WO2015037582A1 - 有機el用反射電極膜、積層反射電極膜、及び、反射電極膜形成用スパッタリングターゲット - Google Patents

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Abstract

 本発明の有機EL用反射電極膜は、In及びSnのいずれか一方又は両方を合計で0.1at%以上1.5at%未満、Sbを0.01at%以上0.1at%未満含有し、残部がAg及び不可避不純物からなる。

Description

有機EL用反射電極膜、積層反射電極膜、及び、反射電極膜形成用スパッタリングターゲット
 本発明は、例えば有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子に用いられる有機EL用反射電極膜、積層反射電極膜、及び、反射電極膜形成用スパッタリングターゲットに関する。
 本願は、2013年9月13日に、日本に出願された特願2013-190846号、及び2014年8月6日に、日本に出願された特願2014-160611号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
 一般に、有機ELディスプレイは、有機EL素子が各画素領域に形成された構造を備える。この有機EL素子においては、透明基板にスイッチング素子であるTFT(薄膜トランジスタ)が配置されたTFTアクティブマトリックス基板上に、有機EL層を含む電界発光層が配設されている。電界発光層のうち透明基板側の面にはアノード(陽極)が形成され、アノードが形成された面と反対側の面にはカソード(陰極)が形成されている。
 有機EL素子の光の取り出し方式として、透明基板側から光を取り出すボトムエミッション方式と、透明基板とは反対側から光を取り出すトップエミッション方式とが知られている。トップエミッション方式は、ボトムエミッション方式と比較して開口率が高いため、高輝度化に有利である。
 トップエミッション方式の有機EL素子においては、上述のアノードが、有機EL用反射電極膜と透明導電膜とからなる積層反射電極膜で構成されている。
 透明導電膜は、例えばITO(Indium Tin Oxicide:酸化インジウムスズ)やAZO(Aluminum Zinc Oxicide:アルミニウム添加酸化亜鉛)などから構成される(特許文献1参照)。
 有機EL用反射電極膜には、有機EL層で発光した光を効率よく反射するために、高い反射率が求められている。また、有機ELディスプレイの大型化が進んでおり、有機EL用反射電極膜として、一層抵抗が低いことも求められる。したがって、有機EL用反射電極膜として、高反射率、及び低抵抗を有するAg又はAg合金などが使用されている。
 ところで、有機ELディスプレイの製造工程においては、製造工程の雰囲気中に含まれる硫黄によってAg又はAg合金からなる有機EL用反射電極膜が硫化するため、抵抗が増加したり、反射率が低下したりする問題がある。そこで、耐硫化性を改善した有機EL用反射電極膜として、例えば特許文献2には、In及びSnのいずれか一方又は両方を0.1~1.5at%含有し、さらにSbを0.1~3.5at%含有するAg合金からなる有機EL用反射電極膜が開示されている。
日本国特開2006-236839号公報 国際公開第2012/176407号
 ところで、有機ELディスプレイの製造工程では、熱処理が複数回実施されるため、有機EL用反射電極膜の反射率が低下してしまうといった問題がある。したがって、有機EL用反射電極膜には、上述の熱処理においても反射率が低下しないことが要求されている。
 また、近年、有機ELディスプレイが大型化されているため、有機EL用反射電極膜には、抵抗をより一層低減することも求められている。しかしながら、特許文献2に記載された有機EL用反射電極膜は、添加元素の含有量が多いことから要求される水準まで抵抗を十分に低減することができない。したがって、特許文献2に記載された有機EL用反射電極膜を用いて、有機ELディスプレイの大型化に対応することは困難である。
 この発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、熱処理後の反射率の低下がなく、耐硫化性に優れるとともに、高反射率及び低抵抗を有する有機EL用反射電極膜、積層反射電極膜、及び、反射電極膜形成用スパッタリングターゲットを提供することを目的とする。
 前述の課題を解決するために、本発明の第一の態様に係る有機EL用反射電極膜は、In及びSnのいずれか一方又は両方を合計で0.1at%以上1.5at%未満、Sbを0.01at%以上0.1at%未満含有し、残部がAg及び不可避不純物からなる。
 本発明の第一の態様に係る有機EL用反射電極膜は、In及びSnのいずれか一方又は両方を合計で0.1at%以上含有しているので、耐硫化性を向上させることができる。また、In及びSnのいずれか一方又は両方の含有量が合計で0.1at%以上1.5at%未満とされており、添加元素量が比較的少ないことから、反射率を高く、かつ抵抗を低くすることができる。
 さらに、Sbを0.01at%以上0.1at%未満含有しているので、熱処理後の反射率の低下を抑制することができる。
 また、上述の有機EL用反射電極膜において、膜厚が150nm以上500nm以下とされていることが好ましい。
 この場合、膜厚が150nm以上500nm以下とされているので、抵抗(シート抵抗)をさらに低くすることができる。したがって、この有機EL用反射電極膜は、大型の有機ELディスプレイの電極膜として好適である。また、Ag合金からなる有機EL用反射電極膜においては、膜厚が150nm以上500nm以下のように比較的厚く形成されると、熱処理後の反射率の低下を招く場合がある。しかしながら、上述の有機EL用反射電極膜においては、Sbを0.01at%以上0.1at%未満含有しているので、熱処理後の反射率の低下を抑制することができる。
 本発明の第二の態様に係る積層反射電極膜は、上述の有機EL用反射電極膜と、この有機EL用反射電極膜の少なくとも一方の面に積層された透明導電膜と、を備える。
 本発明の第二の態様に係る積層反射電極膜には、上述の有機EL用反射電極膜の少なくとも一方の面に透明導電膜が積層されている。そのため、上述の積層反射電極膜には、熱処理後の反射率の低下がなく、耐硫化性に優れた積層反射電極膜を構成させることができ、上述したアノードとして好適である。
 本発明の第三の態様に係る反射電極膜形成用スパッタリングターゲットは、前述の有機EL用反射電極膜を成膜する際に用いられる。
 本発明の第三の態様に係る反射電極膜形成用スパッタリングターゲットは、In及びSnのいずれか一方又は両方を合計で0.1at%以上1.5at%未満、Sbを0.01at%以上2.0at%以下含有し、残部がAg及び不可避不純物からなることが好ましい。
 本発明によれば、熱処理後の反射率の低下がなく、耐硫化性に優れるとともに、高反射率及び低抵抗を有する有機EL用反射電極膜、積層反射電極膜、及び、反射電極膜形成用スパッタリングターゲットを提供することができる。
本発明の一実施形態に係る有機EL用反射電極膜を備えた有機EL素子の概略説明図である。
 以下に、本発明の実施の形態について添付した図面を参照して説明する。図1に、本発明の実施形態に係る有機EL用反射電極膜12aを備えた有機EL素子1の概略説明図を示す。
 有機EL素子1は、成膜基板11と、この成膜基板11上に形成されたアノード12(積層反射電極膜)と、このアノード12上に形成された電界発光層13と、この電界発光層13上に形成されたカソード14とを備えている。
 この有機EL素子1は、トップエミッション型の有機EL素子であり、カソード14側(図1において上側)から光が取り出されるようになっている。
 成膜基板11は、例えばTFT回路を形成したガラス基板上に、アクリル樹脂等の有機物からなる平坦化層が形成された基板が用いられる。
 電界発光層13は、有機EL層13Aと、アノード12側に形成されたホール(正孔)輸送層13Bと、カソード14側に形成された電子輸送層13Cとを備えており、これら3つの層からなる3層構造を備える。電界発光層13の厚さは、例えば100nm以上200nm以下とされている。
 有機EL層13Aに用いる発光材料としては、例えばオレフィン系発光材料、アントラセン系発光材料、スピロ系発光材料、カルバゾール系発光材料、及びピレン系発光材料等の低分子発光材料、並びに、ポリフェニレンビニレン類、ポリフルオレン類、及びポリビニルカルバゾール類等の高分子発光材料等が挙げられる。なお、有機EL層13Aには、蛍光色素をドーピングしてもよく、燐光色素をドーピングしてもよい。
 ホール輸送層13Bを構成する有機高分子材料(正孔注入・輸送材料)は、正孔を輸送する能力と、アノード12からの正孔注入効果、及び有機EL層13A又は発光材料に対して優れた正孔注入効果と、を有することが好ましい。さらに、上述のホール輸送層13Bを構成する有機高分子材料は、有機EL層13Aで生成した励起子の電子輸送層13Cへの移動を防止し、かつ薄膜形成能力に優れた化合物であることが好ましい。具体的には、例えばフタロシアニン誘導体、又はオキサゾール等の高分子材料が挙げられる。
 電子輸送層13Cに用いる電子注入・輸送材料は、電子を輸送する能力を持ち、カソード14からの電子注入効果、有機EL層13A又は発光材料に対して優れた電子注入効果を有することが好ましい。さらに、上述の電子輸送層13Cに用いる電子注入・輸送材料は、有機EL層13Aで生成した励起子の正孔注入層への移動を防止し、かつ薄膜形成能力の優れた化合物が好ましい。具体的には、例えばフルオレノン、又はアントラキノジメタン等が挙げられる。
 カソード14は、トップエミッション型の有機EL素子の場合、高透過率が求められる。また、カソード14は、面内で均一に発光させるために、均一に電流を流す必要があることから、低抵抗も求められる。このような材料として、一般にMgAg合金などが用いられる。
 アノード12(積層反射電極膜)は、有機EL用反射電極膜12aと、この有機EL用反射電極膜12aの一方の面(図1において上面)に形成された透明導電膜12bと、を備えている。
 透明導電膜12bは、例えばITO(酸化インジウムスズ)、AZO(アルミニウム添加酸化亜鉛)、又はIZO(インジウム亜鉛酸化物)などが用いられる。
 この透明導電膜12bの厚さは、例えば2nm以上20nm以下とされている。
 有機EL用反射電極膜12aは、電界発光層13から発光された光を反射するための金属膜である。この有機EL用反射電極膜12aは、In及びSnのいずれか一方又は両方を合計で0.1at%以上1・5at%未満、Sbを0.01at%以上0.1at%未満含有し、残部がAg及び不可避不純物からなる組成を有している。
 以下に、本実施形態に係る有機EL用反射電極膜12aの組成を上述のように規定した理由について説明する。
(In及びSn:いずれか一方又は両方を合計で0.1at%以上1.5at%未満)
 In及びSnは、In及びSnのいずれか一方又は両方を合計で0.1at%以上1.5at%未満含有することによって、有機EL用反射電極膜12aの耐硫化性を向上させる作用効果を有する元素である。
 ここで、In及びSnのいずれか一方又は両方の合計含有量が0.1at%未満の場合、有機EL用反射電極膜12aにおいて耐硫化性の向上の効果が得られなくなるおそれがある。一方、In及びSnのいずれか一方又は両方の合計含有量が1.5at%以上の場合、反射率が低下するとともに、抵抗が上昇してしまうおそれがある。
 このような理由から、In及びSnのいずれか一方又は両方の合計含有量が0.1at%以上1.5at%未満の範囲内に設定されている。ここで、In及びSnのいずれか一方又は両方の好ましい合計含有量は、0.3at%以上1.1at%以下とされている。
(Sb:0.01at%以上0.1at%未満)
 Sbは、0.01at%以上0.1at%未満含有することによって、熱処理後の反射率の低下を防ぐ作用効果を有する元素である。
 ここで、Sbの含有量が0.01at%未満では、熱処理後の反射率が低下してしまう。一方、Sbの含有量が0.1at%以上であっても、熱処理後の反射率が低下してしまう。
 このような理由から、Sbの含有量が0.01at%以上0.1at%未満の範囲内に設定されている。ここで、Sbの好ましい含有量は、0.015at%以上0.07at%以下とされている。
 本実施形態において、有機EL用反射電極膜12aの膜厚は、150nm以上500nm以下とされている。ここで、有機EL用反射電極膜12aの好ましい膜厚は、300nm以上500nm以下、さらに好ましい膜厚は、350nm以上450nm以下である。
 次に、本実施形態に係る有機EL用反射電極膜12a、及びアノード12(積層反射電極膜)の製造方法について説明する。
 本実施形態に係る有機EL用反射電極膜12aは、In及びSnのいずれか一方又は両方を合計で0.1at%以上1.5at%未満、Sbを0.01at%以上2.0at%以下含有し、残部がAg及び不可避不純物からなる組成を有したAg合金で構成された反射電極膜形成用スパッタリングターゲットを用いてスパッタリングすることにより成膜される。
 なお、スパッタリング時において、スパッタリング条件によっては、Sbの一部は成膜された膜内に取り込まれにくくなることがあるが、反射電極膜形成用スパッタリングターゲットの組成及びスパッタリング条件を調整することによって有機EL用反射電極膜12aの組成を調節することができる。
 例えば、以下の工程によって本実施形態に係る有機EL用反射電極膜12aが製造される。
 まず、原料として、純度99.9質量%以上のAgと、純度99.9質量%以上のIn及びSnの少なくとも一方と、Sbとを所定の組成となるように秤量する。次に、溶解炉中において、Agを高真空または不活性ガス雰囲気中で溶解し、得られた溶湯に所定の含有量のIn及びSnの少なくとも一方と、Sbとを添加する。その後、In及びSnの少なくとも一方と、Sbとを真空または不活性ガス雰囲気中で溶解して、In及びSnのいずれか一方又は両方を合計で0.1at%以上1.5at%未満含有するとともに、Sbを0.01at%以上2.0at%以下含有し、残部がAg及び不可避不純物からなるAg合金の溶解鋳造インゴットを作製する。
 ここで、Agの溶解は、溶解炉内部の雰囲気を一度真空にした後、Arで置換した雰囲気で行い、溶解後、Ar雰囲気の中でAgの溶湯にIn及びSnの少なくとも一方とSbとを添加することが、Agと、In及びSnの少なくとも一方と,Sbとの組成比率を安定に得る観点から好ましい。さらに、In,Sn,及びSbは予め作製したAgIn,AgSn,AgSb,AgInSb,AgSnSbまたはAgInSnSbの母合金の形で添加してもよい。
 得られたインゴットを冷間圧延した後、大気中で例えば600℃、2時間保持の熱処理を施し、次いで機械加工することにより、所定寸法の反射電極膜形成用スパッタリングターゲット(Ag合金ターゲット)を作製する。すなわち、この反射電極膜形成用スパッタリングターゲットは、Ag合金の溶解鋳造インゴットを塑性加工し、さらに熱処理して作製される。
 この反射電極膜形成用スパッタリングターゲットを無酸素銅製のバッキングプレートに半田付けし、これを直流マグネトロンスパッタ装置に装着する。さらに、有機EL用反射電極膜12aの一方の面に透明導電膜12bを積層させるために、透明導電膜ターゲット(市販品)を同じ装置チャンバー内に装着する。
 次に、真空排気装置にて直流マグネトロンスパッタ装置内を5×10-5Pa以下まで排気した後、Arガスを導入して所定のスパッタガス圧とし、続いて直流電源にて反射電極膜形成用スパッタリングターゲットに例えば250Wの直流スパッタ電力を印加する。
 さらに、反射電極膜形成用スパッタリングターゲットに対向し、かつ所定の間隔を設けて平行に配置された成膜基板11と前述のターゲットとの間にプラズマを発生させることで、有機EL用反射電極膜12aを成膜基板11上に成膜する。
 次に、有機EL用反射電極膜12aを形成した後に、Arガスに加えて酸素ガスも導入して所定のスパッタガス圧とし、直流電源にて透明導電膜ターゲットに例えば60Wの直流スパッタ電力を印加する。そして、成膜基板11と透明導電膜ターゲットの間にプラズマを発生させることで、有機EL用反射電極膜12aの一方の面に透明導電膜12bを積層する。
 このようにして、本実施形態に係る有機EL用反射電極膜12a、及びアノード12(積層反射電極膜)が製造される。
 以上のような構成とされた本実施形態に係る有機EL用反射電極膜12aによれば、In及びSnのいずれか一方又は両方を合計で0.1at%以上含有しているので、耐硫化性を向上させることができる。また、上述の有機EL用反射電極膜12aは、In及びSnのいずれか一方又は両方の含有量が合計で0.1at%以上1.5at%未満とされており、添加量が比較的少ないことから、反射率を高く、かつ抵抗を低くすることができる。
 また、本実施形態に係る有機EL用反射電極膜12aは、さらに、Sbを0.01at%以上0.1at%未満含有しているので、熱処理後の反射率の低下を抑制することができる。
 また、上述の有機EL用反射電極膜12aにおいて、膜厚が150nm以上500nm以下、好ましくは300nm以上500nm以下、さらに好ましくは350nm以上450nm以下とされているので、抵抗(シート抵抗)を低くすることができる。したがって、上述の有機EL用反射電極膜12aは、大型の有機ELディスプレイの電極膜として好適に用いることができる。
 また、Ag合金からなる有機EL用反射電極膜12aにおいては、膜厚が150nm以上500nm以下のように比較的厚く形成されると、熱処理後の反射率が低下する場合がある。しかしながら、Sbを0.01at%以上0.1at%未満含有しているので、熱処理後の反射率の低下を抑制することができる。
 本実施形態に係るアノード12(積層反射電極膜)によれば、上述の有機EL用反射電極膜12aの一方の面に透明導電膜12bが積層されているので、熱処理後の反射率が低下することなく、耐硫化性に優れたアノード12を構成することができる。したがって、このアノード12は、トップエミッション型の有機EL素子1に好適に用いられる。
 本実施形態に係る反射電極膜形成用スパッタリングターゲットによれば、上述の有機EL用反射電極膜12aを成膜することができる。
 以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
 なお、上記の実施形態では、有機EL用反射電極膜の一方の面に透明導電膜が形成されている場合について説明したが、有機EL用反射電極膜の両方の面に透明導電膜を形成した3層構造としても良い。
 以下に、本発明の有効性を確認するために行った確認実験の結果について説明する。
 まず、原料粉末として、純度99.9質量%以上のAgと、純度99.9質量%以上のIn及びSnの少なくとも一方と、Sbと、を所定の組成となるように秤量した。次に、溶解炉中において、Agを高真空または不活性ガス雰囲気中で溶解し、得られた溶湯に所定の含有量のIn及びSnの少なくとも一方と、Sbとを添加した。その後、真空または不活性ガス雰囲気中で溶解して、In及びSnのいずれか一方又は両方を合計で0.1at%以上1.5at%未満、Sbを0.01at%以上2.0at%以下含有し、残部がAg及び不可避不純物からなるAg合金の溶解鋳造インゴットを作製した。
 ここで、Agの溶解は、溶解炉内部の雰囲気を一度真空にした後、Arで置換した雰囲気で行い、溶解後、Ar雰囲気の中でAgの溶湯にIn及びSnの少なくとも一方と、Sbとを添加した。
 得られたインゴットを冷間圧延した後、大気中で例えば600℃、2時間保持の熱処理を施し、次いで機械加工することにより、直径152.4mm、厚さ6mmの寸法を有する円板状に作製した。
 以上のようにして、本発明例1~19、及び比較例1~8のAg合金膜を製造するための反射電極膜形成用スパッタリングターゲット(Ag合金ターゲット)を製造した。この反射電極膜形成用スパッタリングターゲットを無酸素銅製のバッキングプレートに半田付けし、これを直流マグネトロンスパッタ装置に装着した。
 さらに、ITO/Ag合金/ITOの3層積層膜の評価を行うため、上記反射電極膜形成用スパッタリングターゲットと同サイズの市販のITOターゲットを、反射電極膜形成用スパッタリングターゲットと同じ装置チャンバー内に装着した。
 次に、真空排気装置にて直流マグネトロンスパッタ装置内を5×10-5Pa以下まで排気した。その後、上記ターゲットと平行に配置した50mm角の洗浄済みのガラス基板(コーニング社製イーグルXG)に対し、表1に示すスパッタ条件にて、ITOターゲット、反射電極膜形成用スパッタリングターゲット、及びITOターゲットをこの順番で、真空を維持したまま連続で成膜を行い、ITO/Ag合金/ITO積層膜(3層積層膜)をガラス基板上に成膜した。ここで、Ag合金膜は、表2に示す組成に成膜した。なお、ITO膜の膜厚については、1層目、3層目ともに10nmとした。
 また、耐硫化性を評価するために、Ag合金の単層膜の試料も別途成膜した。Ag合金の単層膜の成膜条件は、3層積層膜の場合と同じ条件とした。
 以上のようにして、表2に示す組成を有する本発明例1~19、及び比較例1~8のITO/Ag合金/ITO積層膜、及びAg合金単層膜を製造した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
 なお、本発明例及び比較例のAg合金膜の組成は、同じ反射電極膜形成用スパッタリングターゲットを用いて別途直径4インチのSi基板上に膜厚3μmの厚膜を成膜し、その膜を全量溶解してICP発光分光分析法により分析することで求めた。
 以上のようにして製造された本発明例1~19、及び比較例1~8のITO/Ag合金/ITO積層膜に対して、シート抵抗測定及び反射率測定を行った。また、本発明例1~19、及び比較例1~8のAg合金単層膜に対して、反射率測定を行った。
 なお、シート抵抗測定は、成膜直後及び熱処理試験後のITO/Ag合金/ITO積層膜に対して行った。
 反射率測定は、成膜直後及び熱処理試験後のITO/Ag合金/ITO積層膜に対して行った。また、反射率測定は、成膜直後及び耐硫化試験後のAg合金単層膜に対しても行った。
 以下に各測定方法及び各試験方法の詳細を説明する。
(シート抵抗測定)
 表面抵抗測定器(三菱油化社製、Loresta AP MCP-T400)を用いて、四探針法により、ITO/Ag合金/ITO積層膜のシート抵抗を測定した。
(反射率測定)
 分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製 U-4100)により、波長380nm~800nmの範囲でITO/Ag合金/ITO積層膜、及びAg合金単層膜の反射率を測定した。ここで、可視光(380nm~800nm)の代表的な波長として波長550nmを選択し、この波長550nmにおける反射率を表3に記載した。
(熱処理試験)
 熱処理試験は、ITO/Ag合金/ITO積層膜、及びAg合金単層膜を大気中において250℃で2時間の熱処理をすることにより行った。
(耐硫化試験)
 耐硫化試験は、Ag合金単層膜をNaS(硫化ナトリウム)0.01wt%水溶液に1時間浸漬することにより行った。
 上記の評価の結果を表3に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
 本発明例1~19は、表3に示すように、熱処理後の反射率の低下がなく、耐硫化性に優れ、高反射率かつ低抵抗であることが確認された。
 一方、比較例1及び3は、In又はSnの含有量が少なすぎるために、本発明例と比較して、耐硫化試験後の反射率が著しく低下した。
 比較例2及び4は、In又はSnの含有量が多すぎるために、本発明例と比較して、シート抵抗が大きくなるとともに、反射率が低くなった。
 比較例5は、In及びSnの含有量が少なすぎるために、本発明例と比較して、耐硫化試験後の透過率が著しく低下した。
 比較例6は、In及びSnの含有量が多すぎるために、本発明例と比較して、シート抵抗が大きくなるとともに、反射率が低くなった。
 比較例7は、Sbの含有量が少なすぎるために、本発明例と比較して、熱処理試験後の反射率が低下した。
 比較例8は、Sbの含有量が多すぎるために、本発明例と比較して、熱処理試験後の反射率が低下した。
 本発明の有機EL用反射電極膜、積層反射電極膜、及び反射電極膜形成用スパッタリングターゲットによれば、熱処理後の反射率の低下をなくし、耐硫化性を向上するとともに、反射率を向上し、抵抗を低下させることができる。本発明の有機EL用反射電極膜は、大型の有機ELディスプレイの電極膜として好適である。
1 有機EL素子
12 アノード(積層反射電極膜)
12a 有機EL用反射電極膜
12b 透明導電膜

Claims (5)

  1.  In及びSnのいずれか一方又は両方を合計で0.1at%以上1.5at%未満、Sbを0.01at%以上0.1at%未満含有し、残部がAg及び不可避不純物からなる有機EL用反射電極膜。
  2.  膜厚が150nm以上500nm以下とされている請求項1に記載の有機EL用反射電極膜。
  3.  請求項1又は請求項2に記載された有機EL用反射電極膜と、この有機EL用反射電極膜の少なくとも一方の面に積層された透明導電膜と、を備える積層反射電極膜。
  4.  請求項1又は請求項2に記載された有機EL用反射電極膜を成膜する際に用いられる反射電極膜形成用スパッタリングターゲット。
  5.  In及びSnのいずれか一方又は両方を合計で0.1at%以上1.5at%以下、Sbを0.01at%以上2.0at%以下含有し、残部がAg及び不可避不純物からなる請求項4に記載の反射電極膜形成用スパッタリングターゲット。
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