WO2014103919A1 - 人工土壌団粒体、及び人工土壌培地 - Google Patents

人工土壌団粒体、及び人工土壌培地 Download PDF

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Abstract

 人工土壌粒子を団粒化した人工土壌団粒体において、人工土壌団粒体をプランター等の容器に充填して人工土壌を構成したときに、人工土壌の体積含水率及び気相率を高めるとともに、長期に亘ってこれら能力を維持することが可能となる技術を提供する。 サブnmオーダー乃至サブμmオーダーの細孔11を有するフィラー12が複数集合してなり、フィラー12の間にサブμmオーダー乃至サブmmオーダーの連通孔13が形成された人工土壌粒子10を団粒化した人工土壌団粒体1であって、pF1.7~2.3の範囲における体積含水率が10~40%であり、且つ、pF1.5における気相率が20~80%である。

Description

人工土壌団粒体、及び人工土壌培地
 本発明は、人工土壌粒子を団粒化した人工土壌団粒体、及び当該人工土壌団粒体を使用した人工土壌培地に関する。
 近年、生育条件がコントロールされた環境下で野菜等の植物を栽培する植物工場が増加している。これまでの植物工場は、レタス等の葉物野菜の水耕栽培が中心であったが、最近では水耕栽培には向かない根菜類についても植物工場での栽培を試みる動きがある。根菜類を植物工場で栽培するためには、土壌としての基本性能に優れ、品質が高く、且つ取り扱いが容易な人工土壌を開発する必要がある。そして、人工土壌には、植物に対する水遣り回数を低減でき、水分量の管理が容易になる等、天然土壌では実現が困難な独自の機能が求められるようになっている。
 これまでに開発された人工土壌に関連する技術として、粉状のゼオライトを水溶性高分子からなる結合材で結合して団粒化した団粒構造ゼオライトがあった(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1の団粒構造ゼオライトは、保水性が乏しいゼオライトの多孔質構造を人工土壌として利用するため、ゼオライトを団粒化して保水性を向上させたものである。
 また、ポリスチレン発泡粒子に砕石粉粒や砂等を加えた後、ポリスチレンを溶解させて粒状化した吸水性団粒体も開発されている(例えば、特許文献2を参照)。特許文献2の吸水性団粒体は、ポリスチレン発泡粒子が溶解して生じる空洞を利用して、良好な保水性及び通気性を実現しようとするものである。
特開2000-336356号公報 特開昭53-23892号公報
 人工土壌の開発にあたっては、天然土壌と同等の植物育成力を達成しながら、保水性や通気性を適切に維持できる機能が求められる。特に、植物が利用可能な水分(易効水)を確保するため、人工土壌における体積含水率と気相率とを適切に維持することは、植物に対する水遣り回数の低減や、植物の種類に応じた最適な栽培スケジュールを実現するために重要となる。人工土壌の体積含水率及び気相率は、人工土壌粒子間に形成される空隙と深く関係し、この空隙を最適な状態に維持することで、体積含水率及び気相率のバランスに優れた、天然土壌にはない独自の機能を有する付加価値の高い人工土壌を実現することができる。
 この点、特許文献1の団粒構造ゼオライトは、水の存在下で粉末のゼオライトと結合材とを混合して乾燥させただけのものであるため、団粒体の製造中にゼオライトがダマになり易く、ゼオライトの粒子間に形成される空隙によって適切な保水性や通気性を実現できているとは限らない。また、水遣り等の作業中に締め固め等が生じると、人工土壌の体積含水率及び気相率が低下する虞がある。
 一方、特許文献2の吸水性団粒体は、ポリスチレンを溶融させて団粒体内に空洞を生じさせることにより、保水性及び通気性を実現するものであるが、団粒体内の空洞を適切な大きさに制御することは難しく、人工土壌として所望の体積含水率及び気相率に設定することは困難である。また、砕石粉粒や砂等を混合して発泡させているため、団粒体の構造が脆く、栽培の作業中や水遣り等で細かく粉砕されて締め固めが生じ、人工土壌の体積含水率及び気相率が低下する虞がある。
 本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、人工土壌粒子を団粒化した人工土壌団粒体において、人工土壌団粒体をプランター等の容器に充填して人工土壌を構成したときに、人工土壌の体積含水率及び気相率を高めるとともに、長期に亘ってこれら能力を維持することが可能となる技術を提供するものである。
 上記課題を解決するための本発明に係る人工土壌団粒体の特徴構成は、
 サブnmオーダー乃至サブμmオーダーの細孔を有するフィラーが複数集合してなり、前記フィラーの間にサブμmオーダー乃至サブmmオーダーの連通孔が形成された人工土壌粒子を団粒化した人工土壌団粒体であって、
 pF1.7~2.3の範囲における体積含水率が10~40%であり、且つ、pF1.5における気相率が20~80%であることにある。
 本構成の人工土壌団粒体によれば、人工土壌団粒体を構成する人工土壌粒子は、フィラーの細孔のサイズがサブnmオーダー乃至サブμmオーダーであるため、当該細孔に植物の品質を向上させるために必要な養分を効果的に取り込むことができる。また、集合したフィラーの間に形成される連通孔のサイズがサブμmオーダー乃至サブmmオーダーであるため、当該連通孔に植物の生育に不可欠な水分(易効水を含む)を効果的に吸収することができ、保水力を高めることができる。このような特定の構成を有する人工土壌粒子を団粒化した本構成の人工土壌団粒体は、pF1.7~2.3の範囲における体積含水率が10~40%であり、且つ、pF1.5における気相率が20~80%に設定されているため、人工土壌の体積含水率及び気相率が高い次元でバランスされ、天然土壌にはない独自の機能を有する付加価値の高い人工土壌を実現することができる。
 本発明に係る人工土壌団粒体において、
 前記人工土壌粒子の間に、μmオーダー乃至mmオーダーの一次間隙が形成されていることが好ましい。
 本構成の人工土壌団粒体によれば、人工土壌粒子の間に、μmオーダー乃至mmオーダーの一次間隙が形成されているため、当該一次間隙に植物に利用可能な水分を効果的に保持することができる。その結果、植物の生育性を高めることができる。
 本発明に係る人工土壌団粒体において、
 前記一次間隙のサイズは、5~100μmであることが好ましい。
 本構成の人工土壌団粒体によれば、一次間隙のサイズは、5~100μmであるので、人工土壌団粒体間に適度な隙間が生じることとなり、一次間隙に植物に利用可能な水分を必要且つ十分な量保持することができる。その結果、植物の生育性をさらに高めることができる。
 本発明に係る人工土壌団粒体において、
 0.2~10mmのサイズを有することが好ましい。
 本構成の人工土壌団粒体によれば、0.2~10mmのサイズを有するので、団粒構造が安定したものとなる。さらに、上記粒径範囲であれば、人工土壌団粒体間に適度な隙間が生じるため、優れた通気性と保水性とを両立させることが可能となる。
 本発明に係る人工土壌団粒体において、
 前記人工土壌粒子は、5~1000μmの粒径分布を有することが好ましい。
 本構成の人工土壌団粒体によれば、人工土壌粒子の粒径分布を5~1000μmの範囲とすることで、団粒構造内に適度な空隙が形成され、人工土壌の体積含水率及び気相率を高めることができる。また、団粒構造がより安定したものとなる。
 本発明に係る人工土壌団粒体において、
 前記細孔にイオン交換能を付与してあることが好ましい。
 本構成の人工土壌団粒体によれば、人工土壌粒子の細孔にイオン交換能を付与してあることから、人工土壌団粒体に植物の育成に必要な肥料成分を担持させることができる。従って、天然土壌と同等の植物育成力を備えた人工土壌培地を実現することが可能となる。
 本発明に係る人工土壌団粒体において、
 保水性材料を含むことが好ましい。
 本構成の人工土壌団粒体によれば、保水性材料を含むことから、人工土壌団粒体の空隙が本来有する保水性に加え、保水性材料による保水力をさらに備えることができる。その結果、保水性がさらに高まり、乾燥に強い人工土壌団粒体とすることができる。
 上記課題を解決するための本発明に係る人工土壌培地の特徴構成は、
 前記何れか一つに記載の人工土壌団粒体を使用したことにある。
 本構成の人工土壌培地によれば、本発明の人工土壌団粒体を使用しているため、長期にわたって人工土壌の体積含水率及び気相率を高めながら、土壌としての基本性能をバランスよく実現することができる。また、このような人工土壌培地は、栽培対象の植物に対して水分や養分を適切に供給できるので、メンテナンスに手間が掛からず、取り扱いが容易なものとなる。
図1は、本発明の人工土壌団粒体を構成する人工土壌粒子の模式図である。 図2は、本発明の人工土壌団粒体の模式図である。 図3は、水銀圧入法による本発明の人工土壌団粒体の孔径分布の測定結果を示すグラフである。
 以下、本発明の人工土壌団粒体に関する実施形態を図1~図3に基づいて説明する。ただし、本発明の理解を容易にするため、初めに本発明の人工土壌団粒体を構成する人工土壌粒子について説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態や図面に記載される構成に限定されることを意図しない。
<人工土壌粒子>
 図1は、本発明の人工土壌団粒体を構成する人工土壌粒子10の模式図である。同図では、人工土壌粒子10を概念的に示している。図1(a)は、フィラー12として、多孔質天然鉱物であるゼオライト12aを使用した人工土壌粒子10を例示したものである。図1(b)は、フィラー12として、層状天然鉱物であるハイドロタルサイト12bを使用した人工土壌粒子10を例示したものである。なお、図1中に示す記号x、y及びzは、後述する細孔11、連通孔13及び人工土壌粒子10のサイズを夫々表しているが、図面上でのx、y及びzの関係は、実際のサイズ関係を反映したものではない。
 人工土壌粒子10は、複数のフィラー12が集合して粒状に構成されたものである。人工土壌粒子10中の複数のフィラー12は、それらが互いに接触していることは必須ではなく、一粒子内でバインダー等を介して一定範囲内の相対的な位置関係を維持していれば、複数のフィラー12が集合して粒状に構成したものと考えることができる。人工土壌粒子10を構成するフィラー12は、表面から内部にかけて多数の細孔11を有する。細孔11は、種々の形態を含む。例えば、フィラー12が、図1(a)に示すゼオライト12aの場合、当該ゼオライト12aの結晶構造中に存在する空隙が細孔11であり、図1(b)に示すハイドロタルサイト12bの場合、当該ハイドロタルサイト12bの層構造中に存在する層間が細孔11である。つまり、本発明において「細孔」とは、フィラー12の構造中に存在する空隙部、層間部、空間部等を意図し、これらは「孔状」の形態に限定されるものではない。
 フィラー12の細孔11のサイズ(図1に示すサイズxの平均値)は、サブnmオーダー乃至サブμmオーダーとなる。例えば、細孔11のサイズは、0.2~800nm程度に設定可能であるが、フィラー12が、図1(a)に示すゼオライト12aの場合、当該ゼオライト12aの結晶構造中に存在する空隙のサイズ(径)は、0.3~1.3nm程度である。フィラー12が、図1(b)に示すハイドロタルサイト12bの場合、当該ハイドロタルサイト12bの層構造中に存在する層間のサイズ(距離)は、0.3~3.0nm程度である。この他に、フィラー12として、後述する有機多孔質材料を使用することもでき、その場合の細孔11の径xは、0.1~0.8μm程度となる。
 複数のフィラー12の間には、連通孔13が形成されている。連通孔13の周囲には細孔11が分散配置されている。連通孔13には主に水分(後述の易効水を含む)が保持されるため、人工土壌粒子10に一定の保水性を持たせることができる。連通孔13のサイズ(図1に示す隣接するフィラー12間の距離yの平均値)は、フィラー12やバインダーの種類、組成、造粒条件により変化し得るが、サブμmオーダー乃至サブmmオーダーとなる。例えば、連通孔13のサイズは、0.1~500μm程度に設定可能であるが、フィラー12が、図1(a)に示すゼオライト12a、又は図1(b)に示すハイドロタルサイト12bであり、バインダーとして高分子ゲル化剤を使用した場合、連通孔13のサイズは、0.1~20μmである。細孔11及び連通孔13のサイズは、測定対象の状態に応じて、ガス吸着法、水銀圧入法、小角X線散乱法、画像処理法等を用いて、又はこれらの方法を組み合わせて、最適な方法により測定することができる。
 フィラー12は、人工土壌粒子10が十分な保肥力を有するように、細孔11にイオン交換能が付与された材料を使用することが好ましい。この場合、イオン交換能が付与された材料として、陽イオン交換能が付与された材料、陰イオン交換能が付与された材料、又は両者の混合物を使用することができる。また、イオン交換能を有さない多孔質材料(例えば、高分子発泡体、ガラス発泡体等)を別に用意し、当該多孔質材料の細孔に上記のイオン交換能が付与された材料を圧入や含浸等によって導入し、これをフィラー12として使用することも可能である。陽イオン交換能が付与された材料として、陽イオン交換性鉱物、腐植、及び陽イオン交換樹脂が挙げられる。陰イオン交換能が付与された材料として、陰イオン交換性鉱物、及び陰イオン交換樹脂が挙げられる。
 陽イオン交換性鉱物は、例えば、モンモリロナイト、ベントナイト、バイデライト、ヘクトライト、サポナイト、スチブンサイト等のスメクタイト系鉱物、雲母系鉱物、バーミキュライト、ゼオライト等が挙げられる。陽イオン交換樹脂は、例えば、弱酸性陽イオン交換樹脂、強酸性陽イオン交換樹脂が挙げられる。これらのうち、ゼオライト、又はベントナイトが好ましい。陽イオン交換性鉱物及び陽イオン交換樹脂は、二種以上を組み合わせて使用することも可能である。陽イオン交換性鉱物及び陽イオン交換樹脂における陽イオン交換容量は、10~700meq/100gに設定され、好ましくは20~700meq/100gに設定され、より好ましくは30~700meq/100gに設定される。陽イオン交換容量が10meq/100g未満の場合、十分に養分を取り込むことができず、取り込まれた養分も灌水等により早期に流失する虞がある。一方、陽イオン交換容量が700meq/100gを超えるように保肥力を過剰に大きくしても、効果は大きく向上せず、経済的ではない。
 陰イオン交換性鉱物は、例えば、ハイドロタルサイト、マナセアイト、パイロオーライト、シェーグレン石、緑青等の主骨格として複水酸化物を有する天然層状複水酸化物、合成ハイドロタルサイト及びハイドロタルサイト様物質、アロフェン、イモゴライト、カオリン等の粘土鉱物が挙げられる。陰イオン交換樹脂は、例えば、弱塩基性陰イオン交換樹脂、強塩基性陰イオン交換樹脂が挙げられる。これらのうち、ハイドロタルサイトが好ましい。陰イオン交換性鉱物及び陰イオン交換樹脂は、二種以上を組み合わせて使用することも可能である。陰イオン交換性鉱物及び陰イオン交換樹脂における陰イオン交換容量は、5~500meq/100gに設定され、好ましくは20~500meq/100gに設定され、より好ましくは30~500meq/100gに設定される。陰イオン交換容量が5meq/100g未満の場合、十分に養分を取り込むことができず、取り込まれた養分も灌水等により早期に流失する虞がある。一方、陰イオン交換容量が500meq/100gを超えるように保肥力を過剰に大きくしても、効果は大きく向上せず、経済的ではない。
<人工土壌粒子の粒状化方法>
 フィラー12が図1に示すゼオライト12aやハイドロタルサイト12bのような無機鉱物である場合、複数のフィラー12を集合して粒状物(人工土壌粒子10)を構成するために、バインダーを用いて粒状化を行うことができる。バインダーを用いた人工土壌粒子10の形成は、フィラー12にバインダーや溶媒等を加えて混合し、混合物を造粒機に導入し、転動造粒、流動層造粒、攪拌造粒、圧縮造粒、押出造粒、破砕造粒、溶融造粒、噴霧造粒等の公知の造粒法により行うことができる。得られた造粒体は、必要に応じて乾燥及び分級が行われ、人工土壌粒子10が完成する。また、フィラー12にバインダーを加え、さらに必要に応じて溶媒等を加えて混練し、これを乾燥してブロック状にしたものを、乳鉢及び乳棒、ハンマーミル、ロールクラッシャー等の粉砕手段で適宜粉砕して粒状物とすることも可能である。この粒状物は、そのまま人工土壌粒子10として用いることもできるが、篩にかけて所望の粒径に調整することが好ましい。
 バインダーは、有機バインダー又は無機バインダーの何れも使用可能である。有機バインダーは、例えば、エチルセルロースなどの変性セルロース系バインダー、ポリオレフィン系バインダー、ポリビニルアルコール系バインダー、ポリウレタン系バインダー、酢酸ビニル、エチレン酢酸ビニル等の酢酸ビニル系バインダー、ウレタン樹脂、ビニルウレタン樹脂等のウレタン樹脂系バインダー、アクリル樹脂系バインダー、シリコーン樹脂系バインダー等の合成樹脂系バインダー、デンプン、カラギーナン、キサンタンガム、ジェランガム、アルギン酸塩等の多糖類、ポリアミノ酸、膠等のたんぱく質等の天然物系バインダーが挙げられる。無機バインダーは、例えば、水ガラス等のケイ酸塩系バインダー、リン酸アルミニウム等のリン酸塩系バインダー、ホウ酸アルミニウム等のホウ酸塩系バインダー、セメント等の水硬性バインダーが挙げられる。有機バインダー及び無機バインダーは、二種以上を組み合わせて使用することも可能である。
 フィラー12が有機多孔質材料である場合、人工土壌粒子10の形成は、バインダーを用いた上述のフィラー12の粒状化法と同様の方法で行ってもよいが、フィラー12を、当該フィラー12を構成する有機多孔質材料(高分子材料等)の融点以上の温度に加熱し、複数のフィラー12の表面同士を熱融着させて粒状化することにより、人工土壌粒子10を形成することも可能である。この場合、バインダーを使用しなくても、複数のフィラー12が集合した粒状物を得ることができる。そのような有機多孔質材料として、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、セルロール等の有機高分子材料を発泡させた有機高分子発泡体、前記有機高分子材料の粉体を加熱溶融して連続気泡構造を形成した有機高分子多孔質体が挙げられる。
 人工土壌粒子10の形成にあたっては、高分子ゲル化剤のゲル化反応を利用することもできる。高分子ゲル化剤のゲル化反応として、例えば、アルギン酸塩、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ジェランガム、グルコマンナン、ペクチン、又はカルボキシメチルセルロース(CMC)と多価金属イオンとのゲル化反応、カラギーナン、寒天、キサンタンガム、ローカストビーンガム、タラガムなどの多糖類の二重らせん構造化反応によるゲル化反応が挙げられる。このうち、アルギン酸塩と多価金属イオンとのゲル化反応について説明する。例えば、アルギン酸塩の一つであるアルギン酸ナトリウムは、アルギン酸のカルボキシル基がNaイオンと結合した形態の中性塩である。アルギン酸は水に不溶であるが、アルギン酸ナトリウムは水溶性である。アルギン酸ナトリウム水溶液を多価金属イオン(例えば、Caイオン)の水溶液中に添加すると、アルギン酸ナトリウムの分子間でイオン架橋が起こり、ゲル化が進行する。本実施形態の場合、ゲル化反応は、以下の工程により行うことができる。初めに、アルギン酸塩を水に溶解させてアルギン酸塩水溶液を調製し、アルギン酸塩水溶液にフィラー12を添加し、これを十分攪拌して、アルギン酸塩水溶液中にフィラー12が分散した混合液を形成する。次に、混合液を多価金属イオン水溶液中に滴下し、混合液に含まれるアルギン酸塩を粒状にゲル化させる。その後、ゲル化した粒子を回収して水洗し、十分に乾燥させる。これにより、アルギン酸塩及び多価金属イオンから形成されるアルギン酸塩ゲル化物中にフィラー12が分散した粒状物としての人工土壌粒子10が得られる。
 ゲル化反応に使用可能なアルギン酸塩は、例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸アンモニウムが挙げられる。これらのアルギン酸塩は、二種以上を組み合わせて使用することも可能である。アルギン酸塩水溶液の濃度は、0.1~5重量%とし、好ましくは0.2~5重量%とし、より好ましくは0.2~3重量%とする。アルギン酸塩水溶液の濃度が0.1重量%未満の場合、ゲル化反応が起こり難くなり、5重量%を超えると、アルギン酸塩水溶液の粘度が大きくなり過ぎるため、フィラー12を添加した混合液の攪拌や、混合液を多価金属イオン水溶液中に滴下することが困難になる。
 アルギン酸塩水溶液を滴下する多価金属イオン水溶液は、アルギン酸塩と反応してゲル化が起きる2価以上の金属イオン水溶液であればよい。そのような多価金属イオン水溶液の例として、塩化カルシウム、塩化バリウム、塩化ストロンチウム、塩化ニッケル、塩化アルミニウム、塩化鉄、塩化コバルト等の多価金属の塩化物水溶液、硝酸カルシウム、硝酸バリウム、硝酸アルミニウム、硝酸鉄、硝酸銅、硝酸コバルト等の多価金属の硝酸塩水溶液、乳酸カルシウム、乳酸バリウム、乳酸アルミニウム、乳酸亜鉛等の多価金属の乳酸塩水溶液、硫酸アルミニウム、硫酸亜鉛、硫酸コバルト等の多価金属の硫酸塩水溶液が挙げられる。これらの多価金属イオン水溶液は、二種以上を組み合わせて使用することも可能である。多価金属イオン水溶液の濃度は、1~20重量%とし、好ましくは2~15重量%とし、より好ましくは3~10重量%とする。多価金属イオン水溶液の濃度が1重量%未満の場合、ゲル化反応が起こり難くなり、20重量%を超えると、金属塩の溶解に時間が掛かるとともに、過剰の材料を使用することになるため、経済的ではない。
 人工土壌粒子10を設計するに際し、連通孔13の保水性をさらに高めることも可能である。連通孔13の保水性を向上させる方法の一つとして、人工土壌粒子10の連通孔13に保水性材料を導入することが挙げられる。保水性材料は、例えば、連通孔13の全体に保水性材料を充填したり、連通孔13の表面を保水性材料の膜でコーティングしたりすることで導入可能である。このとき、連通孔13の少なくとも一部に保水性材料が存在していればよい。保水性材料の導入は、例えば、保水性のある高分子材料を溶媒に溶解して高分子溶液を調製し、当該高分子溶液を人工土壌粒子10に含浸させることによって行われる。あるいは、人工土壌粒子10を粒状化する際、原材料に保水性のある繊維を混合しておいても構わない。この場合、保水性材料である繊維は、人工土壌粒子10の連通孔13だけでなく、人工土壌粒子10の全体に導入することも可能である。そして、繊維が導入された人工土壌粒子10は、保水性が向上することは当然であるが、人工土壌粒子10の強度や耐久性も向上する。従って、保水性材料として導入される繊維は、補強材としても機能する。人工土壌粒子10に導入可能な繊維としては、例えば、ビニロン、ウレタン、ナイロン、アセテート等の合成繊維や、綿、羊毛、レーヨン、セルロース等の天然繊維が挙げられる。これらの繊維のうち、ビニロン及び綿が好ましい。さらに、繊維の形態としては、短繊維であることが好ましい。保水性材料を導入した人工土壌粒子10は、保水力が大きく向上するため、例えば、乾燥状態の外部環境で使用した場合でも長期間水を与えなくとも植物の枯れや育成不良を防止することができる。さらに、保水性材料の導入により、人工土壌粒子10の強度及び耐久性も向上するため、長期に亘って保水性を維持する相乗効果も期待できる。
 保水性材料として使用可能な高分子材料は、例えば、ポリアクリル酸塩系ポリマー、ポリスルホン酸塩系ポリマー、ポリアクリルアミド系ポリマー、ポリビニルアルコール系ポリマー、ポリアルキレンオキサイド系ポリマー等の合成高分子系保水性材料、ポリアスパラギン酸塩系ポリマー、ポリグルタミン酸塩系ポリマー、ポリアルギン酸塩系ポリマー、セルロース系ポリマー、デンプン等の天然高分子系保水性材料が挙げられる。これらの保水性材料は、二種以上を組み合わせて使用することも可能である。
 保水性材料である上記高分子材料を溶解させる溶媒は、使用する高分子材料に応じて溶解性の高いもの、すなわち、高分子材料と溶媒とで溶解度パラメータ(SP値)が近くなる組み合わせが適切に選択される。例えば、高分子材料のSP値と溶媒のSP値との差が5以下となるような組み合わせ(例:SP値が約10のニトロセルロースと、SP値が約14.5のメタノールとの組み合わせ)が選択される。そのような溶媒の例として、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンが挙げられる。これらの溶媒は、二種以上を組み合わせて使用することも可能である。
 連通孔13の保水性を向上させる他の方法として、人工土壌粒子10を調製するに際し、原料であるフィラー12の一部又は全部に保水性フィラーを使用することが挙げられる。この場合、生成した人工土壌粒子10は、それ自体が保水性を有することになるので、保水性を向上させるための特別な後処理は不要となる。保水性フィラーには親水性フィラーや多孔質粒状物を使用することができ、親水性フィラーの例としては、ゼオライト、スメクタイト系鉱物、雲母系鉱物、タルク、シリカ、複水酸化物等が挙げられ、多孔質粒状物の例としては、発泡ガラス、多孔質金属、多孔質セラミック、高分子多孔体、親水性繊維等が挙げられる。
<人工土壌団粒体>
 図2は、本発明の人工土壌団粒体1の模式図である。同図では、人工土壌団粒体1を概念的に示している。本発明の人工土壌団粒体1は、人工土壌粒子10を団粒化したものである。人工土壌団粒体1は、プランター等の容器に充填した形態で使用される。
 人工土壌を用いて植物を栽培するにあたり、天然土壌と同等の植物育成力を達成するためには、人工土壌の保水性及び通気性を十分に高める必要がある。ここで、土壌の保水性は、土壌に含まれる水分と密接に関連する。土壌に含まれる水分は、土壌に保持されている状態により植物に利用できるものと、利用できないものとに分類される。一般に、土壌は様々な大きさの土壌粒子により構成され、土壌に含まれる水分は、土壌粒子間に形成される隙間に毛管現象等により保持される。土壌に含まれる水分は、土壌に対する吸着力に応じて、吸着力の弱いものから、重力水、毛管水、吸湿水に分類される。そして、土壌に含まれる水分のうち、植物が容易に利用することができる水分を本明細書では「易効水」と規定する。土壌の通気性は、土壌粒子間に形成される隙間の状態に関連する。植物の根の成長に必要な酸素を供給するためには、一定以上の気相率(土壌の全容積に対する空隙(気相)の割合)が必要となる。土壌の全容積とは、土壌の三相、つまり、気相、液相、及び固相を合わせたものである。植物栽培に適した土壌とするためには、土壌100ml当たりの易効水量と、土壌の気相率との関係を検討する必要があり、本発明の人工土壌団粒体1は、サブnmオーダー乃至サブμmオーダーの細孔11を有するフィラー12を複数集合し、フィラー12の間にサブμmオーダー乃至サブmmオーダーの連通孔13を形成した人工土壌粒子10を団粒化したことにより、易効水量と気相率との関係が適切なものとなる。
 人工土壌団粒体1は、複数の人工土壌粒子10により構成されており、それらが互いに接触していることは必須ではなく、一団粒体内でバインダー等を介して一定範囲内の相対的な位置関係が維持されていればよい。人工土壌団粒体1を構成する複数の人工土壌粒子10の間には空隙が形成され、外部から水分を吸収して空隙内で保持することができる。本明細書においては、この人工土壌粒子10間に形成される空隙を一次間隙2とする。
 易効水量及び気相率は、人工土壌団粒体1の団粒構造内に形成される一次間隙2のサイズと関係している。一次間隙2のサイズが大きくなり過ぎると、一次間隙2内で水分を保持する力が弱まり、重力に逆らって水分を団粒構造内に保持することができなくなる。その結果、易効水量が減少して気相率が高くなり、植物が利用できる水分が少なくなり、植物の枯死が発生し得る。一方、一次間隙2のサイズが小さくなり過ぎると、団粒構造内での水分の保持力が強くなる。その結果、易効水量が減少し、植物が容易に水分を利用できなくなる。また、土壌の気相率も低下し、植物に湿害が発生し易くなる。つまり、一次間隙2とは、植物に利用可能な水分を多く保持する保水性間隙として機能するものである。一次間隙2のサイズ(図2に示す一次間隙2のサイズsの平均値)は、人工土壌粒子10やバインダーの種類、組成、造粒条件により変化し得るが、通常、μmオーダー乃至mmオーダーであり、例えば、1μm~1mmに調整される。一次間隙2の好ましいサイズは2~500μmであり、より好ましくは5~100μmである。
 また、一次間隙2のサイズは、人工土壌団粒体1を構成する人工土壌粒子10の粒径分布とも関係している。一次間隙2を適切なサイズにするためには、人工土壌粒子10の粒径分布を5~1000μmの範囲、好ましくは10~500μmの範囲に調整する。人工土壌粒子10の粒径分布が5~1000μmの範囲よりブロードになると、一次間隙2を安定した状態で形成できなくなる虞がある。
 さらに、一次間隙2のサイズは、人工土壌団粒体1を構成する人工土壌粒子10のサイズzとも関係している。一次間隙2を適切なサイズにするためには、人工土壌粒子10のサイズzの平均値(平均粒径)を20~500μm、好ましくは30~300μmに調整する。人工土壌粒子10の平均粒径が20μmより小さいと、一次間隙2の孔径が小さくなり過ぎて、一次間隙2の水分を保持する力が大きくなり、植物が水分を利用し難くなる。また、人工土壌粒子10の平均粒径が500μmより大きくなると、一次間隙2のサイズが大きくなり過ぎて、一次間隙2の水分を保持する力が弱くなり、重力により水分が一次間隙2から流失し易くなる。
 ところで、人工土壌団粒体1をプランター等の容器に充填し、実際の使用形態である人工土壌培地とすると、人工土壌団粒体1間に隙間が形成されることになる。本明細書においては、この人工土壌団粒体1間に形成される隙間を、上述の人工土壌粒子10間に形成される一次間隙2と区別し、二次間隙とする。二次間隙は水分を保持するとともに、人工土壌培地の通気性に重要な役割を果たす。二次間隙は所謂粗間隙であり、間隙のサイズが大きいため、二次間隙に入った水分は重力水として人工土壌培地から排出され易く、水分の排出された空間が人工土壌培地の通気性を確保する空間となる。これに対して、一次間隙2は間隙のサイズが小さいため、一次間隙2に入った水分は重力水として排出されにくく、一次間隙2に保持される。この一次間隙2に保持される水分により、植物は長期間水を利用することができる。
 人工土壌団粒体1間の二次間隙は植物が根を張り、根から酸素を取り入れる空間となるため、二次間隙が不足し、人工土壌培地の通気性が悪化すると、植物に湿害が発生することがある。一方、人工土壌培地の通気性が高くなり過ぎると、保水量が低下し、植物が利用できる水分が少なくなる。従って、人工土壌団粒体1間の二次間隙を適度に保つため、人工土壌団粒体1のサイズを適切なサイズに設定する必要がある。人工土壌団粒体1のサイズ(図2に示す人工土壌団粒体1のサイズwの平均値)は、0.2~10mmであり、好ましくは0.5~10mmであり、より好ましくは1~10mmである。人工土壌団粒体1のサイズが0.2mm未満の場合、二次間隙が小さくなって人工土壌団粒体1と水分との吸着性が強まり、排水性が低下して、植物に湿害が発生することがある。その結果、栽培する植物は根から酸素を吸収し難くなり、根腐れを起こす虞がある。一方、人工土壌団粒体1のサイズが10mmを超えると、二次間隙が大きくなって人工土壌団粒体1と水分との吸着性が弱まり、重力により水分が過剰に排出される。これにより、植物が水分を吸収し難くなったり、人工土壌培地が疎になって植物が横倒れする虞がある。
 人工土壌団粒体1のサイズ、人工土壌粒子10間の一次間隙2のサイズ、及び人工土壌粒子10の粒径は、例えば、光学顕微鏡観察及び画像処理法を用いて測定することができる。本実施形態では、以下の測定法により、人工土壌団粒体1のサイズ、一次間隙2のサイズ、及び人工土壌粒子10の粒径を測定した。先ず、測定対象の人工土壌粒子をスケールとともに顕微鏡で観察し、その顕微鏡画像を画像処理ソフト(二次元画像解析処理ソフトウェア「WinROOF」、三谷商事株式会社製)を使用して取得する。画像から100個の人工土壌団粒体又は人工土壌粒子を選択し、人工土壌団粒体、一次間隙、又は人工土壌粒子の輪郭をトレースする。トレースした図形の周長から、相当円の直径を算出する。夫々の人工土壌団粒体、一次間隙、又は人工土壌粒子から求めた相当円の直径(100個)の平均を平均サイズ(単位:ピクセル)とする。そして、平均サイズを顕微鏡画像中のスケールと比較し、単位長さ(μmオーダー乃至mmオーダー)に変換して、人工土壌団粒体のサイズ、一次間隙のサイズ、又は人工土壌粒子の粒径を算出する。
 人工土壌団粒体1は、複数の人工土壌粒子10を団粒化することにより構成され、その団粒化方法としては、人工土壌粒子10の粒状化方法に記載した方法と同様の方法により実施することができる。本発明の人工土壌団粒体1は、人工土壌粒子10をバインダーで造粒したり、高分子ゲル化剤でゲル化させて団粒体としているため、人工土壌粒子10間の一次間隙2がバインダーや高分子ゲル化剤により固定化される。従って、人工土壌団粒体1で構成した人工土壌培地は、十分な強度を有している。このため、土壌の締固め等が発生して、易効水量及び通気性の低下等が生じることが無く、長期に亘って植物に必要な量の易効水を供給することができる。なお、人工土壌団粒体1を構成する際に、人工土壌粒子10として異なる種類の人工土壌粒子を使用してもよい。また、人工土壌粒子10とともに、肥料、顔料、香料、殺菌剤、抗菌剤、消臭剤、殺虫剤等の添加物を混合して団粒化することも可能である。さらに、人工土壌団粒体1を構成するに際し、一次間隙2に保水性材料を導入することも可能である。この場合、人工土壌粒子10への保水性材料の導入と同様の方法で、同様の保水性材料を導入することができる。
<人工土壌団粒体の保水性及び通気性>
 土壌は、様々な大きさの土壌粒子により構成され、土壌粒子間に形成される隙間に、毛管現象等により水分が保持されている。土壌が水分を保持する力は、pF値として表される。pF値とは、水柱の高さで表した土壌水分の吸引圧の常用対数値のことであり、土壌中の水分が土壌の毛管力によって引き付けられている強さの程度を表す値である。pF値が2.0のとき、水柱100cmの圧力に相当する。pF値は土壌と水分の吸着の強さを表すものでもあり、土壌と水分の吸着力が弱いとpF値は低くなり、植物の根が水分を吸収し易い状態となる。一方、土壌と水分の吸着力が強いとpF値は高くなり、植物の根が水分を吸収するためには大きな力を要する。土壌中の隙間に空気が存在せず、全て水で充たされているときの状態がpF値0であり、100℃の熱乾状態の土壌であり、土壌と化合した水しか存在しない状態がpF値7となる。植物が根から吸収できる土壌中の水分は、降雨又は灌水後、通常24時間後に土壌中に残っている水分(pF1.7)から、植物が萎れ始める初期萎れ点(pF3.8)までの水分である。一般の土壌の場合、植物を栽培可能なpF値、所謂易効水の範囲は1.7~2.7である。しかし、本発明者らが実際に植物の栽培を行うと、pF値が2.3を超える場合、植物の生育性が低下する傾向があることが明らかとなった。そこで、本発明においては、人工土壌培地の易効水の範囲を1.7~2.3に規定する。pF値は、pFメータ(テンシオメーター)を用いて測定することができる。
 本発明においては、pF1.7~2.3の範囲における保水量(易効水量)を、人工土壌団粒体100ml当たりの体積含水率(VWC1.7~2.3)として表す。VWC1.7~2.3(%)は、乾燥状態の人工土壌団粒体1の質量Wdと、pF1.7のときの人工土壌団粒体1の質量W1.7、及びpF2.3のときの人工土壌団粒体1の質量W2.3を夫々計測し、以下の式(1)から算出される。
  VWC1.7~2.3(%) = 〔(W2.3-Wd)/100-(W1.7-Wd)/100〕 × 100 ・・・ (1)
 この式において、例えば、右辺の(W2.3-Wd)は人工土壌団粒体1に含まれるpF2.3のときの保水量を重量(mg)で表しているが、水の比重は1であるため、(W2.3-Wd)の値(mg)はそのままpF2.3のときの保水量の体積(ml)と見なすことができる。本発明の人工土壌団粒体1では、pF1.7~2.3の範囲における体積含水率(%)が10~40%、好ましくは13~30%、より好ましくは20~30%に調整されている。
 一般に、植物が土壌中の水分を利用して成長するためには、pF1.7~2.3の範囲における体積含水率(%)を10%以上に維持する必要がある。つまり、pF1.7~2.3の範囲における体積含水率(%)を10%以上に長期間維持できれば、灌水の頻度を少なくしても植物の生育性が低下せず、灌水等のメンテナンスを減らすことができる。本発明の人工土壌培地は、上記したように、一次間隙及び二次間隙を備えているため、人工土壌培地内に水を長期間保持することができる。この構成により、人工土壌培地のpF1.7~2.3の範囲における体積含水率(%)を上記範囲に設定すると、一次間隙及び二次間隙に易効水が効果的に保持されるため、pF1.7~2.3の範囲における体積含水率(%)を長期間10%以上に維持することができ、灌水等のメンテナンスを減らすことができる。
 また、植物が成長するためには、土壌の気相率を適切に調整する必要がある。例えば、pF値が低い場合に含水率が高いと植物の湿害が発生し易くなる。従って、pF値が低い場合でも土壌の通気性を一定以上に維持することが必要である。pF値が低い場合の土壌の通気性を示す指標は、pF1.5における気相率で表される。pF1.5とは、1日あたり30~50mm以上灌水後、通常24時間後に土壌中に残っている水分(重力による排水が略終了した状態)の状態をいう。土壌に植栽した植物を十分に生育させるためには、pF1.5における気相率を20%以上に設定する必要がある。本発明の人工土壌団粒体1は、pF1.5における気相率が20~80%、好ましくは20~60%に調整されている。その結果、本発明の人工土壌培団粒体1は、人工土壌の体積含水率及び気相率が高い次元でバランスされ、天然土壌にはない独自の機能を有する付加価値の高い人工土壌を実現し得るものとなる。すなわち、植物が利用可能な水分(易効水)を最適に確保できるため、植物に対する水遣り回数を低減したり、植物の種類に応じた最適な栽培スケジュールを実現することが可能となる。
 以下、本発明の人工土壌団粒体の実施例について説明する。
<人工土壌粒子の作製>
 フィラーとしてゼオライト及びハイドロタルサイトを使用し、アルギン酸塩としてアルギン酸ナトリウムを使用し、多価金属イオン水溶液として5%塩化カルシウム水溶液を使用した。和光純薬工業株式会社製の試薬アルギン酸ナトリウムを水に溶解させて濃度0.5%の水溶液を調製し、アルギン酸ナトリウム0.5%水溶液100重量部に株式会社エコウェル製の人工ゼオライト「琉球ライト600」10重量部、及び和光純薬工業株式会社製の試薬ハイドロタルサイト10重量部を添加して混合した。混合液を5%塩化カルシウム水溶液中に1滴/秒の速度で滴下した。滴下した液滴が粒子状にゲル化した後、粒子状ゲルを回収して水洗し、55℃に設定した乾燥機で24時間乾燥させた。乾燥を終えた粒子状ゲルを乳鉢で粉砕し、粉砕したものを篩にかけて、75μmオーバー、106μmアンダーの粒径に分級し、人工土壌粒子を得た。この人工土壌粒子は、サブnmオーダー乃至サブμmオーダーの細孔を有するフィラーが複数集合し、フィラーの間にサブμmオーダー乃至サブmmオーダーの連通孔が形成されたものであった。
<人工土壌団粒体の作製>
 人工土壌粒子100mlに20%酢酸ビニルエマルジョン水溶液(酢酸ビニルエマルジョン:コニシ株式会社製ボンド木工用)50mlを加え、酢酸ビニルエマルジョン水溶液を人工土壌粒子全体に、浸透させ、80℃、48時間で乾燥させて固化させた。固化してブロック状になった人工土壌粒子の塊を乳鉢で粉砕し、粉砕したものを篩にかけて、0.25mmオーバー、2mmアンダーの粒径に分級し、人工土壌団粒体を得た。得られた人工土壌団粒体は、人工土壌団粒体を構成する人工土壌粒子間にμmオーダー乃至mmオーダーの空隙を有していた。
<人工土壌団粒体の体積含有率及び気相率の測定>
 pF1.7~2.3の範囲における人工土壌団粒体の体積含有率を、上述の「人工土壌団粒体の保水性及び通気性」の項目で説明した式(1)から求めた。
 また、pF1.5における人工土壌団粒体の気相率を、以下の手順で求めた。人工土壌団粒体からなる人工土壌培地を水道水に24時間浸漬して飽和含水状態にした試料を作成し、この試料をさらに1時間静置した。試料の重量水を流下させ、pFメータ(テンシオメ-タ)により試料のpF値が1.5を示したのを確認後、試料の形状を出来るだけ維持しながら100mL試料用円筒に採取し、大起理化工業株式会社製のデジタル実容積測定装置「DIK-1150」にセットして測定した値を、pF1.5における人工土壌団粒体の気相率とした。
 測定の結果、人工土壌団粒体のpF1.7~2.3の範囲における体積含水率は14%であり、pF1.5における気相率は40%であった。この体積含水率及び気相率は、本発明の範囲に含まれるものであった。
(人工土壌団粒体の一次間隙のサイズの測定)
 人工土壌粒子及び人工土壌団粒体の作製手順、並びに人工土壌団粒体の一次間隙について、以下に説明する。
<人工土壌粒子の作製>
 フィラーとしてゼオライトを使用し、アルギン酸塩としてアルギン酸ナトリウムを使用し、多価金属イオン水溶液として5%塩化カルシウム水溶液を使用した。和光純薬工業株式会社製の試薬アルギン酸ナトリウムを水に溶解させて濃度0.5%の水溶液を調製し、アルギン酸ナトリウム0.5%水溶液100重量部に株式会社エコウェル製の人工ゼオライト「琉球ライト600」20重量部を添加して混合した。混合液を5%塩化カルシウム水溶液中に1滴/秒の速度で滴下した。滴下した液滴が粒子状にゲル化した後、粒子状ゲルを回収して水洗し、55℃に設定した乾燥機で24時間乾燥させた。乾燥を終えた粒子状ゲルを乳鉢で粉砕し、粉砕したものを篩にかけて、0.1mmオーバー、0.25mmアンダーの粒径に分級し、人工土壌粒子を得た。
<人工土壌団粒体の作製>
 人工土壌粒子を水に浸漬して飽和含水状態にした後、1時間放置して重力水を流下させた。この含水させた人工土壌粒子100mlを、20%酢酸ビニルエマルジョン水溶液(酢酸ビニルエマルジョン:コニシ株式会社製ボンド木工用)50mlに混合し、80℃、48時間で乾燥させて固化させた。固化してブロック状になった人工土壌粒子の塊を乳鉢で粉砕し、粉砕したものを篩により分級して約3mmの粒径の人工土壌団粒体を作製した。
<人工土壌団粒体の一次間隙>
 本発明の人工土壌団粒体が多孔質構造を備えていることを確認するため、水銀圧入法による孔径分布の測定を行った。図3は、水銀圧入法による本発明の人工土壌団粒体の孔径分布の測定結果を示すグラフである。本発明の人工土壌団粒体においては、図3に示す3つのピークが確認された。約30nm付近のピークはフィラーどうしの間に形成される微少な間隙であると推測され、約700nm付近のピークは連通孔であると推測され、約20μm付近のピークは一次間隙であると推測される。このように、本発明の人工土壌団粒体は、サブμmオーダー乃至サブmmオーダーの連通孔と、μmオーダー乃至mmオーダーの一次間隙を有しており、フィラーが有するサブnmオーダー乃至サブμmオーダーの細孔と合わせて、少なくとも三次のサイズ分布を備えた独特の多孔質構造を有することが確認された。
(人工土壌団粒体におけるラディシュの生育性)
 本発明の人工土壌団粒体を用いてラディシュの生育性を評価する試験を実施した。
<人工土壌粒子の作製>
 下記の表1~3に記載される配合(重量部)に従って、フィラーとして陽イオン交換能が付与された材料(陽イオン交換材料)であるゼオライト(琉球ライトCEC600、株式会社エコウェル製)、ベントナイト(カサネン工業株式会社製)、及び陽イオン交換性樹脂(オルガノ株式会社製)のうちの少なくとも一つと、陰イオン交換能が付与された材料(陰イオン交換材料)であるハイドロタルサイト(和光純薬工業株式会社製)、及び陰イオン交換性樹脂(オルガノ株式会社製)のうちの少なくとも一つとをバインダーにより固めて実施例1~23、並びに比較例1~6に使用する人工土壌粒子を作製した。バインダーには、アルギン酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製)、アルギン酸カリウム(株式会社キミカ製)、寒天(和光純薬工業株式会社製)又はキサンタンガム(ソアキサン(登録商標)XG550、エムアールシー ポリサッカライド株式会社製)とローカストビーンガム(ソアローカスト(登録商標)A120、エムアールシー ポリサッカライド株式会社製)との混合剤を使用した。
 アルギン酸ナトリウム及びアルギン酸カリウムを使用する場合、アルギン酸ナトリウム0.5%水溶液又はアルギン酸カリウム1%水溶液にフィラーを添加し、ミキサー(SM-L57:三洋電機株式会社製)を用いて3分間撹拌し、得られた混合液を、多価金属イオン水溶液である5%塩化カルシウム水溶液に滴下してゲル化物を生成した。生成したゲル化物を液から回収し、洗浄した後、55℃に設定した乾燥機で24時間乾燥させて人工土壌粒子を作製した。
 寒天、及びキサンタンガムとローカストビーンガムとの混合剤を使用する場合、1%寒天溶液、又は0.5%キサンタンガムと0.5%ローカストビーンガムとの混合溶液に、フィラーを添加して80℃以上に昇温させて多糖類を溶解した後、常温まで冷却してゲル化物を生成した。生成したゲル化物を50℃に設定した乾燥機で24時間乾燥させ、その固まりを粉砕し、篩により分級して人工土壌粒子を作製した。
<人工土壌団粒体の作製>
 下記の表1~3に記載される粒径分布を有する人工土壌粒子を、バインダーにより固めて実施例1~23、並びに比較例1~6の人工土壌団粒体を作製した。バインダーには、コニシ株式会社製の酢酸ビニル樹脂系接着剤「ボンド(登録商標)木工用」、ポリエチレン混合エマルジョン(セポルジョン(登録商標)G315、住友精化株式会社製)、寒天(和光純薬工業株式会社製)、アクリルアミド(和光純薬工業株式会社製)、ウレタン樹脂エマルジョン(ハマナカ株式会社製 布・フェルト用クラフトボンド)、及びエチルセルロース(日進化成株式会社製)を使用した。上記各バインダーを使用した場合の人工土壌団粒体の作製方法を以下に示す。表1~3では、使用した団粒化用バインダーを「+」で表している。
 バインダーとして酢酸ビニル樹脂系接着剤を使用する場合(実施例1~15、及び21~23、並びに比較例1~6)の人工土壌団粒体の作製方法を以下に説明する。得られた人工土壌粒子を水に浸漬して飽和含水状態にした後、1時間放置して重力水を流下させた。この含水させた人工土壌粒子100mlを、20%酢酸ビニルエマルジョン水溶液50mlに混合し、80℃、48時間で乾燥させて固化させた。固化してブロック状になった人工土壌粒子の塊を乳鉢で粉砕し、粉砕したものを篩により分級して人工土壌団粒体を作製した。
 バインダーとしてポリエチレン混合エマルジョンを使用する場合(実施例16)の人工土壌団粒体の作製方法を以下に説明する。得られた人工土壌粒子を水に浸漬して飽和含水状態にした後、1時間放置して重力水を流下させた。この含水させた人工土壌粒子100mlを、20%ポリエチレン混合エマルジョン溶液50mlに混合した。得られた混合物を造粒機に導入して団粒化し、100℃、24時間で乾燥させて人工土壌団粒体を作製した。
 バインダーとして寒天を使用する場合(実施例17)の人工土壌団粒体の作製方法を以下に説明する。得られた人工土壌粒子100mlを、1%寒天(和光純薬工業株式会社製)の80℃溶解液50mlに混合し、常温まで冷却してゲル化物を生成した。生成したゲル化物を50℃に設定した乾燥機で24時間乾燥させ、その固まりを粉砕し、粉砕したものを篩により分級して人工土壌団粒体を作製した。
 バインダーとしてアクリルアミドを使用する場合(実施例18)の人工土壌団粒体の作製方法を以下に説明する。得られた人工土壌粒子を水に浸漬して飽和含水状態にした後、1時間放置して重力水を流下させた。この含水させた人工土壌粒子100mlを、10%アクリルアミド溶液50mlに混合し、80℃、24時間で乾燥させて固化させた。固化してブロック状になった人工土壌粒子の塊を乳鉢で粉砕し、粉砕したものを篩により分級して人工土壌団粒体を作製した。
 バインダーとしてウレタン樹脂エマルジョンを使用する場合(実施例19)の人工土壌団粒体の作製方法を以下に説明する。得られた人工土壌粒子を水に浸漬して飽和含水状態にした後、1時間放置して重力水を流下させた。この含水させた人工土壌粒子100mlを、10%ウレタン樹脂エマルジョン溶液50mlに混合し、80℃、24時間で乾燥させて固化させた。固化してブロック状になった人工土壌粒子の塊を乳鉢で粉砕し、粉砕したものを篩により分級して人工土壌団粒体を作製した。
 バインダーとしてエチルセルロースを使用する場合(実施例20)の人工土壌団粒体の作製方法を以下に説明する。得られた人工土壌粒子を水に浸漬して飽和含水状態にした後、1時間放置して重力水を流下させた。この含水させた人工土壌粒子100mlを、10%エチルセルロース溶液50mlに混合し、80℃、24時間で乾燥させて固化させた。固化してブロック状になった人工土壌粒子の塊を乳鉢で粉砕し、粉砕したものを篩により分級して人工土壌団粒体を作製した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
<試験内容>
(1)人工土壌粒子又は人工土壌団粒体のサイズ
 人工土壌粒子又は人工土壌団粒体を篩によって予め所定のサイズに分級し、分級したものについて画像処理を用いた測定法でサイズを測定し、これを試料として使用した。
 人工土壌粒子及び人工土壌団粒体のサイズは、上述の「人工土壌団粒体」の項目で説明した光学顕微鏡観察及び画像処理法を用いて測定した。
(2)陽イオン交換容量
 富士平工業株式会社製の汎用抽出・ろ過装置「CEC-10 Ver.2」を用いて人工土壌粒子の抽出液を作製し、これを陽イオン交換容量測定用試料とした。そして、富士平工業株式会社製の土壌・作物体総合分析装置「SFP-3」を用いて、人工土壌粒子の陽イオン交換容量(CEC)を測定した。
(3)陰イオン交換容量
 人工土壌粒子2gに0.05M硝酸カルシウム溶液20mLを添加し、1時間攪拌した。溶液を室温で1分間遠心分離(10,000rpm)し、上清を測定用試料とした。測定用試料について、紫外可視分光光度計を用いて波長410nmの吸光度を測定し、硝酸カルシウム濃度を求めた。求めた硝酸カルシウム濃度とブランクの硝酸カルシウム濃度との差から、硝酸態窒素の重量当たりの吸着量を算出し、これを比重で換算し、容積当たりの陰イオン交換容量(AEC)とした。
(4)易効水の体積含水率
 テンシオメ-タにより各試料のpF値を測定し、pF値1.7からpF値2.3に変化する易効水量を計測した。pF1.7~2.3の範囲における体積含水率は、「人工土壌団粒体の保水性及び通気性」の項目で説明した式(1)から求められる。
(5)pF値1.5における気相率
 試料である人工土壌団粒体の重量水を流下させ、pFメータ(テンシオメ-タ)により試料のpF値が1.5を示したのを確認後、試料の形状をできるだけ維持しながら100mL試料用円筒に採取し、大起理化工業株式会社製のデジタル実容積測定装置「DIK-1150」にセットして測定した値をpF値1.5における気相率とした。
(6)ラディシュの生育性
 ラディッシュの種を上層表面に播種して上面灌水(1回/日)を行い、ラディシュの生育性を評価した。ラディシュの生育性は、目視により観察し、良好なものを○、不良なものを△、発芽しなかったものを×とした。
<試験結果>
 表1~3に示すように、実施例1~23の人工土壌団粒体は、pF1.7~2.3の範囲における体積含水率が10~40%の範囲に調整され、且つ、pF1.5における気相率が20~80%の範囲に調整されていることから、ラディシュの生育性は良好であった。これに対して、比較例1~6の人工土壌団粒体は、pF1.7~2.3の範囲における体積含水率及びpF1.5における気相率の少なくとも何れかが上記適正範囲から外れているため、ラディシュの生育性は不良となり、特に、比較例1は、体積含水率及び気相率の範囲が何れも上記適正範囲から外れているため、発芽さえしなかった。また、本発明の人工土壌団粒体は、連通孔及び一次間隙を備えているため、pF1.7~2.3の範囲における体積含水率及びpF1.5における気相率を上記範囲に容易に調整することができ、また品質的にも安定していた。このように、本発明の人工土壌団粒体は、体積含水率及び気相率が高い次元でバランスされており、植物工場等で利用可能な付加価値の高い製品となり得ることが示された。
 本発明の人工土壌団粒体、及び人工土壌培地は、植物工場等で使用される人工土壌に利用可能であるが、その他の用途として、施設園芸用土壌、緑化用土壌、成型土壌、土壌改良剤、インテリア用土壌等にも利用可能である。
 1    人工土壌団粒体
 2    一次間隙
 10   人工土壌粒子
 11   細孔
 12   フィラー
 13   連通孔

Claims (8)

  1.  サブnmオーダー乃至サブμmオーダーの細孔を有するフィラーが複数集合してなり、前記フィラーの間にサブμmオーダー乃至サブmmオーダーの連通孔が形成された人工土壌粒子を団粒化した人工土壌団粒体であって、
     pF1.7~2.3の範囲における体積含水率が10~40%であり、且つ、pF1.5における気相率が20~80%である人工土壌団粒体。
  2.  前記人工土壌粒子の間に、μmオーダー乃至mmオーダーの一次間隙が形成されている請求項1に記載の人工土壌団粒体。
  3.  前記一次間隙のサイズは、5~100μmである請求項2に記載の人工土壌団粒体。
  4.  0.2~10mmのサイズを有する請求項1~3の何れか一項に記載の人工土壌団粒体。
  5.  前記人工土壌粒子は、5~1000μmの粒径分布を有する請求項1~4の何れか一項に記載の人工土壌団粒体。
  6.  前記細孔にイオン交換能を付与してある請求項1~5の何れか一項に記載の人工土壌団粒体。
  7.  保水性材料を含む請求項1~6の何れか一項に記載の人工土壌団粒体。
  8.  請求項1~7の何れか一項に記載の人工土壌団粒体を使用した人工土壌培地。
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