JP2007106325A - タイヤ情報取得装置およびタイヤ情報取得方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】タイヤに作用するタイヤ幅方向における横力を精度よく取得可能とするタイヤ情報取得装置およびタイヤ情報取得方法の提供。
【解決手段】車両10は、タイヤ18に対して少なくともタイヤ幅方向の異なる位置に複数配設されており、それぞれタイヤ18の周方向における加速度を検出する加速度センサ26と、ECU100とを備え、ECU100は、タイヤ18の各加速度センサ26の検出値に基づいて、タイヤ18の車両前後方向における接地長を取得すると共に、取得した接地長に基づいてタイヤ18に作用するタイヤ幅方向における横力を取得し、更に、車両10の前後方向における加速度に基づいて取得した横力を補正する。
【選択図】図1
【解決手段】車両10は、タイヤ18に対して少なくともタイヤ幅方向の異なる位置に複数配設されており、それぞれタイヤ18の周方向における加速度を検出する加速度センサ26と、ECU100とを備え、ECU100は、タイヤ18の各加速度センサ26の検出値に基づいて、タイヤ18の車両前後方向における接地長を取得すると共に、取得した接地長に基づいてタイヤ18に作用するタイヤ幅方向における横力を取得し、更に、車両10の前後方向における加速度に基づいて取得した横力を補正する。
【選択図】図1
Description
本発明は、車両のタイヤに関連する情報を取得するためのタイヤ情報取得装置およびタイヤ情報取得方法に関する。
従来から、トレッド部、サイドウォール部、ビード部の少なくとも1箇所に、該当箇所のゴムの歪を検出する歪ゲージが埋設された車両用タイヤが知られている(例えば、特許文献1参照。)。この種のタイヤを用いることにより、歪みゲージの出力値に基づいてタイヤと路面との接触状況等を掌握することが可能となる。また、従来から、車両バネ下部に設けられた振動センサにより検出される車両バネ下部の振動の出力レベル(振動レベル)に基づいて車両の走行状態を推定する装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。この装置では、振動センサにより検出される車両バネ下部の振動レベルを周波数変換することにより振動レベルの周波数スペクトルを求めると共に、得られた周波数スペクトルの少なくとも2つの周波数帯域の振動レベルを演算し、振動レベル演算値と、予め記憶された振動レベルの周波数スペクトルマスターカーブとを比較することにより路面状態が推定される。
また、特許文献3には、タイヤトレッド部の接地時間などのタイヤの接地長と1:1の対応関係にある接地長の指標をタイヤの複数位置で検出して比較することにより、タイヤに加わっている横力を推定する方法が開示されている。
特開2003−226120号公報
国際公開第01/098123号パンフレット
特開2005−205956号公報
また、特許文献3には、タイヤトレッド部の接地時間などのタイヤの接地長と1:1の対応関係にある接地長の指標をタイヤの複数位置で検出して比較することにより、タイヤに加わっている横力を推定する方法が開示されている。
上述のように、従来からタイヤ踏面の状態を推定する技術が提案されてはいるが、近年では、ABS制御や車両安定化制御(VSC)といった車両運動制御を高精度に実行する観点から、タイヤに作用するタイヤ幅方向における横力を精度よく取得可能とする技術へのニーズが高まっている。
そこで、本発明は、タイヤに作用するタイヤ幅方向における横力を精度よく取得可能とするタイヤ情報取得装置およびタイヤ情報取得方法の提供を目的とする。
本発明によるタイヤ情報取得装置は、車両のタイヤに関連する情報を取得するためのタイヤ情報取得装置において、タイヤに対して少なくともタイヤ幅方向の異なる位置に複数配設されており、それぞれの検出値に基づいて前記タイヤの所定方向における加速度を求めるタイヤ加速度取得手段と、タイヤの各加速度に基づいて、タイヤの車両前後方向における接地長を取得する前後接地長取得手段と、前後接地長取得手段により取得された接地長に基づいてタイヤに作用するタイヤ幅方向における横力を取得する横力取得手段と、車両の前後方向における加速度を取得する前後加速度取得手段と、前後加速度取得手段により取得された車両の前後方向における加速度に基づいて横力取得手段により取得された横力を補正する横力補正手段とを備えることを特徴とする。
このタイヤ情報取得装置は、複数のタイヤ加速度取得手段と、前後接地長取得手段と、横力取得手段とを備える。タイヤ加速度取得手段は、タイヤに対して少なくともタイヤ幅方向の異なる位置に複数配設され、それぞれの検出値に基づいてタイヤの所定方向における加速度を求める。また、前後接地長取得手段は、例えばタイヤの加速度波形におけるピーク間の時間隔等に基づいてタイヤの車両前後方向における接地長を取得する。横力取得手段は、前後接地長取得手段により取得された接地長に基づいてタイヤに作用するタイヤ幅方向における横力を取得する。
ここで、車両は、その走行中に加速また減速させられるものであるが、車両の加速または減速時には、当該車両の前後方向における荷重移動が発生し、このような前後の荷重移動によりタイヤの車両前後方向における接地長が変化することがある。従って、車両の定常走行中の操舵時に、前後接地長取得手段により取得された接地長に基づいてタイヤに作用するタイヤ幅方向における横力を精度よく得られたとしても、車両の加速または減速時には、上記前後方向の荷重移動により、横力の取得精度が悪化してしまうおそれがある。このため、本発明によるタイヤ情報取得装置では、前後加速度取得手段によって車両の前後方向における加速度が取得され、前後加速度取得手段により取得された車両の前後方向における加速度に基づいて横力取得手段により取得された横力が横力補正手段によって補正される。これにより、車両の加速時や減速時であっても、車両の前後方向における荷重移動の影響を抑えてタイヤに作用するタイヤ幅方向における横力を精度よく得ることが可能となり、得られた横力を例えばABS制御や車両安定化制御(VSC)等に供することができる。
この場合、横力補正手段は、前後加速度取得手段により取得された車両の前後方向における加速度に応じた補正量を取得し、取得した補正量を用いて横力取得手段により取得された横力を補正すると好ましい。
また、タイヤ加速度取得手段は、タイヤに対してタイヤ幅方向に複数列設けられており、横力取得手段は、各列のタイヤ加速度取得手段の検出値から得られるタイヤの車両前後方向における接地長同士の比に基づいて横力を取得すると好ましい。
このようにタイヤに対してタイヤ加速度取得手段をタイヤ幅方向に複数列にわたって設けた場合、タイヤ加速度取得手段の列ごとに求まるタイヤの車両前後方向における接地長は、タイヤに作用する横力の大きさに応じて変化する。従って、この態様によれば、タイヤに作用するタイヤ幅方向における横力を精度よく求めることが可能となる。
更に、各タイヤ加速度取得手段は、タイヤのトレッド部内面に配設されており、タイヤ周方向またはタイヤ径方向におけるタイヤの加速度を検出すると好ましい。
すなわち、タイヤ周方向またはタイヤ径方向におけるタイヤの加速度の変化を把握すれば、加速度波形におけるピーク間の時間隔等からタイヤの車両前後方向における接地長Lを精度よく求めることが可能となる。
なお、タイヤ加速度取得手段は、タイヤ周方向またはタイヤ径方向におけるタイヤの加速度を直接検出する加速度センサであってもよいし、または、タイヤのトレッド部内面に歪みゲージを配設しておき、その検出値である歪み量を車載の制御装置で微分することによって、タイヤ周方向またはタイヤ径方向におけるタイヤの加速度を算出するようにしてもよい。この場合、請求項におけるタイヤ加速度取得手段は歪みゲージと制御装置とで構成される。
なお、タイヤ加速度取得手段は、タイヤ周方向またはタイヤ径方向におけるタイヤの加速度を直接検出する加速度センサであってもよいし、または、タイヤのトレッド部内面に歪みゲージを配設しておき、その検出値である歪み量を車載の制御装置で微分することによって、タイヤ周方向またはタイヤ径方向におけるタイヤの加速度を算出するようにしてもよい。この場合、請求項におけるタイヤ加速度取得手段は歪みゲージと制御装置とで構成される。
本発明によるタイヤ情報取得方法は、車両のタイヤに関連する情報を取得するためのタイヤ情報取得方法において、
(a)タイヤに対して少なくともタイヤ幅方向の異なる位置に複数配設されたタイヤ加速度取得手段の検出値に基づいて、タイヤの車両前後方向における接地長を取得するステップと、
(b)ステップ(a)で取得された接地長に基づいてタイヤに作用するタイヤ幅方向における横力を取得するステップと、
(c)車両の前後方向における加速度を取得するステップと、
(d)ステップ(c)で取得された車両の前後方向における加速度に基づいて横力取得手段により取得された横力を補正するステップとを含むものである。
(a)タイヤに対して少なくともタイヤ幅方向の異なる位置に複数配設されたタイヤ加速度取得手段の検出値に基づいて、タイヤの車両前後方向における接地長を取得するステップと、
(b)ステップ(a)で取得された接地長に基づいてタイヤに作用するタイヤ幅方向における横力を取得するステップと、
(c)車両の前後方向における加速度を取得するステップと、
(d)ステップ(c)で取得された車両の前後方向における加速度に基づいて横力取得手段により取得された横力を補正するステップとを含むものである。
本発明によれば、タイヤに作用するタイヤ幅方向における横力を精度よく取得することが可能となる。
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明によるタイヤ情報取得装置を備えた車両を示す概略構成図であり、図2は、図1の車両に備えられた車輪を示す部分断面図である。図1に示される車両10は、車体12に設けられた4体の車輪14と、これら4体の車輪14のうちの操舵輪を操舵する図示されない操舵装置や、これら4体の車輪14のうちの駆動輪を駆動する図示されない走行駆動源、制動装置等を備えるものである。そして、車輪14は、それぞれホイール16とタイヤ18とを含む。本実施形態において、車輪14を構成するタイヤ18として、いわゆるランフラットタイヤが採用されている。ただし、タイヤ18として、ランフラットタイヤ以外の一般的な中空タイヤが採用されてもよいことはいうまでもない。
図2に示されるように、タイヤ18は、いわゆるサイド補強型ランフラットタイヤであり、空気圧の低下時にランフラット走行を可能とするものである。図2に示されるように、タイヤ18は、ビードコア180が埋設される一対のビード部181と、ビード部181からタイヤ径方向外側に延びる一対のサイドウォール部182と、両サイドウォール部182間に延在するトレッド部183とを含む。一対のビード部181、一対のサイドウォール部182およびトレッド部183には、例えば1枚の繊維材からなるカーカス184が埋設されており、トレッド部183には、カーカス184の外側に位置するようにベルト層185が埋設されている。そして、各サイドウォール部182には、インナーライナ186の内側に位置するように補強ゴム187が埋設されている。
各補強ゴム187は、高い剛性を有し、ホイール16とタイヤ18とにより画成されるタイヤ内部空間188内の空気圧がパンク等により低下した際に、タイヤ18の全体をホイール16に対して支持し、それにより、ランフラット走行を可能とする。また、ホイール16には、打ち込み式あるいは貼り付け式のバランスウェイト17が適宜装着される。なお、車両10に設けられるタイヤ18は、サイド補強型のランフラットタイヤに限られるものではなく、タイヤ内部空間188内の空気圧が低下した際にタイヤ18の全体をホイール16に対して支持する中子を備えた中子型のランフラットタイヤであってもよい。
図1および図2に示されるように、上述の各車輪14には、タイヤの空気圧調整用バルブとして機能するTPMSバルブ20が装着されている。各TPMSバルブ20は、ホイール16のホイールリム16aに設けられた取付孔16bに弾性ゴムからなるグロメット19、ワッシャおよびボルトを介して取り付けられる。グロメット19は、所定の剛性を有しており、タイヤ内部空間188を気密保持する。また、TPMSバルブ20のバルブキャップ20aは、ホイールリム16aの外側に突出しており、このバルブキャップ20aを取り外して、図示されない弁口に空気供給装置のホースを接続すれば、タイヤ内部空間188内に空気を供給可能となる。そして、図2に示されるように、各TPMSバルブ20は、タイヤ内部空間188内に突出するハウジング21を有しており、ハウジング21の内部には、車輪情報としてタイヤ内部空間188内の空気圧を検知する空気圧センサ22aが配置されている。
また、上述の各車輪14には、それぞれ複数の加速度センサ26が備えられている。各加速度センサ26は、図2に示されるように、タイヤ18のトレッド部183の内面に固定されており、それぞれ設置箇所においてタイヤ18のタイヤ周方向における加速度を車輪情報(物理量)として検出する。図3に示されるように、加速度センサ26は、トレッド部183の内面に対して、タイヤ周方向に複数配設されると共に、タイヤ幅方向に複数列設けられている。本実施形態では、タイヤ周方向において、18°間隔で合計20体の加速度センサ26がトレッド部183の内面に配置されている。
なお、加速度センサの代わりに歪みゲージを車輪に設け、その出力値であるひずみ量を車体12に搭載された電子制御ユニット(以下「ECU」という)において微分演算することによって加速度を算出するようにしてもよい。
なお、加速度センサの代わりに歪みゲージを車輪に設け、その出力値であるひずみ量を車体12に搭載された電子制御ユニット(以下「ECU」という)において微分演算することによって加速度を算出するようにしてもよい。
本実施形態では、加速度センサ26の列が間隔Wを隔てて2列設けられており、タイヤ外側の列の各加速度センサ26と、タイヤ内側の列の各加速度センサ26とは、タイヤ18の幅方向において隣り合うように配置されている。なお、各加速度センサ26は、設置箇所においてタイヤ18のタイヤ径方向における加速度を車輪情報として検出するものであってもよい。また、各車輪14のタイヤ18に対して加速度センサ26の列が3列以上設けられてもよい。
図4は、本発明によるタイヤ情報取得装置の制御ブロック図である。同図に示されるように、TPMSバルブ20のハウジング21内には、空気圧センサ22aに加えて、加速度センサ22g、TPMS通信機23、制御回路24およびバッテリ25が収容されている。これにより、各TPMSバルブ20は、それぞれ車輪情報としてのタイヤ空気圧や車輪加速度(車輪振動)を取得すると共に取得した車輪情報を定期的に送信可能な手段としても機能する。空気圧センサ22aは、例えば半導体センサであってタイヤ内部空間内の空気圧を検出する。加速度センサ22gは、車両10のばね下加速度を検出する手段として機能し、対応する走行車輪14の幅方向および/または径方向(上下方向)における加速度を車両10のばね下振動として検出する。なお、加速度センサ22gは、TPMSバルブ20から省略されてもよく、車輪14を支持するナックル等に設けられてもよい。
TPMS通信機23は、空気圧センサ22aの検出値や加速度センサ22gの検出値を示す信号を所定周期で定期的に無線送信可能なものである。制御回路24は、ICチップ等に実装されており、空気圧センサ22a、加速度センサ22gおよびTPMS通信機23を制御する。バッテリ25は、空気圧センサ22a、加速度センサ22g、TPMS通信機23および制御回路24に電力を供給する。なお、TPMSバルブ20は、タイヤ内部空間内の温度を検出する温度センサ等を更に備えるものであってもよい。
また、タイヤ18に設けられた各加速度センサ26は、それぞれ増幅器27を介して通信機(送信機)28に接続されており、各車輪14には、これらの加速度センサ26、増幅器27および通信機28に電力を供給するバッテリ29が設けられている。本実施形態では、5体の加速度センサ26(および増幅器27)に対して1体の通信機28が割り当てられている。増幅器27、通信機28およびバッテリ29は、対応する車輪14の適所、例えばホイール16の外周面等に配置されている。増幅器27は、対応する加速度センサ26の出力を増幅して通信機28に与え、通信機28は、対応する5体の加速度センサ26の出力値を示す信号を例えば10〜20msec程度の周期で車輪情報として無線送信可能なものである。
また、車両10の車体12には、図1および図4に示されるように、各車輪14に対応するように複数(本実施形態では、4体)の車体側通信機30が配置されている。各車体側通信機30は、対応する車輪14に設けられているTPMS通信機23や通信機28との間で車輪情報等を示す信号を送受信可能なものである。なお、車体12には、各車輪14に設けられているTPMS通信機23や通信機28との間で車輪情報等を示す信号を送受信可能な1体の車体側通信機が配置されてもよい。そして、各車体側通信機30は、図1および図4に示されるように、車体12に搭載されたECU100に接続されている。各車体側通信機30は、対応する車輪14のTPMS通信機23や通信機28から無線送信された信号を受信し、受け取った情報をECU100に与える。TPMS通信機23や通信機28からの車輪情報は、ECU100の所定の記憶領域(バッファ)に所定量ずつ格納保持され、ECU100は、各車体側通信機30から受け取った情報を用いて各種制御を実行する。
ECU100は、各種演算処理を実行するCPU、各種制御プログラムを格納するROM、データ格納やプログラム実行のためのワークエリアとして利用されるRAM、入出力インターフェース、メモリ等を備えるものである。そして、ECU100には、図1に示されるように、警報装置105が接続されている。警報装置105は、ECU100の制御のもと、所定条件下でドライバーに警報を発するものであり、例えば、車両10のインストルメンツパネルに設けられている警告表示装置等を含む。
また、ECU100には、図4に示されるように、複数のセンサが接続されている。ECU100に接続されるセンサには、操舵角センサ110、車輪速センサ111、前後Gセンサ112、横Gセンサ113、ヨーレートセンサ114、およびバネ上Gセンサ115等が含まれる。操舵角センサ110は、図示されない操舵ハンドルの操舵角を検知し、検知した値を示す信号をECU100に与える。車輪速センサ111は、車輪14ごとに設けられて対応する車輪14の速度を検知し、検知した値を示す信号をECU100に与える。前後Gセンサ112は、車両10の前後方向における加速度(前後方向加速度)を検知し、検知した値を示す信号をECU100に与える。
横Gセンサ113は、車両10の横方向すなわち車幅方向における加速度(横方向加速度)を検知し、検知した値を示す信号をECU100に与える。ヨーレートセンサ114は、車両10の鉛直軸回りの回転角速度(ヨーレート)を検知し、検知した値を示す信号をECU100に与える。バネ上Gセンサ115は、例えば車体12あるいはサスペンションの構成部材に取り付けられる。そして、バネ上Gセンサ115は、対応する箇所における車両10の幅方向および/または上下方向における加速度を車両10のばね上振動として検知、検知した値を示す信号をECU100に与える。
ところで、上述の車両10では、制動装置(電子制御式制動装置)を制御するECBECU200(図1参照)が、走行駆動源を制御するECUや操舵装置を制御するECU等と協調しながら、車両10の挙動を安定化させるために車両10の駆動、操舵および制動の統合制御(VDIM:Vehicle Dynamics Integrated Management)を実行する。このような統合制御に際しては、車両運動制御を高精度に実行する観点から、各車輪14のタイヤ18に作用する車輪幅方向における横力や、車輪高さ方向における荷重(上下力)を精度よく得ることが要求される。このため、本実施形態の車両10では、上述のECU100により、各車輪14からの車輪情報に基づいて各車輪14のタイヤ18に作用する横力や荷重が算出される。
このため、上述のECU100には、図4に示されるように、主として各車輪14の通信機28等から送られる各加速度センサ26の検出値に基づいて各車輪14に作用する横力や荷重を算出する車輪力算出部101が構築されている。更に、ECU100には、車輪力算出部101とは別に、車輪力推定部102が構築されている。本実施形態の車輪力推定部102は、車輪力算出部101により算出される少なくとも2体の車輪14に作用する力に基づいて、他の車輪14に作用する横力や荷重を推定するものである。また、ECU100は、判定部103および記憶装置104を有している。判定部103は、車輪力算出部101の算出値が車輪14の各加速度センサ26によって正常に検出された加速度に基づいて算出されたものであるか否かを判定する。記憶装置104には、車輪力算出部101による車輪力の算出に用いられる各種係数や、車輪力推定部102による車輪力推定に用いられる上述の関数式、判定部103による判定処理に用いられる各種閾値等が記憶されている。
図5は、車輪力算出部101による車輪14のタイヤに作用する横力の算出手順を説明するためのフローチャートである。同図に示されるルーチンは、車両10の走行中にECU100の車輪力算出部101によって所定時間おきに車輪14ごとに実行されるものである。ある車輪14について図5のルーチンを実行するタイミングになると、車輪力算出部101は、所定の記憶領域に格納されている当該車輪14(タイヤ18)の各加速度センサ26からの加速度情報に基づいて、各加速度センサ26の検出値から得られる加速度波形におけるピーク間の時間隔Δtを求める(S10)。
ここで、各加速度センサ26は、上述のように設置箇所においてタイヤ18のタイヤ周方向における加速度を検出するものである。従って、図6に示されるように、車両10の走行中に回転するタイヤ18の接地部前端付近に位置した加速度センサ26からは、大きな加速度値(ピーク値)を示す信号が出力される。同様に、車両10の走行中に回転するタイヤ18の接地部後端付近に位置した加速度センサ26からも、図6に示されるように大きな加速度値(ピーク値)を示す信号が出力される。このため、車輪力算出部101は、S10において、加速度センサ26のサンプリング時間や、加速度波形のピーク間のデータサンプリング数等に基づいて、上記加速度波形におけるピーク間の時間隔Δtを算出する。
時間隔Δtを算出すると、車輪力算出部101は、当該時間隔Δtと、該当する車輪14に対応した車輪速センサ111からの信号に示される車輪速や予め判明しているタイヤ半径等とに基づいて、該当する車輪14のタイヤ18の車両前後方向における接地長CLを算出する(S12)。本実施形態では、上述のように各車輪14のタイヤ18に対して加速度センサ26が2列にわたって設けられていることから、S12では、タイヤ18の内側列の加速度センサ26からの信号に基づいて算出される時間隔Δtより得られる接地長CLiと、タイヤ18の外側列の加速度センサ26からの信号に基づいて算出される時間隔Δtより得られる接地長CLoとが算出される。
タイヤ18の車両前後方向における接地長CLi,CLoを算出すると、車輪力算出部101は、タイヤ18の内側列の加速度センサ26からの信号に基づいて算出される時間隔Δtより得られる接地長CLiと、タイヤ18の外側列の加速度センサ26からの信号に基づいて算出される時間隔Δtより得られる接地長CLoとの比とから、タイヤ18に作用するタイヤ幅方向における横力Fを求める(S14)。すなわち、上述のようにタイヤ18に対して加速度センサ26をタイヤ幅方向に複数列(2列)にわたって設けた場合、加速度センサ26の列ごとに求まるタイヤ18の車両前後方向における接地長CLiおよびCLoは、タイヤ18に作用する横力Fの大きさに応じて変化する。従って、接地長CLiおよびCLoの比を用いれば、タイヤ18に作用するタイヤ幅方向における横力Fを精度よく求めることが可能となる。本実施形態では、タイヤ内側の接地長CLiとタイヤ外側の接地長CLoとの比と、横力Fとの相関を規定するマップあるいは関数式が予め定められて記憶装置104に記憶されており、車輪力算出部101は、当該マップあるいは関数式を用いて横力Fを取得する。このようなマップあるいは関数式は、基本的に、車両10の定常走行中(定速走行中)の操舵時を基準として作成される。
このように、複数の加速度センサ26をタイヤ18のトレッド部183の内面に配設すると共に、タイヤ周方向またはタイヤ径方向におけるタイヤ18の加速度を検出することにより、タイヤ周方向またはタイヤ径方向におけるタイヤ18の加速度の変化を把握して、加速度波形におけるピーク間の時間隔Δt等からタイヤ18の車両前後方向における接地長CLを精度よく求めることが可能となる。
ここで、車両10は、その走行中に加速または減速させられるものであるが、車両10の加速または減速時には、当該車両10の前後方向における荷重移動が発生し、このような前後の荷重移動によりタイヤ18の車両前後方向における接地長CLi,CLoが変化することがある。従って、車両10の定常走行中の操舵時に接地長CLi,CLoに基づいてタイヤ18に作用する横力Fを精度よく得られたとしても、車両10の加速または減速時には、上記前後方向の荷重移動により、横力の取得精度が悪化してしまうおそれがある。
このため、車輪力算出部101は、S14の処理を実行すると、前後Gセンサ112を介して車両10の前後方向における加速度を取得する(S16)。そして、車輪力算出部101は、取得した車両10の前後方向における加速度に応じた横力Fの補正量ΔFを取得し、取得した補正量ΔGを用いてS14にて取得した横力Fを、F=F+ΔFとして補正する(S18)。本実施形態では、実験、解析を経て、車両10の前後方向における加速度と補正量ΔFとの相関を規定するマップあるいは関数式が予め定められて記憶装置104に記憶されており、車輪力算出部101は、当該マップあるいは関数式を用いて補正量ΔFを取得する。
このように、車両10の前後方向における加速度に基づいて接地長CLi,CLoから得られる横力Fを補正することにより、車両10の加速時や減速時であっても、車両10の前後方向における荷重移動の影響を抑えてタイヤ18に作用するタイヤ幅方向における横力を精度よく得ることが可能となる。そして、このようにして算出される横力は、上述の車両統合制御に供されることになる。ただし、横力Fが例えば一般的なABS制御や車両安定化制御(VSC)に供され得ることはいうまでもない。
10 車両、12 車体、14 車輪、16 ホイール、18 タイヤ、20 TPMSバルブ、22a 空気圧センサ、22g 加速度センサ、23 TPMS通信機、24 制御回路、25,29 バッテリ、26 加速度センサ、27 増幅器、28 通信機、30 車体側通信機、100 ECU、101 車輪力算出部、102 車輪力推定部、103 判定部、104 記憶装置、105 警報装置、110 操舵角センサ、111 車輪速センサ、112 前後Gセンサ、113 横Gセンサ、114 ヨーレートセンサ、115 バネ上Gセンサ、183 トレッド部、188 タイヤ内部空間、200 ECBECU。
Claims (5)
- 車両のタイヤに関連する情報を取得するためのタイヤ情報取得装置において、
前記タイヤに対して少なくともタイヤ幅方向の異なる位置に複数配設されており、それぞれの検出値に基づいて前記タイヤの所定方向における加速度を求めるタイヤ加速度取得手段と、
前記タイヤの各加速度に基づいて、前記タイヤの車両前後方向における接地長を取得する前後接地長取得手段と、
前記前後接地長取得手段により取得された接地長に基づいて前記タイヤに作用するタイヤ幅方向における横力を取得する横力取得手段と、
前記車両の前後方向における加速度を取得する前後加速度取得手段と、
前記前後加速度取得手段により取得された前記車両の前後方向における加速度に基づいて前記横力取得手段により取得された横力を補正する横力補正手段とを備えることを特徴とするタイヤ情報取得装置。 - 前記横力補正手段は、前記前後加速度取得手段により取得された前記車両の前後方向における加速度に応じた補正量を取得し、取得した補正量を用いて前記横力取得手段により取得された横力を補正することを特徴とする請求項1に記載のタイヤ情報取得装置。
- 前記タイヤ加速度取得手段は、前記タイヤに対してタイヤ幅方向に複数列設けられており、前記横力取得手段は、各列のタイヤ加速度取得手段の検出値から得られる前記タイヤの車両前後方向における接地長同士の比に基づいて前記横力を取得することを特徴とする請求項1または2に記載のタイヤ情報取得装置。
- 前記各タイヤ加速度取得手段は、前記タイヤのトレッド部内面に配設されており、タイヤ周方向またはタイヤ径方向における前記タイヤの加速度を検出することを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のタイヤ情報取得装置。
- 車両のタイヤに関連する情報を取得するためのタイヤ情報取得方法において、
(a)前記タイヤに対して少なくともタイヤ幅方向の異なる位置に複数配設されたタイヤ加速度取得手段の検出値に基づいて、前記タイヤの車両前後方向における接地長を取得するステップと、
(b)ステップ(a)で取得された接地長に基づいて前記タイヤに作用するタイヤ幅方向における横力を取得するステップと、
(c)前記車両の前後方向における加速度を取得するステップと、
(d)ステップ(c)で取得された前記車両の前後方向における加速度に基づいて前記横力取得手段により取得された横力を補正するステップとを含むタイヤ情報取得方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005300799A JP2007106325A (ja) | 2005-10-14 | 2005-10-14 | タイヤ情報取得装置およびタイヤ情報取得方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0640930A (ja) * | 1992-07-28 | 1994-02-15 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 抗エイズウイルス剤 |
JP2015202723A (ja) * | 2014-04-11 | 2015-11-16 | 株式会社デンソー | タイヤ構造体 |
-
2005
- 2005-10-14 JP JP2005300799A patent/JP2007106325A/ja active Pending
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JPH0640930A (ja) * | 1992-07-28 | 1994-02-15 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 抗エイズウイルス剤 |
JP2015202723A (ja) * | 2014-04-11 | 2015-11-16 | 株式会社デンソー | タイヤ構造体 |
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