WO2016042985A1 - Li2O-Al2O3-SiO2系結晶化ガラス及びその製造方法 - Google Patents

Li2O-Al2O3-SiO2系結晶化ガラス及びその製造方法 Download PDF

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石英ガラスと熱膨張係数が整合し、しかも透明性が高いことから、液晶プロジェクター内部の液晶表示素子の対向基板や防塵基板に好適なLiO-Al-SiO系結晶化ガラスと、その製造方法を提供する。主結晶としてβ-石英固溶体が析出し、β-石英固溶体中のSiO含有量のモル%比が2.5~3.3であることを特徴とする。ガラス組成としては質量%で、SiO 55~75%、Al 15~25%、LiO 2~5%、NaO 0~1%、KO 0~1%、MgO 0~3%、BaO 0~2%、TiO 1~3%、ZrO 0~3%、TiO+ZrO 3~5%、P 0~3%、SnO 0.1~0.5%を含有することが好ましい。

Description

Li2O-Al2O3-SiO2系結晶化ガラス及びその製造方法
 本発明は液晶パネル用対向基板および液晶パネル用防塵基板に用いられるLiO-Al-SiO系結晶化ガラス及びLiO-Al-SiO系結晶化ガラスの製造方法に関する。より詳細には、石英ガラスと熱膨張係数が整合し、透明性も高いLiO-Al-SiO系結晶化ガラス及びLiO-Al-SiO系結晶化ガラスの製造方法に関する。
 従来、石油、薪、その他のストーブの前面窓、電子部品焼成用セッター、電磁調理器用トッププレート等種々の用途に、LiO-Al-SiO系の低膨張結晶化ガラスが用いられている。
 この種のLiO-Al-SiO系の結晶化ガラスは、例えば特許文献1~3に開示されているように、主結晶としてβ-石英固溶体(LiO・Al・nSiO[ただし2≦n≦4])を析出し、熱膨張係数が-1~+1×10-7/℃程度である結晶化ガラスやβ-スポジュメン固溶体(LiO・Al・nSiO[ただしn≧4])を析出し、熱膨張係数が10×10-7/℃前後である結晶化ガラスが知られている。
特公昭39-21049号公報 特公昭40-20182号公報 特開平1-308845号公報
 映像表示機器の一つとして液晶プロジェクターが市販されている。この液晶プロジェクターを構成する部材の一つとして液晶表示素子がある。液晶表示素子は、液晶を挟んで対向させた駆動基板と対向基板、さらにこれらの基板に透明樹脂を介して接着させた防塵基板等により構成される。防塵基板は表示素子表面に異物が付着した際にそれが投影されないよう、デフォーカスさせるためのガラスである。
 プロジェクター動作時には液晶の温度が数百度以上になるため、駆動基板には非常に高い耐熱性が求められる。また、温度上昇によって基板が熱膨張すると歪が発生し、位相差の原因となる。結果、表示むらが発生してしまう。この表示むらが生じないように、駆動基板、対向基板、防塵基板には低熱膨張係数を有することが求められ、石英ガラスが用いられている。
 近年、液晶プロジェクター内部の液晶表示素子を構成する対向基板や防塵基板として、LiO-Al-SiO系結晶化ガラスを使用することが検討されている。しかしながら、従来のLiO-Al-SiO系結晶化ガラスは、駆動基板として使用される石英ガラスと熱膨張係数が整合しておらず、透明樹脂を介して石英ガラスと接着した後にガラスが湾曲し、液晶プロジェクターの画質を低下させてしまうことがある。尚、石英ガラスの熱膨張係数は、例えば30~300℃で5.8×10-7/℃程度である。
 また、透明性確保の観点から、主結晶としてβ-石英固溶体が析出したLiO-Al-SiO系の結晶化ガラスが選択されるが、熱膨張係数を石英ガラスに整合させるために、主結晶として析出するβ-石英固溶体の一部をβ-スポジュメン固溶体に結晶転移させると、透明性が大幅に低下してしまうという問題がある。
 本発明の目的は、石英ガラスと熱膨張係数が整合し、しかも透明性が高いことから、液晶プロジェクター内部の液晶表示素子の対向基板や防塵基板に好適なLiO-Al-SiO系結晶化ガラスと、その製造方法を提供することである。
 本発明者等は前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、主結晶であるβ-石英固溶体をβ-スポジュメンに転移させることなく石英ガラスに整合した熱膨張係数を得るには、β-石英固溶体のSiO含有量のモル%比を一定範囲に調整することが重要であることを見出し、本発明として提案するものである。
 すなわち、本発明のLiO-Al-SiO系結晶化ガラスは、主結晶がβ-石英固溶体であるLiO-Al-SiO系結晶化ガラスであって、β―石英固溶体中のSiO含有量のモル%比が2.5~3.3であることを特徴とする。ここで「主結晶としてβ-石英固溶体が析出する」とは、析出結晶のうち、重量比で最も析出量が多い結晶がβ-石英固溶体であるという意味であり、β-石英固溶体以外の結晶の析出を排除するものではない。また「β―石英固溶体中のSiO含有量のモル%比」とは、LiO-Al-SiO系結晶化ガラスに析出するβ-石英固溶体の(406)面に基づくX線回折ピーク角度(2θ)から格子定数法によって算出されるLiO・Al・nSiOのn値に相当する値である。尚、格子定数法の詳細は文献に記載されており、ここでは詳細を省略する(例えば、岩附,田中,深沢, 格子定数法による結晶化ガラス中のβ-ユークリプタイト固溶体の分析, 日本化学会誌, 1974,No.3, 505-510)。
 β―石英固溶体中のSiO含有量のモル%比が高いほど、熱膨張係数が0に近くなる。またこのモル比が高いほどβ-石英固溶体の一部がβ-スポジュメン固溶体に転移する可能性が高くなる。そこで本発明ではβ―石英固溶体中のSiO含有量のモル%比を上記範囲に限定している。この構成を採用することにより、石英ガラスと熱膨張係数が整合し、かつ、優れた透明性を有する結晶化ガラスとすることができ、対向基板や防塵基板として使用される石英ガラスの代替材料として用いることが可能になる。
 本発明においては、ガラス組成として質量%で、SiO 55~75%、Al 15~25%、LiO 2~5%、NaO 0~1%、KO 0~1%、MgO 0~3%、BaO 0~2%、TiO 1~3%、ZrO 0~3%、TiO+ZrO 3~5%、P 0~3%、SnO 0.1~0.5%を含有することが好ましい。ここで「TiO+ZrO」とは、TiOの含有量とZrOの含有量の合量を意味する。
 上記構成を採用すれば、β―石英固溶体中のSiO含有量のモル%比を所望の値に調整可能な結晶化ガラスを得ることが容易である。また化学的耐久性、機械的強度等の特性に優れた結晶化ガラスとすることができる。
 本発明においては、30~300℃における熱膨張係数が1×10-7~9×10-7/℃であることが好ましい。ここで、熱膨張係数とは、線熱膨張係数を意味する。
 本発明においては、厚み1.1mm、波長400nmにおける透過率が70%以上であることが好ましい。
 本発明のLiO-Al-SiO系結晶化ガラスの製造方法は、主結晶としてβ-石英固溶体が析出する性質を有する結晶性ガラスを用意する工程と、β―石英固溶体のSiO含有量のモル%比が2.5~3.3となる熱処理条件で前記結晶性ガラスを結晶化させる工程とを含むことを特徴とする。ここで「結晶性ガラス」とは、熱処理することによってガラスマトリックス中から結晶を析出する性質を有する非晶質のガラスをいう。
 上記構成によれば、石英ガラスと熱膨張係数が整合し、かつ、優れた透明性を有する結晶化ガラスを容易に得ることができる。
 以下、本発明のLiO-Al-SiO系結晶化ガラスについて説明する。なお、以下の説明において特に断りのない限り「%」は「質量%」を意味する。
 本発明のLiO-Al-SiO系結晶化ガラスは、主結晶がβ-石英固溶体であって、β―石英固溶体中のSiO含有量のモル%比が2.5~3.3であることを特徴とする。β―石英固溶体中のSiO含有量のモル%比の好ましい範囲は2.7~3.2、特に2.8~3.2である。
 β-石英固溶体中のSiO含有量のモル%比が低すぎる場合、結晶化ガラスの熱膨張係数が高くなりすぎて石英ガラスの熱膨張係数と整合し難くなる。また分相しやすくなる。分相が生じるとガラスの透過率が低下する。SiO含有量のモル%比が高すぎる場合、結晶化ガラスの熱膨張係数が低くなりすぎて石英ガラスの熱膨張係数と整合し難くなる。このためβ-石英固溶体中のSiO含有量のモル%比が所定範囲外になると、液晶プロジェクター内部の液晶表示素子の対向基板等として使用した場合、透明樹脂を介して接着した際にガラスが湾曲してしまう。またSiO含有量のモル%比が高すぎる場合は、β-石英固溶体の一部がβ-スポジュメン固溶体へ転移する可能性が高くなる。β-スポジュメン固溶体に転移すると、結晶化ガラスの透明性が大幅に低下する。
 本発明のLiO-Al-SiO系結晶化ガラスは、β-石英固溶体を析出しているものであれば、ガラス組成に制限はないが、例えばガラス組成として、SiO 55~75%、Al 15~25%、LiO 2~5%、NaO 0~1%、KO 0~1%、MgO 0~3%、BaO 0~2%、TiO 1~3%、ZrO 0~3%、TiO+ZrO 3~5%、P 0~3%、SnO 0.1~0.5%を含有するLiO-Al-SiO系結晶化ガラスであることが好ましい。各成分の含有量を上記のように規定した理由を以下に説明する。
 SiOはガラスの骨格を形成するとともに、LiO-Al-SiO系結晶を構成する成分である。SiOの含有量は55~75%、58~70%、特に60~68%であることが好ましい。SiOの含有量が少ないと、LiO-Al-SiO系結晶が析出しにくくなり、熱膨張係数を石英ガラスと整合させにくくなる。また、化学的耐久性が低下する傾向にある。一方、SiOの含有量が多いと、ガラスの溶融性が低下したり、ガラス融液の粘度が高くなって、清澄しにくくなったりガラスの成形が困難になる傾向がある。
 Alはガラスの骨格を形成するとともに、LiO-Al-SiO系結晶を構成する成分である。Alの含有量は15~25%、18~25%、特に20~24%であることが好ましい。Alの含有量が少ないと、LiO-Al-SiO系結晶が析出しにくくなり、熱膨張係数を石英ガラスと整合させにくくなる。また、化学的耐久性が低下する傾向にある。一方、Alの含有量が多いと、ガラスの溶融性が低下したり、ガラス融液の粘度が高くなって、清澄しにくくなったりガラスの成形が難しくなる傾向がある。また、ムライトの結晶が析出してガラスが失透する傾向にあり、ガラスが破損しやすくなる。
 LiOはLiO-Al-SiO系結晶を構成する成分であり、結晶性に大きな影響を与えるとともに、ガラスの粘度を低下させて、ガラスの溶融性および成形性を向上させる成分である。LiOの含有量は2~5%、3~5%、特に3.5~4%であることが好ましい。LiOの含有量が少ないと、LiO-Al-SiO系結晶が析出しにくくなり、熱膨張係数を石英ガラスと整合させにくくなる。また、結晶化の際にガラスが失透して透明性が低下しやすくなる。さらに、ガラスの溶融性が低下したり、ガラス融液の粘度が高くなって、清澄しにくくなったりガラスの成形が難しくなる傾向がある。一方、LiOの含有量が多いと結晶性が強くなりすぎて、ガラスが失透して透明性が低下しやすくなる傾向がある。
 NaOはLiO-Al-SiO系結晶に固溶する成分であり、結晶性に大きな影響を与えるとともに、ガラスの粘度を低下させて、ガラスの溶融性および成形性を向上させる成分である。NaOの含有量は0~1%、特に0~0.8%であることが好ましい。NaOの含有量が多いと結晶性が強くなりすぎて、ガラスが失透して透明性が低下しやすくなる傾向がある。
 KOはLiO-Al-SiO系結晶に固溶する成分であり、結晶性に大きな影響を与えるとともに、ガラスの粘度を低下させて、ガラスの溶融性および成形性を向上させる成分である。KOの含有量は0~1%、特に0~0.8%であることが好ましい。KOの含有量が多いと結晶性が強くなりすぎて、ガラスが失透して透明性が低下しやすくなる傾向がある。
 MgOはLiO-Al-SiO系結晶に固溶し、LiO-Al-SiO系結晶の熱膨張係数を高くする効果を有する成分である。MgOの含有量は0~3%、0.1~2%、特に0.1~1.5%であることが好ましい。MgOの含有量が多いと、結晶性が強くなりすぎて失透する傾向にあり、ガラスが破損しやすくなる。また、ガラスが着色して透明性が低下しやすくなる傾向がある。
 BaOはガラスの粘度を低下させて、ガラスの溶融性および成形性を向上させる成分である。BaOの含有量は0~2%、0.5~1.8%、特に1~1.5%であることが好ましい。BaOの含有量が多いとBaを含む結晶が析出しやすくなり、ガラスが失透しやすくなる。
 TiOは結晶化工程で結晶を析出させるための核形成剤となる成分である。TiOの含有量は1~3%、1.5~3%、特に1.5~2.5%であることが好ましい。TiOの含有量が多いとガラスの着色が強まる傾向がある。また、ガラスが失透しやすくなり、透明性が低下しやすくなる。一方、TiOの含有量が少ないと結晶核が十分に形成されず、粗大な結晶が析出してガラスが白濁し、透明性が低下しやすくなる。また、LiO-Al-SiO系結晶が析出しにくくなり、熱膨張係数を石英ガラスと整合させにくくなる。
 ZrOはTiOと同様に、結晶化工程で結晶を析出させるための核形成成分である。ZrOの含有量は0~3%、0.5~2.5%、特に1~2.5%であることが好ましい。ZrOの含有量が多いと、ガラスを溶融する際に失透しやすくなり、ガラスの成形が難しくなる。また、結晶化の際にZrを含む粗大な結晶が析出してガラスが白濁し、透明性が低下しやすくなる。
 TiO+ZrOの含有量は3~5%、3.5~5%、特に4~5%であることが好ましい。TiO+ZrOの含有量が少ないと結晶核が十分に形成されず、粗大な結晶が析出してガラスが白濁し、透明性が低下しやすくなる。また、LiO-Al-SiO系結晶が析出しにくくなり、熱膨張係数を石英ガラスと整合させにくくなる。TiO+ZrOの含有量が多いと、結晶化の際にガラスが失透し、透明性が低下しやすくなる。
 Pはガラスの分相を促進して結晶核の形成を助ける成分である。Pの含有量は0~3%、0.5~3%、特に1~2%であることが好ましい。Pの含有量が多いと、溶融工程においてガラスが分相しやすくなり、ガラスの均質性が低下するとともに、不透明となる傾向がある。また、結晶化の際にガラスが白濁し、透明性が低下しやすくなる。
 SnOは清澄剤として作用する成分である。また、多量に含有するとガラスの着色を強める成分でもある。SnOの含有量は0.1~0.5%、0.1~0.4%、特に0.15~0.35%であることが好ましい。SnOの含有量が少ないと、ガラスの清澄が困難になる。SnOの含有量が多いとガラスが着色し、透明性が低下しやすくなる。
 Feは不純物として混入する成分であり、ガラスの着色を強める成分である。Feの含有量は0.003~0.02%、0.003~0.018%、特に0.003~0.015%であることが好ましい。Feの含有量が多いと、ガラスの着色が強くなって透明性が低下する。Feの含有量は少ないほど着色を抑制できるため好ましいが、例えば0.003%を下回るような範囲にするには高価な高純度原料を使用する必要があり、製造コストが高くなってしまう。
 本発明のLiO-Al-SiO系結晶化ガラスは、上記成分以外にも種々の成分を含有し得る。例えばH、CO、CO、HO、He、Ne、Ar、N等の微量成分をそれぞれ0.1%まで含有してもよい。また、ガラス中にAg、Au、Pd、Ir等の貴金属元素をそれぞれ10ppmまで添加してもよい。
 さらに透明性に悪影響が無い限り、本発明のLiO-Al-SiO系結晶化ガラスは、B、CaO、SrO、ZnO、Cr、Sb、SO、MnO、CeO、Cl、La、WO、Nd、Nb、Y等を合量で2%まで含有してもよい。
 本発明のLiO-Al-SiO系結晶化ガラスは、30~300℃における熱膨張係数が、1×10-7/℃~9×10-7/℃、好ましくは2.5×10-7/℃~7.5×10-7/℃である。30~300℃における熱膨張係数が、1×10-7/℃よりも低いか、10×10-7/℃よりも高いと石英ガラスと熱膨張係数が整合せず、液晶プロジェクター内部の液晶表示素子の対向基板等として使用した場合、透明樹脂を介して接着した際にガラスが湾曲しやすくなる。
 本発明のLiO-Al-SiO系結晶化ガラスは、厚み1.1mm、波長400nmにおける透過率が70%以上、好ましくは75%以上である。厚み1.1mm、波長400nmにおける透過率が70%よりも低いと、ガラスの透明性が低下する。
 次に本発明のLiO-Al-SiO系結晶化ガラスを製造する方法を説明する。
 まず、主結晶としてβ-石英固溶体が析出する性質を有する結晶性ガラスを用意する。結晶性ガラスのガラス組成としては、例えば質量%で、SiO 55~75%、Al 15~25%、LiO 2~5%、NaO 0~1%、KO 0~1%、MgO 0~3%、BaO 0~2%、TiO 1~3%、ZrO 0~3%、TiO+ZrO 3~5%、P 0~3%、SnO 0.1~0.5%を含有するものを使用することが好ましい。なお組成範囲を上記のように限定した理由は既述の通りであり、ここでは説明を割愛する。なおこの種の結晶性ガラスは、所望の組成となるように調製した原料バッチを、ガラス溶融炉に投入し、1500~1750℃で溶融した後、成形することにより得ることができる。
 次に主結晶として析出するβ―石英固溶体のSiO含有量のモル%比が2.5~3.3となる熱処理条件で、結晶性ガラスを結晶化させる。β―石英固溶体のSiO含有量のモル%比は、ガラス組成にも影響を受けるが、同じガラス組成であれば熱処理温度を低くするほど、また熱処理時間を短くするほど小さくすることができる。具体的な熱処理条件として、例えば780~830℃で5~100分、特に800~830℃で5~30分とすることが好ましい。また得られる結晶化ガラスの透過率を高めるには、β―石英固溶体からβ-スポジュメン固溶体への結晶転移をできる限り抑制することが好ましい。β-スポジュメン固溶体への結晶転移を抑えるには、熱処理温度を低くするか、熱処理時間を短くすることが効果的である。
 このようにして本発明のLiO-Al-SiO系結晶化ガラスを得ることができる。
 以下、実施例に基づいて本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
 (実施例1~3および比較例1~2)
 まず質量%でSiO 65.7%、Al 22.2%、LiO 3.7%、NaO 0.4%、KO 0.3%、MgO 0.7%、BaO 1.2%、TiO 2.0%、ZrO 2.2%、P 1.4%、SnO 0.2%、Fe 0.011%含有するガラスとなるように、各原料を酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩等の形態で調合し、ガラスバッチを得た。得られたガラスバッチを1680℃で20時間溶融した。溶融後、4mmの厚さにロール成形し、さらに徐冷炉を用いて室温まで冷却することにより結晶性ガラスを得た。
 結晶性ガラスに対して、770~790℃で1時間熱処理して核形成を行った後、表1に記載の熱処理条件で熱処理を行い結晶化させた。得られた結晶化ガラスについて、析出結晶、β―石英固溶体中のSiO含有量のモル%比、熱膨張係数、透過率を測定した。
 析出結晶は粉末法によるX線回折ピークから同定した。X線回折ピーク測定は(株)リガク製RINT2000を用いて行った。
 β─石英固溶体中のSiO含有量のモル%比は粉末法によるβ-石英固溶体の(406)面のX線回折ピーク角度から格子定数法を用いて算出した。X線回折角度測定は(株)リガク製RINT2000を用いて行った。
 透過率は、肉厚1.1mmに両面光学研磨した結晶化ガラス板について、分光光度計を用いて測定した波長400nmでの透過率により評価した。測定には日本分光製 分光光度計 V-670を用いた。
 熱膨張係数は、20mm×3.8mmφに加工した結晶化ガラス試料を用いて、30~300℃の温度域で測定した平均線熱膨張係数により評価した。測定にはNETZSCH製Dilatometerを用いた。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 表1から明らかなように、実施例1~3の結晶化ガラスは熱膨張係数が2.6×10-7~6.1×10-7/℃の範囲にあり、また厚み1.1mm、波長400nmにおける透過率が77%以上であった。
 本発明のLiO-Al-SiO系結晶化ガラスは、液晶プロジェクター内部の液晶表示素子の対向基板や防塵基板に好適である。

Claims (5)

  1.  主結晶がβ-石英固溶体であるLiO-Al-SiO系結晶化ガラスであって、β-石英固溶体のSiO含有量のモル%比が2.5~3.3であることを特徴とするLiO-Al-SiO系結晶化ガラス。
  2.  ガラス組成として質量%で、SiO 55~75%、Al 15~25%、LiO 2~5%、NaO 0~1%、KO 0~1%、MgO 0~3%、BaO 0~2%、TiO 1~3%、ZrO 0~3%、TiO+ZrO 3~5%、P 0~3%、SnO 0.1~0.5%を含有することを特徴とする請求項1に記載のLiO-Al-SiO系結晶化ガラス。
  3.  30~300℃における熱膨張係数が1×10-7~9×10-7/℃であることを特徴とする請求項1又は2に記載のLiO-Al-SiO系結晶化ガラス。
  4.  厚み1.1mm、波長400nmにおける透過率が70%以上であることを特徴とする請求項1~3の何れかに記載のLiO-Al-SiO系結晶化ガラス。
  5.  主結晶としてβ-石英固溶体が析出する性質を有する結晶性ガラスを用意する工程と、β-石英固溶体のSiO含有量のモル%比が2.5~3.3となる熱処理条件で前記結晶性ガラスを結晶化させる工程とを含むことを特徴とするLiO-Al-SiO系結晶化ガラスの製造方法。
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