WO2016092904A1

WO2016092904A1 - 使い捨て衣類、吸収体及び弾性シート

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Publication number: WO2016092904A1
Application number: PCT/JP2015/072716
Authority: WO
Inventors: 山田　菊夫
Original assignee: 山田　菊夫
Priority date: 2014-12-12
Filing date: 2015-08-10
Publication date: 2016-06-16
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Abstract

本発明は、尿等の漏れが生じにくく、外観に優れ、かつ着用者の装着に対する抵抗感を低減した使い捨て衣類を提供する。本発明に係る使い捨て衣類（１）は、着用者（Ｐ）の胴回りに装着され、少なくとも前部（２０ａ）及び後部（２０ｂ）を含む胴部装着部（２０）と、胴部装着部（２０）の前部（２０ａ）から後部（２０ｂ）へ、着用者（Ｐ）の股下を通って延び、着用者（Ｐ）の股下を通る方向に伸縮可能な弾性シート（１７）と、を備え、弾性シート（１７）は、少なくとも一部分に排泄物吸収用の吸収性コア（１３）が配置可能、かつ弾性力により前記吸収性コア（１３）を着用者（Ｐ）の身体側に押圧可能な弾性部材（１７ａ）を含み、胴部装着部（２０）は、前部（２０ａ）及び後部（２０ｂ）の少なくとも股上領域に対して作用する弾性力を有し、弾性シート（１７）とともに前記吸収性コア（１３）を着用者（Ｐ）の身体側に押圧可能な押圧部材（２０２）を含むことを特徴とする。

Description

使い捨て衣類、吸収体及び弾性シート

　本発明は、使い捨て衣類、吸収体及び弾性シートに関するものである。

　従来、排泄物吸収用の使い捨て衣類として、例えば使い捨ておむつ等がある。これらの使い捨ておむつは、脚周りに、漏れを防止するためのサイドギャザーが形成されているものが多い（特許文献１参照）。

特開２０１４－１９３２０９号公報

　従来の使い捨ておむつは、吸収体（吸収コア）が身体に密着しにくいため、吸収体と身体との間に隙間が生じやすい。このような隙間があると、身体が仰向けの状態で尿等が放出されたときに、尿等の放出量が吸収体の吸収量より多い場合や、尿等が吸収体まで到達しなかった場合に、尿が隙間から腹部にたれることがある。

　吸収体によって吸収されなかった尿等は、身体を伝って、使い捨ておむつのサイドギャザーに達する。サイドギャザーは、不織布等で形成されており、それ自体が吸収性を有するものではない。このため、流れる尿等を防ぎきれず、外部への尿等の漏れが生じる。身体が横向きの状態においても、同様である。
　また、従来の使い捨ておむつにおいて、尿等が吸収されると、吸収された個所が膨れ、そこだけ盛り上がる。その場合、外観的にも尿等が排出された後であることが一目瞭然となるため、着用者が好む状況ではない。このような不具合は、女性の経血等においても同様に起こり得る。
　さらに、従来の使い捨ておむつは、従来からあるおむつと同じ外観であるため、着用者が装着することに抵抗感を感じやすいという難点があった。

　本発明の課題は、尿等の漏れが生じにくく、外観に優れ、かつ着用者の装着に対する抵抗感を低減した使い捨て衣類、吸収体及び弾性シートを提供することである。

　本発明は、以下のような解決手段により前記課題を解決する。
　本発明の一形態は、着用者の胴回りに装着され、少なくとも前部及び後部を含む胴部装着部と、前記胴部装着部の前記前部から前記後部へ、着用者の股下を通って延び、着用者の股下を通る方向に伸縮可能な弾性シートと、を備える使い捨て衣類であって、前記弾性シートは、少なくとも一部分に排泄物吸収用の吸収性コアが配置可能、かつ弾性力により前記吸収性コアを着用者の身体側に押圧可能な弾性部材を含み、前記胴部装着部は、前記前部及び前記後部の少なくとも股上領域に対して作用する弾性力を有し、前記弾性シートとともに前記吸収性コアを着用者の身体側に押圧可能な押圧部材を含むであってもよい使い捨て衣類である。
　前記胴部装着部は、着用者の下腹部周辺を押圧する第２弾性部と、前記第２弾性部の上部に配置される第１弾性部と、を備えていてもよい。
　前記弾性シートは、前端又は後端の少なくとも一方の端部側において前記胴部装着部に取り付けられていてもよい。
　前記弾性シートは、前端又は後端の少なくとも一方の端部側の幅方向の略中央部において、前記胴部装着部に取付けられていてもよい。
　前記弾性シートは、前記第１弾性部の端部又は前記第２弾性部の端部、或いは、前記第１弾性部と第２弾性部との接合部において前記胴部装着部に取り付けられていてもよい。
　前記胴部装着部は、前記前部と前記後部との間に股下部を備え、前記弾性シートと前記股下部との間に隙間が形成されていてもよい。
　前記胴部装着部は、前記前部と前記後部との間に、着脱又は開放可能な股下部を備えていてもよい。
　前記胴部装着部は、紙シートを含んでいてもよい。
　前記胴部装着部は、少なくとも前記紙シートの表面に吸収された接着剤からなるアンカー部が形成され、前記アンカー部と前記押圧部材とが接着剤により結合されていてもよい。
　前記胴部装着部は、紙シートと伸縮性フィルムと、を含んでいてもよい。
　前記紙シートは、表面に非平坦部を有していてもよい。
　前記胴部装着部は、印刷層を有していてもよい。
　前記弾性部材に保持される吸収性コアを備えていてもよい。
　前記胴部装着部は、非親水性シートを含んでいてもよい。
　前記弾性シートは、前記弾性部材の配置された部位に、通気性を有する非平坦部が形成されていてもよい。
　前記弾性部材の上方に配置される内側シートを備えていてもよい。
　前記内側シートは、前記弾性シートが伸縮していない状態において、前記弾性シートの上方に接着されていてもよい。
　前記弾性シートは、紙シートを含んでいてもよい。
　前記紙シートは柔軟剤を含んでいてもよい。
　前記弾性シートは、少なくとも前記紙シートの表面に吸収された接着剤からなるアンカー部が形成され、前記アンカー部と前記弾性部材とが接着剤により結合されていてもよい。
　前記弾性シートは、前記胴部装着部の前記前部に一端が接合された前部シートと、前記胴部装着部の前記後部に一端が接合された後部シートと、を含み、前記弾性部材は、前記前部シート及び前記後部シートの少なくとも一方に含まれ、前記前部シートの他端と前記後部シートの他端とは互いに着脱可能で、前記前部シートの他端と前記後部シートの他端とが互いに着接された状態で、前記弾性部材が前記吸収性コアを含む吸収体を弾性力により身体側に押圧可能であってもよい。
　前記吸収性コアを含む吸収体を備え、前記弾性シートは、前記吸収性コアの前記身体側と反対側に配置されていてもよい。
　前記押圧部材は、前記胴部装着部に直線、曲線及び一部に直線又は曲線が含まれる線のいずれか、並びに、連続的、断続的及び連続的及び断続的のいずれかの形態で配置されていてもよい。
　前記胴部装着部は、線状の前記押圧部材が配置され、その配置方向と交差する方向に沿って切断された場合に、前記押圧部材の端部が露出した開放端部が形成であってもよい。
　前記開放端部は、線状の前記押圧部材が配置され、その配置方向と交差する方向に沿って切断された場合に、前記押圧部材による弾性力が抑制されたフリル部が形成されていてもよい。
　前記胴部装着部は、着用者の腰骨以下の位置において装着可能であってもよい。
　前記股下部の幅寸法は、前記吸収体又は前記弾性シートの幅寸法未満であってもよい。
　前記胴部装着部は、紐状部材により外周長さの調節が可能であってもよい。
　前記胴部装着部は、前記前部と前記後部との大きさが異なっていてもよい。
　本発明の他の形態は、トップシートと、バックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に配置された吸収性コアと、備える排泄物吸収用の吸収体であって、前記吸収体は、着用者の前部から後部へ股下を通って延びる領域の少なくとも一部分に配置され、前記前部から前記後部へ延びる方向に伸縮可能な弾性部材を有し、前記弾性部材の弾性力により、前記吸収性コアを身体側に押圧する吸収体である。
　本発明の他の形態は、使い捨て衣類に適用され、着用者の股下を通って延び、着用者の股下を通る方向に伸縮可能な弾性シートであって、弾性力により前記弾性シートを着用者の身体側に押圧可能な弾性部材を備え、前端又は後端の少なくとも一方の端部側が前記使い捨て衣類に着脱可能に取り付けられている弾性シートである。
　本発明の他の形態は、前記吸収性コアを含む吸収体が、
前記弾性シートが前記着用者の股下を通って延びる、伸縮可能な方向を基準として、両端部の領域のうち少なくとも一方端部の領域に切り込み部を有する使い捨て衣類である。
　本発明の他の形態は、前記着用者の股下を通る伸縮可能な方向を基準として、両端部の領域のうち少なくとも一方端部の領域に切り込み部を有する弾性シートである。
　本発明の他の形態は、前記弾性シートが、前記着用者の股下を通る、伸縮可能な方向を基準として、両端部の領域のうち少なくとも一方端部の領域に切り込み部を有する使い捨て衣類である。

　本発明によれば、尿等の漏れが生じにくく、外観に優れ、かつ着用者の装着に対する抵抗感を低減した使い捨て衣類、吸収体及び弾性シートを提供することができる。

着用者Ｐにより装着された状態の使い捨て衣類１の外観図である。使い捨て衣類１の断面図である。胴部装着部２０のバリエーションを示した図である。胴部装着部２０の他のバリエーションを示した図である。紙シート２０１に形成されたアンカー部を説明する図である。胴部装着部２０の他のバリエーションを示した図である。凹凸部２１３が形成された紙シート２０１の一例を示す部分断面図である。エンボス加工が施された紙シート２０１における空気の流れを説明する図である。紙シート２０１に対するエンボス加工のバリエーションを示した図である。紙シート２０１に対するエンボス加工のバリエーションを示した図である。胴部装着部２０に疎水性シート２０９を配置した場合のバリエーションを示した図である。押圧部材２０２の配置のバリエーションを示した図である。押圧部材２０２の配置のバリエーションを示した図である。第１弾性部２１と第２弾性部２２との接合構造を説明する図である。紙シート２０１を備えた弾性シート１７の部分断面図である。弾性シート１７のバリエーションを説明する図である。弾性シート１７のバリエーションを説明する図である。弾性シート１７と吸収体１０との接合を説明する図である。弾性シート１７と吸収体１０との他の接合を説明する図である。切欠き部１７ｃを設けた弾性シート１７を説明する図である。弾性シート１７の第２弾性部２２への取り付け方のバリエーションを示した図である。弾性シート１７の第２弾性部２２との接合部における部材間の重なり状態を示す断面図である。弾性シート１７の第２弾性部２２への取り付け方のバリエーションを示した図である。弾性シート１７の第２弾性部２２への取り付け方の他のバリエーションを示した図である。弾性シート１７の第１弾性部２１への取り付け方のバリエーションを示した図である。弾性シート１７の胴部装着部２０への取り付け方の他のバリエーションを示した図である。弾性シート１７の胴部装着部２０への取り付け方の他のバリエーションを示した図である。図１８Ｂの構成における弾性シート１７の取り付け位置を説明する図である。弾性シート１７の胴部装着部２０へ取り付け方のさらに他のバリエーションを示した図である。胴部装着部２０へ取り付ける弾性シート１７のさらに他のバリエーションを示した図である。弾性シート１７を第１弾性部２１の延出部２１ｂに接合した使い捨て衣類１の断面図である。弾性シート１７及び股下部２０ｃの幅寸法の関係を説明する図である。胴部装着部２０の股下部２０ｃに隙間部Ｓが形成された使い捨て衣類１の断面図である。胴部装着部２０の股下部２０ｃを撓ませた使い捨て衣類１の製造工程を示す模式図である。胴部装着部２０の股下部２０ｃを撓ませた使い捨て衣類１の他の製造工程を示す模式図である。胴部装着部２０の他の構成を説明する図である。吸収体１０を示した図である。第１実施形態の使い捨て衣類１の作用及び効果を説明する図である。第１実施形態の使い捨て衣類１の他の作用及び効果を説明する図である。第１実施形態の使い捨て衣類１のさらに他の作用及び効果を説明するための実画像を示した図である。第２実施形態における使い捨て衣類１Ａの外観図である。使い捨て衣類１Ａの断面図である。弾性シート１７の第２弾性部２２Ａへの取り付け方の他のバリエーションを示した図である。弾性シート１７の第１弾性部２１への取り付け方の他のバリエーションを示した図である。第２実施形態の使い捨て衣類１Ａの作用及び効果を説明する図である。第２実施形態の使い捨て衣類１Ａにおける吸収体１０の取り付け方のバリエーションを説明する図である。第３実施形態及び第４実施形態を説明する図である。第５実施形態、第６実施形態及び第７実施形態を説明する図である。第８実施形態を説明する図である。第１０実施形態の使い捨て衣類を説明する図である。第１０実施形態における吸収体１０の断面図である。第１１実施形態を説明する図である。第１２実施形態を説明する図である。第１３実施形態を説明する図である。第１４実施形態を説明する図である。着用者Ｐにより装着された状態の使い捨て水遊びパンツ２の外観図である。使い捨て水遊びパンツ２の断面図である。

（第１実施形態）
　以下、図面等を参照して、本発明の第１実施形態である使い捨て衣類について説明する。本実施形態に示す各図は、いずれも使い捨て衣類１の構造を理解しやすくするために模式的に描かれており、各部材の形状、大きさ等は、適宜に変更又は誇張されている。
　なお、本明細書において「使い捨て衣類」とは、布帛等の複雑な縫製を施した縫製品以外の、不織布等の素材等を用いて簡易に製造した衣類であり、１回の使用で廃棄するものに限らず、短期間の使用や数回の洗濯に耐えうるものも含む。

　本明細書の使い捨て衣類の装着対象年齢は限定されず、大人でも、子供でもよい。また性別も限定されず、男女のいずれでもよい。さらには人間に限らず、犬や猫等のペット用であってもよい。
　本明細書の使い捨て衣類は、尿を吸収する目的だけでなく、他のあらゆる排泄物、女性用の経血吸収目的のものであってもよい。
　なお、本明細書において「吸収」とは、尿等の吸収に限らず、女性用の経血、汗等のあらゆる液体の吸収や、他の排泄物の吸収を含む。

　図１は、着用者Ｐにより装着された状態の使い捨て衣類１の外観図である。図２は使い捨て衣類１の断面図である。
　なお、本明細書においては、図１で示すように、着用者Ｐが使い捨て衣類１を装着して起立した状態における上下となる方向を、使い捨て衣類１の説明において上下方向として説明する。
　また、着用者Ｐが使い捨て衣類１を装着して起立した状態における左右となる方向を、使い捨て衣類１の説明において横方向として説明する。
　さらに、着用者Ｐが使い捨て衣類１を装着した状態での前後方向（図２参照）を、使い捨て衣類１の説明において前後方向として説明する。

　図１及び図２に示すように、使い捨て衣類１は、パンツ型の胴部装着部２０と、胴部装着部２０の前部と後部との間に架け渡された弾性シート１７と、を備える。弾性シート１７の内側（上側、着用者側、肌当接側）には吸収体１０が配置される。なお、図２においては、胴部装着部２０の断面を模式的に示している。胴部装着部２０の構成については後述する。

（胴部装着部）
　胴部装着部２０は、図２に示すように、第１弾性部２１と、第２弾性部２２と、を備える。第１弾性部２１は、着用者Ｐの腰回りに装着される部分であり、第２弾性部２２の上部に配置される。第２弾性部２２は、着用者の下腹部周辺を押圧する部分である。
　第２弾性部２２は、前部２０ａと後部２０ｂとの間に股下部２０ｃを備える。股下部２０ｃは、前部２０ａと後部２０ｂとの間に形成された部分であり、着脱可能な接続部２０ｄを有することができる。接続部２０ｄは、面ファスナー、ホック、ボタン、粘着シート、粘着剤等により構成される。例えば、面ファスナーで接続部２０ｄを構成した場合、着用者は、面ファスナーの接続面同士を互いに重ね合わせることにより、図２に示すように、股下部２０ｃを接続することができる。また、着用者は、面ファスナーの接続面同士を剥がすことにより、股下部２０ｃを開放することができる。

　なお、接続部２０ｄは、開放のみ可能に構成されていてもよい。例えば、ホットメルト、縫合、ヒートシール、超音波による接合等で股下部２０ｃを接合しておき、必要に応じて接合箇所を分断することにより、股下部２０ｃを開放することができる。その他、股下部２０ｃの部分に切り取り予定線（ミシン目）を入れておき、必要に応じて切り取り予定線を分断することによっても、股下部２０ｃを開放することができる。
　本実施形態に示すパンツ型の使い捨て衣類１において、股下部２０ｃを開放することにより、胴部装着部２０の形状を、第２実施形態のような腹巻き型（図２４参照）にすることができる。なお、股下部２０ｃは、着脱又は開放可能な接続部２０ｄを備えていない構成としてもよい。

　胴部装着部２０は、図１に示すように、一般的な下着であるパンツ、衣類であるトランクスとほぼ同じ形状であり、かつ同等の丈を有する。胴部装着部２０には、両サイドにスリット２９が設けられている。スリット２９を設けることにより、着用者Ｐは、脚部を動かしやすくなる。
　なお、胴部装着部２０は、本実施形態の例に限定されず、着用者Ｐの腰回りよりも上部を覆うような形状であってもよい。また、胴部装着部２０は、腰骨より下で覆うものであってもよい。また、女性用として、両サイドが図１よりもさらに短くカットされた形状（すなわち、正面視において略Ｖ字形となる形状）とすることにより、脚部より動かしやすくなる。
　胴部装着部２０において、前部２０ａ（前身頃）と後部２０ｂ（後身頃）とは大きさが異なっていてもよい。胴部装着部２０の後部２０ｂを、前部２０ａよりも大きくすることにより、臀部の大きな着用者が装着しやすい使い捨て衣類１を提供することができる。また、前部２０ａと後部２０ｂとの大きさが異なる場合、立体縫製が可能となるため、様々な体型の着用者に、よりフィットした使い捨て衣類１を提供することができる。

　胴部装着部２０の表面には、図１に一例として示すように、印刷が施されている。本実施形態の胴部装着部２０は、後述するように、表面に紙シート２０１が配置されているため、不織布と比べて鮮明な絵柄を印刷することができる。胴部装着部２０の表面に、美観を有する色彩、模様、写真等（以下、「写真等」ともいう）を印刷することにより、着用者Ｐの使い捨て衣類１の装着に対する抵抗感をより低減することができる。

　紙シート２０１としては、パルプ紙又はパルプを主原料とする材料から形成された紙材料を用いることができる。すなわち、紙シート２０１は、原料シートとしての原紙シートに対して複数の工程による加工を施して製造される紙材料を用いることができる。ここで、紙シート２０１がパルプを主原料とする材料から形成される場合には、パルプの配合が３０％以上であることが好ましく、またパルプの配合が５０％以上であることがより好ましい。さらに、望ましくは、パルプの配合は８０％以上であることがより好ましい。パルプの配合を上記した割合とすることにより、使い捨て衣類１全体としての柔軟性を向上させたり、製造時の生産効率を向上させたりすることができる。また、パルプの配合を高くすることにより、使い捨て衣類１の廃棄後にその廃棄された使い捨て衣類１が、例えば土中等において分解されやすくすることができる。したがって、環境負荷をより低減し、環境面に対する配慮をより向上させることができる。なお、紙シート２０１は、一枚（単層）が好ましいが、複数枚（複層）で構成したものでもよい。紙シート２０１を複数枚で構成した場合には、互いの紙シート２０１の厚さ、材料等は同じものを用いてもよいし、異なるものを用いてもよい。
　紙シート２０１の好ましい目付量は、材料により異なるが、一例として、５～３１ｇ／ｍ²未満が挙げられる。

　上記原料シートの材料としては、種々の原料パルプを用いることができる。例えば、木材パルプ、合成パルプ、古紙パルプ等を挙げることができる。また、パルプ等の天然繊維に限られず、レーヨン等の再生繊維等も用いることができる。さらに、原料パルプとして、トイレットペーパー材料を用いることもできる。この場合には、例えば、赤松、エゾ松、トド松、ダグラスファー、ヘムロック、スプルース等の針葉樹から得られる針葉樹晒クラフトパルプとブナ、ナラ、カバ、ユーカリ、オーク、ポプラ、アルダー等の広葉樹から得られる広葉樹晒クラフトパルプを所定の割合で配合してなる原料パルプを用いることもできる。また、紙シート２０１の材料として、天然繊維を用いることが好ましい。天然繊維としては、例えば、ケナフ、竹繊維、藁、綿、繭糸、サトウキビ等を用いることができる。なお、紙シート２０１に用いられる紙材料としては、水解性を有するものであっても、水解性を有しないものであってもよい。また、紙シート２０１に用いられる紙材料は、上述したものに限定されない。

　また、紙シート２０１は、厚さ、材質等に応じて、所望の硬さにすることができる。そのため、紙シート２０１の厚みを部分的に変える等の手法を用いることにより、立体的なデザインの使い捨て衣類１を作製することができる。この手法により、例えば、使い捨て衣類１を補正下着のようにデザインすることもできる。この場合、体のラインが目立ちにくい、又は体のラインをより美しく見せることができる使い捨て衣類１を提供することができる。また、胴部装着部２０の端部において、紙シート２０１を部分的に硬くすることにより、使い捨て衣類１を通常の衣服等と同じ質感にすることができる。また、紙シート２０１を部分的に厚くして、その部分を硬くすることにより、紙シート２０１を部分的に弛みにくくすることができる。これによれば、硬くした部分においては、紙シート２０１と身体との間により多くの隙間が形成されるため、通気性を向上させることができる。一方、紙シート２０１の厚みを薄くすることにより、紙シート２０１が弛みやすくなるため、使い捨て衣類１を全体的又は部分的に柔らかくすることができる。

　図３Ａは、胴部装着部２０のバリエーションを示した図である。なお、図３Ａ（及び後述する図３Ｂ）に示す構成は、胴部装着部２０を構成する第１弾性部２１及び第２弾性部２２に共通である。なお、図３Ａでは図示を省略しているが、各部の間は、必要に応じて糊材により接着されている。
　本実施形態の胴部装着部２０は、図３Ａ（ａ）に示すように、最も外側に配置される紙シート２０１と、押圧部材２０２と、最も身体側に配置される不織布２０３と、を備えている。紙シート２０１は、表面に印刷層２０１ａを備えている。なお、押圧部材２０２は、例えば、スチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、ポリエチレン、スチレンブタジエン、シリコン、ブチレン、エストラマ、左記からなる合成ゴム、天然ゴム、その他の弾性素材を糸状に構成した部材である。

　印刷層２０１ａには、例えば、インクジェット等の手法により、写真等が印刷される。印刷層２０１ａの表面は、例えば、ニス引き加工を行ったり、バインダーを加えたりすることにより、色落ち防止処理がなされていることが好ましい。バインダーとしては、ＰＶＡ，ＣＭＣ，ＥＶＡ，アクリル，ラッカー等公知の材料があげられる。また、色落ち防止処理がなされているインクを使用することもできる。
　印刷層の形成には、特に制限はなく、グラビア印刷、フレキソ印刷等、各種の公知の印刷方法が好適に用いられるが、紙シート２０１の厚みが薄い場合には、印刷層２０１ａをフレキソ印刷により形成することが望ましい。フレキソ印刷は、版と紙シート２０１との間の接触面が少ない、印圧が低い等の特徴を備えている。そのため、版から紙シート２０１を剥がし易く、薄い紙シート２０１に印刷層２０１ａを形成するのに適している。

　また、フレキソ印刷では、使用できるインクの種類が多いため、例えば、ノズル等を通してインクを吐出させるインクジェット印刷のように、インクの粘度等に制約を受けることが少ない。そのため、印刷層２０１ａをフレキソ印刷により形成した場合は、印刷できる絵柄の自由度を高めることができる。なお、印刷層２０１ａに絵柄を印刷する場合に、版によって印刷される絵柄を、押圧部材２０２の伸縮方向に伸ばしておくことにより、着用者が使い捨て衣類１を装着したときに、胴部装着部２０の表面に所望の形状の絵柄が表れるようにすることができる。具体的には、押圧部材２０２を伸ばさない状態において、完成時の絵柄の大きさを１００％とした場合、印刷版の絵柄の比率を、押圧部材２０２の伸縮方向に１１０～３５０％となるように形成することが好ましい。これによれば、着用者が使い捨て衣類１を装着したときに、絵柄が不自然に拡大されることがないため、より美観に優れた製品となる。

　図３Ａ（ｂ）から（ｆ）は、胴部装着部２０の他の実施形態を示している。
　図３Ａ（ｂ）に示す胴部装着部２０は、図３Ａ（ａ）の構成において、紙シート２０１と押圧部材２０２との間に、不織布２０４が配置されている。
　図３Ａ（ｃ）に示す胴部装着部２０は、図３Ａ（ａ）の構成において、紙シート２０１のさらに外側に不織布２０５が配置されている。
　図３Ａ（ｄ）に示す胴部装着部２０は、図３Ａ（ｃ）の構成において、紙シート２０１と押圧部材２０２との間に、不織布２０６が配置されている。
　図３Ａ（ｅ）に示す胴部装着部２０は、図３Ａ（ｄ）の構成において、紙シート２０１と不織布２０６との間に、不織布２０７が配置されている。
　上述した図３Ａ（ｃ）から（ｅ）の構成では、紙シート２０１において、印刷層２０１ａのさらに外側に不織布が配置されるため、摩擦により印刷層２０１ａの写真等が剥げたり、色落ちしたりする不具合を軽減することができる。

　図３Ａ（ｆ）に示す胴部装着部２０は、図３Ａ（ｂ）の構成において、紙シート２０１のさらに外側に不織布２０８が配置され、この不織布２０８の表面に印刷層２０８ａが形成されている。このように、本発明における紙シートは、紙であり、紙に高分子材料等を含めたものであってもよい。図３Ａ（ｆ）の構成では、不織布２０８の背面側に紙シート２０１が配置されている。この構成によれば、印刷層２０８ａに形成された写真等が浮き上がって見えるため、着用者等は、紙シート２０１がない場合に比べて、より鮮明な写真等を見ることができる。なお、図３Ａ（ｆ）に示す不織布２０８において、印刷層２０８ａを紙シート２０１側に形成した場合は、摩擦により印刷層２０８ａの写真等が剥げたり、色落ちしたりする不具合を軽減することができる。

　図３Ａ（ｇ）に示す胴部装着部２０は、図３Ａ（ｃ）の構成において、押圧部材２０２の代わりに弾性膜２１０が配置されている。弾性膜２１０は、フィルム状の弾性部材であり、例えばシリコンゴム、ウレタンゴム、合成ゴム等により構成される。紙シート２０１の身体側に弾性膜２１０を配置することにより、尿等が身体側から紙シート２０１側へ移動するのを抑制することができる。
　上述した図３Ａ（ａ）から（ｇ）の構成では、身体側に不織布２０３が配置されるため、肌触りに優れている。

　本実施形態の胴部装着部２０において、押圧部材２０２の強度、素材は、配置される位置に応じて適宜に選択することができる。例えば、胴部装着部２０の前部２０ａと後部２０ｂとでそれぞれ異なる強度、素材の押圧部材２０２を配置してもよい。胴部装着部２０の前部２０ａと後部２０ｂとにおいて、押圧部材２０２の強度、素材が同じであると、胴部装着部２０の形状に制約を受けやすくなる。しかし、胴部装着部２０の前部２０ａと後部２０ｂとでそれぞれ異なる強度、素材の押圧部材２０２を配置することによって、形状の自由度を高めることができる。そのため、例えば、胴部装着部２０を立体的な形状にすることができる。

　また、不織布の材質は、配置される位置に応じて適宜に選択することができる。例えば、図３Ａ（ｃ）に示す構成において、身体側に配置される不織布２０３を親水性の不織布とし、外側に配置される不織布２０５を疎水性の不織布としてもよい。身体側に親水性の不織布２０３を配置することにより、尿等を不織布２０３の表面で拡散させることなしに、速やかに紙シート２０１側へ移動させることができる。また、外側に疎水性の不織布２０５を配置することにより、紙シート２０１に吸収された尿等が外側に浸み出すのを抑制することができる。不織布の材質及び配置は、図３Ａ（ｃ）の例に限らず、図３Ａ（ｂ）から（ｇ）に示す各不織布において、適宜に選択することができる。

　なお、外側に配置される不織布２０５と紙シート２０１との間には、糊材（不図示）を全面に塗布することが望ましい。このとき、糊材を不織布２０５の全面に隙間なく塗布してもよいし、糊材が不織布２０５に部分的に塗布されない領域を設けてもよい。例えば、糊材を縞状、格子状、網点状等に塗布してもよいし、一定形状又はランダムな形状の糊材を規則的又は不規則に塗布してもよい。糊材を不織布２０５の全面に隙間なく塗布した場合は、不織布２０５の防水性をより高めることができる。また、糊材が不織布２０５に部分的に塗布されない領域を設けた場合は、不織布２０５の防水性をある程度維持しつつ、通気性を向上させることができる。一方、身体側に配置される不織布２０３と紙シート２０１との間においては、通気性、通水性を確保するために、例えば、糊材を縞状、格子状、網点状等に塗布して、糊材が不織布２０３に部分的に塗布されない領域を設けることが好ましい。
　上述した不織布２０３又は２０５と紙シート２０１との接合方法は、糊材に限定されず、例えば、ホットメルト、縫合、ヒートシール、超音波による接合、その他公知の方法のいずれの方法であってもよく、又はそれらの組み合わせであってもよい。

　図３Ｂは、胴部装着部２０の他のバリエーションを示した図である。以下、図３Ａと同等部分に同一符号を付して説明する。
　図３Ｂ（ａ）に示す胴部装着部２０は、最も外側に配置される不織布２０５と、紙シート２０１と、押圧部材２０２と、最も身体側に配置される親水性の不織布２０３と、を備えている。紙シート２０１は、表面に印刷層２０１ａを備えている。この印刷層２０１ａと不織布２０５との間には、ホットメルト２１６が塗布されている。印刷層２０１ａと不織布２０５との間において、ホットメルト２１６を全面に塗布すると通気性が低下するため、隙間が開くように、例えば、ホットメルト２１６をドット状に塗布したり、格子状に塗布したりすることが望ましい。ホットメルト２１６は光透過性を有するため、印刷層２０１ａの表面に塗布することにより、水に濡れても印刷層２０１ａの写真等がぼやけたり、滲んだりすることがない。そのため、印刷層２０１ａとなるインクは、水性、油性のいずれでもよく、様々な種類のインクを使うことができる。また、摩擦により印刷層２０１ａの写真等が剥げたり、色落ちしたりする不具合を軽減することができる。

　本実施形態の胴部装着部２０によれば、内側で生じた尿等を不織布２０３の表面で拡散させることなしに、速やかに紙シート２０１側へ移動させることができる。このとき、紙シート２０１で吸収されなかった水分は、不織布２０５と紙シート２０１との間に塗布されたホットメルト２１６により弾かれるため、尿等の外側への浸み出しによる衣服の汚れを抑制することができる。また、ホットメルト２１６は、塗布状態によって間隙が形成されるため、通気性を確保することができる。また、紙シート２０１にエンボス加工（後述）を施した場合、紙シート２０１の表面に多数の孔が形成されるため、通気性をより高めることができる。

　一方、外側からの水分は、ホットメルト２１６により弾かれるため、外部からの水分が内側へ侵入することを抑制することができる。このような通気性と撥水性は、ホットメルト２１６の塗布量と塗布形状により調節することができる。例えば、ホットメルト２１６の塗布量を増やし、隙間の少ない塗布形状とすることにより、通気性よりも撥水性を高めることができる。また、ホットメルト２１６の塗布量を減らし、隙間の多い塗布形状とすることにより、撥水性よりも通気性を高めることができる。したがって、ホットメルト２１６の塗布量と塗布形状を適宜に調節することにより、胴部装着部２０の通気性と撥水性をより高いレベルで両立させることができる。

　図３Ｂ（ｂ）に示す胴部装着部２０は、紙シート２０１と押圧部材２０２との間にホットメルト２１６が塗布されている。
　図３Ｂ（ｃ）に示す胴部装着部２０は、紙シート２０１と不織布２０３との間にホットメルト２１６が塗布されている。図３Ｂ（ｃ）の構成において、ホットメルト２１６は、押圧部材２０２の伸縮を妨げないように塗布されている。
　図３Ｂ（ｄ）に示す胴部装着部２０は、押圧部材２０２と不織布２０３との間にホットメルト２１６が塗布されている。
　なお、ホットメルト２１６を不織布２０３の身体側に塗布すると、肌触りを損なうおそれがあるため、不織布２０３よりも外側（身体と反対側）に塗布することが望ましい。上述した図３Ｂ（ａ）～（ｄ）までの構成は、適宜に組み合わせて実施することもできる。

　図３Ｂ（ｅ）に示す胴部装着部２０は、最も外側に配置される不織布２０５と、紙シート２０１と、吸収性ポリマー２１７と、最も身体側に配置される親水性の不織布２０３と、を備えている。吸収性ポリマー２１７は、ポリアクリル酸ナトリウム等の高吸収性高分子材料である。吸収性ポリマー２１７は、紙シート２０１と不織布２０３との間に顆粒又は粉末の状態で保持されている。本実施形態の胴部装着部２０によれば、内側で生じた尿等を、吸収性ポリマー２１７により速やかに吸収させることができる。また、吸収性ポリマー２１７の外側には、紙シート２０１、不織布２０５が配置されているため、尿等の外側への浸み出しをより効果的に抑制することができる。また、最も身体側には、不織布２０３が配置されているため、肌触りと通気性に優れている。

　図３Ｂ（ｆ）に示す胴部装着部２０は、図３Ｂ（ｅ）に示す構成において、吸収性ポリマー２１７と不織布２０３との間に紙シート２０１が配置されている。このように、吸収性ポリマー２１７と最も身体側に配置される不織布２０３との間に紙シート２０１を配置することにより、内側で生じた尿等の多くを紙シート２０１により吸収させることができる。そのため、図３Ｂ（ｅ）に示す構成に比べて、吸収性ポリマー２１７の量を少なくすることができる。

　なお、図示していないが、図３Ｂ（ａ）～（ｇ）に示す構成において、最も外側に配置される不織布２０５の表面に微細な孔を複数形成してもよい。このような孔を設けることにより、通気性をより向上させることができる。この孔は、例えば、ドット状に規則的に形成されていてもよいし、ランダムに形成されていてもよい。また、この孔は、不織布２０５の全面に形成されていてもよいし、部分的に形成されていてもよい。
　さらに、最も外側に配置される不織布２０５の表面に、撥水剤（不図示）をコーティングしてもよい。撥水剤としては、油性、シリコン系、テフロン（テフロンはデュポン社の登録商標である。）系等を用いることができる。このように、最も外側の不織布２０５の表面に撥水剤をコーティングすることにより、外側からの水分の侵入をより効果的に抑制することができる。

　次に、紙シート２０１に形成されるアンカー部について説明する。
　図３Ｃは、紙シート２０１に形成されたアンカー部を説明する図である。図３Ｃに示すホットメルト２１６は、あらかじめ押圧部材２０２の表面に塗布されている。ホットメルト２１６は、押圧部材２０２が紙シート２０１と不織布２０３の間に挟み込まれることにより、紙シート２０１及び不織布２０３に浸透する。

　図３Ｃに示すように、押圧部材２０２に塗布されたホットメルト２１６は、不織布２０３に比べてより多く紙シート２０１に浸透するため、ホットメルト２１６が身体側に配置された不織布２０３から浸み出すことがない。また、紙シート２０１に浸透したホットメルト２１６は、紙繊維の微細な凹凸に入り込み（アンカー効果）、紙シート２０１と一体化してアンカー部２１８ａとなる。また、押圧部材２０２に塗布された残りのホットメルト２１６は、不織布２０３に浸透し、繊維の微細な凹凸に入り込み（アンカー効果）、不織布２０３と一体化してアンカー部２１８ｂとなる。そのため、紙シート２０１、押圧部材２０２及び不織布２０３との間の接着力をより向上させることができる。すなわち、紙シート２０１の表層に形成されるアンカー部２１８ａ及び不織布２０３の表層に形成されるアンカー部２１８ｂにより、紙シート２０１、押圧部材２０２及び不織布２０３の三者を強固に接着することができる。したがって、胴部装着部２０の全体的な剛性を向上させることができる。なお、アンカー部は、少なくとも紙シート２０１に形成されていればよく、その場合でも、紙シート２０１と押圧部材２０２とを強固に接着することができる。

　また、紙シート２０１を使用せず、不織布と不織布との間に押圧部材を配置した場合、適切な接着力を得るために、ホットメルトを大量に塗布する必要がある。このように、ホットメルトを大量に塗布すると、押圧部材の弾性力が失われるだけでなく、胴部装着部２０の柔軟性も低下するため、肌触りが低下する。また、ホットメルトが身体側に配置された不織布から浸み出し、外観が悪くなるという不具合を生じる。しかし、紙シート２０１を使用した場合は、ホットメルト２１６を塗布することによって、アンカー部２１８ａが形成されるため、より少ない量のホットメルト２１６で強力な接着力を得ることができる。これによれば、大量のホットメルト２１６を使用することがないため、押圧部材２０２の弾性力を失うことがない。また、胴部装着部２０の柔軟性が増すと共に、ホットメルト２１６が身体側に配置された不織布２０３から浸み出すことがないため、肌触りを良くすることができ、さらには外観性も向上させることができる。

　また、紙シート２０１にアンカー部２１８ａが形成されることにより、紙シート２０１が水に晒された場合でも、紙シート２０１を破れにくくすることができる。また、ホットメルト２１６の使用量を削減できるため、コストの低減を図ることができる。また、ホットメルト２１６の使用量を削減できるため、使用後の使い捨て衣類１が廃棄された場合に、環境に対する影響を低減することができる。また、ホットメルト２１６の使用量を削減できるため、胴部装着部２０の通気性、汗等の蒸散性も向上させることができる。

　また、紙シート２０１を使用せず、不織布と不織布との間に押圧部材を配置した構成では、胴部装着部が裁断された場合に、裁断された端部から押圧部材が内側に引っ込んでしまう、いわゆる押圧部材抜けが発生する。しかし、図３Ｃに示すように　、本実施形態の構成によれば、紙シート２０１に形成されるアンカー部２１８ａ及び不織布２０３に形成されるアンカー部２１８ｂにより、紙シート２０１、押圧部材２０２及び不織布２０３との間が強固に接着されるため、裁断された端部において、押圧部材抜けの発生を抑制することができる。

　ちなみに、従来の使い捨て衣類では、例えば、脚回りの密着性を得るため、脚の周囲に接する部分に脚回りギャザーを形成していた。脚回り部分を裁断した際の押圧部材抜けによる密着性の低下を防ぐためである。そのため、脚回りギャザーを作製するために複雑な工程が必要となり、多数の加工機が必要となっていた。しかし、本実施形態の構成によれば、胴部装着部２０の脚回り部分を裁断した場合でも、裁断した部分での押圧部材抜けを抑制することができるため、脚回りギャザー等を形成する必要がない。これによれば、脚回りギャザーを作製するための複雑な工程、多数の加工機を不要となるため、コストの低減を図ることができる。

　図３Ｄは、胴部装着部２０の他のバリエーションを示した図である。以下、図３Ａと同等部分に同一符号を付して説明する。
　図３Ｄ（ａ）に示す胴部装着部２０は、最も外側に配置される不織布２０５と、伸縮性フィルム２０２ａと、最も身体側に配置される親水性の不織布２０３と、を備えている。
　図３Ｄ（ｂ）に示す胴部装着部２０は、最も外側に配置される不織布２０５と、伸縮性フィルム２０２ａと、紙シート２０１と、最も外側に配置される不織布２０５と、を備えている。伸縮性フィルム２０２ａと最も身体側に配置される不織布２０３との間に紙シート２０１を配置することにより、内側で生じた尿等の多くを紙シート２０１により吸収させることができる。
　図３Ｄ（ｃ）に示す胴部装着部２０は、最も外側に配置される不織布２０５と、外側紙シート２０１ｂと、伸縮性フィルム２０２ａと、内側紙シート２０１ｃと、最も身体側に配置される親水性の不織布２０３と、を備えている。外側紙シート２０１ｂは、表面に印刷層２０１ａを備えている。また、伸縮性フィルム２０２ａと最も身体側に配置される不織布２０３との間に紙シート２０１ｃを配置することにより、内側で生じた尿等の多くを紙シート２０１により吸収させることができる。
　なお、いずれの場合も。最も外側に配置される不織布２０５は必須ではない。また、伸縮性フィルム２０２ａとしては、ウレタンフィルム、シリコンフィルム、エラストマーフィルムのような伸縮弾性フィルムであってもよいし、ウレタン樹脂やシリコン樹脂を原料に用いたスパンボンド不織布、メルトブロー不織布などの伸縮性不織布、又はウレタン、シリコン繊維を不織布やティシュで挟んだ伸縮性のシートを用いることができる。また、その形状はフィルムであるがゆえに伸縮性を有する平面状のフィルムとなる。

　図３Ａや図３Ｂに示すように、紙シート２０１等とゴム等の押圧部材２０２と隣接して配置した場合、図３Ｄに示す紙シート２０１（２０１ｂ、２０１ｃ）に伸縮性フィルム２０２ａが隣接配置された場合と比べると、以下の利点がある。
　紙シート２０１に押圧部材２０２を配置した場合には、伸縮性フィルムが平面形状で配置されるのに対し、押圧部材２０２が線状で配置される為、紙シート２０１等とゴム等の押圧部材２０２と隣接して配置した場合は、紙シート２０１と押圧部材２０２との接触面積が少なくてすむので、紙シート２０１に対する接着剤の塗布量が少なくすることができる。その結果、紙シート２０１の内側で生じた尿等を紙シート２０１が吸収する吸収面積を大きくすることができる。
　なお、図３Ａや図３Ｂに示すように、紙シート２０１等とゴム等の押圧部材２０２と隣接して配置した場合、ゴム等の押圧部材が線状であるため、紙シート２０１が面状に覆われることがない。したがって、紙シート２０１が、内側で生じた尿等をすぐに吸収することができる。

　次に、紙シート２０１の表面形状について説明する。
　紙シート２０１は、表面に凹凸部（非平坦部）を有する。図４は、凹凸部２１３が形成された紙シート２０１の一例を示す部分断面図である。図４に示すように、紙シート２０１の表面には、凹部２１１及び凸部２１２からなる凹凸部２１３がほぼ全面に形成されている。凹部２１１及び凸部２１２は、例えばエンボス加工により形成することができる。具体的には、ロールの周面にエンボス加工用の複数の突起が設けられた一対の金属製ロール（エンボスロール）を対向配置して回転させ、そのロール間に紙シート２０１を通過させることにより、紙シート２０１にエンボス加工を施すことができる。ただし、紙シート２０１の表面に凹凸形状を形成する手法は、エンボス加工に限らず、他の手法で形成してもよい。また、エンボス加工による凹凸部２１３の断面形状も、図４に示す波形に限らず、例えば、三角形、四角形、半円形等であってもよい。紙シート２０１の表面に凹凸部２１３を形成することにより、紙シート２０１を嵩高な状態とすることができる。また、エンボス加工により、紙シート２０１の全面に連続する凹凸部２１３が形成される。

　紙シート２０１の凹凸部２１３は、図４に示すような凹凸形状に限らず、凹形状のみ、凸形状のみであってもよい。すなわち、非平坦部は、一例である凹凸部２１３に限らず、同等に機能する各種の形状が適用可能である。さらに、一部に平坦部を含んでいても、全体として非平坦部であればよい。
　また、紙シート２０１は、表面に連続する凹凸部２１３が発生することにより、エンボス加工を施していない他の部分に比べて強度が低下するため、いわゆる脆弱部となる。紙シート２０１にエンボス加工を施した後、図６Ｂに示すように、紙シート２０１、不織布２０３、２０５及びホットメルトを塗布した押圧部材２０２（図６Ａ，Ｂに図示せず）を重ね合わせて平ロール加工をすると、押圧部材２０２の張力が開放されたときに、胴部装着部２０の表面に、紙シート２０１の脆弱部を基点として細かい皺２１３ａが発生する。
　そのため、胴部装着部２０の内部に多くの隙間が形成される。したがって、胴部装着部２０の通気性をより向上させることができる。紙シート２０１に形成される連続する凹凸部２１３の本数は、例えば、１ｃｍ²当たり１５～５０本程度が好ましい。
　なお、印刷層２０８ａは、エンボス加工を施す前の紙シート２０１に形成してもよいし、エンボス加工を施した後の紙シート２０１に印刷層２０８ａを形成してもよい。

　ここで、紙シート２０１にエンボス加工を施した場合の通気性について、図５を参照しながら説明する。図５は、エンボス加工が施された紙シート２０１における空気の流れを説明する図である。図５の各図では、印刷層２０１ａの図示を省略する。
　図５（ａ）は、紙シート２０１と不織布２０４とを積層した状態でエンボス加工した例である。図５（ａ）において、紙シート２０１と不織布２０４との間を接着する糊材（不図示）は、紙シート２０１と不織布２０４との間のほぼ全面で塗布されている。本実施形態において、空気Ａ１は、紙シート２０１及び不織布２０４からなる積層体の表面に形成された凹部２１１及び凸部２１２と着用者Ｐとの間をそれぞれ通過する。

　図５（ｂ）は、エンボス加工を施した紙シート２０１に不織布２０４を貼り合せて積層体とした例である。図５（ｂ）に示すように、第１パターンにおいて、空気Ａ１は、不織布２０４の内側を通過する。第２パターンにおいて、空気Ａ２は、紙シート２０１と不織布２０４との間を交互に通過する。なお、紙シート２０１と不織布２０４との間を接着する糊材２１４は、紙シート２０１と不織布２０４との間において部分的に塗布される。そのため、空気Ａ２は、紙シート２０１と不織布２０４との間において、糊材２１４の塗布されていない空間を通過することができる。第３パターンにおいて、空気Ａ３は、紙シート２０１、不織布２０４の順に通過する。なお、第３パターンにおいて、空気Ａ３は、図中に破線で示すように、不織布２０４、紙シート２０１の順に通過することもできる。なお、空気の通過する形態は、上述した３パターンに限らず、種々の形態が考えられる。例えば空気は、凹凸部２１３を横切るように通過することもできる。

　図６は、紙シート２０１に対するエンボス加工のバリエーションを示した図である。図６では、図３Ａ（ｃ）の構成に対してエンボス加工を施す例について説明する。なお、図６では、図示を省略しているが、押圧部材２０２は、エンボス加工前の段階で不織布２０３に積層されている。この押圧部材２０２の表面には、ホットメルト（不図示）が塗布されている。
　図６Ａ（ａ）に示すように、不織布２０３、紙シート２０１及び不織布２０５の積層体をエンボス加工することで、押圧部材２０２の張力が解放されることにより、凹凸部２１３からなる皺２１３ａが形成されたシート体２００を形成することができる。シート体２００は、胴部装着部２０のベースとなる部材である。
　図６Ａ（ｂ）に示すように、不織布２０３及び紙シート２０１の積層体をエンボス加工し、押圧部材２０２の張力が解放されることにより、さらに不織布２０５を貼り付けることにより、凹凸部２１３を有し、細かい皺２１３ａが形成されたシート体２００を形成することができる。なお、本例において、不織布２０５及び紙シート２０１の積層体をエンボス加工し、その上に不織布２０３を貼り付けてもよい。
　図６Ａ（ｃ）に示すように、単品の紙シート２０１をエンボス加工し、その紙シート２０１の両面に不織布２０３、２０５を貼り付けることにより、押圧部材２０２の張力が解放されることにより凹凸部２１３を有し、細かな皺２１３ａが形成されているシート体２００を形成することができる。
　なお、図６Ａ（ｂ）、（ｃ）のシート体２００では、不織布の部分を平坦状に図示しているが、実際には不規則な波状となる。

　図６Ｂに示す実施形態では、単品の紙シート２０１をエンボス加工した後、その紙シート２０１の両面に不織布２０３、２０５を貼り付けて積層体とし、さらに平ロール加工を行っている。平ロール加工された積層体は、押圧部材２０２の張力が開放されることにより、細かな皺２１３ａの形成されたシート体２００となる。

　また、紙シート２０１にエンボス加工を施した場合、その部分は、エンボス加工を施していない他の部分に比べて強度が低下するため、いわゆる脆弱部となる。そして、紙シート２０１にエンボス加工を施した後、図６Ｂに示すように、紙シート２０１、不織布２０３、２０５及びホットメルトを塗布した押圧部材２０２（不図示）を重ね合わせて平ロール加工すると、押圧部材２０２の張力が開放されたときに、胴部装着部２０の表面に、紙シート２０１の脆弱部を基点として細かい皺２１３ａが発生する。この細かい皺２１３ａは、部分的に発生させてもよいが、連続的に発生させることがより好ましい。このような細かい皺２１３ａが発生することにより、胴部装着部２０の表面の接触面積が少なくなるため、肌触りが良くなる。また、細かい皺２１３ａが発生することにより、光の吸収性が高まると共に、透けにくくなるため、着用者の体のラインを目立ちにくくすることができる。
　また、エンボス加工により、紙シート２０１の表面に複数の凹部、凸部等の形状を形成することにより、通常の印刷では表現できない立体的なデザイン、見る角度によりニュアンスの異なるデザイン等の表現が可能となる。また、紙シート２０１に脆弱部を形成することにより、押圧部材２０２の弾性力が損なわれにくくなるため、胴部装着部２０に複数の凹凸を所望の態様で形成させ易くなる。

　また、紙シート２０１に、エンボスロール等を用いて、抜き孔、パンチング等の孔形成加工を施すことにより、紙シート２０１の表面に適度な大きさの孔、裂け目、切り込み等を形成することができる。この処理は、紙シート２０１単体に施してもよいし、紙シート２０１、不織布２０３、２０５、押圧部材２０２及びホットメルト２１６を含めた胴部装着部２０の製造工程で行ってもよい。また、エンボスロール等による押圧により、紙シート２０１に延伸処理が施されることが好ましい。これらの加工を、紙シート２０１に施すことにより、全体として柔軟性があり、ふっくら感に優れた胴部装着部２０を得ることができる。

　また、紙シート２０１に柔軟剤を含ませることで、伸縮性を向上することができる。
　例えば、紙シートを含まずに、不織布２０５と、押圧部材２０２と、不織布２０３とを含む積層構造の場合、伸縮性は有しているが、吸収性に乏しい。また、図３Ａ（ｃ）に示すように紙シート２０１を含み、不織布２０５と、紙シート２０１と、押圧部材２０２と、不織布２０３とを含む積層構造の場合、吸収性が向上する。さらに、紙シート２０１に柔軟剤が塗布されている場合、吸収性が向上するとともに紙シート２０１が柔軟剤でなじむので伸縮性も向上することができる。

　ここで、胴部装着部２０に、非親水性シートを配置した例について説明する。図７は、胴部装着部２０に疎水性シート２０９を配置した場合のバリエーションを示した図である。図７は、図３Ａ（ｃ）の構成に疎水性シート２０９を配置した例について説明する。
　図７（ａ）に示す胴部装着部２０は、外側に配置された不織布２０５と紙シート２０１との間に、非親水性シートとしての疎水性シート２０９が配置されている。疎水性シート２０９としては、例えば透湿性フィルムを用いることができる。透湿性フィルムは、空気は通過させるが、水分は通過させない特性を有する部材である。紙シート２０１の表面に印刷層２０１ａが形成されている場合、疎水性シート２０９は、印刷層２０１ａの視認性を良くするために、透明度の高い透湿性フィルムを用いることが好ましい。その場合、印刷層２０１ａに形成された精細な写真等をより鮮明に見せることができる。なお、疎水性シート２０９は、透明度の高いものに限定されず、例えば半透明であってもよい。

　図７（ｂ）に示す胴部装着部２０は、外側に配置された不織布２０５と紙シート２０１との間に疎水性シート２０９が配置されている。本例において、疎水性シート２０９は、表面に印刷層２０９ａを備えている。なお、本例において、押圧部材２０２は、紙シート２０１と疎水性シート２０９との間に配置されてもよい。
　なお、紙シート２０１又は疎水性シート２０９に印刷層を形成した場合、印刷層の視認性を良くするため、押圧部材２０２は、印刷層よりも外側に配置しないことが好ましい。また、非親水性シートは、疎水性シートに限らず、防水性シート等であってもよい。

　図３Ａ（ａ）から（ｇ）の構成において、押圧部材２０２は、弾性力により胴部装着部２０を身体側に押圧可能な部材である。そのため、押圧部材２０２を胴部装着部２０の全周に亘って配置することにより、装着された部位（例えば腰回り）の周囲を囲むように胴部装着部２０を身体側へ押圧することができる。また、着用者の胴体だけでなく、脚部の周りも押圧することができる。

　図８Ａは、押圧部材２０２の配置のバリエーションを示した図である。なお、図８Ａでは、胴部装着部２０の全周を模式的に示している。
　図８Ａ（ａ）に示すように、押圧部材２０２は、胴部装着部２０（第１弾性部２１、第２弾性部２２）の全周に亘って、連続的に配置されていてもよい。
　図８Ａ（ｂ）に示すように、押圧部材２０２は、胴部装着部２０（第１弾性部２１、第２弾性部２２）の全周に亘って、断続的に配置されていてもよい。
　図８Ａ（ｃ）に示すように、押圧部材２０２は、胴部装着部２０（第１弾性部２１、第２弾性部２２）の全周に亘って、連続的に配置される部分と、断続的に配置される部分とが混在していてもよい。
　図８Ａ（ａ）から図（ｃ）において、押圧部材２０２は、胴部装着部２０に平行に配置されていてよいし、斜め方向に配置されていてもよい。

　また、押圧部材２０２は、図８Ａ（ａ）から（ｃ）に示すように、直線状に配置されていてもよいし、図８Ａ（ｄ）に示すように、曲線状に配置されていてもよい。また、曲線の形状として、図８Ａ（ｅ）に示すように、波形であってもよい。さらに、押圧部材２０２は、図８Ａ（ｆ）に示すように、一部に直線又は曲線が含まれる線として配置されていてもよい。
　さらに、図８Ａ（ｇ）に示すように、幅方向も平行に配置された押圧部材２０２のみならず、それと垂直方向に配置された押圧部材２０２を備え、押圧部材２０２が格子状になっていてもよい。また、図８Ａ（ｈ）に示すように、格子状の押圧部材２０２が斜めに配置されていてもよい。

　上述したように、本実施形態の胴部装着部２０には、押圧部材としての押圧部材２０２が全周に亘って配置され、かつ胴部装着部２０の内部に吸収体１０が配置されている。そして、本実施形態の胴部装着部２０は、弾性シート１７が吸収体１０を押圧する力、及び押圧部材２０２が弾性シート１７を身体側へ押圧する力の２つの合力が身体に作用する構造を備える。このような構造による作用により、はじめて胴部装着部２０を着用者の腰骨以下で装着することが可能となる。さらに、装着された部位の周囲を囲むように胴部装着部２０を身体側へ押圧することができる。これによれば、胴部装着部２０の丈を、通常の下着類と同様に短くした場合でも、着用者の腰骨の位置（図１参照）で使い捨て衣類１を装着することもできる。また、丈をさらに短くすることにより、腰骨よりも下で装着する製品とすることもできる。したがって、本実施形態の使い捨て衣類１は、通常の下着類と比べて違和感のない美観に優れた製品となるだけでなく、装着時に見栄えが良く、装着感にも優れた製品となる。さらに、押圧部材２０２の収縮力により、胴部装着部２０の表面に皺２１３ａが発生し、胴部装着部２０と身体との間に多くの隙間が形成される。そのため、胴部装着部２０の通気性を向上させることができる。

　また、図８Ａ（及び後述する図８Ｂ）に示すように、押圧部材２０２の取り付け方を適宜に選択又は組み合わせることにより、胴部装着部２０の身体方向に向かう押圧力を調整することができる。
　また、第１弾性部２１及び第２弾性部２２は、全体に弾性力を有していなくてもよく、一部でもよい。
　図８Ｂは、図８Ａと同じく押圧部材２０２の配置のバリエーションを示した図であり、第２弾性部２２の一部に弾性力を有する例である。なお、図８Ｂでは、胴部装着部２０の形状を模式的に示している。
　図８Ｂ（ａ）に示すように、押圧部材２０２は、胴部装着部２０（第１弾性部２１、第２弾性部２２）の両側部に配置されていてもよい。
　図８Ｂ（ｂ）に示すように、押圧部材２０２は、胴部装着部２０（第１弾性部２１、第２弾性部２２）の中央部に配置されていてもよい。
　図８Ｂ（ｃ）に示すように、押圧部材２０２は、胴部装着部２０（第１弾性部２１、第２弾性部２２）の両側部と中央部との間の領域に配置されていてもよい。

　図８Ｂ（ｄ）に示すように、押圧部材２０２は、胴部装着部２０（第１弾性部２１、第２弾性部２２）の丈方向の上側において、両側部と中央部との間に配置され、丈方向の下側において、中央部に配置されていてもよい。
　図８Ｂ（ｅ）に示すように、押圧部材２０２は、胴部装着部２０（第１弾性部２１、第２弾性部２２）の丈方向の上側において、両側部に配置され、丈方向の下側において、股下部２０ｃの両側に配置されていてもよい。
　図８Ｂ（ｆ）に示すように、押圧部材２０２は、胴部装着部２０（第１弾性部２１、第２弾性部２２）の丈方向の下側において、両側部に配置されていてもよい。

　図８Ｂ（ｇ）に示すように、押圧部材２０２は、胴部装着部２０（第１弾性部２１、第２弾性部２２）の股下部２０ｃを中心として斜め上方向に左右に配置されていてもよい。
　図８Ｂ（ｈ）に示すように、押圧部材２０２は、胴部装着部２０（第１弾性部２１、第２弾性部２２）の丈方向の上側において、中央部を中心として斜め上方向に左右に配置されていてもよい。
　図８Ｂ（ｉ）に示すように、押圧部材２０２は、胴部装着部２０（第１弾性部２１、第２弾性部２２）の股下部２０ｃを中心として斜め上方向に左右に配置され、丈方向の上側において、中央部を中心として斜め上方向に左右に配置されていてもよい。

　図８Ｂ（ｇ）～（ｉ）において、押圧部材２０２の向きは、逆ハ字形であってもよいし、各部において、異なる向きであってもよい。また、図８Ｂの各分図に示すバリエーションは、適宜に組わせて配置することもできるし、幅方向に一部、弾性力を有していない部分があってもよい。
　また、周方向の一部、例えば、後述する吸収体１０を取り付ける領域に弾性力を有していない部分があってもよい。

　さらに、本実施形態において、第１弾性部２１と第２弾性部２２とは別体であるので、互いに異なる太さのゴムを用いてもよく、異なる弾性力のゴムを用いてもよく、用途によって強さを変えてもよい。なお、後述するように、第１弾性部２１と第２弾性部２２とが一体である場合も同じである。すなわち、第１弾性部２１に相当する部分及び第２弾性部２２に相当する部分に、互いに異なる太さのゴムを用いてもよく、異なる弾性力のゴムを用いてもよく、用途によって強さを変えてもよい。

　図８Ａ及び図８Ｂのように配置された押圧部材２０２によって、胴部装着部２０における前部２０ａ及び後部２０ｂの少なくとも股上領域２０ｅ（図２参照）に弾性力を作用させることができる。本実施形態において、股上領域２０ｅとは、股下部２０ｃから上側の周辺領域であり、胴部装着部２０の前部２０ａ及び後部２０ｂの一部を含む領域である（図２に、股上領域２０ｅの一例を示す）。本実施形態の使い捨て衣類１では、この股上領域２０ｅに作用する弾性力により、胴部装着部２０の前部２０ａ及び後部２０ｂが身体側に向かう方向に強い押圧力が得られるため、胴部装着部２０を身体により密着させることができる。

　また、押圧部材２０２は、胴部装着部２０の全面に配置することが好ましい。例えば、従来の使い捨ておむつは、吸収体１０に排出物等が排出された場合、その重さで吸収体１０が落ちないようにする必要があった。このため、従来の使い捨ておむつでは、ウエスト等に配置されたゴム等により、ウエストを局所的に強めに締め付けて、支えることが必須となる。そのため、従来の使い捨ておむつと同じ構造とした場合、胴部装着部２０の丈が長くなってしまう。
　この結果、着用者が従来の使い捨ておむつを装着した状態でズボン、スカート等を穿いた場合、使い捨ておむつの上端部がズボン、スカート等からはみ出てしまい、着用者が使い捨ておむつを装着することに抵抗感を感じやすいという難点があった。
　これに対し、本実施形態の使い捨て衣類１は、胴部装着部２０をウエスト等で局所的に締め付けることがなく、胴部装着部２０の全体で吸収体１０を支えることができる。そのため、本実施形態の使い捨て衣類１は、胴部装着部２０の丈を短くすることができる。この結果、本実施形態の使い捨て衣類１は、股間からウエストまでの丈が短いデザインにも対応することができる。したがって、本実施形態の使い捨て衣類１は、ファッション性に富み、年齢性別に問わず抵抗なく装着することができる。

　図８Ａで示したように、押圧部材２０２を横方向（胴部装着部２０の長手方向，装着して装着者が起立したときに水平となる方向、胴回りの方向）に配置した場合、胴部装着部２０は、皺２１３ａ（図６Ｂに図示）が効率よく形成されて湿気等吸収効果が高くすることができる。
　特に、図８Ａ（ａ）に示すように、押圧部材２０２を平行に横方向に延びるように配置した場合は、例えば、図８Ａ（ｇ）、（ｈ）等と比べると製造が容易もある。また、押圧部材２０２に対して効率よく皺２１３ａを形成することができ、材料効率が高い。更に、皺２１３ａの形成効率も高く、吸収力が最大となる。

（胴部装着部における第１弾性部と第２弾性部の接合方法）
　図９は、第１弾性部２１と第２弾性部２２との接合構造を説明する図である。
　図９（ａ）に示すように、第１弾性部２１の末端側は、第２弾性部２２の上部の末端よりも下方に延出している。第１弾性部２１は、この延出部２１ａにおいて第２弾性部２２と接合されている。本実施形態において、第２弾性部２２は、延出部２１ａにおいて、第１弾性部２１よりも身体側に接合されている。
　第１弾性部２１に対する第２弾性部２２の接合方法は、例えば、ホットメルト、縫合、ヒートシール、超音波による接合、糊付、その他公知の方法のいずれの方法であってもよく、又はそれらの組み合わせであってもよい。

　図９（ｂ）に示す胴部装着部２０は、第１弾性部２１と第２弾性部２２とが一体に形成されている。この場合、一体化する方法は限定されず、別途に製造された第１弾性部２１と第２弾性部２２とを、繋ぎ合わせたものであってもよい。
　図９（ｃ）に示す胴部装着部２０は、第２弾性部２２が、延出部２１ａにおいて、第１弾性部２１よりも外側（身体側と反対側）に接合されている。
　なお、第１弾性部２１と第２弾性部２２との接合構造は、上記の構造に限定されない。

（胴部装着部を第１弾性部と第２弾性部２２とが二部材であることの効果）
（１）胴部装着部２０を、第１弾性部２１と第２弾性部２２との二部材ではなく、一部材で製造する場合、個々の体形に合わせて、ゴムの太さ、ピッチ寸法、本数を部分的に調整するには限界があり、体型にあった装着感を着用者に与えことは難しかった。
　しかし、胴部装着部２０を第１弾性部２１と第２弾性部２２との二部材で製造する場合、一部材で製造する場合と比べて、部分的に弾性を異ならせることが容易となる。
　これにより、着用者Ｐの体型に合わせた、より自然な装着感を有する胴部装着部２０を提供することが可能となる。
（２）第１弾性部２１と第２弾性部２２とが二部材の場合、互いに厚みを変えることも容易である。その場合、第１弾性部２１と第２弾性部２２とで、保温性、通気性を変えることができる為、体温調整が可能となる。
（３）さらに、第１弾性部２１と第２弾性部２２とで、肌触り感に配慮して異なる素材を選ぶことも可能となる。
（４）使い捨て衣類１における第１弾性部２１を含む部分と、第２弾性部２２を含む部分とで異なる製造場所で製造したものを、合わせて製造することも可能となる。
（５）使い捨て衣類１の使用により、汚れた部位が発生した場合、第１弾性部２１と第２弾性部２２との接合部分で分断し、汚れた部位のみ廃棄することも可能となる。

（弾性シート）
　弾性シート１７は、長さ方向に伸縮可能なシート部材である。長さ方向とは、胴部装着部２０の前部から後部へ、着用者Ｐの股下を通って延びる方向である。
　長さ方向に伸縮可能なシート部材は、例えば、不織布、透湿性のフィルム、紙等のシート部材に紐状のゴムを接合したものであってもよく、それ自体が弾性を有するゴム、ウレタン、シリコンシート、ストッキングのような素材、ニット等であってもよい。
　弾性シート１７は、胴部装着部２０の内側に配置されているので、装着時において、生殖器、泌尿器の形状を隠すことができる。弾性シート１７をサポーターの代わりとして用いることも可能である。
　弾性シート１７には、胴部装着部２０（第１弾性部２１及び第２弾性部２２）と同様に、紙シート２０１を配置してもよい。弾性シート１７に紙シート２０１を配置した実施形態について説明する。図１０は、紙シート２０１を備えた弾性シート１７の部分断面図である。

　図１０に示す弾性シート１７は、２枚の不織布２２１の間に、紙シート２０１を備えている。紙シート２０１は、弾性部材であるゴム２２２よりも身体側に配置されている。本実施形態では、弾性シート１７が紙シート２０１を含むため、紙シート２０１を含まない場合と比べて水分の吸収性が向上する。
　このように、弾性シート１７における水分の吸収性が向上するため、着用者が寝返りを打つ等して体位を変更して、吸収体から尿等の漏れが生じた場合であっても、紙シート２０１によって水分が吸収される。そのため、着用者の不快感を低減することができる。
　また、弾性シート１７に紙シート２０１を配置した場合でも、ゴム２２２の表面にホットメルト（不図示）を塗布することにより、紙シート２０１の表層にアンカー部を形成することができる（図３Ｃ参照）。

　図１１及び図１２は、弾性シート１７のバリエーションを説明する図である。図１１及び図１２に示す弾性シート１７は、弾性部材１７ａにより、概ね全体に弾性が付与されているが、これに限らず、弾性シート１７の一部分に弾性が付与されているものも含まれる。
　図１１（ａ）に示す弾性シート１７において、シート部材の一例である弾性部材１７ａは、弾性シート１７の長手方向に均等に接合されている。なお、弾性部材１７ａは、例えば、スチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、ポリエチレン、スチレンブタジエン、シリコン、ブチレン、エストラマ、左記からなる合成ゴム、天然ゴム、その他の弾性素材を糸状に構成した部材である。
　図１１（ｂ）に示す弾性シート１７は、中央部において弾性を有さず、長手方向の前後の端部に弾性部材１７ｂが接合されている。
　図１１（ｃ）に示す弾性シート１７は、弾性の強い弾性部材１７ａ１が側部に配置され、それ以外の部分には弾性部材１７ａ１よりも弾性が弱い弾性部材１７ａ２が配置されている。
　この場合、側部の弾性部材１７ａ１の弾性が強いので、身体側への密着性が高くなり、尿等の横漏れの抑制効果が高くなる。一方、側部以外は身体側への密着性が側部に比べて低いので圧迫感がない。

　図１１（ｄ）に示す弾性シート１７は、弾性の強い弾性部材１７ａ１が中央部に配置され、それ例外の部分には弾性部材１７ａ１よりも弾性の弱い弾性部材１７ａ２が配置されている。
　この場合、中央部の弾性部材１７ａ１の弾性が強いので、臀部のくぼみにフィットし、装着性がよい。
　図１１（ｅ）に示す弾性シート１７は、図１１（ｃ）と図１１（ｅ）とを組み合わせたものである。弾性シート１７の前部は、図１１（ｃ）のように弾性の強い弾性部材１７ａ１が側部に配置され、それ以外の部分には弾性部材１７ａ１よりも弾性が弱い弾性部材１７ａ２が配置されている。弾性シート１７の後部は、図１１（ｅ）のように弾性の強い弾性部材１７ａ１が中央部に配置され、それ例外の部分には弾性部材１７ａ１よりも弾性の弱い弾性部材１７ａ２が配置されている。
　この場合、前部は、側部の弾性部材１７ａ１の弾性が強いので、身体側への密着性が高くなり、尿等の横漏れの抑制効果が高くなる。側部以外は、身体側への密着性が側部に比べて低いので圧迫感が少ない。一方、後部は、中央部の弾性部材１７ａ１の弾性が強いので、臀部のくぼみにフィットし、装着性がよい。

　図１１（ｆ）に示す弾性シート１７は、弾性部材１７ａが両側部に湾曲して配置されている。
　図１１（ｇ）に示す弾性シート１７は、側部において弾性部材１７ａが密集して配置され（隣接する弾性部材１７ａの間隔が狭い）、内側の弾性部材１７ａは、隣接する弾性部材１７ａ間の間隔が広い。この場合も（ｃ）と同様の効果が得られる。
　図１１（ｈ）に示す弾性シート１７は、弾性部材１７ａが長さ方向に連続しておらず、断続的に設けられている。
　図１１（ｉ）に示す弾性シート１７は、弾性部材１７ａが長さ方向に連続して接合されておらず、断続的に接合されている。
　図１１（ｊ）に示す弾性シート１７は、弾性部材１７ａが前後に、湾曲して配置されている。

　図１２（ｋ）に示す弾性シート１７は、弾性シート１７の前後の端部において弾性を有さず、弾性シート１７の中央部に弾性部材１７ａが接合されている。
　図１２（ｌ）に示す弾性シート１７は、弾性シート１７の前後の端部に弾性の強い弾性部材１７ａ１が配置され、中央部に弾性部材１７ａ１よりも弾性が弱い弾性部材１７ａ２が配置されている。この場合、前部は、弾性部材１７ａ１の弾性が強いので、身体側への密着性が高くなり、尿等の横漏れの抑制効果が高くなる。中央部は、身体側への密着性が側部に比べて低いので圧迫感が少ない。後部は、弾性部材１７ａ１の弾性が強いので、臀部のくぼみにフィットし、装着性がよい

　図１２（ｍ）に示す弾性シート１７は、弾性部材１７ａが直線状ではなく、波打つように配置されている。
　図１２（ｎ）に示す弾性シート１７は、弾性部材１７ａが長手方向と短手方向に配置されており、互いに交差している。
　図１２（ｏ）に示す弾性シート１７は、弾性部材１７ａが格子状に斜めに交差して配置されている。
　図１２（ｐ）に示す弾性シート１７は、図１１（ｆ）と図１２（ｍ）とを組み合わせたものである。この弾性シート１７の中央部は、波状の弾性部材１７ａが長手方向に配置され、側部に湾曲した弾性部材１７ａが配置されている。
　本実施形態は、これらの形態に限定されず、上記図１１（ａ）から図１２（ｐ）の組み合わせでもよい。また、弾性部材１７ａの強弱は、弾性部材１７ａの太さ、張りの強弱、ピッチの狭い広い、連続して接合するか断続的に接合するか、等によって調整可能である。

　図１２（ｑ）は、弾性シート１７の形状のバリエーションを説明する図である。上記図１１（ａ）から図１２（ｐ）に示す弾性シート１７は、矩形であるが、これに限定されない。例えば、図１２（ｑ）に示すような両端が広い形状でもよい。この形の弾性シート１７を胴部装着部２０に取り付けると、図１２（ｒ）に示すようなおむつ型になる。
　上述したように、弾性シート１７には、胴部装着部２０の前部から後部へ延びる方向に弾性部材１７ａが各種の形態で配置されている。そのため、弾性部材１７ａの収縮力により、弾性シート１７の表面に皺が発生し、弾性シート１７と身体との間に多くの隙間が形成される。したがって、弾性シート１７の通気性を向上させることができる。

　また、図１１（ａ）に一例を示すように、弾性シート１７の内部に紙シート２０１を配置してもよい。弾性シート１７の内部に紙シート２０１を配置するバリエーションは、上記図１１（ａ）から図１２（ｐ）に示す弾性シート１７に共通である。弾性シート１７の内部に紙シート２０１を配置することにより、尿等を紙シート２０１に吸収させることができるため、尿等の横漏れの抑制効果をより高めることができる。また、紙シート２０１は、表面に皺が発生しやすいため、弾性シート１７の内部に多くの隙間が形成される。そのため、弾性シート１７の通気性を向上させることができる。

（弾性シートと吸収体との接合）
　図１３Ａは、弾性シート１７と吸収体１０との接合を説明する図である。図１３Ａ（ａ）は、吸収体１０の接合された弾性シート１７の平面図である。図１３Ａ（ｂ）は、弾性シート１７の長手方向に沿った断面図（Ｘ－Ｘ´線に沿った断面図）である。弾性シート１７の長手方向とは、弾性シート１７の前後方向（図２参照）である。図１３Ａ（ｃ）は、弾性シート１７の幅方向に沿った断面図（Ｙ－Ｙ´線に沿った断面図）である。弾性シート１７の幅方向とは、弾性シート１７の長手方向と直交する方向である。図１３Ａ（及び後述する図１３Ｂ）では、吸収体１０の形状を簡略化している。吸収体１０の詳細な形状については後述する。

　図１３Ａに示すように、弾性シート１７と吸収体１０との間は、糊材１６により接合されている。糊材１６は、弾性シート１７の長手方向に沿って２箇所に塗布されている。糊材１６を、図１３Ａ（ａ）に示すような形状に塗布することにより、２つの糊材１６で囲まれる領域の面積は、吸収体１０の面積（＜弾性シート１７の面積）よりも小さくなる。そのため、吸収体１０の側縁部において、弾性シート１７との間に糊材１６の非接合部３０が形成される。この非接合部３０において、吸収体１０は、弾性シート１７に束縛されることなく、上方又は下方にそれぞれ自由に動くことができる。

　そのため、着用者が使い捨て衣類１を装着すると、弾性シート１７の長手方向においては、図１３Ａ（ｂ）に示すように、弾性シート１７及び吸収体１０の端部が上方に持ち上がる。同様に、弾性シート１７の幅方向においては、図１３Ａ（ｃ）に示すように、弾性シート１７及び吸収体１０の端部が上方に持ち上がる。これによれば、弾性シート１７及び吸収体１０と着用者との密着性が高められるため、尿等の漏れを抑制することができる。また、弾性シート１７及び吸収体１０の端部が上方に持ち上がると、吸収体１０の外周部（幅方向の側縁部）に形成された折り部（符号略）が起立して、立体のサイドギャザーが形成される。このサイドギャザーが形成されることにより、吸収体１０の幅方向において、身体との間に隙間が生じるため、通気性が確保される。

　図１３Ｂは、弾性シート１７と吸収体１０との他の接合を説明する図である。図１３Ｂ（ａ）は、吸収体１０の接合された弾性シート１７の平面図である。図１３Ｂ（ｂ）は、弾性シート１７の幅方向に沿った断面図（Ｘ－Ｘ´線に沿った断面図）である。
　図１３Ｂ（ａ）に示すように、弾性シート１７と吸収体１０との間は、弾性シート１７の長手方向において、中央の１箇所に塗布された糊材１６により接合されている。糊材１６を、図１３Ｂ（ａ）に示すように中央部の１箇所に塗布することにより、非接合部３０の面積を、図１３Ａ（ａ）に示す非接合部３０の面積よりも広くすることができる。これにより、吸収体１０は、弾性シート１７において、上方又は下方にそれぞれより自由に動くことができる。
　そのため、着用者が使い捨て衣類１を装着すると、弾性シート１７の長手方向においては、図１３Ｂ（ｂ）に示すように、弾性シート１７及び吸収体１０の長手方向の両端部が、図１３Ａ（ｂ）よりも、さらに上方に持ち上がる。これによれば、吸収体１０の長手方向の両端部を吊るすように構成された従来の使い捨ておむつに比べて、弾性シート１７及び吸収体１０と着用者との密着性をより高めることができるため、尿等の漏れをさらに効果的に抑制することができる。

　また、吸収体１０の長手方向の両端部を吊るすように構成された従来の使い捨ておむつでは、吸収体１０の柔軟性が低い（弛みが少ない）と、吸収体１０と着用者との密着性が悪くなる。しかし、本実施形態の使い捨て衣類１では、吸収体１０の柔軟性が低い場合でも、弾性シート１７により、吸収体１０の長手方向の両端部を強制的に上方に持ち上げることができるため、吸収体１０と着用者との密着性をより高めることができる。
　なお、本実施形態において、弾性シート１７に吸収体１０を接合する場合、弾性シート１７を長手方向に伸ばしていない状態として、糊材１６を中央部に塗布し、その上に吸収体１０を取り付ける。弾性シート１７の伸ばした状態で吸収体１０を接合すると、弾性シート１７の伸びた状態を維持することが難しく、また位置決めにも時間がかかるため、接合に手間と時間がかかる。しかし、弾性シート１７を伸ばさない状態で吸収体１０を接合するようにした場合は、弾性シート１７を簡単に位置決めできるので、吸収体１０を弾性シート１７により容易に接合することができる。

　さらに、別の実施形態を図１３Ｃに示す。図１３Ｃは、切欠き部１７ｃを設けた弾性シート１７を説明する図であり、吸収体１０の接合された弾性シート１７の平面図である。
　図１３Ｃに示すように、弾性シート１７の幅を、吸収体１０の幅とほぼ同一にするとともに、弾性シート１７の幅方向の両側に切欠き部１７ｃを設けてもよい。切欠き部１７ｃは、着用者が使い捨て衣類１を装着したときに、着用者の大腿部（不図示）と接する部位に設けられている。
　弾性シート１７の幅が吸収体１０の幅とほぼ同じ場合、着用者が使い捨て衣類１を装着すると、着用者の大腿部に、弾性シート１７及び吸収体１０の幅方向の両側が突っ張るように当たるため、穿き心地が低下する。特に、弾性シート１７を不織布により構成するとともに、吸収体１０を不織布のパッドで構成した場合、穿き心地が著しく低下してしまう。
　しかし、本実施形態のように、着用者の大腿部と接する部位に切欠き部１７ｃを設けることにより、着用者の大腿部に弾性シート１７が当たりにくくなるため、穿き心地を改善することができる。

　また、本実施形態の使い捨て衣類１において、吸収体１０を備えていない構成としてもよい。その場合、着用者は、弾性シート１７の中央部の１箇所に両面テープ等を貼り付けることにより、吸収体１０を弾性シート７１に簡単に取り付けることができる。両面テープ等は、接着面に保護シートが付けられた状態で、あらかじめ弾性シート１７に貼り付けられていてもよい。ちなみに、吸収体１０の長手方向の両端部を吊るすように構成された従来の使い捨ておむつでは、着用者が吸収体１０を後付けすることが難しい。そのため、着用者は、製造元の取り付けた吸収体１０を使わざるを得ない。しかし、本実施形態の使い捨て衣類１では、着用者が自らの好み、必要性等に応じて、多種多様な吸収体１０を取付けることができる。
　なお、弾性シート１７と吸収体１０との間の接合方法は、糊材１６に限らず、例えば、ホットメルト、縫合、ヒートシールのほか、超音波、両面テープ等による接着、その他公知の方法のいずれの方法であってもよく、又はそれらの組み合わせであってもよい。さらに、弾性シート１７と吸収体１０との間の接合に面ファスナー、ホック、ボタン等を用いてもよい。

（弾性シートの胴部装着部への接合）
（１）弾性シート１７の第２弾性部２２（胴部装着部２０）への接合
　図２に示すように、本実施形態の弾性シート１７は、長手方向の一端領域が第２弾性部２２の中央より上部かつ前側に接合されている。また、長手方向の他端領域は、第２弾性部２２の中央より上部かつ後側に接合されている。すなわち、弾性シート１７は、第２弾性部２２の中央より上部かつその前後に渡って架け渡されている。なお、ここで一端領域及び他端領域とは、必ずしも端部を含まなくてもよく、端部から離間した領域であってもよい。

（２）従来は、吸収体が胴部装着部に全体的に固定されているため、脚を入れたときに胴部装着部が延びない。その結果、履くのが容易でなく、脚部開口部を大きくしなくてはならなかった。
　しかし、本実施形態の弾性シート１７は、長手方向の端部のみが第２弾性部２２に接合されている。したがって、胴部装着部２０と弾性シート１７が重なっている股上領域２０ｅについても弾性シート１７と接合されている以外の領域については押圧部材２０２が損なわれることがない。それにより、着用者が脚部開口部に脚を入れた際にも押圧部材２０２が伸縮することができる。その結果、脚部開口部をあえて大きくしたり、股部を幅広にしたりしなくても、着用者は容易に履くことができる。
　さらに、脚部開口部をあえて大きくする必要がない等により、脚を入れたことの影響を受けずに自然な下着ラインが形成される。さらに、股上領域２０ｅに弾性部材を入れることができることから横長な胴部ギャザーを設けたり、脚部開口を広くしたり、股部を幅広にしたりする必要がない。

　本実施形態では、胴部装着部２０に弾性シート１７を取り付ける際、胴部装着部２０を伸長させない状態で弾性シート１７を接合してもよく、また、胴部装着部２０を伸長させた状態で弾性シート１７を接合してもよい。
　このように、胴部装着部２０に対して弾性シート１７の長手方向の一端領域と長手方向の他端領域が固定されることにより、弾性シート１７は、図１及び図２に示すように胴部装着部２０の内側に湾曲して保持される。
　弾性シート１７の略中央部の湾曲した下端は、使い捨て衣類１が着用者Ｐに装着されたときに、股部によって下方に延ばされる。すなわち、非装着状態では、弾性シート１７の湾曲した下端は、装着時よりも上に位置している。
　本実施形態では、図１及び２に示すように、弾性シート１７上に吸収体１０が配置される。したがって、着用者に装着されたときに、弾性シート１７が伸び、その収縮力によって、吸収体１０は身体側に押圧される。
　そして、弾性シート１７は、胴部装着部２０と接合された部分の下部において胴部装着部２０と非接触状態となり、隙間部Ｓが形成される。これによれば、弾性シート１７と胴部装着部２０とが一体に接合されている場合に比べて、胴部装着部２０の身体に向かう方向の押圧力をより大きくすることができる。そのため、胴部装着部２０は、弾性シート１７を身体に向かう方向により強く押圧することができる。

　なお、弾性シート１７は、胴部装着部２０に対して着脱可能でもよい。その場合、弾性シート１７の長手方向の前端、後端又は前後端における端部は、面ファスナーや粘着力の弱い接着テープ等により胴部装着部２０に取り付けられる。この場合に、弾性シート１７は、製造時に胴部装着部２０に取り付けられてもよいし、着用者が使用時に胴部装着部２０に取り付けてもよい。
　弾性シート１７の第２弾性部２２への取り付け方は、図２の例に限定されない。

　図１４は、弾性シート１７の第２弾性部２２への取り付け方のバリエーションを示した図である。図１５は、弾性シート１７の第２弾性部２２との接合部における部材間の重なり状態を示す断面図である。なお、本実施形態では、部材同士の接合部に「Ｃ」の符号を付して説明する。ただし、例えば同じ「接合部Ｃ１」であっても、接合する部材、接合形態は実施形態により異なる場合がある。

　図１４に示す例では、弾性シート１７の長手方向の一端が、第２弾性部２２の中央より上部の接合部Ｃ１で接合されている。弾性シート１７の長手方向の他端も同様に接続されている。この場合、着用者Ｐが使い捨て衣類１を装着すると、弾性シート１７と第２弾性部２２とが重なる部分が、着用者Ｐに対し第２弾性部２２によって押さえられるので、弾性シート１７の安定性が向上する。
　本例の弾性シート１７を、図２のように、胴部装着部２０の前部と後部の中央部よりも下部の間に架け渡さすように接合した場合であっても、着用者に装着されたときに、弾性シート１７がより大きく伸びるため、その収縮力によって、吸収体１０は身体側により強く押圧される。したがって、弾性シート１７の安定性がより向上する。着用者に装着されたときに、弾性シート１７がより大きく伸びるため、その収縮力によって、吸収体１０は身体側により強く押圧される。したがって、弾性シート１７の安定性がより向上する。
　接合部Ｃ１における第２弾性部２２と弾性シート１７との重なり状態を、図１５（ａ）に示す。図１５（ａ）に示すように、弾性シート１７の外側の面は、第２弾性部２２の内側の面に接合されている。

　なお、第２弾性部２２において、弾性シート１７を接合する位置は、適宜に設定することができる。例えば、弾性シート１７を第２弾性部２２の中央よりも下部に接合してもよい。この場合も、着用者Ｐが使い捨て衣類１を装着すると、弾性シート１７と第２弾性部２２とが重なる部分が、第２弾性部２２によって押さえられる。
　本例の弾性シート１７を、図２のように、胴部装着部２０の前部と後部の中央部よりも下部の間に架け渡すように接合すると、弾性シート１７の押圧力は、中央及びその上部に接合した場合よりも弱くなる。しかし、吸収体１０が身体側へ強く押圧されることを好まない着用者に適した製品となる。
　また、弾性シート１７を第２弾性部２２の中央よりも下部に接合した場合、弾性シート１７を中央及びその上部に接合した場合と比べて弾性シート１７が短くなるため、製造コストを安価にすることができる。

　なお、図１４では、第２弾性部２２の前部と後部とにおいて、弾性シート１７の前端と後端とが、第２弾性部２２の中央より上部の同じ位置に接合されている形態を図示したが、これに限定されない。弾性シート１７の前端と後端とが、第２弾性部２２の上部から下部の間で異なる位置に接合されていてもよい。

　図１６Ａは、弾性シート１７の第２弾性部２２への取り付けのバリエーションを示した図である。図１６Ａでは、第２弾性部２２及び吸収体１０の図示を省略して、平面状に展開した弾性シート１７及び接合部を図示する。弾性シート１７を第２弾性部２２へ取り付ける位置については後述する。
　図１６Ａ（ａ）に示す弾性シート１７は、前端の端部において、接合部Ｃ１で第２弾性部２２に接合されている。弾性シート１７の後端も同様に接合されている。
　図１６Ａ（ｂ）に示す弾性シート１７は、前端の端部から長手方向に間隔ｄ１だけ離れた位置において、接合部Ｃ２で第２弾性部２２に接合されている。弾性シート１７の後端も同様に接合されている。間隔ｄ１は、弾性シート１７の長手方向において、前端の接合部Ｃ２と後端の接合部Ｃ２との間で適切な弾性力が得られるように設定することが望ましい。接合部Ｃ２における第２弾性部２２と弾性シート１７との重なり状態を、図１５（ｂ）に示す。図１５（ｂ）に示すように、弾性シート１７の外側の面は、端部から間隔ｄ１だけ離れた位置で第２弾性部２２の内側の面に接合されている。

　図１６Ａ（ｃ）に示す弾性シート１７は、前端の端部において、２つの円形状の接合部Ｃ３で第２弾性部２２に接合されている。弾性シート１７の後端も同様に接合されている。接合部Ｃ３の数は、１つでもよいし、３つ以上でもよい。図１６Ａ（ｃ）の場合、図１５（ｂ）に示すような接合が可能である。
　図１６Ａ（ｄ）に示す弾性シート１７は、前端の端部において、２つの円形状の接合部Ｃ３、及び接合部Ｃ３から長手方向に間隔ｄ２だけ離れた位置において、２つの円形状の接合部Ｃ４で第２弾性部２２に接合されている。弾性シート１７の後端も同様に接合されている。
　本例において、弾性シート１７を長手方向に引き延ばした状態を維持しながら、接合部Ｃ３及びＣ４で第２弾性部２２に接合する。そして、弾性シート１７の引き延ばしを解除すると、弾性シート１７の長手方向において、前端の接合部Ｃ４と後端の接合部Ｃ４との間で弾性力を得ることができる。

　図１６Ａ（ａ）から（ｄ）に一例を示したように、弾性シート１７は、前端及び後端の端部側において、第２弾性部２２（胴部装着部２０）に取り付けられる。なお、弾性シート１７を第２弾性部２２に接合する位置は、図１６Ａ（ａ）に示す位置が望ましい。しかし、弾性シート１７に必要な弾性力を確保できる位置であれば、弾性シート１７を構成する部材の端部に限定されない。また、弾性シート１７を、第２弾性部２２に対して着脱可能に構成した場合、弾性シート１７は、前端又は後端の端部側の少なくとも一方の端部側において第２弾性部２２に取り付けられていればよい。

　本実施形態の使い捨て衣類１は、弾性シート１７が、前端又は後端の端部側の少なくとも一方の端部側において第２弾性部２２（胴部装着部２０）に取り付けられるため、吸収体１０を第２弾性部２２から独立した状態で保持することができる。しかし、従来の使い捨て衣類では、吸収体の全面が股下部及びその周辺部に接合されているため、着用者が歩行した場合等において、吸収体が股下部及びその周辺部の動きに応じて引っ張られ、吸収体がずれたり、吸収体と身体との間に隙間が生じたりする。これに対して、本実施形態の使い捨て衣類１では、着用者が歩行した場合等においても、吸収体１０が第２弾性部２２及び股下部２０ｃの動きに応じて引っ張られないため、吸収体１０がずれたり、吸収体１０と身体との間に隙間が生じたりすることがない。したがって、使い捨て衣類１においては、吸収体１０のずれ、吸収体１０と身体との間に生じた隙間による尿等の漏れを抑制することができる。また、脚部の自由度が高まるため、着用者は、歩行等の運動を行いやすくなる。

　なお、弾性シート１７は、前端及び後端の端部側だけでなく、以下に例示するように、長手方向に沿って接合されていてもよい。
　図１６Ａ（ｅ）に示す弾性シート１７は、幅方向の中央部において、長手方向に沿うように設けられたライン状の接合部Ｃ５で第２弾性部２２に接合されている。この場合、接合部Ｃ５は、第２弾性部２２だけでなく、股下部２０ｃ（不図示）にも接合される。図１６Ａ（ｅ）では、弾性シート１７の前端及び後端の端部だけでなく、その間も接合されている。しかし、ライン状の接合部Ｃ５は、幅方向における接合面積が少ないため、弾性シート１７の弾性力に与える影響は少ない。また、長手方向において、接合部Ｃ５を除いた両側の領域では、弾性シート１７と第２弾性部２２（股下部２０ｃを含む）とが接触しただけの状態となる。そのため、弾性シート１７の全面を第２弾性部２２及び股下部２０ｃに接合した場合に比べて、吸収体１０は、第２弾性部２２及び股下部２０ｃの動きに応じて引っ張られにくくなる。図１６Ａ（ｅ）に示す接合部Ｃ５は、弾性シート１７の上述した機能が確保できる範囲において、２本以上のストライプ状に設けられていてもよい。

　図１６Ａ（ｆ）に示す弾性シート１７は、幅方向の中央部において、長手方向に沿うように設けられた複数の円形の接合部Ｃ６で第２弾性部２２に接合されている。この場合おいて、複数の接合部Ｃ６の一部は、股下部２０ｃ（不図示）にも接合される。しかし、図１６Ａ（ｆ）では、複数の接合部Ｃ６が断続的に設けられているため、吸収体１０は、第２弾性部２２及び股下部２０ｃの動きに応じてより引っ張られにくくなる。本例においても、図１６Ａ（ｆ）に示すライン状の接合部Ｃ６は、弾性シート１７の上述した機能が確保できる範囲において、２本以上のラインとしてもよい。また、接合部Ｃ６の形状は、円形に限らず、四角形、三角形、楕円等であってもよい。
　また、第２弾性部２２に対する弾性シート１７の接合方法は、例えば、ホットメルト、縫合、ヒートシール、超音波による接合、糊付、その他公知の方法のいずれの方法であってもよく、又はそれらの組み合わせであってもよい。
　なお、図１６Ａに示す各構成は、吸収体１０が弾性シート１７を介さず、直接に胴部装着部２０に取り付けられる場合にも適用することができる。

　図１６Ｂは、弾性シート１７の第２弾性部２２への取り付け方の他のバリエーションを示した図である。図１６Ｂでは、吸収体１０の図示を省略して、平面状に展開した弾性シート１７と第２弾性部２２との接合部Ｃ７を拡大して図示する。なお、図１６Ｂでは、弾性シート１７の前端の端部における接合部Ｃ７を図示するが、後端も同様に接合されている。また、弾性シート１７は、胴部装着部２０の身体側に配置された不織布２０３に接合されるものとする。押圧部材２０２ｄ～２０２ｆ（後述）は、不織布２０３の身体側と反対面である裏面側に配置されている。

　図１６Ｂ（ａ）に示す実施形態において、弾性シート１７は、第２弾性部２２に配置された押圧部材２０２ｄ～２０２ｆに対して斜めに塗布されたホットメルト１９により接合されている。すなわち、ホットメルト１９は、弾性シート１７の幅方向の左右端を交互につなぐように、隣接する押圧部材２０２ｄ～２０２ｆの間を斜めにジグザグ状に塗布されている。
　これによれば、押圧部材２０２ｄ、押圧部材２０２e、押圧部材２０２ｆとホットメルト１９による、弾性シート１７との接合は、押圧部材２０２ｄは領域Ａ，押圧部材２０２ｅは領域Ｃ，押圧部材２０２ｆは領域Ｅとそれぞれ一領域であるため、押圧部材２０２ｅの伸縮性が保たれる。
　したがって、図１６Ｂ（ａ）のようにホットメルト１９を塗布して弾性シート１７を接合した場合、ホットメルト１９による接合領域を十分に確保しつつ、弾性シート１７が接合される領域に配置された押圧部材２０２ｄ～２０２ｆの伸縮性を保つことができる。

　図１６Ｂ（ｂ）に示す実施形態において、弾性シート１７は、第２弾性部２２に配置された押圧部材２０２ｄ～２０２ｇのそれぞれに対して交差するように１箇所に塗布されたホットメルト１９により接合されている。より具体的には、ホットメルト１９は、隣接する２つの押圧部材と重ならないように、弾性シート１７の幅方向の左右端に交互に塗布されている。
　本実施形態の構成によれば、各押圧部材において、ホットメルト１９により弾性シート１７と接合された領域から、ホットメルト１９が塗布されていない領域の方向への伸縮性がそれぞれ保たれる。また、隣接する２つの押圧部材の間がホットメルト１９により接合されていないため、胴部装着部２０において、隣接する２つの押圧部材の間に存在する紙シート、不織布等の横方向（左右方向）の柔軟性及び丈方向（図中、上下方向）の柔軟性が保たれる。
　したがって、図１６Ｂ（ｂ）のようにホットメルト１９を塗布して弾性シート１７を接合した場合、ホットメルト１９による接合領域を十分に確保しつつ、弾性シート１７が接合される領域に配置された押圧部材２０２ｄ～２０２ｆの伸縮性を保つことができる。また、弾性シート１７が接合された領域において、胴部装着部２０の横方向及び丈方向の柔軟性を保つことができる。なお、図１６Ｂ（ｂ）に示すホットメルト１９は、細長い矩形状に塗布されているが、これに限定されない。本実施形態のホットメルト１９は、隣接する２つの押圧部材の間を接合しない形状であればよく、例えば、円形、楕円形、三角形等であってもよい。
　尚、弾性シート１７の第２弾性部２２への接合をホットメルト１９によって説明したが、これに限定されず、糊材、縫合、ヒートシール、超音波による接合、糊付、その他公知の方法のいずれの方法であってもよく、又はそれらの組み合わせであってもよい。

（２）弾性シート１７の第１弾性部２１（胴部装着部２０）への接合
　図１４では、弾性シート１７を第２弾性部２２に取り付ける例について示したが、これに限定されない。弾性シート１７を第１弾性部２１に取り付けてもよい。図１７は、弾性シート１７の第１弾性部２１への取り付け方のバリエーションを示した図である。
　図１７に示す弾性シート１７は、長手方向の一端が第１弾性部２１の内側（身体側）において、接合部Ｃ１で接合されている。弾性シート１７の長手方向の他端も同様に接続されている。
　この場合も、着用者Ｐが使い捨て衣類１を装着すると、弾性シート１７と第１弾性部２１とが重なる部分が、着用者Ｐに対し第１弾性部２１によって押さえられるので、弾性シート１７の安定性が向上する。
　図１７の場合、図１５（ａ）に示すような接合が可能である。
　なお、図１７に示す構成は、吸収体１０が弾性シート１７を介さず、直接に胴部装着部２０に取り付けられる場合にも適用することができる。

（弾性シートの他の接合形態）
　図１８Ａ、図１８Ｂは、弾性シート１７の胴部装着部２０への取り付け方の他のバリエーションを示した図である。図１８Ａ、図１８Ｂの各分図において、弾性シート１７の位置する方が身体側となる。また、図１８Ｃは、図１８Ｂの構成における弾性シート１７の取り付け位置を説明する図である。
　図１８Ａ（ａ）に示す胴部装着部２０は、第１弾性部２１と第２弾性部２２との重なり部分において、第１弾性部２１の末端が身体側、第２弾性部２２の末端が外側となるように配置されている。第１弾性部２１と第２弾性部２２とは、重なり部分において、接合部Ｃ１で接合されている。第１弾性部２１は、接合部Ｃ１から末端までの間に延出部２１ｂ（端部）が形成されている。弾性シート１７の前端の端部は、第１弾性部２１の延出部２１ｂにおいて、接合部Ｃ２で接合されている。弾性シート１７の後端の端部も同様に接合されている。なお、弾性シート１７の端部は、第１弾性部２１において、延出部２１ｂの裏面側に接合されてもよい。
　また、図１８Ｂ（ａ）に示すように、第１弾性部２１の延出部２１ｂから押圧部材２０２を抜いて、弾性シート１７の端部を接合部Ｃ２で接合してもよい。

　ここで、第１弾性部２１の延出部２１ｂから押圧部材２０２を抜いた場合における弾性シート１７の取り付け位置について説明する。
　図１８Ｃは、第１弾性部２１と延出部２１ｂとを身体側から見たときの図であり、例えば、図１８Ｂ（ａ）のように構成された第１弾性部２１と延出部２１ｂとを身体側から見たときの模式図である。
　第１弾性部２１に弾性シート１７を接合する場合（例えば、図１７参照）、第１弾性部２１を横方向に最も伸ばした状態で弾性シート１７が接合される。これは、第１弾性部２１が伸びていない状態（以下、「復帰状態」ともいう）で弾性シート１７を接合すると、第１弾性部２１を横方向に伸ばしたときに、弾性シート１７の幅の分だけ第１弾性部２１の伸び代が少なくなるからである。したがって、第１弾性部２１に弾性シート１７を接合する場合には、第１弾性部２１を横方向に最も伸ばした状態で弾性シート１７を接合することにより、第１弾性部２１の伸縮作用を有効に活用することができる。

　一方、図１８Ｂに示すように、第１弾性部２１の延出部２１ｂに弾性シート１７を接合する場合には、第１弾性部２１を横方向に伸ばした状態で弾性シート１７を接合することは好ましくない。例えば、図１８Ｃ（ａ）に示すように、第１弾性部２１を横方向に最も伸ばした状態において、第１弾性部２１上に任意の点Ａ－Ａを設定し、延出部２１ｂの同じ位置に点Ｂ－Ｂを設定する。この状態で第１弾性部２１を復帰状態にすると、図１８Ｃ（ｂ）に示すように、第１弾性部２１上に設定した点Ａ´－Ａ´の間隔と、延出部２１ｂ上に設定した点Ｂ´－Ｂ´の間隔は、Δｘ分のズレ量が生じる。延出部２１ｂの伸縮作用が、第１弾性部２１よりも小さいからである。

　使い捨て衣類１がワンサイズ（フリーサイズ）である場合、第１弾性部２１は、最も伸びた状態から最も伸びていない状態までの間で装着される。そのため、着用者の腰回りが大きい場合にはズレ量が小さく、着用者の腰回りが小さくなるにつれて、ズレ量は大きくなる。このように、第１弾性部２１を横方向に伸ばした状態で弾性シート１７を接合すると着用者の体型により装着感が異なることになる。とくに、腰回りの小さな着用者の場合、ズレ量が大きくなるため、脚を動かしたときの弾性シート１７の横方向に隙間が生じやすくなり、密着性が悪くなる。しかし、図１８Ｂ（ａ）～（ｄ）に示すように、第１弾性部２１の延出部２１ｂから押圧部材２０２を抜いて、弾性シート１７を接合した場合は、着用者の腰回りの大きさによるズレ量の変動を最小限に抑えることができる。これによれば、着用者の腰回りが小さい場合であっても、ズレ量が大きくならないため、脚を動かしたときの弾性シート１７の横方向に隙間が生じにくくなり、密着性が向上する。したがって、ワンサイズの使い捨て衣類１を装着する様々な体型の着用者に対して、より優れた装着感を提供することができる。なお、図１８Ｂ（ｂ）～（ｄ）については、対応する図１８Ａの構成と対比しながら説明する。

　図１８Ａ（ａ）及び後述する図１８Ａ（ｂ）から（ｄ）及び（ｈ）に示す実施形態において、第１弾性部２１と第２弾性部２２との接合部Ｃ１から、弾性シート１７と第１弾性部２１又は第２弾性部２２との接合部Ｃ２までの間隔ｄ１は、３ｍｍ以上とすることが望ましい。間隔ｄ１を３ｍｍ以上とすることにより、ヒートシールで接合部Ｃ２を形成した場合に、接合部Ｃ２の近傍に位置する第１弾性部２１又は第２弾性部２２に配置された押圧部材（不図示）の熱による影響を抑制することができる。

　図１８Ａ（ｂ）に示す胴部装着部２０は、第１弾性部２１と第２弾性部２２との重なり部分において、第１弾性部２１の末端が身体側、第２弾性部２２の末端が外側となるように配置されている。第１弾性部２１と第２弾性部２２とは、重なり部分において、接合部Ｃ１で接合されている。第１弾性部２１の身体側に位置する不織布２１５は、接合部Ｃ１の位置から延出され、接合部Ｃ１から末端までの間に延出部２１ｃ（端部）が形成されている。弾性シート１７の前端の端部は、第１弾性部２１の延出部２１ｃにおいて、接合部Ｃ２で接合されている。弾性シート１７の後端の端部も同様に接合されている。なお、弾性シート１７の端部は、第１弾性部２１において、延出部２１ｃの裏面側に接合されてもよい。

　図１８Ａ（ｃ）に示す胴部装着部２０は、第１弾性部２１と第２弾性部２２との重なり部分において、第１弾性部２１の末端が外側、第２弾性部２２の末端が身体側となるように配置されている。第１弾性部２１と第２弾性部２２とは、重なり部分において、接合部Ｃ１で接合されている。第２弾性部２２は、接合部Ｃ１から末端までの間に延出部２２ａ（端部）が形成されている。弾性シート１７の前端の端部は、第２弾性部２２の延出部２２ａにおいて、接合部Ｃ２で接合されている。弾性シート１７の後端の端部も同様に接合されている。なお、弾性シート１７の端部は、第２弾性部２２において、延出部２２ａの裏面側に接合されてもよい。
　また、図１８Ａ（ｃ）に示す構成において、図１８Ｂ（ｂ）に示すように、第２弾性部２２の延出部２２ａから押圧部材２０２を抜いて、弾性シート１７の端部を接合部Ｃ２で接合してもよい。

　図１８Ａ（ｄ）に示す胴部装着部２０は、第１弾性部２１と第２弾性部２２との重なり部分において、それぞれの末端が身体側にとなるように配置されている。そして、第１弾性部２１の外側に位置する不織布２１５の末端と、第２弾性部２２の外側に位置する不織布２２５の末端とは、身体側の重なり部分において、接合部Ｃ１で接合されている。また、第２弾性部２２の不織布２２５は、接合部Ｃ１の位置から延出され、接合部Ｃ１から末端までの間に延出部２２ｂ（端部）が形成されている。弾性シート１７の前端の端部は、第２弾性部２２の延出部２２ｂにおいて、接合部Ｃ２で接合されている。弾性シート１７の後端の端部も同様に接合されている。なお、弾性シート１７の端部は、第２弾性部２２において、延出部２２ｂの裏面側に接合されてもよい。

　図１８Ａ（ｅ）に示す胴部装着部２０は、第１弾性部２１と第２弾性部２２との重なり部分において、第１弾性部２１の末端が身体側、第２弾性部２２の末端が外側となるように配置されている。第１弾性部２１と第２弾性部２２とは、重なり部分において、弾性シート１７の前端の端部を間に挟んで接合部Ｃ３で接合されている。接合部Ｃ３は、第１弾性部２１と弾性シート１７の一方の面とを接合するとともに、第２弾性部２２と弾性シート１７の他方の面とを接合している。弾性シート１７の後端の端部も同様に接合されている。なお、胴部装着部２０の第１弾性部２１と第２弾性部２２との重なり部分において、第１弾性部２１の末端が外側、第２弾性部２２の末端が身体側となるように配置し、重なり部分において、弾性シート１７の端部を間に挟んで接合部Ｃ３で接合してもよい。
　また、図１８Ａ（ｅ）に示す構成において、図１８Ｂ（ｃ）に示すように、第１弾性部２１と第２弾性部２２との重なり部分から押圧部材２０２を抜いて、弾性シート１７の端部を間に挟んで接合部Ｃ３で接合してもよい。

　図１８Ａ（ｆ）に示す胴部装着部２０は、第１弾性部２１と第２弾性部２２との重なり部分において、第１弾性部２１の末端が外側、第２弾性部２２の末端が身体側となるように配置されている。第１弾性部２１と第２弾性部２２とは、重なり部分において、接合部Ｃ１で接合されている。弾性シート１７の前端の端部は、第１弾性部２１と第２弾性部２２との重なり部分において、第２弾性部２２の身体側と接合部Ｃ３で接合されている。弾性シート１７の後端の端部も同様に接合されている。なお、胴部装着部２０の第１弾性部２１と第２弾性部２２との重なり部分において、第１弾性部２１の末端が身体側、第２弾性部２２の末端が外側となるように配置し、重なり部分において、弾性シート１７の端部を第１弾性部２１の身体側と接合部Ｃ３で接合してもよい。
　また、図１８Ａ（ｆ）に示す構成において、図１８Ｂ（ｄ）に示すように、第１弾性部２１の延出部２１ｂから押圧部材２０２を抜いて、弾性シート１７の端部を第１弾性部２１の身体側と接合部Ｃ３で接合してもよい。

　図１８Ａ（ｇ）に示す胴部装着部２０は、第１弾性部２１と第２弾性部２２とが一体に形成されている。ここでは、一体形成された弾性部を第２弾性部２２として説明する。図示するように、第２弾性部２２の外側の不織布２２５と身体側の不織布２２６とは、接合部Ｃ１で接合されている。そして、弾性シート１７の前端の端部は、第２弾性部２２に対して、接合部Ｃ１と隣接する接合部Ｃ３で接合されている。弾性シート１７の後端の端部も同様に接合されている。

　図１８Ａ（ｈ）に示す胴部装着部２０は、第１弾性部２１と第２弾性部２２とが一体に形成されている。ここでは、一体形成された弾性部を第２弾性部２２として説明する。図示するように、第２弾性部２２は、外側の不織布２２５の末端が、身体側の不織布２２６の末端よりも延出され、身体側に折り返されている。折り返された外側の不織布２２５と、身体側の不織布２２６とは、身体側の重なり部分において、接合部Ｃ１で接合されている。接合部Ｃ１の位置は、接合部Ｃ２（後述）との間に間隔ｄ１が確保できる位置であればよい。例えば、身体側の不織布２０６を折り返した部分の直下であってもよい。
　折り返された外側の不織布２２５は、接合部Ｃ１から末端までの間に延出部２２ｂが形成されている。弾性シート１７の前端の端部は、第２弾性部２２の延出部２２ｂにおいて、接合部Ｃ２で接合されている。弾性シート１７の後端の端部も同様に接合されている。なお、弾性シート１７の端部は、第２弾性部２２において、延出部２２ｂの裏面側に接合されてもよい。

　なお、第１弾性部２１、第２弾性部２２及び弾性シート１７の各接合部における接合方法は、例えば、ホットメルト、縫合、ヒートシール、超音波による接合、糊付、その他公知の方法のいずれの方法であってもよく、又はそれらの組み合わせであってもよい。
　先に説明したように、弾性シート１７は、胴部装着部２０（第１弾性部２１又は第２弾性部２２）の表面に接合することもできる。その場合、弾性シート１７をヒートシールで胴部装着部２０に接合すると、その部分に配置された押圧部材が劣化し、胴部装着部２０の押圧力に影響を与えることが考えらえる。一方、図１８Ａ（ａ）から（ｄ）、（ｈ）及び図１８Ｂ（ａ）、（ｂ）に示す実施形態では、弾性シート１７が第１弾性部２１又は第２弾性部２２の表面に直接に接合されないため、第１弾性部２１又は第２弾性部２２に配置された押圧部材の劣化が抑制され、胴部装着部２０の押圧力に影響を与えることがない。また、図１８Ａ（ｅ）から（ｈ）及び図１８Ｂ（ｃ）、（ｄ）に示す実施形態において、第１弾性部２１と第２弾性部２２との接合部分で弾性力が低下したとしても、第２弾性部２２の押圧力に与える影響は少ない。そのため、図１８Ａ（ａ）から（ｇ）及び図１８Ｂ（ａ）～（ｄ）に示す構成によれば、弾性シート１７と胴部装着部２０との接合方法として、ヒートシール等の熱による接合方法を採用することが可能となる。したがって、図１８Ａ（ａ）から（ｇ）及び図１８Ｂ（ａ）～（ｄ）に示す構成によれば、製造時において、より多くの接合方法を採用することが可能となる。

　また、図１８Ａ及び図１８Ｂに示す各構成によれば、弾性シート１７と胴部装着部２０との接合部が外観に現れないため、美観に優れた製品となるだけでなく、吸収体１０を備えているにも係らず、通常の下着類と比べて違和感のない製品とすることができる。
　なお、図１８Ａ及び図１８Ｂに示す各構成は、吸収体１０が弾性シート１７を介さず、直接に胴部装着部２０に取り付けられる場合にも適用することができる。
　図１８Ｄは、弾性シート１７の胴部装着部２０へ取り付け方のさらに他のバリエーションを示した図である。図１８Ｄの各分図は、弾性シート１７の端部側の幅方向の略中央部で胴部装着部２０へ取り付けるバリエーションを示している。図１８Ｄでは、胴部装着部２０及び吸収体１０の図示を省略して、平面的に展開した弾性シート１７及び接合部を図示する。

　図１８Ｄ（ａ）に示す弾性シート１７は、前端の端部側の幅方向の略中央部において、直線形状の接合部Ｃ１で胴部装着部２０に接合されている。弾性シート１７の後端も同様に接合されている。
　図１８Ｄ（ｂ）に示す弾性シート１７は、前端の端部側の幅方向の略中央部において、円形状の接合部Ｃ２で胴部装着部２０に接合されている。弾性シート１７の後端も同様に接合されている。
　図１８Ｄ（ｃ）に示す弾性シート１７は、前端の端部側の幅方向の略中央部において、三角形状の接合部Ｃ３で胴部装着部２０に接合されている。弾性シート１７の後端も同様に接合されている。
　図１８Ｄ（ｄ）に示す弾性シート１７は、前端の端部側の幅方向の略中央部において、波形状の接合部Ｃ４で胴部装着部２０に接合されている。弾性シート１７の後端も同様に接合されている。
　図１８Ｄ（ｅ）に示す弾性シート１７は、前端の端部側の幅方向の略中央部において、略Ｌ字形状の接合部Ｃ５で胴部装着部２０に接合されている。弾性シート１７の後端も同様に接合されている。
　図１８Ｄ（ｆ）に示す弾性シート１７は、前端の端部側の幅方向の略中央部において、Ｘ形状の接合部Ｃ６で胴部装着部２０に接合されている。弾性シート１７の後端も同様に接合されている。

　先に説明した弾性シート１７の取り付け方において、図１６（ａ）に示すように、弾性シート１７の幅方向の全域を接合部Ｃ１で接合した場合、胴部装着部２０（第１弾性部２１、第２弾性部２２）に設けられた押圧部材の伸縮が制限される。しかし、図１８Ｄに示す各実施形態では、弾性シート１７の端部側の幅方向の略中央部で胴部装着部２０へ取り付けられているため、胴部装着部２０に設けられた押圧部材の伸縮を制限することがなく、胴部装着部２０の身体への密着性をより高めることができる。

　図１８Ｄに示す各実施形態では、胴部装着部２０に横皺が発生しにくく、胴部装着部２０に部分的な弛みが生じることもない。したがって、通常の下着類と比べて違和感のない外観となり、美観に優れた製品となる。

　なお、図１８Ｄの各図において、接合部Ｃ１～Ｃ６は、弾性シート１７の端部側の幅方向の略中央部で胴部装着部２０へ取り付けられていればよく、その数は１つに限定されない。また、図１８Ｄの各図に示した形状に限定されることなく、他の形状であってもよいし、複数の同じ又は異なる形状を適宜に組み合わせてもよい。さらに、図１８Ｄの各図に示した接合部Ｃ１～Ｃ６は、弾性シート１７の前端又は後端のいずれか一方のみであってもよく、他方は他の実施形態の接合部（例えば、図１６（ａ）等）で接合してもよい。
　図１９は、弾性シート１７を第１弾性部２１の延出部２１ｂに接合した使い捨て衣類１の断面図である。図示するように、弾性シート１７の前端及び後端の端部は、図１８Ａ（ａ）に示す形態により、第１弾性部２１の延出部２１ｂに接合されている。

　図１８Ｅは、胴部装着部２０へ取り付ける弾性シート１７のさらに他のバリエーションを示した図である。図１８Ｅの各分図は、着用者の股下を通る伸縮可能な方向を基準として、弾性シート１７の両端部の領域のうち少なくとも一方端部に、複数の切り込み部Ｄ１～Ｄ８を設けたことにより、幅方向への胴部装着部２０の伸縮に応じて幅方向に自在に伸縮可能な弾性シート１７のバリエーションを示している。図１８Ｅでは、胴部装着部２０及び吸収体１０の図示を省略し、平面的に展開した弾性シート１７、切り込み部Ｄ１～Ｄ８及び接合部Ｅ１～Ｅ８を図示する。

　図１８Ｅ（ａ）に示す弾性シート１７には、両端部の領域において直線形状の複数の切り込み部Ｄ１が各々形成されている。また接合部Ｅ１において、胴部装着部２０（不図示）に弾性シート１７が固定されている。弾性シート１７は、このようにして切り込み部Ｄ１が形成されていることにより、胴部装着部２０（不図示）に接合部Ｅ１で接合・固定されているにも関わらず、幅方向への胴部装着部２０の伸縮に追随して自在に幅方向に伸縮することができる。従ってかかる切り込みを有する弾性シート１７を接合部Ｅ１にて胴部装着部２０に接合・固定させることにより、胴部装着部２０の伸縮性が制限され難く、着用者が着用の際にも、弾性シートのひきつり等も抑制される。これにより、着用時、特に弾性シートと胴部装着部との接合部周辺において、外観上違和感が生ずるようなこともなく、着用時にも審美性の高い使い捨て衣類として提供される。
　また切り込み部Ｄ１は、弾性シート１７の伸縮方向に沿って縦長な形状として形成されている。このように、切り込み形状を伸縮方向に沿って縦長形状で形成したことにより、弾性シート１７は、胴部装着部２０が幅方向に伸縮した際にこの伸縮に応じてより自在に幅方向に延びることが可能となる。更には、隣り合う各切り込み部Ｄ１同士は、互いに伸縮方向に所定長さ（Ｐ１）ずれて形成されている。このように所定長さ（Ｐ１）ずれて切り込みＤ１同士が形成されていることによって、胴部装着部２０の幅方向の伸縮に、より適応した伸縮延びが可能な構成となっている。

　図１８Ｅ（ｂ）に示す弾性シート１７は、図１８Ｅ（ａ）の弾性シート１７の構成において、複数の切り込み部Ｄ１よりピッチ幅の広い切り込み部Ｄ２が各々形成されている。同様に、接合部Ｅ２において、胴部装着部２０（不図示）に弾性シート１７が固定されている。図１８Ｅ（ｂ）に示す弾性シート１７も、図１８Ｅ（ａ）に示す弾性シート１７と同様に、切り込み部Ｄ２が形成されていることにより、胴部装着部２０（不図示）に接合部Ｅ２で接合・固定されているにも関わらず、幅方向への胴部装着部２０の伸縮に追随して自在に幅方向に伸縮することができる。従ってかかる切り込み部Ｄ２を有する弾性シート１７が、接合部Ｅ２にて胴部装着部２０に接合・固定されていても、胴部装着部２０の伸縮性が制限され難く、着用者が着用の際にも、弾性シートのひきつり等も抑制される。これにより、着用時、特に弾性シートと胴部装着部との接合部周辺において、外観上違和感が生ずるようなこともなく、着用時にも審美性の高い使い捨て衣類として提供される。

　図１８Ｅ（ｃ）に示す弾性シート１７には、その略全面領域において直線形状の複数の切り込み部Ｄ３が形成されている。また接合部Ｅ３において、胴部装着部２０（不図示）に弾性シート１７は固定されている。かかる構成では、弾性シート１７に、切り込み部Ｄ３が、弾性シート１７のほぼ全面領域に亘って形成されているため、上記と同様に胴部装着部２０の伸縮性が制限され難く、上記同様に、着用時、特に弾性シートと胴部装着部との接合部周辺において、外観上違和感が生ずるようなこともなく、着用時にも審美性の高い使い捨て衣類として提供される。これに加え、略全面領域に形成された切り込み部Ｄ３を有することにより、着用時に吸収体等を弾性シート上に配置したとしても、湿気等を逃がし蒸れ等を抑制し、より良好な通気性や透湿性を有する。

　図１８Ｅ（ｄ）に示す弾性シート１７には、その略全面領域において、図１８Ｅ（ｃ）の弾性シート１７の構成において複数の切り込み部Ｄ３よりピッチ幅の広い切り込み部Ｄ４が各々形成されている。また接合部Ｅ４において、胴部装着部２０（不図示）に弾性シート１７は固定されている。かかる構成では、弾性シート１７に、切り込み部Ｄ４が、弾性シート１７のほぼ全面領域に亘って形成されているため、上記と同様に胴部装着部２０の伸縮性が制限され難く、上記同様に、着用時、特に弾性シートと胴部装着部との接合部周辺において、外観上違和感が生ずるようなこともなく、着用時にも審美性の高い使い捨て衣類として提供される。これに加え、略全面領域に形成された切り込み部Ｄ４により、着用時に吸収体等を弾性シート上に配置したとしても、湿気等を逃がし蒸れ等を抑制し、より良好な通気性や透湿性を有する。

　図１８Ｅ（ｅ）に示す弾性シート１７においては、直線の切り込み部Ｄ５が、両端の略中央部に設けられている。また接合部Ｅ５において、胴部装着部２０（不図示）に弾性シート１７が固定されている。かかる構成では、上記と同様に、胴部装着部２０の伸縮性が制限され難く、着用者が着用の際、弾性シートの取り付け部分等の引きつり等が抑制される。これにより、着用時、特に弾性シートと胴部装着部との接合部周辺において、外観上違和感が生ずるようなこともなく、着用時にも審美性の高い使い捨て衣類として提供される。

　図１８Ｅ（ｆ）に示す弾性シート１７においては、切り込み部Ｄ６が、両端の略中央部に設けられている。接合部Ｅ６においては、胴部装着部２０（不図示）に弾性シート１７が固定されている。かかる構成では、上記と同様に、胴部装着部２０の伸縮性が制限され難く、着用者が着用の際、弾性シートの取り付け部分等の引きつり等が抑制される。これにより、着用時、特に弾性シートと胴部装着部との接合部周辺において、外観上違和感が生ずるようなこともなく、着用時にも審美性の高い使い捨て衣類として提供される。
　尚ここでは、切り込み部Ｄ６の形状はＶ字形状の切欠き形状として形成されている。このように、本発明において「切り込み部」には、単なる直線状や曲線状の切り込み形状のみならず、切り込み部Ｄ６のような、所謂切り落とし部分を有するような形状のほか、後述する、孔形状などが含まれてよい。このように、「切り込み部」として、切欠き形状や孔形状を構成することにより、着用時の蒸れを抑制し、通気性や透湿性等をより一層向上させることができる。

　図１８Ｅ（ｇ）に示す弾性シート１７においては、切り込み部Ｄ７が孔（楕円）形状の態様である。この場合、上述の効果のように、通気性や透湿性等に優れる。

　図１８Ｅ（ｈ）に示す弾性シート１７においては、切り込み部Ｄ８が孔（円）形状の態様である。この場合も、上述の効果のように、通気性や透湿性等に優れる。

以上説明した、図１８Ｅの各分図に示した弾性シート１７のバリエーションにおいては、少なくとも複数の切り込み部が形成された領域において、接合部で接合されている胴部装着部２０の伸縮に追随してその横幅方向に弾性シート１７が良好に伸縮する。これらの実施形態では、接合部を、図１８Ｅに示すように、弾性シート１７の、前記横幅方向の伸縮が想定される領域のシート端などに設けることが好ましい。接合部をこのように設けることにより、切り込み部が設けられた弾性シート１７が、胴部装着部２０の伸縮に効果的に追随し、自在に幅方向に伸縮する弾性シート１７を有する使い捨て衣類となる。

　以上、図１８Ｅの各分図に示した各バリエーションによれば、胴部装着部２０の伸縮性が制限されることが抑制され、着用者が着用時に、弾性シートによる（特に胴部装着部２０との接合部での）胴部装着部２０における部分的な弛みやひきつりや等も抑制される。これにより、着用時、特に弾性シートと胴部装着部との接合部周辺において、外観上違和感が生ずるようなこともなく、着用時にも審美性の高い使い捨て衣類として提供される。

　上記のような構成を有する使い捨て衣類によれば、胴部装着部２０における適切な弾力性によって、着用時、着用者の身体への密着性が高く、また弾性シート１７を設けたことにより、着用者の身体への良好な密着性に加え、更に吸収体が着用者の身体側に適切な弾性力で押圧される。加えて、胴部装着部２０表面の弾性等による伸縮により形成される凹凸形状によって、外観上、着用者の身体のラインが視認され難く、更には、弾性シート１７や吸収体に、前述のような切り込み部を設けることにより、特に、弾性シート１７と胴部装着部２０との接合部周辺において、外観上違和感が生ずるようなこともなく、着用時にも審美性の高い使い捨て衣類として提供される。

（胴部装着部の股下部）
　図２０Ａは、弾性シート１７及び股下部２０ｃの幅寸法の関係を説明する図である。図２０Ａに示すように、胴部装着部２０における股下部２０ｃの幅寸法Ｌ１は、胴部装着部２０に接合される弾性シート１７の幅寸法Ｌ２未満となるように設定される。本実施形態の構成において、着用者が使い捨て衣類１を装着すると、吸収体１０は、弾性シート１７が伸ばされたときに生じる収縮力により身体側に押圧される。これによれば、装着時における吸収体１０の凸状の膨みが抑制され、身体と吸収体１０との間の隙間が少なくなるため、身体への密着性が向上する。加えて、胴部装着部２０は、着用時に左右方向に伸ばされた際に、上方向である丈方向に縮む。これにより、吸収体１０は、胴部装着部２０の股下部２０ｃにより、弾性シート１７とともに身体が側へ押圧されるため、股下部２０ｃにおける膨みがさらに抑制される。
　これに対して、従来のパンツ型の使い捨て衣類は、吸収体の全面が股下部に接合されているため、吸収体を身体側へ押圧する力が弱い、又は押圧する力がほとんどない状態であった。そのため、装着時に吸収体１０が凸状に膨らみ、身体と吸収体１０との間に隙間が生じて、身体への密着性が低くなっていた。吸収体の身体への密着性が低いと、尿等の横漏れを生じやすくなる。また、吸収体が股下部で凸状に膨らむと、装着時に見栄えが悪く、装着感も良くない。

　しかし、本実施形態の使い捨て衣類１では、吸収体１０の身体への密着性が向上するため、尿等の横漏れが抑制される。また、吸収体が股下部で凸状に膨らみにくいため、装着時に見栄えが良く、装着感にも優れた製品とすることができる。
　なお、図２０Ａに示す幅寸法の関係は、胴部装着部２０における弾性シート１７の接合位置、及び接合形態に係らず適用可能である。また、図２０Ａに示す幅寸法の関係は、股下部２０ｃと弾性シート１７との対比のみに限定されない。例えば、吸収体１０が弾性シート１７を介さず、直接に胴部装着部２０に取り付けられる場合には、股下部２０ｃと吸収体１０との幅寸法を、図２０Ａに示すような関係とすることにより、同様の効果を得ることができる。

　次に、胴部装着部２０の股下部２０ｃを撓ませた実施形態について説明する。
　図２０Ｂは、胴部装着部２０の股下部２０ｃに隙間部Ｓが形成された使い捨て衣類１の断面図である。なお、図２０Ｂは、着用者が使い捨て衣類１を装着していない状態の断面図である。
　図２０Ｂに示すように、本実施形態の使い捨て衣類１は、胴部装着部２０の股下部２０ｃに弛みが生じている。すなわち、胴部装着部２０の股下部２０ｃは、着用者の股下を通る方向の長さが弾性シート１７よりも長くなっている。そのため、弾性シート１７と胴部装着部２０の股下部２０ｃとの間に隙間部Ｓが生じる。
　本実施形態の使い捨て衣類１を着用者が装着すると、弾性シート１７が股下部２０ｃと接している場合（図２参照）に比べて、隙間部Ｓの分だけ弾性シート１７が身体に向かう方向に押圧される。この身体に向かう方向の押圧力によって、弾性シート１７が身体に密着するため、弾性シート１７をより強い押圧力で身体に密着させることができる。
　そして、弾性シート１７が引っ張られることで隙間部Sがより顕著になり、弾性シート１７を身体に向かう方向により押圧することができる。

　次に、図２０Ｂに示す使い捨て衣類１の製造方法について説明する。
　図２０Ｃは、胴部装着部２０の股下部２０ｃを撓ませた使い捨て衣類１の製造工程を示す模式図である。図２０Ｃ及び図２０Ｄ（後述）では、胴部装着部２０の第１弾性部２１及び第２弾性部２２を区別せずに、一枚のシート材として図示している。
　図２０Ｃ（ａ）に示すように、パンツ型に成形される前の胴部装着部２０は、丈方向において対向する側縁部２３ａ、２３ｂ、２４ａ、２４ｂ（後述）が互いに分かれた状態となっている。この胴部装着部２０に対して、弾性シート１７を長手方向に伸ばした状態で接合する。なお、本実施形態では、弾性シート１７の前端を前部２３に接合し、後端を後部２４に接合する例を示す。弾性シート１７を長手方向に伸ばした状態で胴部装着部２０に接合すると、弾性シート１７は、その伸縮力により元の長さ（図中、左側に示す弾性シート１７の長さ）に戻る。そして、弾性シート１７を長手方向に伸ばした状態で弾性シート１７の前端及び後端と接合した胴部装着部２０と比べ、伸縮力により元の長さに戻った弾性シート１７の方が短いため、股下部２０ｃに弛み部が形成される。
　この状態で、胴部装着部２０を股下部２０ｃにおいて半折し、前部２３の一方の側縁部２３ａと後部２４の対応する一方の側縁部２４ａとを重ね合わせると共に、前部２３の他方の側縁部２３ｂと後部２４の対応する他方の側縁部２４ｂとを重ね合わせる。

　次に、図２０Ｃ（ｂ）に示すように、重ね合わせた前部２３の一方の側縁部２３ａと、後部２４の対応する一方の側縁部２４ａとを接合すると共に、同じく重ね合わせた前部２３の他方の側縁部２３ｂと後部２４の対応する他方の側縁部２４ｂとを接合する。シート材同士の接合には、例えば、ホットメルト、縫合、ヒートシール、超音波による接合、糊材、その他公知の方法のいずれの方法であってもよく、又はそれらの組み合わせであってもよい。
　このように各側縁部同士を接合すると、図２０Ｃ（ｂ）に示すように、胴部装着部２０は、パンツ型に成形される。成形された胴部装着部２０は、弾性シート１７が外側に露出した状態となる。また、胴部装着部２０の横方向（左右方向）に側縁には、接合による接合部Ｃ１が外側に露出した状態となる。

　次に、図２０Ｃ（ｃ）に示すように、弾性シート１７が外側に露出した胴部装着部２０の裏表を入れ替える。胴部装着部２０の裏表を入れ替えることにより、弾性シート１７が内側に配置されたパンツ型の使い捨て衣類１が完成する。また、胴部装着部２０の裏表を入れ替えることにより、接合部Ｃ１も内側に配置された状態となる。なお、胴部装着部２０の裏表を入れ替える作業は、専用の装置（不図示）を用いて自動又は半自動で行ってもよいし、手作業で行ってもよい。

　図２０Ｄは、胴部装着部２０の股下部２０ｃを撓ませた使い捨て衣類１の他の製造工程を示す模式図である。
　図２０Ｄ（ａ）に示すように、本実施形態では、予め胴部装着部２０を丈方向に縮めることにより、股下部２０ｃに弛みを発生させる。すなわち、胴部装着部２０を丈方向に縮めることにより、股下部２０ｃに弛み部２６０を形成する。そして、股下部２０ｃに弛み部２６０を形成した胴部装着部２０に対して、弾性シート１７を伸ばさない状態で接合する。
　この状態で、胴部装着部２０を股下部２０ｃにおいて半折し、前部２３の一方の側縁部２３ａと後部２４の対応する一方の側縁部２４ａとを重ね合わせると共に、前部２３の他方の側縁部２３ｂと後部２４の対応する他方の側縁部２４ｂとを重ね合わせる。

　次に、図２０Ｄ（ｂ）に示すように、重ね合わせた前部２３の一方の側縁部２３ａと後部２４の対応する一方の側縁部２４ａとを接合すると共に、同じく重ね合わせた前部２３の他方の側縁部２３ｂと後部２４の対応する他方の側縁部２４ｂとを接合する。
　このように各側縁部同士を接合すると、図２０Ｄ（ｂ）に示すように、胴部装着部２０は、パンツ型に成形される。成形された胴部装着部２０は、弾性シート１７が外側に露出した状態となる。また、胴部装着部２０の横方向（左右方向）に側縁には、接合による接合部Ｃ１が外側に露出した状態となる。

　次に、図２０Ｄ（ｃ）に示すように、弾性シート１７が外側に露出した胴部装着部２０の裏表を入れ替える。胴部装着部２０の裏表を入れ替えることにより、弾性シート１７が内側に配置されたパンツ型の使い捨て衣類１が完成する。また、胴部装着部２０の裏表を入れ替えることにより、接合部Ｃ１も内側に配置された状態となる。
　なお、図２０Ｃ及び図２０Ｄに示す実施形態では、弾性シート１７の前端を胴部装着部２０の前部２３に接合し、後端を後部２４に接合する例について説明したが、これに限定されない。胴部装着部２０において、弾性シート１７の前端及び後端を接合する位置は、本明細書において説明する種々の形態を適用することができる。

　（胴部装着部の他の構成）
　図２１は、胴部装着部２０の他の構成を説明する図である。図２１（ａ）は、開放端部２６が形成された胴部装着部２０を示す平面図である。図２１（ｂ）及び（ｃ）は、開放端部２６の一部を示す斜視図である。
　本実施形態の胴部装着部２０は、図２１（ａ）に示すように、下端の両サイドに開放端部２６が形成されている。例えば、胴部装着部２０を平面的に配置した状態で、下端の両サイドを裁断機等により斜めに切断することにより、開放端部２６が形成される。胴部装着部２０に開放端部２６を形成することにより、上述のスリット２９（図１参照）と同様に、着用者は、脚部をより動かしやすくなる。

　胴部装着部２０は、不織布、紙シート等の間に、糊材が塗布された線状の押圧部材２０２（押圧部材）が一定方向に配置されている。その胴部装着部２０の下端の両サイドを、押圧部材２０２の配置された方向と交差する方向に沿って切断することにより、開放端部２６を形成することができる。開放端部２６の断面には、図２１（ｂ）に示すように、押圧部材２０２の端部が露出する。なお、図２１（ｂ）及び（ｃ）では、説明を簡単にするため、不織布２０３及び２０５のみを図示するが、胴部装着部２０の構成は、例えば図３Ａ又は図３Ｂと同じであり、内部に紙シート２０１等（不図示）が配置されている。

　押圧部材２０２は、不織布、紙シート等の間に配置される際に、外周面に糊材（不図示）が塗布される。そして、糊材が塗布された押圧部材２０２は、長手方向に張力が与えられた状態で不織布、紙シート等の間にほぼ等間隔に配置される。不織布と紙シートとの間に押圧部材２０２を配置し押圧部材２０２に糊材を塗布することで接合した場合、アンカー効果により押圧部材２０２の不織布や紙シートに対する接合力は強固となる。それにより、図２１（ｂ）に示すように、開放端部２６において、押圧部材２０２の端部２０２ｂは、内側に入り込むことがなく、切断面に露出する。この状態は、着用者が胴部装着部２０を装着した場合も維持される。

　このように、押圧部材２０２の端部２０２ｂが開放端部２６の切断面の位置に留まるため、着用者が脚部を動かしやすくなるとともに、身体との密着性を高めることができる。また、開放端部２６を形成することにより、不織布２０３と２０５との間に開口部２７が形成されるため、通気性を向上させることができる。

　一方、押圧部材２０２に塗布する糊材の量をより少なくすると、図２１（ｃ）に示すように、切断面において、押圧部材２０２の端部２０２ｂが内側に入り込むため、切断面にフリル部２８が形成が可能となる。フリル部２８は、不織布、紙シート等により形成される波状の部分である。フリル部２８は、着用者が胴部装着部２０を装着したときに、押圧部材２０２の端部２０２ｂが内側に入り込むことにより形成される。このとき、着用者の脚部の大きさに応じて、押圧部材２０２の端部２０２ｂが内側に入り込む量が調節される。そのため、着用者は、使い捨て衣類１を装着することにより、フリル部２８の周辺において、脚部の大きさに見合った適切な押圧力を得ることができる。なお、使い捨て衣類１の製造時に、胴部装着部２０の幅方向に張力を掛けて、押圧部材２０２の端部２０２ｂを内側に入り込ませることにより、フリル部２８を形成することができる。

　このように、押圧部材２０２に塗布する糊材の量をより少なくすると、押圧部材２０２の端部２０２ｂが開放端部２６の切断面から内側に入り込み、フリル部２８の形成が可能となるため、着用者が脚部をより動かしやすくなるとともに、波状の外観により装飾性を高めることができる。また、フリル部２８においても、不織布２０３と２０５との間に開口部２７が形成されるため、通気性を向上させることができる。なお、図２１（ｂ）に示すフリル部２８は、開放端部２６の切断位置に合わせて、押圧部材２０２の端部が切断面の手前に位置するように押圧部材２０２の長さを設定することによっても形成することができる。この場合、押圧部材２０２に塗布する糊材の量は、多くてしてもよいし、少なくしてもよい。
　本実施形態における開放端部２６及びフリル部２８の切断形状は、直線状に限らず、曲線状であってもよいし、これらの組み合わせ、ランダムな形状等であってもよい。また、本実施形態の胴部装着部２０には、不図示の紙シート２０１（図３参照）が配置されているため、図２１（ｂ）及び（ｃ）のいずれにおいても、切断された部分の周囲に質感とボリューム感を与えることができる。

（吸収体）
　図２２は、吸収体１０を示した図であり、（ａ）は正面図、（ｂ）は（ａ）のＸ－Ｘ線に沿った断面図である。
　図示するように、吸収体１０は細長の略矩形部材で、トップシート１１と、バックシート１２と、トップシート１１とバックシート１２との間に配置される吸収性コア１３と、折り部１４と、を備える。着用者が使い捨て衣類１を着用すると、吸収体１０の外周部（幅方向の側縁部）形成された折り部１４が起立して、立体のサイドギャザーとなる。なお、吸収体１０の形状は矩形に限らず、くびれ形状、楕円形状、その他の公知の吸収体のいずれの形状であってもよい。また、吸収体１０の構成も、上記に限らず、公知のいずれの構成であってもよい。

　使い捨て衣類において適用される吸収体１０は、弾性シートが着用者の股下を通って延びる伸縮可能な方向を基準とした際に、その両端部のうち少なくとも一方端部の領域において、切り込み部を有するのが好ましい。吸収体１０に、このような切り込み部を設けることによって、例えば弾性シート上に吸収体を配置した際に、当該弾性シートからその一方又は両方の端部がはみ出してしまうような場合であっても、胴部装着部２０の幅方向の伸縮に応じて吸収体が同じ幅方向に自在に延びることができ、吸収体によって胴部装着部の幅方向の伸縮性が良好となる。

（効果）
（１）図２３Ａは、第１実施形態の使い捨て衣類１の作用及び効果を説明する図である。図示するように、弾性シート１７上に吸収体１０を配置した状態で、着用者Ｐが使い捨て衣類１を装着する。すると、弾性シート１７が伸長されるため、弾性シート１７が収縮しようとする力によって、吸収体１０は身体に向かう方向に押圧される。この身体に向かう方向の押圧力によって、吸収体１０は身体に密着する。また、着用者Ｐが使い捨て衣類１を装着すると、胴部装着部２０が伸長されるため、胴部装着部２０が収縮しようとする力によって、胴部装着部２０の前部２０ａ、後部２０ｂは、身体に向かう方向に押圧される。この身体に向かう方向の強い押圧力によって、胴部装着部２０が身体に密着する。
　特に、弾性シート１７上に吸収体１０が配置されていると股下の真下方向から吸収体１０を押圧することが可能となる。これにより従来と比べ吸収体１０をより身体に密着することができる。
　これにより、弾性シート１７が身体側に押圧された状態をより確実に維持することができる。また、本実施形態の使い捨て衣類１において、弾性シート１７は、胴部装着部２０の股下部２０ｃ及びその周辺部において、身体に向かう方向に押圧される。そのため、弾性シート１７と胴部装着部２０とが一体に接合されている場合、或いは弾性シート１７と股下部２０ｃとの間に隙間がある場合に比べて、弾性シート１７の身体に向かう方向の押圧力をより大きくすることができる。このように、本実施形態の使い捨て衣類１は、弾性シート１７が収縮する力と胴部装着部２０が収縮する力との相乗作用により、弾性シート１７含む胴部装着部２０の全体を身体により強い押圧力で密着させることができる。

（２）図２３Ｂは、第１実施形態の使い捨て衣類１の他の作用及び効果を説明する図である。図２３Ｂ（ａ）は、装着前の胴部装着部２０の状態を後部２０ｂ側から見た図である。図２３Ｂ（ｂ）は、着用時の胴部装着部２０の状態を後部２０ｂ側から見た図である。なお、図２３Ｂの各分図では、押圧部材２０２の配置を模式的に示している。

　図２３Ｂ（ａ）に示すように、着用者が使い捨て衣類１を装着する前の胴部装着部２０は、着用者の臀部により変形していないため、後部２０ｂにおける押圧部材２０２のテンションは全面でほぼ均一となる。一方、図２３Ｂ（ｂ）に示すように、着用者が使い捨て衣類１を装着すると、胴部装着部２０の後部２０ｂは、着用者の臀部の形状に応じて変形する。この変形により、押圧部材２０２は、着用者の臀部において最もテンションが高くなり、腰回り方向及び股下方向に向かうに従い、テンションは低くなる。このうち、着用者の臀部に対応する後部２０ｂに配置された押圧部材２０２は、図中に矢印で示すように、着用者の臀部の左右両側から中央に向けて斜め上方に引っ張られる。また、胴部装着部２０の後部２０ｂにおいて、着用者の腰回りの外側に伸ばされた押圧部材２０２は、元の状態に復元しようとする。この復元作用は、押圧部材２０２のテンションが高くなるほど強く働くようになる。この結果、着用者の臀部を腰回りの中心（内側）方向に押圧する力が作用して、着用者の臀部が上に持ち上げられるため、臀部の垂れ下がりが矯正される。このように、本実施形態の使い捨て衣類１は、着用者の臀部を左右両側から中央に向けて斜め上方に引き上げる力と、着用者の臀部を腰回りの中心方向に押圧する力との相乗作用が働くことになる。これによれば、本実施形態の使い捨て衣類１は、補正下着のようなヒップアップ効果が得られるため、使い捨ての衣類でありながら、着用者の体のラインをより美しく見せることができる。ちなみに、本実施形態の胴部装着部２０において、後部２０ｂに配置される押圧部材２０２の強度を、前部２０ａに配置される押圧部材２０２の強度よりも強くすることによって、ヒップアップ効果をより高めることができる。

（３）図２３Ｃは、第１実施形態の使い捨て衣類１のさらに他の作用及び効果を説明するための実画像を示した図である。図２３Ｃ（ａ）は、従来の一般的な使い捨ておむつを、着用者の前側から見たときの実画像である。図２３Ｃ（ｂ）は、第１実施形態の使い捨て衣類１を、着用者の前側から見たときの実画像である。
　図２３Ｃ（ａ）に示すように、従来の一般的な使い捨ておむつは、中央部に設けられた吸収体を覆うように押圧部材が配置されていないため、着用者が装着すると、吸収体の周囲に配置された押圧部材が収縮し、吸収体と着用者の脚回りとの間（例えば、図中に白矢印で示す部分）に押圧部材が食い込むことになる。そのため、吸収体が身体よりも外側に膨らんでしまい、使い捨ておむつを装着していることを他人に気づかれてしまう。
　一方、図２３Ｃ（ｂ）に示すように、第１実施形態の使い捨て衣類１では、胴部装着部２０の全体に押圧部材が配置されているため、弾性シート１７に吸収体を取り付けた場合であっても、その吸収体と着用者の脚回りとの間に押圧部材が食い込むことがない。実例として、第１実施形態の使い捨て衣類１は、図２３Ｃ（ｂ）に白矢印で示す部分に押圧部材の食い込みが少ないことが分かる。これによれば、吸収体が身体よりも外側に膨らまないため、吸収体を備えた使い捨て衣類１を装着していることを他人に気づかれにくくなる。また、通常の下着類と比べて違和感のない外観となるため、美観にも優れた製品となる。

（４）本実施形態の使い捨て衣類１は、胴部装着部２０を身体に密着させることができるので、ズボン、スカート等を穿いたり、脱いだりした際に、胴部装着部２０がめくれることにより、着用者の肌が露出する不具合を抑制することができる。
　本実施形態の使い捨て衣類１は、胴部装着部２０の全体を身体に密着させることができる。これによれば、ウエスト部分で身体を締め付ける従来の使い捨ておむつのように、着用者の身体を局部的に圧迫しないため、より快適で安定感のある装着感を得ることができる。
　本実施形態の使い捨て衣類１は、胴部装着部２０の胴回りにおける伸縮性が高いため、脚回りを楽に動かすことができるうえ、ワンサイズでありながら、幅広い体型の着用者に対応させることができる。そのため、ワンサイズの使い捨て衣類１を装着する様々な体型の着用者に対して、より優れた装着感を提供することができる。

（５）本実施形態の使い捨て衣類１に用いられる紙シート２０１は、安価であり、通気性、吸湿性に優れ、白度が高い。紙シート２０１は、冬場は適度な保温性があり、夏場は清涼感が得られる。また、廃棄が容易であり、自然分解するため、環境に与える影響も化学繊維に比べて小さくできる。また、紙シート２０１は、孔あけ、裁断等の加工性に優れている。さらに、紙シート２０１は、表面加工により防水性を高めたり、表面強度を高めたりすることができる。したがって、本実施形態の使い捨て衣類１は、紙シート２０１を備えるため、上記のような効果を得ることもできる。

（６）また、紙シート２０１の調湿効果によって、胴部装着部２０の内部は適度な湿度に保たれるため、使い捨て衣類１に適度ななじみ感を生じさせることができる。また、このなじみ感が生じることで、布擦れ音を低減できるため、使い捨て衣類１を装着していることを他人に気づかれにくくすることができる。なお、布擦れ音とは、使い捨て衣類１の各部材と身体とが擦れたときに生じるがさつき音、使い捨て衣類１の各部材同士が擦れたときに生じるがさつき音及び使い捨て衣類１とズボン、スカート等とが擦れたときに生じるがさつき音である。

（７）本実施形態の使い捨て衣類１は、紙シート２０１に凹凸部２１３が形成されている。これによれば、空気の通過する領域が多くなるため（図５参照）、通気性をより向上させることができる。また、紙シート２０１に凹凸部２１３を形成すると、身体との接触面積が少なくなるため、紙シート２０１に尿等が吸収された場合等において、着用者の不快感を抑制できる。また、紙シート２０１に形成された凹凸部２１３は、そのいずれかが必ず身体に密着するため、尿等をより確実に吸収させることができる。また、紙シート２０１に凹凸部２１３を形成すると、同じ大きさであっても実質的な表面積が増えるため、尿等の吸収性を向上させることができる。

（８）また、紙シート２０１に凹凸部２１３を形成すると、糊材２１４（図５参照）をノズルから噴霧して塗布した場合に、糊材２１４は、紙シート２０１の全面に塗布されることなく、部分的に塗布される。そのため、紙シート２０１に対して不織布等を糊材２１４により接着した場合、紙シート２０１と不織布等との間が部分的に接着されるため、接着により得られた積層体の柔軟性を高めることができる。また、図５で説明したように、空気の通過する領域をより多く確保できるため、保温性及び清涼感をより向上させることができる。すなわち、紙シート２０１に凹凸部２１３を形成することにより、冬場は暖かく、夏場は涼しくすることができる。また、空気の通過する領域がより多く確保できるため、湿度を適切に調節することができる。このように、紙シート２０１に凹凸部２１３を形成することにより、通気性、保温性、清涼感等の複数の特性をより向上させることが可能となる。

（９）また、紙シート２０１に凹凸部２１３を形成することにより、紙シート２０１に立体感を与えることができる。そのため、使い捨て衣類１をより立体的な形状とすることができる。また、後述するように、紙シート２０１に印刷層２０１ａを形成した場合には、印刷された写真等をよりリアルに見せることができる。
　また、紙シート２０１にエンボス加工により凹凸部２１３を形成した場合、紙シート２０１の紙質をより柔軟にすることができるため、着用時の肌触りをより向上させることができる。

（１０）本実施形態の使い捨て衣類１において、紙シート２０１の身体と反対側である外側に疎水性シート２０９を配置した場合、紙シート２０１に吸収された尿等が外部に漏れる不具合を、より確実に抑制することができる。

（１１）本実施形態の使い捨て衣類１は、美観や装着感に優れた製品とするため、胴部装着部２０の丈を、従来の紙おむつ等に比べて短くすることができる。
　従来の紙おむつ等の場合、吸収体を身体に押圧する力がないため、ウエストの部分のみで身体に押圧していた。その結果、吸収体を身体に密着させるには、その構造上丈を長くしなければならなかった。そのため、装着した状態でズボン、スカート等を穿いた場合、紙おむつ等の上端部がズボン、スカート等からはみ出てしまい、紙おむつ等を装着していることを他人に気づかれてしまう場合がある。

　これに対して、本実施形態の使い捨て衣類１において、押圧部材としての押圧部材２０２は、胴部装着部２０の全周に亘って配置されているため、胴部装着部２０の全体を身体に強い押圧力で密着させることができる。また、使い捨て衣類１において、吸収体１０を備えた弾性シート１７は、第２弾性部２２の内部に位置している。そのため、本実施形態の使い捨て衣類１では、胴部装着部２０の丈を、従来の紙おむつ等に比べて十分に短くすることができる。ちなみに、従来の紙おむつ等は、本体の最も下部に吸収体が位置しており、かつウエスト部の押圧部材で着用者の腰回りを締め付けていた。そのため、ウエストの押圧部材を着用者の腰骨より上に配置しなければならず、本体の丈を短くすることが困難であった。

　しかし、本実施形態の使い捨て衣類１は、胴部装着部２０の丈を短くできるため、着用者Ｐが使い捨て衣類１を装着した状態でズボン、スカート等を穿いた場合、使い捨て衣類１の上端部がズボン、スカート等からはみ出さないようにできる。これによれば、着用者Ｐが使い捨て衣類１を装着していることを他人に気づかれにくくなる。また、丈を短くすることにより、通常の下着類と比べて違和感のない外観にできるため、美観にも優れた製品とすることができる。また、使い捨て衣類１を着用者の腰骨以下の位置で装着できるため、胴回りが動かしやすくなり、かつ装着時の見栄えを良くすることができる。したがって、着用者Ｐが使い捨て衣類１を装着する抵抗感をより低減することができる。さらには、従来の紙おむつ等のように、ウエスト部分の締め付け力を強くする必要がなく、通常の下着と同等の締め付け力でよく、着用者の脚部の周りも押圧されるため、装着感に優れた製品とすることができる。

（１２）また、従来の紙おむつ等は、吸収体を身体に密着させる力が弱いため、スカートを装着する女性の場合、紙おむつの上から、締め付け用の下着を重ねて着用することがあった。しかし、本実施形態の使い捨て衣類１では、締め付け用の下着を重ねて着用しなくても、吸収体を身体に強い押圧力で密着させることができる。そのため、本実施形態の使い捨て衣類１は、スカートを着用する女性に特に好適である。

（１３）本実施形態の使い捨て衣類１は、図２０Ｂに示すように、弾性シート１７の長手方向の一端を、第１弾性部２１の内側（身体側）に接合した場合、及び弾性シート１７の長手方向の一端を第２弾性部２２の内側に接合した場合に、弾性シート１７と第１弾性部２１とが接合された部分よりも下部、及び弾性シート１７と第２弾性部２２とが接合された部分の下部に隙間部Ｓが形成される。そのため、使い捨て衣類１を身体へ密着させる力を保持しつつ、着用者Ｐの脚をより動かしやすくすることができる。また、隙間部Ｓが形成されることにより、弾性シート１７を横方向にずらしやすくなるため、着用者が男性の場合、排尿がしやすくなる。
　そして、弾性シート１７は、胴部装着部２０と接合された部分の下部において胴部装着部２０と非接触状態となり、隙間部Ｓが形成される。これによれば、弾性シート１７と胴部装着部２０とが一体に接合されている場合に比べて、胴部装着部２０Ａの身体に向かう方向の押圧力をより大きくすることができる。そのため、胴部装着部２０は、弾性シート１７を身体に向かう方向により強く押圧することができる。

（１４）本実施形態の使い捨て衣類１は、図２３Ａに示すように、装着した際に弾性シート１７が吸収体１０の全体を覆う。
　従来、例えば弾性シート１７のように吸収体１０の全体が押圧されていないと、吸収体が尿等を吸収したときに、尿等がかかった部分だけ膨れる。そうすると吸収された個所が膨れ、外観的にも尿等の排出後であることが一目瞭然で、着用者が好む状況ではない。
　しかし、本実施形態の場合、弾性シート１７が吸収体１０の全体を押さえている。そうすると、吸収体１０に吸収された尿等は、直接尿等がかかった部分だけでなくその周りにも広がりやすく、吸収体１０内で尿等は従来よりも広い面積で吸収できる。ゆえに、一部分だけが膨らむ現象が従来のものより緩和され、外観性が向上する。
　さらに、弾性シート１７がない場合、尿等によって吸収体１０の一部が膨れると、重力により下に垂れ下がるが、本実施形態によると、弾性シート１７で吸収体１０を下から押し上げているので、吸収体１０が垂れ下がる程度が緩和される。したがって、外観性が向上する。

（１５）本実施形態の使い捨て衣類１は、図２３Ａに示すように、装着した際に胴部装着部２０が、弾性シート１７の上から着用者Ｐの腰部から臀部に至る部分を覆うので、安定感やフィット感に優れる。
（１６）本実施形態の使い捨て衣類１において、胴部装着部２０は、紙シート２０１に印刷層２０１ａを備える。これによれば、紙シート２０１の表面に写真等を印刷して印刷層２０１ａとすることにより、従来の紙おむつ等に比べて、美観に優れた衣類を提供することができる。したがって、本実施形態の使い捨て衣類１によれば、着用者Ｐの使い捨て衣類１の装着に対する抵抗感をより低減することができる。
（１７）本実施形態の使い捨て衣類１は、弾性シート１７に皺があることで、吸収体１０の着脱が容易となる。
　装着時においては、弾性シート１７に皺があることで、吸収体１０との接合面が全面とならない為、弾性シート１７と吸収体１０の接合が、複数回可能となる。なお、複数回の接合が可能となる理由は、弾性シート１７に皺があることで、吸収体１０の生地が傷つかないからである。
　また、身体から取り外す場合、弾性シート１７に皺があることで、吸収体１０が剥がれやすい。

　（第２実施形態）
　図２４は、第２実施形態における使い捨て衣類１Ａの外観図である。図２４は、図１と同じく、着用者Ｐにより装着された状態を示している。図２５は、使い捨て衣類１Ａの断面図である。第２実施形態では、主に第１実施形態との相違点を中心に説明する。したがって、第２実施形態で説明しない構成、材質等については、適宜に第１実施形態が援用される。また、第１実施形態と同一部分については、同一の符号を付して説明する。

　図２４及び図２５に示すように、本実施形態の使い捨て衣類１Ａは、胴部装着部２０Ａと、胴部装着部２０の前部と後部との間に架け渡された弾性シート１７と、を備える。弾性シート１７の内側（上側、着用者側、肌当接側）には吸収体１０が配置される。
　胴部装着部２０Ａは、図２５に示すように、第１弾性部２１と、第２弾性部２２Ａと、を備える。第１弾性部２１は、着用者Ｐの腰回りに装着される部分であり、第２弾性部２２Ａの上部に配置される。第２弾性部２２Ａは、着用者の下腹部周辺を押圧する部分であり、円環状に形成されている。すなわち、本実施形態の胴部装着部２０Ａは、股下部を備えていない点が第１実施形態の胴部装着部２０と異なる。

　胴部装着部２０Ａは、図２４に示すように、一般的な腹巻きとほぼ同じ形状であり、かつ同等の丈を有する。なお、胴部装着部２０は、本実施形態の例に限定されず、さらに長い七分丈であってもよいし、着用者Ｐの腰回りよりも上部を覆うような形状であってもよい。また、女性用として、図２４に想像線Ｌで示すように、ショートスカートと同等の丈としてもよい。その場合に、両サイドが図２４よりもさらに短くカットされた形状（すなわち、正面視において略Ｖ字形となる形状）とすることにより、脚部より動かしやすくなる。

（弾性シートの胴部装着部への接合）
（１）弾性シート１７の第２弾性部２２Ａ（胴部装着部２０Ａ）への接合
　図２６に示すように、本実施形態の弾性シート１７は、長手方向の一端領域が第２弾性部２２Ａの中央かつ前側に接合されている。また、長手方向の他端領域は、第２弾性部２２Ａの中央かつ後側に接合されている。すなわち、弾性シート１７は、第２弾性部２２Ａの中央かつその前後に渡って架け渡されている。なお、ここで一端領域及び他端領域とは、必ずしも端部を含まなくてもよく、端部から離間した領域であってもよい。
　本実施形態では、胴部装着部２０Ａに弾性シート１７を取り付ける際、胴部装着部２０Ａを伸長させない状態で弾性シート１７を接合してもよく、また、胴部装着部２０Ａを伸長させた状態で弾性シート１７を接合してもよい。
　このように、胴部装着部２０Ａに対して弾性シート１７の長手方向の一端領域と長手方向の他端領域が固定されることにより、弾性シート１７は、図２４及び図２５に示すように胴部装着部２０Ａの内側に湾曲して保持される。

　弾性シート１７の略中央部の湾曲した下端は、使い捨て衣類１が着用者Ｐに装着されたときに、股部によって下方に延ばされる。すなわち、非装着状態では、弾性シート１７の湾曲した下端は、装着時よりも上に位置している。
　本実施形態では、図２４及び図２５に示すように、弾性シート１７上に吸収体１０が配置される。したがって、着用者に装着されたときに、弾性シート１７が伸び、その収縮力によって、吸収体１０は身体側に押圧される。

　弾性シート１７の第２弾性部２２Ａへの取り付け方は、図２５の例に限定されない。
　図２６は、弾性シート１７の第２弾性部２２Ａへの取り付け方のバリエーションを示した図である。
　図２６（ａ）に示す弾性シート１７は、長手方向の一端が、第２弾性部２２の内側（身体側）であって、中央より上部の接合部Ｃ１で接合されている。弾性シート１７の長手方向の他端も同様に接続されている。
　この場合、着用者Ｐが使い捨て衣類１Ａを装着すると、弾性シート１７と第２弾性部２２Ａとが重なる部分が、着用者Ｐに対し第２弾性部２２によって押さえられるので、弾性シート１７の安定性が向上する。

　また、弾性シート１７を、長手方向の一端が第２弾性部２２Ａの内側であって、中央より下部の接合部（不図示）で接合してもよい（弾性シート１７の長手方向の他端も同様）。
　この場合、図２５及び図２６（ａ）に比べて弾性シート１７の長さがさらに短くてよいため、製造コストを安価にすることができる。
　なお、第２弾性部２２Ａの前部と後部とにおいて、弾性シート１７を異なる位置に接合してもよい。例えば、前端が中央より上部で後端が中央より下部で接合される等、前端と後端とを異なる位置で接合してもよい。

　また、図２６（ａ）では、弾性シート１７を第２弾性部２２Ａの内側で接合する例について説明したが、図２６（ｂ）に示すように、弾性シート１７を第２弾性部２２Ａの外側で接合してもよい。図２６（ｂ）に示す弾性シート１７は、長手方向の一端が第２弾性部２２Ａの外側（身体側と反対側）であって、中央より上部の接合部Ｃ１で接合されている。弾性シート１７の長手方向の他端も同様に接続されている。図２６（ｂ）の例では、弾性シート１７が第２弾性部２２Ａの外側に位置するため、第２弾性部２２Ａの丈は、図２６（ａ）に比べて短くすることが好ましい。

　なお、図２６（ａ）に示す形態と、図２６（ｂ）に示す形態とを適宜に組み合わせてもよい。例えば、前端が図２６（ａ）で後端が図２６（ｂ）等の組み合わせが可能である。このように、第２弾性部２２Ａに対する弾性シート１７の接合形態を適宜に組み合わせることにより、着用者の身体的特徴に応じた特性を得ることが可能となる。
　図２６では、弾性シート１７を第２弾性部２２Ａに取り付ける例について示したが、これに限定されない。弾性シート１７を第１弾性部２１に取り付けてもよい。図２７は、弾性シート１７の第１弾性部２１への取り付け方のバリエーションを示した図である。
　図２７（ａ）に示す弾性シート１７は、長手方向の一端が第１弾性部２１の内側（身体側）において、接合部Ｃ１で接合されている。弾性シート１７の長手方向の他端も同様に接続されている。
　この場合も、着用者Ｐが使い捨て衣類１Ａを装着すると、弾性シート１７と第１弾性部２１及び第２弾性部２２とが重なる部分が、着用者Ｐに対し押さえられるので、弾性シート１７の安定性が向上する。

　図２７（ｂ）に示す弾性シート１７は、長手方向の一端が第１弾性部２１の外側（身体側と反対側）において、接合部Ｃ２で接合されている。弾性シート１７の長手方向の他端も同様に接続されている。この場合も、図１５（ａ）において、弾性シート１７と第１弾性部２１との配置を逆にした構成により接合が可能である。
　なお、図２６に示す形態と、図２７に示す形態とを適宜に組み合わせてもよい。例えば、前端が図２６（ａ）で後端が図２７（ａ）等の組み合わせが可能である。このように、第１弾性部２１及び第２弾性部２２Ａに対する弾性シート１７の接合形態を適宜に組み合わせることにより、着用者の身体的特徴に応じた特性を付与することが可能となる。

（効果）
　図２８は、第２実施形態の使い捨て衣類１Ａの作用を説明する図である。図示するように、弾性シート１７上に吸収体１０を配置した状態で、着用者Ｐが使い捨て衣類１Ａを装着する。すると、弾性シート１７が伸長されるため、弾性シート１７が収縮しようとする力によって、吸収体１０は身体に向かう方向に押圧される。この身体に向かう方向の押圧力によって、吸収体１０は身体に密着する。また、着用者Ｐが使い捨て衣類１Ａを装着すると、胴部装着部２０Ａが伸長されるため、胴部装着部２０Ａが収縮しようとする力によって、胴部装着部２０Ａは身体に向かう方向に押圧される。この身体に向かう方向の押圧力によって、胴部装着部２０Ａが身体に密着する。
　弾性シート１７は、胴部装着部２０Ａと接合された部分の下部において胴部装着部２０と非接触状態となり、隙間部Ｓが形成される。これによれば、弾性シート１７と胴部装着部２０Ａとが一体に接合されている場合に比べて、胴部装着部２０Ａの身体に向かう方向の押圧力をより大きくすることができる。そのため、胴部装着部２０Ａは、弾性シート１７を身体に向かう方向により強く押圧することができる。
　このように、本実施形態の使い捨て衣類１Ａにおいても、弾性シート１７が収縮する力と胴部装着部２０が収縮する力との相乗作用により、弾性シート１７含む胴部装着部２０Ａの全体を身体により強い押圧力で密着させることができる。
　その他、第２実施形態の使い捨て衣類１は、上述した第１実施形態の使い捨て衣類１と同等の効果を得ることができる。

　図２９は、第２実施形態の使い捨て衣類１Ａにおける吸収体１０の取り付け方のバリエーションを説明する図である。図２９（ａ）は吸収体１０が取り付けられていない状態を示す。図２９（ｂ）は、吸収体１０が取り付けられた状態を示す。図２９（ｃ）は、変形形態を示す。
　図２９（ａ）に示すように、本実施形態は、弾性シート１７が、第１シート部材１７１と第２シート部材１７２との２つの部分で構成されている。
　第１シート部材１７１の一端Ｆ１は、第２弾性部２２Ａの前部に接合され、他端は、吸収体１０が取り付けられていない状態では自由端Ｆ２となっている。
　第２シート部材１７２の一端Ｇ１は、第２弾性部２２Ａの後部に接合され、他端は、第１シート部材１７１と同様に吸収体１０が取り付けられていない状態では自由端Ｇ２となっている。

　第１シート部材１７１と第２シート部材１７２の少なくとも一方の材料は、上述の弾性シート１７と同様に、長さ方向に伸縮可能なシート部材である。長さ方向とは、胴部装着部２０Ａの前部から後部へ、着用者の股下を通って延びる方向である。
　伸縮可能なシート部材は、例えば、不織布、透湿性のフィルム、紙等のシート部材に紐状の弾性部材１７ａを接合したものであってもよく、それ自体が弾性を有するゴム、ウレタン、シリコンシート、ストッキングのような素材、ニット等であってもよい。
　さらに、伸縮可能なシート部材は、シート部材の全体に弾性が付与されているものに限らず、シート部材の一部分に弾性が付与されているものも含む。
　また、弾性の付与の形態も第１実施形態の弾性シート１７と同様に、図１１及び図１２に示すような形態が可能である。

　第１シート部材１７１と第２シート部材１７２の第２弾性部２２への接合方法は、縫合、ホットメルト、ヒートシール、超音波による接合、糊付、その他公知の方法のいずれの方法であってもよく、又はそれらの組み合わせであってもよい。
　さらに、第１シート部材１７１と第２シート部材１７２の第２弾性部２２Ａへの取り付け方も限定されず、第１実施形態の図１６に示すバリエーションが可能である。また、第１シート部材１７１と第２シート部材１７２は、第２弾性部２２Ａに固定されていなくても良く、着脱可能でもよい。
　第１シート部材１７１と第２シート部材１７２の自由端Ｆ２，Ｇ２は、互いに着脱可能で、図２９（ｂ）に示すように重ね合わせて接着された状態で、吸収体１０を身体側に配置可能で、この状態で弾性力により吸収体１０を身体側に押圧可能となる。

　本実施形態によると、第２実施形態の効果に加えてさらに以下の効果を有する。
　第１シート部材１７１と第２シート部材１７２の自由端Ｆ２，Ｇ２の重なり長さを調節することにより、弾性シート１７の長さを調節することができる。これにより、痩せた着用者から太った着用者まで、体形に合わせて弾性シート１７の長さを調節することができる。
　図２９（ｃ）に示す変形形態において、第１シート部材１７１の一端Ｆ１は、第２弾性部２２Ａの前部（又は後部）に接合され、他端は、吸収体１０が取り付けられていない状態では自由端Ｆ２となっている。
　この形態においても、第２実施形態の効果に加えてさらに以下の効果を有する。
　弾性シート１７の自由端Ｆ２と胴部装着部２０Ａとの重なり長さを調節することにより、弾性シート１７の長さを調節することができる。これにより、痩せた着用者から太った着用者まで、体形に合わせて弾性シート１７の長さを調節することができる。

（第３、第４実施形態）
　図３０は、第３実施形態及び第４実施形態を説明する図である。図３０（ａ）は、比較のために第２実施形態（図２６参照）を示す。図３０（ｂ）は、第３実施形態を示す。図３０（ｃ）は、第４実施形態を示す。なお、図３０の各図では、胴部装着部２０Ａの第２弾性部２２Ａのみを示し、丈を短くした状態で図示している。

　図３０（ａ）に示すように、第２実施形態の吸収体１０は、弾性シート１７の肌側の面の中央部に取り付けられている。
　この場合、上述したように、吸収体１０の弾性シート１７への取り付けは、全面でないほうが好ましい。例えば、図示するように、吸収体１０の一端Ａと他端Ｂとの２か所でもよく、またＡ又はＢのいずれか一方でもよい。さらに、吸収体１０の端部でなくとも、ＡやＢのような端部から所定距離だけ離れた部分でもよい。また、取り付け部分の形状は点形状でもよく、吸収体１０の短手方向のライン状であってもよく、それ以外であってもよい。なお、弾性シート１７の第２弾性部２２への取り付け個所は図中符号ＦとＧで示す。

　図３０（ｂ）に示す第３実施形態では、吸収体１０の一方の端部（他端Ｂ）が、第２弾性部２２Ａまで延びて、第２弾性部２２Ａに直接接合される。
　なお、吸収体１０の端部の第２弾性部２２Ａへの接合方法も、縫合、ホットメルト、ヒートシール、超音波による接合、糊付、その他公知の方法のいずれの方法であってもよく、又はそれらの組み合わせであってもよい。また、固定されていなくてもよく、着脱可能でもよい。また、弾性シート１７の第２弾性部２２Ａへの取り付け個所は図中符号ＦとＢで示す。

　この場合も、吸収体１０の弾性シート１７への取り付けは、全面でないほうが好ましい。例えば、吸収体１０の他端Ｂは第２弾性部２２に接合されているので、吸収体１０のそれ以外の箇所は弾性シート１７に取り付けられていなくてもよく、また、図示する吸収体１０の一端Ａが弾性シート１７に取り付けられていてもよい。また、取り付けられている場合、一端Ａでなくとも吸収体１０のその他の部分でもよい。また、取り付け形状は点形状でもよく、吸収体１０の短手方向のライン状であってもよく、それ以外であってもよい。
　図３０（ｃ）に示す第４実施形態では、吸収体１０の両端が、第２弾性部２２Ａまで延びて、胴部装着部２０Ａに直接接合される。
　この場合も、吸収体１０と弾性シート１７とは接合されていない。

（第５、第６、第７実施形態）
　図３１は、第５実施形態、第６実施形態及び第７実施形態を説明する図である。図３１（ａ）は、本発明の第５実施形態を示す。図３１（ｂ）は、本発明の第６実施形態を示す。図３１（ｃ）は、本発明の第７実施形態を示す。なお、図３１の各図では、胴部装着部２０Ａの第２弾性部２２Ａのみを示し、丈を短くした状態で図示している。

　第５実施形態、第６実施形態及び第７実施形態において、第１実施形態と異なる点は、弾性シート１７よりも上方（身体側）に、内側シート１８を備える点である。内側シート１８とは、紙、不織布、フィルムからなるシート部材である。内側シート１８は、本実施形態においては非伸縮性又は弾性シート１７と比べて伸縮性の弱いシートである。ただし、これに限らず、弾性シート１７と同等又はそれ以上に伸縮可能なシートであってもよい。

　図３１（ａ）に示す第５実施形態において、内側シート１８の両端は、第２弾性部２２Ａに接合されている。
　接合方法は、縫合、ホットメルト、ヒートシール、超音波による接合、糊付、その他公知の方法のいずれの方法であってもよく、又はそれらの組み合わせであってもよい。また、固定されていなくてもよく、着脱可能でもよい。
　図３１（ｂ）に示す第６実施形態において、内側シート１８は、一端のみ第２弾性部２２Ａに接合されている。図３１（ｃ）に示す第７実施形態において、内側シート１８は、図３１（ｂ）と同様に一端のみ第２弾性部２２Ａに接合され、さらに吸収体１０の一端も第２弾性部２２に接合されている。
　第５、第６、第７実施形態において、吸収体１０は、内側シート１８に取り付けられる。

　上記実施形態によると、内側シート１８が、非伸縮性の場合、或いは伸縮性が弾性シート１７に比べて弱い場合、弾性シート１７に比べて皺がよらない。このため、着用者自身が吸収体１０を内側シート１８に取り付ける場合であっても、また、製造工程において吸収体１０が内側シート１８に取り付ける場合であっても、吸収体１０を弾性シート１７に取り付けることができるので、取り付けが容易である。
　これに対して、内側シート１８の弾性が上述の場合よりも強い場合、吸収体１０を弾性シート１７に取り付ける場合、内側シート１８を広げること等が必要になる。
　さらに、弾性シート１７に吸収体１０が直接取り付けられていないため、吸収体１０の存在が弾性シート１７の伸縮力に影響を与えることがない。

　なお、内側シート１８が伸縮可能なシートである場合は、弾性シート１７の伸縮と相まって、身体に対する押圧力を増すことを可能とする。
　また、第５、第６、第７実施形態において、内側シート１８は、図２９に示す弾性シート１７と同様に、第１内側シートと第２内側シートとの２つの部分で構成されていてもよい。
　この場合、図２９の例と同様に、第１内側シートと第２内側シートの少なくとも一方の材料が、上述の弾性シート１７と同様に、長さ方向に伸縮可能シート部材であってもよい。長さ方向とは、胴部装着部２０Ａの前部から後部へ、着用者の股下を通って延びる方向である。

　伸縮可能なシート部材は、例えば、不織布、透湿性のフィルム、紙等のシート部材に紐状の弾性部材１７ａを接合したものであってもよく、それ自体が弾性を有するゴム、ウレタン製弾性部材、シリコン製弾性部材、シリコンシート、ストッキングのような素材、ニット等であってもよい。
　さらに、伸縮可能なシート部材は、シート部材の全体に弾性が付与されているものに限らず、シート部材の一部分に弾性が付与されているものも含む。
　また、弾性の付与の形態も第１実施形態の弾性シート１７と同様に、図１１及び図１２に示すような形態が可能である。
　また、図３１（ａ）及び図３１（ｂ）に示すように、第５、第６実施形態での吸収体１０の内側シート１８への接合点は、吸収体１０の一端Ａ及び他端Ｂである。

　図３１（ｃ）に示すように、第７実施形態の吸収体１０の内側シート１８への接合点は吸収体１０の一端Ａである。また、吸収体１０の胴部装着部２０Ａへの接合点は吸収体１０の他端Ｂである。
　吸収体１０の内側シート１８への取り付けは、全面でないほうが好ましい。図３１（ａ）及び図３１（ｂ）の場合、吸収体１０の一端Ａと他端Ｂとの２か所でもよく、またＡ又はＢのいずれか一方でもよい。さらに、吸収体１０の端部でなくとも、端部から所定距離だけ離れた部分でもよい。

　図３１（ｃ）の場合、吸収体１０の他端Ｂは胴部装着部２０Ａに接合されているので、吸収体１０のそれ以外の箇所は内側シート１８に取り付けられていなくてもよく、また、図示する吸収体１０の一端Ａが内側シート１８に取り付けられていてもよい。また、取り付けられている場合、一端Ａでなくとも吸収体１０のその他の部分でもよい。また、取り付け形状は点形状でもよく、吸収体１０の短手方向のライン状であってもよく、それ以外であってもよい。
　内側シート１８の第２弾性部２２Ａへの接合点を、図３１（ａ）においてＨ，Ｉで示し、図３１（ｂ）及び図３１（ｃ）においてＩで示す。また、弾性シート１７の第２弾性部２２Ａへの接合点を図３１（ａ）から図３１（ｃ）においてＦ，Ｇで示す。

　（第８実施形態）
　図３２は、本発明の第８実施形態を説明する図である。図３２（ａ）は、吸収体１０が取り付けられていない状態を示す。図３２（ｂ）は、吸収体１０が取り付けられた状態を示す。
　図示するように、第８実施形態は、図２９の例と同様に、弾性シート１７が、第１シート部材１７１と第２シート部材１７２との２つの部分で構成されている。ただし、図２９の第１シート部材１７１と第２シート部材１７２と比べて、本実施形態の第１シート部材１７１と第２シート部材１７２は短い。

　第１シート部材１７１の一端Ｆ１は、第２弾性部２２Ａの前部に接合され、他端は、吸収体１０が取り付けられていない状態では自由端Ｆ２となっている。
　第２シート部材１７２の一端Ｇ１は、第２弾性部２２の後部に接合され、他端は、第１シート部材１７１と同様に吸収体１０が取り付けられていない状態では自由端Ｇ２となっている。
　第１シート部材１７１と第２シート部材１７２の少なくとも一方の材料は、上述の弾性シート１７と同様に、長さ方向に伸縮可能なシート部材である。長さ方向とは、第２弾性部２２Ａの前部から後部へ、着用者の股下を通って延びる方向である。

　伸縮可能なシート部材は、例えば、不織布、透湿性のフィルム、紙等のシート部材に紐状の弾性部材１７ａを接合したものであってもよく、それ自体が弾性を有するゴム、ウレタン製弾性部材、シリコン製弾性部材、シリコンシート、ストッキングのような素材、ニット等であってもよい。
　さらに、伸縮可能なシート部材は、シート部材の全体に弾性が付与されているものに限らず、シート部材の一部分に弾性が付与されているものも含む。
　また、弾性の付与の形態も第１実施形態の弾性シート１７と同様に、図１１及び図１２に示すような形態が可能である。

　第１シート部材１７１と第２シート部材１７２の第２弾性部２２への接合方法は、縫合、ホットメルト、ヒートシール、超音波による接合、糊付、その他公知の方法のいずれの方法であってもよく、又はそれらの組み合わせであってもよい。
　さらに、第１シート部材１７１と第２シート部材１７２の第２弾性部２２への取り付け方も限定されず、第１実施形態の図１６Ａ、１６Ｂ、１６Ｄ、に示すバリエーションが可能である。また、第１シート部材１７１と第２シート部材１７２は、第２弾性部２２Ａに固定されていなくても良く、着脱可能でもよい。
　第１シート部材１７１と第２シート部材１７２の自由端Ｆ２，Ｇ２は、図３２（ｂ）に示すように、吸収体１０の端部Ａ，Ｂに着脱可能である。そして、吸収体１０が第１シート部材１７１と第２シート部材１７２とによって保持された状態で、第１シート部材１７１及び第２シート部材１７２の少なくとも一方の弾性力により吸収体１０は身体側に押圧可能となる。

（第９実施形態）
　図３２（ｃ）は、本発明の第９実施形態を説明する図である。
　図示するように、第９実施形態は、第８実施形態と異なり、吸収体１０の一端Ａに第１シート部材１７１の一端Ｆ４が接合されている。吸収体１０の他端Ｂに第２シート部材１７２の一端Ｇ４が接合されている。そして、図示しないが、第１シート部材１７１と第２シート部材１７２の他端Ｆ３，Ｇ３側が、第２弾性部２２の前端と後端とにそれぞれ着脱可能となっている。

　つまり、第８実施形態と第９実施形態とが異なる点は、第８実施形態では、第１シート部材１７１、第２シート部材１７２の自由端Ｆ２，Ｇ２が吸収体１０の端部Ａ，Ｂに接合又は着脱可能であるのに対して、第９実施形態では、第１シート部材１７１、第２シート部材１７２の端部Ｆ３，Ｇ３が第２弾性部２２Ａに対して接合又は着脱が可能である点である。
　なお、第８実施形態と第９実施形態は組み合わせることが可能で、第１シート部材１７１と第２シート部材１７２の一方が吸収体１０に固定され、他方が胴部装着部２０Ａに固定されているものであってもよい。
　上述した図２９から図３２に示す実施形態は、第１実施形態における吸収体１０の取り付け方にも適用可能である。

（第１０実施形態）
　図３３は、本発明の第１０実施形態の使い捨て衣類を説明する図である。
　第１０実施形態の使い捨て衣類１Ｂは、図示するように、弾性シート１７を備えない点が第１及び第２実施形態と異なる。また、吸収体１０は、直接、胴部装着部２０Ａに取り付けられており、吸収体１０自体が、長さ方向に伸縮可能である。図３３（ｂ）は、後述する吸収体１０の外観図である。本実施形態において、吸収体１０を胴部装着部２０Ａに取り付ける位置及び接合形態は、第２実施形態において、弾性シート１７を胴部装着部２０Ａに取り付けるバリエーションの一部を適用することができる（図２７、図２８参照）。

　図３４は、吸収体１０の断面図である。図３４（ａ）は、本実施形態の吸収体１０の断面図である。図３４（ｂ）、図３４（ｃ）及び図３４（ｄ）は、変形形態である。図示するように、本実施形態の吸収体１０は、バックシート１２と吸収性コア１３との間（吸収性コア１３に対して身体と反対側）に紐状の弾性部材１７ａが配置されている。弾性部材１７ａは伸長した状態で例えばバックシート１２に接合される。
　この接合方法も、縫合、ホットメルト、ヒートシール、超音波による接合、糊付、その他公知の方法のいずれの方法であってもよく、又はそれらの組み合わせであってもよい。なお、吸収体１０のその他の構造は第１実施形態と同様である。

　また、吸収体１０における弾性部材１７ａ（弾性部材）の配置は、図１１及び図１２の（ａ）から（ｐ）に示した第１実施形態の弾性シート１７の場合と同様である。また、吸収体１０の全体に弾性が付与されているものに限らず、吸収体１０の一部分に弾性が付与されているものも含む。また、弾性の付与の形態も第１実施形態の弾性シート１７と同様に図１１及び図１２に示すような形態が可能である。

　図１２（ｑ）の弾性シート１７の形状と同様な形状を、本実施形態の吸収体１０においても取ることができる。すなわち、本実施形態の吸収体１０は矩形であるが、これに限らず、図１２（ｑ）のように両端が広い形状でもよい。この形の吸収体１０を胴部装着部２０Ａに取り付けると、図１２（ｒ）に示すようなおむつ型になる。また。吸収体１０は、その他、瓢箪型や楕円形状でもよい。

　図３４（ｂ）は、第１変形形態における吸収体１０の断面図である。
　図示するように、吸収体１０は、バックシート１２の裏側（身体側と反対側）に紐状の弾性部材１７ａが配置されている。弾性部材１７ａは伸長した状態で例えばバックシート１２に接合される。
　図３４（ｃ）、は第２変形形態における吸収体１０の断面図である。
　図示するように、吸収体１０は、バックシート１２の裏側（身体側と反対側）に紐状の弾性部材１７ａが配置され、さらにその裏側に不織布１７ｆが配置されている。

　図３４（ｄ）は、第３変形形態における吸収体１０の断面図である。
　図示するように、吸収体１０は、バックシート１２の裏側（身体側と反対側）に不織布１７ｇが配置され、さらにその裏側に紐状の弾性部材１７ａが配置され、そして、その裏側に不織布１７ｆが配置されている。
　本実施形態によれば、弾性部材１７ａの収縮によって、吸収体１０全体が収縮し、図３３（ｂ）に示すように吸収体１０の身体接面に凹凸１０ａが形成される。
　この吸収体１０に形成された凹凸１０ａの凸部は、身体に密着する。この密着により第１実施形態と同様に尿等漏れが抑制される。
　さらに、本実施形態は、吸収体１０に形成された凹部によって、通気性が確保されるので、蒸れが生じにくい。

（第１１実施形態）
　図３５は、第１１実施形態を説明する図である。
　図示するように、本実施形態の第１弾性部２１は、内部に紐２５（紐状部材）を備えている。紐２５は、第１弾性部２１の全周に亘って配置されている。紐２５は、第１弾性部２１の前部から外部に引き出されている。紐２５の引き出し量に応じて、胴部装着部２０の外周長さの調節が可能となる。着用者は、紐２５の引き出し量を調整し、紐２５の末端を結び止めすることにより、胴部装着部２０を所望の締り具合で装着することができる。紐２５は、木綿、麻等の繊維を束ねたものでもよいし、合成繊維を束ねたものでもよい。また、ビニール紐、ゴム紐であってもよい。また、紐２５は、第２弾性部２２に配置されていてもよい。すなわち、紐２５は、胴部装着部２０のどこに配置されていてもよい。

（第１２実施形態）
　図３６は、第１２実施形態を説明する図である。
　図３６（ａ）に示す使い捨て衣類１Ｃは、弾性シート１７の内側に吸収体１０を備えていない点が第１実施形態の使い捨て衣類１と異なる。また、図３６（ｂ）に示す使い捨て衣類１Ｄは、弾性シート１７の内側に吸収体１０を備えていない点が第２実施形態の使い捨て衣類１Ａと異なる。このように、弾性シート１７の内側に吸収体１０を備えていない各実施形態においても、図１１及び図１２で説明したように、弾性シート１７の身体への密着性が高いため、より快適な着用感を得ることができる。なお、本実施形態の構成において、弾性シート１７の内側に紙シート２０１を配置してもよい（図１１（ａ）参照）。

（第１３実施形態）
　本実施形態では、第１実施形態に示す使い捨て衣類１の製造工程について説明する。図３７は、第１３実施形態を説明する図である。
　本実施形態の使い捨て衣類１において、胴部装着部２０は、パンツ型に形成されている。そのため、胴部装着部２０は、前部２３０と後部２４０との間に股下部２５０を備えている。
　本実施形態の胴部装着部２０は、図３７（ａ）に示すように、丈方向において対向する側縁部２２０が互いに重ね合わされ、ヒートシール等により接合される。
　これにより、図３７（ｂ）に示すように、胴部装着部２０と、前部２３０と後部２４０との間に架け渡された弾性シート１７とを備えた使い捨て衣類１が完成する。本実施形態では、胴部装着部２０に弾性シート１７を接合する際に、股下部２５０を撓ませている。そのため、完成時には、胴部装着部２０の股下部２５０に適度な弛みが形成された状態となる。

（第１４実施形態）
　本実施形態では、第２実施形態に示す使い捨て衣類１Ａの製造工程について説明する。図３８は、第１４実施形態を説明する図である。
　本実施形態の使い捨て衣類１Ａにおいて、胴部装着部２０Ａは、腹巻き型に形成されている。弾性シート１７は、図３８（ａ）に示すように、胴部装着部２０Ａの中央部分に弛み部２６０が形成された状態で胴部装着部２０Ａに接合される。
　胴部装着部２０Ａは、丈方向において対向する側縁部２２０が互いに重ね合わされ、ヒートシール等により接合される。胴部装着部２０Ａの中央部分に形成された弛み部２６０は、側縁部２２０の接合前又は接合後に切断される。
　これにより、図３８（ｂ）に示すように、円環状の胴部装着部２０と、前部２３０と後部２４０との間に架け渡された弾性シート１７とを備えた使い捨て衣類１Ａが完成する。
　なお、図３７及び図３８には示していないが、胴部装着部２０（２０Ａ）における両側縁部２２０の形状を調整することにより、胴部装着部２０（２０Ａ）の両サイドにスリット２９（図２５参照）を形成することができる。

（第１５実施形態）
　本実施形態では、使い捨て衣類１を、使い捨て水遊びパンツ２に適用した例について説明する。本実施形態では、第１実施形態で説明した構成要件と同じ構成要件については、同一符号を付して説明する。
　また、本実施形態において「使い捨て水遊びパンツ」とは、布帛等の複雑な縫製を施した縫製品以外の、不織布等の素材等を用いて簡易に製造した衣類であり、１回の使用で廃棄するものに限らず、短期間の使用や数回の洗濯に耐えうるものも含む。

　図３９は、着用者Ｐにより装着された状態の使い捨て水遊びパンツ２の外観図である。図４０は、使い捨て水遊びパンツ２の断面図である。
　なお、本明細書においては、図３９に示すように、着用者Ｐが使い捨て水遊びパンツ２を装着して起立した状態における上下となる方向を、使い捨て水遊びパンツ２の説明において上下方向として説明する。
　また、着用者Ｐが使い捨て水遊びパンツ２を装着して起立した状態における左右となる方向を、使い捨て水遊びパンツ２の説明において横方向として説明する。
　さらに、着用者Ｐが使い捨て水遊びパンツ２を装着した状態での前後方向（図４０参照）を、使い捨て水遊びパンツ２の説明において前後方向として説明する。

　図３９及び図４０に示すように、使い捨て水遊びパンツ２は、パンツ型の胴部装着部２０と、胴部装着部２０の前部と後部との間に架け渡された弾性シート１７と、を備える。本実施形態の弾性シート１７には、疎水性シート２０９が配置されている。疎水性シート２０９としては、例えば、透湿性フィルム、防水フィルム等を用いることができる。透湿性フィルムは、空気は通過させるが、水分は通過させない特性を有するシート材である。なお、図４０においては、胴部装着部２０の断面を模式的に示している。胴部装着部２０の構成については後述する。

（胴部装着部）
　胴部装着部２０は、図４０に示すように、第１弾性部２１と、第２弾性部２２と、を備える。第１弾性部２１は、着用者Ｐの腰回りに装着される部分であり、第２弾性部２２の上部に配置される。第２弾性部２２は、着用者の下腹部周辺を押圧する部分である。
　第２弾性部２２は、前部２０ａと後部２０ｂとの間に股下部２０ｃを備える。股下部２０ｃは、前部２０ａと後部２０ｂとの間に位置する部分であり、着脱可能な接続部２０ｄを有する。接続部２０ｄは、面ファスナー、ホック、ボタン等により構成される。例えば、面ファスナーで接続部２０ｄを構成した場合、着用者は、面ファスナーの接続面同士を互いに重ね合わせることにより、図４０に示すように、股下部２０ｃを接続することができる。また、着用者は、面ファスナーの接続面同士を剥がすことにより、股下部２０ｃを開放することができる。

　なお、接続部２０ｄは、開放のみ可能に構成されていてもよい。例えば、ホットメルト、縫合、ヒートシール、超音波による接合等で股下部２０ｃを接合しておき、必要に応じて接合箇所を分断することにより、股下部２０ｃを開放することができる。その他、股下部２０ｃの部分に切り取り予定線（ミシン目）を入れておき、必要に応じて切り取り予定線を分断することによっても、股下部２０ｃを開放することができる。
　本実施形態に示すパンツ型の使い捨て水遊びパンツ２において、股下部２０ｃを開放することにより、胴部装着部２０の形状を、第２実施形態のような腹巻き型（図２４参照）にすることができる。なお、股下部２０ｃは、着脱又は開放可能な接続部２０ｄを備えていない構成としてもよい。

　胴部装着部２０は、図３９に示すように、一般的な下着であるパンツ、衣類であるトランクスとほぼ同じ形状であり、かつ同等の丈を有する。胴部装着部２０には、両サイドにスリット２９が設けられている。スリット２９を設けることにより、着用者Ｐは、脚部を動かしやすくなる。
　なお、胴部装着部２０は、本実施形態の例に限定されず、着用者Ｐの腰回りよりも上部を覆うような形状であってもよい。また、胴部装着部２０は、腰骨より下で覆うものであってもよい。また、女性用として、両サイドが図１よりもさらに短くカットされた形状（すなわち、正面視において略Ｖ字形となる形状）とすることにより、脚部より動かしやすくなる。

　胴部装着部２０において、前部２０ａ（前身頃）と後部２０ｂ（後身頃）とは大きさが異なる。胴部装着部２０の後部２０ｂを、前部２０ａよりも大きくすることにより、臀部の大きな着用者が装着しやすい使い捨て水遊びパンツ２を提供することができる。また、前部２０ａと後部２０ｂとの大きさが異なる場合、立体縫製が可能となるため、様々な体型の着用者に、よりフィットした使い捨て水遊びパンツ２を提供することができる。

　なお、本実施形態の弾性シート１７において、弾性シート１７の幅方向の側縁部に立体のサイドギャザーとなる折り部１４を形成してもよい（図２２参照）。
　この立体のサイドギャザーが形成されることにより、便等の排泄物が外部に漏れ出すのを抑制することができる。また、弾性シート１７の上に、高分子化合物を含まないシート状のパッドを配置してもよい。このシート状のパッドとしては、粉砕パルプを不織布の間に挟み込んだ構造でもよいし、綿、フェルト、積層させた紙をシート状に加工したものでもよい。また、このシート状のパッドの幅方向の側縁部に立体のサイドギャザーを形成してもよい。

　以上、説明した実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した実施形態によって限定されることはない。

　１，１Ａ，１Ｂ，１Ｃ，１Ｄ：使い捨て衣類、１０：吸収体、１１：トップシート、１２：バックシート、１３：吸収性コア、１７：弾性シート、１７ａ：弾性部材、１８：内側シート、２０，２０Ａ：胴部装着部、２１：第１弾性部、２２，２２Ａ：第２弾性部、２０１：紙シート、２５：紐、２６：開放端部、２８：フリル部、２０１ａ，２０８ａ，２０９ａ：印刷層、２０２：押圧部材、２０９：疎水性シート、２１３：凹凸部、２１６：ホットメルト、２１７：吸収性ポリマー

Claims

　着用者の胴回りに装着され、少なくとも前部及び後部を含む胴部装着部と、
　前記胴部装着部の前記前部から前記後部へ、着用者の股下を通って延び、着用者の股下を通る方向に伸縮可能な弾性シートと、を備える使い捨て衣類であって、
　前記弾性シートは、少なくとも一部分に排泄物吸収用の吸収性コアが配置可能、かつ弾性力により前記吸収性コアを着用者の身体側に押圧可能な弾性部材を含み、
　前記胴部装着部は、前記前部及び前記後部の少なくとも股上領域に対して作用する弾性力を有し、前記弾性シートとともに前記吸収性コアを着用者の身体側に押圧可能な押圧部材を含むこと、
を特徴とする使い捨て衣類。
　請求項１に記載の使い捨て衣類であって、
　前記胴部装着部は、着用者の下腹部周辺を押圧する第２弾性部と、
　前記第２弾性部の上部に配置される第１弾性部と、を備えること、
を特徴とする使い捨て衣類。
　請求項１又は請求項２に記載の使い捨て衣類であって、
　前記弾性シートは、前端又は後端の少なくとも一方の端部側において前記胴部装着部に取り付けられること、
を特徴とする使い捨て衣類。
　請求項３に記載の使い捨て衣類であって、
　前記弾性シートは、前端又は後端の少なくとも一方の端部側の幅方向の略中央部において、前記胴部装着部に取付けられること、
を特徴とする使い捨て衣類。
　請求項２から請求項４までのいずれか１項に記載の使い捨て衣類であって、
　前記弾性シートは、前記第１弾性部の端部又は前記第２弾性部の端部、或いは、前記第１弾性部と第２弾性部との接合部において前記胴部装着部に取り付けられること、
を特徴とする使い捨て衣類。
　請求項１から請求項５までのいずれか１項に記載の使い捨て衣類であって、
　前記胴部装着部は、前記前部と前記後部との間に股下部を備え、
　前記弾性シートと前記股下部との間に隙間が形成されていること、
を特徴とする使い捨て衣類。
　請求項１から請求項６までのいずれか１項に記載の使い捨て衣類であって、
　前記胴部装着部は、前記前部と前記後部との間に、着脱又は開放可能な股下部を備えること、
を特徴とする使い捨て衣類。
　請求項１から請求項７までのいずれか１項に記載の使い捨て衣類であって、
　前記胴部装着部は、紙シートを含むこと、
を特徴とする使い捨て衣類。
　請求項８に記載の使い捨て衣類であって、
　前記胴部装着部は、少なくとも前記紙シートの表面に吸収された接着剤からなるアンカー部が形成され、前記アンカー部と前記押圧部材とが接着剤により結合されていること、
を特徴とする使い捨て衣類。
　請求項１から請求項８までのいずれか１項に記載の使い捨て衣類であって、
　前記胴部装着部は、紙シートと伸縮性フィルムと、を含むこと、
を特徴とする使い捨て衣類。
　請求項８から請求項１０までのいずれか１項に記載の使い捨て衣類であって、
　前記紙シートは、表面に非平坦部を有すること、
を特徴とする使い捨て衣類。
　請求項１から請求項１１までのいずれか１項に記載の使い捨て衣類であって、
　前記胴部装着部は、印刷層を有すること、
を特徴とする使い捨て衣類。
　請求項１から請求項１２までのいずれか１項に記載の使い捨て衣類であって、
　前記弾性部材に保持される吸収性コアを備えること、
を特徴とする使い捨て衣類。
　請求項１から請求項１３までのいずれか１項に記載の使い捨て衣類であって、
　前記胴部装着部は、非親水性シートを含むこと、
を特徴とする使い捨て衣類。
　請求項１から請求項１４までのいずれか１項に記載の使い捨て衣類であって、
　前記弾性シートは、前記弾性部材の配置された部位に、通気性を有する非平坦部が形成されること、
を特徴とする使い捨て衣類。
　請求項１から請求項１５までのいずれか１項に記載の使い捨て衣類であって、
　前記弾性部材の上方に配置される内側シートを備えること、
を特徴とする使い捨て衣類。
　請求項１５に記載の使い捨て衣類であって、
　前記内側シートは、前記弾性シートが伸縮していない状態において、前記弾性シートの上方に接着されること、
を特徴とする使い捨て衣類。
　請求項１から請求項１７までのいずれか１項に記載の使い捨て衣類であって、
　前記弾性シートは、紙シートを含むこと、
を特徴とする使い捨て衣類。
　請求項１８に記載の使い捨て衣類であって、
　前記紙シートは柔軟剤を含むこと、
を特徴とする使い捨て衣類。
　請求項１８または１９に記載の使い捨て衣類であって、
　前記弾性シートは、少なくとも前記紙シートの表面に吸収された接着剤からなるアンカー部が形成され、前記アンカー部と前記弾性部材とが接着剤により結合されていること、
を特徴とする使い捨て衣類。
　請求項１から請求項２０までのいずれか１項に記載の使い捨て衣類であって、
　前記弾性シートは、前記胴部装着部の前記前部に一端が接合された前部シートと、前記胴部装着部の前記後部に一端が接合された後部シートと、を含み、
　前記弾性部材は、前記前部シート及び前記後部シートの少なくとも一方に含まれ、
　前記前部シートの他端と前記後部シートの他端とは互いに着脱可能で、
　前記前部シートの他端と前記後部シートの他端とが互いに着接された状態で、前記弾性部材が前記吸収性コアを含む吸収体を弾性力により身体側に押圧可能となること、
を特徴とする使い捨て衣類。
　請求項１から請求項２１までのいずれか１項に記載の使い捨て衣類であって、
　前記吸収性コアを含む吸収体を備え、
　前記弾性シートは、前記吸収性コアの前記身体側と反対側に配置されていること、
を特徴とする使い捨て衣類。
　請求項１から請求項２２までのいずれか１項に記載の使い捨て衣類であって、
　前記押圧部材は、前記胴部装着部に直線、曲線及び一部に直線又は曲線が含まれる線のいずれか、並びに、連続的、断続的及び連続的及び断続的のいずれかの形態で配置されること、
を特徴とする使い捨て衣類。
　請求項１から請求項２３までのいずれか１項に記載の使い捨て衣類であって、
　前記胴部装着部は、線状の前記押圧部材が配置され、その配置方向と交差する方向に沿って切断された場合に、前記押圧部材の端部が露出した開放端部が形成されること、
を特徴とする使い捨て衣類。
　請求項２４に記載の使い捨て衣類であって、
　前記開放端部は、線状の前記押圧部材が配置され、その配置方向と交差する方向に沿って切断された場合に、前記押圧部材による弾性力が抑制されたフリル部が形成されること、
を特徴とする使い捨て衣類。
　請求項１から請求項２５までのいずれか１項に記載の使い捨て衣類であって、
　前記胴部装着部は、着用者の腰骨以下の位置において装着可能であること、
を特徴とする使い捨て衣類。
　請求項６から請求項２６までのいずれか１項に記載の使い捨て衣類であって、
　前記股下部の幅寸法は、前記吸収体又は前記弾性シートの幅寸法未満であること、
を特徴とする使い捨て衣類。
　請求項１から請求項２７までのいずれか１項に記載の使い捨て衣類であって、
　前記胴部装着部は、紐状部材により外周長さの調節が可能であること、
を特徴とする使い捨て衣類。
　請求項１から請求項２８までのいずれか１項に記載の使い捨て衣類であって、
　前記胴部装着部は、前記前部と前記後部との大きさが異なること、
を特徴とする使い捨て衣類。
　トップシートと、
　バックシートと、
　前記トップシートと前記バックシートとの間に配置された吸収性コアと、
を備える排泄物吸収用の吸収体であって、
　前記吸収体は、
　着用者の前部から後部へ股下を通って延びる領域の少なくとも一部分に配置され、
　前記前部から前記後部へ延びる方向に伸縮可能な弾性部材を有し、
　前記弾性部材の弾性力により、前記吸収性コアを身体側に押圧すること、
を特徴とする吸収体。
　使い捨て衣類に適用され、着用者の股下を通って延び、着用者の股下を通る方向に伸縮可能な弾性シートであって、
　弾性力により前記弾性シートを着用者の身体側に押圧可能な弾性部材を備え、
　前端又は後端の少なくとも一方端部側が前記使い捨て衣類に着脱可能に取り付けられていること、
を特徴とする弾性シート。
　請求項２１、２２及び２７までの少なくともいずれか１項に記載の使い捨て衣類であって、前記吸収性コアを含む吸収体が、
前記弾性シートが前記着用者の股下を通って延びる、伸縮可能な方向を基準として、両端部の領域のうち少なくとも一方端部の領域に切り込み部を有すること、
を特徴とする請求項２１、２２及び２７の少なくともいずれかに記載の使い捨て衣類。
　請求項３１に記載の弾性シートであって、前記着用者の股下を通る伸縮可能な方向を基準として、両端部の領域のうち少なくとも一方端部の領域に切り込み部を有すること、
を特徴とする請求項３１に記載の弾性シート。
　請求項１から請求項２９までのいずれか１項に記載の使い捨て衣類であって、
　前記弾性シートが、前記着用者の股下を通る、伸縮可能な方向を基準として、両端部の領域のうち少なくとも一方端部の領域に切り込み部を有すること、
を特徴とする使い捨て衣類。