WO2017042977A1

WO2017042977A1 - スナップボタン

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Publication number: WO2017042977A1
Application number: PCT/JP2015/075914
Authority: WO
Inventors: 林　大介
Original assignee: Ykk株式会社
Priority date: 2015-09-11
Filing date: 2015-09-11
Publication date: 2017-03-16
Also published as: US20180271227A1; EP3348162B1; CN107920633A; CN107920633B; US11969060B2; TWI626901B; US10986901B2; EP3348162A1; EP3348162A4; TW201711589A; US20210212415A1

Abstract

加締め用のピンの加締め部がユーザから見えないスナップボタンを提供する。スナップボタンは、スナップボタン本体（３０、４０）と、スナップボタン本体（３０、４０）と生地（１、２）を挟んで連結されるキャップ（１０、１０Ａ）とからなる。前記スナップボタン本体（３０、４０）は、ベース（３１、４１）と、前記ベース（３１、４１）の内側面（３１ａ、４１ａ）から突出する加締め用のピン（３３、４３）と、前記ベース（３１、４１）の外側面（３１ｂ、４１ｂ）に設けられた係合部（３２、４２）とを備える。前記キャップ（１０、１０Ａ）は、キャップベース（１２）を含むキャップ本体（１１、１１Ａ）と、前記キャップベース（１２）の内側面（１２ａ）に取り付けられる金属製のアイレット（２０）とからなる。前記アイレット（２０）は、前記生地（１、２）を貫通した前記ピン（３３、４３）を内部に受け入れて、前記キャップベース（１２）の内側面（１２ａ）側で加締めるための筒部（２１）を有する。

Description

スナップボタン

　本発明はスナップボタンに関し、特に、雄スナップボタン本体又は雌スナップボタン本体と、これら雄スナップボタン本体又は雌スナップボタン本体と生地を挟んで連結されるキャップ又は止具とからなるスナップボタンに関する。

　スナップボタンの一タイプとして、樹脂製のスナップボタン本体とキャップとからなり、スナップボタン本体側に加締め用のピンを設け、このピンを生地に貫通させた後にキャップ側で加締めることより、スナップボタン本体がキャップと共に生地に固定されるスナップボタンが知られている。スナップボタンが雄スナップボタンの場合、雄スナップボタン本体はソケットとも称され、また、雌スナップボタンの場合、雌スナップボタン本体はスタッドとも称される。上記タイプのスナップボタンは、止具に設けた加締め用のピンを生地に貫通させた後、スナップボタン本体側で加締める従来のスナップボタンに比べ、スナップボタン本体の軸方向の厚さを薄く設計することができるという利点を有する。

　加締め用のピンがスナップボタン本体側に形成される上記タイプのスナップボタンでは、生地を貫通したピンを、キャップの貫通孔に通した後、キャップの外側面（生地に対面する面とは反対側の面）側の凹部で加締めている。そのため、スナップボタン本体及びキャップが生地に取り付けられた状態で、ピンの加締め部がキャップの外側面側に現れ、ユーザから見えるという問題があった。そのため、例えばファッション性の高い衣服等では、そのようなタイプのスナップボタンの使用が制限される場合があった。また、加締め用のピンが止具側に設けられるスナップボタンにおいても、スナップボタン本体が止具で生地に取り付けられた状態で、ピンの加締め部がスナップボタン本体の外部から見える場合があった。

　本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、加締め用のピンの加締め部がユーザから見えないスナップボタンを提供することにある。

　上記課題を解決するため、本発明の一側面によれば、スナップボタン本体と、スナップボタン本体と生地を挟んで連結されるキャップとからなるスナップボタンであって、前記スナップボタン本体は、ベースと、前記ベースの、前記生地側に向けられる内側面から突出する加締め用のピンと、前記ベースの前記内側面とは反対側の外側面に設けられた係合部とを備え、前記キャップは、キャップベースを含むキャップ本体と、前記キャップベースの、前記生地側に向けられる内側面に取り付けられる金属製のアイレットとからなり、前記アイレットは、前記生地を貫通した前記ピンを内部に受け入れて、前記キャップベースの内側面側で加締めるための筒部を有することを特徴とするスナップボタンが提供される。

　本発明では、スナップボタン本体側に加締め用のピンを設け、このピンを、生地に貫通させた後、キャップのキャップ本体のキャップベースにおける内側面に取り付けた金属製のアイレットの筒部内で加締めることにより、スナップボタン本体がキャップと共に生地に取り付けられる。アイレットは、キャップのキャップベースの、生地に対面する内側面に取り付けられ、ピンもアイレットの筒部内においてキャップベースの内側面側で加締められる。そのため、スナップボタン本体及びキャップが生地に取り付けられた状態で、ピンの加締め部はキャップの外側面側には現れず、ユーザから見えない。

　スナップボタンは、雄スナップボタンの形態と雌スナップボタンの形態がある。雄スナップボタン本体の係合部と雌スナップボタン本体の係合部とは互いに係合及び脱係合可能である。

　本発明において、アイレットは、取付強度の確保の点から金属製であれば良く、例えば、アルミニウム合金、銅合金、鉄合金、ステンレス等からなるが、これらに限定されるものではない。また、本発明において、スナップボタン本体及びキャップ本体は、例えば、ナイロン、アクリル、ＡＢＳ等の熱可塑性樹脂、ポリエステル等の熱硬化性樹脂等から形成することができるが、これらに限定されるものではない。スナップボタン本体及びキャップ本体が樹脂製の場合、スナップボタン本体及びキャップが生地に取り付けられた状態で、キャップ本体のキャップベースの内側面に取り付けられた金属製のアイレットは、キャップベースや生地に隠れて外部から見えなくなる。そのため、ユーザからはスナップボタン本体及びキャップがすべて樹脂製に見える。

　本発明の一実施形態において、前記アイレットは、前記筒部の、生地側に向けられる端部に、前記筒部の開口の少なくとも一部を塞ぎ、前記ピンによって突き破られる筒部側面の厚さよりも薄い厚さの薄肉部を有する。キャップにおけるアイレットの筒部の薄肉部は、筒部の生地側端の開口を少なくとも部分的に塞ぎ、また、薄肉部の厚さは、筒部側面の厚さ（筒部の内周面と外周面との間の間隔）よりも薄く設定される。このような薄肉部は、生地を貫通したスナップボタン本体のピンによって突き破られて変形し、加締められたピンと接する。これにより、薄肉部は、加締められたピンがアイレットの筒部から安易に抜けないようにする役割を果たす。

　本発明の一実施形態において、前記薄肉部はその中心に孔を有する。アイレットの薄肉部の中心に孔があることにより、薄肉部はスナップボタン本体のピンにより孔から容易に突き破られて変形することができる。また、ピンの先端を薄肉部の中心の孔に受けることにより、ピンとアイレットの筒部との心合わせを行うことができる。

　本発明の一実施形態において、前記キャップベースの内側面における中心部に窪みが形成される。キャップ本体のキャップベースの内側面に窪みを設けることにより、キャップのアイレットの薄肉部を突き破ったスナップボタン本体のピンは、その先端がキャップベースの内側面の窪みに突き当たってから塑性変形を始める。そのため、前記窪みは、ピンが周方向に偏ることなく加締められることを助長する役割を果たす。

　本発明の一実施形態において、前記キャップ本体のキャップベースの内側面における中心部に円錐状の突起が形成される。キャップ本体のキャップベースの内側面における中心部に円錐状の突起を設けることにより、キャップのアイレットの薄肉部を突き破ったスナップボタン本体のピンは、その先端がキャップベースの内側面の円錐状の突起に突き当たってから塑性変形を始める。そのため、前記突起は、ピンが周方向に偏ることなく加締められることを助長する役割を果たす。

　本発明の別の側面によれば、スナップボタン本体と、スナップボタン本体と生地を挟んで連結される止具とからなるスナップボタンであって、前記スナップボタン本体は、ベースを含むボタン部材と、前記ベースの、前記生地側に向けられる内側面に取り付けられる金属製のアイレットとからなり、前記ボタン部材は、前記ベースの前記内側面とは反対側の外側面に設けられた係合部を備え、前記止具は、止具ベースと、前記止具ベースの、前記生地側に向けられる内側面から突出する加締め用のピンとを備え、前記アイレットは、前記生地を貫通した前記ピンを内部に受け入れて、前記ボタン部材のベースの内側面側で加締めるための筒部を有することを特徴とするスナップボタンが提供される。

　本発明では、止具側に加締め用のピンを設け、このピンを、生地に貫通させた後、スナップボタン本体のベースの内側面に取り付けた金属製のアイレットの筒部内で加締めることにより、スナップボタン本体が止具と共に生地に取り付けられる。アイレットは、スナップボタン本体のボタン部材のベースの、生地に対面する内側面に取り付けられ、ピンもアイレットの筒部内においてボタン部材のベースの内側面側で加締められる。そのため、スナップボタン本体及び止具が生地に取り付けられた状態で、ピンの加締め部はスナップボタン本体の外側面側には現れず、ユーザから見えない。

　本発明において、アイレットは、取付強度の確保の点から金属製であれば良く、例えば、アルミニウム合金、銅合金、鉄合金、ステンレス等からなるが、これらに限定されるものではない。また、本発明において、ボタン部材及び止具は、例えば、ナイロン、アクリル、ＡＢＳ等の熱可塑性樹脂、ポリエステル等の熱硬化性樹脂等から形成することができるが、これらに限定されるものではない。ボタン部材及び止具が樹脂製の場合、スナップボタン本体及び止具が生地に取り付けられた状態で、スナップボタン本体のベースの内側面に取り付けられた金属製のアイレットは、ベースや生地に隠れて外部から見えなくなる。そのため、ユーザからはスナップボタン本体及び止具がすべて樹脂製に見える。

　本発明の一実施形態において、前記アイレットは、前記筒部の、生地側に向けられる端に、前記筒部の開口の少なくとも一部を塞ぎ、前記ピンによって突き破られる筒部側面の厚さよりも薄い厚さの薄肉部を有する。スナップボタン本体におけるアイレットの筒部の薄肉部は、筒部の生地側端の開口を少なくとも部分的に塞ぎ、また、薄肉部の厚さは、筒部側面の厚さ（筒部の内周面と外周面との間の間隔）よりも薄く設定される。このような薄肉部は、生地を貫通した止具のピンによって突き破られて変形し、加締められたピンと接する。これにより、薄肉部は、加締められたピンがアイレットの筒部から安易に抜けないようにする役割を果たす。

　本発明の一実施形態において、前記薄肉部はその中心に孔を有する。アイレットの薄肉部の中心に孔があることにより、薄肉部は止具のピンにより孔から容易に突き破られて変形することができる。また、ピンの先端を薄肉部の中心の孔に受けることにより、ピンとアイレットの筒部との心合わせを行うことができる。

　本発明の一実施形態において、前記ボタン部材のベースの内側面における中心部に窪みが形成される。ボタン部材のベースの内側面に窪みを設けることにより、スナップボタン本体のアイレットの薄肉部を突き破った止具のピンは、その先端がボタン部材のベースの内側面の窪みに突き当たってから塑性変形を始める。そのため、前記窪みは、ピンが周方向に偏ることなく加締められることを助長する役割を果たす。

　本発明の一側面では、スナップボタン本体側に設けた加締め用のピンを、生地に貫通させた後、キャップのキャップ本体のキャップベースにおける内側面に取り付けた金属製のアイレットの筒部内で加締めることにより、スナップボタン本体及びキャップが生地に取り付けられた状態で、ピンの加締め部はキャップの外側面側には現れず、ユーザから見えない。

　本発明の別の側面では、止具側に設けた加締め用のピンを、生地に貫通させた後、スナップボタン本体のベースの内側面に取り付けた金属製のアイレットの筒部内で加締めることにより、スナップボタン本体及び止具が生地に取り付けられた状態で、ピンの加締め部はスナップボタン本体の外側面側には現れず、ユーザから見えない。

図１は、本発明の一実施形態に係るスナップボタンである雄スナップボタンを生地に取り付ける直前の配置構成を示す断面図である。図２は、アイレットを組み付ける前のキャップ本体の上面図である。図３は図２のＡ－Ａ線断面図である。図４は、アイレットの上面図である。図５は図４のＢ－Ｂ線断面図である。図６は、雄スナップボタンを生地に取り付ける工程において、雄スナップボタン本体のピンがキャップのアイレットに近付いている状態を示す断面図である。図７は、雄スナップボタンを生地に取り付ける工程において、雄スナップボタン本体のピンがキャップのアイレットの薄肉部を突き破っている状態を示す断面図である。図８は、雄スナップボタンを生地に取り付ける工程において、雄スナップボタン本体のピンの先端部がキャップのキャップベースの内側面における窪みに突き当たって塑性変形し始めた状態を示す断面図である。図９は、本発明の別の実施形態に係るスナップボタンである雌スナップボタンを生地に取り付ける直前の配置構成を示す断面図である。図１０は、雄スナップボタンと雌スナップボタンが係合した状態を示す断面図であり、この図において生地は省略されている。図１１は、キャップの変形例を示す断面図であり、雄本体のピンの先端部が共に図示される。図１２は、雄スナップボタンの別の実施形態の断面図である。図１３は、雌スナップボタンの別の実施形態の断面図である。

　以下、本発明のいくつかの実施形態を図面に基づいて説明するが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲及び均等の範囲内で適宜変更等が可能である。図１は、本発明の一実施形態に係るスナップボタンである雄スナップボタンを生地１に取り付ける直前の配置構成を示す断面図である。このスナップボタンは、スタッドとも称される雄スナップボタン本体（以下、単に「雄本体」ともいう。）３０と、キャップ１０とから構成される。以下、雄本体３０及びキャップ１０の上下方向については図１の紙面に基づくものとする。雄本体３０は樹脂成形品であり、円板状のベース３１と、ベース３１の外側面３１ｂからベース３１と同心状に上方に突出する円環状の雄側係合部３２と、ベース３１の内側面３１ａの中央からベース３１と同心状に下方に突出する中実な加締め用のピン３３とを備える。ベース３１の内側面３１ａは、雄本体３０が生地１に取り付けられる際、ベース３１において生地１に対面する側の面である。雄側係合部３２は、後述する本発明の一実施形態に係る雌スナップボタン本体４０の雌側係合部４２（又は従来の雌スナップボタン本体の係合部）と係合及び脱係合可能である。雄側係合部３２は、その外周面の上方側に、外径がわずかに拡大した拡径部３２ａを有する。雄側係合部３２の外径は、拡径部３２ａで拡大した後、上端へと漸次縮小する。

　雄本体３０のピン３３は、外径が上半部でほぼ一定であり、下半部で先端（下端）へと漸次縮小し、先端３３ａが尖っている。ベース３１の内側面３１ａにおけるピン３３の基端（上端）の周囲には、下方へとわずかに突出する環状凸部３４が設けられている。環状凸部３４とピン３３の基端との間は相対的に上方に環状に窪む。環状凸部３４は、雄本体３０が後述するようにキャップ１０と共に生地１に取り付けられた際に生地１をキャップ１０側に押すことにより、生地１に対する雄本体３０の廻り止めの役割を果たす。雄本体３０では、雄本体３０自体を生地１に取り付けるための加締め用のピン３３を、キャップ１０側ではなく雄本体３０側に設けたことにより、生地１上に取り付けた際の雄本体３０の厚さ、すなわちベース３１の内側面３１ａから雄側係合部３２の上端までの間隔を極力薄く設計することが可能となる。雄本体３０において、雄側係合部３２のベース３１からの突出長さは、ピン３３のベース３１からの突出長さに比べて短い。詳しくは後述するが、雄本体３０は、生地１を下方に貫通したピン３３をキャップ１０側で加締めることにより、生地１に固定される。

　キャップ１０は、樹脂成形品であるキャップ本体１１と、キャップ本体１１に組み付ける金属製の部品であるアイレット２０とから構成される。図２は、アイレット２０を組み付ける前のキャップ本体１１の上面図であり、図３は図２のＡ－Ａ線断面図である。キャップ本体１１は、円板状のキャップベース１２と、キャップベース１２の半径方向外側端部から上方に延びる環状の周側部１３と、周側部１３よりも若干半径方向内側においてキャップベース１２の内側面１２ａから上方に突出する環状突起１４とを備える。キャップベース１２の内側面１２ａは、キャップ１０が生地１、２に取り付けられる際、キャップベース１２において生地１、２に対面する側の面である。環状突起１４は、アイレット２０をキャップ本体１１に固定するために後述するように加締められる部分である。周側部１３と環状突起１４は同じ高さである。環状突起１４の半径方向の厚さは上方へとわずかに漸次薄くなるように設計される。これにより、環状突起１４は、アイレット２０の固定時に加締め易くなる。キャップベース１２の外側面１２ｂは、下方にわずかに凸となる球面状であり、周側部１３の外周面へとなだらかに繋がる。キャップ１０の外側面１２ｂには、ロゴ等が印刷、刻印等により付され場合がある。キャップベース１２の内側面１２ａの中央部には円形の浅い凹部１５が形成される。環状突起１４の半径方向内側において、内側面１２ａにおける凹部１５より半径方向外側部分は、キャップ本体１１の軸線に垂直な水平面である。凹部１５には、上方にわずかに隆起する環状の微小隆起部１６が形成される。凹部１５は、半径方向外側端から微小隆起部１６に向かってわずかに漸次深まり、微小隆起部１６の半径方向内側に円形の窪み１７が規定される。すなわち、窪み１７は、微小隆起部１６の半径方向内側を向く側面と、キャップベース１２の内側面１２ａにおける微小隆起部１６の半径方向内側部分である水平な底面とから規定される。なお、窪みは、必ずしも円形である必要はなく、キャップベース１２の中央を中心軸とした４角形、５角形・・・などの多角形状であっても良い。微小隆起部１６は半径方向に沿う断面が略三角形状にて上方に突出する。微小隆起部１６の上端は、内側面１２ａにおける凹部１５の半径方向外側部分からの仮想延長面よりもわずかに下方に位置する。

　図４はアイレット２０の上面図であり、図５は図４のＢ－Ｂ線断面図である。アイレット２０は、アルミニウム合金、胴合金、鉄合金、ステンレス等からなる金属製の部品であり、筒部としての円筒部２１と、円筒部２１の下端から半径方向外側に延びる板状のフランジ部２２と、円筒部２１の上端から半径方向内側かつ下方に斜めに延びる薄肉部２３とを備える。薄肉部２３は、円筒部２１の生地１側に向けられる上端開口を部分的に覆う。
また、薄肉部２３の厚さは円筒部２１の側面の厚さ（円筒部２１の内周面と外周面との間の間隔）より薄い。また、薄肉部２３は、円筒部２１の中心軸に向けて下方に斜めに傾斜しているため、薄肉部２３の上面は円筒部（２１）の中央に向けて窪んだ形状となる。円筒部２１は径がほぼ一定である。フランジ部２２は、円筒部２１の下端から半径方向外側にわずかに上方へと斜めに延びる。円筒部２１とフランジ部２２はほぼ一定の同じ厚さである。薄肉部２３は、半径方向外側端（円筒部２１の上端）から半径方向内側端へと厚さが漸次薄くなる。薄肉部２３の厚さは半径方向外側端で最も厚いが、この最も厚い部分でも円筒部２１やフランジ部２２の厚さより薄い。薄肉部２３は、半径方向内側の中央部において、水平に対する下方への傾斜角度が、薄肉部２３における中央部より半径方向外側部分に比べて大きくなるピン受け部２４を含む。ピン受け部２４の中心は小孔（孔）２５として開口する。更に、ピン受け部２４には、小孔２５から半径方向外側へと連続する切れ目もしくはスリット２５ａが周方向に複数（図４において六つ）設けられている。

　図１には、キャップ本体１１にアイレット２０が組み付けられた状態のキャップ１０が示される。キャップ本体１１にアイレット２０を取り付ける場合、キャップ本体１１のキャップベース１２の内側面１２ａにおける環状突起１４の半径方向内側に、アイレット２０のフランジ部２２を配置した後、図示しないパンチによって環状突起１４を半径方向内側に倒すように加締める。これにより、アイレット２０のフランジ部２２が加締められた環状突起１４によって固定され、アイレット２０がキャップ本体１１に取り付けられる。アイレット２０のフランジ部２２の外径は、キャップ本体１１の環状突起１４の内径よりもわずかに小さくなるように設計される。キャップ本体１１に取り付けられた状態で、アイレット２０の高さは、キャップ本体１１の周側部１３の高さよりも若干高くなる。アイレット２０の円筒部２１の内径は、キャップ本体１１の環状突起１４の径よりも若干大きく、かつ凹部１５の径よりも若干小さい。環状突起１４の径は、雄本体３０のピン３３の最大外径とほぼ同じである。

　雄本体３０を生地１に取り付ける場合、図１の状態から雄本体３０を降下させる。ここで、雄本体３０は図示しない取付装置の上方ダイに保持され、また、キャップ１０は下方ダイ（図示せず）に載置される。そして、上方ダイが下方ダイに向かって降下することにより、雄本体３０が降下する。これにより、雄本体３０のピン３３が生地１を下方に突き抜けた後、次のようにキャップ１０のアイレット２０の円筒部２１内で加締められる。生地１を貫通したピン３３の先端３３ａは、図６の状態から、まず、アイレット２０の円筒部２１の薄肉部２３のピン受け部２４及び小孔２５に突き当たる。この時、ピン受け部２４及び小孔２５は、ピン３３とアイレット２０の円筒部２１との心合わせを行う役割を果たす。次いで、ピン３３は、図７に示すように薄肉部２３を小孔２５及びピン受け部２４から突き破るようにして、アイレット２０の円筒部２１内部に入り込む。この際、ピン受け部２４には、中心の小孔２５から半径方向外側へと複数のスリット２５ａが入れられており、また、薄肉部２３が比較的薄く形成されているため、薄肉部２３は、円筒部２１の形状に影響を与えることなく、ピン３３によって容易に突き破られて変形する。次いで、ピン３３は、図８に示すように、その先端３３ａが下方ダイ（図示せず）に支持されたキャップ１０のキャップベース１２の内側面１２ａにおける微小隆起部１６の半径方向内側の窪み１７に突き当たって塑性変形し始める。この塑性変形すなわち加締めの初期段階において、ピン３３の先端３３ａが微小隆起部１６で囲まれた窪み１７で軸方向に潰れ始め、微小隆起部１６の半径方向内側を埋める（図８参照）。この加締め初期に微小隆起部１６の半径方向内側領域（窪み１７）を埋めるようにピン３３が変形することが、ピン３３が周方向に偏ることなく加締められることを助長する。その後、ピン３３は、アイレット２０の円筒部２１内の空間を満たすように加締められる（図１０参照）。図１０に示されるように、加締めが完了したピン３３の外径は、ベース３１側の基端（上端）からキャップベース１２側の下端付近へと大きくなり、また、比較的小径なピン３３の基端側の外周面に突き破られることにより、薄肉部２３が円筒部２１の内周面に近接するようにして変形する。変形した薄肉部２３が円筒部２１の上方開口部の径を小さくするとともに、薄肉部２３の先端がピン３３に接するため、加締められたピン３３はアイレット２０の円筒部２１から安易に抜けることはない。更に、雄本体３０のピン３３がキャップベース１２の内側面１２ａ側においてアイレット２０の円筒部２１内で加締められるため、加締められたピン３３はキャップベース１２の外側面１２ｂ側には現れず、ユーザからは見えない。更にまた、雄本体３０及びキャップ１０が生地１に取り付けられた状態で、キャップ１０における金属製のアイレット２０はキャップ本体１１及び生地１に隠れ、外部から見えない。そのため、ユーザからは、雄本体３０とキャップ１０からなる雄スナップボタンがすべて樹脂製であるように見える。

　図９は、本発明の別の実施形態に係るスナップボタンである雌スナップボタンを生地２に取り付ける直前の配置構成を示す断面図である。このスナップボタンは、ソケットとも称される雌スナップボタン本体（以下、単に「雌本体」という。）４０と、キャップ１０とから構成される。キャップ１０は、雄本体３０と共に上述したキャップ１０と同じものであるため、同じ参照番号を付して説明を省略する。以下、雌本体４０の上下方向については図９の紙面に基づくものとする。雌本体４０は樹脂成形品であり、円板状のベース４１と、ベース４１の外側面４１ｂからベース４１と同心状に下方に突出する円環状の雌側係合部４２と、ベース４１の内側面４１ａの中央からベース４１と同心状に上方に突出する中実な加締め用のピン４３とを備える。ベース４１の内側面４１ａは、雌本体４０が生地２に取り付けられる際、ベース４１において生地２に対面する側の面である。雌本体４０は、雌側係合部４２を除き、雄本体３０と実質的に同じ形態を有し、雌本体４０のピン４３は雄本体３０のピン３３と実質的に同じである。雌側係合部４２は、上述した雌本体３０の雄側係合部３２（又は従来の雌スナップボタン本体の係合部）と係合及び脱係合可能である。雌側係合部４２は、その内周面の下方側に、内径がわずかに縮小した縮径部４２ａを有する。雌側係合部４２の内径は、縮径部４２ａで縮小した後、下端へと漸次拡大する。雌側係合部４２の外径は下端へと漸次縮小する。雌本体４０は、生地２を上方に貫通したピン４３をキャップ１０のアイレット２０の円筒部２１内で加締めることにより、生地２に固定される。この際、雌本体４０のピン４３は、上述した雄本体３０のピン３３と同様に加締められる。雌本体４０のピン４３がキャップベース１２の内側面１２ａ側においてアイレット２０の円筒部２１内で加締められるため、加締められたピン４３はキャップベース１２の外側面１２ｂ側には現れず、ユーザからは見えない。更に、雄本体３０及びキャップ１０が生地１に取り付けられた状態で、キャップ１０における金属製のアイレット２０はキャップ本体１１及び生地１に隠れ、外部から見えない。そのため、ユーザからは、雄本体３０とキャップ１０からなる雄スナップボタンがすべて樹脂製であるように見える。

　図１０は、既述した雄スナップボタンと雌スナップボタンが係合した状態を示す断面図であり、この図において生地１及び２は省略されている。この状態で、雄本体３０の雄側係合部３２が雌本体４０の雌側係合部４２に結合している。雄スナップボタン及び雌スナップボタンのいずれにおいても、雄本体３０及び雌本体４０それぞれのピン３３、４３の加締められた部分は外部から、すなわちユーザから見えない。また、各キャップ１０の金属製のアイレット２０も外部から見えないため、雄スナップボタン及び雌スナップボタンはあたかもすべてが樹脂製のように見える。

　図１１は、本発明に係るスナップボタンにおけるキャップの変形例であるキャップ１０Ａを示す断面図であり、便宜的に雄本体３０のピン３３の先端部が共に図示される。図１１のピンは、雌本体４０のピン４３であってもよいが、雄本体３０のピン３３として説明する。キャップ１０Ａは、キャップ本体１１Ａと、アイレット２０とからなる。アイレット２０は、既述したキャップ１０のアイレット２０と同じものであるため、同じ参照番号を付して説明を省略する。キャップ本体１１Ａは、次の点でキャップ本体１１と異なる。すなわち、キャップ本体１１Ａでは、キャップベース１２の内側面１２ａに形成された凹部１５において、環状の微小隆起部１６及び窪み１７は設けられず、凹部１５の中心部に上方にわずかに隆起する円錐状の突起１７Ａが形成される。キャップ本体１１Ａについて、突起１７Ａ以外は、キャップ本体１１と同じ参照番号を付して説明を省略する。突起１７Ａの頂端は凹部１５より半径方向外側の内側面１２ａの仮想延長面よりもわずかに下方に位置する。雄本体３０をキャップ１０Ａを用いて生地（図示せず）に取り付ける場合、生地を突き抜けた雄本体３０のピン３３は、アイレット２０の薄肉部２３を突き破って円筒部２１内部に入り込み、ピン３３の先端３３ａが突起１７Ａに突き当たってから塑性変形し始める。突起１７Ａは、ピン３３が周方向に偏ることなく加締められることを助長する。なお、この突起１７Ａは、前述した実施例の窪み１７とともに設けてもよい。すなわち、窪み１７の中央に円錐状の突起１７Ａを設けることができる。

　以上では、加締め用のピン３３、４３がスナップボタン本体３０、４０側に設けられ、かつ金属製のアイレット２０がキャップ１０側に取り付けられた実施形態を説明したが、本発明はそれらに限定されるものではなく、次に述べるように、加締め用のピンを止具側に、アイレットをスナップボタン本体側に設けることができる。図１２は、本発明の更に別の実施形態に係るスナップボタンである雄スナップボタンの断面図である。雄スナップボタンは、雄スナップボタン本体（雄本体）６０と樹脂製の止具５０とからなる。雄本体６０は、樹脂製の雄ボタン部材（以下、「雄部材」という。）６０Ａと金属製のアイレット２０Ａとからなる。以下、雄本体６０及び止具５０の上下方向については図１２の紙面に基づくものとする。止具５０は、円板状の止具ベース５１と、止具ベース５１の内側面５１ａ側から上方に突出する加締め用のピン５２とを備える。止具ベース５１の内側面５１ａは、雄部材６０Ａの取り付け時に生地に対面する。止具ベース５１の外側面５１ｂは、わずかに凸球面状である。止具ベース５１の内側面５１ａ側は、半径方向外側端部の水平に沿う外側環状面５１ｃと、外側環状面５１ｃの半径方向内側において外側環状面５１ｃよりも下方に窪む凹部５１ｄと、ピン５２の基端（下端）と外側環状面５１ｃとのほぼ中間において上方に隆起する環状隆起部５１ｅとを含む。凹部５１ｄは、ピン５２の基端と隣接する部分で最も深くなり、環状隆起部５１ｅから外側環状面５１ｃへと漸次浅くなる。環状隆起部５１ｅは断面が矩形状であり、環状隆起部５１ｅの水平な上端面は、外側環状面５１ｃからの仮想延長面よりもわずかに下方に位置する。

　雄部材６０Ａは、円板状のベース６１と、ベース６１の外側面６１ｂから上方に突出する中実な雄側係合部６２と、ベース６１の内側面６１ａに設けられた、アイレット２０Ａを固定するための環状突起６３とを備える。ベース６１の内側面６１ａにおける環状突起６３の半径方向内側は、既述したキャップ１０のキャップベース１２の内側面１２ａと実質的に同様の形態である。すなわち、ベース６１の内側面６１ａには凹部６５が設けられ、凹部６５に環状の微小隆起部６６が形成され、微小隆起部６６の半径方向内側に円形の窪み６７が規定される。アイレット２０Ａは、寸法が異なるものの、アイレット２０と実質的に同じ構成を有するため、アイレット２０と同じ参照番号を用いて説明を省略する。すなわち、アイレット２０Ａは、円筒部２１、フランジ部２２及び薄肉部２３を備え、薄肉部２３は、スリットが入れられたピン受け部及び小孔を含む。雄部材６０Ａにアイレット２０Ａを取り付ける場合、雄部材６０Ａのベース６１の内側面６１ａにおける環状突起６３の半径方向内側にアイレット２０Ａを配置した後、環状突起６３を半径方向内側に加締める。これにより、アイレット２０Ａが雄部材６０Ａに取り付けられる。雄本体６０は、生地（図示せず）を上方に貫通した止具５０のピン５２を雄本体６０のアイレット２０Ａの円筒部２１内で加締めることにより、生地に固定される。この際、止具５０のピン５２は、上述した雄本体３０のピン３３と実質的に同様に加締められる。止具５０のピン５２が雄部材６０Ａのベース６１の内側面６１ａ側においてアイレット２０Ａの円筒部２１内で加締められるため、加締められたピン５２はベース６１の外側面６１ｂ側には現れず、ユーザからは見えない。更に、雄本体６０及び止具５０が生地に取り付けられた状態で、雄本体６０における金属製のアイレット２０Ａは雄部材６０Ａ及び生地に隠れ、外部から見えない。そのため、ユーザからは、雄本体６０と止具５０からなる雄スナップボタンがすべて樹脂製であるように見える。

　図１３は、本発明の更に別の実施形態に係るスナップボタンである雌スナップボタンの断面図である。雌スナップボタンは、雌スナップボタン本体（雌本体）７０と樹脂製の止具５０とからなる。止具５０は、雄本端６０と共に上述したものと同じものであるため、同じ参照番号を付して説明を省略する。雌本体７０は、樹脂製の雌ボタン部材（以下、「雌部材」という。）７０Ａと金属製のアイレット２０Ａとからなる。アイレット２０Ａは、雄本体６０の雄部材６０Ａと共に上述したものと同じものであるため、同じ参照番号を付して説明を省略する。以下、雌本体７０の上下方向については図１３の紙面に基づくものとする。雌部材７０Ａは、円板状のベース７１と、ベース７１の外側面７１ｂから下方に突出する円環状の雌側係合部７２と、ベース７１の内側面７１ａに設けられた、アイレット２０Ａを固定するための環状突起７３とを備える。ベース７１の内側面７１ａにおける環状突起７３の半径方向内側は水平面である。雌部材７０Ａにアイレット２０Ａを取り付ける場合、雌部材７０Ａのベース７１の内側面７１ａにおける環状突起７３の半径方向内側にアイレット２０Ａを配置した後、環状突起７３を半径方向内側に加締める。これにより、アイレット２０Ａが雌部材７０Ａに取り付けられる。雌本体７０は、生地（図示せず）を下方に貫通した止具５０のピン５２を雌本体７０のアイレット２０Ａの円筒部２１内で加締めることにより、生地に固定される。この際、止具５０のピン５２は、雌部材７０Ａのベース７１の内側面７１ａに突き当たって加締められる。そのため、加締められたピン５２はベース７１の外側面７１ｂ側には現れず、ユーザからは見えない。また、雌本体７０及び止具５０が生地に取り付けられた状態で、雌本体７０における金属製のアイレット２０Ａは雌部材７０Ａ及び生地に隠れ、外部から見えない。そのため、ユーザからは、雌本体７０と止具５０からなる雌スナップボタンがすべて樹脂製であるように見える。

　１０、１０Ａ　キャップ
　１１、１１Ａ　キャップ本体
　１２　キャップベース
　１２ａ　キャップベース１２の内側面
　１２ｂ　キャップベース１２の外側面
　１４　環状突起
　１５　凹部
　１６　微小隆起部
　１７　窪み
　１７Ａ　突起
　２０、２０Ａ　アイレット
　２１　円筒部（筒部）
　２２　フランジ部
　２３　薄肉部
　２４　ピン受け部
　２５　小孔（孔）
　２５ａ　スリット（切れ目）
　３０　雄スナップボタン本体（雄本体）
　３１　ベース
　３１ａ　ベースの内側面
　３１ｂ　ベースの外側面
　３２　雄側係合部
　３３　ピン
　３３ａ　ピンの先端
　４０　雌スナップボタン本体（雌本体）
　４１　ベース
　４１ａ　ベースの内側面
　４１ｂ　ベースの外側面
　４２　雌側係合部
　４３　ピン
　５０　止具
　５１　止具ベース
　５１ａ　止具ベースの内側面
　５２　ピン
　６０　雄スナップボタン本体（雄本体）
　６０Ａ　雄ボタン部材
　６１　ベース
　６１ａ　ベースの内側面
　６１ｂ　ベースの外側面
　６２　雄側係合部
　６５　凹部
　６６　微小隆起部
　６７　窪み
　７０　雌スナップボタン本体（雌本体）
　７０Ａ　雌ボタン部材
　７１　ベース
　７１ａ　ベースの内側面
　７１ｂ　ベースの外側面
　７２　雌側係合部

Claims

　スナップボタン本体（３０、４０）と、スナップボタン本体（３０、４０）と生地（１、２）を挟んで連結されるキャップ（１０、１０Ａ）とからなるスナップボタンであって、
　前記スナップボタン本体（３０、４０）は、ベース（３１、４１）と、前記ベース（３１、４１）の、前記生地（１、２）側に向けられる内側面（３１ａ、４１ａ）から突出する加締め用のピン（３３、４３）と、前記ベース（３１、４１）の前記内側面（３１ａ、４１ａ）とは反対側の外側面（３１ｂ、４１ｂ）に設けられた係合部（３２、４２）とを備え、
　前記キャップ（１０、１０Ａ）は、キャップベース（１２）を含むキャップ本体（１１、１１Ａ）と、前記キャップベース（１２）の、前記生地（１、２）側に向けられる内側面（１２ａ）に取り付けられる金属製のアイレット（２０）とからなり、
　前記アイレット（２０）は、前記生地（１、２）を貫通した前記ピン（３３、４３）を内部に受け入れて、前記キャップベース（１２）の内側面（１２ａ）側で加締めるための筒部（２１）を有することを特徴とするスナップボタン。
　前記スナップボタン本体（３０、４０）及び前記キャップ本体（１１、１１Ａ）は樹脂製である請求項１に記載のスナップボタン。
　前記アイレット（２０）は、前記筒部（２１）の、生地（１、２）側に向けられる端部に、前記筒部（２１）の開口の少なくとも一部を塞ぎ、前記ピン（３３、３４）によって突き破られる筒部側面の厚さよりも薄い厚さの薄肉部（２３）を有する請求項１又は２に記載のスナップボタン。
　前記薄肉部（２３）はその中心に孔（２５）を有する請求項３に記載のスナップボタン。
　前記キャップベース（１２）の内側面（１２ａ）における中心部に窪み（１７）が形成される請求項１又は２に記載のスナップボタン。
　前記キャップ本体（１１Ａ）のキャップベース（１２）の内側面（１２ａ）における中心部に円錐状の突起（１７Ａ）が形成される請求項１又は２又は５に記載のスナップボタン。
　スナップボタン本体（６０、７０）と、スナップボタン本体（６０、７０）と生地を挟んで連結される止具（５０）とからなるスナップボタンであって、
　前記スナップボタン本体（６０、７０）は、ベース（６１、７１）を含むボタン部材（６０Ａ、７０Ａ）と、前記ベース（６１、７１）の、前記生地側に向けられる内側面（６１ａ、７１ａ）に取り付けられる金属製のアイレット（２０Ａ）とからなり、前記ボタン部材（６０Ａ、７０Ａ）は、前記ベース（６１、７１）の前記内側面（６１ａ、７１ａ）とは反対側の外側面（６１ｂ、７１ｂ）に設けられた係合部（６２、７２）を備え、
　前記止具（５０）は、止具ベース（５１）と、前記止具ベース（５１）の、前記生地側に向けられる内側面（５１ａ）から突出する加締め用のピン（５２）とを備え、
　前記アイレット（２０Ａ）は、前記生地を貫通した前記ピン（５２）を内部に受け入れて、前記ボタン部材（６０Ａ、７０Ａ）のベース（６１、７１）の内側面（６１ａ、７１ａ）側で加締めるための筒部（２１）を有することを特徴とするスナップボタン。
　前記ボタン部材（６０Ａ、７０Ａ）及び前記止具（５０）は樹脂製である請求項７に記載のスナップボタン。
　前記アイレット（２０Ａ）は、前記筒部（２１）の、生地側に向けられる端部に、前記筒部（２１）の開口の少なくとも一部を塞ぎ、前記ピン（５２）によって突き破られる筒部側面の厚さよりも薄い厚さの薄肉部（２３）を有する請求項７又は８に記載のスナップボタン。
　前記薄肉部（２３）はその中心に孔（２５）を有する請求項９に記載のスナップボタン。
　前記ボタン部材（６０Ａ）のベース（６１）の内側面（６１ａ）における中心部に窪み（６７）が形成される７又は８に記載のスナップボタン。