WO2017018078A1 - スパッタリング装置及び絶縁膜の製造方法 - Google Patents

スパッタリング装置及び絶縁膜の製造方法 Download PDF

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Abstract

絶縁物を含むスパッタリングターゲットを備えたスパッタリング装置の成膜レートを向上させることを課題とする。本発明の一態様は、基板12を保持する保持部13と、比抵抗が1×10Ω・cm以上の絶縁物を含むスパッタリングターゲット14、前記スパッタリングターゲットに10kHz以上30MHz以下の高周波出力を、1/20ms以上1/3ms以下の周期で25以上90%以下のDUTY比のパルス状に供給する出力供給機構16と、チャンバー11内に希ガスを導入する第1のガス導入源17と、前記チャンバー内を真空排気する真空排気機構19と、を具備し、前記DUTY比は、1周期の間で前記スパッタリングターゲットに高周波出力が印加される期間の比率であるスパッタリング装置である。

Description

スパッタリング装置及び絶縁膜の製造方法
 本発明は、スパッタリング装置及び絶縁膜の製造方法に関する。
 従来のスパッタリング装置は、Pb(Zr,Ti)O(以下、「PZT」という。)スパッタリングターゲットを用い、高周波出力を連続的に供給してスパッタリングすることで、基板上にPZT膜を成膜する装置である(例えば特許文献1参照)。このPZT膜はペロブスカイト型強誘電体セラミックスの一例である。
 PZTのような絶縁体のスパッタリングターゲット(以下、「PZTターゲット」という。)をスパッタリングすると、PZTターゲットに徐々に電荷が溜まり、その溜まった電荷によって強いアーク放電が起こり、それによってPZTターゲットに穴が開いて破損してしまうことがある。一旦穴が開くと、そのPZTターゲットを使用することができず、再生することもできない。その結果、スパッタリング装置において高価なPZTターゲットを交換する必要が生じる。
 具体的には、上記従来のスパッタリング装置においてPZTターゲットに8.5W/cmの電力を入力して基板上にPZT膜を成膜すると、10~15枚程度の基板を処理したところでPZTターゲットが破損して交換が必要となった。このPZTターゲットは、破損しなければまだ使用することができるはずのものであった。
 また、上述したようにPZTターゲットに入力する電力が8.5W/cmでは、高い成膜レートを得ることができないため、8.5W/cmより高い電力をPZTターゲットに入力して成膜レートを高くすることが求められる。しかし、8.5W/cmの電力でもPZTターゲットが破損してしまうので、それより高い電力をPZTターゲットに入力すると、さらに少ない基板の処理枚数でPZTターゲットが破損してしまう。従って、成膜レートを高くすることができないという問題があった。
特開2014−40651号公報
 本発明の一態様は、絶縁物を含むスパッタリングターゲットを備えたスパッタリング装置の成膜レートを向上させることを課題とする。
 また、本発明の一態様は、絶縁物を含むスパッタリングターゲットを用いてスパッタリングにより成膜する絶縁膜の成膜レートを向上させることを課題とする。
 以下に、本発明の種々の態様について説明する。
[1]チャンバー内に配置された、基板を保持する保持部と、
 前記チャンバー内に配置され、比抵抗が1×10Ω・cm以上の絶縁物を含むスパッタリングターゲットと、
 前記スパッタリングターゲットに10kHz以上30MHz以下の高周波出力を、1/20ms以上1/3ms以下の周期で25%以上90%以下のDUTY比のパルス状に供給する出力供給機構と、
 前記チャンバー内に希ガスを導入する第1のガス導入源と、
 前記チャンバー内を真空排気する真空排気機構と、
を具備し、
 前記DUTY比は、1周期の間で前記スパッタリングターゲットに高周波出力が印加される期間の比率であることを特徴とするスパッタリング装置。
[2]上記[1]において、
 前記スパッタリングターゲットに磁場を加える磁石と、
 前記磁石を20rpm以上120rpm以下の速度で回転させる回転機構と、を有することを特徴とするスパッタリング装置。
[3]上記[1]または[2]において、
 前記出力供給機構により前記高周波出力を供給している際に前記スパッタリングターゲットに発生する直流成分である電圧VDCを−200V以上−80V以下に制御するVDC制御部を有することを特徴とするスパッタリング装置。
[4]上記[1]乃至[3]のいずれか一項において、
 前記絶縁物は酸化物であることを特徴とするスパッタリング装置。
[5]上記[1]乃至[4]のいずれか一項において、
 前記絶縁物は、一般式ABOで表され、Aは、Al、Y、Li、Na、K、Rb、Pb、Cs、La、Sr、Cr、Ag、Ca、Pr、Nd、Ba、Bi、Fおよび周期表のランタン系列の元素からなる群から選択される少なくとも一つの元素を含んでなり、Bは、Al、Ga、In、Nb、Sn、Ti、Zr、Ru、Rh、Pd、Re、Os、IrPt、U、CO、Fe、Ni、Mn、Cr、Cu、Mg、V、Nb、Ta、MoおよびWからなる群から選択される少なくとも一つの元素を含んでなるペロブスカイト物質を含む物、または、酸化ビスマス層と、ペロブスカイト型構造ブロックとが交互に積層された構造を有するビスマス層状構造強誘電体結晶を含む物であり、前記ペロブスカイト型構造ブロックは、Li、Na、K、Ca、Sr、Ba、Y、Bi、Pbおよび希土類元素から選ばれる少なくとも1つの元素Lと、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、W、Mo、Mn、Fe、SiおよびGeから選ばれる少なくとも1つの元素Rと、酸素とによって構成されることを特徴とするスパッタリング装置。
[6]上記[1]乃至[5]のいずれか一項において、
 前記絶縁物は(PbLa)(ZrTiNb)O3−δであり、
 a、b、c、d、e及びδは下記の式1及び式11~式16を満たすことを特徴とするスパッタリング装置。
 0≦δ≦1 ・・・式1
 1.00≦a+b≦1.35 ・・・式11
 0≦b≦0.08 ・・・式12
 1.00≦c+d+e≦1.1 ・・・式13
 0.4≦c≦0.7 ・・・式14
 0.3≦d≦0.6 ・・・式15
 0≦e≦0.1 ・・・式16
[7]上記[6]において、
 前記出力供給機構により前記高周波出力を供給した後の前記スパッタリングターゲットの表面の比抵抗が1×10Ω・cm以上1×1012Ω・cm以下であることを特徴とするスパッタリング装置。
[8]上記[1]乃至[7]のいずれか一項において、
 前記チャンバー内にOガスを導入する第2のガス導入源を有し、
 前記希ガスはArガスであり、
 成膜時における前記第2のガス導入源により導入される前記Oガスと前記第1のガス導入源により導入される前記Arガスとの比が下記式6を満たすように制御する流量制御部を有することを特徴とするスパッタリング装置。
 0.1≦Oガス/Arガス≦0.3 ・・・式6
[9]上記[1]乃至[8]のいずれか一項において、
 成膜時における前記チャンバー内の圧力が0.1Pa以上2Pa以下となるように制御する圧力制御部を有することを特徴とするスパッタリング装置。
[10]比抵抗が1×10Ω・cm以上の絶縁物を含むスパッタリングターゲットに10kHz以上30MHz以下の高周波出力を、1/20ms以上1/3ms以下の周期で25%以上90%以下のDUTY比のパルス状に供給することで、基板上に絶縁膜を成膜する方法であり、
 前記DUTY比は、1周期の間で前記スパッタリングターゲットに高周波出力が印加される期間の比率であり、
 前記成膜する際の前記基板及び前記スパッタリングターゲットの雰囲気は、減圧下で希ガスを含むものであることを特徴とする絶縁膜の製造方法。
[11]上記[10]において、
 前記スパッタリングターゲットに前記高周波出力を供給する際に、20rpm以上120rpm以下の速度で磁石を回転させることで前記スパッタリングターゲットに磁場を加えることを特徴とする絶縁膜の製造方法。
[12]上記[10]または[11]において、
 前記スパッタリングターゲットに前記高周波出力を供給している際に前記スパッタリングターゲットに発生する直流成分である電圧VDCを−200V以上−80V以下に制御することを特徴とする絶縁膜の製造方法。
[13]上記[10]乃至[12]のいずれか一項において、
 前記スパッタリングターゲットに前記高周波出力を供給した後の前記スパッタリングターゲットの表面の比抵抗を1×10Ω・cm以上1×1012Ω・cm以下に制御することを特徴とする絶縁膜の製造方法。
[14]上記[10]乃至[13]のいずれか一項において、
 前記絶縁物は酸化物であることを特徴とするスパッタリング装置。
[15]上記[10]乃至[14]のいずれか一項において、
 前記絶縁物は、一般式ABOで表され、Aは、Al、Y、Li、Na、K、Rb、Pb、Cs、La、Sr、Cr、Ag、Ca、Pr、Nd、Ba、Bi、Fおよび周期表のランタン系列の元素からなる群から選択される少なくとも一つの元素を含んでなり、Bは、Al、Ga、In、Nb、Sn、Ti、Zr、Ru、Rh、Pd、Re、Os、IrPt、U、CO、Fe、Ni、Mn、Cr、Cu、Mg、V、Nb、Ta、MoおよびWからなる群から選択される少なくとも一つの元素を含んでなるペロブスカイト物質を含む物、または、酸化ビスマス層と、ペロブスカイト型構造ブロックとが交互に積層された構造を有するビスマス層状構造強誘電体結晶を含む物であり、前記ペロブスカイト型構造ブロックは、Li、Na、K、Ca、Sr、Ba、Y、Bi、Pbおよび希土類元素から選ばれる少なくとも1つの元素Lと、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、W、Mo、Mn、Fe、SiおよびGeから選ばれる少なくとも1つの元素Rと、酸素とによって構成されることを特徴とするスパッタリング装置。
[16]上記[10]乃至[15]のいずれか一項において、
 前記絶縁物は(PbLa)(ZrTiNb)O3−δであり、
 a、b、c、d、e及びδは下記の式1及び式11~式16を満たすことを特徴とする絶縁膜の製造方法。
 0≦δ≦1 ・・・式1
 1.00≦a+b≦1.35 ・・・式11
 0≦b≦0.08 ・・・式12
 1.00≦c+d+e≦1.1 ・・・式13
 0.4≦c≦0.7 ・・・式14
 0.3≦d≦0.6 ・・・式15
 0≦e≦0.1 ・・・式16
[17]上記[10]乃至[16]のいずれか一項において、
 前記成膜する際の前記基板及び前記スパッタリングターゲットの雰囲気は、下記式6の比のOガス及びArガスの雰囲気であることを特徴とする絶縁膜の製造方法。
 0.1≦Oガス/Arガス≦0.3 ・・・式6
[18]上記[10]乃至[17]のいずれか一項において、
 前記成膜する際の前記基板及び前記スパッタリングターゲットの雰囲気は、0.1Pa以上2Pa以下の圧力雰囲気であることを特徴とする絶縁膜の製造方法。
 本発明の一態様によれば、絶縁物を含むスパッタリングターゲットを備えたスパッタリング装置の成膜レートを向上させることができる。
 また、本発明の一態様によれば、絶縁物を含むスパッタリングターゲットを用いてスパッタリングにより成膜する絶縁膜の成膜レートを向上させることができる。
 図1は、本発明の一態様に係るスパッタリング装置を模式的に示す断面図である。
 図2は、100S/T%のDUTY比の場合を説明する図である。
 図3(A)は実施例1のサンプルをFIB(Focused Ion Beam)で断面観察した像、図3(B)は実施例2のサンプルをFIBで断面観察した像である。
 図4は、実施例1のPZT膜及び実施例2のPZT膜をXRDチャートである。
 図5は、逆格子マップのイメージ図である。
 図6は、結晶格子面(hkl)の逆格子ベクトルと逆格子点を説明する図である。
 図7は、X線回折条件のベクトル表記を説明する図である。
 図8(A)~(C)は逆格子マッピング(方法)を説明する図である。
 図9は、逆格子マッピング(方法)を説明する図である。
 図10は、PZT単結晶の逆格子シミュレーション結果である。
 図11(A),(B)は、実施例1(本発明5μm)及び実施例2(本発明10μm)それぞれのサンプルを逆格子マップ測定した結果である。
 図12(A)は実施例1(本発明5μm)、実施例2(本発明10μm)及び実施例3(本発明20μm)それぞれの強誘電性ヒステリシス曲線を示す図、図12(B)は実施例1~3それぞれの圧電バタフライ曲線を示す図である。
 図13は、δ=0.125、或はn=8.0の場合の酸素欠損型ペロブスカイト構造の模式図である。
 図14は、δ=0.25、或はn=4.0の場合の酸素欠損型ペロブスカイト構造の模式図である。
 図15は、δ=0.5、或はn=2.0の場合の酸素欠損型ペロブスカイト構造の模式図である。
 図16は、δ=1.0、或はn=1.0の場合の酸素欠損型ペロブスカイト構造の模式図である。
 以下では、本発明の実施形態及び実施例について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施形態の記載内容及び実施例に限定して解釈されるものではない。
 図1は、本発明の一態様に係るスパッタリング装置を模式的に示す断面図である。このスパッタリング装置はチャンバー11を有し、このチャンバー11内には、基板12を保持する保持部13が配置されている。保持部13には基板12を所定の温度に加熱するヒーター(図示せず)が配置されているとよい。
 チャンバー11、基板12及び保持部13は接地されている。チャンバー11内にはスパッタリングターゲット14を保持するターゲット保持部15が配置されている。ターゲット保持部15に保持されたスパッタリングターゲット14は、保持部13に保持された基板12に対向するように位置する。
 スパッタリングターゲット14は比抵抗が1×10Ω・cm以上の絶縁物を含むスパッタリングターゲットであり、絶縁物は酸化物であるとよい。詳細には、絶縁物は、一般式ABOで表され、Aは、Al、Y、Li、Na、K、Rb、Pb、Cs、La、Sr、Cr、Ag、Ca、Pr、Nd、Ba、Bi、Fおよび周期表のランタン系列の元素からなる群から選択される少なくとも一つの元素を含んでなり、Bは、Al、Ga、In、Nb、Sn、Ti、Zr、Ru、Rh、Pd、Re、Os、IrPt、U、CO、Fe、Ni、Mn、Cr、Cu、Mg、V、Nb、Ta、MoおよびWからなる群から選択される少なくとも一つの元素を含んでなるペロブスカイト物質を含む物、または、酸化ビスマスと、ペロブスカイト型構造ブロックとが交互に積層された構造を有するビスマス層状構造強誘電体結晶を含む物であり、前記ペロブスカイト型構造ブロックは、Li、Na、K、Ca、Sr、Ba、Y、Bi、Pbおよび希土類元素から選ばれる少なくとも1つの元素Lと、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、W、Mo、Mn、Fe、SiおよびGeから選ばれる少なくとも1つの元素Rと、酸素とによって構成されるとよい。
 但し、本実施形態ではスパッタリングターゲット14を(PbLa)(ZrTiNb)O3−δとし、a、b、c、d、e及びδは下記の式1及び式11~式16を満たす。
 0≦δ≦1 ・・・式1
 1.00≦a+b≦1.35 ・・・式11
 0≦b≦0.08 ・・・式12
 1.00≦c+d+e≦1.1 ・・・式13
 0.4≦c≦0.7 ・・・式14
 0.3≦d≦0.6 ・・・式15
 0≦e≦0.1 ・・・式16
 上記式1においてδが0より大きい値を含むのは酸素欠損型ペロブスカイト構造を含むからである。但し、スパッタリングターゲット14の成分がすべて酸素欠損型ペロブスカイト構造であってもよいが、スパッタリングターゲット14が部分的に酸素欠損型ペロブスカイト構造を含んでいてもよい。なお、酸素欠損型ペロブスカイト構造の詳細は後述する。
 また、スパッタリング装置は出力供給機構16を有し、この出力供給機構16はパルス機能付高周波電源である。出力供給機構16は整合器22に電気的に接続されており、整合器22はターゲット保持部15に電気的に接続されている。つまり、出力供給機構16は、整合器22及びターゲット保持部15を介してスパッタリングターゲット14に周波数が10kHz以上30MHz以下の高周波出力(RF出力)を、1/20ms以上1/3ms以下の周期(3kHz以上20kHz以下の周波数)で25%以上90%以下のDUTY比のパルス状に供給するものである。なお、本実施形態では、出力供給機構16により高周波出力をターゲット保持部15を介してスパッタリングターゲット14に供給するが、出力供給機構16により高周波出力をスパッタリングターゲット14に直接供給してもよい。
 DUTY比は、1周期の間でターゲット保持部15に高周波出力が印加される期間の比率である。例えば、25%のDUTY比の場合は、1周期の25%の期間がターゲット保持部15に高周波出力が印加される期間(高周波出力オンの期間)となり、1周期の75%の期間がターゲット保持部15に高周波出力が印加されない期間(高周波出力オフの期間)となる。詳細には、例えば1/20msの周期(20kHzの周波数)で25%のDUTY比の場合は、1/20ms(1周期)の25%の1/80msの期間が高周波出力オンの期間となり、1/20ms(1周期)の75%の3/80msの期間が高周波出力オフの期間となる。
 また、例えば図2は、100S/T%のDUTY比の場合を示しており、1周期の100S/T%の期間が高周波出力オンの期間となり、1周期の残りの100N/T%の期間が高周波出力オフの期間となる。
 また、本実施の形態では、出力供給機構16によってターゲット保持部15に高周波出力をパルス状に供給する際の当該パルス状を、1/20ms以上1/3ms以下の周期(3kHz以上20kHz以下の周波数)で25%以上90%以下のDUTY比としているが、当該パルス状を1/15ms以上1/5ms以下の周期で25%以上90%以下のDUTY比とすることが好ましい。
 上記の範囲でパルススパッタリングすることにより、次々に生ずる新たなRFプラズマの発生の数だけ新たなスパッタリング現象が生じ、成膜速度が飛躍的に向上し、かつ、RFプラズマ照射を完全に止めるプラズマOFFの時間が生じるが、その際もマイグレーション現象を中心に結晶は成長し続ける。
 DUTY比を25%以上とする理由は、25%未満とすると結晶成長が完全に途切れてしまい、次の結晶成長が上手く繋がらないからである。DUTY比を90%以下とする理由は、90%超とすると殆ど連続波と同等の成膜速度に落ち込んでしまうからである。
 また、スパッタリング装置は、出力供給機構16により高周波出力を供給している際にスパッタリングターゲット14に発生する直流成分である電圧VDCを−200V以上−80V以下に制御するVDC制御部23を有する。このVDC制御部23は、VDCセンサを有し、出力供給機構16に電気的に接続されている。
 また、出力供給機構16により高周波出力を供給した後のスパッタリングターゲット14の表面の比抵抗は、新品のスパッタリングターゲットの表面の比抵抗に対して変化することがあるが、1×10Ω・cm以上1×1012Ω・cm以下であることが好ましい。
 また、スパッタリング装置は、チャンバー11内に希ガスを導入する第1のガス導入源17と、チャンバー11内を真空排気する真空ポンプ等の真空排気機構19を有する。また、スパッタリング装置は、チャンバー内にOガスを導入する第2のガス導入源18を有する。
 第1のガス導入源17によってチャンバー11内に導入する希ガスはArガスであるとよく、成膜時における第2のガス導入源18により導入されるOガスと第1のガス導入源17により導入されるArガスとの比が下記式6を満たすように制御する流量制御部(図示せず)をスパッタリング装置が有するとよい。
 0.1≦Oガス/Arガス≦0.3 ・・・式6
 また、スパッタリング装置は、成膜時におけるチャンバー内の圧力が0.1Pa以上2Pa以下となるように制御する圧力制御部を有するとよい。
 また、スパッタリング装置は、スパッタリングターゲット14に磁場を加える磁石20と、この磁石20を20rpm以上120rpm以下の速度で回転させる回転機構21を有する。
 次に、図1のスパッタリング装置を用いて基板上に絶縁膜を成膜する方法について説明する。ここでいう基板は、種々の基板を用いることができ、基板上に薄膜が成膜されたものも含むが、本実施形態では一例として以下の基板を使用する。
 (100)に配向したSi基板上にZrO膜を550℃以下の温度(好ましくは500℃の温度)で蒸着法により形成する。このZrO膜は(100)に配向する。なお、本明細書において(100)に配向することと(200)に配向することは実質的に同一である。この後、ZrO膜上に下部電極を形成する。下部電極は、金属または酸化物からなる電極膜によって形成される。金属からなる電極膜としては例えばPt膜またはIr膜が用いられる。酸化物からなる電極膜としては例えばSr(Ti1−xRu)O3−δ膜が用いられ、δ及びxは、下記の式1及び式2を満たす。
 0≦δ≦1 ・・・式1
 0.01≦x≦0.4(好ましくは0.05≦x≦0.2) ・・・式2
 本実施形態では、ZrO膜上に550℃以下の温度(好ましくは400℃の温度)でスパッタリングによってエピタキシャル成長によるPt膜を下部電極として形成する。このPt膜は(200)に配向する。
 本実施形態では、上記のような基板を用いるが、Si基板に代えてSi単結晶やサファイア単結晶などの単結晶基板、表面に金属酸化物膜が形成された単結晶基板、表面にポリシリコン膜またはシリサイド膜が形成された基板等を用いてもよい。
 次に、上記の基板を保持部13に保持する。次いで、第1のガス導入源17によってチャンバー11内にArガスを導入し、第2のガス導入源18によってOガスを導入する。この際、OガスとArガスとの比が下記式6を満たすように流量制御部によって制御するとよい。
 0.1≦Oガス/Arガス≦0.3 ・・・式6
 また、真空排気機構19によってチャンバー11内を真空排気することで、チャンバー11内を所定の圧力(例えば0.1Pa以上2Pa以下の圧力)まで減圧する。
 この後、基板12上に、高周波出力機構16によって整合器22及びターゲット保持部15を介して、比抵抗が1×10Ω・cm以上の絶縁物を含むスパッタリングターゲット14に高周波出力を供給する。この高周波出力は、10kHz以上30MHz以下の周波数、1/20ms以上1/3ms以下の周期で25%以上90%以下のDUTY比のパルス状である。これにより、基板12上に絶縁膜を成膜する。
 スパッタリングターゲット14に高周波出力を供給して絶縁膜を成膜する際に、20rpm以上120rpm以下の速度で磁石20を回転機構21により回転させることでスパッタリングターゲット14に磁場を加えることが好ましい。
 また、スパッタリングターゲット14に高周波出力を供給している際にスパッタリングターゲット14に発生する直流成分である電圧VDCをVDC制御部23によって−200V以上−80V以下に制御することが好ましい。
 また、スパッタリングターゲット14に高周波出力を供給した後のスパッタリングターゲット14の表面の比抵抗を1×10Ω・cm以上1×1012Ω・cm以下に制御することが好ましい。
 本実施形態によれば、比抵抗が1×107Ω・cm以上の絶縁物を含むスパッタリングターゲットに10kHz以上30MHz以下の高周波出力を、1/20ms以上1/3ms以下の周期で25%以上90%以下のDUTY比のパルス状に供給する。このようにパルス状に高周波出力を供給するため、絶縁物を含むスパッタリングターゲットに電荷が溜まっても、高周波出力を供給していない時(高周波出力がオフ状態の時)にその溜まった電荷を逃がすことができ、その結果、スパッタリングターゲットが破損することを抑制できる。そのため、スパッタリングターゲットに印加する電力量を多くすることができ、成膜レートを高くすることが可能となる。
 特に、スパッタリングターゲット14が一般式ABOで表されるペロブスカイト物質を含む物、または、ビスマス層状構造強誘電体結晶を含む物である場合、成膜時にスパッタリングターゲット14の表面抵抗が大きく変動することが考えられる。このため、上記のようにパルス状に高周波出力を供給してスパッタリングターゲット14に電荷が溜まりにくくすることで、スパッタリングターゲット14の表面抵抗の変動を抑制することが可能となる。
 次に、酸素欠損型ペロブスカイト構造について図13~図16を参照しつつ詳細に説明する。
 酸素欠損型ペロブスカイト構造を一般式で表すと以下のように分類される。以下の分類は実際に存在している結晶構造を基にしている。
 ペロブスカイト構造はABO3−δ、或はA3n−1で表される。
 図13~図16それぞれの左図はABO3−δの酸素欠損を含有した各種結晶構造を示す模式図である。図13~図16それぞれの右図は、a−b面の酸素欠損構造の模式図であり、C’層、D’層はそれぞれ、C層、D層をa−b面で鏡映した状態、或は位相がずれた状態を示す模式図である。
 図13は、δ=0.125、或はn=8.0の場合の酸素欠損型ペロブスカイト構造の模式図である。
 図14は、δ=0.25、或はn=4.0の場合の酸素欠損型ペロブスカイト構造の模式図である。
 図15は、δ=0.5、或はn=2.0の場合の酸素欠損型ペロブスカイト構造の模式図である。
 図16は、δ=1.0、或はn=1.0の場合の酸素欠損型ペロブスカイト構造の模式図である。
 ペロブスカイトの派生構造の一つに酸素欠損秩序型ペロブスカイト構造というものがある。Bサイト遷移金属が高価数で不安定な場合や、試料作製雰囲気の制御により、酸素が欠損する。酸素が欠損するとBO八面体は、BO正方ピラミッドやBO四面体などに変化する。酸素がわずかに欠損したABO3−δでは基本構造を保ったまま、ランダムなサイトの酸素が欠損するが、酸素欠損量δが大きくなると、多くの場合酸素欠損が規則的に配列する。
 酸素欠損状態の違いにより、配位構造は大きく異なる。BO(B:Bサイトイオン、O:酸素イオン)八面体は、酸素欠損の無い八面体構造である。Bサイトイオンが5配位の場合は、BO正方ピラミッド構造となり、4配位の場合は、BO四面体構造、BO平面(酸素が完全に欠損)の2つの構造を有する。
 なお、上記の酸素欠損型ペロブスカイト構造の説明は、本明細書に記載したペロブスカイト構造に関するすべての物質に適用される。
 図1に示すスパッタリング装置を用い、表1に示すスパッタ条件で基板上にPZT膜を成膜することで、実施例1(本発明5μm)のサンプル、実施例2(本発明10μm)のサンプル、実施例3(本発明20μm)のサンプル及び比較例(従来例)のサンプルを作製した。ここでの基板は、Si基板上にZrO膜を蒸着法により形成し、このZrO膜上にスパッタリングによってエピタキシャル成長によるPt膜を下部電極として形成したものを用いた。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 実施例1,2,3及び比較例それぞれのサンプルを作製する際のスパッタリングターゲットの組成とサンプルの組成は以下のとおりである。
 <スパッタリングターゲットの組成>
 実施例1(本発明5μm):Pb/Zr/Ti=130/58/42
 実施例2(本発明10μm):Pb/Zr/Ti=130/58/42
 実施例3(本発明20μm):Pb/Zr/Ti=130/58/42
 比較例(従来例):Pb/Zr/Ti=130/58/42
 <サンプルの組成>
 実施例1(本発明5μm):Pb/Zr/Ti=109/55/45
 実施例2(本発明10μm):Pb/Zr/Ti=105/55/45
 実施例3(本発明20μm):Pb/Zr/Ti=102/55/45
 比較例(従来例):Pb/Zr/Ti=97/55/45
 成膜前のスパッタリングターゲットの表面抵抗値と、成膜後のスパッタリングターゲットの表面抵抗値を、強誘電体測定システムにあたる絶縁抵抗測定器(MODEL:ADC5450(Ultra High Resistance Meter))を使用し、プローブ間距離を5mmとし、測定電圧を10Vとして測定した。測定結果は以下のとおりである。
 <成膜前のスパッタリングターゲットの表面抵抗値>
 スパッタリングターゲットの中央部:2.03×1011Ω・cm
 スパッタリングターゲットの中央部と外周部との間:2.10×1011Ω・cm
 スパッタリングターゲットの外周部:5.39×1010Ω・cm
 <成膜後のスパッタリングターゲットの表面抵抗値>
 スパッタリングターゲットの中央部:4.95×1011Ω・cm
 スパッタリングターゲットの中央部と外周部との間:1.45×1012Ω・cm
 スパッタリングターゲットの外周部:3.49×1011Ω・cm
 図3(A)は、実施例1のサンプルをFIB(Focused Ion Beam)で断面観察した像であり、図3(B)は、実施例2のサンプルをFIBで断面観察した像である。実施例1のPZT膜の膜厚は5.18μmであり、実施例2のPZT膜の膜厚は9.99μmであった。これらの膜厚はTilt補正値である。このTilt補正が必要な理由は以下のようである。(1)FIBで切削を繰り返すと観察像に視野ズレが生じる。SEM像の中心から切削領域がずれていくため補正が必要となる。(2)FIB切削面は観察の光軸に対して垂直にはならない。傾斜した面を見ているために、画像中で縦横スケールが異なり補正が必要である。以上の理由より、Tilt角度を補正してそれを実測長さと補正が必要となる。
 図4は、実施例1のPZT膜及び実施例2のPZT膜をXRD(X−Ray Diffraction)で結晶性を評価した結果を示す図である。PZT膜のXRDの(002)のピーク値は、Pt膜のXRDの(200)のピーク値より高くなる。これは、PZT膜の膜厚が5μm以上であるためである。
 実施例1,2,3及び比較例それぞれのサンプルに対して広域逆格子マッピングを行った。逆格子マップのイメージは図5に示す。
 本実施例のXRDデータは、リガク社製全自動水平型多目的X線回折装置SmartLabを用いており、且つ、広域逆格子マッピングはSmartLabにハイブリッド型多次元ピクセル検出器HyPix−3000を取り付けて測定を行った。
 図6は、結晶格子面(hkl)の逆格子ベクトルと逆格子点を説明する図である。図7は、X線回折条件のベクトル表記を説明する図である。
・逆格子ベクトル(ghkl
 大きさ:(hkl)面のd値の逆数
 方向:(hkl)面の法線方向
・逆格子マッピング
 逆格子点の逆空間上での広がりを測定する。
 逆格子点:逆格子ベクトルの先端
・回折を起こす条件
 散乱ベクトル:K=k−k
 (散乱ベクトルK)=(逆格子ベクトルghkl
・逆格子マップ測定
 散乱ベクトルKを走査し、逆格子点の二次元分布を測定する。
 予め結晶構造情報を元に逆格子シミュレーションをしておき、実測値と比較する。逆格子マップは下記のqxとqz式でプロットしたものである。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000002
 2θを10−120°、Ωを10−90°、Xを0°,30°,60°,90°の4段階、Φを0°と45°で2面測定した。Φ=0° (//Si110)、Φ=45° (//Si100)、各サンプルΦ=0°,45°の2通りを測定した。
 従来のθ−2θ測定の場合、基板を水平に固定して、X線を照射し測定を行う(図8(A)参照)。
 θ−2θ測定をω軸(資料の回転軸)、χ軸(煽り操作軸)を走査しながら測定する。またφ軸(面内回転軸)を0°と45°2点で測定した。θ−2θ/ω軸走査測定後、qzvs.qxプロットしたものが逆格子マッピングであり、同時に何段階かχ軸走査しながら、逆格子マッピングし全てを一面に重ねることで、ドメインの異なる成分を測定し、真の配向度の優劣を知る(図8(B),(C)参照)。
 リガク社製ソフトSmartLab Guidanceを用い、図9のように、既知のPZT結晶構造情報を元に逆格子点の配置を予め、シミュレートしておき、実測値と重ね合わせることで、膜状態の解析を行った。
 図10は、PZT単結晶の逆格子シミュレーション結果である。
 図11(A),(B)は、実施例1(本発明5μm)及び実施例2(本発明10μm)それぞれのサンプルを逆格子マップ測定した結果である。これらの図に示すとおり、PZT単結晶の逆格子点計算値(×点)と完全に一致し、実施例1,2のPZT膜は良好な単結晶膜であることが分かる。
 表1に示すように、従来例では、パルスを用いずに高周波の連続波を用いたため、1800W以上(10W/cm以上)に出力を上げると、アークが発生して、プラズマが異常放電してスパッタリング装置が止まってしまうため、1800W以上に出力を上げることができなかった。これに対し、実施例1(本発明5μm)、実施例2(本発明10μm)及び実施例3(本発明20μm)では、スパッタリングターゲットに13.56MHzの高周波出力を、5kHzのパルス周波数(1/5msの周期)で90%のDUTY比のパルス状に供給したため、高周波出力がオフ状態の時にスパッタリングターゲット上にプラズマが立っていない時間ができ、その結果、短時間の成膜で膜厚が厚いPZT膜を容易に成膜することができた。
 図12(A)は、実施例1(本発明5μm)、実施例2(本発明10μm)及び実施例3(本発明20μm)それぞれの強誘電性ヒステリシス曲線を示す図であり、図12(B)は、実施例1~3それぞれの圧電バタフライ曲線を示す図である。
 図12(A),(B)に示すように、PZT膜の膜厚に比例した強誘電性と圧電性が得られることが確認できた。また、膜厚が20μmの実施例3のサンプルでは、87Vという非常に大きなVcが得られた。また、実施例3のPZT膜のキュリー温度Tcを測定したところ、Tc=390℃であった。
 11  チャンバー
 12  基板
 13  保持部
 14  スパッタリングターゲット
 15  ターゲット保持部
 16  出力供給機構
 17  第1のガス導入源
 18  第2のガス導入源
 19  真空排気機構
 20  磁石
 21  回転機構
 22  整合器
 23  VDC制御部

Claims (18)

  1.  チャンバー内に配置された、基板を保持する保持部と、
     前記チャンバー内に配置され、比抵抗が1×10Ω・cm以上の絶縁物を含むスパッタリングターゲットと、
     前記スパッタリングターゲットに10kHz以上30MHz以下の高周波出力を、1/20ms以上1/3ms以下の周期で25%以上90%以下のDUTY比のパルス状に供給する出力供給機構と、
     前記チャンバー内に希ガスを導入する第1のガス導入源と、
     前記チャンバー内を真空排気する真空排気機構と、
    を具備し、
     前記DUTY比は、1周期の間で前記スパッタリングターゲットに高周波出力が印加される期間の比率であることを特徴とするスパッタリング装置。
  2.  請求項1において、
     前記スパッタリングターゲットに磁場を加える磁石と、
     前記磁石を20rpm以上120rpm以下の速度で回転させる回転機構と、を有することを特徴とするスパッタリング装置。
  3.  請求項1または2において、
     前記出力供給機構により前記高周波出力を供給している際に前記スパッタリングターゲットに発生する直流成分である電圧VDCを−200V以上−80V以下に制御するVDC制御部を有することを特徴とするスパッタリング装置。
  4.  請求項1乃至3のいずれか一項において、
     前記絶縁物は酸化物であることを特徴とするスパッタリング装置。
  5.  請求項1乃至4のいずれか一項において、
     前記絶縁物は、一般式ABOで表され、Aは、Al、Y、Li、Na、K、Rb、Pb、Cs、La、Sr、Cr、Ag、Ca、Pr、Nd、Ba、Bi、Fおよび周期表のランタン系列の元素からなる群から選択される少なくとも一つの元素を含んでなり、Bは、Al、Ga、In、Nb、Sn、Ti、Zr、Ru、Rh、Pd、Re、Os、IrPt、U、CO、Fe、Ni、Mn、Cr、Cu、Mg、V、Nb、Ta、MoおよびWからなる群から選択される少なくとも一つの元素を含んでなるペロブスカイト物質を含む物、または、酸化ビスマス層と、ペロブスカイト型構造ブロックとが交互に積層された構造を有するビスマス層状構造強誘電体結晶を含む物であり、前記ペロブスカイト型構造ブロックは、Li、Na、K、Ca、Sr、Ba、Y、Bi、Pbおよび希土類元素から選ばれる少なくとも1つの元素Lと、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、W、Mo、Mn、Fe、SiおよびGeから選ばれる少なくとも1つの元素Rと、酸素とによって構成されることを特徴とするスパッタリング装置。
  6.  請求項1乃至5のいずれか一項において、
     前記絶縁物は(PbLa)(ZrTiNb)O3−δであり、
     a、b、c、d、e及びδは下記の式1及び式11~式16を満たすことを特徴とするスパッタリング装置。
     0≦δ≦1 ・・・式1
     1.00≦a+b≦1.35 ・・・式11
     0≦b≦0.08 ・・・式12
     1.00≦c+d+e≦1.1 ・・・式13
     0.4≦c≦0.7 ・・・式14
     0.3≦d≦0.6 ・・・式15
     0≦e≦0.1 ・・・式16
  7.  請求項6において、
     前記出力供給機構により前記高周波出力を供給した後の前記スパッタリングターゲットの表面の比抵抗が1×10Ω・cm以上1×1012Ω・cm以下であることを特徴とするスパッタリング装置。
  8.  請求項1乃至7のいずれか一項において、
     前記チャンバー内にOガスを導入する第2のガス導入源を有し、
     前記希ガスはArガスであり、
     成膜時における前記第2のガス導入源により導入される前記Oガスと前記第1のガス導入源により導入される前記Arガスとの比が下記式6を満たすように制御する流量制御部を有することを特徴とするスパッタリング装置。
     0.1≦Oガス/Arガス≦0.3 ・・・式6
  9.  請求項1乃至8のいずれか一項において、
     成膜時における前記チャンバー内の圧力が0.1Pa以上2Pa以下となるように制御する圧力制御部を有することを特徴とするスパッタリング装置。
  10.  比抵抗が1×10Ω・cm以上の絶縁物を含むスパッタリングターゲットに10kHz以上30MHz以下の高周波出力を、1/20ms以上1/3ms以下の周期で25%以上90%以下のDUTY比のパルス状に供給することで、基板上に絶縁膜を成膜する方法であり、
     前記DUTY比は、1周期の間で前記スパッタリングターゲットに高周波出力が印加される期間の比率であり、
     前記成膜する際の前記基板及び前記スパッタリングターゲットの雰囲気は、減圧下で希ガスを含むものであることを特徴とする絶縁膜の製造方法。
  11.  請求項10において、
     前記スパッタリングターゲットに前記高周波出力を供給する際に、20rpm以上120rpm以下の速度で磁石を回転させることで前記スパッタリングターゲットに磁場を加えることを特徴とする絶縁膜の製造方法。
  12.  請求項10または11において、
     前記スパッタリングターゲットに前記高周波出力を供給している際に前記スパッタリングターゲットに発生する直流成分である電圧VDCを−200V以上−80V以下に制御することを特徴とする絶縁膜の製造方法。
  13.  請求項10乃至12のいずれか一項において、
     前記スパッタリングターゲットに前記高周波出力を供給した後の前記スパッタリングターゲットの表面の比抵抗を1×10Ω・cm以上1×1012Ω・cm以下に制御することを特徴とする絶縁膜の製造方法。
  14.  請求項10乃至13のいずれか一項において、
     前記絶縁物は酸化物であることを特徴とする絶縁膜の製造方法。
  15.  請求項10乃至14のいずれか一項において、
     前記絶縁物は、一般式ABOで表され、Aは、Al、Y、Li、Na、K、Rb、Pb、Cs、La、Sr、Cr、Ag、Ca、Pr、Nd、Ba、Bi、Fおよび周期表のランタン系列の元素からなる群から選択される少なくとも一つの元素を含んでなり、Bは、Al、Ga、In、Nb、Sn、Ti、Zr、Ru、Rh、Pd、Re、Os、IrPt、U、CO、Fe、Ni、Mn、Cr、Cu、Mg、V、Nb、Ta、MoおよびWからなる群から選択される少なくとも一つの元素を含んでなるペロブスカイト物質を含む物、または、酸化ビスマス層と、ペロブスカイト型構造ブロックとが交互に積層された構造を有するビスマス層状構造強誘電体結晶を含む物であり、前記ペロブスカイト型構造ブロックは、Li、Na、K、Ca、Sr、Ba、Y、Bi、Pbおよび希土類元素から選ばれる少なくとも1つの元素Lと、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、W、Mo、Mn、Fe、SiおよびGeから選ばれる少なくとも1つの元素Rと、酸素とによって構成されることを特徴とする絶縁膜の製造方法。
  16.  請求項10乃至15のいずれか一項において、
     前記絶縁物は(PbLa)(ZrTiNb)O3−δであり、
     a、b、c、d、e及びδは下記の式1及び式11~式16を満たすことを特徴とする絶縁膜の製造方法。
     0≦δ≦1 ・・・式1
     1.00≦a+b≦1.35 ・・・式11
     0≦b≦0.08 ・・・式12
     1.00≦c+d+e≦1.1 ・・・式13
     0.4≦c≦0.7 ・・・式14
     0.3≦d≦0.6 ・・・式15
     0≦e≦0.1 ・・・式16
  17.  請求項10乃至16のいずれか一項において、
     前記成膜する際の前記基板及び前記スパッタリングターゲットの雰囲気は、下記式6の比のOガス及びArガスの雰囲気であることを特徴とする絶縁膜の製造方法。
     0.1≦Oガス/Arガス≦0.3 ・・・式6
  18.  請求項10乃至17のいずれか一項において、
     前記成膜する際の前記基板及び前記スパッタリングターゲットの雰囲気は、0.1Pa以上2Pa以下の圧力雰囲気であることを特徴とする絶縁膜の製造方法。
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