JP2019017839A - 転倒防止装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】物品の上面と天井との間に容易に取り付けることができる転倒防止装置を提供する。【解決手段】転倒防止装置1のダンパ10は家具Fの上面と天井Cとの間に取り付けられ、減衰力を発生して伸長方向に付勢力を発生する。第2ベース部30Bは天井C側に位置するダンパ10の端部に連結され、天井Cに当接する。ピン45は第2ベース部30Bに対して回動が抑制され、ダンパ10に対する回動軸として第2ベース部30Bとダンパ10とを連結する。圧縮バンド90がピン45に係止して、ダンパ10を所定の収縮状態に保持すると、ダンパ10の付勢力に基づいて圧縮バンド90とピン45との間に摩擦力が生じ、ダンパ10に対して第2ベース部30Bの回動が抑制される。【選択図】図7

Description

本発明は転倒防止装置に関するものである。
特許文献1は従来の転倒防止装置を開示している。この転倒防止装置は伸縮して減衰力を発生するダンパと一対のベース部とを備えている。転倒防止装置は床面上に設置された物品である家具の上面と天井との間に取り付けられている。一対のベース部はダンパの両端部のそれぞれを回動軸周りに回動自在に軸支している。一方のベース部は家具の上面に当接し、他方のベース部は天井に当接している。
このようにして、家具の上面と天井との間に取り付けられた転倒防止装置は、地震等の揺れによって家具が前方に傾くと、各ベース部に対してダンパが回動軸周りに回動して伸縮し、各ベース部が家具の上面と天井とに当接した状態を維持することができる。よって、この転倒防止装置は、ダンパの減衰力により家具の傾きを抑制して家具の転倒を防止することができる。
特開2015−6330号公報
特許文献1の転倒防止装置の一対のベース部はダンパの両端部のそれぞれを回動軸周りに回動自在に軸支している。このため、この転倒防止装置を家具の上面と天井との間に取り付ける場合、天井側のベース部の天井に対する姿勢が定まり難い。このため、この転倒防止装置を家具の上面と天井との間に取り付ける作業を行う場合、天井側のベース部の向きを天井に当接する向きに調節してその姿勢を保持する手間がかかる。つまり、この転倒防止装置は家具の上面と天井との間に取り付ける作業が容易でない。
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、物品の上面と天井との間に容易に取り付けることができる転倒防止装置を提供することを解決すべき課題としている。
本発明の転倒防止装置は、ダンパ、ベース部、ピン、及び圧縮バンドを備えている。
ダンパは設置面上に設置された物品の上面と天井との間に取り付けられ、減衰力を発生して伸長方向に付勢力を発生する。
ベース部は天井側に位置するダンパの端部に連結され、天井に当接する。
ピンはベース部に対して回動が抑制され、ダンパに対する回動軸としてベース部とダンパとを連結する。
圧縮バンドはピンに係止して、ダンパを所定の収縮状態に保持する。
また、ダンパの付勢力に基づいて圧縮バンドとピンとの間に生じる摩擦力によってダンパに対してベース部が回動することが抑制される。
この転倒防止装置は、ベース部に対してピンの回動が抑制されている。ピンに圧縮バンドを係止して、ダンパを所定の収縮状態に保持している場合、ダンパの付勢力に基づいて圧縮バンドとピンとの間に生じる摩擦力によってダンパに対してベース部が回動することが抑制される。これにより、この転倒防止装置を物品の上面と天井との間に設置する場合、予めダンパに対するベース部の姿勢をおおよそ定めると、その姿勢を保持することができる。つまり、この転倒防止装置を物品の上面と天井との間に取り付ける作業を行う場合、天井に当接するベース部の姿勢を天井に当接する向きに調節してその姿勢を保持する手間がかからない。
また、この転倒防止装置は、圧縮バンドがピンに係止した状態で圧縮バンドを切断して、物品の上面と天井との間に取り付けると、圧縮バンドとピンとの間にダンパの伸長方向の付勢力に基づく摩擦力が生じなくなるため、ダンパに対してベース部が回動自在になる。これにより、この転倒防止装置はベース部に対してダンパがピンの中心軸周りに回動し、ベース部が天井に当接した状態を維持することができる。
したがって、本発明の転倒防止装置は物品の上面と天井との間に容易に取り付けることができる。
本発明の転倒防止装置は、ピンに圧入され、ベース部に対してピンの中心軸方向にピンが移動することを制限し、圧入されたピンとの間に生じる摩擦力、及びベース部に当接してベース部との間に生じる摩擦力によってベース部に対してピンの回動を抑制するプッシュナットを備え得る。この場合、この転倒防止装置は、プッシュナットをピンに圧入することによってベース部に対するピンの回動を容易に抑制することができる。
本発明の転倒防止装置のベース部はピンの外径より僅かに小さい内径の挿通孔が形成されており、挿通孔にピンが圧入され、ピンと挿通孔との間に生じる摩擦力によってベース部に対してピンの回動を抑制し得る。この場合、この転倒防止装置は、挿通孔にピンを圧入することによってベース部に対するピンの回動を容易に抑制することができる。
ここで、物品とは、家具、複数の寝台を上下方向に連結したベッド、大型テレビ、冷蔵庫、書棚、ショーケース、サーバーラック等、地震の揺れ等によって転倒するおそれのあるものが含まれる。
実施形態1の転倒防止装置を家具の上面と天井との間に取り付けた状態を示す側面図である。 実施形態1の転倒防止装置を家具の上面と天井との間に取り付けた状態を示す正面図である。 実施形態1の転倒防止装置のダンパ及び第1ベース部を示す部分断面図である。 実施形態1の転倒防止装置のダンパ、及び第1ベース部を示す分解斜視図である。 実施形態1の転倒防止装置のダンパ、第1ベース部、及び角度規制部を示す部分断面図である。 実施形態1の転倒防止装置の圧縮バンドを示す斜視図である。 実施形態1の転倒防止装置であって、圧縮バンドによってダンパを所定の収縮状態に保持した状態で、家具の上面と天井との間に配置した状態を示す側面図である。 図7におけるX−X断面図である。 実施形態1の転倒防止装置の第2ベース部、ピン、及び圧縮バンドを示す部分拡大図である。 実施形態1の転倒防止装置であって、圧縮バンドによってダンパを所定の収縮状態に保持した状態で、家具の上面と天井との間に配置した状態を示す正面図である。 実施形態2の転倒防止装置であって、圧縮バンドによってダンパを所定の収縮状態に保持した状態で、家具の上面と天井との間に配置した状態のダンパ、第1ベース部、及び圧縮バンドを示す部分断面図である。 実施形態2の転倒防止装置であって、圧縮バンドによってダンパを所定の収縮状態に保持した状態で、家具の上面と天井との間に配置した状態のダンパ、第2ベース部、及び圧縮バンドを示す部分断面図である。
本発明の転倒防止装置を具体化した実施形態1、2について、図面を参照しつつ説明する。
<実施形態1>
実施形態1の転倒防止装置1は、図1に示すように、設置面上である床面上に設置された物品である家具Fの上面と天井Cとの間に少なくとも1個以上が取り付けられる。この家具Fは、床面(図示せず)から鉛直方向に伸びた壁面Wに背面を対向させて床面上に設置されている。また、この家具Fは、直方体形状であり、正面(図1における右側面)に図示しない扉や引き出し等を有し、内部に衣類や装身具等を収納することができる。家具Fは、水平断面形状が左右方向(図1において奥行き方向)に長い長方形状である。この家具Fは、転倒防止装置1が取り付けられていない場合、地震等の揺れによって、前方向(図1において右方向)に傾いて転倒するおそれがある。
転倒防止装置1は、図1、2、7、10に示すようにダンパ10、第1ベース部30A、第2ベース部30B、角度規制部70、及び圧縮バンド90を備えている。
ダンパ10は、シリンダ11、図示しないロッドガイド、図示しないピストン、ロッド13、両端に設けられた2個のジョイント部15、及び2個のブッシュ35を有している。シリンダ11は有底筒状である。ロッドガイドはシリンダ11の開口部を封鎖している。ピストンはシリンダ11内に摺動自在に挿入されている。ロッド13は基端部がピストンに連結されている。また、ロッド13はロッドガイドを挿通して先端側がシリンダ11の外部へ突出している。シリンダ11は作動油及び圧縮ガスを封入している。各ジョイント部15は、図1〜3に示すように、平板状の金具を折り曲げて形成されている。また、各ジョイント部15はシリンダ11の底部とロッド13の先端部に接続されている。各ジョイント部15はダンパ10の中心軸に直交する方向に貫通した貫通孔15Aが形成されている(図3参照。)。
各ブッシュ35は、図3に示すように、ほぼ円筒状である。各ブッシュ35は弾性体である。各ブッシュ35の長さはベース部本体31に設けられた一対の凸部43,43の内壁面43A,43A同士の間隔によりも僅かに小さい。各ブッシュ35には中央部の外周面を一周した凹部35Aが形成されている。この凹部35Aの外径がダンパ10のジョイント部15に形成された貫通孔15Aの内径よりも僅かに小さい。各ブッシュ35の凹部35Aの両端から立ち上がった部分の外径はダンパ10のジョイント部15に形成された貫通孔15Aの内径よりも大きい。また、各ブッシュ35の両端部の外周面35Bは外方向に縮径している。このため、各ブッシュ35はダンパ10のジョイント部15に形成された貫通孔15Aに弾性変形させながら挿入される。そして、各ブッシュ35は、貫通孔15Aに凹部35Aが嵌まり込んで、ダンパ10のジョイント部15に取り付けられる。
ダンパ10は収縮動作時に発生する減衰力が伸長動作時に発生する減衰力よりも大きい圧効きダンパである。ここで、ダンパ10の伸長動作とは、シリンダ11からロッド13の突出する長さ(ダンパ10の全長)が長くなっていく動作を意味する。また、ダンパ10の収縮動作とは、シリンダ11からロッド13の突出する長さ(ダンパ10の全長)が短くなっていく動作を意味する。また、ダンパ10にはシリンダ11に封入した圧縮ガスの膨張力が伸長方向に働いている。つまり、ダンパ10は減衰力を発生し、伸長方向に付勢力を発生する。
ダンパ10の減衰力が発生するメカニズムは、周知の構造であるため、図示を省略して説明する。シリンダ11は、内部がピストンによって、ロッド13の基端部が収納されているロッド側圧力室と、反ロッド側圧力室とに仕切られている。ピストンには両圧力室間を連通させる絞り弁であるオリフィスが形成されている。オリフィスは、ダンパ10の伸縮動作に伴うロッド側圧力室と反ロッド側圧力室との間の作動油の流れに抵抗を付与して減衰力を発生する減衰力発生部として機能する。また、ピストンには逆止弁を介して両圧力室間を連通する連通路が形成されている。逆止弁は、ロッド側圧力室から反ロッド側圧力室への作動油の流れを許容し、その逆の流れを阻止する。このため、ダンパ10の伸長動作時は、ロッド側圧力室から反ロッド側圧力室への作動油の流路経路が、オリフィスと連通路の経路になる。一方、ダンパ10の収縮動作時は、反ロッド側圧力室からロッド側圧力室への作動油の流路経路がオリフィスのみとなる。このため、ダンパ10の伸長動作時に発生する減衰力は、収縮動作時に発生する減衰力よりも小さくなる。
図1、2に示すように、第1ベース部30Aは、シリンダ11の底部に接続されたジョイント部15に連結され、第2ベース部30Bは、ロッド13の先端部に接続されたジョイント部15に連結されている。第1ベース部30Aは家具Fの上面に当接して載置され、第2ベース部30Bは天井Cに当接する。第1ベース部30A、及び第2ベース部30Bは、図1〜4に示すように、ベース部本体31、ピン45、プッシュナット47、及び滑り止め部37を有している。
家具Fの上面に当接して載置された状態で第1ベース部30Aを上方から見た平面視において、ベース部本体31は長方形状の外形である(以下、この平面視におけるベース部本体31の外形において長辺が伸びている方向を「長辺方向」と言い、短辺が伸びている方向を「短辺方向」と言う。)。また、家具Fの上面に当接して載置された状態で第1ベース部30Aを短辺方向に見た側面視において、ベース部本体31は、下端縁が家具Fの上面に平行に直線状に伸びており、上端縁が下端縁の両側から上方に膨らんだ円弧状の外形である(図1参照。)。また、家具Fの上面に当接して載置された状態で第1ベース部30Aを長辺方向に見た側面視において、ベース部本体31は下端縁よりも上端縁が短いほぼ台形状の外形である(図2、3参照。)。
図4に示すように、家具Fの上面に当接して載置された状態の第1ベース部30Aにおいて、ベース部本体31には上面に長辺方向(図1における左右方向であり、図2、3における奥行き方向)に伸びた溝部41が形成されている。溝部41は、底面41Aが水平面上に拡がり、内壁面41Bが底面41Aの両側にほぼ鉛直方向に立ち上がっている。溝部41の底面41Aはベース部本体31の上下方向のほぼ中央に伸びている。また、溝部41の底面41Aは、後述する一対の凸部43,43が形成されている部分を除き、幅が一定に形成されている。
溝部41には、図4に示すように、長辺方向の中央部に溝部41の底面41A及び両内壁面41B,41Bから突出した一対の凸部43,43が形成されている。これら凸部43,43の間には、ダンパ10のジョイント部15及びブッシュ35が嵌まり込む空間が形成されている(図3参照。)。この空間は溝部41に連通している。一対の凸部43,43の内壁面43A,43A同士の間隔(空間の短辺方向の長さ)はブッシュ35の短辺方向の長さよりも僅かに大きい(図3参照。)。また、一対の凸部43,43は上部中央に後述するピン45が挿通する挿通孔43Bが短辺方向に貫通している(図3参照。)。
溝部41には底面41Aに貫通して設けられた挿入孔49が形成されている。挿入孔49は凸部43から所定の距離離れて形成されている。挿入孔49は上方からの平面視において、溝部41の幅方向に伸びた長方形状である。挿入孔49には後述する角度規制部70に設けられた第1挿入片72及び第2挿入片77が挿入される。
家具Fの上面に当接して載置された状態の第1ベース部30Aにおいて、ベース部本体31には、長辺方向の中央部であって、溝部41の両側に窪み部42が形成されている。これら窪み部42は上方向と短辺方向の外方向に開口している。また、これら窪み部42の外壁面42Bには凸部43を貫通した挿通孔43Bが開口している。また、これら窪み部42には後述するピン45の一端部45Aと、ピン45の他端部45C及び他端部45Cに圧入されたプッシュナット47とが配置される。また、これら窪み部42は上方に向かうにつれて長辺方向に拡がるように形成されている。これにより、ピン45の一端部45Aや、他端部45C及びプッシュナット47のそれぞれに上方から工具を嵌合させ易い。
ベース部本体31は、図1、3に示すように、空間が形成されている。また、ベース部本体31は、家具Fの上面に当接して載置された状態の第1ベース部30Aにおいて、下方に開口している。
図2〜4に示すように、ピン45は円柱状をなしており、円柱状の一端部45Aに鍔部45Dが形成されている。プッシュナット47は円盤状をなしている。プッシュナット47には円盤状の中央部が円盤状の一方側に突出した突出部47Aが形成されている。また、突出部47Aの中央部には円盤状の板厚方向に貫通した貫通孔47Bが形成されている。また、突出部47Aには複数のスリット47Cが形成されている。これらスリット47Cはプッシュナット47の円盤状の中心から放射方向に伸びており、貫通孔47Bの内周から突出部47Aの外周まで伸びて形成されている。突出部47Aは複数のスリット47Cによって複数に分割されている。ピン45はベース部本体31の一方の挿通孔43Bから他端部45Cが挿入されており、一方の挿通孔43Bが開口した外壁面42Bに鍔部45Dが当接している(図3参照。)。そして、他方の挿通孔43Bから突出した他端部45Cにプッシュナット47が圧入されている。プッシュナット47の円盤状の他方側の面は第1ベース部30Aの他方の挿通孔43Bが開口している外壁面42Bに当接して押付けられている(図3参照。)。
プッシュナット47にピン45の他端部45Cが圧入されているため、プッシュナット47をピン45に対して回動させようとすると、プッシュナット47の突出部47Aの貫通孔47Bとピン45の他端部45Cの外周面との間に摩擦力が発生する。これにより、プッシュナット47はピン45に対して回動が抑制される。また、プッシュナット47の円盤状の他方側の面がベース部本体31の外壁面42Bに当接して押付けられている。このため、プッシュナット47をベース部本体31に対して回動させようとすると、プッシュナット47の他方側の面とベース部本体31の外壁面42Bとの間に摩擦力が発生する。これにより、プッシュナット47はベース部本体31に対して回動が抑制される。つまり、プッシュナット47は、圧入されたピン45との間に生じる摩擦力、及び第1ベース部30A、及び第2ベース部30Bのそれぞれのベース部本体31に当接して、第1ベース部30A、及び第2ベース部30Bのそれぞれとの間に生じる摩擦力によって第1ベース部30A、及び第2ベース部30Bのそれぞれに対してピン45の回動を抑制する。また、プッシュナット47をピン45に圧入することによって、第1ベース部30A、及び第2ベース部30Bのそれぞれのベース部本体31に対してピン45が、図3における右方向に移動することを制限している。また、ピン45は鍔部45Dによって、第1ベース部30A、及び第2ベース部30Bのそれぞれのベース部本体31に対してピン45がピン45の中心軸方向であって図3における左方向に移動することを制限している。なお、ピン45が第1ベース部30A、及び第2ベース部30Bにおけるダンパ10の回動軸である。
ブッシュ35の中央部の内径はピン45の外径よりも僅かに大きい。また、ブッシュ35は両端部の内周面35Cが外方向に拡径している。このため、このブッシュ35はピン45の回転軸周りに回動自在である。また、このブッシュ35は、拡径した両端部の内周面35Cがピン45の外周面に当接する範囲で、ピン45に対して傾くことができる。つまり、ブッシュ35をジョイント部15に取り付けたダンパ10は、ピン45の回転軸周りに回動自在であり、回動方向に交差する方向に揺動自在である。具体的には、寸法上の余裕と内周面35Cの拡径によって揺動する。さらに、ブッシュ35が弾性変形することによって、ダンパ10は回動方向に交差する方向に、より大きく揺動することができる。
滑り止め部37は、図1〜4に示すように、ほぼ平板状をなし、ベース部本体31の外形に対して僅かに大きい相似形(長方形状)の外形である。滑り止め部37はゴムや可撓性を有した熱可塑性樹脂等で形成されている。また、滑り止め部37は、家具Fの上面に当接して載置された状態の第1ベース部30Aにおいて、ベース部本体31の下端開口に嵌合される。また、天井Cに向けて配置した状態の第2ベース部30Bにおいて、滑り止め部37は、ベース部本体31の上端開口に嵌合される。
ダンパ10と第1ベース部30A、及び第2ベース部30Bとは、ピン45、及びプッシュナット47で連結されている。具体的には、図3に示すように、ブッシュ35を取り付けたダンパ10のジョイント部15がベース部本体31に形成された一対の凸部43,43の間に挿入され配置されている。そして、ピン45の他端部45C側がベース部本体31の一方の挿通孔43B、ブッシュ35、及び他方の挿通孔43Bに挿通されて、他方の挿通孔43Bから突出したピン45の他端部45Cにプッシュナット47を圧入して取り付けられている。ダンパ10のジョイント部15の他方も同様にベース部本体31が連結されている。この状態で、ピン45の一端部45Aと他端部45Cの先端部及びプッシュナット47はダンパ10の中心軸に対称な位置でベース部本体31の窪み部42内で露出している。
こうしてピン45、及びプッシュナット47で連結された第1ベース部30A及び第2ベース部30Bはダンパ10に対して回動自在である。具体的には、中央部の内径がピン45の外径よりも僅かに大きいブッシュ35がピン45に挿通されているため、ピン45が設けられた第1ベース部30A及び第2ベース部30Bは、ブッシュ35が設けられたジョイント部15を有したダンパ10に対して回動自在である。つまり、ピン45はダンパ10に対する回動軸として機能して第2ベース部30Bとダンパ10とを連結する。また、ピン45はダンパ10に対する回動軸として機能して第1ベース部30Aとダンパ10とを連結する。また、ブッシュ35は、両端部の内周面35Cが外方向に拡径している。このため、ブッシュ35の拡径した両端部の内周面35Cがピン45の外周面に当接する範囲で、ブッシュ35が回動軸に対して傾くことができる。具体的には、寸法上の余裕と内周面35Cの拡径によって揺動する。さらに、ブッシュ35は、弾性体であり、弾性変形することによって、ダンパ10は回動方向に交差する方向に、より大きく揺動することができる。このように、第1ベース部30A及び第2ベース部30Bに連結されたダンパ10は回動方向と交差する方向に揺動することができる。
角度規制部70は、図1、5に示すように、第1ベース部30Aに着脱自在に取り付けられる。このため、転倒防止装置1は角度規制部70を第1ベース部30Aから取り外した状態で梱包することによって、出荷形態を嵩張らないようにすることができる。角度規制部70は、規制部71、支持部73、第1挿入片72、及び第2挿入片77を有している。規制部71は第1ベース部30Aに取り付けられた状態で、ほぼ鉛直方向に伸びている。支持部73は規制部71の下端に設けられ、規制部71の傾倒を防止する。第1挿入片72及び第2挿入片77は第1ベース部30Aの挿入孔49に挿入し、角度規制部70を第1ベース部30Aに取り付ける。
規制部71は、柱状をなして上下方向に伸びている。規制部71は、第1ベース部30Aに角度規制部70を取り付けた状態で、上端から下端に向かうにつれて第1ベース部30Aにおける長辺方向の寸法が徐々に大きく形成されている。規制部71は、家具Fの上面に当接して載置された第1ベース部30Aに角度規制部70を取り付けた状態において、上端部に受け部71Aが設けられている。受け部71Aは半円環状をなしている。受け部71Aは半円環状の中央部を規制部71の上端部に連結している。受け部71Aは、第1ベース部30Aに角度規制部70を取り付けた状態で、半円環状の両端部のそれぞれが規制部71の上端部から第1ベース部30Aにおける短辺方向に向けて伸びつつ、ダンパ10のシリンダ11の方向に向けて伸びている。受け部71Aは、第1ベース部30Aに角度規制部70を取り付けた状態で、半円環状の内側がダンパ10のシリンダ11の外周の一部を囲むように配置される。
規制部71は、ダンパ10のシリンダ11が受け部71Aに当接することによって、ダンパ10を所定の傾斜姿勢にして、ダンパ10がその傾斜姿勢より倒れないように傾斜角度を規制する。ダンパ10の傾斜角度は15°〜25°が好ましい。受け部71Aは、シリンダ11をしっかりと保持しないため、地震等の揺れによって家具Fが傾いたり揺れたりした際に生じるダンパ10の動きを拘束しない。
支持部73は平板状をなして一方向に伸びている。支持部73の平板状に伸びる方向は規制部71が伸びる方向に対してほぼ直交している。支持部73は規制部71の下端に平板状の一方の面を当接して規制部71に連結されている。支持部73の平板状に伸びる方向は第1ベース部30Aにおける長辺方向である。後述する第1挿入片72、及び第2挿入片77が第1ベース部30Aの挿入孔49に挿入されると、ベース部本体31に形成された溝部41の底面41Aに支持部73の他方の面が当接する。
第1挿入片72及び第2挿入片77は、図5に示すように、それぞれ平板状をなしている。また、第2挿入片77は第1挿入片72に対して所定の間隔を設けて、支持部73の他方の面から垂下している。これら第1挿入片72及び第2挿入片77は平板状の板厚方向を支持部73が一方向に伸びる方向に向けている。また、第1ベース部30Aに角度規制部70を取り付けた状態で、第1挿入片72はダンパ10側に配置され、第2挿入片77は第1挿入片72よりもダンパ10から離れた位置に配置されている。
支持部73の他方の面から垂下した第1挿入片72の先端部には爪部74が設けられている。具体的には、爪部74は、第1ベース部30Aに角度規制部70を取り付けた状態で、第1挿入片72の平板状の先端縁の全体に亘り設けられ、ダンパ10のシリンダ11のジョイント部15側に向けて突出している。爪部74において、第1挿入片72の平板状の基端側に、支持部73に対してほぼ平行をなした平面78が形成されている。また、爪部74にはダンパ10側に向かうに従い平面78に近づくように傾斜した第2傾斜面75が形成されている。爪部74は第2挿入片77には設けられていない。また、支持部73の他方の面から垂下した第2挿入片77の先端部には傾斜面である第3傾斜面76が形成されている。具体的には、第3傾斜面76は、爪部74の突出する方向とは反対側の第2挿入片77の面の先端部の全体に亘り設けられている。また、第3傾斜面76は、第2挿入片77の先端に向かうに従い第1挿入片72に近づく方向に傾斜している。また、第1挿入片72と第2挿入片77との間に設けられた所定の間隔は、第1挿入片72からダンパ10側に爪部74が突出する寸法より大きい。
こうして形成された角度規制部70は、規制部71の半円環状の受け部71Aをダンパ10のシリンダ11の外周の一部を囲むようにし、支持部73の他方の面を第1ベース部30Aの溝部41の底面41Aに対向させて、第1挿入片72、及び第2挿入片77を挿入孔49に挿入することによって、第1ベース部に取り付けることができる。
圧縮バンド90は、ポリプロピレン等の樹脂材料等で形成されている。圧縮バンド90は、図6、7、10に示すように、第1ベース部30Aに取り付けられる第1係止部91、第2ベース部30Bに取り付けられる第2係止部92、及び帯状をなして第1係止部91と第2係止部92とを連結する連結部93を有する。
第1係止部91は、帯状をなした連結部93の一端部に設けられ、連結部93が伸びる方向に対して横方向に伸びる根元部91Aと、この根元部91Aから立ち上がる一対の立上がり部91B,91Cとを備える。一対の立上がり部91B,91Cは、互いに対向して配置され、これら立上がり部91B,91Cの先端部には、円筒状をなした貫通孔部91D,91Eが互いに同軸に形成されている。貫通孔部91D,91Eの内、貫通孔部91Dが第1ベース部30Aのピン45の一端部45Aと嵌合するように係止する(図10参照。)。また、貫通孔部91Eは、第1ベース部30Aのピン45の他端部45Cと嵌合するように係止する(図7、10参照。)。
第2係止部92は、第1係止部91と同一の形状をなしている。第2係止部92は、帯状をなした連結部93の他端部に設けられ、連結部93の伸びる方向に対して横方向に伸びる根元部92Aと、根元部92Aから立ち上がる一対の立上がり部92B,92Cとを備える。これら立上がり部92B,92Cは、互いに対向して配置され、立上がり部92B,92Cの先端部には円環状をなした貫通孔部92D,92Eが互いに同軸に形成されている。貫通孔部92D,92Eの内、貫通孔部92Eが第2ベース部30Bのピン45の一端部45Aと嵌合するように係止する(図8、10参照。)。また、貫通孔部92Dは、第2ベース部30Bのピン45の他端部45Cと嵌合するように係止する(図7〜10参照。)。
連結部93は、所定の幅と厚みを有した帯状をなして一方向に伸びており、第1係止部91と第2係止部92とを繋いでいる。また、帯状をなした連結部93の中央部には、厚みが薄く形成された薄肉部93Aが2つ形成されている。これら薄肉部93Aは連結部93の幅方向(連結部93が伸びる方向に対して横方向)に伸びて形成されている。また、これら薄肉部93Aの間には帯状の一方の面から突出して一対の突出部93Bが設けられている。また、連結部93の第1係止部91の近傍、及び第2係止部92の近傍に貫通した孔部93C,93Dがそれぞれ形成されている。例えば、連結部93の薄肉部93Aで切断された圧縮バンド90のそれぞれの孔部93C,93Dにワイヤや紐等の連結部材を通して繋ぐことによって、再び圧縮バンド90でダンパ10を所定の収縮状態に保持することができる。
圧縮バンド90は、上下が対称形状となっている。つまり、上下を逆にしても同じ形状である。このため、圧縮バンド90をピン45に取り付ける際、上下の向きを考慮する必要がなくなり、圧縮バンド90を第1ベース部30A及び第2ベース部30Bのそれぞれに容易に取り付けることができる。
圧縮バンド90を第1ベース部30A及び第2ベース部30Bに取り付ける場合、ダンパ10を所定の収縮状態にする。そして、第1ベース部30A及び第2ベース部30Bのそれぞれのピン45に第1係止部91及び第2係止部92を取り付ける。これにより、圧縮バンド90によってそれぞれのピン45が互いに繋がれてダンパ10が伸長することを規制し、ダンパ10を所定の収縮状態に保持する。つまり、圧縮バンド90はピン45に係止して、ダンパ10を所定の収縮状態に保持する。また、このとき、帯状の連結部93一方の面から突出した一対の突出部93Bの先端が、ダンパ10のシリンダ11の外周面に当接して、連結部93とシリンダ11の外周面との間に所定の隙間が形成される(図7参照。)。こうして、圧縮バンド90は第1ベース部30Aと第2ベース部30Bとを繋ぐように第1ベース部30A及び第2ベース部30Bに取り付けられる。
また、このとき、第1ベース部30Aのピン45の一端部45A及び他端部45Cの外周面と、第1係止部91の貫通孔部91D,91Eの内周面との間にはダンパ10の伸長方向の付勢力に基づいて摩擦力が生じている。また、第2ベース部30Bのピン45の一端部45A及び他端部45Cの外周面と、第2係止部92の貫通孔部92D,92Eの内周面との間にもダンパ10の伸長方向の付勢力に基づいて摩擦力が生じている。
具体的には、図9に示すように、ピン45の他端部45Cの外周面と、第2係止部92の貫通孔部92Dの内周面との間には、ダンパの伸長方向の付勢力Fkが付与されている。そして、第2ベース部30Bをピン45の回転軸周りに回動させると、ピン45の他端部45Cの外周面と貫通孔部92Dの内周面との間に付勢力Fkに基づいて摩擦力Ffが生じる。摩擦力Ffは付勢力Fkに所定の摩擦係数μを乗じることによって得られる。すなわち、摩擦力Ffと付勢力Fkとの関係は、Ff=μ×Fkとして表すことができる。なお、所定の摩擦係数μはピン45の外周面、及び貫通孔部92Dの内周面の滑らかさや材質等によって決まる。また、この摩擦力はピン45の一端部45Aの外周面と貫通孔部92Eの内周面との間にも同様に生じる。さらに、この摩擦力は第1係止部91の貫通孔部91D,91Eの内周面とピン45の一端部45A及び他端部45Cの外周面との間にも同様に生じる。
この摩擦力により、第1ベース部30A及び第2ベース部30Bのそれぞれのピン45は、第1係止部91及び第2係止部92のそれぞれに対して回動することが抑制される。また、これらピン45はプッシュナット47を介して第1ベース部30A、及び第2ベース部30Bのそれぞれのベース部本体31に対して回動が抑制されている。これにより、転倒防止装置1は圧縮バンド90をこれらピン45に取り付けることによって、ダンパ10に対して第1ベース部30A及び第2ベース部30Bのそれぞれが回動することが抑制される。
こうして構成された転倒防止装置1の出荷形態について説明する。第1ベース部30A及び第2ベース部30Bは、ダンパ10に対してピン45、及びプッシュナット47で連結されている。第1ベース部30A及び第2ベース部30Bのダンパ10に対する向きは、それぞれの滑り止め部37の向きがダンパ10の中心軸に平行な向きである。また、圧縮バンド90は第1ベース部30A及び第2ベース部30Bに取り付けられている。また、角度規制部70は第1ベース部30Aから取り外されている。転倒防止装置1はこの状態で梱包されて工場から出荷される。
次に、転倒防止装置1を壁面Wに背面を対向させて床面上に設置された家具Fの上面と天井Cとの間に取り付ける取付け方法について説明する。
先ず、梱包された転倒防止装置1を開梱する。このとき、転倒防止装置1には圧縮バンド90が取り付けられ、角度規制部70が取り外された状態である。そして、図7、10に示すように、第1ベース部30Aのベース部本体31に形成された挿入孔49に角度規制部70の第1挿入片72、及び第2挿入片77を挿入し、第1ベース部30Aに角度規制部70を取り付ける。
次に、角度規制部70が取り付けられた第1ベース部30Aを、家具Fの壁面W側の上面に滑り止め部37を当接させて載置する。この際、角度規制部70はダンパ10より家具Fの正面側に配置する。また、圧縮バンド90はダンパ10より家具Fの背面側に配置する。また、第1ベース部30Aを家具Fの上面に載置した状態で、第1ベース部30Aのピン45は、家具Fが地震等の揺れによって傾く方向に対して直交する方向に伸びている。つまり、地震等の揺れによって家具Fが前方(図1において右方向)に傾いた際に、ピン45を介して第1ベース部30Aとダンパ10とが回動自在になることで、第1ベース部30Aが家具Fの上面に当接した状態を維持することができるように、第1ベース部30Aは家具Fの上面に載置される。
そして、ダンパ10のシリンダ11が角度規制部70の受け部71Aに当接するようにダンパ10を傾斜させる。この状態で、ダンパ10は傾斜角度を15°〜25°の間の角度にする。そして、第2ベース部30Bのピン45が、第1ベース部30Aのピン45と平行になるように、第2ベース部30Bの向きを調節する。そして、天井C側に位置するダンパ10の端部に連結されている第2ベース部30Bの滑り止め部37を天井Cに対しておおよそ平行になるように、ダンパ10に対して第2ベース部30Bを回動させる。このとき、圧縮バンド90と第2ベース部30Bのピン45との間に生じる摩擦力によって、天井Cに対する第2ベース部30Bの滑り止め部37の向きがおおよそ平行の状態に保持されている。
この状態で、圧縮バンド90の連結部93の所定位置を切断する。具体的には、連結部93の幅方向に伸びて形成された薄肉部93Aの位置を切断位置として連結部93を切断する。連結部93とシリンダ11との間には連結部93の突出部93Bの先端がシリンダ11の外周面に当接することによって形成された隙間が設けられており、この隙間に鋏やニッパー等の工具を差し込むことができ、連結部93を容易に切断することができる。連結部93を切断すると、シリンダ11に封入した圧縮ガスの膨張力によってダンパ10が伸長し、第2ベース部30Bの滑り止め部37の向きがおおよそ平行の状態に保持されたまま天井Cに当接する(図1、2参照。)。このため、転倒防止装置1は、連結部93の薄肉部93Aを切断してダンパ10が伸長した際に、第2ベース部30Bの滑り止め部37が天井Cに対しておおよそ平行の状態に保持されて当接することができる。
こうして、転倒防止装置1を家具Fの上面と天井Cとの間に取り付けることができる。また、家具Fの上面と天井Cとの間に取り付けられた転倒防止装置1はダンパ10に対して、第1ベース部30A及び第2ベース部30Bが回動自在な状態である。つまり、圧縮バンド90がピン45に係止した状態で圧縮バンド90を切断すると、圧縮バンド90とピン45との間にダンパ10の伸長方向の付勢力に基づく摩擦力が生じなくなるため、ダンパ10に対して第2ベース部30Bが回動自在になる。なお、転倒防止装置1を取り付けた後に、角度規制部70、及び圧縮バンド90を取り外してもよい。
このように、転倒防止装置1は、第1ベース部30A及び第2ベース部30Bに対してピン45の回動が抑制されている。ピン45に圧縮バンド90を係止して、ダンパ10を所定の収縮状態に保持している場合、ダンパ10の付勢力に基づいて圧縮バンド90とピン45との間に生じる摩擦力によってダンパ10に対して第1ベース部30A及び第2ベース部30Bが回動することが抑制される。これにより、転倒防止装置1を家具Fの上面と天井Cとの間に設置する場合、予めダンパ10に対する第2ベース部30Bの姿勢をおおよそ定めると、その姿勢を保持することができる。つまり、転倒防止装置1を家具Fの上面と天井Cとの間に取り付ける作業を行う場合、天井Cに当接する第2ベース部30Bの姿勢を天井Cに当接する向きに調節してその姿勢を保持する手間がかからない。
また、転倒防止装置1は、圧縮バンド90がピン45に係止した状態で圧縮バンド90を切断して、家具Fの上面と天井Cとの間に取り付けると、圧縮バンド90とピン45との間にダンパ10の伸長方向の付勢力に基づく摩擦力が生じなくなるため、ダンパ10に対して第1ベース部30A及び第2ベース部30Bが回動自在になる。これにより、転倒防止装置1は第1ベース部30A及び第2ベース部30Bに対してダンパ10がピン45の中心軸周りに回動し、第2ベース部30Bが天井Cに当接した状態を維持することができる。
したがって、実施形態1の転倒防止装置1は家具Fの上面と天井Cとの間に容易に取り付けることができる。
また、転倒防止装置1は、ピン45に圧入され、第2ベース部30Bに対してピン45の中心軸方向にピン45が移動することを制限し、圧入されたピン45との間に生じる摩擦力、及び第2ベース部30Bに当接して第2ベース部30Bとの間に生じる摩擦力によって第2ベース部30Bに対してピン45の回動を抑制するプッシュナット47を備えている。このため、転倒防止装置1は、プッシュナット47をピン45に対して圧入することによって第2ベース部30Bに対してピン45の回動を容易に抑制することができる。
<実施形態2>
実施形態2の転倒防止装置2は、図11、12に示すように、ピン145を第1ベース部30A及び第2ベース部30Bのそれぞれの挿通孔43Bに圧入する点、及びプッシュナットを備えていない点が実施形態1と異なる。他の構成は実施形態1と同一であり、同一の構成は同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。なお、転倒防止装置2の説明においても、物品の例として、設置面上である床面上に設置された家具Fを例示する。
ベース部本体31に設けられた挿通孔43Bの内径はピン145の外径より僅かに小さい。ピン145はベース部本体31の一方の挿通孔43Bから他端部145Cが圧入されており、他方の挿通孔43Bから他端部145Cが突出している。これにより、ピン145は第1ベース部30A及び第2ベース部30Bに対して回動が抑制される。つまり、転倒防止装置2は、挿通孔43Bにピン145が圧入され、ピン145と挿通孔43Bとの間に生じる摩擦力によって第1ベース部30A、及び第2ベース部30Bに対してピン145の回動を抑制する。
転倒防止装置2は、実施形態1の転倒防止装置1と同様の方法で取り付けることができる。図11、12に示すように、先ず、圧縮バンド90によってダンパ10が所定の収縮状態に保持された転倒防止装置2の第1ベース部30Aを、家具Fの上面に当接させて載置する。そして、ダンパ10のシリンダ11が角度規制部70の受け部71Aに当接するようにダンパ10を傾斜させ、ダンパ10の傾斜角度を15°〜25°の間の角度にする(図7参照。)。そして、第2ベース部30Bのピン145が、第1ベース部30Aのピン145と平行になるように、第2ベース部30Bの向きを調節する(図7参照。)。そして、第2ベース部30Bの滑り止め部37を天井Cに対しておおよそ平行になるように、ダンパ10に対して第2ベース部30Bを回動させる(図7参照。)。
このとき、ダンパ10の付勢力に基づいて圧縮バンド90と第2ベース部30Bのピン145との間に生じる摩擦力によって、天井Cに対する第2ベース部30Bの滑り止め部37の向きがおおよそ平行の状態に保持されている。そして、圧縮バンド90の連結部93を切断すると、シリンダ11内に封入された圧縮ガスの膨張力によってダンパ10が伸長し、第2ベース部30Bの滑り止め部37の向きが天井Cに対しておおよそ平行の状態に保持されたまま天井Cに当接する(図1、2参照。)。このため、転倒防止装置2は、薄肉部93Aを切断してダンパ10が伸長した際に、第2ベース部30Bの滑り止め部37の天井Cに対する向きがおおよそ平行の状態を保持して当接することができる。こうして家具Fの上面と天井Cとの間に取り付けられた転倒防止装置2は、ダンパ10に対して第1ベース部30A及び第2ベース部30Bが回動自在な状態である。
このように、転倒防止装置2は、第1ベース部30A及び第2ベース部30Bに対してピン145の回動が抑制されている。ピン145に圧縮バンド90を係止して、ダンパ10を所定の収縮状態に保持している場合、ダンパ10の付勢力に基づいて圧縮バンド90とピン145との間に生じる摩擦力によってダンパ10に対して第1ベース部30A及び第2ベース部30Bが回動することが抑制される。これにより、転倒防止装置2を家具Fの上面と天井Cとの間に設置する場合、予めダンパ10に対する第2ベース部30Bの姿勢をおおよそ定めると、その姿勢を保持することができる。つまり、転倒防止装置2を家具Fの上面と天井Cとの間に取り付ける作業を行う場合、天井Cに当接する第2ベース部30Bの姿勢を天井Cに当接する向きに調節してその姿勢を保持する手間がかからない。
また、転倒防止装置2は、圧縮バンド90がピン145に係止した状態で圧縮バンド90を切断して、家具Fの上面と天井Cとの間に取り付けると、圧縮バンド90とピン145との間にダンパ10の伸長方向の付勢力に基づく摩擦力が生じなくなるため、ダンパ10に対して第1ベース部30A及び第2ベース部30Bが回動自在になる。これにより、転倒防止装置2は第1ベース部30A及び第2ベース部30Bに対してダンパ10がピン145の中心軸周りに回動し、第2ベース部30Bが天井Cに当接した状態を維持することができる。
したがって、転倒防止装置2も家具Fの上面と天井Cとの間に容易に取り付けることができる。
また、転倒防止装置2の第1ベース部30A及び第2ベース部30Bはピン145の外径より僅かに小さい内径の挿通孔43Bが形成されており、挿通孔43Bにピン145が圧入され、ピン145と挿通孔43Bとの間に生じる摩擦力によって第1ベース部30A及び第2ベース部30Bに対してピン145の回動を抑制している。このため、転倒防止装置2は、挿通孔43Bにピン145を圧入することによって第1ベース部30A及び第2ベース部30Bに対してピン145の回動を容易に抑制することができる。
本発明は上記記述及び図面によって説明した各実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)実施形態1、2では、転倒防止装置を家具に対して取り付けたが、複数の寝台を上下方向に連結したベッド、大型テレビ、冷蔵庫、書棚、ショーケース、サーバーラック等、地震の揺れ等によって転倒するおそれのある物品に対して取り付けてもよい。
(2)実施形態1、2では、転倒防止装置を壁面に背面を対向させて床面上に載置された家具に対して取り付けたが、壁面に隣接させずに床面上に載置された家具等に対して取り付けてもよい。
(3)実施形態1、2では、ピンに圧縮バンドを係止してダンパを所定の収縮状態に保持したが、各ベース部そのものに圧縮バンドを係止したり、各ベース部やダンパに圧縮バンドを係止する部分を設けて、その部分に圧縮バンドを係止したりして、ダンパを所定の収縮状態に保持してもよい。
(4)実施形態1、2では、圧効きダンパを利用したが、収縮動作時に所定の減衰力を発揮するものであれば、両効きダンパであってもよい。
(5)実施形態1、2では、シリンダ内に作動油及び圧縮ガスを封入したダンパを利用したが、収縮動作時に所定の減衰力を発生させるものであれば、他の液体を封入した液体圧ダンパであっても、他の形式のダンパであってもよい。
(6)実施形態1、2では、シリンダ内に圧縮ガスを封入して伸張方向に圧縮ガスの膨張力が働くようにしたが、コイルばねを設ける等の他の方式で伸張方向に働く力を発生させてもよい。
(7)実施形態1、2では、角度規制部が第1ベース部に着脱自在に取り付けられたが、角度規制部を第1ベース部やダンパのシリンダに一体的に形成してもよい。
(8)実施形態1、2では、圧縮バンドがポリプロピレン等の樹脂材料等で形成されているが、公知の様々な材料を用いてもよい。この場合、伸縮がある程度抑えられた材料を用いるとよい。
C…天井、F…家具(物品)、10…ダンパ、30B…第2ベース部(ベース部)、43B…挿通孔、45,145…ピン(回動軸)、47…プッシュナット、90…圧縮バンド

Claims (3)

  1. 設置面上に設置された物品の上面と天井との間に取り付けられ、減衰力を発生して伸長方向に付勢力を発生するダンパと、
    前記天井側に位置する前記ダンパの端部に連結され、前記天井に当接するベース部と、
    前記ベース部に対して回動が抑制され、前記ダンパに対する回動軸として前記ベース部と前記ダンパとを連結するピンと、
    前記ピンに係止して、前記ダンパを所定の収縮状態に保持する圧縮バンドと、
    を備えており、
    前記ダンパの前記付勢力に基づいて前記圧縮バンドと前記ピンとの間に生じる摩擦力によって前記ダンパに対して前記ベース部が回動することが抑制されることを特徴とする転倒防止装置。
  2. 前記ピンに圧入され、前記ベース部に対して前記ピンの中心軸方向に前記ピンが移動することを制限し、圧入された前記ピンとの間に生じる摩擦力、及び前記ベース部に当接して前記ベース部との間に生じる摩擦力によって前記ベース部に対して前記ピンの回動を抑制するプッシュナットを備えていることを特徴とする請求項1に記載の転倒防止装置。
  3. 前記ベース部は前記ピンの外径より僅かに小さい内径の挿通孔が形成されており、
    前記挿通孔に前記ピンが圧入され、前記ピンと前記挿通孔との間に生じる摩擦力によって前記ベース部に対して前記ピンの回動を抑制することを特徴とする請求項1に記載の転倒防止装置。
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