JP2016108201A - Li2O−Al2O3−SiO2系結晶化ガラス - Google Patents
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Abstract
【課題】As2O3、Sb2O3の代替清澄剤としてSnO2を用い、Fe2O3やTiO2等に起因する黄色の着色が抑制されたLi2O−Al2O3−SiO2系結晶化ガラスを提供する。【解決手段】ガラス組成として質量%で、SiO2:55〜75%、Al2O3:15〜25%、Li2O:2〜5%、Na2O:0〜1%、K2O:0〜1%、MgO:0〜3%、BaO:0.1〜2%、ZnO:0〜3%、TiO2:0.5〜3%、ZrO2:0.1〜3%、P2O5:0.1〜0.9%、SnO2:0.01〜0.5%、Fe2O3:0.001〜0.05%を含有し、As2O3、Sb2O3を含有しない結晶化ガラス。【選択図】なし
Description
本発明はLi2O−Al2O3−SiO2系結晶化ガラスに関する。詳細には、例えば石油ストーブ、薪ストーブ等の前面窓、カラーフィルターやイメージセンサー用基板等のハイテク製品用基板、電子部品焼成用セッター、電磁調理用トッププレート、防火戸用窓ガラス等の材料として好適なLi2O−Al2O3−SiO2系結晶化ガラスの製造方法及びLi2O−Al2O3−SiO2系結晶化ガラスに関する。
従来、石油ストーブ、薪ストーブ等の前面窓、カラーフィルターやイメージセンサー用基板等のハイテク製品用基板、電子部品焼成用セッター、電磁調理用トッププレート、防火戸用窓ガラス等の材料として、Li2O−Al2O3−SiO2系結晶化ガラスが用いられている。例えば特許文献1〜3には、主結晶としてβ−石英固溶体(Li2O・Al2O3・nSiO2[ただし2≦n≦4])やβ−スポジュメン固溶体(Li2O・Al2O3・nSiO2[ただしn≧4])等のLi2O−Al2O3−SiO2系結晶を析出してなるLi2O−Al2O3−SiO2系結晶化ガラスが開示されている。
Li2O−Al2O3−SiO2系結晶化ガラスは、熱膨張係数が低く、機械的強度も高いため、優れた熱的特性を有している。また結晶化工程において熱処理条件を適宜調整することにより、析出結晶の種類を制御することが可能であり、透明な結晶化ガラス(β−石英固溶体が析出)を容易に作製することができる。
ところで、この種の結晶化ガラスを製造する場合、1400℃を超える高温で溶融する必要がある。このため、ガラスバッチに添加される清澄剤には、高温での溶融時に清澄ガスを多量に発生させることができるAs2O3やSb2O3が使用されている。しかしながら、As2O3やSb2O3は毒性が強く、ガラスの製造工程や廃ガラスの処理時等に環境を汚染する可能性がある。
そこで、As2O3やSb2O3の代替清澄剤として、SnO2やClが提案されている(例えば、特許文献4および5参照)。ただし、Clは、ガラス成形時に金型や金属ロールを腐食させやすく、結果として、ガラスの表面品位を劣化させるおそれがある。このような観点から、清澄剤としては、上記問題が生じないSnO2を用いることが好ましい。
前述のように、SnO2は環境を汚染しないという観点からは好ましい成分であるが、 特許文献4および5に記載されているように、SnO2はTiO2やFe2O3等に起因する着色を強める作用を有するため、透明結晶化ガラスの黄色味が強くなり、外観上好ましくないという問題がある。
本発明の目的は、As2O3、Sb2O3の代替清澄剤としてSnO2を用いたLi2O−Al2O3−SiO2系結晶化ガラスにおいて、Fe2O3やTiO2等に起因する黄色の着色が抑制されたLi2O−Al2O3−SiO2系結晶化ガラスを提供することである。
SnO2の含有に伴う透明結晶化ガラスの黄色い着色を改善する場合、TiO2の含有量を低減すればよいが、TiO2の含有量を少なくすると、最適焼成温度域が狭くなり、結晶核の生成量が少なくなり易い。その結果、粗大結晶が多くなって、結晶化ガラスが白濁し、透明性を損ないやすくなる。そこでTiO2の含有量低減に伴う結晶核生成量の不足を、ZrO2の含有量の増加で補うことが考えられる。ところがZrO2の含有量を増加させると、結晶核の生成量は多くなるが、同時に粗大な結晶が析出してしまい、やはり結晶化ガラスが白濁し、透明性を損ないやすい。
本発明者は、P2O5が粗大なZrO2結晶の析出を抑制し、P2O5を必須成分としてガラス組成を厳密に制御する事によって前記課題を解決できることを見出し、本発明として提案するものである。
即ち、本発明のLi2O−Al2O3−SiO2系結晶化ガラスは、ガラス組成として質量%で、SiO2 55〜75%、Al2O3 15〜25%、Li2O 2〜5%、Na2O 0〜1%、K2O 0〜1%、MgO 0〜3%、BaO 0.1〜2%、ZnO 0〜3%、TiO2 0.5〜3%、ZrO2 0.1〜3%、P2O5 0.1〜0.9%、SnO2 0.01〜0.5%、Fe2O3 0.001〜0.05%を含有し、As2O3、Sb2O3を含有しないことを特徴とする。
本発明のLi2O−Al2O3−SiO2系結晶化ガラスにおいては、厚み3mm、波長400nmにおける透過率が60%以上であることが好ましい。
上記構成によれば、ガラスの着色及び粗大結晶の析出が抑制され、透明性に優れたLi2O−Al2O3−SiO2系結晶化ガラスを容易に得ることができる。
本発明のLi2O−Al2O3−SiO2系結晶化ガラスにおいては、厚み3mmにおける透過光の色調が、CIE規格のL*a*b*表示のb*値で0〜7であることが好ましい。ここで、b*値は、b*≧0の範囲ではガラスの黄色の着色の程度を示す指標であり、b*値が高いほどガラスの黄色の着色が強いことを意味する。また、b*≦0の範囲ではガラスの青色の着色の程度を示す指標であり、b*値がマイナス側に高いほどガラスの青色の着色が強いことを意味する。
上記構成によれば、Fe2O3やTiO2等に起因する黄色の着色が弱く、優れた透明性を有し、製造コストが抑制された結晶化ガラスを容易に得ることができる。
本発明のLi2O−Al2O3−SiO2系結晶化ガラスにおいては、主結晶としてβ─石英固溶体が析出していることが好ましい。
上記構成によれば、透明で熱膨張係数の低い結晶化ガラスを得ることが容易になる。
本発明のLi2O−Al2O3−SiO2系結晶化ガラスにおいては、30〜380℃における熱膨張係数が、−3×10−7/℃〜3×10−7/℃であることが好ましい。ここで、熱膨張係数とは、30〜380℃における平均線熱膨張係数を意味する。
上記構成によれば、低膨張性が求める各種の用途に好適に使用することができる。
以下、本発明のLi2O−Al2O3−SiO2系結晶化ガラスについて説明する。なお、以下の説明において特に断りのない限り「%」は「質量%」を意味する
本発明のLi2O−Al2O3−SiO2系結晶化ガラスは、 ガラス組成として質量%で、SiO2 55〜75%、Al2O3 15〜25%、Li2O 2〜5%、Na2O 0〜1%、K2O 0〜1%、MgO 0〜3%、BaO 0.1〜2%、ZnO 0〜3%、TiO2 0.5〜3%、ZrO2 0.1〜3%、P2O5 0.1〜0.9%、SnO2 0.01〜0.5%、Fe2O3 0.001〜0.05%を含有し、As2O3、Sb2O3を含有しないことを特徴とする。ここで「As2O3、Sb2O3を含有せず」とは、これらの成分を積極的に含有させない、という意味であり、不可避的不純物まで排除するものではない。より具体的には、不純物を含めた含有量が質量%で、As2O3及びSb2O3が各々0.1%以下であることを指す。
本発明のLi2O−Al2O3−SiO2系結晶化ガラスは、 ガラス組成として質量%で、SiO2 55〜75%、Al2O3 15〜25%、Li2O 2〜5%、Na2O 0〜1%、K2O 0〜1%、MgO 0〜3%、BaO 0.1〜2%、ZnO 0〜3%、TiO2 0.5〜3%、ZrO2 0.1〜3%、P2O5 0.1〜0.9%、SnO2 0.01〜0.5%、Fe2O3 0.001〜0.05%を含有し、As2O3、Sb2O3を含有しないことを特徴とする。ここで「As2O3、Sb2O3を含有せず」とは、これらの成分を積極的に含有させない、という意味であり、不可避的不純物まで排除するものではない。より具体的には、不純物を含めた含有量が質量%で、As2O3及びSb2O3が各々0.1%以下であることを指す。
以下、Li2O−Al2O3−SiO2系結晶化ガラスの各成分の含有量を上記のように規定した理由を説明する。
SiO2はガラスの骨格を形成するとともに、Li2O−Al2O3−SiO2系結晶を構成する成分である。SiO2の含有量は55〜75%、好ましくは58〜72%、より好ましくは60〜70%である。SiO2の含有量が少なすぎると、熱膨張係数が高くなる傾向があり、耐熱衝撃性に優れた結晶化ガラスが得られにくくなる。また、化学的耐久性が低下する傾向がある。一方、SiO2の含有量が多すぎると、ガラスの溶融性が低下したり、ガラス融液の粘度が高くなって、清澄しにくくなったりガラスの成形が難しくなって生産性が低下する。この結果、製造コストが高くなる。
Al2O3はガラスの骨格を形成するとともに、Li2O−Al2O3−SiO2系結晶を構成する成分である。Al2O3の含有量は15〜25%、好ましくは18〜25%、より好ましくは20〜24%である。Al2O3の含有量が少なすぎると、熱膨張係数が高くなる傾向があり、耐熱衝撃性に優れた結晶化ガラスが得られにくくなる。また、化学的耐久性が低下する傾向がある。一方、Al2O3の含有量が多すぎると、ガラスの溶融性が低下したり、ガラス融液の粘度が高くなって、清澄しにくくなったりガラスの成形が難しくなって生産性が低下する。この結果、製造コストが高くなる。また、ムライトの結晶が析出してガラスが失透する傾向があり、ガラスが破損しやすくなる。
Li2OはLi2O−Al2O3−SiO2系結晶を構成する成分であり、結晶性に大きな影響を与えるとともに、ガラスの粘度を低下させて、ガラスの溶融性および成形性を向上させる成分である。また、一般に原料コストが高い成分でもある。Li2Oの含有量は2〜5%、好ましくは3〜4.5%、である。Li2Oの含有量が少なすぎると、ムライトの結晶が析出してガラスが失透する傾向がある。また、ガラスを結晶化させる際に、Li2O−Al2O3−SiO2系結晶が析出しにくくなり、耐熱衝撃性に優れた結晶化ガラスを得ることが困難になる。さらに、ガラスの溶融性が低下したり、ガラス融液の粘度が高くなって、清澄しにくくなったりガラスの成形が難しくなって生産性が低下する。この結果、製造コストが高くなる。一方、Li2Oの含有量が多すぎると、結晶性が強くなりすぎて、ガラスが失透しやすくなる傾向があり、ガラスが破損しやすくなる。また、ガラスの製造コストが高くなる。
Na2OはLi2O−Al2O3−SiO2系結晶に固溶する成分であり、結晶性に大きな影響を与えるとともに、ガラスの粘度を低下させて、ガラスの溶融性および成形性を向上させる成分である。Na2Oの含有量は0〜1%、好ましくは0〜0.8%である。Na2Oの含有量が多すぎると、結晶性が強くなりすぎて、ガラスが失透しやすくなる傾向があり、ガラスが破損しやすくなる。
K2OはLi2O−Al2O3−SiO2系結晶に固溶する成分であり、結晶性に大きな影響を与えるとともに、ガラスの粘度を低下させて、ガラスの溶融性および成形性を向上させる成分である。K2Oの含有量は0〜1%、好ましくは0〜0.8%である。K2Oの含有量が多すぎると、結晶性が強くなりすぎて、ガラスが失透しやすくなる傾向があり、ガラスが破損しやすくなる。
MgOはLi2O−Al2O3−SiO2系結晶に固溶し、Li2O−Al2O3−SiO2系結晶の熱膨張係数を高くする効果を有する成分である。MgOの含有量は0〜3%、好ましくは0.1〜2%、より好ましくは0.3〜1.5%である。MgOの含有量が多すぎると、結晶性が強くなりすぎて失透する傾向があり、ガラスが破損しやすくなる。
BaOはガラスの粘度を低下させて、ガラスの溶融性および成形性を向上させる成分である。BaOの含有量は0.1〜2%、好ましくは0.5〜1.8%、より好ましくは1〜1.5%である。BaOの含有量が多すぎると、Baを含む結晶が析出しやすくなり、ガラスが失透しやすくなる。BaOの含有量が少なすぎると、ガラス融液の粘度が高くなって、清澄しにくくなったりガラスの成形が難しくなって生産性が低下する。この結果、製造コストが高くなる。
ZnOはLi2O−Al2O3−SiO2系結晶に固溶し、結晶性に大きな影響を与える成分である。また、一般に原料コストが高い成分でもある。ZnOの含有量は0〜3%、好ましくは0〜1%、より好ましくは0〜0.6%である。ZnOの含有量が多すぎると、結晶性が強くなりすぎて失透する傾向にあり、ガラスが破損しやすくなる。また、ガラスの製造コストが高くなる。
TiO2は結晶化工程で結晶を析出させるための核形成剤となる成分である。TiO2の含有量は0.5〜3%、好ましくは1.5〜2.5%である。TiO2の含有量が多すぎると、ガラスの着色が強まる傾向がある。また、ガラスが失透しやすくなり、破損しやすくなる。一方、TiO2の含有量が少なすぎると、結晶核が十分に形成されず、粗大な結晶が析出してガラスが白濁したり、破損したりするおそれがある。
ZrO2はTiO2と同様に、結晶化工程で結晶を析出させるための核形成成分である。ZrO2の含有量は0.1〜3%、好ましくは0.5〜2.5%、より好ましくは1〜2.5%である。ZrO2の含有量が多すぎると、ガラスを溶融する際に失透しやすくなり、ガラスの成形が難しくなって生産性が低下する。この結果、製造コストが高くなる。一方、ZrO2の含有量が少なすぎると、結晶核が十分に形成されず、粗大な結晶が析出してガラスが白濁したり、破損したりするおそれがある。
P2O5は粗大なZrO2結晶の析出を抑制する成分である。P2O5の含有量は0.1〜0.9%、好ましくは0.1〜0.8%、より好ましくは0.1〜0.7%である。P2O5の含有量が多すぎると、Li2O−Al2O3−SiO2系結晶の析出量が少なくなり、熱膨張係数が高くなる傾向がある。P2O5の含有量が少なすぎると、粗大なZrO2結晶が析出してガラスが白濁しやすくなる。
SnO2は清澄剤として作用する成分である。一方で、多量に含有するとガラスの着色を著しく強める成分でもある。また、一般に原料コストが高い成分でもある。SnO2の含有量は0.01〜0.5%、好ましくは0.1〜0.4%である。SnO2の含有量が多すぎると、ガラスの着色が強くなる。SnO2の含有量が少なすぎると、ガラスの清澄が困難となり、生産性が低下する。また、ガラスの製造コストが高くなる。
Fe2O3は不純物として混入する成分であり、ガラスの着色を強める成分である。Fe2O3の含有量は0.001〜0.05%、好ましくは0.001〜0.03%、より好ましくは0.001〜0.02%である。Fe2O3の含有量が多すぎると、ガラスの着色が強くなりすぎる。Fe2O3の含有量は少ないほど着色を抑制できるため好ましいが、少なくしようとすればするほど(例えば0.001%を下回るような範囲にすると)高価な高純度原料を使用する必要があり、製造コストが高くなってしまう。
As2O3やSb2O3は毒性が強く、ガラスの製造工程や廃ガラスの処理時等に環境を汚染する可能性がある。このため、本発明のLi2O−Al2O3−SiO2系結晶化ガラスはこれらの成分は含有しない。
本発明のLi2O−Al2O3−SiO2系透明結晶化ガラスは、上記成分以外にも、例えばH2、CO2、CO、H2O、He、Ne、Ar、N2等の微量成分をそれぞれ0.1%まで含有してもよい。また、ガラス中にAg、Au、Pd、Ir等の貴金属元素をそれぞれ10ppmまで添加してもよい。
さらに着色に悪影響が無い限り、本発明のLi2O−Al2O3−SiO2系透明結晶化ガラスは、Pt、Rh、B2O3、CaO、SrO、Cr2O3、SO3、MnO、CeO2、Cl2、La2O3、WO3、Nd2O3、Nb2O5、Y2O3等を合量で2%まで含有してもよい。
本発明のLi2O−Al2O3−SiO2系結晶化ガラスは、厚み3mm、波長400nmにおける透過率が、好ましくは60%以上、より好ましくは62%以上、特に好ましくは63%以上である。厚み3mm、波長400nmにおける透過率が低すぎると、ガラスの黄色の着色が強くなりすぎるとともに、ガラスの透明性が低下する。
本発明のLi2O−Al2O3−SiO2系結晶化ガラスは、厚み3mmにおける透過光の色調が、CIE規格のL*a*b*表示のb*値で、好ましくは0〜7、より好ましくは0〜6.5である。b*値が高すぎると、ガラスの黄色の着色が強くなりすぎる。b*値が低すぎると、ガラスが青色に着色し、色調が大きく変化してしまう。
本発明のLi2O−Al2O3−SiO2系結晶化ガラスは、主結晶としてβ─石英固溶体が析出していることが好ましい。β─石英固溶体を主結晶として析出させれば、結晶化ガラスが可視光を透過しやすく、透明性が高まりやすい。またガラスの膨張をゼロに近付けることが容易になる。
本発明のLi2O−Al2O3−SiO2系結晶化ガラスは、30〜380℃における熱膨張係数が、好ましくは−3×10−7/℃〜3×10−7/℃、より好ましくは−2.5×10−7/℃〜2.5×10−7/℃である。30〜380℃における熱膨張係数が、−3×10−7/℃よりもマイナス側に高いか、3×10−7/℃よりもプラス側に高いとガラスの耐熱衝撃性が低下し、ガラスの温度変化時に破損しやすくなる。
次に本発明のLi2O−Al2O3−SiO2系結晶化ガラスを製造する方法を説明する。
まず、上記組成のガラスとなるように調製した原料バッチを、ガラス溶融炉に投入し、1500〜1750℃で溶融した後、成形する。
次に得られた結晶性ガラス(結晶化可能なガラス)を熱処理して結晶化させる。結晶化条件としては、まず核形成を700〜800℃(好ましくは750〜790℃)で0.1〜5時間(好ましくは1〜3時間)行い、続いて結晶成長を800〜950℃(好ましくは850〜900℃)で0.1〜2時間(好ましくは0.2〜1時間)行う。このようにしてβ―石英固溶体結晶が主結晶として析出した透明なLi2O−Al2O3−SiO2系結晶化ガラスを得ることができる。なお、結晶成長を1050〜1200℃(好ましくは1100〜1150℃)で0.1〜2時間(好ましくは0.2〜1時間)の条件で行うことにより、β-スポジュメン固溶体結晶を主結晶として析出した不透明なLi2O−Al2O3−SiO2系結晶化ガラスを得ることもできる。
以下、実施例に基づいて本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。表1は本発明の実施例(試料No.1〜4)を、表2は比較例(試料No.5、6)をそれぞれ示している。
まず表1、2に記載の組成を有するガラスとなるように、各原料を酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩等の形態で調合し、ガラスバッチを得た。得られたガラスバッチを白金製の坩堝に入れ、1680℃で20時間溶融した。溶融後、4mmの厚さにロール成形し、さらに徐冷炉を用いて室温まで冷却することにより結晶性ガラスを得た。
結晶性ガラスに対して、760〜780℃で3時間熱処理して核形成を行った後、さらに870℃〜890℃で1時間の熱処理を行い結晶化させた。得られた結晶化ガラスについて、透過率、透過光の色調、析出結晶、熱膨張係数を測定した。
透過率は、肉厚3mmに両面光学研磨した結晶化ガラス板について、分光光度計を用いて測定した波長400nmでの透過率により評価した。測定には日本分光製 分光光度計 V−670を用いた。
透過光の色調は、肉厚3mmに両面光学研磨した結晶化ガラス板について、分光光度計を用いて波長380〜780nmの透過率を測定し、当該透過率からCIE規格のL*a*b*値を算出することにより評価した。測定には日本分光製 分光光度計 V−670を用いた。
析出結晶はX線回折装置(リガク製 全自動多目的水平型X線回折装置 Smart Lab)を用いて評価した。
熱膨張係数は、20mm×3.8mmφに加工した結晶化ガラス試料を用いて、30〜380℃の温度域で測定した平均線熱膨張係数により評価した。測定にはNETZSCH製Dilatometerを用いた。
表1、2から明らかなように、実施例である試料No.1〜4の結晶化ガラスは透過率が高かった。それに対し、No.5、6の結晶化ガラスは、P2O5の含有量が適切でないことから、白濁が生じ、透過率が低かった。この白濁は、析出結晶が粗大化したためであると思われる。
本発明のLi2O−Al2O3−SiO2系結晶化ガラスは、石油ストーブ、薪ストーブ等の前面窓、カラーフィルターやイメージセンサー用基板等のハイテク製品用基板、電子部品焼成用セッター、電磁調理用トッププレート、防火戸用窓ガラス等に好適である。
Claims (5)
- ガラス組成として質量%で、SiO2 55〜75%、Al2O3 15〜25%、Li2O 2〜5%、Na2O 0〜1%、K2O 0〜1%、MgO 0〜3%、BaO 0.1〜2%、ZnO 0〜3%、TiO2 0.5〜3%、ZrO2 0.1〜3%、P2O5 0.1〜0.9%、SnO2 0.01〜0.5%、Fe2O3 0.001〜0.05%を含有し、As2O3、Sb2O3を含有しないことを特徴とするLi2O−Al2O3−SiO2系結晶化ガラス。
- 厚み3mm、波長400nmにおける透過率が60%以上であることを特徴とする請求項1に記載のLi2O−Al2O3−SiO2系結晶化ガラス。
- 厚み3mmにおける透過光の色調が、CIE規格のL*a*b*表示のb*値で0〜7であることを特徴とする請求項1又は2に記載のLi2O−Al2O3−SiO2系結晶化ガラス。
- 主結晶としてβ─石英固溶体が析出していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のLi2O−Al2O3−SiO2系結晶化ガラス。
- 30〜380℃における熱膨張係数が、−3×10−7/℃〜3×10−7/℃であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のLi2O−Al2O3−SiO2系結晶化ガラス。
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