WO2014192802A1 - 端子化電線 - Google Patents

Abstract

　端子化電線（１）は、複数の素線からなる芯線部（３）の外周を被覆部（５）で被覆した被覆電線（７）と、被覆電線（７）の端部に設けられ、芯線部（３）を被覆部（５）から露出させて芯線部（３）が接続穴（９）を有して端子化された端子部１１とを備える。端子部（１１）は、芯線部（３）の複数の素線を２つの分割部（１３，１５）に分割し、分割部（１３，１５）のそれぞれの先端を根元部（１７）に向けて折り返して接続穴（９）を形成し、分割部（１３，１５）の間に導電部材（１９）を配置して、抵抗溶接器（２１）によって端子化される。

Description

端子化電線

　本発明は、端子化電線に関する。

　従来例の端子化電線として、複数の素線からなる芯線部の外周を被覆部で被覆した被覆電線と、被覆電線の端部に設けられ、芯線部を被覆部から露出させて芯線部が接続穴を有して端子化された端子部とを備えたものが知られている（特許文献１参照）。

　この従来例の端子化電線では、端子部が芯線部の複数の素線が束ねられ、この束ねられた複数の素線の先端が根元部に向けて折り返されて接続穴が形成され、電極を有する抵抗溶接器によって端子化されている。

特開平４－２４９８７５号公報(JP H04-249875 A)

　従来例の端子化電線では、端子部において束ねられた複数の素線の先端が根元部に向けて折り返されている。このため、抵抗溶接器による加熱の際に芯線部の内部で発熱が起こりにくく、芯線部の中心側に位置する素線が十分に溶融しないことがあった。このような端子部における芯線部の不十分な溶融が発生すると、素線間の抵抗が上がり、端子部の抵抗が上がってしまう。

　そこで、本発明は、抵抗溶接器による端子部の発熱性を向上させ、素線を十分に溶融させることができる端子化電線の提供を目的としている。

　本発明の態様に係る端子化電線は、複数の素線からなる芯線部の外周を被覆部で被覆した被覆電線と、被覆電線の端部に設けられ芯線部を被覆部から露出させて芯線部が接続穴を有して端子化された端子部とを備える。端子部は、芯線部の複数の素線を２つ以上の分割部に分割し、分割部のそれぞれの先端を根元部に向けて折り返して接続穴を形成し、分割部の間に導電部材が配置されて、抵抗溶接器によって端子化される。

　端子部は分割部の間に導電部材が配置されて抵抗溶接器によって端子化されるため、導電部材を介した抵抗溶接器による加熱によって、分割部における素線の溶融を十分に行うことができ、端子部の抵抗を低下させることができる。

　従って、端子部の分割部の間に導電部材を介在させることにより、抵抗溶接器による端子部の発熱性を向上させ、素線を十分に溶融させることができる。

　分割部は、隣り合う分割部のそれぞれの先端が異なる方向に向けて根元部に折り返されていることが好ましい。

　分割部が隣り合う分割部のそれぞれの先端が異なる方向に向けて根元部に折り返されていることにより、隣り合う分割部の曲げ部が交差され、引張力などに対する強度を向上することができる。

　導電部材は、環状に形成されてもよい。

　導電部材が環状に形成されることにより、接続穴を形成する分割部を環状に形成された導電部材によって均一に加熱することができ、端子部の発熱性をさらに向上することができる。

　導電部材は、分割部の間に配置される座部と、座部と一体に設けられ抵抗溶接器によって接続穴を形成する環状部とを備えることが好ましい。

　導電部材が分割部間に配置される座部と、座部と一体に設けられ抵抗溶接器によって接続穴を形成する環状部とを備えることにより、座部によって端子部の発熱性を向上しつつ、環状部によって端子部の接続穴の剛性を向上することができ、引張力などに対する強度をさらに向上することができる。

　本発明の態様によれば、抵抗溶接器による端子部の発熱性を向上させ、素線を十分に溶融させることができる端子化電線を提供することができるという効果を奏する。

図１は、実施形態に係る端子化電線の斜視図である。 図２は、実施形態に係る端子化電線の端子部の断面図である。 図３は、実施形態に係る端子化電線の芯線部に分割部を形成したときの斜視図である。 図４は、実施形態に係る端子化電線の分割部間に導電部材を配置したときの斜視図である。 図５は、実施形態に係る端子化電線の芯線部を抵抗溶接器によって端子化したときの斜視図である。

　図１―５を用いて、実施形態に係る端子化電線について説明する。

　実施形態に係る端子化電線１は、複数の素線からなる芯線部３の外周を被覆部５で被覆した被覆電線７と、被覆電線７の端部に設けられ、芯線部３を被覆部５から露出させて芯線部３が接続穴９を有して端子化された端子部１１とを備える。

　端子部１１は、芯線部３の複数の素線が第１分割部１３と第２分割部１５の２つの分割部に分割され、第１分割部１３と第２分割部１５のそれぞれの先端が端子部１１の根元部１７に向けて折り返されて接続穴９が形成され、第１分割部１３と第２分割部１５との間に導電部材１９が配置されて抵抗溶接器２１によって端子化される。

　第１分割部１３と第２分割部１５は、それぞれの先端が異なる方向に向けて根元部１７に折り返されている。

　導電部材１９は、環状に形成されている。

　導電部材１９は、第１分割部１３と第２分割部１５との間に配置される座部２３と、座部２３と一体に設けられ、抵抗溶接器２１によって接続穴９を形成する環状部２４とを備える。

　図１―５に示すように、被覆電線７は、芯線部３と、被覆部５とを備える。芯線部３は、導電性材料からなる複数本の素線で構成されている。芯線部３の外周は、被覆部５によって覆われている。

　被覆部５は、絶縁性材料からなり、芯線部３の外周を密着して覆い、芯線部３を絶縁被覆している。被覆部５は、端部が所定長さ剥がされて、芯線部３の端部を外部に露出させている。露出された芯線部３が、端子部１１となっている。

　端子部１１は、露出された芯線部３の複数の素線が２つに分割されて第１分割部１３と第２分割部１５とになっている。第１分割部１３と第２分割部１５は、それぞれの先端がそれぞれ異なる方向に根元部１７に向けて折り返されて、接続穴９の基礎となる基礎穴１０を形成する。

　詳細には、露出された芯線部３の複数の素線が上下の２つに分割されて第１分割部１３と第２分割部１５とになる。第１分割部１３と第２分割部１５のうち上側に位置する第１分割部１３は、先端が反時計回り方向に根元部１７に向けて折り返される。一方、下側に位置する第２分割部１５は、先端が時計回り方向に根元部１７に向けて折り返される。

　第１分割部１３と第２分割部１５とをこのように折り返すことにより、端子部１１において、基礎穴１０が形成される。そして、第１分割部１３と第２分割部１５とが抵抗溶接器２１によって抵抗溶接されることにより、接続穴９が形成される。接続穴９を形成する第１分割部１３と第２分割部１５との間には、導電部材１９が配置される。

　導電部材１９は、導電性材料からなり、カラーやワッシャなどのように環状に形成され、座部２３と環状部２４とを備える。座部２３は、環状部２４の中央部に環状部２４と連続する一部材でフランジ状に設けられる。座部２３は、第１分割部１３と第２分割部１５によって挟み込まれる。

　環状部２４は、第１分割部１３と第２分割部１５のそれぞれの先端を根元部１７に折り返すことによって形成された基礎穴１０内に配置され、抵抗溶接器２１によって抵抗溶接されることにより、接続穴９を形成する。

　端子部１１が基礎穴１０から根元部１７にかけて全体的に抵抗溶接器２１によって抵抗溶接されることにより、第１分割部１３と第２分割部１５と共に座部２３と環状部２４とが端子化される。このとき、端子部１１の中央部に位置する環状部２４が接続穴９を形成する。

　抵抗溶接器２１は、端子部１１を押さえて端子部１１の位置ずれを防止するための押さえ治具２５と、接続穴９を形成するための穴形成治具２７と、押さえ治具２５及び穴形成治具２７との上下に配置され、端子部１１を上下方向から加圧しながら挟み込んで通電するための上側電極２９と下側電極３１とを備える。

　抵抗溶接器２１は、上側電極２９と下側電極３１によって端子部１１を挟み込んだ状態で、上側電極２９と下側電極３１との間を通電することにより、端子部１１における芯線部３の複数の素線を加熱して溶融させ、端子部１１を端子化させる。

　このとき、第１分割部１３と第２分割部１５との間には、導電部材１９が介在されているので、端子部１１における芯線部３の内部にも発熱が起こり、端子部１１の複数の素線をまんべんなく溶融させることができる。このため、端子化電線１では、溶融が不十分であるときに生じる素線間の抵抗がなくなり、端子部１１の抵抗を低下させることができる。

　抵抗溶接器２１によって端子化された端子部１１は、相手端子や機器などの相手接続部（不図示）に対して接続穴９にボルトなどの締結部材（不図示）が挿通され、電気的に接続されて固定される。

　端子部１１を締結部材により締結する時に、端子部１１に被覆電線７の長さ方向に沿って引張力が掛かることがある。しかし、接続穴９には、第１分割部１３と第２分割部１５とが折り返されて形成されていると共に、端子化された導電部材１９の環状部２４が配置されている。このため、端子部１１に裂けやせん断などが生じることが防止されている。加えて、第１分割部１３と第２分割部１５は、異なる方向に交差するように折り返されているので、引張力に対する強度が向上されている。

　次に、実施形態に係る端子化電線１の製造方法について説明する。まず、被覆電線７の端部の被覆部５を所定長さ剥がして、複数の素線からなる芯線部３の端部を露出させる。次に、露出された芯線部３の複数の素線を上側の第１分割部１３と、下側の第２分割部１５となるように２分割する。

　次に、第１分割部１３と第２分割部１５のそれぞれの先端を折り返し部で交差するようにそれぞれ異なる方向に根元部１７に向けて折り返し基礎穴１０を形成させる。次に、折り返された第１分割部１３と第２分割部１５との間に、接続穴９を形成するように導電部材１９を配置させる。

　そして、抵抗溶接器２１の押さえ治具２５に端子部１１の基礎穴１０から根元部１７にかけた全体を配置し、抵抗溶接器２１の穴形成治具２７に基礎穴１０（ここでは導電部材１９の環状部２４）を配置させる。そして、上側電極２９と下側電極３１によって、第１分割部１３と第２分割部１５と導電部材１９と根元部１７とを挟み込む。そして、上側電極２９と下側電極３１との間を通電することによって抵抗溶接し、芯線部３及び導電部材１９を端子化して、端子部１１を形成させる。

　実施形態に係る端子化電線１では、第１分割部１３と第２分割部１５との間に導電部材１９を配置し、抵抗溶接器２１によって端子部１１が端子化されている。このため、導電部材１９を介した抵抗溶接器２１による加熱によって、第１分割部１３と第２分割部１５での素線の溶融を十分に行うことができ、端子部１１の抵抗を低下させることができる。

　従って、実施形態に係る端子化電線１では、端子部１１の第１分割部１３と第２分割部１５との間に導電部材１９を介在させることにより、抵抗溶接器２１による端子部１１の発熱性を向上させ、素線を十分に溶融させることができる。

　第１分割部１３と第２分割部１５との先端は、それぞれ異なる方向に向けて根元部１７に折り返されている。このため、第１分割部１３と第２分割部１５の曲げ部が交差されて、引張力などに対する強度を向上することができる。

　導電部材１９は、環状に形成されているので、接続穴９を形成する第１分割部１３と第２分割部１５を導電部材１９によって均一に加熱することができ、端子部１１の発熱性をさらに向上することができる。

　導電部材１９は、第１分割部１３と第２分割部１５との間に配置される座部２３と、座部２３と一体に設けられ、抵抗溶接器２１によって接続穴９を形成する環状部２４とを備える。このため、座部２３によって端子部１１の発熱性を向上しつつ、環状部２４によって端子部１１の接続穴９の剛性を向上することができ、引張力などに対する強度をさらに向上することができる。

　なお、実施形態に係る端子化電線では、芯線部が２つに分割されて、第１分割部と第２分割部との２つの分割部になっている。しかし、これには限定されず、３つ以上の分割部を設けてもよい。この場合には、各分割部の間に導電部材を配置すればよい。加えて、隣り合う分割部の先端を異なる方向に向けて根元部に折り返せばよい。

　また、実施形態に係る端子化電線では、導電部材は、環状に形成されている。しかし、これには限定されず、分割部の間に配置され、抵抗溶接器の通電によって芯線部の内部に十分な発熱を起こせるものであれば、導電部材の形状はどのようなものであってもよい。

　本発明によれば、抵抗溶接器による端子部の発熱性を向上させ、素線を十分に溶融させることができる端子化電線を提供することができる。

Claims (4)

1. 　端子化電線であって、
   　複数の素線からなる芯線部の外周を被覆部で被覆した被覆電線と、
   　前記被覆電線の端部に設けられ、前記芯線部を前記被覆部から露出させて前記芯線部が接続穴を有して端子化された端子部と
   を備え、
   　前記端子部は、前記芯線部の複数の素線を２つ以上の分割部に分割し、前記分割部のそれぞれの先端を前記端子部の根元部に向けて折り返して前記接続穴を形成し、前記分割部の間に導電部材が配置されて、抵抗溶接器によって端子化される
   ことを特徴とする端子化電線。
2. 　請求項１に記載の端子化電線であって、
   　隣り合う前記分割部のそれぞれの先端は、異なる方向に向けて前記根元部に折り返されている
   ことを特徴とする端子化電線。
3. 　請求項１又は２に記載の端子化電線であって、
   　前記導電部材は、環状に形成されている
   ことを特徴とする端子化電線。
4. 　請求項３に記載の端子化電線であって、
   　前記導電部材は、
   　　前記分割部間に配置される座部と、
   　　前記座部と一体に設けられ、前記抵抗溶接器によって前記接続穴を形成する環状部と
   を備えることを特徴とする端子化電線。

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