本発明の転倒防止装置を具体化した実施形態1について、図面を参照しつつ説明する。
<実施形態1>
実施形態1の転倒防止装置は、図1に示すように、家具Fの上面と天井Cとの間に少なくとも1個以上が取り付けられる。この家具Fは、床面(図示せず)から鉛直方向に伸びた壁面Wに背面を対向させて床面上に設置されている。また、この家具Fは、直方体形状であり、正面(図1における右側面)に図示しない扉や引き出し等を有し、内部に衣類や装身具等を収納することができる。家具Fは、水平断面形状が左右方向(図1において奥行き方向)に長い長方形状である。この家具Fは、転倒防止装置が取り付けられていない場合、地震等の揺れによって、前方向(図1において右方向)に傾いて転倒するおそれがある。
転倒防止装置は、図1及び図2に示すようにダンパ10、一対のベース部30A,30B、落下防止部50、及び角度規制部70を備えている。さらに、転倒防止装置は、図7に示すように、固定索90を備えている。
ダンパ10は、シリンダ11、図示しないロッドガイド、図示しないピストン、ロッド13、及び両端に設けられた2個のジョイント部15を有している。シリンダ11は有底筒状である。ロッドガイドはシリンダ11の開口部を封鎖している。ピストンはシリンダ11内に摺動自在に挿入されている。ロッド13は基端部がピストンに連結されている。また、ロッド13はロッドガイドを挿通して先端側がシリンダ11の外部へ突出している。シリンダ11は作動油及び圧縮ガスを封入している。各ジョイント部15は、図1〜図3に示すように、平板状の金具を折り曲げて形成されている。また、各ジョイント部15はシリンダ11の底部とロッド13の先端部に接続されている。各ジョイント部15はダンパ10の軸線に直交する方向に貫通した貫通孔15Aが形成されている。
ダンパ10は伸長動作時に発生する減衰力が収縮動作時に発生する減衰力よりも小さい圧効きダンパである。ここで、ダンパ10の伸長動作とは、シリンダ11からロッド13の突出長さ及びダンパ10の長さが長くなっていく動作を意味する。また、ダンパ10の収縮動作とは、シリンダ11からロッド13の突出長さ及びダンパ10の長さが短くなっていく動作を意味する。また、ダンパ10はシリンダ11に封入した圧縮ガスの膨張力が伸長方向に働いている。
ダンパ10の減衰力が発生するメカニズムは、周知の構造であるため、図示を省略して説明する。シリンダ11は、内部がピストンによって、ロッド13の基端部が収納されているロッド側圧力室と、反ロッド側圧力室とに仕切られている。ピストンは両圧力室間を連通させる絞り弁であるオリフィスが形成されている。オリフィスは、ダンパ10の伸縮動作に伴うロッド側圧力室と反ロッド側圧力室との間の作動油の流れに抵抗を付与して減衰力を発生する減衰力発生部として機能する。また、ピストンは逆止弁を介して両圧力室間を連通する連通路が形成されている。逆止弁は、ロッド側圧力室から反ロッド側圧力室への作動油の流れを許容し、その逆の流れを阻止する。このため、ダンパ10は、伸長動作時、ロッド側圧力室から反ロッド側圧力室への作動油の流路経路が、オリフィスと連通路の経路になる。一方、ダンパ10は、収縮動作時、反ロッド側圧力室からロッド側圧力室への作動油の流路経路がオリフィスのみとなる。このため、ダンパ10は伸長動作時に発生する減衰力が収縮動作時に発生する減衰力よりも小さくなる。
一対のベース部30A,30Bは、図1及び図2に示すように、シリンダ11の底部に接続されたジョイント部15を連結した第1ベース部30Aであり、ロッド13の先端部に接続されたジョイント部15を連結した第2ベース部30Bである。第1ベース部30Aは家具Fの上面に当接して載置され、第2ベース部30Bは天井Cに当接する。第1ベース部30A及び第2ベース部30Bは同じ形態及び構造である。各ベース部30A,30Bは、図1〜図4に示すように、ベース部本体31、回動軸部材であるボルト45及びナット47、ブッシュ35、及び滑り止め部37を有している。
家具Fの上面に当接して載置された状態で第1ベース部30Aを上方から見た平面視において、ベース部本体31は長方形状の外形である(以下、この平面視におけるベース部本体31の外形において長辺が延びている方向を「長辺方向」と言い、短辺が延びている方向を「短辺方向」と言う。)。また、家具Fの上面に当接して載置された状態で第1ベース部30Aを短辺方向に見た側面視において、ベース部本体31は、下端縁が家具Fの上面に平行に直線状に伸びており、上端縁が下端縁の両側から上方に膨らんだ円弧状の外形である(図1参照)。また、家具Fの上面に当接して載置された状態で第1ベース部30Aを長辺方向に見た側面視において、ベース部本体31は下端縁よりも上端縁が短い略台形状の外形である(図2及び図3参照)。
家具Fの上面に当接して載置された状態の第1ベース部30Aにおいて、ベース部本体31は上面に長辺方向(図1における左右方向であり、図2及び図3における奥行き方向)に伸びた溝部41が形成されている。溝部41は、底面41Aが水平面上に広がり、内壁面41Bが底面41Aの両側に略鉛直方向に立ち上がっている。溝部41の底面41Aはベース部本体31の上下方向の略中央に伸びている。また、溝部41の底面41Aは、後述する一対の凸部43,43が形成されている部分を除き、幅が一定に形成されている。
溝部41は、図4に示すように、長辺方向の中央部に溝部41の底面41A及び両内壁面41B,41Bから突出した一対の凸部43,43が形成されている。これら凸部43,43は、図2及び図3に示すように、その間にダンパ10のジョイント部15及び後述するブッシュ35が嵌まり込む空間が形成されている。この空間は溝部41に連通している。一対の凸部43,43の内壁面43A,43A同士の間隔(空間の短辺方向の長さ)は後述するブッシュ35の長さよりも僅かに大きい。また、一対の凸部43,43は上部中央に後述するボルト45の軸部45Bが挿通する挿通孔43Bが短辺方向に貫通している。
溝部41は、図4に示すように、底面41Aに一対の被係止孔49が形成されている。被係止孔49は凸部43から溝部41の両端に向けてほぼ等しい距離に形成されている。被係止孔49は溝部41の幅全体に伸びたスリット形状である。つまり、被係止孔49は、長さが溝部41の幅寸法と等しく、幅が後述する落下防止部50の係止部51Aの厚み、及び角度規制部70に設けられた差込部71Bの厚みより僅かに大きい。一方の被係止孔49は後述する落下防止部50の係止部51Aが差し込まれ係止する被係止部である。他方の被係止孔49は後述する角度規制部70に設けられた差込部71Bが差し込まれ係止する被係止部である。
家具Fの上面に当接して載置された状態の第1ベース部30Aにおいて、ベース部本体31は、長辺方向の中央部であって、溝部41の両側に窪み部42が形成されている。この窪み部42は上方向と短辺方向の外方向に開口している。また、この窪み部42は凸部43を貫通した挿通孔43Bが側面に開口している。また、この窪み部42は後述するボルト45の頭部45Aと、このボルト45にねじ込まれたナット47の夫々が配置される。また、この窪み部42は、ボルト45の頭部45Aとナット47に上方から工具が嵌合することができるように、長辺方向において上方に広がるように形成されている。
ベース部本体31は、図1〜図3に示すように、空洞である。また、このベース部本体31は、家具Fの上面に当接して載置された状態の第1ベース部30Aにおいて、下方に開口している。このベース部本体31は、内部に短辺方向に平行に伸びた複数条のリブR1と、長辺方向に平行に伸びた2条のリブR2とが交差して形成されている。
回動軸部材は、図2及び図3に示すように、ベース部本体31の挿通孔43Bの一方から挿入されたボルト45と、このボルト45の軸部45Bにねじ込まれたナット47とから構成されている。ボルト45の中心軸が各ベース部30A,30Bにおけるダンパ10の回動軸になる。
ブッシュ35は、図3に示すように、略円筒状である。ブッシュ35は弾性体である。ブッシュ35の長さはベース部本体31に設けられた一対の凸部43,43の内壁面43A,43A同士の間隔によりも僅かに小さい。ブッシュ35は中央部の外周面を一周した凹部35Aが形成されている。この凹部35Aの外径がダンパ10のジョイント部15に形成された貫通孔15Aの内径に略等しい。ブッシュ35は凹部35Aの両端から立ち上がった部分の外径がダンパ10のジョイント部15に形成された貫通孔15Aの内径よりも大きい。また、ブッシュ35は両端部の外周面35Bが外方向に縮径している。このため、ブッシュ35はダンパ10のジョイント部15に形成された貫通孔15Aに弾性変形させながら挿入される。そして、ブッシュ35は、貫通孔15Aに凹部35Aが嵌まり込んで、ダンパ10のジョイント部15に取り付けられる。
ブッシュ35は中央部の内径がボルト45の軸部45Bの外径よりも僅かに大きい。また、ブッシュ35は両端部の内周面35Cが外方向に拡径している。このため、このブッシュ35はボルト45の軸部45B周りに回動自在である。また、このブッシュ35は、拡径した両端部の内周面35Cがボルト45の軸部45Bの外周面に当接する範囲で、ボルト45の軸部45Bに対して傾くことができる。つまり、ブッシュ35をジョイント部15に取り付けたダンパ10は、ボルト45の軸部45B周りに回動自在であり、回動方向に交差する方向に揺動自在である。具体的には、寸法上の余裕と内周面35Cの拡径によって揺動する。さらに、ブッシュ35が弾性変形することによって、ダンパ10は回動方向に交差する方向に、より大きく揺動することができる。
滑り止め部37は、図1〜図4に示すように、ベース部本体31の外形に僅かに大きい相似形(長方形状)の外形である。滑り止め部37はゴム製である。また、滑り止め部37は、家具Fの上面に当接して載置された状態の第1ベース部30Aにおいて、ベース部本体31の下端開口に嵌合される。また、滑り止め部37は略平板である。詳しくは、滑り止め部37は、家具Fの上面又は天井Cに当接する面が平坦であり、その反対側を向いた面(ベース部本体31に対向する面)は、ベース部本体31の外周壁及びリブR1,R2に合わせた嵌合溝が形成されている。滑り止め部37はその弾性力によってベース部本体31に着脱自在に取り付けられる。
ここで、ダンパ10と各ベース部30A,30Bとの組み付け工程について説明する。
まず、ダンパ10の両端に設けられた2個のジョイント部15に形成された各貫通孔15Aにブッシュ35を嵌め込み、ブッシュ35をダンパ10のジョイント部15に取り付ける。
次に、ブッシュ35を取り付けたダンパ10のジョイント部15の一方をベース部本体31に形成された一対の凸部43,43の間に挿入する。そして、ボルト45の軸部45Bをベース部本体31の挿通孔43B及びブッシュ35に挿通させ、ボルト45の軸部45Bにナット47をねじ込む。このようにして、ダンパ10のジョイント部15の一方にベース部本体31を連結する。ダンパ10のジョイント部15の他方も同様にベース部本体31を連結する。この状態で、図2に示すように、ボルト45の頭部45Aとナット47(回動軸部材の両端部)はダンパ10の中心軸に対称な位置でベース部本体31の窪み部42内で露出している。
そして、ダンパ10の両端部に連結された夫々のベース部本体31に滑り止め部37を嵌合させて、ダンパ10と各ベース部30A,30Bとの組み付け工程を終了する。
このように組み付けられたダンパ10と各ベース部30A,30Bは、図3に示すように、ボルト45の軸部45Bに対してブッシュ35が回動自在である。このため、各ベース部30A,30Bはダンパ10の両端部の夫々を回動軸周りに回動自在に連結している。また、ブッシュ35は、両端部の内周面35Cが外方向に拡径している。このため、ブッシュ35の拡径した両端部の内周面35Cがボルト45の軸部45Bの外周面に当接する範囲で、ブッシュ35が回動軸に対して傾くことができる。具体的には、寸法上の余裕と内周面35Cの拡径によって揺動する。さらに、ブッシュ35は、弾性体であり、弾性変形することによって、ダンパ10は回動方向に交差する方向に、より大きく揺動することができる。このように、各ベース部30A,30Bに連結されたダンパ10は回動方向と交差する方向に揺動することができる。
落下防止部50は、図1、図4、及び図5に示すように、平板帯状の金属を折り曲げて形成、又は樹脂によって形成されている。落下防止部50は、幅がベース部本体31に形成された溝部41の幅よりも僅かに狭く、一定である。つまり、落下防止部50の幅はベース部本体31に形成されたスリット形状の被係止孔49の長さよりも僅かに狭い。また、落下防止部50は連結部51と垂下部53とを有している。落下防止部50の連結部51は一方の端部を直角に折り曲げて形成した係止部51Aを有している。落下防止部50の垂下部53は、連結部51の他方の端部に連続し、連結部51に対して直交し、係止部51Aと同じ方向に伸びている。落下防止部50の垂下部53は、後述するように転倒防止装置の上部側が壁面Wから離れる方向に倒れた際に、壁面Wと家具Fの背面との間から抜けない程度の長さに設定されている。例えば、落下防止部50の垂下部53は滑り止め部37より下側に100mm以上の長さを有している。
落下防止部50は、図1及び図5に示すように、家具Fの上面に当接して載置される第1ベース部30Aに取り付けられる。詳しくは、落下防止部50は、連結部51の係止部51Aが、家具Fの上面に当接して載置された状態の第1ベース部30Aのベース部本体31の壁面W側に位置する被係止孔49に挿入され係止される。このように、この転倒防止装置は落下防止部50を第1ベース部30Aに容易に取り付けることができる。また、この転倒防止装置は梱包時等に落下防止部50を第1ベース部30Aから外して嵩張らないようにすることができる。
落下防止部50の連結部51は、第1ベース部30Aのベース部本体31に取り付けられた状態で、ベース部本体31に形成された溝部41に沿って伸び、他方の端部が第1ベース部30Aの外縁(第1ベース部30Aの滑り止め部37の外縁)より外側に位置する。垂下部53は、連結部51の他方の端部から垂下し、第1ベース部30Aの滑り止め部37の外縁の僅か外側を下方に向けて伸びている。落下防止部50は、第1ベース部30Aより下方において、壁面Wと家具Fの背面との間に配置される。
角度規制部70は、図1、図2、及び図6に示すように、家具Fの上面に当接して載置された第1ベース部30Aに着脱自在に取り付けられる。このため、この転倒防止装置は梱包時等に角度規制部70を第1ベース部30Aから外して嵩張らないようにすることができる。角度規制部70は、第1ベース部30Aに取り付けられた状態で、略鉛直方向に伸びた規制部71と、規制部71の下部に連続して設けられ、規制部71の傾倒を防止する支持部73とを有している。規制部71は、平板であり、略長方形状である。規制部71は、家具Fの上面に当接して載置された状態の第1ベース部30Aに角度規制部70を取り付けた際、一方の短辺が上端に位置する受部71Aであり、他方の端部が下端に位置し、ベース部本体31の壁面Wから離れた側に位置する被係止孔49に挿入される差込部71Bである。
規制部71は、ダンパ10のシリンダ11が受部71Aに当接することによって、ダンパ10がその傾斜姿勢よりも倒れないように規制する。ダンパ10の傾斜角度は15°〜25°が好ましい。受部71Aは、上方に開放しており、シリンダ11の外周の約1/3程度が当接するように、中央が下方に凹んで湾曲している。このように、受部71Aは、シリンダ11をしっかりと保持しないため、地震等の揺れによって家具Fが傾いたり揺れたりした際に生じるダンパ10の動きを拘束しない。つまり、この転倒防止装置は、地震等の揺れによって家具Fが揺れたり、傾いたりした際に、各ベース部30A,30Bに対してダンパ10が回動軸周りに回動自在であり、回動方向に交差する方向に揺動自在である。
差込部71Bは、図6に示すように、先端に向けて薄くなるように短辺の両側の角部を長辺方向に切り欠いた傾斜面71C、71Cを有している。傾斜面71C、71Cによって、差込部71Bがベース部本体31の被係止孔49に挿入しやすい。また、差込部71Bは先端部の一方の面から短辺方向に突出した突起71Dを有している。角度規制部70は第1ベース部30Aに対して着脱自在であるが、意図せずに差込部71Bがベース部本体31の被係止孔49から引き抜かれる方向に角度規制部70に力が働いた場合、突起71Dが被係止孔49に引っ掛かり、引き抜かれ難くなっている。
支持部73は、第1支持部73Aと、第2支持部73Bとを具備している。第1支持部73Aは、規制部71と同じ幅を有しており、規制部71に直交する方向に伸びた平板である。第1支持部73Aは、規制部71の差込部71Bが第1ベース部30Aのベース部本体31の被係止孔49に挿入されると、ベース部本体31に形成された溝部41の底面41Aに当接した状態になる。第2支持部73Bは第1支持部73Aと規制部71との間の角部に連結された直角二等辺三角形状の平板である。詳しくは、第2支持部73Bは、等しい長さの2辺の夫々が第1支持部73Aの側面と規制部71の側面に連結され、第1支持部73Aと規制部71とが直交した状態となるように支持している。
転倒防止装置は、図7に示すように、ダンパ10を所望する長さの収縮状態に保持する固定索90を備えている。固定索90は化学繊維製の一本の紐である。固定索90は、ダンパ10を収縮させた状態にし、両側に輪を形成するようにして第1ベース部30A及び第2ベース部30Bのボルト45の頭部45Aとナット47に引っ掛ける。つまり、この固定索90は、両側で第1ベース部30A及び第2ベース部30Bのボルト45の頭部45Aとナット47に係止し、中央部で1本にまとまって伸びている。
このように、この転倒防止装置は、固定索90を係止するためのみの構造を設けることなく、ダンパ10の両端部に位置するボルト45の頭部45Aとナット47を利用し、ダンパ10を所望する長さの収縮状態に保持することができる。また、この転倒防止装置は、紐の長さを調整することによって、ダンパ10の収縮長さが異なる収縮状態に保持することができる。このため、シリンダ11とロッド13の長さが同じ転倒防止装置であっても、取り付けられる家具Fの上面と天井Cとの間隔に対応して、ダンパ10の収縮長さが異なる複数種類の収縮状態に保持したものを用意することができる。また、ダンパ10の長さの規格が変更されても固定索90の長さを変更することによって容易に対応することができる。
この転倒防止装置は、家具Fの上面と天井Cとの間に取り付ける際、固定索90によって収縮状態に保持された転倒防止装置の第1ベース部30Aを家具Fの上面に当接させて載置する。その後、固定索90を解いたり、切断したりすると、シリンダ11内に封入した圧縮ガスの膨張力によってダンパ10が伸長し、第2ベース部30Bが天井Cに当接する。このように、この転倒防止装置は、家具Fの上方で作業者がダンパ10を収縮させる取り付け作業を行う必要がないため、容易に、そして安全に家具Fの上面と天井Cとの間に取り付けることができる。
また、この転倒防止装置は、固定索90によって収縮された状態から天井Cに第2ベース部30Bが当接した状態に変化する際のダンパ10の伸長具合を小さくすると、第2ベース部30Bが天井Cに当接する衝撃を小さくすることができる。このため、家具Fの上面と天井Cとの間隔に応じて、ダンパ10のシリンダ11及びロッド13の長さが違う複数種類の転倒防止装置を用意するとともに、さらに、ダンパ10のシリンダ11及びロッド13の長さが同じものに対して、固定索90によってダンパ10の収縮長さが違う複数種類を用意するとよい。
次に、壁面Wに背面を対向させて床面上に設置された家具Fの上面と天井Cとの間にこの転倒防止装置を取り付ける取付方法について説明する。
まず、転倒防止装置を取り付ける家具Fの上面と天井Cとの間隔に適したシリンダ11及びロッド13の長さを有するものであって、取付時に第2ベース部30Bが天井Cに当接する衝撃が小さくなるように、固定索90によってダンパ10が適切な長さの収縮状態に保持された転倒防止装置を選択する。
次に、この転倒防止装置の第1ベース部30Aのベース部本体31に形成された一方の被係止孔49に落下防止部50の連結部51の係止部51Aを挿入し、第1ベース部30Aに落下防止部50を取り付ける。また、第1ベース部30Aのベース部本体31に形成された他方の被係止孔49に角度規制部70の差込部71Bを挿入し、第1ベース部30Aに角度規制部70を取り付ける。
次に、落下防止部50と角度規制部70とが取り付けられた第1ベース部30Aを、図8に示すように、家具Fの壁面W側の上面に滑り止め部37を当接させて載置する。この際、落下防止部50の垂下部53を家具Fの背面に沿って垂下させるように第1ベース部30Aを家具Fの上面に載置する。つまり、落下防止部50の垂下部53は壁面Wと家具Fの背面との間に配置される。また、第1ベース部30Aを家具Fの上面に載置した状態で、第1ベース部30Aのボルト45の軸部45B(回動軸)は、家具Fが地震等の揺れによって傾く方向(図8において右方向)に対して直交する方向に伸びている。つまり、ダンパ10が回動軸周りに回動する方向と家具Fの傾く方向が平行となるように、第1ベース部30Aは家具Fの上面に載置される。
そして、ダンパ10のシリンダ11が角度規制部70の受部71Aに当接するようにダンパ10を傾斜させる。この状態で、ダンパ10は傾斜角度が15°〜25°の間の適正な角度になる。そして、第2ベース部30Bのボルト45の軸部45B(回動軸)が、第1ベース部30Aのボルト45の軸部45B(回動軸)と平行になるように、第2ベース部30Bの向きを正す。この状態で、固定索90を解いたり、切断したりすると、シリンダ11に封入した圧縮ガスの膨張力によってダンパ10が伸長し、図1に示すように、第2ベース部30Bが天井Cに当接する。こうして、転倒防止装置を家具Fの上面と天井Cとの間に取り付ける取付け作業を完了する。なお、取り付け作業を完了した後に、第1ベース部30Aに角度規制部70を取り外してもよい。
このように、この転倒防止装置は、角度規制部70が取り付けられた第1ベース部30Aを家具Fの上面に載置すれば、適切な傾斜角度にダンパ10を傾斜させることができ、その傾斜角度を維持して第2ベース部30Bを天井Cに当接させるのみで転倒防止装置を家具Fの上面と天井Cとの間に適切に取り付けることができる。
家具Fの上面と天井Cとの間に取り付けられた転倒防止装置は、天井C側から家具Fの上面側に伸びたダンパ10の軸線が下り傾斜し、かつ上方から見た平面視において地震等の揺れによって家具Fが傾く方向(右方向)と平行にダンパ10の軸線が伸びた状態にダンパ10が取り付けられる。このため、この転倒防止装置は、家具Fの傾きに対してダンパ10の減衰力を効果的に利用し、家具Fの転倒を防止することができる。
また、この転倒防止装置は、ダンパ10の両端部の夫々を各ベース部30A,30Bがブッシュ35を介して連結している。このブッシュ35は、両端部の内周面35Cが外方向に拡径している。このため、寸法上の余裕と内周面35Cの拡径によって揺動し、ブッシュ35の拡径した両端部の内周面35Cがボルト45の軸部45Bの外周面に当接する範囲で、ブッシュ35が回動軸に対して傾くことができる。よって、各ベース部30A,30Bに連結されたダンパ10が回動方向と交差する方向に揺動することができる。
このように、この転倒防止装置は、地震等の揺れによって、ダンパ10の回動方向と交差する方向に家具Fが揺れても、ダンパ10が回動方向と交差する方向に揺動するため、各ベース部30A,30Bが家具Fの上面と天井Cとに当接した状態を維持することができる。そして、ダンパ10の回動方向と平行な方向に家具Fが傾くと、この転倒防止装置は、ダンパ10が回動軸周りに回動するため、ダンパ10の減衰力が家具Fに作用して家具Fの傾きを抑制し、家具Fの転倒を防止することができる。つまり、この転倒防止装置は、揺れ方向が複合的な地震等に対して、各ベース部30A,30Bが家具Fの上面と天井Cとに当接した状態を維持し、家具Fの転倒を防止することができる。
また、この転倒防止装置は、家具Fの上面と天井Cとの間へ取り付ける作業中であって、第2ベース部30Bを天井Cに当接させる前の状態、つまり、家具Fの上面に第1ベース部30Aを当接させて載置し、落下防止部50の垂下部53を壁面Wと家具Fの背面との間に配置した状態で、転倒防止装置の上部側が壁面Wから離れる方向に倒れると、その勢いで家具Fの上面に当接させた第1ベース部30Aの壁面W側が浮き上がる。すると、この転倒防止装置は、図9に示すように、第1ベース部30Aに取り付けられた落下防止部50の垂下部53が壁面Wに引っ掛かる。このため、この転倒防止装置は家具Fの前面側に落下することを防止することができる。
以上説明したように実施形態1の転倒防止装置は、ダンパ10、一対のベース部30A,30B、及び固定索90を備えている。ダンパ10は床面上に設置された家具Fの上面と天井Cとの間に取り付けられる。各ベース部30A,30Bはダンパ10の両端部の夫々に連結されている。また、第1ベース部30Aが家具Fの上面に当接し、第2ベース部30Bが天井Cに当接する。固定索90はダンパ10を所望する長さの収縮状態に保持する。
この転倒防止装置は、固定索90がダンパ10を所望する長さの収縮状態に保持している状態で、第1ベース部30Aを家具Fの上面に当接して載置する。そして、ダンパ10を所望する方向に伸びた取り付け状態になるように位置決めした後、固定索90を解いたり、切断したりする。すると、ダンパ10が伸長して第2ベース部30Bが天井Cに当接し、取付け作業を完了することができる。このように、この転倒防止装置は、家具Fの上方で作業者がダンパ10を収縮させながら取り付け作業を行う必要がないため、容易に家具Fの上面と天井Cとの間に取り付けることができる。
したがって、実施形態1の転倒防止装置は家具Fの上面と天井Cとの間に容易に取り付けることができる。
実施形態1の転倒防止装置の各ベース部30A,30Bはダンパ10の両端部の夫々を回動自在に軸支する回動軸部材(ボルト45及びナット47)を備えている。そして、固定索90は各回動軸部材(ボルト45及びナット47)に係止される。このため、この転倒防止装置は、固定索90を係止するためのみの構造を設けることなく、ダンパ10の両端部に位置する回動軸部材(ボルト45及びナット47)を利用し、ダンパ10を所望する長さの収縮状態を保持することができる。
実施形態1の転倒防止装置において、ボルト45の頭部45Aとナット47(回動軸部材の両端部)がダンパ10の中心軸に対称な位置で各ベース部30A,30Bから露出している。また、固定索90は、両側で各ベース部30A,30Bから露出したボルト45の頭部45Aとナット47の夫々に係止し、中央部で一本にまとまって伸びている。この場合、両端でボルト45の頭部45Aとナット47に係止した固定索90が、中央部で一本にまとまって伸びているため、バランスよくダンパ10を収縮状態に保持することができる。
実施形態1の転倒防止装置は角度規制部70を備えている。角度規制部70は家具Fの上面に当接する第1ベース部30Aに取り付けられ、ダンパ10の傾斜角度を規制する。このため、この転倒防止装置は、家具Fの上面に第1ベース部30Aを当接させて載置すれば、角度規制部70によってダンパ10は所望する傾斜角度に配置される。そして、この状態で固定索90を解いたり、切断したりすれば、この転倒防止装置はダンパ10を所望する傾斜角度にして家具Fの上面と天井Cとの間に取り付けることができる。
<実施形態2>
次に、図10〜図13などを参照し、実施形態2について説明する。
図10等で示す実施形態2の転倒防止装置201は、固定索90(図7等)を図10等で示す固定索290に変更した点が実施形態1の転倒防止装置と異なり、その他の部分は実施形態1と同一の構成をなし、同一の機能を有する。よって、固定索290以外の部分については実施形態1と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。また、以下の説明でも、物品の例として、設置面上に設置された家具Fを例示するが家具以外の物品に適用してもよい。
図10で示す転倒防止装置201は、実施形態1と同様のダンパ10及び一対のベース部30A,30Bを備える。図12、図13のように、ダンパ10は、転倒防止装置201の取付時に家具Fの上面と天井Cとの間に取り付けられる。一対のベース部30A,30Bは、ダンパ10の両端部の夫々に連結され、一方の第1ベース部30Aが家具Fの上面に当接し、他方の第2ベース部30Bが天井Cに当接する形で使用される。更に、転倒防止装置201は、実施形態1と同様の構成及び機能を有する角度規制部70を備える。この角度規制部70は、家具Fの上面に当接する第1ベース部30Aに取り付けられ、ダンパ10の傾斜角度を規制する。また、転倒防止装置201は、実施形態1と同様の構成及び機能を有する落下防止部50を備える。
転倒防止装置201において、第1ベース部30Aに取り付けられるボルト45及びナット47は一方側の回動軸部材として機能する。第2ベース部30Bに取り付けられるボルト45及びナット47は他方側の回動軸部材として機能する。各回動軸部材の両端部であるボルト45の頭部45Aとナット47はダンパ10の中心軸に対称な位置でベース部本体31の窪み部42内で露出している。そして、固定索290は、一端側の部分が第1ベース部30Aに取り付けられるボルト45及びナット47に夫々係止し、他端側の部分が第2ベース部30Bに取り付けられるボルト45及びナット47に夫々係止する。このような形で、固定索290は、第1ベース部30Aと第2ベース部30Bとに装着される。
固定索290は、両ベース部30A,30Bの間隔の広がりを規制する部材であり、図10のように両ベース部30A,30Bに装着されているときに、ダンパ10を所望する長さの収縮状態に保持する。固定索290は、樹脂材料からなるバンド部材210と、化学繊維製の紐などからなる物品側の連結部220とを備え、これらバンド部材210と連結部220とが連結された構成をなす。
バンド部材210は、例えばポリプロピレンなどの樹脂材料などからなり、細長の形状且つ所定の厚さの帯部材として構成される。このバンド部材210は、容易に撓み得る構成となっているが、伸縮性は抑えられている。バンド部材210は、伸ばした形状が図11のような長手状且つ薄板状となっている。バンド部材210の長手方向の一方側には、厚さ方向に貫通した貫通孔部212Aが形成され、長手方向他方側にも厚さ方向に貫通した貫通孔部212Bが形成されている。そして、バンド部材210の長手方向の一方側において貫通孔部212Aよりも中央側の位置には、厚さ方向に貫通し且つバンド部材210の長手方向に細長く構成された長孔部214が形成されている。
バンド部材210は、図11のような伸長状態から、長手方向他方側の端部(貫通孔部212B側の端部)を長孔部214内に入り込ませて長手方向他方側の部分を長孔部214内に通すことで、図10のような交差状態となる。バンド部材210は、図10のような交差状態のとき、長手方向一端寄りの部分(長孔部214を構成する部分)と長手方向他端寄りの部分とが交差した交差部216が構成される。バンド部材210は、このような交差状態で、一方側に形成された貫通孔部212Aがナット47と嵌合するように係止し、他方側に形成された貫通孔部212Bがボルト45の頭部45Aと嵌合するように係止する。バンド部材210が図11のような長手状になるときの中央側の部分は、図10のような交差状態のときに環状の把持部280として構成される。この把持部280は、図12、図13のような取付状態のときに作業者が把持して操作する部分である。
図10のように、固定索290のうちの物品側の連結部220は、交差状態で配置されたバンド部材210の環状部(把持部280)と、第1ベース部30Aとを連結するように配置される。この物品側の連結部220は、例えば化学繊維製の紐などによって構成され、バンド部材210に構成された把持部280を下方側に引っ張るように取り付けられる。収縮状態でのダンパ10の長さ及び両ベース部30A,30Bの間隔は、物品側の連結部220の長さを調整することで定めることができる。つまり、物品側の連結部220において、把持部280に引っ掛かる接触部分と回転軸部材(ボルト45及びナット47)との距離を長くすればダンパ10を長くすることができる。逆に、接触部分と回転軸部材(ボルト45及びナット47)との距離を短くすればダンパ10を短くすることができる。
本構成の転倒防止装置201は、実施形態1の転倒防止装置と同様の方法で取り付けることができる。まず、図10のように固定索290によって収縮状態に保持された転倒防止装置201の第1ベース部30Aを、実施形態1と同様のやり方で家具Fの上面に当接させて載置する。図10では、落下防止部50や角度規制部70は省略しているが、実施形態1と同様の構成でこれらを取り付けることができる。なお、落下防止部50及び角度規制部70の一方又は両方を省略してもよい。
収縮状態とされた転倒防止装置201を家具Fの上面に載置した後、物品側の連結部220を解いたり、切断したりする。すると、シリンダ11内に封入された圧縮ガスの膨張力によってダンパ10が伸長し、図12、図13のように第2ベース部30Bが天井Cに当接する。このように、本構成の転倒防止装置201でも、家具Fの上方で作業者がダンパ10を収縮させる取り付け作業を行う必要がないため、容易に、そして安全に家具Fの上面と天井Cとの間に取り付けることができる。
図12、図13のように、転倒防止装置201が天井Cと家具Fの間に取り付けられたときには、固定索290(図10)の一部をなすバンド部材210が第2ベース部30Bから吊り下がる。このとき、バンド部材210において、交差部216の下側に環状の把持部280が配置されることになる。
図12、図13のように転倒防止装置201が天井Cと家具Fの間に取り付けられた場合、第2ベース部30Bが望ましい位置で天井Cに当接していればそのまま取り付け作業を終了することができる。この場合、バンド部材210は、第2ベース部30Bから取り外しても良いし、そのまま取り付けておいてもよい。
一方、図12、図13のような取付状態のときに第2ベース部30Bが望ましい位置で天井Cに接触しておらず、位置変更すべき場合、例えば作業者が環状の把持部280を持ちながら把持部280を下方側に引っ張る操作を行う。ダンパ10の付勢に抗して把持部280を下方側に引っ張る操作を行うと、第2ベース部90Bを下方側に移動させて天井Cから離すことができ、第2ベース部30Bと天井Cの間に摩擦力が生じない状態とすることができる。このように第2ベース部30Bを天井Cから離しながら、把持部280を前後又は左右に移動させることで、第2ベース部30Bを所望の位置に移動させることができる。そして、望ましい位置で把持部280に対する引っ張りを終了させれば、その位置付近で第2ベース部30Bが天井Cに当接して位置決めされることになる。
以上のように、本構成の転倒防止装置201でも取り付け作業の容易化が図られる。即ち、固定索290によって収縮状態とされているときに一方の第1ベース部30Aを物品上面に載置し、物品側の連結部220を解いたり切断したりすれば、容易に転倒防止装置201を取り付けることができる。
更に、本構成の転倒防止装置201は、取付状態のときに、天井Cに当接する第2ベース部30Bに連結された把持部280がその第2ベース部30Bから垂れ下がるように配置される。よって、作業者は、この把持部280を下方側に引っ張ることで、ダンパ10の付勢に抗して第2ベース部30Bを天井Cから離すことができる。このように第2ベース部30Bが天井に当接した後でも、第2ベース部30Bを天井Cから離す操作が行いやすくなるため、第2ベース部30Bの位置変更をより簡単に行うことができる。
特に、取付状態のときに環状の把持部280が天井側の第2ベース部30Bよりも下方位置に配置されるため、第2ベース部30Bを直接掴むような作業と比較して作業者の手が届きやすく且つ握りやすくなる。また、把持部280は、ダンパ10の中心軸上に配置され且つロッド13が連結される部分である回動軸部材に連結されている。このため、把持部280を下方側に引っ張ったときにロッド13に対して収縮方向の力が効率的に加わりやすく、より小さな力でダンパ10を収縮させやすくなる。
<実施形態3>
次に、図14〜図18などを参照し、実施形態3について説明する。
図14等で示す実施形態3の転倒防止装置301は、固定索90(図7等)を図14、図15のような固定索390に変更した点が実施形態1の転倒防止装置と異なり、その他の部分は実施形態1と同一の構成をなし、同一の機能を有する。よって、固定索390以外の部分については実施形態1と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。また、以下の説明でも、物品の例として、設置面上に設置された家具Fを例示するが家具以外の物品に適用してもよい。
図14で示す転倒防止装置301は、実施形態1と同様のダンパ10及び一対のベース部30A,30Bを備える。図16のように、ダンパ10は、転倒防止装置301の取付時に家具Fの上面と天井Cとの間に取り付けられる。一対のベース部30A,30Bは、ダンパ10の両端部の夫々に連結され、一方の第1ベース部30Aが家具Fの上面に当接し、他方の第2ベース部30Bが天井Cに当接する形で使用される。更に、転倒防止装置301は、実施形態1と同様の構成及び機能を有する角度規制部70及び落下防止部50を備える。
図15で示す固定索390は、例えばポリプロピレンなどの樹脂材料などからなり、第1ベース部30Aに取り付けられる第1係止部330と、第2ベース部30Bに取り付けられる第2係止部340と、環状の把持部380とを有する。更に固定索390は、第1係止部330と把持部380とを連結する物品側の連結部320と、第2係止部340と把持部380とを連結する天井側の連結部310とを備える。そして、これら第1係止部330、第2係止部340、把持部380、物品側の連結部320、天井側の連結部310が一体化されている。
転倒防止装置301において、図18のように第1ベース部30Aに取り付けられるボルト45及びナット47は一方側の回動軸部材として機能する。図17のように第2ベース部30Bに取り付けられるボルト45及びナット47は他方側の回動軸部材として機能する。各回動軸部材の両端部であるボルト45の頭部45Aとナット47はダンパ10の中心軸に対称な位置でベース部本体31の窪み部42内で露出している。そして、固定索390は、図18のように、一端側に設けられた第1係止部330が第1ベース部30Aに取り付けられるボルト45及びナット47に夫々係止する。図17のように、固定索390の他端側に設けられた第2係止部340は、第2ベース部30Bに取り付けられるボルト45及びナット47に夫々係止する。このような形で、固定索390は、第1ベース部30Aと第2ベース部30Bとを繋ぐ形で装着される。
図17のように、第2係止部340は、天井側の連結部310に対して横方向に配置された根元部341と、この根元部341から立ち上がる一対の立ち上がり部342,343とを備える。一対の立ち上がり部342,343は、互いに対向して配置される。一対の立ち上がり部342,343は、それぞれ板片として構成され、両立ち上がり部342,343の板面がほぼ平行に配置されている。立ち上がり部342,343には、厚さ方向に貫通した貫通孔部342A,343Aが互いに向かい合って形成されている。図17のように、第2係止部340に形成された貫通孔部342A,343Aのうち、一方の貫通孔部342Aが第2ベース部30Bに設けられたボルト45の頭部45Aと嵌合するように係止する。他方の貫通孔部343Aは、ナット47と嵌合するように係止する。
天井側の連結部310は、根元部341の長手方向の中央位置に連結され、立ち上がり部342,343が突出する面側とは反対面側から延びている。天井側の連結部310の端部には、把持部380の端部(角部381)が連結されている。この天井側の連結部310は、第2係止部340を介して天井に当接する第2ベース部30Bに連結され、この第2ベース部30Bと把持部380とを連結するように機能する。
把持部380は、第2係止部340及び天井側の連結部310によって第2ベース部30Bに連結され、取付状態のときには図16のように吊り下げられる。把持部380は、天井に当接する第2ベース部30Bの配置側を示す所定の方向指示形状で構成されている。具体的には、図15、図17のように、把持部380は、複数の直線状部384,385,386が連結された三角形の枠状に構成され、中央部が開口した環状形態をなす。この把持部380には、3つの角部381,382,383が形成されている。そして、角部381に連結される側が第2ベース部30Bの配置側であり、直線状部386の中央部に連結される側が第1ベース部30Aの配置側となっている。つまり、角部381の凸となる方向によって天井に当接する第2ベース部30Bの配置側が示される。
この構成では、第1係止部330又は第2係止部340のいずれかを持って吊り下げたときに、把持部380を構成する三角枠の向き(具体的には角部381の向き)によって第2ベース部30Bの配置側が示される。例えば、第2係止部340を持って吊り下げたときには角部381の凸となる方向が上向きとなるため、上側が第2ベース部30Bの配置側であることを把握できる。また、第1係止部330を持って吊り下げたときには角部381の凸となる方向が下向きとなるため、下側が第2ベース部30Bの配置側であることを把握できる。
図14のように、物品側の連結部320は、家具Fの上面に当接する第1ベース部30Aと把持部380とを連結する機能を有し、取付作業のときに切断対象となる部分である。本構成では、物品側の連結部320よりも天井側の連結部310のほうが太い構成となっている。具体的には、天井側の連結部310及び物品側の連結部320のいずれも、切断面が円形となっており、天井側の連結部310の外径のほうが、物品側の連結部320の外径よりも大きくなっている。
図15のように、第1係止部330は、物品側の連結部320に対して横方向に配置された根元部331と、この根元部331から立ち下がる一対の立ち上がり部332,333とを備える。根元部331の中央部は、物品側の連結部320の端部に連結する。一対の立ち下がり部332,333は、互いに対向して配置されている。一対の立ち下がり部332,333は、ほぼ平行に延びており、先端部の近くには厚さ方向に貫通した貫通孔部332A,333Aが互いに向かい合って形成されている。図18のように、第1係止部330に形成された貫通孔部332A,333Aのうち、一方の貫通孔部332Aが第1ベース部30Aに設けられたボルト45の頭部45Aと嵌合するように係止する。他方の貫通孔部333Aは、ナット47と嵌合するように係止する。
固定索390を第1ベース部30A及び第2ベース部30Bに取り付ける場合、ダンパ10を収縮させる。その収縮状態で、第1ベース部30A及び第2ベース部30Bの両回動軸部材(ボルト45及びナット47)に対して両係止部330,340を取り付ける。これにより、図14のように、両回動軸部材の間が繋がれて伸長が規制され、ダンパ10が収縮状態で維持される。
本構成の転倒防止装置301は、実施形態1の転倒防止装置と同様の方法で取り付けることができる。具体的には、図14のように固定索390によって収縮状態とされた転倒防止装置301を家具Fの上面に載置した後、物品側の連結部320又は第1係止部330を切断する。すると、シリンダ11内に封入された圧縮ガスの膨張力によってダンパ10が伸長し、図16のように第2ベース部30Bが天井Cに当接する。このように、本構成の転倒防止装置301でも、家具Fの上方で作業者がダンパ10を収縮させる取り付け作業を行う必要がないため、容易に、そして安全に家具Fの上面と天井Cとの間に取り付けることができる。
図16のように、転倒防止装置301が天井Cと家具Fの間に取り付けられたときには、固定索390(図14)の一部をなす把持部380が物品側の連結部310を介して第2ベース部30Bから吊り下がる。このような取付状態のとき、第2ベース部30Bが望ましい位置で天井Cに当接していればそのまま取り付け作業を終了することができる。この場合、切断された固定索390は、取り外しても良いし、そのまま取り付けておいてもよい。
一方、取付状態のときに第2ベース部30Bが望ましい位置で天井Cに接触しておらず、位置変更すべき場合、第2実施形態と同様の移動操作を行えばよい。例えば作業者が環状の把持部380を持ちながら把持部380を下方側に引っ張る操作を行うことでダンパ10を収縮させ、第2ベース部30Bを天井Cから離しながら、把持部380を前後又は左右に移動させればよい。この操作により、第2ベース部30Bを所望の位置に移動させることができ、望ましい位置で把持部380に対する引っ張りを終了させれば、その位置付近で第2ベース部30Bが天井Cに当接して位置決めされることになる。
以上のように、本構成の転倒防止装置301でも、第2ベース部30Bが天井Cに取り付けられた後に、第2ベース部30Bを天井から離して移動させる操作が行いやすくなる。よって、第2ベース部30Bの位置変更をより簡単に行うことができる。
更に、転倒防止装置301の把持部380は、天井に当接する第2ベース部30Bの配置側を示す所定の方向指示形状で構成されている。このように把持部380の形状が所定の方向指示形状で構成されていれば、作業者が固定索390の取り付けの向きをより容易に把握することができる。例えば、両ベース部30A,30Bに固定索390を取り付けるときに固定索390が上下逆に取り付けられてしまうミスを減らすことができる。また、固定索390が取り付けられた両ベース部30A,30Bを家具F及び天井Cに取り付けるときに、把持部380に表された方向指示形状によって天井側となるべきベース部又は物品側となるべきベース部を確認しながら取り付けることができる。よって、家具F側に配置すべき第1ベース部30Aと天井C側に配置すべき第2ベース部30Bが逆に取り付けられてしまうミスを減らすことができる。
更に、転倒防止装置301の固定索390は、物品側の連結部320よりも天井側の連結部310のほうが太い構成となっている。物品側の連結部320よりも天井側の連結部310のほうが太い構成であれば、天井側の連結部310については強度を高め、物品側の連結部320については切断等を行いやすくすることができる。天井側の連結部310の強度が高められると、第2ベース部30Bが天井に取り付けられた後、把持部380を下方側に引っ張って第2ベース部30Bを天井から離すときに、把持部380と第2ベース部30Bとの間に強い力が加わっても破断等が生じにくくなる。
<実施形態4>
次に、図19〜図23などを参照し、実施形態4について説明する。
図19等で示す実施形態4の転倒防止装置401は、固定索90(図7等)を図19、図20のような固定索490に変更した点が実施形態1の転倒防止装置と異なり、その他の部分は実施形態1と同一の構成をなし、同一の機能を有する。よって、固定索490以外の部分については実施形態1と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。また、以下の説明でも、物品の例として、設置面上に設置された家具Fを例示するが家具以外の物品に適用してもよい。
図19で示す転倒防止装置401は、実施形態1と同様のダンパ10及び一対のベース部30A,30Bを備える。図21のように、ダンパ10は、転倒防止装置401の取付時に家具Fの上面と天井Cとの間に取り付けられる。一対のベース部30A,30Bは、ダンパ10の両端部の夫々に連結され、一方の第1ベース部30Aが家具Fの上面に当接し、他方の第2ベース部30Bが天井Cに当接する形で使用される。更に、転倒防止装置401は、実施形態1と同様の構成及び機能を有する角度規制部70及び落下防止部50を備える。
図19で示す固定索490は、例えばポリプロピレンなどの樹脂材料などからなる。この固定索490は、第1ベース部30Aに取り付けられる第1係止部430と、第2ベース部30Bに取り付けられる第2係止部440と、第1係止部430と第2係止部440を連結する連結部450とを有する。そして、これら第1係止部430、第2係止部440、連結部450が一体化されている。この固定索490は、上下が対称形状となっており、裏表も対称形状又はほぼ対称形状となっている。つまり、上下を逆にしても同じ形状であり、裏表を逆にしても同じ形状又はほぼ同じ形状となっている。
転倒防止装置401において、第1ベース部30Aに取り付けられるボルト45及びナット(第1実施形態のナット47と同様のナット)は一方側の回動軸部材として機能する。図22のように第2ベース部30Bに取り付けられるボルト45及びナット47は他方側の回動軸部材として機能する。各回動軸部材の両端部であるボルト45の頭部45Aとナット47はダンパ10の中心軸に対称な位置でベース部本体31の窪み部42内で露出している。
図22のように、第2係止部440は、第2ベース部30Bに取り付けられるボルト45及びナット47に夫々係止し、天井Cに当接する第2ベース部30Bに取り付けられる。図20のように、第2係止部440は、連結部450の端部に設けられ、連結部450の長手方向に対して横方向に延びる根元部441と、この根元部441から立ち上がる一対の立ち上がり部442,443とを備える。一対の立ち上がり部442,443は、互いに対向して配置され、両立ち上がり部442,443の先端部には、貫通孔部442A,443Aが互いに向かい合って形成されている。図22のように、第2係止部440に形成された貫通孔部442A,443Aのうち、一方の貫通孔部442Aが第2ベース部30Bに設けられたボルト45の頭部45Aと嵌合するように係止する。他方の貫通孔部443Aは、ナット47と嵌合するように係止する。貫通孔部442A,443Aは、固定部の一例に相当する。
図20のように、第1係止部430は、第2係止部440と同一の形状をなしている。第1係止部430は、連結部450の端部に設けられ、連結部450の長手方向に対して横方向に延びる根元部431と、この根元部431から立ち上がる一対の立ち上がり部432,433とを備える。一対の立ち上がり部432,433は、互いに対向して配置され、両立ち上がり部432,433の先端部には貫通孔部432A,433Aが互いに向かい合って形成されている。第1係止部430に形成された貫通孔部432A,433Aのうち、一方の貫通孔部432Aが第1ベース部30Aに設けられたボルト45の頭部45Aと嵌合するように係止する。他方の貫通孔部433Aは、そのボルト45に連結されたナットと嵌合するように係止する。このような形で、固定索490は、第1ベース部30Aと第2ベース部30Bとを繋ぐ形で装着される。
図20のように、連結部450は、第1係止部430と第2係止部440とを繋ぐ構造で、所定厚さ且つ所定幅の帯状に構成されている。連結部450の一方側の面において、貫通孔部442A,443A(固定部)から離れた位置には、第1の目印部461が形成されている。第1の目印部461は、例えば、連結部450の一方面に形成された幅方向(連結部450の長手方向に対して横方向)の溝部として構成されている。第1の目印部461は、ダンパ10が許容される最大長さであるとき、貫通孔部442A,443Aから第1の目印部461までの部分が第2ベース部30Bから垂れ下がった状態でシリンダ11の上端部11Aの上下方向の位置を示す。
更に、連結部450において、第1の目印部461とは別の位置には、第2の目印部462が形成されている。第2の目印部462は、例えば、連結部450の一方面に形成された幅方向(連結部450の長手方向に対して横方向)の溝部として構成されている。第2の目印部462は、ダンパ10が許容される最小長さであるとき、貫通孔部442A,443Aから第2の目印部462までの部分が第2ベース部30Bから垂れ下がった状態でシリンダ11の上端部11Aの位置を示す。
ダンパ10の「許容される最大長さ」は、例えば、ピストン全体が作動油内に収まる場合のダンパ10の最大長さ又はそれよりも僅かに短い長さで予め定めておくことができる。つまり、ダンパ10が最大長さよりも長くなった場合、ピストン102(図23)の一部が圧縮ガスの領域109に入り込むことになる。また、ダンパ10の「許容される最小長さ」は、ピストン102が十分にストロークできなくなる長さであり、例えば、ダンパ10がそれ以上縮まなくなる長さ、或いはそれよりも僅かに長い長さで予め定めておくことができる。
本構成では、シリンダ11内が例えば図23のような構造となっており、シリンダ11内には作動油及び圧縮ガスを封入している。シリンダ11内は、ピストン102によって、ロッド13の基端部が収納されているロッド側圧力室104と、反ロッド側圧力室105とに仕切られている。ピストン102は両圧力室間を連通させる絞り弁であるオリフィス106が形成されている。オリフィス106は、ダンパ10の伸縮動作に伴うロッド側圧力室104と反ロッド側圧力室105との間の作動油の流れに抵抗を付与して減衰力を発生する減衰力発生部として機能する。また、ピストン102は逆止弁108を介して両圧力室間を連通する連通路が形成されている。逆止弁108は、ロッド側圧力室104から反ロッド側圧力室105への作動油の流れを許容し、その逆の流れを阻止する。
例えば、ピストン102が図23の領域AR1にあるときのダンパ10の長さを「許容される最大長さ」とする。ダンパ10がこのような長さであるとき、第2ベース部30Bから垂下した固定索490における第1の目印部461の上下方向の位置は、シリンダ11の上端部11Aの上下方向の位置と同じになる。つまり、第1の目印部461は、図21で示す直線L1上に配置される。
例えば、ピストン102が図23の領域AR2にあるときのダンパ10の長さを「許容される最小長さ」とする。ダンパ10がこのような長さであるとき、第2ベース部30Bから垂下した固定索490における第2の目印部462の上下方向の位置は、シリンダ11の上端部11Aの上下方向の位置と同じになる。つまり、第2の目印部462は、図21で示す直線L1上に配置される。
図19、図20のように、連結部450において、第1ベース部30A寄りの位置には、厚さ方向に貫通した孔部471が形成されており、第2ベース部30B寄りの位置には、厚さ方向に貫通した孔部472が形成されている。孔部471は、第1の目印部461よりも第1係止部430寄りの位置に形成されている。孔部472は、第2の目印部462よりも第2係止部440寄りの位置に形成されている。
このように構成された固定索490を第1ベース部30A及び第2ベース部30Bに取り付ける場合、ダンパ10を収縮させる。この収縮状態で、第1ベース部30A及び第2ベース部30Bの両回動軸部材(ボルト45及びナット47)に対して両係止部430,440を取り付ける。これにより、図19のように、両回動軸部材の間が繋がれて伸長が規制され、ダンパ10が収縮状態で維持される。
本構成の転倒防止装置401は、実施形態1の転倒防止装置と同様の方法で取り付けることができる。具体的には、図19のように固定索490によって収縮状態とされた転倒防止装置401を家具Fの上面に載置した後、連結部450の所定位置(例えば、第1の目印部461と孔部471の間の位置)を切断する。具体的には、幅方向に延びて形成された第1の目印部461の位置を切断位置とし、第1の目印部461に沿って切断するとよい。すると、シリンダ11内に封入された圧縮ガスの膨張力によってダンパ10が伸長し、図21のように第2ベース部30Bが天井Cに当接する。このように、本構成の転倒防止装置401でも、家具Fの上方で作業者がダンパ10を収縮させる取り付け作業を行う必要がないため、容易に、そして安全に家具Fの上面と天井Cとの間に取り付けることができる。
図21のように、転倒防止装置401が天井Cと家具Fの間に取り付けられたときには、固定索490(図14)の一部をなす連結部450が第2ベース部30Bから吊り下がる。このとき、第2ベース部30Bから垂下した連結部450によってダンパ10が適正な長さとなっているか否かを確認することができる。
具体的には、例えば、両ベース部30A,30Bの取付後、第2ベース部30Bから垂れ下がった連結部450の第1の目印部461と、シリンダ11の上端部11Aとの上下関係を確認すればよい。そして、第1の目印部461がシリンダ11の上端部11Aよりも上の位置にあれば、ダンパ10の長さが決められた最大長さを超えていることを把握できる。逆に、第2ベース部30Bから垂れ下がった連結部450の第1の目印部461が、シリンダ11の上端部11Aよりも下の位置にあれば、ダンパ10の長さが決められた最大長さ以内に収まっていることを確認できる。第1の目印部461の位置で切断した際には、切断後の連結部450の最下端部がシリンダ11の上端部11Aよりも下の位置にあれば良い。このように、第1の目印部461の位置を切断位置とすれば、取付作業を行う作業者に切断位置を明示することができる。そして、切断後の取付状態のときには、天井Cに当接するベース部30Bから垂れ下がった固定索490の下端部と、シリンダ11の上端部11A(所定部位)の位置関係を把握すればダンパ10の長さが所定の最大長さ以内であるか否かを確認できるため、確認作業がより一層正確且つ容易になる。
また、天井に当接した第2ベース部30Bから垂れ下がった連結部450に形成された第2の目印部462が、シリンダ11の上端部11A(所定部位)よりも上の位置にあれば、ダンパ10の長さが決められた最小長さ以上であることを確認できる。逆に、第2ベース部30Bから垂れ下がった連結部450の第2の目印部462が、シリンダ11の上端部11A(所定部位)よりも下の位置にあれば、ダンパ10の長さが決められた最小長さに達していないことを把握できる。
以上のように本構成の転倒防止装置401は、固定索490が、天井に当接する第2ベース部30Bに取り付けられる貫通孔部442A,443A(固定部)と、貫通孔部442A,443Aから離れた位置に形成された第1の目印部461とを備える。そして、第1の目印部461は、ダンパ10が許容される最大長さであるとき、貫通孔部442A,443Aから第1の目印部461までの部分が天井に当接する第2ベース部30Bから垂れ下がった状態でダンパ10の所定部位の位置を示す。
この構成によれば、固定索490の解除によって両ベース部30A,30Bを家具F側及び天井C側に取り付けた後、第1の目印部461とシリンダ11の上端部11A(所定部位)の位置関係を容易に把握できる。そして、その位置関係の把握により、ダンパ10の長さが決められた最大長さ以内に収まっているか否かを容易に確認することができる。
また、固定索490は、第1の目印部461とは別の位置に形成された第2の目印部462を備える。第2の目印部462は、ダンパ10が許容される最小長さであるとき、貫通孔部442A,443Aから第2の目印部462までの部分が第2ベース部30Bから垂れ下がった状態でシリンダ11の上端部11Aの位置を示す。
この構成によれば、固定索490の解除によって両ベース部30A,30Bを家具F側及び天井C側に取り付けた後、第2の目印部462とシリンダ11の上端部11A(所定部位)の位置関係を容易に把握できる。この位置関係の把握により、ダンパ10の長さが決められた最小長さ以上であるか否かを容易に確認することができる。
また、連結部450は、固定索490において第1ベース部30A寄りの位置及び第2ベース部30B寄りの位置に貫通した孔部471,472がそれぞれ形成されている。この転倒防止装置401は、図21のようにダンパ10を伸長させた後、再び、ダンパ10を収縮状態で保持する必要が生じた場合に、両孔部471,472間をワイヤ、紐、その他の連結部材で繋ぐことによって再びダンパ10を収縮状態で維持することができる。
また、固定索490は、上下が対称形状となっており、裏表も対称形状となっている。つまり、上下を逆にしても同じ形状であり、裏表を逆にしても同じ形状となっている。このため、固定索490を取り付ける際に上下の向きや裏表を考慮する必要がなくなり、上下を逆にする取り付けミスや裏表を逆にする取り付けミスを減らすことができる。
<実施形態5>
次に、図24〜図26などを参照し、実施形態5について説明する。
図24等で示す実施形態5の転倒防止装置501は、固定索90(図7等)を図24、図25のような固定索590に変更した点が実施形態1の転倒防止装置と異なり、その他の部分は実施形態1と同一の構成をなし、同一の機能を有する。よって、固定索590以外の部分については実施形態1と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。また、以下の説明でも、物品の例として、設置面上に設置された家具Fを例示するが家具以外の物品に適用してもよい。
また、固定索590は、連結部550の構造のみが第4実施形態と異なり、連結部550以外の第1係止部430及び第2係止部440は、第4実施形態と同一の構成をなし、同一の機能を有する。よって、これらの部分については、第4実施形態と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。第1係止部430及び第2係止部440を第1ベース部30A、第2ベース部30Bに取り付ける構造も、第4実施形態と同様である。
本構成でも、図24のように、固定索590は、第1ベース部30Aと第2ベース部30Bとを繋ぐ形で装着される。図24、図25のように、固定索590の連結部550は、第1係止部430と第2係止部440とを繋ぐ構造で、所定厚さ且つ所定幅の帯状に構成されている。連結部550において、貫通孔部442A,443Aから離れた位置には、第1の目印部561が形成されている。第1の目印部561は、例えば、連結部550に形成された長孔部560Aの上端部として構成されている。第1の目印部561は、ダンパ10が許容される最大長さであるとき、貫通孔部442A,443A(固定部)から第1の目印部561までの部分が第2ベース部30Bから垂れ下がった状態でシリンダ11の上端部11Aの上下方向の位置を示す。
更に、連結部550において、第1の目印部561とは別の位置には、第2の目印部562が形成されている。第2の目印部562は、例えば、連結部550に形成された長孔部560Bの下端部として構成されている。第2の目印部562は、ダンパ10が許容される最小長さであるとき、貫通孔部442A,443Aから第2の目印部562までの部分が天井Cに当接する第2ベース部30Bから垂れ下がった状態でシリンダ11の上端部11A(所定部位)の位置を示す。
図24で示す転倒防止装置501も、実施形態1の転倒防止装置と同様の方法で取り付けることができる。具体的には、図24のように固定索590によって収縮状態とされた転倒防止装置501を家具Fの上面に載置した後、連結部550の所定位置(例えば、第1の目印部561と孔部571の間の位置)を切断すれば、図26のように容易に取り付けることができる。例えば、長孔部560Aの位置は容易に切断しやすい。
図26のように、転倒防止装置501が天井Cと家具Fの間に取り付けられたときには、固定索590の一部をなす連結部550が第2ベース部30Bから吊り下がる。このとき、第2ベース部30Bから垂下した連結部550によってダンパ10が適正な長さとなっているか否かを確認することができる。例えば、第2ベース部30Bから垂れ下がった連結部550に形成された第1の目印部561が、シリンダ11の上端部11A(所定部位)よりも上の位置にあれば、ダンパ10の長さが決められた最大長さを超えていることを把握できる。逆に、垂れ下がった連結部550の第1の目印部561が、シリンダ11の上端部11Aよりも下の位置にあれば、ダンパ10の長さが決められた最大長さ以内に収まっていることを確認できる。
また、第2ベース部30Bから垂れ下がった連結部550に形成された第2の目印部562が、シリンダ11の上端部11A(所定部位)よりも上の位置にあれば、ダンパ10の長さが決められた最小長さ以上であることを確認できる。逆に、第2ベース部30Bから垂れ下がった連結部550の第2の目印部562が、シリンダ11の上端部11A(所定部位)よりも下の位置にあれば、ダンパ10の長さが決められた最小長さに達していないことを把握できる。
また、本構成でも、図25のように、連結部550は、固定索590において第1ベース部30A寄りの位置及び第2ベース部30B寄りの位置に貫通した孔部571,572がそれぞれ形成されている。この転倒防止装置501は、図26のようにダンパ10を伸長させた後、再び、ダンパ10を収縮状態で保持する必要が生じた場合に、両孔部571,572間をワイヤ、紐、その他の連結部材で繋ぐことによって再びダンパ10を収縮状態で維持することができる。
<実施形態6>
次に、図27〜図30などを参照し、実施形態6について説明する。
図27等で示す実施形態6の転倒防止装置601は、固定索90(図7等)を図27、図28のような固定索690に変更した点が実施形態1の転倒防止装置と異なり、その他の部分は実施形態1と同一の構成をなし、同一の機能を有する。よって、固定索690以外の部分については実施形態1と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。また、以下の説明でも、物品の例として、設置面上に設置された家具Fを例示するが家具以外の物品に適用してもよい。
図27で示す転倒防止装置601は、実施形態1と同様のダンパ10及び一対のベース部30A,30Bを備える。図29のように、ダンパ10は、転倒防止装置601の取付時に家具Fの上面と天井Cとの間に取り付けられる。一対のベース部30A,30Bは、ダンパ10の両端部の夫々に連結され、一方の第1ベース部30Aが家具Fの上面に当接し、他方の第2ベース部30Bが天井Cに当接する形で使用される。更に、転倒防止装置601は、実施形態1と同様の構成及び機能を有する角度規制部70及び落下防止部50を備える。
図28で示す固定索690は、例えばポリプロピレンなどの樹脂材料などからなり、第1ベース部30Aに取り付けられる第1係止部630と、第2ベース部30Bに取り付けられる第2係止部640と、湾曲した棒状の把持部680とを有する。更に固定索690は、第1係止部630と把持部680とを連結する物品側の連結部620と、第2係止部640と把持部680とを連結する天井側の連結部610とを備える。そして、これら第1係止部630、第2係止部640、把持部680、物品側の連結部620、天井側の連結部610が一体化されている。
転倒防止装置601において、第1ベース部30Aに取り付けられるボルト45及びこれに連結されるナット(実施形態1のナット47と同様のナット)は一方側の回動軸部材として機能する。図30のように第2ベース部30Bに取り付けられるボルト45及びナット47は他方側の回動軸部材として機能する。各回動軸部材の両端部であるボルト45の頭部45Aとナット47はダンパ10の中心軸に対称な位置でベース部本体31の窪み部42内で露出している。そして、固定索690は、一端側に設けられた第1係止部630が第1ベース部30Aに取り付けられるボルト45及びナットに夫々係止する。図30のように、固定索690の他端側に設けられた第2係止部640は、第2ベース部30Bに取り付けられるボルト45及びナット47に夫々係止する。このような形で、固定索690は、第1ベース部30Aと第2ベース部30Bとを繋ぐ形で装着される。
図28のように、第2係止部640は、天井側の連結部610に対して横方向に配置された根元部641と、この根元部641から立ち上がる一対の立ち上がり部642,643とを備える。一対の立ち上がり部642,643は、互いに対向して配置される。一対の立ち上がり部642,643には、貫通孔部642A,643Aが互いに向かい合って形成されている。図30のように、貫通孔部642A,643Aのうち、一方の貫通孔部642Aが第2ベース部30Bに設けられたボルト45の頭部45Aと嵌合するように係止する。他方の貫通孔部643Aは、ナット47と嵌合するように係止する。貫通孔部642A,643Aは固定部の一例に相当する。
図28のように、天井側の連結部610は、根元部641の長手方向の中央位置に連結され、立ち上がり部642,643が突出する面側とは反対面側から延びている。天井側の連結部610の端部には、把持部680の中央部が連結されている。この天井側の連結部610は、第2係止部640を介して天井に当接する第2ベース部30Bに連結され、この第2ベース部30Bと把持部680とを連結するように機能する。
把持部680は、第2係止部640及び天井側の連結部610によって第2ベース部30Bに連結され、取付状態のときには図29のように吊り下げられる。把持部680は、物品に当接する第1ベース部30Aの配置側を示す所定の方向指示形状で構成されている。図28、図30のように、把持部680は、円弧状に湾曲した棒状の形態をなし、凹側の部分(凹部682)に天井側の連結部610が連結される。把持部680の凸側の部分(凸部681)に物品側の連結部620が連結される。この把持部680は、湾曲形状の凸部681の向きで第1ベース部30Aの配置側を示す。そして、湾曲形状の凹部682が向く側(凹部682が面する側)を第2ベース部30Bの配置側として示す。
この構成では、第1係止部630又は第2係止部640のいずれかを持って吊り下げたときに、把持部680の凸部681の向きによって第1ベース部30Aの配置側が示される。例えば、第2係止部640を持って吊り下げたときには凸部681の凸となる方向が下向きとなるため、下側が第1ベース部30Aの配置側であることを把握できる。また、第1係止部630を持って吊り下げたときには凸部681の凸となる方向が上向きとなるため、上側が第1ベース部30Aの配置側であることを把握できる。
物品側の連結部620は、家具Fの上面に当接する第1ベース部30Aと把持部680とを連結する機能を有し、取付作業のときに切断対象となる部分である。本構成では、物品側の連結部620よりも天井側の連結部610のほうが太い構成となっている。天井側の連結部610及び物品側の連結部620のいずれも、切断面が円形となっており、天井側の連結部610の外径のほうが、物品側の連結部620の外径よりも大きくなっている。
第1係止部630は、物品側の連結部620に対して横方向に配置された根元部631と、この根元部631から立ち下がる一対の立ち上がり部632,633とを備える。根元部631の中央部は、物品側の連結部620の端部に連結する。一対の立ち下がり部632,633は、互いに対向して配置されている。一対の立ち下がり部632,633は、ほぼ平行に延びており、先端部の近くには貫通孔部632A,633Aが互いに向かい合って形成されている。第1係止部630に形成された貫通孔部632A,633Aのうち、一方の貫通孔部632Aが第1ベース部30Aに設けられたボルト45の頭部45Aと嵌合するように係止する。他方の貫通孔部633Aは、そのボルト45に組み付けられたナットと嵌合するように係止する。
固定索690を第1ベース部30A及び第2ベース部30Bに取り付ける場合、ダンパ10を収縮させる。その収縮状態で、第1ベース部30A及び第2ベース部30Bの両回動軸部材(ボルト45及びナット47)に対して両係止部630,640を取り付ける。これにより、図27のように、両回動軸部材の間が繋がれて伸長が規制され、ダンパ10が収縮状態で維持される。転倒防止装置601は、このような収縮状態とし、実施形態1の転倒防止装置と同様の方法で取り付けることができる。図29のように、転倒防止装置601が天井Cと家具Fの間に取り付けられたときには、固定索690の一部をなす把持部680が物品側の連結部610を介して第2ベース部30Bから吊り下がる。この取付状態のとき、第2ベース部30Bが望ましい位置で天井Cに当接していればそのまま取り付け作業を終了することができる。取付状態のときに第2ベース部30Bが望ましい位置で天井Cに接触しておらず、位置変更すべき場合、把持部680を把持しつつ第2、第3実施形態と同様の移動操作を行えばよい。
本構成では、天井側の連結部610に、において、貫通孔部642A,642B(固定部)から離れた位置には、第2の目印部662が形成されている。第2の目印部662は、軸状に構成された天井側の連結部610において外側に張り出すフランジ部として構成されている。第2の目印部662は、ダンパ10が許容される最小長さであるとき、貫通孔部642A,642B(固定部)から第2の目印部562までの部分が天井Cに当接する第2ベース部30Bから垂れ下がった状態でシリンダ11の上端部11Aの位置を示す。このような構成であるため、第2の目印部662を用い、第4、第5実施形態と同様の方法で、ダンパ10が許容される最小長さ以上であるか否かを確認することができる。
なお、固定索690において、第4、第5実施形態と同様の第1の目印部が形成されていてもよい。第1の目印部は、第2の目印部662と同様のフランジ状としてもよく、突起、溝、所定色のマークなど、他の形状であってもよい。この第1の目印部は、ダンパ10が許容される最大長さであるとき、貫通孔部642A,642Bから第1の目印部までの部分が第2ベース部30Bから垂れ下がった状態でシリンダ11の上端部11Aの上下方向の位置を示すようにすればよい。この構成とすれば、第1の目印部を用い、第4、第5実施形態と同様の方法で、ダンパ10が許容される最大長さ以内に収まっているか否かを確認することができる。
<実施形態7>
次に、図31、図32などを参照し、実施形態7について説明する。
図31、図32で示す実施形態7の転倒防止装置701は、固定索90(図7等)を図31、図32のような固定索790に変更した点が実施形態1の転倒防止装置と異なり、その他の部分は実施形態1と同一の構成をなし、同一の機能を有する。よって、固定索790以外の部分については実施形態1と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。なお、以下の説明でも、物品の例として、設置面上に設置された家具Fを例示するが家具以外の物品に適用してもよい。
固定索790については、連結部750の構造のみが第4、第5実施形態と異なり、連結部750以外の第1係止部430及び第2係止部440は、第4、第5実施形態と同一の構成をなし、同一の機能を有する。第1係止部430及び第2係止部440を第1ベース部30A、第2ベース部30Bに取り付ける構造も、第4、第5実施形態と同様である。よって、これらの部分については、第4、第5実施形態と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。連結部750は、長孔部560A,560B(図25、図26)に代えて長孔部760を形成した点のみが第5実施形態の連結部550と異なり、この点以外は、第5実施形態の連結部550と同様である。この構成では、長孔部760の下端部が第1の目印部761であり、長孔部760の上端部が第2の目印部762である。
図31で示す転倒防止装置701も、図32で示す固定索790を第1ベース部30A及び第2ベース部30Bに取り付けた収縮状態(図24と同様の収縮状態)とし、実施形態1の転倒防止装置と同様の方法で取り付けることができる。具体的には、固定索790によって収縮状態とされた転倒防止装置701を家具Fの上面に載置した後、連結部750の所定位置(例えば、長孔部760の下方位置)を切断すれば、図31のように容易に取り付けることができる。
図31のように、転倒防止装置701が天井Cと家具Fの間に取り付けられたときには、固定索790の一部をなす連結部750が第2ベース部30Bから吊り下がる。このとき、第2ベース部30Bから垂下した連結部750によってダンパ10が適正な長さとなっているか否かを確認することができる。例えば、第2ベース部30Bから垂れ下がった連結部750に形成された第1の目印部761が、シリンダ11の上端部11A(所定部位)よりも上の位置にあれば、ダンパ10の長さが決められた最大長さを超えていることを把握できる。逆に、垂れ下がった連結部750の第1の目印部761が、シリンダ11の上端部11Aよりも下の位置にあれば、ダンパ10の長さが決められた最大長さ以内に収まっていることを確認できる。また、第2ベース部30Bから垂れ下がった連結部750に形成された第2の目印部762が、シリンダ11の上端部11Aよりも上の位置にあれば、ダンパ10の長さが決められた最小長さ以上であることを確認できる。特に、矢印F1のように固定索790を前方側から視認し、長孔部760内を通してシリンダ11の上端部11Aの位置を確認できる。例えば長孔部760を水平方向に見て、長孔部760内にシリンダ11の上端部11Aが見えれば、適正な取付状態であることが確認できる。
本発明は上記記述及び図面によって説明した各実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)実施形態1〜7では、転倒防止装置を家具に対して取り付けたが、地震等の揺れによって転倒するおそれのある、書棚、冷蔵庫等の物品に対して取り付けてもよい。
(2)実施形態1〜7では、転倒防止装置を壁面に背面を対向させて床面上に載置された家具に対して取り付けたが、壁面に隣接させずに床面上に載置された家具等に対して取り付けてもよい。
(3)実施形態1では、固定索が化学繊維製の紐であった。また、実施形態2では、固定索が樹脂部材と紐を併用した構成であり、実施形態3〜6では、固定索が樹脂部材であった。しかし、このような材質に限定されず、解いたり、切断したりすることができる材質であれば金属等、他の材質であってもよい。
(4)実施形態1〜7では、各ベース部がダンパの両端部の夫々を回動軸周りに回動自在、かつ回動方向に交差する方向に揺動自在に連結していたが、回動自在に連結しなくてもよいし、揺動自在に連結しなくてもよい。
(5)実施形態1〜7では、回動軸部材を構成するボルトの頭部とナットに固定索を係止してダンパを収縮状態に保持したが、各ベース部そのものに固定索を係止したり、各ベース部やダンパに固定索を係止する部分を設けて、その部分に固定索を係止したりして、ダンパを収縮状態に保持してもよい。
(6)実施形態1〜7では、圧効きダンパを利用したが、収縮動作時に所定の減衰力を発揮するものであれば、両効きダンパであってもよい。
(7)実施形態1〜7では、シリンダ内に作動油及び圧縮ガスを封入したダンパを利用したが、収縮動作時に所定の減衰力を発生させるものであれば、他の液体を封入した液体圧ダンパであっても、他の形式のダンパであってもよい。
(8)実施形態1〜7では、シリンダ内に圧縮ガスを封入して伸張方向に圧縮ガスの膨張力が働くようにしたが、他の方式で伸張方向に働く力を発生させてもよい。
(9)実施形態1〜7では、転倒防止装置が落下防止部を備えていたが、落下防止部を備えなくてもよい。また、落下防止部を第1ベース部に一体的に形成してもよい。
(10)実施形態1〜7では、転倒防止装置が角度規制部を備えていたが、角度規制部を備えなくてもよい。また、実施形態1では、角度規制部が第1ベース部に着脱自在に取り付けられたが、角度規制部を第1ベース部やダンパのシリンダに一体的に形成してもよい。
(11)実施形態3、6では、把持部全体の形状が方向指示形状となっていたが、把持部の一部の形状が方向指示形状となっていてもよい。例えば、実施形態6の把持部680の形状を変更し、一部のみを一方のベース部側に湾曲させた棒状としてもよい。
(12)実施形態2〜7では、一部又は全部がポリプロピレンなどの樹脂材料によって構成される固定索を例示したが、樹脂材料を用いる場合、ポリプロピレンに限定されず、公知の様々な材料を用いることができる。この場合、伸縮がある程度抑えられた材料を用いるとよい。
(13)実施形態1〜3の構成に、第1の目印部又は第2の目印部若しくはこれら両方を設けてもよい。実施形態3の構成に設ける場合、固定索に溝等を形成することで第1の目印部や第2の目印部を表してもよく、把持部の下端部の直線状部386を第1の目印部とし、把持部の上端部の角部381を第2の目印部としてもよい。この場合、第1の目印部の位置となるように直線状部386の位置を定め、第2の目印部の位置となるように角部381の位置を定めればよい。
(14)実施形態4〜7では、第1の目印部や第2の目印部の例として、固定索に形成された溝部、孔部、突起部などによって第1の目印部や第2の目印部を示す例を示したが、他の部位と異なる目印であることが示されていればよい。例えば、周囲とは異なる色や模様がが付された形で、第1の目印部や第2の目印部を構成してもよい。