WO2014141788A1

WO2014141788A1 - 横型帯鋸盤及び帯鋸刃装着方法

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Publication number: WO2014141788A1
Application number: PCT/JP2014/052917
Authority: WO
Inventors: 瀬戸　章男; 政孝鍛代
Original assignee: 株式会社アマダ; 株式会社アマダマシンツール
Priority date: 2013-03-11
Filing date: 2014-02-07
Publication date: 2014-09-18
Also published as: US20150375316A1; JP2014172128A; DE112014001225B4; JP6018955B2; US9821388B2; DE112014001225T5

Abstract

横型帯鋸盤は、ベースと、前記ベースの上方に配置された垂直移動可能なハウジングと、前記ハウジングの下部に水平に配置された、軸線間距離を変更可能な一対のホイールと、前記一対のホイールに巻回される無端状の帯鋸刃と、前記ベースの上面に設けられ、前記帯鋸刃の前記一対のホイールへの装着時に前記帯鋸刃が載置される複数の鋸刃ガイドと、を備えている。前記複数の鋸刃ガイド上に載置された前記帯鋸刃の高さ位置である装着位置は、前記一対のホイールに巻回された前記帯鋸刃によるワークの切断終了位置よりも下方とされている。前記ハウジングは、前記一対のホイールを前記装着位置まで下降可能に構成されている。前記一対のホイールは、前記軸線間距離が短縮された状態で、前記ハウジングによって前記装着位置まで下降された際に、前記複数の鋸刃ガイド上に載置された前記帯鋸刃に囲まれた領域内に進入可能に構成されている。

Description

横型帯鋸盤及び帯鋸刃装着方法

　本発明は、鋸刃が巻回される一対のホイールが水平に配された横型帯鋸盤[horizontal band saw machine]と、帯鋸刃装着方法[method for installing a band saw blade]とに関する。

　床に設置されるベースと、ベースの上方に配設された垂直移動可能なハウジングと、ハウジングの下部に水平に配置された一対のホイールと、ひねり角０°[twist angle 0°]で一対のホイールに巻回された[looped over]無端状の鋸刃と、を備えた横型帯鋸盤が一般に知られている。

　このような横型帯鋸盤では、ベースとハウジングとの間に挿入されたワークを、ハウジングを下降させてハウジングの下部に水平面内に張設された鋸刃で切断する。鋸刃のひねり角を０°としているので、長尺物を切り出すことはできないが鋸刃の寿命を長くできる。また、ひねり角０°の横型帯鋸盤は、短尺物の切り出しやスライス加工には好適である。

　横型水平帯鋸盤では、鋸刃の交換時には、水平姿勢の鋸刃をハウジングの下方から持ち上げて一対のホイールに装着する。しかし、帯鋸刃は、通常、大変薄く、それ自体で形状（水平姿勢）を維持できない。このため、複数の作業者によって鋸刃を水平に支持する必要があり、多くの工数がかかり、その作業も容易ではない。下記特許文献１は、この問題を改善する一例を開示している。

　特許文献１に開示された方法では、下方から一対のホイール（プーリー）に機械的に係合可能な治具が用いられる。治具は、所定ストロークで垂直移動可能である。鋸刃の取付時には、まず、鋸刃が載置された治具を下方から持ち上げて一対のホイールに取り付ける。次いで、一対のホイールに取り付けられた治具を垂直移動させて、鋸刃の高さを一対のホイールの高さに合わせる。その後、二つのホイールの間隔を広げて鋸刃を一対のホイールに装着する。最後に、治具をホイールから取り外す。この治具を使用すれば、作業は一人でも可能とされている。

日本国特許第４９８４０７６号公報

　しかし、特許文献１に記載された方法では、ホイールの間隔毎に専用の治具が必要となるので、治具製作費用が高くなる。また、作業者は、治具のホイールへの取り付け時に治具を保持しておく必要がある。また、鋸刃の高さを一対のホイールの高さに合わせるために、治具を更に持ち上げなければならない。これらの作業は、作業者に大きな負担となる。

　本発明の目的は、鋸刃の装着に関する治具製作費用を安くでき、作業者の負担をより軽くできる横型帯鋸盤及び帯鋸刃装着方法を提供することにある。

　本発明の第１の特徴は、横型帯鋸盤であって、ベースと、前記ベースの上方に配置された垂直移動可能なハウジングと、前記ハウジングの下部に水平に配置された、軸線間距離を変更可能な一対のホイールと、前記一対のホイールに巻回される無端状の帯鋸刃と、前記ベースの上面に設けられ、前記帯鋸刃の前記一対のホイールへの装着時に前記帯鋸刃が載置される複数の鋸刃ガイドと、を備え、前記複数の鋸刃ガイド上に載置された前記帯鋸刃の高さ位置である装着位置は、前記一対のホイールに巻回された前記帯鋸刃によるワークの切断終了位置よりも下方とされ、前記ハウジングは、前記一対のホイールを前記装着位置まで下降可能に構成され、前記一対のホイールは、前記軸線間距離が短縮された状態で、前記ハウジングによって前記装着位置まで下降された際に、前記複数の鋸刃ガイド上に載置された前記帯鋸刃に囲まれた領域内に進入可能に構成されている、横型帯鋸盤を提供する。

　ここで、前記複数の鋸刃ガイドは、前記帯鋸刃と複数箇所で当接して前記帯鋸刃を支持し、それぞれ、前記帯鋸刃の下縁と当接する縁当接部と、前記帯鋸刃の外側面と当接する側面当接部とを有している、ことが好ましい。

　さらに、前記一対のホイールの一方のみが前記軸線間距離を変更するように移動可能とされ、前記一方の回転軸線を含み、かつ、前記一対のホイールの回転軸線に直交する中心線と直交する平面に対して、前記複数の鋸刃ガイドのすべてが、前記一対のホイールの他方側に設けられている、ことが好ましい。

　本発明の第２の特徴は、無端状の帯鋸刃が、軸線間隔を変更可能に水平に配された一対のホイールに巻回された横型帯鋸盤における、帯鋸刃装着方法であって、前記帯鋸刃を、前記一対のホイールの下方に配置された複数の鋸刃ガイド上に載置し、前記軸線間隔が短縮された前記一対のホイールを、前記複数の鋸刃ガイド上に載置された前記帯鋸刃に囲まれた領域内に進入させて、前記帯鋸刃と同じ高さまで下降させ、前記軸線間隔を広げて前記一対のホイールに前記帯鋸刃を装着する、帯鋸刃装着方法を提供する。

実施形態に係る横型帯鋸盤の正面図である。図１におけるＩＩ－ＩＩ線断面図（平面図）である。帯鋸盤のホイールの高さ位置を説明する正面図である。帯鋸盤の鋸刃ガイド６ａの側面図である。帯鋸盤の鋸刃ガイド６ｄの側面図である。帯鋸盤の鋸刃ガイド６ｅの正面図である。鋸刃の装着作業（第１工程）を説明する正面図である。鋸刃の装着作業（第２工程）を説明する正面図である。鋸刃の装着作業（第２工程）を説明する平面図である。鋸刃が載置された鋸刃ガイド６ａの側面図である。鋸刃が載置された鋸刃ガイド６ｄの側面図である。鋸刃が載置された鋸刃ガイド６ｅの正面図である。鋸刃の装着作業（第３工程）を説明する平面図である。鋸刃の装着作業（第４工程）を説明する平面図である。鋸刃の装着作業のフローチャートである。

　実施形態に係る横型帯鋸盤５１を図面を参照しつつ以下に説明する。以下の説明における上下前後左右方向を、図１及び図２に示す。

　図１～３に示されるように、帯鋸盤５１は、床ＦＬに設置されるベース１と、ベース１の後方に設けられた一対の支柱[support posts]２ａ及び２ｂ並びに支柱２ａ及び２ｂの上方を連結する梁[beam]２ｃを有するフレーム２と、リニアガイド（図示せず）を介して垂直移動可能（両矢印ＤＲ１）に支柱２ａ及び２ｂに支持されたハウジング３と、を備えている。ハウジング３の下側には、ベース１の上面１ａと対向する、一対のホイール７及び８が水平に配設されている。ホイール７及び８には、無端状の帯鋸刃９（以下、単に鋸刃９と称する）が巻回されている。帯鋸刃９は、一対のホイール７及び８に対して脱着可能である。ベース１の上面１ａは、オイルパンとして機能する。上面１ａの中央には、ワーク[workpiece]Ｗ（この例では丸棒として記載）を保持するワークサポート４と、切断加工品[cut product]を排出するためのシュート[chute]５と、が設けられている。

　上面１ａには、五つの鋸刃ガイド６ａ～６ｅが設けられている。上面１ａの前側に一対の鋸刃ガイド６ａ及び６ｂが設けられ、後側に一対の鋸刃ガイド６ｃ及び６ｄが設けられ、また、右側に鋸刃ガイド６ｅが設けられている。鋸刃ガイド６ａ～６ｅについては追って詳しく説明する。

　フレーム２の梁２ｃには、モータによってハウジング３を垂直移動させる駆動部Ｍ１が設置されている。ハウジング３の最大ストロークはＳｔ１である（図３参照：ホイール７及び８の高さで示されている）。ストロークＳｔ１は、待機位置[waiting position]、切断終了位置[cutting end position]及び装着位置[installation position]の三つの高さ位置を含む。図３中の待機位置＜Ａ＞は、ストロークＳｔ１の最も高い位置であり、待機（非動作）状態のハウジング３の基準位置である。図３中の切断終了位置＜Ｂ＞は、基準位置よりも低く、鋸刃９の下縁歯９ｈがワークＷから下方に抜けて切断が終了する位置である。通常の切断加工時には、ハウジング３は待機位置と切断終了位置との間（ストロークＳｔ２）で垂直移動される。図３中の装着位置＜Ｃ＞はストロークＳｔ１の最も低い位置であり、切断終了位置よりも更に低い。鋸刃９の交換時には、ハウジング３は装着位置まで下げられ、鋸刃９が鋸刃ガイド６ａ及び６ｂ等の上に取り外されてから新しい鋸刃９が鋸刃ガイド６ａ及び６ｂ等を利用して装着される。切断終了位置と装着位置との高さの差（Ｓｔ１－Ｓｔ２）は、図３では鋸刃９の幅ＷＤより大きいが、幅ＷＤより小さくてもよい。

　ハウジング３の一側（本実施形態では右側）には、垂直方向に延びる回転軸線[rotating axis line]ＣＬ１を有するモータを含む駆動部Ｍ２が設けられている。駆動部Ｍ２から下方に延出された回転軸[rotating shaft]Ｍ２ａの先端には、ホイール７が取り付けられている。ハウジング３の他側（左側）には、垂直方向に延びる回転軸線ＣＬ２を中心に受動的に回転されるホイール８を水平移動させる駆動部Ｍ３が設けられている。ホイール８の回転軸８ａの上端は、ブロック１０に連結されている。ブロック１０（即ち、ホイール８）は、駆動部Ｍ３によって水平移動される（両矢印ＤＲ２）。図２に示されるように、ブロック１０（即ち、ホイール８）の最大ストロークはΔＰである。駆動部Ｍ３の駆動源はシリンダＭ３ｄであり、ブロック１０はシリンダロッドＭ３ｄ１に連結されている。従って、ホイール７及び８の軸線間距離は、ストロークΔＰの範囲で変更可能である。

　ホイール７及び８の軸線間距離の最大値をＰ１とし、最小値をＰ２とすると、ΔＰ＝Ｐ１－Ｐ２である。また、駆動部Ｍ３には、ホイール７及び８に巻回された鋸刃９に作用する張力（又は、ホイール８をホイール７に向けて引っ張る力）を測定するセンサＭ３ｓが設けられている（図１参照）。なお、センサＭ３ｓに代えて、ホイール８の移動時間を測定するためのタイマＴｍが設けられてもよい。横型帯鋸盤５１が外部のコンピュータ（図示せず）によって制御される場合、コンピュータがタイマＴｍを備えていてもよい。

　ホイール７及び８には、鋸刃９が、歯９ｈが下方に向けて巻回されている。鋸刃９は、図１では二点鎖線で、図２では実線で示されている。ホイール８を駆動部Ｍ３によって左方に移動させることで、鋸刃９には適切な張力が付与される。張力が作用している鋸刃９は、駆動部Ｍ２によるホイール７の回転によって、所定方向（ＤＲ３）に循環走行される[fed circularly]。

　ワークＷは、帯鋸盤５１によって以下の工程で切断される。まず、ホイール７及び８に鋸刃９が装着されている状態で、ハウジング３が駆動部Ｍ１によって待機位置まで上昇される（図１に示される状態）。ワークＷがワークサポート４にセットした後、ハウジング３が駆動部Ｍ１によって下降され、かつ、駆動部Ｍ２によってホイール７が回転される（即ち、鋸刃９が走行される）。ハウジング３の下降に伴って鋸刃９がワークＷを切断し、切り離された部分はシュート５から排出される。切断終了位置に達するとハウジング３の下降は停止され、その後、ハウジング３が待機位置まで上昇されると共に鋸刃９の走行が停止され。

　次に、図４～図６を参照しつつ、鋸刃ガイド６ａ～６ｅについて説明する。鋸刃ガイド６ａ～６ｅは、鋸刃９を一時的に下方から支持する支持部材として機能する。鋸刃ガイド６ａ～６ｃは、同一形状であり、タイプＡと称され。鋸刃ガイド６ｄはタイプＢと称され、鋸刃ガイド６ｅはタイプＣと称される。

　図４を参照しつつ、タイプＡの鋸刃ガイド６ａ～６ｃの代表として鋸刃ガイド６ａを説明する。鋸刃ガイド６ａは、ベース１の上面１ａの上方に折り曲げられたフランジ１ａ１に、ボルトＢＴ１で固定されている。上述したようにオイルパンとして機能する上面１ａのフランジ１ａ１はオイルフェンスとして機能し、上面１ａはオイルを集めるために上面１ａの中央に向けて低くなるように傾斜されている。

　鋸刃ガイド６ａは、フランジ１ａ１に固定された断面Ｌ状のベースプレート６ａ１と、スペーサ６ａ２を介してベースプレート６ａ１に固定された断面Ｌ状のガイドプレート６ａ３と、を有している。ガイドプレート６ａ３は、ゴム製のスペーサ６ａ２を介してベースプレート６ａ１に固定されているので、ベースプレート６ａ１及びフランジ１ａ１に対して若干の揺動が可能である。

　ガイドプレート６ａ３は、垂直に立設されたガイドフランジ６ａ３ａを有している。ガイドフランジ６ａ３ａの後面６ａ３ｂには、当接部[contact portions]ｔ６ａがボルトナットで固定されている。各当接部ｔ６ａは、矩形板状の側面当接部[side-face contact portion]６ａ４と、一対の円筒スリーブ状の縁当接部[edge contact portion]６ａ５とからなる。ベースプレート６ａ１及びガイドプレート６ａ３は、スチール[steel]などの金属で形成されている。側面当接部６ａ４及び縁当接部６ａ５は、ポリアセタール[polyacetal]などの樹脂で形成されている。

　鋸刃ガイド６ｂは、鋸刃ガイド６ａと同構造を有しており、当接部ｔ６ａに相当する当接部ｔ６ｂを有している。鋸刃ガイド６ｃは、鋸刃ガイド６ａと対向するように、上面１ａのフランジ１ａ１に固定されている。鋸刃ガイド６ｃも、鋸刃ガイド６ａと同構造を有しており、当接部ｔ６ａに相当する当接部ｔ６ｃを有している。当接部ｔ６ａ、ｔ６ｂ及びｔ６ｃは、鋸刃９の装着時に、鋸刃９と直接当接して鋸刃９を一時的に支持する。

　図５を参照しつつ、タイプＢの鋸刃ガイド６ｄを説明する。鋸刃ガイド６ｄは、上面１ａの上方に折り曲げられたフランジ１ａ２に、ボルトＢＴ２で固定されている。鋸刃ガイド６ｄは、フランジ１ａ２に固定されたブラケット６ｄ１と、ヒンジ６ｄ２と、ヒンジ６ｄ２を介してブラケット６ｄ１と連結された中間ブラケット６ｄ３と、スペーサ６ｄ４を介して中間ブラケット６ｄ３に固定された断面Ｌ状のガイドプレート６ｄ５と、を有している。ブラケット６ｄ１の上方には、後方に傾斜屈曲された傾斜部６ｄ１ａを有している。ヒンジ６ｄ２は、傾斜部６ｄ１ａの前面に固定された第一ヒンジ板６ｄ２ａと、第一ヒンジ板６ｄ２ａに対して、水平な回転軸線ＣＬ４周りに（両矢印ＤＲ４）揺動可能な第二ヒンジ板６ｄ２ｂとを有している。中間ブラケット６ｄ３は、第二ヒンジ板６ｄ２ｂに固定されており、ヒンジ６ｄ２の揺動量を設定するボルトＢＴ５を有している。

　ガイドプレート６ｄ５は、ゴム製のスペーサ６ｄ４を介してボルトＢＴ４によって中間ブラケット６ｄ３に固定されているので、中間ブラケット６ｄ３に対して（図５に示される通常状態で、フランジ１ａ２に対して）若干の揺動が可能である。ガイドプレート６ｄ５は、通常状態で垂直に立設されたガイドフランジ６ｄ５ａを有している。ガイドフランジ６ｄ５ａの前面６ｄ５ｂには、当接部ｔ６ｄがボルトナットで固定されている。当接部ｔ６ｄは、矩形板状の側面当接部６ｄ６と一対の円筒スリーブ状の縁当接部６ｄ７とからなる。ブラケット６ｄ１、ヒンジ６ｄ２、中間ブラケット６ｄ３及びガイドプレート６ｄ５は、スチールなどの金属で形成されている。側面当接部６ｄ６及び縁当接部６ｄ７は、ポリアセタールなどの樹脂で形成されている。当接部ｔ６ｄは、鋸刃９の装着時に、鋸刃９と直接当接して鋸刃９を一時的に支持する。

　鋸刃ガイド６ｄでは、中間ブラケット６ｄ３、スペーサ６ｄ４及びガイドプレート６ｄ５が、ヒンジ６ｄ２によって、ブラケット６ｄ１（フランジ１ａ２）に対して一体的に回動する。回動範囲は、通常状態（図５中で実線で示される状態）と、通常状態から９０°以上回動された退避状態（図５中で二点鎖線で示される状態）との間の範囲である。上述した中間ブラケット６ｄ３のボルトＢＴ５は、図５において、通常状態からの反時計りの回動を規制するストッパとして機能する。ボルトＢＴ５の先端とブラケット６ｄ１との当接によって、通常状態の回動位置が設定される。

　図６を参照しつつ、タイプＣの鋸刃ガイド６ｅを説明する。鋸刃ガイド６ｅは、ベース１の上面１ａに、ボルトＢＴ３で固定されている。鋸刃ガイド６ｅは、スペーサ６ｅ１と、断面Ｌ状のプレート６ｅ２と、ボルトＢＴ６によってプレート６ｅ２に固定されたガイドプレート６ｅ３と、を有している。プレート６ｅ２は、ゴム製のスペーサ６ｅ１を介して上面１ａに固定されているので、上面１ａに対して若干の揺動が可能である。

　プレート６ｅ２は、スチールなどの金属で形成されている。ガイドプレート６ｅ３は、ポリアセタールなどの樹脂で形成されている。ガイドプレート６ｅ３は、上方に突出された側面当接部６ｅ３ａと、凹部（縁当接部）６ｅ３ｃと、凹部６ｅ３ｃに向かって下方に傾斜された傾斜縁６ｅ３ｄと、を有している。凹部６ｅ３ｃと側面当接部６ｅ３ａの垂直縁６ｅ３ｂとは、当接部ｔ６ｅを構成している。当接部ｔ６ｅは、鋸刃９の装着時に、鋸刃９と直接当接して鋸刃９を一時的に支持する。

　次に、帯鋸盤５１への鋸刃９の装着方法を、図７～図１４及び図１５のフローチャートを参照しつつ説明する。ホイール７及び８に鋸刃９が装着されていない状態から説明を始める。鋸刃９の装着時には、下縁歯９ｈに保護カバーが取り付けられてもよい。

　図７に示されるように、ハウジング３が待機位置まで上昇される（方向ＤＲ５：即ち、図１中の両矢印ＤＲ１の上方向）（ステップＳ１）。また、ホイール８が水平移動され（方向ＤＲ６：即ち、図１及び図２中の両矢印ＤＲ２の右方向）、ホイール７及び８の軸線間距離が最小値Ｐ２にされる（ステップＳ２）。

　次に、図８及び図９に示されるように、作業者によって、鋸刃９が鋸刃ガイド６ａ～６ｅの上に載せられる（ステップＳ３）。鋸刃９は、外力が作用されずに置かれるとほぼ正円になる。ここでは、鋸刃９は、鋸刃ガイド６ａ～６ｅの当接部ｔ６ａ～ｔ６ｅに載せられることで、装着時の形状に近い長円に変形される。従って、当接部ｔ６ａ～ｔ６ｅは、鋸刃９の下縁９ａ（下縁歯９ｈ）と当接して鋸刃９を下方から支え、かつ、鋸刃９の外側面９ｂと当接して鋸刃９の形状を装着に適した形状に保持する。

　鋸刃ガイド６ａ～６ｅに載置された鋸刃９について詳しく説明する。図１０に示されるように、鋸刃９の下縁９ａは、鋸刃ガイド６ａ（タイプＡ）の縁当接部６ａ５と当接して下方から支えられ、外側面９ｂは、側面当接部６ａ４と当接して鋸刃９の形状が保持される。鋸刃ガイド６ｂ及び６ｃ（タイプＡ）についても同様で、鋸刃９の下縁９ａは、縁当接部６ｂ５及び６ｃ５と当接して下方から支えられ、外側面９ｂは、側面当接部６ｂ４及び６ｃ４と当接して鋸刃９の形状が保持される。

　鋸刃ガイド６ｄ（タイプＢ）については、上述した通常状態で鋸刃９が載置される。図１１に示されるように、鋸刃９の下縁９ａは、鋸刃ガイド６ｄの縁当接部６ｄ７と当接して下方から支えられ、外側面９ｂは、側面当接部６ｄ６と当接して鋸刃９の形状が保持される。鋸刃ガイド６ｅ（タイプＣ）については、図１２に示されるように、鋸刃９の下縁９ａは、鋸刃ガイド６ｅの凹部６ｅ３ｃと当接して下方から支えられ、外側面９ｂは、側面当接部６ｅ３ａ（垂直縁６ｅ３ｂ）と当接して鋸刃９の形状が保持される。このとき、鋸刃９は外側に膨らもうとするので、下縁９ａは傾斜縁６ｅ３ｄによって凹部６ｅ３ｃに円滑に誘導される。

　結果、図９に示されるように、鋸刃９の前方への膨らみは一対の鋸刃ガイド６ａ及び６ｂによって規制され、後方への膨らみは一対の鋸刃ガイド６ｃ及び６ｄによって規制され、右方への膨らみは鋸刃ガイド６ｅによって規制される。鋸刃９は、左側での規制がなくても、長円状態に保持され得る。鋸刃ガイド６ａ～６ｅは、長円に変形された鋸刃９に囲まれた領域内に、軸線間距離が最小値Ｐ２のホイール７及び８を進入させるように配置されている。即ち、本実施形態のように一対のホイール７及び８の一方のみが水平移動可能な場合、図１及び図２に示されるように、最もホイール７寄りに位置されたホイール８（軸線間距離＝最小値Ｐ２）の回転軸線ＣＬ２を含み、かつ、ホイール７及び８の回転軸線ＣＬ１及びＣＬ２に直交する中心線ＣＬ３と直交する平面ＳＦに対して、鋸刃ガイド６ａ～６ｅのすべてが、ホイール７側に設けられている。換言すれば、鋸刃ガイド６ａ～６ｅのすべてが、水平移動可能なホイール８の移動方向（両矢印ＤＲ２）に沿って、最もホイール７寄りに位置されたホイール８（軸線間距離＝最小値Ｐ２）の回転軸線ＣＬ２に対してホイール７側に設けられている。

　鋸刃９が鋸刃ガイド６ａ～６ｅに載置された後、図１３に示されるように、ハウジング３が下降され（方向ＤＲ７：即ち、図１中の両矢印ＤＲ１の上方向）、ホイール７及び８が鋸刃９とほぼ同じ高さとなる装着位置に位置される（ステップＳ４）。次に、図１４に示されるように、駆動部Ｍ３によってホイール８が水平移動され（方向ＤＲ８：即ち、図１及び図２中の両矢印ＤＲ２の左方向）、ホイール７及び８の軸線間距離が広げられる（ステップＳ５）。鋸刃９の内側面９ｃはホイール７及び８の外周面と接触し、鋸刃９は横方向に張り渡される。

　この結果、鋸刃９の前後方向の間隔は狭まり、鋸刃９は鋸刃ガイド６ａ～６ｄの当接部ｔ６ａ～ｔ６ｄから離脱する。また、ホイール８の左方移動によって鋸刃９も左方移動され、鋸刃９は鋸刃ガイド６ｅの当接部ｔ６ｅからも離脱する。鋸刃９の当接部ｔ６ｅからの離脱において、鋸刃９は、傾斜縁６ｅ３ｄ上を円滑に上方に摺動し得るので、凹部６ｅ３ｃから円滑に離脱できる。

　ホイール８は、鋸刃９に作用する張力が所定値となる位置まで水平移動される。ここで、駆動部Ｍ３によるホイール８の移動は、所定の速度変化パターン（一定又は可変）により実行される。これにより、鋸刃９の張力が所定値になるまでの規定時間（ホイール８の移動時間）を事前に把握可能である。ホイール７及び８の軸線間距離が最小値Ｐ２の状態からの時間がタイマＴｍで計測し、計測時間が上述した規定に達したか否かで、鋸刃９の張力が所定値に達したか否かを推定できる。即ち、張力を測定するセンサＭ３ｓを用いる場合は、センサＭ３ｓの検出結果に基づいて、鋸刃９の張力が所定値に達したか否かが判断される（ステップＳ６）。あるいは、センサＭ３ｓに代えてタイマＴｍを用いる場合は、タイマＴｍの計測時間に基づいて、鋸刃９の張力が所定値に達したか否かを判断される（ステップＳ６）。ステップＳ６の判断は、予め組まれたプログラムによって外部のコンピュータ（図示せず）が判断してもよいし、表示される数値に基づいて作業者が判断してもよい。張力が所定値に達したと判断されたら、ホイール８の水平移動が停止され、軸線間距離の拡張が停止される（ステップＳ７）。

　鋸刃ガイド６ａ～６ｄでは、鋸刃９を下方から支持する縁当接部６ａ５、６ｂ５、６ｃ５及び６ｄ７の長さ、及び、鋸刃ガイド６ｅ（ガイドプレート６ｅ３）の垂直縁６ｅ３ｂより内側の長さは、ホイール８の水平移動時に、鋸刃９がホイール７及び８から脱落しなくなるまでは鋸刃９を下方から支持できるように設定されている。

　ホイール７及びホイール８に、鋸刃９が所定の張力で張り渡されたら、ハウジング３を待機位置まで上昇させる（Ｓｔｅｐ８）。下縁歯９ｈに保護カバーが取り付けられている場合、この段階で取り外される。駆動部Ｍ２によってホイール７及び８を回転させて、ホイール７及び８に対する鋸刃９の位置決め[alignment]を適切に行う。このように、鋸刃９の帯鋸盤５１への装着作業が完了する。鋸刃９の帯鋸盤５１からの取り外しは、基本的に装着作業の逆の工程で行なわれる。

　各工程（ステップＳ１～Ｓ８）は、作業者が各工程毎に指示を出して実行してもよいし、作業者による鋸刃９の鋸刃ガイド６ａ～６ｅへの載置以外の工程が、予め作成されたプログラムを実行するコンピュータによって、帯鋸盤５１に自動的に実行させてもよい。

　帯鋸盤５１は、鋸刃９の後側の走行経路上の切断領域Ａ（図２参照）でワークＷを切断する。本実施形態では、鋸刃ガイド６ｄは、鋸刃９の走行方向ＤＲ３に沿って、切断領域Ａにのすぐ下流に設けられている。従って、通常状態の鋸刃ガイド６ｄには、切粉[swarf]が多量に付着する可能性が高い。そこで、鋸刃ガイド６ｄは、ヒンジ６ｄ２を介して当接部ｔ６ｄが揺動されて退避状態となることができる。退避状態の鋸刃ガイド６ｄは、走行経路上から退避され、当接部ｔ６ｄへの切粉の付着が回避される。即ち、鋸刃ガイド６ｄは、鋸刃９の装着作業時には通常状態とされ、装着作業時以外（ワークＷの切断時）には、回動されて退避状態とされる。

　上述したように、鋸刃ガイド６ａの当接部ｔ６ａは、ゴム製のスペーサ６ａ２によって若干の揺動が可能である。鋸刃ガイド６ｂ～６ｅの当接部ｔ６ｂ～ｔ６ｅも、同様に揺動可能である。このため、鋸刃ガイド６ａ～６ｅ上への鋸刃９の載置状態や、載置状態で鋸刃９に外力が作用しても、当接部ｔ６ａ～ｔ６ｅが揺動して、外力の鋸刃９への影響を低減できる。従って、鋸刃９の装着作業での鋸刃９の損傷が効果的に防止される。

　なお、本発明は、上述した実施形態に限定されない。例えば、鋸刃ガイド６ａ～６ｅは、ベース１に固定されずに、脱着可能に設けられてもよい。また、鋸刃ガイド６ａ～６ｅは、下方からの支持（落下規制）及び変形形状の保持（拡張規制）が行えればよく、それらの構造は上記実施形態のものに限定されない。

　帯鋸盤５１の可動部位への手の進入を防止する保護カバーや開閉扉が設けられてもよい。この際、ワークＷの切断時だけでなく、鋸刃９の装着作業（鋸刃ガイド６ａ～６ｅ上への鋸刃９の載置作業を除く）時にも、保護カバーや開閉扉が閉じられていないと動作しないように帯鋸盤５１が構成されてもよい。このようにすれば、作業者の安全を確保できる。

　また、鋸刃ガイド６ａ～６ｄの横方向の位置は、上記実施形態の位置に限定されない。鋸刃ガイド６ａ～６ｄは、鋸刃９を長円に変形させて保持できる位置に設けられればよい。さらに、ホイール７及び８の一方のみが移動可能ではなく、両方が移動可能とされてもよい。

　本実施形態の帯鋸盤５１（鋸刃９の装着方法）によれば、作業者は、鋸刃９を鋸刃ガイド６ａ～６ｅ上に載置するだけでよく、従来のように治具を支えたり持ち上げたりする負担の大きな作業を行う必要が無い。従って、作業者の負担が大幅に低減され得る。また、鋸刃９全体を支える大型治具は不要であり、小さな鋸刃ガイド６ａ～６ｅのみの設置でよい。また、鋸刃ガイド６ａ～６ｅは、ホイール７及び８の間隔に左右されない汎用部品でる（本実施形態ではタイプＡ～Ｃの三種類）ので、治具の製作費用を大幅に削減できる。

Claims

　横型帯鋸盤であって、
　ベースと、
　前記ベースの上方に配置された垂直移動可能なハウジングと、
　前記ハウジングの下部に水平に配置された、軸線間距離を変更可能な一対のホイールと、
　前記一対のホイールに巻回される無端状の帯鋸刃と、
　前記ベースの上面に設けられ、前記帯鋸刃の前記一対のホイールへの装着時に前記帯鋸刃が載置される複数の鋸刃ガイドと、を備え、

　前記複数の鋸刃ガイド上に載置された前記帯鋸刃の高さ位置である装着位置は、前記一対のホイールに巻回された前記帯鋸刃によるワークの切断終了位置よりも下方とされ、
　前記ハウジングは、前記一対のホイールを前記装着位置まで下降可能に構成され、
　前記一対のホイールは、前記軸線間距離が短縮された状態で、前記ハウジングによって前記装着位置まで下降された際に、前記複数の鋸刃ガイド上に載置された前記帯鋸刃に囲まれた領域内に進入可能に構成されている、横型帯鋸盤。
　請求項１記載の横型帯鋸盤であって、
　前記複数の鋸刃ガイドは、前記帯鋸刃と複数箇所で当接して前記帯鋸刃を支持し、それぞれ、前記帯鋸刃の下縁と当接する縁当接部と、前記帯鋸刃の外側面と当接する側面当接部とを有している、横型帯鋸盤。
　請求項２記載の横型帯鋸盤であって、
　前記一対のホイールの一方のみが前記軸線間距離を変更するように移動可能とされ、
　前記一方の回転軸線を含み、かつ、前記一対のホイールの回転軸線に直交する中心線と直交する平面に対して、前記複数の鋸刃ガイドのすべてが、前記一対のホイールの他方側に設けられている、横型帯鋸盤。
　無端状の帯鋸刃が、軸線間隔を変更可能に水平に配された一対のホイールに巻回された横型帯鋸盤における、帯鋸刃装着方法であって、
　前記帯鋸刃を、前記一対のホイールの下方に配置された複数の鋸刃ガイド上に載置し、
　前記軸線間隔が短縮された前記一対のホイールを、前記複数の鋸刃ガイド上に載置された前記帯鋸刃に囲まれた領域内に進入させて、前記帯鋸刃と同じ高さまで下降させ、
　前記軸線間隔を広げて前記一対のホイールに前記帯鋸刃を装着する、帯鋸刃装着方法。