WO2016158587A1 - 車輪締結状態の判定装置 - Google Patents
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Abstract
走行中の車輪締結状態監視が可能で、センサの車両(1)への着脱が容易であり、車両重量、車軸幅、支持剛性への影響が小さく、外乱による影響を低減した異常判定が可能で、判定精度の向上、判定基準の定量化が図れる車輪締結状態の判定装置を提供する。車輪締結部に着脱可能なセンサユニット(3)と、車載器(4A)または通信端末(4B)である情報処理装置(4)とを備える。情報処理装置(4)は、車両(1)の制御・通信系(5)から車両状態データを読み込み、定められたタイミングでセンサユニット(3)に測定を指示する測定指示部23を有する。また、測定データを、過去に同一条件で測定して記憶した蓄積データと比較することで、車輪締結部の締結状態の異常を判定する情報処理部(24)を有する。
Description
本出願は、2015年3月30日出願の特願2015-067950の優先権を主張するものであり、その全体を参照により本願の一部をなすものとして引用する。
この発明は、自動車の車輪締結部における車輪締結状態の判定装置に関する。
自動車、特に大型商用車等においては、車輪脱落等の不具合防止として各車輪の締結状態を確認することが重要であると認識されている。そのため、ホイールナット締結時の締付トルク管理が法令化されている。このような締結状態の確認としては、外観、打音チェックによる点検が一般的である。しかし、稼働中の締結状態を高精度に判定出来る量産技術は無い為、定期メンテナンスの他に、運行前点検、運行途中点検等の日常点検を実施し、ナット緩み等の締結異常発生を防いでいる。
外観チェックについては、ナット締付後、ペイントマーカーでナットとホイール間の周方向位相を示したり、周方向位相が分かるキャップをナットに組み付けたりして、緩みによる周方向位相ズレを検出し易くする等の方法がある。また、打音チェックについては、一般的に点検者の経験則に基づく判定が主であるが、ハンマリング器具に加速度計を組み込み、ナット緩みやボルト損傷による共振周波数の変化を検出する診断ツールも存在する。
稼働中の車輪アセンブリの状態を監視する量産技術としては、TPMS(タイヤ空気圧監視装置)等があり、車両制御の為にタイヤ作用力を検出する方式も提案されている(例えば、特許文献1~3)。前記タイヤの作用力を検出する装置は、ホイール支持部(ハブ)とホイール間に、柱状部と板状部を有する弾性体を配置し、各部位に生じる応力、歪等の情報から、タイヤ接地面にかかる作用力を演算し検出する。この装置は、板状部に歪を増大させる応力集中部を設けるが、前記特許文献にその具体案は記載されていない。
上述した締結状態の確認のための方法および装置には、以下の問題がある。
(i)外観、打音による従来の確認手法では、ナット緩み、ボルト破損等の異常を走行中に検出できない。
(ii)点検者の経験則に基づく判定の場合、検出精度にばらつきがある。
(iii)車両の使用環境(積載量、加減速、旋回、路面状況、タイヤ状況、車両の劣化状況等)によって生じる外乱を加味した異常判定が困難である。
(iv)前述の前記特許文献に記載の装置の様に、ハブとホイール間に連結固定される弾性部材を設けることで、構造が複雑になり、コストが高く、車両重量、車軸幅の増加、および車両の支持剛性にも影響する。
(i)外観、打音による従来の確認手法では、ナット緩み、ボルト破損等の異常を走行中に検出できない。
(ii)点検者の経験則に基づく判定の場合、検出精度にばらつきがある。
(iii)車両の使用環境(積載量、加減速、旋回、路面状況、タイヤ状況、車両の劣化状況等)によって生じる外乱を加味した異常判定が困難である。
(iv)前述の前記特許文献に記載の装置の様に、ハブとホイール間に連結固定される弾性部材を設けることで、構造が複雑になり、コストが高く、車両重量、車軸幅の増加、および車両の支持剛性にも影響する。
この発明の目的は、走行中の車輪締結状態監視が可能で、かつ指定された車両走行条件の時に測定が行われることにより、外乱による影響を低減した異常判定が可能で、メンテナンス精度の向上、判定精度の向上、判定基準の定量化が図れる車輪締結状態の判定装置を提供することである。
以下、便宜上理解を容易にするために、実施形態の符号を参照して説明する。
この発明の一構成に係る車輪締結状態の判定装置は、車両1の車軸に車輪アセンブリ2Aが締結された車輪締結部2Aaに着脱可能に設置されたセンサユニット3であって、前記車輪締結部2Aaの締結状態に応じて変化する状態量を検出するセンサユニット3と、このセンサユニット3に信号の送受が可能に接続された情報処理装置4とを備える。
前記情報処理装置4が、前記車両1の制御系または通信系5から前記車両1の走行の状態に関する情報である車両状態データを読み込み、この車両状態データを考慮したタイミングで前記センサユニット3に測定を指示する測定指示部23と、前記センサユニット3から受信した測定データを、前記車両状態データの定められた項目につき過去に同一条件で測定して記憶した蓄積データと比較することで、前記車輪締結部2Aaの締結状態の異常を判定する情報処理部24とを有する。
この発明の一構成に係る車輪締結状態の判定装置は、車両1の車軸に車輪アセンブリ2Aが締結された車輪締結部2Aaに着脱可能に設置されたセンサユニット3であって、前記車輪締結部2Aaの締結状態に応じて変化する状態量を検出するセンサユニット3と、このセンサユニット3に信号の送受が可能に接続された情報処理装置4とを備える。
前記情報処理装置4が、前記車両1の制御系または通信系5から前記車両1の走行の状態に関する情報である車両状態データを読み込み、この車両状態データを考慮したタイミングで前記センサユニット3に測定を指示する測定指示部23と、前記センサユニット3から受信した測定データを、前記車両状態データの定められた項目につき過去に同一条件で測定して記憶した蓄積データと比較することで、前記車輪締結部2Aaの締結状態の異常を判定する情報処理部24とを有する。
この構成によると、車輪締結部2Aaに着脱可能に設置されて前記車輪締結部2Aaの締結状態に応じて変化する状態量を検出するセンサユニット3を用いる。そのため、走行中の車輪締結状態の監視が可能で、またセンサ類の車両への着脱が容易である。また、情報処理装置24が、車両状態データを読み込み、この車両状態データを考慮したタイミングで前記センサユニット3に測定を指示する測定指示部23とを有し、情報処理部24が、前記測定データを、前記車両状態データの定められた項目につき過去に同一条件で測定して記憶した蓄積データと比較することで、前記車輪締結部2Aaの締結状態の異常を判定する。指定された車両走行条件の時に測定が行われることにより、外乱による影響を低減した異常判定が可能で、判定精度の向上、判定基準の定量化、メンテナンス精度の向上が図れる。
なお、前記「車両状態データ」は、例えば、エンジン回転数、ステア角、タイヤ回転数(車速)、ブレーキ作動の状況、トランスミッションの使用ギア、イグニッションスイッチのオンオフ、アクセサリー系のみオンのいずれの状態であるか等の情報であり、これらエンジン回転数、ステア角、タイヤ回転数(車速)等が前記「項目」である。
また、前記「同一条件で測定」とは、厳密な同一を示すのではなく、例えば、アイドリング時、定常走行時(直進でかつ一定速度)、安定路面走行等の区別について同一であれば足りる。
また、前記「同一条件で測定」とは、厳密な同一を示すのではなく、例えば、アイドリング時、定常走行時(直進でかつ一定速度)、安定路面走行等の区別について同一であれば足りる。
好ましい実施形態において、さらに、前記センサユニット3と前記情報処理装置4との双方向の通信を行う無線通信手段16,22を備え、前記情報処理部24が、前記センサユニット3で測定した測定データを記録するデータ記憶部24aと、このデータ記憶部24aに記憶された測定データを用いて前記締結状態の異常の判定のための解析を行う信号解析部24bと、この信号解析部24bによる解析結果を用いて前記締結状態の異常を判定する状態判定部24cとを有する。この状態判定部24cは、画像を表示する表示部25に前記締結状態の異常の判定結果を表示するようにしても良い。
上記のようにセンサユニット3と情報処理装置4とが無線で通信されるようにした場合、回転する車輪2Aと固定側にある情報処理装置4との間の配線が簡素となる。また、前記情報処理部24が、前記データ記憶部24a、信号解析部24b、および状態判定部24cを有するため、前記判定精度をより一層向上させることができる。
好ましい実施形態において、前記センサユニット3が、前記車輪アセンブリ2Aの全周に渡り設けられ、前記車輪アセンブリ2Aのホイールをハブ6に取付ける複数のハブボルト7の各頭部7aとそれぞれ対応する複数のホイールナット8との間に介在し前記複数のハブボルト7とそれぞれ対応する前記複数のホイールナット8とによる締め付け力を受ける変形発生用のリング状のスペーサ状部材12であって、複数の周方向位相部位にそれぞれ形成され、前記複数のハブボルト7がそれぞれ挿通される複数のボルト孔11を有するスペーサ状部材12、および前記複数のボルト孔11のうちの少なくとも2つのボルト孔11の間に設けられて前記スペーサ状部材12の歪みを検出する少なくとも1つの歪センサ13を有しても良い。
この構成のセンサユニット3の場合、スペーサ状部材12の歪みを検出してホイールナット8の締結状態の異常を検出するため、車両の走行中の締結状態の異常を検出できる。歪みを生じさせるための前記スペーサ状部材12は、ハブボルト7の頭部7aとホイールナット8との間に介在させるリング状の部材であり、このスペーサ状部材12に歪センサ13を取付けた構成であるため、構造が簡単で、ホイール2の支持剛性への影響も小さい。また、センサの車両への着脱が容易であり、車両重量、車軸幅への影響を小さくできる。
好ましい実施形態において、前記センサユニット3が、さらに、温度を検出する温度センサ14および加速度を検出する加速度センサ15を有しても良い。
歪センサ13の歪みの検出値は温度によって変わるため、温度センサ14で温度を検出し、温度補正を行うことが、締結状態の異常判定の精度向上の上で好ましい。また、温度センサ14により、ブレーキ引きずり等による異常発熱の検知も可能になる。前記加速度センサ15によって、ハブベアリングの損傷や、タイヤパンク等の異常の検出も可能となる。
歪センサ13の歪みの検出値は温度によって変わるため、温度センサ14で温度を検出し、温度補正を行うことが、締結状態の異常判定の精度向上の上で好ましい。また、温度センサ14により、ブレーキ引きずり等による異常発熱の検知も可能になる。前記加速度センサ15によって、ハブベアリングの損傷や、タイヤパンク等の異常の検出も可能となる。
好ましい実施形態において、前記センサユニット3の前記前記スペーサ状部材12は、前記少なくとも2つのボルト孔11の間の周方向位相部位に、前記歪センサ13、この歪センサ13の検出信号を通信する通信装置16、並びに前記歪センサ13および前記通信装置16に通電する電源17が設けられても良い。
前記歪センサ13の検出やその検出信号の通信のためには通信装置16や電源17が必要であるが、スペーサ状部材12のボルト孔11の間の周方向位相部位に前記通信装置16および電源17を配置することで、センサユニット3をコンパクトに構成することができる。前記スペーサ状部材12は、ボルト孔11の存在する周方向位相部位では締め付けのためにある程度の肉厚が必要であるが、2つのボルト孔11の間の周方向位相部位は薄くても良い。そのため、例えば、この薄くすることで生じる空間内に前記通信装置16や電源17を配置することで、センサユニット3の全体としての肉厚を厚くすることなく、通信装置16および電源17を配置することができる。
好ましい実施形態において、前記スペーサ状部材12は、前記ボルト孔11の間の位相部位が薄肉部12bであっても良い。
このように薄肉部12bを設けることで、センサや、通信装置16、電源17等の実装部位として利用し、その実装したセンサ等をスペーサ状部材12の全体の肉厚から突出しないようにできる。そのため、前記スペーサ状部材12を支障なく部材間に挟み込むことができる。また、前記薄肉部12bを設けることで歪を集中させることができ、歪みの検出の感度を向上させ、締結状態の異常判定の精度を向上させることができる。
このように薄肉部12bを設けることで、センサや、通信装置16、電源17等の実装部位として利用し、その実装したセンサ等をスペーサ状部材12の全体の肉厚から突出しないようにできる。そのため、前記スペーサ状部材12を支障なく部材間に挟み込むことができる。また、前記薄肉部12bを設けることで歪を集中させることができ、歪みの検出の感度を向上させ、締結状態の異常判定の精度を向上させることができる。
さらに好ましい実施形態において、前記スペーサ状部材12は、前記少なくとも2つのボルト孔11の間の前記薄肉部12bである前記周方向位相部位の一部に、歪集中部となる最薄部12cを有し、前記少なくとも1つの歪みセンサがこの最薄部12cの歪みを検出しても良い。
このように最薄部12cを設けることで、スペーサ状部材12の歪みがより一層集中し、歪みの検出の感度の向上、締結状態の異常判定の精度をより一層向上させることができる。
このように最薄部12cを設けることで、スペーサ状部材12の歪みがより一層集中し、歪みの検出の感度の向上、締結状態の異常判定の精度をより一層向上させることができる。
好ましい実施形態において、前記少なくとも1つの歪みセンサが、前記スペーサ状部材12に取付けられてこのスペーサ状部材12の変形により歪むダイヤフラム13aと、このダイヤフラム13aに取付けられてこのダイヤフラム13aの歪みを検出するセンサ素子13bとで構成されても良い。
スペーサ状部材自体12に薄肉部12bを設けるのではなく、上記のようにダイヤフラム13aを設けてもスペーサ状部材12の歪みを感度良く検出することができる。
スペーサ状部材自体12に薄肉部12bを設けるのではなく、上記のようにダイヤフラム13aを設けてもスペーサ状部材12の歪みを感度良く検出することができる。
好ましい実施形態において、前記測定指示部23が前記センサユニット3に測定を指示する頻度および条件は、任意に設定されても良い。
車両の使用の形態はユーザ等によって大きく変わるため、使用の形態に応じた条件で異常の判定のための測定が行われるようにすることが便利である。
車両の使用の形態はユーザ等によって大きく変わるため、使用の形態に応じた条件で異常の判定のための測定が行われるようにすることが便利である。
この発明の他の構成に係る車輪締結状態の判定装置は、車両の車軸に車輪アセンブリが締結された車輪締結部に着脱可能に設置されたセンサユニットであって、前記車輪締結部の締結状態に応じて変化する状態量を検出するセンサユニットと、プロセッサを含み、前記センサユニットに信号の送受が可能に接続された情報処理装置とを備える。
前記プロセッサは、前記車両の制御系または通信系から前記車両の走行の状態に関する情報である車両状態データを読み込み、この車両状態データを考慮したタイミングで前記センサユニットに測定を指示し、
前記センサユニットから受信した測定データを、前記車両状態データの定められた項目につき過去に同一条件で測定して記憶した蓄積データと比較することで、前記車輪締結部の締結状態の異常を判定するように、プログラムされている。
前記センサユニットから受信した測定データを、前記車両状態データの定められた項目につき過去に同一条件で測定して記憶した蓄積データと比較することで、前記車輪締結部の締結状態の異常を判定するように、プログラムされている。
請求の範囲および/または明細書および/または図面に開示された少なくとも2つの構成のどのような組合せも、本発明に含まれる。特に、請求の範囲の各請求項の2つ以上のどのような組合せも、本発明に含まれる。
この発明は、添付の図面を参考にした以下の好適な実施形態の説明から、より明瞭に理解されるであろう。しかしながら、実施形態および図面は単なる図示および説明のためのものであり、この発明の範囲を定めるために利用されるべきものではない。この発明の範囲は添付の請求の範囲によって定まる。添付図面において、複数の図面における同一の符号は、同一または相当する部分を示す。
この発明の第1の実施形態に係る車輪締結状態の判定装置の概要を示す説明図である。
図1の判定装置における車輪アセンブリのセンサユニットの取付部を示す破断斜視図である。
図2のセンサユニットのホイールへの取付形態の第1の例を示す部分斜視図である。
図2のセンサユニットのホイールへの取付形態の第2の例を示す部分斜視図である。
図2のセンサユニットのホイールへの取付形態の第3の例を示す部分斜視図である。
図2のセンサユニットの正面図である。
図2のセンサユニットにおける薄肉部の形態の第1の例を表側および裏側から示す部分斜視図である。
図2のセンサユニットにおける薄肉部の形態の第2の例を表側および裏側から示す部分斜視図である。
図2のセンサユニットにおける薄肉部の形態の第3の例を表側および裏側から示す部分斜視図である。
図1の判定装置の概念構成の概要を示すブロック図である。
図1の判定装置の概念構成を具体的に示すブロック図である。
図1の判定装置の事前準備のフローをブロック構成で示すフローチャートである。
図1の判定装置の運転中のフローをブロック構成でフローチャートである。
図2のセンサユニットにおける歪センサの一例を示す断面図である。
図10の歪センサのセンサユニットへの取付の第1の例を示す断面図である。
図10の歪センサのセンサユニットへの取付の第2の例を示す断面図である。
この発明の第1の実施形態を図面と共に説明する。図1に、第1の実施形態に係る、車輪締結状態の判定装置Sを大型商用車に採用したシステムの全体を示す。この車輪締結状態の判定装置Sは、車両1の車輪アセンブリ2Aを車軸に締結する車輪締結部2Aaに搭載されたスペーサ型のセンサユニット3と、情報処理装置4とで構成される。図1において、車両1は、大型商用車であるトラックである。センサユニット3は、前記車輪締結部2Aaの締結状態に応じて変化する歪み等の状態量を検出する。情報処理装置4は、車載器4A、または携帯端末4などの通信端末4B等で構成される。情報処理装置4は、車両に搭載されたECUおよびCANを利用して、車両情報データの抽出、設定されたタイミングでの測定指示、各センサユニット3の測定データの保存、締結状態の演算、異常の判定、および異常要因の推定等を行う。車載器4Aは、車載型のコンピュータ等である。通信端末4Bは、情報処理機能を備えた所謂スマートフォン等の携帯電話器、または携帯性を持つ車輪締結状態の判定専用、または他のメンテナンス用途を含むメンテナンス専用の端末機である。
情報処理装置4は、車両1の制御・通信系5に接続されている。ここで言う「制御・通信系」は、車両1のメインのECU(電気制御ユニット)等の制御系と、CAN(controller area network )等で構成される車載ネットワーク等の通信系とを含む。情報処理装置4は、速度センサ等の車両状態データを検出する手段に、制御系を介することなく直接に通信系で接続されていても良い。情報処理装置4とセンサユニット3とは、後に説明するように無線で接続されている。
図2は、前記車両1が大型商用車である場合に、後軸ダブルホイール部に前記センサユニット3を実装した図であって、その回転軸線を通る面にて切断して示す断面図である。車輪アセンブリ2Aでは、ハブ6のフランジ6aの片面に2つのホイール2,2を互いに反対に向けて重ね、フランジ6aの他の片面にブレーキドラム9を重ねている。これらホイール2,2とブレーキドラム9とを、ハブボルト7の頭部7aとホイールナット8との間に挟み込んで締め付け固定している。これらホイール2,2をハブ6のフランジ6aにハブボルト7の頭部7aとホイールナット8とでとの間で挟み込んで締め付ける箇所に、車輪アセンブリ2Aを車軸(図示せず)に締結する車輪締結部2Aaが構成される。ハブボルト7は、ハブ6の円周方向の複数箇所に設けられ、前記フランジ6a、ホイール2,2、およびブレーキドラム9に設けられたボルト孔に挿通されている。なお、前記ハブ6は、車軸(図示せず)の外周に設置されるが、ハブベアリング(すなわち車輪用軸受)の一部を構成する部品であっても、ハブベアリングとは別に設けられた部品であっても良い。各ホイール2,2の外周にはタイヤ10が設けられ、ホイール2とタイヤ10とで車輪アセンブリ2Aが構成される。
センサユニット3は、ホイール2と同心の円形のリング状で板状の部品であり、この例では2つのホイール2,2間に位置して、前記各ハブボルト7の頭部7aとホイールナット8の間に介在し、これらハブボルト7とホイールナット8とで締め付けられている。センサユニット3は、円周方向の複数箇所にボルト孔11(図1)を有し、これらボルト孔11にハブボルト7が挿通されている。
図3A~3Cは、図2におけるセンサユニット3のホイールナット8による締め付け部を拡大して示す。
センサユニット3は、図3Aの第1の取付例のように、2つのホイール2,2の間に配置されても良い。代わりに、図3Bの第2の取付例のように、ホイール2とホイールナット8との間に配置されても良い。さらに代わりに、図3Cの第2の取付例のようにハブ6のフランジ6aとホイール2との間に配置されても良い。
センサユニット3は、図3Aの第1の取付例のように、2つのホイール2,2の間に配置されても良い。代わりに、図3Bの第2の取付例のように、ホイール2とホイールナット8との間に配置されても良い。さらに代わりに、図3Cの第2の取付例のようにハブ6のフランジ6aとホイール2との間に配置されても良い。
なお、センサユニット3は、ハブボルト7の頭部7aとホイールナット8との間であれば、ハブ6のフランジ6aとブレーキドラム9との間や、ブレーキドラム9とハブボルト7の頭部7aとの間など、ハブボルト7の頭部7aとハブ6のフランジ6aとの間に配置しても良いが、一般的にハブボルト7はハブ6のフランジ6aのボルト孔に圧入して固定されるため、ハブ6のフランジ6aよりもホイールナット8側に配置されるのが好ましい。
また、図3A~3Cの各例ではスペーサ型のセンサユニット3は後輪ダブルホイール部に配置されているが、この車輪締結状態の判定装置が適用される車輪アセンブリ2Aは、前輪のシングルタイヤ仕様であっても良い。
図4に、センサユニット3を示す。このセンサユニット3は、リング状で板状のスペーサ状部材12と、このスペーサ状部材12に取付けられた1つまたは複数の歪センサ13とを有する。歪センサ13は、例えば箔ひずみゲージ、線ひずみゲージ、半導体ひずみゲージである。スペーサ状部材12には、ホイール2等の部品の状態を検知する状態検知センサ21として、歪センサ13の他に、温度センサ14および加速度センサ15が取付けられる。この他に、ジャイロや回転センサ(いずれも図示せず)が設けられても良い。なお、前記状態検知センサ21は、前記各センサの総称である。また、スペーサ状部材12には、通信装置16および電源17が搭載される。この例では、通信装置16と電源17とを纏めて一つの部品とした電源・通信ユニット18が用いられている。
スペーサ状部材12は、ハブの各部位のハブボルト7とホイールナット8とによる締め付け力の差によって変形を生じさせるための部材であり、前述のように、各ハブボルト7を挿通させるボルト孔11が設けられている。スペーサ状部材12の材質については、鉄合金の様に高強度、かつ高剛性の金属材料で形成されていても、またアルミニウム合金の様に弾性が比較的高い金属材料にて形成されても良い。
スペーサ状部材12は後述する厚肉部12aを有する。スペーサ状部材12は、前記ホイールナット8の最外径内の領域では凹みおよび欠如部分のいずれもが存在しない形状であり、この領域は厚肉部12aに構成される。この形状とすることで、ホイールナット8の締付によってホイール2の締結に関係する部材にかかる軸力を損なわず、強固に連結が可能になる。なお、ホイールナット8がワッシャ部(図示せず)を一体に有する場合は、前記最外径は、前記ワッシャ部を含む最外径である。
スペーサ状部材12はさらに、薄肉部12bを有する。ボルト孔11の存在する位相部位、つまりボルト孔11の周囲の部分は厚肉部12aであるのに対して、ボルト孔11間の位相部位は薄肉部12bである。
薄肉部12bは、スペーサ状部材12の両主面が前記厚肉部12aよりも凹む形状であっても、スペーサ状部材12の一方の主面のみが厚肉部12aよりも凹む形状であっても良い。この薄肉部12bであるボルト孔11間の位相部位に、前記歪センサ13、温度センサ14、加速度センサ15等のセンサや、前記通信装置16、電源17、ならびに電源・通信ユニット18が実装される。なお、図4に示すように、スペーサ状部材12の一方の主面の内周部は、全周にわたる薄肉部であり、配線に利用されている。
スペーサ状部材12は、さらに、薄肉部12bである位相部位の一部に、例えば図5A~5Cに示すように、歪集中部となる最薄部12cを有しても良い。
図5Aの第1の例では、薄肉部12bはスペーサ状部材12の両主面が厚肉部12aに対して凹んでおり、かつスペーサ状部材12の表側の面ではボルト孔11間の位相部位の中央に厚肉部12aと同一平面となる中間突条部12dが半径方向に延びて設けられることで、薄肉部12bが円周方向に並ぶ2か所に分割されている。その各分割箇所に半径方向に延びる溝が形成されて、その溝の底部分が前記最薄部12cである。そして、これら最薄部12cが、センサ実装位置12eである。
図5Bおよび5Cの第2および第3の例では、いずれも図5Aの中間突条部12dが存在せず、薄肉部12bはボルト孔11間の位相部位の全体に続く。図5Bの第2の例では、薄肉部12bにおける円周方向の中央に、半径方向に延びる溝が形成されて、その溝の底部分が前記最薄部12cである。図5Cの第3の例では図5Bの第2の例と同じく溝によって最薄部12cが形成されているが、最薄部12cはボルト孔11間の中央よりも円周方向に偏っている。図5Bおよび5Cにおいて、最薄部12cが、センサ実装位置12eである。
薄肉部の形態の第1~第3の例において、前記歪センサ13(図4)は、最薄部12cの裏側、すなわち最薄部12cを構成する溝とは反対側の主面に取付けられても良い。代わりに、最薄部12cの溝の底部に取付けられても良い。いずれにしても、前記歪センサ13は、この最薄部12cに集中した歪みを検出する。
なお、図5A~5Cの各図は、図示した位相部分を表と裏で反転させて示しており、そのため表を示す図と裏を示す図とで、最薄部12cの位置が反転されて表れている。
なお、図5A~5Cの各図は、図示した位相部分を表と裏で反転させて示しており、そのため表を示す図と裏を示す図とで、最薄部12cの位置が反転されて表れている。
スペーサ状部材12は、図10の歪みセンサの一例に示すように、歪みを検出するダイヤフラム型の歪センサ13をスペーサ状部材12に実装しても良い。このダイヤフラム型の歪セン13は、ダイヤフラム13aと、このダイヤフラム13aの歪みを検出するセンサ素子13bとで構成される。また、図11Aおよび11Bに取付の第1および第2の例をそれぞれ示すように、スペーサ状部材12自体に最薄部12cを設け、ここに前記のダイヤフラム13aとセンサ素子13aとでなる歪センサ13を設けてもよい。
また、スペーサ状部材12は、上記の各例では1枚で構成したが、複数枚のスペーサ状部材構成材(図示せず)を組み合わせて一つのスペーサ状部材としても良い。
図6は、この車輪締結状態の判定装置のシステム構成を示すブロック図である。センサユニット3は、各車輪アセンブリ2A毎に設けられている。各センサユニット3は、歪センサ13、温度センサ14、加速度センサ15を含む状態検知センサ21と、これらの状態検知センサ21の検出データの通信を行う通信装置16とを備えている。なお、ダブルホイールの場合は、図2および図3A~3Cに示したように、そのダブルホイールを構成する2つのホイール2,2に対して一つのセンサユニット3が設けられる。
情報処理装置4は、前記各センサユニット3の通信装置16と通信を行う通信装置22を備える。
情報処理装置4は、前記各センサユニット3の通信装置16と通信を行う通信装置22を備える。
図7に示すように、車載器4Aまたは通信端末4B等の情報処理装置4は、複数のセンサユニット3に対して、例えば1台の車両に設けられた全てのセンサユニット3に対して、1台設けられる。なお、図7において、車輪アセンブリ2Aおよびセンサユニット3のブロック内に示した「A~Z」の符号は、車輪アセンブリ2Aおよびセンサユニット3からなる個々のペアを識別する符号であり、車輪アセンブリ2Aとその車輪アセンブリ2Aに設けられたセンサユニット3には、同一の符号「A~Z」を付してある。なお、図7において矢印は検出データの流れを示す。
情報処理装置4は、前記のように前記通信装置22により複数のセンサユニット3に接続される。さらに、同じ通信装置22を介して、前記ECUおよびCANを含む制御・通信系5に、その通信装置26で接続されている。センサユニット3、情報処理装置4、および制御・通信系5がそれぞれ有する前記通信装置16(図6),22,26は、近距離無線通信の規格(例えばブルートゥ-ス(登録商標))に応じて無線通信を行う。
情報処理装置4は、コンピュータとプログラムとで主に構成される。情報処理装置4は、前記通信装置22に加えて、測定指示部23、情報処理部24、および表示部25を有する。表示部25は、液晶表示装置等からなる画面に画像を表示する手段である。表示部25は、前記情報処理部24で判定された結果や異常要因等を画面に表示する。すなわち、情報処理装置4のプロセッサは、測定指示部23、情報処理部24および表示部25を実行するようにプログラムされている。
測定指示部23は、前記ECUおよびCANを含む制御・通信系5から、OBD2(On Board Diagnosis second generation)等を介して、または直接に、車両の走行の状態に係る情報である車両状態データを読み込み、この車両状態データから、状態判定に適した走行条件時等の定められたタイミングでセンサユニット3に測定を指示し、かつその測定データを受信する。
測定指示部23が従う前記「定められたタイミング」は、例えば、アイドリング時、定常走行時(直進でかつ一定速度)、安定路面走行時等である。常時測定ではなく、測定に適した時のみの測定することにより、センサユニット3側の消費電力が削減される。
測定指示部23が従う前記定められたタイミングのために用いられる、例えば測定する時間の間隔、および/または測定する車両走行条件は、随意に設定および更新可能である。この設定や更新は、例えば車載器4Aまたは通信端末4B等が有する手入力を受け付ける入力手段(図示せず)からの操作によって行える。前記入力手段は、例えばキースイッチや、前記表示部25の画面上に設けられるタッチパネル等である。
情報処理部24は、前記測定データである歪センサ13の検出データから所定の基準に従い前記ホイールナット8の締結状態の異常を判定する。情報処理部24は、個々のセンサユニット3毎に、ホイールナット8の締結状態の異常を判定する。
情報処理部24は、データ記憶部24a、信号解析部24b、および状態判定部24cを有する。データ記憶部24aが、センサユニット3から送信された、歪センサ13等の状態検知センサ21の検出信号、およびその他の定められた情報を記憶する。このデータ記憶部24aは、測定した過去のデータも、その測定したときの車両状態データと関連付けて蓄積する。データ記憶部24aは、例えばSDカード等の可搬の記憶媒体で構成されていても良い。
信号解析部24bは、締結状態の異常の判定のために必要な前処理となる信号の解析を行う。状態判定部24cは、信号解析部24bで解析された情報を用い、ホイールナット8の締結状態の異常を判定する。状態判定部24cは、さらに、前記信号解析部24bで解析された情報を用いて異常要因を突き止める。異常要因は、前記信号解析部24bで突き止めても良い。
信号解析部24bは、この実施形態では、ホイールナット8の締結状態の異常の判定に加えて、温度センサ14の検出温度を用いて歪みの温度ドリフト補正を行う機能、および温度センサ14の検出温度から、ブレーキ引きずり等によるホイール2の異常発熱の検出が可能である。信号解析部24bはさらに、加速度センサ15の検出データからハブベアリング(図示せず)の損傷やタイヤ10のパンク等の異常を検出する機能を備える。
情報処理部24は、より詳しくは、前記測定データを、前記車両状態データの定められた項目につき過去に同一条件で測定してデータ記憶部24aに記憶した蓄積データと比較することで、前記車輪締結部2Aaの締結状態の異常を判定する。
具体的には、前記信号解析部24bが、ホイール2の回転における各周方向位相の測定データ変動量を各車輪アセンブリ2Aの過去データと比較する。次に、状態判定部24cが、異常を判定すると共に異常の要因を推定する。例えば、以下のように推定する。
(1) 一輪の限定された周方向位相のみ異常傾向を示した場合は、ホイールナット8の緩みやハブボルト7の破損等の締結異常と推定する。
(2) 限られた車輪のみの全ての周方向位相で異常傾向を示した場合は、パンクや、軸受もしくはブレーキの異常、例えば異常発熱等と推定する。
(3) 全ての車輪が異常傾向を示した場合は、過積載、もしくは外乱(路面状況等)の影響と推定する。
(1) 一輪の限定された周方向位相のみ異常傾向を示した場合は、ホイールナット8の緩みやハブボルト7の破損等の締結異常と推定する。
(2) 限られた車輪のみの全ての周方向位相で異常傾向を示した場合は、パンクや、軸受もしくはブレーキの異常、例えば異常発熱等と推定する。
(3) 全ての車輪が異常傾向を示した場合は、過積載、もしくは外乱(路面状況等)の影響と推定する。
上記構成の車輪締結状態の判定装置によると、スペーサ型のセンサユニット3を車輪締結部2Aaに挟み込む様に設置し、締結状態等を演算する為のデータを測定する。車載器4Aもしくは通信端末4B等の情報処理装置4は、ECUおよび/またはCANから車両走行情報(スタートキー等の電源のオンオフ、エンジン回転数、ステア角、タイヤ回転数、ブレーキ作動の状況、トランスミッションの使用ギア等…)を読み込み、定められたタイミングである判定に適した走行状態(定常走行時等)にて、センサユニット3の測定データを記憶する。停止時、走行時(回転時)等における各周方向位相の測定データを、各車輪アセンブリ2Aの過去データ等と比較し、また、各測定時に全車輪アセンブリ2Aの測定データの相互関係を確認することで、外乱を加味した異常判定と、異常要因を推定する。
このように測定および判定を行うため、走行中の車輪締結部2Aaの車輪締結状態、および車輪締結部2Aaの周辺構成部品の状態監視が可能である。また、センサユニット3は車両への着脱が容易で、車両重量、車軸幅、支持剛性への影響が小さい。情報処理部24は、測定指示部23による指示に従って測定されたデータを用いるため、指定された車両走行条件の時に測定が行われることにより、外乱による影響を低減した異常判定が可能である。また、メンテナンス精度が向上し、判定精度が向上し、判定基準が定量化される。
図8は、本実施形態に係る、車輪締結状態の判定装置の事前準備(セットアップ)における使用方法および動作の示すフローをブロック構成で示す図である。図8を用いて、判定装置の動作および構成の補足説明を行う。
まず、図8の上段に示すように、車輪アセンブリ2Aに対してセンサユニット3をハブ6とホイールナットの8(図3)間に組付け、正規締付トルクでホイールナット8を組付ける。
センサユニット3では、内蔵の各状態検知センサ21(図4、図6)でホイール2等の部品の状態を測定し、その測定データを通信端末4Bまたは車載器4A等に送信する。
通信端末4Bまたは車載器4Aでは、測定データをセンサユニット3から受信する。また、車種、部位の情報のインプット、および異常判定の基準データとして、前記測定データをデータ記憶部24aに記憶する。車種、部位の情報のインプットは、通信端末4Bまたは車載器4A等が持つ入力機器部から行っても良く、またセンサユニット3に初期設定用のデータとして記憶させておいて、その記憶データを通信端末4Bまたは車載器4Aに送信させ、その受信データがインプットされても良い。
センサユニット3では、内蔵の各状態検知センサ21(図4、図6)でホイール2等の部品の状態を測定し、その測定データを通信端末4Bまたは車載器4A等に送信する。
通信端末4Bまたは車載器4Aでは、測定データをセンサユニット3から受信する。また、車種、部位の情報のインプット、および異常判定の基準データとして、前記測定データをデータ記憶部24aに記憶する。車種、部位の情報のインプットは、通信端末4Bまたは車載器4A等が持つ入力機器部から行っても良く、またセンサユニット3に初期設定用のデータとして記憶させておいて、その記憶データを通信端末4Bまたは車載器4Aに送信させ、その受信データがインプットされても良い。
図8の下段に示すように、ECUおよびCANを含む制御・通信系5と、通信端末4Bまたは車載器4A等である情報処理装置4との通信に関しては、前記通信装置26(図7)をOBD2等に装着し、アイドリング時や定常走行時等の車両状態データを前記制御・通信系5から出力する。
通信装置26は、前記車両状態データを、通信端末4Bまたは車載器4A等である情報処理装置4へ送信する。
上記車両状態データは、エンジン回転数、ステア角、タイヤ回転数(車速)、ブレーキ作動の状況、等である。
通信端末4Bまたは車載器4A等である情報処理装置4は、車種データベース(図示せず)等から車両情報の出力データ形式等を読み込み、前記通信装置26から送られた車両状態データの受信を確認して、データ測定タイミングをセットアップする。データ測定タイミングは、例えばアイドリング時や、定常走行時である。代わりに、測定間隔が設定されても良い。
通信装置26は、前記車両状態データを、通信端末4Bまたは車載器4A等である情報処理装置4へ送信する。
上記車両状態データは、エンジン回転数、ステア角、タイヤ回転数(車速)、ブレーキ作動の状況、等である。
通信端末4Bまたは車載器4A等である情報処理装置4は、車種データベース(図示せず)等から車両情報の出力データ形式等を読み込み、前記通信装置26から送られた車両状態データの受信を確認して、データ測定タイミングをセットアップする。データ測定タイミングは、例えばアイドリング時や、定常走行時である。代わりに、測定間隔が設定されても良い。
図9は、本実施形態に係る、車輪締結状態の判定装置の運転中における使用方法および動作のフローをブロック構成で示す図である。なお、図9において、通信端末4Bまたは車載器4A等である情報処理装置4が行う処理については、この情報処理装置4のいずれの構成要素が行うかが明確になるように、以下に、測定指示部23、データ記憶部24a、信号解析部24b、および状態判別部24cのいずれによって処理されるかを明記する。
通信端末4Bまたは車載器4A等である情報処理装置4は、ECUおよびCANを含む制御・通信系5から車両状態データを受信し、測定指示部23が、設定条件時に、すなわち前記定められたタイミングにおいて、各センサユニット3へデータ測定指示を出力する。前記設定条件時は、例えばアイドリング時や直進の定常走行時である。代わりに、測定指示部23は、設定された間隔ごとにデータ測定指示を出力しても良い。
このデータ測定指示に応答して、各センサユニット3が、搭載の状態検知センサ21(歪センサ13および温度センサ14など)により、部品の状態を測定する。測定事項は、歪および温度であり、さらに加速度等である。
この測定データを、通信端末4Bまたは車載器4A等である情報処理装置4へ送信する。
この測定データを、通信端末4Bまたは車載器4A等である情報処理装置4へ送信する。
通信端末4Bまたは車載器4A等である情報処理装置4では、前記測定データを受信すると、歪データ(データ記憶部24a)を温度データによって温度補正し(信号解析部24b)、その補正後の歪データを用いて締結異常の判定処理を行う(状態判定部24c)。また、温度データ(データ記憶部24a)によって異常発熱の判定処理を行う(状態判定部24c)。前述の測定部位のインプットされた固有情報(データ記憶部24a)から、その部位についての過去の測定データを抽出し(データ記憶部24a)、前記締結異常の判定処理(状態判定部24c)、および異常発熱の判定処理(状態判定部24c)に用いる。
センサユニット3が加速度センサ15を有する場合は、受信した加速度データ(データ記憶部24a)から周波数解析を行い(信号解析部24b)、ホイール2の周辺部品の異常判定の処理を行う(状態判定部24c)。この処理にも前述の抽出された過去測定データ(データ記憶部24a)が用いられる。
前記各判定の処理では、データに異常があるか否かを判定する(状態判定部24c)。例えば、データが閾値を超えているか、またセンサユニット3の複数の他の箇所に設けられた同一種類の状態検知センサ21の検出データと異なる傾向があるか、過去の測定データと異なる傾向があるか否かを判定する(状態判定部24c)。また、異常要因の推定を行う。
異常なしの場合は表示部25に「異常なし」と表示し、異常有りの場合は「異常」と表示する(状態判定部24c)。また、各測定データおよび判定結果を保存する(データ記憶部24a)。
異常なしの場合は表示部25に「異常なし」と表示し、異常有りの場合は「異常」と表示する(状態判定部24c)。また、各測定データおよび判定結果を保存する(データ記憶部24a)。
このように、この車輪締結状態の判定装置によると、次の各効果が得られる。
(i)走行中等の稼働中に車輪締結状態(ホイールナット8の緩み等)、および周辺構成部品の状態監視が可能である。
(ii)センサユニットは車両への着脱が容易で、車両重量、車軸幅、支持剛性への影響が小さい。
(iii)指定された車両走行条件の時に測定が行われることにより、外乱による影響を低減した異常判定が可能である。
(iv)メンテナンス精度が向上し、判定精度が向上し、判定基準が定量化される。
(i)走行中等の稼働中に車輪締結状態(ホイールナット8の緩み等)、および周辺構成部品の状態監視が可能である。
(ii)センサユニットは車両への着脱が容易で、車両重量、車軸幅、支持剛性への影響が小さい。
(iii)指定された車両走行条件の時に測定が行われることにより、外乱による影響を低減した異常判定が可能である。
(iv)メンテナンス精度が向上し、判定精度が向上し、判定基準が定量化される。
以上、実施形態に基づいてこの発明を実施するための形態を説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1:車両
2A:車輪アセンブリ
2Aa…車輪締結部
3:センサユニット
4:情報処理装置
23:測定指示部
24:情報処理部
2A:車輪アセンブリ
2Aa…車輪締結部
3:センサユニット
4:情報処理装置
23:測定指示部
24:情報処理部
Claims (10)
- 車両の車軸に車輪アセンブリが締結された車輪締結部に着脱可能に設置されたセンサユニットであって、前記車輪締結部の締結状態に応じて変化する状態量を検出するセンサユニットと、
このセンサユニットに信号の送受が可能に接続された情報処理装置とを備えた、車輪締結状態の判定装置であって、
前記情報処理装置が、
前記車両の制御系または通信系から前記車両の走行の状態に関する情報である車両状態データを読み込み、この車両状態データを考慮したタイミングで前記センサユニットに測定を指示する測定指示部と、
前記センサユニットから受信した測定データを、前記車両状態データの定められた項目につき過去に同一条件で測定して記憶した蓄積データと比較することで、前記車輪締結部の締結状態の異常を判定する情報処理部とを有する車輪締結状態の判定装置。 - 請求項1に記載の車輪締結状態の判定装置において、さらに、
前記センサユニットと前記情報処理装置との双方向の通信を行う無線通信手段を備え、
前記情報処理部が、
前記センサユニットで測定した測定データを記録するデータ記憶部と、
このデータ記憶部に記憶された測定データを用いて前記締結状態の異常の判定のための解析を行う信号解析部と、
この信号解析部による解析結果を用いて前記締結状態の異常を判定する状態判定部であって、画像を表示する表示部に前記締結状態の異常の判定結果を表示する状態判定部とを有する車輪締結状態の判定装置。 - 請求項1または請求項2に記載の車輪締結状態の判定装置において、
前記センサユニットが、
前記車輪アセンブリの全周に渡り設けられ、前記車輪アセンブリのホイールをハブに取付ける複数のハブボルトの各頭部とそれぞれ対応する複数のホイールナットとの間に介在し前記複数のハブボルトとそれぞれ対応する前記複数のホイールナットとによる締め付け力を受ける変形発生用のリング状のスペーサ状部材であって、複数の周方向位相部位にそれぞれ形成され、前記複数のハブボルトがそれぞれ挿通される複数のボルト孔を有するスペーサ状部材、および
前記複数のボルト孔のうちの少なくとも2つのボルト孔の間に設けられて前記スペーサ状部材の歪みを検出する少なくとも1つの歪センサを有する車輪締結状態の判定装置。 - 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のホイールナット緩み検出装置において、
前記センサユニットが、さらに、
温度を検出する温度センサ、および
加速度を検出する加速度センサを有する車輪締結状態の判定装置。 - 請求項3または請求項3に従属する請求項4に記載の車輪締結状態の判定装置において、前記スペーサ状部材は、前記少なくとも2つのボルト孔の間の周方向位相部位に、前記歪センサ、この歪センサの検出信号を通信する通信装置、並びに前記歪センサおよび前記通信装置に通電する電源が設けられた車輪締結状態の判定装置。
- 請求項3または請求項3に従属する請求項4もしくは請求項5に記載の車輪締結状態の判定装置において、前記スペーサ状部材は、前記ボルト孔の間の位相部位が薄肉部である車輪締結状態の判定装置。
- 請求項6に記載のホイールナット緩み検出装置において、前記スペーサ状部材は、前記少なくとも2つのボルト孔の間の前記薄肉部である前記周方向位相部位の一部に、歪集中部となる最薄部を有し、前記少なくとも1つの歪みセンサがこの最薄部の歪みを検出する車輪締結状態の判定装置。
- 請求項3または請求項3に従属する請求項4ないし請求項7のいずれか1項に記載の車輪締結状態の判定装置において、前記少なくとも1つの歪みセンサが、前記スペーサ状部材に取付けられてこのスペーサ状部材の変形により歪むダイヤフラムと、このダイヤフラムに取付けられてこのダイヤフラムの歪みを検出するセンサ素子とで構成される車輪締結状態の判定装置。
- 請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の車輪締結状態の判定装置において、前記測定指示部が前記センサユニットに測定を指示する頻度および条件は、任意に設定される車輪締結状態の判定装置。
- 車両の車軸に車輪アセンブリが締結された車輪締結部に着脱可能に設置されたセンサユニットであって、前記車輪締結部の締結状態に応じて変化する状態量を検出するセンサユニットと、
プロセッサを含み、前記センサユニットに信号の送受が可能に接続された情報処理装置とを備えた、車輪締結状態の判定装置であって、
前記車両の制御系または通信系から前記車両の走行の状態に関する情報である車両状態データを読み込み、この車両状態データを考慮したタイミングで前記センサユニットに測定を指示し、
前記センサユニットから受信した測定データを、前記車両状態データの定められた項目につき過去に同一条件で測定して記憶した蓄積データと比較することで、前記車輪締結部の締結状態の異常を判定するように、前記プロセッサがプログラムされている、車輪締結状態の判定装置。
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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121 | Ep: the epo has been informed by wipo that ep was designated in this application |
Ref document number: 16772468 Country of ref document: EP Kind code of ref document: A1 |
|
NENP | Non-entry into the national phase |
Ref country code: DE |
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122 | Ep: pct application non-entry in european phase |
Ref document number: 16772468 Country of ref document: EP Kind code of ref document: A1 |