JP2018015373A - 転倒防止装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】物品の上面と天井との間に容易に取り付けることができる転倒防止装置を提供する。
【解決手段】転倒防止装置は、ダンパ10、一対のベース部30A,30B、及び固定索50を備えている。ダンパ10は伸長方向に働く反発力を有している。固定索50はダンパ10を所望する長さの収縮状態に保持する。この固定索50は玉鎖51とバンド部材53とを具備している。玉鎖51は第2ベース部30Bに連結されている。この玉鎖51は複数の球状体51Aを繋ぎ材51Bで繋いで形成されている。バンド部材53は第1ベース部30Aに連結されている。このバンド部材53は保持部57A及び通過部57Bを有している。保持部57Aは玉鎖51の繋ぎ材51Bを挿通した状態で球状体51Aを係止する。通過部57Bは保持部57Aに連続している。この通過部57Bは玉鎖51の球状体51Aに抵抗を付与しつつ球状体51Aが通過自在である。
【選択図】図4
【解決手段】転倒防止装置は、ダンパ10、一対のベース部30A,30B、及び固定索50を備えている。ダンパ10は伸長方向に働く反発力を有している。固定索50はダンパ10を所望する長さの収縮状態に保持する。この固定索50は玉鎖51とバンド部材53とを具備している。玉鎖51は第2ベース部30Bに連結されている。この玉鎖51は複数の球状体51Aを繋ぎ材51Bで繋いで形成されている。バンド部材53は第1ベース部30Aに連結されている。このバンド部材53は保持部57A及び通過部57Bを有している。保持部57Aは玉鎖51の繋ぎ材51Bを挿通した状態で球状体51Aを係止する。通過部57Bは保持部57Aに連続している。この通過部57Bは玉鎖51の球状体51Aに抵抗を付与しつつ球状体51Aが通過自在である。
【選択図】図4
Description
本発明は転倒防止装置に関するものである。
特許文献1は従来の転倒防止装置を開示している。この転倒防止装置はダンパと一対のベース部とを備えている。ダンパは床面上に設置された家具の上面と天井との間に取り付けられている。一対のベース部はダンパの両端部の夫々を回動軸周りに回動自在に軸支している。一方のベース部は家具の上面に当接し、他方のベース部は天井に当接している。このため、この転倒防止装置は、地震等の揺れによって家具が傾くと、各ベース部に対してダンパが回動軸周りに回動し、各ベース部が家具の上面と天井とに当接した状態を維持することができる。よって、この転倒防止装置は、ダンパの減衰力を家具に作用させることができ、家具の傾きを抑制して家具の転倒を防止することができる。
しかし、特許文献1の転倒防止装置は、家具の上面と天井との間に取り付ける際、ダンパの伸長方向に働く付勢手段による反発力に抗して収縮させつつ、所望する取付け姿勢(例えば、ダンパが所望する傾斜角度になる姿勢)になるようにして、一対のベース部を家具の上面と天井とに当接させなければならない。このように、家具の上方で作業者がダンパを収縮させながら、所望する取り付け姿勢に取り付ける作業は困難性を有する。
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、物品の上面と天井との間に容易に取り付けることができる転倒防止装置を提供することを解決すべき課題としている。
本発明の転倒防止装置は、付勢部、一対のベース部、及び固定索を備えている。付勢部は設置面上に設置された物品の上面と天井との間に取り付けられる。この付勢部は伸長方向に働く反発力を有している。各ベース部は付勢部の両端部の夫々に連結されている。また、これらベース部は、一方が部品の上面に当接し、他方が天井に当接する。固定索は付勢部を所望する長さの収縮状態に保持する。この固定索は玉鎖とバンド部材とを具備している。玉鎖はベース部の一方に連結されている。この玉鎖は複数の球状体を繋ぎ材で繋いで形成されている。バンド部材はベース部の他方に連結されている。このバンド部材は保持部及び通過部を有している。保持部は玉鎖の繋ぎ材を挿通した状態で球状体を係止する。通過部は保持部に連続している。この通過部は玉鎖の球状体に抵抗を付与しつつ球状体が通過自在である。
この転倒防止装置は、固定索のバンド部材の保持部に玉鎖の球状体を係止して付勢部を所望する長さの収縮状態に保持した状態で、一方のベース部を物品の上面に当接して載置する。そして、付勢部を所望する方向に伸びた取付状態になるように位置決めした後、固定索の玉鎖をバンド部材の保持部から通過部に移動させる。すると、この転倒防止装置は、付勢部の伸長方向に働く反発力によって、玉鎖の各球状体が通過部の抵抗を受けつつ通過部を段階的に通過し、付勢部が伸長する。そして、この転倒防止装置は、他方のベース部が天井に当接し、取り付け作業が完了する。このように、この転倒防止装置は、物品の上方で作業者が付勢部を収縮させながら取り付け作業を行う必要がないため、容易に物品の上面と天井との間に取り付けることができる。
したがって、本発明の転倒防止装置は物品の上面と天井との間に容易に取り付けることができる。
また、この転倒防止装置は、玉鎖の各球状体が通過部を段階的に通過するため、付勢部が伸長する速さが抑制され、他方のベース部が天井に当接する衝撃を和らげることができる。また、この転倒防止装置は、他方のベース部が天井に当接する直前で、保持部に玉鎖の繋ぎ材を挿通させて保持部が球状体を係止し、付勢部の伸長動作を一端止めることができる。このため、この転倒防止装置は、他方のベース部が天井に当接する直前で付勢部の伸長動作を止めて、適正な取付向きに他方のベース部の向きを正すことができる。
ここで、付勢部は、ばねやダンパ等、反発力が伸長方向に働いているものが含まれる。また、物品は、家具、複数の寝台を上下方向に連結したベッド、大型テレビ、冷蔵庫、書棚、ショーケース、サーバーラック等、地震の揺れ等によって転倒するおそれのあるものが含まれる。
本発明の転倒防止装置において、バンド部材は玉鎖の球状体が通過する際に異なった抵抗を受ける複数の通過部を有し得る。この場合、この転倒防止装置は、複数の通過部のうちの一つを選択することによって、玉鎖の球状体が通過する際に受ける抵抗が異なため、付勢部が伸長する速さをコントロールすることができる。
本発明の転倒防止装置において、バンド部材は弾性体であり得る。また、バンド部材の通過部は、保持部からバンド部材が連結されたベース部に近づく方向に伸び、バンド部材を貫通した長孔で形成され得る。この通過部は保持部側から長孔の外周縁に向けて徐々に薄肉になるように傾斜させた傾斜面を有し得る。この傾斜面は、長孔の外周縁に向けた傾斜角度が長孔の伸びた方向に沿って徐々に増加し得る。この場合、保持部側から長孔の伸びた方向に玉鎖を移動させると、玉鎖の球状体が通過部を通過する際に受ける抵抗を連続的に変化させることができるため、付勢部が伸長する速さを無段階でコントロールすることができる。
本発明の転倒防止装置において、玉鎖は先端に向けて各球状体の外径を徐々に小さくし得る。付勢部は伸長するに従い付勢部の伸長方向に働く反発力が弱くなる。この転倒防止装置は、付勢部が伸長するに従い、通過部を通過する玉鎖の球状体の外径が徐々に小さくなるため、球状体が受ける抵抗が徐々に小さくなり、各球状体が通過部を通過する時間が均一化され、付勢部が伸長する速さを全体的に略等しくすることができる。
本発明の転倒防止装置において、玉鎖は先端に向けて各球状体の間隔を徐々に大きくし得る。付勢部が伸長するに従い付勢部の伸長方向に働く反発力が弱くなるため、玉鎖の先端側に近い球状体ほど通過部の通過に要する時間が長くなる。このため、各球状体の通過部の通過に要する時間に比例して各球状体の間隔を玉鎖の先端に向けて徐々に大きくすることによって、付勢部が伸長する速さを全体的に略等しくすることができる。
本発明の転倒防止装置において、バンド部材は、保持部に連続し、玉鎖の球状体の外径よりも大きい内径を有し、玉鎖が挿通自在である挿通部を有し得る。この場合、付勢部を所望する長さの収縮状態にする際、玉鎖を挿通部に挿通させて容易に引き込むことができる。そして、玉鎖を挿通部に引き込んだ状態で挿通部に連続した保持部に玉鎖の繋ぎ材を挿通して球状体を係止すると、付勢部を所望する長さに容易に保持することができる。
本発明の転倒防止装置において、保持部、通過部、及び挿通部がスリット状の連通孔で連続し得る。この場合、保持部、通過部、及び挿通部の間でスリット状の連通孔が玉鎖のストッパとして機能し、玉鎖が意図せずに移動してしまうことを防止することができる。
本発明の転倒防止装置において、バンド部材は、バンド部材本体と、操作部材とを具備し得る。バンド部材本体は玉鎖の球状体の外径よりも大きい内径を有した孔部が貫通している。操作部材は孔部に重ね合わせて配置される通過部及び保持部を有している。この転倒防止装置は、バンド部材本体の孔部に操作部材の保持部を重ね合わせて配置し、バンド部材本体の孔部と操作部材の保持部とを挿通した玉鎖の球状体を係止すると、付勢部を所望する長さの収縮状態に保持することができる。また、この状態から操作部材の保持部を移動させて、バンド部材操作部材の挿通部のみを本体の孔部に重ね合わせて配置すると、玉鎖の各球状体が通過部の抵抗を受けつつ通過部を段階的に通過しつつ、付勢部を伸長させることができる。
本発明の転倒防止装置は角度規制部を備え得る。角度規制部は物品の上面に当接するベース部に取り付けられ、付勢部の傾斜角度を規制する。この場合、この転倒防止装置は、一方のベース部を物品の上面に当接して載置した状態で、角度規制部によって付勢部を所望する方向に伸びた取付状態になるように付勢部の角度を規制し、位置決めすることができる。
本発明の転倒防止装置を具体化した実施形態1〜10について、図面を参照しつつ説明する。
<実施形態1>
実施形態1の転倒防止装置は、図1〜図3に示すように、家具Fの上面と天井Cとの間に少なくとも1個以上が取り付けられる。この家具Fは、床面(図示せず)から鉛直方向に伸びた壁面Wに背面を対向させて床面上に設置されている。また、この家具Fは、直方体形状であり、正面(図1及び図2における右側面)に図示しない扉や引き出し等を有し、内部に衣類や装身具等を収納することができる。家具Fは、水平断面形状が左右方向(図1及び図2において奥行き方向)に長い長方形状である。この家具Fは、転倒防止装置が取り付けられていない場合、地震等の揺れによって、前方向(図1及び図2において右方向)に傾いて転倒するおそれがある。
実施形態1の転倒防止装置は、図1〜図3に示すように、家具Fの上面と天井Cとの間に少なくとも1個以上が取り付けられる。この家具Fは、床面(図示せず)から鉛直方向に伸びた壁面Wに背面を対向させて床面上に設置されている。また、この家具Fは、直方体形状であり、正面(図1及び図2における右側面)に図示しない扉や引き出し等を有し、内部に衣類や装身具等を収納することができる。家具Fは、水平断面形状が左右方向(図1及び図2において奥行き方向)に長い長方形状である。この家具Fは、転倒防止装置が取り付けられていない場合、地震等の揺れによって、前方向(図1及び図2において右方向)に傾いて転倒するおそれがある。
転倒防止装置は、付勢部であるダンパ10、一対のベース部30A,30B、固定索50、及び角度規制部70を備えている。ダンパ10は、シリンダ11、図示しないロッドガイド、図示しないピストン、ロッド13、及び両端に設けられた2個のジョイント部15を有している。シリンダ11は有底筒状である。ロッドガイドはシリンダ11の開口部を封鎖している。ピストンはシリンダ11内に摺動自在に挿入されている。ロッド13は基端部がピストンに連結されている。また、ロッド13はロッドガイドを挿通して先端側がシリンダ11の外部へ突出している。シリンダ11は作動油及び圧縮ガスを封入している。各ジョイント部15は、図5及び図6に示すように、平板状の金具を折り曲げて形成されている。また、各ジョイント部15はシリンダ11の底部とロッド13の先端部に接続されている。各ジョイント部15はダンパ10の軸線に直交する方向に貫通した孔が形成されている。
ダンパ10は収縮動作時に発生する減衰力が伸長動作時に発生する減衰力よりも大きい圧効きダンパ10である。ここで、ダンパ10の伸長動作とは、シリンダ11から突出したロッド13の突出長さが長くなっていく動作、つまり、ダンパ10の全長が長くなっていく動作を意味する。また、ダンパ10の収縮動作とは、シリンダ11から突出したロッド13の突出長さが短くなっていく動作、つまり、ダンパ10の全長が短くなっていく動作を意味する。また、ダンパ10はシリンダ11に封入した圧縮ガスの膨張力が伸長方向に反発力として働いている。
一対のベース部は、図1〜図3に示すように、シリンダ11の底部に接続されたジョイント部15を連結した第1ベース部30Aであり、ロッド13の先端部に接続されたジョイント部15を連結した第2ベース部30Bである。第1ベース部30Aは家具Fの上面に当接して載置され、第2ベース部30Bは天井Cに当接する。第1ベース部30A及び第2ベース部30Bは同じ形態及び構造である。各ベース部30A,30Bは、図5及び図6に示すように、ベース部本体31、ボルト33、ナット35、ブッシュ37、及び滑り止め部39を有している。
家具Fの上面に当接して載置された状態で第1ベース部30Aを上方から見た平面視において、ベース部本体31は長方形状の外形である(以下、この平面視におけるベース部本体31の外形において長辺が伸びている方向を「長辺方向」と言い、短辺が伸びている方向を「短辺方向」と言う。)。また、家具Fの上面に当接して載置された状態で第1ベース部30Aを短辺方向に見た側面視において、ベース部本体31は、下端縁が家具Fの上面に平行に直線状に伸びており、上端縁が下端縁の両側から上方に膨らんだ円弧状の外形である(図1〜図3参照)。また、家具Fの上面に当接して載置された状態で第1ベース部30Aを長辺方向に見た側面視において、ベース部本体31は下端縁よりも上端縁が短い略台形状の外形である(図6参照)。
家具Fの上面に当接して載置された状態の第1ベース部30Aにおいて、図6に示すように、ベース部本体31は上面に長辺方向(図1〜図3における左右方向であり、図6における奥行き方向)に伸びた溝部31Aが形成されている。溝部31Aは、底面が水平面上に広がり、内壁面が底面の両側に略鉛直方向に立ち上がっている。溝部31Aの底面はベース部本体31の上下方向の略中央に伸びている。
溝部31Aは、図6に示すように、長辺方向の中央部に溝部31Aの底面及び両内壁面から突出した一対の凸部31Bが形成されている。これら凸部31Bは、その間にダンパ10のジョイント部15及び後述するブッシュ37が嵌まり込む空間が形成されている。一対の凸部31Bの内壁面同士の間隔(空間の短辺方向の長さ)は後述するブッシュ37の長さよりも僅かに大きい。また、一対の凸部31Bは上部中央に後述するボルト33の軸部33Aが挿通するボルト孔が短辺方向に貫通している。溝部31Aは、図10に示すように、底面に被差込孔31Cが形成されている。被差込孔31Cは後述する角度規制部70に設けられた差込部75が差し込まれ係止する。
ベース部本体31は、図1〜図3,図5及び図6に示すように、長辺方向の中央部の両側に窪み部31Dが形成されている。この窪み部31Dは、家具Fの上面に当接して載置された状態の第1ベース部30Aにおいて、上方向と短辺方向の外方向に開口し(図6参照)、天井Cに当接して載置された状態の第2ベース部30Bにおいて、下方向と短辺方向の外方向に開口している(図5参照)。また、この窪み部31Dは凸部31Bを貫通したボルト孔が側面に開口している。また、この窪み部31Dは後述するボルト33の頭部33B、このボルト33にねじ込まれたナット35、ボルト33の頭部33B及びナット35に外嵌した第1連結部52Aの嵌合部56又は第2連結部52Bの嵌合部56の夫々が配置される。
ボルト33はベース部本体31のボルト孔の一方から軸部33Aが挿入され、ナット35はベース部本体31のボルト孔の他方に突出したボルト33の軸部33Aの先端部にねじ込まれている。このボルト33の中心軸が各ベース部30A,30Bにおけるダンパ10の回動軸になっている。
ブッシュ37は、図5及び図6に示すように、略円筒状である。ブッシュ37は弾性体である。ブッシュ37の長さはベース部本体31に設けられた一対の凸部31Bの内壁面同士の間隔によりも僅かに小さい。ブッシュ37は中央部の外周面を一周した凹部が形成されている。この凹部の外径がダンパ10のジョイント部15に形成された孔の内径に略等しい。また、ブッシュ37は両端部の外周面が外方向に縮径している。このブッシュ37は、ダンパ10のジョイント部15に形成された孔に弾性変形させながら挿入される。そして、ブッシュ37は、ジョイント部15に形成された孔に凹部が嵌まり込み、ダンパ10のジョイント部15に取り付けられる。
ブッシュ37は内径がボルト33の軸部33Aの外径よりも僅かに大きい。このため、このブッシュ37はボルト33の軸部33A周りに回動自在である。つまり、ブッシュ37をジョイント部15に取り付けたダンパ10は、ボルト33の軸部33A周りに回動自在である。また、ブッシュ37が取り付けられたダンパ10のジョイント部15とブッシュ37との間、及びブッシュ37とボルト33の軸部33Aとの間の僅かな隙間や、ブッシュ37の形状によって、ダンパ10は回動方向に交差する方向に揺動することができる。
滑り止め部39は、図1〜図3,図5及び図6に示すように、ベース部本体31の外形よりも僅かに大きい相似形(長方形状)の外形を有している。滑り止め部39はゴム製である。滑り止め部39は家具Fの上面又は天井Cに当接する面が平坦である。
固定索50は、図1〜図6に示すように、玉鎖51とバンド部材53とを具備している。玉鎖51は樹脂製である。玉鎖51は複数の球状体51Aを繋ぎ材51Bで繋いで形成されている。各球状体51Aは、略球形状であり、外径は同一である。また、繋ぎ材51Bで繋がれている各球状体51Aの間隔は同一である。繋ぎ材51Bは、円柱状であり、球状体51Aの外径よりも小さい外径である。玉鎖51は、伸びている方向に伸縮をほとんどしないが、球状体51Aと繋ぎ材51Bとの境界部で屈曲自在である。
玉鎖51は第2連結部52Bを介して第2ベース部30Bに連結されている。第2連結部52Bは玉鎖51と一体に形成された樹脂製である。第2連結部52Bは、図4及び図5に示すように、連結部本体54、補強部55、一対の嵌合部56を有している。
連結部本体54は、第1ベース部30Aよりも上側に配置された第2ベース部30Bに第2連結部52Bが取り付けられた状態において、略U字形である。つまり、連結部本体54は、一対の腕部54A、湾曲部54B、及び連結端部54Cを有している。一対の腕部54Aは、円柱状であり、平行に上下方向に伸びている。湾曲部54Bは、各腕部54Aと同じ径の円柱状であり、両端が各腕部54Aの端部に連続しており、中央部が下方に位置するように湾曲している。連結端部54Cは、湾曲部54Bの下端面に連続して下方に伸びてすぼんでおり、下端部に玉鎖51が連続している。
補強部55は薄肉部55A及び厚肉部55Bを有している。薄肉部55Aは連結部本体54の湾曲部54Bの内側に連続した略半円形の薄板状である。厚肉部55Bは、薄肉部55Aの上端縁に沿って形成され、各腕部54Aに直交して各腕部54Aを連結し、円柱状に膨らんでいる。
一対の嵌合部56は、円環状であり、中心軸が一直線上に位置するように、各腕部54Aの上端に連続して形成されている。各嵌合部56は、第2ベース部30Bのベース部本体31に取り付けられ、ダンパ10の回転軸であるボルト33の頭部33Bの外径、及びこのボルト33の軸部33Aにねじ込まれたナット35の外径よりも僅かに大きい内径を有している。また、各嵌合部56は、ベース部本体31の両側に形成された窪み部31Dの間隔よりわずかに広い間隔を有している。この第2連結部52Bの各嵌合部56が第2ベース部30Bのベース部本体31に取り付けられたボルト33の頭部33B、及びボルト33にねじ込まれたナット35に外嵌し、玉鎖51が第2連結部52Bを介して第2ベース部30Bに連結されている。
バンド部材53は、樹脂製の弾性体であり、柔軟性を有している。バンド部材53は、図4及び図6に示すように、バンド本体57と、バンド本体57に連続した把持部58とを有している。
バンド本体57は、一方向に長く、厚みが一定の平板状である。バンド本体57は、図6〜図8に示すように、保持部57A、通過部57B、挿通部57Cを有している。保持部57Aはバンド本体57を貫通した丸孔である。保持部57Aは玉鎖51の繋ぎ材51Bの外径よりも僅かに大きい内径を有している。通過部57Bはバンド本体57を貫通した丸孔である。通過部57Bは玉鎖51の球状体51Aの外径よりも小さい内径を有している。挿通部57Cはバンド本体57を貫通した丸孔である。挿通部57Cは玉鎖51の球状体51Aの外径よりも僅かに大きい内径を有している。
保持部57A、通過部57B、及び挿通部57Cは、バンド本体57の幅方向の中心線上に配置されている。保持部57Aと通過部57Bとはスリット状の第1連通孔57Dで連続している。第1連通孔57Dは、バンド本体57の幅方向の中心線上に伸びており、保持部57A側から通過部57B側に向けて幅寸法が広がっている。第1連通孔57Dの保持部57A側の幅寸法は玉鎖51の繋ぎ材51Bの外径と略等しい。第1連通孔57Dの通過部57B側の幅寸法は玉鎖51の繋ぎ材51Bの外径よりも大きく通過部57Bの内径よりも小さい。通過部57Bと挿通部57Cとはスリット状の第2連通孔57Eで連続している。第2連通孔57Eはバンド本体57の幅方向の中心線上に伸びおり、幅寸法が玉鎖51の繋ぎ材51Bの外径と略等しい。また、第2連通孔57Eは第1連通孔57Dよりも短い。
バンド本体57は、表裏面において、保持部57A、第1連通孔57D、通過部57B、第2連通孔57E、及び挿通部57Cの一部の外縁に向けて外側から傾斜する傾斜面57Fが形成されている。これら傾斜面57Fと、通過部57Bに連続して形成された第1連通孔57D及び第2連通孔57Eとによって、通過部57B周りが弾性変形しやすくなっている。このため、通過部57Bを挿通した玉鎖51の球状体51Aが通過部57Bに係止された状態で玉鎖51に引っ張り力が加わると、通過部57Bが弾性変形して球状体51Aが通過部57Bを通過する。つまり、玉鎖51の各球状体51Aが通過部57Bの抵抗を受けつつ通過部57Bを段階的に通過する。保持部57Aは、玉鎖51の繋ぎ材51Bが挿通し、球状体51Aが係止される。このため、保持部57Aは玉鎖51の球状体51Aが通過することができない。挿通部57Cは玉鎖51の球状体51Aが殆ど抵抗を受けることなく通過することができる。
把持部58は、バンド本体57の一端部(保持部57Aが形成されている側の端部)に連続し、バンド本体57の幅寸法と同じ幅寸法を有し、バンド本体57が伸びている方向に長く伸びている。把持部58はバンド本体57から離れる方向に向けて徐々に厚みが薄くなっている。把持部58は先端部が半円状に湾曲している。把持部58は、先端側の表裏面に把持部58が伸びている方向に直交して伸びた複数の凸条部58Aが形成されている。これら凸条部58Aは保持部57Aの先端部を把持した際の滑り止めになっている。
バンド部材53は第1連結部52Aを介して第1ベース部30Aに連結されている。第1連結部52Aはバンド部材53と一体に形成された樹脂製である。第1連結部52Aは、図4及び図6に示すように、連結部本体54、補強部55、一対の嵌合部56を有している。第1連結部52Aは、連結部本体54とバンド部材53とが連続している部分の形態が第2連結部52Bと相違する。第1連結部52Aのその他の形態は第2連結部52Bと同一である。つまり、連結部本体54は、一対の腕部54A、湾曲部54Bを有しており、湾曲部54Bの上端部にバンド部材53のバンド本体57の他端部(挿通部57Cが形成されている側の端部)が連続している。この第1連結部52Aの各嵌合部56が第1ベース部30Aのベース部本体31に取り付けられたボルト33の頭部33B、及びボルト33にねじ込まれたナット35に外嵌し、バンド部材53が第1連結部52Aを介して第1ベース部30Aに連結されている。
角度規制部70は、図1〜図3,及び図9,図10に示すように、家具Fの上面に当接して載置された第1ベース部30Aに着脱自在に取り付けられている。角度規制部70は、受部71と支持部73とを有している。受部71は、半円弧状に伸びた円柱体であり、両端部の間隔がシリンダ11の外径よりも大きい。支持部73は、取付部73Aと、取付部73Aの上面に連続して立ち上がった支持部本体73Bを有している。取付部73Aは、第1ベース部30Aの溝部31Aの底面上に載置され、長方形の平板状である。取付部73Aは下面に溝部31Aに形成された被差込孔31Cに着脱自在に差し込まれた差込部75を有している。支持部本体73Bは、角度規制部70が第1ベース部30Aに取り付けられた状態で、第1ベース部30Aを短辺方向に見た側面視において、取付部73Aの前端(図10において右側の端部)から後方へ向けて斜めに上昇した前辺74Aと、取付部73Aの前端から取付部73Aの上面に沿って伸びた底辺74Bと、取付部73Aの後側の上面から略鉛直方向に立ち上がった後辺74Cとを有する略直角三角形の平板状である。支持部本体73Bは上端部に受部71の中央部が連続している。支持部本体73Bの上端部に連続した受部71は、支持部本体73Bの前辺の傾斜よりも緩やかな傾斜で中央部から両端部に向けて上方に伸びている。
角度規制部70は、第1ベース部30Aに取り付けられ、シリンダ11が受部71に当接するようにダンパ10を傾斜させると、ダンパ10がその傾斜姿勢よりも倒れないように規制する。角度規制部70は、ダンパ10の傾斜角度が15°〜25°の範囲になるように設けられている。
次に、壁面Wに背面を対向させて床面上に設置された家具Fの上面と天井Cとの間にこの転倒防止装置を取り付ける取付方法について説明する。
まず、ダンパ10を最も収縮させて、玉鎖51の繋ぎ材51Bを保持部57Aに挿通した状態で保持部57Aに玉鎖51の球状体51Aを係止して、ダンパ10が最も収縮した状態を保持する。この際、玉鎖51を挿通部57Cに挿通させることによって、固定索50が短くなるように玉鎖51を挿通部57Cに容易に引き込むことができる。そして、玉鎖51を挿通部57Cに引き込んだ状態で、玉鎖51を挿通部57Cから第2連通孔57E、通過部57B、及び第1連通孔57Dを通過させて、保持部57Aに玉鎖51の繋ぎ材51Bを挿通させ、保持部57Aに玉鎖51の球状体51Aを係止することによって、ダンパ10を最も収縮した状態に保持することができる。このようにダンパ10を最も収縮した状態に保持する作業は、出荷時の工場で行うことが考えられる。また、転倒防止装置を取り付け直す場合等、現場でも同様にダンパ10を最も収縮した状態に保持する作業を行うことができる。
次に、図1に示すように、ダンパ10を最も収縮した状態に保持した転倒防止装置の第1ベース部30Aに角度規制部70を取り付け、家具Fの壁面W側の上面に載置する。この状態で、第1ベース部30Aのボルト33の軸部33A(ダンパ10の回動軸)は、家具Fが地震の揺れによって傾く方向(図1において右方向)に対して直交する方向に伸びている。
そして、ダンパ10のシリンダ11が角度規制部70の受部71に当接するようにダンパ10を傾斜させる。この状態で、ダンパ10の傾斜角度が15°〜25°の間の適正な角度になる。そして、第2ベース部30Bのボルト33の軸部33A(ダンパ10の回動軸)が、第1ベース部30Aのボルト33の軸部33Aと平行になるように、第2ベース部30Bの向きを適正な取付向きに調整する。
この状態で、図2に示すように、固定索50のバンド部材53の把持部58を作業者が摘まみ、玉鎖51が第1連通孔57Dを通過して通過部57Bに挿通させるようにバンド部材53を湾曲させる。すると、ダンパ10の伸長方向に働く反発力によって玉鎖51が引っ張られ、通過部57Bが弾性変形し、玉鎖51の各球状体51Aが抵抗を受けつつ通過部57Bを段階的に通過する。このように、バンド部材53の通過部57Bを玉鎖51の各球状体51Aが通過して固定索50が長くなるとともに、ダンパ10が伸長する。そして、第2ベース部30Bが天井Cに当接し、図3に示すように、転倒防止装置を家具Fの上面と天井Cとの間に取り付ける取り付け作業が完了する。
このように、この転倒防止装置は、家具Fの上方で作業者がダンパ10を収縮させながら取り付け作業を行う必要がないため、容易に家具Fの上面と天井Cとの間に取り付けることができる。また、この転倒防止装置は、玉鎖51の各球状体51Aが通過部57Bを段階的に通過するため、ダンパ10が伸長する速さが抑制され、第2ベース部30Bが天井Cに当接する衝撃を和らげることができる。
また、この転倒防止装置は、図2に示すように、第2ベース部30Bが天井Cに当接する前に第2ベース部30Bの向きがずれていた場合等、第2ベース部30Bが天井Cに当接する直前に固定索50のバンド部材53を湾曲した状態からまっすぐに伸ばし、保持部57Aに玉鎖51の繋ぎ材51Bを挿通して、玉鎖51の球状体51Aを保持部57Aに係止させ、ダンパ10の伸長動作を一端止める。そして、適正な取付向きに第2ベース部30Bの向きを正した後、固定索50のバンド部材53の把持部58を作業者が摘まみ、玉鎖51が第1連通孔57Dを通過して通過部57Bに挿通させるようにバンド部材53を湾曲させて、ダンパ10を再度、伸長させて、第2ベース部30Bを天井Cに当接させる。これによって、この転倒防止装置は、第2ベース部30Bを適正な取付向きにして、家具Fの上面と天井Cとの間に取り付けることができる。
<実施形態2>
実施形態2の転倒防止装置は、図11に示すように、バンド部材153のバンド本体157に2個の通過部157X,157Yが設けられている点、及び保持部57A、2個の通過部157X,157Y、挿通部57Cの形態が実施形態1と相違する。他の構成は実施形態1と同様であり、同一の構成は同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
実施形態2の転倒防止装置は、図11に示すように、バンド部材153のバンド本体157に2個の通過部157X,157Yが設けられている点、及び保持部57A、2個の通過部157X,157Y、挿通部57Cの形態が実施形態1と相違する。他の構成は実施形態1と同様であり、同一の構成は同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
このバンド部材153のバンド本体157は第1通過部157Xと第2通過部157Yとを有している。第1通過部157X及び第2通過部157Yの夫々はバンド本体157を貫通した丸孔である。保持部57A、第1通過部157X、第2通過部157Y、及び挿通部57Cの順でバンド本体157の幅方向の中心線上に配置されており、内径が徐々に大きくなっている。保持部57A、第1通過部157X、第2通過部157Y、及び挿通部57Cはバンド本体57の幅方向の中心線上に伸びる同一幅のスリット状の連通孔157Fで連続している。第1通過部157Xと第2通過部157Yは、これら通過部157X,157Yを挿通した玉鎖51の球状体51Aがこれら通過部157X,157Yに係止された状態で玉鎖51に引っ張り力が加わると、これら通過部157X,157Yは弾性変形して球状体51Aがこれら通過部157X,157Yを通過する。この際、第1通過部157Xと第2通過部157Yとは内径が異なるため、各球状体51Aがこれら通過部157X,157Yを通過する際に受ける抵抗が異なる。つまり、第1通過部157Xの方が第2通過部157Yに比べて各球状体51Aが通過する際に受ける抵抗が大きい。
この転倒防止装置は、家具Fの上面と天井Cとの間に取り付けられる際、固定索150のバンド部材153の把持部58を作業者が摘まみ、バンド部材153を湾曲させる具合を調整することによって、玉鎖51を第1通過部157Xに挿通させるか、第2通過部157Yに挿通させるかを選択することができる。バンド部材153の湾曲具合を少なくして第1通過部157Xに玉鎖51を挿通させると、第2通過部157Yに比べて球状体51Aが第1通過部157Xを通過する際の抵抗が大きいため、第1通過部157Xを球状体51Aがゆっくりと通過する。このため、ダンパ10の伸長動作も第2通過部157Yに玉鎖51を挿通させるよりも第1通過部157Xに玉鎖51を挿通させた方がゆっくりとなる。このように、この転倒防止装置はダンパ10が伸長する速さをコントロールすることができる。
また、ダンパ10は伸長するに従いダンパ10の伸長方向に働く反発力が弱くなる。このため、この転倒防止装置は、ダンパ10を伸長させる初期段階(伸長方向に働く反発力が強い段階)において、第1通過部157Xに玉鎖51を挿通し、ダンパ10がある程度伸長して伸長方向に働く反発力が弱くなった後、第2通過部157Yに玉鎖51を挿通することによって、ダンパ10が伸長する速さが遅すぎないようにすることができる。
<実施形態3>
実施形態3の転倒防止装置は、図12に示すように、バンド部材253のバンド本体257に設けられた保持部257A、通過部257B、挿通部257Cの形態が実施形態1及び2と相違する。他の構成は実施形態1等と同様であり、同一の構成は同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
実施形態3の転倒防止装置は、図12に示すように、バンド部材253のバンド本体257に設けられた保持部257A、通過部257B、挿通部257Cの形態が実施形態1及び2と相違する。他の構成は実施形態1等と同様であり、同一の構成は同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
このバンド部材253のバンド本体257は、バンド本体257を貫通し、第1連結部52A側から把持部58側に向けて幅寸法が小さくなる二等辺三角形状の貫通孔259が形成されている。この貫通孔259はバンド本体57の幅方向の中心に形成されている。この貫通孔259の第1連結部52A側の最も幅寸法が大きい部分は、玉鎖51の球状体51Aが抵抗なく挿通することができる大きさに形成されている。つまり、この部分が挿通部257Cに相当する。また、この貫通孔259は第1連結部52A側から把持部58側に向けて幅寸法が小さくなっているため、所定の範囲で挿通した玉鎖51の球状体51Aが貫通孔259に係止された状態で玉鎖51に引っ張り力が加わると、貫通孔259は弾性変形して球状体51Aが貫通孔259を通過する。この際、貫通孔259の把持部58側に近づくほど各球状体51Aが貫通孔259を通過する際に受ける抵抗が大きくなる。つまり、この貫通孔259の所定の範囲が通過部257Bに相当する。また、この貫通孔259は把持部58側において幅寸法が玉鎖51の繋ぎ材51Bの外径と略等しくなった部分が保持部257Aに相当する。
この転倒防止装置は、家具Fの上面と天井Cとの間に取り付けられる際、固定索250のバンド部材253の把持部58を作業者が摘まみ、バンド部材253を湾曲させる具合を調整することによって、貫通孔259における玉鎖51が通過する位置が変化する。バンド部材253の湾曲させる具合を大きくするにしたがって、玉鎖51は貫通孔259の幅寸法が大きい部位を挿通することになるため、玉鎖51の球状体51Aが受ける抵抗が小さくなって貫通孔259を速く通過するとともに、ダンパ10が伸長する速さが速くなる。このように、この転倒防止装置はダンパ10が伸長する速さを無段階でコントロールすることができる。
また、ダンパ10は伸長するに従いダンパ10の伸長方向に働く反発力が弱くなる。このため、この転倒防止装置は、ダンパ10の伸長方向に働く反発力が弱くなるにしたがって、バンド部材253の湾曲させる具合を大きくしていくと、玉鎖51の球状体51Aが貫通孔259を通過する際の抵抗が弱くなっていくため、玉鎖51の球状体51Aが貫通孔259を通過する速さを一定にすることができ、ダンパ10が伸長する速さを一定にすることができる。
<実施形態4>
実施形態4の転倒防止装置は、図13に示すように、バンド部材53の形態、及び貫通孔が形成されている部位が実施形態3と相違する。他の構成は実施形態1等と同様であり、同一の構成は同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
実施形態4の転倒防止装置は、図13に示すように、バンド部材53の形態、及び貫通孔が形成されている部位が実施形態3と相違する。他の構成は実施形態1等と同様であり、同一の構成は同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
この転倒防止装置は、バンド部材353のバンド本体357と把持部358との境界部が略直角に屈曲しており、二等辺三角形状の貫通孔359が把持部358のバンド本体357側に形成されている。貫通孔359は底辺がバンド本体57と把持部58との境界部に平行である。この貫通孔359は把持部58の幅方向の中心に形成されている。この貫通孔359はバンド本体357と把持部358との境界部側の最も幅寸法が大きい部分を玉鎖51の球状体51Aが抵抗なく挿通することができる大きさに形成されている。つまり、この部分が挿通部に相当する。また、この貫通孔359はバンド本体357と把持部358との境界部側から把持部358の先端側に向けて幅寸法が小さくなっている。このため、この貫通孔359の所定の範囲で挿通した玉鎖51の球状体51Aが貫通孔359に係止された状態で玉鎖51に引っ張り力が加わると、貫通孔359は弾性変形して球状体51Aが貫通孔359を通過する。この際、貫通孔359の把持部58の先端側に近づくほど各球状体51Aが貫通孔359を通過する際に受ける抵抗が大きくなる。つまり、この貫通孔359の所定の範囲が通過部に相当する。また、この貫通孔359は把持部58の先端側において幅寸法が玉鎖51の繋ぎ材51Bの外径と略等しくなった部分が保持部に相当する。
この転倒防止装置は、ダンパ10を最も収縮させて、玉鎖51の繋ぎ材51Bを貫通孔359の保持部に挿通した状態で貫通孔に玉鎖51の球状体を係止して、ダンパ10が最も収縮した状態に保持すると、バンド部材353の把持部358が引っ張られ、把持部358がバンド本体357の延長線上に位置するよう弾性変形する。そして、この転倒防止装置は、家具Fの上面と天井Cとの間に取り付けられる際、固定索350のバンド部材353の把持部358を作業者が摘まみ、把持部358をバンド本体357に対して直交する方向に折り曲げるように引っ張ると、把持部358のバンド本体357に対する角度によって、貫通孔359における玉鎖51が通過する位置が変化する。把持部358とバンド本体357の間の角度が直角に近づけるにしたがって、玉鎖51は貫通孔359の幅寸法が大きい部位を挿通することになるため、玉鎖51の球状体51Aが受ける抵抗が小さくなって貫通孔359を速く通過するとともに、ダンパ10が伸長する速さも速くなる。このように、この転倒防止装置はダンパ10が伸長する速さを無段階でコントロールすることができる。
また、ダンパ10は伸長するに従いダンパ10の伸長方向に働く反発力が弱くなる。このため、この転倒防止装置は、ダンパ10の伸長方向に働く反発力が弱くなるにしたがって、把持部358とバンド本体357の間の角度を直角に近づけると、玉鎖51の球状体51Aが貫通孔359を通過する際の抵抗が弱くなっていくため、玉鎖51の球状体51Aが貫通孔359を通過する速さを一定にすることができ、ダンパ10が伸長する速さを一定にすることができる。
<実施形態5>
実施形態5の転倒防止装置は、図14に示すように、バンド部材453のバンド本体457に設けられた保持部457A及び通過部457Bの形態、及び挿通部を有していない点が実施形態1〜3と相違する。他の構成は実施形態1等と同様であり、同一の構成は同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
実施形態5の転倒防止装置は、図14に示すように、バンド部材453のバンド本体457に設けられた保持部457A及び通過部457Bの形態、及び挿通部を有していない点が実施形態1〜3と相違する。他の構成は実施形態1等と同様であり、同一の構成は同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
このバンド部材453のバンド本体457は、バンド本体457を貫通し、バンド本体457に幅方向の中心にバンド本体457の長手方向に沿って長孔459が形成されている。長孔459の幅寸法は、玉鎖51の繋ぎ材51Bの外径よりわずかに大きく、一定である。長孔459の両端部は円弧状に湾曲している。バンド本体457は、表裏面において、長孔459の途中から第1連結部52A側の長孔459の外周縁に向けて徐々に薄肉になるように傾斜させた傾斜面457Fを有している。また、この傾斜面457Fは長孔459の外周面に向けた傾斜角度が第1連結部52A側から長孔459の伸びた方向に沿って徐々に増加している。このため、長孔459の外周縁に傾斜面457Fが設けられている部分において、傾斜角度が増加するにしたがって、長孔459が弾性変形し難くなっている。つまり、傾斜面457Fが形成されている部分の長孔459が通過部457Bに相当し、傾斜面457Fの角度が大きくなるほど各球状体51Aが長孔459を通過する際に受ける抵抗が大きくなる。また、外周縁に傾斜面457Fが設けられていない部分の長孔459が保持部457Aに相当する。
この転倒防止装置は、家具Fの上面と天井Cとの間に取り付けられる際、固定索のバンド部材453の把持部58を作業者が摘まみ、バンド部材453を湾曲させる具合を調整することによって、長孔459における玉鎖51が通過する位置が変化する。バンド部材453の湾曲させる具合を大きくするにしたがって、玉鎖51は長孔459の外周縁に傾斜面457Fが設けられている部分の傾斜角度が大きい部位を挿通することになるため、玉鎖51の球状体51Aが受ける抵抗が小さくなって長孔459を速く通過するとともに、ダンパ10が伸長する速さが速くなる。このように、この転倒防止装置はダンパ10が伸長する速さを無段階でコントロールすることができる。
また、ダンパ10は伸長するに従いダンパ10の伸長方向に働く反発力が弱くなる。このため、この転倒防止装置は、ダンパ10の伸長方向に働く反発力が弱くなるにしたがって、バンド部材53の湾曲させる具合を大きくしていくと、玉鎖51の球状体51Aが長孔459を通過する際の抵抗が弱くなっていくため、玉鎖51の球状体51Aが長孔459を通過する速さを一定にすることができ、ダンパ10が伸長する速さを一定にすることができる。
<実施形態6>
実施形態6の転倒防止装置は、図15に示すように、玉鎖551が先端に向けて各球状体551Aの外径を徐々に小さくしている点が、実施形態1と相違する。他の構成は実施形態1と同様であり、同一の構成は同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
実施形態6の転倒防止装置は、図15に示すように、玉鎖551が先端に向けて各球状体551Aの外径を徐々に小さくしている点が、実施形態1と相違する。他の構成は実施形態1と同様であり、同一の構成は同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
この玉鎖551は、第2連結部52Bから所定の長さの範囲に配置された各球状体551Aの外径が一定であるが、それよりも先端側に配置された球状体551Aの外径が、先端に向けて徐々に小さくなっている。玉鎖551の先端側に配置された最も小さい球状体551Aは通過部57Bの内径よりも僅かに大きい外径である。各球状体551Aを繋ぐ繋ぎ材51Bの長さは同一である。
ダンパ10は伸長するに従いダンパ10の伸長方向に働く反発力が弱くなる。このため、この転倒防止装置は、ダンパ10が伸長するに従い、通過部57Bを通過する玉鎖551の球状体551Aの外径が徐々に小さくなるため、球状体551Aが受ける抵抗が徐々に小さくなり、各球状体551Aが通過部57Bを通過する時間が均一化され、ダンパ10が伸長する速さを全体的に略等しくすることができる。
<実施形態7>
実施形態7の転倒防止装置は、図16に示すように、玉鎖651が先端に向けて各球状体51Aの間隔を徐々に大きくしている点が、実施形態1と相違する。他の構成は実施形態1と同様であり、同一の構成は同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
実施形態7の転倒防止装置は、図16に示すように、玉鎖651が先端に向けて各球状体51Aの間隔を徐々に大きくしている点が、実施形態1と相違する。他の構成は実施形態1と同様であり、同一の構成は同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
この玉鎖651は、第2連結部52Bから所定の長さの範囲に配置された各球状体51Aの間隔は同じであるが、それよりも先端側に配置された各球状体51Aの間隔が、先端に向けて徐々に大きくなっている。つまり、繋ぎ材651Bの長さが玉鎖651の先端側の方が長くなっている。
ダンパ10は伸長するに従いダンパ10の伸長方向に働く反発力が弱くなるため、玉鎖651の先端側に近い球状体51Aほど通過部57Bの通過に要する時間が長くなる。このため、各球状体51Aの通過部57Bの通過に要する時間に比例して各球状体51Aの間隔を玉鎖51の先端に向けて徐々に大きくすることによって、ダンパ10が伸長する速さを全体的に略等しくすることができる。
<実施形態8>
実施形態8の転倒防止装置は、図17及び図18に示すように、バンド部材753の形態が実施形態1と相違する。他の構成は実施形態1と同様であり、同一の構成は同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
実施形態8の転倒防止装置は、図17及び図18に示すように、バンド部材753の形態が実施形態1と相違する。他の構成は実施形態1と同様であり、同一の構成は同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
このバンド部材753はバンド部材本体760と操作部材780とを具備している。バンド部材本体760は基部761と屈曲部762とを有している。基部761は、一端が第1連結部52Aの連結部本体54の湾曲部54Bの中央に連続し、連結部本体54の各腕部54Aが伸びている方向と反対方向に伸びており、厚み寸法及び幅寸法が一定の平板状である。屈曲部762は、基部761の他端に連続し、基部761に対して直角方向に伸びており、基部761と同じ一定の幅寸法を有した平板状である。屈曲部762は玉鎖51の球状体51Aの外径よりも大きい内径を有した孔部762Aが貫設している。屈曲部762は、バンド部材753が第1連結部52Aを介して第1ベース部30Aに連結され、基部761が略鉛直方向に立ち上がった状態で、略水平方向に伸び、孔部762Aは略鉛直方向に貫通している。
操作部材780は、樹脂製の弾性体であり、柔軟性を有した帯形状である。操作部材780は、中間部で折り曲げた状態で上側に位置する上部材781と、下側に位置する下部材783を有している。上部材781は、玉鎖51の球状体51Aの外径よりも小さい内径である孔781Aが貫設されており、この孔781Aが通過部に相当する。下部材783は操作部材780の一方の端面から下部材783の途中までスリット状の切欠き部783Aが形成されており、この切欠き部783Aが保持部に相当する。この切欠き部783Aの幅寸法は玉鎖51の繋ぎ材51Bの外径よりも僅かに大きい。操作部材780は、柔軟性を有しているため、上部材781に沿って、折り曲げ部分を移動させながら、下部材783を往復移動させることができる。
この転倒防止装置は、図18に示すように、玉鎖51をバンド部材753の屈曲部762の上面側から屈曲部762の孔部762Aに挿通しつつ、ダンパ10を収縮させると、屈曲部762の下面側に玉鎖51が引き出される。ダンパ10を最も収縮させて、屈曲部762の下面側に引き出された玉鎖51を操作部材780の通過部である上部材781の孔781Aに挿通させつつ、上部材781の通過部(孔781A)を屈曲部762の孔部762Aに下方から重ね合わせて配置する。そして、操作部材780の下部材783を移動させて、屈曲部762の下面側に引き出された玉鎖51の最も上に位置する球状体51Aから上側に連続した繋ぎ材51Bを保持部である下部材783の切欠き部783Aに挿入する。つまり、下部材783の保持部である下部材783の切欠き部783Aを屈曲部762の孔部762Aに重ね合わせて配置し、保持部である下部材783の切欠き部783Aが玉鎖51の球状体51Aを係止することによって、ダンパ10を最も収縮した状態に保持することができる。また、この状態から、下部材783を移動させ、保持部である下部材783の切欠き部783Aから玉鎖51の繋ぎ材51Bを外すと、屈曲部762の孔部762Aに通過部である上部材781の孔781Aのみが重ね合わされることになり、玉鎖51の球状体51Aが通過部である上部材781の孔781Aの抵抗を受けつつ孔781Aを段階的に通過し、ダンパ10を伸長させることができる。
<実施形態9>
実施形態9の転倒防止装置は、図19に示すように、操作部材880の形態が実施形態8と相違する。他の構成は実施形態8と同様であり、同一の構成は同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
実施形態9の転倒防止装置は、図19に示すように、操作部材880の形態が実施形態8と相違する。他の構成は実施形態8と同様であり、同一の構成は同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
この操作部材880は、樹脂製の弾性体であり、柔軟性を有した帯形状である。操作部材880は、屈曲部762に貫設された孔部762Aと同じ内径である挿通孔881が一方の端部側に貫設されている。この操作部材880は、挿通孔881に連続して操作部材880の幅方向の中央を伸びるスリット状の第1係止孔883と、挿通孔881から離れた第1係止孔883の端部側に第1係止孔883に直交するスリット状の第2係止孔885とが貫設されている。第1係止孔883及び第2係止孔885の幅寸法は玉鎖51の繋ぎ材51Bの外径よりも僅かに大きい。第1係止孔883のうち、挿通孔881と第2係止孔885の中間部が保持部に相当する。第1係止孔883と第2係止孔885が交差している部分の周辺が通過部に相当する。
この転倒防止装置は、玉鎖51をバンド部材753の屈曲部762の上面側から屈曲部762の孔部762Aに挿通しつつ、ダンパ10を収縮させると、屈曲部762の下面側に玉鎖51が引き出される。ダンパ10を最も収縮させて、屈曲部762の下面側に引き出された玉鎖51を操作部材880の挿通孔881に挿通し、第1係止孔883に球状体51Aの繋ぎ材51Bを挿通させつつ操作部材880を移動させて、保持部である第1係止孔883の中間部を屈曲部762の孔部762Aに重ね合わせて配置し、第1係止孔883が玉鎖51の球状体51Aを係止することによって、ダンパ10を最も収縮した状態に保持することができる。また、この状態から、操作部材880を移動させて、通過部である第1係止孔883と第2係止孔885が交差している部分を屈曲部762の孔部762Aに重ね合わせて配置する。すると、玉鎖51の球状体51Aが操作部材880の通過部である第1係止孔883と第2係止孔885の交差部分の抵抗を受けつつ段階的に通過し、ダンパ10を伸長させることができる。
<実施形態10>
実施形態10の転倒防止装置は、図20〜図22に示すように、玉鎖951の球状体951A及びバンド部材953の形態が実施形態1と相違する。他の構成は実施形態1と同様であり、同一の構成は同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
実施形態10の転倒防止装置は、図20〜図22に示すように、玉鎖951の球状体951A及びバンド部材953の形態が実施形態1と相違する。他の構成は実施形態1と同様であり、同一の構成は同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
この玉鎖951の球状体951Aは玉鎖951が伸びている方向につぶれた略楕円体である。バンド部材953は、基部957と操作部980とを具備している。基部957は、一端が第1連結部52Aの連結部本体54の湾曲部54Bの中央に連続し、連結部本体54の各腕部54Aが伸びている方向と反対方向に伸びており、厚み寸法及び幅寸法が一定の平板状である。
操作部980は、基部957の他端に連続し、基部957に対して直角方向に突出している。操作部980は、図21及び図22に示すように、空洞のケース部981、ケース部981内に収納され、左右方向(図20〜図22において左右方向)に往復移動自在の移動部材983、移動部材983の右端部に連続してケース部981から突出したプッシュボタン985、及び移動部材983に右方向の弾性力を付与するコイルばね987を具備している。
ケース部981は、バンド部材53が第1連結部52Aを介して第1ベース部30Aに連結され、基部957が略鉛直方向に立ち上がった状態で、上面981Uと下面981Dに鉛直方向に貫通した正方形状の上下開口981Aが形成されている。上下開口981Aは、一辺が玉鎖951の球状体51Aの直系よりも僅かに大きく、玉鎖951の球状体51Aが抵抗を受けずに挿通することができる大きさである。ケース部981は右側面にプッシュボタン985の軸部985Aが挿通した挿通孔が形成されている。ケース部981は左側面に移動部材983の後述する筒部983Bを左右方向に移動自在に収納して案内する案内部981Bが突出している。
移動部材983は、樹脂製の弾性体であり、柔軟性を有している。移動部材983は、中央部に上下方向に貫通しており、ケース部981に形成された上下開口981Aよりも僅かに大きい正方形状の孔部983Aが形成されている。移動部材983は左側面にコイルばね987が収納される筒部983Bが左方向に伸びて設けられている。移動部材983は右側面にプッシュボタン985の軸部985Aが連続している。
プッシュボタン985は、軸部985Aと、軸部985Aの先端に連続した頭部985Bとを有している。軸部985Aはケース部981の右側面に形成された挿通孔に左右方向に往復移動自在に挿通している。頭部985Bは、ケース部981の右側面よりも外側に露出しており、軸部985Aと同軸上に形成された円盤形状である。
操作部980は、コイルばね987の弾性力によって、常時、移動部材983及びプッシュボタン985が右側移動端に移動した状態にある。この状態で、操作部980はケース部981の上下開口981Aと移動部材983の孔部983Aとが一部で重なっている。このため、操作部980は、常時、上下方向に貫通した空間を玉鎖951の繋ぎ材51Bが挿通することができ、球状体951Aが挿通することができない状態になっている。つまり、この状態の操作部980は玉鎖951の球状体951Aが移動部材983に係止する保持部を構成している。
一方、操作部980は、作業者がプッシュボタン985を左方向に押すことによって、コイルばね987の弾性力に抗して、移動部材983を左側移動端に移動させると、ケース部981の上下開口981Aと移動部材983の孔部983Aが重ね合わされた状態になる。この状態で、操作部980は、玉鎖951の球状体951Aは抵抗を受けずに上下方向に挿通することができる。つまり、この状態の操作部980は玉鎖951が挿通自在である挿通部を構成している。
また、作業者がプッシュボタン985を押して、移動部材983が左側移動端まで移動させずに、左側移動端と右側移動端との間に移動部材983を移動させると、移動部材983が弾性変形し、玉鎖951の各球状体951Aが抵抗を受けつつ操作部980を通過させることができる。この状態で、操作部980は移動部材983が玉鎖951の球状体951Aに抵抗を付与しつつ球状体51Aが通過自在である通過部を構成している。
この転倒防止装置は、作業者がプッシュボタン985を左方向に押して、玉鎖951をバンド部材953の操作部980のケース部981の上下開口981A、及び移動部材983の孔部983Aを上方から挿通しつつ、ダンパ10を収縮させると、ケース部981の下開口981Aから下方に玉鎖951が引き出される。ダンパ10を最も収縮させて、玉鎖951をケース部981の下開口981Aから引き出し、プッシュボタン985を押すのを止めて移動部材983がコイルばね987の弾性力によって右側移動端に移動すると、玉鎖951の球状体951Aが移動部材983に係止して、ダンパ10を最も収縮した状態に保持することができる。
また、この状態から移動部材983が左側移動端まで移動させない程度に作業者がプッシュボタン985を左方向に押す。すると、玉鎖951の球状体951Aが移動部材983の抵抗を受けつつ、操作部980を段階的に通過し、ダンパ10を伸長させることができる。この際、プッシュボタン985の押し込み具合を調整することによって、玉鎖951の球状体951Aが受ける抵抗を変化させることができるため、ダンパ10が伸長する速さをコントロールすることができる。
実施形態1〜10の転倒防止装置は、ダンパ10、第1ベース部30A、第2ベース部30B、及び固定索50を備えている。ダンパ10は床面上に設置された家具Fの上面と天井Cとの間に取り付けられる。このダンパ10は伸長方向に働く反発力を有している。第1ベース部30A、第2ベース部30Bはダンパ10の両端部の夫々に連結されている。また、第1ベース部30Aは家具Fの上面に当接し、第2ベース部30Bは天井Cに当接する。固定索50はダンパ10を所望する長さの収縮状態に保持する。この固定索50は玉鎖51とバンド部材53とを具備している。玉鎖51は第2ベース部30Bに連結されている。この玉鎖51は複数の球状体51Aを繋ぎ材51Bで繋いで形成されている。バンド部材53は第1ベース部30Aに連結されている。このバンド部材53は保持部57A及び通過部57Bを有している。保持部57Aは玉鎖51の繋ぎ材51Bを挿通した状態で球状体51Aを係止する。通過部57Bは保持部57Aに連続している。この通過部57Bは玉鎖51の球状体51Aに抵抗を付与しつつ球状体51Aが通過自在である。
この転倒防止装置は、固定索50のバンド部材53の保持部57Aに玉鎖51の球状体51Aを係止してダンパ10を所望する長さの収縮状態に保持した状態で、第1ベース部30Aを家具Fの上面に当接して載置する。そして、ダンパ10を所望する方向に伸びた取付状態になるように位置決めした後、固定索50の玉鎖51をバンド部材53の保持部57Aから通過部57Bに移動させる。すると、この転倒防止装置は、ダンパ10の伸長方向に働く反発力によって、玉鎖51の各球状体51Aが通過部57Bの抵抗を受けつつ通過部57Bを段階的に通過し、ダンパ10が伸長する。そして、この転倒防止装置は、第2ベース部30Bが天井Cに当接し、取り付け作業が完了する。このように、この転倒防止装置は、家具Fの上方で作業者がダンパ10を収縮させながら取り付け作業を行う必要がないため、容易に家具Fの上面と天井Cとの間に取り付けることができる。
したがって、実施形態1〜10の転倒防止装置は家具Fの上面と天井Cとの間に容易に取り付けることができる。
また、この転倒防止装置は、玉鎖51の各球状体51Aが通過部57Bを段階的に通過するため、ダンパ10が伸長する速さが抑制され、第2ベース部30Bが天井Cに当接する衝撃を和らげることができる。また、この転倒防止装置は、第2ベース部30Bが天井Cに当接する直前で、保持部57Aに玉鎖51の繋ぎ材51Bを挿通させて保持部57Aが球状体51Aを係止し、ダンパ10の伸長動作を一端止めることができる。このため、この転倒防止装置は、第2ベース部30Bが天井Cに当接する直前でダンパ10の伸長動作を止めて、適正な取付向きに第2ベース部30Bの向きを正すことができる。
実施形態2〜4の転倒防止装置において、バンド部材153は玉鎖51の球状体51Aが通過する際に異なった抵抗を受ける複数の通過部(実施形態2では第1通過部157X及び第2通過部157Y、実施形態3及び4では貫通孔259,359)を有している。このため、この転倒防止装置は、複数の通過部のうちの一つを選択することによって、玉鎖51の球状体51Aが通過する際に受ける抵抗が異なるため、ダンパ10が伸長する速さをコントロールすることができる。
また、実施形態5の転倒防止装置において、バンド部材453は弾性体である。また、バンド部材453の通過部は、保持部457Aからバンド部材453が連結された第1ベース部30Aに近づく方向に伸び、バンド部材453を貫通した長孔459で形成されている。この通過部は保持部457A側から長孔459の外周縁に向けて徐々に薄肉になるように傾斜させた傾斜面457Fを有している。この傾斜面457Fは、長孔459の外周縁に向けた傾斜角度が長孔459の伸びた方向に沿って徐々に増加している。このため、保持部457A側から長孔459の伸びた方向に玉鎖51を移動させると、玉鎖51の球状体51Aが通過部を通過する際に受ける抵抗を連続的に変化させることができるため、ダンパ10が伸長する速さを無段階でコントロールすることができる。
また、実施形態6の転倒防止装置において、玉鎖551は先端に向けて球状体551Aの外径を徐々に小さくしている。ダンパ10は伸長するに従いダンパ10の伸長方向に働く反発力が弱くなる。この転倒防止装置は、ダンパ10が伸長するに従い、通過部57Bを通過する玉鎖551の球状体551Aの外径が徐々に小さくなるため、球状体551Aが受ける抵抗が徐々に小さくなり、各球状体551Aが通過部57Bを通過する時間が均一化され、ダンパ10が伸長する速さを全体的に略等しくすることができる。
また、実施形態7の転倒防止装置において、玉鎖651は先端に向けて各球状体51Aの間隔を徐々に大きくしている。ダンパ10が伸長するに従い、ダンパ10の伸長方向に働く反発力が弱くなるため、玉鎖651の先端側に近い球状体51Aほど通過部57Bの通過に要する時間が長くなる。このため、各球状体51Aの通過部57Bの通過に要する時間に比例して各球状体51Aの間隔を玉鎖51の先端に向けて徐々に大きくすることによって、ダンパ10が伸長する速さを全体的に略等しくすることができる。
また、実施形態1〜4の転倒防止装置において、バンド部材53は、保持部57Aに連続し、玉鎖51の球状体51Aの外径よりも大きい内径を有し、玉鎖51が挿通自在である挿通部57Cを有している。このため、ダンパ10を所望する長さの収縮状態にする際、玉鎖51を挿通部57Cに容易に引き込むことができる。そして、玉鎖51を挿通部57Cに引き込んだ状態で挿通部57Cに連続した保持部57Aに玉鎖51の球状体51Aを係止すると、ダンパ10を所望する長さに容易に保持することができる。
また、実施形態1及び2の転倒防止装置において、保持部57A、通過部57B、及び挿通部57Cがスリット状の連通孔で連続している。このため、保持部57A、通過部57B、及び挿通部57Cの間でスリット状の連通孔57D,57E,157Fが玉鎖51のストッパとして機能し、玉鎖51が意図せずに移動してしまうことを防止することができる。
また、実施形態8及び9において、バンド部材753は、バンド部材本体760と、操作部材780,880とを具備している。バンド部材本体760は玉鎖51の球状体51Aの外径よりも大きい内径を有した孔部762Aが貫通している。操作部材780,880は孔部761Aに重ね合わせて配置される通過部及び保持部を有している。この転倒防止装置は、バンド部材本体760の孔部762Aに操作部材780,880の保持部を重ね合わせて配置し、バンド部材本体760の孔部782Aを挿通した玉鎖51の球状体51Aを係止すると、ダンパ10を所望する長さの収縮状態に保持することができる。また、この状態から操作部材780,880の保持部57Aを移動させて、操作部材の挿通部のみをバンド部材本体760の孔部762Aに重ね合わせて配置すると、玉鎖51の各球状体51Aが通過部の抵抗を受けつつ通過部を段階的に通過しつつ、ダンパ10を伸長させることができる。
また、実施形態1〜10の転倒防止装置は角度規制部70を備えている。角度規制部70は家具Fの上面に当接する第1ベース部30Aに取り付けられ、ダンパ10の傾斜角度を規制する。このため、この転倒防止装置は、第1ベース部30Aを家具Fの上面に当接して載置した状態で、角度規制部70によってダンパ10を所望する方向に伸びた取付状態になるようにダンパ10の角度を規制し、位置決めすることができる。
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態1に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)実施形態1〜10では、固定索の玉鎖を第2ベース部に連結し、バンド部材を第1ベース部に連結したが、玉鎖を第1ベース部に連結し、バンド部材を第2ベース部に連結してもよい。
(2)実施形態1〜10では、ダンパの伸長方向に反発力を働かせるために、シリンダに圧縮ガスを封入したが、圧縮ガスの代わりにコイルばねをシリンダ内に収納してダンパの伸長方向に反発力を働かせてもよい。
(3)実施形態1〜10では、付勢部がダンパであったが、ダンパの代わりにばねであってもよい。
(4)実施形態1〜4では、挿通部を有していたが、挿通部を有していなくてもよい。この場合、ダンパを収縮させる際に玉鎖を通過部に通過させて引き込めばよい。
(5)実施形態6の玉鎖は先端に向けて各球状体の外径を徐々に小さくし、実施形態7の玉鎖は先端に向けて各球状体の間隔を徐々に大きくしているが、玉鎖は先端に向けて各球状体の外径を徐々に小さくしつつ、各球状体の間隔を徐々に大きくしてもよい。
(6)実施形態8及び9では、通過部と保持部を一つの帯形状の操作部に設けたが、操作部を分割して、夫々に通過部と保持部を設けてもよい。
(7)実施形態1〜10では、角度規制部を備えていたが、角度規制部を備えずに、作業者が角度を確認しながら転倒防止装置を家具の上面と天井との間に取り付けてもよい。
(1)実施形態1〜10では、固定索の玉鎖を第2ベース部に連結し、バンド部材を第1ベース部に連結したが、玉鎖を第1ベース部に連結し、バンド部材を第2ベース部に連結してもよい。
(2)実施形態1〜10では、ダンパの伸長方向に反発力を働かせるために、シリンダに圧縮ガスを封入したが、圧縮ガスの代わりにコイルばねをシリンダ内に収納してダンパの伸長方向に反発力を働かせてもよい。
(3)実施形態1〜10では、付勢部がダンパであったが、ダンパの代わりにばねであってもよい。
(4)実施形態1〜4では、挿通部を有していたが、挿通部を有していなくてもよい。この場合、ダンパを収縮させる際に玉鎖を通過部に通過させて引き込めばよい。
(5)実施形態6の玉鎖は先端に向けて各球状体の外径を徐々に小さくし、実施形態7の玉鎖は先端に向けて各球状体の間隔を徐々に大きくしているが、玉鎖は先端に向けて各球状体の外径を徐々に小さくしつつ、各球状体の間隔を徐々に大きくしてもよい。
(6)実施形態8及び9では、通過部と保持部を一つの帯形状の操作部に設けたが、操作部を分割して、夫々に通過部と保持部を設けてもよい。
(7)実施形態1〜10では、角度規制部を備えていたが、角度規制部を備えずに、作業者が角度を確認しながら転倒防止装置を家具の上面と天井との間に取り付けてもよい。
10…ダンパ、30A,30B…ベース部(30A…第1ベース部、30B…第2ベース部)、50,150,250…固定索、51,551,651,951…玉鎖、51A,551A、951A…球状体、51B,651B…繋ぎ材、53,153,253,353,453,753…バンド部材、57A,257A,457A,783A…保持部(783A…切欠き部)、57B、157X,157Y,257B,457B,781A…通過部(157X…第1通過部、157Y…第2通過部,781A…孔)、57C,257C…挿通部、57D,57E,157F…連通孔(57D…第1連通孔、57E…第2連通孔)、57F…傾斜面、70…角度規制部、459…長孔、760…バンド部材本体、762A…孔部、780…操作部材、C…天井、F…家具(物品)
Claims (9)
- 設置面上に設置された物品の上面と天井との間に取り付けられ、伸長方向に働く反発力を有した付勢部と、
前記付勢部の両端部の夫々に連結され、一方が前記物品の上面に当接し、他方が前記天井に当接する一対のベース部と、
前記付勢部を所望する長さの収縮状態に保持する固定索と、
を備えており、
前記固定索は、
前記ベース部の一方に連結されており、複数の球状体を繋ぎ材で繋いで形成された玉鎖と、
前記ベース部の他方に連結されており、前記玉鎖の繋ぎ材を挿通した状態で前記球状体を係止する保持部、及び前記保持部に連続し、前記玉鎖の球状体に抵抗を付与しつつ前記球状体が通過自在である通過部を有したバンド部材と、
を具備していることを特徴とする転倒防止装置。 - 前記バンド部材は前記玉鎖の球状体が通過する際に異なった抵抗を受ける複数の前記通過部を有していることを特徴とする請求項1記載の転倒防止装置。
- 前記バンド部材は弾性体であり、
前記通過部は、前記保持部から前記バンド部材が連結された前記ベース部に近づく方向に伸び、前記バンド部材を貫通した長孔が形成され、前記長孔の外周縁に向けて徐々に薄肉になるように傾斜させた傾斜面を有しており、
前記傾斜面は、前記長孔の外周縁に向けた傾斜角度が前記保持部側から前記長孔の伸びた方向に沿って徐々に増加していることを特徴とする請求項2記載の転倒防止装置。 - 前記玉鎖は先端に向けて各前記球状体の外径を徐々に小さくしていることを特徴とする請求項1記載の転倒防止装置。
- 前記玉鎖は先端に向けて各前記球状体の間隔を徐々に大きくしていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の転倒防止装置。
- 前記バンド部材は、前記保持部に連続し、前記玉鎖の球状体の外径よりも大きい内径を有し、前記玉鎖が挿通自在である挿通部を有していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の転倒防止装置。
- 前記保持部、前記通過部、及び前記挿通部がスリット状の連通孔で連続していることを特徴とする請求項6記載の転倒防止装置。
- 前記バンド部材は、
前記玉鎖の球状体の外径よりも大きい内径を有した孔部が貫通したバンド部材本体と、
前記孔部に重ね合わせて配置される前記通過部及び前記保持部を有する操作部材と、
を具備していることを特徴とする請求項1記載の転倒防止装置。 - 前記物品の上面に当接する前記ベース部に取り付けられ、前記付勢部の傾斜角度を規制する角度規制部を備えていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項記載の転倒防止装置。
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CN108741812A (zh) * | 2018-06-28 | 2018-11-06 | 安徽附利整体家居有限公司 | 一种实木雕花顶线及其制作工艺 |
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2016
- 2016-07-29 JP JP2016149345A patent/JP6663818B2/ja not_active Expired - Fee Related
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CN108741812A (zh) * | 2018-06-28 | 2018-11-06 | 安徽附利整体家居有限公司 | 一种实木雕花顶线及其制作工艺 |
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