WO2015030164A1 - 生体透明化剤 - Google Patents

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Abstract

本発明は、生体組織、特に脂肪組織の光散乱を抑制することができる生体透明化剤を提供する。本発明の生体透明化剤は、下記の一般式(A-1)で表される化合物、一般式(B-1)で表される化合物、一般式(C-1)で表される化合物、及び二糖類からなる群より選択される1種以上の化合物を有効成分とする[Zは単結合又は炭素数1~6のアルキレン基を、A及びAはそれぞれ独立して、水素原子、-NHR、-NR-CO-R、又は式(A'-1)で表される化合物を表す。Bは式(B-1)、(B-2)又は(B-3)を表し、Bは、-CO-NHR、-Z-OH、又は-Z-COOHを表す。Cは、-CO-NHR10、-Z-OH、又は-Z-COOHを表す。]。

Description

生体透明化剤
 本発明は、生体組織、特に脂肪組織を透明化することができる生体透明化剤に関する。
 生体組織は光散乱体であり、生体組織中では光は直進せず、拡散してしまう。このため、顕微鏡観察では、生体組織の表層部分しか観察できず、深部の情報を得ることは困難である。そこで、生体深部の観察を可能にするために、生体の光散乱を抑制し、光透過性を向上させる、いわゆる生体透明化試薬(Optical Clearing Agent)の開発が盛んである。例えば、ラットの皮膚を透明化する透明化試薬として、75%グリセロールと20~40%グルコースを含む水溶液(非特許文献1参照。)、20~75%グリセロール水溶液(非特許文献2参照。)、90%PEG400(非特許文献3参照。)等が報告されている。
 一方で、血管や臓器等の多くは、脂肪組織によって被覆されている。このため、外科手術において、手術箇所が表層部分ではない場合には、手術箇所を覆っている脂肪等の他の組織を予め除去する必要がある。このような処置を行なう際に、除去対象である脂肪の下に存在する血管や臓器等を誤って傷つけてしまう恐れがある。特に太い動脈血管を傷つけてしまうと、患者の負担の増大、術者が行なわなければならない処置の増加等、悪影響が大きい。脂肪組織に覆われた血管や臓器等を視認できればこのような事故を効果的に防止することができるが、脂肪による強い光散乱のため、脂肪越しの血管等の視認性向上は困難である。
ガランザ(Galanzha)、他6名、ジャーナル・オブ・フィジックス・ディー:アプライド・フィジックス(Journal of Physics D:Applied Physics)、2003年、第36巻、第1739~1747ページ。 ウェン(Wen)、他4名、ジャーナル・オブ・バイオフォトニクス(Journal of biophotonics)、2010年、第3巻、第44~52ページ。 ワン(Wang)、他6名、プロシーディングス・オブ・エス・ピー・アイ・イー(Proceedings of SPIE)、2009年、第7176巻、第71760Q-1~8ページ。
 透明化試薬による光散乱の抑制の程度は、対象とする部位と試薬の組み合わせに大きく依存することが知られている。皮膚を対象とした透明化試薬の研究は幅広く行われているものの、現在までにおいて、脂肪を対象とした研究はあまり行われていない。
 脂肪組織の光散乱を、効果的かつ速やかに抑制することができれば、脂肪越しの血管等の視認性を飛躍的に向上させることができる。
 そこで、本発明は、生体組織、特に脂肪組織の光散乱を抑制することができる生体透明化剤を提供することを目的とする。
 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、特定の構造を有する化合物が、脂肪組織の光散乱を、効果的かつ速やかに抑制することができることを見出し、本発明を完成させた。
 すなわち、本発明に係る生体透明化剤は、下記[1]~[5]である。
[1] 下記一般式(A-1)
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000006
[式(A-1)中、Zは単結合又は炭素数1~6のアルキレン基を表し、A及びAは、それぞれ独立して、水素原子、-NHR(Rは、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。)、-NR-CO-R(Rは、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表し、Rは、炭素数1~6のアルキル基を表す。)、又は下記式(A'-1)
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000007
〔式(A'-1)中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表し、Zは単結合又は炭素数1~6のアルキレン基を表し、A'は、水素原子、-NHR(Rは、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。)、又は-NR-CO-R(Rは、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表し、Rは、炭素数1~6のアルキル基を表す。)を表し、Zは単結合又は炭素数1~6のアルキレン基を表す。また、アスタリスクが式(A-1)中のベンゼン環との結合箇所を示す。〕を表す。ただし、A及びAがいずれも水素原子である場合を除く。]で表される化合物、
 下記一般式(B-1)
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000008
[式(B-1)中、Bは下記式(B-1)、(B-2)又は(B-3)
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000009
〔式(B-1)~(B-3)中、アスタリスクがBとの結合箇所を示す。〕を表し、Bは、-CO-NHR(Rは、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。)、-Z-OH(Zは炭素数1~6のアルキレン基を表す。)、又は-Z-COOH(Zは、1個の水素原子がアミノ基で置換されていてもよい炭素数1~6のアルキレン基を表す。)を表す。]で表される化合物、
 下記一般式(C-1)
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000010
[式(C-1)中、Cは、-Z-OH(Zは、単結合又は炭素数1~6のアルキレン基を表す。)、-Z-COOH(Zは、1個の水素原子がアミノ基で置換されていてもよい炭素数1~6のアルキレン基を表す。)、又は-CO-NHR10(R10は、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。)を表す。]で表される化合物、及び、
 二糖類からなる群より選択される1種以上の化合物を有効成分とすることを特徴とする、生体透明化剤。
[2] ジアトリゾ酸、メトリゾ酸、フェニルウレア、スクロース、トレハロース、フェニルエタノールアミン、トリプトファン、ヒドロキノン、レゾルシノール、ピリジンエタノール、イオパノ酸、及びヨージパミドからなる群より選択される1種以上の化合物を有効成分とする、前記[1]の生体透明化剤。
[3] ジアトリゾ酸、メトリゾ酸、フェニルウレア、フェニルエタノールアミン、イオパノ酸、及びヨージパミドからなる群より選択される1種以上の化合物を有効成分とする、前記[1]の生体透明化剤。
[4] 生体組織に浸潤させることにより、当該生体組織を透明化することができる、前記[1]~[3]のいずれかの生体透明化剤。
[5] 脂肪組織の透明化に使用される、前記[1]~[4]のいずれかの生体透明化剤。
 本発明に係る生体透明化剤により、生体組織、特に脂肪組織の光散乱を抑制し、従来になく短時間で透明化することができる。
実施例1において、各溶液に1時間又は3日間浸漬させた後の脂肪組織の相対透過光量を調べた結果を示した図である。 実施例1において、実施例において示した各種溶液等により処理することで透明化を実現した脂肪組織(図中、「透明化処理あり」)と、PBSで処理した脂肪組織(図中、「コントロール」)を、文字入りスライドガラス上に乗せ、裏側から照明して撮影した写真である。 実施例2において、各溶液に1時間浸漬させた脂肪組織の散乱係数の減少率を求めた結果を示した図である。 実施例3において、各溶液に1時間浸漬させた後の脂肪組織の相対透過光量を調べた結果を示した図である。
 本発明及び本願明細書において、「透明化」とは、少なくとも一部の波長の光による光透過性を高めること、又は、少なくとも一部の波長の光による散乱特性を低下させることを意味する。
 本発明に係る生体透明化剤は、特定の構造を有する化合物であって、生体組織に浸潤させることにより、当該生体組織を透明化することができる。本発明に係る生体透明化剤は、生体組織のうち、特に脂肪組織の透明化に適している。
 本発明及び本願明細書において、「脂肪組織」とは、脂肪細胞を主たる構成細胞とする疎水性の組織を意味する。本発明に係る生体透明化剤が透明化する脂肪組織としては、構成細胞として脂肪細胞のみからなる組織であってもよく、脂肪細胞以外の細胞を含む組織であってもよい。また、脂肪組織が含む脂肪細胞は、白色脂肪細胞であってもよく、褐色脂肪細胞であってもよく、両者を含む組織であってもよい。脂肪細胞中の脂肪滴中に含まれている脂肪は、主に、トリグリセリド、コレステロールエステル、レチニルエステル等の中性脂肪であるが、脂肪酸等のその他の脂質を含んでいてもよい。
 本発明に係る生体透明化剤は、具体的には、下記の一般式(A-1)で表される化合物、一般式(B-1)で表される化合物、一般式(C-1)で表される化合物、及び二糖類からなる群より選択される1種以上の化合物を有効成分とする。本発明に係る生体透明化剤としては、これらの化合物を1種類のみを有効成分とするものであってもよく、2種類以上を組み合わせて有効成分とするものであってもよい。
<一般式(A-1)で表される化合物>
 一般式(A-1)で表される化合物は、下記に示す通り、ベンゼン環の6個の水素原子のうち、3個がヨウ素原子に置換されており、1個がカルボキシル基又はアルキルカルボキシル基に置換されており、残る2個の水素原子のうちの少なくとも1個が、水素原子が置換されていてもよいアミノ基に置換されている化合物である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000011
 式(A-1)中、Zは単結合又は炭素数1~6のアルキレン基を表す。当該アルキレン基としては、直鎖状のアルキレン基であってもよく、分岐鎖状のアルキレン基であってもよい。当該アルキレン基としては、具体的には、メチレン基、エチレン基、メチルメチレン基、エチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチルメチルメチレン基、イソプロピルメチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、1-メチルトリメチレン基、2-メチルトリメチレン基、テトラメチレン基、1,1-ジメチルエチレン基、1,2-ジメチルエチレン基、1-エチルエチレン基、2-エチルエチレン基、ペンタメチレン基、1,1-ジメチルトリメチレン基、1,2-ジメチルトリメチレン基、1-エチルトリメチレン基、2-エチルトリメチレン基、ヘキサメチレン基、1,2-ジメチルテトラメチレン基、1-エチルテトラメチレン基、2-エチルテトラメチレン基等が挙げられる。式(A-1)中のZとしては、単結合又は炭素数1~4のアルキレン基が好ましく、単結合、メチレン基、エチレン基、メチルメチレン基、エチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチルメチルメチレン基、イソプロピルメチレン基、プロピレン基、1,1-ジメチルエチレン基、1,2-ジメチルエチレン基、1-エチルエチレン基、又は2-エチルエチレン基がより好ましい。
 式(A-1)中、A及びAは、それぞれ独立して、水素原子、-NHR、-NR-CO-R、又は下記式(A'-1)(式(A'-1)中、アスタリスクが式(A-1)中のベンゼン環との結合箇所を示す。)を表す。ただし、A及びAがいずれも水素原子である場合を除く。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000012
 Rは、水素原子、又は炭素数1~6のアルキル基を表す。当該アルキル基としては、直鎖状のアルキル基であってもよく、分岐鎖状のアルキル基であってもよい。当該アルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。A又はAが-NHRの場合、当該Rとしては、水素原子又は炭素数1~3のアルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
 は、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。当該アルキル基としては、Rで挙げられたアルキル基と同様のものが挙げられる。A又はAが-NR-CO-Rの場合、当該Rとしては、水素原子又は炭素数1~3のアルキル基が好ましく、水素原子又はメチル基がより好ましい。
 Rは、炭素数1~6のアルキル基を表す。当該アルキル基としては、Rで挙げられたアルキル基と同様のものが挙げられる。A又はAが-NR-CO-Rの場合、当該Rとしては、炭素数1~3のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
 式(A'-1)中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。当該アルキル基としては、Rで挙げられたアルキル基と同様のものが挙げられる。A又はAが式(A'-1)で表される基である場合、当該Rとしては、水素原子又は炭素数1~3のアルキル基が好ましく、水素原子又はメチル基がより好ましく、水素原子がさらに好ましい。
 式(A'-1)中、Zは単結合又は炭素数1~6のアルキレン基を表す。当該アルキレン基としては、Zで挙げられたアルキレン基と同様のものが挙げられる。A又はAが式(A'-1)で表される基である場合、当該Zとしては、炭素数3~6のアルキレン基が好ましく、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、又はヘキサメチレン基がより好ましく、テトラメチレン基がさらに好ましい。
 式(A'-1)中、A'は、水素原子、-NHR(Rは、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。)、又は-NR-CO-R(Rは、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表し、Rは、炭素数1~6のアルキル基を表す。)を表す。
 Rとしては、前記Rと同様のものが挙げられ、水素原子又は炭素数1~3のアルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
 Rとしては、前記Rと同様のものが挙げられ、水素原子又は炭素数1~3のアルキル基が好ましく、水素原子又はメチル基がより好ましい。
 Rとしては、前記Rと同様のものが挙げられ、炭素数1~3のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
 式(A'-1)中、Zは、単結合又は炭素数1~6のアルキレン基を表す。当該アルキレン基としては、Zで挙げられたアルキレン基と同様のものが挙げられる。A又はAが式(A'-1)で表される基である場合、当該Zとしては、単結合又は炭素数1~4のアルキレン基が好ましく、単結合、メチレン基、エチレン基、メチルメチレン基、エチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチルメチルメチレン基、イソプロピルメチレン基、プロピレン基、1,1-ジメチルエチレン基、1,2-ジメチルエチレン基、1-エチルエチレン基、又は2-エチルエチレン基がより好ましく、単結合がさらに好ましい。
 一般式(A-1)で表される化合物としては、下記一般式(A-2)~(A-13)のいずれかで表される化合物が好ましい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000013
 一般式(A-2)~(A-7)中、R31及びR32は、それぞれ独立して、炭素数1~3のアルキル基を表し、メチル基が好ましい。また、R21及びR22は、それぞれ独立して、炭素数1~3のアルキル基を表し、メチル基が好ましい。一般式(A-5)~(A-7)中、Z11は、炭素数1~4のアルキレン基を表し、メチレン基、エチレン基、メチルメチレン基、エチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチルメチルメチレン基、イソプロピルメチレン基、プロピレン基、1,1-ジメチルエチレン基、1,2-ジメチルエチレン基、1-エチルエチレン基、又は2-エチルエチレン基が好ましい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000014
 一般式(A-8)及び(A-9)中、Z12は、単結合又は炭素数1~4のアルキレン基を表し、単結合、メチレン基、エチレン基、メチルメチレン基、エチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチルメチルメチレン基、イソプロピルメチレン基、プロピレン基、1,1-ジメチルエチレン基、1,2-ジメチルエチレン基、1-エチルエチレン基、又は2-エチルエチレン基が好ましい。また、一般式(A-9)中、R11は、炭素数1~3のアルキル基を表し、メチル基が好ましい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000015
 一般式(A-10)~(A-13)中、nは1~6の整数を表し、3~6の整数が好ましく、4がより好ましい。一般式(A-10)及び(A-12)中、Z11は、炭素数1~4のアルキレン基を表し、メチレン基、エチレン基、メチルメチレン基、エチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチルメチルメチレン基、イソプロピルメチレン基、プロピレン基、1,1-ジメチルエチレン基、1,2-ジメチルエチレン基、1-エチルエチレン基、又は2-エチルエチレン基が好ましい。一般式(A-12)及び(A-13)中、R23及びR24は、それぞれ独立して、炭素数1~3のアルキル基を表し、メチル基が好ましい。
 一般式(A-1)で表される化合物としては、中でも、ジアトリゾ酸(CAS登録番号:117-96-4)、メトリゾ酸(CAS登録番号:1949-45-7)、イオパノ酸(CAS登録番号:96-83-3)、又はヨージパミド(CAS登録番号:606-17-7)が好ましく、ジアトリゾ酸又はメトリゾ酸が特に好ましい。
<一般式(B-1)で表される化合物>
 一般式(B-1)で表される化合物は、下記に示す通り、アニリン又は窒素原子を含むヘテロ環が、アミノカルボニル基、ヒドロキシアルキル基、又はカルボキシアルキル基で置換された化合物である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000016
 一般式(B-1)中、Bは、下記式(B-1)、(B-2)又は(B-3)を表す。式(B-1)~(B-3)中、アスタリスクがBとの結合箇所を示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000017
 一般式(B-1)中、Bは、-CO-NHR、-Z-OH、又は-Z-COOHを表す。
 Rは、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。当該アルキル基としては、Rで挙げられたアルキル基と同様のものが挙げられる。Bが-CO-NHRの場合、当該Rとしては、水素原子又は炭素数1~3のアルキル基が好ましく、水素原子又はメチル基がより好ましく、水素原子が特に好ましい。
 Zは、炭素数1~6のアルキレン基を表す。当該アルキレン基としては、Zで挙げられたアルキレン基と同様のものが挙げられる。Bが-Z-OHである場合、当該Zとしては、炭素数1~3のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基、メチルメチレン基、エチルメチレン基、ジメチルメチレン基、トリメチレン基、又はプロピレン基がより好ましく、メチレン基、エチレン基、又はトリメチレン基がさらに好ましい。
 Zは、1個の水素原子がアミノ基で置換されていてもよい炭素数1~6のアルキレン基を表す。当該アルキレン基としては、Zで挙げられたアルキレン基と同様のもの、及びこれらの基の1個の水素原子がアミノ基で置換された基が挙げられる。Bが-Z-COOHである場合、当該Zとしては、1個の水素原子がアミノ基で置換されていてもよい炭素数1~3のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基、メチルメチレン基、エチルメチレン基、ジメチルメチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、アミノメチレン基、1-アミノエチレン基、2-アミノエチレン基、1-アミノトリメチレン基、2-アミノトリメチレン基、又は3-アミノトリメチレン基がより好ましく、1-アミノエチレン基又は2-アミノエチレン基がさらに好ましい。
 一般式(B-1)で表される化合物としては、下記一般式(B-2)~(B-10)のいずれかで表される化合物が好ましい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000018
 一般式(B-2)~(B-4)中、Z41は、炭素数1~3のアルキレン基を表し、メチレン基、エチレン基、又はトリメチレン基が好ましく、エチレン基が特に好ましい。
 一般式(B-5)~(B-7)中、Z51は、メチレン基又はエチレン基を表し、メチレン基が特に好ましい。
 一般式(B-8)~(B-10)中、R91は、水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を表し、水素原子又はメチル基が好ましく、水素原子が特に好ましい。
 一般式(B-1)で表される化合物としては、中でも、フェニルウレア(CAS登録番号:64-10-8)、フェニルエタノールアミン(2-アニリノエタノール)(CAS登録番号:122-98-5)、トリプトファン(CAS登録番号:73-22-3)、又はピリジンエタノール(CAS登録番号:103-74-2)が好ましく、フェニルウレア又はフェニルエタノールアミンがより好ましい。
<一般式(C-1)で表される化合物>
 一般式(C-1)で表される化合物は、下記に示す通り、ベンゼン環の2個の水素原子が、アミノカルボニル基、ヒドロキシアルキル基、又はカルボキシアルキル基で置換された化合物である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000019
 一般式(C-1)中、Cは、-Z-OH、-Z-COOH、又は-CO-NHR10を表す。
 Zは、単結合又は炭素数1~6のアルキレン基を表す。当該アルキレン基としては、Zで挙げられたアルキレン基と同様のものが挙げられる。Cが-Z-OHである場合、当該Zとしては、単結合又は炭素数1~3のアルキレン基が好ましく、単結合、メチレン基、エチレン基、メチルメチレン基、エチルメチレン基、ジメチルメチレン基、トリメチレン基、又はプロピレン基がより好ましく、単結合、メチレン基、エチレン基、又はトリメチレン基がさらに好ましく、単結合が特に好ましい。
 Zは、1個の水素原子がアミノ基で置換されていてもよい炭素数1~6のアルキレン基を表す。当該アルキレン基としては、Zで挙げられたアルキレン基と同様のもの、及びこれらの基の1個の水素原子がアミノ基で置換された基が挙げられる。Cが-Z-COOHである場合、当該Zとしては、1個の水素原子がアミノ基で置換されていてもよい炭素数1~3のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基、メチルメチレン基、エチルメチレン基、ジメチルメチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、アミノメチレン基、1-アミノエチレン基、2-アミノエチレン基、1-アミノトリメチレン基、2-アミノトリメチレン基、又は3-アミノトリメチレン基がより好ましく、1-アミノエチレン基又は2-アミノエチレン基がさらに好ましい。
 R10は、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。当該アルキル基としては、Rで挙げられたアルキル基と同様のものが挙げられる。Cが-CO-NHR10の場合、当該R10としては、水素原子又は炭素数1~3のアルキル基が好ましく、水素原子又はメチル基がより好ましく、水素原子が特に好ましい。
 一般式(C-1)で表される化合物としては、下記一般式(C-2)又は(C-3)で表される化合物が好ましい。一般式(C-2)及び(C-3)中、Z61は、単結合又は炭素数1~3のアルキレン基を表し、単結合、メチレン基、エチレン基、又はトリメチレン基が好ましく、単結合が特に好ましい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000020
 一般式(C-1)で表される化合物としては、中でも、ヒドロキノン(CAS登録番号:123-31-9)又はレゾルシノール(CAS登録番号:108-46-3)が好ましい。
<二糖類>
 本発明に係る生体透明化剤の有効成分となる二糖類としては、2分子のグルコース、2分子のフルクトース、1分子のグルコースと1分子のフルクトースからなるものが好ましく、スクロース(CAS登録番号:57-50-1)、トレハロース(CAS登録番号:99-20-7)、マルトース(CAS登録番号:69-79-4)、セロビオース(CAS登録番号:528-50-7)、又はこれらの混合物であることが好ましく、スクロース、トレハロース、又はスクロースとトレハロースの混合物がより好ましい。
 本発明に係る生体透明化剤としては、生体組織に浸潤させる処置の後1~3時間という短時間で脂肪組織を透明化できることから、特に、ジアトリゾ酸、メトリゾ酸、フェニルウレア、スクロース、トレハロース、フェニルエタノールアミン、トリプトファン、ヒドロキノン、レゾルシノール、ピリジンエタノール、イオパノ酸、及びヨージパミドからなる群より選択される1種以上の化合物を有効成分とするものが好ましく、ジアトリゾ酸、メトリゾ酸、フェニルウレア、フェニルエタノールアミン、イオパノ酸、及びヨージパミドからなる群より選択される1種以上の化合物を有効成分とするものがより好ましい。
<その他の成分>
 本発明に係る生体透明化剤は、有効成分のみからなるものであってもよく、有効成分による生体組織の透明化を損なわないかぎり、その他の成分を含有していてもよい。当該他の成分としては、有効成分を溶解させるための溶媒、有効成分の溶媒に対する溶解性を改善するための溶解補助剤、界面活性剤、浸透圧調整剤等が挙げられる。
 本発明に係る生体透明化剤が含有する溶媒としては、有効成分を溶解できる溶媒であれば特に限定されるものではない。本発明においては、前記有効成分の溶解性に優れていることから、ジメチルスルホキシド(DMSO)(CAS登録番号:67-68-5)、スルホラン(CAS登録番号:126-33-0)、ジメチルホルムアミド(CAS登録番号:68-12-2)、1-メチル-2-ピロリドン(CAS登録番号:872-50-4)、ヘキサメチレンホスホルアミド(CAS登録番号:680-31-9)、これらの溶媒のうちの2種以上の混合溶媒、又はこれらの溶媒若しくはその混合溶媒と水との混合溶媒が好ましい。なお、当該水は、トリスバッファー、リン酸バッファー、HEPESバッファー等のバッファーであってもよい。
 溶解補助剤としては、例えば、N-メチルグルカミン、トロメタモール(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)、ジイソプロパノールアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、又はトリエタノールアミン等の有機アミン、エタノール、メタノール、イソプロパノール等のアルコール等が挙げられる。
 界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤であってもよく、陰イオン性界面活性剤であってもよく、陽イオン性界面活性剤であってもよく、両性界面活性剤であってもよい。非イオン性界面活性剤として、例えば、サポニン、ジギトニン、Tween80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)、Tween20(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート)、Triton X-100(ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル)、Nonidet P-40(ポリオキシエチレン(9)オクチフェニルエーテル)等が挙げられる。陰イオン性界面活性剤としては、例えば、SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)に代表されるアルキル硫酸ナトリウム、コール酸ナトリウム、N-ラウリルサルコシン等が挙げられる。陽イオン性界面活性剤としては、例えば、CDABに代表されるアルキル4級化アンモニウム等が挙げられる。両性界面活性剤としては、例えば、CHAPS(3-[3-コラミドプロピルジメチルアンモニオ]-1-プロパンスルホネート)等が挙げられる。
 浸透圧調整剤としては、例えば、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、塩化カリウム等の塩類、マンニトール、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシ プロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリデキストロース、デキストラン、デキストリン、及びアルブミン等の水溶性高分子等が挙げられる。
 本発明に係る生体透明化剤は、溶媒に溶解させた状態で生体組織に浸潤させることにより、当該生体組織を透明化できる。本発明に係る生体透明化剤を生体組織に浸潤させる方法としては特に限定されるものではなく、例えば、生体透明化剤溶液を生体組織表面に塗布する方法、生体透明化剤溶液を生体組織内部に注入する方法、生体透明化剤溶液に生体組織を浸漬させる方法等が挙げられる。
 生体組織に浸潤させる際の生体透明化剤溶液における前記有効成分の濃度は、当該有効成分による透明化効果が得られる濃度であればよく、用いる有効成分の種類や、溶媒の種類、当該生体透明化剤溶液の浸透圧やpH等を考慮して適宜調整することができる。本発明においては、充分な透明化効果が得られやすいことから、生体透明化剤溶液の中の有効成分の濃度が、1~70質量%が好ましく、3~60質量%がより好ましい。特に、有効成分が前記一般式(A-1)で表される化合物の場合には、生体透明化剤溶液の中の有効成分の濃度は、3~50質量%が好ましく、5~40質量%がより好ましい。
 外科手術時に、除去対象である脂肪組織を透明化できれば、脂肪組織の奥の血管等を傷つけるリスクを顕著に低減させ得る。しかし、外科手術時に使用するためには、処置後短時間で脂肪組織が透明化される必要がある。本発明に係る生体透明化剤は、特に脂肪組織を従来になく短時間で透明化することができるため、外科手術時にも有用であると期待できる。
 次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
 皮膚組織を透明化できるとの報告がある40質量%グリセロール水溶液、75質量%グリセロール水溶液、40質量%グルコース水溶液、及び90質量%PEG400水溶液と共に、ジアトリゾ酸、メトリゾ酸、ヨージパミド、及びイオパノ酸の溶液について、脂肪組織の透明化能を調べた。
 具体的には、まず、マウス腸間膜周辺の脂肪組織を切り出し、PBS(リン酸生理食塩水)に浸漬して保存した。保存後の脂肪組織を、チューブ(チューブ径(Φ):1mm、チューブ高さ:3mm)に詰めた後、表1に記載の各溶液に浸漬させた。表1中、「%」は、「質量%」を意味する。表1に記載の溶液に代えてPBSに浸漬させたものを、対照とした。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000021
 浸漬してから1時間後及び3日後に、溶液から脂肪組織が充填されたチューブを取り出し、当該チューブを実体顕微鏡に、チューブ高さの方向と実体顕微鏡の光軸方向が一致するように設置し、透過像を観察した。全ての観察において、透過光量及び露光時間は一定に保った。得られた透過像をソフトウェアで解析し、透過光量を算出した。PBSに浸漬させたチューブ中の脂肪組織(コントロールサンプル)の透過光量を1とし、各溶液に浸漬させたチューブ中の脂肪組織の相対透過光量を算出した。なお、コントロールサンプルでは、浸漬前と浸漬から1時間後、3日後は、いずれも透過光量は同程度であり、特に変化はなかった。
 算出結果を図1に示す。相対透過光量が大きいほど、透明化効果が高いことを示す。この結果、皮膚を透明化できる40%グリセロール溶液、75%グリセロール溶液、40%グルコース溶液、及び90%PEG900溶液では、90%PEG900溶液の浸漬3日後を除き、ほとんど透過光量は増大せず、透明化効果はほとんど得られなかった。また、90%PEG900溶液の浸漬3日後では、相対透過光量が1.5倍まで上昇していたが、浸漬1時間後にはほとんど透明化効果が得られず、効果が得られるまで非常に時間がかかっていた。
 これに対して、ジアトリゾ酸、ヨージパミド、メトリゾ酸、及びイオパノ酸を有効成分として含む溶液では、いずれも浸漬1時間後には相対透過光量が1.5~3.0倍であり、透過率が大幅に向上していた。つまり、ジアトリゾ酸、ヨージパミド、メトリゾ酸、及びイオパノ酸は、いずれもグリセロール等に比べて、より短時間で大きな透明化効果が得られることが確認された。
 図2に、前記で示した各種溶液等により処理することで透明化を実現した脂肪組織(図中、「透明化処理あり」)と、PBSで処理した脂肪組織(図中、「コントロール」)を、文字入りスライドガラス上に乗せ、裏側から照明して撮影した写真を示す。前記各溶液で処理した脂肪組織では透明化されており、スライドガラスの文字が脂肪組織越しに透けて視認できた。
[実施例2]
 表2の溶液に浸漬させた後の脂肪組織の光散乱計数を測定した。
 具体的には、まず、ラット胃大網周辺の脂肪組織を切り出し、PBSに浸漬して保存した。保存後の脂肪組織を、チューブ(チューブ径(Φ):3mm、チューブ高さ:4mm)に詰めた後、表1に記載の各溶液に浸漬させた。表2中、「%」は、「質量%」を意味する。表2に記載の溶液に代えてPBSに浸漬させたものを、対照とした。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000022
 浸漬してから1時間後に、溶液から脂肪組織が充填されたチューブを取り出し、反射プローブタイプの散乱係数測定器を利用して、Thuelerらの方法(Journal of Biomedical Optics, vol.8(3),p.495-503)に準じて散乱係数を測定した。測定波長は635nmとし、全ての計測において照明光量は一定に保った。
 使用した散乱係数測定器は、一定の間隔で配列された複数の光ファイバからなるファイバアレイプローブを有しており、複数の光ファイバのうち1本は、サンプルを光照射するための光ファイバであり、その方端にはレーザーなどの光源が接続されているものであり、残りの複数本は、光照射されたサンプルからの戻り光を検出するための光ファイバであり、それらの方端にはフォトダイオードなどの光検出器が接続されているものであった。
 光源から発せられた光は光照射用の光ファイバを通じてサンプルに照射され、照射された光は多重に散乱されながらサンプル内を伝搬し、その一部が戻り光を検出するための複数の光ファイバに入射する。複数の光ファイバに入射した戻り光は、各光検出器で検出され、光照射用の光ファイバからの距離に応じた戻り光の光量のデータが取得される。一般的には、光照射用の光ファイバからの距離が遠くなるほど、検出される戻り光の光量は小さくなることが知られている。
 前記手順により取得された、光照射用の光ファイバからの距離に応じた戻り光の光量のデータを、光散乱モンテカルロシミュレーションによって最適フィッティング処理を行うことにより、サンプルの散乱係数を算出した。なお、モンテカルロシミュレーションで使用する位相関数は、Mie散乱理論、Henyey-Greenstein関数などにより算出された。また、フィッティング処理のパラメータは、サンプルの散乱係数、吸収係数、非等方散乱パラメータの3つであった。
 各溶液に浸漬させたチューブ中の脂肪組織の散乱係数について、PBSに浸漬させたチューブ中の脂肪組織(コントロールサンプル)の散乱係数からの減少率を算出した。算出結果を図3に示す。この減少率が大きいほど、透明化効果が高い。グリセロールやグルコースを有効成分とする溶液に浸漬させたものは、浸漬1時間後の散乱係数の減少率はせいぜい60%であったのに対して、スクロース、トレハロース、フェニルウレア及びフェニルエタノールアミンを有効成分とした溶液では、散乱係数は70%以上も減少していた。
[実施例3]
 表1に記載の溶液に代えて、表2に記載の溶液のうち、54%スクロース溶液、48%スクロース溶液、59%トレハロース溶液、24%フェニルウレア溶液、12%フェニルウレア溶液、及び51%フェニルエタノールアミン溶液を用いた以外は実施例1と同様にして、各溶液にマウスの脂肪組織を充填したチューブ(チューブ径(Φ):1mm、チューブ高さ:3mm)を浸漬させ、浸漬から1時間経過後の相対透過光量を測定した。
 測定結果を図4に示す。この結果、いずれの溶液でも、可視光に対する透過光量は概ね高まっていた。特に、フェニルウレア及びフェニルエタノールアミンを有効成分とした溶液では、浸漬1時間で7.0~8.5倍の透過光量が得られた。
 本発明に係る生体透明化剤により、生体組織、特に脂肪組織を短時間で透明化することができるため、当該生体透明化剤は、生体組織標本等の深部を観察する等の学術分野においてのみならず、外科手術等の医療分野においても有用である。

Claims (5)

  1.  下記一般式(A-1)
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001
    [式(A-1)中、Zは単結合又は炭素数1~6のアルキレン基を表し、A及びAは、それぞれ独立して、水素原子、-NHR(Rは、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。)、-NR-CO-R(Rは、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表し、Rは、炭素数1~6のアルキル基を表す。)、又は下記式(A'-1)
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000002
    〔式(A'-1)中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表し、Zは単結合又は炭素数1~6のアルキレン基を表し、A'は、水素原子、-NHR(Rは、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。)、又は-NR-CO-R(Rは、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表し、Rは、炭素数1~6のアルキル基を表す。)を表し、Zは単結合又は炭素数1~6のアルキレン基を表す。また、アスタリスクが式(A-1)中のベンゼン環との結合箇所を示す。〕を表す。ただし、A及びAがいずれも水素原子である場合を除く。]で表される化合物、
     下記一般式(B-1)
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000003
    [式(B-1)中、Bは下記式(B-1)、(B-2)又は(B-3)
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000004
    〔式(B-1)~(B-3)中、アスタリスクがBとの結合箇所を示す。〕を表し、Bは、-CO-NHR(Rは、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。)、-Z-OH(Zは炭素数1~6のアルキレン基を表す。)、又は-Z-COOH(Zは、1個の水素原子がアミノ基で置換されていてもよい炭素数1~6のアルキレン基を表す。)を表す。]で表される化合物、
     下記一般式(C-1)
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000005
    [式(C-1)中、Cは、-Z-OH(Zは、単結合又は炭素数1~6のアルキレン基を表す。)、-Z-COOH(Zは、1個の水素原子がアミノ基で置換されていてもよい炭素数1~6のアルキレン基を表す。)、又は-CO-NHR10(R10は、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。)を表す。]で表される化合物、及び、
     二糖類からなる群より選択される1種以上の化合物を有効成分とすることを特徴とする、生体透明化剤。
  2.  ジアトリゾ酸、メトリゾ酸、フェニルウレア、スクロース、トレハロース、フェニルエタノールアミン、トリプトファン、ヒドロキノン、レゾルシノール、ピリジンエタノール、イオパノ酸、及びヨージパミドからなる群より選択される1種以上の化合物を有効成分とする、請求項1に記載の生体透明化剤。
  3.  ジアトリゾ酸、メトリゾ酸、フェニルウレア、フェニルエタノールアミン、イオパノ酸、及びヨージパミドからなる群より選択される1種以上の化合物を有効成分とする、請求項1に記載の生体透明化剤。
  4.  生体組織に浸潤させることにより、当該生体組織を透明化することができる、請求項1~3のいずれか一項に記載の生体透明化剤。
  5.  脂肪組織の透明化に使用される、請求項1~4のいずれか一項に記載の生体透明化剤。
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