WO2017043182A1 - 転倒防止装置 - Google Patents
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Abstract
適切な傾斜角度に容易に取り付けることができる転倒防止装置を提供する。 転倒防止装置は、ダンパ(10)、一対のベース部(30A,30B)、及び角度規制部(70)を備えている。ダンパ(10)は床面上に設置された家具(F)の上面と天井(C)との間に取り付けられる。各ベース部(30A,30B)はダンパ(10)の両端部の夫々を回動軸周りに回動自在に連結している。また、第1ベース部(30A)が家具(F)の上面に当接し、第2ベース部(30B)が天井(C)に当接する。角度規制部(70)は第1ベース部(30A)に取り付けられる。この角度規制部(70)はダンパ(10)の傾斜角度を規制する。
Description
本発明は転倒防止装置に関するものである。
特許文献1は従来の転倒防止装置を開示している。この転倒防止装置はダンパと一対のベース部とを備えている。ダンパ(damper)は床面上に設置された家具の上面と天井との間に取り付けられている。一対のベース部はダンパの両端部の夫々を回動軸周りに回動自在に軸支している。一方のベース部は家具の上面に当接し、他方のベース部は天井に当接している。また、この転倒防止装置はダンパの傾斜角度を最適な角度に設定する治具を有している。
この転倒防止装置はダンパを直立させた状態で家具の上面に一方のベース部を当接させて載置する。そして、治具を家具の上面に当接させたベース部に合わせて家具の上面に載置する。その後、ダンパを治具に合わせて傾けて、ダンパを最適な角度にして、他方のベース部を天井に当接させる。その後、治具を家具の上面から取り外す。
このようにして、家具の上面と天井との間に取り付けられた転倒防止装置は、上方から見た平面視において、地震等の揺れによってダンパの回動方向と平行な方向に家具が傾くと、各ベース部に対してダンパが回動軸周りに回動して各ベース部が家具の上面と天井とに当接した状態を維持することができる。よって、この転倒防止装置は、ダンパの減衰力を家具に作用させることができ、家具の傾きを抑制して家具の転倒を防止することができる。
しかし、特許文献1の転倒防止装置は、家具の上面に当接させたベース部に合わせて治具を家具の上面に載置させた状態を保持しつつ、ダンパを治具に合わせて傾けて、他方のベース部を天井に当接させなければならない。家具の上方においてこれらの作業を一人で行うことは困難である。
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、適切な傾斜角度に容易に取り付けることができる転倒防止装置を提供することを解決すべき課題としている。
本発明の転倒防止装置は、ダンパ、一対のベース部、及び角度規制部を備えている。ダンパは設置面上に設置された物品の上面と天井との間に取り付けられる。各ベース部はダンパの両端部の夫々を回動軸周りに回動自在に連結している。また、一方のベース部が物品の上面に当接し、他方のベース部が天井に当接する。角度規制部は物品の上面に当接するベース部に取り付けられる。この角度規制部はダンパの傾斜角度を規制する。
本発明の転倒防止装置の角度規制部は、物品の上面に当接するベース部から立ち上がり、上端にダンパを下側から支持する上方に開放した受部を有し得る。
本発明の転倒防止装置の角度規制部は、物品の上面に当接するベース部から立ち上がり、ダンパを挿通する長孔形状の開口が形成され得る。
本発明の転倒防止装置の角度規制部は、開口の内側に着脱自在に取り付けられ、前記ダンパを支持して前記ダンパの傾斜角度を所定の角度に傾斜させる規制部材を有し得る。
本発明の転倒防止装置の角度規制部は物品の上面に当接するベース部に着脱自在であり得る。
本発明の転倒防止装置は落下防止部を備え得る。この落下防止部は連結部と垂下部とを有している。連結部は、設置面から鉛直方向に立ち上がった壁面に背面を対向させて設置面上に設置された物品の上面に当接するベース部に一方の端部が連結され、他方の端部が物品の背面より外側に位置するように伸びている。垂下部は、連結部の他方の端部から垂下し、前記壁面と前記物品の背面との間に配置される。
本発明の転倒防止装置を具体化した実施形態1~4について、図面を参照しつつ説明する。
<実施形態1>
実施形態1の転倒防止装置は、図1に示すように、家具Fの上面と天井Cとの間に少なくとも1個以上が取り付けられる。この家具Fは、床面(図示せず)から鉛直方向に伸びた壁面Wに背面を対向させて床面上に設置されている。また、この家具Fは、直方体形状であり、正面(図1における右側面)に図示しない扉や引き出し等を有し、内部に衣類や装身具等を収納することができる。家具Fは、水平断面形状が左右方向(図1において奥行き方向)に長い長方形状である。この家具Fは、転倒防止装置が取り付けられていない場合、地震等の揺れによって、前方向(図1において右方向)に傾いて転倒するおそれがある。
実施形態1の転倒防止装置は、図1に示すように、家具Fの上面と天井Cとの間に少なくとも1個以上が取り付けられる。この家具Fは、床面(図示せず)から鉛直方向に伸びた壁面Wに背面を対向させて床面上に設置されている。また、この家具Fは、直方体形状であり、正面(図1における右側面)に図示しない扉や引き出し等を有し、内部に衣類や装身具等を収納することができる。家具Fは、水平断面形状が左右方向(図1において奥行き方向)に長い長方形状である。この家具Fは、転倒防止装置が取り付けられていない場合、地震等の揺れによって、前方向(図1において右方向)に傾いて転倒するおそれがある。
転倒防止装置は、図1及び図2に示すようにダンパ10、一対のベース部30A,30B、落下防止部50、及び角度規制部70を備えている。さらに、転倒防止装置は、図7に示すように、固定索90を備えている。
ダンパ10は、シリンダ(cylinder)11、図示しないロッドガイド(rod guide)、図示しないピストン(piston)、ロッド(rod)13、及び両端に設けられた2個のジョイント部15を有している。シリンダ11は有底筒状である。ロッドガイドはシリンダ11の開口部を封鎖している。ピストンはシリンダ11内に摺動自在に収納されている。ロッド13は基端部がピストンに連結されている。また、ロッド13はロッドガイドを挿通して先端側がシリンダ11の外部へ突出している。シリンダ11は作動油及び圧縮ガスを封入している。各ジョイント部15は、図1~図3に示すように、平板状の金具を折り曲げて形成されている。また、各ジョイント部15はシリンダ11の底部とロッド13の先端部に接続されている。各ジョイント部15はダンパ10の軸線に直交する方向に貫通した貫通孔15Aが形成されている。
ダンパ10は伸長動作時に発生する減衰力が収縮動作時に発生する減衰力よりも小さい圧効きダンパである。ここで、ダンパ10の伸長動作とは、シリンダ11から突出したロッド13の突出長さが長くなっていく動作、つまり、ダンパ10の全長が長くなっていく動作を意味する。また、ダンパ10の収縮動作とは、シリンダ11から突出したロッド13の突出長さが短くなっていく動作、つまり、ダンパ10の長さが短くなっていく動作を意味する。また、ダンパ10はシリンダ11に封入した圧縮ガスの膨張力が伸長方向に働いている。
ダンパ10の減衰力が発生するメカニズム(mechanism)は、周知の構造であるため、図示を省略して説明する。シリンダ11は、内部がピストンによって、ロッド13の基端部が収納されているロッド側圧力室と、反ロッド側圧力室とに仕切られている。ピストンは両圧力室間を連通させる絞り弁であるオリフィス(orifice)が形成されている。オリフィスは、ダンパ10の伸縮動作に伴うロッド側圧力室と反ロッド側圧力室との間の作動油の流れに抵抗を付与して減衰力を発生する減衰力発生部として機能する。また、ピストンは逆止弁を介して両圧力室間を連通する連通路が形成されている。逆止弁は、ロッド側圧力室から反ロッド側圧力室への作動油の流れを許容し、その逆の流れを阻止する。このため、ダンパ10は、伸長動作時、ロッド側圧力室から反ロッド側圧力室への作動油の流路経路が、オリフィスと連通路の経路になる。一方、ダンパ10は、収縮動作時、反ロッド側圧力室からロッド側圧力室への作動油の流路経路がオリフィスのみとなる。このため、ダンパ10は伸長動作時に発生する減衰力が収縮動作時に発生する減衰力よりも小さくなる。
一対のベース部30A,30Bは、図1及び図2に示すように、シリンダ11の底部に接続されたジョイント部15を連結した第1ベース部30Aであり、ロッド13の先端部に接続されたジョイント部15を連結した第2ベース部30Bである。第1ベース部30Aは家具Fの上面に当接して載置され、第2ベース部30Bは天井Cに当接する。第1ベース部30A及び第2ベース部30Bは同じ形態及び構造である。各ベース部30A,30Bは、図1~図4に示すように、ベース部本体31、回動軸部材であるボルト(bolt)45及びナット(nut)47、ブッシュ(bush)35、及び滑り止め部37を有している。
家具Fの上面に当接して載置された状態で第1ベース部30Aを上方から見た平面視において、ベース部本体31は長方形状の外形である(以下、この平面視におけるベース部本体31の外形において長辺が延びている方向を「長辺方向」と言い、短辺が延びている方向を「短辺方向」と言う。)。また、家具Fの上面に当接して載置された状態で第1ベース部30Aを短辺方向に見た側面視において、ベース部本体31は、下端縁が家具Fの上面に平行に直線状に伸びており、上端縁が下端縁の両側から上方に膨らんだ円弧状の外形である(図1参照)。また、家具Fの上面に当接して載置された状態で第1ベース部30Aを長辺方向に見た側面視において、ベース部本体31は下端縁よりも上端縁が短い略台形状の外形である(図2及び図3参照)。
家具Fの上面に当接して載置された状態の第1ベース部30Aにおいて、ベース部本体31は上面に長辺方向(図1における左右方向であり、図2及び図3における奥行き方向)に伸びた溝部41が形成されている。溝部41は、底面41Aが水平面上に広がり、内壁面41Bが底面41Aの両側に略鉛直方向に立ち上がっている。溝部41の底面41Aはベース部本体31の上下方向の略中央に伸びている。また、溝部41の底面41Aは、後述する一対の凸部43,43が形成されている部分を除き、幅が一定に形成されている。
溝部41は、図4に示すように、長辺方向の中央部に溝部41の底面41A及び両内壁面41B,41Bから突出した一対の凸部43,43が形成されている。これら凸部43,43は、図2及び図3に示すように、その間にダンパ10のジョイント部15及び後述するブッシュ35が嵌まり込む空間が形成されている。この空間は溝部41に連通している。一対の凸部43,43の内壁面43A,43A同士の間隔(空間の短辺方向の長さ)は後述するブッシュ35の長さよりも僅かに大きい。また、一対の凸部43,43は上部中央に後述するボルト45の軸部45Bが挿通する挿通孔43Bが短辺方向に貫通している。
溝部41は、図4に示すように、底面41Aに同一形状の一対の被係止孔49が形成されている。被係止孔49は凸部43から溝部41の両端に向けてほぼ等しい距離に形成されている。被係止孔49は溝部41の幅全体に伸びたスリット形状である。つまり、被係止孔49は、長さが溝部41の幅寸法と等しく、幅が後述する落下防止部50の係止部51Aの厚み、及び角度規制部70に設けられた差込部71Bの厚みより僅かに大きい。一方の被係止孔49は後述する落下防止部50の係止部51Aが差し込まれ係止する被係止部である。他方の被係止孔49は後述する角度規制部70に設けられた差込部71Bが差し込まれ係止する被係止部である。
家具Fの上面に当接して載置された状態の第1ベース部30Aにおいて、ベース部本体31は、長辺方向の中央部であって、溝部41の両側に窪み部42が形成されている。この窪み部42は上方向と短辺方向の外方向に開口している。また、この窪み部42は凸部43を貫通した挿通孔43Bが側面に開口している。また、この窪み部42は後述するボルト45の頭部45Aと、このボルト45にねじ込まれたナット47の夫々が配置される。また、この窪み部42は、ボルト45の頭部45Aとナット47に上方から工具が嵌合することができるように、長辺方向において上方に広がるように形成されている。
ベース部本体31は、図1~図3に示すように、空洞である。また、このベース部本体31は、家具Fの上面に当接して載置された状態の第1ベース部30Aにおいて、下方に開口している。このベース部本体31は、内部に短辺方向に平行に伸びた複数条のリブ(rib)R1と、長辺方向に平行に伸びた2条のリブR2とが交差して形成されている。
回動軸部材は、図2及び図3に示すように、ベース部本体31の挿通孔43Bの一方から挿入されたボルト45と、このボルト45の軸部45Bにねじ込まれたナット47とから構成されている。ボルト45の中心軸が各ベース部30A,30Bにおけるダンパ10の回動軸になる。
ブッシュ35は、図3に示すように、略円筒状である。ブッシュ35は弾性体である。ブッシュ35の長さはベース部本体31に設けられた一対の凸部43,43の内壁面43A,43A同士の間隔よりも僅かに小さい。ブッシュ35は中央部の外周面を一周した凹部35Aが形成されている。この凹部35Aの外径がダンパ10のジョイント部15に形成された貫通孔15Aの内径に略等しい。ブッシュ35は凹部35Aの両端から立ち上がった部分の外径がダンパ10のジョイント部15に形成された貫通孔15Aの内径よりも大きい。また、ブッシュ35は両端部の外周面35Bが外方向に縮径している。このため、ブッシュ35はダンパ10のジョイント部15に形成された貫通孔15Aに弾性変形させながら挿入される。そして、ブッシュ35は、貫通孔15Aに凹部35Aが嵌まり込んで、ダンパ10のジョイント部15に取り付けられる。
ブッシュ35は中央部の内径がボルト45の軸部45Bの外径よりも僅かに大きい。また、ブッシュ35は両端部の内周面35Cが外方向に拡径している。このため、このブッシュ35はボルト45の軸部45B周りに回動自在である。また、このブッシュ35は、拡径した両端部の内周面35Cがボルト45の軸部45Bの外周面に当接する範囲で、ボルト45の軸部45Bに対して傾くことができる。つまり、ブッシュ35をジョイント部15に取り付けたダンパ10は、ボルト45の軸部45B周りに回動自在であり、回動方向に交差する方向に揺動自在である。さらに、ブッシュ35が弾性変形することによって、ダンパ10は回動方向に交差する方向に、より大きく揺動することができる。
滑り止め部37は、図1~図4に示すように、ベース部本体31の外形に僅かに大きい相似形(長方形状)の外形である。滑り止め部37はゴム製である。また、滑り止め部37は、家具Fの上面に当接して載置された状態の第1ベース部30Aにおいて、ベース部本体31の下端開口に嵌合される。また、滑り止め部37は略平板である。詳しくは、滑り止め部37は、家具Fの上面又は天井Cに当接する面が平坦であり、その反対側を向いた面(ベース部本体31に対向する面)は、ベース部本体31の外周壁及びリブR1,R2に合わせた嵌合溝が形成されている。滑り止め部37はその弾性力によってベース部本体31に着脱自在に取り付けられる。
ここで、ダンパ10と各ベース部30A,30Bとの組み付け工程について説明する。
まず、ダンパ10の両端に設けられた2個のジョイント部15に形成された各貫通孔15Aにブッシュ35を嵌め込み、ブッシュ35をダンパ10のジョイント部15に取り付ける。
次に、ブッシュ35を取り付けたダンパ10のジョイント部15の一方をベース部本体31に形成された一対の凸部43,43の間に挿入する。そして、ボルト45の軸部45Bをベース部本体31の挿通孔43B及びブッシュ35に挿通させ、ボルト45の軸部45Bにナット47をねじ込む。このようにして、ダンパ10のジョイント部15の一方にベース部本体31を連結する。ダンパ10のジョイント部15の他方も同様にベース部本体31を連結する。この状態で、図2に示すように、ボルト45の頭部45Aとナット47(回動軸部材の両端部)はダンパ10の中心軸に対称な位置でベース部本体31の窪み部42内で露出している。
そして、ダンパ10の両端部に連結された夫々のベース部本体31に滑り止め部37を嵌合させて、ダンパ10と各ベース部30A,30Bとの組み付け工程を終了する。
次に、ブッシュ35を取り付けたダンパ10のジョイント部15の一方をベース部本体31に形成された一対の凸部43,43の間に挿入する。そして、ボルト45の軸部45Bをベース部本体31の挿通孔43B及びブッシュ35に挿通させ、ボルト45の軸部45Bにナット47をねじ込む。このようにして、ダンパ10のジョイント部15の一方にベース部本体31を連結する。ダンパ10のジョイント部15の他方も同様にベース部本体31を連結する。この状態で、図2に示すように、ボルト45の頭部45Aとナット47(回動軸部材の両端部)はダンパ10の中心軸に対称な位置でベース部本体31の窪み部42内で露出している。
そして、ダンパ10の両端部に連結された夫々のベース部本体31に滑り止め部37を嵌合させて、ダンパ10と各ベース部30A,30Bとの組み付け工程を終了する。
このように組み付けられたダンパ10と各ベース部30A,30Bは、図3に示すように、ボルト45の軸部45Bに対してブッシュ35が回動自在である。このため、各ベース部30A,30Bはダンパ10の両端部の夫々を回動軸周りに回動自在に連結している。また、ブッシュ35は、両端部の内周面35Cが外方向に拡径している。このため、ブッシュ35の拡径した両端部の内周面35Cがボルト45の軸部45Bの外周面に当接する範囲で、ブッシュ35が回動軸に対して傾くことができる。さらに、ブッシュ35は、弾性体であり、弾性変形することによって、ダンパ10は回動方向に交差する方向に、より大きく揺動することができる。このように、各ベース部30A,30Bに連結されたダンパ10は回動方向と交差する方向に揺動することができる。
落下防止部50は、図1、図4、及び図5に示すように、平板帯状の金属を折り曲げて形成されている。落下防止部50は、幅がベース部本体31に形成された溝部41の幅よりも僅かに狭く、一定である。つまり、落下防止部50の幅はベース部本体31に形成されたスリット形状の被係止孔49の長さよりも僅かに狭い。また、落下防止部50は連結部51と垂下部53とを有している。落下防止部50の連結部51は一方の端部を直角に折り曲げて形成した係止部51Aを有している。落下防止部50の垂下部53は、連結部51の他方の端部に連続し、連結部51に対して直交し、係止部51Aと同じ方向に伸びている。落下防止部50の垂下部53は、後述するように転倒防止装置の上部側が壁面Wから離れる方向に倒れた際に、壁面Wと家具Fの背面との間から抜けない程度の長さに設定されている。例えば、落下防止部50の垂下部53は滑り止め部37より下側に100mm以上の長さを有している。
落下防止部50は、図1及び図5に示すように、家具Fの上面に当接して載置された第1ベース部30Aに取り付けられる。詳しくは、落下防止部50は、連結部51の係止部51Aが、家具Fの上面に当接して載置された状態の第1ベース部30Aのベース部本体31の壁面W側に位置する被係止孔49に挿入され係止される。このように、この転倒防止装置は落下防止部50を第1ベース部30Aに容易に取り付けることができる。また、この転倒防止装置は梱包時等に落下防止部50を第1ベース部30Aから外して嵩張らないようにすることができる。
落下防止部50の連結部51は、第1ベース部30Aのベース部本体31に取り付けられた状態で、ベース部本体31に形成された溝部41に沿って伸び、他方の端部が第1ベース部30Aの外縁(第1ベース部30Aの滑り止め部37の外縁)より外側に位置する。垂下部53は、連結部51の他方の端部から垂下し、第1ベース部30Aの滑り止め部37の外縁の僅か外側を下方に向けて伸びている。落下防止部50は、第1ベース部30Aより下方において、壁面Wと家具Fの背面との間に配置される。
角度規制部70は、図1、図2、及び図6に示すように、家具Fの上面に当接して載置された第1ベース部30Aに着脱自在に取り付けられる。このため、この転倒防止装置は梱包時等に角度規制部70を第1ベース部30Aから外して嵩張らないようにすることができる。角度規制部70は、第1ベース部30Aに取り付けられた状態で、略鉛直方向に伸びた規制部71と、規制部71の下部に連続して設けられ、規制部71の傾倒を防止する支持部73とを有している。規制部71は、平板であり、略長方形状である。規制部71は、家具Fの上面に当接して載置された状態の第1ベース部30Aに角度規制部70を取り付けた際、一方の短辺が上端に位置する受部71Aであり、他方の端部が下端に位置し、ベース部本体31の壁面Wから離れた側に位置する被係止孔49に挿入される差込部71Bである。
規制部71は、ダンパ10のシリンダ11が受部71Aに当接することによって、ダンパ10がその傾斜姿勢よりも倒れないように規制する。ダンパ10の傾斜角度は15°~25°が好ましい。受部71Aは、上方に開放しており、シリンダ11の外周の約1/3程度が当接するように、中央が下方に凹んで湾曲している。このように、受部71Aは、シリンダ11をしっかりと保持しないため、地震等の揺れによって家具Fが傾いたり揺れたりした際に生じるダンパ10の動きを拘束しない。つまり、この転倒防止装置は、地震等の揺れによって家具Fが揺れたり、傾いたりした際に、各ベース部30A,30Bに対してダンパ10が回動軸周りに回動自在であり、回動方向に交差する方向に揺動自在である。
差込部71Bは、図6に示すように、先端に向けて薄くなるように短辺の両側の角部を長辺方向に切り欠いた傾斜面71C、71Cを有している。傾斜面71C、71Cによって、差込部71Bがベース部本体31の被係止孔49に挿入しやすい。また、差込部71Bは先端部の一方の面から短辺方向に突出した突起71Dを有している。角度規制部70は第1ベース部30Aに対して着脱自在であるが、意図せずに差込部71Bがベース部本体31の被係止孔49から引き抜かれる方向に角度規制部70に力が働いた場合、突起71Dが被係止孔49に引っ掛かり、引き抜かれ難くなっている。
支持部73は、第1支持部73Aと、第2支持部73Bとを具備している。第1支持部73Aは、規制部71と同じ幅を有しており、規制部71に直交する方向に伸びた平板である。第1支持部73Aは、規制部71の差込部71Bが第1ベース部30Aのベース部本体31の被係止孔49に挿入されると、ベース部本体31に形成された溝部41の底面41Aに当接した状態になる。第2支持部73Bは第1支持部73Aと規制部71との間の角部に連結された直角二等辺三角形状の平板である。詳しくは、第2支持部73Bは、等しい長さの2辺の夫々が第1支持部73Aの側面と規制部71の側面に連結され、第1支持部73Aと規制部71とが直交した状態となるように支持している。
転倒防止装置は、図7に示すように、ダンパ10を所望する長さの収縮状態に保持する固定索90を備えている。固定索90は化学繊維製の一本の紐である。固定索90は、ダンパ10を収縮させた状態にし、両側に輪を形成するようにして第1ベース部30A及び第2ベース部30Bのボルト45の頭部45Aとナット47に引っ掛ける。つまり、この固定索90は、両側で第1ベース部30A及び第2ベース部30Bのボルト45の頭部45Aとナット47に係止し、中央部で1本にまとまって伸びている。
このように、この転倒防止装置は、固定索90を係止するためのみの構造を設けることなく、ダンパ10の両端部に位置するボルト45の頭部45Aとナット47を利用し、ダンパ10を所望する長さの収縮状態に保持することができる。また、この転倒防止装置は、紐の長さを調整することによって、ダンパ10の収縮長さが異なる収縮状態に保持することができる。このため、シリンダ11とロッド13の長さが同じ転倒防止装置であっても、取り付けられる家具Fの上面と天井Cとの間隔に対応して、ダンパ10の収縮長さが異なる複数種類の収縮状態に保持したものを用意することができる。また、ダンパ10の長さの規格が変更されても固定索90の長さを変更することによって容易に対応することができる。
この転倒防止装置は、家具Fの上面と天井Cとの間に取り付ける際、固定索90によって収縮状態に保持された転倒防止装置の第1ベース部30Aを家具Fの上面に当接させて載置する。その後、固定索90を解いたり、切断したりすると、シリンダ11内に封入した圧縮ガスの膨張力によってダンパ10が伸長し、第2ベース部30Bが天井Cに当接する。このように、この転倒防止装置は、家具Fの上方で作業者がダンパ10を収縮させる取り付け作業を行う必要がないため、容易に、そして安全に家具Fの上面と天井Cとの間に取り付けることができる。
また、この転倒防止装置は、固定索90によって収縮された状態から天井Cに第2ベース部30Bが当接した状態に変化する際のダンパ10の伸長具合を小さくすると、第2ベース部30Bが天井Cに当接する衝撃を小さくすることができる。このため、家具Fの上面と天井Cとの間隔に応じて、ダンパ10のシリンダ11及びロッド13の長さが違う複数種類の転倒防止装置を用意するとともに、さらに、ダンパ10のシリンダ11及びロッド13の長さが同じものに対して、固定索90によってダンパ10の収縮長さが違う複数種類を用意するとよい。
次に、壁面Wに背面を対向させて床面上に設置された家具Fの上面と天井Cとの間にこの転倒防止装置を取り付ける取付方法について説明する。
まず、転倒防止装置を取り付ける家具Fの上面と天井Cとの間隔に適したシリンダ11及びロッド13の長さを有するものであって、取付時に第2ベース部30Bが天井Cに当接する衝撃が小さくなるように、固定索90によってダンパ10が適切な長さの収縮状態に保持された転倒防止装置を選択する。
次に、この転倒防止装置の第1ベース部30Aのベース部本体31に形成された一方の被係止孔49に落下防止部50の連結部51の係止部51Aを挿入し、第1ベース部30Aに落下防止部50を取り付ける。また、第1ベース部30Aのベース部本体31に形成された他方の被係止孔49に角度規制部70の差込部71Bを挿入し、第1ベース部30Aに角度規制部70を取り付ける。
次に、落下防止部50と角度規制部70とが取り付けられた第1ベース部30Aを、図8に示すように、家具Fの壁面W側の上面に滑り止め部37を当接させて載置する。この際、落下防止部50の垂下部53を家具Fの背面に沿って垂下させるように第1ベース部30Aを家具Fの上面に載置する。つまり、落下防止部50の垂下部53は壁面Wと家具Fの背面との間に配置される。また、第1ベース部30Aを家具Fの上面に載置した状態で、第1ベース部30Aのボルト45の軸部45B(回動軸)は、家具Fが地震等の揺れによって傾く方向(図8において右方向)に対して直交する方向に伸びている。つまり、ダンパ10が回動軸周りに回動する方向と家具Fの傾く方向が平行となるように、第1ベース部30Aは家具Fの上面に載置される。
そして、ダンパ10のシリンダ11が角度規制部70の受部71Aに当接するようにダンパ10を傾斜させる。この状態で、ダンパ10は傾斜角度が15°~25°の間の適正な角度になる。そして、第2ベース部30Bのボルト45の軸部45B(回動軸)が、第1ベース部30Aのボルト45の軸部45B(回動軸)と平行になるように、第2ベース部30Bの向きを正す。この状態で、固定索90を解いたり、切断したりすると、シリンダ11に封入した圧縮ガスの膨張力によってダンパ10が伸長し、図1に示すように、第2ベース部30Bが天井Cに当接する。こうして、転倒防止装置を家具Fの上面と天井Cとの間に取り付ける取付け作業を完了する。なお、取り付け作業を完了した後に、第1ベース部30Aに角度規制部70を取り外してもよい。
このように、この転倒防止装置は、角度規制部70が取り付けられた第1ベース部30Aを家具Fの上面に載置すれば、適切な傾斜角度にダンパ10を傾斜させることができ、その傾斜角度を維持して第2ベース部30Bを天井Cに当接させるのみで転倒防止装置を家具Fの上面と天井Cとの間に適切に取り付けることができる。
家具Fの上面と天井Cとの間に取り付けられた転倒防止装置は、天井C側から家具Fの上面側に伸びたダンパ10の軸線が下り傾斜し、かつ上方から見た平面視において地震等の揺れによって家具Fが傾く方向と平行にダンパ10の軸線が伸びた状態にダンパ10が取り付けられる。このため、この転倒防止装置は、家具Fの傾きに対してダンパ10の減衰力を効果的に利用し、家具Fの転倒を防止することができる。
また、この転倒防止装置は、ダンパ10の両端部の夫々を各ベース部30A,30Bがブッシュ35を介して連結している。このブッシュ35は、弾性体であり、両端部の内周面35Cが外方向に拡径している。このため、ブッシュ35の弾性変形、及びブッシュ35の拡径した両端部の内周面35Cがボルト45の軸部45Bの外周面に当接する範囲で、ブッシュ35が回動軸に対して傾くことができる。よって、各ベース部30A,30Bに連結されたダンパ10が回動方向と交差する方向に揺動することができる。
このように、この転倒防止装置は、地震等の揺れによって、ダンパ10の回動方向と交差する方向に家具Fが揺れても、ダンパ10が回動方向と交差する方向に揺動するため、各ベース部30A,30Bが家具Fの上面と天井Cとに当接した状態を維持することができる。そして、上方から見た平面視において、ダンパ10の回動方向と平行な方向に家具Fが傾くと、この転倒防止装置は、ダンパ10が回動軸周りに回動するため、ダンパ10の減衰力が家具Fに作用して家具Fの傾きを抑制し、家具Fの転倒を防止することができる。つまり、この転倒防止装置は、揺れ方向が複合的な地震等に対して、各ベース部30A,30Bが家具Fの上面と天井Cとに当接した状態を維持し、家具Fの転倒を防止することができる。
また、この転倒防止装置は、家具Fの上面と天井Cとの間へ取り付ける作業中であって、第2ベース部30Bを天井Cに当接させる前の状態、つまり、家具Fの上面に第1ベース部30Aを当接させて載置し、落下防止部50の垂下部53を壁面Wと家具Fの背面との間に配置した状態で、転倒防止装置の上部側が壁面Wから離れる方向に倒れると、その勢いで家具Fの上面に当接させた第1ベース部30Aの壁面W側が浮き上がる。すると、この転倒防止装置は、図9に示すように、第1ベース部30Aに取り付けられた落下防止部50の垂下部53が壁面Wに引っ掛かる。このため、この転倒防止装置は家具Fの前面側に落下することを防止することができる。
<実施形態2>
実施形態2の転倒防止装置は、図10及び図11に示すように、角度規制部170の形態が実施形態1と相違する。他の構成は実施形態1と同様であり、同じ構成は同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
実施形態2の転倒防止装置は、図10及び図11に示すように、角度規制部170の形態が実施形態1と相違する。他の構成は実施形態1と同様であり、同じ構成は同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
なお、実施形態2の転倒防止装置において、ダンパ10を第1ベース部130Aに連結する工程は実施形態1と同様である。また、実施形態2の転倒防止装置において、壁面Wに背面を対向させて床面上に設置された家具Fの上面と天井Cとの間に取り付ける取付方法は実施形態1と同様である。
角度規制部170は、第1ベース部30Aに取り付けられた状態で、略鉛直方向に伸びた規制部171の上端部がダンパ10の方向に向けて屈曲し、ダンパ10方向に向けて上方に傾斜した傾斜面部173を有している。角度規制部170は傾斜面部173の上端が受部171Aを形成している。受部171Aは、ダンパ10のシリンダ11の外径よりも大きい径の半円形状あるいは半楕円形状に凹んでいる。このため、受部171Aは、シリンダ11をしっかりと保持しないため、地震等の揺れによって家具Fが傾いたり揺れたりした際に生じるダンパ10の動きを拘束しない。つまり、この転倒防止装置は、地震等の揺れによって家具Fが揺れたり、傾いたりした際に、各ベース部30A,30Bに対してダンパ10が回動軸周りに回動自在であり、回動方向に交差する方向に揺動自在である。
この転倒防止装置は、角度規制部170が取り付けられた第1ベース部30Aを家具Fの上面に載置すれば、適切な傾斜角度にダンパ10を傾斜させることができ、その傾斜角度を維持して第2ベース部30Bを天井Cに当接させるのみで転倒防止装置を家具Fの上面と天井Cとの間に適切に取り付けることができる。
<実施形態3>
実施形態3の転倒防止装置は、図12及び図13に示すように、角度規制部270の形態が実施形態1及び2と相違する。他の構成は実施形態1及び2と同様であり、同じ構成は同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
なお、実施形態3の転倒防止装置において、ダンパ10を第1ベース部130Aに連結する工程は実施形態1と同様である。
実施形態3の転倒防止装置は、図12及び図13に示すように、角度規制部270の形態が実施形態1及び2と相違する。他の構成は実施形態1及び2と同様であり、同じ構成は同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
なお、実施形態3の転倒防止装置において、ダンパ10を第1ベース部130Aに連結する工程は実施形態1と同様である。
角度規制部270は、第1ベース部30Aに取り付けられた状態で、略鉛直方向に伸びた規制部271の上端部がダンパ10の方向に向けて屈曲し、ダンパ10方向に向けて上方に傾斜した傾斜面部273を有している。角度規制部270は傾斜面部273の中央に長孔形状の開口273Aが形成されている。この開口273Aの内側にダンパ10のシリンダ11の外径よりも僅かに大きい開口が形成されたゴム部材(規制部材)275が着脱自在に取り付けられている。
この角度規制部270は、ダンパ10に第1ベース部30Aを組み付ける前に、傾斜面部273の開口273Aに取り付けられたゴム部材275の開口にダンパ10のシリンダ11を挿入する。そして、第1ベース部30Aにダンパ10のシリンダ11の底部に接続されたジョイント部15を連結する。この際、第1ベース部30Aのベース部本体31に形成された他方の被係止孔49に角度規制部270の差込部71Bを挿入し、第1ベース部30Aに角度規制部270を取り付ける。
この転倒防止装置は、角度規制部270が取り付けられた第1ベース部30Aを家具Fの上面に載置すれば、角度規制部270のゴム部材275がダンパ10のシリンダ11を支持し、適切な傾斜角度にダンパ10を傾斜させることができる。そして、この転倒防止装置は、その傾斜角度を維持して第2ベース部30Bを天井Cに当接させるのみで転倒防止装置を家具Fの上面と天井Cとの間に適切に取り付けることができる。
また、この角度規制部270は、転倒防止装置を家具Fの上面と天井Cとの間に取り付けた後、ゴム部材275を傾斜面部273の開口273Aから取り外す。これによって、この転倒防止装置は、角度規制部270がシリンダ11を保持しない状態になるため、地震等の揺れによって家具Fが傾いたり揺れたりした際に生じるダンパ10の動きを拘束しない。つまり、この転倒防止装置は、地震等の揺れによって家具Fが揺れたり、傾いたりした際に、各ベース部30A,30Bに対してダンパ10が回動軸周りに回動自在であり、回動方向に交差する方向に揺動自在である。
<実施形態4>
実施形態4の転倒防止装置は、図14及び図15に示すように、角度規制部370の形態が実施形態1~3と相違する。他の構成は実施形態1~3と同様であり、同じ構成は同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
実施形態4の転倒防止装置は、図14及び図15に示すように、角度規制部370の形態が実施形態1~3と相違する。他の構成は実施形態1~3と同様であり、同じ構成は同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
なお、実施形態4の転倒防止装置において、ダンパ10を第1ベース部130Aに連結する工程は実施形態1~3と同様である。また、実施形態4の転倒防止装置において、壁面Wに背面を対向させて床面上に設置された家具Fの上面と天井Cとの間に取り付ける取付方法は実施形態1及び2と同様である。
角度規制部370は規制部371と支持部373とを有している。規制部371は、角度規制部370が第1ベース部30Aに取り付けられた状態で、略鉛直方向に伸びた規制部本体371Bと、規制部本体371Bの上端に連続した受部371Aとを具備している。規制部本体371Bは、角度規制部370が第1ベース部30Aに取り付けられた状態で、第1ベース部30Aを短辺方向に見た側面視において、支持部373の前端(図14において右側の端部)から後方へ向けて斜めに上昇した前辺Xと、支持部373の前端から支持部373の上面に沿って伸びた底辺Yと、支持部373の後側の上面から略鉛直方向に立ち上がった後辺Zとを有する略直角三角形の平板状である。受部371Aは、半円弧状に延びた円柱体であり、両端部の間隔がシリンダ11の外径よりも大きい。受部371Aは中央部が規制部本体371Bの上端部に連続している。受部371Aは、規制部本体371Bの前辺Xの傾斜よりも緩やかな傾斜で中央部から両端部に向けて上方に伸びている。
支持部373は、長方形の平板状であり、第1ベース部30Aの溝部31Aの底面に当接して載置される。支持部373は下面に差込部373Aを有している。差込部373Aはベース部本体31の壁面Wから離れた側に位置する被係止孔49に挿入される。差込部373Aは、先端に向けて薄くなるように短辺の両側の角部を長辺方向に切り欠いた傾斜面373C、373Cを有している。傾斜面373C、373Cによって、差込部373Aが被係止孔49に挿入しやすい。また、差込部373Aは先端部の一方の面から短辺方向に突出した突起373Bを有している。角度規制部370は第1ベース部30Aに対して着脱自在であるが、意図せずに差込部373Aがベース部本体31の被係止孔49から引き抜かれる方向に角度規制部370に力が働いた場合、突起373Bが被係止孔49に引っ掛かり、引き抜かれ難くなっている。
この角度規制部370は、受部371Aがシリンダ11をしっかりと保持しないため、地震等の揺れによって家具Fが傾いたり揺れたりした際に生じるダンパ10の動きを拘束しない。つまり、この転倒防止装置は、地震等の揺れによって家具Fが揺れたり、傾いたりした際に、各ベース部30A,30Bに対してダンパ10が回動軸周りに回動自在であり、回動方向に交差する方向に揺動自在である。
また、この角度規制部370は、転倒防止装置を家具Fの上面と天井Cとの間に取り付ける際、受部371Aがシリンダ11を保持し、ダンパ10の傾斜角度が15°~25°の間の適正な角度にする。この状態で、固定索90を解いたり、切断したりすると、シリンダ11に封入した圧縮ガスの膨張力によってダンパ10が伸長し、第2ベース部30Bが天井Cに当接する。この角度規制部370は、ダンパ10が伸長する際の規制部本体371Bの変形(たわみ)が抑えられ、転倒防止装置を家具Fの上面と天井Cとの間に適切に取り付けることができる。
このように、この転倒防止装置は、角度規制部370が取り付けられた第1ベース部30Aを家具Fの上面に載置すれば、適切な傾斜角度にダンパ10を傾斜させることができ、その傾斜角度を維持して第2ベース部30Bを天井Cに当接させるのみで転倒防止装置を家具Fの上面と天井Cとの間に適切に取り付けることができる。
以上説明したように実施形態1~4の転倒防止装置は、ダンパ10、一対のベース部30A,30B、及び角度規制部70,170,270,370を備えている。ダンパ10は床面上に設置された家具Fの上面と天井Cとの間に取り付けられる。各ベース部30A,30Bはダンパ10の両端部の夫々を回動軸周りに回動自在に連結している。また、第1ベース部30Aが家具Fの上面に当接し、第2ベース部30Bが天井Cに当接する。角度規制部70,170,270,370は第1ベース部30Aに取り付けられる。この角度規制部70,170,270,370はダンパ10の傾斜角度を規制する。
この転倒防止装置は、第1ベース部30Aに取り付けられた角度規制部70,170,270,370がダンパ10の傾斜角度を規制する。このように、この転倒防止装置は、角度規制部70,170,270,370が取り付けられた第1ベース部30Aを家具Fの上面に載置すれば、適切な傾斜角度にダンパ10を傾斜させることができ、その傾斜角度を維持して第2ベース部30Bを天井Cに当接させるのみで転倒防止装置を家具Fの上面と天井Cとの間に適切に取り付けることができる。
したがって、実施形態1~4の転倒防止装置は適切な傾斜角度に容易に取り付けることができる。
実施形態1,2,及び4の転倒防止装置の角度規制部70,170,370は、第1ベース部30Aから立ち上がり、上端にダンパ10を下側から支持する上方に開放した受部71A,171A,371Aを有している。このため、この転倒防止装置は、受部71A,171A,371Aが上方に開放しているため、地震等の揺れによって家具Fが傾いたり揺れたりした際に生じるダンパ10の動きを受部71A,171A,371Aが拘束しない。このため、この転倒防止装置は、ダンパ10の減衰力を効果的に利用することができ、家具Fの傾きを抑制して、家具Fの転倒を防止することができる。
実施形態1,2及び4の転倒防止装置の角度規制部70,170,370は第1ベース部30Aに着脱自在である。このため、この転倒防止装置は梱包時などに角度規制部70,170,370を第1ベース部30Aから外して嵩張らないようにすることができる。
実施形態1~4の転倒防止装置は落下防止部50を備えている。この落下防止部50は連結部51と垂下部53とを有している。連結部51は、床面から鉛直方向に立ち上がった壁面Wに背面を対向させて床面上に設置された家具Fの上面に当接する第1ベース部30Aに一方の端部が連結され、他方の端部が家具Fの背面より外側に位置するように伸びている。垂下部53は、連結部51の他方の端部から垂下し、壁面Wと家具Fの背面との間に配置される。このため、この転倒防止装置は、家具Fの上面と天井Cとの間への取り付け作業において、家具Fの上面に第1ベース部30Aを当接させて載置し、第2ベース部30Bを天井Cに当接させる際、上部側が壁面Wから離れる方向に倒れると、その勢いで家具Fの上面に当接させた第1ベース部30Aの壁面W側が浮き上がる。すると、この転倒防止装置は第1ベース部30Aに連結された落下防止部50の垂下部53が壁面Wに引っ掛かる。このため、この転倒防止装置は家具Fの前面側に落下することを防止することができる。
実施形態3の転倒防止装置の角度規制部270は、家具Fの上面に当接する第1ベース部30Aから立ち上がり、ダンパ10を挿通する長孔形状の開口273Aが形成されている。このように、この転倒防止装置はダンパ10を挿通する開口273Aが長孔形状であるため、地震等の揺れによって家具Fが傾いたり揺れたりした際に生じるダンパ10の動きを拘束しない。このため、この転倒防止装置は、ダンパ10の減衰力を効果的に利用することができ、家具Fの傾きを抑制して、家具Fの転倒を防止することができる。
実施形態3の転倒防止装置の角度規制部270は、開口273Aの内側に着脱自在に取り付けられ、ダンパ10を支持してダンパ10の傾斜角度を所定の角度に傾斜させるゴム部材275を有している。このため、この転倒防止装置は、家具Fの上面に載置した第1ベース部30Aに取り付けられた角度規制部270のゴム部材275がダンパ10を支持して所定の傾斜角度にダンパ10を傾斜させることができる。このため、この転倒防止装置は、その傾斜角度を維持して第2ベース部30Bを天井Cに当接させ、転倒防止装置を家具Fの上面と天井Cとの間に適切に取り付けることができる。その後、この転倒防止装置は、ゴム部材275を角度規制部270の開口273Aから取り外せば、地震等の揺れによって家具Fが傾いたり揺れたりした際に生じるダンパ10の動きを拘束しない。このため、この転倒防止装置は、ダンパ10の減衰力を効果的に利用することができ、家具Fの傾きを抑制して、家具Fの転倒を防止することができる。
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態1~4に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)実施形態1~4では、転倒防止装置を家具に対して取り付けたが、地震等の揺れによって転倒するおそれのある、書棚、冷蔵庫等の物品に対して取り付けてもよい。
(2)実施形態1~4では、転倒防止装置を壁面に背面を対向させて床面上に載置された家具に対して取り付けたが、壁面に隣接させずに床面上に載置された家具等に対して取り付けてもよい。
(3)実施形態1~4では、各ベース部がダンパの両端部の夫々を回動軸周りに回動自在、かつ回動方向に交差する方向に揺動自在に連結していたが、回動自在に連結しなくてもよいし、揺動自在に連結しなくてもよい。
(4)実施形態1~4では、圧効きダンパを利用したが、収縮動作時に所定の減衰力を発揮するものであれば、両効きダンパであってもよい。
(5)実施形態1~4では、シリンダ内に作動油及び圧縮ガスを封入したダンパを利用したが、収縮動作時に所定の減衰力を発生させるものであれば、他の液体を封入した液体圧ダンパであっても、他の形式のダンパであってもよい。
(6)実施形態1~4では、シリンダ内に圧縮ガスを封入して伸張方向に圧縮ガスの膨張力が働くようにしたが、他の方式で伸張方向に働く力を発生させてもよい。また、圧縮ガス等を封入せず、伸張方向に力を働かせなくてもよい。
(7)各ベース部の形態は実施形態1~4の形態に限らない。
(8)実施形態1~4では、転倒防止装置が落下防止部を備えていたが、落下防止部を備えなくてもよい。また、落下防止部をダンパのシリンダや第1ベース部に一体的に形成してもよい。
(9)実施形態1~4では、転倒防止装置が固定索を備えていたが、固定索を備えなくてもよい。また、実施形態1では、固定索が化学繊維製の紐であったが、解いたり、切断したりすることができる材質であれば金属等、他の材質であってもよい。
(1)実施形態1~4では、転倒防止装置を家具に対して取り付けたが、地震等の揺れによって転倒するおそれのある、書棚、冷蔵庫等の物品に対して取り付けてもよい。
(2)実施形態1~4では、転倒防止装置を壁面に背面を対向させて床面上に載置された家具に対して取り付けたが、壁面に隣接させずに床面上に載置された家具等に対して取り付けてもよい。
(3)実施形態1~4では、各ベース部がダンパの両端部の夫々を回動軸周りに回動自在、かつ回動方向に交差する方向に揺動自在に連結していたが、回動自在に連結しなくてもよいし、揺動自在に連結しなくてもよい。
(4)実施形態1~4では、圧効きダンパを利用したが、収縮動作時に所定の減衰力を発揮するものであれば、両効きダンパであってもよい。
(5)実施形態1~4では、シリンダ内に作動油及び圧縮ガスを封入したダンパを利用したが、収縮動作時に所定の減衰力を発生させるものであれば、他の液体を封入した液体圧ダンパであっても、他の形式のダンパであってもよい。
(6)実施形態1~4では、シリンダ内に圧縮ガスを封入して伸張方向に圧縮ガスの膨張力が働くようにしたが、他の方式で伸張方向に働く力を発生させてもよい。また、圧縮ガス等を封入せず、伸張方向に力を働かせなくてもよい。
(7)各ベース部の形態は実施形態1~4の形態に限らない。
(8)実施形態1~4では、転倒防止装置が落下防止部を備えていたが、落下防止部を備えなくてもよい。また、落下防止部をダンパのシリンダや第1ベース部に一体的に形成してもよい。
(9)実施形態1~4では、転倒防止装置が固定索を備えていたが、固定索を備えなくてもよい。また、実施形態1では、固定索が化学繊維製の紐であったが、解いたり、切断したりすることができる材質であれば金属等、他の材質であってもよい。
C…天井、F…家具(物品)、10…ダンパ、30A,30B…ベース部(30A…第1ベース部、30B…第2ベース部)、50…落下防止部、51…連結部、53…垂下部、70,170,270,370…角度規制部、71A,171A,371A…受部、273A…開口、275…ゴム部材(規制部材)
Claims (6)
- 設置面上に設置された物品の上面と天井との間に取り付けられるダンパと、
前記ダンパの両端部の夫々を回動軸周りに回動自在に連結し、一方が前記物品の上面に当接し、他方が前記天井に当接する一対のベース部と、
前記物品の上面に当接する前記ベース部に取り付けられ、前記ダンパの傾斜角度を規制する角度規制部と、
を備えていることを特徴とする転倒防止装置。 - 前記角度規制部は、前記物品の上面に当接する前記ベース部から立ち上がり、上端に前記ダンパを下側から支持する上方に開放した受部を有していることを特徴とする請求項1記載の転倒防止装置。
- 前記角度規制部は、前記物品の上面に当接する前記ベース部から立ち上がり、前記ダンパを挿通する長孔形状の開口が形成されていることを特徴とする請求項1記載の転倒防止装置。
- 前記角度規制部は、前記開口の内側に着脱自在に取り付けられ、前記ダンパを支持して前記ダンパの傾斜角度を所定の角度に傾斜させる規制部材を有していることを特徴とする請求項3記載の転倒防止装置。
- 前記角度規制部は前記物品の上面に当接する前記ベース部に着脱自在であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の転倒防止装置。
- 前記設置面から鉛直方向に立ち上がった壁面に背面を対向させて前記設置面上に設置された前記物品の上面に当接する前記ベース部に一方の端部が連結され、他方の端部が前記物品の背面より外側に位置するように伸びた連結部、及び前記連結部の他方の端部から垂下し、前記壁面と前記物品の背面との間に配置される垂下部を有する落下防止部を備えていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の転倒防止装置。
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