JP4561597B2 - 車両挙動制御装置及びスタビリティファクタ予想装置 - Google Patents

車両挙動制御装置及びスタビリティファクタ予想装置 Download PDF

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本発明は、特にランフラットタイヤを装着した自動車における、例えばブレーキによる制動やハンドルによる操舵制御を行う、車両挙動制御装置及びこれに用いられるスタビリティファクタ予想装置に関する。
自動車等の車両が旋回する場合、例えばドリフトアウトやスピンが生じることや、車両の安定性が低下することを防ぐ必要がある。このため従来から、例えば、ヨーレート偏差に基づくドリフトアウトの推定結果及び横滑り量に基づくスピンの推定結果に応じて車両の挙動が制御される技術が提案されている(特許文献1参照)。
他方で近年、パンクしても走行可能であるランフラットタイヤが商品化されている。
特許3178273号公報
しかしながら、例えば前述の特許文献1に開示されている技術を、仮にランフラットタイヤを装着した車両に適用しようとすれば、以下のような問題が生じ得るものと想定される。
即ち、特許文献1に開示された技術では、実際のヨーレートと、スタビリティファクタKhを考慮した目標ヨーレートとが一致するように車両の挙動が制御される。例えばランフラットタイヤを装着した車両において、ランフラット状態となった場合、車両のスタビリティファクタKhが修正され、修正後のスタビリティファクタKhに基づいて目標ヨーレートが決定されるべきである。しかし通常は実際にランフラット状態にならなければ、どの程度スタビリティファクタKhが修正されるかは未定のままである。そのため、ランフラット状態になった場合、状態の変化に迅速に適応し、車両の挙動を制御することができないことになる。
本発明は、例えば上述した問題点に鑑みてなされたものであり、ランフラットタイヤを装着した車両の挙動を、ランフラット走行時にも適切に制御可能な車両挙動制御装置を提供することを課題とする。
本発明の車両挙動制御装置は上記課題を解決するために、少なくとも一つのランフラットタイヤを装着した車両の挙動を制御する車両挙動制御装置であって、前記ランフラットタイヤがいずれもパンクしていない通常走行時における、前記車両の横加速度Gyに対するスタビリティファクタKhである通常時スタビリティファクタを導出する導出手段と、前記ランフラットタイヤの少なくとも一つがパンクしてパンク輪となったまま前記車両が走行するランフラット走行時における、前記スタビリティファクタKhであるランフラット時スタビリティファクタを、前記導出された通常時スタビリティファクタと、前記通常時スタビリティファクタの特性曲線及び前記ランフラット時スタビリティファクタの特性曲線の関係とに基づいて予想する予想手段と、前記少なくとも一つがパンクした場合に、前記予想されたランフラット時スタビリティファクタを用いて前記車両の挙動を制御する制御手段とを備える。
本発明の車両挙動制御装置によれば、ランフラット走行以前である通常走行時において、定期又は不定期に若しくは特定の走行状態である際に選択的に、例えばコントローラ等を備えて構成される導出手段によって、通常時スタビリティファクタが導出される。このような導出は、例えば目標ヨーレートが計算される際に用いられる、スタビリティファクタKhをパラメータの一つとして含む演算式に対して、車両に設けられたヨーレート検出手段により実際に検出された実ヨーレートを入れて逆算することで算出される。ここでの演算式自体については、公知の各種計算式が利用可能である。続いて、例えばコントローラ等を備えて構成される予想手段によって、このように導出された通常時スタビリティファクタに基づいて、ランフラット時スタビリティファクタが予想される。ここでの予想としては、通常時スタビリティファクタの特性曲線に対して、例えば前後輪及び旋回内外輪別のランフラット時スタビリティファクタの特性曲線は、実験的又は経験的に既知となることを利用して行われる。即ち、予め実験やシミュレーションにより、個々の車両についての通常時スタビリティファクタの横加速度に対する特性曲線と、前後輪及び旋回内外輪別のランフラット時スタビリティファクタの特性曲線との関係が得られるので、実際の通常走行時に、通常時スタビリティファクタが導出手段による導出によって既知とされることで、ランフラット時スタビリティファクタが予想されることになる。尚、例えば出荷前における実験にて、通常時スタビリティファクタを特定することは、スタビリティファクタKhが、個々の車両における、乗車人数・荷重条件、タイヤの種類・磨耗状況、個体差等に応じて変化するので、実際には困難或いは不可能である。言い換えれば、本発明の如く、通常走行時に、リアルタイム的に導出することで、初めて高精度で、通常時スタビリティファクタを導出することが可能となる訳である。従って、このように高精度で導出された通常時スタビリティファクタに基いて予想することで、初めて高精度で、ランフラット時スタビリティファクタを予想することが可能となる訳である。
ここで特に、例えば前記ランフラットタイヤのいずか一つがパンクして、前記車両がランフラット走行すると仮定する。通常であれば、ランフラット走行時のスタビリティファクタKhはパンク前後で大幅に変化し、その変化度合いは判明していないため、一般には、制御手段によるスタビリティファクタKhを用いての、例えば制動や操舵といった車両の挙動の制御は、成り行き任せの制御を行うことになりかねない。しかるに本発明によれば、ランフラット走行以前における通常走行時に既に、高精度でランフラット時スタビリティファクタが予想されているので、これを用いることで、例えばコントローラ等を備えて構成される制御手段によって、パンク直後に極めて迅速にして適切に対処することができる。例えば前述した特許文献1等における車輌の挙動制御装置と比べて、ドリフトアウト状態を好適に推定することができる。ここでは該ドリフトアウト状態に基づく制御量にて前輪及び後輪の制動力が制御される。従って、車輌の走行状態に応じてスピン及びドリフトアウトを好適に抑制制御することができる。また本発明のようなランフラット時スタビリティファクタの予想を、実際にランフラット走行となってから行う場合と比較して、パンク直後に、遥かに迅速な対処が可能となる。
以上のように本発明によれば、比較的容易な制御によって、ランフラット走行における車両の挙動の制御を適切に実施できる。
本発明の車両挙動制御装置の一態様では、前記制御手段は、前記ランフラットタイヤの各々の空気圧が所定の空気圧閾値を下回ったか否かを判定し、該空気圧閾値を下回ったと判定された場合に、前記予想されたランフラット時スタビリティファクタを用いて前記挙動を制御する。
この態様によれば、例えばランフラットタイヤの各々に設けられた空気センサによる検出結果に従って、或いはランフラットタイヤのパンク状態を間接的に検出又は推定する検出又は推定結果に従って、ランフラットタイヤの空気圧が所定の空気圧閾値を下回ったか否かの判定が、通常走行時に行われる。例えば、通常のランフラットタイヤの空気圧よりも低く且つ大気圧より高く設定された、空気圧閾値以下又は未満となるかについての判定が、通常走行時に比較的高頻度で定期又は不定期に行われる。そして、この空気圧が空気圧閾値を下回ったと判定された場合に、予想されたランフラット時スタビリティファクタを用いての挙動制御が開始される。従って、ランフラット走行となった、即ちパンク状態となった際には、極めて迅速にして、予想されたランフラット時スタビリティファクタを用いての挙動制御への移行が可能となる。
本発明の車両挙動制御装置の他の態様では、前記導出手段は、前記車両に係る車速が所定の車速閾値以上であり、且つ前記車両に係る舵角が所定の舵角閾値以上である場合に前記通常時スタビリティファクタを導出する。
この態様によれば、車速が所定の車速閾値以上であり、且つ舵角が所定の舵角閾値以上でなければ、通常時スタビリティファクタの導出を行わない。逆に、車速が所定の車速閾値以上であり、且つ舵角が所定の舵角閾値以上であれば、通常時スタビリティファクタの導出を行う。すると、導出される通常時スタビリティファクタの精度が高まる。言い換えれば、高精度で通常時スタビリティファクタを導出するのが困難な状態では、無駄に導出作業を行わない。このように比較的容易な制御により、不要な処理を軽減しつつ、高精度で通常時スタビリティファクタを導出することが可能となる。
但し、車速や舵角と無関係に、導出手段が通常時スタビリティファクタの導出を実行し、更に、予想手段がランフラット時スタビリティファクタの予想を実行するように構成してもよい。いずれにせよ、導出された通常時スタビリティファクタについては、リアルタイム的に導出された、最新のものを用いることで、より高精度の導出が可能となる。
本発明の車両挙動制御装置の他の態様では、前記導出手段は、前記車両に設けられたヨーレート検出手段により検出された実ヨーレートに基いて、前記通常時スタビリティファクタを導出し、前記予想手段は、前記導出された通常時スタビリティファクタと、前記車両に設けられた横加速度を検出する横加速度検出手段により検出された横加速度とに基いて、前記ランフラット時スタビリティファクタを演算する。
この態様によれば、通常走行時には、ヨーレート検出手段によって実ヨーレートが検出され、これに基いて、導出手段によって、通常時スタビリティファクタが導出される。更に、横加速度検出手段によって横加速度が検出され、これと導出手段により導出された通常時スタビリティファクタとに基いて、予想手段によって、ランフラット時スタビリティファクタが演算される。よって、制御手段が、ヨーレートを用いての挙動制御を行う場合に、係るヨーレートを生かして、通常時スタビリティファクタの導出及びランフラット時スタビリティファクタの演算が行われるので、有利である。
尚、導出手段は、実ヨーレートの他に、車両の車速、舵角、ホイールベース及びステアリングギア比に基づいて、通常時スタビリティファクタを導出してもよい。この場合、具体的には、後述する式(1)を用いて導出するが、通常時スタビリティファクタが導出可能であれば、他の式を用いてもよい。ここで、車速、ヨーレート及び舵角は各々、好ましくは、車速センサ、ヨーレートセンサ及び舵角センサにより検出される。また、ホイールベースは予めメモリに記録されており、ステアリングギア比は例えば、通常のステアリングシステムであればメモリに記憶されていてもよく、また、ギア比可変ステアリング(Variable Gear Ratio Steering:VGRS)システムの場合には、VGRSシステムからステアリングギヤ比が適宜得られるようになっていればよい。このように構成すれば、比較的容易にして、通常時スタビリティファクタを導出することができる。
この態様では、前記制御手段は、前記ランフラットタイヤがいずれもパンクしない場合に、目標ヨーレートを特定するための複数のパラメータのうちの一つのパラメータとして、予め設定されたスタビリティファクタ又は前記導出された通常時スタビリティファクタを基に特定された該目標ヨーレートと前記検出された実ヨーレートとの偏差が小さくなるように、前記車両の挙動を制御し、前記いずれか一つがパンクした場合に、前記一つのパラメータとして前記予想されたランフラット時スタビリティファクタを基に特定された前記目標ヨーレートと前記検出された実ヨーレートとの偏差が小さくなるように、前記車両の挙動を制御してもよい。
このように構成すれば、通常走行時には、例えば目標ヨーレート検出又は演算手段によって、予め設定されたスタビリティファクタを基に、目標ヨーレートが、検出又は演算される。この目標ヨーレートを特定するための複数のパラメータに、スタビリティファクタKhが含まれる。即ち、通常走行時には、予め設定されたスタビリティファクタを基に、目標ヨーレートが特定されることになる。或いは、導出手段により導出された通常時スタビリティファクタを基に、目標ヨーレートが特定されることになる。すると、通常走行時には、制御手段によって、このように特定された目標ヨーレートと実ヨーレートとの偏差が小さくなるように、例えば制動や操舵制御など、車両の挙動が制御される。ここで、ランフラットタイヤのいずれか一つがパンクした場合には、既に予想されているランフラット時スタビリティファクタを基に目標ヨーレートが特定される。そして、制御手段によって、このように特定された目標ヨーレートと実ヨーレートとの偏差が小さくなるように、車両の挙動が制御される。よって、制御手段による目標ヨーレートと実ヨーレートとを近付ける挙動制御を、通常走行時にもランフラット走行時にも適切に実行できる。
本発明の車両挙動制御装置の他の態様では、前記予想手段は、前記導出された通常時スタビリティファクタから、その近似式を導出する近似処理と、該導出された近似式を補正することでランフラット時スタビリティファクタの予想式を導出する予想処理とを行う。
このように構成すれば、通常走行時に、ランフラット時のスタビリティファクタの特性曲線を近似式として、予想することが可能となる。
尚、近似処理として、好適には多項式近似により近似式を導出するが、多項式時間内に所定の精度以上で計算可能であれば他の態様により近似処理を実施してもよい。また、予想処理として、好適には近似式の係数補正により予想式を導出するが、所定の精度以上で計算可能であれば他の態様により予想処理を実施してもよい。
例えば、予想手段は、近似式を、多項式近似により導出してもよく、この場合、近似式を、多項式時間内に所定の精度以上で計算可能することが可能となる。尚、近似式の精度の目安となる次数は、精度と計算時間のバランスを考慮して決定されて良いが、好適には、2次である。ここで、近似式を、2次式近似により導出すれば、比較的容易に実用に耐えうる近似式を導出することが可能である。
この態様では、前記予想手段は、前記多項式近似により導出された近似式の係数を補正することで前記予想式を導出してもよい。
このように構成すれば、比較的容易に前記予想式を導出することが可能である。
尚、近似式の係数を補正する際には、好適には予め実験で求めた補正用定数を用いるが、予想式を導出可能であれば、例えば各種センサの検出値からリアルタイム的に求めた他の補正用定数或いは想定値を用いることも可能である。
本発明の車両挙動制御装置の他の態様では、前記予想手段は、前記ランフラット時スタビリティファクタを、前記ランフラットタイヤの前後輪及び左右輪の別に予想し、前記制御手段は、前記車両の旋回時における旋回外内輪及び前後輪の別に前記車両の挙動を制御する。
この態様によれば、予想手段によって、ランフラット時スタビリティファクタは、ランフラットタイヤの前後輪及び左右輪の別に予想される。即ち、一つの通常時スタビリティファクタの特性曲線が導出されると、これに対して、四輪車であれば、四種類のランフラット時スタビリティファクタが予想されることになる。その後、ランフラット走行時には、制御手段によって、車両の旋回時における旋回外内輪及び前後輪の別に車両の挙動制御が実行される。例えば、旋回外輪には接地加重が大きく掛かり、前輪がパンクした場合と後輪がパンクした場合とでは挙動制御の調整の仕方が顕著に相異なることになるので、ランフラット走行時に、通常時スタビリティファクタに代えてランフラット時スタビリティファクタを用いることは、挙動制御を好適に実行することに非常に役立つ。
この態様では、前記予想手段は、前記車両が旋回する際に、前記パンク輪が旋回外輪フロントに該当する旋回外輪フロントランフラット走行時の予測式、及び、前記パンク輪が旋回外輪リアに該当する旋回外輪リアランフラット走行時の予測式を夫々導出してもよい。このように構成すれば、旋回内輪に比べて走行に支配的影響力をもつ旋回外輪におけるパンクを少なくとも考慮したランフラット時スタビリティファクタを予想し、走行に影響を及ぼす不要な処理を軽減することが可能である。
更に、このように構成する場合には、制御手段は、前記ランフラットタイヤが現にパンクしてパンク輪となった際に、該パンク輪の場所及び前記車両の旋回方向に応じて、前記旋回外輪フロントランフラット走行時の予測式或いは前記旋回外輪リアランフラット走行時の予測式のいずれか一方に切替える切替手段と、該切替えられた予測式に基づいて、前記車両のランフラット走行時の旋回挙動を制御する挙動制御手段とを有してもよい。このように構成すれば、前記予想手段により予想された予想式を活かして車両の旋回挙動が制御される。例えば、ドリフトアウト状態に基づく制御量にて前輪及び後輪の制動力が制御される。特に、旋回内輪に比べて走行に支配的影響力をもつ旋回外輪がパンクする場合に限って、予想式を選択的に適用し、車両の旋回挙動を制御することとなる。従って、車輌の走行状態に応じてスピン及びドリフトアウトが好適に抑制制御され、走行に影響を及ぼす不要な処理を軽減することも可能である。
尚、パンク輪の場所は、好適には各ランフラットタイヤの空気圧を常時モニタリングすることで特定されるが、パンク輪を特定可能であれば他の方式を採用してもよい趣旨である。また、旋回方向は、舵角を検出することで左右何れの方向かが特定されるが、旋回方向を特定可能であれば他の方式を採用してもよい趣旨である。
本発明のスタビリティファクタ予想装置は上記課題を解決するために、少なくとも一つのランフラットタイヤを装着した車両の挙動を制御するために用いられるランフラット時におけるスタビリティファクタを予想するスタビリティファクタ予想装置であって、前記ランフラットタイヤがいずれもパンクしていない通常走行時における、前記車両の横加速度Gyに対するスタビリティファクタKhである通常時スタビリティファクタを導出する導出手段と、前記ランフラットタイヤの少なくとも一つがパンクしてパンク輪となったまま前記車両が走行するランフラット走行時における、前記スタビリティファクタKhであるランフラット時スタビリティファクタを、前記導出された通常時スタビリティファクタと、前記通常時スタビリティファクタの特性曲線及び前記ランフラット時スタビリティファクタの特性曲線の関係とに基づいて予想する予想手段とを備える。
本発明のスタビリティファクタ予想装置によれば、上述した本発明の車両挙動制御装置に係る導出手段及び予想手段を備える。従って、高精度で導出された通常時スタビリティファクタに基いて予想することで、初めて高精度で、ランフラット時スタビリティファクタを予想することが可能となる。特に、例えば前記ランフラットタイヤのいずか一つがパンクすると、ランフラット走行以前における通常走行時に既に、高精度でランフラット時スタビリティファクタが予想されているので、これを用いることで、パンク直後に極めて迅速にして適切に対処することができる。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施形態から明らかにされる。
(車両挙動制御装置を備えた車両の構成)
先ず本実施形態に係る車両挙動制御装置が設けられた車両の構成を、図1を参照して、その基本動作と共に説明する。ここに、図1は、本実施形態に係る車両挙動制御装置の図式的なシステム系統図である。
図1において、本実施形態に係る車両挙動制御装置が設けられた車両1は、制御装置100、ランフラットタイヤ(121から124)、各種センサ及び各種アクチュエータ300を備えて構成される。
制御装置100は、通常時Kh導出部101、ランフラット時Kh予想部102、ランフラット時Kh切替部103及び挙動制御部104を備えて構成される。これらは好適には、電子制御ユニット(Electronic Control Unit:ECU)からなり、周知の中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)、制御プログラムを格納した読み出し専用メモリ(Read Only Memory:ROM)、各種データを格納する随時書き込み読み出しメモリ(Random Access Memory:RAM)等を中心とした論理演算回路として構成されている。また、車速センサ201等の各種センサからの入力信号を受ける入力ポート及び、図示しないVGRS等の各種アクチュエータに制御信号を送る出力ポートに対して、バスを介して接続されている。
本発明に係る「導出手段」の一例としての通常時Kh導出部101は、各種センサの検出値に基づいて通常時スタビリティファクタを導出し、対応する横加速度の実測値からGy−Khマップを作成することが可能に構成されている。
本発明に係る「予想手段」の一例としてのランフラット時Kh予想部102は、Gy−Khマップ上のKh実測値から近似式を導出し、該近似式に基づいてランフラット時スタビリティファクタを予想することが可能に構成されている。
尚、本発明に係る「スタビリティファクタ予想装置」の一例は、このように構成された本実施形態の車両挙動制御装置に含まれている。
また、「切替手段」の一例としてのランフラット時Kh切替部103は、前記ランフラットタイヤのうちいずれか一つがパンクして車両1がランフラット走行時に旋回する際、パンク輪が旋回外輪フロント或いは旋回外輪リアのうちどちらであるかに応じて、前記通常時スタビリティファクタを前記予想されたランフラット時スタビリティファクタに切替えることが可能に構成されている。
本発明に係る「制御手段」の一例としての挙動制御部104は、例えば、特許3178273のように、スピン制御量、ドリフト制御量を演算して、該演算結果に応じた前後左右各輪の制動力を制御することで、スピンやドリフトアウトを抑制し、車両の旋回挙動を安定化することが可能に構成されている。
ランフラットタイヤ(前輪右ランフラットタイヤ121、前輪左ランフラットタイヤ122、後輪右ランフラットタイヤ123、後輪左ランフラットタイヤ124)は、タイヤの空気圧が失われても所定のスピードで一定距離を安全に走行可能に構成されており、例えば、周知のランフラットタイヤの如く、空気圧0kPa時に通常の使用条件下において、80km/h以下で80kmまで走行することが可能となる。ランフラットタイヤの方式は大別すると、タイヤ内部にもうひとつタイヤを配置した「中子式」と、サイドウォールに剛性を持たせ変形を抑える「サイド補強式」とがある。いずれの方式にせよ、通常のタイヤでは想定されていないランフラット走行が可能となり、それ故に新たな課題も発生することとなる。本発明ではこの点に着目した技術を提案する。尚、この態様における「ランフラットタイヤ」とは、上記二方式のほか、パンクしたまま一定距離以上の走行が可能に構成されたタイヤであれば足りる趣旨、即ち上記二方式に限られない趣旨である。
各種センサは、具体的には車速センサ201、横加速度センサ202、ヨーレートセンサ203、操舵角センサ204、空気圧センサ205を含み、車両1の状態をリアルタイム的にモニタリングするとともに、制御装置100と電気的に接続されており、検出値を入力信号として制御装置100の入力ポートに伝達可能に構成される。
車速センサ201は、例えば図示しないトランスミッション部に取り付けられ、車両1の車速Vをリアルタイム的に検出することが可能に構成されている。設置場所は、該構成の趣旨に反しない限り限定されず、例えば図示しないデフに取り付けられてもよい。
横加速度センサ202は、車両1が旋回すること等により発生する横加速度Gyを検出可能に構成される。
ヨーレートセンサ203は、例えば水晶振動式であり、車両1のヨーレートγをリアルタイム的に検出することが可能に構成されている。
操舵角センサ204は、車両1の運転手がハンドルを切った時に於ける、前輪の操舵角MAを検出することが可能に構成されている。
空気圧センサ205は、各ランフラットタイヤの空気圧(前輪右空気圧:Pfr、前輪左空気圧:Pfl、後輪右空気圧:Prr、後輪左空気圧:Prl)を検出することが可能に構成されている。当該センサにより、制御装置100は各ランフラットタイヤがパンクであるか否かを判定することが可能であり、該パンクであると判定された場合には、ランフラット時Kh切替部103による制御が行われるほか、例えば警告装置等により運転者にパンクの事実が通知されることとなる。
各種アクチュエータ300は、制御装置100と電気的荷接続されており、挙動制御部104の指令を受けて、例えば前後左右各輪の制動力を変更することで車両の挙動を制御可能に構成されている。
以上図1に示すように、本実施形態では特に、通常時Kh導出部101、ランフラット時Kh予想部102、及びランフラット時Kh切替部103を備え、車両の旋回挙動を安定化することが可能に構成されている。より具体的には、ランフラットタイヤを装着した車両の通常走行時にランフラット走行時のKhが予想され、現にランフラット走行時の際、旋回外輪がパンク輪である場合には前記通常走行時に於けるKhが前記予想されたKhに切替えられる。これにより、ランフラットタイヤを装着した車両がランフラット走行時に安定して旋回できるように挙動が制御される。例えば、スピンやドリフトアウトを抑制するように前後左右各輪の制動力が制御される。
(車両挙動制御装置のランフラット時Kh予想に係る動作処理)
次に、以上のように構成された車両挙動制御装置の一実施形態に係る動作処理について、図1に加えて、図2及び図3を参照して説明する。ここに図2は、本実施形態のランフラット時Kh予想に係る動作を示すフローチャートであり、図3は通常時Khに対するランフラット時Khの変化の様子を表す特性図である。
図2において、通常走行時におけるランフラット時Kh予想処理を開始するにあたり、先ずランフラット時Kh予想完了フラグL1が0に設定される(ステップS0010)。
続いて、通常時Kh導出部101は、図3に示すような通常走行時の横加速度GyとスタビリティファクタKhの関係を表すGy−Khマップを作成するために、以下のループ処理を行う。即ち、Gy−Khマップ作成ループ処理(ステップS0020からステップS0070)を、所定のループ回数閾値M回繰り返す(ステップS0020)。ここに、所定のループ回数閾値Mとは、スタビリティファクタKhがステップS0080において十分な精度で近似されるために最低限必要とされる測定点の数である。即ち、測定点がMに満たない場合には、十分な精度で近似が行えず、ステップS0090或いはステップS0100で実用に耐えうるKh変換式が作成できないことを意味する。尚、所定のループ回数閾値Mは、車両出荷前に予め制御装置100のメモリに保持されてもよいし、ユーザによりマニュアル設定されてもよいし、或いは車両の走行状態等を勘案して適宜自動設定されてもよい。
Gy−Khマップ作成ループ処理として、先ず操舵角センサ204により検出される操舵角MA及び、車速センサ202により検出される車速Vに基づいて、「MA≧maかつV≧v(ma:所定の操舵角閾値、v:所定の車速閾値)」であるか否かが判定される(ステップS0030)。
ここで、「MA≧maかつV≧v」ではない場合(ステップS0030:No)、以降の処理は行われずに所定の期間経過後、再度ステップS0030の判定が行われる。比較的低速走行時に旋回する場合、或いは高速走行であっても直進している場合には、横加速度Gyが車両1の挙動に対して非支配的であり、Gy−Khマップの範囲外としてもよいといえるからである。
他方、「MA≧maかつV≧v」である場合(ステップS0030:Yes)、即ち、所定以上の高速走行時に所定以上の操舵角をもって旋回をする場合には、横加速度Gyが車両1の旋回挙動に対して支配的となるため、続いて「ヨーレート偏差Δγ≦p(p:所定のヨーレート偏差閾値)」であるか否か、即ち、実ヨーレートγが目標ヨーレートγtiに十分近く、測定対象として適当な状態であるか否かが判定される(ステップS0040)。
ここで、「ヨーレート偏差Δγ≦p」でない場合(ステップS0040:No)、即ち、実ヨーレートγが目標ヨーレートγtiからpより大きく外れている場合には、この時点での車両の走行状態は測定対象外とみなされる。そして以降の処理は行われず、所定の期間経過後、再度ステップS0030の判定が行われる。測定頻度の低減や制御のハンチング防止のためである。
他方、「ヨーレート偏差Δγ≦p」である場合(ステップS0040:Yes)、即ち、ヨーレート偏差Δγが許容範囲内であり、目標ヨーレートγtiが実ヨーレートγに十分近い場合には、続いてマップ作成のために、例えば各センサから得られる車速V、ヨーレートγ、操舵角MA及び車両緒元を式(1)に代入して、通常時Kh(実測値)が導出される(ステップS0050)。ここに、Lはホイールベースを示し、Gstgはステアリングギヤ比を示す。
Kh=(1/V2)×{(V×|MA|)/(|γ|×L×Gstg)−1} 式(1)
尚、スタビリティファクタKhは、必ずしも上記式(1)を使って導出される必要はなく、他のセンサによる検出結果及び他の式を用いることも可能である。
また、導出されたスタビリティファクタKhに対応する横加速度Gyも計測する(ステップS0060)。
そして、図3のGy−Khマップ(横軸Gy、縦軸Khのマップ)に於ける通常時Kh(実測値)に示すように、上述したステップで導出されたスタビリティファクタKh及び、計測された横加速度Gyに対応する測定点が記録される(ステップS0070)。
以上ステップS0020からステップS0070に示した処理がM回繰り返される。即ち、ステップS0080での近似に耐えうる通常時Kh(実測値)が蓄積されるまで、Gy−Khマップ作成ループ処理が行われる。
Gy−Khマップ作成ループ処理を抜けると、該ループ処理の結果得られた通常時Kh(実測値)に基づいて、ランフラット時Kh予想部103は横加速度Gyに対する通常時Khを多項式近似する(ステップS0080)。ここで図3の通常時Kh(近似)に示すように、本願発明者の研究により、2次式で近似すれば比較的高い精度で近似されることが判明している。そこでランフラット時Kh予想部103は、2次式近似として、式(2)における変数Gyの係数A、B及びCを夫々求める。尚、係数A、B及びCの導出には、一般的な多項式近似アルゴリズムであるLagrangeの補間多項式アルゴリズムや、Newtonの補間差分商公式アルゴリズム等の各種アルゴリズムが用いられるが、近似に要する時間等を勘案し、実用に耐えうる限りにおいて、その種類は特に限定されない。
Kh=A×Gy+B×Gy+C 式(2)
続いて、ランフラット時Kh予想部103は、式(2)を補正して、式(3)に示す旋回外輪フロントランフラット走行時のスタビリティファクタの予想式Kh(f)を作成する(ステップS0090)。ここに、式(3)は、パンク輪を有してランフラット走行をしている車両1が旋回する際、旋回外輪のフロントが前記パンク輪に該当する場合のスタビリティファクタKh(f)を予想するための式であり、図3の実測値と予想式に係るグラフに示されるように、比較的高い精度で予想可能である。
Kh(f)=(A×a+b)×Gy+(B×c+d)×Gy+(C×e+f) 式(3)
ここで式(3)中のa、b、c、d、e及びfは実験的に求められた定数である。
また、ランフラット時Kh予想部103は、式(2)を補正して、式(4)に示す旋回外輪リアランフラット時のスタビリティファクタの予想式Kh(r)を作成する(ステップS0100)。ここに、式(4)は、パンク輪を有してランフラット走行をしている車両1が旋回する際、旋回外輪のリアが前記パンク輪に該当する場合のスタビリティファクタKh(r)を予想するための式であり、図3の実測値と予想式に係るグラフに示されるように、比較的高い精度で予想可能である。
Kh(r)=(A×g+h)×Gy+(B×i+j)×Gy+(C×k+l) 式(4)
ここで式(4)中のg、h、i、j、k及びlは実験的に求められた定数である。
このようにして式(3)及び、式(4)に示す変換式Kh(f)及びKh(r)が共に得られたら、ランフラット時Kh予想部103はランフラット時Kh予想完了フラグL1に1をセットし(ステップS0110)、ランフラット時Kh予想処理を終える。
以上のようにして得られた旋回外輪フロントランフラット時のスタビリティファクタKh(f)及び旋回外輪リアランフラット時のスタビリティファクタKh(r)は、以下に述べるランフラット時Kh切替処理に於いて利用されることとなる。
(車両挙動制御装置のランフラット時Kh切替えに係る動作処理)
次に、以上のように構成された車両挙動制御装置の一実施形態に係る動作処理について、図1から図3に加えて、図4及び図5を参照して説明する。ここに図4は、本実施形態のランフラット時Kh切替えに係る動作を示すフローチャートであり、図5は旋回方向とパンク輪の位置関係に応じたランフラット時Kh設定の様子を表す特性図である。
図4において先ず、空気圧センサ205が全ランフラットタイヤの空気圧Pfr、Pfl、Prr及びPrlを検出し、制御装置100に伝達する(ステップS0120)。
そして、該検知された空気圧に基づいてパンク輪判定が行われ、判定結果に応じた値がパンク輪判定フラグα1からα4に設定される(ステップS0130)。具体的には、図5に示すように、Pfr≦p1のときα1=3、Pfl≦p2のときα2=20、Prr≦p3のときα3=6、Prl≦p4のときα4=25が夫々セットされる。即ち、空気圧が所定の閾値以下であればパンク輪とみなされ、該パンク輪の場所に応じた値がα1からα4に夫々セットされる。ここに、p1からp4はパンク判断の目安に使われる所定の空気圧閾値である。
続いて、パンク輪判定フラグα1からα4が式(5)により合算される(ステップS0140)。
α=α1+α2+α3+α4 式(5)
また、操舵角センサ204が検出した操舵角MAの大きさにより、旋回方向判定フラグturnの値が決まる(ステップS0150)。具体的には、図5に示すように、操舵角MA≦ma1の時には左旋回であるとみなされて旋回方向判定フラグturn=3がセットされ、操舵角MA≧ma2の時には右旋回であるとみなされて旋回方向判定フラグturn=5がセットされる。ここに、ma1及びma2は旋回方向の目安に使われる所定の操舵角閾値である。
続いて、「ランフラット時Kh予想完了フラグL1≠0」であるか否かが判定される(ステップS0160)。
ここで、「ランフラット時Kh予想完了フラグL1≠0」でない場合(ステップS0160:No)、未だステップS0010からステップS0110に示したランフラット時Kh予想処理が完了しておらず、ランフラット時Kh切替処理を行うことはできないため、本処理を終了する。
他方、「ランフラット時Kh予想完了フラグL1≠0」である場合(ステップS0160:Yes)、ランフラット時Kh予想処理が完了している。ここで図5に示すように、導出された旋回外輪フロントランフラット時のスタビリティファクタKh(f)及び旋回外輪リアランフラット時のスタビリティファクタKh(r)のうちどちらに切替えるべきかを判断するため、旋回方向(旋回方向判定フラグturn)とパンク輪(パンク輪判定フラグα1からα4)との位置関係を調べる必要がある。
そのため、パンク輪旋回時位置判定フラグhが式(6)により算出される(ステップS0170)。ここに、パンク輪旋回時位置判定フラグhはパンク輪の場所を特定し、旋回外輪か否かを判定するために用いられるフラグであり、整数であればパンク輪が旋回外輪であることを示し、整数でなければパンク輪が旋回内輪であることを示す。また、整数であっても値によりパンク輪が旋回外輪フロントか或いはリアかが異なり、hが1又は4であれば旋回外輪フロントであることを、他方、hが2又は5であれば旋回外輪リアであることを示す。
h=α/turn 式(6)
そこで先ず、算出されたパンク輪旋回時位置判定フラグhが整数であるか否かが判定される(ステップS0180)。
ここで、パンク輪旋回時位置判定フラグhが整数でない場合(ステップS0180:No)、パンク輪が旋回内輪であると判定され(ステップS0191)、本処理を終了する。旋回時には、旋回内輪に比べて旋回外輪の方が車両1の挙動に支配的な影響力を持っているためである。
他方、パンク輪旋回時位置判定フラグhが整数である場合(ステップS0180:Yes)、パンク輪が旋回外輪であると判定され(ステップS0190)、続いてパンク輪が旋回外輪フロントであるか或いは旋回外輪リアであるかについて、パンク輪旋回時位置判定フラグhの値に基づいて順次判定される(ステップS0200からステップS0203)。予想式Kh(f)及びKh(r)のうちどちらを採用すればよいか判断するためである。
具体的には、パンク輪が旋回外輪フロントであるか否かの判定が順次なされる(ステップS0200及びステップS0201)。
ここで、図5のCase1に示すようにh=α/turn=3/3=1である場合(ステップS0200:Yes)、或いは図5のCase6に示すようにh=α/turn=20/5=4である場合(ステップS0201:Yes)にはパンク輪が旋回外輪フロントであると判定されるので、ランフラット時Kh切替部103はスタビリティファクタとしてKh(f)を設定する(ステップS0210)。
他方、h≠1(ステップS0200:No)、且つh≠4(ステップS0201:No)である場合には、続いて、パンク輪が旋回外輪リアであるか否かの判定が順次なされる(ステップS0202及びステップS0203)。
ここで、図5のCase3に示すようにh=α/turn=6/3=2である場合(ステップS0202:Yes)、或いは図5のCase8に示すようにh=α/turn=25/5=5である場合(ステップS0203:Yes)にはパンク輪が旋回内輪フロントであると判定されるので、ランフラット時Kh切替部103はスタビリティファクタとしてKh(r)を設定する(ステップS0211)。
他方、h≠2(ステップS0202:No)、且つh≠5(ステップS0203:No)である場合には、例えば図5のCase2、Case4、Case5及びCase7のいずれかに示すように旋回内輪がパンクしていると考えられ、本実施形態の適応対象外として処理を終了する。
以上説明した実施形態によれば、パンクする前に予めランフラット時Kh予想処理が行われ、旋回外輪フロントランフラット時のスタビリティファクタKh(f)及び旋回外輪リアランフラット時のスタビリティファクタKh(r)の予想式が得られる。そして、実際に車両がパンクしてランフラット走行をすることになると、ランフラット時Kh切替処理により、旋回方向に応じて、前記予想式によって予想されたスタビリティファクタに切替えられることとなる。該切り替えられたスタビリティファクタは、例えば特許第3116738や特許第3178273などに開示された車両の挙動制御技術に適用され、より適切に旋回挙動の安定化が図られることとなる。
尚、上述の実施形態では、パンク輪旋回時位置判定フラグhの算出結果が整数であるか否か等を判定したが、パンク輪が旋回外輪フロントか旋回外輪リアかを判定することが可能であれば、この態様に限られない。例えば、空気圧の検出結果より判定されたパンク輪の場所と、旋回方向とを照らし合わせることで、パンク輪が旋回外輪フロントか或いは旋回外輪リアかを直接的かつ一義的に判定してもよい。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨、或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う車両挙動制御装置及びスタビリティファクタ予想装置もまた、本発明の技術的範囲に含まれるものである。
本実施形態に係る車両挙動制御装置の図式的なシステム系統図である。 本実施形態のランフラット時Kh予想に係る動作を示すフローチャートである。 通常時Khに対するランフラット時Khの変化の様子を表す特性図である。 本実施形態のランフラット時Kh切替えに係る動作を示すフローチャートである。 旋回方向とパンク輪の位置関係に応じたランフラット時Kh設定の様子を表す特性図である。
符号の説明
100…制御装置、101…通常時Kh導出部、102…ランフラット時Kh予想部、103…ランフラット時Kh切替部、104…挙動制御部、121…前輪右ランフラットタイヤ、122…前輪左ランフラットタイヤ、123…後輪右ランフラットタイヤ、124…後輪左ランフラットタイヤ、201…車速センサ、202…横加速度センサ、203…ヨーレートセンサ、204…操舵角センサ、205…空気圧センサ

Claims (9)

  1. 少なくとも一つのランフラットタイヤを装着した車両の挙動を制御する車両挙動制御装置であって、
    前記ランフラットタイヤがいずれもパンクしていない通常走行時における、前記車両の横加速度Gyに対するスタビリティファクタKhである通常時スタビリティファクタを導出する導出手段と、
    前記ランフラットタイヤの少なくとも一つがパンクしてパンク輪となったまま前記車両が走行するランフラット走行時における、前記スタビリティファクタKhであるランフラット時スタビリティファクタを、前記導出された通常時スタビリティファクタと、前記通常時スタビリティファクタの特性曲線及び前記ランフラット時スタビリティファクタの特性曲線の関係とに基づいて予想する予想手段と、
    前記少なくとも一つがパンクした場合に、前記予想されたランフラット時スタビリティファクタを用いて前記車両の挙動を制御する制御手段と
    を備えることを特徴とする車両挙動制御装置。
  2. 前記制御手段は、前記ランフラットタイヤの各々の空気圧が所定の空気圧閾値を下回ったか否かを判定し、該空気圧閾値を下回ったと判定された場合に、前記予想されたランフラット時スタビリティファクタを用いて前記挙動を制御する
    ことを特徴とする請求項1に記載の車両挙動制御装置。
  3. 前記導出手段は、前記車両に係る車速が所定の車速閾値以上であり、且つ前記車両に係る舵角が所定の舵角閾値以上である場合に、前記通常時スタビリティファクタを導出する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両挙動制御装置。
  4. 前記導出手段は、前記車両に設けられたヨーレート検出手段により検出された実ヨーレートに基いて、前記通常時スタビリティファクタを導出し、
    前記予想手段は、前記導出された通常時スタビリティファクタと、前記車両に設けられた横加速度を検出する横加速度検出手段により検出された横加速度とに基いて、前記ランフラット時スタビリティファクタを演算する
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の車両挙動制御装置。
  5. 前記制御手段は、前記ランフラットタイヤがいずれもパンクしない場合に、目標ヨーレートを特定するための複数のパラメータのうちの一つのパラメータとして、予め設定されたスタビリティファクタ又は前記導出された通常時スタビリティファクタを基に特定された該目標ヨーレートと前記検出された実ヨーレートとの偏差が小さくなるように、前記車両の挙動を制御し、前記いずれか一つがパンクした場合に、前記一つのパラメータとして前記予想されたランフラット時スタビリティファクタを基に特定された前記目標ヨーレートと前記検出された実ヨーレートとの偏差が小さくなるように、前記車両の挙動を制御する
    ことを特徴とする請求項4に記載の車両挙動制御装置。
  6. 前記予想手段は、
    前記導出された通常時スタビリティファクタから、その近似式を導出する近似処理と、
    該導出された近似式を補正することでランフラット時スタビリティファクタの予想式を導出する予想処理とを行う
    ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の車両挙動制御装置。
  7. 前記予想手段は、前記多項式近似により導出された近似式の係数を補正することで前記予想式を導出する
    ことを特徴とする請求項6に記載の車両挙動制御装置。
  8. 前記予想手段は、前記ランフラット時スタビリティファクタを、前記ランフラットタイヤの前後輪及び左右輪の別に予想し、
    前記制御手段は、前記車両の旋回時における旋回外内輪及び前後輪の別に前記車両の挙動を制御する
    ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の車両挙動制御装置。
  9. 少なくとも一つのランフラットタイヤを装着した車両の挙動を制御するために用いられるランフラット時におけるスタビリティファクタを予想するスタビリティファクタ予想装置であって、
    前記ランフラットタイヤがいずれもパンクしていない通常走行時における、前記車両の横加速度Gyに対するスタビリティファクタKhである通常時スタビリティファクタを導出する導出手段と、
    前記ランフラットタイヤの少なくとも一つがパンクしてパンク輪となったまま前記車両が走行するランフラット走行時における、前記スタビリティファクタKhであるランフラット時スタビリティファクタを、前記導出された通常時スタビリティファクタと、前記通常時スタビリティファクタの特性曲線及び前記ランフラット時スタビリティファクタの特性曲線の関係とに基づいて予想する予想手段と
    を備えることを特徴とするスタビリティファクタ予想装置。
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