートの爪部と他方のチェーン部材のリンクプレートの爪部とが噛み合うことにより一体化し、各リンクプレートにおいて、前記爪部は、前記一対のピン孔のうち小さい方のピン孔よりも、大きい方のピン孔に近い位置に配置されることが好ましい。

　この構成によれば、対をなすチェーン部材のリンクプレートの爪部同士が噛合する際のずれを吸収することができる。
　上記噛合チェーンにおいて、各チェーン部材は、前記複数の連結ピンと前記複数のリンクプレートとによって構成されていることが好ましい。

　この構成によれば、チェーン部材が２種類の部品のみで構成されるので、チェーン部材の構造を簡単にすることができる。
　上記課題を解決する可動体移動装置は、上記構成の噛合チェーンと、前記噛合チェーンに連結されて前記噛合チェーンとともに前記噛合チェーンの進退方向へ移動可能な可動体とを備える。

　この構成によれば、上記噛合チェーンと同様の作用効果を得ることができる。

　本発明によれば、チェーン部材を構成する部品の種類を低減することができる。

一実施形態の可動体移動装置において、噛合チェーンが進行方向へ移動したときの状態を示す正面図。同可動体移動装置において、噛合チェーンが退行方向へ最も移動したときの状態を示す正面図。同可動体移動装置を構成する噛合チェーンの一部を示す斜視図。同噛合チェーンを構成するチェーン部材の一部を示す分解斜視図。同噛合チェーンの一部を示す正面拡大図。変更例の噛合チェーンの一部を示す正面拡大図。

　以下、可動体移動装置の一実施形態を図面に従って説明する。
　図１に示すように、可動体移動装置１１は、噛合チェーン１２と、固定状態で配置される収容部１３と、噛合チェーン１２の先端にジョイントリンク１４を介して連結された可動体１５とを備えている。噛合チェーン１２は、互いに噛合可能な一対のチェーン部材１２ａ，１２ｂを有するとともに、その長手方向に沿って進退可能である。

　以下の記載では、可動体１５を移動させる際の噛合チェーン１２の進退方向を進退方向Ｚとする。この場合、噛合チェーン１２の進行方向（図１では上方向）を進行方向Ｚ１とし、噛合チェーン１２の退行方向（図１では下方向）を退行方向Ｚ２とする。また、進退方向Ｚと直交する方向のうち、対をなすチェーン部材１２ａ，１２ｂ同士が相互に噛み合って一体化した噛合状態にある噛合チェーン１２が退行方向への移動に伴いチェーン部材１２ａ，１２ｂ同士の噛み合いが解消されて分岐される方向を分岐方向Ｘ（図１では左右方向）とする。さらに、進退方向Ｚ及び分岐方向Ｘの両方向と直交する方向を前後方向Ｙ（図１では紙面と直交する方向）とする。図１及び図２では、収容部１３の外装の図示を省略して、収容部１３の内部構成を図示している。

　図１に示すように、収容部１３は、噛合チェーン１２を収容可能に構成されている。収容部１３内における分岐方向Ｘの中央部には、スプロケット１６がチェーン部材１２ｂ（噛合チェーン１２）と噛み合うように設けられている。スプロケット１６は、前後方向Ｙに延びる軸線の周りに正逆両方向に回転可能である。スプロケット１６は、図示しないモーターによって正逆両方向に回転駆動される。そして、このスプロケット１６の回転駆動に伴って噛合チェーン１２は進退方向Ｚに沿って進退する。

　収容部１３は、前後方向Ｙにおいて外装（図示略）と略同一の矩形状をなす誘導板１７を備えている。誘導板１７の内側面には、一対の誘導溝１８が図１においてほぼ左右対称となるように設けられている。一対の誘導溝１８は、噛合状態から分岐した一対のチェーン部材１２ａ，１２ｂが渦巻きながら移動するように、一対のチェーン部材１２ａ，１２ｂを誘導可能な渦巻状の部分を有している。

　収容部１３において、外装（図示略）の内側面には、誘導板１７の一対の誘導溝１８と対応するように一対の誘導溝１８が設けられている。したがって、収容部１３の前後方向Ｙにおける両内側面には、一対の誘導溝１８同士がそれぞれ対向するように設けられている。収容部１３における進行方向Ｚ１側の面における分岐方向Ｘのほぼ中央部には、噛合チェーン１２を通すための開口部１９が形成されている。

　図３及び図４に示すように、本実施形態において、噛合チェーン１２を構成する一対のチェーン部材１２ａ，１２ｂには、一列のチェーン部材が採用されている。そして、一対のチェーン部材１２ａ，１２ｂは、進退方向Ｚに沿った直列方向へ順次に直列に連結されるリンクプレートの一例としての複数対の内プレート２１と、リンクプレートの一例としての複数対の外プレート２２とをそれぞれ有している。

　内プレート２１及び外プレート２２は、互いに同じ構成を有しており、鉤状の爪部２５をそれぞれ有している。チェーン部材１２ａの各外プレート２２及び各内プレート２１に設けられた爪部２５は、進行方向Ｚ１側から噛合可能である。一方、チェーン部材１２ｂの各外プレート２２及び各内プレート２１に設けられた爪部２５は、退行方向Ｚ２側から噛合可能である。したがって、チェーン部材１２ａの外プレート２２及び内プレート２１の爪部２５と、チェーン部材１２ｂの外プレート２２及び内プレート２１の爪部２５とは互いに噛合可能である。

　すなわち、一対のチェーン部材１２ａ，１２ｂ同士は、各外プレート２２の爪部２５及び各内プレート２１の爪部２５においてそれぞれ噛合する。
　さらに、各内プレート２１及び各外プレート２２には、円形状の一対のピン孔２３ａ，２３ｂが貫通して形成されている。一対のピン孔２３ａ，２３ｂは、チェーン部材１２ａ，１２ｂの進退方向Ｚに沿った直列方向に並んで配置されている。一対のピン孔２３ａ，２３ｂは互いに大きさが異なっている。本実施形態の各内プレート２１及び各外プレート２２では、ピン孔２３ａの方がピン孔２３ｂよりも若干小さく形成されている。各内プレート２１及び各外プレート２２において、爪部２５は、ピン孔２３ｂよりもピン孔２３ａに近い位置に配置されている。

　さらに、一対のチェーン部材１２ａ，１２ｂは、進退方向Ｚに沿った直列方向で端部同士が重なって隣り合う各対の内プレート２１と各対の外プレート２２とをピン孔２３ａ，２３ｂにおいて回動自在に直列に連結する円柱状の連結ピン２４を有している。連結ピン２４は、外プレート２２のピン孔２３ａ，２３ｂのうちの小さい方のピン孔２３ａに密嵌され、且つ内プレート２１のピン孔２３ａ，２３ｂのうちの大きい方のピン孔２３ｂに遊嵌されるか、或いは、外プレート２２のピン孔２３ａ，２３ｂのうちの大きい方のピン孔２３ｂに遊嵌され、且つ内プレート２１のピン孔２３ａ，２３ｂのうちの小さい方のピン孔２３ａに密嵌される。

　すなわち、連結ピン２４は、ピン孔２３ａ，２３ｂのうちの小さい方のピン孔２３ａに対して回動不能に嵌合され且つ大きい方のピン孔２３ｂに対して回動可能に嵌合される。この場合、各内プレート２１及び各外プレート２２において、爪部２５は、ピン孔２３ｂよりも連結ピン２４が密嵌されるピン孔２３ａに近い位置に配置される。

　なお、本実施形態の一対のチェーン部材１２ａ，１２ｂは、ブシュやローラを必要とすることなく、連結ピン２４と、互いに同一の構成を有する内プレート２１及び外プレート２２とによって構成されている。すなわち、一対のチェーン部材１２ａ，１２ｂは、２種類の部品のみで構成されている。

　連結ピン２４の両端部は、前後方向Ｙにおいて外プレート２２よりも外側に突出している。そして、一対のチェーン部材１２ａ，１２ｂが収容部１３内に収容される際には、チェーン部材１２ａの連結ピン２４の両端部が、収容部１３内にて前後方向Ｙでそれぞれ対向する二対の誘導溝１８のうちの一方の対の誘導溝１８に摺動可能に挿入されるとともに、チェーン部材１２ｂの連結ピン２４の両端部が、他方の対の誘導溝１８に摺動可能に挿入される。

　すなわち、一対のチェーン部材１２ａ，１２ｂが収容部１３内に収容される際には、各連結ピン２４の一端部が収容部１３の誘導板１７に設けられた誘導溝１８に挿入され、他端部が収容部１３の外装（図示略）の内側面に設けられた誘導溝１８に挿入される。

　そして、噛合チェーン１２は、図１に示すように、一対のチェーン部材１２ａ，１２ｂの進行方向Ｚ１への移動に伴って一対のチェーン部材１２ａ，１２ｂ間で対応する外プレート２２の爪部２５同士及び内プレート２１の爪部２５同士がそれぞれ相互に噛み合うことで直棒状に一体化した剛体構造の噛合状態となる。一方、噛合チェーン１２は、図２に示すように、その噛合状態から一対のチェーン部材１２ａ，１２ｂの退行方向Ｚ２への移動に伴って噛み合いが解消されることで分岐方向Ｘに分岐されて大部分が収容部１３内に収容される。なお、一対のチェーン部材１２ａ，１２ｂにおいて互いに噛合する外プレート２２同士と、それらの外プレート２２に進行方向Ｚにおいて隣接し、かつ互いに噛合する内プレート２１同士とは、進退方向Ｚに並ぶ連結ピン２４の１ピッチ分だけ、進退方向Ｚにおける位置がずれている。

　また、図１及び図２に示すように、噛合チェーン１２は、長手方向における進行方向Ｚ１側の端部が可動体１５に連結されている。可動体１５には各種の機能部材（例えば、昇降テーブルやクレーンなど）が取り付けられる。そして、噛合チェーン１２の進退に伴って可動体１５が進退方向Ｚへ移動すると、可動体１５に取り付けられた機能部材も可動体１５と共に進退方向Ｚへ移動する。

　次に、可動体移動装置１１において、一対のチェーン部材１２ａ，１２ｂの進行方向Ｚ１への移動に伴って相互に噛み合うことで、噛合チェーン１２が直棒状に一体化した剛体構造の噛合状態となるときの作用を説明する。

　一対のチェーン部材１２ａ，１２ｂを噛合させて噛合チェーン１２を噛合状態とする場合には、まず、スプロケット１６を図２において時計方向に回転駆動させる。すると、一対のチェーン部材１２ａ，１２ｂは、誘導板１７及び外装（図示略）に設けられた誘導溝１８により連結ピン２４においてそれぞれガイドされながら進行方向Ｚ１へ移動する。これにより、一対のチェーン部材１２ａ，１２ｂにおいて互いに対応する外プレート２２同士及び内プレート２１同士がそれらの爪部２５において交互に順次噛合し、図１に示すように、噛合チェーン１２が噛合状態となる。

　このとき、図５に示すように、噛合チェーン１２は、進退方向Ｚ及び連結ピン２４の延びる方向である前後方向Ｙの両方向と直交する方向である分岐方向Ｘにおいて対向する連結ピン２４同士のピン孔２３ａ，２３ｂに対する嵌合状態が同じになる。すなわち、分岐方向Ｘにおいて対向する２つの連結ピン２４のうちの一方の連結ピン２４が外プレート２２のピン孔２３ｂに遊嵌され、かつ内プレート２１のピン孔２３ａに密嵌されている場合は、他方の連結ピン２４も外プレート２２のピン孔２３ｂに遊嵌され、かつ内プレート２１のピン孔２３ａに密嵌されている。一方、分岐方向Ｘにおいて対向する２つの連結ピン２４のうちの一方の連結ピン２４が外プレート２２のピン孔２３ａに密嵌され、かつ内プレート２１のピン孔２３ｂに遊嵌されている場合は、他方の連結ピン２４も外プレート２２のピン孔２３ａに密嵌され、かつ内プレート２１のピン孔２３ｂに遊嵌されている。

　この場合、チェーン部材１２ａの外プレート２２及び内プレート２１の退行方向Ｚ２側のピン孔２３ｂと、当該外プレート２２及び内プレート２１に対して退行方向Ｚ２側でそれぞれ隣り合うチェーン部材１２ｂの外プレート２２及び内プレート２１の進行方向Ｚ１側のピン孔２３ｂとが分岐方向Ｘにおいて対向する。

　一方、チェーン部材１２ａの外プレート２２及び内プレート２１の進行方向Ｚ１側のピン孔２３ａと、当該外プレート２２及び内プレート２１に対して進行方向Ｚ１側でそれぞれ隣り合うチェーン部材１２ｂの外プレート２２及び内プレート２１の退行方向Ｚ２側のピン孔２３ａとが分岐方向Ｘにおいて対向する。

　このため、チェーン部材１２ａを構成する外プレート２２及び内プレート２１と、チェーン部材１２ｂを構成する外プレート２２及び内プレート２１とを全て同じ構成（共通部品）にすることができる。したがって、一対のチェーン部材１２ａ，１２ｂを構成する部品の種類を低減でき、ひいては噛合チェーン１２を構成する部品の種類を低減できる。

　また、噛合チェーン１２が噛合状態にあるときには、一対のチェーン部材１２ａ，１２ｂの外プレート２２の爪部２５同士の噛合部分及び内プレート２１の爪部２５同士の噛合部分が、それぞれ分岐方向Ｘにおいて対向する２つのピン孔２３ａにそれぞれ密嵌された連結ピン２４同士に挟まれた状態になる。このため、一対のチェーン部材１２ａ，１２ｂの外プレート２２の爪部２５同士の噛合状態及び内プレート２１の爪部２５同士の噛合状態がそれぞれ安定する。

　以上詳述した実施形態によれば、次のような効果が発揮される。
　（１）噛合チェーン１２において、一対のチェーン部材１２ａ，１２ｂ同士が噛み合って一体化された噛合状態では、分岐方向Ｘにおいて対向する連結ピン２４同士のピン孔２３ａ，２３ｂに対する嵌合状態が同じになっている。このため、チェーン部材１２ａを構成する外プレート２２及び内プレート２１と、チェーン部材１２ｂを構成する外プレート２２及び内プレート２１とを全て同じ構成（共通部品）にすることができる。したがって、一対のチェーン部材１２ａ，１２ｂを構成する部品の種類を低減でき、ひいては噛合チェーン１２を構成する部品の種類を低減できる。加えて、一対のチェーン部材１２ａ，１２ｂにおける外プレート２２のピッチと内プレート２１のピッチとの差が無くなるので、噛合チェーン１２とスプロケット１６との円滑な噛み合い状態を実現できる。

　（２）噛合チェーン１２において、一対のチェーン部材１２ａ，１２ｂ同士は、チェーン部材１２ａの外プレート２２及び内プレート２１の爪部２５とチェーン部材１２ｂの外プレート２２及び内プレート２１の爪部２５とが噛み合うことにより一体化する。外プレート２２において、爪部２５は、ピン孔２３ｂよりも連結ピン２４が密嵌されるピン孔２３ａに近い位置に配置されている。同様に、内プレート２１において、爪部２５は、ピン孔２３ｂよりも連結ピン２４が密嵌されるピン孔２３ａに近い位置に配置されている。このため、一対のチェーン部材１２ａ，１２ｂの外プレート２２の爪部２５同士の噛合状態及び内プレート２１の爪部２５同士の噛合状態をそれぞれ安定させることができる。

　（３）噛合チェーン１２において、一対のチェーン部材１２ａ，１２ｂは、連結ピン２４と、互いに同一の構成を有する外プレート２２及び内プレート２１とによって構成されている。このため、一対のチェーン部材１２ａ，１２ｂを２種類の部品だけで構成することができるので、一対のチェーン部材１２ａ，１２ｂの構造を簡単にすることができる。

　（４）噛合チェーン１２は、その構成にブシュを用いていない。このため、ブシュを用いた噛合チェーンに比べて、ブシュの分だけ部品点数を低減できるとともに軽量化を図ることができる。したがって、水平方向と進退方向Ｚとが一致する態様で可動体移動装置１１を使用した場合の噛合チェーン１２の自重による撓み量を低減できる。この結果、噛合チェーン１２のストローク（進退距離）を、ブシュを用いた噛合チェーンに比べて長くすることができる。加えて、噛合チェーン１２はブシュを用いていないので、ブシュと連結ピンとの接触音をなくすことができる。このため、ブシュを用いた噛合チェーンに比べて使用時の騒音を低減することができる。

　（変更例）
　上記実施形態は次のように変更してもよい。
　・図６に示すように、各内プレート２１及び各外プレート２２において、爪部２５を、ピン孔２３ａよりも連結ピン２４が遊嵌されるピン孔２３ｂに近い位置に配置してもよい。この場合、チェーン部材１２ａの外プレート２２及び内プレート２１の進行方向Ｚ１側のピン孔２３ｂと、当該外プレート２２及び内プレート２１に対して進行方向Ｚ１側でそれぞれ隣り合うチェーン部材１２ｂの外プレート２２及び内プレート２１の退行方向Ｚ２側のピン孔２３ｂとが分岐方向Ｘにおいて対向する。一方、チェーン部材１２ａの外プレート２２及び内プレート２１の退行方向Ｚ２側のピン孔２３ａと、当該外プレート２２及び内プレート２１に対して退行方向Ｚ２側でそれぞれ隣り合うチェーン部材１２ｂの外プレート２２及び内プレート２１の進行方向Ｚ１側のピン孔２３ａとが分岐方向Ｘにおいて対向する。さらにこの場合、一対のチェーン部材１２ａ，１２ｂの外プレート２２の爪部２５同士の噛合部分及び内プレート２１の爪部２５同士の噛合部分が、それぞれ分岐方向Ｘにおいて対向する２つのピン孔２３ｂにそれぞれ遊嵌された連結ピン２４同士に挟まれた状態になる。このため、一対のチェーン部材１２ａ，１２ｂの各内プレート２１の爪部２５同士及び各外プレート２２の爪部２５同士が噛合する際のずれを吸収することができる。

　・噛合チェーン１２は、連結ピン２４が挿通されるローラを備えていてもよい。
　・噛合チェーン１２を構成するチェーン部材１２ａ，１２ｂは二列以上のチェーン部材であってもよい。

　・噛合チェーン１２を二対以上のチェーン部材によって構成してもよい。
　・可動体移動装置１１は何れの向きに配置してもよい。例えば、進退方向Ｚが水平方向と一致するように可動体移動装置１１を配置してもよいし、進退方向Ｚが水平方向と交差するように可動体移動装置１１を配置してもよい。

　１１…可動体移動装置、１２…噛合チェーン、１２ａ，１２ｂ…チェーン部材、１５…可動体、２１…リンクプレートの一例としての内プレート、２２…リンクプレートの一例としての外プレート、２３ａ，２３ｂ…ピン孔、２４…連結ピン、２５…爪部、Ｚ…進退方向、Ｚ１…進行方向、Ｚ２…退行方向。

Claims

　進退可能な少なくとも一対のチェーン部材を有し、対をなすチェーン部材同士が進行方向に移動することで相互に噛み合って一体化する一方、その一体化した噛合状態から前記チェーン部材同士が退行方向に移動することで噛み合いが解消されて分岐する噛合チェーンであって、
　各チェーン部材は、一対のピン孔をそれぞれ有する複数のリンクプレートと、複数の連結ピンとを備えるとともに、前記複数のリンクプレート同士が前記ピン孔において前記連結ピンによって回動自在に直列に連結されて形成されており、
　各リンクプレートの前記一対のピン孔は、前記チェーン部材の進退方向に並んで配置されるとともに、互いに大きさが異なり、
　各チェーン部材の複数の連結ピンの各々は、前記進退方向において隣り合う２つのリンクプレートのうちの一方のリンクプレートの一対のピン孔のうちの小さい方のピン孔に密嵌され、且つ他方のリンクプレートの一対のピン孔のうちの大きい方のピン孔に遊嵌され、
　前記チェーン部材同士が噛み合って一体化された状態では、前記進退方向及び前記連結ピンの延びる方向の両方向と直交する方向において対向する連結ピン同士のピン孔に対する嵌合状態が同じになることを特徴とする噛合チェーン。
　各リンクプレートは爪部を有し、
　対をなすチェーン部材同士は、一方のチェーン部材のリンクプレートの爪部と他方のチェーン部材のリンクプレートの爪部とが噛み合うことにより一体化し、
　各リンクプレートにおいて、前記爪部は、前記一対のピン孔のうち大きい方のピン孔よりも、小さい方のピン孔に近い位置に配置されることを特徴とする請求項１に記載の噛合チェーン。
　各リンクプレートは爪部を有し、
　対をなすチェーン部材同士は、一方のチェーン部材のリンクプレートの爪部と他方のチェーン部材のリンクプレートの爪部とが噛み合うことにより一体化し、
　各リンクプレートにおいて、前記爪部は、前記一対のピン孔のうち小さい方のピン孔よりも、大きい方のピン孔に近い位置に配置されることを特徴とする請求項１に記載の噛合チェーン。
　各チェーン部材は、前記複数の連結ピンと前記複数のリンクプレートとによって構成されていることを特徴とする請求項１～請求項３のうちいずれか一項に記載の噛合チェーン。
　請求項１～請求項４のうちいずれか一項に記載の噛合チェーンと、前記噛合チェーンに連結されて前記噛合チェーンとともに前記噛合チェーンの進退方向へ移動可能な可動体とを備えた可動体移動装置。