WO2014171534A1 - 導電性ポリチオフェン化合物の溶液もしくは分散液の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】導電性を示すポリチオフェンの改良された製造方法を提供すること。 【解決手段】チオフェン化合物のポリアニオンを含有する水性媒体中での酸化重合反応によりポリチオフェン化合物の溶液もしくは分散液を製造する方法であって、酸化重合反応の開始時における水性媒体中の溶存酸素量に対するチオフェン化合物の量のモル比を120以上とすることを特徴とする方法。
Description
本発明は、導電性ポリチオフェン化合物の溶液もしくは分散液の製造方法に関し、さらに詳しくは、水性媒体中、ポリアニオンの存在下にてチオフェン化合物を酸化重合反応させることによりポリチオフェン化合物の溶液もしくは分散液を製造する方法の改良に関する。本発明は特に、3,4-エチレンジオキシチオフェン(EDOT)から「PEDOT/PSS」の略称にて知られている導電性ポリチオフェン化合物である、ポリ(4-スチレンスルホン酸)(PSS)をドープしたポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)を工業的に有利に製造する方法に関する。
「PEDOT/PSS」の略称にて知られている導電性ポリチオフェン高分子である、ポリ(4-スチレンスルホン酸)をドープしたポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)により代表される、ポリアニオン(ポリ酸)をドープしたポリチオフェン化合物は、高い導電性と高い透明性を示し、また優れた耐熱性と安定性とを示す導電性高分子として知られており、実際に帯電防止材、固体電解コンデンサの形成材料、有機エレクトロルミネッセンス(EL)のホール注入層の形成材料として幅広く使用されている。この「PEDOT/PSS」については、非特許文献1に詳しい説明がある。
ポリチオフェン化合物の溶液もしくは分散液は、チオフェン化合物のポリアニオンを含有する水性媒体中での酸化重合反応により製造することができることが知られている。
特許文献1には、下記式(I):
で表されるチオフェン化合物(3,4-ジアルコキシチオフェンと名付けられている)のポリアニオン(ポリ酸)の存在下での水性媒体中の酸化重合反応によって下記式(II):
で表されるポリチオフェン化合物の分散体を得る方法が開示されている。
特許文献2には、特許文献1に記載のポリチオフェン化合物の製造方法において、酸化重合反応の開始時(具体的には、反応開始剤の添加時)における水性媒体(反応媒体)中の酸素濃度を、反応媒体1リットル当たりの酸素量が3mgよりも少ない量(好ましくは1.5mgよりも少ない量、さらに好ましくは0.5mgよりも少ない量)となるような低濃度とすることにより、導電性が向上したポリチオフェン化合物の溶液もしくは分散液が得られるとの開示がある。
「PEDOTの材料物性とデバイス応用」奥崎秀典監修、サイエンス&テクノロジー社、2012年発行
一般に、導電性ポリチオフェン化合物の溶液あるいは分散液は、支持体表面に塗布あるいは噴霧し、乾燥することにより導電性膜あるいは導電性被覆層とした状態で利用されることが多いが、そのようにして形成した導電性膜や導電性被覆層は高い導電性を示すことが望まれる。
特許文献2には、前述のように、チオフェン化合物の酸化重合反応の開始に際して、反応媒体中で窒素ガスをバブリングするなどの方法によって反応媒体中の酸素濃度を低くした状態で反応開始剤を加え、上記反応を低酸素濃度の条件にて開始させる方法を利用することにより、導電性が向上したポリチオフェン化合物の溶液もしくは分散液を得る方法が提案されている。
しかしながら、特許文献2に開示されているような、反応媒体中の酸素濃度を低く調整してから反応を開始する方法は、その反応媒体中の酸素濃度の低減操作が煩雑であるため、導電性ポリチオフェン化合物の溶液あるいは分散液の製法、特に工業的な製法としては必ずしも有利と言えない。
従って、本発明の課題は、反応媒体として、特段の酸素濃度低減処理などを施していない水あるいは水と水相溶性の有機溶媒との混合物などの水性媒体の反応媒体を用いながらも、高い導電性を示す導電性ポリチオフェン化合物の溶液あるいは分散液の製造を可能とする改良方法を提供することにある。すなわち、本発明の課題は、高い導電性を示す導電性ポリチオフェン化合物の溶液あるいは分散液の新規な製造方法、特に工業的な製造に有利に採用できる製造方法を提供することにある。
本発明の発明者は、上記の課題の解決のために検討を重ねた結果、反応開始時における反応媒体に含まれる酸素量を低減させるための特段の操作を加えなくても、反応媒体中に存在させるチオフェン化合物を反応媒体中の酸素量(溶存酸素量)に対して特定の比率以上(モル比で120以上)と調整することによって、高い導電性を示す導電性ポリチオフェン化合物の溶液あるいは分散液の製造が可能となることを見出し、本発明を完成させた。
従って、本発明は、下記式(I)で表されるチオフェン化合物:
[上記式において、R1とR2とは、互いに独立に、水素または炭素原子数1~5のアルキル基を表す;ただし、R1とR2とは互いに結合して炭素原子数1~5のアルキレン基を形成していてもよい]のポリアニオンを含有する水性媒体中での酸化重合反応により下記式(II)で表される単位構造を含むポリチオフェン化合物:
[上記式において、R1とR2とは式(I)に関して記載した意味を有する]の溶液もしくは分散液を製造する方法であって、酸化重合反応の開始時における水性媒体中の溶存酸素量に対するチオフェン化合物の量のモル比を120以上とすることを特徴とする方法にある。
以下に本発明の好ましい態様を記載する。
(1)該酸化重合反応の開始時における水性媒体中の溶存酸素量に対するチオフェン化合物の量のモル比を120以上、1000以下(特に、120~1000の範囲)とする。
(2)該酸化重合反応の開始時における水性媒体中の溶存酸素量に対するチオフェン化合物の量のモル比を200以上、800以下(特に200~800の範囲)とする。
(3)該酸化重合反応の開始時における水性媒体中の溶存酸素量に対するチオフェン化合物の量のモル比を200以上、600以下(特に200~600の範囲)とする。
(1)該酸化重合反応の開始時における水性媒体中の溶存酸素量に対するチオフェン化合物の量のモル比を120以上、1000以下(特に、120~1000の範囲)とする。
(2)該酸化重合反応の開始時における水性媒体中の溶存酸素量に対するチオフェン化合物の量のモル比を200以上、800以下(特に200~800の範囲)とする。
(3)該酸化重合反応の開始時における水性媒体中の溶存酸素量に対するチオフェン化合物の量のモル比を200以上、600以下(特に200~600の範囲)とする。
(4)該酸化重合反応の開始時における水性媒体中の溶存酸素量を水性媒体1リットル当たり1.5mg以上、特に3mg以上とする。
(5)該酸化重合反応の開始時における水性媒体中の溶存酸素量を水性媒体1リットル当たり3~30mgの範囲の量とする。
(6)前記式(I)のチオフェン化合物が3,4-アルキレンジオキシチオフェンである。
(7)3,4-アルキレンジオキシチオフェンが3,4-エチレンジオキシチオフェンであって、ポリチオフェン化合物がポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)である。
(8)上記ポリアニオンがポリ(スチレンスルホン酸)である。
(5)該酸化重合反応の開始時における水性媒体中の溶存酸素量を水性媒体1リットル当たり3~30mgの範囲の量とする。
(6)前記式(I)のチオフェン化合物が3,4-アルキレンジオキシチオフェンである。
(7)3,4-アルキレンジオキシチオフェンが3,4-エチレンジオキシチオフェンであって、ポリチオフェン化合物がポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)である。
(8)上記ポリアニオンがポリ(スチレンスルホン酸)である。
本発明の製造方法を利用することにより、反応開始時における反応媒体に含まれる酸素量を低減させるための特段の操作を加えなくても、反応媒体中に存在させるチオフェン化合物を反応媒体中の溶存酸素量に対して特定の比率以上(モル比で120以上)とすることによって、高い導電性を示す導電性ポリチオフェン化合物の溶液あるいは分散液を製造することができる。従って、本発明の製造方法を利用することにより、高い導電性を示す導電性ポリチオフェン化合物の溶液あるいは分散液を工業的に有利に製造することができる。また、本発明の製造方法を利用することにより、高濃度の導電性ポリチオフェン化合物の溶液あるいは分散液を製造することができる点についても、工業的な導電性ポリチオフェン化合物の製造方法として有利となる。すなわち、生成した高濃度の導電性ポリチオフェン化合物の溶液あるいは分散液をそのまま使用することもできるし、あるいは生成した高濃度の導電性ポリチオフェン化合物の溶液あるいは分散液を所望の導電性ポリチオフェン化合物濃度となるように希釈した希釈溶液もしくは分散液として使用することもできる。
前述のように、水性媒体中、ポリアニオンの存在下にてチオフェン化合物を酸化重合反応させることによりポリチオフェン化合物の溶液もしくは分散液を製造する方法は、特許文献1そして特許文献2に詳しく記載されているように、既に知られている。本発明のポリチオフェン化合物の溶液もしくは分散液の製造に際しても、上記の各特許文献に記載されているチオフェン化合物、ポリアニオン、反応媒体、そして反応実施操作を利用することができる。従って、特許文献1と特許文献2のそれぞれに見られる反応原料、反応条件、そして反応実施操作などの記載は本明細書の記載とする。
以下に、本発明の導電性ポリチオフェン化合物の溶液もしくは分散液の製造方法において特に有利に用いることのできるチオフェン化合物、ポリアニオン、反応媒体、反応条件、そして反応実施操作などを記載する。
本発明の導電性ポリチオフェン化合物の溶液もしくは分散液の製造方法において用いられるチオフェン化合物は、前記式(I)で示される。式(I)において、R1とR2とは、互いに独立に、水素または炭素原子数1~5のアルキル基を表すが、R1とR2とは互いに結合して炭素原子数1~5のアルキレン基を形成していてもよい。炭素原子数1~5のアルキル基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、n-ペンチル、イソペンチルを挙げることができる。炭素原子数1~5のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基を挙げることができる。従って、本発明の製造方法により得られる導電性ポリチオフェン化合物の溶液もしくは分散液は、前記式(II)で表される単位構造を含むポリチオフェン化合物であり、R1とR2とは式(I)に関して記載した上記の意味を有する。
本発明の導電性ポリチオフェン化合物の溶液もしくは分散液の製造方法において用いられる反応媒体としては、水、あるいは水と水相溶性の有機溶媒との混合溶媒が好ましい。水相溶性の有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、イソアミルアルコールなどの炭素原子数1~5の低級アルコール、エチレングリコールやグリセリンなどのグリコール、アセトン、メチルエチルケトン、あるいはメチルイソブチルケトンなどのケトンなどが有利に用いられる。
本発明におけるチオフェン化合物の酸化重合反応に際しては、反応媒体中にポリ(スチレンスルホン酸)などのポリアニオンを存在させることが好ましい。この他に利用可能なポリアニオンの例としては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸、あるいはそれらのエステルを挙げることができる。
本発明のチオフェン化合物の酸化重合反応に際しては、反応媒体中に酸化重合反応の開始剤を存在させることが好ましい。使用するのに好ましい開始剤の例としては、FeCl3、有機酸の三価鉄塩、過硫酸ナトリウム、過酸化水素、クロム酸カリウム、過マンガン酸カリウムを挙げることができる。
本発明の反応媒体中のチオフェン化合物の酸化重合反応の反応温度や反応圧力については特別な限定はない。ただし、好ましく採用される反応温度は、0~40℃の範囲の温度であり、特に5~25℃の範囲の温度である。また、反応圧力は通常、大気圧が利用されるが、加圧下あるいは減圧下で反応を行うこともできる。
本発明の導電性ポリチオフェン化合物の溶液もしくは分散液の製造方法の開始に際しては、窒素ガスなどのバブリングなどを利用する反応媒体の溶存酸素量の低減操作を必要としないが、所望により、予め反応媒体中に溶存している酸素量を調整してもよい。
本発明の導電性ポリチオフェン化合物の溶液もしくは分散液の製造方法の開始に際しては、反応媒体に溶存している酸素量を予め測定することにより溶存酸素濃度(DO:mg/L)を確認した上で、その溶存酸素濃度を考慮して、反応に供するチオフェン化合物の量を決定することが好ましい。ただし、反応媒体中の溶存酸素濃度は、過去の経験値あるいは反応媒体の酸素溶解度などからの推定値であってもよい。
反応媒体に溶存している酸素濃度は、蛍光式DO電極(FDO925型、WTW)を装着した蛍光式溶存酸素計(MultiLine 3410型、WTW)を利用することにより測定することができる。なお、反応媒体中の溶存酸素の測定は、反応原料であるチオフェン化合物および反応開始剤を加える直前の反応媒体について行うことが好ましい。
本発明の導電性ポリチオフェン化合物の製造方法は、反応媒体中の溶存酸素(反応開始時の直前の溶存酸素)に対する反応成分(チオフェン化合物)のモル比を調整した条件にて実施する。すなわち、本発明によれば、酸化重合反応の開始時における水性媒体中の溶存酸素量に対するチオフェン化合物の量のモル比を120以上(好ましくは、120以上、1000以下)に調整して酸化重合反応を行うことにより、高い導電性を示すポリチオフェン化合物を得ることができる。従って、特に、通常の状態の反応媒体(すなわち、特段の溶存酸素量低減操作を施していない反応媒体)を用いてチオフェン化合物の酸化重合反応を行う場合には、必然的に高濃度のチオフェン化合物を反応に供する必要があるため、導電性が高いポリチオフェン化合物を高濃度で含む溶液あるいは分散液が得られるとの利点がある。
本発明の高導電性のポリチオフェン化合物の製造方法では、反応媒体中の溶存酸素濃度(反応媒体中の溶存酸素量)に対する反応成分(チオフェン化合物)の量のモル比を120以上とすることが要件とされるが、そのような要件下でのチオフェン化合物の酸化重合反応によって高導電性のポリチオフェン化合物の溶液あるいは分散液が生成することの理由は必ずしも明確ではない。ただし、本発明者の推測によれば、下記の理由が考えられる。
本発明で利用されるチオフェン化合物の反応媒体中での酸化重合反応では、その反応の性質上、反応媒体中に酸素が溶存していることが必要である。ただし、反応媒体中における酸素のモル量が、反応媒体中に存在している反応成分(チオフェン化合物)のモル量に比べて過度に多いと、反応開始剤により生成するラジカルを利用する連鎖反応であるチオフェン化合物の酸化重合の連鎖反応の連鎖が途中で制限され、充分な鎖長を持つポリチオフェン化合物とならず、そのように不充分な鎖長のポリチオフェン化合物は高い導電性を示さない。一方、反応媒体中に酸素(溶存酸素)が存在するものの、そのモル量が反応成分であるチオフェン化合物のモル量に対して相対的に少ない場合には、反応開始剤により生成するラジカルを利用する連鎖反応であるチオフェン化合物の酸化重合の連鎖反応が充分に進行し、このため充分な鎖長を持つポリチオフェン化合物が生成する。そして、そのように充分な鎖長を持つポリチオフェン化合物が高い導電性を示す結果となる。
ただし、上記の推測は、本発明のチオフェン化合物の酸化重合反応による導電性ポリチオフェン化合物の製造方法の反応原理や反応機構を限定するものではない。
ただし、上記の推測は、本発明のチオフェン化合物の酸化重合反応による導電性ポリチオフェン化合物の製造方法の反応原理や反応機構を限定するものではない。
以下に本発明の実施例を記載する。なお、下記の実施例において記載した測定は下記の方法により実施した。
(1)反応媒体の溶存酸素濃度
蛍光式DO電極(FDO925型、WTW)を装着した蛍光式溶存酸素計(MultiLine 3410型、WTW)を用いて測定した。
(2)PEDOT/PSSの水分散液の濃度(固形成分濃度)
赤外水分計(MOC-120H、(株)島津製作所製)にて測定した。なお、反応に用いたPEDOT/PSSの水分散液は、この測定値に基づき、固形成分濃度が約1.5質量%となるように純水で希釈して得た水分散液である。
(3)pH
pHメーター((株)堀場製作所製)を用いて測定した。
(4)粘度
粘度計(Viscomete VM-10A, CBC Materials製)を用いて測定した。
(5)粒径(コロイド粒径)
動的光散乱測定装置(Nanotrac UPA-UT151 (株)日機装製)を用いた。純水約2mLをバックグランドとして光散乱を測定した後、PEDOT/PSS水分散液(約1.5質量%)を20~40μL加えることで50~100倍に希釈し、その希釈液の光散乱を測定した。それらの測定値に基づき、粒径分布ならびに積算の粒径分布曲線が90%の横軸と交差する90%粒径(D90)及び粒径分布ならびに積算の粒径分布曲線が50%の横軸と交差する50%粒径(D50)をソフトウエアーMicrotrac II DMS 2を利用してコロイド粒径を算出した。
(1)反応媒体の溶存酸素濃度
蛍光式DO電極(FDO925型、WTW)を装着した蛍光式溶存酸素計(MultiLine 3410型、WTW)を用いて測定した。
(2)PEDOT/PSSの水分散液の濃度(固形成分濃度)
赤外水分計(MOC-120H、(株)島津製作所製)にて測定した。なお、反応に用いたPEDOT/PSSの水分散液は、この測定値に基づき、固形成分濃度が約1.5質量%となるように純水で希釈して得た水分散液である。
(3)pH
pHメーター((株)堀場製作所製)を用いて測定した。
(4)粘度
粘度計(Viscomete VM-10A, CBC Materials製)を用いて測定した。
(5)粒径(コロイド粒径)
動的光散乱測定装置(Nanotrac UPA-UT151 (株)日機装製)を用いた。純水約2mLをバックグランドとして光散乱を測定した後、PEDOT/PSS水分散液(約1.5質量%)を20~40μL加えることで50~100倍に希釈し、その希釈液の光散乱を測定した。それらの測定値に基づき、粒径分布ならびに積算の粒径分布曲線が90%の横軸と交差する90%粒径(D90)及び粒径分布ならびに積算の粒径分布曲線が50%の横軸と交差する50%粒径(D50)をソフトウエアーMicrotrac II DMS 2を利用してコロイド粒径を算出した。
(6)PEDOT/PSS膜の膜厚および電導度
1)スライドガラス(26×70mm)の真中にプラスチックテープを貼り、一方の側の領域(26×35mm)にPEDOT/PSSの水分散液(約1.5質量%)と5質量%濃度のエチレングリコール水溶液の混合液を滴下する。混合液の滴下により生成した混合液膜を空気中にて200℃に加熱してPEDOT/PSS膜を作成した。なお、PEDOT/PSS膜の乾燥状態は、赤外水分計を用いて確認した。
2)スライドガラスからプラスチックテープを剥ぎ取り、スライドガラスとPEDOT/PSS膜との段差を触針式段差計(D-100, KLA Tencor)を用いて測定した。スライドガラスについてベースライン補正を行った後、段差測定値からPEDOT/PSS膜の膜厚を算出した。
3)次いで、PEDOT/PSS膜の電導度を抵抗率計(ロレスタ GP、MCP-T610型、三菱化学(株)製)を用いて測定した。4探針プローブ(PSPプローブ、三菱化学(株)製)をスタンドに固定し、膜を持ち上げることでプローブに接触させた。膜の電導度は、膜サイズ(26×35mm)及び膜厚を入力し、最低3サンプルの測定値の平均から算出した。
1)スライドガラス(26×70mm)の真中にプラスチックテープを貼り、一方の側の領域(26×35mm)にPEDOT/PSSの水分散液(約1.5質量%)と5質量%濃度のエチレングリコール水溶液の混合液を滴下する。混合液の滴下により生成した混合液膜を空気中にて200℃に加熱してPEDOT/PSS膜を作成した。なお、PEDOT/PSS膜の乾燥状態は、赤外水分計を用いて確認した。
2)スライドガラスからプラスチックテープを剥ぎ取り、スライドガラスとPEDOT/PSS膜との段差を触針式段差計(D-100, KLA Tencor)を用いて測定した。スライドガラスについてベースライン補正を行った後、段差測定値からPEDOT/PSS膜の膜厚を算出した。
3)次いで、PEDOT/PSS膜の電導度を抵抗率計(ロレスタ GP、MCP-T610型、三菱化学(株)製)を用いて測定した。4探針プローブ(PSPプローブ、三菱化学(株)製)をスタンドに固定し、膜を持ち上げることでプローブに接触させた。膜の電導度は、膜サイズ(26×35mm)及び膜厚を入力し、最低3サンプルの測定値の平均から算出した。
[実施例1]
ポリ(4-スチレンスルホン酸)(PSS:分子量75000)の18質量%水溶液107.97gと硫酸鉄2.39gとを純水に加え、混合液を得た。この混合液の酸素濃度は、8.3mg/Lであった。この混合液に3,4-エチレンジオキシチオフェン(EDOT)6.0gを滴下し、さらに過硫酸ナトリウム11.76gを加え、これに全質量が1200gとなるように純水を加えて混合溶液を調製した。混合溶液を10℃にて24時間撹拌して酸化重合反応を実施し、固形分(PEDOT/PSS)の濃度が2.1質量%の反応溶液を得た。次いで、反応溶液を純水で希釈して固形分濃度が1.7~1.8質量%の希釈液を得た。この希釈液にカチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂とをそれぞれ15質量%加えた後、さらに18時間撹拌した。得られたイオン交換処理液をガラス濾過器で濾過し、次いで高圧ホモジナイザーで100MPa、10回の均質化処理を行うことにより、PEDOT/PSS水分散液を得た。なお、本実施例において、反応媒体中の3,4-エチレンジオキシチオフェン量と酸素量とのモル比([EDOT]/[O2])は136であった。
ポリ(4-スチレンスルホン酸)(PSS:分子量75000)の18質量%水溶液107.97gと硫酸鉄2.39gとを純水に加え、混合液を得た。この混合液の酸素濃度は、8.3mg/Lであった。この混合液に3,4-エチレンジオキシチオフェン(EDOT)6.0gを滴下し、さらに過硫酸ナトリウム11.76gを加え、これに全質量が1200gとなるように純水を加えて混合溶液を調製した。混合溶液を10℃にて24時間撹拌して酸化重合反応を実施し、固形分(PEDOT/PSS)の濃度が2.1質量%の反応溶液を得た。次いで、反応溶液を純水で希釈して固形分濃度が1.7~1.8質量%の希釈液を得た。この希釈液にカチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂とをそれぞれ15質量%加えた後、さらに18時間撹拌した。得られたイオン交換処理液をガラス濾過器で濾過し、次いで高圧ホモジナイザーで100MPa、10回の均質化処理を行うことにより、PEDOT/PSS水分散液を得た。なお、本実施例において、反応媒体中の3,4-エチレンジオキシチオフェン量と酸素量とのモル比([EDOT]/[O2])は136であった。
[実施例2]
PSS水溶液と硫酸鉄との使用量をそれぞれ129.56gと2.87gに変え、EDOTと過硫酸ナトリウムとの使用量をそれぞれ7.2gと14.11gに変えた以外は、実施例1と同じ操作を実施して、固形分濃度が2.5質量%の反応溶液を得た。この反応溶液について、同様にして、純水による希釈、イオン交換処理、そして均質化処理を行い、PEDOT/PSS水分散液を得た。なお、本実施例において、[EDOT]/[O2]は163であった。
PSS水溶液と硫酸鉄との使用量をそれぞれ129.56gと2.87gに変え、EDOTと過硫酸ナトリウムとの使用量をそれぞれ7.2gと14.11gに変えた以外は、実施例1と同じ操作を実施して、固形分濃度が2.5質量%の反応溶液を得た。この反応溶液について、同様にして、純水による希釈、イオン交換処理、そして均質化処理を行い、PEDOT/PSS水分散液を得た。なお、本実施例において、[EDOT]/[O2]は163であった。
[実施例3]
PSS水溶液と硫酸鉄との使用量をそれぞれ161.96gと3.59gに変え、EDOTと過硫酸ナトリウムとの使用量をそれぞれ9.0gと17.64gに変えた以外は、実施例1と同じ操作を実施して、固形分濃度が3.2質量%の反応溶液を得た。この反応溶液について、同様にして、純水による希釈、イオン交換処理、そして均質化処理を行い、PEDOT/PSS水分散液を得た。なお、本実施例において、[EDOT]/[O2]は204であった。
PSS水溶液と硫酸鉄との使用量をそれぞれ161.96gと3.59gに変え、EDOTと過硫酸ナトリウムとの使用量をそれぞれ9.0gと17.64gに変えた以外は、実施例1と同じ操作を実施して、固形分濃度が3.2質量%の反応溶液を得た。この反応溶液について、同様にして、純水による希釈、イオン交換処理、そして均質化処理を行い、PEDOT/PSS水分散液を得た。なお、本実施例において、[EDOT]/[O2]は204であった。
[実施例4]
PSS水溶液と硫酸鉄との使用量をそれぞれ215.94gと4.78gに変え、EDOTと過硫酸ナトリウムとの使用量をそれぞれ12.0gと23.52gに変えた以外は、実施例1と同じ操作を実施して、固形分濃度が4.2質量%の反応溶液を得た。この反応溶液について、同様にして、純水による希釈、イオン交換処理、そして均質化処理を行い、PEDOT/PSS水分散液を得た。なお、本実施例において、[EDOT]/[O2]は272であった。
PSS水溶液と硫酸鉄との使用量をそれぞれ215.94gと4.78gに変え、EDOTと過硫酸ナトリウムとの使用量をそれぞれ12.0gと23.52gに変えた以外は、実施例1と同じ操作を実施して、固形分濃度が4.2質量%の反応溶液を得た。この反応溶液について、同様にして、純水による希釈、イオン交換処理、そして均質化処理を行い、PEDOT/PSS水分散液を得た。なお、本実施例において、[EDOT]/[O2]は272であった。
[実施例5]
PSS水溶液と硫酸鉄との使用量をそれぞれ323.91gと7.17gに変え、EDOTと過硫酸ナトリウムとの使用量をそれぞれ18.0gと35.28gに変えた以外は、実施例1と同じ操作を実施して、固形分濃度が6.4質量%の反応溶液を得た。この反応溶液について、同様にして、純水による希釈、イオン交換処理、そして均質化処理を行い、PEDOT/PSS水分散液を得た。なお、本実施例において、[EDOT]/[O2]は407であった。
PSS水溶液と硫酸鉄との使用量をそれぞれ323.91gと7.17gに変え、EDOTと過硫酸ナトリウムとの使用量をそれぞれ18.0gと35.28gに変えた以外は、実施例1と同じ操作を実施して、固形分濃度が6.4質量%の反応溶液を得た。この反応溶液について、同様にして、純水による希釈、イオン交換処理、そして均質化処理を行い、PEDOT/PSS水分散液を得た。なお、本実施例において、[EDOT]/[O2]は407であった。
[実施例6]
PSS水溶液と硫酸鉄との使用量をそれぞれ431.88gと9.56gに変え、EDOTと過硫酸ナトリウムとの使用量をそれぞれ24.0gと47.04gに変えた以外は、実施例1と同じ操作を実施して、固形分濃度が8.5質量%の反応溶液を得た。この反応溶液について、同様にして、純水による希釈、イオン交換処理、そして均質化処理を行い、PEDOT/PSS水分散液を得た。なお、本実施例において、[EDOT]/[O2]は543であった。
PSS水溶液と硫酸鉄との使用量をそれぞれ431.88gと9.56gに変え、EDOTと過硫酸ナトリウムとの使用量をそれぞれ24.0gと47.04gに変えた以外は、実施例1と同じ操作を実施して、固形分濃度が8.5質量%の反応溶液を得た。この反応溶液について、同様にして、純水による希釈、イオン交換処理、そして均質化処理を行い、PEDOT/PSS水分散液を得た。なお、本実施例において、[EDOT]/[O2]は543であった。
[実施例7]
PSS水溶液と硫酸鉄との使用量をそれぞれ539.85gと11.95gに変え、EDOTと過硫酸ナトリウムとの使用量をそれぞれ30.0gと58.8gに変えた以外は、実施例1と同じ操作を実施して、固形分濃度が10.6質量%の反応溶液を得た。この反応溶液について、同様にして、純水による希釈、イオン交換処理、そして均質化処理を行い、PEDOT/PSS水分散液を得た。なお、本実施例において、[EDOT]/[O2]は679であった。
PSS水溶液と硫酸鉄との使用量をそれぞれ539.85gと11.95gに変え、EDOTと過硫酸ナトリウムとの使用量をそれぞれ30.0gと58.8gに変えた以外は、実施例1と同じ操作を実施して、固形分濃度が10.6質量%の反応溶液を得た。この反応溶液について、同様にして、純水による希釈、イオン交換処理、そして均質化処理を行い、PEDOT/PSS水分散液を得た。なお、本実施例において、[EDOT]/[O2]は679であった。
[実施例8]
重合反応の温度を0℃に変えた以外は、実施例1と同じ操作を実施して、固形分濃度が2.1質量%の反応溶液を得た。この反応溶液について、同様にして、純水による希釈、イオン交換処理、そして均質化処理を行い、PEDOT/PSS水分散液を得た。なお、PSS水溶液と硫酸鉄を純水に加えて得た混合液の酸素濃度は、8.7mg/Lであった。また、本実施例において、[EDOT]/[O2]は129であった。
重合反応の温度を0℃に変えた以外は、実施例1と同じ操作を実施して、固形分濃度が2.1質量%の反応溶液を得た。この反応溶液について、同様にして、純水による希釈、イオン交換処理、そして均質化処理を行い、PEDOT/PSS水分散液を得た。なお、PSS水溶液と硫酸鉄を純水に加えて得た混合液の酸素濃度は、8.7mg/Lであった。また、本実施例において、[EDOT]/[O2]は129であった。
[実施例9]
重合反応の温度を20℃に変えた以外は、実施例1と同じ操作を実施して、固形分濃度が2.1質量%の反応溶液を得た。この反応溶液について、同様にして、純水による希釈、イオン交換処理、そして均質化処理を行い、PEDOT/PSS水分散液を得た。なお、PSS水溶液と硫酸鉄を純水に加えて得た混合液の酸素濃度は、7.9mg/Lであった。また、本実施例において、[EDOT]/[O2]は142であった。
重合反応の温度を20℃に変えた以外は、実施例1と同じ操作を実施して、固形分濃度が2.1質量%の反応溶液を得た。この反応溶液について、同様にして、純水による希釈、イオン交換処理、そして均質化処理を行い、PEDOT/PSS水分散液を得た。なお、PSS水溶液と硫酸鉄を純水に加えて得た混合液の酸素濃度は、7.9mg/Lであった。また、本実施例において、[EDOT]/[O2]は142であった。
[実施例10]
重合反応の温度を30℃に変えた以外は、実施例1と同じ操作を実施して、固形分濃度が2.1質量%の反応溶液を得た。この反応溶液について、同様にして、純水による希釈、イオン交換処理、そして均質化処理を行い、PEDOT/PSS水分散液を得た。なお、PSS水溶液と硫酸鉄を純水に加えて得た混合液の酸素濃度は、6.9mg/Lであった。また、本実施例において、[EDOT]/[O2]は163であった。
重合反応の温度を30℃に変えた以外は、実施例1と同じ操作を実施して、固形分濃度が2.1質量%の反応溶液を得た。この反応溶液について、同様にして、純水による希釈、イオン交換処理、そして均質化処理を行い、PEDOT/PSS水分散液を得た。なお、PSS水溶液と硫酸鉄を純水に加えて得た混合液の酸素濃度は、6.9mg/Lであった。また、本実施例において、[EDOT]/[O2]は163であった。
[実施例11]
重合反応の温度を0℃に変えた以外は、実施例4と同じ操作を実施して、固形分濃度が4.2質量%の反応溶液を得た。この反応溶液について、同様にして、純水による希釈、イオン交換処理、そして均質化処理を行い、PEDOT/PSS水分散液を得た。なお、PSS水溶液と硫酸鉄を純水に加えて得た混合液の酸素濃度は、8.7mg/Lであった。また、本実施例において、[EDOT]/[O2]は259であった。
重合反応の温度を0℃に変えた以外は、実施例4と同じ操作を実施して、固形分濃度が4.2質量%の反応溶液を得た。この反応溶液について、同様にして、純水による希釈、イオン交換処理、そして均質化処理を行い、PEDOT/PSS水分散液を得た。なお、PSS水溶液と硫酸鉄を純水に加えて得た混合液の酸素濃度は、8.7mg/Lであった。また、本実施例において、[EDOT]/[O2]は259であった。
[実施例12]
重合反応の温度を20℃に変えた以外は、実施例4と同じ操作を実施して、固形分濃度が4.2質量%の反応溶液を得た。この反応溶液について、同様にして、純水による希釈、イオン交換処理、そして均質化処理を行い、PEDOT/PSS水分散液を得た。なお、PSS水溶液と硫酸鉄を純水に加えて得た混合液の酸素濃度は、7.9mg/Lであった。また、本実施例において、[EDOT]/[O2]は285であった。
重合反応の温度を20℃に変えた以外は、実施例4と同じ操作を実施して、固形分濃度が4.2質量%の反応溶液を得た。この反応溶液について、同様にして、純水による希釈、イオン交換処理、そして均質化処理を行い、PEDOT/PSS水分散液を得た。なお、PSS水溶液と硫酸鉄を純水に加えて得た混合液の酸素濃度は、7.9mg/Lであった。また、本実施例において、[EDOT]/[O2]は285であった。
[実施例13]
重合反応の温度を30℃に変えた以外は、実施例4と同じ操作を実施して、固形分濃度が4.2質量%の反応溶液を得た。この反応溶液について、同様にして、純水による希釈、イオン交換処理、そして均質化処理を行い、PEDOT/PSS水分散液を得た。なお、PSS水溶液と硫酸鉄を純水に加えて得た混合液の酸素濃度は、6.9mg/Lであった。また、本実施例において、[EDOT]/[O2]は326であった。
重合反応の温度を30℃に変えた以外は、実施例4と同じ操作を実施して、固形分濃度が4.2質量%の反応溶液を得た。この反応溶液について、同様にして、純水による希釈、イオン交換処理、そして均質化処理を行い、PEDOT/PSS水分散液を得た。なお、PSS水溶液と硫酸鉄を純水に加えて得た混合液の酸素濃度は、6.9mg/Lであった。また、本実施例において、[EDOT]/[O2]は326であった。
実施例1~13のそれぞれで生成した反応混合物(PEDOT/PSS水分散液)のpH、粘度、コロイド粒径、そして前述の膜形成方法により得られたPEDOT/PSS膜の電導度を下記の表1に示す。
各実施例における反応媒体中の3,4-エチレンジオキシチオフェン量と酸素量とのモル比([EDOT]/[O2])と生成したPEDOT/PSS膜の電導度との関係を表すグラフを添付の図1に示す。図1からも、反応媒体中の3,4-エチレンジオキシチオフェン量と酸素量とのモル比([EDOT]/[O2])を120以上とすることにより、高い導電性を持つPEDOT/PSSを得ることができることが分かる。
[実施例14]
実施例5で得られたイオン交換処理液をガラス濾過器で濾過した後、高圧ホモジナイザーでの処理条件を変えて均質化処理を行うことにより、異なる均質化処理条件により得られるPEDOT/PSS水分散液のpH、粘度、D50、D90、そして膜の電導度を同様な方法により測定した。その測定結果を表2に示す。
実施例5で得られたイオン交換処理液をガラス濾過器で濾過した後、高圧ホモジナイザーでの処理条件を変えて均質化処理を行うことにより、異なる均質化処理条件により得られるPEDOT/PSS水分散液のpH、粘度、D50、D90、そして膜の電導度を同様な方法により測定した。その測定結果を表2に示す。
表2に示した測定結果から、PSSとEDOTとの反応液のイオン交換処理液をガラス濾過器で濾過した後に高圧ホモジナイザーを用いる均質化処理を施すことにより、様々な粒径(コロイド粒径)を持つコロイド分散液(pHも殆ど変化しない)が得られることが確認された。また、それらの様々な粒径のコロイドの分散液から得られるPEDOT/PSS膜の電導度はコロイド粒径に殆ど影響されず、ほぼ一定の電導度となることも確認された。
Claims (9)
- 該酸化重合反応の開始時における水性媒体中の溶存酸素量に対するチオフェン化合物の量のモル比を120~1000の範囲とする請求項1に記載の方法。
- 該酸化重合反応の開始時における水性媒体中の溶存酸素量に対するチオフェン化合物の量のモル比を200~800の範囲とする請求項1に記載の方法。
- 該酸化重合反応の開始時における水性媒体中の溶存酸素量に対するチオフェン化合物の量のモル比を200~600の範囲とする請求項1に記載の方法。
- 該酸化重合反応の開始時における水性媒体中の溶存酸素量を水性媒体1リットル当たり3mg以上とする請求項1に記載の方法。
- 該酸化重合反応の開始時における水性媒体中の溶存酸素量を水性媒体1リットル当たり3~30mgの範囲の量とする請求項1に記載の方法。
- 式(I)のチオフェン化合物が3,4-アルキレンジオキシチオフェンである請求項1に記載の方法。
- 3,4-アルキレンジオキシチオフェンが3,4-エチレンジオキシチオフェンであって、ポリチオフェン化合物がポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)である請求項7に記載の方法。
- 該ポリアニオンがポリ(スチレンスルホン酸)である請求項1に記載の方法。
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