WO2016186192A1

WO2016186192A1 - フィルムを貼り合せる装置

Info

Publication number: WO2016186192A1
Application number: PCT/JP2016/064975
Authority: WO
Inventors: 誠司山浦
Original assignee: 長野オートメーション株式会社
Priority date: 2015-05-20
Filing date: 2016-05-20
Publication date: 2016-11-24
Also published as: JP2018111207A; TW201700257A

Abstract

基板（５０）の第１の面（５１）にフィルム（６０）を貼り合せる装置（１）を提供する。装置（１）は、基板（５０）を第１の面（５１）が外側を向くように支持する部材支持面（１２）を備えた第１のユニット（１０）と、フィルム（６０）の一部を吸引支持するフィルム支持面（２２）と、フィルム支持面（２２）を、第１の面（１２）に対向した状態で、間の角度が鋭角になるように傾け、一方の端（２２ａ）が第１の面（５１）に接近した状態で保持する第２のユニット（２０）と、ローラー（３０）と、第１のユニット（１０）を移動するユニット（４１）とを有する。

Description

フィルムを貼り合せる装置

　本発明は、フィルム同士、あるいは基板などの部材にフィルムを貼り合せる装置に関するものである。

　日本国特開２００８－２０７４５１号公報には、ワーク同士を貼り合せることができる装置が開示されている。この装置は、第１のワークを吸引支持するための第１の支持面を備えた第１のステージと、第１のワークと第２のワークとが対峙した状態で、第２のワークの一方の端部を除いた部分を吸引支持するための第２の支持面を備えた第２のステージと、第２のワークの一方の端部を第１のワークとは反対の側から第１のワークに対して押圧するためのローラと、第１のステージと第２のステージとの間隔を保った状態で、第１のステージの位置を、第２のステージおよびローラの位置に対して相対的に移動させる移動装置とを有する。

　貼りつけるワークがフィルムの場合、貼り合せる、または貼りつける間、薄いシート状のワークであるフィルムを安定して保持しておくことが重要である。

　本発明の一態様は、第１の部材の第１の面にフィルムを貼り合せる装置である。この装置は、第１の部材を第１の面が外側を向くように支持する部材支持面を備えた第１のユニットと、フィルムの一部を吸引支持するフィルム支持面と、フィルム支持面を、第１のユニットに支持された第１の部材の第１の面に対向した状態で、第１の面との間が鋭角になるように第１の面に対し傾け、一方の端が第１の面に接近した状態で保持する第２のユニットと、フィルム支持面の一方の端の近傍に配置されたローラーであって、第１のユニットで支持された第１の部材の第１の面に、フィルム支持面の一方の端から延びたフィルムを押し付けるローラーと、フィルム支持面の一方の端およびローラーが、第１のユニットで支持された第１の部材の第１の面に沿って移動するように、フィルム支持面およびローラーに対し第１のユニットを相対的に移動する移動ユニットとを有する。

　この装置は、フィルムを貼りつける対象となる第１の面に向かい合い、第１の面に対し鋭角に配置されたフィルム支持面を有する。このため、フィルム支持面に支持された状態のフィルムを、ローラーと第１の面との接触部分に対し、より直線的に供給できる。典型的には、フィルム支持面は、ローラーの外周面の接線方向を向いていてもよい。フィルム支持面からローラーにフィルムを直線的に供給することにより、ローラーによりフィルムを第１の面に貼りつける際に、フィルムをフィルム支持面から剥離する方向の力が発生し難い。このため、フィルムを貼りつけている間、フィルム支持面によりフィルムを保持しやすい。

　第２のユニットは、フィルム支持面を備えた支持プレートを含み、その支持プレートの第１の面に近接する一方の端に、フィルム支持面に対し鋭角な端面（フィルム支持面との間の角度が鋭角な端面）を含んでもよい。フィルム支持面の一端とローラーとの距離を短縮でき、フィルム支持面からローラーにフィルムをより直線的に供給しやすい。特に、第１の面が凹面あるいは平面の場合に有効である。

　第１の部材は第１の面を備えた立体的（３次元的）な形状の部材であってもよく、シート状の部材であってもよい。第１の部材がシート状の部材であれば、第１のユニットに支持された第１の部材の第１の面は、部材支持面と平行になる。したがって、第２のユニットは、フィルム支持面を、部材支持面に対向した状態で、部材支持面との間が鋭角になるように部材支持面に対し傾け、一方の端が部材支持面に接近した状態で保持するものであってもよい。移動ユニットは、フィルム支持面の一方の端およびローラーが、部材支持面に沿って移動するように、フィルム支持面およびローラーに対し第１のユニットを相対的に移動するものであってもよい。

　フィルム支持面およびローラーが部材支持面の下方に配置されていてもよい。すなわち、部材支持面は下側を向いていてもよく、第１の面に対して鉛直方向下側からフィルムを供給できる。このため、フィルムの先端が重力により垂れ下がりやすい場合、ローラーによりフィルムの先端を支持できる。また、フィルムがフィルム支持面から剥離することも抑制できる。

　第１の面は、凸状または凹状に湾曲した面であってもよい。典型的には、第１の面は、円筒の外面または内面の一部を形成するシリンドリカルな面であってもよく、第１の面は凸状または凹状のシリンドリカルな面であってもよい。

　移動ユニットは、フィルム支持面の一方の端およびローラーが第１の面または部材支持面に沿って移動するように、フィルム支持面およびローラーに対し第１のユニットを相対的に、２次元の方向に移動する。具体的には、移動ユニットは、フィルム支持面およびローラーに対し第１のユニットを相対的に、ローラーの軸方向を除いた２次元方向、すなわち、ローラーの軸方向に垂直な２次元方向に移動してもよい。フィルム支持面を第１の面に対して鋭角に配置することにより第１の面がシリンドリカルな面、特に凹状のシリンドリカルな面であっても、フィルム支持面と第１の面とが干渉することがなく、シリンドリカルな面に対してフィルムを貼りつけできる。

　移動ユニットは、第１のユニットを移動してもよく、フィルム支持面を含めた第２のユニットおよびローラーを移動してもよく、第１のユニット、第２のユニットおよびローラーを移動してもよい。移動ユニットは、第１のユニットを水平方向および鉛直方向に移動する第１の移動ユニットを含んでいてもよい。第１の面が湾曲した面の場合は、この装置は、さらに、第１のユニットの水平方向の移動量および鉛直方向の移動量を、第１の面の曲率に基づいて同期して制御する制御ユニットを有していてもよい。この制御ユニットは、シリンドリカルな第１の面のローラーに接する部分の鉛直方向の位置が一定になるように、第１のユニットの水平方向の移動量および鉛直方向の移動量を同期して制御してもよい。

貼り合せ装置の概要を示す図。フィルムを貼りつける様子を示す図であり、図２（ａ）は貼付け開始、図２（ｂ）は中間、図２（ｃ）は最終状態を示す。図３（ａ）は支持プレートを傾けた例、図３（ｂ）は支持プレートを平行にした例。異なる貼り合せ装置の概要を示す図。さらに異なる貼り合せ装置の概要を示す図。フィルムを貼り合せる初期の状態を示す図。フィルムを貼り合せている状態を示す図。

発明の実施の形態

　図１に、フィルムを、凹面を備えた基板に貼り合せる装置（貼付ける装置）の一例を示している。この貼り合せ装置（貼付け装置）１は、フィルム６０を貼りつける面（被貼付け面、第１の面）５１を平板状またはシート状の基板（ワーク、第１の部材）５０を支持する第１のユニット１０を有する。第１の部材である基板５０は、シリンドリカルな凹面（円弧状の面、円柱または円筒の一部をなす面）を、フィルム６０を貼りつける面（被貼付け面、第１の面）５１として備えている。貼り合せ装置１は、フィルム６０を吸引支持するフィルム支持面２２を備えた第２のユニット２０と、フィルム６０を第１の面５１に押し付けるローラー３０と、第１のユニット１０に対し第２のユニット２０およびローラー３０をローラー３０の軸３１が延びた方向をＹ方向としたときに、Ｙ方向に垂直な２方向、本例では、水平方向（Ｘ方向）および鉛直方向（Ｚ方向）に相対的に動かす移動システム（移動装置）４０とを含む。

　この貼り合せ装置１は、移動システム４０として、水平方向の支持台（シャーシ）７１に対して第１のユニット１０をＸ方向およびＺ方向に動かす移動テーブル（移動ユニット）４１と、移動テーブル４１の動きを制御する制御ユニット４５とを含む。移動ユニット４１は、適当なアクチュエータおよび機構、たとえば、モーター、シリンダーなどの公知のアクチュエータと、カム、ギアなど公知の機構を含む。移動システム４０は、第２のユニット２０およびローラー３０をＸ方向およびＺ方向に動かすシステムであってもよく、第１のユニット１０と、第２のユニット２０およびローラー３０とを相互に動かすシステムであってもよい。移動テーブル４１は、第１のユニット１０を支持してＺ方向に伸び縮みするＺ軸ユニット４３と、第１のユニット１０のＺ軸方向の動きをガイドするガイドユニット４４と、Ｚ軸ユニット４３およびガイドユニット４４をＸ方向に動かすＸ軸ユニット４２とを含む。

　第１のユニット１０は、シリンドリカルな凹面５１を備えたシート状の部材（ワーク、ワークピース、基板、第１の部材）５０を吸引支持するバキュームテーブル１１を含む。バキュームテーブル１１は、円弧状（シリンドリカル）に凹んだ（湾曲した）な基板支持面（ワーク支持面、部材支持面）１２と、基板支持面１２に基板５０を吸着するために設けられた多孔１３とを含む。吸着用の多孔１３は真空ポンプ（不図示）に接続されており、シリンドリカルな基板５０を支持面１２に真空吸着することにより固定できる。基板５０を固定する方法は真空吸着に限定されず、磁力で固定してもよく、機械的に固定してもよい。基板５０の第１の面（被貼付け面、貼り合せ対象面）５１の一例は、曲率半径が１０００ｍｍ程度のシリンドリカルな凹面である。

　基板５０は、金属あるいはプラスチックなどの剛性の高い基板であってもよく、それらより薄いシート状のフィルムであってもよく、被貼付け面５１としてシリンドリカルな面を一部に備えた立体的な部材やパーツなどであってもよい。第１の面５１の曲率半径は１０００ｍｍに限定されることはなく、平面に近いものであってもよく、逆に、曲率半径が２００ｍｍ程度あるいはそれ以下であってもよい。曲率半径が小さい場合は、後述する第２のユニット２０によるフィルム支持面２２の傾きを調整する必要がある場合がある。

　基板５０の第１の面５１に貼りつけるフィルム６０を支持する第２のユニット２０は、フィルム６０を支持する平坦なフィルム支持面２２を含む支持プレート２１を含み、支持プレート２１は、フィルム支持面２２にフィルム６０を吸引固定するための多孔２３を含む。多孔２３は負圧を形成するためにブロワー（不図示）に接続されている。薄いシート状の部材（膜、層、ワーク）であるフィルム６０は、ブロワーにより吸い込まれる空気の流れにより形成される風圧および負圧によりフィルム支持面２２に固定される。また、後述するようにローラー３０によりフィルム６０が引っ張られると、フィルム支持面２２に沿ってフィルム６０はスライドし、ローラー３０に継続的に供給される。

　貼り合せ装置１は、さらに、第２のユニット２０の支持プレート２１を、シャーシ７１からＺ方向（鉛直方向）に立ち上がったフレーム７２に対し支持するプレート支持ユニット２５を含む。このプレート支持ユニット２５は、適当なアクチュエータ、たとえば、モーター、シリンダーなどと、カムなどの公知の機構とを含み、支持プレート２１のＺ方向の位置と、フィルム支持面２２の水平方向に対する角度（Ｘ方向に対する傾き）θ１とを調整することができる。角度θ１の範囲は、たとえば水平方向（Ｘ方向）となす角度（水平方向に対する傾き）が５～６０度である。プレート支持ユニット２５は、さらに、Ｘ方向に伸びた軸２６の周りに支持プレート２１を反転させることができる。これにより、フィルム支持面２２を、フィルム６０をセットする上向きの状態から、基板支持面１２に第１の面５１が外側（上側）を向くように支持された基板５０の第１の面５１にフィルム６０を貼り合せるために第１の面５１に対向（対峙）する下向きの状態に反転させることができる。

　この貼り合せ装置１は、支持プレート２１に補助プレート８１を着脱できる第３のユニット８０を含む。フィルム６０を第１の面５１に貼り付ける準備として、まず、支持プレート２１の出力側の端２１ａに、補助プレート８１を取り付け、フィルム支持面２２の出力端（一方の端）２２ａを延長した状態でフィルム６０をセットする。そして、フィルム６０の貼付け面６１から保護フィルム（不図示）を取り外した後に、補助プレート８１をＸ方向に退避し、支持プレート２１を反転する。これにより、フィルム６０の貼付け面６１を、基板支持面１２に第１の面５１が外側を向くように支持された基板５０の第１の面５１に向けて（向かい合うように、対向した状態で）セットできる。さらに、フィルム６０の先端６２がフリーな状態でフィルム支持面２２の出力端２２ａから先に延びており、その先端６２を、ローラー３０により、初期に、フィルム６０を第１の面５１に押し付けることができる。

　支持プレート２１の出力端２１ａにはフィルム支持面２２に対して鋭角な面２４が形成されている。支持プレート２１を反転させたときに、フィルム支持面２２に接近した位置にローラー３０を配置することができる。

　ローラー３０は、軸３１がＹ方向に伸びた円筒状の回転体である。貼り合せ装置１は、ローラー３０に圧力を加えるシリンダーユニット３２と、シリンダーユニット３２を、シャーシ７１からＺ方向（鉛直方向）に立ち上がったフレーム７２に対し支持するシリンダー支持ユニット３５とを含む。このシリンダー支持ユニット３５は、適当なアクチュエータ、たとえば、モーター、シリンダーなどと、カムなどの機構とを含み、シリンダーユニット３２のＺ方向の位置と、シリンダーユニット３２の駆動方向３３とＺ方向との角度θ２とを調整することができる。角度θ２の範囲は、たとえば鉛直方向（垂直方向、Ｚ方向）となす角度（鉛直方向に対する傾き）が０～６０度であり、０～３０度であってもよく、０～１５度であってもよい。

　貼り合せ装置１の移動ユニット（移動テーブル）４１、プレート支持ユニット２５、シリンダー支持ユニット３５などの可動機構を制御する制御ユニット４５は、第２のユニット２０、補助ユニット８０、およびローラー３０の位置、向きなどを、可動機構を制御して、フィルム６０を基板５０の第１の面５１に貼りつけ開始できるように準備する準備制御ユニット４６と、移動テーブル４１などの貼り合せ装置１の可動機構を制御して、第１のユニット１０に対し、第２のユニット２０およびローラー３０を第１の面５１に沿うように相対的に２次元方向（Ｘ－Ｚ方向）に移動するモーション制御ユニット４７とを含む。モーション制御ユニット４７は、さらに具体的には、移動テーブル４１などを制御して、フィルム支持面２２の一方の端（出力端）２２ａおよびローラー３０が、第１のユニット１０で支持された基板５０の第１の面５１に沿って移動するように、フィルム支持面２２およびローラー３０に対し第１のユニット１０を相対的に移動する。この例においては、さらに具体的には、モーション制御ユニット４７は、移動テーブル４１などを制御して、フィルム支持面２２の出力端２２ａおよびローラー３０が、基板支持面１２に沿って移動するように、フィルム支持面２２およびローラー３０に対し第１のユニット１０を相対的に移動する、
　この貼り合せ装置１において、モーション制御ユニット４７は、湾曲した第１の面５１にフィルム６０を貼り合せるために、移動テーブル（移動ユニット）４１のＸ軸ユニット４２による第１のユニット１０の水平方向（Ｘ方向）の移動量およびＺ軸ユニット４３による鉛直方向（Ｚ方向）の移動量を第１の面５１の曲率（曲率半径）に同期して制御する。具体的には、フィルム６０をシリンドリカルな曲面５１に貼りつけるために、Ｘ方向に第１のユニット１０を移動したときに、シリンドリカルな第１の面５１のローラー３０に接する部分のＺ方向の位置が一定になるように同期して制御する。

　制御ユニット４５は、コンピュータと、コンピュータを機能させるソフトウェアとを用いて実現することができる。準備制御ユニット４６およびモーション制御ユニット４７としての機能はソフトウェア（プログラム、プログラム製品）として提供することが可能であり、インターネットを介して提供したり、メモリチップやディスクなどの適当な記録媒体に記録して提供することも可能である。

　図２に、貼り合せ装置１を制御ユニット４５の機能を用いて制御して、基板５０のシリンドリカルな第１の面５１にフィルム６０を貼りつける（貼り合せる）様子（制御方法）を示している。図２（ａ）に示すように、第２のユニット２０は、プレート支持ユニット２５により支持プレート２１を反転してフィルム支持面２２を基板５０の第１の面５１に対向させる。これによりフィルム６０の貼り合せ面６１が、第１のユニット１０に第１の面５１が上向きになるように固定された基板５０の貼りつけ対象の第１の面５１と対峙する。プレート支持ユニット２５は、支持プレート２１を水平方向（Ｘ方向）に対して角度θ１だけ傾け、第１の面５１に対してフィルム支持面２２を鋭角に傾ける。その結果、フィルム支持面２２は、その出力端２２ａが第１の面５１に最も接近した状態で保持される。たとえば、フィルム支持面２２と第１の面５１との間の角度θ１の範囲は５度から６０度であり、１０から４５度が好ましく、１０から３０度がさらに好ましい。本例では、角度θ１はたとえば２０度である。

　シート状の基板５０をワークとしてフィルム６０を貼り合せる場合、第１のユニット１０の基板支持面１２は基板５０の第１の面５１と平行した湾曲した面であり、基板５０の厚みは数μｍから数ｍｍ程度であることが多いので、実質的に第１の面５１と基板支持面１２とは等価である。したがって、フィルム支持面２２は、基板支持面１２に対向した状態で、基板支持面１２との間が鋭角になるように基板支持面１２に対し傾けられ、フィルム支持面２２の出力端２２ａが基板支持面１２に接近した状態で保持される。

　この例においては、プレート支持ユニット２５により、Ｘ方向とフィルム支持面２２との間の角度θ１を傾ける（鋭角に保持する）ことにより、第１の面５１とフィルム支持面２２との間の角度θ３が鋭角になるようにしている。プレート支持ユニット２５によりフィルム支持プレート２１の傾きを制御することが可能であり、フィルム支持プレート２１の角度を角度θ１が一定なるように制御してもよく、角度θ３が一定になるように制御してもよい。

　モーション制御ユニット４７は、移動テーブル４１のＸ軸ユニット４２およびＺ軸ユニット４３の移動量を制御して、フィルム支持面２２に支持されているフィルム６０の先端６２と、第１のユニット１０のバキュームテーブル１１に支持されている基板５０の第１の面５１の端５２とを位置合わせする。さらに、ローラー３０をフィルム６０の先端６２に位置合わせして、フィルム６０を上側（フィルム６０の裏側、貼付け面の反対側）から加圧して、フィルム６０を第１の面５１に貼りつける作業（工程）を開始する。

　モーション制御ユニット４７は、第１の面５１の曲率、すなわち、基板支持面１２の曲率（曲率半径）により、バキュームテーブル１１を支持する移動テーブル４１のＺ軸ユニット４３のＺ軸方向の移動量ΔＺと、Ｘ軸ユニット４２のＸ方向の移動量ΔＸとを同期して制御する。具体的には、モーション制御ユニット４７は、バキュームテーブル１１を支持する移動テーブル４１のＺ軸ユニット４３のＺ軸方向の移動量ΔＺを、Ｘ軸ユニット４２のＸ方向の移動量ΔＸに同期して、シリンドリカルな第１の面５１の曲率半径Ｒにより演算される値にしたがって制御する。この例では、貼付け開始から図２（ｂ）に示す中間位置まで、移動量ΔＺを移動量ΔＸに対してプラス方向（上側）に制御し、中間位置から図２（ｃ）に示す貼り終わり位置まで、移動量ΔＺを移動量ΔＸに対してマイナス方向（下側）に同期して制御する。

　モーション制御ユニット４７の制御により、バキュームテーブル１１に支持されている基板５０の凹方向にシリンドリカルな第１の面５１がＸ方向に動きながら、ローラー３０と接触する位置（高さ）に保持される。このため、ローラー３０はシリンドリカルな第１の面５１を連続して加圧する。

　さらに、フィルム６０を支持する支持プレート２１はＸ方向に対してＺ方向に傾斜しているので凹状の第１の面５１がＺ方向に動いてもバキュームテーブル１１とは干渉しない。したがって、フィルム支持面２２に支持されているフィルム６０は、ローラー３０により、シリンドリカルな第１の面５１に連続的に押し付けられながらフィルム支持面２２から第１の面５１に送り出される。このように、貼り合せ装置１により、平面ではなく、シリンドリカルに湾曲した第１の面５１に、フィルム６０を所定の圧力で貼りつけることができる。

　さらに、フィルム６０を支持するフィルム支持面２２が傾斜しているのでフィルム支持面２２からローラー３０に向かって直線的にフィルム６０が供給され、フィルム支持面２２からフィルム６０が剥離しにくい。したがって、図２（ｃ）に示すように、フィルム６０の後端６４にローラー３０が近づいた状態でも、フィルム支持面２２に吸引支持されているフィルム６０がフィルム支持面２２から剥離することを抑制できる。

　図３（ａ）および（ｂ）に、異なる貼り合せ装置１ａを示している。この貼り合せ装置１ａは平坦なバキュームテーブル１９を含む第１のユニット１０を備えており、平坦な基板支持面１２に支持された平板の基板（ワーク）５５の平坦な第１の面５６に、フィルム６０を貼りつける。

　図３（ａ）は、フィルム支持面２２を傾けた場合を示し、図３（ｂ）は、フィルム支持面２２を平坦な第１の面５６および基板支持面１２に対し平行に設定した場合を示している。図３（ｂ）に示すように、第１の面５６および基板支持面１２に対してフィルム支持面２２が平行で傾いていないと、フィルム６０がフィルム支持面２２からローラー３０に供給されるときに、フィルム支持面２２とローラー３０との間でフィルム６０が上下に歪み、フィルム支持面２２の先端２２ａからフィルム６０が剥離する傾向がある。

　これに対し、図３（ａ）に示すように、フィルム支持面２２を、Ｘ方向または貼り合せ対象の第１の面５６（基板支持面１２）に対し鋭角θ１（θ３）で傾けた場合は、ローラー３０の表面（外周面）３９の接線方向にフィルム支持面２２を配置することができる。したがって、フィルム支持面２２からローラー３０に対しフィルム６０をほぼ直線的に供給することが可能となり、フィルム支持面２２の先端２２ａからフィルム６０が剥離することを抑制できる。このため、基板５５に貼りつける際にフィルム６０に歪みやしわが発生することをさらに抑制でき、フィルム支持面２２によりフィルム６０の後端６４をさらに確実に保持できる。したがって、フィルム６０を最後までローラー３０で基板５５の第１の面５６に圧力を掛けながら貼りつけることが可能となり、基板５５の面５６にいっそう均等にフィルム６０を貼りつけることができる。上記の例のように基板の貼り付け対象面（貼り合せ対象面、第１の面）が凹状に湾曲していても、また、以下の例のように基板が凸状に湾曲していても同様である。

　基板が平板であったり、凹状に湾曲している場合、フィルム支持面２２を傾けると、支持プレート２１の出力端２１ａの側がローラー３０と干渉する可能性があるが、支持プレート２１の出力端２１ａをフィルム支持面２２に対して鋭角な面２４とすることにより、ローラー３０との干渉も抑制できる。したがって、フィルム支持面２２の出力側の端２２ａとローラー３０との距離を近づけることが可能となる。フィルム支持面２２を傾けることによりフィルム支持面２２の出力側の端２２ａでフィルム６０を支持しながらフィルム６０をローラー３０に供給できるので、フィルム６０がフィルム支持面２２とローラー３０との間でフリーになる距離が非常に短くなる。このため、フィルム６０の貼り合せ開始場所の制御が容易となり、より正確に、精度よく、フィルム６０を貼り付け対象の面５６に貼りつけることができる。

　図４に、異なる貼り合せ装置１ｂを示している。この貼り合せ装置１ｂにおいては、第２のユニット２０およびローラー３０が第１のユニット１０の下方（鉛直方向下側）に配置されている。すなわち、第１のユニット１０の基板支持面１２が下側を向き、第２のユニット２０のフィルム支持面２２が、基板支持面１２の下側に上向きに配置され、基板支持面１２と向かい合っている。したがって、貼り合せ対象の基板５０と、フィルム６０との上下の位置関係が逆転しており、フィルム６０を上に向けて貼りつけることができる。上向きのフィルム支持面２２にフィルム６０が載る状態になるので、フィルム６０の重量がフィルム支持面２２に対して剥離する方向に作用しない。したがって、フィルム６０がフィルム支持面２２から剥離することをさらに抑制できる。また、フィルム６０の先端６２がローラー３０に下側から支持された状態で、フィルム６０の貼付け作業が開始される。

　フィルム６０をフィルム支持面２２により上側から吸引支持する場合は、フィルム６０が非常に薄く、フィルム支持面２２から突き出てフリーな状態になったフィルム６０がフィルム自身で直線的に維持できるほどの剛性（腰）がないと、フィルム６０の先端６２が垂れ下がり、先端６２の位置決めが難しくなることがある。フィルム６０をフィルム支持面２２により下側から支持し、ローラー３０を用いてフィルム６０の先端６２を下側から支持することにより、フィルム６０が薄く剛性が小さい場合であっても、フィルム６０の先端６２を、貼付け対象の第１の面５１に対し直線的に延長することができる。したがって、さらに精度よく、フィルム６０を基板５０の第１の面５１に貼りつけることができる。

　図５～図７に、さらに異なる貼り合せ装置１ｃを示している。この貼り合せ装置１ｃは、凸状に湾曲した、凸のシリンドリカルな面が第１の面５８であるシート状の基板５７にフィルム６０を貼り合せる装置である。第１のユニット１０は、凸状に湾曲した基板支持面１２を備えたバキュームテーブル１１を含む。第２のユニット２０は、フィルム支持プレート２１を反転（回転）するプレート支持ユニット２５を含む。

　図５に示すように、貼り合せ装置１ｃの準備制御ユニット４６は、第２のユニット２０のフィルム支持プレート２１のフィルム支持面２２にフィルム６０を搭載し、その先端６２の位置を第１のカメラ８８により認識する。また、準備制御ユニット４６は、バキュームテーブル１１の基板支持面１２に搭載された基板５７の第１の面５８の、フィルム６０を貼り合せを開始する端５９の位置を第２のカメラ８９により確認する。その後、準備制御ユニット４６は、支持プレート２１から補助プレート８１を退避させ、プレート支持ユニット２５により支持プレート２１を、フィルム支持面２２にフィルム６０の一部（先端６２を除いた部分）を吸引支持した状態で、ほぼ１８０度反転する。また、移動ユニット４１により第１のユニット１０を支持プレート２１の下側に移動する。

　図６に示すように、準備制御ユニット４６は、フィルム支持プレート２１をさらに回転し、フィルム支持面２２が水平方向Ｘとなす角度θ１を鋭角にする。これにより、フィルム支持面２２を、第１のユニット１０に基板支持面１２およびそれに支持された基板５７の第１の面５８に対向した状態で、第１の面５８（基板支持面１２）との間の角度θ３が鋭角になるように保持できる。また、基板支持面１２を第１の面５８および基板支持面１２に対し傾けることにより、出力端２２ａを第１の面５８および基板支持面１２に接近した状態で保持できる。

　さらに、準備制御ユニット４６は、フィルム支持面２２の出力端２２ａの近傍に配置されたローラー３０を第１の面５８（基板支持面１２）に向かって伸ばし、フィルム支持面２２の出力端２２ａから延びたフィルム６０の先端６２を、第１の面５８に押し付ける。

　その後、モーション制御ユニット４７が、移動ユニット４１を制御して、フィルム支持面２２の出力端２２ａおよびローラー３０が、第１のユニット１０で支持された基板５７の第１の面５８に沿って移動するように、フィルム支持面２２およびローラー３０に対し第１のユニット１０を移動する。具体的には、第１のユニット１０をＸ方向に図面の右側に移動するのと同期して、凸状の曲面５８の曲率半径にしたがって第１のユニット１０をＺ方向（上下方向）に下げる（縮める）。

　移動ユニット４１が第１のユニット１０を、Ｘ方向の移動量ΔＸおよびＺ方向の移動量ΔＺを第１の面５８の曲率に同期させて制御することにより、図７に示すように、フィルム支持面２２の出力端２２ａおよびローラー３０を移動させずに、凸面５８にフィルム６０を貼り付けることができる。

　この例においても、フィルム支持面２２は、水平方向Ｘに対して傾いており、ローラー３０の外周面３９の接線方向に沿って配置されている。したがって、フィルム支持面２２に吸着支持されたフィルム６０は、ローラー３０により第１の面５８に貼り付けられた分だけフィルム支持面２２を滑り、フィルム支持面２２から剥離しにくく、フィルム６０の末端まで第１の面５８に、皺や気泡などが入らないように貼り付けることができる。

　なお、上記の貼り合せ装置１、１ａ、１ｂおよび１ｃは、基板５０を支持する第１のユニット１０を移動ユニット４１によりＸ方向およびＺ方向に移動するものであるが、フィルム６０を支持する第２のユニット２０およびローラー３０を、第１のユニット１０に対して移動してもよく、双方を移動してもよいことは上述した通りである。また、フィルム６０を貼り合せる対象物（ワーク）はシート状の基板に限定されず、立体的（３次元）な構造を備えたものであってもよい。

Claims

　第１の部材の第１の面にフィルムを貼り合せる装置であって、
　前記第１の部材を前記第１の面が外側を向くように支持する部材支持面を備えた第１のユニットと、
　前記フィルムの一部を吸引支持するフィルム支持面と、
　前記フィルム支持面を、前記第１のユニットに支持された前記第１の部材の前記第１の面に対向した状態で、前記第１の面との間が鋭角になるように前記第１の面に対し傾け、一方の端が前記第１の面に接近した状態で保持する第２のユニットと、
　前記フィルム支持面の前記一方の端の近傍に配置されたローラーであって、前記第１のユニットで支持された前記第１の部材の前記第１の面に、前記フィルム支持面の前記一方の端から延びた前記フィルムを押し付けるローラーと、
　前記フィルム支持面の前記一方の端および前記ローラーが、前記第１のユニットで支持された前記第１の部材の前記第１の面に沿って移動するように、前記フィルム支持面および前記ローラーに対し前記第１のユニットを相対的に移動する移動ユニットとを有する装置。
　請求項１において、
　前記第２のユニットは、前記フィルム支持面を、前記ローラーの外周面の接線方向に保持する、装置。
　請求項１または２において、
　前記第２のユニットは、前記フィルム支持面を備えた支持プレートを含み、前記支持プレートは前記一方の端に、前記フィルム支持面との間が鋭角な端面を備えている、装置。
　請求項１ないし３のいずれかにおいて、
　前記第１の部材はシート状の部材であり、
　前記第２のユニットは、前記フィルム支持面を、前記部材支持面に対向した状態で、前記部材支持面との間が鋭角になるように前記部材支持面に対し傾け、前記一方の端が前記部材支持面に接近した状態で保持し、
　前記移動ユニットは、前記フィルム支持面の前記一方の端および前記ローラーが、前記部材支持面に沿って移動するように、前記フィルム支持面および前記ローラーに対し前記第１のユニットを相対的に移動する、装置。
　請求項１ないし４のいずれかにおいて、
　前記フィルム支持面および前記ローラーが前記部材支持面の下方に配置されている、装置。
　請求項１ないし５のいずれかにおいて、
　前記第１の面は、凸状または凹状に湾曲した面であり、
　前記移動ユニットは、前記フィルム支持面の前記一方の端および前記ローラーが前記第１の面に沿って移動するように、前記フィルム支持面および前記ローラーに対し前記第１のユニットを相対的に、２次元の方向に移動する、装置。
　請求項１ないし５のいずれかにおいて、
　前記第１の部材は、凸状または凹状に湾曲した前記第１の面を含むシート状の部材であり、
　前記移動ユニットは、前記フィルム支持面の前記一方の端および前記ローラーが前記部材支持面に沿って移動するように、前記フィルム支持面および前記ローラーに対し前記第１のユニットを相対的に、２次元の方向に移動する、装置。
　請求項６または７において、
　前記移動ユニットは、前記第１のユニットを水平方向および垂直方向に移動する第１の移動ユニットを含み、さらに、
　前記第１のユニットの水平方向の移動量および垂直方向の移動量を、湾曲した前記第１の面の曲率に基づいて同期して制御する制御ユニットを有する、装置。