WO2017002884A1 - チタン材 - Google Patents
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Abstract
固体高分子形燃料電池のセパレータ用チタン材であって、チタンまたはチタン合金からなる基材と、基材の表面に形成された不働態皮膜とを備え、前記不働態皮膜は、その表層部にLi含有酸化チタン層を含む、チタン材。このチタン材は、電極膜に対して低い接触抵抗を維持でき、安価である。
Description
本発明は、固体高分子形燃料電池のセパレータ用チタン材に関する。
燃料電池は、水素と酸素との結合反応の際に発生するエネルギーを利用して発電するため、省エネルギーと環境対策との両面から、その導入および普及が期待されている次世代の発電システムである。燃料電池には、固体電解質形、溶融炭酸塩形、リン酸形、および固体高分子形などの種類がある。
これらのうち、固体高分子形燃料電池は、出力密度が高く小型化が可能であり、また、他のタイプの燃料電池より低温で作動し、起動および停止が容易である。このような利点から、固体高分子形燃料電池は、自動車用および家庭用の小型コジェネレーションへ利用されることが期待されており、近年、特に注目を集めている。
図1Aは、固体高分子形燃料電池(以下、単に「燃料電池」ともいう。)の斜視図であって、複数の単セルを組み合わせて作られた燃料電池全体を示す図である。図1Bは、燃料電池を構成する単セルの分解斜視図である。
図1Aに示すように、燃料電池1は、単セルの集合体(スタック)である。各単セルでは、図1Bに示すように、固体高分子電解質膜2の一面に、アノード側電極膜(「燃料電極膜」とも呼ばれる;以下、「アノード」という。)3が、他面に、カソード側電極膜(「酸化剤電極膜」とも呼ばれる;以下、「カソード」という。)4が、それぞれ積層されており、その両面に、セパレータ(バイポーラプレート)5a、5bが重ねられている。
燃料電池には、隣接する2つの単セルの間、または数個の単セルごとに、冷却水の流通路を持つセパレータを配した水冷型燃料電池がある。本発明は、そのような水冷型燃料電池のセパレータ用チタン材も対象とする。
固体高分子電解質膜(以下、単に「電解質膜」という。)2としては、水素イオン(プロトン)交換基を有するふっ素系プロトン伝導膜が主として使われている。
アノード3、およびカソード4は、いずれも、導電性を有する炭素繊維をシート状にしたカーボンシート(または、カーボンシートより薄いカーボンペーパー、もしくはさらに薄いカーボンクロス)を主体とする。アノード3およびカソード4には、粒子状の白金触媒、黒鉛粉、および必要に応じて水素イオン(プロトン)交換基を有するふっ素樹脂からなる触媒層が設けられている場合もある。
セパレータ5aのアノード3側の面には、溝状の流路6aが形成されている。この流路6aには、燃料ガス(水素または水素含有ガス)Aが流されて、アノード3に水素が供給される。また、セパレータ5bのカソード4側の面には、溝状の流路6bが形成されている。この流路6bには、空気等の酸化性ガスBが流され、カソード4に酸素が供給される。アノード3およびカソード4は、それぞれ、燃料ガスおよび酸化性ガスが透過するガス拡散層として機能する。アノード3およびカソード4に触媒が設けられている場合には、燃料ガスまたは酸化性ガスとこの触媒層とが接触して反応が促進される。燃料ガスと酸化性ガスとの電気化学反応が生じて直流電力が発生する。
固体高分子形燃料電池のセパレータに求められる主な機能は、次の通りである。
(1)燃料ガス、または酸化性ガスを、電池面内に均一に供給する「流路」としての機能
(2)カソード側で生成した水を、反応後の空気、酸素といったキャリアガスとともに、燃料電池から効率的に系外に排出する「流路」としての機能
(3)電極膜(アノード3、カソード4)と接触して電気の通り道となり、さらに、隣接する2つの単セル間の電気的「コネクタ」となる機能
(4)隣り合うセル間で、一方のセルのアノード室と隣接するセルのカソード室との「隔壁」としての機能
(5)水冷型燃料電池では、冷却水流路と隣接するセルとの「隔壁」としての機能
(1)燃料ガス、または酸化性ガスを、電池面内に均一に供給する「流路」としての機能
(2)カソード側で生成した水を、反応後の空気、酸素といったキャリアガスとともに、燃料電池から効率的に系外に排出する「流路」としての機能
(3)電極膜(アノード3、カソード4)と接触して電気の通り道となり、さらに、隣接する2つの単セル間の電気的「コネクタ」となる機能
(4)隣り合うセル間で、一方のセルのアノード室と隣接するセルのカソード室との「隔壁」としての機能
(5)水冷型燃料電池では、冷却水流路と隣接するセルとの「隔壁」としての機能
固体高分子形燃料電池に用いられるセパレータ(以下、単に「セパレータ」という。)の基材材料は、このような機能を果たすことができるものである必要がある。基材材料には、大きく分けて、金属系材料と炭素系材料とがある。
金属系材料を用いる場合は、平板状の材料がプレス加工されて、溝状の流路等を有する形状のセパレータに成形される。チタンをはじめとする金属系材料は、金属特有の性質として加工性に優れ、セパレータの厚さを薄くすることができ、これによりセパレータの軽量化が図れるという利点を有する。
しかし、セパレータ表面が酸化することにより、セパレータ表面の電気伝導性が低下することがある。また、電解質膜がふっ素系プロトン伝導膜である場合は、電解質膜からふっ素が放出されて、これにより、セパレータ表面が腐食して弗化物が生成し、セパレータ表面の電気伝導性が低下することがある。このようにして金属系材料からなるセパレータと電極膜(アノード、およびカソード)との接触抵抗が上昇することが問題となっている。この問題に対して、以下の方策が提案されている。
特許文献1では、チタン製セパレータ基材において、電極と接するべき表面から不働態皮膜を除去した後に、その表面に、めっき等により金などの貴金属の層を形成することが提案されている。
特許文献2では、金等の貴金属を用いることなくチタン製セパレータの耐食性(耐酸化性)の問題を解決するものとして、表面に炭素からなる導電接点層が蒸着により形成されたチタン製セパレータが提案されている。
周 豪慎、産総研TODAY、2006.10、p.17
NIMS(国立研究開発法人 物質・材料研究機構)、Atom Work Material Properties "Ti0.86Li0.57O2"の項、および"TiLi0.2O2"の項、[平成27年6月24日検索]、インターネット〈url: http://crystdb.nims.go.jp/crystdb/search-materials〉
Chauvet O. 外3名、Solid State Commun., 1995, vol. 93, p.667-669
特許文献1で示されている固体高分子形燃料電池は、移動体用燃料電池、および定置用燃料電池として広く用いられることが期待されており、貴金属を多量に使用することは、経済性および資源量制約の観点から問題があり、普及していない。特許文献2で示されている蒸着は、実施する際に特殊な装置を要することから、設備コストが上昇するとともに、製造時間が長くなり、製造コストが上昇(生産性が低下)する。
上述のように、従来技術により、電極膜に対するセパレータの接触抵抗を低減しようとすると、原料コスト、および製造コストの少なくとも一方が高くなる。本発明は、従来技術のこのような問題を解消し、電極膜に対して低い接触抵抗を維持でき、安価である、固体高分子形燃料電池のセパレータ用のチタン材を提供することを目的とする。
本発明は、下記のチタン材を要旨とする。
(A)固体高分子形燃料電池のセパレータ用チタン材であって、
チタンまたはチタン合金からなる基材と、
前記基材の表面に形成された不働態皮膜とを備え、
前記不働態皮膜の全厚をT1とするとき、
T1が15.0nm以下であり、
その表層部にLi含有酸化チタン層を含む、チタン材。
(B)Li含有酸化チタン層の厚さをT2とするとき、
T2/T1が0.2以上である、(A)に記載のチタン材。
(C)上記T1およびT2の差である(T1-T2)が10.0nm以下である、(A)または(B)記載のチタン材。
(D)上記T2/T1が0.5以上である、(A)から(C)までのいずれかに記載のチタン材。
チタンまたはチタン合金からなる基材と、
前記基材の表面に形成された不働態皮膜とを備え、
前記不働態皮膜の全厚をT1とするとき、
T1が15.0nm以下であり、
その表層部にLi含有酸化チタン層を含む、チタン材。
(B)Li含有酸化チタン層の厚さをT2とするとき、
T2/T1が0.2以上である、(A)に記載のチタン材。
(C)上記T1およびT2の差である(T1-T2)が10.0nm以下である、(A)または(B)記載のチタン材。
(D)上記T2/T1が0.5以上である、(A)から(C)までのいずれかに記載のチタン材。
Li含有酸化チタン層は導電性を有する。このため、このチタン材を用いたセパレータの電極膜に対する接触抵抗は低い。また、このチタン材は、表面にチタンの不働態皮膜が形成されていることにより、耐食性を有する。耐食性はチタンの酸化膜によって担保されるが、Liを含有させることによりその耐食性が低下することはほとんど無い。したがって、このチタン材を用いたセパレータは、固体高分子形燃料電池中で、酸化、または弗化することを抑制でき、電極膜との接触抵抗を低く維持できる。さらに、めっき法や溶融塩電解法により作成された皮膜と比較し、皮膜厚さが薄く、nmオーダーの皮膜を作成することが可能であるため、導電性、耐食性の両方を備えることが可能になる。
さらに、本発明のチタン材では、白金族元素等の高価な材料を用いること、および蒸着による導電接点層を形成することは必須ではない。このため、本発明のチタン材は、安価なものとすることができる。
本発明のチタン材は、チタン、またはチタン合金からなる基材と、基材の表面に形成された不働態皮膜とを備えている。不働態皮膜は、その表層部にLi含有酸化チタン層を含む。Li含有酸化チタン層を含む不働態皮膜は、たとえば、基材を、適切な温度を有しLiを含有する溶液中で、適切な時間、陽極酸化することにより形成することができる。
[基材]
基材は、チタンまたはチタン合金からなる。基材がチタンからなる場合は、このチタンは、たとえば、JIS 1種~4種のものとすることができる。基材がチタン合金からなる場合、このチタン合金は、たとえば、JIS 11、12、13、17、19、20、もしくは21種の耐食チタン合金、特許文献3に示された耐食チタン合金、または、JIS 60種の高強度チタン合金であるものとすることができる。
基材は、チタンまたはチタン合金からなる。基材がチタンからなる場合は、このチタンは、たとえば、JIS 1種~4種のものとすることができる。基材がチタン合金からなる場合、このチタン合金は、たとえば、JIS 11、12、13、17、19、20、もしくは21種の耐食チタン合金、特許文献3に示された耐食チタン合金、または、JIS 60種の高強度チタン合金であるものとすることができる。
[不働態皮膜]
不働態皮膜において、Li含有酸化チタン層は、Ti、Li、およびOを主体とする。Li含有酸化チタン層以外の部分は、Ti、およびOを主体とし、たとえば、TiO2、TiO、Ti3O、Ti2O、Ti3O2、Ti2O3、Ti3O5、Ti4O7、およびTiO2の1種以上を含む。
不働態皮膜において、Li含有酸化チタン層は、Ti、Li、およびOを主体とする。Li含有酸化チタン層以外の部分は、Ti、およびOを主体とし、たとえば、TiO2、TiO、Ti3O、Ti2O、Ti3O2、Ti2O3、Ti3O5、Ti4O7、およびTiO2の1種以上を含む。
後述のように、Li含有酸化チタン層は導電性を有する。しかし、不働態皮膜のうち、Li含有酸化チタン層以外の部分は、通常、その大部分が導電性を有さない。このような導電性を有さない部分に対しては、電流は、主としてトンネル効果によって流れる。トンネル効果は、不働態皮膜の厚さが薄いほど生じやすい。このため、不働態皮膜の全厚T1は、15.0nm以下とし、より好ましくは10.0nm以下であり、さらに好ましくは5.0nm以下である。
一方、チタン材が高い耐食性を有するためには、不働態皮膜は、ある程度厚い必要がある。このため、不働態皮膜の厚さは、たとえば、0.1nm以上であることが好ましい。
不働態皮膜のO(酸素)濃度は、一般的に、その表面付近で最も高く、概ね、表面からの深さが深くなるとともに、低くなる。不働態皮膜の厚さは、GDOES(Glow Discharge-Optical Emission Spectroscopy;グロー放電発光分析法)により測定されたO濃度の深さ方向の分布において、O濃度が最大値の1/2になる深さをいうものとする。複数水準の深さにおいて、O濃度が最大値の1/2になるときは、これらの複数水準の深さのうち、最も浅い深さを、不働態皮膜の厚さとする。
[陽極酸化液]
純チタン、チタン合金表面に導電性のTi-Li-O化合物(Ti0.86Li0.57O2,TiLi0.2O2)を生成させる方法は、Liイオンを含有する水溶液中で、純チタン、チタン合金材を陽極酸化することで得られる。陽極酸化の条件は限定するものではないが、フッ素イオン、塩素イオンを含有する溶液にLiイオンを添加し、アノード側の電位に保持することで実現できる。
純チタン、チタン合金表面に導電性のTi-Li-O化合物(Ti0.86Li0.57O2,TiLi0.2O2)を生成させる方法は、Liイオンを含有する水溶液中で、純チタン、チタン合金材を陽極酸化することで得られる。陽極酸化の条件は限定するものではないが、フッ素イオン、塩素イオンを含有する溶液にLiイオンを添加し、アノード側の電位に保持することで実現できる。
具体的には、NaClとLi2CO3、HClとLiCl、HFとLiClを混合した溶液などにおいて、陽極酸化を純チタン、チタン合金に施すことで実現できる。処理する溶液中のLiイオン濃度は、限定されるものではないが、少なくとも0.5mol/溶液kg必要である。この下限は前述の化合物を生成させるに必要な最低量で定まった。Liイオン濃度は高い濃度である方が、効果が高いが溶解度の問題もあり、実用上は0.5mol/溶液kg以上~5mol/溶液kgの範囲が望ましい。より好ましい範囲は、2mol/溶液kg~4mol/溶液kgである。処理の温度は、常温から沸点である。実用上の安全を配慮して常温から85℃で処理することが望ましい。より好ましくは40℃~80℃の範囲である。
[Li含有酸化チタン層]
Li含有酸化チタン層は、導電性を有する。これにより、このチタン材を用いたセパレータの電極膜に対する接触抵抗を低くし、固体高分子形燃料電池の発電効率を高くすることができる。
Li含有酸化チタン層は、導電性を有する。これにより、このチタン材を用いたセパレータの電極膜に対する接触抵抗を低くし、固体高分子形燃料電池の発電効率を高くすることができる。
Li含有酸化チタン層について、構成する結晶の構造、および導電性が発現するメカニズムは、完全には解明できていない。非特許文献1には、ルチル型結晶構造を有するTiO2からなる層は、サイズが15nm程度になると、Liイオンを吸蔵することが開示されている。また、非特許文献2には、Ti0.86Li0.57O2の導電率(抵抗率の逆数)は、6.6×103Ω-1m-1であり、TiLi0.2O2の導電率は、8.5×103Ω-1m-1であることが示されている。非特許文献3によれば、ルチル構造のTiO2の導電率は、1.0×10-5Ω-1m-1である。したがって、Ti0.86Li0.57O2、およびTiLi0.2O2の導電率は、ルチル構造のTiO2の導電率と比較して高い。以上のことから、本発明におけるLi含有酸化チタン層が、Liを吸蔵したルチル型結晶構造を有するTiO2を含み、これにより導電性が発現する可能性がある。したがって、表面にLi含有酸化チタン層が存在することで導電性表面となり、結果として接触抵抗が下がる。この効果は、耐食試験後においても存続する。
一般的にチタン材の脱不働態化pHはpH=1といわれている。pH=2の硫酸溶液に浸漬する耐食試験では、チタン材表面の不働態皮膜が脱不働態化し溶解する懸念は小さい。Liを含有させた不働態皮膜は、フッ化物イオンおよび塩化物イオン、またはフッ化物イオン、塩化物イオンをそれぞれ単独で含有する溶液にLiイオンを添加し、アノード側の電位に保持することで形成する。チタンの腐食を促進する上記溶液中で陽極酸化することによって得られたLi含有不働態皮膜は耐食性に富み、Liを含有しない場合と同様に脱不働態化が生じることは無く、失われる低接触抵抗化効果は非常に小さい。
Li含有酸化チタン層を、上述の陽極酸化により形成した場合、このLi含有酸化チタン層のLi濃度は、表面付近で最も高く、概ね、表面からの深さが深くなるとともに低くなる。Li含有酸化チタン層の厚さは、GDOESにより測定されたLi濃度の深さ方向の分布において、Li濃度が最大値の1/2になる深さをいうものとする。
不働態皮膜の全厚をT1とし、Li含有酸化チタン層の厚さをT2とすると、T2/T1≧0.2であることが好ましく、T2/T1≧0.5であることが、より好ましい。これにより、チタン材の接触抵抗を低くすることができる。またLiを含有しない不働態皮膜厚(T1-T2)も接触抵抗に大きな影響を与える。本発明において、Liを含有しない不働態皮膜厚は10.0nm以下であることが望ましい。
本発明の効果を確認するため、以下の方法によりチタン材の試料を準備し、評価した。
1.チタン材の準備
表1に、チタン材の基材に用いた素材の組成を示す。
表1に、チタン材の基材に用いた素材の組成を示す。
素材1~5は、市販のインゴットを入手したものであり、素材6および7は、実験室レベルで溶製したものである。素材7は、特許文献3に記載された組成を有する。表1で、素材1~5については、分析値を示しており、素材6および7については、Ti原料の分析値、およびこのTi原料および添加元素の原料の配合比に基づく組成(計算値)を示している。
素材6の原料として、市販の工業用純チタンスポンジ(JIS 1種)と、フルヤ金属社製Ruチップ(Ru含有率:99.95%以上)とを用いた。素材7の原料として、上記純チタンスポンジ、およびRuチップと、日下レアメタル研究所社製ミッシュメタル(Mm;分離精製前の混合希土類金属)とを用いた。このミッシュメタルは、質量%で、La:31.1%、Ce:55.1%、Nd:9.2%、Sm:0.3%、残部:重希土類元素およびFeを含有していた。
素材6の製造用に、純チタンスポンジとRuチップとを、質量比で、99.89:0.11になるように調整した。素材7の製造用に、純チタンスポンジとRuチップとミッシュメタルとを、質量比で、99.955:0.035:0.01になるように調整した。これらの調整した原料を、日本特殊機械社製の水冷銅モールド内に配置して、Arアークボタン融解炉で、非消耗電極アークを用いて融解し、ボタン型のインゴットを得た。素材6および7のそれぞれについて、各約100gの8個のインゴットを得た。一度融解が完了したインゴットは、裏返して再融解し、均質化を図った。
その後、8個のインゴットを全て併せて再融解して、厚さ15mmの角形インゴットを作製した。この角形インゴットを、均質化のために再融解して、再び厚さ15mmの角型インゴットを得た。すなわち、原料からこのインゴットを得るまでに、各素材につき、合計4回の融解を行った。
素材6および7の角型インゴットは、微量の白金族元素を含有し、素材7の角型インゴットは、希土類元素を含有していることから、これらの元素の偏析が生じている可能性があった。このような偏析が生じていた場合に、その偏析を低減して、これらのインゴットを均質化するための熱処理を、以下の条件で行った。
雰囲気:真空(<10-3Torr(0.133Pa))
温度:1100℃
時間:24時間
雰囲気:真空(<10-3Torr(0.133Pa))
温度:1100℃
時間:24時間
上記の均質化熱処理を施した角型インゴット、および市販のインゴット(素材1~5)に対して、以下の条件で、β相域熱間圧延、およびα+β相域熱間圧延を、この順に実施して、厚さ1.5mmの板材にした。
β相域熱間圧延:1000℃で加熱
α+β相域熱間圧延:875℃で加熱
β相域熱間圧延では、インゴットの厚さを、15mmから9mmへと減じた。α+β相域熱間圧延では、インゴットの厚さを、9mmから4.5mmへと減じた。
β相域熱間圧延:1000℃で加熱
α+β相域熱間圧延:875℃で加熱
β相域熱間圧延では、インゴットの厚さを、15mmから9mmへと減じた。α+β相域熱間圧延では、インゴットの厚さを、9mmから4.5mmへと減じた。
その後、機械加工により、各板材の表面および裏面のスケールを除去して、表面が金属光沢面で、厚さが1.0mmの薄板を得て、さらに、冷間圧延により、この薄板の厚さを、0.15mmまで減じた。得られた薄板に対して、650℃のArガス雰囲気中で、4時間、ひずみ取り焼鈍を施した。
得られた薄板に対して、不働態皮膜を除去するために前処理を施し、その後、Li含有酸化チタン層を含む不働態皮膜を形成するために、Liを含有する溶液中で陽極酸化を行った。これにより、本発明の実施例のチタン材、すなわち、チタンまたはチタン合金からなる基材と、基材の表面に形成された不働態皮膜とを備え、不働態皮膜が、その表層部に形成されたLi含有酸化チタン層を含むチタン材の試料を得た。
また、本発明の範囲外である比較例のチタン材として、Liを含有する溶液中で陽極酸化を行わなかったものを作製した。また、従来例のチタン材として、特許文献1および2に記載の要件を満たすチタン材を作製した。従来例のチタン材については、前処理、および陽極酸化を行わなかった。
各チタン材について、初期の接触抵抗、耐食試験を行った後の接触抵抗、不働態皮膜の厚さ、およびLi含有酸化チタン層の厚さを測定した。「初期の接触抵抗」とは、耐食試験等、チタン材の表面状態に影響を及ぼし得る処理を行う前に測定した接触抵抗をいう。表2A、および表2Bに、各チタン材について、用いた素材、陽極酸化の条件、接触抵抗(初期値、および耐食試験後の値)、不働態皮膜の全厚T1、Li含有酸化チタン層の厚さT2、ならびにT2/T1比を示す。
比較例1のチタン材は、陽極酸化を行わなかったものである。比較例2のチタン材は、Liを含有しない液を用いて陽極酸化を行ったものである。したがって、比較例1および2のチタン材は、Li含有酸化チタン層を有しておらず、この点で、本発明の範囲外のものである。
比較例3は不働態皮膜の全厚T1が15.0nmを超えた材料である。また、比較例4はLiを含まないチタン不働態皮膜層厚(T1-T2)が10.0nmを超えた材料である。いずれも耐食試験後の接触抵抗が高い。
2.接触抵抗の評価方法
図2は、接触抵抗を測定する方法を説明するための図である。図2に模式的に示す装置を用いて、接触抵抗を測定した。具体的には、まず、測定対象のチタン材11を、固体高分子形燃料電池のガス拡散層(図1Bのアノード3、およびカソード4)に使用される面積1cm2のカーボンペーパー(東レ(株)製 TGP-H-90)12で挟み込み、これを金めっきした電極13で挟んだ。次に、この金めっき電極13の両端に一定の電流を流して、10秒間、10kgf/cm2(9.8×105Pa)の圧力をかけ、その後すぐに除荷する工程を、20サイクル繰り返して、その後に生じるカーボンペーパー12とチタン材11との間の電圧降下を測定し、この結果に基づいて抵抗値を求めた。得られた抵抗値は、チタン材11の両面の接触抵抗を合算した値となるため、これを2で除して、チタン材11の片面あたりの接触抵抗値とした。
図2は、接触抵抗を測定する方法を説明するための図である。図2に模式的に示す装置を用いて、接触抵抗を測定した。具体的には、まず、測定対象のチタン材11を、固体高分子形燃料電池のガス拡散層(図1Bのアノード3、およびカソード4)に使用される面積1cm2のカーボンペーパー(東レ(株)製 TGP-H-90)12で挟み込み、これを金めっきした電極13で挟んだ。次に、この金めっき電極13の両端に一定の電流を流して、10秒間、10kgf/cm2(9.8×105Pa)の圧力をかけ、その後すぐに除荷する工程を、20サイクル繰り返して、その後に生じるカーボンペーパー12とチタン材11との間の電圧降下を測定し、この結果に基づいて抵抗値を求めた。得られた抵抗値は、チタン材11の両面の接触抵抗を合算した値となるため、これを2で除して、チタン材11の片面あたりの接触抵抗値とした。
接触抵抗の値が10.0mΩ・cm2以下である金属板を合格として、良否を判定した。以下、接触抵抗について、「低い」とは、接触抵抗の値が10.0mΩ・cm2以下であることをいい、「高い」とは、接触抵抗の値が10.0mΩ・cm2を超えていることをいう。
3.耐食試験
各チタン材の試料の燃料電池模擬環境における耐食性を調査するために、特許文献4に記載された耐食試験を、その条件を変更して実施した。具体的には、pH=2に調整した硫酸水溶液中に試料を浸漬し、水洗、および乾燥を行った後、前述した方法により、試料の接触抵抗を測定した。特許文献4に対して条件を変更した点は、硫酸水溶液中での試料の浸漬時間が、特許文献4では、3000時間であるのに対して、本試験では、1000時間としたことである。硫酸水溶液中の浸漬により接触抵抗が上昇した試料は、腐食により表面状態が変化したと考えられる。
各チタン材の試料の燃料電池模擬環境における耐食性を調査するために、特許文献4に記載された耐食試験を、その条件を変更して実施した。具体的には、pH=2に調整した硫酸水溶液中に試料を浸漬し、水洗、および乾燥を行った後、前述した方法により、試料の接触抵抗を測定した。特許文献4に対して条件を変更した点は、硫酸水溶液中での試料の浸漬時間が、特許文献4では、3000時間であるのに対して、本試験では、1000時間としたことである。硫酸水溶液中の浸漬により接触抵抗が上昇した試料は、腐食により表面状態が変化したと考えられる。
4.チタン材の表面から深さ方向の元素濃度分布の測定
マーカス型高周波グロー放電発光表面分析装置として、堀場製作所社製のGD-Profiler 2を用い、チタン材の表面から深さ方向に関して、初期の表面と初期の表面から50nmの深さとの間の範囲について、O濃度、およびLiの信号強度を測定した。この際、チタン材表面において直径4mmの円形領域を分析対象とし、グロー放電発光表面分析時のスパッタリング厚さを、初期の表面からの深さとした。
マーカス型高周波グロー放電発光表面分析装置として、堀場製作所社製のGD-Profiler 2を用い、チタン材の表面から深さ方向に関して、初期の表面と初期の表面から50nmの深さとの間の範囲について、O濃度、およびLiの信号強度を測定した。この際、チタン材表面において直径4mmの円形領域を分析対象とし、グロー放電発光表面分析時のスパッタリング厚さを、初期の表面からの深さとした。
得られたLiの信号強度を、後述するAl-Li合金について得た検量線をもとに定量化し、Li含有量の深さ分布を求めた。これに基づき、各試料について、上述の定義によるLi含有酸化チタン層の厚さを求めた。また、得られたO濃度分布に基づき、各試料について、上述の定義による不働態皮膜の厚さを求めた。
図3に、実施例6のチタン材について測定された深さ方向のO濃度分布を示す。図3で、横軸は、初期の表面からの深さを示しており、縦軸は、O濃度を示している。O濃度は、初期の表面で最大となっており、分布に小さな波があるものの、概ね、深さが深くなるほど低くなった。O濃度は、4.0nmの深さで、最大値の1/2となったので、このチタン材に形成された不働態皮膜の厚さを、4.0nmとした。
図4に、実施例6のチタン材について測定された深さ方向のLi濃度分布を示す。このLi濃度分布は、GDOESにより測定されたLiの信号強度の分布を、以下に述べる検量線を用いて定量化し、Li濃度の分布としたものである。検量線は、市中から入手したLiを含有するAl合金中のLiの信号強度を用いて作成した。このAl合金は、ALCOA社製の航空機用Al合金であるALLOY 2099であった。表3に、このAl合金の組成(ミルシートに記載のもの)を示す。ALLOY 2099に代えて、同社製のAl合金であるALLOY 2090または8091を用いてLiの検量線を作成することも可能である。
図4で、横軸は、初期の表面からの深さを示しており、縦軸は、Li濃度を示している。Li濃度は、初期の表面で最大となっており、分布に小さな波があるものの、概ね、深さが深くなるほど低くなった。Li濃度は、0.81nmの深さで、最大値の1/2となったので、このチタン材の不働態皮膜に形成されたLi含有酸化チタン層の厚さを、0.81nmとした。
実施例1~14のチタン材の接触抵抗は、素材として、純チタンを用いたかチタン合金を用いたかによらず、初期、および耐食試験後ともに、10.0mΩ・cm2以下と低かった。特に、実施例3,6および14のチタン材の初期接触抵抗は、いずれも、5.0mΩ・cm2以下と極めて低い接触抵抗を示した。これは、これらのチタン材で、不働態皮膜の厚さが、いずれも、5.0nm以下と薄かったことと関係していると考えられる。
また、実施例10、11および14では、初期の接触抵抗から抵触試験後の接触抵抗への上昇量が、いずれも、1.0mΩ・cm2以下と、本発明の実施例の中でも、極めて低かった。これは、T2/T1が0.2以上と、不働態皮膜中のLi含有酸化チタン層の割合が高かったことと関係していると考えられる。
比較例1のチタン材では、耐食試験後の接触抵抗は、初期の接触抵抗の200倍以上となり、耐食試験により大きく上昇した。これは、比較例1のチタン材については、陽極酸化を行わなかったことにより不働態皮膜が十分に厚く形成されず、これにより、耐食試験時に、チタン材の表面が厚く酸化したことによると考えられる。
比較例2のチタン材では、耐食試験後の接触抵抗が10.0mΩ・cm2を超えた。これは、比較例2のチタン材がLiイオンを含有しない溶液中で陽極酸化を行ったものであることにより、Li含有酸化チタン層が形成されず、本発明の実施例に比して導電性が劣っていたことによるものと考えられる。
比較例3の材料は不働態皮膜の全厚T1が15.0nm以上と厚いため導電性の低い層が厚い。また比較例4の材料は、Liを含有しない不働態皮膜厚層が10.0nm以上と厚い。このため表面にLiを含有する導電性皮膜を生成させても、この不働態皮膜の全厚の影響で初期接触抵抗が10.0mΩ・cm2を超える値となった。
従来例1のチタン材は、本発明の実施例のチタン材と同等の接触抵抗値を示した。しかし、このチタン材、貴金属を用いる必要があるので、コストが高くなる。従来例2のチタン材は、本発明の実施例のチタン材より、高い接触抵抗を示し、また、蒸着により導電性接点層を形成する必要があることから、製造コストが高くなる。換言すれば、本発明の実施例のチタン材は、従来例1および2のチタン材に対して、同等以上の低い接触抵抗を得ることができるとともに、そのコストを低くすることができる。
1:固体高分子形燃料電池
2:固体高分子電解質膜
3:アノード
4:カソード
5a、5b:セパレータ
2:固体高分子電解質膜
3:アノード
4:カソード
5a、5b:セパレータ
Claims (4)
- 固体高分子形燃料電池のセパレータ用チタン材であって、
チタンまたはチタン合金からなる基材と、
前記基材の表面に形成された不働態皮膜とを備え、
前記不働態皮膜の全厚をT1とするとき、
T1が15.0nm以下であり、
その表層部にLi含有酸化チタン層を含む、チタン材。 - Li含有酸化チタン層の厚さをT2とするとき、
T2/T1が0.2以上である、請求項1に記載のチタン材。 - 上記T1およびT2の差である(T1-T2)が10.0nm以下である、請求項1または2記載のチタン材。
- 上記T2/T1が0.5以上である、請求項1から3までのいずれかに記載のチタン材。
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