WO2015029145A1

WO2015029145A1 - 扁平チューブ用フィンの製造装置

Info

Publication number: WO2015029145A1
Application number: PCT/JP2013/072914
Authority: WO
Inventors: 圭一森下; 利幸七嵐
Original assignee: 日高精機株式会社
Priority date: 2013-08-27
Filing date: 2013-08-27
Publication date: 2015-03-05

Abstract

湾曲しない扁平チューブ用フィンを製造できる製造装置を提供する。解決手段として、未加工の金属製の薄板（４１）に切り欠き部（３４）を形成して、薄板（４１）の送り方向に対して直交する幅方向に複数本の扁平チューブ用フィンが整列して形成された金属帯状体（４９）とする金型装置（４６）と、切り欠き部（３４）が形成されてなる金属帯状体（４９）を所定幅に切断し、幅方向に複数本整列してなる製品幅の金属帯状体を形成する列間スリット装置（５２）と、列間スリット装置（５２）によって形成された複数本の製品幅の金属帯状体（４９）のそれぞれを所定長さに切断し、扁平チューブ用フィン（３０）に形成する切断装置（６６）とを具備し、金型装置（４６）と列間スリット装置（５２）との間には、金型装置（４６）によるプレス加工によって生じた残留応力をキャンセルする方向に応力を発生させるために、列間スリット装置（５２）に進入する前の金属帯状体（４２）に打痕（１１０）を形成する湾曲矯正装置（７２）が設けられている。

Description

扁平チューブ用フィンの製造装置

　本発明は、扁平チューブを用いた熱交換器用のフィンの製造装置に関する。

　従来のクーラー等の熱交換器は、熱交換チューブを挿入する透孔が複数個穿設された熱交換器用フィンが複数枚積層されて構成されているものが一般的であった。
　かかる熱交換器用フィンは、図１０に示す熱交換器用フィンの製造装置によって製造される。
　熱交換器用フィンの製造装置には、アルミニウム等の金属製の薄板１０がコイル状に巻かれたアンコイラー１２が設けられている。アンコイラー１２からピンチロール１４を経て引き出された薄板１０は、オイル付与装置１６に挿入され、加工用オイルをその表面に付着され、プレス装置１８内に設けられた金型装置２０に供給される。

　金型装置２０は、内部に上下動可能な上型ダイセット２２と、静止状態にある下型ダイセット２４とが設けられている。この金型装置２０によって、透孔の周囲に所定高さのカラーが形成された複数個のカラー付き透孔（図示せず）が所定の方向に所定の間隔で形成される。
　以下、金属製の薄板に透孔等が加工されたものを、金属帯状体１１と称する。金属帯状体１１は、所定方向に所定距離移送された後、カッター２６によって所定長さに切断される。所定長さに切断された製品（熱交換器用フィン）は、スタッカ２８に収容される。

特開平５－１９２７２８号公報

　従来の熱交換器用フィンは、金属帯状体に熱交換チューブが挿入される複数の透孔を穿設されたものであり、製造された熱交換器用フィンは平面視すると幅方向に（幅狭の方向を幅方向とする）対称の形状である。

しかしながら現在、多穴の扁平チューブを用いた熱交換器が開発されてきている。この扁平チューブを用いた熱交換器用フィン（以下、扁平チューブ用フィンと称する場合がある）を図１１Ａ及び図１１Ｂに示す。

　扁平チューブ用フィン３０は、扁平チューブ１３が挿入される切り欠き部３４が複数箇所に形成されており、切り欠き部３４と切り欠き部３４との間は、ルーバー３５が形成された板状部３６が形成されている。
　切り欠き部３４は、扁平チューブ用フィン３０の幅方向の一方側からのみ形成されている。したがって、切り欠き部３４と切り欠き部３４との間の複数の板状部３６は、長手方向に沿って伸びる連結部３８によって連結されている。

　図１２に示すように、扁平チューブ用フィン３０は、１枚の金属帯状体４９の幅方向に複数形成され、これを搬送方向に沿って切り離し、搬送方向に長い帯状の金属帯状体とし、これを所定長さに切断することで製品（扁平チューブ用フィン３０）として製造される。

　ところで、このような扁平チューブ用フィン３０は、従来の熱交換器用フィンとは違って、切り欠き部３４が形成されていることによって幅方向に非対称となっている。
　したがって、搬送方向に沿って切り離す前の１枚の金属帯状体４９には切り欠き部の形成時に生じた残留応力や、さらにはルーバーや開口部の形成時に生じた残留応力が加わっているため、１枚の金属帯状体を搬送方向に沿って切り離すと、これら残留応力の影響で扁平チューブ用フィン３０が湾曲してしまう。

湾曲した扁平チューブ用フィンの状態を図１３及び図１４に示している。
図１３では、金属帯状体４９を切り離した途端に切り欠き部３４形成時の残留応力が働いて、切り欠き部３４の間隔が狭まる方向に湾曲している例を示している。
また、図１４では、金属帯状体４９を切り離した途端に、扁平チューブ用フィン３０に形成したルーバーや開口部（図１２では図示せず）の影響で切り欠き部３４の間隔が広がる方向に湾曲している例を示している。
このような湾曲した扁平チューブ用フィン３０は製品として使うことができないため、湾曲していない扁平チューブ用フィンが望まれている。

　そこで本発明は上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、湾曲させずに扁平チューブ用フィンを製造できる製造装置を提供することにある。

　本発明にかかる扁平チューブ用フィンの製造装置によれば、幅方向の一方側から他方側に向けて、熱交換器用の扁平チューブを挿入させる切り欠き部が形成されてなる扁平チューブ用フィンを製造する扁平チューブ用フィンの製造装置であって、未加工の金属製の薄板に切り欠き部を形成して、薄板の送り方向に対して直交する幅方向に複数本の扁平チューブ用フィンが整列して形成された金属帯状体とする金型装置と、切り欠き部が形成されてなる金属帯状体を所定幅に切断し、幅方向に複数本整列してなる製品幅の金属帯状体を形成する列間スリット装置と、列間スリット装置によって形成された複数本の製品幅の金属帯状体のそれぞれを所定長さに切断し、扁平チューブ用フィンに形成する切断装置とを具備し、前記金型装置と前記列間スリット装置との間には、前記金型装置によるプレス加工によって生じた残留応力をキャンセルする方向に応力を発生させるために、前記列間スリット装置に進入する前の金属帯状体に打痕を形成する湾曲矯正装置が設けられていることを特徴としている。
　この構成を採用することによって、列間スリット装置によって製品幅の金属帯状体を形成する前に、切り欠き部の形成によって生じた残留応力を解消する方向に応力が生じるように打痕を形成する。このため、切り欠き部の形成によって生じた残留応力と打痕の形成によって生じた応力とがキャンセルされ、列間スリット装置によって製品幅の金属帯状体を切り離したときに湾曲することを防止できる。

　また、前記湾曲矯正装置は、扁平チューブ用フィンが切り欠き部の間隔が狭まる方向に湾曲している場合には、切り欠き部の閉塞側端部に近い位置に打痕が形成されるように配置され、扁平チューブ用フィンが切り欠き部の間隔が広がる方向に湾曲している場合には、扁平チューブ用フィンの幅方向側面に近い位置に打痕が形成されるように配置されることを特徴としてもよい。
この構成によれば、扁平チューブ用フィンがどちら側に湾曲しているか、予め湾曲方向が分かっていれば、その方向に湾曲しないような位置に打痕を形成することができ、湾曲の発生を確実に防止できる。

　また、前記湾曲矯正装置は、湾曲矯正パンチと、湾曲矯正パンチと対向する位置に配置された湾曲矯正ダイとを有しており、湾曲矯正パンチが、幅方向に整列した切断前の扁平チューブ用フィンのそれぞれに対応する複数個所に設けられていることを特徴としてもよい。

　また、前記湾曲矯正パンチは、形成される１枚の扁平チューブ用フィンに対して送り方向に沿った複数個所に前記打痕を形成するよう、各扁平チューブ用フィンに対しては金属帯状体の送り方向に沿った複数個所に設けられていることを特徴としてもよい。
　この構成によれば、１枚の扁平チューブ用フィンに複数個所の切り欠き部が形成されている場合であっても、確実に湾曲を防止できる。

　また、前記湾曲矯正パンチには、ハイト調整機構が設けられていることを特徴としてもよい。
　この構成によれば、打痕形成による応力の強さを調整することができ、確実に湾曲が生じないような調整が図れる。

　また、前記ハイト調整機構は、幅方向に整列した扁平チューブ用フィンに対応する複数の湾曲矯正パンチの基部が一方面に取り付けられ、他方面がテーパ状に形成された固定テーパブロックと、少なくとも一方面がテーパ状に形成され、該一方面が前記固定テーパブロックの他方面に摺動可能に当接し、テーパ方向に移動することで前記固定ブロックに取り付けられた湾曲矯正パンチのハイト調整を実行できる可動テーパブロックとを有することを特徴としてもよい。
　この構成によれば、可動テーパブロックを移動させることで、幅方向に整列した複数の湾曲調整パンチのハイト調整を容易に行うことができる。

　また、送り方向に沿った複数の湾曲矯正パンチごとにハイト調整可能な各列ハイト調整機構が、各列ごとに複数設けられていることを特徴としてもよい。
　この構成によれば、切断前の扁平チューブフィンごとに湾曲矯正の調整ができる。

　また、前記各列ハイト調整機構は、送り方向に沿った各湾曲調整パンチの先端部が当接するダイが、シムによってハイト調整可能に設けられていることを特徴としてもよい。
　この構成によれば、上記のハイト調整機構が湾曲矯正パンチの基部に設けられたテーパージブであった場合でも、このテーパージブと同時に列ごとの調整を別個に行える。

本発明の扁平チューブ用フィンの製造装置によれば、湾曲させずに扁平チューブ用フィンを製造できる。

本発明に係る扁平チューブ用フィンの製造装置の概略の全体構成を示す側面図である。図１の金型装置によって加工された金属帯状体の平面図である。湾曲矯正装置の側面図である。図３の湾曲矯正装置を搬送方向正面からみた正面図である。湾曲矯正装置の他の実施形態を、搬送方向正面からみた正面図である。図５の湾曲矯正装置の側面図である。切り欠き部が狭まる方向に湾曲した扁平チューブ用フィンの湾曲を矯正した説明図である。切り欠き部が広がる方向に湾曲した扁平チューブ用フィンの湾曲を矯正した説明図である。扁平チューブ用フィンの平面図である。従来の熱交換器用フィンの製造装置の概略の全体構成を示す側面図である。図１１Ａ及び図１１Ｂは、扁平チューブ用フィンの平面図及び側面図である。扁平チューブ用フィンを長手方向に切断する前の金属帯状体を示す平面図である。切り欠き部が狭まる方向に湾曲した扁平チューブ用フィンを示す説明図である。切り欠き部が広がる方向に湾曲した扁平チューブ用フィンを示す説明図である。

（装置全体の構成）
　本実施形態にかかる扁平チューブ用フィンの製造装置１０１の全体構成を図１に示す。
　アルミニウム等の未加工の金属製の薄板４１は、アンコイラー４０にコイル状に巻回されている。アンコイラー４０から引き出された薄板４１は、ループコントローラ４２内に挿入され、間欠送りされる薄板４１のばたつきがループコントローラ４２によって抑えられる。

　ループコントローラ４２の下流側には、ＮＣフィーダ４４が設けられている。ＮＣフィーダ４４は、薄板４１の上面と下面とに接触する２つのローラから構成されており、２つのローラが回転駆動することにより、薄板４１を互いに挟み込んで薄板４１を間欠送りする。
　ＮＣフィーダ４４の下流側には、金型装置４６が内部に配置されたプレス装置４８が設けられている。プレス装置４８において、薄板４１が金型装置４６によって所定の形状の金属帯状体４９に形成される。

　プレス装置４８において形成された金属帯状体４９を図２に示す。
図２に示されている金属帯状体４９は、搬送方向である矢印Ａに直交する製品幅方向に４つの製品が並んで形成されている。
　金属帯状体４９から得られる具体的な製品については、後述する図7に示すが、扁平チューブ（図視せず）が挿入される切り欠き部３４が複数箇所に形成されており、切り欠き部３４と切り欠き部３４との間は、ルーバー３５が形成された板状部３６が形成されている。

また、ルーバー３５の幅方向の両端部側には、金属製の薄板が切り起こされて形成された開口部３７が形成されている。１つのルーバー３５に対する２つの開口部３７，３７のうち、一方側の開口部３７は、板状部３６の先端部側に形成されている。

　切り欠き部３４は、扁平チューブ用フィン３０の幅方向の一方側からのみ形成されている。したがって、切り欠き部３４と切り欠き部３４との間の複数の板状部３６は、長手方向に沿って連続して伸びる連結部３８によって連結されている。
　上記の１つのルーバー３５に対する２つの開口部３７，３７のうち、他方側の開口部３７は、この連結部３８上に形成されている。

　なお、図２に示す金属帯状体４９には、後述する打痕１１０が形成されている。この打痕１１０は、金型装置４６の搬送方向下流側に配置された湾曲矯正装置７２によって形成されたものである。打痕１１０を形成する湾曲矯正装置７２については後述する。

　図２に示す金属帯状体４９は、２つの製品が、互いの切り欠き部３４の開口側が隣接するように対峙して配置されている組が、２組形成されている。すなわち、２つの製品の切り欠き部３４の開口側が対峙して配置された組が、互いの連結部３８同士が隣接するように配置されている。
　このように、４つの製品を相対するように配置することによって、金型の左右の荷重バランスが良くなる。

　なお、図２のような金属帯状体と異なり、複数の製品の切り欠き部３４が全て一方の方向に開口側を向けるようにして配置してしまうと、各製品を切り離す列間スリット装置５２（後述する）によって各製品間を切り離す際に、切り欠き部３４とそうでない部位との間で、切断位置のずれによる切断片（ヒゲ：切断不良）が生じてしまう可能性が高い。したがって、複数の製品の切り欠き部３４の開口側が全て一方方向に向いて配置させる場合には、切り欠き部３４の開口部の境目ではなく、連結部３８部分に進入した位置まで切り欠き部３４の開口部分を若干広げ、切断させる必要が出てくる。しかし、この場合だと断面に段差が生じてしまうし、また金型の左右の荷重バランスが悪くなる。したがって、図２に示したような配置で複数の製品を製造することが好ましい。

　扁平チューブ用フィンの製造装置１０１の全体構成の説明に戻る。
　図１に示すように、プレス装置４８内の金型装置４６の下流側には、湾曲矯正パンチ７４と、湾曲矯正パンチ７４に対向する湾曲矯正ダイ７５とを有する湾曲矯正装置７２が設けられている。

　湾曲矯正装置の搬送方向側面からみた説明図を図３に示し、搬送方向正面からみた説明図を図４に示す。
湾曲矯正装置７２は互いに接離動する上型８２と下型７９とを有しており、本実施形態では上型８２が上下方向に移動可能である。湾曲矯正パンチ７４は、上型８２に取り付けられている。湾曲矯正ダイ７５は、可動しない下型７９の上面に設けられている。

上型８２は、プレス装置４８によって動作する上型ダイセット８４と、上型ダイセット８４の下部に設けられている固定板８５と、固定板８５の下部に設けられているパンチホルダ８６とを備えている。

　上型ダイセット８４に形成された収納部９１内には、ハイト調整機構の一例としてのテーパジブ８８が設けられている。上型ダイセット８４のテーパジブ８８が収納されている収納部９１の下方には、テーパジブ８８を上方に付勢する付勢手段としてのスプリング９５が設けられている。スプリング９５は、上型ダイセット８４に形成された貫通孔９６内に収納されている。貫通孔９６は、上型ダイセット８４の収納部９１と固定板８５の上面との間を貫通して形成されている。

湾曲矯正パンチ７４は、上型ダイセット８４、固定板８５及びパンチホルダ８６を貫通して形成されたパンチ取付穴９２内に配置されている。
湾曲矯正パンチ７４の上端部７４ａは、テーパジブ８８の下面に当接しており、テーパジブ８８の上下動に伴って湾曲矯正パンチ７４も上下動する。

　テーパジブ８８は、上面９８ａがテーパ状に形成された固定テーパブロック９８と、下面９９ａがテーパ状に形成された可動テーパブロック９９とを有する。固定テーパブロック９８の上に可動テーパブロック９９が配置され、固定テーパブロック９８の上面９８ａと可動テーパブロック９９の下面９９ａが摺動可能に当接している。

　また、図４に示されているように、固定テーパブロック９８の上面９８ａ及び可動テーパブロック９９の下面９９ａのテーパ方向は、幅方向（搬送方向に対して直交する方向）である。また、可動テーパブロック９９の可動方向も幅方向（搬送方向に対して直交する方向）である。
　可動テーパブロック９９を図示しない駆動手段によって幅方向に移動させることによって、固定テーパブロック９８がスプリング９５の付勢力に抗して下降するか、スプリング９５の付勢力に伴って上昇する。これにより、固定テーパブロック９８の下面に上端部が当接している湾曲矯正パンチ７４が上下動でき、湾曲矯正パンチ７４のハイト調整ができる。

　図５には、湾曲矯正ダイのハイト調整機構を設けた実施形態について示している。
　本実施形態では、下型７９の上部に、湾曲矯正ダイ７５が収納される収納部１００が設けられている。湾曲矯正ダイ７５は、収納部１００内で上下動可能に配置されているが、その上下方向の高さは調整シム１０２によって調整可能である。厚みの厚い調整シム１０２を湾曲矯正ダイ７５の底面と収納部１００の内底面との間に挿入することにより、湾曲矯正ダイ７５は上方への突出量が大きくなり、厚みの薄い調整シム１０２を湾曲矯正ダイ７５の底面と収納部１００の内底面との間に挿入することにより、湾曲矯正ダイ７５は上方への突出量が小さくなる。

　なお、図５に示す湾曲矯正ダイのハイト調整機構を側面から見たところを図６に示す。
　図６に示すように、本実施形態では、湾曲矯正パンチ７４は、１つの製品幅の金属帯状体の搬送方向に沿って複数個配置されている。また、湾曲矯正ダイ７５は、複数の湾曲矯正パンチ７４に対して対応可能なように、１つの製品幅の金属帯状体の搬送方向に沿って長尺な形状となっている。
　１つの製品幅の金属帯状体における湾曲矯正パンチ７４を複数設け、この湾曲矯正パンチ７４に対応する湾曲矯正ダイ７５を長尺に形成することによって、1つの製品幅の金属帯状体において複数個所に同時に打痕を形成し、確実に湾曲を矯正することができる。

　また、搬送方向に沿って長く形成された湾曲矯正ダイ７５は、調整シム１０２をその底面に挿入することによって、全体としてハイト調整が可能である。
　このため、１つの製品に対して複数の打痕を正確に形成させることができ、確実に湾曲の矯正を行える。

　図２に示す符号１１０が、湾曲矯正パンチ７４及び湾曲矯正ダイ７５の型閉じによって形成された打痕である。
　図２の実施形態では、各切り欠き部３４の連結部３８側に打痕１１０を形成している。なお、打痕１１０の形状としては特に円形には限定されるものではない。

　湾曲矯正装置７２によって金属帯状体４９に打痕１１０を形成するのは、列間スリット装置５２によって金属帯状体４９を切断して、製品幅の金属帯状体を形成する前の段階である。このように、製品幅に切断する前に、切り欠き部３４、ルーバー３５又は開口部３７等の形成によって生じた残留応力を解消する方向に応力が生じるように打痕１１０を形成することで、切り欠き部３４の形成によって生じた残留応力と打痕１１０の形成によって生じた応力とがキャンセルされ、列間スリット装置５２によって製品幅の金属帯状体を切り離したときに湾曲することを防止できる。

　なお、扁平チューブ用フィン３０の湾曲方向は、図７に示すように切り欠き部３４の間隔が狭まる方向と、図８に示すように切り欠き部３４の間隔が広がる方向の２種類がある。
　図７のように、切り欠き部３４の間隔が狭まる方向に湾曲する場合には、この湾曲を矯正するために、打痕１１０を切り欠き部３４の閉塞側端部に近い位置に形成するとよい。このような位置に打痕１１０を形成すると、切り欠き部３４の間隔が広がる方向に応力が生じるため、切り欠き部３４の間隔が狭くなる方向への湾曲を防止できる。

　図８のように、切り欠き部３４の間隔が広がる方向に湾曲する場合には、この湾曲を矯正するために、打痕１１０を扁平チューブ用フィン３０の幅方向端部（切り欠き部３４の開口側と反対側の端部）の近い位置に形成するとよい。このような位置に打痕１１０を形成すると、切り欠き部３４の間隔が狭まる方向に応力が生じるため、切り欠き部３４の間隔が広くなる方向への湾曲を防止できる。

　このように、打痕１１０の位置は、扁平チューブ用フィン３０の連結部３８の幅方向の中で、切り欠き部３４に近い側か、切り欠き部３４から離れた側（切り欠き部３４の開口側と反対側）かで、どちらの湾曲方向であっても矯正することができる。

　続いて、湾曲矯正装置７２の下流側の構成について説明する。
　湾曲矯正装置７２の下流側には送り装置５０が配置されている（図３では省略）。金属帯状体は、送り装置５０によって間欠的に搬送方向に送られる。送り装置５０の送りタイミングは、ＮＣフィーダ４４と連動して動作するように設けられており、安定した間欠送りを可能とする。

　送り装置５０は、水平方向に移動可能な往復動ユニット５１が、初期位置と移送位置との間を往復動して金属帯状体４９を牽引する。往復動ユニット５１の上面には、送りピン５５が上方に突出して配置されており、送りピン５５が金属帯状体４９に形成された切り欠き部３４に下方から進入し、送りピン５５が牽引することで金属帯状体４９は移送位置まで移動する。

送り装置５０の下流側には、列間スリット装置５２が設けられている。列間スリット装置５２は、金属帯状体４９の上面側に配置された上刃５３と、金属帯状体４９の下面側に配置された下刃５４とを有する。列間スリット装置５２は、プレス装置４８の上下動動作を利用して動作するように設けるとよい。
　上刃５３及び下刃５４は、金属帯状体４９の搬送方向に沿って長尺に形成されており、間欠送りされる金属帯状体４９を、噛み合わせた上刃５３と下刃５４とで切断し、搬送方向に長い帯状の製品（以下、製品幅の金属帯状体と称する場合がある）を製造する。

　列間スリット装置５２によって製品幅に切断された、複数本の製品幅の金属帯状体４９は、それぞれが別体に設けられたカットオフ装置６０内に送り込まれる。
　なお、カットオフ装置６０に送り込まれる前に、複数本の製品幅の金属帯状体４９は、隣り合う製品幅の金属帯状体４９同士の間を所定間隔あけるように配置される。また、カットオフ装置６０に送り込まれる前には、複数本の製品幅の金属帯状体４９は、カットオフ装置６０による１回の送り長さよりも長い長さを一時的に溜めるため、下方に撓ませるようにしてバッファ部分Ｂを形成している。

　カットオフ装置６０内には、搬送方向に各製品幅の金属帯状体４９を間欠的に搬送する送り装置６２が設けられている。送り装置６２の構造としては、プレス装置４８の下流側に設けられている送り装置５０の構造よりも、１回の送り長さが長くすることができるような構成となっている。
　送り装置６２は、水平方向に移動可能な搬送ユニット６４が、所定距離移動することにより製品幅の金属帯状体４９をプレス装置４８側から牽引し、カットオフ装置６０の下流側に押し出す。搬送ユニット６４の上面には、製品幅の金属帯状体４９の数だけ水平方向に並んだ複数列の送りピン６５が列状に上方に突出して配置されている。送りピン６５がそれぞれの製品幅の金属帯状体４９に形成された切り欠き部３４に下方から進入し、送りピン６５が牽引することでそれぞれの製品幅の金属帯状体４９は移送位置まで移動する。

　カットオフ装置６０内において、送り装置６２の下流側には切断装置６６が設けられている。
　切断装置６６は、各々の製品幅の金属帯状体４９を所定長さに切断することにより、扁平チューブ用フィン３０を形成する。切断装置６６は、各製品幅の金属帯状体４９の上面側に配置された上刃６８と、各製品幅の金属帯状体４９の下面側に配置された下刃６９とを有する。
　上刃６８と下刃６９とが型閉じすることによって、各製品幅の金属帯状体４９が搬送方向に沿って所定長さに切断され、扁平チューブ用フィン３０が製造される。

　カットオフ装置６０の下流側には、保持装置７０と、製造された扁平チューブ用フィン３０を板厚方向（上下方向）に積層するスタック装置８０とが設けられている。
　保持装置７０は、カットオフ装置６０の下流側から搬送方向に出てきた製品幅の金属帯状体４９を、搬送方向にスライド可能に保持し、上述した切断装置６６によって切断されて扁平チューブ用フィン３０として形成された後にも保持し続ける。
　スタック装置８０には、複数本のスタックピン８１が立設されている。

保持装置７０は、切断されて形成された扁平チューブ用フィン３０を所定位置まで移動させてから、保持を解除する。すると扁平チューブ用フィン３０はスタック装置８０へ落下する。スタック装置８０においては、扁平チューブ用フィン３０の切り欠き部３４にスタックピン８１が挿入されて、扁平チューブ用フィン３０が積層される。

図９に、上述してきた扁平チューブ用フィンの製造装置１０１によって製造された扁平チューブ用フィン３０を示す。
扁平チューブ１３が挿入される切り欠き部３４が複数箇所に形成されており、切り欠き部３４と切り欠き部３４との間は、ルーバー３５が形成された板状部３６が形成されている。
　切り欠き部３４は、扁平チューブ用フィン３０の幅方向の一方側からのみ形成されている。したがって、切り欠き部３４と切り欠き部３４との間の複数の板状部３６は、長手方向に沿って伸びる連結部３８によって連結されている。

本発明による扁平チューブ用フィン３０は、打痕１１０が切り欠き部３４の開口側の反対側の連結部３８に形成されている。
湾曲矯正のために形成する打痕の位置は、湾曲矯正が可能な位置であって、且つ熱交換作用のために必要な構造（例えばルーバー等）の邪魔にならない位置であればよい。

Claims

　幅方向の一方側から他方側に向けて、熱交換器用の扁平チューブを挿入させる切り欠き部が形成されてなる扁平チューブ用フィンを製造する扁平チューブ用フィンの製造装置であって、
　未加工の金属製の薄板に切り欠き部を形成して、薄板の送り方向に対して直交する幅方向に複数本の扁平チューブ用フィンが整列して形成された金属帯状体とする金型装置と、
　切り欠き部が形成されてなる金属帯状体を所定幅に切断し、幅方向に複数本整列してなる製品幅の金属帯状体を形成する列間スリット装置と、
　列間スリット装置によって形成された複数本の製品幅の金属帯状体のそれぞれを所定長さに切断し、扁平チューブ用フィンに形成する切断装置とを具備し、
　前記金型装置と前記列間スリット装置との間には、
前記金型装置によるプレス加工によって生じた残留応力をキャンセルする方向に応力を発生させるために、前記列間スリット装置に進入する前の金属帯状体に打痕を形成する湾曲矯正装置が設けられていることを特徴とする扁平チューブ用フィンの製造装置。
　前記湾曲矯正装置は、
　扁平チューブ用フィンが切り欠き部の間隔が狭まる方向に湾曲している場合には、切り欠き部の閉塞側端部に近い位置に打痕が形成されるように配置され、
　扁平チューブ用フィンが切り欠き部の間隔が広がる方向に湾曲している場合には、扁平チューブ用フィンの幅方向側面に近い位置に打痕が形成されるように配置されることを特徴とする請求項１記載の扁平チューブ用フィンの製造装置。
　前記湾曲矯正装置は、
　湾曲矯正パンチと、湾曲矯正パンチと対向する位置に配置された湾曲矯正ダイとを有しており、
　湾曲矯正パンチが、幅方向に整列した切断前の扁平チューブ用フィンのそれぞれに対応する複数個所に設けられていることを特徴とする請求項１又は請求項２記載の扁平チューブ用フィンの製造装置。
　前記湾曲矯正パンチは、
　形成される１枚の扁平チューブ用フィンに対して送り方向に沿った複数個所に前記打痕を形成するよう、各扁平チューブ用フィンに対しては金属帯状体の送り方向に沿った複数個所に設けられていることを特徴とする請求項２又は請求項３記載の扁平チューブ用フィンの製造装置。
　前記湾曲矯正パンチ又は前記湾曲矯正ダイのいずれかには、ハイト調整機構が設けられていることを特徴とする請求項３又は請求項４記載の扁平チューブ用フィンの製造装置。
　前記ハイト調整機構は、
幅方向に整列した扁平チューブ用フィンに対応する複数の湾曲矯正パンチの基部又は前記湾曲矯正ダイの基部が一方面に取り付けられ、他方面がテーパ状に形成された固定テーパブロックと、
少なくとも一方面がテーパ状に形成され、該一方面が前記固定テーパブロックの他方面に摺動可能に当接し、テーパ方向に移動することで前記固定ブロックに取り付けられた湾曲矯正パンチ又は湾曲矯正ダイのハイト調整を実行できる可動テーパブロックとを有するテーパジブであることを特徴とする請求項５記載の扁平チューブ用フィンの製造装置。
　送り方向に沿った複数の湾曲矯正パンチごとにハイト調整可能な各列ハイト調整機構が、切断前の複数の扁平チューブ用フィンごとに複数設けられていることを特徴とする請求項４～請求項６のうちのいずれか１項記載の扁平チューブ用フィンの製造装置。
　前記各列ハイト調整機構は、
　湾曲矯正パンチ又は湾曲矯正ダイのうち前記ハイト調整機構が設けられていない側の湾曲矯正パンチ又は湾曲矯正ダイがシムによってハイト調整可能に設けられていることを特徴とする請求項７記載の扁平チューブ用フィンの製造装置。